固定化パラジウム触媒
【課題】安価なポリジメチルシランを利用した、高活性かつ繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こらない固定化パラジウム触媒を提供する。
【解決手段】ポリジメチルシランと金属酸化物を溶媒に分散させた状態でこれらにパラジウムを担持させ、不溶物を溶媒から分離することにより、固定化パラジウム触媒が得られる。この固定化段階で、パラジウムは径が数nmのパラジウムクラスターとなって担持される。このようにして得られた固定化パラジウム触媒は、高活性であって、繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こりにくい。
【解決手段】ポリジメチルシランと金属酸化物を溶媒に分散させた状態でこれらにパラジウムを担持させ、不溶物を溶媒から分離することにより、固定化パラジウム触媒が得られる。この固定化段階で、パラジウムは径が数nmのパラジウムクラスターとなって担持される。このようにして得られた固定化パラジウム触媒は、高活性であって、繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こりにくい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポリジメチルシランを利用した固定化パラジウム触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウムは種々の化学反応の触媒として古くから使用されており、化学プロセスでは安定性に優れ、生成物との分離や再利用が容易な不均一系パラジウム触媒が多用されている(特許文献1など)。このような不均一系パラジウム触媒の多くは、アルミナなどの金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、活性炭などの不溶性担体にパラジウム金属が固定されている。近年、電子顕微鏡など分析技術の進歩に伴いパラジウムが数個から数千個集まった状態(パラジウムクラスター)の観察が可能になり、不均一系パラジウム触媒反応においてはパラジウムクラスターのサイズが小さいほど触媒活性が増大することが明らかになってきている。
白金系触媒の固定化方法として、白金錯体をポリシランのマイクロカプセルに封入した例が知られているが(特許文献2など)、ここで用いられるポリシランは容易に軟化又は溶媒に溶解するものであったため、長期の使用や再利用の必要性が高い産業用の有機合成用触媒として使用することは難しかった。
本発明者らは、微小金属クラスターの製造方法としてマイクロカプセル化(MC)法やポリマーインカルセランド(PI)法を開発し、ポリ(メチルフェニルシラン)を担体とした数ナノメートルのパラジウムクラスターを安定に単離し、これらが合成用触媒として有用であることを報告している(特許文献3,4、非特許文献1)。ここで用いられたポリ(メチルフェニルシラン)は可溶性であるため、産業用の有機合成用触媒として用いるためには、このポリシランを加熱して架橋させることが必要であった。
一方、ポリジメチルシランは、他のポリシランとは異なり、ほとんどの溶媒に対して不溶性であるため(非特許文献2など)、MC法やPI法による金属触媒の担体としては利用されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−40739
【特許文献2】特開平2−9448
【特許文献3】特開2007−260659
【特許文献4】国際公開WO2007/102334
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Org. Biomol. Chem., 6, 61-65 (2008).
【非特許文献2】櫻井英樹監修「有機ケイ素ポリマーの開発」CMC 1989年(p17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリジメチルシランは安価であるため金属触媒の固定用のポリシランとして使用することができたならば、産業上のメリットは大きい。
しかしながら、ポリジメチルシランは、ポリシランの中では唯一いかなる溶媒にも溶解しないため(非特許文献1など)、いかなる方法によって金属触媒をポリジメチルシランにより固定化するかについては従来知られていなかった。
更に、産業上で使用するポリシラン固定化金属触媒としては、高活性かつ繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こらないことが求められている。
即ち、本発明は、安価なポリジメチルシランを利用した、高活性かつ繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こらない固定化パラジウム触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは上記課題を鋭意検討した結果、ポリジメチルシランを溶媒に溶解させようとせずに、ポリジメチルシランと金属酸化物を溶媒に分散させた状態でこれらにパラジウムを担持させ、不溶物を溶媒から分離することにより、固定化パラジウム触媒が得られることを見出した。溶媒中にポリジメチルシランと金属酸化物が存在することにより、大部分のパラジウムは径が数nmの0価のクラスターとなって固定化される。
この固定化段階は常温で行うことができ、従来のように(特許文献3,4、非特許文献1)、ポリシランを安定化させるために、加熱して架橋させる必要はない。
このようにして得られた固定化パラジウム触媒は、高活性であって、繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こりにくいという顕著な特性を持つことが確認された(実施例15〜29、実施例30〜34参照)。
【0007】
即ち、本発明は、ポリジメチルシラン、金属酸化物及びパラジウムクラスターから成る固定化パラジウム触媒であって、該パラジウムクラスターが該ポリジメチルシラン及び該金属酸化物に担持されたことを特徴とする固定化パラジウム触媒である。
また本発明は、以下の工程からなる固定化パラジウム触媒の製法である。
(1)−20〜60℃で、パラジウム塩又はパラジウム錯体が溶解又は分散し、ポリジメチルシラン及び金属酸化物が分散した溶液又は分散液を用意する工程、及び
(2)前記溶液又は分散液から不溶物を分離する工程
更に本発明は、上記触媒又は上記製法により製造された触媒を、水素化反応又は鈴木−宮浦カップリング反応に使用する方法である。
【発明の効果】
【0008】
従来のポリジメチルシラン以外のポリシラン(即ち、可溶性ポリシラン)を用いる(ポリシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒の製法においては、パラジウムを還元した後ポリシランに対する貧溶媒を加えてポリシランを析出させる工程や、加熱によりポリシランを不溶化する工程が必要であったが(特許文献3,4、非特許文献1)、本発明の不溶性であるポリジメチルシランを利用した製法においては、このような工程が不要であることから、製造コストを大幅に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で用いたフロー方式の水素化反応装置の模式図である。
【図2】実施例で得られた本願発明の触媒の電子顕微鏡写真(STEM)である。黒点は、パラジウムクラスター(約3〜7nm)を示し、雲のように見えるのはポリジメチルシランである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒は、ポリジメチルシラン及び金属酸化物にパラジウムクラスターを固定したものである。
【0011】
本発明で用いるポリジメチルシラン(以下「PMPSi」とも表す。)は、ケイ素−ケイ素結合が繋がった主鎖とメチル基のみの置換基からなる高分子で、結晶性が高く、ほとんど全ての溶媒に溶解しない。その分子量は好ましくは約1,000〜約10,000である。このようなポリジメチルシランは、通常、ジクロロジメチルシランと金属ナトリウムからKipping法により製造することができる。
【0012】
本発明で用いる金属酸化物(以下「MO」とも表す。)は、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マグネシウム又はこれらの組み合わせの酸化物である。このような金属酸化物として、γ−アルミナ、α−アルミナ、シリカ−アルミナが好ましい。
α−アルミナは、通常、可溶性アルミニウム塩の水溶液から水酸化アルミニウムを沈澱・ろ過・加熱することにより得られ(バイヤー法)、コランダム型の結晶形態を持ち、化学的に安定であり、融点が高い(1999〜2032℃)。γ−アルミナは、三水化物やα水化アルミナを加熱脱水し、更に900℃に保つことにより得られ、スピネル型の結晶形態を持つ。シリカ−アルミナは、シリカ及びアルミナヒドロゲルを混練して得られた粗シリカアルミナヒドロゲルを焼成して製造され、固体酸性を有し、多くは非晶質である。
触媒をカラムに充填してフロー方式で使用する場合は、この金属酸化物はカラムクロマトグラフィー用などの粒径が揃っているもの(例えば、粒径10〜200μm)が好ましい。金属酸化物の粒径が大きすぎると触媒活性が低下するが、小さ過ぎるとろ過速度の低下や、フロー方式で用いる場合は圧損が大きくなる。
【0013】
本発明の触媒中のパラジウムは0価のパラジウムクラスターとしてポリジメチルシランと金属酸化物に固定されるが、2価のパラジウムが混在してもよい。このクラスターのサイズは2〜10nm程度であり、電子顕微鏡により観察可能である。
本発明の触媒中のパラジウム/PMPSi/MO比は、0.01〜0.5mmol/0.02〜0.5g/1g、好ましくは0.02〜0.2mmol/0.05〜0.25g/1gである。
【0014】
本発明の(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒は、溶媒中でパラジウム源からのPdをポリジメチルシランと金属酸化物に固定することにより得ることができる。
パラジウム源としては、一般に、パラジウム塩又はパラジウム錯体が用いられる。このようなパラジウム源としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酸化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、パラジウム(II)アセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられ、好ましくは酢酸パラジウム又は塩化パラジウムである。
【0015】
パラジウム塩をポリジメチルシランと金属酸化物を含む溶媒中で混合することにより、パラジウムは還元される。パラジウム塩によっては、還元反応を促進するために、この溶媒中に還元剤を共存させてもよい。この還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドロシラン化合物、水素ガスなどが好適である。金属酸化物を用いずにポリジメチルシランのみにパラジウムを担持させた場合には、重量あたりの担持量を大きくすることができない(例えば、触媒O、表1、2参照)。
この際用いる溶媒は、パラジウム源を溶解させる溶媒が好ましい。しかし、パラジウム源を単に分散させる溶媒を使用してもよい。また、ポリジメチルシランと金属酸化物は、溶媒に溶解しないので、溶媒中に分散させる。さらに、テトラヒドロフランやジオキサンなどの水と混和する有機溶媒を用いた場合は、パラジウム塩を水溶液として添加してもよい。
このような溶媒として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、アルコールなどが利用でき、中でもトルエン、テトラヒドロフランなどが好適である。また、低分子量のアルコールを溶媒に共存させることでパラジウムの還元反応を促進及び完結させることができる。低分子量のアルコールとしては炭素数3以下のアルコールが好ましく、中でもメタノールが好適であり、アルコールを添加するタイミングとしては溶媒中にあらかじめ加えておいても、又は混合の途中で添加してもよい。添加するアルコールの量は、主溶媒に対して1〜100%(V/V)である。
【0016】
パラジウム塩は、還元が進行するに従い反応系の色が黒変する。この還元反応は、通常、−20℃〜60℃、好ましくは0〜40℃、より好ましくは0℃〜室温で、反応時間が1分間〜24時間で行われる。温度は高すぎるとクラスターサイズが大きくなるため、低い方が好ましく、還元反応を速くする目的で加熱する場合も60℃以下で実施する。
還元反応終了後、上記溶液又は分散液から不溶物を分離する。この分離方法としては、ろ過や遠心操作が行われる。通常、溶媒から分離した不溶物をその後十分に洗浄後、乾燥する。このろ過や洗浄工程により、固定されなかったパラジウムや還元剤由来の不純物等は除去される。洗浄溶媒としては反応に使用した溶媒、メタノール、水などが好適である。乾燥方法に制約は無いが、減圧下で加熱乾燥するのが簡便である。
【0017】
パラジウム源としてパラジウム(0)錯体を用いる場合には、パラジウム錯体をポリジメチルシラン及び金属酸化物と共に溶媒中で混合することにより配位子交換し、パラジウムは、パラジウムクラスターとしてポリメチルフェニルシラン及び金属酸化物に固定される。この配位子交換は、通常0〜40℃で、反応時間が0.5〜24時間で行われる。0価でない錯体を使用する場合は還元操作が必要であり、この還元操作として上述の還元操作を行えばよい。溶媒は上記と同様の溶媒が用いられる。
【0018】
溶媒中のパラジウム源の濃度は、Pdとして0.01〜0.2M、ポリメチルシランの量は20〜200g/リットル、金属酸化物の量は100〜500g/リットルである。
還元剤を用いる場合には、還元剤の使用量はパラジウム源に対して当量から10当量程度である。
このようにして得られた(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒は、水添反応や水素化分解反応等の水素化反応や鈴木−宮浦カップリング反応などに利用できる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
パラジウムの担持量はICP発光分析装置((株)島津製作所製ICPS-7510)により測定した。1H-NMRは重クロロホルムを溶媒として核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製 JNM−LA500)により測定した。
【0020】
実施例1
ポリジメチルシラン(日本曹達株式会社製 パーメチルポリシラン、数平均分子量2,500、5.0 g)と活性アルミナ(和光純薬工業株式会社、300 mesh、45.0 g)が入ったセパラブルフラスコ(300 ml)に、アルゴン気流下でトルエン(100 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら酢酸パラジウム(アルドリッチ社製、5.0 mmol)を加え、5分後に氷浴を水浴(25℃)に代えた。15分後、メタノール(100 ml)を10分間で滴下し、さらに15分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をトルエン(3回)、メタノール(3回)、水(4回)で順次洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して灰茶色粉末((ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウム、以下「触媒A」と呼ぶ。)を得た(50.1 g)。
【0021】
実施例2
ポリジメチルシラン(5.0 g)と活性アルミナ(300 mesh、45.0 g)と水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬工業株式会社、25 mmol)が入ったセパラブルフラスコ(300 ml)に、アルゴン気流下でトルエン(100 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら塩化パラジウム(アルドリッチ社製、5.0 mmol)のメタノール(25 ml)懸濁液を加えた後、氷浴を水浴(25℃)に代えた。5分後、メタノール(75 ml)を5分間で滴下し、さらに30分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をメタノール(3回)、水(4回)で順次洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して白灰色粉末((ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウム、以下「触媒B」と呼ぶ。)を得た(51.4 g)。
【0022】
実施例3
ポリジメチルシラン(5.0 g)と活性アルミナ(300 mesh、45.0 g)が入ったセパラブルフラスコ(300 ml)に、アルゴン気流下でトルエン/メタノールの混合溶媒(100 ml/1 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら酢酸パラジウム(アルドリッチ社製、5.0 mmol)を加え、5分後に氷浴を水浴(25℃)に代えた。5分後、メタノール(4 ml)を30分間で滴下し、さらに20分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をトルエン(3回)、メタノール(3回)、水(4回)で順次洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して灰茶色粉末((ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウム、以下「触媒C」と呼ぶ。)を得た(52.0 g)。
【0023】
実施例4〜8
表1に示すように、酢酸パラジウム、ポリジメチルシラン、アルミナの比率を変えて、実施例1と同様にして、(ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウムを合成した。得られた触媒をそれぞれ「触媒D〜H」と呼ぶ。
実施例9〜14
表1に示すように金属酸化物の種類を変えて、実施例1と同様にして、(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウムを合成した。γ−アルミナ、シリカ−アルミナ及びマグネシアはアルドリッチ社、ジルコニアは関東化学株式会社、ゼオライトは東ソー株式会社のものを用いた。得られた(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウムをそれぞれ「触媒I〜N」と呼ぶ。
【0024】
比較例1
ポリジメチルシラン(5.0 g)をフラスコ(100 ml)に秤量し、アルゴン気流下でトルエン(20 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら酢酸パラジウム(アルドリッチ社製、0.2 mmol)を加え、90分後にメタノール(50 ml)を滴下し、さらに15分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をメタノール(3回)洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して灰色粉末(ポリジメチルシラン担持パラジウム、以下「触媒O」と呼ぶ。)を得た(5.0 g)。
【0025】
得られた触媒のパラジウムの担持量とパラジウムの回収率を表1に示す。
【表1】
【0026】
実施例15〜28
この実施例では、フロー方式で、下式のスクアレンの水素化反応を行った。
【化1】
【0027】
この実施例で用いたフロー方式の水素化反応装置を図1に示す。この装置は、送液ポンプ((株)島津製作所製LC-6AD)、マスフローコントローラー(リンテック株式会社製MC-3000E及びRP-300)、及び反応容器として中・低圧液クロ用ガラスカラム(東京理化器械株式会社製、10φ×100 mm又は5φ×50 mm、ガラスフィルターポアサイズ:10μm)を使用し、これらを1/16インチ(1.6mm)SUSチューブ又はPEEKチューブで接続した。送液ポンプによりサーバーから送られた原料と、マスフローコントローラーを通して送られた水素ガスは触媒を充填したカラムの上端で混合され、恒温槽内の触媒が充填されたカラムに送り込まれる。生成物はカラムの下端から余剰水素ガスとともに流出する。
表2に示す量の触媒A〜Nを、上記水素化反応装置のガラスカラム(内径10φ×100 mm)に充填し、スクワレン(和光純薬工業株式会社)の水添反応を下記条件で行った。スクワレン:200μl/min、水素ガス:120 ml/min、カラム温度:40℃又は60℃。
【0028】
比較例2
触媒Oをガラスカラム(内径5φ×50 mm)に充填し、実施例15と同様に、スクワレンの水添反応を以下の条件で行った。スクワレン(neat):50μl/min、水素ガス:30 ml/min、カラム温度:80℃。
アルミナを含まない触媒は嵩比重が低いため同容量のカラムに充填できるパラジウム量は少ない(表2)。
実施例29
触媒Oの代わりに触媒Gを用いて、比較例2と同様にして、スクワレンの水添反応を行った。
比較例3
触媒Aの代わりに市販の1%パラジウム/アルミナ(アルドリッチ社製、以下「触媒P」と呼ぶ。)を用いて、実施例15と同様の方法でスクワレンの水添反応を行った。
【0029】
結果を表2に示す。生成物の還元率は、1H-NMRで測定したビニルプロトンとメチル及びメチレンプロトンとの積分比から算出した。
【表2】
【0030】
金属酸化物がγ−アルミナ、α−アルミナ、シリカ−アルミナの場合(実施例15〜25、触媒A〜K)、温和な条件下でもスクワレンの水添反応が効率的に進行した。時間の経過とともに還元率が低下するのは原料スクワレン中の不純物によるものと考えられ、反応終了後、触媒を洗浄することにより初期活性は回復する(実施例30〜34参照)。
一方、パラジウムをポリジメチルシランのみに担持した触媒(触媒O)を用いて同様の反応を行った場合(比較例2)、高い還元率(quant)が3時間以上維持された本願発明の触媒(実施例29)に比べて、還元率は低く、かつ早期に失活した。
また、パラジウムを金属酸化物のみに担持した触媒(触媒P)を用いて同様の反応を行った場合(比較例3)、本願発明の触媒(実施例15等)に比べて還元率は低かった(比較例3、40℃で56〜58%)。
【0031】
実施例30
本実施例では、触媒Aをガラスカラム(内径5φ×50 mm)に充填し、実施例15と同様の装置を用い、次の条件でα−メチルスチレン(東京化成工業株式会社)の水添反応を行った。α−メチルスチレン(neat):132μl(1.0 mmol)/min、水素ガス:44.8 ml(2.0 mmol)/min、カラム温度:25℃。1時間ごとに生成物の1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、2−フェニルプロパンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.27(d, 6H), 2.88-2.93(m, 1H), 7.16-7.19(m, 1H), 7.22-7.24(m, 2H), 7.26-7.31(m, 2H).
実施例31
本実施例では、実施例30で使用した触媒Aの入ったカラムをイソプロピルアルコール(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件で2−シクロヘキセン−1−オン(東京化成工業株式会社)の水添反応を行った。2−シクロヘキセン−1−オン(neat):97μl(1.0 mmol)/min、水素ガス:31.4 ml(1.4 mmol)/min、カラム温度:25℃。1時間ごとに生成物の1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、シクロヘキサノンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.67-1.72(m, 2H), 1.82-1.87(m, 4H), 2.30-2.33(m, 4H).
【0032】
実施例32
本実施例では、実施例31で使用した触媒Aの入ったカラムをヘキサン(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件でフェニルアセチレン(東京化成工業株式会社)の水添反応を行った。フェニルアセチレン(neat):110μl(1.0 mmol)/min、水素ガス:62.7 ml(2.8 mmol)/min、カラム温度:25℃。1時間ごとに生成物の1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、エチルベンゼンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.28(t, 3H), 2.67(q, 2H), 7.18-7.33(m, 5H).
実施例33
本実施例では、実施例32で使用した触媒Aの入ったカラムをイソプロピルアルコール(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件でマレイン酸(和光純薬工業株式会社)の水添反応を行った。マレイン酸水溶液(1 M):200μl/min、水素ガス:9.0 ml/min、カラム温度:80℃。1時間ごとに生成物を濃縮し1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、コハク酸が定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CD3OD)δ 2.56(s, 4H).
【0033】
実施例34
本実施例では、実施例33で使用した触媒Aの入ったカラムを水(50ml)で洗浄し続いてメタノール(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件で4−ニトロトルエン(東京化成工業株式会社)のニトロ基の還元反応を行った。4−ニトロトルエン(0.5 M、メタノール溶液):500μl/min、水素ガス:22.4 ml/min、カラム温度:50℃。1時間ごとに生成物を濃縮し1H-NMRを測定したところ3時間まで原料が完全に消失し、p−トルイジンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 2.25(s, 3H), 6.61(d, 2H), 6.97(d, 2H).
実施例30〜34において、触媒Aを再利用して異なる数種の水素化反応を行ったが、触媒Aは上記のように高い触媒活性を維持した。即ち、本発明の触媒は、繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こらないという顕著な特性を持つことがわかる。
【0034】
実施例35
この実施例では、バッチ方式でケイ皮酸エチルの水素化反応を行った。
ナス型フラスコ(10 ml)中のケイ皮酸エチル(東京化成工業株式会社、20 mmol)と触媒A(1.09 g、Pd=100μmol)に水素ガス(10 ml/min)を吹き込んだ。1H-NMRで反応の進行を追跡したところ7時間後にケイ皮酸エチルのシグナルは完全に消失し、3−フェニルプロピオン酸エチルのシグナルのみとなった。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.23(t, 3H), 2.62(t, 2H), 2.95(t, 2H), 4.13(q, 2H), 7.19-7.21(m, 3H), 7.26-7.30(m, 2H).
【0035】
実施例36
実施例1と同様の方法で(ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウムを調製した(Pd:59μmol/g、回収率77%)。得られた触媒の電子顕微鏡写真(STEM)を図2に示す。
この触媒を用いて、下記の鈴木−宮浦カップリング反応を行った。
【化2】
触媒(Pd=0.5μmol)と2−ブロモアニソール(0.50 mmol)とフェニルボロン酸(0.60 mmol)とP(o-MeOC6H4)3(0.5μmol)と炭酸カリウム(0.75 mmol)をアルゴン雰囲気下でエタノール(1 ml)に懸濁し、70℃で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、触媒をろ過で除き、有機層を水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣を薄層クロマトグラフィーで精製して2−メトキシビフェニルを得た(収率>99%)。生成物の分析データを下記に示す:
1H NMR (CDC13) δ 3.59 (s, 3H), 6.79 (d 1H, J= 5.3 Hz), 6.87 (t, 1H, J= 6.2 Hz), 7.15-7.18(m, 3H), 7.25(t, 2H, J= 7.6 Hz), 7.39(d, 2H, J= 7.6 Hz). 13C NMR (CDC13) δ 55.3, 111.1, 120.7, 126.8, 127.0, 128.6, 129.4, 130.6, 130.8, 138.4, 156.3.
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポリジメチルシランを利用した固定化パラジウム触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウムは種々の化学反応の触媒として古くから使用されており、化学プロセスでは安定性に優れ、生成物との分離や再利用が容易な不均一系パラジウム触媒が多用されている(特許文献1など)。このような不均一系パラジウム触媒の多くは、アルミナなどの金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、活性炭などの不溶性担体にパラジウム金属が固定されている。近年、電子顕微鏡など分析技術の進歩に伴いパラジウムが数個から数千個集まった状態(パラジウムクラスター)の観察が可能になり、不均一系パラジウム触媒反応においてはパラジウムクラスターのサイズが小さいほど触媒活性が増大することが明らかになってきている。
白金系触媒の固定化方法として、白金錯体をポリシランのマイクロカプセルに封入した例が知られているが(特許文献2など)、ここで用いられるポリシランは容易に軟化又は溶媒に溶解するものであったため、長期の使用や再利用の必要性が高い産業用の有機合成用触媒として使用することは難しかった。
本発明者らは、微小金属クラスターの製造方法としてマイクロカプセル化(MC)法やポリマーインカルセランド(PI)法を開発し、ポリ(メチルフェニルシラン)を担体とした数ナノメートルのパラジウムクラスターを安定に単離し、これらが合成用触媒として有用であることを報告している(特許文献3,4、非特許文献1)。ここで用いられたポリ(メチルフェニルシラン)は可溶性であるため、産業用の有機合成用触媒として用いるためには、このポリシランを加熱して架橋させることが必要であった。
一方、ポリジメチルシランは、他のポリシランとは異なり、ほとんどの溶媒に対して不溶性であるため(非特許文献2など)、MC法やPI法による金属触媒の担体としては利用されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平5−40739
【特許文献2】特開平2−9448
【特許文献3】特開2007−260659
【特許文献4】国際公開WO2007/102334
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Org. Biomol. Chem., 6, 61-65 (2008).
【非特許文献2】櫻井英樹監修「有機ケイ素ポリマーの開発」CMC 1989年(p17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリジメチルシランは安価であるため金属触媒の固定用のポリシランとして使用することができたならば、産業上のメリットは大きい。
しかしながら、ポリジメチルシランは、ポリシランの中では唯一いかなる溶媒にも溶解しないため(非特許文献1など)、いかなる方法によって金属触媒をポリジメチルシランにより固定化するかについては従来知られていなかった。
更に、産業上で使用するポリシラン固定化金属触媒としては、高活性かつ繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こらないことが求められている。
即ち、本発明は、安価なポリジメチルシランを利用した、高活性かつ繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こらない固定化パラジウム触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは上記課題を鋭意検討した結果、ポリジメチルシランを溶媒に溶解させようとせずに、ポリジメチルシランと金属酸化物を溶媒に分散させた状態でこれらにパラジウムを担持させ、不溶物を溶媒から分離することにより、固定化パラジウム触媒が得られることを見出した。溶媒中にポリジメチルシランと金属酸化物が存在することにより、大部分のパラジウムは径が数nmの0価のクラスターとなって固定化される。
この固定化段階は常温で行うことができ、従来のように(特許文献3,4、非特許文献1)、ポリシランを安定化させるために、加熱して架橋させる必要はない。
このようにして得られた固定化パラジウム触媒は、高活性であって、繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こりにくいという顕著な特性を持つことが確認された(実施例15〜29、実施例30〜34参照)。
【0007】
即ち、本発明は、ポリジメチルシラン、金属酸化物及びパラジウムクラスターから成る固定化パラジウム触媒であって、該パラジウムクラスターが該ポリジメチルシラン及び該金属酸化物に担持されたことを特徴とする固定化パラジウム触媒である。
また本発明は、以下の工程からなる固定化パラジウム触媒の製法である。
(1)−20〜60℃で、パラジウム塩又はパラジウム錯体が溶解又は分散し、ポリジメチルシラン及び金属酸化物が分散した溶液又は分散液を用意する工程、及び
(2)前記溶液又は分散液から不溶物を分離する工程
更に本発明は、上記触媒又は上記製法により製造された触媒を、水素化反応又は鈴木−宮浦カップリング反応に使用する方法である。
【発明の効果】
【0008】
従来のポリジメチルシラン以外のポリシラン(即ち、可溶性ポリシラン)を用いる(ポリシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒の製法においては、パラジウムを還元した後ポリシランに対する貧溶媒を加えてポリシランを析出させる工程や、加熱によりポリシランを不溶化する工程が必要であったが(特許文献3,4、非特許文献1)、本発明の不溶性であるポリジメチルシランを利用した製法においては、このような工程が不要であることから、製造コストを大幅に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で用いたフロー方式の水素化反応装置の模式図である。
【図2】実施例で得られた本願発明の触媒の電子顕微鏡写真(STEM)である。黒点は、パラジウムクラスター(約3〜7nm)を示し、雲のように見えるのはポリジメチルシランである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒は、ポリジメチルシラン及び金属酸化物にパラジウムクラスターを固定したものである。
【0011】
本発明で用いるポリジメチルシラン(以下「PMPSi」とも表す。)は、ケイ素−ケイ素結合が繋がった主鎖とメチル基のみの置換基からなる高分子で、結晶性が高く、ほとんど全ての溶媒に溶解しない。その分子量は好ましくは約1,000〜約10,000である。このようなポリジメチルシランは、通常、ジクロロジメチルシランと金属ナトリウムからKipping法により製造することができる。
【0012】
本発明で用いる金属酸化物(以下「MO」とも表す。)は、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、マグネシウム又はこれらの組み合わせの酸化物である。このような金属酸化物として、γ−アルミナ、α−アルミナ、シリカ−アルミナが好ましい。
α−アルミナは、通常、可溶性アルミニウム塩の水溶液から水酸化アルミニウムを沈澱・ろ過・加熱することにより得られ(バイヤー法)、コランダム型の結晶形態を持ち、化学的に安定であり、融点が高い(1999〜2032℃)。γ−アルミナは、三水化物やα水化アルミナを加熱脱水し、更に900℃に保つことにより得られ、スピネル型の結晶形態を持つ。シリカ−アルミナは、シリカ及びアルミナヒドロゲルを混練して得られた粗シリカアルミナヒドロゲルを焼成して製造され、固体酸性を有し、多くは非晶質である。
触媒をカラムに充填してフロー方式で使用する場合は、この金属酸化物はカラムクロマトグラフィー用などの粒径が揃っているもの(例えば、粒径10〜200μm)が好ましい。金属酸化物の粒径が大きすぎると触媒活性が低下するが、小さ過ぎるとろ過速度の低下や、フロー方式で用いる場合は圧損が大きくなる。
【0013】
本発明の触媒中のパラジウムは0価のパラジウムクラスターとしてポリジメチルシランと金属酸化物に固定されるが、2価のパラジウムが混在してもよい。このクラスターのサイズは2〜10nm程度であり、電子顕微鏡により観察可能である。
本発明の触媒中のパラジウム/PMPSi/MO比は、0.01〜0.5mmol/0.02〜0.5g/1g、好ましくは0.02〜0.2mmol/0.05〜0.25g/1gである。
【0014】
本発明の(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒は、溶媒中でパラジウム源からのPdをポリジメチルシランと金属酸化物に固定することにより得ることができる。
パラジウム源としては、一般に、パラジウム塩又はパラジウム錯体が用いられる。このようなパラジウム源としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酸化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、パラジウム(II)アセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられ、好ましくは酢酸パラジウム又は塩化パラジウムである。
【0015】
パラジウム塩をポリジメチルシランと金属酸化物を含む溶媒中で混合することにより、パラジウムは還元される。パラジウム塩によっては、還元反応を促進するために、この溶媒中に還元剤を共存させてもよい。この還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドロシラン化合物、水素ガスなどが好適である。金属酸化物を用いずにポリジメチルシランのみにパラジウムを担持させた場合には、重量あたりの担持量を大きくすることができない(例えば、触媒O、表1、2参照)。
この際用いる溶媒は、パラジウム源を溶解させる溶媒が好ましい。しかし、パラジウム源を単に分散させる溶媒を使用してもよい。また、ポリジメチルシランと金属酸化物は、溶媒に溶解しないので、溶媒中に分散させる。さらに、テトラヒドロフランやジオキサンなどの水と混和する有機溶媒を用いた場合は、パラジウム塩を水溶液として添加してもよい。
このような溶媒として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、アルコールなどが利用でき、中でもトルエン、テトラヒドロフランなどが好適である。また、低分子量のアルコールを溶媒に共存させることでパラジウムの還元反応を促進及び完結させることができる。低分子量のアルコールとしては炭素数3以下のアルコールが好ましく、中でもメタノールが好適であり、アルコールを添加するタイミングとしては溶媒中にあらかじめ加えておいても、又は混合の途中で添加してもよい。添加するアルコールの量は、主溶媒に対して1〜100%(V/V)である。
【0016】
パラジウム塩は、還元が進行するに従い反応系の色が黒変する。この還元反応は、通常、−20℃〜60℃、好ましくは0〜40℃、より好ましくは0℃〜室温で、反応時間が1分間〜24時間で行われる。温度は高すぎるとクラスターサイズが大きくなるため、低い方が好ましく、還元反応を速くする目的で加熱する場合も60℃以下で実施する。
還元反応終了後、上記溶液又は分散液から不溶物を分離する。この分離方法としては、ろ過や遠心操作が行われる。通常、溶媒から分離した不溶物をその後十分に洗浄後、乾燥する。このろ過や洗浄工程により、固定されなかったパラジウムや還元剤由来の不純物等は除去される。洗浄溶媒としては反応に使用した溶媒、メタノール、水などが好適である。乾燥方法に制約は無いが、減圧下で加熱乾燥するのが簡便である。
【0017】
パラジウム源としてパラジウム(0)錯体を用いる場合には、パラジウム錯体をポリジメチルシラン及び金属酸化物と共に溶媒中で混合することにより配位子交換し、パラジウムは、パラジウムクラスターとしてポリメチルフェニルシラン及び金属酸化物に固定される。この配位子交換は、通常0〜40℃で、反応時間が0.5〜24時間で行われる。0価でない錯体を使用する場合は還元操作が必要であり、この還元操作として上述の還元操作を行えばよい。溶媒は上記と同様の溶媒が用いられる。
【0018】
溶媒中のパラジウム源の濃度は、Pdとして0.01〜0.2M、ポリメチルシランの量は20〜200g/リットル、金属酸化物の量は100〜500g/リットルである。
還元剤を用いる場合には、還元剤の使用量はパラジウム源に対して当量から10当量程度である。
このようにして得られた(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウム触媒は、水添反応や水素化分解反応等の水素化反応や鈴木−宮浦カップリング反応などに利用できる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
パラジウムの担持量はICP発光分析装置((株)島津製作所製ICPS-7510)により測定した。1H-NMRは重クロロホルムを溶媒として核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製 JNM−LA500)により測定した。
【0020】
実施例1
ポリジメチルシラン(日本曹達株式会社製 パーメチルポリシラン、数平均分子量2,500、5.0 g)と活性アルミナ(和光純薬工業株式会社、300 mesh、45.0 g)が入ったセパラブルフラスコ(300 ml)に、アルゴン気流下でトルエン(100 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら酢酸パラジウム(アルドリッチ社製、5.0 mmol)を加え、5分後に氷浴を水浴(25℃)に代えた。15分後、メタノール(100 ml)を10分間で滴下し、さらに15分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をトルエン(3回)、メタノール(3回)、水(4回)で順次洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して灰茶色粉末((ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウム、以下「触媒A」と呼ぶ。)を得た(50.1 g)。
【0021】
実施例2
ポリジメチルシラン(5.0 g)と活性アルミナ(300 mesh、45.0 g)と水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬工業株式会社、25 mmol)が入ったセパラブルフラスコ(300 ml)に、アルゴン気流下でトルエン(100 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら塩化パラジウム(アルドリッチ社製、5.0 mmol)のメタノール(25 ml)懸濁液を加えた後、氷浴を水浴(25℃)に代えた。5分後、メタノール(75 ml)を5分間で滴下し、さらに30分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をメタノール(3回)、水(4回)で順次洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して白灰色粉末((ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウム、以下「触媒B」と呼ぶ。)を得た(51.4 g)。
【0022】
実施例3
ポリジメチルシラン(5.0 g)と活性アルミナ(300 mesh、45.0 g)が入ったセパラブルフラスコ(300 ml)に、アルゴン気流下でトルエン/メタノールの混合溶媒(100 ml/1 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら酢酸パラジウム(アルドリッチ社製、5.0 mmol)を加え、5分後に氷浴を水浴(25℃)に代えた。5分後、メタノール(4 ml)を30分間で滴下し、さらに20分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をトルエン(3回)、メタノール(3回)、水(4回)で順次洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して灰茶色粉末((ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウム、以下「触媒C」と呼ぶ。)を得た(52.0 g)。
【0023】
実施例4〜8
表1に示すように、酢酸パラジウム、ポリジメチルシラン、アルミナの比率を変えて、実施例1と同様にして、(ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウムを合成した。得られた触媒をそれぞれ「触媒D〜H」と呼ぶ。
実施例9〜14
表1に示すように金属酸化物の種類を変えて、実施例1と同様にして、(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウムを合成した。γ−アルミナ、シリカ−アルミナ及びマグネシアはアルドリッチ社、ジルコニアは関東化学株式会社、ゼオライトは東ソー株式会社のものを用いた。得られた(ポリジメチルシラン−金属酸化物)担持パラジウムをそれぞれ「触媒I〜N」と呼ぶ。
【0024】
比較例1
ポリジメチルシラン(5.0 g)をフラスコ(100 ml)に秤量し、アルゴン気流下でトルエン(20 ml)を加えた。氷冷下で攪拌しながら酢酸パラジウム(アルドリッチ社製、0.2 mmol)を加え、90分後にメタノール(50 ml)を滴下し、さらに15分間攪拌を続けた。生成物をろ過し、固形物をメタノール(3回)洗浄した。得られた粉末を減圧下、80℃で乾燥して灰色粉末(ポリジメチルシラン担持パラジウム、以下「触媒O」と呼ぶ。)を得た(5.0 g)。
【0025】
得られた触媒のパラジウムの担持量とパラジウムの回収率を表1に示す。
【表1】
【0026】
実施例15〜28
この実施例では、フロー方式で、下式のスクアレンの水素化反応を行った。
【化1】
【0027】
この実施例で用いたフロー方式の水素化反応装置を図1に示す。この装置は、送液ポンプ((株)島津製作所製LC-6AD)、マスフローコントローラー(リンテック株式会社製MC-3000E及びRP-300)、及び反応容器として中・低圧液クロ用ガラスカラム(東京理化器械株式会社製、10φ×100 mm又は5φ×50 mm、ガラスフィルターポアサイズ:10μm)を使用し、これらを1/16インチ(1.6mm)SUSチューブ又はPEEKチューブで接続した。送液ポンプによりサーバーから送られた原料と、マスフローコントローラーを通して送られた水素ガスは触媒を充填したカラムの上端で混合され、恒温槽内の触媒が充填されたカラムに送り込まれる。生成物はカラムの下端から余剰水素ガスとともに流出する。
表2に示す量の触媒A〜Nを、上記水素化反応装置のガラスカラム(内径10φ×100 mm)に充填し、スクワレン(和光純薬工業株式会社)の水添反応を下記条件で行った。スクワレン:200μl/min、水素ガス:120 ml/min、カラム温度:40℃又は60℃。
【0028】
比較例2
触媒Oをガラスカラム(内径5φ×50 mm)に充填し、実施例15と同様に、スクワレンの水添反応を以下の条件で行った。スクワレン(neat):50μl/min、水素ガス:30 ml/min、カラム温度:80℃。
アルミナを含まない触媒は嵩比重が低いため同容量のカラムに充填できるパラジウム量は少ない(表2)。
実施例29
触媒Oの代わりに触媒Gを用いて、比較例2と同様にして、スクワレンの水添反応を行った。
比較例3
触媒Aの代わりに市販の1%パラジウム/アルミナ(アルドリッチ社製、以下「触媒P」と呼ぶ。)を用いて、実施例15と同様の方法でスクワレンの水添反応を行った。
【0029】
結果を表2に示す。生成物の還元率は、1H-NMRで測定したビニルプロトンとメチル及びメチレンプロトンとの積分比から算出した。
【表2】
【0030】
金属酸化物がγ−アルミナ、α−アルミナ、シリカ−アルミナの場合(実施例15〜25、触媒A〜K)、温和な条件下でもスクワレンの水添反応が効率的に進行した。時間の経過とともに還元率が低下するのは原料スクワレン中の不純物によるものと考えられ、反応終了後、触媒を洗浄することにより初期活性は回復する(実施例30〜34参照)。
一方、パラジウムをポリジメチルシランのみに担持した触媒(触媒O)を用いて同様の反応を行った場合(比較例2)、高い還元率(quant)が3時間以上維持された本願発明の触媒(実施例29)に比べて、還元率は低く、かつ早期に失活した。
また、パラジウムを金属酸化物のみに担持した触媒(触媒P)を用いて同様の反応を行った場合(比較例3)、本願発明の触媒(実施例15等)に比べて還元率は低かった(比較例3、40℃で56〜58%)。
【0031】
実施例30
本実施例では、触媒Aをガラスカラム(内径5φ×50 mm)に充填し、実施例15と同様の装置を用い、次の条件でα−メチルスチレン(東京化成工業株式会社)の水添反応を行った。α−メチルスチレン(neat):132μl(1.0 mmol)/min、水素ガス:44.8 ml(2.0 mmol)/min、カラム温度:25℃。1時間ごとに生成物の1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、2−フェニルプロパンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.27(d, 6H), 2.88-2.93(m, 1H), 7.16-7.19(m, 1H), 7.22-7.24(m, 2H), 7.26-7.31(m, 2H).
実施例31
本実施例では、実施例30で使用した触媒Aの入ったカラムをイソプロピルアルコール(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件で2−シクロヘキセン−1−オン(東京化成工業株式会社)の水添反応を行った。2−シクロヘキセン−1−オン(neat):97μl(1.0 mmol)/min、水素ガス:31.4 ml(1.4 mmol)/min、カラム温度:25℃。1時間ごとに生成物の1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、シクロヘキサノンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.67-1.72(m, 2H), 1.82-1.87(m, 4H), 2.30-2.33(m, 4H).
【0032】
実施例32
本実施例では、実施例31で使用した触媒Aの入ったカラムをヘキサン(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件でフェニルアセチレン(東京化成工業株式会社)の水添反応を行った。フェニルアセチレン(neat):110μl(1.0 mmol)/min、水素ガス:62.7 ml(2.8 mmol)/min、カラム温度:25℃。1時間ごとに生成物の1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、エチルベンゼンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.28(t, 3H), 2.67(q, 2H), 7.18-7.33(m, 5H).
実施例33
本実施例では、実施例32で使用した触媒Aの入ったカラムをイソプロピルアルコール(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件でマレイン酸(和光純薬工業株式会社)の水添反応を行った。マレイン酸水溶液(1 M):200μl/min、水素ガス:9.0 ml/min、カラム温度:80℃。1時間ごとに生成物を濃縮し1H-NMRを測定したところ、3時間まで原料が完全に消失し、コハク酸が定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CD3OD)δ 2.56(s, 4H).
【0033】
実施例34
本実施例では、実施例33で使用した触媒Aの入ったカラムを水(50ml)で洗浄し続いてメタノール(50ml)で洗浄することにより再利用して、同じ装置を用い、次の条件で4−ニトロトルエン(東京化成工業株式会社)のニトロ基の還元反応を行った。4−ニトロトルエン(0.5 M、メタノール溶液):500μl/min、水素ガス:22.4 ml/min、カラム温度:50℃。1時間ごとに生成物を濃縮し1H-NMRを測定したところ3時間まで原料が完全に消失し、p−トルイジンが定量的に得られた。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 2.25(s, 3H), 6.61(d, 2H), 6.97(d, 2H).
実施例30〜34において、触媒Aを再利用して異なる数種の水素化反応を行ったが、触媒Aは上記のように高い触媒活性を維持した。即ち、本発明の触媒は、繰り返し使用や長期間使用しても活性低下が起こらないという顕著な特性を持つことがわかる。
【0034】
実施例35
この実施例では、バッチ方式でケイ皮酸エチルの水素化反応を行った。
ナス型フラスコ(10 ml)中のケイ皮酸エチル(東京化成工業株式会社、20 mmol)と触媒A(1.09 g、Pd=100μmol)に水素ガス(10 ml/min)を吹き込んだ。1H-NMRで反応の進行を追跡したところ7時間後にケイ皮酸エチルのシグナルは完全に消失し、3−フェニルプロピオン酸エチルのシグナルのみとなった。生成物の分析データを下記に示す:
1H-NMR(CDCl3)δ 1.23(t, 3H), 2.62(t, 2H), 2.95(t, 2H), 4.13(q, 2H), 7.19-7.21(m, 3H), 7.26-7.30(m, 2H).
【0035】
実施例36
実施例1と同様の方法で(ポリジメチルシラン−γ−アルミナ)担持パラジウムを調製した(Pd:59μmol/g、回収率77%)。得られた触媒の電子顕微鏡写真(STEM)を図2に示す。
この触媒を用いて、下記の鈴木−宮浦カップリング反応を行った。
【化2】
触媒(Pd=0.5μmol)と2−ブロモアニソール(0.50 mmol)とフェニルボロン酸(0.60 mmol)とP(o-MeOC6H4)3(0.5μmol)と炭酸カリウム(0.75 mmol)をアルゴン雰囲気下でエタノール(1 ml)に懸濁し、70℃で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、触媒をろ過で除き、有機層を水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣を薄層クロマトグラフィーで精製して2−メトキシビフェニルを得た(収率>99%)。生成物の分析データを下記に示す:
1H NMR (CDC13) δ 3.59 (s, 3H), 6.79 (d 1H, J= 5.3 Hz), 6.87 (t, 1H, J= 6.2 Hz), 7.15-7.18(m, 3H), 7.25(t, 2H, J= 7.6 Hz), 7.39(d, 2H, J= 7.6 Hz). 13C NMR (CDC13) δ 55.3, 111.1, 120.7, 126.8, 127.0, 128.6, 129.4, 130.6, 130.8, 138.4, 156.3.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリジメチルシラン、金属酸化物及びパラジウムクラスターから成る固定化パラジウム触媒であって、該パラジウムクラスターが該ポリジメチルシラン及び該金属酸化物に担持されたことを特徴とする固定化パラジウム触媒。
【請求項2】
前記金属酸化物が、γ−アルミナ、α−アルミナ又はシリカ−アルミナである請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記触媒中のパラジウム/PMPSi/MO比が、0.01〜0.5mmol/0.02〜0.5g/1gである請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
以下の工程からなる固定化パラジウム触媒の製法。
(1)−20〜60℃で、パラジウム塩又はパラジウム錯体が溶解又は分散し、ポリジメチルシラン及び金属酸化物が分散した溶液又は分散液を用意する工程、及び
(2)前記溶液又は分散液から不溶物を分離する工程
【請求項5】
前記工程(1)において、パラジウム塩又はパラジウム錯体を溶解させる溶媒を用いた請求項4に記載の製法。
【請求項6】
前記工程(1)に還元剤を混合する請求項4又は5に記載の製法。
【請求項7】
前記溶液又は分散液に用いる溶媒が炭素数3以下のアルコールを含む溶媒である請求項4〜6のいずれか一項に記載の製法。
【請求項8】
請求項1〜3に記載の触媒又は請求項4〜7のいずれか一項に記載の製法により製造された触媒を、水素化反応又は鈴木−宮浦カップリング反応に使用する方法。
【請求項1】
ポリジメチルシラン、金属酸化物及びパラジウムクラスターから成る固定化パラジウム触媒であって、該パラジウムクラスターが該ポリジメチルシラン及び該金属酸化物に担持されたことを特徴とする固定化パラジウム触媒。
【請求項2】
前記金属酸化物が、γ−アルミナ、α−アルミナ又はシリカ−アルミナである請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記触媒中のパラジウム/PMPSi/MO比が、0.01〜0.5mmol/0.02〜0.5g/1gである請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
以下の工程からなる固定化パラジウム触媒の製法。
(1)−20〜60℃で、パラジウム塩又はパラジウム錯体が溶解又は分散し、ポリジメチルシラン及び金属酸化物が分散した溶液又は分散液を用意する工程、及び
(2)前記溶液又は分散液から不溶物を分離する工程
【請求項5】
前記工程(1)において、パラジウム塩又はパラジウム錯体を溶解させる溶媒を用いた請求項4に記載の製法。
【請求項6】
前記工程(1)に還元剤を混合する請求項4又は5に記載の製法。
【請求項7】
前記溶液又は分散液に用いる溶媒が炭素数3以下のアルコールを含む溶媒である請求項4〜6のいずれか一項に記載の製法。
【請求項8】
請求項1〜3に記載の触媒又は請求項4〜7のいずれか一項に記載の製法により製造された触媒を、水素化反応又は鈴木−宮浦カップリング反応に使用する方法。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2013−31806(P2013−31806A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169030(P2011−169030)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年2月17日 「平成22年度 修士論文要旨 修士課程業績報告会要旨」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会 第91春季年会(2011) 講演予稿集IV」に発表
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年2月17日 「平成22年度 修士論文要旨 修士課程業績報告会要旨」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会 第91春季年会(2011) 講演予稿集IV」に発表
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】
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