説明

固定キャリア

【課題】 研削液の浸入により反復使用に関する信頼性が低下したり、半導体ウェーハの周辺装置に研削液が付着して汚染が生じるおそれを排除できる固定キャリアを提供する。
【解決手段】 バックグラインド装置に回転可能にセットされる基板21と、基板21の表面に形成される凹み穴22と、凹み穴22に並べて配設される複数の支持突起24と、凹み穴22を被覆して複数の支持突起24に支持され、半導体ウェーハWを着脱自在に粘着保持する変形可能な粘着層25と、基板21に穿孔され、真空ポンプ27の駆動に基づいて粘着層25に被覆された凹み穴22内の空気を外部に導く給排路26と、給排路26に対するバックグラインド装置の研削液の浸入を防止する通気防水膜30とを備える。通気防水膜30が凹み穴22に連通する給排路26を被覆して研削液を遮断するので、固定キャリア20内に研削液が浸入して反復使用に対する信頼性を低下させることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削液を用いたバックグラインドにより薄片化される半導体ウェーハ用の固定キャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハは、半導体製造の前工程では反らないように、例えば300mmタイプの場合には、約775μmの厚さに形成されているが、この肉厚のままでは、薄片化が必要な近年の半導体パッケージには適さないので、バックグラインド工程と呼ばれる工程において、裏面の研削処理で場合により100μm以下に薄くされ、その後、ダイシング工程で個々のチップに分離される。
【0003】
半導体ウェーハのバックグラインド工程においては、先ず、図示しない半導体ウェーハのパターン形成面を保護するために柔軟な保護シート(BGシートともいう)を貼着してその大きさが半導体ウェーハよりも僅かに大きくなるようカットし、半導体ウェーハをバックグラインド装置における回転台上の複数のテーブルにセットし、回転台を回転させて研削装置の作業領域に半導体ウェーハを配置して位置決めする。
【0004】
保護シートは、例えばEVAや軟質PVCを基材とした50〜200μmの厚さを有する耐溶剤性のフィルムに、アクリル系、ウレタン系、ブタジエン系、シリコーン系の粘着層が10〜60μmの厚さで積層されることにより形成され、使い捨て品として使用後に再使用されることなく廃棄される。
【0005】
研削装置の作業領域に半導体ウェーハを配置したら、半導体ウェーハの裏面を回転砥石で純水等の研削液を流しながら研削し、その後、半導体ウェーハの裏面を化学薬品により約1μm程度エッチングして研削に伴うダメージ層を除去することにより、半導体ウェーハを薄片化する(特許文献1参照)。
【0006】
半導体ウェーハを薄片化したら、半導体ウェーハのエッチングされた裏面を中空のキャリア治具にダイシング工程で使用される粘着テープ、具体的にはUVテープを介して固定し、その後、半導体ウェーハのパターン形成面から保護シートを剥離すれば、キャリア治具に支持された半導体ウェーハをブレードと呼ばれる砥石により個々のチップに分離することができる。
【0007】
ところで、半導体ウェーハのバックグラインド工程は、以上のように半導体ウェーハのパターン形成面に保護シートを一枚毎に貼着し、使用後に保護シートを廃棄処分するので、廃棄物の大量発生を抑制することができないという大きな問題がある。この問題を解消するため、出願人は、繰り返して使用することが可能な固定キャリアを提案している。
【特許文献1】特開2005‐93882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
出願人が提案した固定キャリアは、以上のように繰り返して使用することができるので、使用後に保護シートを廃棄処分する必要が全くなく、廃棄物の大量発生を抑制することができる。
【0009】
しかしながら、出願人は、係る効果のみに満足することなく、固定キャリアに様々な改良を施して付加価値を付け、技術の飛躍的進歩を刺激することを欲している。具体的には、バックグラインド工程時に固定キャリア内に研削液が浸入して反復使用に対する信頼性を低下させたり、半導体ウェーハのハンドリング装置や他の周辺装置に研削液が付着して汚染を生じさせるおそれが考えられるので、これらを未然に抑制防止することを望んでいる。
【0010】
本発明は上記に鑑みなされたもので、研削液の浸入により反復使用に関する信頼性が低下したり、半導体ウェーハの周辺装置に研削液が付着して汚染が生じるおそれを排除することのできる固定キャリアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては上記課題を解決するため、少なくとも研削液を用いたバックグラインドにより薄片化される半導体ウェーハ用のものであって、
剛性を有する基板に設けられる凹部と、この凹部に設けられる複数の支持突起と、凹部を被覆して複数の支持突起に支持され、半導体ウェーハを着脱自在に粘着保持する変形可能な粘着層と、基板に設けられ、負圧源の駆動に基づいて粘着層に被覆された凹部内の気体を外部に導く給排路と、この給排路に対する研削液の浸入を規制する通気防水材とを含んでなることを特徴としている。
【0012】
なお、通気防水材を、給排路を覆う柔軟な薄膜とすることが好ましい。
また、基板を多層構造に構成してその基板層と基板層との間に薄膜を介在させることができる。
さらに、凹部の底面に薄膜を重ね、この薄膜に、支持突起に嵌め入れられる取付孔を設けることができる。
【0013】
ここで、特許請求の範囲における半導体ウェーハは、口径200mmタイプや300mmタイプ等を特に問うものではない。この半導体ウェーハには、結晶方位を判別したり、整列を容易化するオリフラやノッチが適宜形成される。また、固定キャリアの基板や通気防水材は、平面視で円形、楕円形、矩形、多角形等に形成することができる。
【0014】
凹部、粘着層、及び給排路は、単数複数を特に問うものではない。また、複数の支持突起は、凹部に規則的に配列されるものでも良いし、不規則に配列されるものでも良い。この複数の支持突起は、凹部と一体構造でも良いし、別体の構造にすることもできる。支持突起は、円錐台形、角柱形、角錐台形等に形成することが可能である。
【0015】
本発明によれば、通気防水材が基板の凹部に連通する給排路に設けられて研削液の浸入を規制するので、固定キャリア内に研削液が浸入して反復使用に対する信頼性を低下させるのを防ぐことができる。また、通気防水材が給排路に研削液を流通させずに気体のみを通すので、凹部内の気体の吸引に伴い、粘着層が支持突起に追従しながら変形するのに支障を来たすことがない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、研削液の浸入により固定キャリアの反復使用に関する信頼性が低下するおそれを排除することができるという効果がある。また、半導体ウェーハのハンドリング装置をはじめとする周辺装置に研削液が付着して汚染が生じるのを未然に防ぐことができるという効果がある。
さらに、通気防水材を、給排路を覆う柔軟な薄膜とすれば、例え凹部や給排路の取付面が不整面でも、給排路を的確に被覆することができ、良好なシーリング性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における固定キャリア20は、図1ないし図4に示すように、バックグラインド装置1にセットされる剛性の基板21と、この基板21に形成される凹み穴22と、この凹み穴22に配設される複数の支持突起24と、バックグラインドされる半導体ウェーハWを着脱自在に粘着保持する弾性変形可能な粘着層25と、この粘着層25に被覆された凹み穴22内の空気を外部に導く給排路26と、この給排路26に対するバックグラインド装置1の研削液の浸入を防止する通気防水膜30とを備え、ウェーハカセット5・5AやFOUP等の基板収納容器に半導体ウェーハWを保持した状態で収納可能に構成される。
【0018】
バックグラインド装置1は、図1や図2に示すように、本体である架台2上に回転可能に設置される回転台4と、この回転台4上に回転可能に支持されて固定キャリア20を着脱自在に搭載保持する複数のチャックテーブル6と、このチャックテーブル6上の固定キャリア20に保持された半導体ウェーハWの裏面を粗研削と仕上げ研削を通じて研削処理する研削装置7と、研削処理された半導体ウェーハW用の洗浄装置10とを備えて構成される。
【0019】
架台2は、前後方向に長く形成され、作業面の前部中央にハンドリング装置3が設置されるとともに、作業面の略中央部に平面円形の回転台4が上部の露出した状態で回転可能に設置されており、作業面の後部には、回転台4の表面後部に上方から対向する研削装置7が立設される。ハンドリング装置3の左右両側部には、固定キャリア20に保持されたバックグラインド前の厚い半導体ウェーハWを複数枚整列収納したウェーハカセット5と、固定キャリア20に保持されたバックグラインド後の薄い半導体ウェーハWを整列収納するウェーハカセット5Aとがそれぞれ搭載される。
【0020】
回転台4は、例えば所定の材料を使用して大径の円板形に形成され、その露出した上部表面の周方向には複数のチャックテーブル6が間隔をおき支持されており、所定の回転角度で回転してチャックテーブル6の位置をハンドリング装置3方向や研削装置7方向に変更するよう機能する。
【0021】
チャックテーブル6は、例えばステンレス製の枠体に多孔質セラミックス製の円板が嵌合されることにより平坦な平面円形に構成され、架台2内の図示しない真空装置の減圧に基づき、半導体ウェーハWを粘着保持した固定キャリア20を着脱自在に搭載保持するよう機能する。このチャックテーブル6における固定キャリア20の給排路26に対応する位置には、粘着層25に被覆された凹み穴22内を減圧しないよう目止めが施される。
【0022】
研削装置7は、半導体ウェーハWの裏面に上方から♯320〜360程度の回転砥石8aで研削液を介し粗研削処理を施す粗研削装置8と、この粗研削装置8に隣接配置されて粗研削処理された半導体ウェーハWの裏面に上方から♯2000程度の回転砥石9aで研削液を介し仕上げ研削処理を施す仕上げ研削装置9とを備えて構成される。
【0023】
固定キャリア20の基板21は、図1や図3に示すように、所定の材料を使用して0.5〜2.0mm程度の厚さを有する平坦な薄板に形成され、半導体ウェーハWよりも大きい平面円形とされており、ウェーハカセット5・5Aや基板収納容器に収納可能な大きさに形成される。この基板21の材料としては、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレス等の金属材料、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、ポリ塩化ビニル等の樹脂成形材料、ガラスがあげられる。
【0024】
基板21の厚さは0.5〜2.0mmの範囲、好ましくは1.0mm程度とされるが、これは、基板21の厚さが0.5mm未満の場合には、薄片化された半導体ウェーハWのハンドリング時に半導体ウェーハWが撓んだり、折曲して破損するおそれがあるからである。逆に、基板21の厚さが2.0mmを超える場合には、ウェーハカセット5・5A等に対する出し入れ時に引っかかり、支障を来たすおそれがあるからである。
【0025】
凹み穴22は、図4に示すように、基板21の表面周縁部を除く大部分に浅く凹み形成されるとともに、半導体ウェーハWに略対応する大きさの平面円形に形成され、周縁部23が半導体ウェーハWの周縁部に粘着層25を介して略対向する。この凹み穴22は、0.05〜0.5mm、好ましくは0.2mm程度の深さに形成され、その底面には、粘着層25を下方から支持する複数の支持突起24が並設される。
【0026】
複数の支持突起24は、例えば凹み穴22の底面に成形法、サンドブラスト法、エッチング法等により間隔をおき規則的に配列され、各支持突起24が凹み穴22の深さと略同じ高さ、長さの円柱形に形成される。
【0027】
粘着層25は、図3や図4に示すように、例えばエチレン‐メチルメタクリレート、シリコーンゴム、ウレタン系エラストマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合物、オレフィン系熱可塑性エラストマー、プロピレン−オレフィン共重合物、アクリル系粘着剤/オレフィン系基材のエラストマーフィルム等を使用して半導体ウェーハWよりも大きい平面円形の薄膜に成形され、基板21の表面周縁部に接着されるとともに、複数の支持突起24にそれぞれ接着されており、凹み穴22を被覆してその底面との間に空気流通用の空間を区画する。
【0028】
給排路26は、図4に示すように、基板21の下部に穿孔されてその下流部が真空ポンプ27に剥離用テーブル28の連通孔29や図示しない剥離用ハンド等を介し着脱自在に接続されており、真空ポンプ27の駆動に基づき、粘着層25に被覆された凹み穴22内の空気を外部に排気して負圧化するよう機能する。そして、この空気の排気により、平坦な粘着層25は、複数の支持突起24に追従しながら凹み穴22の底面方向に凹凸に変形し、半導体ウェーハWから部分的に離隔して密着状態の半導体ウェーハWの剥離を容易化する。
【0029】
給排路26の大きさは、特に限定されるものではないが、バックグラインド作業に悪影響を及ぼさないようφ2mm以下であることが好ましい。また、剥離用テーブル28は、例えば平面略円板形に形成され、真空ポンプ27と共にバックグラインド装置1の外部に設置されており、バックグラインド装置1から搬出された固定キャリア20の基板21を着脱自在に搭載する。
【0030】
通気防水膜30は、同図に示すように、空気を通すが、純水からなる研削液等の液体を通さない柔軟な防水透湿素材、例えば多孔質PTFEシート(商品名ゴアテックス(登録商標))等を使用して平面円形の薄膜に形成され、凹み穴22の底面に接着されて給排路26の開口を被覆する。
【0031】
上記において、半導体ウェーハWをバックグラインドにより100μm以下の厚さに薄片化し、ダイシング工程で個々のチップに分離する場合には、先ず、ウェーハカセット5に、予め半導体ウェーハWを粘着保持した固定キャリア20を収納してバックグラインド装置1にセットし、ウェーハカセット5から回転台4のチャックテーブル6に固定キャリア20をハンドリング装置3により移載し、チャックテーブル6に固定キャリア20を対向させて減圧保持させる。
【0032】
こうしてチャックテーブル6に固定キャリア20が搭載されると、回転台4が回転してチャックテーブル6をハンドリング装置3側から研削装置7側に搬送するとともに、チャックテーブル6と共に固定キャリア20が回転し、研削装置7が回転する半導体ウェーハWの裏面を粗研削装置8と仕上げ研削装置9の回転砥石8a・9aと研削液で順次研削し、ウェーハカセット5Aが収納する。
【0033】
上記研削作業の際、研削液が給排路26を流通して凹み穴22に流入するのを通気防水膜30が制水するので、固定キャリア20の粘着層25や半導体ウェーハWの汚染を招くことが全くない。
その後、図示しないエッチング装置により半導体ウェーハWの裏面が化学薬品により約1μm程度エッチングされて研削に伴うダメージ層が除去される。このダメージ層の除去により、半導体ウェーハWが完全に薄片化される。
【0034】
次いで、半導体ウェーハWのエッチングされた裏面が中空のキャリア治具にダイシング工程で使用される粘着テープ、具体的にはUVテープを介して固定されるとともに、半導体ウェーハWが固定キャリア20から取り外される。具体的には、剥離用テーブル28や剥離用ハンド等を介して接続された真空ポンプ27が駆動して固定キャリア20の粘着層25を凹み穴22の底面方向に凹凸に変形させることにより、半導体ウェーハWが容易に剥離可能となるので、固定キャリア20から簡単に取り外すことができる。
【0035】
この際、通気防水膜30が給排路26に研削液を流通させずに空気のみを通すので、空気の吸引に伴う粘着層25の変形に支障を来たすことが全くない。
【0036】
半導体ウェーハWをUVテープによりキャリア治具に支持させたら、UVテープの余剰部をカットし、キャリア治具の中空部に配置された半導体ウェーハWを砥石により個々のチップに分離することができる。
【0037】
上記構成によれば、バックグラインド工程時に通気防水膜30が凹み穴22に連通する給排路26を被覆して研削液の流入を遮断するので、固定キャリア20内に研削液が浸入して反復使用に対する信頼性を低下させることがない。また、半導体ウェーハWのハンドリング装置3や他の周辺装置に研削液が付着して汚染を生じさせるおそれを未然に排除することができる。さらに、通気防水膜30として柔軟な多孔質PTFEシートを使用すれば、優れた加工性、密着性、耐薬品性を得ることができる。
【0038】
次に、図5は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、固定キャリア20の基板21を単層構造ではなく、多層構造に構成してその基板層21aと基板層21aとの間に通気防水膜30を介在させ、この通気防水膜30を給排路26の途中に位置させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0039】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、基板層21aと基板層21aとの間に通気防水膜30を挟持させるので、強固な止水構造が期待でき、研削液の流入に伴う通気防水膜30の給排路26からの剥離を防止することができるのは明らかである。
【0040】
次に、図6は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、凹み穴22の底面に、給排路26の開口を被覆する平面円形の通気防水膜30を接着し、この通気防水膜30の周縁部には、複数の支持突起24にそれぞれ嵌入する取付孔31を穿孔するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0041】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、通気防水膜30の周縁部の取付孔31が支持突起24に嵌入してその位置ずれや脱落を規制するので、簡易な構成で研削液の浸入に伴う通気防水膜30の剥離を防止することができるのは明らかである。
【0042】
なお、上記実施形態では単一の通気防水膜30を示したが、何らこれに限定されるものではなく、例えば複数の通気防水膜30を積層して使用しても良い。また、通気防水膜30を、多孔質PTFEシートを用いて形成したが、空気は通すが、研削液等の液体は通さない多孔質PTFEシート以外の周知の素材により形成しても良い。さらに図7に示すように、凹み穴22の周縁部23に、半導体ウェーハWの振動を抑制する抑制体32を備え、この抑制体32を、凹み穴22の周縁部23内面から中心の内方向に突出する複数の櫛歯33から形成しても良い。
【0043】
こうすれば、半導体ウェーハWの周縁部を対向保持する固定キャリア20の保持部分に複数の櫛歯33が存在するので、固定キャリア20に半導体ウェーハWをセットする際に多少位置がずれても、半導体ウェーハWの周縁部を均一に固定することができる。したがって、バックグラインド工程で半導体ウェーハWの周縁部が部分的に大きく振動することがないので、振動部分が固定キャリア20から剥離し、固定キャリア20と半導体ウェーハWとの間に研削液が浸入するおそれをきわめて有効に抑制することができ、半導体ウェーハWの汚染防止が大いに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る固定キャリアの実施形態におけるバックグラインド装置を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る固定キャリアの実施形態におけるバックグラインド装置を模式的に示す側面説明図である。
【図3】本発明に係る固定キャリアの実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係る固定キャリアの実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図5】本発明に係る固定キャリアの第2の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図6】本発明に係る固定キャリアの第3の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図7】本発明に係る固定キャリアの第4の実施形態を模式的に示す要部平面説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 バックグラインド装置
3 ハンドリング装置
4 回転台
6 チャックテーブル
7 研削装置
8 粗研削装置
9 仕上げ研削装置
20 固定キャリア
21 基板
21a 基板層
22 凹み穴(凹部)
24 支持突起
25 粘着層
26 給排路
27 真空ポンプ(負圧源)
28 剥離用テーブル
30 通気防水膜(通気防水材、薄膜)
31 取付孔
W 半導体ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも研削液を用いたバックグラインドにより薄片化される半導体ウェーハ用の固定キャリアであって、
剛性を有する基板に設けられる凹部と、この凹部に設けられる複数の支持突起と、凹部を被覆して複数の支持突起に支持され、半導体ウェーハを着脱自在に粘着保持する変形可能な粘着層と、基板に設けられ、負圧源の駆動に基づいて粘着層に被覆された凹部内の気体を外部に導く給排路と、この給排路に対する研削液の浸入を規制する通気防水材とを含んでなることを特徴とする固定キャリア。
【請求項2】
通気防水材を、給排路を覆う柔軟な薄膜とした請求項1記載の固定キャリア。
【請求項3】
基板を多層構造に構成してその基板層と基板層との間に薄膜を介在させた請求項2記載の固定キャリア。
【請求項4】
凹部の底面に薄膜を重ね、この薄膜に、支持突起に嵌め入れられる取付孔を設けた請求項2記載の固定キャリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−242655(P2007−242655A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58881(P2006−58881)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】