固体電解コンデンサおよびその製造方法
【課題】箔捲回形コンデンサ素子に導電性高分子の固体電解質を形成してなる固体電解コンデンサを、全体の軸長が短く低背でしかも単位体積あたりの静電容量を増大させた面実装可能なチップ部品にする。
【解決手段】有底筒状体で開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝21,22が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケース20A内に、コンデンサ素子10を各リード端子15b,16bが外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、外装ケース20A内に硬化性樹脂31を充填し硬化させてコンデンサ素子10を固定し、各リード端子15b,16bの先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて各端子収納溝21,22内に収納する。
【解決手段】有底筒状体で開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝21,22が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケース20A内に、コンデンサ素子10を各リード端子15b,16bが外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、外装ケース20A内に硬化性樹脂31を充填し硬化させてコンデンサ素子10を固定し、各リード端子15b,16bの先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて各端子収納溝21,22内に収納する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔捲回形コンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを低背でありながら単位体積あたりの静電容量を増大させた面実装可能なチップ部品とする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体電解コンデンサでは、電解質として導電性高分子からなる固体電解質を用いるため、電解液が含浸されたアルミニウム電解コンデンサで指摘されている液漏れや蒸散と言った問題や、特性劣化がほとんどなく長寿命であり、しかも低ESR化が容易であることなどからして、近年急速に普及されている。
【0003】
箔捲回形コンデンサ素子を用いるアルミニウム固体電解コンデンサは、電解質形成工程を除いて、アルミニウム電解コンデンサとほぼ同じ工程を経て作製される。
【0004】
すなわち、タブ端子がそれぞれ接続されたアルミニウムからなる陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して渦巻き状に捲回したコンデンサ素子に、電解液の含浸に代えて、導電性高分子からなる固体電解質を形成し、外装体としての有底円筒状のアルミニウムケース内に収納し、その開口部を封口ゴムで封止し、開口部端縁をかしめるとともに、封口ゴムに対応するケース周面に横絞り溝を刻設することにより作製される。
【0005】
したがって、外観上は例えば特許文献1に記載されているアルミニウム電解コンデンサとほとんど同じである。
【0006】
また、特許文献2に記載されているように、アルミニウムケースの封口部側に座板を装着し、各リード端子を座板の底面に沿って互いに離れる方向に折り曲げることにより面実装可能なチップ部品とすることができる。
【0007】
しかしながら、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで封止しているため、他のチップ部品に比べて封口ゴムの厚さ分、背(全体の軸長)が高い、という問題がある。
【0008】
封口ゴムの厚さを薄くすれば、その分、低背化することができるが、他方において、リフローはんだ時の熱によるケース内の圧力上昇に耐えられず、いわゆるリフロー膨れが生じやすくなるため、好ましくない。
【0009】
箔積層形とすれば、低背化することができるが、これには専用設備を新規に導入する必要があり、生産コストが高くなる、という別の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−108865号公報
【特許文献2】特開2006−202887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、箔捲回形コンデンサ素子に導電性高分子の固体電解質を形成してなる固体電解コンデンサを、全体の軸長が短く低背でしかも単位体積あたりの静電容量を増大させた面実装可能なチップ部品にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを備え、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴としている。
【0013】
本願の第2発明は、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂からなる蓋板とを備え、上記蓋板には一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から上記蓋板の端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されており、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記蓋板が上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴としている。
【0014】
上記第1および第2発明の好ましい態様によれば、上記コンデンサ素子が、上記硬化性樹脂内に埋没される。
【0015】
また、上記各リード端子の先端部側が、上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化されることが好ましい。
【0016】
上記第2発明において、上記蓋板が上記外装ケースに対して熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に固定するとよい。
【0017】
また、上記第2発明には、上記蓋板が上記外装ケースの外側に張り出す大きさを備えている態様が含まれる。
【0018】
本願の第3発明は上記第1発明の製造方法に関するもので、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを用意し、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴としている。
【0019】
また、本願の第4発明は上記第2発明の製造方法に関するもので、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂板からなり、一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されている蓋板とを用意し、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記蓋板を上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置するとともに、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴としている。
【0020】
上記第3および第4発明において、上記外装ケースの内容積をA,上記コンデンサ素子の上記外装ケース内での体積をBとして、上記外装ケース内に、上記硬化性樹脂をA−B以上に充填して上記コンデンサ素子を上記硬化性樹脂内に埋没することが好ましい。
【0021】
また、上記各リード端子の先端部側を折り曲げるに先立って、上記各リード端子の先端部側を上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化するとよい。
【0022】
上記第4発明において、上記外装ケースに対して上記蓋板を熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に接合することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基本的な構成として、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体からなる外装ケース内に、コンデンサ素子を各リード端子が外装ケース外に引き出された状態で収納し、外装ケース内に硬化性樹脂を充填してコンデンサ素子を固定し、各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げるようにしたことにより、封口ゴムが不要となり、その分、低背化がはかれる。
【0024】
また、外装ケースの開口部が封口ゴムよりも薄い硬化性樹脂で密閉されているため、製品高さが低くなっても内容積がさほど小さくならないことから、単位体積あたりの静電容量を増大させることができる。
【0025】
また、箔捲回形のコンデンサ素子は、既存のチップ形アルミニウム電解コンデンサの生産設備を利用して作製されるため、新規導入設備に要するコスト負担が軽減され、生産コストを低く抑えることができる。
【0026】
また、箔捲回形のコンデンサ素子をチップ化するにしても、封口ゴム,アルミニウムケースや座板等を用いずにすむことから、材料コストの低減および製造工程の簡素化がはかれる。
【0027】
また、硬化性樹脂には熱硬化性もしくは紫外線硬化樹脂が用いられ、これらの使用樹脂は硬化後は弾性を発揮しないことから、チップ加工でのコンデンサ素子へのストレス付加が小さくなり、製品歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】箔巻き取り時の陽極電極箔、陰極電極箔およびセパレータを示す模式図。
【図2】箔捲回形のコンデンサ素子を示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態に適用される外装ケースを示す斜視図。
【図4a】第1実施形態におけるコンデンサ素子収納工程を示す断面図。
【図4b】第1実施形態における硬化性樹脂充填工程を示す断面図。
【図4c】第1実施形態における端子プレス工程を示す断面図。
【図4d】第1実施形態における端子折り曲げ工程を示す断面図。
【図5】第1実施形態に係る固体電解コンデンサを示す斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態に適用される外装ケースを示す斜視図。
【図7a】第2実施形態における硬化性樹脂充填工程を示す断面図。
【図7b】第2実施形態における蓋板被着工程を示す断面図。
【図7c】第2実施形態における端子プレス工程を示す断面図。
【図7d】第2実施形態における端子折り曲げ工程を示す断面図。
【図8】第2実施形態に係る固体電解コンデンサを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して、本発明の第1および第2実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
本発明の固体電解コンデンサは、箔捲回形のコンデンサ素子を用いることから、まず図1に示すように、タブ端子15が取り付けられた陽極電極箔11と、タブ端子16が取り付けられた陰極電極箔13とをセパレータ12,14を介して渦巻き状に捲回することにより、図2に示す円筒状のコンデンサ素子10を作製する。
【0031】
アルミニウム電解コンデンサ素子と同じく、陽極電極箔11には、酸化被膜が形成されたアルミニウム箔、陰極電極箔13には、アルミニウム箔またはその合金箔をエッチングにより表面粗化したもの、あるいはそれに酸化被膜を形成したもの、弁金属箔またはその合金をプレーンのまま、またはエッチングし表面にカーボンやチタンなどの粒子を蒸着等で付着させたものを使用することができる。
【0032】
また、タブ端子15,16には、アルミニウム丸棒線の一端側をプレスして扁平とした羽子板状の端子本体15a,16aの丸棒側の端面に、CP線(ハンダメッキ銅被覆鋼線)15b,16bを溶接してなる端子が用いられてよい。なお、CP線に代えて、錫あるいはハンダメッキ被覆銅線が採用されてもよい。
【0033】
なお、以下の説明において、陽極側のタブ端子15のCP線15bを「陽極リード端子15b」、陰極側のタブ端子16のCP線16bを「陰極リード端子16b」と言うことがある。
【0034】
そして、好ましくはコンデンサ素子10を例えばアジピン酸アンモニウムを主成分とする化成液に浸漬し、タブ端子15を介して陽極電極箔11に所定の電圧を印加して、陽極電極箔11を再化成する。これにより、箔捲回時に生じた陽極電極箔11の酸化皮膜の欠損箇所および箔スリット時の箔端面を修復化成する。
【0035】
その後、コンデンサ素子10に所定のモノマー(例えば、チオフェンモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン))と酸化剤を含浸し、化学重合させて導電性高分子からなる固体電解質を形成する。
【0036】
固体電解質が形成されたコンデンサ素子10を、図5に例示されている面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Aとするにあたって、第1実施形態では、図3に示す外装ケース20Aを用いる。
【0037】
この外装ケース20Aは、一端側(図3において底部側)が閉じられ、他端側に開口部23を有する有底筒状体であり、開口部23の端縁23aには、180゜対向する部分の2箇所に端子収納溝21,22が形成されている。なお、外装ケース20Aは、コンデンサ素子10の軸長(高さ)よりも深い深さを有している。
【0038】
図3に示す外装ケース20Aは、四角筒体であるが円筒体であってもよい。外装ケース20Aは、リフローはんだ時の熱に耐え得る、例えばポリフェニレンスルファイド(PPS),エポキシ樹脂,フェノール樹脂等の耐熱性合成樹脂材から作製されることが好ましい。
【0039】
次に、図4a〜図4fを参照して、図5に例示されている面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1の製造工程の一例について説明する。
【0040】
まず、図4aに示すように、陽極リード端子15b,陰極リード端子16bを外装ケース20Aの外側に引き出した状態として、固体電解質が形成されたコンデンサ素子10を外装ケース20A内に収納する。
【0041】
次に、図4bに示すように、外装ケース20A内に硬化性樹脂31を充填する。硬化性樹脂31は、少なくとも外装ケース20Aの内面とコンデンサ素子10の外周面との間の隙間に充填されればよいが、好ましくは外装ケース20Aの上面開口部23に至るまで充填し、硬化性樹脂31内にコンデンサ素子10を埋没させて、コンデンサ素子10を外気から遮断するとよい。
【0042】
硬化性樹脂31内にコンデンサ素子10を完全に埋没させるには、外装ケース20の内容積をA,コンデンサ素子10の体積をBとして、硬化性樹脂31をA−B以上に充填すればよい。
【0043】
硬化性樹脂31には、熱硬化性樹脂もしくは紫外線硬化形樹脂等が用いられるが、外装ケース20A内の硬化性樹脂31をまんべんなく硬化するうえで、熱硬化性樹脂が好ましく採用される。
【0044】
硬化性樹脂31の硬化をまって、図4cに示すように、外装ケース20Aから引き出されている陽極リード端子15b,陰極リード端子16bの各先端部分をそれぞれ扁平にプレス加工する。
【0045】
すなわち、図4cにおいて、各リード端子15b,16bをそれぞれ左右方向からプレスして、後述するように、各リード端子15b,16bを折り曲げて端子収納溝21,22収納する際、その端子収納溝21,22の溝底面とほぼ平行に扁平化する。
【0046】
しかる後、図4dに示すように、各リード端子15b,16bを互いに離れる方向に折り曲げて端子収納溝21,22内に収納することにより、図5に示す面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Aを得ることができる。
【0047】
これによれば、上記従来例における封口ゴムが不要となり、その分、低背化がはかれる。また、外装ケース20Aの開口部23が封口ゴムよりも薄い硬化性樹脂31で密閉されているため、製品高さが低くなっても内容積がさほど小さくならないことから、単位体積あたりの静電容量を増大させることができる。
【0048】
また、箔捲回形のコンデンサ素子10は、既存のチップ形アルミニウム電解コンデンサの生産設備を利用して作製されるため、新規導入設備に要するコスト負担が軽減され、生産コストを低く抑えることができる。
【0049】
また、箔捲回形のコンデンサ素子10をチップ化するにしても、封口ゴム,アルミニウムケースや座板等を用いずにすむことから、材料コストの低減および製造工程の簡素化がはかれる。
【0050】
なお、図4cの端子プレス工程を先に行ってから、図4bの硬化性樹脂の充填工程を行ってもよく、また、場合によっては、図4cの端子プレス工程および図4dの端子折り曲げ工程を行ったのち、図4bの硬化性樹脂の充填工程を行ってもよい。
【0051】
さらには、図4cの端子プレス工程および図4dの端子折り曲げ工程を行ってから、図4aに示すように外装ケース20A内に収納し、その後、図4bの硬化性樹脂の充填工程を行ってもよい。
【0052】
次に、図6,図7a〜図7dおよび図8により、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、外装体として、図6に示す蓋板40付きの外装ケース20Bを用い、図8に示すチップ化された固体電解質コンデンサ1Bを得る。
【0053】
また、コンデンサ素子には、上記実施形態1と同じく、先の図1,2で説明した固体電解質が形成された箔捲回形のコンデンサ素子10を用いる。
【0054】
外装ケース20Bは、一端側(図6において底部側)が閉じられ、他端側に開口部23を有する有底筒状体であり、この例では、四角筒体であるが円筒体であってもよい。外装ケース20Bも、コンデンサ素子10の軸長(高さ)よりも深い深さを有している。
【0055】
蓋板40は、外装ケース20Bの開口部を塞ぐ封口板で、一対のリード挿通孔41a,42aが穿設されている。また、蓋板40の外面(図6において上面)には、リード挿通孔41a,42aから蓋板の端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝41b,42bが形成されている。
【0056】
外装ケース20Bおよび蓋板40は、リフローはんだ時の熱に耐え得る、例えばポリフェニレンスルファイド(PPS),エポキシ樹脂,フェノール樹脂等の耐熱性合成樹脂材から作製されることが好ましい。
【0057】
図7a〜図7dを参照して、図8に例示されている面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Bの製造工程の一例について説明する。
【0058】
まず、図7aに示すように、陽極リード端子15b,陰極リード端子16bを外装ケース20Bの外側に引き出した状態として、固体電解質が形成されたコンデンサ素子10を外装ケース20B内に収納し、外装ケース20B内に硬化性樹脂31を充填する。
【0059】
硬化性樹脂31は、少なくとも外装ケース20Bの内面とコンデンサ素子10の外周面との間の隙間に充填されればよいが、好ましくは外装ケース20Bの上面開口部23に至るまで充填し、硬化性樹脂31内にコンデンサ素子10を埋没させて、コンデンサ素子10を外気から遮断するとよい。
【0060】
硬化性樹脂31には、熱硬化性樹脂もしくは紫外線硬化形樹脂等が用いられるが、外装ケース20B内の硬化性樹脂31をまんべんなく硬化するうえで、熱硬化性樹脂が好ましく採用される。
【0061】
次に、図7bに示すように、リード挿通孔41a,42aに陽極リード端子15b,陰極リード端子16bを挿通しながら、蓋板40を外装ケース20Bに取り付けて開口部23を塞ぎ、蓋板40を外装ケース20Bに一体的に固定する。
【0062】
その固定方法は、熱融着,接着もしくは超音波溶接法のいずれかの方法によることが好ましい。
【0063】
次に、図7cに示すように、外装ケース20Bから引き出されている陽極リード端子15b,陰極リード端子16bの各先端部分をそれぞれ扁平にプレス加工する。
【0064】
すなわち、図7cにおいて、各リード端子15b,16bをそれぞれ左右方向からプレスして、後述するように、各リード端子15b,16bを折り曲げて端子収納溝41b,42bに収納する際、その端子収納溝41b,42bの溝底面とほぼ平行に扁平化する。
【0065】
しかる後、図7dに示すように、各リード端子15b,16bを互いに離れる方向に折り曲げて端子収納溝41b,42b内に収納することにより、図8に示す面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Bを得ることができる。
【0066】
上記第2実施形態において、実装時の安定性を高めるため、蓋板40を座板として外装ケース20Bの外側に張り出す大きさにしてもよい。
【実施例】
【0067】
〔本発明の実施例〕
コンデンサ素子として、定格電圧:2.5V,直径:5.5mm,軸長(高さ):3.2mmの箔捲回形コンデンサ素子を用いた(外観は図2参照)。外装ケースには、上記第1実施形態で説明した図3に示す形態の外装ケース20Aを用い、図4a〜図4dの工程を経て図5に示すチップ形の固体電解コンデンサを作製した。
【0068】
〔比較例〕
コンデンサ素子には、上記実施例と同等材料を用い、製品高さが同じになるように、定格電圧:2.5V,直径:5.5mm,軸長(高さ):2.5mmの箔捲回形コンデンサ素子を用いた。外装ケースは有底円筒状のアルミニウムケースで、アルミニウムケース内にコンデンサ素子を収納したのち、常法にしたがって、封口ゴムで封口し、その封口部側に座板を取り付け、各リード端子を座板面に沿って互いに離れる方向に折り曲げてチップ化した。
【0069】
上記実施例および上記比較例に係る試作品をそれぞれ5個作製し、製品高さ(mm),静電容量(μF)およびESR(等価直列抵抗)を測定した結果を表1に示す。なお、ESRは、比較例の平均値を1.00とした指数で示している。
【0070】
【表1】
【0071】
これから分かるように、本発明によれば、比較例よりも素子体積を1.6倍に大きくすることができ、また、静電容量は大きく、ESRは小さくなり、良好な値が得られた。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B 固体電解コンデンサ
10 コンデンサ素子
15b 陽極リード端子
16b 陰極リード端子
20A,20B 外装ケース
21a,22a リード挿通孔
21b,22b 端子収納溝
31 硬化性樹脂
40 蓋体
41a,42a リード挿通孔
41b,42b 端子収納溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔捲回形コンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを低背でありながら単位体積あたりの静電容量を増大させた面実装可能なチップ部品とする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体電解コンデンサでは、電解質として導電性高分子からなる固体電解質を用いるため、電解液が含浸されたアルミニウム電解コンデンサで指摘されている液漏れや蒸散と言った問題や、特性劣化がほとんどなく長寿命であり、しかも低ESR化が容易であることなどからして、近年急速に普及されている。
【0003】
箔捲回形コンデンサ素子を用いるアルミニウム固体電解コンデンサは、電解質形成工程を除いて、アルミニウム電解コンデンサとほぼ同じ工程を経て作製される。
【0004】
すなわち、タブ端子がそれぞれ接続されたアルミニウムからなる陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して渦巻き状に捲回したコンデンサ素子に、電解液の含浸に代えて、導電性高分子からなる固体電解質を形成し、外装体としての有底円筒状のアルミニウムケース内に収納し、その開口部を封口ゴムで封止し、開口部端縁をかしめるとともに、封口ゴムに対応するケース周面に横絞り溝を刻設することにより作製される。
【0005】
したがって、外観上は例えば特許文献1に記載されているアルミニウム電解コンデンサとほとんど同じである。
【0006】
また、特許文献2に記載されているように、アルミニウムケースの封口部側に座板を装着し、各リード端子を座板の底面に沿って互いに離れる方向に折り曲げることにより面実装可能なチップ部品とすることができる。
【0007】
しかしながら、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで封止しているため、他のチップ部品に比べて封口ゴムの厚さ分、背(全体の軸長)が高い、という問題がある。
【0008】
封口ゴムの厚さを薄くすれば、その分、低背化することができるが、他方において、リフローはんだ時の熱によるケース内の圧力上昇に耐えられず、いわゆるリフロー膨れが生じやすくなるため、好ましくない。
【0009】
箔積層形とすれば、低背化することができるが、これには専用設備を新規に導入する必要があり、生産コストが高くなる、という別の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−108865号公報
【特許文献2】特開2006−202887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、箔捲回形コンデンサ素子に導電性高分子の固体電解質を形成してなる固体電解コンデンサを、全体の軸長が短く低背でしかも単位体積あたりの静電容量を増大させた面実装可能なチップ部品にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを備え、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴としている。
【0013】
本願の第2発明は、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂からなる蓋板とを備え、上記蓋板には一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から上記蓋板の端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されており、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記蓋板が上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴としている。
【0014】
上記第1および第2発明の好ましい態様によれば、上記コンデンサ素子が、上記硬化性樹脂内に埋没される。
【0015】
また、上記各リード端子の先端部側が、上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化されることが好ましい。
【0016】
上記第2発明において、上記蓋板が上記外装ケースに対して熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に固定するとよい。
【0017】
また、上記第2発明には、上記蓋板が上記外装ケースの外側に張り出す大きさを備えている態様が含まれる。
【0018】
本願の第3発明は上記第1発明の製造方法に関するもので、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを用意し、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴としている。
【0019】
また、本願の第4発明は上記第2発明の製造方法に関するもので、ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂板からなり、一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されている蓋板とを用意し、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記蓋板を上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置するとともに、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴としている。
【0020】
上記第3および第4発明において、上記外装ケースの内容積をA,上記コンデンサ素子の上記外装ケース内での体積をBとして、上記外装ケース内に、上記硬化性樹脂をA−B以上に充填して上記コンデンサ素子を上記硬化性樹脂内に埋没することが好ましい。
【0021】
また、上記各リード端子の先端部側を折り曲げるに先立って、上記各リード端子の先端部側を上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化するとよい。
【0022】
上記第4発明において、上記外装ケースに対して上記蓋板を熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に接合することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基本的な構成として、一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体からなる外装ケース内に、コンデンサ素子を各リード端子が外装ケース外に引き出された状態で収納し、外装ケース内に硬化性樹脂を充填してコンデンサ素子を固定し、各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げるようにしたことにより、封口ゴムが不要となり、その分、低背化がはかれる。
【0024】
また、外装ケースの開口部が封口ゴムよりも薄い硬化性樹脂で密閉されているため、製品高さが低くなっても内容積がさほど小さくならないことから、単位体積あたりの静電容量を増大させることができる。
【0025】
また、箔捲回形のコンデンサ素子は、既存のチップ形アルミニウム電解コンデンサの生産設備を利用して作製されるため、新規導入設備に要するコスト負担が軽減され、生産コストを低く抑えることができる。
【0026】
また、箔捲回形のコンデンサ素子をチップ化するにしても、封口ゴム,アルミニウムケースや座板等を用いずにすむことから、材料コストの低減および製造工程の簡素化がはかれる。
【0027】
また、硬化性樹脂には熱硬化性もしくは紫外線硬化樹脂が用いられ、これらの使用樹脂は硬化後は弾性を発揮しないことから、チップ加工でのコンデンサ素子へのストレス付加が小さくなり、製品歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】箔巻き取り時の陽極電極箔、陰極電極箔およびセパレータを示す模式図。
【図2】箔捲回形のコンデンサ素子を示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態に適用される外装ケースを示す斜視図。
【図4a】第1実施形態におけるコンデンサ素子収納工程を示す断面図。
【図4b】第1実施形態における硬化性樹脂充填工程を示す断面図。
【図4c】第1実施形態における端子プレス工程を示す断面図。
【図4d】第1実施形態における端子折り曲げ工程を示す断面図。
【図5】第1実施形態に係る固体電解コンデンサを示す斜視図。
【図6】本発明の第2実施形態に適用される外装ケースを示す斜視図。
【図7a】第2実施形態における硬化性樹脂充填工程を示す断面図。
【図7b】第2実施形態における蓋板被着工程を示す断面図。
【図7c】第2実施形態における端子プレス工程を示す断面図。
【図7d】第2実施形態における端子折り曲げ工程を示す断面図。
【図8】第2実施形態に係る固体電解コンデンサを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して、本発明の第1および第2実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
本発明の固体電解コンデンサは、箔捲回形のコンデンサ素子を用いることから、まず図1に示すように、タブ端子15が取り付けられた陽極電極箔11と、タブ端子16が取り付けられた陰極電極箔13とをセパレータ12,14を介して渦巻き状に捲回することにより、図2に示す円筒状のコンデンサ素子10を作製する。
【0031】
アルミニウム電解コンデンサ素子と同じく、陽極電極箔11には、酸化被膜が形成されたアルミニウム箔、陰極電極箔13には、アルミニウム箔またはその合金箔をエッチングにより表面粗化したもの、あるいはそれに酸化被膜を形成したもの、弁金属箔またはその合金をプレーンのまま、またはエッチングし表面にカーボンやチタンなどの粒子を蒸着等で付着させたものを使用することができる。
【0032】
また、タブ端子15,16には、アルミニウム丸棒線の一端側をプレスして扁平とした羽子板状の端子本体15a,16aの丸棒側の端面に、CP線(ハンダメッキ銅被覆鋼線)15b,16bを溶接してなる端子が用いられてよい。なお、CP線に代えて、錫あるいはハンダメッキ被覆銅線が採用されてもよい。
【0033】
なお、以下の説明において、陽極側のタブ端子15のCP線15bを「陽極リード端子15b」、陰極側のタブ端子16のCP線16bを「陰極リード端子16b」と言うことがある。
【0034】
そして、好ましくはコンデンサ素子10を例えばアジピン酸アンモニウムを主成分とする化成液に浸漬し、タブ端子15を介して陽極電極箔11に所定の電圧を印加して、陽極電極箔11を再化成する。これにより、箔捲回時に生じた陽極電極箔11の酸化皮膜の欠損箇所および箔スリット時の箔端面を修復化成する。
【0035】
その後、コンデンサ素子10に所定のモノマー(例えば、チオフェンモノマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン))と酸化剤を含浸し、化学重合させて導電性高分子からなる固体電解質を形成する。
【0036】
固体電解質が形成されたコンデンサ素子10を、図5に例示されている面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Aとするにあたって、第1実施形態では、図3に示す外装ケース20Aを用いる。
【0037】
この外装ケース20Aは、一端側(図3において底部側)が閉じられ、他端側に開口部23を有する有底筒状体であり、開口部23の端縁23aには、180゜対向する部分の2箇所に端子収納溝21,22が形成されている。なお、外装ケース20Aは、コンデンサ素子10の軸長(高さ)よりも深い深さを有している。
【0038】
図3に示す外装ケース20Aは、四角筒体であるが円筒体であってもよい。外装ケース20Aは、リフローはんだ時の熱に耐え得る、例えばポリフェニレンスルファイド(PPS),エポキシ樹脂,フェノール樹脂等の耐熱性合成樹脂材から作製されることが好ましい。
【0039】
次に、図4a〜図4fを参照して、図5に例示されている面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1の製造工程の一例について説明する。
【0040】
まず、図4aに示すように、陽極リード端子15b,陰極リード端子16bを外装ケース20Aの外側に引き出した状態として、固体電解質が形成されたコンデンサ素子10を外装ケース20A内に収納する。
【0041】
次に、図4bに示すように、外装ケース20A内に硬化性樹脂31を充填する。硬化性樹脂31は、少なくとも外装ケース20Aの内面とコンデンサ素子10の外周面との間の隙間に充填されればよいが、好ましくは外装ケース20Aの上面開口部23に至るまで充填し、硬化性樹脂31内にコンデンサ素子10を埋没させて、コンデンサ素子10を外気から遮断するとよい。
【0042】
硬化性樹脂31内にコンデンサ素子10を完全に埋没させるには、外装ケース20の内容積をA,コンデンサ素子10の体積をBとして、硬化性樹脂31をA−B以上に充填すればよい。
【0043】
硬化性樹脂31には、熱硬化性樹脂もしくは紫外線硬化形樹脂等が用いられるが、外装ケース20A内の硬化性樹脂31をまんべんなく硬化するうえで、熱硬化性樹脂が好ましく採用される。
【0044】
硬化性樹脂31の硬化をまって、図4cに示すように、外装ケース20Aから引き出されている陽極リード端子15b,陰極リード端子16bの各先端部分をそれぞれ扁平にプレス加工する。
【0045】
すなわち、図4cにおいて、各リード端子15b,16bをそれぞれ左右方向からプレスして、後述するように、各リード端子15b,16bを折り曲げて端子収納溝21,22収納する際、その端子収納溝21,22の溝底面とほぼ平行に扁平化する。
【0046】
しかる後、図4dに示すように、各リード端子15b,16bを互いに離れる方向に折り曲げて端子収納溝21,22内に収納することにより、図5に示す面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Aを得ることができる。
【0047】
これによれば、上記従来例における封口ゴムが不要となり、その分、低背化がはかれる。また、外装ケース20Aの開口部23が封口ゴムよりも薄い硬化性樹脂31で密閉されているため、製品高さが低くなっても内容積がさほど小さくならないことから、単位体積あたりの静電容量を増大させることができる。
【0048】
また、箔捲回形のコンデンサ素子10は、既存のチップ形アルミニウム電解コンデンサの生産設備を利用して作製されるため、新規導入設備に要するコスト負担が軽減され、生産コストを低く抑えることができる。
【0049】
また、箔捲回形のコンデンサ素子10をチップ化するにしても、封口ゴム,アルミニウムケースや座板等を用いずにすむことから、材料コストの低減および製造工程の簡素化がはかれる。
【0050】
なお、図4cの端子プレス工程を先に行ってから、図4bの硬化性樹脂の充填工程を行ってもよく、また、場合によっては、図4cの端子プレス工程および図4dの端子折り曲げ工程を行ったのち、図4bの硬化性樹脂の充填工程を行ってもよい。
【0051】
さらには、図4cの端子プレス工程および図4dの端子折り曲げ工程を行ってから、図4aに示すように外装ケース20A内に収納し、その後、図4bの硬化性樹脂の充填工程を行ってもよい。
【0052】
次に、図6,図7a〜図7dおよび図8により、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、外装体として、図6に示す蓋板40付きの外装ケース20Bを用い、図8に示すチップ化された固体電解質コンデンサ1Bを得る。
【0053】
また、コンデンサ素子には、上記実施形態1と同じく、先の図1,2で説明した固体電解質が形成された箔捲回形のコンデンサ素子10を用いる。
【0054】
外装ケース20Bは、一端側(図6において底部側)が閉じられ、他端側に開口部23を有する有底筒状体であり、この例では、四角筒体であるが円筒体であってもよい。外装ケース20Bも、コンデンサ素子10の軸長(高さ)よりも深い深さを有している。
【0055】
蓋板40は、外装ケース20Bの開口部を塞ぐ封口板で、一対のリード挿通孔41a,42aが穿設されている。また、蓋板40の外面(図6において上面)には、リード挿通孔41a,42aから蓋板の端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝41b,42bが形成されている。
【0056】
外装ケース20Bおよび蓋板40は、リフローはんだ時の熱に耐え得る、例えばポリフェニレンスルファイド(PPS),エポキシ樹脂,フェノール樹脂等の耐熱性合成樹脂材から作製されることが好ましい。
【0057】
図7a〜図7dを参照して、図8に例示されている面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Bの製造工程の一例について説明する。
【0058】
まず、図7aに示すように、陽極リード端子15b,陰極リード端子16bを外装ケース20Bの外側に引き出した状態として、固体電解質が形成されたコンデンサ素子10を外装ケース20B内に収納し、外装ケース20B内に硬化性樹脂31を充填する。
【0059】
硬化性樹脂31は、少なくとも外装ケース20Bの内面とコンデンサ素子10の外周面との間の隙間に充填されればよいが、好ましくは外装ケース20Bの上面開口部23に至るまで充填し、硬化性樹脂31内にコンデンサ素子10を埋没させて、コンデンサ素子10を外気から遮断するとよい。
【0060】
硬化性樹脂31には、熱硬化性樹脂もしくは紫外線硬化形樹脂等が用いられるが、外装ケース20B内の硬化性樹脂31をまんべんなく硬化するうえで、熱硬化性樹脂が好ましく採用される。
【0061】
次に、図7bに示すように、リード挿通孔41a,42aに陽極リード端子15b,陰極リード端子16bを挿通しながら、蓋板40を外装ケース20Bに取り付けて開口部23を塞ぎ、蓋板40を外装ケース20Bに一体的に固定する。
【0062】
その固定方法は、熱融着,接着もしくは超音波溶接法のいずれかの方法によることが好ましい。
【0063】
次に、図7cに示すように、外装ケース20Bから引き出されている陽極リード端子15b,陰極リード端子16bの各先端部分をそれぞれ扁平にプレス加工する。
【0064】
すなわち、図7cにおいて、各リード端子15b,16bをそれぞれ左右方向からプレスして、後述するように、各リード端子15b,16bを折り曲げて端子収納溝41b,42bに収納する際、その端子収納溝41b,42bの溝底面とほぼ平行に扁平化する。
【0065】
しかる後、図7dに示すように、各リード端子15b,16bを互いに離れる方向に折り曲げて端子収納溝41b,42b内に収納することにより、図8に示す面実装可能なチップ化された固体電解コンデンサ1Bを得ることができる。
【0066】
上記第2実施形態において、実装時の安定性を高めるため、蓋板40を座板として外装ケース20Bの外側に張り出す大きさにしてもよい。
【実施例】
【0067】
〔本発明の実施例〕
コンデンサ素子として、定格電圧:2.5V,直径:5.5mm,軸長(高さ):3.2mmの箔捲回形コンデンサ素子を用いた(外観は図2参照)。外装ケースには、上記第1実施形態で説明した図3に示す形態の外装ケース20Aを用い、図4a〜図4dの工程を経て図5に示すチップ形の固体電解コンデンサを作製した。
【0068】
〔比較例〕
コンデンサ素子には、上記実施例と同等材料を用い、製品高さが同じになるように、定格電圧:2.5V,直径:5.5mm,軸長(高さ):2.5mmの箔捲回形コンデンサ素子を用いた。外装ケースは有底円筒状のアルミニウムケースで、アルミニウムケース内にコンデンサ素子を収納したのち、常法にしたがって、封口ゴムで封口し、その封口部側に座板を取り付け、各リード端子を座板面に沿って互いに離れる方向に折り曲げてチップ化した。
【0069】
上記実施例および上記比較例に係る試作品をそれぞれ5個作製し、製品高さ(mm),静電容量(μF)およびESR(等価直列抵抗)を測定した結果を表1に示す。なお、ESRは、比較例の平均値を1.00とした指数で示している。
【0070】
【表1】
【0071】
これから分かるように、本発明によれば、比較例よりも素子体積を1.6倍に大きくすることができ、また、静電容量は大きく、ESRは小さくなり、良好な値が得られた。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B 固体電解コンデンサ
10 コンデンサ素子
15b 陽極リード端子
16b 陰極リード端子
20A,20B 外装ケース
21a,22a リード挿通孔
21b,22b 端子収納溝
31 硬化性樹脂
40 蓋体
41a,42a リード挿通孔
41b,42b 端子収納溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを備え、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂からなる蓋板とを備え、上記蓋板には一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から上記蓋板の端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されており、
上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記蓋板が上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項3】
上記コンデンサ素子が、上記硬化性樹脂内に埋没されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
上記各リード端子の先端部側が、上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
上記蓋板が上記外装ケースに対して熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に固定されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項6】
上記蓋板が上記外装ケースの外側に張り出す大きさを備えていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項7】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを用意し、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項8】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂板からなり、一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されている蓋板とを用意し、
上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記蓋板を上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置するとともに、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項9】
上記外装ケースの内容積をA,上記コンデンサ素子の上記外装ケース内での体積をBとして、上記外装ケース内に、上記硬化性樹脂をA−B以上に充填して上記コンデンサ素子を上記硬化性樹脂内に埋没することを特徴とする請求項7または8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項10】
上記各リード端子の先端部側を折り曲げるに先立って、上記各リード端子の先端部側を上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項11】
上記外装ケースに対して上記蓋板を熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に接合することを特徴とする請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項1】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを備え、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサにおいて、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂からなる蓋板とを備え、上記蓋板には一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から上記蓋板の端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されており、
上記外装ケース内に上記コンデンサ素子が上記各リード端子を上記外装ケース外に引き出した状態で収納され、上記外装ケース内で上記コンデンサ素子が硬化性樹脂により固定され、上記蓋板が上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置され、上記各リード端子の先端部側が互いに離れる方向に折り曲げられて上記各端子収納溝内に収納され、面実装可能なチップ部品として構成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項3】
上記コンデンサ素子が、上記硬化性樹脂内に埋没されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
上記各リード端子の先端部側が、上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
上記蓋板が上記外装ケースに対して熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に固定されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項6】
上記蓋板が上記外装ケースの外側に張り出す大きさを備えていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項7】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で上記開口部の端縁の対向する部分の2箇所に端子収納溝が形成されている耐熱合成樹脂からなる外装ケースを用意し、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項8】
ともにリード端子が取り付けられている陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して捲回してなる箔捲回形のコンデンサ素子に導電性高分子からなる固体電解質が形成されている固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とする固体電解コンデンサの製造方法において、
一端側が閉じられ他端側に開口部を有する有底筒状体で耐熱合成樹脂からなる外装ケースと、上記外装ケースの開口部側に配置される耐熱合成樹脂板からなり、一対のリード挿通孔が穿設されているとともに、外面側に上記各リード挿通孔から端縁にかけて互いに反対方向に延びる端子収納溝が形成されている蓋板とを用意し、
上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を上記各リード端子が上記外装ケース外に引き出された状態で収納したのち、上記外装ケースの内面と上記コンデンサ素子の外周面との間の隙間に硬化性樹脂を充填し硬化させて、上記外装ケース内に上記コンデンサ素子を固定し、上記蓋板を上記各リード挿通孔に上記各リード端子を挿通した状態で上記外装ケースの開口部に配置するとともに、上記各リード端子の先端部側を互いに離れる方向に折り曲げて上記各端子収納溝内に収納することにより、上記固体電解コンデンサを面実装可能なチップ形部品とすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項9】
上記外装ケースの内容積をA,上記コンデンサ素子の上記外装ケース内での体積をBとして、上記外装ケース内に、上記硬化性樹脂をA−B以上に充填して上記コンデンサ素子を上記硬化性樹脂内に埋没することを特徴とする請求項7または8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項10】
上記各リード端子の先端部側を折り曲げるに先立って、上記各リード端子の先端部側を上記端子収納溝の溝底面とほぼ平行に扁平化することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項11】
上記外装ケースに対して上記蓋板を熱融着,接着もしくは超音波溶接のいずれか一つの方法によって一体的に接合することを特徴とする請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【公開番号】特開2011−3700(P2011−3700A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145096(P2009−145096)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000103220)エルナー株式会社 (48)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000103220)エルナー株式会社 (48)
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