説明

固体酸化物燃料電池電極表面の活性化

【課題】 集成されているかまたは未集成の固体酸化物燃料電池のコンポーネントの活性表面の少なくとも一部領域から凝離不純物の少なくとも一部を除去する方法を提供する。
【解決手段】集成されているかまたは未集成の固体酸化物燃料電池のコンポーネントの活性表面の少なくとも一部領域をクリーニング剤と接触させ、この接触は、凝離不純物の少なくとも一部を除去するに十分な時間及び温度においてなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック表面、セラミック電解質及び、表面凝離不純物及び減活性化学種が実質的に存在しない電解質表面及びまたは電極表面を有する、固体酸化物燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物燃料電池(SOFC)は近年かなりの研究の主題となっている。固体酸化物燃料電池は、水素及び/または炭化水素のような、燃料の化学エネルギーを、例えば、約700〜約1000℃の温度における燃料の電気−化学的酸化によって電気に変換する。代表的なSOFCは空気極層と燃料極層の間に挟み込まれた酸素イオン伝導電解質層を有する。分子状酸素は空気極で還元されて電解質に取り込まれ、そこで酸素イオンは電解質を通して輸送されて、燃料極において、例えば水素と反応して水になる。
【0003】
固体酸化物のような、燃料電池は理論的には通常の燃焼エネルギーより高いエネルギー変換効率を与え得るが、これまでに開発された固体酸化物燃料電池の電力密度は理論目標値に達していない。固体酸化物燃料電池の電力密度にかかり得る制限の1つは、電解質及び/または電極の材料のような、燃料電池の作製に用いられる材料の抵抗である。固体酸化物燃料電池の電力密度にかかり得る別の制限は、電極の分極抵抗である。固体酸化物燃料電池の、例えば空気極は、ある程度は酸素還元反応がおこる電極表面における、表面凝離汚染物、不純物及び/または減活性化学種の存在により、高い分極抵抗を示し得る。
【0004】
固体酸化物燃料電池の高動作温度は、燃料電池を構成する材料内に含有されている汚染物、不純物及び/または減活性化学種の移動も生じさせ得る。時間の経過とともに、これらの汚染物、不純物及び/または減活性化学種は電極及び電解質の表面に凝離してくることがあり得、分極抵抗に関与して固体酸化物燃料電池の電力密度をさらに低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、固体酸化物燃料電池の電力密度、燃料電池材料内の汚染物、不純物及び減活性化学種の存在及び表面凝離、並びに、固体酸化物燃料電池及び固体酸化物燃料電池の作製及び動作のための方法にともなうその他の欠点に対処することが必要とされている。そのような必要及びその他の必要は、本発明の物品、デバイス及び方法によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面凝離不純物及び/または減活性化学種が実質的に存在しない電解質及び/または電極を有する、セラミック表面、セラミック電解質、および固体酸化物燃料電池に関する。本発明は、新規なクリーニング方法及び電極表面活性化方法の使用により、上述した課題の少なくとも一部に対処する。
【0007】
第1の実施形態において、本発明は少なくとも1つの表面を有するセラミック電解質を提供し、少なくとも1つの表面の少なくとも一部領域には凝離不純物が実質的に存在しない。
【0008】
第2の実施形態において、本発明は少なくとも1つの活性表面を有する固体酸化物燃料電池電極を提供し、少なくとも1つの活性表面の少なくとも一部領域には凝離不純物が実質的に存在しない。
【0009】
第3の実施形態において、本発明は、それぞれが活性表面を有する燃料極及び空気極並びに表面を有する電解質を有する固体酸化物燃料電池を提供し、空気極活性表面、燃料極活性表面及び電解質表面のそれぞれの少なくとも一部領域には凝離不純物が実質的に存在しない。
【0010】
第4の実施形態において、本発明は少なくとも1つの表面を有するセラミック品を提供し、少なくとも1つの表面の少なくとも一部領域には凝離不純物が実質的に存在しない。
【0011】
第5の実施形態において、本発明は、集成されているかまたは未集成の固体酸化物燃料電池のコンポーネントの活性表面の少なくとも一部領域から凝離不純物の少なくとも一部を除去するための、活性表面の少なくとも一部領域をクリーニング剤と接触させる工程を含む、方法を提供し、接触は凝離不純物の少なくとも一部の実質的に全てを除去するに十分な時間及び温度でなされる。
【0012】
本発明のさらなる実施形態及び利点は、ある程度は、詳細な説明、図面及び添付されるいずれかの特許請求項に述べられ、ある程度は、詳細な説明から導かれるであろうし、あるいは本発明の実施によって習得され得る。以下に説明される利点は添付される特許請求の範囲に特に指摘される要素及び組合せを用いて実現及び達成されるであろう。上述の全般的説明及び以下の詳細な説明が例示及び説明に過ぎず、開示されるような本発明の限定ではないことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は焼成で作製されたままの電解質及び、本発明の様々な実施形態にしたがう、HFクリーニング後の同じ電解質の、ケイ素2pスペクトルを表すX線光電子分光法データを示す。
【図2】図2は、本発明の様々な実施形態にしたがう、空気及び30%水素中で動作させた、LSM/3YSZ空気極、Ni/8YSZ燃料極及びAgベース電流コレクタがスクリーン印刷された3YSZ電解質を有するデバイスについて0.7ボルトで100時間以上にわたって測定した電流密度を示す。
【図3】図3は、全て本発明の様々な実施形態にしたがう、処理されたままの燃料極(1),希HF溶液によるクリーニング後の処理されたままの燃料極(2),ケイ酸塩材料への長時間曝露により汚染された別の燃料極(3),及び希HF溶液によるクリーニング後の同じ汚染された燃料極(4)のケイ素2pスペクトルを表すX線光電子分光法データを示す。
【図4】図4は、本発明の様々な実施形態にしたがってクリーニングされた、3YSZ電解質、Ni/8YSZ燃料極及び白金電流コレクタ及び対向電極を有する単セルで測定された電流密度を示す。
【図5】図5は、クリーニング前、3%HF溶液によるクリーニング後及びHFクリーニングされた電極の700℃加熱後の、LSM/3YSZ空気極の二次イオン質量分光法深さプロファイルを示す。深さプロファイルはケイ素及びリンについて示される。信号強度はジルコニウム強度に規格化されている。
【図6】図6は、3YSZ電解質、LSM/3YSZ電極及び電解質の両面に配されたAgベース電流コレクタを有するカソードポンプセルで測定された電流密度を示す。電流密度測定値は空気中750℃において0.5Vで得られた。
【図7】図7は、3YSZ電解質シート、LSM/3YSZ空気極及び電解質シートの両面に配されたAgベース電流コレクタを有するカソードポンプ試料についての電気化学インピーダンス分光データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす添付図面は本発明のいくつかの実施形態を示し、記述とともに、本発明の原理を、限定なしに、説明するに役立つ。図面を通して、同様の参照数字は同じ要素を表す。
【0015】
本発明は、以下の詳細な説明、図面及び実施例並びに添付される特許請求の範囲を参照し、また先の説明及び以降の説明を参照することで、一層容易に理解され得る。しかし、現在の組成、物品、デバイス及び方法の開示及び説明の前に、そのようなものは当然変わり得るから、別に特記されない限り、開示される特定の組成、物品、デバイス及び方法に本発明が限定されないことは当然である。また、本明細書に用いられる術語は特定の実施形態を説明することだけが目的とされ、限定する目的はないことも当然である。
【0016】
本発明の以下の説明は現在知られている実施形態において本発明の教示を可能にするように提供される。この目的に対し、当業者であれば、本明細書に説明される本発明の様々な実施形態に多くの変更がなされ得るがそれでも本発明の有益な結果を得られることを認識し、理解するであろう。本発明の望ましい恩恵の内のいくつかが本発明の特徴の内のいくつかを選択することにより、他の特徴は用いずに、得られることも明らかであろう。したがって、当業者であれば、本発明に多くの改変及び翻案が可能であり、いくつかの状況においては望ましくさえあり、本発明の一部であることを認めるであろう。したがって、以下の説明は、本発明の限定ではなく、本発明の原理の説明として提供される。
【0017】
開示される方法及び組成のために用いることができ、それらとともに用いることができ、それらの準備に用いられることができ、あるいはそれらの製品である、材料、化合物、組成及びコンポーネントが開示される。上記及びその他の材料が本明細書に開示され、そのような材料の組合せ、部分集合、相互作用、群等が開示される場合、それらの化合物の様々な個別的及び総括的な組合せ及び置換のそれぞれへの特定の言及は明示的になされていないかもしれない場合であっても、それぞれが特定的に本明細書で考えられ、説明されていると理解される。すなわち、置換要素A,B及びCからなる類が開示され、置換要素D,E及びFからなる類並びに組合せ実施形態A-Dの例もともに開示されていれば、それぞれは個別的及び総括的に考えられる。すなわち、この例においては、組合せA-E,A-F,B-D,B-E,B-F,C-D,C-E及びC-Fのそれぞれも特定的に考えられ、A,B及びCとD,E及びF並びに組合せ例A-Dの開示により開示されていると見なされるべきである。同様に、これらのいかなる部分集合または組合せも特定的に考えられ、開示されている。すなわち、例えば、A-E,B-F及びC-Eからなる部分群が特定的に考えられ、A,B及びCとD,E及びF並びに組合せ例A-Dの開示により開示されていると見なされるべきである。この概念は、開示される組成の作製及び使用の方法における組成のいかなる成分及び工程も含むがこれらには限定されない、本開示の全ての実施形態に適用される。すなわち、実施することができる様々な付加工程があれば、そのような付加工程のそれぞれが開示される方法の実施形態のいずれか特定の実施形態または組合せとともに実施することができ、そのような組合せのそれぞれが特定的に考えられ、開示されていると見なされるべきであると、理解される。
【0018】
本明細書及び添付される特許請求の範囲においては、多くの用語/術語が用いられ、それらは以下の意味を有すると定義される。
【0019】
本明細書に用いられるように、単数形の冠詞‘a’,‘an’及び‘the’は、そうではないことが別に明白に規定されていない限り、複数の指示対象を含む。すなわち、例えば、「コンポーネント」への言及は、そうではないことを文脈が明白に示していない限り、そのようなコンポーネントを2つ以上有する実施形態を含む。
【0020】
「必要(状況)に応じる」または「必要(状況)に応じて」は、引き続いて記述されるイベントまたは状況がおこり得るかまたはおこり得ないことを意味し、そのイベントまたは状況がおこる例またはおこらない例をその記述が含むことを意味する。例えば、語句「必要に応じるコンポーネント」は、そのコンポーネントが存在するかまたは存在しないことを意味し、そのコンポーネントが含まれているかまたは排除されている本発明のいずれの実施形態もその記述が含むことを意味する。
【0021】
本明細書において範囲は[「約」1つの特定値]から、及び/または[「約」別の特定値]までのように表され得る。範囲がそのように表される場合、別の実施形態はその1つの特定値から及び/またはその別の特定値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表されていれば、その特定の値が別の実施形態をなすことは理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点が、他方の端点との関係でも、他方の端点とは独立にも、有意であることが理解されるであろう。範囲は、例えば原子パーセント及び/または陽イオン%のような、様々な単位で表され得る。ある範囲を表すために複数の単位が用いられる場合、それぞれの範囲が、またその範囲の様々な組合せも、本発明の様々な実施形態を表すことも理解されるであろう。
【0022】
本明細書に用いられるように、ある成分の「重量%」または「重量パーセント」あるいは「重量による百分率」は、そうではないことが特に言明されない限り、その成分が含まれている組成の総重量に対するその成分重量の、百分率として表される、比率を指す。
【0023】
本明細書に用いられるように、ある元素の「原子パーセント」または「原子%」は、そうではないことが特に言明されない限り、その元素が含まれている組成または分析領域内の総原子数に対するその元素の原子数の、百分率として表される、比を指す。
【0024】
本明細書に用いられるように、ある化学種の「陽イオンパーセント」,「陽イオン%」または「cat%」は、そうではないことが特に言明されない限り、その陽イオンが含まれている組成または分析領域内の全陽イオンの総表面原子濃度に対するその陽イオンの表面原子濃度の、百分率として表される、比を指す。
【0025】
上で簡潔に紹介したように、本発明は、表面、特にセラミック電解質の表面及び電極の内表面のような、材料の少なくともいくらか、をクリーニングするための方法を提供する。本発明のクリーニング及び電極活性化の方法並びに、その結果得られる、固体酸化物燃料電池及び材料は、そのようなクリーニング及び活性化手順が施されていない従来の固体酸化物燃料電池に優る、高められた電力密度を提供できる。本発明のクリーニング及び活性化の方法は燃料電池の初期性能及び/または長期性能を向上させることができる。クリーニング及び活性化の方法は固体酸化物燃料電池のクリーニング及びまたは性能向上のための定期再生プロセスとして用いることもできる。
【0026】
本発明の電解質、電極及び方法は固体酸化物燃料電池に関して以下に説明されるが、表面凝離不純物及び/または減活性化学種を除去する必要があるその他の用途に同じかまたは同様の電解質、電極及び方法を用い得ることは当然である。したがって、本発明は限定された態様で解されるべきではない。
【0027】
固体酸化物燃料電池
従来の固体酸化物燃料電池は、固体酸化物燃料電池での使用に適するいかなるイオン伝導材料も含有することができるセラミック電解質を有する。電解質には、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、イットリア(酸化イットリウム)、スカンジア(酸化スカンジウム)、セリア(酸化セリウム)またはこれらの組合せのような多結晶セラミックを含めることができ、Y,Hf,Ce,Ca,Mg,Sc,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,In,Ti,Sn,Nb,Ta,Mo,Wまたはこれらの混合物の酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1つのドーパントを必要に応じてドープすることができる。電解質はその他のフィラー及び/または処理材料を含有することもできる。例示的な電解質は、イットリアをドープしたジルコニアからなり、これはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とも称される。
【0028】
電解質は作製されている固体酸化物燃料電池に適する、例えば円筒形及び/または平板のような、いかなる幾何学的形状もとることができる。一般的な設計では、イットリウムがドープされたジルコニアからなる平板電解質シートが用いられる。固体酸化物燃料電池はさらに、電解質の両面に配された、少なくとも1つの燃料極及び少なくとも1つの空気極を有することができる。固体酸化物燃料電池は単一チャンバを有することができ、この場合、燃料極及び空気極はいずれも電解質の同じ側にある。電極は固体酸化物燃料電池の反応を容易にするに適するいかなる材料も含むことができる。燃料極及び空気極は異なる材料または同じ材料を含むことができ、材料または設計対する意図的な制限はない。燃料極及び/または空気極は固体酸化物燃料電池での使用に適するいかなる幾何学的パターンもとることができる。電極はセラミック電解質の表面上に、表面に平行に配された、コーティングまたは平板材料とすることができる。電極は複数の独立電極からなるパターンをなして配置することもできる。例えば、燃料極は、電解質の一方の面上の単一の連続コーティングとすることができ、あるいはパターンまたはアレイをなして配置された、ストリップのような、複数の個別素子とすることができる。
【0029】
燃料極は、例えば、イットリア、ジルコニア、ニッケルまたはこれらの組合せを含むことができる。例示的燃料極は、ニッケル及び、例えばジルコニアのような、電解質材料を含むサーメットからなることができる。
【0030】
空気極は、例えば、イットリア、ジルコニア、マンガン酸塩、鉄酸塩、コバルト酸塩またはこれらの組合せを含むことができる。例示的空気極には、イットリア安定化ジルコニア、マンガン酸ランタンストロンチウム、鉄酸ランタンストロンチウム及びこれらの組合せを含めることができる。
【0031】
固体酸化物燃料電池内でおこる反応は一般に、電極及び/または電解質の活性表面でおこる。分子状酸素の還元は空気極の活性表面でおこり得、水素のような、燃料の酸化は燃料極の活性表面でおこり得る。例えば、燃料極及び/または空気極の活性表面は、例えば、水素及び/または酸素のような、反応物質と接触している電極表面領域を含む。活性表面には電解質と接触している電極表面領域をさらに含めることができる。活性表面には電解質の外表面及び/または内表面も含めることができる。本明細書で用いられるように、外表面は、視認することができ、拡散または浸透を用いずに直接に到達することができる外部表面領域を指す。内表面は、本明細書で用いられるように、拡散及び/または浸透機構により固体酸化物燃料電池の、燃料または反応ガスのような、ガス及び/または液体が到達することができる材料領域を指す。例えば、従来の固体酸化物燃料電池電解質は多孔質材料からなる。そのような電解質の内表面は、電解質の多孔構造内の細孔及び/またはチャネルからなり、ガスまたは溶液が到達し得る、表面領域である。
【0032】
固体酸化物燃料電池によって発生される電力はセルの活性表面に関係して大きくなり得る。
【0033】
不純物及び減活性化学種の表面凝離
燃料電池のコンポーネントの作製に用いられる材料は様々な不純物を含有し得る。固体酸化物燃料電池の電解質及び/または電極は不純物を含有し得る。例えば、シール、フレーム及び/またはその他のスタック材料のような、その他のコンポーネントも、動作中に固体酸化物燃料電池の活性表面に移動し得る不純物を含有し得る。そのような移動には、拡散、表面拡散、蒸気輸送を含めることができ、その他の既知の移動方法及びこれらの組合せも含めることができる。固体酸化物燃料電池のシールに用いられる、ガラスフリットは燃料電池動作中の活性表面へのかなりの量のガラス形成不純物の供給に寄与し得る。さらなる不純物源には燃料電池作製に用いられる処理添加剤を含めることができる。
【0034】
これらの不純物には、例えば、ケイ素、リン及び/またはホウ素を含む化合物のような、ガラス形成材料を含めることができる。例えば、アルミニウム、ナトリウム及び/またはカリウムを含む化合物のような、その他の不純物は、ガラス形成不純物とともに存在するか、または単独でも十分な量で存在すれば、有害な効果を有し得る。これらの不純物は固体酸化物燃料電池に理想的には存在しないかあるいは低い平均総濃度でしか存在しない。これらの不純物の平均総濃度は一般に約1ppmから約10000ppmの範囲にあることができ、多くの場合約10ppmから約100ppmの範囲にあり得る。
【0035】
燃料電池動作中、電解質及び電極には約600℃から約1000℃の動作温度がかかる。約800℃より高い温度において、高表面親和性を有する不純物及び減活性化学種は、例えば電極の活性表面の一部領域において、酸化物として凝離し得る。そのような凝離不純物及び/または減活性化学種は電極の活性表面の少なくとも一部領域を遮蔽し、よって電極においておこる反応及び燃料電池によって発生される電力を制限し得る。空気極におけるガラス形成不純物及び/または減活性化学種の表面凝離は、例えば、活性表面の少なくとも一部領域を遮蔽し、電解質とガス相の間の酸素の交換を抑制し得る。ほぼ単層モノレイヤーレベルまでのガラス形成不純物及び/または減活性化学種の凝離は、空気極における事実上全ての酸素交換を抑制し得る。表面凝離不純物による性能劣化は迅速に進行し得るか、または時間の経過にともなって徐々におこり得る。劣化速度及びその結果としての性能は特定の不純物の濃度及び性質に依存する。
【0036】
凝離不純物及び/または減活性化学種の表面濃度はバルク濃度よりかなり高くなり得、約2nmの深さにかけて、例えば、約1重量%〜約10重量%までの範囲に、例えば、1,2,3,5,7,9または10重量%になり得、最外表面層においては、約1重量%〜約100重量%の範囲に、例えば、1,2,4,8,10,20,30,40,60,80,90または100重量%になり得る。実験手法が異なれば得られる分析スポット寸法及び/または深さプロファイルも異なり得ることに注意するべきである。通常のX線光電子分光法(XPS)で得られる表面測定では、例えば2nm〜3nmまでないしさらに大きい侵入深さを得ることができる。他の手法または様々な機器構成では、例えば、0.5nm未満から2nmまで、または2nmより大きく10nmまでのような、様々な侵入深さからの化学的情報を得ることができる。そのような手法で得られる測定値から様々な結果(例えば、表面感度がより高い手法を用いた場合の、より高い凝離成分濃度)を得ることができる。二次イオン質量分光法(SIMS)のような手法では、凝離不純物の濃度についての深さプロファイルを得ることができる。本明細書で説明される表面濃度は全て、そうではないことが言明されない限り、侵入深さが約2nm〜約3nmの手法による。その他の手法では様々な表面濃度レベルを得ることができ、本発明がそのような実施形態を包含するとされることは当然である。
【0037】
電解質及び/または電極からの表面凝離不純物の少なくとも一部の除去により、固体酸化物燃料電池の利用できる活性表面を広くすることができ、電極反応にともなう電荷移動抵抗を小さくすることができ、よって動作中の燃料電池によって発生される電力密度を向上させることができる。凝離不純物の除去される部分は、特定の不純物化学種、不純物のタイプ(例えばガラス形成)、不純物の場所、凝離不純物の厚さ、表面への不純物の結合、等に基づき得る。一実施形態において、凝離不純物の除去部分は不純物の場所に依存する。別の態様において、凝離不純物の除去部分は存在する不純物化学種のタイプに依存する。電力密度の低下を防止するため、例えば、ケイ素、リン及び/またはホウ素の酸化物のような凝離ガラス形成不純物及び/または減活性化学種の表面濃度は、存在するとすれば、一実施形態において、約10陽イオン%より低く、例えば、約10,9,7,5,3,2または1陽イオン%より低いか、または好ましくは約2陽イオン%より低く、例えば、約2,1.5,1,0.5,0.3,0.2,0.1または0.05陽イオン%より低い。原子%で表せば、例えば、ケイ素、リン及び/またはホウ素の酸化物のような化学種は、存在するとすれば、一実施形態において、約5原子%より少なく、例えば、約5,4,3,2または1原子%より少なく、または好ましくは約1原子%より少なく、例えば、約1,0.8,0.4,0.2または0.1原子%より少ない。
【0038】
アルミニウム、ナトリウム及び/またはカリウムの酸化物、及び/またはストロンチウム、マンガン及び/または鉄を含む化合物のような、その他の不純物及び/または減活性化学種は一般にガラス形成不純物が存在しない場合にはガラスを形成しないが、ガラス形成不純物と相互作用して活性表面の一部領域をさらに遮蔽することができる。例えば、アルミニウムの酸化物の表面濃度は一般に、ガラス形成不純物が存在しない場合、電力密度に悪影響を与えずに、2陽イオン%から5陽イオン%まで、すなわち1原子%から2原子%まで、例えば、0.1,0.3,0.5,0.7,1.0,1.3,1.5,1.8または2.0原子%まで許容され得る。同様に、ナトリウム及び/またはカリウムの酸化物は、ガラス形成不純物が存在しない場合、電力密度に悪影響を与えずに、0.5陽イオン%、すなわち0.3原子%まで、例えば、0.05,0.1,0.15,0.2または0.3原子%のレベルで許容され得る。ガラス形成不純物が存在する場合、これらの不純物(例えば、アルミニウム、ナトリウム及び/またはカリウムの酸化物)の表面濃度は、一実施形態において、約10%陽イオン%より低く、例えば、約10,9,7,5,3,2または1陽イオン%より低いか、または好ましくは約2陽イオン%より低く、例えば、約2,1.5,1,0.5,0.3,0.2,0.1または0.05陽イオン%より低い。術語「凝離不純物」は、本明細書に用いられるように、ガラス形成不純物、その他の不純物、減活性化学種及び上述した化合物を含むとされ、特定の化学種または特定のタイプの不純物に限定されるとはされない。凝離不純物には、特定の目的のためにコンポーネント及び/または燃料電池に意図的に添加される材料を含めることができる。例えば、シリカは焼結補助剤として電解質組成に添加され、後に、燃料電池動作中に不純物として凝離し得る。術語「凝離不純物」はそのような意図的に添加された材料も含むとされる。
【0039】
クリーニング及び活性化方法
固体酸化物燃料電池の電解質及び/または電極、特に電解質及び/または電極の活性表面は、凝離不純物の少なくとも一部を除去するために本発明の方法を用いてクリーニングすることができる。
【0040】
一実施形態において、本発明は固体酸化物燃料電池の活性表面の少なくとも一部領域から表面凝離不純物の少なくとも一部を除去するための方法を提供する。本方法は、活性表面の少なくとも一部領域を、表面凝離不純物の少なくとも一部を溶解することができる酸性及び/または塩基性溶液、表面凝離不純物の少なくとも一部を溶解することができる有機溶剤、表面凝離不純物の少なくとも一部を除去することができるガス、またはこれらの組合せの内の少なくとも1つを含有するクリーニング剤と接触させる工程を含み、接触は表面凝離不純物の少なくとも一部の実質的に全てを除去するに十分な時間及び温度においてなされる。特定の実施形態において、本発明は活性表面の少なくとも一部領域から表面凝離不純物の一部を除去する。表面凝離不純物が完全に除去されること、または活性表面全体がクリーニングされることは必要ではない。好ましい実施形態において、表面凝離不純物の全てまたは実質的に全てが除去される。
【0041】
本発明の活性表面には、電解質の外表面及び/または内表面、例えば水素及び/または酸素のような、反応物質と接している電極表面、及び/または電解質と接している電極表面を含めることができる。様々な実施形態において、表面凝離不純物は、電解質の外表面、電解質の内表面、反応物質と接触するように設計されている電極表面、電解質と接している電極表面、電解質と接し、かつ反応物質と接触するように設計されている電極表面、またはこれらの組合せから、少なくともある程度除去される。
【0042】
一実施形態において、本発明のクリーニング方法は電極を有していない電解質の少なくとも一部領域について実施される。この実施形態においては、クリーニング手順の完了後に1つ以上の電極を電解質に取り付けることができる。例示的な作製したまま(未クリーニング)の電解質3及びクリーニングされた電解質2のX線光電子分光データ(強度対結合エネルギー(eV))が図1に示される。本図は、作製したままの電解質3に対する、クリーニングされた電解質2の分析領域におけるケイ素の表面濃度のかなりの減少を示す。別の実施形態において、クリーニング手順は電解質の少なくとも一部領域及びいずれか一方の電極の少なくとも一部領域について実施される。また別の実施形態において、クリーニング手順は電解質の少なくとも一部領域並びに燃料極及び空気極のいずれの領域についても実施される。クリーニング手順は電解質の一部領域並びに燃料極及び空気極のいずれの領域についても実施されることが好ましい。クリーニング手順は電解質並びに燃料極及び空気極のいずれについても実施されることがさらに好ましい。術語「完全にクリーニングされた」は、本明細書に用いられるように、全ての活性表面(すなわち、電解質及び電極)がクリーニングされている、クリーニング方法あるいは物品またはデバイスを指すとされる。
【0043】
本発明によって除去される凝離不純物はガラス形成材料であり得る。一実施形態において、凝離不純物には、ケイ素、リン、ホウ素またはこれらの組合せの酸化物の内の少なくとも1つが含まれ得る。凝離不純物にはさらに、アルミニウム、ナトリウム、カリウムまたはこれらの組合せの酸化物のようなその他の不純物が含まれ得る。本発明によって除去される凝離不純物には、電極及び/または電解質の表面の少なくとも一部領域に凝離して減活性化し得る、電極及び/または電解質の作製に用いられる材料を含めることができる。特定の凝離不純物は、電解質及び/または電極に依存し、固体酸化物燃料電池の作製に用いられる、ガラスシールのようなその他のコンポーネントにも依存するであろう。術語「凝離不純物」には、例えばガラス形成不純物のような個々の凝離不純物及び、状況に応じて、その他の不純物のいかなる組合せも含めることができる。様々な実施形態において、本発明の凝離不純物には、ケイ素の酸化物、ケイ素とリンの酸化物の組合せ、ホウ素とケイ素の酸化物の組合せ、及び/またはケイ素とリンとホウ素の酸化物の組合せが含まれる。さらに、アルミニウム、ナトリウム及び/またはカリウムの酸化物も存在し得る。
【0044】
本発明によって除去される凝離不純物には、例えば、固体酸化物燃料電池の電極から発生し得る、例えば、ストロンチウム、マンガン及び/または鉄のような、減活性化学種を含めることができる。
【0045】
本発明のクリーニング剤は、固体酸化物燃料電池の活性表面の少なくとも一部領域から凝離不純物の少なくとも一部を除去するに適するような、いずれかの薬剤とすることができる。一実施形態において、クリーニング剤は酸性溶液である。酸性溶液は、例えば、塩酸溶液、フッ酸溶液またはこれらの組合せのような、凝離不純物を除去することができるいずれかの溶液とすることができる。別の実施形態において、クリーニング剤は、例えば水酸化ナトリウム溶液のような、塩基性溶液とすることができる。別の実施形態において、クリーニング剤は凝離不純物を溶解することができる有機溶剤とすることができる。また別の実施形態において、クリーニング剤は、例えば、水素、フッ素、塩化水素、フッ化水素、三フッ化窒素またはこれらの組合せのような、ガスである。ガスは、凝離不純物を直接に除去することができ、あるいは不純物の酸化状態を初めに改変し、改変された不純物をリンスすることによるかまたは本明細書に説明されるクリーニング剤とさらに接触させることによって除去することで、凝離不純物を間接的に除去することができる。一実施形態において、ガスは、塩化水素、フッ化水素、フッ化窒素またはこれらの組合せを含み、凝離不純物を直接に除去する。別の実施形態において、ガスは水素を含み、凝離不純物の酸化状態を初めに改変する(例えば、二酸化ケイ素を揮発性の一酸化ケイ素に還元する)ことによって凝離不純物を間接的に除去する。この実施形態において、水素クリーニング剤は燃料から弁別され、個々の燃料電池コンポーネント、未集成燃料電池に、または、燃料電池が作動させられていない期間中に集成燃料電池と、接触させられる。また別の実施形態において、クリーニング剤には、例えば、分解して、表面凝離不純物の少なくとも一部を除去できる物質を生成することができる粉末のような、固体を含めることができる。特定の実施形態において、クリーニング剤は、例えば、時間の経過とともに分解してフッ素含有ガスを放出することができるフッ化物のような、フッ素含有化合物を含む粉末である。そのような粉末化クリーニング剤は、燃料電池動作期間中であっても、燃料電池の連続及び/または長期クリーニング及び活性化を提供するために、一度に燃料電池に導入して徐々に分解させることができるか、例えば、ある期間にかけて反応ガスとともに導入することができるか、またはこれらの組合せとすることができる。特定のクリーニング剤の選択は、クリーニングされるべき材料及び活性表面の性質に依存し得る。例えば、薄く脆弱な電解質シートは、水性クリーニング溶液にともなう物理的取扱いを受けると容易に損傷を受け得る。そのような電解質材料にはガスクリーニング剤がより適することができ、水性溶液は肉厚円筒形電解質材料により一層適し得る。酸性及び/または塩基性溶液、溶剤、ガス及び固体のようなクリーニング剤は、市販されており(米国ミズーリ州セントルイス(St. Louis),Sigma-Aldrich)、当業者であれば特定の燃料電池またはコンポーネントに適切なクリーニング剤を容易に選択できるであろう。
【0046】
本発明の接触させる工程は様々な実施形態を含むことができる。接触させる工程はクリーニング剤を活性表面の少なくとも一部領域と接触させるいかなる方法も含むことができる。一実施形態において、接触させる工程は、活性表面を有する電解質及び/または電極の少なくとも一部領域を、クリーニング剤を含有する溶液または溶剤内に浸漬する工程を含む。別の実施形態において、接触させる工程は、活性表面の少なくとも一部領域をクリーニング剤でスプレー及び/またはコーティングする工程を含む。別の実施形態において、接触させる工程は、活性表面の少なくとも一部領域を、クリーニング剤を含有するガス及び/または蒸気にさらす工程を含む。
【0047】
活性表面の少なくとも一部領域にクリーニング剤が接触させられる時間及び温度は、除去されるべき特定の不純物及びクリーニング剤の濃度に依存し得る。一般に、クリーニング剤の濃度が高いほど、クリーニング剤の濃度が低いときよりも低い温度及び/または短い時間で接触させることができる。特定の実施形態において、活性表面の一部領域は約3重量%のフッ化水素を含有する水溶液に接触させられ、接触は室温(例えば約25℃〜約35℃)で約20分間実施される。別の実施形態において、活性表面の一部領域は約0.5重量%〜約2.5重量%のフッ化水素水溶液に接触させられ、接触は約35℃〜約60℃の温度で約20分間実施される。また別の実施形態において、活性表面の一部領域は約5重量%〜約15重量%の塩化水素水溶液に接触させられ、接触は約40℃〜約80℃の温度で約20分間実施される。
【0048】
本発明の方法はさらに、必要に応じて、活性表面の少なくとも一部領域を中和剤と接触させる工程及び/または活性表面の少なくとも一部領域を水でリンスする工程を含むことができる。必要に応じる中和剤には、例えば、酸性及び/または塩基性溶液のようなクリーニング剤を中和し得る、固体酸化物燃料電池での使用に適するようないかなる薬剤も含めることができる。中和剤は、クリーニング剤との接触後に、活性表面の少なくとも一部領域と接触しているかまたは活性表面の少なくとも一部領域上に残っている酸性及び/または塩基性溶液の少なくとも一部を中和することができる。クリーニング剤が完全に中和される必要はない。一実施形態において、塩基性すなわちアルカリ性の中和剤が活性表面の少なくとも一部領域と接触して、活性表面と接触している酸性クリーニング溶液の少なくとも一部を中和する。別の実施形態において、酸性中和剤が活性表面の少なくとも一部領域と接触して、活性表面と接触している塩基性クリーニング溶液の少なくとも一部を中和する。中和剤の濃度及び組成は用いられるクリーニング剤の濃度及び組成並びに活性表面の少なくとも一部領域に接触して残っているクリーニング剤の量に依存して変わり得る。一実施形態において、中和剤は、例えばフッ酸溶液のような、酸性クリーニング剤溶液の少なくとも一部を中和するように作製された希(3%)アンモニア水溶液である。中和剤は市販されており(米国ミズーリ州セントルイス,Sigma-Aldrich)、当業者であれば、特定の燃料電池、コンポーネント及び/またはクリーニング剤に適切な中和剤を容易に選択できるであろう。
【0049】
クリーニング剤が接触している活性表面領域は、中和剤と接触させる代りに、またはそれに加えて、リンスすることもできる。一実施形態において、活性表面の少なくとも一部領域はクリーニング剤との接触後に中和剤と接触させられる。続く実施形態において、クリーニング剤及び中和剤と接触させた活性表面領域は水でリンスすることができる。別の実施形態において、クリーニング剤と接触させた活性表面領域は水でリンスすることができ、中和工程は実施されない。また別の実施形態においては、中和工程もリンス工程も実施されない。必要に応じてリンス工程が用いられる場合、水には、例えば、蒸留水、脱イオン水または蒸留脱イオン水のような、いずれかの純化水を含めることができる。
【0050】
本発明の方法はさらに、必要に応じて、クリーニング剤との接触後にクリーニングされた表面を加熱する工程を含むことができる。そのような加熱工程の結果、凝離不純物のさらなるクリーニングまたは除去が得られる。
【0051】
燃料電池作製及び再生
本発明のクリーニング方法は、燃料電池の作製前、作製中または作製に続く、様々な時点で実施することができる。一実施形態において、電極が取り付けられる前及び/または集成されて固体酸化物燃料電池にされる前に、セラミック電解質に本発明のクリーニング方法を施すことができる。別の実施形態において、燃料極及び/または空気極を有する電解質に、燃料電池集成の前に本発明のクリーニング方法を施すことができる。また別の実施形態において、集成された固体酸化物燃料電池コンポーネントに本発明のクリーニング方法を施すことができる。特定の実施形態において、集成された燃料電池は、反応ガスチャネルを通してガスクリーニング剤を送ることにより、クリーニングまたは「フラッシュ活性化」を行うことができる。次いで、必要に応じて、燃料電池を動作前に不活性ガスでフラッシングすることができる。
【0052】
別の実施形態において、本発明のクリーニング方法は動作期間後に固体酸化物燃料電池を再生するために用いることができる。特定の実施形態において、燃料電池は集成されてある期間作動させられ、動作中に燃料電池コンポーネント及び/または反応ガス流内にあった不純物の少なくとも一部が燃料電池内の活性表面の一部領域に凝離する。固体酸化物燃料電池のガラスフリットシールは、活性表面上のガラス形成不純物の凝離に大きく寄与し得る。ある動作期間後、凝離不純物の少なくとも一部を除去するために、反応ガス流を中断して燃料電池の活性表面の少なくとも一部領域をクリーニング剤に接触させることができる。接触は、燃料電池の分解または集成されたままの燃料電池の活性表面の少なくとも一部領域にクリーニング剤を接触させるための反応ガスチャネルの使用を含むことができる。一実施形態において、反応ガス流が中断され、集成された燃料電池を通して、例えばフッ化水素のような、クリーニング剤ガス流を流し、よってガスクリーニング剤を燃料電池の活性表面の少なくとも一部領域と接触させるために、反応ガス流チャネルが利用される。凝離不純物の少なくとも一部を除去するに十分な時間の接触後、必要に応じて、不活性ガス、中和剤、水またはこれらの組合せによって燃料電池をフラッシングすることができ、元の反応ガス流が回復される。燃料電池のそのような一時再生により、燃料電池動作中に蓄積した凝離不純物の少なくとも一部を除去することができて、固体酸化物燃料電池の寿命を延ばし、性能を維持することができる。
【0053】
クリーニングされたコンポーネントの特性
本発明の方法は、セラミック電解質、電極及び/または固体酸化物燃料電池を、例えばガラス形成不純物及び/または減活性化学種のような、表面凝離不純物が存在しないかまたは実質的に存在しない状態にすることができるプロセスを提供する。一実施形態において、本発明の方法によってクリーニングされた、セラミック電解質、電極及び/または固体酸化物燃料電池の表面の凝離不純物は、約10陽イオン%より少なく、例えば約10,9,7,5,3,2または1陽イオン%より少なく、または好ましくは約2陽イオン%より少なく、例えば約2,1.5,1,0.5,0.3,0.2,0.1または0.05陽イオン%より少ない。原子%で表せば、凝離不純物は、存在するとすれば、一実施形態において、約5原子%より少なく、例えば、約5,4,3,2または1原子%より少なく、または好ましくは約1原子%より少なく、例えば、約1,0.8,0.4,0.2または0.1原子%より少ない。
【0054】
別の実施形態において、セラミック電解質、電極及び/または固体酸化物燃料電池の表面は、ケイ素、リンまたはホウ素の酸化物が存在すれば、約2陽イオン%より少なく、例えば2,1.5,1,1.0,0.5,0.4,0.3,0.2または0.1陽イオン%より少ない、ケイ素、リン及びホウ素の酸化物の組合せを有し、状況に応じてアルミニウム、ナトリウム及びカリウムの酸化物の組合せを有する。また別の実施形態において、セラミック電解質、電極及び/または固体酸化物燃料電池の表面は、約0.4陽イオン%より少なく、例えば0.4,0.3,0.2,0.1,0.05または0.01陽イオン%より少ない、ケイ素、リン及びホウ素の組合せを有する。
【0055】
別の実施形態において、本発明の方法は、電解質及び/または電極のような、燃料電池コンポーネントの活性表面の少なくとも一部領域から全てのまたは実質的に全ての凝離不純物を除去することができる。特定の実施形態において、本発明にしたがってクリーニングされたセラミック電解質の表面にはケイ素、リン及びホウ素の酸化物が実質的に存在しない。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を添付図面に示し、詳細な説明で説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されず、添付される特許請求の範囲によって言明され、定められるような本発明の精神を逸脱せずに数多くの再構成、改変及び置換が可能であることは当然である。
【実施例】
【0057】
本発明の原理をさらに深く示すため、本明細書で特許請求される電解質、電極、燃料電池、物品、デバイス及び方法がどのように作製され、評価されるかの完全な開示及び説明を当業者に与えるように以下の実施例が提示される。これらの実施例は純粋に本発明の例示であるとされおり、発明者等が発明者等の発明と見なしている範囲を制限するとはされていない。数値(例えば、量、温度、等)に関して確度を保証するように尽力しているが、いくらかの誤差及び偏差は考慮されるべきである。別途に示されない限り、温度は℃単位であるかまたは室温であり、圧力は大気圧またはその近傍である。製品の品質及び性能を最適化するために用いることができる、数多くのプロセス条件の変型及び組合せがある。そのようなプロセス条件の最適化には穏当で日常的な実験しか必要ではないであろう。
【0058】
実施例1−電解質のHFクリーニング
第1の実施例において、イットリア安定化ジルコニア電解質を、クリーニング手順の前に、及びクリーニング手順に引き続いて、分析した。(米国オハイオ州グローブシティ(Grove City),Tosoh Corporationから入手できる)約30ppmのシリカ及び約50ppmのアルミナを含有する高純度級3YSZ粉末から、300〜500ppmのアルミナ、30〜100ppmのシリカ、20〜30ppmのチタニア、20〜30ppmの鉄、20〜30ppmのカルシウム、2〜5ppmのナトリウム及び100〜400ppmのリンを含有する有機媒体によるスリップキャスティングプロセスを用いて、電解質を作製した。作製した電解質を様々な温度で焼成した。作製(焼成)したままの電解質のXPS分析は不純物の表面濃縮を示した。XPS測定について、特定の値を下の表1(a)及び1(b)に示す。
【表1a】

【表1b】

【0059】
次いで、作製した電解質に本発明の一実施形態にしたがうクリーニング手順を施した。焼成された、電極は印刷されていない、電解質を3%フッ酸溶液内に約30分間おいた。電解質を取り出して3%アンモニア水溶液でリンスし、続いて脱イオン水でリンスした。
【0060】
クリーニング後、電解質を再びXPS分析にかけた。上の表1に挙げた電解質の内の2つについてHFクリーニング後に測定した表面濃度を下の表2(a)及び2(b)に詳細に示す。HFクリーニング手順の結果、凝離不純物の表面濃度のかなりの低減が得られた。
【表2a】

【表2b】

【0061】
上の表1及び表2のXPSデータは、本発明のクリーニング及び活性化方法で達成することができる、ケイ素及びリンのような、凝離不純物の低減を示す。
【0062】
実施例2−空気極のHFクリーニング
第2の実施例において、実施例1で説明したHFクリーニングを活性空気極表面に施した。マンガン酸ランタンストロンチウム(La0.8Sr0.2Mn(1+Δ)/3YSZ)空気極を3YSZ粉末(Tosoh Corporation)から作製した電解質の一方の面上に印刷した。作製した空気極のXPS分析は(18陽イオン%に等価の)5原子%の表面ケイ素濃度を示した。上述したクリーニング手順の適用後、リンス済空気極上の表面ケイ素濃度は(4陽イオン%に等価の)1.2原子%まで低下した。電解質構造の多孔性により、かなりの量のHFが電極及び/または電解質のマトリックス内にトラップされ得る。加熱時に、このトラップされたHFが残留表面凝離ケイ素、リン及びホウ素とさらに反応して、さらに強くクリーニングされた電極が得られた。
【0063】
実施例3−空気極のSIMS分析
第3の実施例において、一連のLSM/3YSZ多孔質空気極を作製して二次イオン質量分光法(SIMS)で分析し、検出不純物の深さプロファイルを得た。図5は空気極試料上のケイ素及びリンについて、クリーニング前(左側)、3%HF溶液によるクリーニング後(中央)及びHFクリーニング済電極の700℃への加熱後(右側)に得られた、代表的な深さプロファイルを示す。それぞれの信号の強度はジルコニウム信号の強度に規格化した。大きな階段状の濃度変化は試料の空気極と電解質の間の界面を表している。ケイ素及びリンのいずれについても、HFクリーニング後にかなりの濃度低減が達成された。本明細書に説明されるように、クリーニング後の表面加熱がクリーニング効果を高め得る。この効果は、空気極表面からケイ素及びリンの実質的に全てが除去された、HFクリーニング及びアニールを施した空気極の深さプロファイルに示されている。
【0064】
実施例4−燃料極のHFクリーニング
第4の実施形態において、3YSZ電解質の表面上にNiO/8YSZをスクリーン印刷し、印刷済電解質を焼成することにより、Niベース燃料極を作製した。図3に示されるように、XPS分析は、作製したままの燃料極(1)においてケイ素(Si2p)の高表面濃度を示した。次いで、作製した電極に実施例1のHFクリーニング手順を施した。クリーニングした燃料極(2)についてのXPS分析は燃料極表面上のケイ素濃度のかなりの低下を示した。本発明のHFクリーニング手順の有効性を示すため、別の燃料極を上述したように作製し、燃料極をホウケイ酸材料に長時間曝露することで汚染させた。汚染燃料極(3)のXPS分析は高い表面ケイ素濃度を示した。汚染燃料極に同じHFクリーニング手順を施すと(4)、表面ケイ素濃度は低下して、クリーニングされた未汚染燃料極(2)の表面ケイ素濃度と同等になった。XPSデータの定量化により、本発明のクリーニング方法の使用によって1原子%未満の表面ケイ素濃度が達成され得ることが示される。
【0065】
実施例5−クリーニングされた電極の性能
第5の実施例において、インピーダンス分光法を用いて空気極の電気化学的性能を調べた。インピーダンス分光法は実施例のデバイスの酸素取込反応シーケンスにおける最も低速のステップとして電荷移動プロセスを識別するために用いた。シリカの表面凝離は、気相、LSM及びYSZの間の三重相境界における酸素取込を困難にする。Agベース電流コレクタが上に重ねられたLSM/YSZ層からなる2つの電極の間に挟み込まれた実施例1の3YSZ電解質(空気極/空気極デバイス)のインピーダンススペクトルを、標準の作製したままのセル、HFクリーニングした電解質で作製したセル、及び空気極作製後にHFでさらにクリーニングしたHFクリーニング済電解質で作製したセルについて比較した。インピーダンス分光法は、電荷移動プロセス及び酸素吸着/解離プロセスを含む、様々な電極プロセスの抵抗を分離できる。空気中750℃において得られたインピーダンス分光データの解析は酸素吸着による空気極抵抗がHFクリーニング後も変化していないことを示した。電荷移動プロセスによる抵抗は、図7に示されるように、HFクリーニングした電解質で作製したセルについて若干低下し、空気極作製後にHFクリーニングしたセルについてかなり低下した。面積1cmあたりの電荷移動抵抗は、作製したままの空気極について0.2オーム、表面をクリーニングした電解質で作製したセルについて0.175オーム、完全にクリーニングした空気極について0.07オームであった。図7の左側は基準空気極に対応する。中央の2つの図はHFクリーニングした空気極に対応する。右側の図はHFクリーニング及びアニールを施した空気極に対応する。
【0066】
空気極電荷移動抵抗の減少には、空気極/空気極セルで測定されるように、空気極の電流密度の増大がともなう。図2は、標準の作製されたままの空気極/空気極単セル(点線)及び完全にHFクリーニングした空気極/空気極単セル(実線)の空気中750℃における電流密度を示す。完全にHFクリーニングしたセルは作製したままのセルに対して100%より大きな電流密度の向上を示す。すなわち、HFクリーニングプロセスにより、固体酸化物燃料電池の電力密度及び効率のかなりの向上を達成することができる。
【0067】
実施例6−クリーニングされた電極の長期性能
第6の実施例において、HFクリーニング後の長期性能を決定するために一連の試験セルを評価した。第1の試験セルは完全にHFクリーニングしたLSM/3YSZ空気極/空気極セル4からなり、図6に示されるように、0.5Vの印加ポンプ電圧及び750℃において1.27A/cmの初期性能を示し、これはHFクリーニングした電解質をもつ空気極5に対する約1A/cm及び作製したままの(未クリーニング)空気極6に対する約0.6A/cmと比較して優れている。完全にHFクリーニングした空気極の電流密度の初期低下は、試験セル装置からの汚染によるものであった。そのような汚染は、本発明の様々な実施形態にしたがう、再生クリーニング工程で除去できるであろう。試験セルは、電流−電圧(I-V)曲線で測定して、750℃で70日より長くこの性能を維持した。70日後も、電流密度は1.2A/cmより高いままであり、空気極性能の永続する向上をHFクリーニングで達成することができ、600℃〜750℃の範囲の燃料電池動作温度において清浄環境内では性能の有意な低下がおこらないことを示した。
【0068】
第2の試験セルは、LSM/3YSZ空気極とNi/8YSZ燃料極の間に挟み込まれた3YSZ電解質シート及びAgベース電流コレクタを有する、単セルデバイスからなる。1つは作製したまま(未クリーニング)であり、1つは燃料極、空気極及び電解質が実施例1で説明した手順にしたがってHFクリーニングされた、2つのバージョンのセルを構成した。セルを、アルミナ管炉内で、セラミック試験ホルダに取り付け、空気中(空気極)及び30%水素中(燃料極)において725℃で動作させながら、それぞれの性能を評価した。クリーニングバージョンのセルは、作製したままバージョンより高い初期電流密度を示した。初めの1時間以内に、クリーニングしたセルの性能は高まり、0.7ボルトで0.47〜0.49A/cmの安定値に達した。180時間にわたる動作において測定できる性能劣化は見られなかった。作製したままバージョンのセルはより低い初期電流密度を示し、継続的な性能劣化の問題を生じた。作製したままバージョンのセルの初期電流密度は0.7ボルトで0.35A/cmであり、180時間の動作後は0.3A/cmより低くなった。すなわち、クリーニングバージョンのセルは作製したままバージョンのセルより約40%以上向上した。
【0069】
第3の試験セルはNi/8YSZ燃料極及び白金/YSZ対向電極をもつ単セルとした。1つは燃料極及び電解質を完全にHFでクリーニングし、1つは電解質だけをHFでクリーニングし、1つはHFクリーニングなしで作製したままの、3つのバージョンのセルを構成した。3つのセル全てを空気及び30%水素中で725℃で動作させた。次いで、図4に示されるように、それぞれのバージョンについて0.7ボルトにおける電流密度を時間の関数として測定した。(HFで完全にクリーニングした)第1のバージョンのセル4は約14%の初期性能低下を示したが、48時間の動作後にほぼ初期性能まで回復した。(電解質だけをクリーニングした)第2のバージョンのセル5は48時間の初期動作で約36%の性能低下を示し、その後性能は安定するようであった。(作製したままの)第3のバージョンのセル6は48時間の初期動作で約35%より大きい初期性能低下を示し、継続動作中に性能がさらに低下し続けるという問題があった。
【0070】
固体酸化物燃料電池の電解質及び/または電極のクリーニングの利点は、初期電流密度の向上だけでなく、セルの長期性能の向上にも現れる。電解質だけでなく、電極も完全にクリーニングしたセルは、かなり向上した長期性能を示した。
【0071】
実施例7−燃料極の水素クリーニング
第7の実施例において、下の表3に詳細に示される様々な組成の燃料極を炉内で約700℃に加熱して、約3%の水素及び97%の窒素を含むガス流に100時間さらした。続いて、XPS分析の前に、試料を水素/窒素ガス流内で室温まで冷却した。XPS分析の結果を表3に詳細に示す。
【表3】

【0072】
上の表3に詳細に示されるように、本発明の水素クリーニング方法は、ケイ素、ニッケル及びナトリウムのような、凝離不純物の表面濃度を有効に低下させることができる。
【0073】
本明細書に説明される組成、物品、デバイス及び方法には様々な改変及び変形がなされ得る。本明細書に説明された以外の組成、物品、デバイス及び方法の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される組成、物品、デバイス及び方法の実施から明らかであろう。本明細書及び実施例は例示と見なされるべきであるとされる。
【0074】
以下、本発明によるセラミック電解質、固体酸化物燃料電池電極、固体酸化物燃料電池の実施態様を項分け記載する。
【0075】
実施態様1
少なくとも1つの表面を有するセラミック電解質において、前記少なくとも1つの表面の少なくとも一部領域には凝離不純物が実質的に存在しないことを特徴とするセラミック電解質。
【0076】
実施態様2
前記少なくとも1つの表面の前記少なくとも一部領域には、ケイ素、リン及びホウ素の酸化物が実質的に存在しないことを特徴とする実施態様1に記載のセラミック電解質。
【0077】
実施態様3
前記少なくとも1つの表面の前記少なくとも一部領域には、
ケイ素、リンまたはホウ素あるいはこれらの組合せの内の少なくとも1つの酸化物、と
アルミニウム、ナトリウムまたはカリウムあるいはこれらの組合せの内の少なくとも1つの酸化物、
の組合せが実質的に存在しないことを特徴とする実施態様1に記載のセラミック電解質。
【0078】
実施態様4
前記少なくとも1つの表面の前記少なくとも一部領域が、0から約2陽イオン%未満しかケイ素、リン及びホウ素を有さないことを特徴とする実施態様1に記載のセラミック電解質。
【0079】
実施態様5
前記少なくとも1つの表面の前記少なくとも一部領域が、0から約0.4陽イオン%未満しかケイ素、リン及び/またはホウ素を有さないことを特徴とする実施態様1に記載のセラミック電解質。
【0080】
実施態様6
少なくとも1つの活性表面を有する固体酸化物燃料電池電極において、前記少なくとも1つの活性表面の少なくとも一部領域には凝離不純物が実質的に存在しないことを特徴とする固体酸化物燃料電池電極。
【0081】
実施態様7
前記少なくとも1つの活性表面の前記少なくとも一部領域には、ケイ素、リン及びホウ素の酸化物が実質的に存在しないことを特徴とする実施態様6に記載の固体酸化物燃料電池電極。
【0082】
実施態様8
前記少なくとも1つの活性表面には、ケイ素、リン及びホウ素の酸化物が実質的に存在しないことを特徴とする実施態様6に記載の固体酸化物燃料電池電極。
【0083】
実施態様9
前記固体酸化物燃料電池電極が、(i)イットリア、ジルコニア、マンガン酸塩、コバルト酸塩または鉄酸塩あるいはこれらの組合せの内の少なくとも1つを含む空気極、あるいは(ii)イットリア、ジルコニア、ニッケルまたはこれらの組合せの内の少なくとも1つを含む燃料極であることを特徴とする実施態様6に記載の固体酸化物燃料電池電極。
【0084】
実施態様10
固体酸化物燃料電池において、
それぞれが活性表面を有する、燃料極及び空気極、及び
表面を有する電解質、
を有し、
前記空気極活性表面、前記燃料極活性表面及び前記電解質表面のそれぞれの少なくとも一部領域には凝離不純物が実質的に存在しない、
ことを特徴とする固体酸化物燃料電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集成されているかまたは未集成の固体酸化物燃料電池のコンポーネントの活性表面の少なくとも一部領域から凝離不純物の少なくとも一部を除去する方法であって、前記活性表面の前記少なくとも一部領域をクリーニング剤と接触させる工程を含み、前記接触させる工程が前記凝離不純物の前記少なくとも一部を除去するに十分な時間及び温度においてなされることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記クリーニング剤が、フッ酸、塩酸またはそれらの組合せを含有する酸性溶液を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クリーニング剤が、フッ素化ガス、塩素化ガスまたはそれらの組合せを含有するガスを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クリーニング剤が水素ガスを含み、前記接触させる工程が、前記固体酸化物燃料電池が作動されていない期間中に実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記活性表面の前記少なくとも一部領域を、クリーニング剤との接触後に、中和剤に接触させる工程及び/または前記活性表面の前記少なくとも一部領域を水でリンスする工程、
をさらに含むことを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
固体酸化物燃料電池のコンポーネントの活性表面の少なくとも一部領域から凝離不純物の少なくとも一部を除去することにより、ある期間動作した固体酸化物燃料電池を再生する方法であって、
固体酸化物燃料電池を準備し、
前記固体酸化物燃料電池の活性表面に凝離不純物が生じるのに十分な期間、前記固体酸化物燃料電池を動作させ、
前記固体酸化物燃料電池の動作を中止し、
前記固体酸化物燃料電池のコンポーネントの活性表面の少なくとも一部領域をクリーニング剤と接触させることにより、前記活性表面の前記少なくとも一部領域から凝離不純物の少なくとも一部を除去し、
前記固体酸化物燃料電池の動作を再び開始する、
各工程を有してなり、
前記接触が、前記凝離不純物の前記少なくとも一部を除去するに十分な時間及び温度でなされる、ある期間動作した固体酸化物燃料電池を再生する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−110118(P2013−110118A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−15680(P2013−15680)
【出願日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【分割の表示】特願2009−539308(P2009−539308)の分割
【原出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】