説明

固定ナット及び湯水混合水栓

【課題】排水と防水とを両立することのできる固定ナット及び湯水混合水栓を提供すること。
【解決手段】固定ナット70に、外周面71に形成される固定ナットネジ部73と、固定ナットネジ部73の軸方向における一端側に設けられる工具掛け部74と、軸方向における固定ナットネジ部73と工具掛け部74との間の外周面71に設けられると共に、固定ナットネジ部73が螺合する部材との間のシールを行う外側Oリング溝78と、工具掛け部74の内周側と外周側とを連通する水抜き通路76と、を備える。また、湯水混合水栓である水栓本体20に、弁ユニット80を収容するユニット収容部35を有する本体ケース30と、ユニット収容部35に弁ユニット80を収容した状態で固定ナットネジ部73を螺合させることにより弁ユニット80の収容状態を保持すると共に、外側Oリング溝78と内側Oリング溝79とによってシールを行う固定ナット70と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ナット及び湯水混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部材を締結する機構としては、ネジを螺合させることによる締結機構が従来より多用されており、締結機構を構成する部材として固定ナットが多く用いられている。このため、固定ナットは、水が使用される環境でも用いられており、このような固定ナットでは、水を使用する環境に適した処理を施したものがある。例えば、特許文献1に記載された水抜きナットでは、座面側に、ネジ部から側面側に突き抜けるように形成された3つの排水溝が放射状に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−299750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水を使用する環境では、排水の他に防水が必要な場合もあるが、排水と防水とでは異なる機能であるため、これらを両立することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、排水と防水とを両立することのできる固定ナット及び湯水混合水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る固定ナットは、外周面に形成される雄ネジ部と、前記雄ネジ部の軸方向における一端側に設けられる工具掛け部と、前記雄ネジ部の軸方向における前記雄ネジ部と前記工具掛け部との間の外周面に設けられると共に、前記雄ネジ部が螺合する部材との間のシールを行う外周側シール部と、前記工具掛け部の内周側と外周側とを連通する連通部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記固定ナットにおいて、前記雄ネジ部の軸方向に連通する内周面に、前記内周面に対向する部材との間のシールを行う内周側シール部が設けられていることが好ましい。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る湯水混合水栓は、複数の流路から流入する流体を混合して流出させることができると共に、操作部を傾倒させることにより混合の割合と流出量とを調節可能な弁ユニットと、前記弁ユニットを収容する収容部を有し、且つ、前記収容部の内壁に雌ネジ部が形成されるケース部と、前記収容部に前記弁ユニットを収容した状態で前記雌ネジ部に前記雄ネジ部を螺合させることにより、前記弁ユニットに当接して前記弁ユニットの収容状態を保持すると共に、前記外周側シール部によって前記収容部の内壁との間のシールを行い、さらに、前記内周側シール部によって前記弁ユニットとの間のシールを行う上記固定ナットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る固定ナットは、排水と防水とを両立することができる、という効果を奏する。また、本発明に係る湯水混合水栓は、排水と防水とを両立することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態に係る固定ナットを備える水栓装置の概略構成例を示す説明図である。
【図2】図2は、図1に示す水栓本体の要部断面図である。
【図3】図3は、図2に示す水栓本体の斜視図である。
【図4】図4は、図2に示す本体ケースの断面図である。
【図5】図5は、図2に示す本体ケースの底面図である。
【図6】図6は、図4に示す本体ケースの斜視図である。
【図7】図7は、図2に示す弁ユニットの断面図である。
【図8】図8は、図7に示す弁ユニットの斜視図である。
【図9】図9は、図7に示すレバー軸の側面図である。
【図10】図10は、図9に示すレバー軸の斜視図である。
【図11】図11は、図7に示すユニットケースの正面図である。
【図12】図12は、図11のB−B断面図である。
【図13】図13は、図11に示すユニットケースの斜視図である。
【図14】図14は、図7に示す軸受の断面図である。
【図15】図15は、図7に示す軸受の上面図である。
【図16】図16は、図7に示す軸受の底面図である。
【図17】図17は、図14に示す軸受の斜視図である。
【図18】図18は、図7に示すディスクキャップの断面図である。
【図19】図19は、図7に示すディスクキャップの上面図である。
【図20】図20は、図7に示すディスクキャップの底面図である。
【図21】図21は、図18に示すディスクキャップの斜視図である。
【図22】図22は、図7に示す可動ディスクの断面図である。
【図23】図23は、図7に示す可動ディスクの底面図である。
【図24】図24は、図22に示す可動ディスクの斜視図である。
【図25】図25は、図7に示す固定ディスクの断面図である。
【図26】図26は、図7に示す固定ディスクの上面図である。
【図27】図27は、図7に示す固定ディスクの底面図である。
【図28】図28は、図25に示す固定ディスクの斜視図である。
【図29】図29は、図7に示す裏蓋の断面図である。
【図30】図30は、図7に示す裏蓋の上面図である。
【図31】図31は、図7に示す裏蓋の底面図である。
【図32】図32は、図29に示す裏蓋の斜視図である。
【図33】図33は、図2に示す固定ナットの断面図である。
【図34】図34は、図2に示す固定ナットの上面図である。
【図35】図35は、図33に示す固定ナットの斜視図である。
【図36】図36は、図2に示すレバーの断面図である。
【図37】図37は、図36に示すレバーの斜視図である。
【図38】図38は、図2に示す台座カバーの断面図である。
【図39】図39は、図2に示す台座カバーの底面図である。
【図40】図40は、図38に示す台座カバーの斜視図である。
【図41】図41は、図7のP−P断面図であり、レバー軸が中立状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。
【図42】図42は、図7のレバー軸を傾倒させた場合の説明図である。
【図43】図43は、図42のQ−Q断面図であり、レバー軸を傾倒させた状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。
【図44】図44は、レバー軸の操作範囲についての説明図である。
【図45】図45は、図42のQ−Q断面図であり、レバー軸が低温位置の状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。
【図46】図46は、図42のQ−Q断面図であり、レバー軸が高温位置の状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。
【図47】図47は、図2のR部詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る固定ナット及び湯水混合水栓の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る固定ナットを備える水栓装置の概略構成例を示す説明図である。なお、以下の説明では、本実施形態に係る固定ナット70が備えられる水栓装置5の通常の使用態様時における上下方向を、水栓装置5及び固定ナット70の上下方向として説明する。本実施形態に係る固定ナット70が備えられる水栓装置5は、洗面台(図示省略)等のカウンタ1に設置されている。この水栓装置5は、水を吐水する吐水部10と、吐水部10による吐水と止水との切り替えを行ったり、吐水する水の流量や温度を調節したりする湯水混合水栓である水栓本体20と、を有している。
【0013】
このうち、吐水部10は、実際に水を吐水する吐水口15が設けられる吐水ヘッド14と、吐水ヘッド14を着脱可能に保持するホルダ11と、を有している。ホルダ11は、カウンタ1に設置されており、この状態で吐水ヘッド14を保持することにより、吐水ヘッド14は、ホルダ11を介してカウンタ1に設置される。さらに、ホルダ11は、カウンタ1に対して上下方向に移動可能なスライド管12に接続されていると共に、カウンタ1に対するスライド管12の上下方向の移動に伴って、ホルダ11も上下方向に移動可能に設けられている。
【0014】
また、吐水ヘッド14は、吐水口15を当該吐水ヘッド14の先端下面に有しており、さらに、吐水ヘッド14の先端部分には、吐水口15からの吐水を、ストレート吐水とシャワー吐水とで切り換える切換操作部16が設けられている。この吐水ヘッド14には、可撓性のホース185が接続されていると共に、ホース185はホルダ11を通っており、ホルダ11に保持される吐水ヘッド14をホルダ11から外す場合には、ホース185はホルダ11内から引き出すことが可能になっている。
【0015】
また、本実施形態に係る水栓本体20は、吐水部10とは離隔してカウンタ1に設置されており、水栓本体20と吐水部10とは、ホース185によって接続されている。即ち、水栓本体20には、ホース185における吐水ヘッド14に接続されている側の端部の反対側の端部側が接続されている。
【0016】
また、水栓本体20には、水や湯を水栓本体20に流入させる2本の流入管181と、水栓本体20から水、または湯、若しくはこれらの混合水を流出させる1本の流出管182とが接続されている。ホース185は、このように水栓本体20に接続される流出管182に接続されており、流出管182を介して水栓本体20に接続されている。
【0017】
また、水栓本体20には、流入管181から水栓本体20に流入し、流出管182から流出する水や湯の流量を調節するレバー170が設けられている。このレバー170は、上方に向かって所定の長さで延在しており、所定の範囲で傾倒方向や傾倒角を調節することにより、流出管182から吐水ヘッド14側に供給する水や湯の流量を調節する。
【0018】
図2は、図1に示す水栓本体の要部断面図である。図3は、図2に示す水栓本体の斜視図である。水栓本体20は、水や湯の流量を調節する際における要部となる弁ユニット80と、この弁ユニット80を保持するケース部である本体ケース30と、本体ケース30に接続される台座カバー60と、を有している。即ち、本体ケース30は、弁ユニット80を収容する収容部であるユニット収容部35を有しており、水栓本体20は、本体ケース30のユニット収容部35に弁ユニット80を収容し、本体ケース30で弁ユニット80を保持した状態で、カウンタ1に取り付けられている。
【0019】
図4は、図2に示す本体ケースの断面図である。図5は、図2に示す本体ケースの底面図である。図6は、図4に示す本体ケースの斜視図である。本体ケース30は、略円筒形状で形成される本体部31の軸方向における一端に、鍔状の形状の本体取付部50が設けられることにより形成されている。ユニット収容部35は、本体部31における本体取付部50が位置する側の端部から他端側に向って所定の深さで開けられた穴状の形状で形成されている。このため、ユニット収容部35は、本体取付部50側の端部側に開口している。
【0020】
また、ユニット収容部35の内壁である収容部内壁36には、本体取付部50側から、本体取付部50が位置する側の反対側の端部方向に向った所定の位置で、且つ、ユニット収容部35の深さ方向における所定の範囲に、雌ネジ部であるケース側ネジ部37が形成されている。即ち、ケース側ネジ部37は、ユニット収容部35における開口側から、ユニット収容部35の深さ方向における所定の位置に、所定の範囲で形成されている。
【0021】
また、本体取付部50の外周部分には、本体取付部50のほぼ全周にかけて、壁状の形状で本体部31が位置する側の反対方向に向けて突出したカバー取付部51が設けられている。詳しくは、カバー取付部51は、本体取付部50の全周に渡って形成された壁部の一部が切り欠かれた形状で形成されており、この切り欠かれた部分は、本体取付部50上の水を排水する排水部55として形成されている。また、カバー取付部51における排水部55が形成されている部分に対向する位置は、内周面が平面状に形成されており、この部分は取付部側平面部52となっている。
【0022】
本体取付部50は、この排水部55が位置する部分では、カバー取付部51が突出する側の面が、本体部31の中心軸側から、本体取付部50の径方向における外方に向かってカバー取付部51の突出方向の反対方向に向う方向に傾斜する傾斜部56を有している。即ち、傾斜部56は、カバー取付部51が突出する側の面が、本体部31の中心軸側から排水部55に向うに従って、本体取付部50の板厚が薄くなる方向に傾斜することによって形成されている。さらに、カバー取付部51の外周面には、カバー取付部51の全周にかけて形成された溝部であるOリング溝57が形成されている。カバー取付部51は、排水部55によって周方向に不連続となって形成されているが、Oリング溝57も、排水部55の部分には形成されていないため、周方向に不連続になっている。
【0023】
また、本体部31には、本体取付部50寄りの所定の範囲の外周部分に、雄ネジとして形成される取付ネジ部32が設けられている。さらに、本体部31における本体取付部50が位置する側の端部の反対側の端部側には、流入孔41と流出孔42とが形成されている。この流入孔41と流出孔42とは、ユニット収容部35の底部から、本体部31の端部にかけて形成された孔として設けられており、本体取付部50が位置する側の端部の反対側の端部に開口している。また、流入孔41は2つ設けられており、流出孔42は1つ設けられている。
【0024】
図7は、図2に示す弁ユニットの断面図である。図8は、図7に示す弁ユニットの斜視図である。弁ユニット80は、ユニットケース100と、軸受120と、ディスクキャップ130と、可動ディスク140と、固定ディスク150と、裏蓋160と、操作部であるレバー軸90とを組み合わせることにより構成されている。弁ユニット80は、これらが組み合わされた状態で、本体ケース30のユニット収容部35に収容され、保持されている。また、この弁ユニット80は、複数の流路から流入する流体を混合して流出させることができると共に、操作部であるレバー軸90を傾倒させることにより混合の割合と流出量とを調節可能に構成されている。
【0025】
図9は、図7に示すレバー軸の側面図である。図10は、図9に示すレバー軸の斜視図である。レバー軸90は、丸棒状の部材の長さ方向における一部に、丸棒の径よりも大きな径の球体状の形状で形成された球状部91を有して設けられている。この球状部91は、丸棒の両端のうち、一方の端部寄りの位置に配設されており、球体の中心が、丸棒の軸線上に位置するように配設されている。
【0026】
また、この球状部91には、円柱形状のピン92が差し込まれている。このピン92は、レバー軸90の中心線に対して直交する向きよりも、レバー軸90の両端のうち球状部91に近い側の端部寄り側に傾斜する向きで、球状部91の中心に向かって差し込まれている。このように差し込まれたピン92は、一部が球状部91から露出し、球状部91の表面から突出した状態で配設されている。このピン92は、球状部91に差し込まれて抜けないように固定してもよく、または球状部91に形成されるピン92用の穴に挿入するだけでもよい。
【0027】
また、レバー軸90の両端部のうち、球状部91に近い側の端部は、径がレバー軸90の径と同程度の球体状の形状で形成される球状端部95になっている。詳しくは、球状端部95は、球体におけるレバー軸90の端部側が平面になり、球体において平面になっている部分の反対側の部分は、レバー軸90の径が小さくなることにより、球体の範囲が大きくなる形状で形成されている。
【0028】
また、レバー軸90の両端部のうち、球状端部95側の反対側の端部側には、所定の範囲で形成されたネジ部であるレバー軸ネジ部98が形成されている。
【0029】
図11は、図7に示すユニットケースの正面図である。図12は、図11のB−B断面図である。図13は、図11に示すユニットケースの斜視図である。ユニットケース100は、略円筒形の形状で形成されるケース本体部101の一端側に、軸受120を保持する軸受保持部110が一体に設けられることにより構成されている。このうち、ケース本体部101における軸受保持部110が位置する側の端部の反対側の端部には、裏蓋160が係合するケース側係合部102が設けられている。このケース側係合部102は、ケース本体部101の形状である円筒の中心軸を中心とする点対称となる2箇所の位置に、軸受保持部110が位置する側の反対方向に、矩形の板状の形状で突出して形成されている。また、2箇所のケース側係合部102には、共に裏蓋160と係合する孔である係合孔103が、板厚方向に貫通して開けられている。
【0030】
また、ケース本体部101の側面には、弁ユニット80を組み立てた際にユニットケース100に収容されるディスクキャップ130の回転を規制する孔である回転規制孔104が形成されている。この回転規制孔104は、ケース本体部101の形状である円筒の側面に形成され、略矩形状の形状でケース本体部101の内側と外側とを連通する孔になっている。また、この回転規制孔104には、矩形の4つの辺のうち、1つの辺に、対向する辺の方向に突出した規制孔凸部105が形成されている。具体的には、規制孔凸部105は、回転規制孔104における4つの辺のうち、上方に位置する辺に形成されており、上方から下方に向けて突出している。
【0031】
また、軸受保持部110は、ケース本体部101の中心軸を中心とし、それぞれ内径の大きさが異なる第1内壁部111と第2内壁部112とを有しており、第1内壁部111と第2内壁部112とは、共にケース本体部101の内径よりも小さく形成されている。この第1内壁部111と第2内壁部112とは、第1内壁部111の方が第2内壁部112よりもケース本体部101寄りに位置しており、また、第1内壁部111は、第2内壁部112よりも内径が大きくなっている。即ち、ケース本体部101の内壁から、第1内壁部111を経て第2内壁部112に向うに従って、内径が小さくなっている。
【0032】
また、軸受保持部110におけるケース本体部101が位置する側の端部の反対側の端部には、弁ユニット80を組み立てた際にレバー軸90が貫通する共に、レバー軸90の球状部91を支持するケース側レバー軸支持部115が形成されている。このケース側レバー軸支持部115は、軸受保持部110の端部において、ユニットケース100の内部と外部を連通する孔として形成されている。さらに、ケース側レバー軸支持部115における第2内壁部112寄りの部分は、レバー軸90の球状部91の表面の径と同程度の径になる球面状の内壁で形成されることにより、球状部91を支持することが可能に設けられている。詳しくは、ケース側レバー軸支持部115における第2内壁部112寄りの部分は、球体における上半側の半球の球面状に形成されており、ケース本体部101側に向けて開口している。
【0033】
図14は、図7に示す軸受の断面図である。図15は、図7に示す軸受の上面図である。図16は、図7に示す軸受の底面図である。図17は、図14に示す軸受の斜視図である。軸受120は、略円筒形状で形成されると共に、円筒の外周面は、ユニットケース100の第1内壁部111の内径と同程度の外径を有する第1外周面121と、第2内壁部112の内径と同程度の外径を有する第2外周面122と、を有している。この第1外周面121と第2外周面122とは、ユニットケース100の第1内壁部111と第2内壁部112と同様に、中心軸が同一直線上に位置すると共に、第2外周面122は、第1外周面121の軸方向における一端側に位置している。また、第1外周面121における第2外周面122が位置する側の端部の反対側の端部には、第1外周面121の径方向における外方に突出した鍔部123が、円周上における所定の大部分の範囲に設けられている。
【0034】
また、軸受120の内壁は、半球の球面状に形成され、レバー軸90の球状部91を支持することが可能な軸受側レバー軸支持部124を有している。この軸受側レバー軸支持部124は、第2外周面122が位置する側の端部側に、球体における下半側の半球の球面状に形成され、この端部に開口している。この軸受側レバー軸支持部124の形状である球体は、中心が、円筒形の外面である第2外周面122の中心軸上に位置している。
【0035】
また、軸受120には、軸受側レバー軸支持部124から、鍔部123が位置する側の端部側にかけて、レバー軸90の動作範囲を制限する孔である動作範囲制限孔126が形成されている。この動作範囲制限孔126は、鍔部123が位置する側の端部では、扇状の形状で開口しており、扇状における円弧状の部分である円弧部128に対向する部分である基部127は、レバー軸90の半径よりも若干大きい半径の円弧状に形成されている。
【0036】
また、基部127は、円弧の中心が、円筒形の外面である第1外周面121や第2外周面122の中心軸上に位置している。動作範囲制限孔126は、この基部127の位置を基準として、鍔部123が位置する側の端部側に扇状の形状で開口している。さらに、動作範囲制限孔126は、扇状の開口部分と、軸受側レバー軸支持部124の形状である半球の中心とを結ぶように、軸受側レバー軸支持部124から鍔部123が位置する側の端部にかけて連通する形状で開口している。
【0037】
また、この軸受側レバー軸支持部124には、球体の周方向に沿って形成された溝部であるレバー軸支持部溝部125が形成されている。このレバー軸支持部溝部125は、レバー軸90に設けられるピン92の直径よりも若干広い程度の溝幅で、軸受120における第2外周面122が位置する側の端部側から、動作範囲制限孔126が連通している部分にかけて形成されている。また、レバー軸支持部溝部125は、第1外周面121や第2外周面122の円周方向において、動作範囲制限孔126の開口部における基部127が形成される位置に形成されている。
【0038】
図18は、図7に示すディスクキャップの断面図である。図19は、図7に示すディスクキャップの上面図である。図20は、図7に示すディスクキャップの底面図である。図21は、図18に示すディスクキャップの斜視図である。ディスクキャップ130は、変形した楕円状の板状の形状で形成されたキャップ本体部131における一方の面に、キャップ本体部131の板厚方向に突出したキャップ側係合部135が形成されている。詳しくは、キャップ本体部131の板厚方向における一方の面をキャップ上面132、反対側の面をキャップ下面133とした場合に、キャップ側係合部135は、キャップ下面133におけるキャップ本体部131の外周面付近、即ち、キャップ外周面134付近に配設されている。また、キャップ側係合部135は、キャップ下面133に3つが形成されており、3つのキャップ側係合部135は、全てキャップ上面132が位置する側の反対方向に突出している。
【0039】
また、キャップ本体部131には、当該キャップ本体部131の厚さ方向に貫通する軸端挿入部136が形成されている。この軸端挿入部136は、対向する辺同士の距離が、レバー軸90の球状端部95の直径よりも若干大きい正八角形の穴になっており、正八角形に開口した形状で、キャップ上面132からキャップ下面133に掛けて貫通している。なお、軸端挿入部136は、正八角形以外の形状でもよい。軸端挿入部136は、レバー軸90の球状端部95が入り込むことができると共に、球状端部95が入り込んだ際における球状端部95との間の隙間が、極力小さくなる形状であれば、その形状は問わない。
【0040】
また、キャップ外周面134には、ユニットケース100の回転規制孔104と係合する回転規制部137が形成されている。この回転規制部137は、キャップ外周面134から突出しており、3つのキャップ側係合部135のうちの1つのキャップ側係合部135の近傍に配設されている。また、回転規制部137は、突出している方向に見た場合における形状が、ユニットケース100の回転規制孔104の形状に近似した形状になっている。
【0041】
詳しくは、回転規制部137は、突出している方向に見た場合における形状が、回転規制孔104の形状である矩形よりも若干小さい形状で形成されており、さらに、回転規制部137におけるキャップ上面132側の面には、キャップ本体部131の厚さ方向に凹んだ規制部凹部138が形成されている。この規制部凹部138は、溝深さがキャップ本体部131の厚さ方向になる溝状の形状で形成されており、溝深さが、規制孔凸部105の高さよりも若干高く、溝幅が、規制孔凸部105の幅よりも若干広くなって形成されている。また、規制部凹部138の長さは、回転規制部137の端部から、当該回転規制部137がキャップ外周面134から突出している高さよりも長い長さで形成されている。即ち、回転規制部137は、規制孔凸部105が規制部凹部138に入り込んだ状態で、ユニットケース100の回転規制孔104に入り込むことができる形状で形成されている。
【0042】
図22は、図7に示す可動ディスクの断面図である。図23は、図7に示す可動ディスクの底面図である。図24は、図22に示す可動ディスクの斜視図である。可動ディスク140は、厚さ方向に見た場合における形状がディスクキャップ130のキャップ本体部131の形状に近似した板状の形状で形成されている。このように形成される可動ディスク140には、厚さ方向における一方の面である可動ディスク上面141に、当該可動ディスク上面141から凹んで形成されたディスク側係合部145が設けられている。このディスク側係合部145は、ディスク側係合部145とディスクキャップ130とを厚さ方向に重ねた場合に、キャップ側係合部135が位置する部分に形成されている。
【0043】
つまり、ディスク側係合部145は、キャップ側係合部135と同様に3箇所に形成され、3箇所のディスク側係合部145は、相対的な位置関係が、3つのキャップ側係合部135の相対的な位置関係と同様な関係になって配設されている。このため、ディスク側係合部145は、可動ディスク上面141から、可動ディスク140の厚さ方向における可動ディスク上面141の反対側の面である可動ディスク下面142の方向に向かって凹んで形成されている。さらに、ディスク側係合部145は、キャップ側係合部135がキャップ外周面134付近に配設されているのと同様に、可動ディスク140の外周面である可動ディスク外周面143にかかって形成されている。このため、ディスク側係合部145は、可動ディスク外周面143からも凹んでいる。
【0044】
また、可動ディスク下面142には、流入孔41や流出孔42を流れる水や湯の流れ方を切り換える切換穴147が形成されている。この切換穴147は、二等辺三角形に近い形状で可動ディスク下面142に開口しており、深さ方向が可動ディスク140の厚さ方向になる向きで可動ディスク上面141までは貫通せず、可動ディスク下面142から可動ディスク上面141の方向に向かって形成されている。また、切換穴147の内壁148には、多数の凹凸が形成されている。
【0045】
図25は、図7に示す固定ディスクの断面図である。図26は、図7に示す固定ディスクの上面図である。図27は、図7に示す固定ディスクの底面図である。図28は、図25に示す固定ディスクの斜視図である。固定ディスク150は、略円板形状で形成されており、板厚方向における一方の面である固定ディスク上面151から、他方の面である固定ディスク下面152にかけて、3つの孔が貫通している。この3つの孔のうち2つは、弁ユニット80の外部から流入する水や湯を可動ディスク140側に流すディスク側流入孔155として形成されており、残りの1つの孔は、可動ディスク140側からの水や湯を弁ユニット80の外部に流すディスク側流出孔158として形成されている。
【0046】
このうち、ディスク側流出孔158は、二等辺三角形に近い形状で形成されており、詳しくは、二等辺三角形の底辺に該当する部分が、頂角が位置する側の反対方向に凸となる円弧状の形状で形成されている。このように形成されるディスク側流出孔158は、頂角が、固定ディスク150の形状である円の中心付近に位置する向きで形成されている。このため、ディスク側流出孔158における円弧状の部分は、固定ディスク150の外周面である固定ディスク外周面153側に位置している。
【0047】
また、2つのディスク側流入孔155は、ディスク側流出孔158の二等辺のそれぞれの辺側に1つずつが設けられている。このディスク側流入孔155の形状は、ディスク側流出孔158側の部分は概ねディスク側流出孔158の形状に沿った形状になっている。また、ディスク側流入孔155においてディスク側流出孔158が位置する側の反対側の部分の形状は、固定ディスク外周面153の方向に凸となる円弧状の形状で形成されている。また、これらのディスク側流入孔155とディスク側流出孔158とは、ディスク側流出孔158を二等辺三角形とした場合における垂線を中心とする線対称になって形成されている。
【0048】
また、固定ディスク外周面153には、当該固定ディスク外周面153から凹んだ保持部係合部154が形成されている。この保持部係合部154は、固定ディスク外周面153の3箇所に形成されており、ディスク側流入孔155及びディスク側流出孔158と同様に、ディスク側流出孔158の垂線を中心とする線対称になっている。具体的には、3箇所の保持部係合部154のうちの1箇所は、垂線の延長線上に位置しており、他の2箇所の保持部係合部154は、垂線の両側に形成されている。
【0049】
図29は、図7に示す裏蓋の断面図である。図30は、図7に示す裏蓋の上面図である。図31は、図7に示す裏蓋の底面図である。図32は、図29に示す裏蓋の斜視図である。裏蓋160は、外径が、ユニットケース100のケース本体部101のよりも若干小さい略円板形状で形成されており、固定ディスク150と同様に、板厚方向における一方の面である裏蓋上面161から、他方の面である裏蓋下面162にかけて、3つの孔が貫通している。また、3つの孔のうち2つは、弁ユニット80の外部から流入する水や湯を固定ディスク150側に流す裏蓋側流入孔167として形成されており、残りの1つの孔は、固定ディスク150側からの水や湯を弁ユニット80の外部に流す裏蓋側流出孔168として形成されている。
【0050】
これらの3つの孔は、裏蓋160の裏蓋上面161に固定ディスク150の固定ディスク下面152が対向する向きで、裏蓋160と固定ディスク150とを重ねた場合に、3つの孔が連通するように形成されている。つまり、裏蓋側流入孔167と裏蓋側流出孔168とは、裏蓋160と固定ディスク150とを重ねた場合に、裏蓋側流出孔168とディスク側流出孔158、及び2つの裏蓋側流入孔167と2つのディスク側流入孔155が、連通するように形成されている。
【0051】
また、裏蓋上面161には、裏蓋下面162が位置する側の反対方向に突出した固定ディスク保持部164が設けられている。この固定ディスク保持部164は、裏蓋160の外周面である裏蓋外周面163の近傍に配設されており、裏蓋側流入孔167や裏蓋側流出孔168との相対関係が、固定ディスク150の保持部係合部154と、ディスク側流入孔155及びディスク側流出孔158との関係と同様の関係になっている。
【0052】
つまり、固定ディスク保持部164は、裏蓋側流入孔167とディスク側流入孔155、及び裏蓋側流出孔168とディスク側流出孔158が連通するように裏蓋160と固定ディスク150とを重ねた場合に、固定ディスク150の保持部係合部154が位置する部分に配設されている。また、この固定ディスク保持部164は、固定ディスク150の保持部係合部154に入り込む、或いは、保持部係合部154に係合する形状で形成されている。
【0053】
また、裏蓋160には、裏蓋外周面163に、ユニットケース100のケース側係合部102に対して係合する裏蓋側係合部165が形成されている。この裏蓋側係合部165は、ケース側係合部102と同様に、円板状に形成される裏蓋160の中心を中心とする点対称となる2箇所の配設されている。この裏蓋側係合部165は、裏蓋160の中心が位置する側の反対方向に突出した部分が形成されていると共に、裏蓋160の径方向の弾力性を有している。
【0054】
弁ユニット80は、これらの各部材が組み合わされることにより設けられている。この弁ユニット80を構成する各部材の組み立て状態について説明すると、レバー軸90は、ユニットケース100に設けられる軸受保持部110と、軸受120とにより支持される。詳しくは、レバー軸90は、レバー軸ネジ部98側がユニットケース100の内側から、軸受保持部110に形成されるケース側レバー軸支持部115を貫通することにより、球状部91側が、ケース側レバー軸支持部115において球面状に形成されている部分に対向する状態になる。
【0055】
軸受120は、軸受側レバー軸支持部124側がユニットケース100の軸受保持部110側に位置し、動作範囲制限孔126側がユニットケース100のケース側係合部102側に位置する向きで、軸受保持部110内に挿入される。さらに、軸受120は、動作範囲制限孔126における基部127の部分が、ケース本体部101に形成される回転規制孔104寄りに位置し、動作範囲制限孔126における円弧部128の部分が、回転規制孔104の反対側に位置する向きで挿入される。
【0056】
このように軸受120が挿入される際には、レバー軸90の球状端部95側が、軸受120の軸受側レバー軸支持部124に挿入され、軸受側レバー軸支持部124は、レバー軸90の球状部91に対向する状態になる。この状態で、軸受120を軸受保持部110内に挿入すると、軸受120の第1外周面121は軸受保持部110の第1内壁部111に嵌合し、第2外周面122は第2内壁部112に嵌合する。
【0057】
また、軸受120を軸受保持部110内に挿入した場合には、軸受120は、鍔部123が、軸受保持部110におけるケース本体部101側の部分に当接することにより、挿入方向の移動が規制される。この場合、軸受120は、当該軸受120の軸受側レバー軸支持部124と、軸受保持部110のケース側レバー軸支持部115とで、レバー軸90の球状部91を挟み込む状態になる。その際に、球状部91に差し込まれているピン92は、軸受側レバー軸支持部124に形成されているレバー軸支持部溝部125に入り込む。これにより、軸受側レバー軸支持部124は、球状部91に接触することが可能になるため、軸受120は、当該軸受120と軸受保持部110とによって、球状部91を支持する。
【0058】
また、このように球状部91を支持する際には、球状部91には、周囲にOリング200が装着され、このOリング200は、軸受120と軸受保持部110とで挟まれた状態になる。このため、軸受側レバー軸支持部124は、軸受保持部110のケース側レバー軸支持部115側の部分に対して、Oリング200によって密閉された状態で、球状部91を支持する。
【0059】
また、レバー軸90が有する球状端部95は、球状部91を軸受120の軸受側レバー軸支持部124で支持する状態では、軸受120において軸受側レバー軸支持部124が位置する側の反対側に形成される動作範囲制限孔126を通り抜け、軸受120から突出する。このように、球状端部95が突出している部分には、ディスクキャップ130が配設される。即ち、ディスクキャップ130は、ユニットケース100のケース本体部101内に、キャップ上面132側が軸受120に対向する向きで配設される。軸受120から突出しているレバー軸90の球状端部95は、ディスクキャップ130の軸端挿入部136に挿入される。
【0060】
また、ディスクキャップ130に形成される回転規制部137は、ユニットケース100に形成される回転規制孔104に挿入される。その際に、回転規制孔104に形成される規制孔凸部105は、回転規制部137に形成される規制部凹部138に入り込む。これにより、ディスクキャップ130は、キャップ外周面134からの回転規制部137の突出方向には移動可能になりつつ、ケース本体部101の周方向への回転は、回転規制部137と回転規制孔104とにより規制される。
【0061】
また、ディスクキャップ130におけるキャップ下面133側には、可動ディスク上面141がディスクキャップ130に対向する向きで可動ディスク140が配設される。その際に、可動ディスク140の3箇所のディスク側係合部145には、ディスクキャップ130に形成される3つのキャップ側係合部135が入り込み、キャップ側係合部135は、ディスク側係合部145と係合する。これにより、可動ディスク140は、ディスクキャップ130と共に、回転規制部137の突出方向には移動可能になりつつ、ケース本体部101の周方向への回転が規制された状態で配設される。また、この場合、可動ディスク140は、切換穴147の形状である二等辺三角形の底辺が、回転規制部137寄りに位置する向きで、キャップ側係合部135とディスク側係合部145とが係合する。
【0062】
さらに、可動ディスク140における可動ディスク下面142側には、固定ディスク上面151が可動ディスク140に対向する向きで固定ディスク150が配設され、固定ディスク150は、ユニットケース100に取り付けられる裏蓋160によって保持される。
【0063】
詳しくは、裏蓋160は、裏蓋上面161が固定ディスク150に対向する向きでユニットケース100における軸受保持部110が位置する側の反対側の端部付近に配設される。裏蓋160は、ユニットケース100の端部付近で、ケース本体部101の内側に挿入され、裏蓋側係合部165が、ユニットケース100のケース側係合部102に形成される係合孔103に、ケース本体部101の内側から入り込む。これにより、裏蓋側係合部165は、ケース側係合部102の係合孔103に係合し、裏蓋160は、ユニットケース100に取り付けられる。
【0064】
固定ディスク150は、ユニットケース100に取り付けられる裏蓋160の裏蓋上面161側に配設され、裏蓋160の固定ディスク保持部164と、固定ディスク150の保持部係合部154とが係合することにより、固定ディスク150は裏蓋160に保持される。即ち、固定ディスク保持部164は、保持部係合部154に入り込み、保持部係合部154に係合することができる形状、及び位置で配設されているため、固定ディスク保持部164が保持部係合部154に係合することにより、固定ディスク150は裏蓋160に保持される。この場合、固定ディスク150は、ディスク側流出孔158が、ケース本体部101の回転規制孔104寄りに位置する向きで保持される。
【0065】
これらのように、各部材が組み合わされることにより構成される弁ユニット80は、さらに、本体ケース30内に収容されることにより、水栓本体20の一部を構成している。弁ユニット80は、ユニットケース100の軸受保持部110側が、本体ケース30の本体取付部50側に位置し、裏蓋160が、流入孔41や流出孔42が形成されている側に位置する向きで、本体ケース30のユニット収容部35に収容される。ユニット収容部35に収容された弁ユニット80は、固定ナット70によって本体ケース30に固定される。
【0066】
図33は、図2に示す固定ナットの断面図である。図34は、図2に示す固定ナットの上面図である。図35は、図33に示す固定ナットの斜視図である。固定ナット70は、円筒形に近い形状で形成されており、円筒形の軸方向における一端側の外周面71に雄ネジ部である固定ナットネジ部73が形成されており、他端側に、固定ナット70の着脱に用いる工具(図示省略)を掛ける工具掛け部74が設けられている。即ち、工具掛け部74は、固定ナットネジ部73の軸方向における固定ナット70の一端側に設けられている。
【0067】
固定ナット70は、円筒形に近い形状で形成されているため、工具掛け部74も、固定ナット70の中心軸側に空間を有して形成されている。また、工具掛け部74は、一般的な六角ナットと同様に、固定ナット70を軸方向に見た場合における外周面71の形状が略正六角形になって形成されており、この略正六角形を構成する各平面が、工具を掛ける面である工具掛け面75になっている。さらに、工具掛け部74には、各工具掛け面75側と固定ナット70の中心軸側とを連通する連通部、即ち、工具掛け部74の内周側と外周側とを連通する連通部である水抜き通路76が形成されている。
【0068】
この水抜き通路76は、6方向に面する各工具掛け面75の、固定ナット70の中心軸を中心とする周方向における幅方向の中央付近に形成されており、固定ナット70の中心軸側と工具掛け部74の外周側とを連通する切欠きとして形成されている。このため、水抜き通路76は、工具掛け部74の6箇所に形成されている。また、6方向に面する各工具掛け面75は、6箇所の水抜き通路76によってそれぞれ分断されている。
【0069】
また、固定ナット70の軸方向、或いは固定ナットネジ部73の軸方向における固定ナットネジ部73と工具掛け部74との間の外周面71には、固定ナットネジ部73が螺合する部材との間のシールを行う外周側シール部である外側Oリング溝78が形成されている。この外側Oリング溝78は、固定ナット70の周方向に形成された溝によって形成されている。
【0070】
また、固定ナット70の軸方向における外側Oリング溝78が形成される部分付近の内周面72には、内周面72に対向する部材との間のシールを行う内周側シール部である内側Oリング溝79が形成されている。即ち、固定ナット70は、円筒形に近い形状で形成されているため、内周面72は固定ナットネジ部73の軸方向に連通しており、内側Oリング溝79は、この内周面72における固定ナット70の周方向に形成された溝によって形成されている。このように、工具掛け部74と固定ナットネジ部73との間には、固定ナット70の外周側には外側Oリング溝78が形成され、内周側には内側Oリング溝79が形成されている。
【0071】
また、固定ナット70の内周面72は、内側Oリング溝79が形成されている部分付近よりも、外側に固定ナットネジ部73が形成されている部分付近の方が、径が大きくなっている。具体的には、固定ナット70の内周面72における内側Oリング溝79が形成されている部分付近は、内径の大きさが弁ユニット80のユニットケース100における軸受保持部110の外径と同程度の大きさになっている。これに対し、固定ナット70の内周面72において、外側に固定ナットネジ部73が形成されている部分付近は、内径の大きさがユニットケース100のケース本体部101の外径と同程度の大きさになっている。これらのため、固定ナット70の内周面72は、内側Oリング溝79が形成されている部分付近と、外側に固定ナットネジ部73が形成されている部分付近とで段差を有している。
【0072】
内周面72のこの段差は、固定ナット70の軸方向において工具掛け部74が位置する側の反対方向、即ち、固定ナットネジ部73が位置する側の端部方向に面する当接部77によって接続されている。つまり、固定ナット70の内周面72において内側Oリング溝79が形成されている部分付近は、外側に固定ナットネジ部73が形成されている部分付近よりも中心軸方向に突出しており、当接部77は、双方の内壁における他方の内壁寄りの部分を接続している。
【0073】
弁ユニット80は、この固定ナット70によって、本体ケース30に固定される。即ち、固定ナット70は、ユニット収容部35に弁ユニット80が収容された状態の本体ケース30に対して、固定ナットネジ部73側がユニット収容部35の底部側に位置する向きにして、固定ナットネジ部73をケース側ネジ部37に螺合させる。このように、固定ナットネジ部73をケース側ネジ部37に螺合させた状態では、固定ナット70の当接部77は、ユニット収容部35に収容された弁ユニット80の、ユニットケース100のケース本体部101における軸受保持部110側の端部に当接する。固定ナット70は、このように固定ナットネジ部73をケース側ネジ部37に螺合させることにより弁ユニット80に当接し、ユニット収容部35の開口部方向への弁ユニット80の移動を規制することによって、ユニット収容部35内への弁ユニット80の収容状態を保持する。
【0074】
また、ユニット収容部35内への弁ユニット80の収容時は、固定ナット70の外側Oリング溝78に外側Oリング溝78に適したサイズのOリング201を嵌め込み、内側Oリング溝79に内側Oリング溝79に適したサイズのOリング202を嵌め込んだ状態で収容する。これにより、外側Oリング溝78に嵌め込まれているOリング201は、ユニット収容部35の収容部内壁36に接触し、内側Oリング溝79に嵌め込まれているOリング202は、ユニットケース100の軸受保持部110の外周面に接触した状態になる。
【0075】
また、弁ユニット80はレバー軸90を有しており、レバー軸90は、弁ユニット80をユニット収容部35に収容した場合でも本体ケース30から突出しているが、このレバー軸90には、水栓装置5の使用者が操作をするレバー170が接続される。
【0076】
図36は、図2に示すレバーの断面図である。図37は、図36に示すレバーの斜視図である。レバー170は、丸棒状の形状で形成された軸部171と、この軸部171の一方の端部に形成される傘部173と、を有している。この傘部173は、放物面状、または、球面の一部の形状で形成されており、軸部171から離れるに従って広がる形状で形成されている。換言すると、傘部173は、軸部171から離れるに従って、軸部171の中心軸を中心とする径が大きくなる形状で形成されている。この傘部173の端部の径の大きさは、少なくともユニットケース100の軸受保持部110における、ケース本体部101が位置する側の端部の反対側の端部の径よりも大きくなっている。また、傘部173は、水栓装置5の通常の使用時は、軸受保持部110に形成されるケース側レバー軸支持部115の上方を覆うことができる大きさになっている。
【0077】
また、軸部171における傘部173が接続されている側の端部には、雌ネジによって形成されたレバーネジ部172が設けられている。レバー170は、このレバーネジ部172を、レバー軸90に形成されるレバー軸ネジ部98と螺合させることにより、レバー軸90に接続される。
【0078】
また、本体ケース30に形成されるカバー取付部51には、台座カバー60が着脱可能に取り付けられる。図38は、図2に示す台座カバーの断面図である。図39は、図2に示す台座カバーの底面図である。図40は、図38に示す台座カバーの斜視図である。台座カバー60は、円板状の形状で形成される平面部61の外周部分に、円板の一方の面に突出した壁面である外周部63が設けられることにより構成されている。この外周部63は、内径が、本体ケース30に設けられるカバー取付部51の外径よりも若干大きくなっており、内周面には、極浅い溝深さで外周部63の全周にかけて形成された溝部であるOリング係合部65が形成されている。
【0079】
また、平面部61には、円板の中心付近に、レバー170の軸部171の軸径よりも大きく、傘部173の外径よりも小さい直径の孔であるレバー孔62が形成されている。このレバー孔62は、平面部61の厚さ方向に貫通した孔となっている。
【0080】
さらに、平面部61には、外周部63が突出している側の面に、平面部61から突出した突出部67が形成されている。この突出部67は、内径が固定ナット70の工具掛け部74において、工具掛け部74の中心軸と、この中心軸からの距離が最も遠い部分との距離よりも半径が大きく、本体ケース30に設けられるカバー取付部51の内径よりも外径が若干大きい円筒形の形状で形成されている。
【0081】
このように、円筒形の形状で形成される突出部67は、中心軸が平面部61の形状である円板の中心軸と一致するように平面部61に設けられており、平面部61からの高さが、本体ケース30に設けられるカバー取付部51の高さよりも低くなって形成されている。また、この突出部67は、外周面の一部が平面状に形成されており、この部分はカバー側平面部68となっている。この台座カバー60をカバー取付部51に取り付ける際には、Oリング203をカバー取付部51のOリング溝57に装着した状態で取り付ける。
【0082】
これらのように構成される水栓本体20は、カウンタ1に設置されるが、カウンタ1における水栓本体20を設置する部分には、カウンタ1の天板を上下方向に貫通する設置孔2が形成されており、水栓本体20は、この設置孔2を用いてカウンタ1に取り付けられる。詳しくは、設置孔2は、内径が本体ケース30の本体部31の外径よりも若干大きい径になっており、水栓本体20は、本体ケース30の本体取付部50がカウンタ1の上面に位置する向きで本体ケース30の本体部31を設置孔2に入り込ませる。
【0083】
この状態では、本体部31の取付ネジ部32はカウンタ1の下面側に位置するため、カウンタ1の下面側で取付ナット190とカウンタ1との間にパッキン195を介在させた状態で、取付ナット190を取付ネジ部32に螺合させることにより、カウンタ1の天板を本体取付部50と取付ナット190とで挟み込む。これにより、水栓本体20はカウンタ1に設置される。
【0084】
また、カウンタ1は、水栓装置5を使用する際の通常の使用形態における手前側が、奥の方よりも若干低くなる方向に緩やかに傾斜している。水栓本体20をカウンタ1に設置する際には、このカウンタ1の傾斜によって相対的な高さが低くなる側にカバー取付部51の排水部55が位置する向きで設置する。即ち、水栓本体20は、排水部55が手前側に位置する向きでカウンタ1に設置する。
【0085】
流入管181や流出管182は、このようにカウンタ1に設置される水栓本体20に接続されている。このうち、流入管181は2本が接続されており、一方の流入管181は、他端側が給水管(図示省略)に接続され、他方の流入管181は、他端側が温水装置(図示省略)に接続されている。これらの2本の流入管181は、本体ケース30に形成される2つの流入孔41に接続されている。また、流出管182は、本体ケース30に形成される流出孔42に接続されている。これらの流入管181から流入する水や湯は、弁ユニット80にも流入可能になっており、弁ユニット80は、複数の流路から流入する水や湯等の流体を混合して流出管182の方向に流出させることが可能になっている。
【0086】
この実施形態に係る固定ナット70及び固定ナット70が用いられる水栓装置5は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。本実施形態に係る固定ナット70は、弁ユニット80を本体ケース30に固定する際に用いるが、固定ナット70で弁ユニット80を固定する際には、まず、固定ナット70は、固定ナットネジ部73が形成される端部側を本体ケース30のユニット収容部35に入り込ませる。つまり、固定ナット70は、ユニット収容部35に弁ユニット80を収容した状態におけるユニット収容部35の開口部側から、固定ナットネジ部73が形成される端部を、ユニット収容部35と弁ユニット80との間に入り込ませる。このように固定ナット70を入り込ませることにより、ユニット収容部35におけるケース側ネジ部37が形成されている部分に、固定ナット70の固定ナットネジ部73が到達したら、固定ナットネジ部73をケース側ネジ部37に螺合させる。
【0087】
その際に、固定ナット70の工具掛け部74は、ユニット収容部35の外に出た状態になるため、固定ナットネジ部73をケース側ネジ部37に螺合させる場合には、固定ナット70は、工具掛け部74に工具を掛けて工具を用いることによって回転させる。これにより、固定ナット70の固定ナットネジ部73を、ケース側ネジ部37にネジ込む。
【0088】
このように、固定ナットネジ部73をケース側ネジ部37にネジ込むと、固定ナット70は、徐々にユニット収容部35に深く入り込んでいき、固定ナット70の当接部77が、ユニットケース100のケース本体部101における軸受保持部110側の端部に当接する。これにより、弁ユニット80は、ユニット収容部35の開口部の方向への移動が規制され、ユニット収容部35に収容された状態で固定される。
【0089】
また、弁ユニット80を収容した本体ケース30には、カバー取付部51に台座カバー60が取り付けられるが、台座カバー60を本体取付部50に取り付ける場合は、台座カバー60における外周部63が突出している側の面がカバー取付部51に対向する向きで取り付ける。その際に、レバー170、またはレバー軸90は、平面部61に形成されるレバー孔62に通し、カバー取付部51のOリング溝57にOリング203を装着した状態で取り付ける。
【0090】
台座カバー60の外周部63は、内径がカバー取付部51の外径よりも大きくなっているため、台座カバー60をカバー取付部51に取り付ける場合は、外周部63がカバー取付部51を覆うように重ね合わせる。この場合、Oリング溝57に装着されたOリング203は、外周部63がカバー取付部51に重ね合わせられる初期段階では、外周部63によって押し縮められる。この状態で、台座カバー60を、本体取付部50に近付く方向に移動させることにより、外周部63に形成されるOリング係合部65がOリング203の位置まで移動した場合には、Oリング203は、Oリング係合部65に入り込む。これにより、台座カバー60は、中心軸に沿った方向への移動がOリング203によって規制される。
【0091】
また、このように、台座カバー60をカバー取付部51に取り付ける場合には、台座カバー60の突出部67に形成されるカバー側平面部68が、カバー取付部51の取付部側平面部52に重なる向きにし、双方が重なる状態で取り付ける。また、このように、台座カバー60をカバー取付部51に取り付けた場合には、台座カバー60の突出部67は、本体取付部50に接近した状態になる。このため、台座カバー60と、本体取付部50及びカバー取付部51とで形成される空間は、突出部67が占める割合が多くなるため、空間の容積は小さくなる。
【0092】
次に、水栓装置5による吐水の調整について説明すると、2本の流入管181には、給水管や温水装置から常時水圧が作用しており、水栓装置5は、流入管181側から流出管182側に流れる水や湯の流量を水栓本体20で調節することにより、吐水口15からの吐水量や温度を調節する。このように、水栓本体20で吐水量を調節する場合には、レバー170の傾倒角度や傾倒方向を変化させることにより調節する。
【0093】
ここで、レバー170の動作について説明すると、レバー170は、弁ユニット80のレバー軸90に接続されており、レバー軸90は、球状部91がユニットケース100のケース側レバー軸支持部115と軸受120の軸受側レバー軸支持部124より支持されている。さらに、球状部91に設けられるピン92は、レバー軸支持部溝部125に入り込んでいる。
【0094】
このため、レバー170及びレバー軸90は、球状部91の中心部分を中心として、レバー軸支持部溝部125の形成方向と、ピン92の中心軸を中心とする回転方向との2方向に傾倒可能に支持されており、このため、あらゆる方向に傾倒可能に支持されている。一方、球状部91に設けられているピン92は、レバー軸支持部溝部125に入り込んでいるため、レバー軸90は、当該レバー軸90の中心軸を中心とする回転は規制されている。
【0095】
また、レバー軸90における球状端部95側の部分は、扇状の形状で開口している動作範囲制限孔126を通り抜けている。このため、あらゆる方向に傾倒可能なレバー軸90は、傾倒方向及び角度が、この動作範囲制限孔126によって制限される。即ち、レバー軸90は、球状端部95側の部分が、動作範囲制限孔126に当接する範囲内で、傾倒可能になっている。このため、レバー軸90は、中立状態、即ち、傾倒角度がケース本体部101等の中心軸に沿っている状態から、球状端部95側が、ケース本体部101の回転規制孔104が位置する部分から離れる方向の所定の範囲内で、傾倒可能になっている。
【0096】
また、ディスクキャップ130の回転規制部137は、レバー軸90が中立状態の場合に、ケース本体部101の回転規制孔104に入り込んでおり、回動や揺動が不可になっている。また、ディスク側係合部145が、ディスクキャップ130のキャップ側係合部135に係合している可動ディスク140は、ディスクキャップ130の移動と共に移動するが、レバー軸90が中立状態の場合には、可動ディスク140も、回転規制孔104寄りの位置で停止する。
【0097】
一方、流入管181から水栓本体20に流入する水や湯は、本体ケース30の流入孔41から、裏蓋160の裏蓋側流入孔167に流入し、固定ディスク150のディスク側流入孔155に流入している。また、固定ディスク150には、裏蓋160の裏蓋側流出孔168と本体ケース30の流出孔42とを介して流出管182に連通するディスク側流出孔158が形成されているが、ディスク側流入孔155とディスク側流出孔158とは、可動ディスク140の切換穴147を介して連通可能になっている。
【0098】
また、この可動ディスク140は、レバー軸90を傾倒させることによって移動するディスクキャップ130と共に移動するため、切換穴147を介するディスク側流入孔155とディスク側流出孔158との連通状態は、レバー軸90の傾倒状態によって切り換えられる。
【0099】
図41は、図7のP−P断面図であり、レバー軸が中立状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。レバー軸90が中立状態であることにより、可動ディスク140が回転規制孔104寄りに位置している場合、可動ディスク140の切換穴147は、固定ディスク150のディスク側流出孔158とのみ重なり、ディスク側流出孔158とのみ連通する状態になる。つまり、可動ディスク140が回転規制孔104寄りに位置することにより、切換穴147が回転規制孔104に位置している場合は、切換穴147は、同様に回転規制孔104寄りに位置するディスク側流出孔158とのみ連通する。このため、固定ディスク150に形成される2つのディスク側流入孔155のうち、一方は給水管に連通する冷水側流入孔156とし、他方は温水装置に連通する温水側流入孔157とした場合に、冷水側流入孔156と温水側流入孔157とは、共にディスク側流出孔158には連通しなくなる。
【0100】
つまり、冷水側流入孔156や温水側流入孔157は可動ディスク140によって塞がれ、冷水側流入孔156に流入する水や温水側流入孔157に流入する湯は、可動ディスク140によって遮断される。これにより、ディスク側流入孔155には水や湯は流れず、これらは流出管182にも流れないため、水栓装置5は、止水した状態になる。
【0101】
これらに対し、レバー軸90を、動作範囲制限孔126に当接する範囲内で傾倒させた場合、軸端挿入部136に球状端部95が挿入されているディスクキャップ130は、レバー軸90の傾倒に応じて移動する。図42は、図7のレバー軸を傾倒させた場合の説明図である。例えば、レバー軸90を、球状端部95側が回転規制孔104から離れる方向に傾倒させた場合には、ディスクキャップ130は、回転規制部137が回転規制孔104から抜け出る方向に移動する。この場合、可動ディスク140も、ディスクキャップ130と共に移動し、切換穴147を介するディスク側流入孔155とディスク側流出孔158との連通状態が、レバー軸90が中立状態の場合から変化する。
【0102】
図43は、図42のQ−Q断面図であり、レバー軸を傾倒させた状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。可動ディスク140が、回転規制孔104から離れる方向に移動した場合、可動ディスク140に形成される切換穴147も、レバー軸90が中立状態の場合と比較して、回転規制孔104から離れる方向に移動する。この場合でも、レバー軸90は、動作範囲制限孔126によって傾倒範囲が制限されているため、切換穴147は、ディスク側流出孔158と連通している状態が維持される。
【0103】
また、固定ディスク150において、回転規制孔104から離れた方向にはディスク側流入孔155が形成されているため、可動ディスク140が、回転規制孔104から離れる方向に移動した場合には、切換穴147は、冷水側流入孔156と温水側流入孔157との双方と重なる。これにより、切換穴147は、冷水側流入孔156や温水側流入孔157と連通する。
【0104】
また、切換穴147は、ディスク側流出孔158と連通している状態が維持されているため、切換穴147は、冷水側流入孔156と温水側流入孔157とディスク側流出孔158とに連通する。換言すると、ディスク側流出孔158は切換穴147を介して、冷水側流入孔156と温水側流入孔157との双方に連通する。
【0105】
これにより、冷水側流入孔156に流れる水と温水側流入孔157に流れる湯とは切換穴147を介して共にディスク側流出孔158に流れ、双方が混合された状態で流出管182に流れる。この水と湯との混合水は、ホース185を通って吐水ヘッド14に流入し、吐水ヘッド14の吐水口15から吐水される。
【0106】
図44は、レバー軸の操作範囲についての説明図である。レバー軸90は、動作範囲制限孔126に当接する範囲内で傾倒させることが可能になっているが、動作範囲制限孔126は、扇状の形状で開口しているため、レバー軸90を傾倒させることができる範囲である操作範囲OAも、扇状になっている。また、固定ディスク150の冷水側流入孔156と温水側流入孔157、及びディスク側流出孔158の連通状態は、レバー軸90を傾倒させることによって移動する可動ディスク140の切換穴147の位置によって変化する。
【0107】
詳しくは、レバー軸90は、回転規制部137がケース本体部101の回転規制孔104から抜け出る方向に傾倒させた場合でも、傾倒範囲が制限されているため、回転規制部137が回転規制孔104から完全に抜け出ることはないが、回転規制部137が抜け出る量が多い場合、ディスクキャップ130は、水平方向にも移動が可能になる。つまり、レバー軸90を傾倒させることにより、回転規制部137が回転規制孔104から抜け出る部分が多くなった場合には、ディスクキャップ130は、回転規制部137と回転規制孔104との当接部分を中心にして、水平方向に回動することが可能になる。
【0108】
このため、可動ディスク140も、ディスクキャップ130と共に水平方向に回動することができ、可動ディスク140の切換穴147が、固定ディスク150の冷水側流入孔156や温水側流入孔157に重なる範囲は、この可動ディスク140の水平方向の位置によって変化する。
【0109】
従って、冷水側流入孔156からディスク側流出孔158に流れる水の流量や、温水側流入孔157からディスク側流出孔158に流れる湯の流量は、可動ディスク140の位置によって変化し、即ち、操作範囲OA上のレバー軸90の位置によって変化する。例えば、操作範囲OAにおける、扇状の円弧の部分の一端側は、冷水側流入孔156からディスク側流出孔158への流量が最も多くなる低温位置LPになっており、円弧の他端側は、温水側流入孔157からディスク側流出孔158への流量が最も多くなる高温位置HPになっている。
【0110】
図45は、図42のQ−Q断面図であり、レバー軸が低温位置の状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。レバー軸90が低温位置LPの状態の場合は、可動ディスク140は、ケース本体部101の回転規制孔104から離れつつ、冷水側流入孔156寄りの位置に回動する。このため、可動ディスク140の切換穴147は、冷水側流入孔156とディスク側流出孔158とのみ連通し、温水側流入孔157は、可動ディスク140によって塞がれる。
【0111】
従って、温水側流入孔157に流入する湯は、可動ディスク140によって遮断される一方、ディスク側流出孔158には、冷水側流入孔156に流入する水が切換穴147を介して流れるため、吐水ヘッド14の吐水口15からは、給水管から水栓本体20に流入する水のみが吐水される。
【0112】
図46は、図42のQ−Q断面図であり、レバー軸が高温位置の状態における可動ディスクと固定ディスクとの関係を示す説明図である。レバー軸90が高温位置HPの状態の場合は、可動ディスク140は、回転規制孔104から離れつつ、温水側流入孔157寄りの位置に回動する。このため、可動ディスク140の切換穴147は、温水側流入孔157とディスク側流出孔158とのみ連通し、冷水側流入孔156は、可動ディスク140によって塞がれる。
【0113】
従って、冷水側流入孔156に流入する水は、可動ディスク140によって遮断される一方、ディスク側流出孔158には、温水側流入孔157に流入する湯が切換穴147を介して流れるため、吐水ヘッド14の吐水口15からは、温水装置から水栓本体20に流入する湯のみが吐水される。
【0114】
水栓装置5で吐水を行う場合には、これらのように、レバー軸90に接続されるレバー170を、操作範囲OA内で傾倒させて操作することにより、吐水量や吐水の温度を調節することができる。
【0115】
図47は、図2のR部詳細図である。水栓装置5では、レバー170を操作することにより吐水の調節を行うが、その際に、吐水口15から吐水された水や湯で洗浄等を行った後の濡れた手で操作をする機会が多くなる。このため、レバー170や台座カバー60の周辺には水が付着し易くなっており、この水は、台座カバー60のレバー孔62と、レバー170の傘部173との隙間であるレバー孔隙間210から、台座カバー60内に浸入し易くなっている。レバー孔隙間210から台座カバー60内に水が浸入した場合、この水の一部は、固定ナット70の工具掛け部74の内側に流れる。
【0116】
この固定ナット70の内側には、ケース本体部101の軸受保持部110が位置しており、固定ナット70と軸受保持部110との間は、固定ナット70の内周面72に形成された内側Oリング溝79に装着されるOリング202によってシール性が保持されている。このため、工具掛け部74の内側に流れた水は、Oリング202よりも下方には流れず、弁ユニット80側への水の流れは、このOリング202によって遮断される。
【0117】
また、固定ナット70の工具掛け部74には、水抜き通路76が形成されているため、工具掛け部74の内側に流入した水は、水抜き通路76から流出する。固定ナット70は、ユニット収容部35内に入り込んだ状態で、収容部内壁36に形成されるケース側ネジ部37と螺合しているため、水抜き通路76から流出した水は、固定ナット70と収容部内壁36との間に流れるが、双方の間の部分は、固定ナット70の外側Oリング溝78に装着されたOリング201によって、シール性が保持されている。このため、固定ナット70と収容部内壁36との間に流れた水は、Oリング201よりも下方には流れず、固定ナットネジ部73とケース側ネジ部37とが螺合している部分への水の流れは、このOリング201によって遮断される。
【0118】
このため、工具掛け部74の水抜き通路76から流出した水は、本体ケース30の本体取付部50上に流れるが、この水は、傾斜部56の傾斜に沿って、排水部55の方向に流れる。一方、台座カバー60の内周面の径は、本体ケース30のカバー取付部51の外径よりも若干大きくなっており、また、カバー取付部51に取り付けられた状態の台座カバー60は、カウンタ1から離間している。このため、本体取付部50の傾斜部56は、排水部55、及び台座カバー60とカウンタ1との隙間を介して連通しており、この連通路は、本体取付部50上の水をカウンタ1上に排水する排水路215になっている。傾斜部56の傾斜に沿って排水部55の方向に流れた水は、この排水路215を通ってカウンタ1上に排出される。
【0119】
また、本体取付部50とカバー取付部51と台座カバー60とにより画成される空間は、台座カバー60の突出部67によって容積が小さくなっているため、この空間内で溜めることのできる水の量は少なくなっている。このため、本体取付部50上には水が溜まり難くなっており、本体取付部50上に流れた水は、排水路215から排出され易くなっている。
【0120】
以上の本実施形態に係る固定ナット70には、工具掛け部74には水抜き通路76が形成されているため、工具掛け部74内に水が流入した場合でも、この水を水抜き通路76から工具掛け部74の外部に排出することができる。また、工具掛け部74と固定ナットネジ部73との間には外側Oリング溝78が形成されているため、水抜き通路76から排出された水や外部から流れてきた水が固定ナットネジ部73の方向に流れることを、外側Oリング溝78に装着されるOリング201によって防ぐことができる。これらの結果、排水と防水とを両立することができる。
【0121】
また、固定ナット70の内周面72には、内側Oリング溝79が設けられているため、工具掛け部74内に水が流入した場合に、この水がさらに、固定ナット70の軸方向において工具掛け部74が位置する側の反対方向に流れることを、内側Oリング溝79に装着されるOリング202によって防ぐことができる。この結果、排水性と防水性とを高めることができる。
【0122】
また、これらのように排水性を向上させることにより、水が溜まることに起因して錆や悪臭等が発生することを抑制することができる。この結果、長期間に亘って水栓装置5を快適に使用することができる。
【0123】
また、固定ナットネジ部73の方向に水が流れることを防止することができるので、固定ナットネジ部73の錆や腐食を防ぐことができる。この結果、固定ナットネジ部73の螺合状態を長時間維持することができ、水が多い環境で固定ナット70を使用する場合における固定ナット70、及び固定ナット70を用いる装置の耐久性を向上させることができる。
【0124】
また、工具掛け部74に水抜き通路76を設けることによって排水性を確保しているため、固定ナット70の排水性の確保と固定ナットネジ部73の締め付けとを両立する際に、専用の締め付け工具を用いることなく、締め付けることができる。この結果、専用の工具を設けることに起因する製造コストの上昇を防ぐことができ、また、一般的に用いられている工具で締め付けることができるため、組み立て時の容易性を確保することができる。
【0125】
また、水抜き通路76は、工具掛け部74に複数形成されているため、締め付け後の固定ナット70の向きに関わらず、工具掛け部74の内側に流入した水を、いずれかの水抜き通路76から排水することができる。この結果、より確実に排水性を向上させることができる。
【0126】
また、工具掛け部74の内周側と外周側とを連通する連通部を、切欠き状の水抜き通路76によって設けているため、容易に連通部を設けることができる。この結果、排水性を向上させる場合における製造コストの上昇を抑えることができる。
【0127】
また、以上の本実施形態に係る水栓本体20は、ユニット収容部35に弁ユニット80を収容した状態で、収容部内壁36のケース側ネジ部37に固定ナット70の固定ナットネジ部73を螺合させることにより、固定ナット70の当接部77を弁ユニット80に当接させ、弁ユニット80の収容状態を保持している。これにより、水栓本体20の使用時に、上方から弁ユニット80の方向に水が流れる場合でも、固定ナット70の水抜き通路76から排水し、また、外側Oリング溝78に装着されるOリング201や、内側Oリング溝79に装着されるOリング202により、この水が弁ユニット80の方向に流れることを防止することができる。この結果、排水と防水とを両立することができる。
【0128】
また、このように排水と防水とを両立することができるため、レバー170側から弁ユニット80の方向に水が流れることを防止する際に、固定ナット70全体を、レバー170の傘部173等で覆って防水する必要がなくなる。この結果、固定ナット70の周辺の小型化を図ることができ、水栓本体20の小型化を実現することができる。
【0129】
なお、上述した固定ナット70では、工具掛け部74に形成される連通部を、切欠き状の水抜き通路76によって設けているが、連通部は、切欠き以外によって形成されていてもよい。連通部は、例えば工具掛け部74の内周側と外周側とを連通する孔によって設けてもよい。連通部は、工具掛け部74の内周側と外周側とを連通することができれば、その形態は問わない。
【0130】
また、外周側シール部は、固定ナット70に外側Oリング溝78を形成してOリング201を装着可能にし、内周側シール部は、固定ナット70に内側Oリング溝79を形成してOリング202を装着可能にすることにより設けているが、外周側シール部や内周側シール部は、これら以外によって構成してもよい。例えば、外周側シール部は、収容部内壁36側にOリング溝を形成して収容部内壁36側にOリングを装着し、内周側シール部は、弁ユニット80側にOリング溝を形成して弁ユニット80側にOリングを装着することにより、これらのOリングとの間でシール性を確保してもよい。外周側シール部や内周側シール部は、所望の位置のシール性を確保できる形態であれば、その形態は問わない。
【0131】
また、上述した水栓本体20は、水栓本体20から離れた位置に吐水部10が設置される水栓装置5に用いられているが、水栓本体20が用いられる水栓装置5は、水栓本体20の近傍に吐水部が設けられるものなど、上述した形態以外のものでもよい。
【符号の説明】
【0132】
1 カウンタ
2 設置孔
5 水栓装置
10 吐水部
15 吐水口
20 水栓本体
30 本体ケース
32 取付ネジ部
35 ユニット収容部
36 収容部内壁
37 ケース側ネジ部
50 本体取付部
51 カバー取付部
60 台座カバー
70 固定ナット
71 外周面
72 内周面
73 固定ナットネジ部
74 工具掛け部
75 工具掛け面
76 水抜き通路
78 外側Oリング溝
79 内側Oリング溝
80 弁ユニット
90 レバー軸
100 ユニットケース
101 ケース本体部
120 軸受
130 ディスクキャップ
140 可動ディスク
150 固定ディスク
160 裏蓋
170 レバー
200、201、202、203 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に形成される雄ネジ部と、
前記雄ネジ部の軸方向における一端側に設けられる工具掛け部と、
前記雄ネジ部の軸方向における前記雄ネジ部と前記工具掛け部との間の外周面に設けられると共に、前記雄ネジ部が螺合する部材との間のシールを行う外周側シール部と、
前記工具掛け部の内周側と外周側とを連通する連通部と、
を備えることを特徴とする固定ナット。
【請求項2】
前記雄ネジ部の軸方向に連通する内周面に、前記内周面に対向する部材との間のシールを行う内周側シール部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固定ナット。
【請求項3】
複数の流路から流入する流体を混合して流出させることができると共に、操作部を傾倒させることにより混合の割合と流出量とを調節可能な弁ユニットと、
前記弁ユニットを収容する収容部を有し、且つ、前記収容部の内壁に雌ネジ部が形成されるケース部と、
前記収容部に前記弁ユニットを収容した状態で前記雌ネジ部に前記雄ネジ部を螺合させることにより、前記弁ユニットに当接して前記弁ユニットの収容状態を保持すると共に、前記外周側シール部によって前記収容部の内壁との間のシールを行い、さらに、前記内周側シール部によって前記弁ユニットとの間のシールを行う請求項2に記載の固定ナットと、
を備えることを特徴とする湯水混合水栓。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate


【公開番号】特開2013−29184(P2013−29184A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167020(P2011−167020)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】