説明

固定ネットワークまたは携帯電話ネットワークによって互いに接続されている少なくとも二つのマルチメディア端末の間で通信を行うためのシステムおよび方法

本発明は、固定ネットワークまたは携帯電話ネットワーク(10)によって互いに接続されている少なくとも二つのマルチメディア端末(11、12)の間で通信を行うシステムに関するものであり、該ネットワークは、保存用メモリに接続されたアプリケーション・サーバを有しており、該メモリは、発信者個人によって選択することのできるマルチメディア・コンテンツを含んでいる。前記サーバは、発信者個人の端末(11)と受信者個人の端末(12)の間でのコール信号と、この発信者個人によって選択されたマルチメディア・コンテンツ(15)を同期させるためのネットワークのエンティティを管理する手段と、マルチメディア・コンテンツ(15)を受信者の端末(12)の能力に適合化する手段を備えている。また、本発明は、少なくとも二つのマルチメディア端末(11、12)の間で通信を行うための方法にも関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ネットワークまたは携帯電話ネットワークによって互いに接続されている少なくとも二つのマルチメディア端末の間で通信を行うためのシステムと方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定電話通信および携帯電話通信の分野では、一定数のサービスによって、呼び出されている個人、すなわち「受信者」は、自身が受信しようとしている通信の導入をカスタマイズすることができ、
−携帯電話では、受信者は以下のことを要求することができる。
・入電している番号を表示することであり、このサービスは電話事業者によって提供されている。
・受信者の電話番号リストにおいて入電している番号に関連づけられている名前を表示することであり、このサービスは端末によって提供されている。
・電話番号に関連づけられた画像および音声を表示することであり、このサービスは端末によって提供されている。
・発信者が属するグループに応じて異なる呼び出し音を鳴らすこと。受信者は、自身の電話番号リストの連絡先に基づいてグループを作り、特定の呼び出し音を各グループに関連づけることができ、このサービスは端末によって提案されている。
−固定電話では、受信者は以下のことを要求することができる。
・入電している番号の表示であり、このサービスは電話事業者によって提供されている。
・受信者の電話番号リストにおいて入電している番号に関連づけられた名前を表示することであり、このサービスは端末によって提供されている。
・紙の電話帳(職業別電話帳および個人別電話帳)または仮想プライベートネットワークに明示されているような個人または会社の名称を表示すること、またはしないこと、
・グループに応じて異なる呼び出し音を鳴らすこと。受信者は自身の電話番号リストの連絡先からグループを作り、特定の呼び出し音を各グループに関連づけることができ、このサービスは端末によって提供されている。
【0003】
しかし、これらすべてのソリューションでは、受信者の端末のディスプレイをカスタマイズする発端となるのは、受信者、事業者または仲介サービス会社である。
【0004】
本発明の目的は、発信している個人、すなわち「発信者」によって、受信者の端末ディスプレイへのコールの表示をカスタマイズすることを提案することである。
【0005】
明細書の終わりにある引用文献[1]は、固定電話通信ネットワークまたは携帯電話通信ネットワークにおいて、発信者の識別情報を受信者に提供するための方法およびシステムを記載している。このネットワークの外にあるサーバは、発信ラインのインタフェースの情報に依らずに、サービスページまたはコールページの形でこれら発信者の識別情報を生成し、提供するために用いられる。この方法では、コールに関連するイベント(発信、受信、拒否など)につづいて、受信者の携帯電話機上で発信者の個人ページのWAP(携帯端末上でインターネットサービスにアクセスするためのプロトコルである「Wireless Application Protocol」)を自動的にダウンロードすることができる。続いて受信者は、通信前、通信中、そして通信後にこのページを閲覧することができる。実際、ホームページのWAPは電話番号に関連づけられている。この方法では、コール信号(呼び出し音、バイブレーションなど)の発生と同期するようにアニメーションを受信者に送信することができない。また、この方法では、受信者はアニメーションを受信するためには、自身の側で特別な動作をしなくてはならず、ブラウザを起動してページのWAPをダウンロードする必要がある。さらには、発信者は臨機応変にアニメーションを選択することができない、つまり、人物やその場の状況に応じてアニメーションを選択することができないのである。この方法では、受信者や状況がどのようであっても、単一かつ同一の表示を送信することができるだけである。
【特許文献1】国際公開第01/54373号パンフレット
【非特許文献1】インターネット・サイトwww.3gpp.org(Camelすなわち「Customized Applications for Mobile Network Enhanced Logic」:23078、23178、23278)
【非特許文献2】インターネット・サイトwww.3gpp.org(OSAすなわち「Open Service Access」:23127、23927、23198のシリーズ、23998のシリーズ)
【非特許文献3】インターネット・サイトwww.3gpp.org(SIPすなわち「Session Initial Protocol」:29962、24228、24229)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発信者による受信者へのコール表示のカスタマイズを実現することを目的としており、該カスタマイズによって、これらさまざまな問題を解決し、
−受信者または仲介サービスによるカスタマイズが一度設定されると常に一定であるのに対し、対話者(受信者)に驚きを与える効果を作り出すことができること、
−発信者と受信者の間の通信目的を知らせ、起ころうとしているやりとりにトーンを与えることができること、
−その通信の緊急度を表示することができること、
といった利点を得ることができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、保存用メモリに接続されたアプリケーション・サーバを有する固定ネットワークまたは携帯電話ネットワークによって互いに接続されている、少なくとも二つのマルチメディア端末の間で通信を行うためのシステムに関するものであって、前記メモリが、発信者個人によって選択することができるマルチメディア・コンテンツを含んでいることと、前記サーバが、
・発信者個人の端末と受信者個人の端末の間のコール信号と、この発信者個人によって選択されたマルチメディア・コンテンツを同期するためのネットワークのエンティティを管理する手段と、
・マルチメディア・コンテンツを受信者の端末能力に適合化する手段、
を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、固定ネットワークまたは携帯電話ネットワークによって互いに接続されている少なくとも二つのマルチメディア端末の間で通信を行うための方法にも関するものであって、発信者個人の端末から受信者個人の端末へのコールに先行して、発信者個人が、自身が受信者個人の端末に送信しようとするマルチメディア・コンテンツを選択することと、このマルチメディア・コンテンツが、このコールの信号の受信と同期するように、受信者個人の端末に受信されることを特徴としている。
【0009】
マルチメディア・コンテンツは、一つまたは複数のメディア(たとえば画像、写真、ビデオ、2D/3Dのグラフィックアニメーション、文字、音声など)から選択することができる。
【0010】
受信者個人は、マルチメディア・コンテンツを用いて自身の端末のディスプレイをカスタマイズすることができる。このとき、発信者個人によって送信されたマルチメディア・コンテンツおよび受信者個人のカスタマイズによるマルチメディア・コンテンツは、受信者個人の端末のディスプレイを共有することができる。そうでないときには、発信者個人によって送信されたマルチメディア・コンテンツおよび受信者個人のカスタマイズによるマルチメディア・コンテンツは、受信者個人の端末のディスプレイ上で連続して現れることができる。
【0011】
受信者の端末での信号の受信は、この端末の呼び出し音またはバイブレーションによって知らせることができる。マルチメディア・コンテンツは、受信者によるいかなる動作もなく、この端末の呼び出し音またはバイブレーションの鳴動と同時に、受信者の端末上に表示される。
【0012】
次に、マルチメディア・コンテンツは、デフォルトでは通信の間中、受信者の端末上に表示されたままだが、受信者は通信中のどのような瞬間にも、このコンテンツを削除すること、あるいは保存することができる。
【0013】
マルチメディア・コンテンツは、発信者と受信者の間の通信が閉じると受信者の端末のディスプレイから消えるが、受信者は自身の端末のメモリに該コンテンツを保存することができる。
【0014】
受信者が電話に出ない場合には、コールおよびマルチメディア・コンテンツはメッセージ・センターに保存され、該メッセージ・センターを参照したときに再現される。
【0015】
受信者が電話に出ず、該受信者がネットワークのカバー範囲にいる場合、該受信者の端末はマルチメディア・コンテンツをコール・ログに保存する。
【0016】
発信者個人は、カスタマイズをデフォルトで用いることで、一つのマルチメディア・コンテンツを少なくとも一人の対話者に関連づけることができる。そうでない場合には、カスタマイズを個別指定で用いることで、発信者個人は、受信者個人に応じて、また、状況に応じて、マルチメディア・コンテンツを選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面の簡単な説明
図1は本発明のシステムを示しており、
図2は本発明の方法のさまざまな過程を示しており、
図3は本発明の第一の実施態様を示しており、
図4は本発明の第二の実施態様を示している。
【0018】
特定の実施態様の詳細な開示
図1に示されているように、本発明のシステムは、
−固定ネットワークまたは携帯電話ネットワーク10、
−このネットワークに接続された発信者の端末11、
−このネットワークに接続された受信者の端末12、
−このネットワークに接続された、マルチメディア・コンテンツの保存用メモリ14に関連づけられたアプリケーション・サーバ13、
を備えている。
【0019】
メモリ14は、マルチメディア・コンテンツ、たとえば、アニメーションまたはアニメーションを作るためのマルチメディア要素を含んでおり、該コンテンツは、発信者によって選択され、デフォルトでは一つのアニメーションを一つの連絡先に関連づけ、あるいは、個別指定では一つのアニメーションを、自身が行おうとしているコールに関連づけることができる。物理的には、このメモリは、発信者の端末またはネットワークに位置づけることができる。
【0020】
アプリケーション・サーバ13は、サービス全体の統括者であり、該サーバは、マルチメディア・コンテンツ15を受信者の端末に送ることを可能にする、ネットワークのさまざまなエンティティの間の相互作用を管理している。通信ネットワークの複数の複合的なエンティティの管理を必要とする情報転送(「Push」)の方法が問題となる。
【0021】
このサーバ13は、
−コール信号(呼び出し音)とマルチメディア・コンテンツを同期させるために、通信ネットワークのエンティティを管理し、
−マルチメディア・コンテンツ15を受信者の端末12の能力(スクリーンのサイズ、色など)に適合化させ、
−データの接続が、
・マルチメディア・コンテンツがサーバ13によってメモリ14に保存されていれば、該サーバと受信者の端末12の間で確立され、
・コンテンツが発信者の端末11に保存されていれば、発信者の端末11と受信者の端末12の間で確立され、
−マルチメディア・コンテンツ15を音声メッセージに送信することで、受信者によるコールの拒否を管理するものである。
【0022】
サーバ13は本発明のアプリケーションロジックを含んでいる。該サーバは本発明のデータ・ベースと発信者の個人データ・ベースにアクセスする。該サーバは、さまざまなデータ・ベースおよびサーバから必要なすべての情報を取得し、望まれる情報を受信者の端末および発信者の端末に送信する。
【0023】
サーバ13は発信者の電話のコールを制御するものである。ペア(発信者識別子、受信者識別子)に基づき、サーバ13は連絡を受け、音声通信に先立って、受信者の識別子に対応する、発信者によって選択されたマルチメディア・コンテンツ15を送信する。次に、サーバ13は、受信者の選択に応じて通信を管理する。受信者がコールを受ければ、サーバは音声通信を確立する。受信者がコールを受けなければ、サーバ13は発信者を受信者のメッセージ・センターに転送する。受信者がメッセージを聞くときに、該受信者は発信者のマルチメディア・コンテンツ15へのリンクを再度見つけることができる。
【0024】
このように、発信者はコールの開始時に対話者(受信者)に送信されるマルチメディア・コンテンツ15を選択することができる。このとき、このマルチメディア・コンテンツ15は、受信者による動作なしで、音声(およびマルチメディア)通信の確立のための信号の発生と同時に現れる。
【0025】
したがって、発信者は、音声(およびマルチメディア)通信が実際に始まる前に情報を送信することができる。そのため、該発信者は自身の身元、コールの目的などを送信することができる。
【0026】
図2に示されているように、本発明の方法は以下の過程を含んでいる。
1)まず、発信者側における、
−受信者を選択する過程20であり、発信者が、自身の電話番号リストを用いて、あるいは、直接番号入力することで連絡先の一つ(受信者)に電話することを決定する過程。
−マルチメディア・コンテンツ15を選択する過程21であり、このマルチメディア・コンテンツ15は、デフォルトで、あるいは個別指定によってそのコールに関連づけられている。
−デフォルトのカスタマイズ・プロシージャにおいて、発信者を受信者に表示するためにマルチメディア・コンテンツ15を表示する過程22、または、個別指定のカスタマイズ・プロシージャにおいて、発信者を受信者に表示するためにマルチメディア・コンテンツ15を生成する過程23。
−コールの開始過程24であり、発信者が、関連づけられたマルチメディア・コンテンツ15を伴うコールを開始する過程。
2)次に、受信者側における、
−このコールを知らせ(たとえば電話の呼び出し音またはバイブレーション)、マルチメディア・コンテンツ15を同時に表示する過程25。
−受信者が電話に出れば(マルチメディア・コンテンツは受信者端末12のディスプレイに残すことができ、または受信者は該コンテンツを保存することができる)、発信者と受信者の間で通信を行う過程26、もしくは、受信者のメッセージ・センターに転送する過程27であり、発信者がこのメッセージ・センターに転送される過程(発信者がメッセージを残せば、マルチメディア・コンテンツ15は、受信者によるメッセージ・センターの参照時に、このメッセージに関連づけられ、マルチメディア・コンテンツ15は該受信者に転送される)、または、コール終了の過程である(受信者または発信者が通信を停止する)。
【0027】
受信者が応答せず、該受信者の電話の電源が入っているとき、マルチメディア・コンテンツ15は受信者端末のコール・ログに保存することができる。
【0028】
本発明の方法では、発信者は、マルチメディア・コンテンツ15、たとえば、画像、写真、ビデオ、2D/3D(2次元/3次元)グラフィックアニメーション、文字、音声などを選択することができ、該コンテンツは、該発信者が対話者(受信者)と行おうとしている通信に先立って送信されることになる。
【0029】
以下では、例示として、対象となっているマルチメディア・コンテンツ15がグラフィックアニメーションだとする。
【0030】
本発明の方法は以下の特徴を有している。
−アニメーションが、受信者のいかなる動作にもよらず、受信者の端末の第一の呼び出し音またはバイブレーションの鳴動と同時に受信者の端末上に表示される。
−次に、アニメーションは、デフォルトでは通信の間中、受信者の端末上に表示されたままである。しかし、受信者は通信中のいかなる瞬間にも、自身の端末のアニメーションを削除することができる。
−通信が閉じると、アニメーションは消える。受信者は該アニメーションを自身の端末のメモリに保存することができる。
−受信者が電話に出ず、コールがメッセージ・センターに転送される場合には、アニメーションはメッセージ・センターに保存され、該メッセージ・センターを参照したときに再現することができる。
−受信者が電話に出ず、該受信者がネットワークのカバー範囲にいる場合には、該端末はコール・ログにアニメーションを保存することができる。
【0031】
したがって、発信者が、自身を他者と区別させ、容易に通信することを可能にする方法を自由に使うことができる一方で、受信者は自身のコールを管理するためのサポートを有している。
【0032】
一つのアニメーションを、受信している人物および/または状況に応じて関連づけることができる。したがって、カスタマイズは状況に応じたものである。
【0033】
受信者によって設定されたカスタマイズが削除されないことに注目すべきである。発信者によって受信者へコールが表示されるのと同時に、受信者によって設定された表示があるとき、これらは、たとえば受信者端末のディスプレイの、別個の二つの部分に表すことができる。また、これら両表示は、連続的に表すこともできる。実際、これは補足的な機能である。
【0034】
二つの補足的なカスタマイズの態様が可能であり、該カスタマイズとは、
−デフォルトのカスタマイズと、
−個別指定のカスタマイズである。
【0035】
デフォルトのカスタマイズ
発信者は、自身が選択したアニメーションを、一人または複数の対話者に関連づけることができる。
【0036】
ひとたびこの過程が行われると、該発信者が開始した通信はデフォルトとしてカスタマイズされる、つまり、毎通信ごとに、この対話者(受信者)用として選択したアニメーションが該対話者に送信される。カスタマイズは受信者に応じてなされる。
【0037】
このとき、実行されるアニメーションの選択を変更すること、あるいは、一時的にこのようなカスタマイズを無効にすることは非常に簡単である。
【0038】
個別指定のカスタマイズ
個別指定のカスタマイズによって、受信者に応じてだけではなく、状況に応じても通信の表示をカスタマイズすることが可能になる。
【0039】
この場合、送信されるアニメーションは一回の通信に対してのみ有効である。つまり、この通信を行う瞬間に、発信者は、一つのアニメーションを、この具体的な状況に関連づけるために選択することができるのである。
【0040】
カスタマイズが事前に設定されていれば、個別指定のカスタマイズはデフォルトのカスタマイズに対して優先的である。
【0041】
以下の説明において、本発明の方法を実行する二つの実施態様を説明することとするが、該態様とは、
−CAMEL/OSA(「Customized Applications for Mobile Network Enhanced Logic」/「Open Service Access」、すなわち、「モバイルネットワークの強化されたロジック用のカスタマイズされたアプリケーション」/「オープン・サービス・アクセス」)技術に基づく第一の態様であり、このような技術は引用文献[2]および[3]に記載されており、
−標準化されているプロトコルであるSIP(「Session Initial Protocol」すなわち「セッション開始プロトコル」)に基づく第二の態様であり、このようなプロトコルは引用文献[4]に記載されている。
【0042】
第一の実施態様
図3に示されている、CAMEL/OSA技術に基づくこの第一の態様では、本発明の方法はCAMEL O−CSI(MSCスイッチに対する発信コールすなわち「モバイルネットワークのスイッチ制御」)というマーク(情報の流れにおける目印)によって起動される。
【0043】
用いられるサーバであるSCS(「Service Capabilities Servers」すなわち「サービスに特徴的なサーバ」)は、コール制御(「Call Control」)用のサーバおよびユーザー・インタラクション(「User Interaction」)用のサーバである。コール制御用のサーバは、発信者によるコールを制御する役割を担っている。ユーザー・インタラクション用のサーバは、サーバの情報を受信者に、受信者によるリクエストなしに転送(「Push」)するメカニズムを始動させる役割を担っている。
【0044】
補助的なサービスであるSCF(「Service Capabilities Features」)の二次的特徴によって、アプリケーションは発信者のユーザープロファイル(「User Profile」)にアクセスすることができる。マルチメディア・コンテンツは、発信者のこのユーザープロファイルの一部をなす。したがって、発信コール時には、発信者のサービスを管理するエンティティ(サービス・ブローカー「Service Broker」)への介入があり、該エンティティは、ユーザープロファイルの参照後、コール制御を本発明のアプリケーションに与えることを決定する。
【0045】
予備的な段階において、本発明のアプリケーションを起動するためのすべてのデータを登録するとき(「provisionning」)、アプリケーションは、コール制御サーバ32が、発信者による受信者へのコール表示のカスタマイズ・サービスに同意している発信者の発信コールを通知されていることを要求する(許可されたコールを通知するためのOSA方法)。このサーバはCAMEL O−CSIのマークを起動する。
【0046】
次に、以下の過程が続く。
1.コールは発信者によって、発信者の端末11上で起動される(矢印31)。コール起動を通知するために、メッセージがコール制御サーバ32に送信されるのだが、それは、発信者がCAMEL O−CSIのマークを有しているからである。
2.コール制御サーバ32は「サービス・ブローカー」エンティティ34でコールイベントを通知(「Call Event Notify」)するOSA方法を用いて(矢印33)、該エンティティに発信コールを通知する。
3.「サービス・ブローカー」エンティティ34は、ユーザープロファイルを管理するサーバ37を通してユーザープロファイル36を参照し(矢印35および35’)、コール制御を本発明のアプリケーション・サーバ13に与えても良いかどうか判断する。
4.「サービス・ブローカー」エンティティ34はコール制御を本発明のアプリケーション・サーバ13に与え(矢印38)、該サーバは、メモリ14の中で送信すべきマルチメディア・コンテンツを検索する。
5.本発明のアプリケーション・サーバ13は、ユーザー・インタラクション用のサーバ40がマルチメディア・コンテンツを受信者の端末12に、リクエスト送信用および情報取得用のOSA方法(「SendInfoAndCollectReq」)を用いて送信することを要求する(矢印39および39’)。
6.受信者は、情報取得リクエストの送信用のOSA方法(「sendInfoAndCollectReq」)を用いてコールを受けることを応答する(矢印41および41’)。
7.本発明のアプリケーション・サーバ13は、コール解放用のOSA方法(「deassignCall」)を用いてコール制御サーバ32に、コールに関与しないことを通知する(矢印42)。該アプリケーション・サーバは、コールの制御を、コールの確立を続けることになっているネットワークに委ねる。受信者がコールを拒否すれば、本発明のアプリケーション・サーバ13は休止用のOSA方法(「release」)を用いて、ネットワークにコールを休止することを要求する。
8.コールが発信者11と受信者12の間で確立される(矢印43)。
【0047】
この図3では、符号45のゾーンはCORBAアーキテクチャである(「Common Object Request Broker Architecture」すなわち「共通オブジェクトのリクエストを管理するアーキテクチャ」)。
【0048】
第二の実施態様
この第二の実施態様は図4に示されており、IMSシステム(「IP Multimedia Subsystem」すなわち「インターネット・プロトコル・マルチメディア・サブシステム」)で用いられているプロトコルであるSIPに基づいている。
【0049】
IMSシステムを用いると、ユーザーが登録した瞬間から、該ユーザーは常にアクティブになっているデータ・プロトコル・コンテキスト(「PDPコンテキスト」)を自由に使うことができ、該コンテキストは、SIP信号用に用いられる。この実施態様では、このコンテキストがSIP信号として用いられる。
【0050】
本発明のアプリケーションロジックは、SIPアプリケーション・サーバ13で実行される(インテリジェント・ネットワークのアーキテクチャが用いられる)。
【0051】
アプリケーション・サーバ13は、バージョン5のUMTS方式(第3世代のモバイルネットワーク)のモバイルネットワークのS−CSCF(「Serving−Call State Control Function」すなわち「コールサービス状態制御機能」)エンティティ51に接続されている。このエンティティ51は、加入者用のコールIP(インターネット・プロトコル)を制御する役割を担っており、該加入者は、通信の導入をカスタマイズするサービスに同意している。
【0052】
加入者が通信導入サービスに登録しているとき、ユーザーのデータ・ベースであるHSS(バージョン5のUMTS方式におけるHLR(「Home location Register」)の同等物)はエンティティ51へのリンクを含んでいる。
【0053】
コールが確立している間、加入者に関するデータ(データ・ベースHSSに保存されている)が取得されている。このとき、コールは再度エンティティ51に送られており、今度は該エンティティが、本発明のアプリケーションを実行するアプリケーション・サーバ13にコールを送る。
【0054】
いったん通信導入のカスタマイズ・サービスに加入すると、発信者からみると、
−デフォルトでのサービスの場合には、音声通信は通常通りに始動され、
−あるいは、個別指定のサービスの場合には、発信者はアニメーションを選択し、音声通信を通常通りに開始する。
【0055】
マルチメディア・コンテンツの識別子であるURL(「Uniform Resource Locator」すなわちインターネットアドレスの識別子)は、信号のSIP INVITEメッセージ(信号メッセージの中で受信者に送信されるリクエスト)の中で受信者に送信される。
【0056】
たとえば、受信者は発信者のアニメーションが自身の端末12に表示されているのを見て、コールを受けるか受けないかを決定する。
【0057】
受信者がコールを受けることを選択すれば音声通信が通じる。
【0058】
したがって、以下の過程がある。
1.発信者は自身の端末11を用いてコールを開始する(矢印50)、
2.S−CSCFエンティティ51は、コールを、本発明のアプリケーションを含んでいるアプリケーション・サーバ13に送信する(矢印52)、
3.本発明のアプリケーション・サーバ13は、本発明のアプリケーションを実行し、コンテンツ「Push」を端末に送信する(矢印53)、
4.SIP INVITEリクエスト中のコンテンツ「Push」は受信者12に送られる(矢印54)。このとき、受信者12の端末は発信者のマルチメディア・コンテンツをダウンロードすることができる。
【0059】
符号55はマルチメディア・サブシステムのIPに関するものである。符号56はパケット領域(「PSドメイン」)に関するものである。
【0060】
以降の過程は次のようにまとめることができる。マルチメディア・セッションが開始される。たとえば、受信者は自身の端末12に発信者のアニメーションが表示されているのを見て、コールを受けるか受けないかを決定する。受信者がコールを受けることを選択すれば音声通信が通じる。
【0061】
このとき、受信者および発信者はIMSシステムに接続されており、アクティブになっているパケットのデータ・プロトコル・コンテキスト(「PDF」)を有している(これらの条件が満たされていなければ、受信者は発信者のアニメーションを受信しない)。
【0062】
引用文献
[1]国際公開第01/54373号パンフレット
[2]インターネット・サイトwww.3gpp.org(Camelすなわち「Customized Applications for Mobile Network Enhanced Logic」:23078、23178、23278)
[3]インターネット・サイトwww.3gpp.org(OSAすなわち「Open Service Access」:23127、23927、23198のシリーズ、23998のシリーズ)
[4]インターネット・サイトwww.3gpp.org(SIPすなわち「Session Initial Protocol」:29962、24228、24229)
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明のシステムを示す図である。
【図2】本発明の方法のさまざまな過程を示す図である。
【図3】本発明の第一の実施態様を示す図である。
【図4】本発明の第二の実施態様を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10 ネットワーク
11 発信者の端末
12 受信者の端末
13 アプリケーション・サーバ
14 メモリ
15 マルチメディア・コンテンツ
32 コール制御サーバ
34 「サービス・ブローカー」エンティティ
36 ユーザープロファイル
37 ユーザープロファイルを管理するサーバ
40 ユーザー・インタラクション用のサーバ
51 S−CSCFエンティティ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存用メモリ(14)に接続されたアプリケーション・サーバ(13)を有する固定ネットワークまたは携帯電話ネットワーク(10)によって互いに接続されている、少なくとも二つのマルチメディア端末(11、12)の間で通信を行うためのシステムであり、前記メモリ(14)が、発信者個人によって選択することができるマルチメディア・コンテンツを含んでいることと、前記サーバ(13)が、
・発信者個人の端末(11)と受信者個人の端末(12)の間でのコール信号と、この発信者個人によって選択されたマルチメディア・コンテンツ(15)を同期させるためのネットワーク(10)のエンティティを管理する手段と、
・マルチメディア・コンテンツ(15)を受信者の端末(12)の能力に適合化する手段、
を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
固定ネットワークまたは携帯電話ネットワーク(10)によって互いに接続されている、少なくとも二つのマルチメディア端末(11、12)の間で通信を行うための方法であり、発信者個人の端末(11)から受信者個人の端末(12)へのコールに先立ち、発信者個人が、受信者個人の端末(12)に送信しようとするマルチメディア・コンテンツ(15)を選択することと、このマルチメディア・コンテンツ(15)が、このコールの信号の受信と同期するように、受信者個人の端末(12)に受信されることを特徴とする方法。
【請求項3】
マルチメディア・コンテンツ(15)が一つまたは複数のメディアから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
受信者個人が、マルチメディア・コンテンツを用いて自身の端末(12)のディスプレイをカスタマイズする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
発信者個人によって送信されたマルチメディア・コンテンツ(15)および受信者個人のカスタマイズによるマルチメディア・コンテンツが、受信者個人の端末(12)のディスプレイを共有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
発信者個人によって送信されたマルチメディア・コンテンツ(15)と受信者個人のカスタマイズによるマルチメディア・コンテンツが、受信者個人の端末(12)のディスプレイ上で連続して現れる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
受信者個人の端末(12)での信号の受信が、この端末の呼び出し音またはバイブレーションによって知らされる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
マルチメディア・コンテンツ(15)が、デフォルトでは通信の間中、受信者の端末(12)上に表示されたままであるが、受信者は、このコンテンツ(15)を通信中のいかなる瞬間にも削除、または保存することができる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
通信が閉じるとマルチメディア・コンテンツが受信者の端末(12)のディスプレイから消えるが、このとき受信者は該コンテンツを保存することができる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
受信者が電話に出ない場合に、コールおよびマルチメディア・コンテンツ(15)がメッセージ・センターに保存され、該メッセージ・センターを参照したときに再現されるようになっている、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
受信者が電話に出ず、該受信者がネットワークのカバー範囲にいる場合に、受信者の端末(12)がマルチメディア・コンテンツをコール・ログに保存する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
デフォルトのカスタマイズを行うことで、発信者個人が一つのマルチメディア・コンテンツ(15)を少なくとも一人の対話者に関連づける、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
個別指定のカスタマイズを行うことで、発信者個人が、受信者個人に応じて、また、状況に応じてマルチメディア・コンテンツ(15)を選択する、請求項2に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515087(P2007−515087A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510874(P2005−510874)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003191
【国際公開番号】WO2005/053264
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】