説明

固体高分子形燃料電池発電システム

【課題】長期間にわたって連続して発電運転を行なっても、固体高分子電解質膜の寿命の低下を大幅に抑制することができる固体高分子形燃料電池発電システムを提供する。
【解決手段】燃料ガス供給源121からの燃料ガス1を、燃料ガス1の流通方向下流側に位置する第一のサブスタック111及び第二のサブスタック112の一方のサブスタックの燃料ガス流路の燃料ガス1の流通方向下流側の口から一方のサブスタックの燃料ガス流路に供給すると共に、一方のサブスタックの燃料ガス流路を流通した燃料ガス1を、第一のサブスタック111及び第二のサブスタック112の他方のサブスタックの燃料ガス流路に供給することを定期的に切り替えるように、第一〜十二の燃料ガス用バルブ140A〜140Lを開閉制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池発電システムに関し、特に、水素ガスを燃料ガスとして用いる場合や、酸素ガスを酸化ガスとして用いる場合に適用すると、極めて有効である。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を導電性及びガス透過性を有する燃料極及び酸化極で挟んだセルと、水素ガスを含有する燃料ガスの流路及び酸素ガスを含有する酸化ガスの流路をそれぞれ形成されると共に導電性を有するセパレータとを交互に複数積層して積層方向両端側を一対のエンドフランジで挟み込んで構成されている。
【0003】
このような固体高分子形燃料電池を備えた固体高分子形燃料電池発電システムにおいては、固体高分子形燃料電池の上記エンドフランジに形成された燃料ガス受入口及び酸化ガス受入口から燃料ガス及び酸化ガスをそれぞれ供給すると、当該燃料ガス及び当該酸化ガスが各上記セパレータの各上記流路内をそれぞれ流通して、前記水素ガス及び前記酸素ガスが上記セルで電気化学的に反応して電力を取り出すことができるようになっている。
【0004】
そして、使用済みの上記燃料ガス及び上記酸化ガスは、上記電気化学反応に伴って生じた生成水と共に各上記流路を流通して、上記エンドフランジに形成された燃料ガス排出口及び酸化ガス排出口から外部へそれぞれ排出されるようになっている。
【0005】
ここで、例えば、水素ガスそのものを燃料ガスとして使用する場合や酸素ガスそのものを酸化ガスとして使用する場合には、上記ガス排出口にドレンセパレータを介してブロアやエジェクタ等のガス循環装置のガス受入口を接続すると共に、当該ガス循環装置のガス送出口を上記ガス受入口に接続することにより、上記生成水と上記電気化学反応に供されなかった水素ガス及び酸素ガスとを上記ガス排出口から排出させてドレンセパレータで分離させた後、当該ガスを上記ガス受入口に戻して新たな上記ガスと共に再び供給するようにして、これらガスを有効利用するようにしている。
【0006】
ところが、このようにして水素ガスそのものを燃料ガスとして使用するときや酸素ガスそのものを酸化ガスとして使用するときには、前述したようなガス循環装置を利用するため、余計に電力を消費してしまい、発電システム全体の電力効率が悪くなってしまっている。
【0007】
そこで、例えば、下記特許文献1等においては、セルとセパレータとを交互に複数積層したサブスタックを、燃料ガス及び酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように複数(例えば2つ)接続して固体高分子形燃料電池を構成し、燃料ガス供給手段及び酸化ガス供給手段を各サブスタックの燃料ガス受入口及び酸化ガス受入口にそれぞれ接続して、これらサブスタック同士の間の上記ガスの流通経路に気液分離手段をそれぞれ配設し、上記ガス供給手段と各サブスタックの上記ガス受入口との間をそれぞれ切断又は接続する燃料ガス用上流位置切換手段及び酸化ガス用上流位置切換手段を設けると共に、上記サブスタック同士の間の上記ガスの流通経路をそれぞれ切断又は接続する燃料ガス用下流位置切換手段及び酸化ガス用下流位置切換手段を設け、例えば、所定時間運転したら、上記ガスの流通方向上流側及び下流側に位置するサブスタックをそれぞれ切り換えるように上記位置切換手段をそれぞれ作動させることにより、前述したようなガス循環装置がなくても上記スタックから水分を排出しながら当該水分で上記ガスを加湿して有効利用できるようにし、システム全体の電力効率を向上させるようにした固体高分子形燃料電池発電システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−147178号公報
【特許文献2】特開2008−147179号公報
【特許文献3】特開2004−158379号公報
【特許文献4】特開2009−054471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1等に記載されている上記固体高分子形燃料電池発電システムにおいては、前記ガスの供給源から送給される前記ガスが乾燥していることから、前記サブスタックの前記セルの前記固体高分子電解質膜の前記ガス受入口側の含水率が低下して乾燥しやすく、長期間にわたって連続して発電運転を行なっていくと、当該サブスタックに供給する当該ガスの流量や流速等の発電運転条件によっては、当該固体高分子電解質膜の前記ガス受入口側の劣化を引き起こして当該固体高分子電解質膜の寿命を低下させてしまう可能性があった。
【0010】
このようなことから、本発明は、長期間にわたって連続して発電運転を行なっても、固体高分子電解質膜の寿命の低下を大幅に抑制することができる固体高分子形燃料電池発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、固体高分子電解質膜を燃料極及び酸化極で挟んだセルと燃料ガス流路及び酸化ガス流路をそれぞれ形成されたセパレータとを交互に複数積層した第一のサブスタック及び第二のサブスタックを有する固体高分子形燃料電池と、前記固体高分子形燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記固体高分子形燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段とを備えている固体高分子形燃料電池発電システムにおいて、前記燃料ガス供給手段と前記第一のサブスタックの前記燃料ガス流路の一方の口とを接続する第一の燃料ガス用ラインと、前記第一のサブスタックの前記燃料ガス流路の他方の口と前記第二のサブスタックの前記燃料ガス流路の一方の口とを接続する第二の燃料ガス用ラインと、前記第二のサブスタックの前記燃料ガス流路の他方の口と前記第一の燃料ガス用ラインとを接続する第三の燃料ガス用ラインと、前記第一の燃料ガス用ラインの前記第三の燃料ガス用ラインとの接続部分と前記燃料ガス供給手段又は前記第一のスタックとの間と前記第三の燃料ガス用ラインとを接続する第四の燃料ガス用ラインと、前記第二の燃料ガス用ラインと前記第三の燃料ガス用ラインとを接続する第五の燃料ガス用ラインと、前記第二の燃料ガス用ラインの前記第五の燃料ガス用ラインとの接続部分と前記第一のスタック又は前記第二のスタックとの間と前記第四の燃料ガス用ラインとを接続する第六の燃料ガス用ラインと、前記第一の燃料ガス用ラインの、前記第三の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第一の燃料ガス用断接手段と、前記第一の燃料ガス用ラインの、前記第三の燃料ガス用ラインの接続部分及び前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第二の燃料ガス用断接手段と、前記第二の燃料ガス用ラインの、前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分及び前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第三の燃料ガス用断接手段と、前記第二の燃料ガス用ラインの、前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第四の燃料ガス用断接手段と、前記第二の燃料ガス用ラインの、前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分及び前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分よりも前記第二のサブスタック側を断接する第五の燃料ガス用断接手段と、前記第三の燃料ガス用ラインの、前記第二のスタックと前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第六の燃料ガス用断接手段と、前記第三の燃料ガス用ラインの、前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第七の燃料ガス用断接手段と、前記第三の燃料ガス用ラインの、前記第一の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第八の燃料ガス用断接手段と、前記第四の燃料ガス用ラインの、前記第三の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第九の燃料ガス用断接手段と、前記第四の燃料ガス用ラインの、前記第一の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第十の燃料ガス用断接手段と、前記第五の燃料ガス用ラインに設けられた第十一の燃料ガス用断接手段と、前記第六の燃料ガス用ラインに設けられた第十二の燃料ガス用断接手段と、前記サブスタックから前記燃料ガスと共に送出された水を当該燃料ガスから分離する燃料ガス用気液分離手段と、運転時間、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの抵抗値、のうちの少なくとも一つを計測する燃料ガス用切換時期確認手段と、前記燃料ガス用切換時期確認手段からの情報に基づいて、前記燃料ガス供給手段からの前記燃料ガスを、前記燃料ガスの流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの一方のサブスタックの前記燃料ガス流路の当該燃料ガスの流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該燃料ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該燃料ガス流路を流通した前記燃料ガスを、前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの他方のサブスタックの前記燃料ガス流路に供給するように、前記燃料ガス用断接手段を制御する燃料ガス用制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
また、前述した課題を解決するための、第二番目の発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、固体高分子電解質膜を燃料極及び酸化極で挟んだセルと燃料ガス流路及び酸化ガス流路をそれぞれ形成されたセパレータとを交互に複数積層した第一のサブスタック及び第二のサブスタックを有する固体高分子形燃料電池と、前記固体高分子形燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記固体高分子形燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段とを備えている固体高分子形燃料電池発電システムにおいて、前記酸化ガス供給手段と前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第一の酸化ガス用ラインと、前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第二の酸化ガス用ラインと、前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第一の酸化ガス用ラインとを接続する第三の酸化ガス用ラインと、前記第一の酸化ガス用ラインの前記第三の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記酸化ガス供給手段又は前記第一のスタックとの間と前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第四の酸化ガス用ラインと、前記第二の酸化ガス用ラインと前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第五の酸化ガス用ラインと、前記第二の酸化ガス用ラインの前記第五の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記第一のスタック又は前記第二のスタックとの間と前記第四の酸化ガス用ラインとを接続する第六の酸化ガス用ラインと、前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第一の酸化ガス用断接手段と、前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第二の酸化ガス用断接手段と、前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第三の酸化ガス用断接手段と、前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第四の酸化ガス用断接手段と、前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第二のサブスタック側を断接する第五の酸化ガス用断接手段と、前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第二のスタックと前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第六の酸化ガス用断接手段と、前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第七の酸化ガス用断接手段と、前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第八の酸化ガス用断接手段と、前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第九の酸化ガス用断接手段と、前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第十の酸化ガス用断接手段と、前記第五の酸化ガス用ラインに設けられた第十一の酸化ガス用断接手段と、前記第六の酸化ガス用ラインに設けられた第十二の酸化ガス用断接手段と、前記サブスタックから前記酸化ガスと共に送出された水を当該酸化ガスから分離する酸化ガス用気液分離手段と、運転時間、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの抵抗値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段と、前記酸化ガス用切換時期確認手段からの情報に基づいて、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスを、前記酸化ガスの流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの一方のサブスタックの前記酸化ガス流路の当該酸化ガスの流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路を流通した前記酸化ガスを、前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの他方のサブスタックの前記酸化ガス流路に供給するように、前記酸化ガス用断接手段を制御する酸化ガス用制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
第三番目の発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、第一番目の発明において、前記酸化ガス供給手段と前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第一の酸化ガス用ラインと、前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第二の酸化ガス用ラインと、前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第一の酸化ガス用ラインとを接続する第三の酸化ガス用ラインと、前記第一の酸化ガス用ラインの前記第三の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記酸化ガス供給手段又は前記第一のスタックとの間と前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第四の酸化ガス用ラインと、前記第二の酸化ガス用ラインと前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第五の酸化ガス用ラインと、前記第二の酸化ガス用ラインの前記第五の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記第一のスタック又は前記第二のスタックとの間と前記第四の酸化ガス用ラインとを接続する第六の酸化ガス用ラインと、前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第一の酸化ガス用断接手段と、前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第二の酸化ガス用断接手段と、前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第三の酸化ガス用断接手段と、前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第四の酸化ガス用断接手段と、前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第二のサブスタック側を断接する第五の酸化ガス用断接手段と、前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第二のスタックと前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第六の酸化ガス用断接手段と、前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第七の酸化ガス用断接手段と、前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第八の酸化ガス用断接手段と、前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第九の酸化ガス用断接手段と、前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第十の酸化ガス用断接手段と、前記第五の酸化ガス用ラインに設けられた第十一の酸化ガス用断接手段と、前記第六の酸化ガス用ラインに設けられた第十二の酸化ガス用断接手段と、前記サブスタックから前記酸化ガスと共に送出された水を当該酸化ガスから分離する酸化ガス用気液分離手段と、運転時間、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの抵抗値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段と、前記酸化ガス用切換時期確認手段からの情報に基づいて、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスを、前記酸化ガスの流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの一方のサブスタックの前記酸化ガス流路の当該酸化ガスの流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路を流通した前記酸化ガスを、前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの他方のサブスタックの前記酸化ガス流路に供給するように、前記酸化ガス用断接手段を制御する酸化ガス用制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
第四番目の発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、第一番目又は第三番目の発明において、前記燃料ガスが、濃度99%以上の水素ガスであることを特徴とする。
【0015】
第五番目の発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、第二番目又は第三番目の発明において、前記酸化ガスが、濃度99%以上の酸素ガスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムによれば、制御手段が、切換時期確認手段からの情報に基づいて、ガス供給手段からのガスを、当該ガスの流通方向下流側に位置する第一のサブスタック及び第二のサブスタックの一方のサブスタックのガス流路の当該ガスの流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該ガス流路を流通した前記ガスを、第一のサブスタック及び第二のサブスタックの他方のサブスタックの前記ガス流路に供給するように、断接手段を制御することから、ブロアやエジェクタ等のガス循環装置がなくても、前記サブスタック内に生成した水を当該サブスタック内から排出することができるのはもちろんのこと、加湿器等がなくても、ガス供給手段から送給される前記ガスを前記サブスタック内に加湿して供給することができると共に、ガス供給手段からそのままの状態で前記ガスを供給される前記サブスタックの前記ガス流路の口を従来(2箇所)よりも増やすことができるので(4箇所)、前記サブスタックの前記セルの前記固体高分子電解質膜の、前記ガス流路の口寄り部分の劣化を抑制することができる。そのため、長期間にわたって連続して発電運転を行なっても、固体高分子電解質膜の寿命の低下を大幅に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの主な実施形態の主要部の燃料ガス系統の概略構成図である。
【図2】本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの主な実施形態の主要部の酸化ガス系統の概略構成図である。
【図3A】図1の作動説明図である。
【図3B】図3Aに続く作動説明図である。
【図3C】図3Bに続く作動説明図である。
【図3D】図3Cに続く作動説明図である。
【図3E】図3Dに続く作動説明図である。
【図3F】図3Eに続く作動説明図である。
【図3G】図3Fに続く作動説明図である。
【図3H】図3Gに続く作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
[主な実施形態]
本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムの主な実施形態を図1,2,3A〜3Hに基づいて説明する。
【0020】
図1,2に示すように、固体高分子形燃料電池110は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を導電性及びガス透過性を有する燃料極及び酸化極で挟んだセルと、燃料ガスの流路及び酸化ガスの流路をそれぞれ形成されると共に導電性を有するセパレータとを交互に複数積層して、積層方向両端側を一対のエンドフランジで挟み込んで構成された第一のサブスタック111及び第二のサブスタック112を有している。
【0021】
図1に示すように、燃料ガスである濃度99%以上の水素ガス1を供給する燃料ガス供給手段である水素ガス供給源121は、前記第一のサブスタック111のエンドフランジに形成された、燃料ガスの流路の一方の口に、第一の燃料ガス用ライン141を介して接続している。
【0022】
前記第一のサブスタック111のエンドフランジに形成された、燃料ガスの流路の他方の口は、前記第二のサブスタック112のエンドフランジに形成された、燃料ガスの流路の他方の口に、第二の燃料ガス用ライン142を介して接続している。
【0023】
前記第二のサブスタック112のエンドフランジに形成された、燃料ガスの流路の他方の口は、前記第一の燃料ガス用ライン141の途中に第三の燃料ガス用ライン143を介して接続している。
【0024】
前記第二の燃料ガス用ライン142の途中と前記第三の燃料ガス用ライン143の途中とは、第五の燃料ガス用ライン145を介して接続している。
【0025】
前記第一の燃料ガス用ライン141の前記第三の燃料ガス用ライン143との接続部分と前記第一のサブスタック111との間と、前記第三の燃料ガス用ライン143の前記第五の燃料ガス用ライン145との接続部分と前記第二のサブスタック112との間は、第四の燃料ガス用ライン144を介して接続している。
【0026】
前記第二の燃料ガス用ライン142の前記第五の燃料ガス用ライン145との接続部分と前記第二のサブスタック112との間は、前記第四の燃料ガス用ライン144の途中に第六の燃料ガス用ライン146を介して接続している。
【0027】
前記第一の燃料ガス用ライン141の、前記第三の燃料ガス用ライン143の接続部分と前記第四の燃料ガス用ライン144の接続部分との間には、当該間を断接する第一の燃料ガス用断接手段である第一の燃料ガス用バルブ140Aが設けられている。
【0028】
前記第一の燃料ガス用ライン141の、前記第三の燃料ガス用ライン143の接続部分及び前記第四の燃料ガス用ライン144の接続部分よりも前記第一のサブスタック111側、すなわち、前記第四の燃料ガス用ライン144の接続部分と前記第一のサブスタック111との間には、当該間を断接する第二の燃料ガス用断接手段である第二の燃料ガス用バルブ140Bが設けられている。
【0029】
前記第二の燃料ガス用ライン142の、前記第五の燃料ガス用ライン145の接続部分及び前記第六の燃料ガス用ライン146の接続部分よりも前記第一のサブスタック111側、すなわち、前記第五の燃料ガス用ライン145の接続部分と前記第一のサブスタック111との間には、当該間を断接する第三の燃料ガス用断接手段である第三の燃料ガス用バルブ140Cが設けられている。
【0030】
前記第二の燃料ガス用ライン142の、前記第五の燃料ガス用ライン145の接続部分と前記第六の燃料ガス用ライン146の接続部分との間には、当該間を断接する第四の燃料ガス用断接手段である第四の燃料ガス用バルブ140Dが設けられている。
【0031】
前記第二の燃料ガス用ライン142の、前記第五の燃料ガス用ライン145の接続部分及び前記第六の燃料ガス用ライン146の接続部分よりも前記第二のサブスタック112側、すなわち、前記第六の燃料ガス用ライン146の接続部分と前記第二のサブスタック112との間には、当該間を断接する第五の燃料ガス用断接手段である第五の燃料ガス用バルブ140Eが設けられている。
【0032】
前記第三の燃料ガス用ライン143の、前記第二のサブスタック112と前記第四の燃料ガス用ライン144の接続部分との間には、当該間を断接する第六の燃料ガス用断接手段である第六の燃料ガス用バルブ140Fが設けられている。
【0033】
前記第三の燃料ガス用ライン143の、前記第四の燃料ガス用ライン144の接続部分と前記第五の燃料ガス用ライン145の接続部分との間には、当該間を断接する第七の燃料ガス用断接手段である第七の燃料ガス用バルブ140Gが設けられている。
【0034】
前記第三の燃料ガス用ライン143の、前記第一の燃料ガス用ライン141の接続部分と前記第五の燃料ガス用ライン145の接続部分との間には、当該間を断接する第八の燃料ガス用断接手段である第八の燃料ガス用バルブ140Hが設けられている。
【0035】
前記第四の燃料ガス用ライン144の、前記第三の燃料ガス用ライン143の接続部分と前記第六の燃料ガス用ライン146の接続部分との間には、当該間を断接する第九の燃料ガス用断接手段である第九の燃料ガス用バルブ140Iが設けられている。
【0036】
前記第四の燃料ガス用ライン144の、前記第一の燃料ガス用ライン141の接続部分と前記第六の燃料ガス用ライン146の接続部分との間には、当該間を断接する第十の燃料ガス用断接手段である第十の燃料ガス用バルブ140Jが設けられている。
【0037】
前記第五の燃料ガス用ライン145の途中には、当該ライン145を断接する第十一の燃料ガス用断接手段である第十一の燃料ガス用バルブ140Kが設けられている。
【0038】
前記第六の燃料ガス用ライン146の途中には、当該ライン146を断接する第十二の燃料ガス用断接手段である第十二の燃料ガス用バルブ140Lが設けられている。
【0039】
前記第一の燃料ガス用ライン141の、前記第一のサブスタック111の燃料ガスの流路の一方の口と前記第二の燃料ガス用バルブ140Bとの間には、ドレンセパレータ122が設けられている。
【0040】
前記第二の燃料ガス用ライン142の、前記第一のサブスタック111の燃料ガスの流路の他方の口と前記第三の燃料ガス用バルブ140Cとの間には、ドレンセパレータ123が設けられている。
【0041】
前記第二の燃料ガス用ライン142の、前記第二のサブスタック112の燃料ガスの流路の一方の口と前記第五の燃料ガス用バルブ140Eとの間には、ドレンセパレータ124が設けられている。
【0042】
前記第三の燃料ガス用ライン143の、前記第二のサブスタック112の燃料ガスの流路の他方の口と前記第六の燃料ガス用バルブ140Fとの間には、ドレンセパレータ125が設けられている。
【0043】
他方、図2に示すように、酸化ガスである濃度99%以上の酸素ガス2を供給する酸化ガス供給手段である酸素ガス供給源131は、前記第一のサブスタック111のエンドフランジに形成された、酸化ガスの流路の一方の口に、第一の酸化ガス用ライン151を介して接続している。
【0044】
前記第一のサブスタック111のエンドフランジに形成された、酸化ガスの流路の他方の口は、前記第二のサブスタック112のエンドフランジに形成された、酸化ガスの流路の他方の口に、第二の酸化ガス用ライン152を介して接続している。
【0045】
前記第二のサブスタック112のエンドフランジに形成された、酸化ガスの流路の他方の口は、前記第一の酸化ガス用ライン151の途中に第三の酸化ガス用ライン153を介して接続している。
【0046】
前記第二の酸化ガス用ライン152の途中と前記第三の酸化ガス用ライン153の途中とは、第五の酸化ガス用ライン155を介して接続している。
【0047】
前記第一の酸化ガス用ライン151の前記第三の酸化ガス用ライン153との接続部分と前記第一のサブスタック111との間と、前記第三の酸化ガス用ライン153の前記第五の酸化ガス用ライン155との接続部分と前記第二のサブスタック112との間は、第四の酸化ガス用ライン154を介して接続している。
【0048】
前記第二の酸化ガス用ライン152の前記第五の酸化ガス用ライン155との接続部分と前記第二のサブスタック112との間は、前記第四の酸化ガス用ライン154の途中に第六の酸化ガス用ライン156を介して接続している。
【0049】
前記第一の酸化ガス用ライン151の、前記第三の酸化ガス用ライン153の接続部分と前記第四の酸化ガス用ライン154の接続部分との間には、当該間を断接する第一の酸化ガス用断接手段である第一の酸化ガス用バルブ150Aが設けられている。
【0050】
前記第一の酸化ガス用ライン151の、前記第三の酸化ガス用ライン153の接続部分及び前記第四の酸化ガス用ライン154の接続部分よりも前記第一のサブスタック111側、すなわち、前記第四の酸化ガス用ライン154の接続部分と前記第一のサブスタック111との間には、当該間を断接する第二の酸化ガス用断接手段である第二の酸化ガス用バルブ150Bが設けられている。
【0051】
前記第二の酸化ガス用ライン152の、前記第五の酸化ガス用ライン155の接続部分及び前記第六の酸化ガス用ライン156の接続部分よりも前記第一のサブスタック111側、すなわち、前記第五の酸化ガス用ライン155の接続部分と前記第一のサブスタック111との間には、当該間を断接する第三の酸化ガス用断接手段である第三の酸化ガス用バルブ150Cが設けられている。
【0052】
前記第二の酸化ガス用ライン152の、前記第五の酸化ガス用ライン155の接続部分と前記第六の酸化ガス用ライン156の接続部分との間には、当該間を断接する第四の酸化ガス用断接手段である第四の酸化ガス用バルブ150Dが設けられている。
【0053】
前記第二の酸化ガス用ライン152の、前記第五の酸化ガス用ライン155の接続部分及び前記第六の酸化ガス用ライン156の接続部分よりも前記第二のサブスタック112側、すなわち、前記第六の酸化ガス用ライン156の接続部分と前記第二のサブスタック112との間には、当該間を断接する第五の酸化ガス用断接手段である第五の酸化ガス用バルブ150Eが設けられている。
【0054】
前記第三の酸化ガス用ライン153の、前記第二のサブスタック112と前記第四の酸化ガス用ライン154の接続部分との間には、当該間を断接する第六の酸化ガス用断接手段である第六の酸化ガス用バルブ150Fが設けられている。
【0055】
前記第三の酸化ガス用ライン153の、前記第四の酸化ガス用ライン154の接続部分と前記第五の酸化ガス用ライン155の接続部分との間には、当該間を断接する第七の酸化ガス用断接手段である第七の酸化ガス用バルブ150Gが設けられている。
【0056】
前記第三の酸化ガス用ライン153の、前記第一の酸化ガス用ライン151の接続部分と前記第五の酸化ガス用ライン155の接続部分との間には、当該間を断接する第八の酸化ガス用断接手段である第八の酸化ガス用バルブ150Hが設けられている。
【0057】
前記第四の酸化ガス用ライン154の、前記第三の酸化ガス用ライン153の接続部分と前記第六の酸化ガス用ライン156の接続部分との間には、当該間を断接する第九の酸化ガス用断接手段である第九の酸化ガス用バルブ150Iが設けられている。
【0058】
前記第四の酸化ガス用ライン154の、前記第一の酸化ガス用ライン151の接続部分と前記第六の酸化ガス用ライン156の接続部分との間には、当該間を断接する第十の酸化ガス用断接手段である第十の酸化ガス用バルブ150Jが設けられている。
【0059】
前記第五の酸化ガス用ライン155の途中には、当該ライン155を断接する第十一の酸化ガス用断接手段である第十一の酸化ガス用バルブ150Kが設けられている。
【0060】
前記第六の酸化ガス用ライン156の途中には、当該ライン156を断接する第十二の酸化ガス用断接手段である第十二の酸化ガス用バルブ150Lが設けられている。
【0061】
前記第一の酸化ガス用ライン151の、前記第一のサブスタック111の酸化ガスの流路の一方の口と前記第二の酸化ガス用バルブ150Bとの間には、ドレンセパレータ132が設けられている。
【0062】
前記第二の酸化ガス用ライン152の、前記第一のサブスタック111の酸化ガスの流路の他方の口と前記第三の酸化ガス用バルブ150Cとの間には、ドレンセパレータ133が設けられている。
【0063】
前記第二の酸化ガス用ライン152の、前記第二のサブスタック112の酸化ガスの流路の一方の口と前記第五の酸化ガス用バルブ150Eとの間には、ドレンセパレータ134が設けられている。
【0064】
前記第三の酸化ガス用ライン153の、前記第二のサブスタック112の酸化ガスの流路の他方の口と前記第六の酸化ガス用バルブ150Fとの間には、ドレンセパレータ135が設けられている。
【0065】
そして、図1,2に示すように、前記バルブ140A〜140L,150A〜150Lは、燃料ガス用制御手段と酸化ガス用制御手段とを兼ねる制御装置160の出力部にそれぞれ電気的に接続されており、当該制御装置140は、燃料ガス用切換時期確認手段と酸化ガス用切換時期確認手段とを兼ねる内蔵された図示しないタイマからの情報(運転時間)に基づいて、当該バルブ140A〜140L,150A〜150Lの開閉を制御することができるようになっている(詳細は後述する)。
【0066】
なお、本実施形態においては、前記ドレンセパレータ122〜125等により燃料ガス用気液分離手段を構成し、前記ドレンセパレータ132〜135等により酸化ガス用気液分離手段を構成している。
【0067】
このような本実施形態に係る固体高分子形燃料電池発電システム100の作動を次に説明する。なお、本実施形態においては、燃料ガス系統と酸化ガス系統とが同様な作動をすることから、以下、説明の煩雑化を避けるため、燃料ガス系統の作動を説明することにより、酸化ガス系統の作動の説明に代えることとする。
【0068】
前記ガス供給源121から前記ガス1を送給すると共に、前記制御装置160を作動させると、当該制御装置160は、前記バルブ140F〜140Lを閉鎖すると共に前記バルブ140A〜140Eを開放するように当該バルブ140A〜140Lを制御する(図3A参照)。
【0069】
これにより、前記ガス供給源121からの前記ガス1が、前記ライン141を流通し、前記ドレンセパレータ122を経由して前記第一のサブスタック111の前記ガス流路の一方の口へ供給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第一のサブスタック111において、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0070】
そして、使用済みの上記ガス1(約1/2を使用された残りの約1/2)が、上記電気化学反応に伴って生じた水3と共に各上記流路を流通して、前記ガス流路の他方の口から排出され、前記ライン142を流通して前記ドレンセパレータ123で当該水3を分離された後、前記ドレンセパレータ124を経由して前記第二のサブスタック112の前記ガス流路の一方の口へ供給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第二のサブスタック112において、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0071】
このとき、前記第一のサブスタック111においては、前記ガス供給源121からの前記ガス1がそのままの状態で前記ガス流路の一方の口に供給されることから、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の一方の口寄り部分が乾燥しやすくなると共に、前記第二のサブスタック112においては、前記ガス1(残りの約1/2)のほとんどが消費されて、前記ガス流路の他方の口から排出されるガスがほとんどないので、上記電気化学反応に伴って生じた水3が、前記ガス流路内の他方の口寄りに次第に滞留し始め、発電性能が低下するようになる。
【0072】
ここで、前記制御装置160は、前記タイマからの情報に基づいて、予め設定された運転時間(例えば2分間)が経過すると、前記バルブ140B,140E〜140H,140J,140Lを開放すると共に、前記バルブ140A,140C,140D,140I,140Kを閉鎖するように、当該バルブ140A〜140Lを制御する(図3B参照)。
【0073】
つまり、前記制御装置140は、前記ガス供給源121からの前記ガス1を、当該ガス1の流通方向下流側に位置する前記第二のサブスタック112の前記ガス流路の他方の口、すなわち、当該ガス1の流通方向下流側の口から当該第二のサブスタック112の当該ガス流路に供給すると共に、当該第二のサブスタック112の当該ガス流路を流通した前記ガス1を、当該ガス1の流通方向上流側に位置していた前記第一のサブスタック111の前記ガス流路に供給するように、前記バルブ140A〜140Lを制御するのである。
【0074】
これにより、前記ガス供給源121からの全流量の前記ガス1が、前記ライン143を流通し、前記ドレンセパレータ125を経由して前記第二のサブスタック112の前記ガス流路の他方の口へ供給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第二のサブスタック112において、当該流路内に滞留している水3を押し出しつつ加湿されながら、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0075】
そして、加湿された使用済みの上記ガス1(約1/2を使用された残りの約1/2)が、当該電気化学反応に伴って新たに生じた水3及び滞留していた上記水3と共に各上記流路を流通して、前記ガス流路の一方の口から排出され、前記ライン142を流通して前記ドレンセパレータ124で当該水3を分離された後、前記ライン146及び前記ライン144を介して前記ライン141に流入し、前記ドレンセパレータ122を経由して前記第一のサブスタック111の前記ガス流路の一方の口へ供給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第一のサブスタック111において、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の一方の口寄り部分を含めた全体を加湿しつつ、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0076】
このとき、前記第二のサブスタック112においては、前記供給源121からの全流量の前記ガス1が供給されるようになるので、前記流路内に滞留している水3が押し出されて、電気化学反応に伴って新たに生じた水3と共に排出されることから、発電性能の低下が防止されるようになると共に、前記第一のサブスタック111においては、前記第二のサブスタック112で加湿された前記ガス1が供給されるので、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の一方の口寄り部分を含めた全体が加湿されることから、当該固体高分子膜の、当該ガス流路の一方の口寄り部分を含めた全体の劣化が抑制されるものの、今度は、新たに、上記第二のサブスタック112において、前記ガス供給源121からの前記ガス1がそのままの状態で前記ガス流路の他方の口に供給されることから、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の他方の口寄り部分が乾燥しやすくなると共に、上記第一のサブスタック111において、供給された前記ガス1のほとんどが消費されて、前記ガス流路の他方の口から排出されるガスがほとんどなくなることから、上記電気化学反応に伴って生じた水3が、前記ガス流路内の他方の口寄りに次第に滞留し始め、発電性能が低下するようになる。
【0077】
ここで、前記制御装置160は、前記タイマからの情報に基づいて、予め設定された運転時間(例えば、2分間)が経過すると、前記バルブ140B,140C,140E,140H,140J〜140Lを開放すると共に、前記バルブ140A,140D,140F,140G,140Iを閉鎖するように、当該バルブ140A〜140Lを制御する(図3C参照)。
【0078】
つまり、前記制御装置160は、前記ガス供給源121からの全流量の前記ガス1の供給先を、当該ガス1の流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック111の前記ガス流路の他方の口、すなわち、当該ガス1の流通方向下流側の口から当該第一のサブスタック112の当該ガス流路に供給すると共に、当該第一のサブスタック111の当該ガス流路を流通した前記ガス1を、当該ガス1の流通方向上流側に位置していた前記第二のサブスタック112の前記ガス流路に供給するように、前記バルブ140A〜140Lを制御するのである。
【0079】
これにより、前記ガス供給源121からの全流量の前記ガス1が、前記ライン143及び前記ライン145を介して前記ライン142に流入し、前記ドレンセパレータ123を経由して前記第一のサブスタック111の前記ガス流路の他方の口へ供給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第一のサブスタック111において、当該流路内に滞留している水3を押し出しつつ加湿されながら、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0080】
そして、使用済みの前記ガス1(約1/2を使用された残りの約1/2)が、上記電気化学反応に伴って新たに生じた水3及び滞留していた上記水3と共に各上記流路を流通して、前記ガス流路の一方の口から排出され、前記ライン141を流通して前記ドレンセパレータ122で当該水3を分離された後、前記ライン144及び前記ライン146を介して前記ライン142に流入し、前記ドレンセパレータ124を経由して前記第二のサブスタック112の前記ガス流路の一方の口へ供給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第二のサブスタック112において、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の一方の口寄り部分を含めた全体を加湿しつつ、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0081】
このとき、前記第一のサブスタック111においては、前記供給源121からの全流量の前記ガス1が供給されるようになるので、前記流路内に滞留している水3が押し出されて、電気化学反応に伴って新たに生じた水3と共に排出されることから、発電性能の低下が防止されるようになると共に、前記第二のサブスタック112においては、前記第一のサブスタック111で加湿された前記ガス1が供給されるので、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の一方の口寄り部分を含めた全体が加湿されることから、当該固体高分子膜の、当該ガス流路の一方の口寄り部分を含めた全体の劣化が抑制されるものの、今度は、再び、上記第一のサブスタック111において、前記ガス供給源121からの前記ガス1がそのままの状態で前記ガス流路の他方の口に供給されることから、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の他方の口寄り部分が乾燥しやすくなると共に、前記第二のサブスタック112において、供給された前記ガス1のほとんどが消費されて、前記ガス流路の他方の口から排出されるガスがほとんどなくなるので、上記電気化学反応に伴って生じた水3が、前記流路内に次第に滞留し始め、発電性能が低下するようになる。
【0082】
ここで、前記制御装置160は、前記タイマからの情報に基づいて、予め設定された運転時間(例えば、2分間)が経過すると、前記バルブ140C〜140Hを開放すると共に、前記バルブ140A,140B,140I〜140Lを閉鎖するように、当該バルブ140A〜140Lを制御する(図3D参照)。
【0083】
つまり、前記制御装置160は、前記ガス供給源121からの全流量の前記ガス1の供給先を、当該ガス1の流通方向下流側に位置する前記第二のサブスタック112の前記ガス流路の他方の口、すなわち、当該ガス1の流通方向下流側の口から当該第二のサブスタック112の当該ガス流路に供給すると共に、当該第二のサブスタック112の当該ガス流路を流通した前記ガス1を、当該ガス1の流通方向上流側に位置していた前記第一のサブスタック111の前記ガス流路に供給するように、前記バルブ140A〜140Lを制御するのである。
【0084】
これにより、前記ガス供給源121からの全流量の前記ガス1が、前記ライン143を介して前記ライン142に流入し、前記ドレンセパレータ125を経由して前記第二のサブスタック112の前記ガス流路の他方の口へ供給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第二のサブスタック112において、当該流路内に滞留している水3を押し出しつつ加湿されながら、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0085】
そして、使用済みの前記ガス1(約1/2を使用された残りの約1/2)が、上記電気化学反応に伴って新たに生じた水3及び滞留していた上記水3と共に各上記流路を流通して、前記ガス流路の一方の口から排出され、前記ライン142を流通して前記ドレンセパレータ124で当該水3を分離された後、前記ドレンセパレータ123を経由して前記第一のサブスタック111の前記ガス流路の他方の口へ供給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通することにより、当該第一のサブスタック111において、前記セルの前記固体高分子電解質膜の、当該ガス流路の他方の口寄り部分を含めた全体を加湿しつつ、電気化学反応を生じて電力を発生する。
【0086】
以下、制御装置140は、前記タイマからの情報に基づいて、予め設定された運転時間(例えば、2分間)が経過すると、図3E,図3F,図3G,図3Hに示すように前記バルブ140A〜140Lの開閉制御を順次行った後、図3Aに示した前記バルブ140A〜140Lの開閉制御を再び行って、一連の上記バルブ140A〜140Lの開閉制御を繰り返す。
【0087】
これにより、前記固体高分子形燃料電池110は、前記ガス供給源121からの前記ガス1を、当該ガス1の流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック111及び前記第二のサブスタック112の一方のサブスタックの前記ガス流路の当該ガス1の流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該ガス流路に供給されると共に、当該一方のサブスタックの当該ガス流路を流通した前記ガス1を、前記第一のサブスタック111及び前記第二のサブスタック112の他方のサブスタックの前記ガス流路に供給されるように定期的に切り換えられるのである。
【0088】
このため、本実施形態に係る固体高分子形燃料電池発電システム100においては、ブロアやエジェクタ等のガス循環装置がなくても、前記サブスタック111,112内に生成した前記水3を当該サブスタック111,112内から排出することができるのはもちろんのこと、加湿器等がなくても、前記ガス供給源121から送給される前記ガス1を前記サブスタック111,112内に加湿して供給することができると共に、前記ガス供給源121からそのままの状態で前記ガス1を供給される前記サブスタック111,112の前記ガス流路の口を従来(2箇所)よりも増やすことができるので(4箇所)、前記サブスタック111,112の前記セルの前記固体高分子電解質膜の、前記ガス流路の口寄り部分の劣化を抑制することができる。
【0089】
したがって、本実施形態に係る固体高分子形燃料電池発電システム100によれば、長期間にわたって連続して発電運転を行なっても、固体高分子電解質膜の寿命の低下を大幅に抑制することができる。
【0090】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、前記制御装置160が、前記バルブ140A〜140L,150A〜150Lの開閉制御を図3A〜図3Hの順に繰り返し行うことにより、前記ガス供給源121,131からの前記ガス1,2を、当該ガス1,2の流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック111及び前記第二のサブスタック112の一方のサブスタックの前記ガス流路の当該ガス1,2の流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該ガス流路を流通した前記ガス1,2を、前記第一のサブスタック111及び前記第二のサブスタック112の他方のサブスタックの前記ガス流路に供給することを定期的に切り替えるようにしたが、他の実施形態として、例えば、下記の表1に示す他の実施形態1〜9の各手順で前記バルブ140A〜140L,150A〜150Lの開閉制御を繰り返し行うことにより、前記ガス供給源121,131からの前記ガス1,2を、当該ガス1,2の流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック111及び前記第二のサブスタック112の一方のサブスタックの前記ガス流路の当該ガス1,2の流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該ガス流路を流通した前記ガス1,2を、前記第一のサブスタック111及び前記第二のサブスタック112の他方のサブスタックの前記ガス流路に供給することを定期的に切り替えることも可能である。
【0091】
【表1】

【0092】
また、前述した実施形態においては、前記第一のライン141,151の、前記第三のライン143,153の接続部分と前記第一のサブスタック111との間に、前記第四の用ライン144,154を接続するようにしたが、他の実施形態として、前記第一のライン141,151の前記第三のライン143,153との接続部分と前記ガス供給源121,131との間に、前記第四の用ラインを接続することも可能である。
【0093】
また、前述した実施形態においては、前記第二のライン142,152の、前記第五のライン145,155の接続部分と前記第二のサブスタック112との間に、前記第六のライン146,156を接続するようにしたが、他の実施形態として、前記第二のライン142,152の、前記第五のライン145,155の接続部分と前記第一のサブスタック111との間に、前記第六のラインを接続することも可能である。
【0094】
また、前述した各実施形態では、運転時間を計測する前記タイマを燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として前記制御装置160に内蔵させ、当該制御装置160が、当該タイマからの情報に基づいて、予め設定された運転時間の経過により、前記バルブ140A〜140Lの開閉を制御するようにしたが、他の実施形態として、例えば、以下のようにすること等によっても、前述した各実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【0095】
(1)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、前記サブスタックの前記セルの電圧値を計測するセル電圧計測手段を設け、燃料ガス用制御手段や酸化ガス用制御手段が、当該セル電圧計測手段からの情報に基づいて、前記ガス流通方向下流側に位置する前記サブスタックのセル電圧が、予め設定されたセル電圧変化量(例えば、上流側に位置していたときを1として、−0.025)になったときに、前記断接手段を制御するようにする(例えば、特開2002−151125号公報等に記載されている技術の応用)。
【0096】
(2)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、前記サブスタックの前記セルの抵抗値を計測するセル抵抗計測手段を設け、燃料ガス用制御手段や酸化ガス用制御手段が、当該セル抵抗計測手段からの情報に基づいて、前記ガス流通方向下流側に位置する前記サブスタックのセル抵抗が、予め設定されたセル抵抗変化量(例えば、上流側に位置していたときを1として、+0.015)になったときに、前記断接手段を制御するようにする。
【0097】
また、前述した実施形態では、水素ガス1そのものを燃料ガスとして使用すると共に、酸素ガス2そのものを酸化ガスとして使用する場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、水素ガス1そのものを燃料ガスとして使用すると共に、酸素ガス以外の成分を比較的多く含む酸化ガス(酸素ガス濃度99%未満、例えば空気等)を使用する場合には、燃料ガス系統のみ前述した実施形態のように構成することや、水素ガス以外の成分を比較的多く含む燃料ガス(水素ガス濃度99%未満、例えば炭化水素の改質ガス等)を使用すると共に、酸素ガス2そのものを酸化ガスとして使用する場合には、酸化ガス系統のみ前述した実施形態のように構成することも可能である。
【0098】
さらに、水素ガス1そのものを燃料ガスとして使用すると共に、酸素ガス2そのものを酸化ガスとして使用する場合であっても、燃料ガス系統及び酸化ガス系統のいずれか一方のみを前述した実施形態のように構成することも可能である。このとき、水素ガス1側よりも酸素ガス2側の方が水3を多く生じやすいため、少なくとも酸化ガス系統を前記した実施形態のように構成することが好ましい。
【0099】
しかしながら、燃料ガス系統及び酸化ガス系統の両方共に前述した実施形態のように構成すれば、酸化ガス系統側よりも少ないながらも燃料ガス系統側に生じる水3も確実に排出することができると共に、燃料ガス系統側と酸化ガス系統側との間の差圧をできるだけ小さくすることが可能となるので、非常に好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係る固体高分子形燃料電池発電システムは、長期間にわたって連続して発電運転を行なっても、固体高分子電解質膜の寿命の低下を大幅に抑制することができるので、産業上、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 水素ガス
2 酸素ガス
3 水
100 固体高分子形燃料電池発電システム
110 固体高分子形燃料電池
111 第一のサブスタック
112 第二のサブスタック
121 水素ガス供給源
122〜125 ドレンセパレータ
131 酸素ガス供給源
132〜135 ドレンセパレータ
140A 第一の燃料ガス用バルブ
140B 第二の燃料ガス用バルブ
140C 第三の燃料ガス用バルブ
140D 第四の燃料ガス用バルブ
140E 第五の燃料ガス用バルブ
140F 第六の燃料ガス用バルブ
140G 第七の燃料ガス用バルブ
140H 第八の燃料ガス用バルブ
140I 第九の燃料ガス用バルブ
140J 第十の燃料ガス用バルブ
140K 第十一の燃料ガス用バルブ
140L 第十二の燃料ガス用バルブ
141 第一の燃料ガス用ライン
142 第二の燃料ガス用ライン
143 第三の燃料ガス用ライン
144 第四の燃料ガス用ライン
145 第五の燃料ガス用ライン
146 第六の燃料ガス用ライン
150A 第一の酸化ガス用バルブ
150B 第二の酸化ガス用バルブ
150C 第三の酸化ガス用バルブ
150D 第四の酸化ガス用バルブ
150E 第五の酸化ガス用バルブ
150F 第六の酸化ガス用バルブ
150G 第七の酸化ガス用バルブ
150H 第八の酸化ガス用バルブ
150I 第九の酸化ガス用バルブ
150J 第十の酸化ガス用バルブ
150K 第十一の酸化ガス用バルブ
150L 第十二の酸化ガス用バルブ
151 第一の酸化ガス用ライン
152 第二の酸化ガス用ライン
153 第三の酸化ガス用ライン
154 第四の酸化ガス用ライン
155 第五の酸化ガス用ライン
156 第六の酸化ガス用ライン
160 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子電解質膜を燃料極及び酸化極で挟んだセルと燃料ガス流路及び酸化ガス流路をそれぞれ形成されたセパレータとを交互に複数積層した第一のサブスタック及び第二のサブスタックを有する固体高分子形燃料電池と、
前記固体高分子形燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記固体高分子形燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と
を備えている固体高分子形燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料ガス供給手段と前記第一のサブスタックの前記燃料ガス流路の一方の口とを接続する第一の燃料ガス用ラインと、
前記第一のサブスタックの前記燃料ガス流路の他方の口と前記第二のサブスタックの前記燃料ガス流路の一方の口とを接続する第二の燃料ガス用ラインと、
前記第二のサブスタックの前記燃料ガス流路の他方の口と前記第一の燃料ガス用ラインとを接続する第三の燃料ガス用ラインと、
前記第一の燃料ガス用ラインの前記第三の燃料ガス用ラインとの接続部分と前記燃料ガス供給手段又は前記第一のスタックとの間と前記第三の燃料ガス用ラインとを接続する第四の燃料ガス用ラインと、
前記第二の燃料ガス用ラインと前記第三の燃料ガス用ラインとを接続する第五の燃料ガス用ラインと、
前記第二の燃料ガス用ラインの前記第五の燃料ガス用ラインとの接続部分と前記第一のスタック又は前記第二のスタックとの間と前記第四の燃料ガス用ラインとを接続する第六の燃料ガス用ラインと、
前記第一の燃料ガス用ラインの、前記第三の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第一の燃料ガス用断接手段と、
前記第一の燃料ガス用ラインの、前記第三の燃料ガス用ラインの接続部分及び前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第二の燃料ガス用断接手段と、
前記第二の燃料ガス用ラインの、前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分及び前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第三の燃料ガス用断接手段と、
前記第二の燃料ガス用ラインの、前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第四の燃料ガス用断接手段と、
前記第二の燃料ガス用ラインの、前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分及び前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分よりも前記第二のサブスタック側を断接する第五の燃料ガス用断接手段と、
前記第三の燃料ガス用ラインの、前記第二のスタックと前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第六の燃料ガス用断接手段と、
前記第三の燃料ガス用ラインの、前記第四の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第七の燃料ガス用断接手段と、
前記第三の燃料ガス用ラインの、前記第一の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第五の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第八の燃料ガス用断接手段と、
前記第四の燃料ガス用ラインの、前記第三の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第九の燃料ガス用断接手段と、
前記第四の燃料ガス用ラインの、前記第一の燃料ガス用ラインの接続部分と前記第六の燃料ガス用ラインの接続部分との間を断接する第十の燃料ガス用断接手段と、
前記第五の燃料ガス用ラインに設けられた第十一の燃料ガス用断接手段と、
前記第六の燃料ガス用ラインに設けられた第十二の燃料ガス用断接手段と、
前記サブスタックから前記燃料ガスと共に送出された水を当該燃料ガスから分離する燃料ガス用気液分離手段と、
運転時間、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの抵抗値、のうちの少なくとも一つを計測する燃料ガス用切換時期確認手段と、
前記燃料ガス用切換時期確認手段からの情報に基づいて、前記燃料ガス供給手段からの前記燃料ガスを、前記燃料ガスの流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの一方のサブスタックの前記燃料ガス流路の当該燃料ガスの流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該燃料ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該燃料ガス流路を流通した前記燃料ガスを、前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの他方のサブスタックの前記燃料ガス流路に供給するように、前記燃料ガス用断接手段を制御する燃料ガス用制御手段と
を備えていることを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。
【請求項2】
固体高分子電解質膜を燃料極及び酸化極で挟んだセルと燃料ガス流路及び酸化ガス流路をそれぞれ形成されたセパレータとを交互に複数積層した第一のサブスタック及び第二のサブスタックを有する固体高分子形燃料電池と、
前記固体高分子形燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記固体高分子形燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と
を備えている固体高分子形燃料電池発電システムにおいて、
前記酸化ガス供給手段と前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第一の酸化ガス用ラインと、
前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第二の酸化ガス用ラインと、
前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第一の酸化ガス用ラインとを接続する第三の酸化ガス用ラインと、
前記第一の酸化ガス用ラインの前記第三の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記酸化ガス供給手段又は前記第一のスタックとの間と前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第四の酸化ガス用ラインと、
前記第二の酸化ガス用ラインと前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第五の酸化ガス用ラインと、
前記第二の酸化ガス用ラインの前記第五の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記第一のスタック又は前記第二のスタックとの間と前記第四の酸化ガス用ラインとを接続する第六の酸化ガス用ラインと、
前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第一の酸化ガス用断接手段と、
前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第二の酸化ガス用断接手段と、
前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第三の酸化ガス用断接手段と、
前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第四の酸化ガス用断接手段と、
前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第二のサブスタック側を断接する第五の酸化ガス用断接手段と、
前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第二のスタックと前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第六の酸化ガス用断接手段と、
前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第七の酸化ガス用断接手段と、
前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第八の酸化ガス用断接手段と、
前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第九の酸化ガス用断接手段と、
前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第十の酸化ガス用断接手段と、
前記第五の酸化ガス用ラインに設けられた第十一の酸化ガス用断接手段と、
前記第六の酸化ガス用ラインに設けられた第十二の酸化ガス用断接手段と、
前記サブスタックから前記酸化ガスと共に送出された水を当該酸化ガスから分離する酸化ガス用気液分離手段と、
運転時間、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの抵抗値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段と、
前記酸化ガス用切換時期確認手段からの情報に基づいて、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスを、前記酸化ガスの流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの一方のサブスタックの前記酸化ガス流路の当該酸化ガスの流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路を流通した前記酸化ガスを、前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの他方のサブスタックの前記酸化ガス流路に供給するように、前記酸化ガス用断接手段を制御する酸化ガス用制御手段と
を備えていることを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。
【請求項3】
請求項1に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて、
前記酸化ガス供給手段と前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第一の酸化ガス用ラインと、
前記第一のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の一方の口とを接続する第二の酸化ガス用ラインと、
前記第二のサブスタックの前記酸化ガス流路の他方の口と前記第一の酸化ガス用ラインとを接続する第三の酸化ガス用ラインと、
前記第一の酸化ガス用ラインの前記第三の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記酸化ガス供給手段又は前記第一のスタックとの間と前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第四の酸化ガス用ラインと、
前記第二の酸化ガス用ラインと前記第三の酸化ガス用ラインとを接続する第五の酸化ガス用ラインと、
前記第二の酸化ガス用ラインの前記第五の酸化ガス用ラインとの接続部分と前記第一のスタック又は前記第二のスタックとの間と前記第四の酸化ガス用ラインとを接続する第六の酸化ガス用ラインと、
前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第一の酸化ガス用断接手段と、
前記第一の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第二の酸化ガス用断接手段と、
前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第一のサブスタック側を断接する第三の酸化ガス用断接手段と、
前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第四の酸化ガス用断接手段と、
前記第二の酸化ガス用ラインの、前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分及び前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分よりも前記第二のサブスタック側を断接する第五の酸化ガス用断接手段と、
前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第二のスタックと前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第六の酸化ガス用断接手段と、
前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第四の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第七の酸化ガス用断接手段と、
前記第三の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第五の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第八の酸化ガス用断接手段と、
前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第三の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第九の酸化ガス用断接手段と、
前記第四の酸化ガス用ラインの、前記第一の酸化ガス用ラインの接続部分と前記第六の酸化ガス用ラインの接続部分との間を断接する第十の酸化ガス用断接手段と、
前記第五の酸化ガス用ラインに設けられた第十一の酸化ガス用断接手段と、
前記第六の酸化ガス用ラインに設けられた第十二の酸化ガス用断接手段と、
前記サブスタックから前記酸化ガスと共に送出された水を当該酸化ガスから分離する酸化ガス用気液分離手段と、
運転時間、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記固体高分子形燃料電池の前記サブスタックの前記セルの抵抗値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段と、
前記酸化ガス用切換時期確認手段からの情報に基づいて、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスを、前記酸化ガスの流通方向下流側に位置する前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの一方のサブスタックの前記酸化ガス流路の当該酸化ガスの流通方向下流側の口から当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路に供給すると共に、当該一方のサブスタックの当該酸化ガス流路を流通した前記酸化ガスを、前記第一のサブスタック及び前記第二のサブスタックの他方のサブスタックの前記酸化ガス流路に供給するように、前記酸化ガス用断接手段を制御する酸化ガス用制御手段と
を備えていることを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。
ことを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料ガスが、濃度99%以上の水素ガスである
ことを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の固体高分子形燃料電池発電システムにおいて、
前記酸化ガスが、濃度99%以上の酸素ガスである
ことを特徴とする固体高分子形燃料電池発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【公開番号】特開2013−89400(P2013−89400A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227632(P2011−227632)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】