説明

固体高分子電解質膜、当該膜を用いた固体高分子型燃料電池、およびその製造方法

固体高分子電解質膜と触媒層中のイオン交換樹脂を異なる材料により構成しても、固体高分子電解質膜と触媒層との接合性をよくする。燃料電池10において、固体高分子電解質膜20は、第一の固体高分子電解質膜200と、その両面に設けられた第二の固体高分子電解質膜202および204を有する。第二の固体高分子電解質膜202および204は、触媒層26および触媒層30に含まれるイオン交換樹脂(不図示)と同じ材料により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、固体高分子電解質膜、当該膜を用いた固体高分子型燃料電池、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
近年、エネルギー変換効率が高く、かつ、発電反応により有害物質を発生しない燃料電池が注目を浴びている。こうした燃料電池の一つとして、100℃以下の低温で作動する固体高分子型燃料電池が知られている。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜を燃料極と空気極との間に配した基本構造を有し、燃料極に水素、空気極に酸素を供給し、以下の電気化学反応により発電する装置である。
燃料極:H→2H+2e(1)
空気極:1/2O+2H+2e→HO(2)
燃料極および空気極は、触媒層とガス拡散層が積層した構造からなる。各電極の触媒層が固体高分子電解質膜を挟んで対向配置され、燃料電池を構成する。触媒層は、触媒を担持した炭素粒子がイオン交換樹脂により結着されてなる層である。ガス拡散層は酸素や水素の通過経路となる。発電反応は、触媒層における触媒、イオン交換樹脂および反応物質(水素または酸素)のいわゆる三相界面において進行する。
燃料極においては、供給された燃料中に含まれる水素が上記式(1)に示されるように水素イオンと電子に分解される。このうち水素イオンは固体高分子電解質膜の内部を空気極に向かって移動し、電子は外部回路を通って空気極に移動する。一方、空気極においては、空気極に供給された酸化剤に含まれる酸素が燃料極から移動してきた水素イオンおよび電子と反応し、上記式(2)に示されるように水が生成する。このように、外部回路では燃料極から空気極に向かって電子が移動するため、電力が取り出される。
従来、固体高分子電解質膜としては、高い水素イオン伝導性を有するナフィオン(登録商標、デュポン社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)、アシプレックス(登録商標、旭化成製)等のパーフルオロ酸系高分子のような含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されたものが用いられている。
しかし、このような含フッ素重合体は製造が困難で高価であるという問題がある。そのため、家庭用、自動車用、または民生用の燃料電池の実用化、商業化の大きなハードルとなっていた。さらに、ナフィオン等の含フッ素重合体は、水分管理が困難であり、耐熱性も低いという問題がある。
一方、近年、固体高分子型燃料電池として、燃料極に燃料としてメタノールを直接供給して用いる直接メタノール型燃料電池(以下DMFCと略す)の開発も進められている。しかし、従来の含フッ素重合体の固体高分子電解質材料は、メタノールの遮断性が低く、DMFCの電解質膜として使用した場合、メタノールのクロスオーバーが生じ、所望の電池特性が得られないという問題もあった。
そこで、以上のような問題を解決可能な新たな固体高分子電解質膜の開発が求められている。そのような新たな固体高分子電解質膜の一例として、たとえばフッ素を含有しないスルホン酸型非フッ素重合体の固体高分子電解質材料を用いたものが特許文献2に記載されている。また、メタノール等のアルコール類の遮断性が高い電解質膜の一例として、フッ素を含有しないスルホン酸型非フッ素重合体の固体高分子電解質材料を用いたものが特許文献3や特許文献4に記載されている。
特許文献1 特開2002−63915号公報
特許文献2 特開平10−45913号公報
特許文献3 特開2002−105200号公報
特許文献4 特開2002−216802号公報
【発明の開示】
しかし、固体高分子電解質膜としてスルホン酸型非フッ素重合体を用いた場合、触媒層に含まれる異種の固体高分子電解質材料との接合性が問題になることがある。このように、異種の材料を用いた場合、固体高分子電解質膜と触媒層との接合状態が悪化するという問題があった。とくに、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料と非フッ素重合体の固体高分子電解質材料とではガラス転移温度や溶融温度が異なるため、充分な接合を得るのが困難である。たとえば、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料のガラス転移温度や溶融温度が含フッ素重合体の固体高分子電解質材料よりも高い場合、比較的低い温度にてホットプレス接合すると、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料が充分に流動せず、多孔質性の触媒層中の含フッ素重合体の固体高分子電解質材料や触媒との界面が充分に確保できない。これは、ガラス転移温度や溶融温度が高い非フッ素重合体の固体高分子電解質材料からなる固体高分子電解質膜と、ガラス転移温度や溶融温度が低い含フッ素重合体の固体高分子電解質材料を含む電極を接合する場合、触媒層表面が完全な平坦でなく、触媒層中の固体高分子電解質材料の量に限りがあることにより顕著となる。
固体高分子電解質膜と触媒層との接合が充分でないと、三相界面への水素イオンの伝導が不充分となり、燃料電池の性能が低下してしまう。一方、比較的高い温度にてホットプレス接合すると、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料のクラスター構造が破壊される等して水素イオンの伝導性が悪くなり、燃料電池の性能が低下してしまうという問題があった。こうした接合性の問題を解決するために、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料を触媒層に含浸した後に、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料からなる固体高分子電解質膜と接合する手法が用いられているが、触媒増中の固体高分子電解質材料が過剰となり、ガス拡散が阻害され、電池性能が低下するという問題があった。
こうした事情に鑑み、本発明は、固体高分子電解質膜と触媒層に異なる固体高分子電解質材料を用いた場合であっても、固体高分子電解質膜や固体高分子電解質材料に熱的なダメージを与えることなく、良好な接合状態を得ることのできる固体高分子型燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明の別の目的は、耐熱性の高い固体高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池およびその製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、低コストの固体高分子型燃料電池およびその製造方法を提供することにある。また、本発明は、このような固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解質膜を提供することを目的とする。
本発明によれば、固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解質膜であって、第一の固体高分子電解質膜と、少なくともその片面に形成され、第一の固体高分子電解質膜とは異なる材料により形成された第二の固体高分子電解質膜と、を含むことを特徴とする固体高分子電解質膜が提供される。
固体高分子電解質膜の構成をこのようにすると、たとえば第一の固体高分子電解質膜の材料として、耐熱性の高い材料、低コストの材料、またはメタノールの遮断性が高い材料等を用い、第二の固体高分子電解質膜の材料として、電極との密着性の高い材料等を用いることができ、これにより固体高分子電解質膜の特性を向上させることができる。このような固体高分子電解質膜を用いることにより、固体高分子型燃料電池の耐熱性を高めるとともに、良好な接合状態を付与することができる。
本発明の固体高分子電解質膜において、第一の固体高分子電解質膜は、第二の固体高分子電解質膜を構成する材料よりも軟化温度が高い材料により構成されてよい。ここで、軟化温度とは、ガラス転移温度や溶融温度とすることができる。また、第一の固体高分子電解質膜は、明確なガラス転移温度を有しない材料により構成することもできる。
これにより、第二の固体高分子電解質膜と電極とを加熱・加圧(ホットプレス)により接合させる際に、第二の固体高分子電解質膜と電極との密着性を向上させることができるとともに、固体高分子電解質膜の耐熱性を向上させることができる。
また、第一の固体高分子電解質膜は、溶媒に不溶な材料により構成することができる。これにより、固体高分子電解質膜の耐溶媒特性を向上することができる。
本発明の固体高分子電解質膜において、第一の固体高分子電解質膜は、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されてよい。
本発明の固体高分子電解質膜において、第一の固体高分子電解質膜は、下記一般式で表される構造を含むスルホン化ポリフェニレンサルファイドから構成されてよい。

[式中、nは1〜4の整数]
本発明の固体高分子電解質膜において、第二の固体高分子電解質膜は、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されてよい。
本発明によれば、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜上に設けられた電極と、を含み、前記固体高分子電解質膜は、第一の固体高分子電解質膜と、前記電極と前記第一の固体高分子電解質膜との間に設けられ、前記第一の固体高分子電解質膜とは異なる材料により構成された第二の固体高分子電解質膜と、を含み、前記電極は、触媒と、軟化温度が前記第一の固体高分子電解質膜よりも前記第二の固体高分子電解質膜に近い第三の固体高分子電解質材料と、を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池が提供される。
これにより、第二の固体高分子電解質膜と電極とを加熱・加圧(ホットプレス)により接合させる際に、第二の固体高分子電解質膜と電極との密着性を向上させることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池において、第二の固体高分子電解質膜は、第三の固体高分子電解質材料と同じ材料により構成されてよい。
ここで、第三の固体高分子電解質材料は、イオン交換樹脂である。このように、本発明によれば、固体高分子電解質膜と電極に異なる固体高分子電解質材料を用いた場合であっても、その間に電極を構成する材料と軟化温度が近い材料により構成された第二の固体高分子電解質膜を含むので、固体高分子電解質膜と電極とを良好に接合することができる。すなわち、第一の固体高分子電解質膜と異種材料である第二の固体高分子電解質膜は、第一の固体高分子電解質膜と面で接触するために、良好に接合することができる。また、電極中の固体高分子電解質材料と第二の固体高分子電解質膜は、その同質性と同一温度での流動性により表面形状に関わらず良好に接合することができる。また、電極中に固体高分子電解質材料を含浸させる従来の手法と比較し、触媒層中の固体高分子電解質材料が過剰とならないため、触媒層中のガス拡散性を損なうことなく、良好に接合することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池において、第一の固体高分子電解質膜は、第二の固体高分子電解質膜を構成する材料よりも軟化温度が高い材料により構成されてよい。
本発明の固体高分子型燃料電池において、第一の固体高分子電解質膜は、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されてよい。
本発明の固体高分子型燃料電池において、第一の固体高分子電解質膜は、下記一般式で表される構造を含むスルホン化ポリフェニレンサルファイドから構成されてよい。

[式中、nは1〜4の整数]
本発明の固体高分子型燃料電池において、第二の固体高分子電解質膜は、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されてよい。
本発明によれば、固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解質膜の製造方法であって、第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、第一の固体高分子電解質膜とは異なる第二の固体高分子電解質材料により構成された第二の固体高分子電解質膜を形成する工程を含むことを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法が提供される。
本発明の固体高分子電解質膜の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程は、第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、第二の固体高分子電解質材料と、当該第二の固体高分子電解質材料を溶解または分散させる溶媒と、を含む第一の液体材料を塗布する工程を含んでよい。
本発明の固体高分子電解質膜の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程は、第一の液体材料を塗布した後、溶媒を除去する工程を含んでよい。
本発明の固体高分子電解質膜の製造方法において、第一の液体材料を塗布する際の、当該液体材料中の第二の固体高分子電解質材料の濃度が2重量%以上20重量%以下であってよい。第二の固体高分子電解質材料の濃度をこのような範囲とすることにより、第一の液体材料の粘度を適度に調整することができ、ハンドリング性を良好にすることができる。また、これにより、膜厚を所望の厚さとすることができる。
本発明の固体高分子電解質膜の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程の前に、第一の固体高分子電解質材料を溶融押出しすることにより第一の固体高分子電解質膜を形成する工程をさらに含んでよい。このようにすると、第一の固体高分子電解質材料として、溶媒に不溶な材料を用いることができ、第一の固体高分子電解質膜の溶媒耐性を高めることができる。
本発明によれば、第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、第一の固体高分子電解質膜とは異なる第二の固体高分子電解質材料により構成された第二の固体高分子電解質膜を形成する工程と、第二の固体高分子電解質膜上に、触媒および第三の固体高分子電解質材料を含む電極を形成する工程と、を含み、第二の固体高分子電解質材料は、第一の固体高分子電解質膜よりも、軟化温度が第三の固体高分子電解質材料に近いことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法が提供される。電極を形成する工程は、ガス拡散層上に形成された触媒層を第二の固体高分子電解質と接合させる工程を含むこともできる。このように、本発明によれば、固体高分子電解質膜として、電極の固体高分子電解質材料と異なるものを用いた場合であっても、その間に電極の固体高分子電解質材料と軟化温度が類似した材料により構成された第二の固体高分子電解質膜を含むので、固体高分子電解質膜と電極とを良好に接合することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程は、第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、第二の固体高分子電解質材料と、当該第二の固体高分子電解質材料を溶解または分散させる溶媒と、を含む第一の液体材料を塗布する工程を含んでよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程は、第一の液体材料を塗布した後、溶媒を除去する工程を含むことができる。ここで、溶媒は、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、水からなる群から選択される少なくとも1種とすることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、第一の液体材料を塗布する際の、当該第一の液体材料中の第二の固体高分子電解質材料の濃度が2重量%以上20重量%以下であってよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程の前に、第一の固体高分子電解質材料を溶融押出しすることにより第一の固体高分子電解質膜を形成する工程をさらに含んでよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、第三の固体高分子電解質材料が第二の固体高分子電解質材料と同じ材料であってよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、電極を形成する工程は、第二の固体高分子電解質膜の表面が流動性を有する状態で行ってよい。
このようにすれば、電極中の触媒が、流動性を有する第二の固体高分子電解質膜の表面に入り込むため、第二の固体高分子電解質膜と電極との密着性を高めることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、電極を形成する工程において、触媒および第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料を第二の固体高分子電解質膜表面に塗布してよい。ここで、第二の液体材料を塗布する際、第二の固体高分子電解質膜表面は、流動性を有する状態であっても乾燥した状態であってもいずれでもよい。
このようにすれば、触媒を含む液体材料が第二の固体高分子電解質膜に付着するので、第二の固体高分子電解質膜と電極との密着性を高めることができる。さらに、第二の固体高分子電解質膜表面が流動性を有する状態の場合、電極中の触媒が、流動性を有する第二の固体高分子電解質膜の表面に入り込むため、第二の固体高分子電解質膜と電極との密着性を高めることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、電極を形成する工程は、触媒を第二の固体高分子電解質膜表面に分散させる工程と、触媒が分散された第二の固体高分子電解質膜表面に第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料を塗布する工程と、を含んでよい。
このようにすれば、第二の固体高分子電解質膜上に付着した触媒の上から、第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料を塗布するので、第二の固体高分子電解質膜と触媒層との密着性を高めることができる。さらに、第二の固体高分子電解質膜表面が流動性を有する状態の場合、触媒が、第二の固体高分子電解質膜の表面に入り込んだ後、第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料をその上から塗布するので、第二の固体高分子電解質膜と触媒層との密着性を高めることができる。ここで、触媒は、炭素粒子に担持された状態、または担持体を用いない触媒(白金黒や白金−ルテニウム黒)の状態で分散することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、触媒層を形成する工程は、触媒および第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料をガス拡散層に塗布する工程と、ガス拡散層の第二の液体材料が塗布された面を第二の固体高分子電解質膜に接触させる工程と、を含むことができる。ここで、第二の液体材料を塗布する際、第二の固体高分子電解質膜表面は、流動性を有する状態であっても乾燥した状態であってもいずれでもよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程の後に、第一の固体高分子電解質膜および第二の固体高分子電解質膜の重なった部分を加熱しながら加圧する工程をさらに含んでよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、電極を形成する工程の後に、第二の固体高分子電解質膜および電極の重なった部分を加熱しながら加圧する工程をさらに含んでよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、重なった部分を加熱しながら加圧する工程において、第一の固体高分子電解質膜または第二の固体高分子電解質膜のうち、軟化温度が低い方の膜の軟化温度以上の温度で加熱してよい。
このようにすれば、材料に応じて適切な温度で加熱・加圧(ホットプレス)を行うことができるので、材料に熱的ダメージを与えることなく、固体高分子電解質膜と触媒層との接合状態を良好にすることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、第二の固体高分子電解質膜を形成する工程の後に、第一の固体高分子電解質膜および第二の固体高分子電解質膜の重なった部分を加熱しながら加圧する第一の加熱加圧工程と、電極を形成する工程の後に、第二の固体高分子電解質膜および電極の重なった部分を加熱しながら加圧する第二の加熱加圧工程と、を含んでよく、第二の加熱加圧工程において、第一の加熱加圧工程におけるよりも低い温度で加熱を行ってよい。
本発明の固体高分子型燃料電池の製造方法において、触媒層を形成する工程は、触媒および第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料を転写用シートに塗布する工程と、転写用シートの液体材料が塗布された面を第二の固体高分子電解質膜に接触させる工程と、を含むことができる。ここで、転写用シートはたとえばシリコンやテフロン(登録商標)等の合成樹脂材により形成するとすることができる。ここで、第二の液体材料を塗布する際、第二の固体高分子電解質膜表面は、流動性を有する状態であっても乾燥した状態であってもいずれでもよい。なお、ここで、触媒層を形成する工程は、転写用シートの第二の液体材料が塗布された面を第二の固体高分子電解質膜に接触させる工程の後、転写用シートをはがす工程を含むことができる。
ここで、第二の固体高分子電解質材料が、含フッ素重合体からなるようにすることができる。また、第三の固体高分子電解質材料が、含フッ素重合体からなるようにすることができる。また、本発明の固体高分子型燃料電池は、直接メタノール形燃料電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池の断面構造を模式的に示す図である。
図2は、触媒層を詳細に示す断面図である。
図3は、本発明の実施の形態におけるセルの製造方法を示す工程図である。
図4は、本発明の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。
図5は、本発明の実施の形態におけるセルの製造方法を示す工程図である。
図6は、本発明の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。
図7は、本発明の実施の形態におけるセルの製造方法を示す工程図である。
図8は、本発明の実施の形態におけるセルの積層構造を示す図である。
図9は、本発明の実施例の結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
(第一の実施の形態)
まず、本発明の実施の形態における固体高分子型燃料電池の構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる燃料電池10の断面構造を模式的に示す。燃料電池10は平板状のセル50を備え、このセル50の両側にはセパレータ34およびセパレータ36が設けられる。この例では一つのセル50のみを示すが、セパレータ34やセパレータ36を介して複数のセル50を積層して、燃料電池10を構成することができる。セル50は、固体高分子電解質膜20、燃料極22および空気極24とを有する。燃料極22は、積層した触媒層26およびガス拡散層28を有し、同様に空気極24も、積層した触媒層30およびガス拡散層32を有する。燃料極22の触媒層26と空気極24の触媒層30は、固体高分子電解質膜20を挟んで対向するように設けられる。
燃料極22側に設けられるセパレータ34にはガス流路38が設けられており、このガス流路38を通じてセル50に燃料ガスまたは液体燃料が供給される。燃料としては、水素(天然ガス、プロパンガス、メタノール、ガソリン等の水素リッチな改質ガスを含む)やメタノール(メタノール水溶液も含む)が用いられる。同様に、空気極24側に設けられるセパレータ36にもガス流路40が設けられ、このガス流路40を通じてセル50に酸素が供給される。具体的には、燃料電池10の運転時、ガス流路38から燃料極22に燃料が供給され、ガス流路40から空気極24にたとえば空気等の酸化剤ガスが供給される。これにより、セル50内で発電反応が生じる。ガス拡散層28を介して触媒層26に燃料が供給されると、燃料中の水素がプロトン(水素イオン)となり、このプロトンが固体高分子電解質膜20中を空気極24側へ移動する。このとき放出される電子は外部回路に移動し、外部回路から空気極24に流れ込む。一方、ガス拡散層32を介して触媒層30に空気が供給されると、空気中の酸素がプロトンと結合して水となる。この結果、外部回路においては燃料極22から空気極24に向かって電子が流れることとなり、電力を取り出すことができる。
固体高分子電解質膜20は、湿潤状態において良好なイオン伝導性を示し、燃料極22および空気極24の間でプロトンを移動させるイオン交換膜として機能する。本実施の形態において、固体高分子電解質膜20は、第一の固体高分子電解質膜200と、その両面に設けられた第二の固体高分子電解質膜202および204を含む。これらの固体高分子電解質膜については後述する。
燃料極22におけるガス拡散層28および空気極24におけるガス拡散層32は、供給される燃料または空気を触媒層26および触媒層30に供給する機能をもつ。また発電反応により生じる電荷を外部回路に移動させる機能や、水や未反応ガス等を外部に放出する機能ももつ。ガス拡散層28およびガス拡散層32は、電子伝導性を有する多孔体で構成されることが好ましく、たとえばカーボンペーパー、カーボンクロス、またはカーボン不織布等で構成される。
図2に、燃料極22および空気極24における触媒層26および触媒層30の詳細な断面図を示す。燃料極22における触媒層26および空気極24における触媒層30は、ガスを拡散させるために多孔質であり、炭素粒子102に担持された触媒104の一部または全てをイオン交換樹脂106(第三の固体高分子電解質材料)が覆い、イオン交換樹脂106間でのプロトンや酸素等の伝導が可能な構造となっている。
炭素粒子102としては、たとえば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等を用いることができる。炭素粒子102に担持される触媒104としては、たとえば白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム等の貴金属あるいはこれらを含んだ合金等を用いることができる。
触媒層26および触媒層30において、イオン交換樹脂106は、固体高分子電解質膜20から触媒104にプロトンを伝導する機能をもつ。したがって、イオン交換樹脂106はプロトン伝導性が要求される。また、触媒104まで水素や酸素を拡散させるために、イオン交換樹脂106はある程度のガス透過性が要求される。イオン交換樹脂106は、たとえば、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成することができる。
次に、固体高分子電解質膜20について説明する。
本実施の形態において、第一の固体高分子電解質膜200は、第二の固体高分子電解質膜202および204を構成する材料とは異なる材料により構成される。
一例としては、第一の固体高分子電解質膜200を非フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成することができる。非フッ素重合体の固体高分子電解質材料を用いることにより、コストを低減することができ、またメタノール等の液体燃料のクロスオーバーを低減することができる。
ここで、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基等のプロトンを伝導可能な置換基や硫酸やリン酸等の強酸性溶液、酸化タングステン水和物(WO・nHO)、酸化モリブデン水和物(MoO・nHO)等の無機酸化物、タングストリン酸、モリブドリン酸等の無機固体酸等のプロトンを伝導可能な物質が膜中に含まれるものを用いることができる。これらのなかでも、スルホン酸基および/またはスルホン酸基を含む置換基が膜中に含まれるものが好ましく用いられる。このような材料により、置換基を容易に導入することができるとともに、固体高分子電解質膜20のプロトン伝導度等の特性を良好にすることができる。
本発明においてスルホン酸基とは、下記式(3)で表されるスルホン酸基や下記一般式(4)で表されるスルホン酸基を含む置換基をいう。
−SOH (3)
−R−SOH (4)
[式中、Rはアルキレン、ハロゲン化アルキレン、アリーレン、ハロゲン化アリーレンからなる群から選択される少なくとも1種の結合単位からなる2価の有機基、またはエーテル結合を含む。]
また、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料としては、炭化水素系高分子化合物を含むものを用いることができる。炭化水素系高分子化合物としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアリールエーテルスルホン、ポリ(アリルフェニルエーテル)、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ(ジフェニルシロキサン)、ポリ(ジフェニルフォスファゼン)、ポリサルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリパラフェニレン、ポリビニルアルコール、ポリ(フェニルグリシジルエーテル)、ポリ(フェニルメチルシロキサン)、ポリ(フェニルメチルフォスファゼン)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリスチレン、スチレン−(エチレン−ブチレン)スチレン共重合体、スチレン−(ポリイソブチレン)−スチレン共重合体、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、シアン酸エステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル等があげられる。
これらの中でも、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、シアン酸エステル樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような材料を用いることにより、固体高分子電解質膜20のプロトン伝導度、機械的特性、メタノール遮断性、化学的安定性等の特性を良好にすることができる。
より好ましくは、固体高分子電解質膜200は、下記式で表される構造を含むスルホン化ポリフェニレンサルファイドにより構成される。これにより、優れたプロトン伝導度、メタノール遮断性、機械的特性、化学的安定性を得ることができる。

[式中、nは1〜4の整数]
スルホン化ポリフェニレンサルファイドのような溶媒不溶性の材料を用いることにより、固体高分子電解質膜20の溶媒耐性を高めることもでき、特性を良好にすることができる。
第二の固体高分子電解質膜202および204は、第一の固体高分子電解質膜200よりも、軟化温度がイオン交換樹脂106に近い材料により構成される。ここで、軟化温度とは、ガラス転移温度や溶融温度である。本実施の形態において、触媒層26および触媒層30に含まれるイオン交換樹脂106は、固体高分子電解質膜20の第二の固体高分子電解質膜202および204を構成する材料と同じものが用いられる。これにより、固体高分子電解質膜20と燃料極22または空気極24との接合性を良好にすることができる。
第二の固体高分子電解質膜202および204は、たとえば、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成することができる。含フッ素重合体の固体高分子電解質材料としては、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体、ホスホン酸基またはカルボン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体等を用いることができる。具体的には、ナフィオン(デュポン社製)、フレミオン(旭硝子(株)製)、アシプレックス(旭化成製)等のパーフルオロ酸系高分子を用いることができる。
第二の固体高分子電解質膜202および204は、以上のような固体高分子電解質材料を溶媒に分散、または膨潤させた分散液を第一の固体高分子電解質膜200上に塗布等し、溶媒を除去することにより形成される。このような溶媒としては、対象の固体高分子電解質材料を溶解または分散し、固体高分子電解質膜生成時に除去することが可能であれば、どのようなものを用いることもできる。このような溶媒は、使用する第二の固体高分子電解質膜202の種類に応じて適宜設定されるが、たとえば、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、水、またはこれらの混合物を用いることができる。さらに、たとえば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、または、フェノール、(o−,m−,p−)クレゾール、(o−,m−,p−)クロロフェノール等の芳香族系炭化水素等を用いることができる。
とくに、本実施の形態において、固体高分子電解質材料を分散、または膨潤させる溶媒は、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、水からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これにより、第一の固体高分子電解質膜200との接合性や、得られる固体高分子電解質膜20の特性を良好にすることができる。また、ハンドリング性を良好にすることができ、さらに、工業的入手も容易である。
このような溶媒に第二の固体高分子電解質膜202および204を構成する固体高分子電解質材料を溶解または分散させた液体材料中の固体高分子電解質材料の濃度は、2重量%以上20重量%以下とすることが好ましい。固体高分子電解質材料の濃度をこのような範囲とすることにより、液体材料の粘度を適度に調整することができ、ハンドリング性を良好にすることができる。また、これにより、膜厚を所望の厚さとすることができる。
次に、図1および図2を参照して、本実施の形態におけるセル50の製造方法を説明する。
本実施の形態においては、まず、固体高分子電解質膜20の両面に触媒層26および触媒層30が接合された触媒付電解質膜100(図1)を作製する。
まず、白金等の触媒104を、たとえば含浸法やコロイド法を用いて炭素粒子102に担持させる。次に、炭素粒子102に担持された触媒104とイオン交換樹脂106を構成する第三の固体高分子電解質材料を上記したような溶媒に分散させて触媒インクを生成しておく。また、市販のイオン交換樹脂分散液(たとえばデュポン社製ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン)に上記触媒と溶媒を分散させたものを触媒インクとしてもよい。
また、第二の固体高分子電解質膜202および204を構成する固体高分子電解質材料を上記したような溶媒中に分散および膨潤させた分散液を生成しておく。ここで触媒インクに用いられる第三の固体高分子電解質材料ならびに第二の固体高分子電解質膜202および204を形成するための分散液に用いられる固体高分子電解質材料は、上記した含フッ素重合体等の固体高分子電解質材料のいずれかから選択することができるが、同種とすることができ、あるいはガラス転移温度または溶融温度が近似しており、互いに密着性の高い異種の材料とすることもできる。これにより、第二の固体高分子電解質膜202または204と、触媒層26または触媒層30との接合界面の親和性を高めることができる。
以下、図3を参照して説明する。
まず、第一の固体高分子電解質膜200を準備する(図3(a))。つづいて、第一の固体高分子電解質膜200の両面に予め生成しておいた上記分散液を刷毛塗り、スプレー塗布、スクリーン印刷、またはコーター塗布等するか、あるいは、分散液浴中に第一の固体高分子電解質膜200を浸漬する等の後、乾燥させて溶媒成分を蒸散させる。これにより、第二の固体高分子電解質膜202および204を形成する。このとき、第二の固体高分子電解質膜202および204の膜厚は、分散液の濃度、塗布膜厚、または所定間隔のスリットを通すこと等により制御することができる。これらの第二の固体高分子電解質膜202および204の膜厚はとくに制限されないが、固体高分子電解質膜20の特性や、第一の固体高分子電解質膜200の厚さ等に応じて適宜設定することができる。第二の固体高分子電解質膜202および204は、たとえば作製される固体高分子電解質膜20の乾燥時の膜厚の下限が5μm以上となるように形成されるのが好ましい。これにより、固体高分子電解質膜の強度を充分保つことができる。また、作製される固体高分子電解質膜20の乾燥時の膜厚の上限が200μm以下となるように形成されるのが好ましい。これにより、固体高分子電解質膜のプロトンや水の移動性を向上させ、発電性能を高く維持することができる。
つづいて、このように形成された第一の固体高分子電解質膜200、第二の固体高分子電解質膜202および204をホットプレスし、固体高分子電解質膜20を得る(図3(b))。これにより、第一の固体高分子電解質膜200と第二の固体高分子電解質膜202や204との接合性や密着性を向上させることができる。ここで、ホットプレスの条件は、用いられる固体高分子電解質材料の種類によっても異なるが、良好な接合状態が得られ、ガラス転移温度または溶融温度が低い方の材料に加わる熱的ダメージが小さい温度や時間とする。
具体的には、固体高分子電解質膜20を構成する複数の固体高分子電解質膜をそれぞれ構成する材料のうち、軟化温度(ガラス転移温度または溶融温度)が最も低い材料の軟化温度より約10℃高い温度から、軟化温度が最も高い材料の軟化温度より約50℃高い温度までの範囲の温度とする。良好な接合性が得られるのであれば、温度は低い方が好ましく、軟化温度が最も低い材料の軟化温度より約10℃〜50℃程度高い温度がより好ましい。圧力20〜100kgf/cmとし、時間約5秒〜100秒程度とする。
つづいて、以上のようにして形成された固体高分子電解質膜20の両面に、予め準備しておいた上記触媒インクを刷毛塗り、スプレー塗布、またはスクリーン印刷等し、乾燥させることにより、触媒層26および触媒層30を形成する。つづいて、このように形成された触媒層26、固体高分子電解質膜20、および触媒層30をホットプレスし、触媒付電解質膜100を得る(図3(c))。ここでのホットプレスの条件も、用いられる固体高分子電解質材料の種類によって異なるが、触媒層26および触媒層30中に含まれるイオン交換樹脂106(図2)や第二の固体高分子電解質膜202および204を構成する材料の軟化温度より約10℃〜50℃程度高い温度で、圧力20〜100kgf/cm、時間約5秒〜100秒程度とする。
なお、本実施の形態において、第二の固体高分子電解質膜202および204やイオン交換樹脂膜106は、第一の固体高分子電解質膜200よりも軟化温度が低い材料により構成することができる。これにより、第一の固体高分子電解質膜200、第二の固体高分子電解質膜202および204のホットプレス温度より触媒層26、固体高分子電解質膜20、および触媒層30のホットプレス温度を低くしても、触媒層26および触媒層30と固体高分子電解質膜20中のイオン交換樹脂106の接合を良好にすることができる。ホットプレスの温度を低くすることにより、触媒層26や触媒層30への熱的ダメージを低減することができる。
ここで、第一の固体高分子電解質膜200、第二の固体高分子電解質膜202および204をホットプレスする際の温度は、第一の固体高分子電解質膜200の軟化温度以上であることが好ましい。これによって、第一の固体高分子電解質膜200が熱的に軟化、流動し、第二の固体高分子電解質膜202および204との膜間の接合状態が向上する。また、触媒層26、固体高分子電解質膜20、および触媒層30をホットプレスする際の温度は、第二の固体高分子電解質膜202および204の軟化温度以上であることが好ましい。これによって、第一の固体高分子電解質膜200と触媒層26および触媒層30の界面に存在する第二の固体高分子電解質膜202および204が熱的に軟化、流動し、これらの膜間の接合状態が向上する。
この後、このようにして形成された触媒付電解質膜100の両側にガス拡散層28およびガス拡散層32を配設し、これによりセル50を形成する(図3(d))。なお、上記図3(c)を参照して説明したホットプレスは、ガス拡散層28およびガス拡散層32を配設した後に行ってもよい。
他の例として、まず、ガス拡散層28およびガス拡散層32の片面に触媒層26および触媒層30がそれぞれ形成された触媒担持電極を作製することもできる。この場合、触媒担持電極を作製した後、固体高分子電解質膜20の第二の固体高分子電解質膜202および204と、触媒担持電極の触媒層26および触媒層30がそれぞれ接するように配置し、これらをホットプレスして、セル50を得ることができる。
次に、第一の固体高分子電解質膜200を構成する固体高分子電解質材料として非フッ素重合体の固体高分子電解質材料であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用い、第二の固体高分子電解質膜202および204、ならびにイオン交換樹脂106を構成する固体高分子電解質材料としてナフィオン(登録商標)を用いた場合の処理を図4に示す。ここで、ナフィオンを分散および膨潤させる溶媒としては、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、プロパノール等のアルコール、水、またはこれらの混合物を用いることができる。ポリエーテルエーテルケトンのガラス転移温度は約140℃、ナフィオンのガラス転移温度は約110℃〜120℃である。
まず、ポリエーテルエーテルケトンにより構成された第一の固体高分子電解質膜200を準備する(S10)。つづいて、分散液として5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を用い、分散液を第一の固体高分子電解質膜200の両面に塗布した後、80℃で3時間乾燥させて溶媒成分を蒸散させ、第二の固体高分子電解質膜202および204を形成する(S12)。次に、これらの固体高分子電解質膜の重なり部分を、ポリエーテルエーテルケトンのガラス転移温度以上の高温(約160℃)でホットプレスして固体高分子電解質膜20を得る(S14)。その後、固体高分子電解質膜20の両面に、ナフィオンを含む触媒インクを塗布し、乾燥させることにより、触媒層26および触媒層30を形成する(S16)。つづいて、これらの重なり部分を、ナフィオンのガラス転移温度以上の低温(約140℃)でホットプレスして(S18)触媒付電解質膜100を作製する。
図8は、本実施の形態におけるセル50のスタック構造を有する燃料電池10の構成を模式的に示す断面図である。ここでは、燃料極22にメタノールが直接供給される直接型の燃料電池の構成を示す。
燃料電池10は、複数のセル50を含む。燃料電池10は、燃料供給部212や燃料充填部(不図示)を含むタンク210を含み、複数のセル50は、燃料極22がタンク210に接するように、タンク210の外側に平面状に配置される。タンク210には、メタノールやメタノール水溶液等の燃料が充填される。セル50の外側には酸化剤流路214が形成されたセパレータ36が配置される。
本実施の形態における固体高分子型燃料電池の製造方法によれば、固体高分子電解質膜と触媒層に含まれるイオン交換樹脂とを異なる材料で構成しても、これらの間に、イオン交換樹脂と同じ材料またはイオン交換樹脂と密着性の高い材料を介在させることができるので、固体高分子電解質膜と触媒層との接合状態を良好にすることができ、密着性を高めることができる。これにより、燃料電池の性能を良好に保つことができる。さらに、たとえば固体高分子電解質膜をガラス転移温度または溶融温度が比較的高い固体高分子電解質材料により構成した場合であっても、触媒層との接合工程において、高温のホットプレスを行う必要がないため、触媒層への熱的なダメージを与えることなく、燃料電池を安定的に製造することができる。また、これにより、安価で耐熱性が高く固体高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池を製造することができる。また、これにより、直接型の燃料電池を用いた場合であっても、メタノール透過性の低い固体高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池を製造することができる。
(第二の実施の形態)
本実施の形態において、触媒付電解質膜100の製造方法が、第一の実施の形態と異なる。本実施の形態においても、燃料電池10は、第一の実施の形態において、図1および図2を参照して説明したのと同様の構造を有する。本実施の形態において、第一の実施の形態と同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図5は、本実施の形態における触媒付電解質膜100の製造工程を示す図である。本実施の形態においても、第一の実施の形態と同様にして触媒インクおよび分散液を生成する。
まず、第一の固体高分子電解質膜200を準備する(図5(a))。つづいて、第一の固体高分子電解質膜200の両面に上記分散液を刷毛塗り、スプレー塗布、またはスクリーン印刷等するか、あるいは、分散液浴中に第一の固体高分子電解質膜200を浸漬する等により第二の固体高分子電解質膜202および204を形成する(図5(b))。
この後、第二の固体高分子電解質膜202および204が完全に乾燥する前の、表面が流動性を有する状態で、第二の固体高分子電解質膜202および204の第一の固体高分子電解質膜200と接している面と反対側の面に、上記触媒インクを刷毛塗り、またはスプレー塗布等することにより、触媒層26および触媒層30を形成する。つづいて、このように形成された触媒層26および30、ならびに固体高分子電解質膜200〜204を乾燥炉で加熱して、または減圧下で乾燥することにより、触媒付電解質膜100を得ることができる(図5(c))。ここで、乾燥温度、および乾燥時間は、触媒層26および触媒層30に含まれるイオン交換樹脂106、および各固体高分子電解質膜200〜204を構成する固体高分子電解質材料の種類によっても異なるが、固体高分子電解質膜が適度な多孔質性を有し、かつ触媒インクや分散液に用いた溶媒を除去できる程度に設定するのが好ましい。
この後、このようにして形成された触媒付電解質膜100の両側にガス拡散層28およびガス拡散層32を配設し、これによりセル50を形成する(図5(d))。なお、本実施の形態においても、図5(c)に示した触媒付電解質膜100形成後、または図5(d)に示したセル50形成後、必要に応じてホットプレスを行うことができる。
次に、本実施の形態において、第一の固体高分子電解質膜200を構成する固体高分子電解質材料としてポリエーテルエーテルケトンを用い、第二の固体高分子電解質膜202および204、ならびにイオン交換樹脂106を構成する第三の固体高分子電解質材料としてナフィオン(登録商標)を用いた場合の処理を図6に示す。
まず、ポリエーテルエーテルケトンにより構成された第一の固体高分子電解質膜200を準備する(S20)。つづいて、5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を第一の固体高分子電解質膜200の両面に塗布し、第二の固体高分子電解質膜202および204を形成する(S22)。次に、第二の固体高分子電解質膜202および204の表面が流動性を有している状態で、第二の固体高分子電解質膜202および204の表面にナフィオンを含む触媒インクを塗布し、触媒層26および触媒層30を形成する(S24)。つづいて、これらの固体高分子電解質膜および触媒層を約80℃で5時間乾燥し(S26)触媒付電解質膜100を作製する。
本実施の形態における固体高分子型燃料電池の製造方法によれば、固体高分子電解質膜と触媒層に含まれるイオン交換樹脂とを異なる材料で構成しても、これらの間に、イオン交換樹脂と同じ材料またはイオン交換樹脂と密着性の高い材料を介在させることができるので、固体高分子電解質膜と触媒層との接合状態を良好にすることができ、密着性を高めることができる。さらに、本実施の形態における固体高分子型燃料電池の製造方法によれば、触媒インクに含まれる触媒を担持する炭素粒子が流動性を有する固体高分子電解質膜の表面に埋まるので、固体高分子電解質膜と触媒層との接合性をより高めることができる。これにより、触媒層との接触面積が多くなり、密着性が高まる。
(第三の実施の形態)
本実施の形態において、触媒付電解質膜100の製造方法が、第一の実施の形態および第二の実施の形態と異なる。本実施の形態においても、燃料電池10は、第一の実施の形態において、図1および図2を参照して説明したのと同様の構造を有する。本実施の形態において、第一の実施の形態と同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図7は、本実施の形態における触媒付電解質膜100の製造工程を示す図である。本実施の形態において、第一の実施の形態と同様にして分散液を生成する。
まず、第一の固体高分子電解質膜200を準備する(図7(a))。つづいて、第一の固体高分子電解質膜200の両面に上記分散液を刷毛塗り、スプレー塗布、またはスクリーン印刷等することにより第二の固体高分子電解質膜202および204を形成する(図7(b))。この後、第二の固体高分子電解質膜202および204が完全に乾燥する前の表面が流動性を有する状態で、第二の固体高分子電解質膜202および204の第一の固体高分子電解質膜200と接している面と反対側の面に、炭素粒子102に担持された触媒104をスプレー噴霧する(図7(c))。つづいて、第二の固体高分子電解質膜202および204の触媒104および炭素粒子102が噴霧された面にイオン交換樹脂106を構成する第三の固体高分子電解質材料を含む液体材料を刷毛塗り、またはスプレー塗布等することにより触媒層26および触媒層30を形成する(図7(d))。
つづいて、このように形成された触媒層26および30、ならびに固体高分子電解質膜200〜204を乾燥炉にて乾燥することにより、触媒付電解質膜100を得ることができる。ここで、乾燥温度、および乾燥時間は、触媒層26および触媒層30に含まれるイオン交換樹脂106、および各固体高分子電解質膜200〜204を構成する固体高分子電解質材料の種類によっても異なるが、固体高分子電解質膜が適度な多孔質性を有し、かつ触媒インクや分散液に用いた溶媒を除去できる程度に設定するのが好ましい。
この後、このようにして形成された触媒付電解質膜100の両側にガス拡散層28およびガス拡散層32を配設し、これによりセル50を形成する(図7(e))。なお、本実施の形態においても、図7(d)に示した触媒付電解質膜100形成後、または図7(e)に示したセル50形成後、必要に応じてホットプレスを行うことができる。
次に、本実施の形態において、第一の固体高分子電解質膜200を構成する固体高分子電解質材料としてポリエーテルエーテルケトンを用い、第二の固体高分子電解質膜202および204、ならびにイオン交換樹脂106を構成する第三の固体高分子電解質材料としてナフィオン(登録商標)を用いた場合の処理を図6を参照して説明する。
まず、ポリエーテルエーテルケトンにより構成された第一の固体高分子電解質膜200を準備する(S20)。つづいて、5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を第一の固体高分子電解質膜200の両面に塗布し、第二の固体高分子電解質膜202および204を形成する(S22)。次に、第二の固体高分子電解質膜202および204の表面が流動性を有している状態で、第二の固体高分子電解質膜202および204の表面に炭素粒子102に担持された触媒104を噴霧し、第二の固体高分子電解質膜202および204の表面に付着させる。つづいて、第二の固体高分子電解質膜202および204の触媒104および炭素粒子102が付着した面に5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)をスプレー塗布し、触媒層26および触媒層30を形成する(S24)。つづいて、これらの固体高分子電解質膜および触媒層を約80℃で5時間乾燥し(S26)触媒付電解質膜100を作製する。
本実施の形態における固体高分子型燃料電池の製造方法によれば、固体高分子電解質膜と触媒層に含まれるイオン交換樹脂とを異なる材料で構成しても、これらの間に、イオン交換樹脂と同じ材料またはイオン交換樹脂と密着性の高い材料を介在させることができるので、固体高分子電解質膜と触媒層との接合状態を良好にすることができ、密着性を高めることができる。さらに、本実施の形態における固体高分子型燃料電池の製造方法によれば、触媒を担持する炭素粒子が流動性を有する固体高分子電解質膜の表面に埋まり、その上からイオン交換樹脂が塗布されるので、固体高分子電解質膜と触媒層との接合性をより高めることができる。これにより、触媒層との接触面積が多くなり、密着性が高まる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態においても、燃料電池10は、第一の実施の形態において、図1および図2を参照して説明したのと同様の構造を有する。
以下、第一の固体高分子電解質膜200を構成する固体高分子電解質材料として、スルホン化ポリフェニレンサルファイドを用い、第二の固体高分子電解質膜202および204、ならびにイオン交換樹脂106を構成する第三の固体高分子電解質材料として、ナフィオン(登録商標)を用いた場合の処理を示す。ナフィオンを溶解、分散または膨潤させる溶媒としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、水からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を用いることができる。スルホン化ポリフェニレンサルファイドのガラス転移温度は、スルホン酸基の導入量等によって異なるが約160℃から約170℃、ナフィオンのガラス転移温度は約110℃から120℃である。以下、図1を参照して説明する。
まず、スルホン化ポリフェニレンサルファイドにより構成された第一の固体高分子電解質膜200を準備する。第一の固体高分子電解質膜200は、たとえば以下のようにして作製することができる。まず、ポリフェニレンサルファイドに可塑剤を添加し、これを溶融押出し加工してポリフェニレンサルファイドフィルムを得る。ついで、ポリフェニレンサルファイドフィルムをクロロスルホン酸溶液に所定時間浸漬した後中和する。その後、このフィルムを乾燥することにより、スルホン化ポリフェニレンサルファイドにより構成された第一の固体高分子電解質膜200を得ることができる。
つづいて、分散液として、5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を用い、この分散液を第一の固体高分子電解質膜200の両面に塗布した後、70℃で1時間減圧乾燥させて溶媒成分を蒸散させ、第二の固体高分子電解質膜202および204を形成し、固体高分子電解質膜20を得る。その後、固体高分子電解質膜20の両面に、ナフィオンを含む触媒インクを塗布し、乾燥させることにより、触媒層26および触媒層30を形成する。つづいて、これらの重なり部分を、約150℃から180℃でホットプレスして触媒付電解質膜100を作製する。この後、第一の実施の形態と同様にガス拡散層28およびガス拡散層32を配設し、これによりセル50を作製する。
他の例として、まず、ガス拡散層28およびガス拡散層32の片面に触媒層26および触媒層30がそれぞれ形成された触媒担持電極を作製することもできる。この場合、触媒担持電極を作製した後、固体高分子電解質膜20の第二の固体高分子電解質膜202および204と、触媒担持電極の触媒層26および触媒層30がそれぞれ接するように配置し、これらをホットプレスして、セル50を得ることができる。
本実施の形態において、ホットプレスの温度は、第二の固体高分子電解質膜202および204のガラス転移温度以上であることが好ましい。これによって、第一の固体高分子電解質膜200と触媒層26および触媒層30の界面に存在する第二の固体高分子電解質膜202および204が熱的に軟化、流動し、これらの膜間の接合状態が向上する。
さらに、ホットプレスの温度は、第一の固体高分子電解質膜200のガラス転移温度以上であることが好ましい。これにより、第一の固体高分子電解質膜200と第二の固体高分子電解質膜202および204との接合状態がさらに向上する。一方、第一の固体高分子電解質膜200のガラス転移温度が、第二の固体高分子電解質膜202や204のガラス転移温度に比べてかなり高い場合には、第一の固体高分子電解質膜200のガラス転移温度転移温度以上の温度でホットプレスを行うと、第二の固体高分子電解質膜202や202や204が熱的なダメージを受け、特性が低下する可能性がある。そのためこのような場合には、第二の固体高分子電解質膜202や204が熱的なダメージを受けない程度の温度でホットプレスを行うことが好ましい。本実施の形態においては、第二の固体高分子電解質膜202や204を有しない従来の固体高分子電解質に比べて、低いホットプレス温度においても良好な接合が得られ、第二の固体高分子電解質膜や触媒層中のイオン交換樹脂106に与える熱的なダメージを低減できる。
本実施の形態における固体高分子型燃料電池の製造方法によれば、固体高分子電解質膜と触媒層に含まれるイオン交換樹脂とを異なる材料で構成しても、これらの間に、イオン交換樹脂と同じ材料またはイオン交換樹脂と密着性の高い材料を介在させることができるので、固体高分子電解質膜と触媒層との接合状態を良好にすることができ、密着性を高めることができる。また、本実施の形態において、第一の固体高分子電解質膜200を溶融押出し加工により形成するので、第一の固体高分子電解質膜200を構成する材料として、ポリフェニレンサルファイド等の溶媒に不溶性の材料を用いることができる。これにより、固体高分子電解質膜20の溶媒耐性を高めることができ、固体高分子電解質膜20の特性を向上させることができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【実施例1】
第一の実施の形態で説明したのと同様にして、触媒付電解質膜100を作製した。
まず、第一の固体高分子電解質膜200としてポリエーテルエーテルケトンを用いた固体高分子電解質膜を以下のようにして作製した。ポリエーテルエーテルケトン(住友化学工業(株)製)を発煙硫酸に加えて、スルホン化し、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンを得た。このスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを洗浄した後乾燥し、粉砕した。粉砕したものをN−メチルピロリドンに溶解し、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン溶液とした。この溶液をテフロンシートにキャストして固体高分子電解質膜(厚さ:60μm、ガラス転移温度:140℃)を作製した。
分散液として、5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を用い、分散液を第一の固体高分子電解質膜200の片面に塗布し、第二の固体高分子電解質膜202(膜厚約20μm)を形成した。その後、これらの重なり部分を約160℃で50kgf/cmで約10秒ホットプレスした。つづいて、第二の固体高分子電解質膜202の表面に上記5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を含む触媒インクを塗布し、触媒層26(膜厚約40μm)を形成した。この後、これらの重なり部分を約140℃で50kgf/cmで約30秒ホットプレスした。
【実施例2】
第二の実施の形態で説明したのと同様にして、触媒付電解質膜100を作製した。
実施例1と同様にしてポリエーテルエーテルケトンを用いた第一の固体高分子電解質膜200を作製した。つづいて、分散液として、5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を用い、分散液を第一の固体高分子電解質膜200の片面に塗布し、第二の固体高分子電解質膜202(膜厚約20μm)を形成した。この後、第二の固体高分子電解質膜202の表面が流動性を有している時点で、第二の固体高分子電解質膜202の表面に上記5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を含む触媒インクを塗布し、触媒層26(膜厚約40μm)を形成した。この後、これらを約80℃で5時間乾燥した。
(比較例1)
実施例1と同様にしてポリエーテルエーテルケトンを用いた第一の固体高分子電解質膜200を作製した。5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製)を含む触媒インクをテフロンシートに塗布して加熱、乾燥させ、触媒層26(膜厚約40μm)を形成した。つづいて、第一の固体高分子電解質膜200の片面に、テフロンシートの触媒層26が形成された面を接触させて、約160℃で50kgf/cmで約60秒ホットプレスした。これにより、触媒層26を第一の固体高分子電解質膜200に転写した。テフロンシートは転写後、触媒層26からはがした。
以上の実施例1、実施例2、および比較例で作製した触媒付電解質膜を水中に約1時間浸漬後、水中から取り出し、ウェスで表面の水滴を取り除き、自然乾燥させた後、第一の固体高分子電解質膜200からの触媒層を粘着テープで剥離させるように引き剥がす試みを行い、剥離のしやすさを観測した。その結果、実施例1および実施例2では比較例のものに比べてはがれにくいことが確認された。
【実施例3】
第一の固体高分子電解質膜200として、スルホン化ポリフェニレンサルファイドを用いた固体高分子電解質膜を以下のようにして作製した。ポリフェニレンサルファイド(大日本インキ工業株式会社製、商品名:DIC−PPS、FZ−2200−A5)100重量部に対し、可塑剤として、トリクレジルフォスフェート(大八化学工業株式会社製、商品名:TCP)を2重量部添加し、これらを280℃で加熱した二軸押出機で溶融混合し、所定の混合物のペレットを得た。これをスクリュー温度290℃、Tダイ温度320℃の押出機で溶融押出し、厚さ50μmのポリフェニレンサルファイドフィルムを作製した。
つづいて、ジクロロメタン671gおよびクロロスルホン酸4.51gを含むクロロスルホン酸溶液を調製した。上記方法で作製したポリフェニレンサルファイドフィルム2.09gを上記クロロスルホン酸溶液に浸漬し、室温で20時間静置した(クロロスルホン酸は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して2当量)。静置後、ポリフェニレンサルファイドフィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後のポリフェニレンサルファイドフィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、スルホン化ポリフェニレンサルファイドからなる第一の固体高分子電解質膜200(80mm×80mm、厚さ:60μm、ガラス転移温度:約170℃)を得た。
第二の固体高分子電解質膜202および204を構成する材料として、5%ナフィオンPFSAポリマーディスパージョン(デュポン社製、ガラス転移温度:110℃〜120℃)の溶液を用い、上記第一の固体高分子電解質膜200の片面に、この溶液を0.77g滴下し、刷毛で膜表面に均一になるように塗布した(溶液の目付量が0.6mg/cm)。これを、ガラス上に塗布面が上面になるように固定し、70℃で1時間、減圧乾燥して、溶媒を除去し、第一の固体高分子電解質膜200上に第二の固体高分子電解質膜202を積層した。第一の固体高分子電解質膜200のもう一方の面も同様にして、第二の固体高分子電解質膜204を積層し、固体高分子電解質膜20を作製した。
次に、上記方法で作製した固体高分子電解質膜20、および燃料極22および空気極24として、市販の触媒担持ガス拡散電極(ElectroChem社製EC−20−10−7、イオン交換樹脂としてナフィオン(デュポン社製)を含有)を用いて、セル50を以下のようにして作製した。固体高分子電解質膜20(20mm×20mm)の両面を、燃料極22および空気極24(それぞれ10mm×10mm)で挟持し、これらを150℃で50kgf/cmで約60秒ホットプレスし、セル50を作製した。
【実施例4】
ホットプレス温度を180℃とした以外は、実施例3と同様にした。
【実施例5】
ホットプレス温度を170℃とした以外は、実施例3と同様にした。
【実施例6】
固体高分子電解質膜20作製後、180℃で50kgf/cmで約10秒ホットプレスする工程を追加した以外は、実施例3と同様にした。
【実施例7】
第一の固体高分子電解質膜200としてスルホン化ポリフェニレンサルファイドの代わりに、実施例1で作製したスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを用い、ホットプレス温度を130℃とした以外は、実施例3と同様にした。
【実施例8】
ホットプレス温度を150℃とした以外は、実施例5と同様にした。
(比較例2)
第二の固体高分子電解質膜202および204を積層しなかった以外は、実施例3と同様にした。
(比較例3)
第二の固体高分子電解質膜202および204を積層しなかった以外は、実施例4と同様にした。
(比較例4)
第二の固体高分子電解質膜202および204を積層しなかった以外は、実施例7と同様にした。
(比較例5)
第二の固体高分子電解質膜202および204を積層しなかった以外は、実施例8と同様にした。
以上の方法で得られたセル50を水中に約3時間浸漬し、固体高分子電解質膜20に剥離が生じていないかどうかを目視観察した(評価方法1)。また、セル50を煮沸水中に約1時間浸漬し、同様に目視観察した(評価方法2)。これらの結果を図9に示す。
図9に示すように、実施例3〜実施例8と比較例2〜比較例5の比較から、実施例における固体高分子電解質膜は、従来の固体高分子電解質膜と比較して、燃料極22および空気極24との密着性が良好となり、水中での燃料極22および空気極24の剥がれが生じなかった。本実施の形態の方法により、固体高分子電解質膜と電極との接合状態が優れた膜−電極接合体が得られた。
また、実施例4〜実施例6と比較例3の比較から、実施例における固体高分子電解質膜は、従来の固体高分子電解質膜より低い温度でホットプレスしても、煮沸水中でも燃料極22および空気極24の剥がれが生じず、ガラス転移温度が低い固体高分子電解質材料に熱的ダメージを与えることなく、固体高分子電解質膜と電極の接合状態が優れたセルが作製できることが示された。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
以上の実施の形態においては、固体高分子電解質材料を溶媒中に分散および膨潤させた分散液を用いて第二の固体高分子電解質膜202および204を形成する例を説明したが、第二の固体高分子電解質膜202および204は、固体高分子電解質材料そのものを溶融させて用いることもできる。この場合も分散液を用いた場合と同様の効果が得られる。
以上の実施の形態において、触媒付電解質膜100は、以下のようにして形成することもできる。まず、第一から第三の実施の形態において説明したのと同様に、第一の固体高分子電解質膜200の両面に第二の固体高分子電解質膜202および204が形成された接合体を形成する。つづいて、たとえば、スクリーン印刷等によりガス拡散層28およびガス拡散層32や、テフロンシート等の転写用シート上に触媒層26および触媒層30を塗布して乾燥させる。つづいて、上記接合体をガス拡散層28およびガス拡散層32や、テフロンシート等の転写用シートの触媒層26および触媒層30が形成された面と接するようにして挟み、ホットプレスを行う。ガス拡散層28およびガス拡散層32を用いた場合は、これによりセル50が形成される。テフロンシート等の転写用シートを用いた場合は、ホットプレス後、テフロンシートをはがすことにより触媒付電解質膜100が形成される。この後、ガス拡散層28およびガス拡散層32を配設することによりセル50が形成される。
なお、以上の実施の形態においては、第二の固体高分子電解質膜202および204を触媒層のイオン交換樹脂106を構成する材料と同じ材料を用いる例を説明したが、第二の固体高分子電解質膜202および204を構成する固体高分子電解質材料としては、ガラス転移温度または溶融温度が、第一の固体高分子電解質膜200を構成する材料とイオン交換樹脂106を構成する材料のガラス転移温度または溶融温度の中間程度のものを用いることもできる。
さらに、本発明の固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜と触媒層のイオン交換樹脂を構成する材料が全く異なる場合だけでなく、同種の材料であって、たとえば架橋度の異なる材料が用いられる場合に適用することもできる。
なお、とくに記載していないが、固体高分子電解質膜を作成する際には、固体高分子電解質材料に、可塑剤、安定剤、離型剤等の添加剤を適宜加えることができる。
また、他の例として、第一の固体高分子電解質膜200を含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成することができ、第二の固体高分子電解質膜202および204を非フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成することもできる。さらに、第一の固体高分子電解質膜200、第二の固体高分子電解質膜202および204のいずれをも非フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成することもできる。
また、以上の実施の形態において、触媒が炭素粒子に担持される形態を説明したが、触媒としては、このような担持体を用いない白金黒や白金−ルテニウム黒を用いることもできる。
本発明によれば、固体高分子電解質膜と触媒層に異なる固体高分子電解質材料を用いた場合であっても、良好な接合状態を得ることのできる固体高分子型燃料電池およびその製造方法を提供することができる。本発明によれば、安価でかつ耐熱性の高い固体高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池およびその製造方法を提供することができる。本発明によれば、ガラス転移温度や溶融温度が異なる固体高分子電解質膜と触媒層中のイオン交換樹脂を用いる場合であっても、充分な面積の接合界面を得ることができ、ガラス転移温度や溶融温度が低いほうの材料により構成されたものに熱的なダメージを与えることなく、燃料電池を安定的に製造することができる。また、本発明によれば、メタノール透過性の低い固体高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池を製造することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解質膜であって、
第一の固体高分子電解質膜と、少なくともその片面に形成され、前記第一の固体高分子電解質膜とは異なる材料により形成された第二の固体高分子電解質膜と、を含むことを特徴とする固体高分子電解質膜。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の固体高分子電解質膜において、
前記第一の固体高分子電解質膜は、前記第二の固体高分子電解質膜を構成する材料よりも軟化温度が高い材料により構成されたことを特徴とする固体高分子電解質膜。
【請求項3】
請求の範囲第1項または第2項に記載の固体高分子電解質膜において、
前記第一の固体高分子電解質膜は、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されたことを特徴とする固体高分子電解質膜。
【請求項4】
請求の範囲第1項乃至第3項いずれかに記載の固体高分子電解質膜において、
前記第一の固体高分子電解質膜は、下記一般式で表される構造を含むスルホン化ポリフェニレンサルファイドからなることを特徴とする固体高分子電解質膜。

[式中、nは1〜4の整数]
【請求項5】
請求の範囲第1項乃至第4項いずれかに記載の固体高分子電解質膜において、
前記第二の固体高分子電解質膜は、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されたことを特徴とする固体高分子電解質膜。
【請求項6】
固体高分子電解質膜と、
前記固体高分子電解質膜上に設けられた電極と、
を含み、
前記固体高分子電解質膜は、
第一の固体高分子電解質膜と、
前記電極と前記第一の固体高分子電解質膜との間に設けられ、前記第一の固体高分子電解質膜とは異なる材料により構成された第二の固体高分子電解質膜と、を含み、
前記電極は、触媒と、軟化温度が前記第一の固体高分子電解質膜よりも前記第二の固体高分子電解質膜に近い第三の固体高分子電解質材料と、を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
【請求項7】
請求の範囲第6項に記載の固体高分子型燃料電池において、
前記第二の固体高分子電解質膜は、第三の固体高分子電解質材料と同じ材料により構成されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
【請求項8】
請求の範囲第6項または第7項に記載の固体高分子型燃料電池において、
前記第一の固体高分子電解質膜は、前記第二の固体高分子電解質膜を構成する材料よりも軟化温度が高い材料により構成されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
【請求項9】
請求の範囲第6項乃至第8項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、
前記第一の固体高分子電解質膜は、非フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
【請求項10】
請求の範囲第6項乃至第9項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、
前記第一の固体高分子電解質膜は、下記一般式で表される構造を含むスルホン化ポリフェニレンサルファイドからなることを特徴とする固体高分子型燃料電池。

[式中、nは1〜4の整数]
【請求項11】
請求の範囲第6項乃至第10項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池において、
前記第二の固体高分子電解質膜は、含フッ素重合体の固体高分子電解質材料により構成されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
【請求項12】
固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子電解質膜の製造方法であって、
第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、前記第一の固体高分子電解質膜とは異なる第二の固体高分子電解質材料により構成された第二の固体高分子電解質膜を形成する工程を含むことを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
【請求項13】
請求の範囲第12項に記載の固体高分子電解質膜の製造方法において、
前記第二の固体高分子電解質膜を形成する工程は、前記第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、前記第二の固体高分子電解質材料と、当該第二の固体高分子電解質材料を溶解または分散させる溶媒と、を含む第一の液体材料を塗布する工程を含むことを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
【請求項14】
請求の範囲第12項または第13項に記載の固体高分子電解質膜の製造方法において、
前記第一の液体材料を塗布する際の、当該第一の液体材料中の前記第二の固体高分子電解質材料の濃度が2重量%以上20重量%以下であることを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
【請求項15】
第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、前記第一の固体高分子電解質膜とは異なる第二の固体高分子電解質材料により構成された第二の固体高分子電解質膜を形成する工程と、
前記第二の固体高分子電解質膜上に、触媒および第三の固体高分子電解質材料を含む電極を形成する工程と、
を含み、
前記第二の固体高分子電解質材料は、前記第一の固体高分子電解質膜よりも、軟化温度が前記第三の固体高分子電解質材料に近いことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項16】
請求の範囲第15項に記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記第二の固体高分子電解質膜を形成する工程は、前記第一の固体高分子電解質膜の少なくとも片面に、前記第二の固体高分子電解質材料と、当該第二の固体高分子電解質材料を溶解または分散させる溶媒と、を含む第一の液体材料を塗布する工程を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項17】
請求の範囲第15項または第16項に記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記第一の液体材料を塗布する際の、当該第一の液体材料中の前記第二の固体高分子電解質材料の濃度が2重量%以上20重量%以下である固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項18】
請求の範囲第15項乃至第17項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記第三の固体高分子電解質材料が前記第二の固体高分子電解質材料と同じ材料であることを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項19】
請求の範囲第15項乃至第18項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記電極を形成する工程は、前記第二の固体高分子電解質膜の表面が流動性を有する状態で行うことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項20】
請求の範囲第15項乃至第19項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記電極を形成する工程において、前記触媒および前記第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料を前記第二の固体高分子電解質膜表面に塗布することを特徴と固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項21】
請求の範囲第15項乃至第20項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記電極を形成する工程は、前記触媒を前記第二の固体高分子電解質膜表面に分散させる工程と、前記触媒が分散された前記第二の固体高分子電解質膜表面に前記第三の固体高分子電解質材料を含む第二の液体材料を塗布する工程と、を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項22】
請求の範囲第15項乃至第21項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記第二の固体高分子電解質膜を形成する工程の後に、前記第一の固体高分子電解質膜および前記第二の固体高分子電解質膜の重なった部分を加熱しながら加圧する工程をさらに含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項23】
請求の範囲第15項乃至第22項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記電極を形成する工程の後に、前記第二の固体高分子電解質膜および前記電極の重なった部分を加熱しながら加圧する工程をさらに含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。
【請求項24】
請求の範囲第15項乃至第23項いずれかに記載の固体高分子型燃料電池の製造方法において、
前記第二の固体高分子電解質膜を形成する工程の後に、前記第一の固体高分子電解質膜および前記第二の固体高分子電解質膜の重なった部分を加熱しながら加圧する第一の加熱加圧工程と、
前記電極を形成する工程の後に、前記第二の固体高分子電解質膜および前記電極の重なった部分を加熱しながら加圧する第二の加熱加圧工程と、
を含み、前記第二の加熱加圧工程において、前記第一の加熱加圧工程におけるよりも低い温度で加熱を行うことを特徴とする固体高分子型燃料電池の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/051776
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【発行日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556887(P2004−556887)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015414
【国際出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】