説明

固定および可変割出しを有する低容量分析器のための方法および装置

たとえばキュベットのような反応容器を、可変割出しを用いて位置の配列順を維持しながら予め定められた固定位置に調整するような構成および配置になっている、固定および可変割出しを伴った試料分析器。可変割出しは、規則正しい進行により、キュベットを、多数の機会に多数の固定位置のリソースに高度に効率的に呈示させることを可能にする。キュベットを多数の固定位置のリソースに多数回呈示させることは、現存する割出しよりも優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
適用不可
【0002】
本発明は、試料分析器に関するものであり、かつより具体的には可変間隔割出しを用いることにより信頼性が改善され、低価格であるように構成される試料分析器に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的に、試料分析器は、ひとつ以上の試料中のひとつ以上の検体の濃度または他の特性を測定するための一連の動作を自動化する。通常「分析」は反応容器または「キュベット」中で実施される。通常分析プロセスは、試料のキュベットへの添加、ひとつ以上の試薬のキュベットへの添加、キュベット内容物の混合、キュベット内容物の定温放置、ひとつ以上の時点での反応結果の検出などのひとつ以上の手順をとる。これらの重要な作業の手順およびタイミングは、各々の種類の分析の実行を最適化するために、個別の分析ごとに異なる。可変「実行テンプレート」は、多様な分析の種類が1台のプロセッサー中で混在するときの変化を支持するために、分析器構造をより複雑にする結果となる。
【0004】
自動化された試料分析器は、効率よく高い処理能力を与えるように設計される。たとえば、Huberらへの米国特許第5,352,612号は、たとえば割出し駆動部を含むプロセッサーホイールのような可動試料支持部を有する試料分析器を開示する。割出し駆動部は、ひとつ以上の間隔の合計に基づいた一定の距離だけ試料支持部を前進させるように構成される。簡単にするためと、慣例により、間隔とは、すなわち前進、回転、変更などによる時間の増分、または第1のキュベット支持位置から第2のキュベット支持位置へキュベットを動かすことに関する距離または量の増分のことを指しうる。処理能力を最適化するために、個別の装置ユニットが、予め定められたキュベット支持位置にプロセッサーホイールの周辺に沿って設置される。
【0005】
さらに具体的には、ホイール中に配置された各々のキュベットが、予め定められた組の間隔だけ、予め定められた時間スケジュールに従ってホイールの周辺に沿って段階的に前進するように、プロセッサーホイールが回転する。Huberの特許の教示によると、各々の間隔の組は複数の個別の間隔からなる。1つの実施態様では、2組の間隔が存在する。その組の第1間隔は、プロセッサーホイール中のキュベット支持位置の総数(n)に1を加えたもの、言い換えるとn+1に対応する。たとえば、プロセッサーホイールに90個のキュベット支持位置、すなわちn=90、があるとすると、その間隔の組の第1整数は91である。その結果、間隔は常にプロセッサーホイールの完全1回転に1を加えたものとなる。その組の第2間隔は、同様に、プロセッサーホイールの別の完全1回転に、型通りに決定される、キュベット支持位置の追加数を加えたものとなる。
【0006】
しかしながら、Huberのプロセッサーの有用性には、個々の反応容器が、定まった時間的パターンで、プロセッサーホイールの周辺に沿って配置されたリソースに対して呈示されるという制約がある。この制約の理由で、決められたテンプレート以外の所与の分析を実施するためには、比較的複雑な機構が必要とされる。従って、可変的プロトコルまたは「実行テンプレート」を有する非常に多数の分析を、効率よく実施することを可能にする、単純で信頼性のある試料分析器を提供することが望ましい。この機能を可能にするために、Huberによって教示される固定間隔ではなく、可変間隔を可能にする試料分析器を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
固定および可変割出しを有する試料分析器が開示される。分析器は、可変割出しを用いて位置の配列順を維持しながら、たとえばキュベットのような反応容器を予め定められた、固定位置に調整するように、構成および配置される。可変割出しは、規則正しい進行により、キュベットを、多数の機会に多数の固定位置のリソースに高度に効率的に呈示させることを可能にする。キュベットを多数の固定位置のリソースに多数回呈示させることは、現存する割出しよりも優れている。
【0008】
図面の説明
本発明は、下記の図に関連する以下の発明の詳細な記載に言及することにより、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による95位置試料分析器の説明図である。
【図2】先行技術による、1割出しあたり1位置の95位置試料分析器のプラットフオームリソースタイミングの選択肢である。
【図3】先行技術による、多数の検出器を有する1割出しあたり1位置の95位置試料分析器のプラットフオームリソースタイミングの選択肢である。
【図4】図3に記載の1割出しあたり1位置の95位置試料分析器の概略図である。
【図5】先行技術による、1割出しあたり26位置の95位置試料分析器のリソースタイミングの選択肢である。
【図6】先行技術による、1割出しあたり121位置の95位置試料分析器のリソースタイミングの選択肢である。
【図7】図5および図6に記載のプラットフオームの概略図である。
【図8】本発明による、1割出しあたり121位置の、分割間隔割出しを含む95位置試料分析器のリソースタイミングの選択肢である。
【図9】本発明による、1割出しあたり121位置の、単一の固定位置リソースを有して、分割間隔割出しを含む95位置試料分析器のタイミングの選択肢である。
【図10】本発明による、1割出しあたり正味121位置の、単一の固定位置リソースを有して、分割間隔割出しを含む95位置試料分析器のタイミングの選択肢詳細である。
【図11】本発明による、1割出しあたり正味121位置の、単一の固定位置リソースを有して、分割間隔割出しを含む95位置試料分析器のタイミングの選択肢の追加的詳細である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
可変間隔割出しを用いた試料分析器および、可変割出し機能を有する試料分析器の制御方法が開示される。可変間隔割出しを含むことは、リソース、特に、たとえば、試料プローブステーション、試薬プローブステーション、キュベット装填および取り外しステーション、検出ステーション、およびその同類のような、固定位置のみで配置され、アクセス可能なリソースのより効率的な使用を可能にする。その方法および装置を論ずる前に、可変間隔割出しの利点を記載する。
【0011】
単純割出しの95位置プラットフオームおよびより複雑な割出しパターンを有する95位置プラットフオームのリソースタイミングの選択肢が各々図2および図5に示される。図2では、割出し間隔は、1割出しあたり1キュベット支持位置に固定され、言い換えると、各々の割出し動作は、次の、隣接する位置への単一間隔のみのプロセッサーホイール前進にしか対応しない。その結果、完全1周期の間に、1個の所与のキュベットは、単一の固定位置で配置された、またはアクセス可能なリソースに1回しかアクセスできない。プロセッサーホイールが、全ての95割出し動作の後で完全に1回転するまでは、リソースにアクセスする機会は再び来ない。
【0012】
図2に示される実施例においては、検出器リソース20には1周期あたり1回しかアクセスできない。検出器により頻繁にアクセスしたい希望または必要がある場合には、図3に示すように、かつ図4の概略図に示す反応リング内に、重複する検出器リソース21、22、23、24、および25がホイール周辺に沿う種々の位置に追加される必要がある。このように、間隔割出しが1つのキュベット支持位置から隣接するキュベット支持位置にむかうものであることは極めて制限的で、高価なものとなりうる。
【0013】
対照的に、図5は、割出し間隔が1より大きいがキュベット支持リング内のキュベット支持位置の総数より小さい場合の、固定間隔割出しを示す。表示の都合上のみの理由で、図5に示すリソースタイミング図は、1割出し間隔あたり固定26位置の95位置試料分析器の場合のものである。
【0014】
図5に示すように、キュベット支持位置数に対して適切な割出しサイズの組み合わせが選択されると、反応キュベットは、固定割出しの間に、正確にではないが、固定位置31の近傍に何度か運ばれてくる。たとえば、検出器リソースへのアクセスをその周期内で何度も、多数回行う必要があると仮定すると、図5は、検出器がキュベットにアクセスするためのキュベット支持位置29〜34の領域中の31に何度かあたる機会があることを示す。図2で示される実施例に比べてより頻繁なアクセスができるものの、この場合には、キュベット支持位置29〜34の中で任意の1つの位置で反応キュベットにアクセスするためには、複雑な多軸検出器機構が必要とされるであろう。
【0015】
図6に示されるように、所与の割出し間隔に1完全回転分の割出しを追加することにより、同様のあるいは類似の割出しパターンが得られる。この実施例では、割出し間隔は95+26=121となる。このことは、動いている最中のキュベットを測定することが可能な種類の検出器への適用が可能である。このような反応リングの、多数のキュベット位置31(リング位置29〜34)でのキュベットの近接位置を示す概略図が図7に示される。
【0016】
リングの支持位置数の総数を超える割出し間隔のサイズを用いる、種々の固定間隔割出し構想が、対象キュベットを別々のリング位置に配置された特定のリソースに運ぶためのより多くの可能性または選択肢を提供することは可能ではあるが、特にリソースが固定位置に配置されているときには、固定割出し間隔は依然としてシステム分析器の効率および処理能力を制限する。
【0017】
可変間隔割出しを提供する方法および利点
開示される方法は、その総計は依然として固定割出し間隔、たとえば1間隔あたり121位置、に等しい、複数(たとえば2または3)の可変間隔長の中間割出し間隔を発生させるために、それ以外では固定となる割出し間隔を周期的に分割することを含む。この開示の目的で、かつ図8に関して、図示された実施態様における第1中間割出し間隔36は、開始リング位置33から10リング位置に等しい。第1中間割出し間隔として10を選択したことは無作為である。固定割出し間隔がキュベット支持リング位置の総計を越えているため、第1中間割出し間隔36は実際のところ10リング位置間隔または105リング位置間隔(95+10)に相当する。
【0018】
図8は総割出し間隔を2つ以上の中間割出し間隔に分割した利点を示す。事実図8に示すように、中間割出し間隔36を設けることは、入手可能なもしくは潜在的な選択肢または機会の数をさらに増やす。角状試薬アーム(リング位置65と77の間)に加えて、たとえばリング位置29(図8中の参照番号35)近傍の検出器のような、個別の固定リング位置を有する固定リソースにみるように、このことは、34の機会群については事実である。
【0019】
事実図9に示すように、10リング位置の第1中間割出し間隔を含むことは、対象反応キュベットが検出器(固定リング位置29で)を通過するときに、約1300秒の周期内で多数の事例37を発生させる。機会または選択肢37の数は、約1300秒の周期内の個別の時間に第1中間割出し間隔を変化させることによって、さらにかつ有利に利用できる。その結果、図10に示すように、より多くの対象の反応キュベットが検出器(固定リング位置29で)にアクセスでき、そのより詳細は下記に記載される。
【0020】
第1中間割出し間隔36をさらに下位間隔に再分割することによって、検出器のような個別の固定位置のリソースの使用を最適化することができる。記載をしやすくするために、検出器が試料分析器上のリング位置29に固定的に配置され、かつさらには、任意の整数であれば何でも選択できるという認識で、第1中間割出し間隔を構成する下位間隔の総計は10リング位置であると仮定する。
【0021】
表1は、リング位置29で検出器にアクセスする可能性のある6機会の可変割出し下位間隔長を有する中間割出し間隔をまとめている。図11の参照番号51は、約7.5分間(公称時間450秒に対して437秒)定温放置されて、かつ濃度測定の準備ができている調製済試料(検知1)が入っているキュベットに対応する。検知2(図11の参照番号52)は、約10分間(公称時間600秒に対して596秒)定温放置されて、かつ濃度測定の準備ができている調製済試料が入っているキュベットに対応する。検知4(図11の参照番号53)は、約15分間(公称時間900秒に対して912秒)定温放置されて、かつ濃度測定の準備ができている調製済試料が入っているキュベットに対応する。検知6(図11の参照番号54)は、約20分間(公称時間1200秒に対して1229秒)定温放置されて、かつ濃度測定の準備ができている調製済試料が入っているキュベットに対応する。
【表1】

【0022】
本発明の方法によると、調製済試料が入っているキュベットが適切に定温放置されて、かつ検出器による測定の準備ができしだい、可変割出し下位間隔長を伴う第1中間割出し間隔36を有する割出し間隔は自動的に開始される。第1下位間隔(表1の第3列(N)に対応する)は、調製済でかつ定温放置された試料が入っているキュベットを開始リング位置33(図8)から固定位置検出器(リング位置29)に運ぶように構成される。
【0023】
たとえば、表1を参照すると、キュベットは開始リング位置20(図11の51番)から、このリング位置も同様に暫定割出しリング位置とよばれる、リング位置29の固定位置検出器にむかって9リング位置に割出しすることができる。キュベットは開始リング位置21(図11の52番)から暫定割出しリング位置29(図11の55b番)にむかって8リング位置に割出しすることができる。キュベットは開始リング位置23(図11の53番)から暫定割出しリング位置29(図11の55c番)にむかって6リング位置に割出しすることができる。キュベットは開始リング位置25(図11の54番)から
暫定割出しリング位置29(図11の55d番)にむかって4リング位置に割出しすることができる。
【0024】
示された実施例においては、9,8,6および4の第1下位間隔(N)は、各々ゼロ(0)以上でかつ第1中間割出し間隔以下である可変割出し間隔である。第1下位間隔(N)動作は、キュベットを暫定割出しリング位置29の固定位置検出器に移動させることを含み、かつ、随意にキュベットを測定のために、キュベット支持リングから検出器または検出器に付随する移送ホイールへ移動させることを含むこともできる。好ましくは、キュベットを暫定割出しリング位置29に移動させることは、キュベット支持リングがその軸の周囲で第1割出し回転を完了する前に行われる。しかしながら、キュベットを暫定割出しリング位置29(55a〜55d番)に移動させることは、キュベット支持リングがその軸の周囲で割出し回転を完了した後にも同様に行うことができる。
【0025】
第2下位間隔割出し(表1の第4列(M)に対応する)は、第1下位間隔割出しがなければ、キュベットが割出しされていたであろう終了位置への補足割出し間隔に対応する。従って、第2下位間隔割出し(M)は、この実施例では10に等しい第1中間割出し間隔と第1下位間隔割出し(N)の数学的差に等しいか、もしくはM = 10 − Nである。第2下位間隔割出し(M)はさらに、測定された試料の入っているキュベットを暫定割出しリング位置29(55a〜55d番)、たとえば固定位置検出器(リング位置29の)、から第1中間割出し間隔の終点リング位置36(図8)に移動させるのに必要な補足間隔を指す。第2下位間隔割出し(表1の第4列に対応する)は、システムを同期化させるために、可変割出し間隔の説明をすることに用いられる。
【0026】
たとえば、表1および図11に関しては、開始リング位置23(図11の53番)に位置する反応キュベットが適切に定温放置され、かつ濃度の測定準備ができているときには、第1中間割出し間隔は自動的に再分割される。6である第1下位間隔59は、キュベットを暫定割出しリング位置29(図11の55c番)に移動させるように設計される。その次に、第2割出し下位間隔60は、10の第1中間割出し間隔を完了させ、かつキュベットを暫定割出しリング位置29(55c番)から終了位置36b(リング位置33(23+10)では4である(33−29))に移動させる必要がある。
【0027】
開始リング位置25(図11の54番)に位置する反応キュベットが適切に定温放置され、かつ濃度の測定準備ができているときには、第1中間割出し間隔がその代わりにさらに自動的に再分割されうる。4である第1下位間隔62は、キュベットを暫定割出しリング位置29(図11の55d番)に移動させるように設計される。その次に、第2割出し下位間隔64は、10の第1中間割出し間隔を完了させ、かつキュベットを暫定割出しリング位置29(55d番)から終了位置36c(リング位置35(25+10)では6である(35−29))に移動させる必要がある。
【0028】
上記にて記載の2つの典型的な実施例においては、可変第2割出し下位間隔60および64は、反応キュベットを通常終了位置36bおよび36cに移動させることを含む。可変第2割出し下位間隔の前に、キュベットを検出器からキュベット支持リングに移動させることは随意に可能である。
【0029】
上記記載は、反応キュベットについて、検出器との往復移動、あるいは、たとえばキュベット内容物の化学反応の結果の検出のような、処理中のホイール上にとどまった状態での検出という位置づけをしたが、当業者は、キュベット処理ホイールの上または外で行われうる他の操作が存在することを理解することができる。例として、キュベットがたとえばアリコートホイールもしくは他の装置のように、キュベット支持リングの外にある、もしくはそれより離れているリソースとの往復移動を行うことも同様に処理能力および効率を改善するために用いる事ができる。
【0030】
本明細書の上述に類似の方法で、割出し間隔を、複数(2または3)の中間割出し間隔に分割することにより、追加的な移動を実施することができる
【0031】
試料分析器
可変割出しを用いて多数の試料分析を最適化する方法について記載してきたが、以降同様の目的の試料分析器および制御装置について記載する。試料分析器および試料分析器によって用いられる個別のリソースは当業者には公知であり、可変割出しの属性に関するもの以外の詳細は記載されない。
【0032】
本発明による試料分析器の実施態様は図1に示される。実施態様の試料分析器10は、少なくとも1つの反応キュベット支持リング40、少なくとも1つの試薬保管リング50、試料支持リング70、比濁計または光度計の位置90および追加検出器位置15を含む。
【0033】
図1に示される実施態様は、とりわけ、第1試薬移動位置11(リング位置9)の固定試薬移動アーム(R1)、複数の第2試薬移動位置12(通常リング位置60および78の間)の角状試薬移動アーム(R2)、反応キュベット装填位置13(リング位置51)、反応キュベット取り外し位置16(リング位置85)、試料移動アーム14(リング位置0)、および検出器位置15(リング位置29)を含む。随意にまたはもう一つの方法として図1に示される実施態様は、とりわけ、複数の第1試薬移動位置の第1角状試薬移動アーム(R1)、複数の第2試薬移動位置の第2角状試薬移動アーム、反応キュベット装填位置、試料(またはアリコート)移動位置、および検出器位置を含みうる。
【0034】
キュベット支持リング40は、第1軸5の周辺を独立して回転可能な環状構造またはホイールを含む。各々のキュベット支持リング40は、反応容器、すなわちキュベット、を支持するための複数のキュベット支持位置(図示されていない)を含むような構造および配置となっている。他の数も想定されるが、本開示のためのキュベット支持位置数は95である。キュベット支持リング40はモーター(図示されていない)および制御装置100に接続されている。制御装置100は、モーターを駆動させて目的とする割出し速度を実現させるように構成される。モーターは、キュベット支持リング40を第1軸5の周辺で回転させるような構造および配置となっている。
【0035】
少なくとも1つの試料および試薬を入れるための反応キュベットは、キュベット装填位置13にて、キュベット移動装置を用いて、キュベット支持リング40中の空のキュベット支持位置に装填または挿入される。制御装置100は、キュベット装填位置13にて、空のキュベット支持位置を呈示し、かつ未使用で衛生的なキュベットを、空のキュベット支持位置に装填または挿入するように構成される。
【0036】
試験の終了した反応キュベットは、キュベット取り外し位置16にて、キュベット移動装置を用いて、キュベット支持リング40から取り外されるかもしくは除去され、かつ適切に廃棄される。制御装置100は、使用および測定の終了した反応キュベットを呈示するように、かつキュベット取り外し位置16にて、キュベット支持リング40から反応キュベットおよびその内容物を取り外しもしくは除去するように構成される。
【0037】
試薬保管リング50は、キュベット支持リング40のホイールと同心で同軸の、独立して回転可能な環状の装置またはホイールを含む。試薬保管リング50は、モーター(図示されていない)および制御装置100に接続されている。制御装置100は、既知の試薬が入っている個別の容器を目的とする位置に呈示するために、モーターを駆動させて試薬保管リング50を回転させるように、構成される。モーターは、試薬保管リング50を第1軸5の周辺で回転させるような構成および配置になっている。
【0038】
試薬保管リング50は、試薬の入っている容器から試薬溶液を吸引するために、かつ試薬溶液を反応キュベットに分配するために、複数の試薬アーム(R1およびR2)および関連するプローブを含むかもしくはそれらと動作のやりとりができるようになっている。多数の試薬アームのうち少なくとも1つは角状試薬アームである。たとえば、図13に示す実施態様は、固定位置11にて最初の試薬を反応キュベットに分配するための固定第1試薬アーム(R1)および2番目の試薬を反応キュベットに分配するための角状第2試薬アーム(R2)を含む。
【0039】
動作中には、制御装置100は、間隔割出し中に試薬保管リング50を動かして、試薬アーム(R1、R2)および関連するプローブのひとつに目的とする試薬の入っている容器を呈示するように構成される。制御装置100は、さらに、試薬アーム(R1、R2)および関連するプローブを作動させて、試薬の入っている容器から目的とする試薬の一定量を吸引し、かつ目的とする試薬の抽出した量を目的とする反応キュベットに分配するように構成される。
【0040】
試料支持リング70は試料を支持する構成および配置になっている。試料支持リング70は、キュベット支持リング40の軸5と平行な回転軸を有する、独立して回転可能なホイールを含む。試料支持リング70は、試料プローブ75を含む試料移動アーム14を含む構成および配置になっていて、試料を該試料が入っている容器から吸引し、かつ試料をキュベット支持リング40上の反応キュベットに分配するように構成される。
【0041】
試料支持リング70は動作が可能なようにモーター(図示されていない)および制御装置100に接続されている。モーターは、試料支持リング70を第2軸の周辺で回転させるような構成および配置になっている。制御装置100は、モーターを駆動させて、所与の試料の入っている個別の容器を呈示するために、試料支持リング70を、たとえば試料プローブ75近傍のような、目的とする位置に回転させるように構成される。制御装置100は、さらに、試料プローブ75に、提供された試料の測定部分を該試料が入った容器から吸引させ、かつキュベット支持リング40上の反応キュベットに直接試料を分配させるように構成される。
【0042】
比濁計および光度計は当業者には周知の試料分析のための技術であり、その詳細は記載されない。光学比濁計または光度計90は、割出し中にキュベットがその傍を通過するときに、キュベット支持リング40中に存在するキュベットの内容物の読み取り、たとえばスキャン、を行うように構成される。より具体的には、キュベット支持リング40の各々の回転のたびに、光学比濁計または光度計90が各々のキュベットの読み取りができるように、各々の割出しは360度を超えるように設計されている
【0043】
実施態様の試料分析器は、別々の固定位置に配置された利用可能なリソースを待っている個別の反応キュベットを移動させるために、可変間隔割出しを別々のタイミングで開始させるように構成される制御装置100を含む。より具体的には、制御装置100は、その総計は依然として固定割出し間隔、たとえば1間隔あたり121位置、に等しい、複数(たとえば2または3)の可変間隔長の中間割出し間隔を発生させるために、それ以外では固定となる割出し間隔を分割するように構成される。固定割出し間隔の分割方法は本明細書に前述され、さらには記載されない。
【0044】
制御装置100はハードウエアまたはソフトウエアまたはその2つの組み合わせとして実行される。後者の場合には、制御装置100は、少なくとも1つのアプリケーション、ドライバープログラムおよびその同類、少なくとも1つの入出力インターフェース、および少なくとも1つのアプリケーション、ドライバープログラムおよびその同類、を実行するための適切なメモリー、たとえばランダムアクセスメモリー(RAM)、および作動データ、少なくとも1つのアプリケーション、ドライバープログラムおよびその同類、の保存のためのリードオンリーメモリー(ROM)を実行する構成および配置になっている処理ユニットを含む。
【0045】
関連部分においては、制御装置100は、固定位置に配置された利用可能なリソースでの処理のために調製された試料の入っている個別のキュベットを識別し、かつ個別のキュベットを固定位置に移動させるために、固定割出し間隔を少なくともその2つは可変間隔長を有する複数の中間割出し間隔に分割することにより、それ以外では固定となる割出し間隔を変化させるように構成される。
【0046】
本発明は上記の例示的実施態様を通じて記載されてきたが、当業者は、本明細書に開示された発明の概念から離れることなく、示された実施態様に修正および変更を加えることができることを理解するであろう。従って、本発明は添付請求項の範囲および精神以外によって限定されたものとして理解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なリング内に反応容器および少なくとも1つの固定位置のリソースを収容する構成および配置になっている、固定された数の反応容器支持位置を有する試料分析器を制御する方法で、割出しが周期的に固定割出し間隔を複数の可変間隔長を有する中間固定割出し間隔に分割することを含み、固定された反応容器数を超える固定割出し間隔により、各回転軸の周囲で試料分析器を割出しすることを含む方法。
【請求項2】
固定割出し間隔を複数の中間割出し間隔に分割することが、固定割出し間隔を固定第1中間割出し間隔および固定第2中間割出し間隔に分割することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固定割出し間隔を固定第1中間割出し間隔に分割することが、固定第1中間割出し間隔を複数の可変下位間隔に再分割することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
固定第1中間割出し間隔を複数の可変下位間隔に再分割することが、
固定第1中間割出し間隔を固定第1中間割出し間隔(T)以下の第1可変下位間隔(N)に再分割すること、および
固定第1中間割出し間隔(T)をさらに、M=T−Nとなるような固定第1中間割出し間隔と第1可変下位間隔の数学的な差に等しい第2可変下位間隔(M)に再分割すること、
を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
固定第1中間割出し間隔を第1可変下位間隔に再分割することが、個別の反応容器が、前記第1リング位置から前記固定第1中間割出し間隔以下のいくつかの反応容器支持位置分だけ離れている第2リング位置に位置するときにはいつでも、個別の固定位置リソースを待っている個別の反応容器を、個別の固定位置リソースに対応する第1リング位置にむかって割出しすることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
固定第1中間割出し間隔を第2可変下位間隔に再分割することが、試料分析器を同期させるために、さらに個別の反応容器を、固定位置リソースに対応するリング位置から間隔M割出しすることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
反応容器を収容するための固定数の反応容器支持位置、および、少なくとも1つの固定位置リソースを有する試料分析器を制御するコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み出し可能な媒体の形態をとり、前記コンピュータプログラムはプロセッサ上で実行可能であり、かつ実行可能な機械語またはコードからなり、
前記コンピュータプログラムは、前記試料分析器を、反応容器の固定数を超える固定割出し間隔により、その回転軸の周囲で割出すためのものであり、
前記割り出しは、周期的に固定割出し間隔を可変間隔長を有する複数の中間割出し間隔に分割することを含む、プログラム製品。
機械語
【請求項8】
固定割出し間隔を複数の中間割出し間隔に分割するための実行可能な機械語もしくはコードが、固定割出し間隔を固定第1中間割出し間隔および固定第2中間割出し間隔に分割することを含む、請求項7に記載のプログラム製品。
【請求項9】
固定割出し間隔を固定第1中間割出し間隔に分割するための実行可能な機械語もしくはコードが、固定第1中間割出し間隔を複数の可変下位間隔に再分割することを含む、請求項8に記載のプログラム製品。
【請求項10】
固定第1中間割出し間隔(T)を複数の可変下位間隔に再分割するための実行可能な機械語もしくはコードが、固定第1中間割出し間隔(T)を、固定第1中間割出し間隔(T)以下の第1可変下位間隔(N)に再分割することおよび、固定第1中間割出し間隔(T)を、M=T−Nとなるような固定第1中間割出し間隔(T)と第1可変下位間隔(N)の数学的な差に等しい第2可変下位間隔(M)にさらに再分割することを含む、請求項9に記載のプログラム製品。
【請求項11】
固定第1中間割出し間隔を第1可変下位間隔に再分割するための実行可能な機械語もしくはコードは、個別の反応容器が、前記第1リング位置から前記固定第1中間割出し間隔以下のいくつかの反応容器支持位置分だけ離れている第2リング位置に位置するときにはいつでも、個別の固定位置リソースを待っている個別の反応容器を、個別の固定位置リソースに対応する第1リング位置にむかって割出しすることを含む、請求項10に記載のプログラム製品。
【請求項12】
固定第1中間割出し間隔を第2可変下位間隔に再分割するための実行可能な機械語もしくはコードは、試料分析器を同期させるために、さらに個別の反応容器を、固定位置リソースに対応するリング位置から間隔M割出しすることを含む、請求項11に記載のプログラム製品。
【請求項13】
反応容器を支持するための複数の反応容器支持位置および回転軸を有する、反応容器支持リング、
複数の試薬の1つが入っている試薬容器を保管するための、反応容器支持リングと同心でかつ同軸の試薬保管リング、
少なくとも1つの反応容器に対してある処理を行うための固定位置に配置されたリソース、
固定割出し間隔に従って反応容器支持リングを動かすように構成され、かつ、最初に固定割出し間隔を実施することなく個別の反応容器を利用可能なリソースに移動するために、固定割出し間隔の代わりに複数の中間割出し間隔を用いる構成および配置になっている制御装置、
からなる、測定される試料の濃度を分析するための試料分析器。
【請求項14】
複数の試薬アームのうち少なくとも1つが角状アームである、試薬を試薬の入った容器から反応容器に移すための複数の試薬アームからさらになる、請求項13に記載の試料分析器。
【請求項15】
第1試薬アームが固定アームで、かつ第2試薬アームが角状アームである、請求項14に記載の試料分析器。
【請求項16】
第1試薬アームが角状アームで、かつ第2試薬アームが角状アームである、請求項14に記載の試料分析器。
【請求項17】
リソースが、光度計、光学比濁計、反応容器の装填、取り外しまたは移動装置、アリコート操作リング、および化学発光読み取り器からなる群から選択される、請求項13に記載の試料分析器。
【請求項18】
制御装置が、固定割出し間隔を、第1および第2中間割出し間隔の各々が固定間隔長あるいは可変間隔長を有する、第1中間割出し間隔および第2中間割出し間隔に再分割するように構成される、請求項13に記載の試料分析器。
【請求項19】
第1中間割出し間隔を、第1可変下位間隔および第2可変下位間隔に再分割し、
個別の反応容器を、第1可変下位間隔によって、利用可能なリソースの固定位置に対応する中間割出しリング位置に動かし、
前記個別の反応容器が利用可能なリソースにおいて処理された後、前記個別の反応容器を、試料分析器を同期させるために、第2可変下位間隔によって動かし、かつ
前記個別の反応容器を、第2割出し間隔によって動かす
ように制御装置が構成される、請求項18に記載の試料分析器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−526283(P2012−526283A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509865(P2012−509865)
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/033350
【国際公開番号】WO2010/129455
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(507269175)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
【出願人】(510259921)シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (11)
【Fターム(参考)】