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固体酸化物形燃料電池セル
説明

固体酸化物形燃料電池セル

【課題】 SOFCセルにおいて、固体電解質と燃料極間および燃料極層間の密着性に優れ、サーマルサイクル性能およびレドックス性能に優れる固体酸化物形燃料電池セルを提供する。
【解決手段】 燃料極と空気極との間に固体電解質を備えた固体酸化物形燃料電池であって、前記燃料極はニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子と、希土類元素を固溶させたジルコニア粒子と、Ti元素を含む粒子を備え、前記Ti元素を含む粒子が少なくとも燃料極に含まれる粒子の粒界に存在していることを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池セル(以下、SOFCセルと示す。)に関するものであり、
特には、燃料極の耐久性が改良されたSOFCセルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のSOFCセルにおける燃料極は、電子導電性が高いこと、電極触媒活性が高いこと、固体電解質との熱膨張係数が近いこと、還元雰囲気において化学的および熱力学的に安定であることが要求されていた。このため、燃料極としては、ニッケル(Ni)及び/又は酸化ニ
ッケル(NiO)と、希土類元素を固溶させたジルコニアが使われ、SOFCセルの出力性能を向
上させるために、固体電解質に接する側には、Ni及び/又はNiOとスカンジアを固溶させたジルコニア(ScSZ)からなる層が形成され、燃料ガス側にはNi及び/又はNiOとイットリアを固溶させたジルコニア(YSZ)からなる層を設けることが好ましいとされていた。(例えば、
特許文献1参照。)ここで示すNiOは、発電中はNiに還元される。
【0003】
SOFCの定置型システムでは、定常運転での発電性能、耐久性能のほかに、DSS運転や負荷変動に伴う昇降温繰り返しに対する耐久性能(耐サーマルサイクル性能)が良好であることが要求されている。さらに、非常時において、燃料極に空気が入り込むことが想定されるため、燃料極に対しては酸化・還元サイクルに対する耐久性能(耐レドックス性能)が良好であることが要望されている。
【0004】
しかし、特許文献1に示す燃料極の構成では、定常運転での発電性能に優れるが、昇降温
を繰り返し行うと、固体電解質と燃料極間および燃料極の層間の密着性が低下し、発電性
能が低下するという問題があった。また、酸化・還元が繰り返し行われると、同様の理由
で密着性が低下し、固体電解質と燃料極間または燃料極の層間で剥がれを生じることが課
題であった。
【0005】
一方、昇降温、特に酸化還元を伴うヒートサイクルによる剥がれを抑制するために、燃料
極として、Ni及び/又はNiOを含む材料に酸化チタンを含有させた原料を用いることが提案されている。(例えば、特許文献2参照。)しかし、同原料を用いた場合、Ti元素はNiに固溶されているため、Ti元素がNi粒子および希土類を固溶させたジルコニア粒子の粒界に存在しない。このため、Ti元素が持つバインダー効果が作用せず、耐サーマルサイクル性能を改善させるには至らなかった。
【特許文献1】特開2003-217597号公報(第5、7、11頁、第1表、第3図)
【特許文献2】特開2006-147334号公報(第1-15頁、第1-6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、固体電解質と燃料極間および燃料極の層間の密着性に優れ、耐サーマルサイクル性能および耐レドックス性能に優れるSOFCセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明のSOFCセルは、燃料極と空気極との間に固体電解質を備えた固体酸化物形燃料電池であって、前記燃料極はニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子と、希土類元素を固溶させたジルコニア粒子と、Ti元素を含む粒子を備え、前記Ti元素を含む粒子が少なくとも前記燃料極に含まれる粒子の粒界に存在することを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、Ti元素の含有量がTi元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2.5重量%である。
【0009】
本発明の好ましい態様においては、燃料極が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層とを備え、第一の燃料極層は、固体電解質と第二の燃料極層との間に介在している。
【0010】
本発明の好ましい態様においては、第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジル
コニアは、スカンジアを固溶させたジルコニアである。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジル
コニアは、イットリアを固溶させたジルコニアである。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、セルは空気極を支持体とする円筒型セルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、SOFCセルにおいて、燃料極がニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子と、希土類元素を固溶させたジルコニア粒子と、Ti元素を含み、Ti元素が少なくともニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子の粒界、および/または希土類元素を固溶させたジルコニア粒子の粒界に存在することによって、昇降温および酸化・還元の繰り返しに伴う固体電解質と燃料極層間および燃料極層内での密着性の低下を抑制することができる。
【0014】
Ti元素の含有量がTi元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2.5重量%とすることによって、さらに出力性能を向上させることができる。
【0015】
また、本発明におけるSOFCセルは、ヒートサイクル性能、レドックス性能に優れ、さらに高出力かつ耐久性に優れるので、本発明のSOFCセルを用いたモジュールは、高い信頼性を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明におけるSOFCセルについて、詳細に説明する。本発明のSOFCセルは、空気極と、固体電解質と、燃料極とを備え、燃料極はニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子と、希土類元素を固溶させたジルコニア粒子と、Ti元素を含んだ粒子を備え、Ti元素を含む粒子が少なくとも燃料極に含まれる粒子の粒界に存在することを特徴とする。さらに、Ti元素の含有量がTi元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2.5重量%であることを特徴としている。また、燃料極が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層とを備え、第一の燃料極層は固体電解質と第二の燃料極層との間に介在しているものに好適である。
【0017】
ここで示すTi元素を含む粒子が少なくとも燃料極に含まれる粒子の粒界に存在するとは、少なくともニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子の粒界、および/または希土類元素を固溶させたジルコニア粒子の粒界にTi元素を含む粒子が存在していることである。
【0018】
ここで示すTi元素の含有量がTi元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2.5重量%とは、燃料極のニッケル元素の酸化物(酸化ニッケル)換算量と、希土類元素を固溶させたジルコニアの合計量に対して、Ti元素の含有量がTi元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2.5重量%と定義される。
【0019】
図1は、円筒タイプのSOFCセル断面の概略を示したものである。円筒状の空気極支持体1上に固体電解質3、さらに固体電解質3の上にインターコネクター2と接触しないように燃料極4が構成されている。空気極支持体1とインターコネクター2の間には緻密質耐酸化セラミックス層5が備えられている。円筒型セルの内側に空気を流し、外側に燃料を流すと、空気中の酸素が空気極と固体電解質の界面で(3)式に示すように電子を受け取って酸素イオンに変わる。また、この酸素イオンが固体電解質を通って燃料極に達し、燃料ガス中の水素や一酸化炭素と酸素イオンが反応して水あるいは二酸化炭素と電子を生成する。これらの反応は(1)、(2)式で示される。
H2+O2-→H2O+2e- …(1)
CO+O2-→CO2+2e- …(2)
O2+4e-→2O2- …(3)
燃料極4とインターコネクター2を接続することによって外部へ電気を取り出すことが出来
る。
【0020】
図2は、固体電解質3と第一の燃料極層4aと第二の燃料極層4bが設けられた部分のSOFCセル断面の詳細を示している。第一の燃料極層4aおよび第二の燃料極層4bは、Ni粒子6と希土類元素を固溶させたジルコニア粒子7とTi元素を含む粒子8とからなる。Ti元素を含む粒子8は、Ni粒子6と希土類元素を固溶させたジルコニア粒子7の空隙に存在し、その一部はNi粒子6および/または希土類元素を固溶させたジルコニア粒子7の粒界にある。固体電解質3上に第一の燃料極層4aが設けられ、さらに第二の燃料極層4bが備えられ、各々の界面ではTi元素を含む粒子8が接している。
【0021】
Ti元素を含む粒子8には、バインダー効果があり、固体電解質3と第一の燃料極層4aおよび第一の燃料極層4aと第二の燃料極層4bを強固に結着させている。このため、昇降温の繰り返しを行っても密着性の低下や層間での剥がれを生じにくい。
【0022】
また、燃料極が酸化・還元サイクルに曝された場合、Niの酸化・還元に伴う体積変化が生
じるが、Ti元素を含む粒子8のバインダー効果によって、固体電解質3と第一の燃料極層4aおよび第一の燃料極層4aと第二の燃料極層4bの層間の密着性が保持された状態で変化が起こる。このため、固体電解質3と第一の燃料極層4aおよび第一の燃料極層4aと第二の燃料極層4bの層間の密着性が低下することなく、耐レドックス性にも優れている。
【0023】
また、Ti元素を含む粒子8は、第一の燃料極層4aおよび第二の燃料極層4bにおけるニッケル粒子または酸化ニッケル粒子と希土類元素を固溶させたジルコニア粒子の粒界に存在することが好ましい。これは、Ti元素のバインダー効果により、ニッケル粒子のシンタリングを抑制させることができるためである。
【0024】
本発明におけるSOFCセルにおいては、固体電解質と第一の燃料極層および第一の燃料極層と第二の燃料極層を強固に結着させていること、燃料ガス雰囲気下ではTi元素が電子導電性を示すので、層間の接触抵抗が低減され、出力性能が向上する。出力性能向上の観点からTi元素の含有量は、Ni元素の酸化物(NiO)換算量と希土類元素を固溶させたジルコニアの酸化物換算量の合計を100重量%とした場合に、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2.5重量%であることが好ましい。0.7重量%以上であると、固体電解質と第一の燃料極層および第一の燃料極層と第二の燃料極層の界面に十分なTi元素が存在するためで、一方、2.5重量%以下であると燃料極の電子導電性低下を抑制することができるためである。
【0025】
本発明においては、Ti元素が燃料極におけるNi粒子および/またはNiO粒子、および/または希土類元素を固溶させたジルコニア粒子の粒界に存在していることが特徴である。これを満たしていれば製造法に特に限定は無い。たとえば、NiOと希土類元素を固溶させたジルコニアのサーメット原料とTiO2粉末が含まれたスラリーを用いてディッピングを行い焼成する方法や、固体電解質の表面にTiO2粉末からなるスラリーでディッピングし、NiOと希土類元素を固溶させたジルコニアからなる原料からなるスラリーで第一の燃料極層を形成し、その上にTiO2粉末からなるスラリーでディッピングし、NiOと希土類元素を固溶させたジルコニアからなる原料からなるスラリーで第二の燃料極層を形成し、焼成する方法などが挙げられる。
【0026】
本発明の燃料電池の燃料極におけるTi元素の存在状態については、例えば以下の方法で分
析することができる。SOFCセル(図1)を図2の状態の面が見えるように切断し、その表面を機械研磨した後、イオンエッチング法でTEM用の試料を作製する。作製したTEM用の試料に対してTEM観察、EDX測定および元素マッピングを行う。TEM観察像の元素マッピングを行うと図2に示すようなTi元素を含む粒子8の存在状態を確認することができる。
表1にTEM条件の一例を示す。
【0027】
【表1】

【0028】
本発明では、第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が
固溶されていることが好ましい。この理由は、Ti元素が固溶されると希土類元素を固溶さ
せたジルコニアの焼結性が向上し、第一の燃料極層と固体電解質との密着性をより向上さ
せることができるためである。
【0029】
また、第一の燃料極層は、(1)または(2)式の反応を促進させるものであることがより好ま
しい。この観点から、希土類元素を固溶させたジルコニアにおけるTi元素の固溶量は、希
土類元素を固溶させたジルコニアの酸化物換算量を100重量%とした場合に、Ti元素の含
有量は、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量で2重量%以下が好ましい。この理由は、2重量%
以下であると希土類元素を固溶させたジルコニアの酸素イオン導電性の低下を抑制するこ
とができるためである。
【0030】
本発明における第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、希土類元
素としてスカンジウムを用いたScSZが好ましい。この理由は、ScSZは酸素イオン導電性が高いためである。また、ScSZはさらにイットリアおよび/またはセリアを含んだものであ
っても良い。
【0031】
スカンジアの固溶量としては、4〜12mol%が良く、より好ましくは8〜12mol%である。ま
たScSZにさらに、イットリアおよび/またはセリアを3mol%以下固溶させたものであって
も良い。
【0032】
第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が固溶されてい
ることが好ましい。この理由は、Ti元素が固溶されると希土類元素を固溶させたジルコニ
アの焼結性が向上し、第一の燃料極層との密着性がより強固になるためである。また、従
来よりも低温で焼結させることができるので、焼成後のSOFCセルの反りを抑制させることができるので好ましい。
【0033】
本発明における第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、YSZが好
ましい。この理由は、ScSZと比較して焼結性が高く、第一の燃料極層との密着性をより向
上させることができるためである。
【0034】
本発明における燃料極は、少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層の2層を備えたものが好ましく、第一の燃料極層が1層、第二の燃料極層が2層や第一の燃料極層が2層、第二の燃料極層が2層であっても良い。熱膨張係数の観点から、NiまたはNiOの重量比を傾斜させた構造が好ましい。例えば、第一の燃料極層におけるNiOとScSZの重量比(NiO/ScSZ)を電解質側からNiO/ScSZ=20/80、40/60とし、第二の燃料極層におけるNiOとYSZの重量比(NiO/YSZ)をNi/YSZ=50/50、70/30などとしても良い。
【0035】
本発明における固体電解質は、SOFCの発電温度で空気雰囲気および燃料ガス雰囲気において、酸素イオン導電率が高いこと、ガス機密性が高いこと、電子導電率が低いものであることが好ましい。この観点から、YSZやScSZが好ましい。また、ガス機密性が高く、 (1)、(2)、(3)式の反応を効率良く進めるという観点から、空気極側と燃料極側の固体電解
質にScSZ材料を設け、中央にYSZを備えた構成が好ましい。
【0036】
本発明のSOFCセルは円筒型であることが好ましい。この理由は、円筒型とすることでガスシール性に優れ、温度の昇降温に対する熱応力に強く、また機械的強度に優れているためである。ガスシール構造を簡素化し、発電システムとしての構造を簡略化できるという観点からは、片側を封止形状とした円筒型タイプがより好ましい。
【0037】
円筒型タイプの支持体としては、カルシア安定化ジルコニア等の支持機能のみを持たせた
タイプ、Srを固溶させたランタンマンガナイトなどの空気極と支持機能の2機能を合わせ
持つタイプ(空気極支持体型)、燃料極と支持機能の2機能を合わせ持つタイプ(燃料極
支持体型)がある。空気極支持体型では、燃料極は外周曲面上に形成されるため成膜が難
しく、一般に、平面に成膜される場合よりも電解質との密着性が低くなる。本発明の燃料
極は、Ti元素のバインダー効果により、剥がれを抑制できるため、特に空気極支持体型の
円筒型燃料電池セルの燃料極として好適である。
【0038】
Ti元素を含む粒子8のバインダー効果に伴い、耐レドックス性能が向上することから、燃
料極と支持機能の2機能を合わせ持つタイプの燃料極支持体にも適用可能である。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
図1〜3に、本実施例で用いた円筒型SOFCセルの概略を示す。円筒状の空気極支持体1上に帯状の緻密質耐酸化セラミックス層5と該表面に形成されたインターコネクター2、固体電解質3、さらに固体電解質3の上にインターコネクターと接触しないように燃料極4が設けられている。また、図3に示すように空気極支持体1と固体電解質3の間に空気側電極反応層9が構成され、燃料極4は、図2および図3に示すように固体電解質側から第一の燃料極層4aと第二の燃料極層4bを備えている。
【0040】
(1)空気極支持体の作製
空気極には、La0.75Sr0.25MnO3組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトを用いた。原料粉末は共沈法により作製した。熱処理後の原料粉末の平均粒子径は30μmであった。原料粉末を押し出し成形法によって成形し、円筒状空気極成形体を作製した。
【0041】
平均粒子径とは、島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置SALD-2000を用いて測定して得られるメディアン径(50%径)の値である。
【0042】
(2)緻密質耐酸化セラミックス層の作製
緻密質耐酸化セラミックス層には、空気極と同じくLa0.75Sr0.25MnO3組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトを用いた。原料粉末の平均粒子径は2μmとした。該粉
末40重量%、溶媒(エタノール)100重量%、バインダー(エチルセルロース)2重量%、
分散剤1重量%、消泡剤1重量%とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。前記スラリーをスラリーコート法により空気極成形体上に成膜し、空気極成形体と共に1500℃で焼成した。焼成後の空気極支持体の外径は15mm、厚みは2mmであり、緻密質耐酸化セラミックス層の厚みは50μmであった。
【0043】
(3)空気側電極反応層の作製
空気側電極反応層には、La0.75Sr0.25MnO3と90mol%ZrO2-10mol%Sc2O3とからなる材料を用いた。La0.75Sr0.25MnO3と90mol%ZrO2-10mol%Sc2O3の重量比率は、La0.75Sr0.25MnO3/90mol%ZrO2-10mol%Sc2O3=50/50とした。
La,Sr,Mn,ZrおよびScの各々の硝酸塩水溶液を、前記組成になるように混合した後、シュ
ウ酸水溶液を加え沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥させ、原料粉末を得た。
熱処理後の原料粉末の平均粒子径は2μmであった。該原料粉末40重量%と溶媒(エタノー
ル)100重量%、バインダー(エチルセルロース)2重量%、分散剤1重量%、消泡剤1重量%とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気極支持体(外径15mm、肉厚2mm、有効長500mm)上にスラリーコート法で成膜し、1350℃で焼成した。焼成後の空気側電極反応層の厚さは20μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
【0044】
(4)固体電解質の作製
電解質材料には、89mol%ZrO2-8mol%Sc2O3-3mol%Y2O3を用いた。ZrO2 を100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈し、ジルコニウムの硝酸塩水溶液を得た。Sc2O3およびY2O3ついても同様の方法で硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように混合し、シュウ酸水溶液を加え、沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解、さらに800℃で10時間熱処理をして原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。該原料粉末40重量%を溶媒(エタノール)100重量%、バインダー(エチルセルロース)2重量%、分散剤1重量%、消泡剤1重量%とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気側電極反応層上に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼成した。焼成後の電解質の厚さは30μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
【0045】
(5)インターコネクターの作製
(5-1) Caを固溶させたランタンクロマイト(LCC)原料粉末の作製
LCCの組成はLa0.80Ca0.20CrO3とした。LCC原料粉末は噴霧熱分解法により作製した。熱処理後の原料粉末の平均粒子径は1μmであった。
(5-2) インターコネクターの成膜
LCC原料粉末を40重量%、溶媒(エタノール)100重量%、バインダー(エチルセルロース)
2重量%、分散剤1重量%、消泡剤1重量%とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。スラリーコート法によりインターコネクターを成膜し、1400℃で焼成した。焼成後のインターコネクターの厚さは20μmであった。
【0046】
(6)第一の燃料極層の作製
(6-1) NiO/ScSZ原料の作製
NiOとScSZの重量比率はNiO/ScSZ=30/70とした。ScSZの組成を89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3とした。Ni,Zr,ScおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように混合し、シュウ酸水溶液を加え沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥させ、さらに熱処理を施し、NiO/89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3=30/70原料粉末を得た。
(6-2)第一の燃料極層の成膜
NiO/89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3=30/70原料粉末(平均粒子径0.5μm)100重量%、TiO2粉末(平均粒径0.5μm)2重量%、溶媒(エタノール)500重量%、バインダー(エチルセルロース)10重量%、分散剤5重量%、消泡剤1重量%、可塑剤5重量%を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は70mPasであった。.第一の燃料極層の面積が180cm2になるようにセルへマスキングをし、スラリーコート法により固体電解質上へ成膜した。このとき、インターコネクター部分にはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしている。
焼成後の第一の燃料極層の厚さは15μmであった。
【0047】
(7) 第二の燃料極層の作製
(7-1) NiO/YSZ原料粉末の作製
NiO/YSZ原料粉末の作製法は実施例1と同様とし、NiOと90mol%ZrO2-10mol%Y2O3との重量比率は、NiO/90mol%ZrO2-10mol%Y2O3=50/50および70/30とした。Ni,ZrおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように混合し、シュウ酸水溶液を加え沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥させ、さらに熱処理を施し、NiO/90mol%ZrO2-10mol%Y2O3原料粉末(平均粒子径3μm)を得た。
(7-2)第二の燃料極層の成膜
該原料粉末100重量%、TiO2粉末(平均粒子径0.5μm)2重量%、溶媒(エタノール)500重量%、バインダー(エチルセルロース)20重量%、分散剤5重量%、消泡剤1重量%、可塑剤5重量%を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。NiO/90mol%ZrO2-10mol%Y2O3=50/50および70/30組成のスラリー粘度は100mPasであった。第一の燃料極層上にNiO/YSZ=50/50層をスラリーコート法で成膜し、さらにNiO/YSZ=70/30層をNiO/YSZ=50/50層の表面にスラリーコート法により成膜し、第一の燃料極層と併せて1400℃で共焼成した。焼成後の第一の燃料極層の厚さは15μm、第二の燃料極層におけるNiO/YSZ=50/50層の厚さは20μm、NiO/YSZ=70/30層の厚さは70μmであった。
【0048】
(実施例2)
第一の燃料極層をNiO/ScSZ=40/60とし、ScSZ組成を89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3とした原料粉末100重量%、TiO2粉末(平均粒径0.5μm)2重量%としたこと以外は実施例1と同様にした。
【0049】
(実施例3)
第一の燃料極層をNiO/YSZ=30/70とし、YSZ組成を90mol%ZrO2-10mol%Y2O3とした原料粉末100重量%、TiO2粉末(平均粒径0.5μm)1重量%としたこと以外は実施例1と同様にした。
【0050】
(比較例1)
第一の燃料極層および第二の燃料極層にTiO2粉末を加えないこと以外は、実施例1と同様
とした。
【0051】
(比較例2)
(第一の燃料層の原料合成)
第一の燃料極層は、酸化ニッケル粉末(平均粒子径1μm)100重量%に対して、TiO2(平均粒子径0.5μm)とScSZとして89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3粉末とがそれぞれ、2重量%、233重量%となるように秤量した。次いで、酸化ニッケル粉末とTiO2粉末とをボールミルにて30分混合し、さらに89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3粉末を添加して24時間混合した後、乾燥、熱処理を施した。平均粒子径が0.5μmであった。
(第一の燃料極層の成膜)
前記NiO/89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3=30/70原料粉末(平均粒子径0.5μm)100重量%、溶媒(エタノール)500重量%、バインダー(エチルセルロース)10重量%、分散剤5重量%、消泡剤1重量%、可塑剤5重量%を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は70mPasであった。.第一の燃料極層の面積が180cm2になるようにセルへマスキングをし、スラリーコート法により固体電解質上へ成膜した。このとき、インターコネクター部分にはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしている。焼成後の第一の燃料極層の厚さは15μmであった。
(第二の燃料極層におけるNiO/YSZ=50/50用原料合成)
酸化ニッケル粉末(平均粒径1μm)100重量%に対して、TiO2(平均粒子径0.5μm)とYSZとして90mol%ZrO2-10mol%Y2O3粉末とがそれぞれ、1.3重量%、100重量%となるように秤量した。次いで、酸化ニッケル粉末とTiO2粉末とをボールミルにて30分混合し、さらに90mol%ZrO2-10mol%Y2O3粉末を添加して24時間混合した後、乾燥、熱処理を施した。平均粒子径が1μmであった。
(第二の燃料極層におけるNiO/YSZ=70/30用原料合成)
酸化ニッケル粉末(平均粒径1μm)100重量%に対して、TiO2(平均粒子径0.5μm)とYSZとして90mol%ZrO2-10mol%Y2O3粉末とがそれぞれ、1重量%、43重量%となるように秤量した。次いで、酸化ニッケル粉末とTiO2粉末とをボールミルにて30分混合し、さらに90mol%ZrO2-10mol%Y2O3粉末を添加して24時間混合した後、乾燥、熱処理を施した。平均粒子径が3μmであった。
(第二の燃料極層の成膜)
前記原料粉末100重量%、溶媒(エタノール)500重量%、バインダー(エチルセルロース)20重量%、分散剤5重量%、消泡剤1重量%、可塑剤5重量%を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。NiO/90mol%ZrO2-10mol%Y2O3=50/50および70/30組成のスラリー粘度は100mPasであった。第一の燃料極層上にNiO/YSZ=50/50層をスラリーコート法で成膜し、さらにNiO/YSZ=70/30層をNiO/YSZ=50/50層の表面にスラリーコート法により成膜し、第一の燃料極層と併せて1400℃で共焼成した。焼成後の第一の燃料極層の厚さは15μm、第二の燃料極層におけるNiO/YSZ=50/50層の厚さは20μm、NiO/YSZ=70/30層の厚さは70μmであったこと以外は実施例1と同様にした。
【0052】
(サーマルサイクル試験1)
実施例1〜3、比較例1、2の方法で作製したセルを用いて発電試験を行った。室温から900℃まで昇温した後、表2に示す条件で発電評価を実施した。続いて、900℃から600℃まで300℃/hrでの昇降温を25回繰り返した後(図4)、再び表2に示す条件で発電評価を実施した。同様にサーマルサイクル試験を行い、その後発電評価する工程を合計4回実施した。なお、サーマルサイクル試験条件を表3に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
図5にサーマルサイクル回数とセル電位を示す。実施例1〜3は初期性能において比較例1、2よりも高い電位を呈した。さらに、サーマルサイクル100回後の電位低下が3-5mV程度でほとんど認められていないのに対して、比較例1および比較例2では30mV以上の電位低下が確認された。以上の結果から、実施例1〜3の燃料極を採用することで、サーマルサイクル性能に優れることを確認することができた。定置型SOFCシステムでは、DSS運転すなわち夜間600℃程度で保持し、昼間900℃程度で発電することが予想される。本試験の結果から、本発明のSOFCセルは、DSS運転において優れることを確認することができた。
【0056】
(原料評価)
本発明における比較例2ではTiO2を混合したにも関わらず効果が認められなかった。その原因を確認するために、原料評価を行った。ここでは、実施例1、比較例1および比較例2の方法で作製したNiO/YSZ=70/30の燃料極原料を用いて、プレス焼成体を作製し、XRD測定を実施した。
【0057】
実施例1、比較例1および比較例2のおけるNiO/YSZ=70/30の燃料極原料100重量%にバインダーPVA5重量%添加し、プレス成形し、1400℃で焼成を行い、プレス焼成体を作製した。
【0058】
プレス焼成体をXRDで測定した。XRDの測定条件を表に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
図6は、実施例1、比較例1および比較例2で作製したプレス焼成体のXRD測定結果を示し、図7はNiOの最強ピークを拡大したものである。実施例1と比較例1においてはNiOのピークは一致しているが、比較例2においては同ピークが低角度側にシフトしていることが確認された。これは、NiOにTiO2が固溶されたためと推察された。この結果から比較例2の燃料極におけるTiO2はNiOに固溶されており、NiOおよびYSZ粒子の粒界に存在しないために効果が得られなかったものと考えられた。
【0061】
(サーマルサイクル試験2)
実施例1、比較例1の方法で作製したセルを用いて発電試験を行った。室温から900℃まで
昇温した後、表2に示す条件で発電評価を実施した。続いて、表5に示すように900℃から600℃まで300℃/hrで、0.05Acm-2の負荷をかけた状態で昇降温を25回繰り返した後、再び表2に示す条件で発電評価を実施した。同様にサーマルサイクル試験を行い、その後発電評価する工程を合計3回実施した。
【0062】
【表5】

【0063】
図8に、0.05Acm-2の負荷をかけた状態でサーマルサイクル回数とセル電位を示す。実施例1では初期が0.77Vであったが、サーマルサイクルを繰り返し実施しても電位低下がほとんど認められず、75回後においても0.765V程度であった。一方、比較例1は初期が0.73V程であったが、サーマルサイクル試験によって、電位低下が認められ、75回後においては0.68Vまで低下した。 以上の結果から、実施例1の燃料極を採用することで、負荷をかけた急速昇降温状態で耐久性に優れることが確認された。定置型SOFCシステムでは、定格に対して1/4〜1/5程度の部分負荷で運転されることもあり、この場合に作動温度が600℃程度まで下がることが想定される。本試験の結果から、本発明のSOFCセルは、部分負荷運転においても優れていることを確認することができた。
【0064】
(レドックス性能について)
実施例1および比較例1の条件で作製したセルについて、表6に示す条件で1日保持した後、燃料であるH2+3%H2Oを3時間止めた。その後、再度H2+3%H2Oを入れ、1時間保持した後、表7に示す条件で発電評価を行った。本試験を2回繰り返し実施した。
【0065】
【表6】

【0066】
【表7】

【0067】
表8に実施例1および比較例1における電位の変化を示す。実施例1では、1回の試験で0.01Vずつ電位が低下することが確認された。一方、比較例1では、1回目で0.03V低下し、2回目では0.2Acm-2まで測定することができなかった。試験後の外観を確認したところ、比較例1においては、第一の燃料極層と第二の燃料極層間で剥がれを生じていることが確認された。本試験では950℃で保持したが、実際の非常停止時で燃料が止まった場合、温度が下がることが予想され、本試験は、実試験よりも過酷な条件での試験であった。にもかかわらず、実施例1では電位低下が小さく、本発明におけるSOFCセルは、レドックス性能に優れていることを確認することができた。
【0068】
【表8】

【0069】
(実施例4)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を1重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0070】
(高温耐久性能について)
実施例4、比較例1で作製したSOFCセルについて、耐久試験を実施した。耐久条件は以下のとおりであり、SOFCセルの運転条件としては過酷な条件での耐久試験を実施した。
〔1〕燃料:59%H2+15%CO2+26%CH4(S/C=2.5)
〔2〕酸化剤:Air
〔3〕発電温度:950℃
〔4〕電流密度:0.2Acm-2
〔5〕燃料利用率:85%
〔6〕発電時間:1000時間程度
【0071】
図9に実施例4、比較例1で作製したSOFCセルにおける耐久試験の結果を示す。比較例1においては、運転開始から電位低下が認められ、1000時間あたりの電位低下率は6%で推移した。一方、実施例4においては電位の低下はほとんど認められず、1000時間あたりの電位低下率は0.2%であった。以上の結果から、実施例4タイプのSOFCセルを採用することで、950℃程度の高温でかつかつ燃料利用率85%の高燃料利用率(燃料が薄い雰囲気)において、耐久性に優れることが確認された。耐久性が向上したのは、固体電解質および第一の燃料極層および第一の燃料極および第二の燃料極層の界面に存在するTi元素のバインダー効果により、Niのシンタリングを抑制したためと考えられた。
【0072】
(TiO2量について)
(実施例5)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を0.3重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0073】
(実施例6)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を0.5重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0074】
(実施例7)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を0.6重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0075】
(実施例8)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を0.7重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0076】
(実施例9)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を0.8重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0077】
(実施例10)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を1.5重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0078】
(実施例11)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を2.5重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0079】
(実施例12)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を2.7重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0080】
(実施例13)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を3重量%ずつ加えたこと以外は実施例1と同様にした。
【0081】
(発電性能について)
実施例1、4〜13、比較例1、比較例2で作製したSOFCセルについて、発電試験を実施した。発電条件は以下のとおりである。
〔1〕燃料:H2+3%H2O
〔2〕酸化剤:Air
〔3〕発電温度:900℃
〔4〕電流密度:0.2Acm-2
〔5〕燃料利用率:75%
【0082】
図10にTiO2量とセル電位の関係を示す。実施例1、4〜13を線で結び、比較例1を○、比較例2を×で表示した。実施例について比較すると、実施例5〜7におけるTiO2量が0.3から0.6重量%まではほぼ同程度の電位であるが、実施例8であるTiO2量が0.7重量%以上になると急激に電位が向上することが確認された。TiO2量が2.7重量%である実施例12まで加えるとセル電位が低下する傾向が認められ、実施例13、14であるTiO2を3重量%、3.2重量%まで添加すると、セル電位が向上する効果がほとんど認められなくなった。この結果から、SOFCセルの出力性能向上の観点からTiO2量が0.7〜2.5重量%の範囲がより好ましいことが確認された。
【0083】
一方、TiO2を添加していない比較例1は実施例1、4〜13のいずれのセル電位よりも低く、Ti元素が粒界に無い比較例2においては、比較例1とほぼ同じ電位を示し、出力性能向上の効果が無く、TiO2の添加量が同一の実施例と比較しても出力性能が劣ることが確認された。このことから、出力性能向上の観点からもTi元素が少なくとも前記ニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子の粒界および/または希土類元素を固溶させたジルコニア粒子の粒界に存在している方が好ましいことを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】円筒タイプのSOFCセルの断面を示す図である。
【図2】図1に示すSOFCセルの固体電解質および燃料極構成について詳細に示し た断面図である。
【図3】図1に示すSOFCセル構成について詳細に示した断面図である。
【図4】サーマルサイクル試験条件を示した図である。
【図5】実施例1および比較例1の条件で作製したSOFCセルの無負荷でのサーマルサイクルの回数とセル電位の関係を示した図である。
【図6】実施例1、比較例1および比較例2の条件で作製した第二の燃料極層におけるNiO/YSZ=70/30原料をプレス焼成したもののXRDを示す図である。
【図7】図6について、NiOの最強ピークの詳細を示す図である。
【図8】実施例1および比較例1の条件で作製したSOFCセルの0.05Acm-2の負荷でのサーマルサイクルの回数とセル電位の関係を示した図である。
【図9】実施例4および比較例1の条件で作製したSOFCセルの発電時間とセル電位の関係を示した図である。
【図10】第一の燃料極層および第二の燃料極層のTiO2量とセル電位の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0085】
1…空気極支持体
2…インターコネクター
3…固体電解質
4…燃料極
4a…第一の燃料極層
4b…第二の燃料極層
5…緻密質耐酸化セラミックス層
6…Ni粒子
7…希土類元素を固溶させたジルコニア粒子
8…Ti元素を含む粒子
9…空気側電極反応層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極と空気極との間に固体電解質を備えた固体酸化物形燃料電池であって、前記燃料極はニッケル粒子および/または酸化ニッケル粒子と、希土類元素を固溶させたジルコニア粒子と、Ti元素を含む粒子を備え、前記Ti元素を含む粒子が少なくとも前記燃料極に含まれる粒子の粒界に存在することを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項2】
前記Ti元素の含有量がTi元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2.5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項3】
前記燃料極が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層とを備え、前記第一の燃料極層は、前記固体電解質と前記第二の燃料極層との間に介在することを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項4】
前記第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、スカンジアを固溶させたジルコニアであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項5】
前記第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、イットリアを固溶させたジルコニアであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
【請求項6】
前記固体酸化物形燃料電池が空気極を支持体とする円筒型セルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−98156(P2008−98156A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235348(P2007−235348)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】