説明

固体電解コンデンサ及びその製造方法

【課題】低ESR化の実現が可能な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る固体電解コンデンサは、陽極シート11と、該陽極シート11の表面の少なくとも一部の領域11aに形成された陽極体12と、該陽極体12を構成する導電性材料の表面に形成された誘電体層13と、該誘電体層13上に形成された電解質層14と、該電解質層14上に形成された陰極層15とを備えている。そして、陽極体12の外形を構成する表面のうち陰極層側の面12aに、第1凹部及び第1凸部の少なくとも何れか一方が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図18は、本願に関連する従来の固体電解コンデンサを示した断面図である。図18に示す様に、従来の固体電解コンデンサは、コンデンサ素子81と、該コンデンサ素子81を被覆した外装82と、陽極端子83と、陰極端子84とを備えている(例えば、特許文献1参照)。コンデンサ素子81は、平坦な弁金属箔811と、該弁金属箔811の表面に形成された陽極体812と、該陽極体812を構成する弁金属材料の表面に形成された誘電体層813と、該誘電体層813上に形成された電解質層814と、該電解質層814上に形成された陰極層815とを有している。そして、陽極端子83は弁金属箔811に電気的に接続され、陰極端子84は陰極層815に電気的に接続されている。
【0003】
上記固体電解コンデンサの製造プロセスでは、平坦な弁金属箔811の表面に、弁金属材料を主成分として含む塗布膜を形成する。そして、塗布膜を乾燥させた後、塗布膜に対して熱処理を施すことにより、塗布膜中の弁金属材料を焼結させる。この様にして、塗布膜から陽極体812を作製する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−241435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、固体電解コンデンサが搭載される電子機器の小型化及び高性能化に伴い、固体電解コンデンサの低ESR(等価直列抵抗)化が望まれている。しかしながら、図18に示す従来の構成では低ESR化に限界があった。
【0006】
又、製造プロセスにおいて、弁金属箔811に、捻れや湾曲(反り)等の変形が生じ易かった。具体的には、塗布膜の乾燥時及び熱処理時において、塗布膜の収縮率が弁金属箔811の収縮率よりも大きい。このため、塗布膜の収縮に伴って弁金属箔811には曲げ応力が加わり、その結果として、弁金属箔811に変形が生じる。弁金属箔811の変形は、製造プロセスに悪影響を及ぼすと共に、固体電解コンデンサの歩留りを低下させる。
【0007】
そこで本発明の目的は、低ESR化の実現が可能な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することである。更なる目的は、製造プロセスにおいて弁金属箔等の陽極シートに変形が生じ難い固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る固体電解コンデンサは、陽極シートと、該陽極シートの表面の少なくとも一部の領域に形成された陽極体と、該陽極体を構成する導電性材料の表面に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された電解質層と、該電解質層上に形成された陰極層とを備えている。そして、陽極体の外形を構成する表面のうち陰極層側の面に、第1凹部及び第1凸部の少なくとも何れか一方が形成されている。
【0009】
上記固体電解コンデンサにおいては、陽極体の外形を構成する表面に第1凹部又は第1凸部が形成されている。従って、陽極体の外形を構成する表面に第1凹部及び第1凸部が何れも存在しない構成に比べて、陽極体と電解質層との対向面積が増大することになる。よって、上記固体電解コンデンサによれば、ESRが低減されることになる。
【0010】
上記固体電解コンデンサの具体的構成において、陽極シートの表面のうち陽極体が形成された面には、第2凹部及び第2凸部の少なくとも何れか一方が形成されている。
【0011】
上記具体的構成によれば、第2凹部又は第2凸部の存在により、陽極シートの強度が高められることになる。従って、陽極シートには、これに応力が加わった場合でも、捻れや湾曲(反り)等の変形が生じ難い。
【0012】
上記固体電解コンデンサの他の具体的構成において、固体電解コンデンサは、陰極層に電気的に接続された陰極端子を更に備えている。そして、陰極端子の表面のうち陰極層に接続された領域には、第3凹部及び第3凸部の少なくとも何れか一方が形成されている。
【0013】
上記具体的構成においては、陰極端子の表面に第3凹部又は第3凸部が形成されている。従って、陰極端子の表面に第3凹部及び第3凸部が何れも存在しない構成に比べて、陰極層と陰極端子との対向面積が増大することになる。よって、上記具体的構成によれば、陰極層と陰極端子との間に生じるESRが低減されることになる。
【0014】
本発明に係る製造方法は、陽極シートと、該陽極シートの表面に形成された陽極体と、該陽極体を構成する導電性材料の表面に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された電解質層と、該電解質層上に形成された陰極層とを備えた固体電解コンデンサを製造する方法である。そして、製造方法は、工程(a)乃至工程(d)を有している。工程(a)では、陽極シートを準備する。工程(b)では、陽極シートの表面の少なくとも一部の領域に、導電性材料を主成分として含む塗布膜を形成する。工程(c)では、塗布膜の表面のうち、陰極層側に位置することとなる面に、第1凹部及び第1凸部の少なくとも何れか一方を形成する。工程(c)の実行後、工程(d)において、塗布膜に熱処理を施すことにより、該塗布膜から陽極体を作製する。
【0015】
上記製造方法によれば、作製される固体電解コンデンサにおいて、陽極体の外形を構成する表面のうち陰極層側の面に、第1凹部及び第1凸部の少なくとも何れか一方が存在することになる。従って、陽極体の外形を構成する表面に第1凹部及び第1凸部が何れも存在しない構成に比べて、陽極体と電解質層との対向面積が増大し、その結果、固体電解コンデンサのESRが低減されることになる。
【0016】
上記製造方法の具体的態様において、工程(a)では、陽極シートを変形させることにより、該陽極シートの表面のうち、工程(b)にて塗布膜が形成される領域に、第2凹部及び第2凸部の少なくとも何れか一方を形成する。
【0017】
上記具体的態様によれば、第2凹部又は第2凸部の存在により、陽極シートの強度が高められることになる。従って、製造プロセスにおいて陽極シートに応力が加わった場合でも、陽極シートには捻れや湾曲(反り)等の変形が生じ難い。
【0018】
上記製造方法の他の具体的態様において、製造方法は、工程(e)乃至工程(g)を更に有している。工程(d)の実行後、工程(e)において、陽極体を構成する導電性材料の表面に誘電体層を形成し、その後、該誘電体層上に電解質層を形成し、更にその後、該電解質層上に陰極層を形成する。工程(f)では、陰極端子を準備する。具体的には、陰極端子を変形させることにより、該陰極端子の表面のうち、工程(g)にて陰極層が接続される領域に、第3凹部及び第3凸部の少なくとも何れか一方を形成する。工程(g)では、陰極端子と陰極層とを電気的に接続する。
【0019】
上記具体的態様によれば、作製される固体電解コンデンサにおいて、陰極端子の表面のうち陰極層に接続された領域に、第3凹部及び第3凸部の少なくとも何れか一方が存在することになる。従って、陰極端子の表面に第3凹部及び第3凸部が何れも存在しない構成に比べて、陰極層と陰極端子との対向面積が増大し、その結果、陰極層と陰極端子との間に生じるESRが低減されることになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る固体電解コンデンサ及びその製造方法によれば、低ESR化を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサを示した斜視図である。
【図2】図1に示されるA−A線に沿う断面図である。
【図3】図2に示されるB領域の拡大図である。
【図4】固体電解コンデンサの製造方法にて実行される準備工程の説明に用いられる断面図である。
【図5】製造方法にて実行される塗布工程の説明に用いられる断面図である。
【図6】製造方法にて実行される成型工程の説明に用いられる断面図である。
【図7】製造方法にて実行される熱処理工程の説明に用いられる断面図である。
【図8】製造方法にて実行される端子接続工程の説明に用いられる断面図である。
【図9】製造方法にて実行される外装形成工程の説明に用いられる断面図である。
【図10】第1変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。
【図11】第2変形例に係る固体電解コンデンサが備える陽極シートを示した斜視図である。
【図12】第2変形例に係る陽極シートの他の例を示した斜視図である。
【図13】第2変形例に係る陽極シートの更なる他の例を示した斜視図である。
【図14】第3変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。
【図15】第4変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。
【図16】第5変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。
【図17】固体電解コンデンサの他の例を示した断面図である。
【図18】従来の固体電解コンデンサを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサを示した斜視図である。図1に示す様に、固体電解コンデンサは、コンデンサ素子1と、該コンデンサ素子1を被覆した外装2と、陽極端子3と、陰極端子4とを備えている。外装2を構成する材料には、エポキシ樹脂等の電気絶縁性材料が用いられている。
【0023】
図2は、図1に示されるA−A線に沿う断面図である。図3は、図2に示されるB領域の拡大図である。図2に示す様に、コンデンサ素子1は、陽極シート11と、陽極体12と、誘電体層13と、電解質層14と、陰極層15とを有している。
【0024】
陽極シート11には、導電性を有する箔が用いられている。尚、陽極シート11には、箔に限らず、導電性を有するシート状の部材を用いることが出来る。陽極体12は、陽極シート11の表面の一部の領域である第1面11a(図2では下面)に形成されている。図3に示す様に、陽極体12は、導電性を有する多孔質焼結体から構成されている。
【0025】
陽極シート11及び陽極体12を構成する導電性材料には、同種又は異種の材料が用いられる。導電性材料としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)等の弁金属が用いられる。特に、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、及びニオブ(Nb)は、それらの酸化物(誘電体層)の誘電率が高く、又、入手することが容易な物質であるので、使用する材料として適している。尚、導電性材料には、2種類以上の弁金属から成る合金や、弁金属と他の物質から成る合金等、弁金属を主成分として含む合金を用いてもよい。導電性材料として合金を用いる場合、合金中の弁金属の含有率は50%以上であることが好ましい。
【0026】
図2に示す様に、陽極体12の外形を構成する表面のうち、陰極層15側の第1面12aには、複数の第1凹部121〜121が形成されている。第1凹部121〜121は、陽極体12のうち陽極シート11側へ窪んだ部分であり、陽極体12の第1面12aに形成された凹面から成る内周面を有している。第1凹部121〜121は、図3に示す様に、陽極体12の表面に存在する微細な凹凸120a及び陽極体12に存在する微細な孔120bと区別することが可能な形状及び寸法を有している。ここで、凹凸120a及び孔120bはそれぞれ、陽極体12を構成する導電性材料の粒径と同程度の寸法を有するに過ぎない凹凸及び孔である。一方、第1凹部121〜121は、金型6を用いて形成されたものである(図6参照)。第1凹部121〜121はそれぞれ、後述する陽極シート11の第2凹部111〜111と対向する位置に設けられている。そして、第1凹部121〜121の内周面はそれぞれ、後述する第2凹部111〜111の内周面と略同一の形状及び寸法に設定されている。尚、後述する第1変形例の様に、陽極体12の第1面12aには、複数の第1凸部122〜122が形成されていてもよい(図10参照)。
【0027】
図2に示す様に、陽極シート11の表面のうち陽極体12が形成された面(即ち、第1面11a)には、陽極シート11を変形させることにより形成された複数の第2凹部111〜111が存在している。第2凹部111〜111は、陽極シート11のうち陽極体12とは反対側へ窪んだ部分であり、陽極シート11の第1面11aに形成された凹面から成る内周面を有している。そして、第2凹部111〜111の内側が陽極体12の一部によって充たされると共に、各第2凹部111の内周面に陽極体12が接している。従って、陽極体12の外形を構成する表面のうち、陽極シート11に接した第2面12bは、第2凹部111〜111の内周面に沿った形状を有している。
【0028】
具体的には、第2凹部111〜111は、陽極シート11にエンボス加工を施すことにより形成されたものである。各第2凹部111は、碗状に湾曲した形状を有している。又、各第2凹部111の開口形状は円形であり、その寸法は0.1mm〜0.5mm程度である。更に、第2凹部111〜111は、図1に示す様に六角格子状に配列されている。そして、隣接する2つの第2凹部111,111間の距離は、第2凹部111の寸法と同程度の値(0.1〜0.5mm程度)に設定されている。尚、開口形状、寸法、及び配列状態は、これらに限定されるものではなく、陽極シート11の厚さや構成材料に応じて、様々な態様に変形することが可能である。開口形状には、円形に限定されない種々の形状、例えば、楕円形や、菱形等の多角形を採用することが出来る。配列状態には、六角格子状に限定されない種々の配列状態、例えば三角格子状や正方格子状を採用することが出来る。尚、後述する第1変形例の様に、陽極シート11の第1面11aには、複数の第2凸部112〜112が形成されていてもよい(図10参照)。
【0029】
一方、陽極シート11の第1面11aとは反対側の第2面11bには、第2凹部111〜111の背面側の位置にそれぞれ、該第2凹部111〜111に対応する凸部117〜117が形成されている。凸部117〜117は、陽極シート11のうち陽極体12とは反対側へ突出した部分であり、陽極シート11の第2面11bに形成された凸面から成る外周面を有している。そして、各凸部117の外周面が外装2によって覆われている。これにより、外装2に対してアンカー効果が働き、その結果、陽極シート11と外装2との密着性が高められている。
【0030】
誘電体層13は、図3に示す様に、陽極体12を構成する導電性材料の表面に形成されている。具体的には、陽極体12の外形を構成する表面、及び陽極体12に存在する微細な孔の内周面に、誘電体層13が形成されている。更に、誘電体層13は、陽極シート11の表面にも形成されている。誘電体層13は、陽極シート11及び陽極体12を構成する導電性材料の表面を酸化させることにより形成された酸化被膜である。尚、図1では、誘電体層13のうち、陽極体12の外形を構成する表面に形成されている部分のみが、模式的に示されている。
【0031】
誘電体層13の厚さは、10nm以上500nm以下の寸法であることが好ましい。厚さが500nmより大きい場合、固体電解コンデンサの静電容量が低下し、更には陽極シート11や陽極体12から誘電体層13が剥離し易くなる。厚さが10nmより小さい場合、耐電圧の低下や漏れ電流の増加を招く虞がある。
【0032】
電解質層14は、図3に示す様に、誘電体層13上に形成されている。具体的には、電解質層14は、誘電体層13のうち陽極体12の外形を構成する表面に形成された部分上に存在すると共に、陽極体12に存在する微細な孔の内周面に形成された誘電体層13上に存在している。本実施形態においては、微細な孔の内側が電解質層14によって充たされている。電解質層14を構成する電解質材料には、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等、導電性を有する高分子材料が用いられる。尚、電解質材料には、これらの高分子材料に限定されない種々の物質を用いることが出来る。
【0033】
陰極層15は、図2に示す様に、電解質層14上に形成されている。具体的には、陰極層15は、電解質層14上に形成されたカーボン層(図示せず)と、該カーボン層上に形成された銀層(図示せず)とから構成されている。
【0034】
陽極端子3は、陽極シート11に電気的に接続されている。具体的には、陽極端子3と陽極シート11とは、これらの接触面に溶接を施すことにより互いに電気的に接続されている。陽極端子3は、外装2の側面2aから延び出すと共に、外装2の下面2bまで側面2a及び下面2bに沿って延びている。これにより、陽極端子3の端部が外装2の下面2bに配され、該端部により固体電解コンデンサの下面電極が構成されている。尚、陽極端子3を構成する材料には、ニッケル(Ni)等の導電性材料を用いることが出来る。
【0035】
陰極端子4は、陰極層15に電気的に接続されている。具体的には、陰極端子4と陰極層15とは、これらの間に導電性接着材(図示せず)を介在させることにより互いに電気的に接続されている。陰極端子4は、外装2の側面2aとは反対側の側面2cから延び出すと共に、下面2bまで側面2c及び下面2bに沿って延びている。これにより、陰極端子4の端部が外装2の下面2bに配され、該端部により固体電解コンデンサの下面電極が構成されている。尚、陰極端子4を構成する材料には、ニッケル(Ni)等の導電性材料を用いることが出来る。
【0036】
図2に示す様に、陰極端子4の表面のうち陰極層15に接続された領域である第1面4aには、陰極端子4を変形させることにより形成された複数の第3凸部41〜41が存在している。第3凸部41〜41は、陰極端子4のうち陽極体12側へ突出した部分であり、陰極端子4の第1面4aに形成された凸面から成る外周面を有している。
【0037】
具体的には、第3凸部41〜41は、陰極端子4にエンボス加工を施すことにより形成されたものである。第3凸部41〜41はそれぞれ、陽極体12に形成された第1凹部121〜121と対向する位置に設けられている。そして、第3凸部41〜41の外周面はそれぞれ、第1凹部121〜121の内周面と略同一の形状及び寸法に設定されている。従って、陽極体12と陰極端子4との間の領域において、電解質層14及び陰極層15は、陽極体12の第1面12aに沿って拡がっている。尚、後述する第1変形例の様に、陰極端子4の第1面4aには、複数の第3凹部42〜42が形成されていてもよい(図10参照)。
【0038】
一方、陰極端子4の第1面4aとは反対側の第2面4bには、第3凸部41〜41の背面側の位置にそれぞれ、該第3凸部41〜41に対応する凹部43〜43が形成されている。凹部43〜43は、陰極端子4のうち陽極体12側へ窪んだ部分であり、陰極端子4の第2面4bに形成された凹面から成る内周面を有している。そして、各凹部43の内側が外装2の一部によって充たされている。これにより、外装2に対してアンカー効果が働き、その結果、陰極端子4と外装2との密着性が高められている。
【0039】
次に、本実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法について説明する。該製造方法では、準備工程、塗布工程、成型工程、熱処理工程、誘電体層形成工程、電解質層形成工程、陰極層形成工程、端子接続工程、及び外装形成工程が、順に実行される。
【0040】
図4は、準備工程の説明に用いられる断面図である。準備工程では先ず、平坦な陽極シート11を用意する。次に、図4に示す様に陽極シート11を変形させることにより、該陽極シート11の表面のうち、塗布工程にて塗布膜5(図5参照)が形成される領域(即ち、第1面11a)に、複数の第2凹部111〜111を形成する。具体的には、陽極シート11にエンボス加工を施すことにより、陽極シート11を変形させる。
【0041】
図5は、塗布工程の説明に用いられる断面図である。図5に示す様に、塗布工程では、陽極体12となる塗布膜5を形成する。具体的には先ず、陽極体12を構成する導電性材料から成る粒子を用意し、該粒子とバインダとを混練することにより、ペーストを作製する。次に、ドクターブレード法等の手法を用いて、陽極シート11の第1面11aにペーストを塗布することにより、塗布膜5を形成する。
【0042】
バインダには、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂等の材料と、有機溶剤との混合溶液が用いられる。粒子には、粒径が0・08μm以上1μm以下の寸法のものが用いられる。尚、粒径が0・08μmより小さい粒子を用いた場合、塗布膜5において粒子の充填率が大きくなり、その結果、粒子間に存在する隙間の幅が小さくなる。このため、熱処理工程の実行により塗布膜5から作製される多孔質焼結体において、該多孔質焼結体に形成されることとなる微細な孔が小さくなる。孔が小さいと、孔の内側に電解質層14(図3参照)が形成され難くなり、陽極体12と電解質層14との対向面積が減少する虞がある。対向面積が減少すると、容量利用率が小さくなる。又、粒径が1μmより大きい粒子を用いた場合、塗布膜5中の粒子の全表面積が小さくなり、その結果として、固体電解コンデンサの静電容量が減少する虞がある。固体電解コンデンサにおいて高い静電容量を得るためには、粒子として、0.2μm以上0.5μm以下の寸法のものを用いることが好ましい。
【0043】
図6(a)〜図6(c)は、成型工程の説明に用いられる断面図である。図6(c)に示す様に、成型工程では、塗布膜5の外形を構成する表面のうち、陰極層15側に位置することとなる第1面5aに、陽極体12の第1凹部121〜121となる複数の第1凹部51〜51を形成する。具体的には先ず、図6(a)に示す様に金型6を用意する。金型6の成型面6aには、第1凹部51〜51を形成するための複数の凸部61〜61が設けられている。そして、金型6を、凸部61〜61がそれぞれ陽極シート11の第2凹部111〜111と対向することとなる位置に配置する。次に、その位置関係を維持した状態で、図6(b)に示す様に金型6の成型面6aを塗布膜5の第1面5aに押し当てる。その後、図6(c)に示す様に、金型6を塗布膜5から離す。これにより、塗布膜5の第1面5aには、陽極シート11の第2凹部111〜111と対向した位置に、第1凹部51〜51が形成される。
【0044】
図7は、熱処理工程の説明に用いられる断面図である。図7に示す様に、熱処理工程では、塗布膜5に対して熱処理を施すことにより、塗布膜5から陽極体12を作製する。これにより、塗布膜5の第1凹部51〜51がそれぞれ陽極体12の第1凹部121〜121となる。具体的には、900℃以上1300℃以下の温度で熱処理を実行することにより、塗布膜5中の粒子を焼結させて多孔質焼結体を作製する(図3参照)。このとき、陽極シート11には、第1面11a上に存在する粒子が結合し、陽極シート11と多孔質焼結体(陽極体12)とが一体化される。尚、900℃より低い温度で熱処理を実行した場合、多孔質焼結体に残留するバインダの量が増加する虞がある。又、1300℃より高い温度で熱処理を実行した場合、粒子の焼結が過剰に進行することにより、多孔質焼結体に存在する微細な孔が減少し、その結果として、多孔質焼結体の表面積が減少する虞がある。
【0045】
誘電体層形成工程では、陽極シート11と陽極体12とに対して化成処理を施す。具体的には、陽極シート11と陽極体12とを、リン酸水溶液やアジピン酸水溶液等の化成液に浸漬させる。これにより、陽極体12に存在する微細な孔の内側に化成液が浸透する。その後、陽極シート11と化成液との間に電圧を印加することにより、陽極シート11の表面及び陽極体12の表面を電気化学的に酸化させる(陽極酸化)。これにより、陽極シート11の表面に酸化被膜が形成されると共に、陽極体12を構成する導電性材料の表面に酸化被膜が形成され、これらの酸化被膜が誘電体層13となる(図3参照)。
【0046】
電解質層形成工程では、電解重合法又は化学重合法を用いて誘電体層13上に電解質層14を形成する(図3参照)。具体的には、陽極シート11と陽極体12とを、モノマー等の重合液に浸漬させる。これにより、陽極体12に存在する微細な孔の内側に重合液が浸透する。その後、重合液を電気的又は化学的に重合させる。これにより、誘電体層13上に重合層が形成され、該重合層が電解質層14となる(図3参照)。
【0047】
電解質層形成工程の実行後、陽極シート11と陽極体12とに対して化成処理を再び施してもよい。化成処理を施すことにより、電解質層14の形成時に劣化した誘電体層13が修復され、その結果、漏れ電流の増加が防止されることになる。
【0048】
陰極層形成工程では、電解質層14上に、陰極層15となるカーボン層及び銀層を形成する。具体的には、電解質層14上にカーボンペーストを塗布し、これを乾燥させることにより、カーボン層を形成する(図示せず)。次に、カーボン層上に銀ペーストを塗布し、これを乾燥させることにより、銀層を形成する(図示せず)。これにより、コンデンサ素子1が完成する。
【0049】
図8(a)及び図8(b)は、端子接続工程の説明に用いられる断面図である。端子接続工程では先ず、平坦な陽極端子3と、平坦な陰極端子4とを用意する。次に、図8(a)に示す様に陰極端子4を変形させることにより、該陰極端子4の表面のうち、陰極層15が接続される領域である第1面4aに、複数の第3凸部41〜41を形成する。具体的には、陰極端子4にエンボス加工を施すことにより、陰極端子4を変形させる。
【0050】
その後、図8(b)に示す様に、陽極シート11に陽極端子3を電気的に接続する。具体的には、陽極端子3と陽極シート11とを、これらの接触面に溶接を施すことにより互いに電気的に接続する。更に、陰極層15に陰極端子4を電気的に接続する。具体的には、陰極端子4と陰極層15とを、これらの間に導電性接着材を介在させることにより互いに電気的に接続する。このとき、陽極体12に形成された第1凹部121〜121と陰極端子4の第3凸部41〜41とがそれぞれ互いに対向することとなる様に、コンデンサ素子1に対して陰極端子4を配置する。
【0051】
図9は、外装形成工程の説明に用いられる断面図である。図9に示す様に、外装形成工程では、エポキシ樹脂等の電気絶縁性材料を用いてコンデンサ素子1を被覆することにより、外装2を形成する。このとき、陽極端子3の一部が外装2の側面2aから引き出されると共に、陰極端子4の一部が外装2の側面2cから引き出される様に、外装2は形成される。尚、外装2の形成には、射出成型等の手法を用いることが出来る。
【0052】
その後、陽極端子3を、外装2の側面2a及び下面2bに沿って折り曲げる。又、陰極端子4を、外装2の側面2c及び下面2bに沿って折り曲げる。これにより、図1及び図2に示される固体電解コンデンサが完成する。
【0053】
上記固体電解コンデンサにおいては、陽極体12の外形を構成する表面に第1凹部121〜121が形成されている。従って、陽極体12の外形を構成する表面に第1凹部121〜121が存在しない構成に比べて、陽極体12と電解質層14との対向面積が増大することになる。よって、本実施形態に係る固体電解コンデンサによれば、ESRが低減されることになる。
【0054】
又、上記固体電解コンデンサにおいては、陰極端子4の表面に第3凸部41〜41が形成されている。従って、陰極端子4の表面に第3凸部41〜41が存在しない構成に比べて、陰極層15と陰極端子4との対向面積が増大することになる。よって、本実施形態に係る固体電解コンデンサによれば、陰極層15と陰極端子4との間に生じるESRが低減されることになる。
【0055】
更に、上記固体電解コンデンサにおいては、陽極シート11の第1面11aに第2凹部111〜111が形成されている。そして、第2凹部111〜111の存在により、陽極シート11の強度が高められている。よって、製造プロセスにおいて陽極シート11に応力が加わった場合でも、陽極シート11には捻れや湾曲(反り)等の変形が生じ難い。
【0056】
図10は、第1変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。以下では、第1変形例に係る固体電解コンデンサの構成のうち、図2に示される固体電解コンデンサの構成と相違している部分について説明する。尚、図2に示される構成と同じ部分については、説明を省略する。
【0057】
図10に示す様に、陽極シート11の第1面11aには、陽極シート11を変形させることにより形成された複数の第2凸部112〜112が存在している。第2凸部112〜112は、陽極シート11のうち陰極層15側へ突出した部分であり、陽極シート11の第1面11aに形成された凸面から成る外周面を有している。具体的には、第2凸部112〜112は、陽極シート11にエンボス加工を施すことにより形成されたものである。各第2凸部112は、ドーム状に湾曲した形状を有している。
【0058】
又、陽極体12の第1面12aには、複数の第1凸部122〜122が形成されている。第1凸部122〜122は、陽極体12のうち陽極シート11とは反対側へ突出した部分であり、陽極体12の第1面12aに形成された凸面から成る外周面を有している。第1凸部122〜122は、微細な凹凸120a(図3参照)と区別することが可能な形状及び寸法を有している。具体的には、第1凸部122〜122は、金型を用いて形成されたものである。第1凸部122〜122はそれぞれ、陽極シート11の第2凸部112〜112と対向する位置に設けられている。そして、第1凸部122〜122の外周面はそれぞれ、第2凸部112〜112の外周面と略同一の形状及び寸法に設定されている。
【0059】
更に、陰極端子4の第1面4aには、陰極端子4を変形させることにより形成された複数の第3凹部42〜42が存在している。第3凹部42〜42は、陰極端子4のうち陽極体12とは反対側へ窪んだ部分であり、陰極端子4の第1面4aに形成された凹面から成る内周面を有している。具体的には、第3凹部42〜42は、陰極端子4にエンボス加工を施すことにより形成されたものである。第3凹部42〜42はそれぞれ、陽極体12に形成された第1凸部122〜122と対向する位置に設けられている。そして、第3凹部42〜42の内周面はそれぞれ、第1凸部122〜122の外周面と略同一の形状及び寸法に設定されている。従って、陽極体12と陰極端子4との間の領域において、電解質層14及び陰極層15は、陽極体12の第1面12aに沿って拡がっている。
【0060】
第1変形例に係る固体電解コンデンサによれば、図2に示される固体電解コンデンサと同様、ESRが低減されることになる。又、製造プロセスにおいて陽極シート11に応力が加わった場合でも、陽極シート11には捻れや湾曲(反り)等の変形が生じ難い。
【0061】
図11は、第2変形例に係る固体電解コンデンサが備える陽極シート11を示した斜視図である。図12は、陽極シート11の他の例を示した斜視図である。図11に示す様に、陽極シート11を、陽極端子3が接続されることとなる端部11cからの延在方向91において波状に変形させることにより、陽極シート11の第1面11aに、交互に配列された第2凹部113〜113及び第2凸部114〜114を形成してもよい。又、図12に示す様に、陽極シート11を、その延在方向91において蛇腹状に変形させることにより、陽極シート11の第1面11aに、交互に配列された第2凹部115〜115及び第2凸部116〜116を形成してもよい。尚、図11及び図12に示される陽極シート11においては、端部11cは何れも平坦な形状を呈している。
【0062】
図13は、陽極シート11の更なる他の例を示した斜視図である。図13に示す様に、陽極シート11を、方向92において蛇腹状に変形させることにより、陽極シート11の第1面11aに、交互に配列された第2凹部119a〜119a及び第2凸部119b〜119bを形成してもよい。ここで、端部11cは平坦な形状を呈しており、方向92は、端部11cの平坦な表面に沿う方向であると共に陽極シート11の延在方向91に略垂直な方向である。尚、陽極シート11を、方向92において波状に変形させてもよい。
【0063】
第2変形例に係る固体電解コンデンサによれば、図2に示される固体電解コンデンサと同様、陽極シート11の強度が高められることになる。よって、製造プロセスにおいて陽極シート11に応力が加わった場合でも、陽極シート11には捻れや湾曲(反り)等の変形が生じ難い。
【0064】
図14は、第3変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。図14に示す様に、第3変形例に係る固体電解コンデンサにおいては、図2に示されるコンデンサ素子1と同じ構成を有した2つのコンデンサ素子1A,1Aが、互いに積層されている。具体的には、コンデンサ素子1A,1Aは、一方のコンデンサ素子1Aに属する陽極シート11と他方のコンデンサ素子1Aに属する陰極端子4とが互いに対向する様に、配置されている。又、陽極シート11と陰極端子4との間には、これらの電気的な短絡を防止するべく、電気絶縁性を有するセパレータ7が介在している。更に、陽極シート11,11どうしが互いに電気的に接続されると共に、陰極端子4,4どうしが互いに電気的に接続されている。従って、コンデンサ素子1A,1Aは、陽極端子3と陰極端子4との間で、並列に接続されている。よって、本変形例に係る固体電解コンデンサによれば、コンデンサ素子の個数が増加した分、静電容量が増大することになる。尚、固体電解コンデンサは、2つに限らない複数のコンデンサ素子1A〜1Aが積層された構成を有していてもよい。
【0065】
ここで、図4に示す様に、陽極シート11への第2凹部111〜111の形成に伴って、陽極シート11の第1面11aとは反対側の第2面11bには、第2凹部111〜111の背面側の位置にそれぞれ、該第2凹部111〜111に対応する凸部117〜117が形成される。又、図8(a)に示す様に、陰極端子4への第3凸部41〜41の形成に伴って、陰極端子4の第1面4aとは反対側の第2面4bには、第3凸部41〜41の背面側の位置にそれぞれ、該第3凸部41〜41に対応する凹部43〜43が形成される。そして、コンデンサ素子1Aにおいて、陰極端子4の第3凸部41〜41はそれぞれ、陽極シート11の第2凹部111〜111と対向する位置に設けられている。従って、陽極シート11の凸部117〜117と陰極端子4の凹部43〜43とはそれぞれ、互いに対向する位置に存在することになる。
【0066】
よって、第3変形例に係る固体電解コンデンサの製造プロセスにおいて、コンデンサ素子1A,1Aを積層する場合、凸部117〜117と凹部43〜43とを利用してコンデンサ素子1A,1Aどうしの位置決めを行うことが出来る。即ち、一方のコンデンサ素子1Aに属する陽極シート11の凸部117〜117と、他方のコンデンサ素子1Aに属する陰極端子4の凹部43〜43とを、互いに嵌合させることにより、コンデンサ素子1A,1Aを、これらの間にずれを生じさせることなく積層することが出来る(図14参照)。
【0067】
図15は、第4変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。図15に示す様に、第4変形例に係る固体電解コンデンサにおいては、図2に示されるコンデンサ素子1と同じ構成を有したコンデンサ素子1Aと、図10に示されるコンデンサ素子1と同じ構成を有したコンデンサ素子1Bとが、互いに積層されている。具体的には、コンデンサ素子1A,1Bは、コンデンサ素子1Aに属する陽極シート11とコンデンサ素子1Bに属する陽極シート11とが互いに対向する様に、配置されている。又、陽極シート11,11どうしが互いに電気的に接続されると共に、陰極端子4,4どうしが互いに電気的に接続されている。従って、コンデンサ素子1A,1Bは、陽極端子3と陰極端子4との間で、並列に接続されている。よって、本変形例に係る固体電解コンデンサによれば、コンデンサ素子の個数が増加した分、静電容量が増大することになる。又、第3変形例の構成において必要であったセパレータ7が不要となる。
【0068】
更に、コンデンサ素子1Aに属する陽極シート11の第2面11bに形成される凸部117〜117と、コンデンサ素子1Bに属する陽極シート11の第2面11bに形成される凹部118〜118とを、互いに嵌合させることにより、コンデンサ素子1Aに対するコンデンサ素子1Bの位置決めを行うことが出来る。尚、固体電解コンデンサは、複数のコンデンサ素子1A,1Bが交互に積層された構成を有していてもよい。この構成においては、コンデンサ素子1Aに属する陰極端子4の第2面4bに形成される凹部43〜43と、コンデンサ素子1Bに属する陰極端子4の第2面4bに形成される凸部44〜44とを、互いに嵌合させることにより、陰極端子4,4を互いに対向させて配置する際の位置決めを更に行うことが出来る。
【0069】
図16は、第5変形例に係る固体電解コンデンサを示した断面図である。図16に示す様に、第5変形例に係る固体電解コンデンサは、コンデンサ素子1Cを備えている。コンデンサ素子1Cは、図2に示されるコンデンサ素子1において、陽極シート11の第2面11b側に、図10に示されるコンデンサ素子1と同じ構成のコンデンサ部分が形成されたものである。本変形例に係る固体電解コンデンサによれば、コンデンサ部分が増えた分、静電容量が増大することになる。尚、本変形例に係る固体電解コンデンサは、コンデンサ素子1Cと同じ構成を有した複数のコンデンサ素子が積層された構成を有していてもよい。
【0070】
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図2に示される固体電解コンデンサは、陽極体12に形成される第1凹部121〜121がそれぞれ、陽極シート11の第2凹部111〜111と対向することとなる位置からずれた位置に設けられた構成を有していてもよい。又、図17に示す様に、陽極シート11として平坦なものがそのまま用いられてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 コンデンサ素子
11 陽極シート
11a 第1面
11b 第2面
111,113,115,119a 第2凹部
112,114,116,119b 第2凸部
12 陽極体
12a 第1面
12b 第2面
121 第1凹部
122 第1凸部
13 誘電体層
14 電解質層
15 陰極層
2 外装
3 陽極端子
4 陰極端子
4a 第1面
4b 第2面
41 第3凸部
42 第3凹部
5 塗布膜
5a 第1面
51 第1凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極シートと、
前記陽極シートの表面の少なくとも一部の領域に形成された陽極体と、
前記陽極体を構成する導電性材料の表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層上に形成された電解質層と、
前記電解質層上に形成された陰極層と
を備え、前記陽極体の外形を構成する表面のうち前記陰極層側の面に、第1凹部及び第1凸部の少なくとも何れか一方が形成されている、固体電解コンデンサ。
【請求項2】
前記陽極シートの表面のうち前記陽極体が形成された面には、第2凹部及び第2凸部の少なくとも何れか一方が形成されている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記陰極層に電気的に接続された陰極端子を更に備え、前記陰極端子の表面のうち前記陰極層に接続された領域には、第3凹部及び第3凸部の少なくとも何れか一方が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
陽極シートと、該陽極シートの表面に形成された陽極体と、該陽極体を構成する導電性材料の表面に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された電解質層と、該電解質層上に形成された陰極層とを備えた固体電解コンデンサを製造する方法であって、
(a)前記陽極シートを準備する工程と、
(b)前記陽極シートの表面の少なくとも一部の領域に、前記導電性材料を主成分として含む塗布膜を形成する工程と、
(c)前記塗布膜の表面のうち、前記陰極層側に位置することとなる面に、第1凹部及び第1凸部の少なくとも何れか一方を形成する工程と、
(d)工程(c)の実行後、前記塗布膜に熱処理を施すことにより、該塗布膜から前記陽極体を作製する工程と
を有する、固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】
工程(a)では、前記陽極シートを変形させることにより、該陽極シートの表面のうち、工程(b)にて塗布膜が形成される領域に、第2凹部及び第2凸部の少なくとも何れか一方を形成する、請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
(e)工程(d)の実行後、前記陽極体を構成する導電性材料の表面に誘電体層を形成し、その後、該誘電体層上に電解質層を形成し、更にその後、該電解質層上に陰極層を形成する工程と、
(f)陰極端子を準備する工程と、
(g)前記陰極端子と前記陰極層とを電気的に接続する工程と
を更に有し、
工程(f)では、前記陰極端子を変形させることにより、該陰極端子の表面のうち、工程(g)にて陰極層が接続される領域に、第3凹部及び第3凸部の少なくとも何れか一方を形成する、請求項4又は請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−110343(P2013−110343A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255896(P2011−255896)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)