説明

固体酸化物燃料電池の表面分析のためのシステム及び方法

【課題】固体酸化物燃料電池(SOFC)表面の分析用のシステム及び方法を提供する。
【解決手段】固体酸化物燃料電池(SOFC)表面分析システムは、セラミック表面を有するSOFCを分析試料として、セラミック表面に隣接し且つセラミック表面に関連するデータを収集するスキャナ、スキャナに対してSOFCを保持する構造体、セラミック表面のデータを収集し処理するデバイス、及び、デバイス上に常駐し且つセラミック表面のデータを分析し提示するプロセスから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示事項は、全体的に固体酸化物燃料電池(SOFC)に関し、より詳細には、SOFC表面分析のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック膜を用いるSOFCは、エネルギー交換デバイスとして用いられる。一般に、電池は、焼結又は堆積法によって作製された多層構造体である。電池の表面は、電流収集用、更に封止用の境界面である。SOFCの平面性及び平滑性は、接触及び封止についての重要なパラメータである。電池平面性の課題は、燃料電池性能及び完全性を改良する方法に関連している。現在の方法は、典型的にはセラミック皮膜の密度及び品質を評価することによって、電池の平面性の問題に対処することを試みているが、セラミック表面の漏れ問題には対処していない。代わりに、現在の方法は、亀裂、空隙、及び多孔性の組み合わせ効果に起因する透過率の測定を行う。他の方法は、セラミック皮膜の表面品質を検査するために用いられているが、依然として他の方法は、皮膜の全体の透過率を測定するのに用いられる。しかしながらいずれの方法も、透過率に影響を与える要因について詳細を明らかにし、同時に被膜の選択領域の定量的な透過率測定を与えることはない。加えて、SOFC(並びにタービン燃焼器及び翼形部の保護及び断熱皮膜のような他の応用)におけるセラミック皮膜は現在、微小亀裂、泥亀裂、封止欠陥、空隙、及び多孔性などの漏出の種々の原因を見分けることなく、皮膜透過率の概算を提供するガス漏れ試験で検査されている。
【0003】
従って、SOFC表面分析のためのシステム及び方法に対する持続的な必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示されるのは、セラミック表面を有するSOFC、セラミック表面に隣接し且つセラミック表面に関連するデータを収集するスキャナ、スキャナに対してSOFCを保持する構造体、セラミック表面のデータを収集し処理するデバイス、及び、デバイス上に常駐し且つセラミック表面のデータを分析し提示するプロセスを含む、固体酸化物燃料電池(SOFC)表面分析システムである。
【0005】
追加の実施形態は、分析用のSOFCの表面を識別する段階と、表面上に測定波を生成する段階と、表面からの反射波からデータを受け取る段階と、データを処理して表面不規則性及び欠陥を求める段階と、表面不規則性及び欠陥のグラフィカル表示を生成する段階とを含む、固体酸化物燃料電池(SOFC)表面分析法を含む。
【0006】
本明細書で更に開示されるのは、SOFCのセラミック表面上の不規則性及び欠陥を求めるためのシステムであって、システムが、SOFCを保持し、SOFC上を照らす測定波を生成し、SOFCから照射波を生成し、SOFCセラミック表面から放射データを収集し、放射データを処理してセラミック表面の表面不規則性及び欠陥の判定を行う能力を含む。
【0007】
本発明の開示事項及びその実施形態は、同様の要素に同様の符号が付与されている以下の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書に記載した例示的なシステム及び方法は、SOFC欠陥、バンプ、その他の表面分析を提供する。第1の例示的な実施形態では、ウェーブレット変換を実装する多重解像度薄膜表面分析用のシステム及び方法が提供される。第2の例示的な実施形態では、染色浸透剤を用いた検査及び透過率測定用のシステム及び方法が提供される。
【0009】
多重解像度薄膜表面分析
例示的な実施形態は、QC及び製造用の入力を提供する表面の平面性及び平滑性を特徴付けるために、固体酸化物セラミック電池の表面分析用のシステム及び方法を含む。表面データ収集システム及び方法が、電池表面データを連続モードで自動的に入手し、機械知能(ウェーブレット変換)ソフトウェアがデータを分析し、ソフトウェアが品質管理について警報する。他の例示的な実施形態では、赤外線走査/写真、MRI、その他を実装することができる。加えて、フーリエ変換及び窓フーリエ変換などの様々なデータ分析アルゴリズムを実装することができる。従って、セラミック表面、基底関数、メッシュ生成、及びウェーブレット変換に用いるパラメータの連続的3−D測定方法を実装して、SOFCセラミック表面を分析することができる。
【0010】
図1は、表面分析装置100の例示的な実施形態を示す。装置100は、測定用にサンプル110が配置されるコンベヤベルト105を含む。個々のドットポイント111は、サンプル110の不規則性の測定の代表的なものである。測定デバイス(一般に、測定波発生器及び後方散乱波を受け取るためのスキャナの両方を有する)115は、コンベヤベルト105及びサンプル110の上の位置に配置される。測定エリア117は、サンプル110が測定される測定デバイス115の走査エリアに関連付けられている。一般に、コンベヤベルトは、矢印Aによって示すような方向に変位することができる。測定デバイス115は、矢印B、Cによって示すような方向に沿って移動することができる。一般に、測定デバイス115の移動B、Cの方向は、コンベヤベルト105の移動Aに対し直角である。システム100は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、PDA、その他とすることができるコンピュータ及びデータ取得デバイス120を更に含むことができる。コンピュータ及びデータ取得デバイス120は更に、データ並びに分析アプリケーション130などのアプリケーションの収集及び記憶用の記憶媒体125に結合することができる。コンピュータ及びデータ取得デバイス120は、分析データの提示及び表示用のグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を更に含むことができる。
【0011】
図2は、例示的な表面分析法200のフローチャートを示す。例示的な実施形態によれば、方法200は一般に、2つの部分を含み、第1の部分は、表面測定の方法であり、第2の部分は、表面データ分析の方法である。第1の部分では、段階205で、コンベヤベルト105が、サンプル110(例えば、セラミック電池)を測定デバイス115の測定エリア117を通って移動させる。測定デバイス115(例えば、センサ、スキャナ、波プロジェクタ、その他)は、サンプル110の移動に対し垂直に(直角に)移動する。段階210で、測定デバイス115は測定波を生成した。測定波は、超音波又はレーザ、或いは他の反射波、及びX線とすることができる。他の例示的な実施形態及び実装では、測定波は他の波長及び周波数とすることができることは理解される。段階215で、測定データが収集される。測定デバイス115上のセンサは、段階220で反射を受け取り、距離、厚さ及び他のパラメータを表す信号をコンピュータ及びデータ取得デバイス120に送る。別の例示的な実装では、測定デバイスは、段階215でサンプル110の写真を撮ることができる高解像度カメラとすることができる。写真は、単一ショット又は多重解像度を有する多重ショットとすることができる。
【0012】
方法200の第2の部分では、段階220で収集した表面上の振動を測定するゲージが段階225で処理される。サンプル110の表面上の振動は不規則であり、典型的には非周期的である。データ分析段階225は、機械知能が利用可能であるように、不規則振動を既知の時間期間及び位置で複合ウェーブレット(小さな波)に分解する。この多重ウェーブレット分解はゲージであり、波に対する表面上の振動の相似性を測定する。品質管理の前に、段階230で基準が設定される。一般に、基準は、様々な電池表面特徴を有する電池試験結果からのものである。特徴は、限定ではないが、波の大きさと波振幅との間の比率、並びに波の強度及び分布(位置)を含む。例示的な実装では、良好な性能の電池は、2つの基準に対する公差を設定する。段階235で前の走査及びサンプルから収集されている履歴データは、段階240で現在の収集データと比較される。統計的観点から、新しいセラミック表面を以前の試験から取られた履歴データと比較する。段階245で、サンプルの性能が求められる。サンプル110からの新しい表面データが良好な範囲に収まらない場合、電池は、低性能を有する可能性が高い。新しい表面データが公差内にある場合、電池はQCに合格する。
【0013】
上記段階225で、データが処理される。図3は、例示的なデータ処理法300を示す。一般に、段階305で、収集した振動データは、多重波すなわちウェーブレットに分解される。段階310で、個々のウェーブレットが識別され分離される。段階315で、限定ではないが、ウェーブレットの周波数及び波長、並びに振幅を含むウェーブレットの特徴が識別され、分類される。一般に、より高解像度のウェーブレットが保持され、段階320でサンプルの不規則性を求めるようにする。例示的な実装では、この判定のためにより高周波数のウェーブレットが保持される。段階325では、方法300は、元の表面の投影を生成する。より高解像度のウェーブレットを用いたこれらの投影から、方法300は、段階330でサンプル110の表面不規則性を求める。
【実施例1】
【0014】
上記で検討したように、本方法200は、ウェーブレットを用いてデータ分析を可能にする。サンプルは、Acuゲージレーザスキャナを用いて走査される。図4は、元のデータのエッジエリアの例示的な3Dレンディション400を示す。図示のように、表面は曲線であり、表面上にバンプを有する。一般に、サンプルの表面上の波は規則的ではない。この波は、様々な波長及び振幅を有する小さな波の複合である。方法200、300を実装することによって、バンプ表面は、上記で検討したように、多重解像度レベルの多くの波の組み合わせに分解される。使用される波の周波数が高いほど、得られる解像度がより微細になる。元のデータは、様々な波長を有する多くのウェーブレットによって分解することができる。図5a及び5bは、2つの異なるウェーブレットによる元の表面の投影500、550を示す。図5aは、波長pρ=1mm(すなわち、ρ方向の波長)及びpθ=2.0ラジアン(すなわち、θ方向の波長)を有するウェーブレットの投影500を示す。投影500は、元のデータのより大きな曲線に適合するより大きなウェーブレットを示す。図5bは、波長pρ=4mm及びpθ=0.5ラジアンを有するウェーブレットの投影550を示す。より小さなウェーブレットの投影550は、投影500よりも良好に元のデータのバンプに適合する。ウェーブレットの波長は予め定められるので、波長は、これが適合するバンプのサイズを表す。
【0015】
図6a及び6bは、2つの異なるウェーブレットによる元の表面の投影600、650を示す。図6aは、波長pρ=1mm及びpθ=2.0ラジアンを有するウェーブレットの投影600を示す。図6bは、波長pρ=4mm及びpθ=0.5ラジアンを有するウェーブレットの投影650を示す。投影600、650は、ウェーブレットの2D表現である。有限サポートでは、関数は、バンプをサンプルの表面上に配置するのを助ける。より小さなウェーブレットは、より高い周波数特徴を捕えることができる。
【実施例2】
【0016】
本実施例は、セラミック電池サンプル表面がX線によって撮影されているX線写真を用いて電池障害検出分析を示す。図7は、例示的な実施形態によるSOFC電池の断面の元のX線写真700を示す。濃いマークは、不均質粒子又は欠陥と推定される。例示的な実施形態によるウェーブレット変換は、欠陥の境界、サイズ、位置、その他を識別するために実装される。ウェーブレットは、64ユニットの波長を有する。
【0017】
図8は、例示的な実施形態による図7の写真のウェーブレット変換800を示す。図8は、変換が写真700に密接に一致する変換結果の表示を示す。
【0018】
染色浸透剤を用いた検査及び透過率測定
例示的な実施形態は更に、種々のアプリケーションの表面欠陥の外観検査に用いられる、蛍光染料検査を実装するシステム及び方法を含み、セラミック皮膜の透過率を定量的に測定し、同時にサイズ、位置、及び配向を示す皮膜欠陥の視覚映像を提供する。例示的な実施形態によれば、本システム及び方法は、染料によって放出される光の強度を記録することによって皮膜を通じて漏出する染料の量を監視し、皮膜の透過率を測定するために拡散的に熱の過渡IR測定に用いるものと同様の方法を用いる。
【0019】
漏れ試験構成における染色浸透剤(又は他の流体)の付加は、透過率の定量的測定並びに透過率に影響を及ぼす溝状の厚さ欠陥(亀裂、多孔性、及び空隙など)の視覚映像を得るために実施される。漏れ試験における蛍光染料の実装は、皮膜透過率に影響を与える要因のサイズ、形状、及び位置についての詳細情報を提供し、これらを見分ける手段として役立つセラミック皮膜欠陥の視覚映像を提供する。更に、システム及び方法の例示的な実施形態は、皮膜内の選択領域の透過率を測定するために、染料放射光強度プロファイルから特徴を抽出する。従って、本システム及び方法は、多孔性(特定の領域だけで測定する選択肢を有する)に起因して燃料電池のセラミック皮膜の透過率を定量的に測定し、これを皮膜内の亀裂及び空隙などの透過率に寄与する他の要因から分離することができる。
【0020】
皮膜の視覚映像(燃料電池を通る皮膜表面への蛍光染料の漏出)を得ることができると、種々の欠陥を見分けることが可能になると同時に、被膜の透過率の定量的な測定が提供される。従って、本システム及び方法は、同様の検査の必要性がある燃料電池又は製品の製造中の検査用に実装することができる。例えば、当該製品は、耐衝撃性及び耐食性の向上のためにタービンで用いる保護皮膜及び断熱皮膜のような、亀裂を生じるセラミック皮膜又は透過率層を有する。
【0021】
図9は、例示的な染色浸透剤システム900を示す。システム900は一般に、燃料入口/出口906及びセラミック皮膜907を有するSOFCとすることができるサンプル905を含む。SOFCサンプル905は、内部波形シート908及びフィルタ909を更に含むことができる。サンプル905は、燃料入口/出口906を介して染色浸透剤供給源910と連通している。従って、染色浸透剤供給源910は、必要に応じて染料をサンプル905に供給することができる。システム900は更に、例示的な実施形態によるデジタルカメラとすることができるスキャナ915を含む。スキャナ915は更に、全体的に染料色を表す特定波長帯域の取り込みを可能にするフィルタ916を含むことができる。システム900は更に、染料透過率セラミック表面907に向けられたUV光925を提供するための紫外線(UV)光源920、及びスキャナ915によって収集される発光930を含む(以下の説明で詳細に検討する)。システム900は一般に、UV光925の適切な生成及び発光930の記録が、環境発生源によって影響されないように、サンプル905の一部(すなわち、セラミック皮膜907)、スキャナ915及びUV光源920が配置される光遮蔽ボックス935を更に含む。セラミック表面907は、光遮蔽ボックス935の上面の裂溝940を介して光遮蔽ボックス935内に配置することができる。
【0022】
システム900は更に、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、PDA、その他とすることができるコンピュータ及びデータ取得デバイス945を含む。コンピュータ及びデータ取得デバイス945は、発光データを取得すると同時にデータを処理するために用いことができる。コンピュータ及びデータ取得デバイス945は更に、データの収集及び記憶用の記憶媒体950並びに分析アプリケーション955のようなアプリケーションに結合することができる。コンピュータ及びデータ取得デバイス945は更に、分析データの提示及び表示用のグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を含むことができる。分析アプリケーションを用いて、データを取得し、画像を処理し、透過率の定量的測定の計算を実施することができる。
【0023】
上記で検討したように、染色浸透剤を用いて、欠陥の外観検査を得ることができ、同時に多孔性に起因する透過率の定量的測定は固有のものである。データ処理及び数学的計算は、染料強度対時間のプロファイルから試験されることになるサンプルの有効透過率を測定するために実装される。他の例示的な実施形態及び実装では、SOFCに加えて、限定ではないが、タービン燃焼器及び翼形部などの保護及び断熱皮膜を含む他のデバイスを分析することができる点は理解される。
【0024】
図10は、例示的な表面分析法1000のフローチャートを示す。サンプル905が、光遮蔽ボックス905に適切に付加され、染色浸透剤供給源910に結合されると、UV光源920は、段階1005でUV光925をサンプル905上に生成する。UV光925がサンプル905に衝突すると、サンプルの表面907上の染料が可視光930を放射し、可視光は、段階1010で、スキャナ915(例えば、染料の波長近傍に光学フィルタ916を有するデジタルモノクロカメラ)によって記録される。1つの例示的な実施では、染料及びフィルタ916は緑色とすることができ、放射光930も緑色波長域にあるようにする。次いで染料は、段階1015で、燃料入口/出口906を介してサンプルに挿入される。段階1020で、サンプル905を通って中に染料が漏出できるように十分な時間期間を経過させる。次いで、UV光は段階1025で停止される。
【0025】
データは、コンピュータ及びデータ取得デバイス945によって取り込まれ、記憶媒体950内に記憶され、段階1030でアプリケーション955によって処理される。図11は、例示的なデータ処理方法1100を示す。一般に、段階1105で、データは、サンプル905から放射中に個々のフレームとして収集される。段階1110で、フレームは、単一のフィルムクリップにまとめられ、図12に関して以下で詳細に検討されるキャリブラント(例えば、染料付きのテープ、透明コンテナ内の染料、その他)に対して較正することができる。段階1115で、アプリケーション955は、染料の強度対時間のプロファイルを生成する。段階1120で、曲線近似アルゴリズムは、下記のように拡散時間定数を推測するのに適用される。
【0026】
図12は、上記段階1110で生成した染色浸透剤検査ムービー1200内の例示的なフレームを示す。検査ムービークリップフレーム1200は、上述のようなキャリブラント1205並びに画像1210内の関心領域を含む。
【0027】
従って、本方法1000、1100は、セラミック皮膜907の透過率の定量的測定値を得る。分析アプリケーション955は、強度プロファイルの特徴を染料がサンプル905から漏出する比率に相関付けるアルゴリズムを含むことができる。
【0028】
図13a及び13bはそれぞれ、図12のキャリブラント1205及びターゲット1210の強度対時間プロット1300、1350を示す。更に、図14は、正規化ターゲット強度及び導関数のプロット1400を示す。一般に、変曲点(強度プロファイルの二次導関数=0)の時間、又は、数値微分に起因するノイズが小さいスロープからの他の時間特徴(一次導関数)(例えば最大スロープの数倍及び最大スロープの50%)が、アプリケーション955によって計算され、サンプルの拡散係数を推測するのに用いることができる。これらの時間数値はまた、コンピュータ及びデータ取得デバイス945のGUI上に任意選択的に表示される。
【0029】
例示的な実施形態によれば、C=C(x,t)の染料濃度を有するサンプル905を通る1−D染料拡散の支配方程式は、以下に検討する解を有する、
(x,t)=αCxx(x,t)である。
【0030】
電池多層構造の有効核酸係数はαである。特定の境界条件を方程式を解くために適用することができる。例えば、最初に、染料濃度は、C(x,t<t)=0であるようにどこでも0であった。時間t=tで、染料濃度Cは、フィルタ909の表面に適用されて維持され、式中x=0である。一般に、サンプル皮膜表面907を越えて染料拡散は起こらず、ここで、C(L,t)=0に対してx=Lである。従って、上記基準方程式C(x,t)=αCxx(x,t)に対する解は、次式である。
【0031】
【数1】

放射光強度930が、表面x=Lで染料濃度に対し直線的に比例し、最大強度がIであると仮定すると、表面Lでの強度及びその時間導関数の以下の式となる。
【0032】
【数2】

図15aは、境界x=LにおけるI/I0対t×α/Lのプロット1500を示す。加えて図15b及び15cはそれぞれ、上記で検討した時間特徴を示すように、正規化I、I及びItt対t*α/L2のプロット1550と、拡大表示プロット1575を示す。従って、再び図14を参照して、染料強度の実験プロファイル及びその導関数を得ることができる。理論的強度プロファイルの時間特徴の2つ又はそれ以上のセットを、実験的に得られたものと比較することによって、拡散時間定数τ=L/αを推測することができる。
【0033】
更に、サンプル拡散時間定数のより良好な推測は、強度プロファイルのこのような時間特徴を用いるのではなく、理論的に予測したものに対して実験的に得られた強度プロファイルの曲線近似を実施することによって得ることができることが示される。図16は、実験的及び理論的強度プロファイルのプロット1600、並びに曲線近似プロセスを実施することによって得られるτの値を示す。
【0034】
上述のように、例示的な実施形態は、コンピュータ実装プロセス及びこれらのプロセスを実施する装置の形態とすることができる。例示的な実施形態はまた、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、ハードドライブ、又はあらゆる他のコンピュータ読み取り可能記憶媒体などの有形媒体において具現化された命令を含むコンピュータプログラムコードの形態とすることができ、ここで、コンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされコンピュータによって実行されると、コンピュータは、例示的な実施形態を実施するための装置となる。例示的な実施形態はまた、例えば、記憶媒体内に記憶され、コンピュータにロードされ、及び/又はコンピュータによって実行されるか、或いは電気配線もしくはケーブル、光ファイバー、又は電磁放射などのある伝送媒体を介して伝送されるかに関わらず、コンピュータプログラムコードの形態とすることができ、ここで、コンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされ、コンピュータによって実行されると、コンピュータは、例示的な実施形態を実施するための装置となる。汎用マイクロプロセッサ上に実装されると、コンピュータプログラムコードセグメントは、固有の論理回路を生成するマイクロプロセッサを構成する。
【0035】
本書の説明は、最良の形態を含む本発明を開示し、同様に当業者が本発明を実施し利用することを可能にする実施例を用いている。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者が想起する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文字通りの表現と一致する構造要素を有する場合、又はこれらが請求項の文字通りの表現と僅かに異なる均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】表面分析装置の例示的な実施形態。
【図2】例示的な表面分析方法のフローチャート。
【図3】例示的なデータ処理方法。
【図4】元のデータのエッジエリアの例示的な3次元表現。
【図5a】例示的な実施形態に従った2つの異なるウェーブレットによる元の表面の投影。
【図5b】例示的な実施形態に従った2つの異なるウェーブレットによる元の表面の投影。
【図6a】例示的な実施形態に従った2つの異なるウェーブレットによる元の表面の投影。
【図6b】例示的な実施形態に従った2つの異なるウェーブレットによる元の表面の投影。
【図7】例示的な実施形態によるSOFC電池の断面の元のX線写真。
【図8】例示的な実施形態による図7の写真のウェーブレット変換。
【図9】例示的な染色浸透剤システム。
【図10】例示的な表面分析方法のフローチャート。
【図11】例示的なデータ処理方法。
【図12】例示的な染色浸透剤検査ムービー1200。
【図13a】図12のキャリブラント及びターゲットの強度対時間プロット。
【図13b】図12のキャリブラント及びターゲットの強度対時間プロット。
【図14】正規化ターゲット強度及び導関数のプロット。
【図15a】例示的な実施形態による例示的なプロット。
【図15b】例示的な実施形態による例示的なプロット。
【図15c】例示的な実施形態による例示的なプロット。
【図16】例示的な実施形態による例示的なプロット。
【符号の説明】
【0037】
100 表面分析装置
105 コンベヤベルト
110 サンプル
111 個々のドットポイント
115 測定デバイス
117 測定エリア
120 コンピュータ及びデータ取得デバイス
125 記憶媒体
130 分析アプリケーション
200 例示的な表面分析方法
300 例示的なデータ処理方法
400 元のデータのエッジエリアの例示的な3D表現
500、550 投影
600、650 投影
700 元のX線写真
800 ウェーブレット変換
900 例示的な染色浸透剤システム
905 サンプル
906 燃料入口/出口
907 セラミック皮膜
908 内部波形シート
909 フィルタ
910 染色浸透剤供給源
915 スキャナ
916 フィルタ
920 紫外線(UV)光源
925 UV光
930 放射
935 光遮蔽ボックス
940 裂溝
945 コンピュータ及びデータ取得デバイス
950 記憶媒体
955 分析アプリケーション
1000 例示的な表面分析方法
1100 例示的なデータ処理方法
1200 染色浸透剤検査ムービー内の例示的なフレーム
1205 キャリブラント
1210 画像の関心領域
1300、1350 強度対時間プロット
1400 正規化ターゲット強度及び導関数のプロット
1500 境界x=LでのI/I0対t*α/Lのプロット
1550 正規化I、It及びItt対t*α/Lのプロット
1575 拡大表示プロット
1600 実験的及び理論的強度プロファイルのプロット並びにτの値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック表面を有する固体酸化物燃料電池(SOFC)と、
セラミック表面に隣接し、セラミック表面に関連するデータを収集するためのスキャナ(915)と、
スキャナに対しSOFCを保持する構造体と、
セラミック表面データを収集し処理するデバイスと、
デバイス上に常駐し、セラミック表面データを分析し提示するためのプロセスと
を含むSOFC表面分析システム。
【請求項2】
スキャナ(915)は、測定波を生成し且つ測定波がSOFCと相互作用するときに生成される反射を受け取る測定デバイスである、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
SOFCを保持する構造体が、測定デバイスの変位に対し直角の方向に変位するコンベヤベルト(105)である、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
セラミック表面データを収集し処理するためのデバイスがコンピュータである、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
プロセスが、
反射から振動データを受け取り、
振動データをウェーブレットに分解し、
微細な解像度ウェーブレットを分離し、
微細な解像度ウェーブレットの表面不規則性及び欠陥を求める、
ようにする命令を含む、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
SOFCに結合された染色浸透剤供給源(910)を更に含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項7】
スキャナ(915)が、光の帯域通過フィルタリング用のフィルタを有するデジタルモノクロカメラである、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
SOFCを保持する構造体が、UV光源(920)を有する光遮蔽ボックス(935)である、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
セラミック表面データを収集し処理するデバイスがコンピュータである、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
プロセスが、
UV光源(920)がUVをSOFC上に照らしたときにSOFCの皮膜を通って漏出する染色浸透剤によって放射され、且つデジタルカメラ及び染色浸透剤の色を表す波長の帯域を受け取るフィルタ(916)によって収集された放射データを受け取り、
データを個々のフレームに編集し、
フレームをフィルムクリップにまとめ、
染料の強度対時間のプロファイルを生成してSOFC上の表面不規則性及び欠陥を求めて、SOFC漏出率の定量的測定を提供する、
ようにする命令を含む、請求項9記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図11】
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【図13b】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図16】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13a】
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【公開番号】特開2008−164598(P2008−164598A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321504(P2007−321504)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】