説明

固体酸化物燃料電池

単位体積当たりの電極面積を大幅増加させた高効率の固体酸化物燃料電池は、互いに積層されている複数の単電池を含む。各単電池は、複数のチャネル、および前記チャネルそれぞれに連結される複数の第1通路を有する電解質ブロックと、前記電解質ブロックに前記チャネルの上部を閉鎖するように取り付けられており、前記チャネルそれぞれに連結される複数の第2通路を有するカバープレートと、前記チャネルそれぞれの内面に交互に構成されている複数の空気極および複数の燃料極とをそれぞれ備える。固体酸化物燃料電池は、前記単電池の一側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第1サイドプレートと、前記単電池の他側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第2サイドプレートとをさらに含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)に係り、より詳しくは、単位体積当たりの電極面積を大幅増加させた高効率の固体酸化物燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料の酸化反応を電気化学的に発生させ、酸化反応による自由エネルギーを電気エネルギーに変換させる装置である。燃料電池は、リン酸燃料電池や高分子電解質燃料電池、溶融炭酸燃料電池、固体酸化物燃料電池などの様々な形態と構造で開発されている。
【0003】
固体酸化物燃料電池は、600〜1000℃の高温で作動して電気エネルギーと熱エネルギーを生産するので、現在まで開発されている燃料電池の中でも最もエネルギーの変換効率が高い燃料電池である。したがって、固体酸化物燃料電池は、実用化される場合、高いエネルギーの変換効率のため、既存のエネルギー変換装置を代替することができる。また、固体酸化物燃料電池は、水素を原料とする場合、二酸化炭素(CO)の排出が抑えられて未来のエネルギーシステムのエネルギー源として使用されるであろうと予想される。
【0004】
一方、固体酸化物燃料電池は、高温作動によって燃料極(anode)の内部反応が可能なので、水素以外に天然ガス、石炭ガスなどの多様な燃料を使用することができるという利点がある。また、固体酸化物燃料電池は、溶融炭酸塩燃料電池とは異なり液体電解質を使用しないので、材料の腐食、電解質の損失および補充による問題がないという利点がある。固体酸化物燃料電池から排出される良質の廃熱を用いた廃熱回収および複合発電が可能であって、全体発電システムの効率を向上させることができる。
【0005】
原理上、固体酸化物燃料電池は、酸素イオン伝導性電解質と、電解質の両面に位置した空気極(cathode)および燃料極とを有する単電池から構成されている。単電池の各電極に空気と水素燃料を供給すると、空気極で酸素の還元反応が起こって酸素イオンが生成され、電解質を介して燃料極に移動した酸素イオンはさらに燃料極に供給された水素と反応して水を生成する。この際、燃料極では電子が生成され、空気極では電子が消耗される。燃料極と空気極とを互いに連結すると、電気を得ることができる。
【0006】
このような固体酸化物燃料電池において、酸素イオンの移動を可能にするために電解質の高いイオン伝導性が要求されている。また、電解質は、抵抗の減少のために機械的な耐久性を有する範囲内で、できる限り薄い厚さの薄膜から製造されることが要求されている。
【0007】
固体酸化物燃料電池は、スタック(stack)によって円筒型(Tubular type)と平板型(Planar type)の2種に大別されている。円筒型固体酸化物燃料電池は、韓国登録特許第10−0286779号や韓国登録特許第10−0344936号などの特許文献らから見つけることができる。平板型固体酸化物燃料電池は、例えば韓国公開特許第2000−0059837号に開示されている。
【0008】
平板型固体酸化物燃料電池は自立型燃料電池と支持体型燃料電池に分けられる。自立型燃料電池の単電池は、少なくとも約200μmの厚さを有する電解質基板の両側に厚さ数十μmの陽極と陰極をコートして製造している。支持体型燃料電池の単電池は厚さ1〜2mmの多孔性電極支持体に厚さ約20μmの薄い電解質膜を形成して製造している。
【0009】
ところが、前述した特許文献らの平板型固体酸化物燃料電池を含む従来の技術の固体酸化物燃料電池は、高効率の発電のために電解質の厚さを薄くし、電極の面積を拡大し難い多くの難題を含んでいる。例えば、電解質の厚さを薄くするために電極の表面に電解質をコートして熱処理する場合、電極材料とイオン伝導材料間の相異なる熱的挙動により内部に多くの欠陥を持つ。特に、電極材料上に形成された電解質層にピンホールが発生し、ピンホールを介して燃料と空気が直接接触し合ってエネルギーの変換効率が低下するという欠点が伴っている。また、電極と電解質層の同時焼結(Co-firing)の際には電極と電解質層間の反応によって電解質層の特性が変化し、電解質層のイオン伝導性が低下するという問題がある。
【0010】
一方、固体酸化物燃料電池の高出力化のためには、複数の単電池を接続して広い面積のスタックを構成しなければならない。単電池の接続には金属が使用されているが、この場合、電極を構成するセラミックと金属の熱膨張係数の差により耐久性が脆弱であるという問題がある。特に、固体酸化物燃料電池の運転と停止が繰り返される場合、熱応力によって破損が発生するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、電解質ブロックにチャネルが形成され、電解質ブロックのチャネルそれぞれに空気極と燃料極が構成される構造によって、単位体積当たりの電極面積が大きく増加して高効率を実現することができる固体酸化物燃料電池を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、電解質の厚さを減らしてイオン伝導性を大幅向上させることができ、抵抗が減少して作動温度を大幅低めることができる固体酸化物燃料電池を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、単電池の積層によって構成されるスタックが同種素材で接合され、熱応力による破損が防止されるなど、耐久性および信頼性を向上させることができる固体酸化物燃料電池を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、単電池とスタックの構造が簡単であって容易に小型軽量に製作することができる固体酸化物燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある観点によれば、平坦なベース部と、ベース部の一面に形成されている複数の壁体部とを有し、壁体部同士の間には両側と上部が開放されている複数のチャネルが設けられている電解質ブロックと;電解質ブロックにチャネルの上部を閉鎖するように取り付けられているカバープレートと;空気と燃料それぞれの流れを誘導することができるようにチャネルの内面それぞれに交互に構成されている複数の燃料極とを含んでなる固体酸化物燃料電池が提供される。
【0016】
本発明の他の観点によれば、両側と上部が開放されている複数のチャネル、およびチャネルそれぞれに連結される複数の第1通路を有する電解質ブロックと、電解質ブロックにチャネルの上部を閉鎖するように取り付けられており、チャネルそれぞれに連結される複数の第2通路を有するカバープレートと、空気と燃料それぞれの流れを誘導し得るようにチャネルの内面それぞれに交互に構成されている複数の空気極および複数の燃料極とをそれぞれ備え、互いに積層されている複数の単電池と;単電池の一側にチャネルを閉鎖するように取り付けられている第1サイドプレートと;単電池の他側にチャネルを閉鎖するように取り付けられている第2サイドプレートと;を含んでなる固体酸化物燃料電池が提供される。
【0017】
本発明の別の観点によれば、複数のチャネルを有し、チャネルそれぞれの両側のうち一側が交互に閉鎖されている電解質ブロックと、電解質ブロックにチャネルの上部を閉鎖するように取り付けられているカバープレートと、チャネルそれぞれの内面に交互に構成されている複数の空気極および複数の燃料極とをそれぞれ備える、最上層単電池、最下層単電池および少なくとも一つの中間層単電池と;中間層単電池の一側にチャネルを閉鎖するように取り付けられている第1サイドプレートと;中間層単電池の他側にチャネルを閉鎖するように取り付けられている第2サイトプレートと;を含んでなり、最上層単電池と中間層単電池それぞれの電解質ブロックの一側にはチャネルそれぞれに連結される複数の第1通路が形成されており、中間層単電池のカバープレートの一側にはチャネルそれぞれに連結される複数の第2通路が形成されている、固体酸化物燃料電池が提供される。
【0018】
本発明の別の観点によれば、複数のチャネルを有し、チャネルそれぞれの両側のうち一側が交互に閉鎖されている電解質ブロックと、チャネルそれぞれの内面に交互に構成されている複数の空気極および複数の燃料極とをそれぞれ備える、最上層単電池、最下層単電池および少なくとも一つの中間層単電池と;最上層単電池の上部にチャネルを閉鎖するように取り付けられているカバープレートと;中間層単電池の一側にチャネルを閉鎖するように取り付けられている第1サイドプレートと;中間層単電池の他側にチャネルを閉鎖するように取り付けられている第2サイドプレートと;を含んでなり、最上層単電池と中間層単電池それぞれの電解質ブロックの一側にはチャネルそれぞれに連結される複数の通路が形成されている、固体酸化物燃料電池が提供される。
【0019】
本発明の別の観点によれば、一側に複数の第1チャネルを有し、他側には第1チャネル同士の間に位置するように複数の第2チャネルを有する電解質ブロックと;電解質ブロックの一側に第1チャネルを閉鎖するように取り付けられており、両側には第1チャネルそれぞれの両端に連結される第1通路と第2通路がそれぞれ形成されている第1カバープレートと;電解質ブロックの他側に第2チャネルを閉鎖するように取り付けられており、両側には第2チャネルそれぞれの両端に連結される第3通路と第4通路がそれぞれ形成されている第2カバープレートと;第1チャネルそれぞれに形成されている複数の空気極と;第2チャネルそれぞれに形成されている複数の燃料極と;を含んでなる、固体酸化物燃料電池が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る固体酸化物燃料電池によれば、電解質ブロックにチャネルが設けられ、電解質ブロックのチャネルそれぞれに空気極と燃料極が構成される構造によって、単位体積当たりの電極面積が大幅増加して高効率を実現することができる。空気極と燃料極との間に位置する電解質の厚さを減らしてイオン伝導性を大幅向上させることができ、抵抗が減少して作動温度を大幅低めることができる。また、単電池の積層によって構成されるスタックが同種素材で接合されて熱応力による破損が防止されるなど、耐久性および信頼性を向上させることができ、単電池とスタックの構造が簡単であって大容量の発電システムを小型化および軽量化して施設することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明に係る固体酸化物燃料電池の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は本発明に係る固体酸化物燃料電池の第2実施例を示す斜視図である。
【図5】図5は本発明に係る第2実施例の固体酸化物燃料電池における空気と燃料の流れを示す断面図である。
【図6】図6は本発明に係る固体酸化物燃料電池の第3実施例を示す斜視図である
【図7】図7は本発明に係る第3実施例の固体酸化物燃料電池における空気と燃料の流れを示す断面図である。
【図8】図8は本発明に係る固体酸化物燃料電池の第4実施例を示す斜視図である。
【図9】図9は本発明に係る第4実施例の固体酸化物燃料電池における空気と燃料の流れを示す断面図である。
【図10】図10は本発明に係る固体酸化物燃料電池の第5実施例を示す斜視図である。
【図11】図11は図10のXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図12は図10のXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】図13は図10のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る固体酸化物燃料電池の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
まず、図1〜図3には本発明に係る固体酸化物燃料電池の第1実施例が示されている。図1および図2を参照すると、本発明の第1実施例に係る固体酸化物燃料電池は電解質ブロック10を備える。電解質ブロック10は、イットリア安定化ジルコニア(Yttria Stabilized Zirconia、YSZ)、CeO系電解質、Bi系電解質、LaGaO系電解質などのイオン伝導体から構成できる。
【0024】
電解質ブロック10は平坦なベース部12と、このベース部12の一面に等間隔で形成されている複数の壁体部14とから構成されている。壁体部14同士の間には、両端と上部が開放されている複数のチャネル16が形成されている。壁体部14は数十μmの厚さに形成できる。チャネル16それぞれは壁体部14それぞれの幅に対して約30倍の深さを有する。例えば、壁体部14が50μmの厚さに製造される場合、チャネル16の深さは約1500μmになる。
【0025】
また、電解質ブロック10の上部にはチャネル16を閉鎖するようにカバープレート20が取り付けられている。カバープレート20は電解質ブロック10と同一の電解質、ガラスまたはガラスセラミック(Glass-ceramics)などで構成できる。電解質ブロック10とカバープレート20は高温高圧の下で直接接合されるか、あるいはガラスセラミックなどの密封材によって密封できる。
【0026】
図1〜図3を参照すると、チャネル16の内面に空気極30と燃料極40が交互に構成されている。空気極30と燃料極40それぞれは電気化学蒸着(electrochemical vapor deposition)によって構成できる。また、空気極30と燃料極40それぞれはペースト状に製造され、コーティングによって構成できる。空気極30と燃料極40それぞれには多様な材料が使用できる。代表的に、空気極30はLaSrMnOから構成でき、燃料極40はNi−YSZサーメット(cermet)から構成できる。
【0027】
このような構成を持つ第1実施例の固体酸化物燃料電池は、図3に示すように、空気極30が構成されているチャネル16には空気、すなわち酸素(O)が供給され、燃料極40が構成されているチャネル16には燃料、例えば水素(H)が供給される。図3には空気と燃料が空気極30と燃料極40に沿ってお互いに対して反対方向の流れを持つように供給されることが示されているが、これは例示的なものに過ぎず、空気と燃料の供給方向は任意に選択できる。
【0028】
空気の供給によって、空気極30において酸素の還元反応が起こって酸素イオンが生成される。電解質ブロック10の壁体部14を介して燃料極40に移動した酸素イオンは、さらに燃料極に供給された水素と反応して水を生成する。この際、空気極30では酸素分子が電子によってイオン化されながら電子が消耗され、燃料極40では酸素イオンと水素とが反応して酸化しながら電子が生成される。空気極30と燃料極40とを互いに連結すると、電子の流れが形成されて電気が発生する。空気極30と燃料極40それぞれはバスまたは電流コレクタに接続できる。
【0029】
一方、本発明の第1実施例に係る固体酸化物燃料電池は、電解質ブロック10のチャネル16に空気極30と燃料極40が構成される構造によって壁体部14、すなわち電解質の厚さを薄く形成してイオン伝導性を向上させることができるとともに、空気極30と燃料極40の面積を大きくすることができる。よって、本発明の第1実施例に係る固体酸化物燃料電池は高効率の発電を成し遂げることができる。また、薄い電解質の厚さによって抵抗が減少して作動温度を大幅低めることができるので、例えば携帯用電子装置、小型電子装置などの電源として使用することができる。
【0030】
図4および図5には本発明に係る固体酸化物燃料電池の第2実施例を示している。図4および図5を参照すると、第2実施例の固体酸化物燃料電池は複数の単電池100を備える。各単電池100は電解質ブロック110、カバープレート120、空気極130および燃料極140から構成されている。電解質ブロック110のベース部112、壁体部114、チャネル116、カバープレート120、空気極130および燃料極140は、電解質ブロック10のベース部12、壁体部14、チャネル16、カバープレート20、空気極30および燃料極40と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
【0031】
単電池100は順次積層され、固体酸化物燃料電池のスタック150を構成する。電解質ブロック110のベース部112の一側にはチャネル116に連結される複数の第1通路118が形成されている。図3および図4には第1通路118はベース部112の一端を部分的に切除した切除溝部からなっていることが示されているが、第1通路118はチャネル116に連結される孔としてベース部112の一側に形成されてもよい。また、単電池100は上層単電池100aと下層単電池100bの2つからなっていることが示されているが。単電池100の個数は適切に増加できる。
【0032】
単電池100のうち、上層単電池100aに形成されているチャネル116と、下層単電池100bに形成されているチャネル116とが互いに連結されるように、ベース部112の第1通路118はジグザグ状に配列されている。ベース部112の第1通路118と対角線上に向かい合うカバープレート120の他側には、複数の第2通路122がチャネル116に連結されるように形成されている。第1通路118と第2通路122は、上層単電池100aと下層単電池100bの空気極130と燃料極140それぞれに沿って空気と燃料それぞれの流れをジグザグ状に誘導するように配列されている。
【0033】
スタック150の両側面には、単電池100のチャネル116を閉鎖し得るように第1サイドプレート160と第2サイドプレート162がそれぞれ取り付けられている。第1サイドプレート160と第2サイドプレート162は電解質、ガラスまたはガラスセラミックから構成できる。
【0034】
このような本発明の第2実施例に係る固体酸化物燃料電池は、空気極130が構成されているチャネル116に空気が供給され、燃料極140が構成されているチャネル116には燃料として水素が供給される。空気と燃料は第1通路118、第2通路122、空気極130および燃料極140に沿ってそれぞれジグザグ状の流れを持つ。
【0035】
一方、第2実施例の固体酸化物燃料電池は、単電池100の積層によってスタック150が構成されるので、空気極130と燃料極140の面積、すなわち電極面積が大きく増加して高効率の発電を成し遂げることができる。また、カバープレート120が、単電池100の電解質ブロック110との熱膨張係数差がない同種素材で構成される場合、この単電池100の積層構造によってスタック150が同種素材で接合されて耐久性および信頼性が向上する。そして、カバープレート120と第1および第2サイドプレート160、162がガラスまたはガラスセラミックから構成される場合にも、電解質ブロック110との熱膨張係数差が金属に比べて一層小さい。よって、第2実施例の固体酸化物燃料電池は、運転と停止が繰り返される場合にも、熱応力による破損が防止される。単電池100とスタック150の構造が簡単なので、大容量の発電システムを容易に小型化および軽量化して施設することができる。
【0036】
図6および図7には本発明に係る固体酸化物燃料電池の第3実施例が示されている。図6および図7を参照すると、第3実施例の固体酸化物燃料電池は、複数の単電池200を備える。単電池200は電解質ブロック210、カバープレート230、空気極240および燃料極250から構成されている。電解質ブロック210のベース部212、壁体部214、チャネル216、カバープレート230、空気極240および燃料極250は、電解質ブロック10のベース部12、壁体部14、チャネル16、カバープレート20、空気極30および燃料極40と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
【0037】
チャネル216それぞれの両側のうちいずれか一側が交互に閉鎖するように、隣接する2つの壁体部214それぞれの一側が側壁部220に連結されている。すなわち、側壁部220は、2つの壁体部214それぞれの一側にジグザグ状に連結され、チャネル216それぞれの一側を閉鎖する。
【0038】
単電池200は順次積層され、固体酸化物燃料電池のスタック260を構成する。単電池200は、最上層単電池200a、最下層単電池200b、および最上層単電池200aと最下層単電池200bとの間に積層されている少なくとも一つの中間層単電池200cから構成されている。図6および図7には一つの中間層単電池200cが積層されていることが例示的に示されている。
【0039】
側壁部220と反対側の方向に位置するように最上層単電池200aと中間層単電池200cのベース部212の一側に第2通路218がジグザグ状に形成されている。ベース部212の第1通路218と対角線上に向かい合う、中間層単電池200cのカバープレート230の他側には、複数の第2通路232がチャネル216と連結されるように形成されている。第1通路218と第2通路232は、最上層単電池200a、最下層単電池200bおよび中間層単電池200cの空気極240と燃料極250それぞれに沿って空気と燃料それぞれの流れをジグザグ状に誘導するように配列されている。図6および図7には第1通路218と第2通路232が孔として形成されていることが示されているが、第1通路218と第2通路232はベース部212とカバープレート230の一側を部分的に切除した切除溝部からなってもよい。
【0040】
スタック260の両側面には、中間層単電池200cのチャネル216を閉鎖し得るように、第1サイドプレート270と第2サイドプレート272がそれぞれ取り付けられている。第1サイドプレート270と第2サイドプレート272は電解質、ガラスまたはガラスセラミックから構成できる。
【0041】
このような本発明の第3実施例に係る固体酸化物燃料電池は、空気極240が構成されているチャネル216に空気が供給され、燃料極250が構成されているチャネル216には燃料として水素が供給される。空気と燃料は第1通路218、第2通路232、空気極240および燃料極250に沿ってそれぞれジグザグ状の流れを持つ。図7には空気と燃料が最下層単電池200bのチャネル216を介して供給されることが示されている。ところが、空気と燃料は最上層単電池200aのチャネル216を介して供給されてもよい。この場合、最下層単電池200bの第1通路218は削除され、第1通路218は最上層単電池200aのベース部212に形成される。
【0042】
第3実施例の固体酸化物燃料電池は、単電池200の積層によってスタック260が構成されるので、第2実施例の固体酸化物燃料電池と同様に電極面積が大きく増加して高効率の発電を成し遂げることができ、耐久性および信頼性が向上し、単電池200とスタック260の構造が簡単であって容易に小型軽量に製作することができる。
【0043】
図8および図9には本発明に係る固体酸化物燃料電池の第4実施例が示されている。図8および図9を参照すると、第4実施例の固体酸化物燃料電池は複数の単電池300を備える。単電池300は電解質ブロック310、空気極340および燃料極350から構成されている。電解質ブロック310のベース部312、壁体部314、チャネル316、空気極340および燃料極350は、電解質ブロック10のベース部12、壁体部14、チャネル16、空気極30および燃料極40と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
【0044】
チャネル316それぞれの両側のうちいずれか一側が交互に閉鎖されるように、隣接する2つの壁体部314それぞれの一側に側壁部320が連結されている。すなわち、側壁部320は、2つの壁体部324それぞれの一側にジグザグ状に連結されてチャネル316それぞれの一側を閉鎖する。
【0045】
単電池300は順次積層され、固体酸化物燃料電池のスタック360を構成する。単電池300は、最上層単電池300a、最下層単電池300b、および最上層単電池300aと最下層単電池300bとの間に積層されている少なくとも一つの中間層単電池300cから構成されている。図8および図9には一つの中間層単電池300cが積層されていることが例示的に示されている。
【0046】
側壁部320と反対側の方向に位置するように、最上層単電池300aと中間層単電池300cのベース部312の一側に通路318がジグザグ状に形成されている。通路318は、最上層単電池300a、最下層単電池300bおよび中間層単電池300cの空気極340と燃料極350それぞれに沿って空気と燃料それぞれの流れをジグザグ状に誘導するように配列されている。図8および図9には通路318はベース部312の一端を部分的に切除した切除溝部からなっていることが示されているが、通路318はチャネル316に連結される孔としてベース部312の一側に形成されてもよい。
【0047】
最上層単電池300aの上面には、チャネル316の上方を閉鎖し得るように、カバープレート330が取り付けられている。スタック360の両側面には、中間層単電池300cのチャネル316を閉鎖し得るように、第1サイドプレート370と第2サイドプレート372がそれぞれ取り付けられている。第1サイドプレート370と第2サイドプレート372は電解質、ガラスまたはガラスセラミックから構成できる。
【0048】
このような本発明の第4実施例に係る固体酸化物燃料電池は、空気極340が構成されているチャネル316に空気が供給され、燃料極350が構成されているチャネル316には燃料として水素が供給される。空気と燃料は通路318、空気極340および燃料極450に沿ってそれぞれジグザグ状の流れを持つ。第4実施例の固体酸化物燃料電池は、最上層単電池300aの上面にのみ単一のカバープレート330が取り付けられている。したがって、第4実施例の固体酸化物燃料電池は、単電池200それぞれにカバープレート230が備えられている第3実施例の固体酸化物燃料電池より簡単な構造で製作される。
【0049】
図10〜図13には本発明に係る固体酸化物燃料電池の第5実施例が示されている。図10〜図13を参照すると、第5実施例の固体酸化物燃料電池は電解質ブロック410を備える。電解質ブロック410の一側に複数の第1チャネル412が形成されており、電解質ブロック410の他側には第1チャネル412同士の間に位置するように複数の第2チャネル414が形成されている。第1チャネル412と第2チャネル414との間を区画する壁体部416は数十μmの厚さで同一に形成されている。すなわち、図11に示されているように、第1チャネル412と第2チャネル414それぞれは電解質ブロック410の両側に交互に形成されてジグザグ状の断面を持つ。
【0050】
電解質ブロック410の一側には第1チャネル412を閉鎖するように第1カバープレート420が取り付けられており、電解質ブロック410の他側には第2チャネル414を閉鎖するように第2カバープレート430が取り付けられている。第1カバープレート420の両側には、第1チャネル412の両端に連結されるように第1通路422と第2通路424が形成されている。第2カバープレート430の両側には第2チャネル414の両端に連結されるように第3通路432と第4通路434が形成されている。第1および第2カバープレート420、430は、電解質ブロック410と同一の電解質、ガラスまたはガラスセラミックなどで構成できる。
【0051】
また、第1チャネル412の内面には第1チャネル412に沿って空気の流れを誘導し得るように空気極440がそれぞれ形成されており、第2チャネル414の内面には第2チャネル414に沿って燃料の流れを誘導し得るように燃料極450がそれぞれ形成されている。あるいは、空気極440は第2チャネル414の内面に形成され、燃料極450は第1チャネル412の内面に形成されてもよい。
【0052】
次に、このような構成を持つ本発明の第5実施例に係る固体酸化物燃料電池の作用について図12および図13に基づいて説明する。第1カバープレート420の第1通路422を介して供給される空気は、第1通路422を通過して第1チャネル412の一端に分配されて供給される。第1チャネル412の一端に供給される空気は、第1チャネル412に沿って流れて第2通路424を介して排出される。第2カバープレート430の第3通路432を介して供給される空気は、第3通路432を通過して第2チャネル414の一端に分配されて供給される。第2チャネル414の一端に供給される空気は第2チャネル414に沿って流れて第4通路434を介して排出される。
【0053】
本発明の第5実施例に係る固体酸化物燃料電池は、電解質ブロック410の両側において第1および第2チャネル412、414それぞれに第1カバープレート420の第1および第2通路422、424と第2カバープレート430の第3および第4通路432、434を介して空気と燃料を一括的に供給することができるので、空気と燃料の供給および回収による制御を簡便に行うことができる。
【0054】
以上説明した実施例は、本発明の好適な実施例を説明したものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定するものではない。当該分野における当業者であれば、特許請求の範囲に定められる本発明の範疇から逸脱することなく、多様な変更および変形が可能であると理解されるべきである。
【0055】
発明の様態
本発明の固体酸化物燃料電池は、水素などの燃料を、例えば自動車などの移動体の推進に用いられる電気エネルギーへ電気化学的に転換することに利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネル、および前記チャネルそれぞれに連結される複数の第1通路を有する電解質ブロックと、前記電解質ブロックに前記チャネルの上部を閉鎖するように取り付けられており、前記チャネルそれぞれに連結される複数の第2通路が形成されているカバープレートと、前記チャネルそれぞれの内面に交互に構成されている複数の空気極および複数の燃料極とをそれぞれ備え、互いに積層されている複数の単電池と、
前記単電池の一側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第1サイドプレートと、
前記単電池の他側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第2サイドプレートとを含んでなることを特徴とする、固体酸化物燃料電池。
【請求項2】
前記単電池セルは上層単電池と下層単電池を含み、前記第1通路と前記第2通路は前記上層単電池と前記下層単電池の前記空気極と前記燃料極それぞれに沿って空気と燃料それぞれの流れをジグザグ状に誘導するように配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項3】
前記カバープレート、前記第1サイドプレートおよび前記第2サイドプレートは電解質からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項4】
複数のチャネルを有し、前記チャネルそれぞれの両側のうち一側が交互に閉鎖されている電解質ブロックと、前記電解質ブロックにチャネルの上部を閉鎖するように取り付けられているカバープレートと、前記チャネルそれぞれの内面に交互に構成されている複数の空気極と複数の燃料極をそれぞれ備える、最上層単電池、最下層単電池および少なくとも一つの中間層単電池と;
前記中間層単電池の一側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第1サイドプレートと、
前記中間層単電池の他側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第2サイトプレートとを含んでなり、
前記最上層単電池と前記中間層単電池それぞれの電解質ブロックの一側には前記チャネルそれぞれに連結される複数の第1通路が形成されており、前記中間層単電池のカバープレートの一側には前記チャネルそれぞれに連結される複数の第2通路が形成されていることを特徴とする、固体酸化物燃料電池。
【請求項5】
前記第1通路と前記第2通路は、前記最上層単電池、前記最下層単電池および前記中間層単電池それぞれの空気極と燃料極に沿って空気と燃料それぞれの流れをジグザグ状に誘導するように配列されていることを特徴とする、請求項4に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項6】
前記カバープレート、前記第1サイドプレートおよび前記第2サイドプレートは電解質からなることを特徴とする、請求項4または5に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項7】
複数のチャネルを有し、前記チャネルそれぞれの両側のうち一側が交互に閉鎖されている電解質ブロックと、前記チャネルそれぞれの内面に交互に構成されている複数の空気極と複数の燃料極をそれぞれ備える、最上層単電池、最下層単電池および少なくとも一つの中間層単電池と;
前記最上層単電池の上部に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられているカバープレートと、
前記中間層単電池の一側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第1サイドプレートと、
前記中間層単電池の他側に前記チャネルを閉鎖するように取り付けられている第2サイドプレートとを含んでなり、
前記最上層単電池と前記中間層単電池それぞれの電解質ブロックの一側には、前記チャネルそれぞれに連結される複数の通路が形成されていることを特徴とする、固体酸化物燃料電池。
【請求項8】
前記通路は、前記最上層単電池、前記最下層単電池および前記中間層単電池それぞれの空気極と燃料極に沿って空気と燃料それぞれの流れをジグザグ状に誘導するように配列されていることを特徴とする、請求項7に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項9】
前記カバープレート、前記第1サイドプレートおよび前記第2サイドプレートは電解質からなることを特徴とする、請求項7または8に記載の固体酸化物燃料電池。
【請求項10】
一側に複数の第1チャネルが形成されており、他側には前記第1チャネル同士の間に位置するように複数の第2チャネルが形成されている電解質ブロックと、
前記電解質ブロックの一側に前記第1チャネルを閉鎖するように取り付けられており、両側には前記第1チャネルそれぞれの両端に連結される第1通路と第2通路がそれぞれ形成されている第1カバープレートと、
前記電解質ブロックの他側に前記第2チャネルを閉鎖するように取り付けられており、両側には前記第2チャネルそれぞれの両端に連結される第3通路と第4通路がそれぞれ形成されている第2カバープレートと、
前記第1チャネルそれぞれに形成されている複数の空気極と、
前記第2チャネルそれぞれに形成されている複数の燃料極とを含んでなることを特徴とする、固体酸化物燃料電池。
【請求項11】
前記第1カバープレートと第2カバープレートは電解質からなることを特徴とする、請求項10に記載の固体酸化物燃料電池。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−509728(P2010−509728A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536167(P2009−536167)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005648
【国際公開番号】WO2008/056958
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509129428)ミム セラミックス カンパニー リミテッド (1)
【出願人】(509129439)
【Fターム(参考)】