説明

固定化蛋白質の製造法

【課題】 シアノシステイン残基を介したアミド結合形成反応を利用して蛋白質のカルボキシル末端のカルボキシルを介して担体に固定化する方法において、固定化収率を改善すること。
【解決手段】 一般式(1)NH2-R1-COOH (式中、R1は任意のアミノ酸残基の連鎖を表す。)で示される蛋白質の固定化において、一般式(2)NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-NH-R2-COOH(式中、R1は上記の意味を有し、R2は中性付近で強く負に荷電し、且つ式(2)の化合物の等電点を酸性にもたらす、酸性アミノ酸に富む任意のアミノ酸残基の連鎖を表す。)で示されるシアノ基を有する蛋白質を、一般式(3)NH2-Y(式中、Yは一級アミンを官能基として有する固定化担体を表す。)で示される固定化担体と反応させることにより、一般式(4)NH2-R1-CO-NH-Y(R1およびYはともに上記の意味を有する。)で示される固定化蛋白質を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定化蛋白質の効率的な製法に関する。
【0002】
【従来の技術】蛋白質の広範囲な利用法特に繰り返して利用することを目的として、可溶性の蛋白質を、例えばアガロースゲルなどの不溶性の担体と結合させ、固定化蛋白質とする利用が試みられている。例えば、レセプター蛋白質を固定化し、レセプターが認識するリガンドの検出を表面プラズモン共鳴現象で検出する装置(商品名:ビアコア)とか、酵素蛋白質を不溶性担体に結合した固定化酵素の開発及びそれを利用した酵素反応器の作製などが行われている。
【0003】酵素の固定化には、蛋白質を構成するアミノ酸の側鎖の反応性を利用して、不溶性担体と化学的に結合することが主に行われている。例えば、システイン残基には、官能基としてSH基がある。SH基の反応として、ジスルヒド化、アルキル化、アシル化などが知られており、この反応性を利用することにより、システイン残基の側鎖を介して蛋白質の固定化を行うことができる。また、リジン残基は、アミノ基を側鎖に有する。このアミノ基は、カルボジイミドを用いカルボキシル基とアミド結合を形成できる。同様に、アスパラギン酸及びグルタミン酸はカルボキシル基を有することから、カルボジイミドを用い一級アミンとアミド結合を形成することができる。しかしながら、このような側鎖の官能基を利用する固定化反応は、蛋白質のアミノ酸配列に依存すること、また、蛋白質中には同種のアミノ酸が複数含まれることから固定化部位を特定できない、複数の箇所で固定化される可能性を排除できないなどの問題がある。
【0004】これらの問題を解消するために、シアノシステイン残基を介したアミド結合形成反応(特開平10-45798号公報参照)を利用して蛋白質のカルボキシ末端のカルボキシル基を介して固定化する反応が開発され、蛋白質をカルボキシ末端の一箇所で且つ主鎖を介して結合する手段が開発されている(特願平10−283669号参照)。
【0005】蛋白質をカルボキシ末端の一箇所で且つ主鎖を介して結合することにより、変性の可逆性を高めることができ、固定化蛋白質の熱殺菌を可能にする固定化酵素を作製できるなどの利点が得られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シアノシステイン残基を介したアミド結合形成反応は、反応式(1) NH2-R-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-X + NH2-B → NH2-R-CO-NH-B(式中、Rは任意のアミノ酸残基の連鎖、Xは、OHもしくは任意のアミノ酸残基もしくは任意のアミノ酸残基の連鎖、NH2−Bは任意の一級アミン化合物を表す。)で表される。
【0007】このアミド結合形成反応は、反応式(2) NH2-R-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-X + H2O → NH2-R-COOH + Z(式中、Rは任意のアミノ酸残基の連鎖、Xは、OHもしくは任意のアミノ酸残基もしくは任意のアミノ酸残基の連鎖、ZはXの2-イミノチアゾリン-4-カルボキシリル誘導体を表す。)
【0008】で表されるペプチド鎖切断反応(G.R.Jacobson, M.H.Schaffer, G.R.Stark, T.C.Vanaman, J.Biological Chemistry, 248, 6583-6591(1973)参照)、及び(3) NH2-R-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-X → NH2-R-CO-NH-C(CH2)-CO-X(式中、Rは任意のアミノ酸残基の連鎖、Xは、OHもしくは任意のアミノ酸残基もしくは任意のアミノ酸残基の連鎖を表す。)
【0009】で示されるチオシアノ基が脱離する、β−脱離反応でシアノシステイン残基がデヒドロアラニンに転換する反応(Y.Degani, A.Patchornik, Biochemistry, 13,1-11(1974)参照)の反応と競争的に起こることから、反応収率に関して問題が生じた。すなわち、反応式(1)を用いた蛋白質の固定化は、カルボキシ末端の一箇所で且つ主鎖を介して結合できるという長所をもちながら、固定化収率において難点を有することが問題点としてあげられている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、反応式(1)で示されるアミド結合形成反応の反応効率を向上させるために鋭意研究を行った結果、一般式 NH2-Yで示される固定化担体は、通常用いられる反応pHにおいてプラスに荷電することから、蛋白質の等電点を酸性側にすることによりイオン相互作用で効率よく吸着させることをキャプチャー反応とすることまた、固定化担体に吸着することにより反応式(1)で示されるアミド結合形成反応の反応効率が高まるとの着想を得た。
【0011】即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される蛋白質配列を固定化するために、一般式(1)と、下記一般式(6)で表されるシアノシステイン残基を含有するペプチドで且つ中性付近で負に荷電するペプチド配列をカルボキシ末端側に有するペプチドとが結合して得られた配列を有する下記一般式(2)で表されるシアノ基を有する蛋白質を、下記一般式(3)で表される一級アミンを有する固定化担体と反応させることにより、下記一般式(4)で表される固定化蛋白質を効率よく製造する方法を提供する。
【0012】
一般式(1) NH-R-COOH 一般式(2) NH-R-CO-NH-CH(CH-SCN)-CO-NH-R-COOH 一般式(3) NH-Y 一般式(4) NH-R-CO-NH-Y 一般式(6) NH-CH(CH-SCN)-CO-NH-R-COOH[式中、Rは任意のアミノ酸残基の連鎖、Rは、中性付近で強く負に荷電し、且つ一般式(2)の化合物の等電点を酸性にもたらす、酸性アミノ酸に富む任意のアミノ酸残基の連鎖、Yは一級アミンを官能基として有する固定化担体を表す。]
【0013】
【発明の実施の形態】本発明を実施するにあたり、一般式(1)で示される蛋白質の固定化のためには、一般式(2)で示される融合蛋白質を作製する必要がある。その作製は、いわゆる組換えDNA手法と化学修飾法を用いて行うことができる。
【0014】即ち、一般式(1)で示される蛋白質をコードする遺伝子と一般式(7)
NH2-CH(CH2-SH)-CO-NH-R2-COOH (7)
(式中、R2は上記の意味を有する。)で示されるペプチド配列をコードする遺伝子とを結合することにより、一般式(8)
NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SH)-CO-NH-R2-COOH (8)
[式中、R1は上記の意味を有し、R2は、中性付近で強く負に荷電し、且つNH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SH)-CO-NH-R2-COOHの等電点を酸性にできる任意のアミノ酸残基の連鎖を表す。]
【0015】で示される融合蛋白質をコードする遺伝子を作製し、これを大腸菌などの宿主生物で発現させ、その後、発現した蛋白質を分離精製することにより得ることができる。このような融合蛋白質は公知技術(例えば、M. Iwakura et al., J. Bio.Chem. 111:37-45 (1992)参照)を利用することにより、当業者であれば誰でもが作製できることから、一般式(8)で示される融合蛋白質の作製方法で本発明が限定されないことは、明白である。あるいは、上記融合蛋白質は、遺伝子工学的手法と慣用の蛋白合成技術との組み合わせ、または、蛋白合成技術のみによっても作製することができる。
【0016】一般式(2)または(8)におけるR2としては、アスパラギン酸やグルタミン酸を多く含む配列が好適である。蛋白質の等電点は、構成するアミノ酸の種類と数に依存する。例えば、リジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸を多く含む場合は、塩基性アミノ酸の総数を超える数のアスパラギン酸やグルタミン酸が必要である。蛋白質の等電点の計算は、当業者であれば容易に計算により推定できる。好ましくは、一般式(2)または(8)の等電点を4から5の間の値になるように、アスパラギン酸やグルタミン酸を多く含む配列をデザインする。
【0017】そのような配列のうち好適な配列としてアラニル-ポリアスパラギン酸をあげることができる。なぜならば、シアノシステインの次のアミノ酸をアラニンにすることにより、シアノシステイン残基を介したアミド結合形成反応が好都合あることと、アミノ酸側鎖の中でアスパラギン酸のカルボキシル基が最も酸性であるからである。即ち、本発明の実施態様において、一般式(8)の蛋白質の好適例は、一般式(9)
NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SH)-CO-NH-CH2(CH3)-CO-[NH-CH(CH2-COOH)-CO]n-OH (9)
【0018】(式中、R1は任意のアミノ酸残基の連鎖、nは自然数を表す。)である。また一般式(2)の蛋白質の好適例は、一般式(5)
NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-NH-CH2(CH3)-CO-[NH-CH(CH2-COOH)-CO]n-OH (5)
(式中、R1およびnは上記の意味を有する。)である。
【0019】一般式(8)[即ち、上記式NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SH)-CO-NH-R2-COOH]から、一般式(2)[即ち、上記式NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-NH-R2-COOH]への転換、いわゆるシアノ化反応は、シアノ化試薬を用いて行うことができる。
【0020】シアノ化試薬としては、通常、2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸(2-nitro-5-thiocyanobennzoic acid (NTCB)) (Y.Degani, A.Ptchornik, Biochemistry, 13,1-11 (1974)参照)または、1−シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロ硼酸(1-cyano-4dimethylaminopyridinium tetrafluoroborate(CDAP))などを用いる方法が簡便である。NTCBおよびCDAPは市販のものをそのまま用いることができる。NTCBを用いたシアノ化は、pH7〜9の間で効率よく行うことができ、且つ遊離するチオニトロ安息香酸の412nmの吸光度の増加(分子吸光係数=13,600M-1cm-1)で反応効率を調べることができる。また、SH基のシアノ化は文献(J.Wood & Catsipoolas, J.Biol.Chem. 233, 2887(1963)参照)の記載の方法に従っても行うことができる。
【0021】本発明に用いられる一般式(3)「NH2-Y」で示される固定化担体としては、一級アミノ基を有する不溶性担体であれば何でも用いることができる。一級アミノ基を有する市販の担体としては、アミノ−セルロファイン(生化学工業で販売)、AF-アミノトヨパール(TOSOHで販売)、EAH-セファローズ4B及びリジン-セファローズ4B(アマシャムファルマシアで販売)、ポラス20NH(ベーリンガーマンハイムで販売)などが利用可能である。また、シラン化合物で一級アミンを有する化合物(例えば、3−アミノプロピルメトキシシランなど)を用いてガラスビーズなどに一級アミンを導入し、利用することも可能である。
【0022】一般式(2)[即ち、上記式 NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-NH-R2-COOH]で示されるシアノ化された融合蛋白質と一般式(3)[即ち、上記式NH2-Y]で示される固定化担体の反応は、弱アルカリ条件下(pH8〜10)に、室温で行うことができる。弱アルカリ反応条件化において、一般式(2)で示されるシアノ化された融合蛋白質は負に帯電し、一方一般式(3)で示される固定化担体は正に帯電し、静電相互作用により互いに結合することから、反応式(1)で示されるアミド結合形成反応のキャプチャー反応として利用できる。この静電相互作用は溶媒中の塩濃度に依存することから、用いられる溶媒としてはできるだけ塩濃度が低いものが好ましい。本発明の実施例においては、10mMの硼酸緩衝液、pH9を用いているが、静電相互作用が適正に行われる塩濃度であればどのような条件でも可能である。
【0023】従って、固定化反応を行う溶液であるが、上記静電相互作用を保証し、且つ、一般式(2)で示されるシアノ化した融合蛋白質が溶ける溶媒で且つpHを調整できる溶媒であれば利用可能である。リン酸緩衝液、硼酸緩衝液などの種々の緩衝液、メタノール、エタノールなどのアルコール類の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキサイドなどが利用可能である。反応温度は、室温で高い反応効率が得られるが、用いる溶媒が凍結もしくは沸騰しない範囲、及び一般式(2)で示されるシアノ化した融合蛋白質が変性の結果凝集しない温度範囲であれば問題なく用いることができる。
【0024】本発明で用いるシアノシステインが関与する反応には、副反応として加水分解反応、即ち上記反応式(2)、および上記反応式(3)の反応が起こりうるが、このような可能な副反応から生成する反応物は全て溶媒に溶けるため、反応後、固定化担体を適当な溶媒で洗うことにより副反応生成物を取り除くことができる。従って、本発明で用いられる固定化反応により、作製される固定化酵素は全て一般式(4)NH2-R1-CO-NH-Y(式中、R1およびYは上記の意味を有する。)で表され、目的とする蛋白質のカルボキシ末端一箇所で固定化担体に結合する。
【0025】このようにして得られた固定化蛋白質の特徴としては、担体にカルボキシ末端が一箇所だけで結合していることがあげられるが、このことにより蛋白質の機能が良好に発揮される。例えば、固定化蛋白質として触媒機能を有する酵素蛋白質を用いた場合、温度を上げるとか、変性剤を加えることにより一度変性させると、触媒機能を失うが、本発明に固定化によって作製した固定化酵素は、変性させる条件を取り除くことにより、その機能を完全に再生することができる(特願平10-283669号参照)。
【0026】本発明の蛋白質固定化方法が実際有効であることを示すために、後記の実施例では、アミノ酸数159個よりなる大腸菌由来のジヒドロ葉酸還元酵素の変異酵素(AS-DHFR-G4と略す)を用いて実証している。
【0027】
【実施例】以下に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその実施例によって制限されないものとする。
<実施例>固定化用ジヒドロ葉酸還元酵素の作製及び固定化反応に及ぼすイオン相互作用の効果
【0028】本実施例においては、一般式(1)に該当する蛋白質として、AS-DHFR-G4を用いている。AS-DHFR-G4のアミノ酸配列を配列番号:1に示す。本実施例においては、AS-DHFR-G4のカルボキシ末端に、Cys-Ala(CAと略す), Cys-Ala-Asp-Asp (CAD2と略す), Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp (CAD4と略す),Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp (CAD6と略す), Cys-Ala-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp-Asp (CAD8と略す)の5種類のポリペプチドを融合した蛋白質を合成して、計算される等電点と、一級アミンを有する固定化担体との結合との関係を調査検討した。AS-DHFR-G4と CA, CAD2, CAD4, CAD6,及びCAD8とのそれぞれの融合蛋白質を、AS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及び AS-DHFR-G4-CAD8とそれぞれ略す。
【0029】AS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及びAS-DHFR-G4-CAD8それぞれのアミノ酸配列を配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:6に示す。AS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及びAS-DHFR-G4-CAD8の作製は、AS-DHFRの遺伝子を用いて遺伝子工学的に行った。すでに、AS-DHFRの遺伝子が既知である(M. Iwakura, B.E. Jones, J. Luo, & C.R.Matthews, J. Biochemistry, 117: 480-488 (1995) 参照)。
【0030】遺伝子発現に必要なプロモータ配列及びリボゾーム結合配列を含んだAS-DHFR遺伝子の塩基配列を配列番号:7に示す。配列番号:7に示されるAS-DHFRの遺伝子は「pTZDHFR20」と名付けられたプラスミドに組み込まれている(M. Iwakura, B.E. Jones, J. Luo, & C.R. Matthews, J. Biochemistry, 117: 480-488 (1995) 参照)。
【0031】この遺伝子配列を基に、2本のプライマーDNA、5'-GGGGATCCTC TTGACAATTA GTTAACTATT TGTTATAATG TATTC -3'(配列番号:8)及び 5'-GGGGATCCCT TATGCACAGC CACCGCCACC ACGACGCTCG AGGATTTCG-3'(配列番号:9)を用い、pTZDHFR20を鋳型として、PCR法により増幅することにより、AS-DHFR-G4-CAを発現できる遺伝子配列を作製した。次に、このようにして作製したAS-DHFR-G4-CA遺伝子を鋳型とし、配列番号:8と配列番号:10の2本のプライマーDNAを用いることにより、PCR法により増幅することにより、AS-DHFR-G4-CAD2を発現できる遺伝子配列を作製した。以下同様に、AS-DHFR-G4-CAD2遺伝子を鋳型とし配列番号:8と配列番号:11の2本のプライマーDNAを用いAS-DHFR-G4-CAD4遺伝子を、AS-DHFR-G4-CAD4遺伝子を鋳型とし配列番号:8と配列番号:12の2本のプライマーDNAを用いAS-DHFR-G4-CAD6遺伝子を、AS-DHFR-G4-CAD6遺伝子を鋳型とし配列番号:8と配列番号:13の2本のプライマーDNAを用いAS-DHFR-G4-CAD8遺伝子を作製した。
【0032】AS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及びAS-DHFR-G4-CAD8それぞれの遺伝子の塩基配列を配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18に示す。増幅して得られたそれぞれのDNAを制限酵素BamHIで切断後、BamHIで切断したクローニングベクターpUC19と結合し、得られた組み替えプラスミドを大腸菌に導入することにより、AS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及び AS-DHFR-G4-CAD8それぞれを大腸菌菌体中に発現でき、大腸菌をトリメトプリム耐性及びアンピシリン耐性に形質転換した。
【0033】このようにして得られた大腸菌を、3リッターの培地(15 gの食塩、15gの酵母エキス、24gのトリプトン、30 mgのアンピシリンナトリウムを含んでいる)で、37度で一晩培養し、湿重量約10gの菌体を得た。この菌体の無細胞抽出液に、ストレプトマイシン硫酸処理、硫安分画、メソトレキセートアフィニティクロマトグラフィー及びDEAEトヨパールクロマトグラフィーの精製操作を施すことにより、均一にまで蛋白質を精製し、約100 mgの均一なAS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及び AS-DHFR-G4-CAD8がそれぞれを得られた。それぞれの蛋白質濃度は、AS-DHFRの280nmの分子吸光係数31100 M-1cm-1を用いて、280nmの吸光度より決定した。
【0034】得られたAS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及び AS-DHFR-G4-CAD8それぞれの配列中164番目のアミノ酸であるシステイン残基のシアノ化は、5mMのエチレンジアミン4酢酸(EDTA)を含む0.1Mトリス塩酸緩衝液、pH 7.4、中で、AS-G4CA(約0.032 mM)の5倍量(0.16 mM)の2-ニトロ-5-チオシアノ安息香酸(NTCB)を加え、室温で4時間反応させることにより行った。遊離するチオニトロ安息香酸の412nmの吸光度の増加(分子吸光係数=13,600M-1cm-1)から、ほぼ定量的にシステイン残基がシアノ化されたことが確かめられた。
【0035】シアノ化反応液からの未反応のNTCB及びチオニトロ安息香酸の除去は、セファデックスG50カラム(カラムサイズ:φ25 x 150 mm)を用いたゲル濾過により行った。溶離液としては、5mMのエチレンジアミン4酢酸(EDTA)を含む10mM硼酸酸緩衝液、pH 9.5を用いた。このようにして得られたシアノ化蛋白質を固定化反応に速やかに用いた。
【0036】得られたシステインがシアノ化されたAS-DHFR-G4-CA, AS-DHFR-G4-CAD2, AS-DHFR-G4-CAD4, AS-DHFR-G4-CAD6,及び AS-DHFR-G4-CAD8それぞれ約20 mg(約10-8moles)用いて、5mlのアミノセルロファイン(生化学工業で販売;アミン含有量、約10-5moles NH2/ml ゲル)と混合し、混合直後の遊離蛋白量を測定した。遊離蛋白量の測定は、反応液を1000回転2分間遠心分離し、上清の280nmの吸光度を測定することにより行った。混合直後の時点では、固定化反応がほとんど進まないため、投入蛋白量から遊離蛋白量を差し引いた蛋白質の量が、イオン相互作用によりアミノセルロファインに結合したものと考えられる。その後、室温で24時間で緩やかに混合を続けながら固定化反応を行わせた。これに終濃度1MとなるようにKClを加え、遊離蛋白量を測定した。終濃度1MとなるようにKClを加えることにより、イオン相互作用だけで結合している蛋白質は、アミノセルロファインから遊離することになり、投入蛋白量から、遊離蛋白質の量を除いた量が固定化された蛋白量として求められた。
【0037】このようにして求めた固定化された蛋白質の量の見積が正しいことは、次のようにして確認された。得られた各々の固定化酵素をそれぞれカラムに詰め、一度4Mの塩酸グアニジン溶液を通し、非特異的に結合している蛋白質を完全に洗い流した後、10mMリン酸緩衝液、pH 7.0で平衡化し、塩酸グアニジン処理により変性した固定化蛋白質を完全に再生した。これにDHFRの強力な阻害剤であるメソトレキセート(MTX)(0.1 mM)を通し固定化した蛋白質に結合させた後、1MのKClを含む10mMリン酸緩衝液、pH 7.0で非特異的に結合したMTXを洗い出し、その後、4Mの塩酸グアニジン溶液を流すことにより、固定化蛋白質を再度変性させ、結合したMTXを溶出させ、溶出したMTXを回収し、回収MTXの量を測定し、(MTXの分子吸光係数;22100 M-1cm-1)、固定化された蛋白質で且つMTX結合機能を有するものの蛋白量を測定した。以上の結果を、表1にまとめて示す。
【0038】
【表1】


【0039】この結果は、固定化担体であるアミノセルロファインと混合直後の遊離蛋白質の減少量がほぼ固定化蛋白量と一致することから、正に荷電したアミノセルロファインと負に荷電した蛋白質とのイオン結合が、キャプチャー反応として利用できることを示唆している。このことを、確かめるために、用いた硼酸緩衝液の濃度を50mMに高め、上記と同様に固定化効率を測定した。固定化効率(%)は、100x固定化蛋白量/投入蛋白量で与えられる。
【0040】表2に、10mM及び50mM硼酸緩衝液を用いた時の固定化効率を比較して示している。また、同時に、アミノ酸組成から求めた各々の蛋白質の等電点、pH7における電荷をも示している。
【0041】
【表2】


【0042】表2から明らかなように、固定化効率は、カルボキシ末端側に中性〜アルカリ性で負に荷電するポリアスパラギンを導入することにより、著しく改善することが示された。また、硼酸緩衝液の濃度(即ち塩濃度)を上げることにより、固定化効率が低下するが、ポリアスパラギンの長い方が、塩濃度の影響を受けにくくなることが明らかである。このことは、混合直後の遊離蛋白質の減少が主にイオン相互作用によることを示しており、本発明で意図した「イオン相互作用によるキャプチャー反応」が確かに働くことを示している。
【0043】
【発明の効果】本発明では、目的蛋白質をカルボキシ末端のカルボキシ基を介して、投入量の約70%という高い収率で固定化することができる。既に特願平10-283669号に記載されているように、カルボキシ末端のカルボキシ基を介して固定化された固定化蛋白質は、全てその機能を発揮できることと、一度溶媒条件を変えて変性させても、元の溶媒条件にすると、完全に元の機能を回復できる、即ち、変性の完全可逆化ができるものであり、実用的価値の高いものである。
【0044】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> DIRECTOR - GENERAL OF AGENCY OF INDUSTRIAL SCIENCE AND TECHNOLOGY <120> PROCESS FOR PREPARING IMMOBILIZED PROTEINS <130> 11900258 <160> 18 <170> Windows 95 <210> 1<211> 163<212> PRT<213> Escherichia coli <400> 1Met Ile Ser Leu Ile Ala Ala Leu Ala Val Asp Arg Val Ile Gly Met 1 5 10 15Glu Asn Ala Met Pro Trp Asn Leu Pro Ala Asp Leu Ala Trp Phe Lys 20 25 30Arg Asn Thr Leu Asn Lys Pro Val Ile Met Gly Arg His Thr Trp Glu 35 40 45Ser Ile Gly Arg Pro Leu Pro Gly Arg Lys Asn Ile Ile Leu Ser Ser 50 55 60Gln Pro Gly Thr Asp Asp Arg Val Thr Trp Val Lys Ser Val Asp Glu 65 70 75 80Ala Ile Ala Ala Ala Gly Asp Val Pro Glu Ile Met Val Ile Gly Gly 85 90 95Gly Arg Val Tyr Glu Gln Phe Leu Pro Lys Ala Gln Lys Leu Tyr Leu 100 105 110Thr His Ile Asp Ala Glu Val Glu Gly Asp Thr His Phe Pro Asp Tyr 115 120 125Glu Pro Asp Asp Trp Glu Ser Val Phe Ser Glu Phe His Asp Ala Asp 130 135 140Ala Gln Asn Ser His Ser Tyr Ser Phe Glu Ile Leu Glu Arg Arg Gly145 150 155 160Gly Gly Gly <210> 2<211> 165<212> PRT<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is an amino acid sequence of AS-DHFR-G4-CA. <400> 2Met Ile Ser Leu Ile Ala Ala Leu Ala Val Asp Arg Val Ile Gly Met 1 5 10 15Glu Asn Ala Met Pro Trp Asn Leu Pro Ala Asp Leu Ala Trp Phe Lys 20 25 30Arg Asn Thr Leu Asn Lys Pro Val Ile Met Gly Arg His Thr Trp Glu 35 40 45Ser Ile Gly Arg Pro Leu Pro Gly Arg Lys Asn Ile Ile Leu Ser Ser 50 55 60Gln Pro Gly Thr Asp Asp Arg Val Thr Trp Val Lys Ser Val Asp Glu 65 70 75 80Ala Ile Ala Ala Ala Gly Asp Val Pro Glu Ile Met Val Ile Gly Gly 85 90 95Gly Arg Val Tyr Glu Gln Phe Leu Pro Lys Ala Gln Lys Leu Tyr Leu 100 105 110Thr His Ile Asp Ala Glu Val Glu Gly Asp Thr His Phe Pro Asp Tyr 115 120 125Glu Pro Asp Asp Trp Glu Ser Val Phe Ser Glu Phe His Asp Ala Asp 130 135 140Ala Gln Asn Ser His Ser Tyr Ser Phe Glu Ile Leu Glu Arg Arg Gly145 150 155 160Gly Gly Gly Cys Ala 165 <210> 3<211> 167<212> PRT<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is an amino acid sequence of AS-DHFR-G4-CAD2. <400> 3Met Ile Ser Leu Ile Ala Ala Leu Ala Val Asp Arg Val Ile Gly Met 1 5 10 15Glu Asn Ala Met Pro Trp Asn Leu Pro Ala Asp Leu Ala Trp Phe Lys 20 25 30Arg Asn Thr Leu Asn Lys Pro Val Ile Met Gly Arg His Thr Trp Glu 35 40 45Ser Ile Gly Arg Pro Leu Pro Gly Arg Lys Asn Ile Ile Leu Ser Ser 50 55 60Gln Pro Gly Thr Asp Asp Arg Val Thr Trp Val Lys Ser Val Asp Glu 65 70 75 80Ala Ile Ala Ala Ala Gly Asp Val Pro Glu Ile Met Val Ile Gly Gly 85 90 95Gly Arg Val Tyr Glu Gln Phe Leu Pro Lys Ala Gln Lys Leu Tyr Leu 100 105 110Thr His Ile Asp Ala Glu Val Glu Gly Asp Thr His Phe Pro Asp Tyr 115 120 125Glu Pro Asp Asp Trp Glu Ser Val Phe Ser Glu Phe His Asp Ala Asp 130 135 140Ala Gln Asn Ser His Ser Tyr Ser Phe Glu Ile Leu Glu Arg Arg Gly145 150 155 160Gly Gly Gly Cys Ala Asp Asp 165 <210> 4<211> 169<212> PRT<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is an amino acid sequence of AS-DHFR-G4-CAD4. <400> 4Met Ile Ser Leu Ile Ala Ala Leu Ala Val Asp Arg Val Ile Gly Met 1 5 10 15Glu Asn Ala Met Pro Trp Asn Leu Pro Ala Asp Leu Ala Trp Phe Lys 20 25 30Arg Asn Thr Leu Asn Lys Pro Val Ile Met Gly Arg His Thr Trp Glu 35 40 45Ser Ile Gly Arg Pro Leu Pro Gly Arg Lys Asn Ile Ile Leu Ser Ser 50 55 60Gln Pro Gly Thr Asp Asp Arg Val Thr Trp Val Lys Ser Val Asp Glu 65 70 75 80Ala Ile Ala Ala Ala Gly Asp Val Pro Glu Ile Met Val Ile Gly Gly 85 90 95Gly Arg Val Tyr Glu Gln Phe Leu Pro Lys Ala Gln Lys Leu Tyr Leu 100 105 110Thr His Ile Asp Ala Glu Val Glu Gly Asp Thr His Phe Pro Asp Tyr 115 120 125Glu Pro Asp Asp Trp Glu Ser Val Phe Ser Glu Phe His Asp Ala Asp 130 135 140Ala Gln Asn Ser His Ser Tyr Ser Phe Glu Ile Leu Glu Arg Arg Gly145 150 155 160Gly Gly Gly Cys Ala Asp Asp Asp Asp 165 <210> 5<211> 171<212> PRT<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is an amino acid sequence of AS-DHFR-G4-CAD6. <400> 5Met Ile Ser Leu Ile Ala Ala Leu Ala Val Asp Arg Val Ile Gly Met 1 5 10 15Glu Asn Ala Met Pro Trp Asn Leu Pro Ala Asp Leu Ala Trp Phe Lys 20 25 30Arg Asn Thr Leu Asn Lys Pro Val Ile Met Gly Arg His Thr Trp Glu 35 40 45Ser Ile Gly Arg Pro Leu Pro Gly Arg Lys Asn Ile Ile Leu Ser Ser 50 55 60Gln Pro Gly Thr Asp Asp Arg Val Thr Trp Val Lys Ser Val Asp Glu 65 70 75 80Ala Ile Ala Ala Ala Gly Asp Val Pro Glu Ile Met Val Ile Gly Gly 85 90 95Gly Arg Val Tyr Glu Gln Phe Leu Pro Lys Ala Gln Lys Leu Tyr Leu 100 105 110Thr His Ile Asp Ala Glu Val Glu Gly Asp Thr His Phe Pro Asp Tyr 115 120 125Glu Pro Asp Asp Trp Glu Ser Val Phe Ser Glu Phe His Asp Ala Asp 130 135 140Ala Gln Asn Ser His Ser Tyr Ser Phe Glu Ile Leu Glu Arg Arg Gly145 150 155 160Gly Gly Gly Cys Ala Asp Asp Asp Asp Asp Asp 165 170 <210> 6<211> 173<212> PRT<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is an amino acid sequence of AS-DHFR-G4-CAD8. <400> 6Met Ile Ser Leu Ile Ala Ala Leu Ala Val Asp Arg Val Ile Gly Met 1 5 10 15Glu Asn Ala Met Pro Trp Asn Leu Pro Ala Asp Leu Ala Trp Phe Lys 20 25 30Arg Asn Thr Leu Asn Lys Pro Val Ile Met Gly Arg His Thr Trp Glu 35 40 45Ser Ile Gly Arg Pro Leu Pro Gly Arg Lys Asn Ile Ile Leu Ser Ser 50 55 60Gln Pro Gly Thr Asp Asp Arg Val Thr Trp Val Lys Ser Val Asp Glu 65 70 75 80Ala Ile Ala Ala Ala Gly Asp Val Pro Glu Ile Met Val Ile Gly Gly 85 90 95Gly Arg Val Tyr Glu Gln Phe Leu Pro Lys Ala Gln Lys Leu Tyr Leu 100 105 110Thr His Ile Asp Ala Glu Val Glu Gly Asp Thr His Phe Pro Asp Tyr 115 120 125Glu Pro Asp Asp Trp Glu Ser Val Phe Ser Glu Phe His Asp Ala Asp 130 135 140Ala Gln Asn Ser His Ser Tyr Ser Phe Glu Ile Leu Glu Arg Arg Gly145 150 155 160Gly Gly Gly Cys Ala Asp Asp Asp Asp Asp Asp Asp Asp 165 170 <210> 7<211> 554<212> DNA<213> Escherichia coli <400> 7ttgacaatta gttaactatt tgttataatg tattcatgag cttaactaac taatccggaa 60aaggaggaac ttccatgatc agtctgattg cggcgctagc ggtagatcgc gttatcggca 120tggaaaacgc catgccatgg aacctgcctg ccgatctcgc ctggtttaaa cgcaacacct 180taaataaacc cgtgattatg gggcgccata cctgggaatc aatcggtagg cctttgcccg 240gccgcaaaaa tattatcctc agcagtcaac ccgggaccga tgatcgggtt acctgggtta 300aatcggtcga cgaagccatc gcggccgcag gtgacgtacc agaaatcatg gtgattggcg 360gcggacgcgt ttatgaacag ttcttgccaa aagcgcaaaa gctttatctg acgcatatcg 420atgcagaagt ggaaggcgac acccattttc cggattacga gccggatgac tgggaatcgg 480tattcagcga attccacgat gctgatgcgc agaactcgca tagctattcg ttcgaaatcc 540tcgagcgtcg ttaa 554 <210> 8<211> 45<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a primer for the amplification of AS-DHFR-G4-CA gene. <400> 8ggggatcctc ttgacaatta gttaactatt tgttataatg tattc 45 <210> 9<211> 50<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a primer for the amplification of AS-DHFR-G4-CA gene. <400> 9ggggatccct tatgcacagc caccgccacc acgacgctcg aggatttcg 50 <210> 10<211> 55<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a primer for the amplification of AS-DHFR-G4-CAD2 gene. <400> 10ggggatccct taatcatctg cacagccacc gccaccacga cgctcgagga tttcg 55 <210> 11<211> 55<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a primer for the amplification of AS-DHFR-G4-CAD4 gene. <400> 11ggggatccct taatcatcat catctgcaca gccaccgcca ccacgacgct cgagg 55 <210> 12<211> 55<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a primer for the amplification of AS-DHFR-G4-CAD6 gene. <400> 12ggggatccct taatcatcat catcatcatc tgcacagcca ccgccaccac gacgc 55 <210> 13<211> 60<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a primer for the amplification of AS-DHFR-G4-CAD8 gene. <400> 13ggggatccct taatcatcat catcatcatc atcatctgca cagccaccgc caccacgacg 60 <210> 14<211> 651<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a nucleotide sequence of AS-DHFR-G4-CA gene. <400> 14ggggatcctc ttgacaatta gttaactatt tgttataatg tattcatgag cttaactaac 60taatccggaa aaggaggaac ttccatgatc agtctgattg cggcgctagc ggtagatcgc 120gttatcggca tggaaaacgc catgccatgg aacctgcctg ccgatctcgc ctggtttaaa 240cgcaacacct taaataaacc cgtgattatg gggcgccata cctgggaatc aatcggtagg 300cctttgcccg gccgcaaaaa tattatcctc agcagtcaac ccgggaccga tgatcgggtt 360acctgggtta aatcggtcga cgaagccatc gcggccgcag gtgacgtacc agaaatcatg 420gtgattggcg gcggacgcgt ttatgaacag ttcttgccaa aagcgcaaaa gctttatctg 480acgcatatcg atgcagaagt ggaaggcgac acccattttc cggattacga gccggatgac 540tgggaatcgg tattcagcga attccacgat gctgatgcgc agaactcgca tagctattcg 600ttcgaaatcc tcgagcgtcg tggtggcggt ggctgtgcat aagggatccc c 651 <210> 15<211> 657<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a nucleotide sequence of AS-DHFR-G4-CAD2 gene. <400> 15ggggatcctc ttgacaatta gttaactatt tgttataatg tattcatgag cttaactaac 60taatccggaa aaggaggaac ttccatgatc agtctgattg cggcgctagc ggtagatcgc 120gttatcggca tggaaaacgc catgccatgg aacctgcctg ccgatctcgc ctggtttaaa 240cgcaacacct taaataaacc cgtgattatg gggcgccata cctgggaatc aatcggtagg 300cctttgcccg gccgcaaaaa tattatcctc agcagtcaac ccgggaccga tgatcgggtt 360acctgggtta aatcggtcga cgaagccatc gcggccgcag gtgacgtacc agaaatcatg 420gtgattggcg gcggacgcgt ttatgaacag ttcttgccaa aagcgcaaaa gctttatctg 480acgcatatcg atgcagaagt ggaaggcgac acccattttc cggattacga gccggatgac 540tgggaatcgg tattcagcga attccacgat gctgatgcgc agaactcgca tagctattcg 600ttcgaaatcc tcgagcgtcg tggtggcggt ggctgtgcag atgattaagg gatcccc 657 <210> 16<211> 663<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a nucleotide sequence of AS-DHFR-G4-CAD4 gene. <400> 16ggggatcctc ttgacaatta gttaactatt tgttataatg tattcatgag cttaactaac 60taatccggaa aaggaggaac ttccatgatc agtctgattg cggcgctagc ggtagatcgc 120gttatcggca tggaaaacgc catgccatgg aacctgcctg ccgatctcgc ctggtttaaa 240cgcaacacct taaataaacc cgtgattatg gggcgccata cctgggaatc aatcggtagg 300cctttgcccg gccgcaaaaa tattatcctc agcagtcaac ccgggaccga tgatcgggtt 360acctgggtta aatcggtcga cgaagccatc gcggccgcag gtgacgtacc agaaatcatg 420gtgattggcg gcggacgcgt ttatgaacag ttcttgccaa aagcgcaaaa gctttatctg 480acgcatatcg atgcagaagt ggaaggcgac acccattttc cggattacga gccggatgac 540tgggaatcgg tattcagcga attccacgat gctgatgcgc agaactcgca tagctattcg 600ttcgaaatcc tcgagcgtcg tggtggcggt ggctgtgcag atgatgatga ttaagggatc 660ccc 663 <210> 17<211> 669<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a nucleotide sequence of AS-DHFR-G4-CAD6 gene. <400> 17ggggatcctc ttgacaatta gttaactatt tgttataatg tattcatgag cttaactaac 60taatccggaa aaggaggaac ttccatgatc agtctgattg cggcgctagc ggtagatcgc 120gttatcggca tggaaaacgc catgccatgg aacctgcctg ccgatctcgc ctggtttaaa 240cgcaacacct taaataaacc cgtgattatg gggcgccata cctgggaatc aatcggtagg 300cctttgcccg gccgcaaaaa tattatcctc agcagtcaac ccgggaccga tgatcgggtt 360acctgggtta aatcggtcga cgaagccatc gcggccgcag gtgacgtacc agaaatcatg 420gtgattggcg gcggacgcgt ttatgaacag ttcttgccaa aagcgcaaaa gctttatctg 480acgcatatcg atgcagaagt ggaaggcgac acccattttc cggattacga gccggatgac 540tgggaatcgg tattcagcga attccacgat gctgatgcgc agaactcgca tagctattcg 600ttcgaaatcc tcgagcgtcg tggtggcggt ggctgtgcag atgatgatga tgatgattaa 660gggatcccc 669 <210> 18<211> 675<212> DNA<213> Artificial Sequence <220><223> Designated is a nucleotide sequence of AS-DHFR-G4-CAD8 gene. <400> 18ggggatcctc ttgacaatta gttaactatt tgttataatg tattcatgag cttaactaac 60taatccggaa aaggaggaac ttccatgatc agtctgattg cggcgctagc ggtagatcgc 120gttatcggca tggaaaacgc catgccatgg aacctgcctg ccgatctcgc ctggtttaaa 240cgcaacacct taaataaacc cgtgattatg gggcgccata cctgggaatc aatcggtagg 300cctttgcccg gccgcaaaaa tattatcctc agcagtcaac ccgggaccga tgatcgggtt 360acctgggtta aatcggtcga cgaagccatc gcggccgcag gtgacgtacc agaaatcatg 420gtgattggcg gcggacgcgt ttatgaacag ttcttgccaa aagcgcaaaa gctttatctg 480acgcatatcg atgcagaagt ggaaggcgac acccattttc cggattacga gccggatgac 540tgggaatcgg tattcagcga attccacgat gctgatgcgc agaactcgca tagctattcg 600ttcgaaatcc tcgagcgtcg tggtggcggt ggctgtgcag atgatgatga tgatgatgat 660gattaaggga tcccc 675
【0045】
【配列表フリーテキスト】
配列番号2: AS-DHFR-G4-CAのアミノ酸配列を示す。
配列番号3: AS-DHFR-G4-CAD2のアミノ酸配列を示す。
配列番号4: AS-DHFR-G4-CAD4のアミノ酸配列を示す。
配列番号5: AS-DHFR-G4-CAD6のアミノ酸配列を示す。
配列番号6: AS-DHFR-G4-CAD8のアミノ酸配列を示す。
配列番号8: AS-DHFR-G4-CA遺伝子増幅用のプライマーを示す。
配列番号9: AS-DHFR-G4-CA遺伝子増幅用のプライマーを示す。
配列番号10: AS-DHFR-G4-CAD2遺伝子増幅用のプライマーを示す。
配列番号11: AS-DHFR-G4-CAD4遺伝子増幅用のプライマーを示す。
配列番号12: AS-DHFR-G4-CAD6遺伝子増幅用のプライマーを示す。
配列番号13: AS-DHFR-G4-CAD8遺伝子増幅用のプライマーを示す。
配列番号14: AS-DHFR-G4-CA遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
配列番号15: AS-DHFR-G4-CAD2遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
配列番号16: AS-DHFR-G4-CAD4遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
配列番号17: AS-DHFR-G4-CAD6遺伝子のヌクレオチド配列を示す。
配列番号18: AS-DHFR-G4-CAD8遺伝子のヌクレオチド配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(1)
NH2-R1-COOH (1)(式中、R1は任意のアミノ酸残基の連鎖を表す。)で示される蛋白質の固定化において、一般式(2)
NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-NH-R2-COOH (2)(式中、R1は上記の意味を有し、R2は中性付近で強く負に荷電し、且つ式(2)の化合物の等電点を酸性にもたらす、酸性アミノ酸に富む任意のアミノ酸残基の連鎖を表す。)で示されるシアノ基を有する蛋白質を、一般式(3)
NH2-Y (3)
(式中、Yは一級アミンを官能基として有する固定化担体を表す。)で示される固定化担体と反応させることにより、一般式(4)
NH2-R1-CO-NH-Y (4)
(R1およびYはともに上記の意味を有する。)で示される固定化蛋白質を製造する方法。
【請求項2】 一般式(2)の蛋白質が、一般式(5)
NH2-R1-CO-NH-CH(CH2-SCN)-CO-NH-CH2(CH3)-CO-[NH-CH(CH2-COOH)-CO]n-OH (5)
(式中、R1は上記の意味を有し、nは自然数を表す。)で示されるシアノ基を有する蛋白質であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【特許番号】特許第3047020号(P3047020)
【登録日】平成12年3月24日(2000.3.24)
【発行日】平成12年5月29日(2000.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−49559
【出願日】平成11年2月26日(1999.2.26)
【審査請求日】平成11年2月26日(1999.2.26)
【実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【出願人】(000001144)工業技術院長 (75)
【指定代理人】
【識別番号】220000404
【氏名又は名称】 220000404 工業技術院生命工学工業技術研究所長
【参考文献】
【文献】特開 平10−45798(JP,A)
【文献】Journal of Biochemistry,123,(6),(1998)p.1137−1144