説明

固定具

【課題】車体等の固定部材にリアコンビランプ等の被固定部材を固定するための固定具であって、被固定部材にピン等の固定部を設けておき、固定具の操作片を傾動させることで、固定部の引き込み量を増加させることができるようにしたものである。
【解決手段】固定具10には、取付孔21を通して突出する固定部30を保持可能な保持部61を有する本体部40、本体部40に傾倒可能に取り付けられ、傾倒した際に取付孔21から固定部30を引き込むことで、固定部材20に対し、被固定部材(図示せず)を密着させるための操作片50、本体部40と操作片50との間に位置し、操作片50の傾倒状態を維持するロック手段(例えば係合片67及び被係合部56)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車体等の固定部材にリアコンビランプ等の被固定部材を固定するための固定具であって、被固定部材にピン等の固定部を設けておき、固定具の操作片を傾動させることで、固定部の引き込み量を増加させることができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車体とランプ台とを、ピンを介して固定するようにしたランプの取付構造が知られている(例えば特許文献1の段落番号「0008」、並びに図1、図7及び図8参照)。
上記した従来のピンは、脚部とフランジとを有する(例えば特許文献1の段落番号「0013」及び図3参照)。
【0003】
上記した従来のピンの脚部を、車体の取付孔に固定したクリップに挿入して固定する(特許文献1の段落番号「0018」及び「0019」、並びに図7参照)。
つぎに、上記した従来のピンのフランジを、ランプ台に固定した係止枠に差し込んで固定する(特許文献1の段落番号「0020」及び図8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-108781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来のランプの取付構造では、ランプを車体にガタ無く取り付けるのが困難であるという問題点があった。
すなわち、従来のランプの取付構造は、ピンをクリップに挿入する構造であるので、ピンの保持力を増加させるために、クリップ側の掛かり代を大きくする等の工夫が必要となるが、掛かり代を大きくすると、ピンの挿入力が増加し、組立時の作業性が低下するおそれがあった。
【0006】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、被固定部材にピン等の固定部を設けておき、固定具の操作片を傾動させることで、固定部の引き込み量を増加させることができるようにしたものである。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、ピンの挿入力を増加することなく、ピンの保持力を向上でき、リアコンビランプ等の被固定部材を車体等の固定部材にガタ無く固定することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項2に記載の発明は、固定部の円柱状の胴部を、本体部の弾性係止片にスナップフィットさせて簡便に取り付けることができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項3に記載の発明は、固定部の胴部を開放部を通してスライドさせるようにして、本体部の弾性係止片に簡便に取り付けることができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項4に記載の発明は、ロック手段の構造を簡便にすることができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項3に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0011】
すなわち、請求項5に記載の発明は、操作片を傾倒することにより開放部を塞ぐことで、固定部の胴部が開放部から抜け出るのを防止することがことができるようにしたものである。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0012】
すなわち、請求項6に記載の発明は、操作片のカム斜面の作用により、固定部の引き込み量を、徐々に増加させることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0014】
第1に、被固定部材(図示せず)に設けられた固定部(例えばピン30)が挿入可能な取付孔(21)を有する固定部材(20)に対し、例えば図12及び図13に示すように、固定部(例えばピン30)を介して被固定部(例えばピン30)材(図示せず)を固定するための固定具(10)である。
第2に、固定具(10)には、例えば図1及び図4に示すように、次の構成を備える。
【0015】
(1)本体部(40)
本体部(40)は、例えば図1に示すように、取付孔(21)を通して突出する固定部(例えばピン30)を保持可能な保持部(61)を有するものである。
(2)操作片(50)
操作片(50)は、例えば図1、図8、図10及び図12に示すように、本体部(40)に傾倒可能に取り付けられ、傾倒した際に取付孔(21)から固定部(例えばピン30)を引き込むことで、固定部材(20)に対し、被固定部材(図示せず)を密着させるためのものである。
【0016】
(3)ロック手段(例えば係合片67及び被係合部56)
ロック手段(例えば係合片67及び被係合部56)は、例えば図14及び図15に示すように、本体部(40)と操作片(50)との間に位置し、操作片(50)の傾倒状態を維持するものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
第1に、固定部(例えばピン30)には、例えば図1及び図6に示すように、円柱状の胴部(32)を備えている。
第2に、保持部(61)には、例えば図1及び図6に示すように、胴部(32)にスナップフィット可能な弾性係止片(70)を備えている。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
第1に、弾性係止片(70)は、例えば図1及び図4に示すように、胴部(32)の軸心方向に垂直な方向に対向して少なくとも一対形成されている。
第2に、一対の弾性係止片(70)の間には、例えば図1及び図4に示すように、垂直な方向の一方向から胴部(32)を受け入れ可能な開放部(71)を設けている。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、ロック手段は、例えば図14及び図15に示すように、本体部(40)又は操作片(50)のいずれか一方(例えば本体部40)に設けられた係合片(67)と、他方(操作片50)に設けられた被係合部(56)とから構成されている。
なお、本体部(40)に係合片(67)を設け、操作片(50)に被係合部(56)を設けたが、これに限定されず、図示しないが、本体部(40)に被係合部を設け、操作片(50)に係合片を設けても良い。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項3に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、操作片(50)には、例えば図12に示すように、傾倒状態において、開放部(71)を塞ぐ閉塞壁(53)を設けている。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0021】
第1に、操作片(50)には、例えば図10に示すように、固定部材(20)に当接するカム斜面(55)を備えている。
第2に、カム斜面(55)は、例えば図10に示すように、傾倒する前の直立状態から傾倒状態に向かって、傾倒する際の支点(例えば軸孔54の軸中心)から距離が増加するように構成されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、被固定部材にピン等の固定部を設けておき、固定具の操作片を傾動させることで、固定部の引き込み量を増加させることができる。
【0023】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、ピンの挿入力を増加することなく、ピンの保持力を向上でき、リアコンビランプ等の被固定部材を車体等の固定部材にガタ無く固定することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、固定部の円柱状の胴部を、本体部の弾性係止片にスナップフィットさせて簡便に取り付けることができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、固定部の胴部を開放部を通してスライドさせるようにして、本体部の弾性係止片に簡便に取り付けることができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、ロック手段の構造を簡便にすることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項3に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0027】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、操作片を傾倒することにより開放部を塞ぐことで、固定部の胴部が開放部から抜け出るのを防止することがことができる。
(請求項6)
請求項6に記載の発明によれば、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0028】
すなわち、請求項6に記載の発明によれば、操作片のカム斜面の作用により、固定部の引き込み量を、徐々に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ピンを装着し、操作片の直立状態の固定具の斜視図である。
【図2】図1に対応し、固定具の平面図である。
【図3】図1に対応し、固定具の側面図である。
【図4】図1に対応し、固定具の正面図である。
【図5】図4の一部拡大図である。
【図6】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図7】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図8】ピンを装着し、操作片の傾倒状態の固定具の斜視図である。
【図9】図8に対応し、固定具の平面図である。
【図10】図8に対応し、固定具の側面図である。
【図11】図8に対応し、固定具の正面図である。
【図12】図9のC−C線に沿う断面図である。
【図13】図10のD−D線に沿う断面図である。
【図14】図10のE−E線に沿う断面図である。
【図15】図14の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(固定具10)
図1中、10は、固定具であり、この固定具10は、車体等の固定部材20にリアコンビランプ等の被固定部材(図示せず)を固定するためのものである。
なお、固定部材20として、車体を例示し、被固定部材としてリアコンビランプを例示したが、これらに限定されない。
【0031】
被固定部材には、固定部であるピン30が立設されている。
これに対し、固定部材20には、図6及び図7に示すように、表裏面に貫通し、ピン30を挿入可能な取付孔21を設けている。
ピン30は、図4及び図6に示すように、大別すると、取付孔21より大径の底部31と、この底部31の上面から円柱状に延び、取付孔21に挿入可能な胴部32とを備えている。
【0032】
底部31は、図示しないが、被固定部材(図示せず)に固定される。
胴部32は、底部31を被固定部材(図示せず)に固定した状態で、図4及び図6に示すように、固定部材20の裏面側から取付孔21に挿入され、固定部材20の表面から突出する。具体的には、胴部32には、その高さの途中に位置し、細くくびれたくびれ部33と、くびれ部33の上側で、胴部32の先端部に位置し、先細状の先端部34とを設けている。
【0033】
固定具10は、図1、図8、図10及び図12に示すように、固定部材20の表面に取り付けられ、取付孔21から突出したピン30の胴部32を取付孔21から引き込むことで、固定部材20の裏面にピン30の底部31を密着させ、ピン30を介して被固定部材(図示せず)を固定部材20に対して固定する。
具体的には、固定具10には、図1に示すように、大別すると、次のパーツを備える。
【0034】
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)本体部40
(2)操作片50
なお、固定具10のパーツは、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(本体部40)
本体部40は、図1に示すように、取付孔21を通して突出するピン30の胴部32を保持可能なものである。本体部40は、適度な弾性と剛性とを有する合成樹脂で一体的に形成されている。
【0035】
具体的には、本体部40には、図1に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)枠体60
(2)弾性係止片70
なお、本体部40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(枠体60)
枠体60は、図1に示すように、ピン30の胴部32がはまり込む前面が開放した保持部61を有し、コ字形の枠形に形成されている。
【0036】
具体的には、枠体60には、奥側に位置するベース部62と、このベース部62の両端部から前方に延びる一対のアーム部63とを備え、ベース部62と一対のアーム部63とにより三方が囲まれた内側に保持部61を形成している。
ベース部62及び一対のアーム部63の内側面には、図6及び図7に示すように、ピン30のくびれ部33にはまり込む爪部64,65を設けている。爪部64,65は、斜面を下方に向けた断面直角三角形形に形成され、上面がほほ水平になっている。
【0037】
一対のアーム部63の外側面には、図7に示すように、後述する操作片50を傾倒可能に支持するための一対の突軸66を設けている。
また、一対のアーム部63の先端部には、図14及び図15に示すように、上方に向かって延びる係合片67を設けている。係合片67は、アーム部63の上端部から形成されたスリットにより切り割られ、下端部がヒンジとなっている。係合片67の先端部の外側面には、外向きに突出した係合爪68を設けている。
(弾性係止片70)
弾性係止片70は、図1に示すように、枠体60の保持部61の開放前面を、ピン30の胴部32が通過可能に塞ぐものである。
【0038】
具体的には、弾性係止片70は、一対のアーム部63の先端部に折り返されたV字形に形成されている。一対の弾性係止片70は、保持部61の開放前面に位置し、当該開放前面に向かって開いた略「ハ」の字、乃至はV字形に配置されている。両弾性係止片70の対向間隔内には、保持部61の奥に向かって狭くなり、ピン30の胴部32を受け入れ可能な開放部71を設けている。
(操作片50)
操作片50は、図1、図8、図10及び図12に示すように、本体部40に傾倒可能に取り付けられ、傾倒した際に取付孔21からピン30の胴部32を引き込むことで、固定部材20に対し、ピン30を介して被固定部材(図示せず)を密着させるためのものである。操作片50は、適度な剛性を有する合成樹脂で一体的に形成されている。
【0039】
具体的には、操作片50は、図1〜3に示すように、前面が開放した箱形に形成され、後面を塞ぐ後壁51と、この後壁51の両端部から前方に向かって延びる一対の側壁52と、高さの途中に位置する閉塞壁53とを備える。
側壁52には、図7に示すように、本体部40の突軸66を回転可能に支持する軸孔54を設けている。
【0040】
側壁52の下側の前方の角部には、図3及び図10に示すように、固定部材20の表面に当接するカム斜面55を設けている。カム斜面55は、軸孔54の軸心を中心にR形に形成され、図3において上方に向かって軸心からの距離を増加するように形成されている。
すなわち、図3に示すように、軸心から下方の端面迄の距離を、「a」とし、軸心から側方の端面迄の距離を「b」と仮定した場合に、「a<b」の関係になるように設定されている。
【0041】
このため、操作片50を、図10に示すように、本体部40の突軸66を中心に傾倒すると、前記「b」側のカム斜面55が固定部材20の上面に当接する。このとき、操作片50の軸孔54の位置が上昇し、当該軸孔54にはまり込む突軸66を介して、本体部40が固定部材20の上面から上昇する。本体部40の上昇により、ピン30の胴部32が取付孔21から引き込まれる。
また、側壁52には、図3に示すように、軸孔54の斜め上方に、本体部40の係合片67の先端部の係合爪68がはまり込む、穴状の被係合部56を設けている(図14及び図15参照)。被係合部56は、操作片50を傾倒した際に、係合爪68に係合し、図14及び図15に示すように、当該係合爪68がはまり込むことで、操作片50を傾倒状態にロックするものである。被係合部56は、係合爪68を有する係合片67と協働してロック手段を構成する。なお、ロック手段として、被係合部56と係合片67とを例示したが、これらに限定されず、本体部40に穴状の被係合部を設け、操作片50に凸状の係合片を設けても良い。
【0042】
さらに、側壁52の内側面には、図14及び図15に示すように、本体部40の係合片67の先端部の係合爪68がはまり込む段部57を設けている。段部57は、操作片50が直立した状態において、係合爪68がはまり込むものであり、これらにより操作片50が直立状態に保持される。
(使用方法)
つぎに、上記した構成を有する固定具10を使用し、被固定部材(図示せず)を固定部材20に固定するための固定方法について説明する。
【0043】
まず、図示しないが、被固定部材に立設されたピン30を、固定部材20の裏側から取付孔21に合わせて挿入する。
ピン30を挿入すると、図6及び図7に示すように、その胴部32が取付孔21から突出する。
つぎに、操作片50を直立させた状態で、両弾性係止片70の開放部71を、取付孔21から突出したピン30の胴部32に合わせて差し込む。このとき、固定具10は、固定部材20の表面上をスライドさせるように差し込む。
【0044】
固定具10をスライドさせると、ピン30の胴部32が両弾性係止片70に当接する。ここで、固定具10を更にスライドさせると、両弾性係止片70がピン30の胴部32に押されて、外向きにたわむ。
固定具10をスライドさせることで、ピン30の胴部32は、開放部71を通過し、図6及び図7に示すように、保持部61にはまり込む。
【0045】
ピン30が保持部61にはまり込むと、両弾性係止片70が復元し、開放部71が狭まることで、開放部71からピン30が抜け難くなる。
また、ピン30が保持部61にはまり込むと、図6及び図7に示すように、爪部64,65がピン30のくびれ部33にはまり込む。このため、保持部61からピン30の胴部32が下方に抜けるのを阻止する。
【0046】
つぎに、操作片50を、図8に示すように、傾倒する。操作片50を傾倒すると、カム斜面55が固定部材20の上面に当接することにより、操作片50の軸孔54の位置が上昇し、当該軸孔54にはまり込む突軸66を介して、本体部40が固定部材20の上面から上昇する。
本体部40が上昇すると、ピン30のくびれ部33にはまり込んでいる爪部64,65も上昇し、ピン30の胴部32が取付孔21から引き込まれる。
【0047】
このため、固定部材20の裏面にピン30の底部31が密着し、ピン30を介して被固定部材(図示せず)が固定部材20に対して固定される。
操作片50を傾倒させると、図14及び図15に示すように、穴状の被係合部56に、係合片67の先端部の係合爪68がはまり込み、操作片50を傾倒状態にロックする。
なお、説明は省略するが、上記した手順と逆の手順により、被固定部材(図示せず)を固定部材20から取り外すことも可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 固定具
20 固定部材(車体) 30 ピン
31 底部 32 胴部
33 くびれ部 34 先端部
40 本体部 50 操作片
51 後壁 52 側壁
53 閉塞壁 54 軸孔
55 カム斜面 56 被係合部
57 段部
60 枠体
61 保持部 62 ベース部
63 アーム部 64,65 爪部
66 突軸 67 係合片
68 係合爪 70 弾性係止片
71 開放部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定部材に設けられた固定部が挿入可能な取付孔を有する固定部材に対し、前記固定部を介して前記被固定部材を固定するための固定具であって、
前記固定具には、
前記取付孔を通して突出する前記固定部を保持可能な保持部を有する本体部と、
前記本体部に傾倒可能に取り付けられ、傾倒した際に前記取付孔から前記固定部を引き込むことで、前記固定部材に対し、前記被固定部材を密着させるための操作片と、
前記本体部と操作片との間に位置し、前記操作片の傾倒状態を維持するロック手段と
を備えていることを特徴とする固定具。
【請求項2】
請求項1に記載の固定具であって、
前記固定部には、
円柱状の胴部を備え、
前記保持部には、
前記胴部にスナップフィット可能な弾性係止片を備えていることを特徴とする固定具。
【請求項3】
請求項2に記載の固定具であって、
前記弾性係止片は、
前記胴部の軸心方向に垂直な方向に対向して少なくとも一対形成され、
一対の前記弾性係止片の間には、
前記垂直な方向の一方向から前記胴部を受け入れ可能な開放部を設けていることを特徴とする固定具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定具であって、
前記ロック手段は、
本体部又は操作片のいずれか一方に設けられた係合片と、
他方に設けられた被係合部とから構成されていることを特徴とする固定具。
【請求項5】
請求項3に記載の固定具であって、
前記操作片には、
前記傾倒状態において、前記開放部を塞ぐ閉塞壁を設けていることを特徴とする固定具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定具であって、
前記操作片には、
前記固定部材に当接するカム斜面を備え、
前記カム斜面は、
傾倒する前の直立状態から前記傾倒状態に向かって、傾倒する際の支点から距離が増加するように構成されていることを特徴とする固定具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−7258(P2011−7258A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151033(P2009−151033)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】