説明

固定可能なフィードプランジャ

【課題】容易な手作業による固定解除を実現する。
【解決手段】カートリッジ内容物、特にセメント、特に好適には医療用セメントを絞り出すためのカートリッジ80であって、カートリッジ壁部72によって画成された少なくとも1つの円筒状の中空空間と、該中空空間の円筒軸線に沿って可動に前記中空空間に配置され、かつ前記カートリッジ壁部72に当接した少なくとも1つのフィードプランジャと、フィードプランジャ61をカートリッジ壁部72における所定の位置に固定するために使用することができる少なくとも1つのスナップ係止手段66とを有する、カートリッジ80において、少なくとも1つの固定装置65が、フィードプランジャ61に配置されており、かつスナップ係止手段66のうちの1つを有しており、固定装置は、フィードプランジャ61が固定されている時に外部からアクセス可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ内容物、特にセメント、特に好適には医療用セメントを絞り出すためのカートリッジであって、カートリッジ壁部によって画成された少なくとも1つの円筒状の中空空間と、中空空間の円筒軸線に沿って可動に中空空間に配置されておりかつカートリッジ壁部に当接した少なくとも1つのフィードプランジャと、フィードプランジャをカートリッジ壁部における所定の位置に固定するために使用することができる少なくとも1つのスナップ係止手段とが設けられているカートリッジに関する。
【0002】
本発明は、このような形式のカートリッジを有するカートリッジシステム、及びカートリッジ内容物、好適にはセメント、特に好適には医療用セメントを前記形式のカートリッジを使用することによって排出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)から形成された骨セメントが従来公知であり、サー・チャーンリーの革新的な業績(Charnley, J.、Anchorage of the femoral head prosthesis of the shaft of the femur. J.Bone Join Surg.42 (1960) 28-30)に基づく。PMMA骨セメントの基本構造はそれ以来同じままである。PMMA骨セメントは、液体モノマ成分と、粉末成分とから成る。モノマ成分は、一般的に、モノマ、メチルメタクリレート、及びこれらに溶解された活性化剤(N,N−ジメチル−p−トルイジン)を含む。粉末成分は、メチルメタクリレート及びコモノマ、例えばスチレン、メチルアクリレート又は同様のモノマ、ラジオ不透明化剤、及び開始剤、過酸化ジベンゾイルに基づく、重合、好適には懸濁重合によって形成された1つ又は2つ以上のポリマから成る。粉末成分とモノマ成分とを混合することにより、塑性的に成形することができるドウが、メチルメタクリレートにおける粉末成分の膨潤によって生ぜしめられる。粉末成分とモノマ成分とを混合することにより、活性化剤、つまりN,N−ジメチル−p−トルイジンは、ラジカルを形成しながら過酸化ジベンゾイルと反応する。このように形成されたラジカルは、メチルメタクリレートのラジカル重合を引き起こす。メチルメタクリレートの重合を促進することにより、セメントドウが固化するまでセメントドウの粘度が高まる。
【0004】
ポリメチルメタクリレート骨セメントは、へらを用いて適切な混合ビーカにおいてセメント粉末とモノマ液とを混合することによって混合することができる。この手順は、このように形成されたセメントドウに空気が含まれる場合があり、後に骨セメントの不安定化を生じるという点で不利である。この理由から、骨セメント粉末とモノマ液とを真空混合システムにおいて混合することが好ましい。なぜならば、真空において混合することによりセメントドウから含まれた空気が大幅に除去され、これによって最適なセメント品質が達成されるからである(Breusch S.J.他、Der Stand der Zementiertechnik in Deutschland. Z Orthop. 1999, 137:101-07)。真空において混合された骨セメントは、明らかに空隙率を減じ、これにより、硬化された状態では改良された機械的特性を示す。
【0005】
多くの真空セメンティングシステムが開発されてきたが、そのうち以下のものが典型的な目的のために挙げられる:独国特許出願公開3640279号明細書、欧州特許出願公開第1020167号明細書、欧州特許出願公開第1016452号明細書、欧州特許出願公開第1005901号明細書、米国特許第6033105号明細書、米国特許第5624184号明細書、米国特許第5588745号明細書、米国特許第5586821号明細書、米国特許第5344232号明細書、米国特許第5100241号明細書、米国特許第4973168号明細書、米国特許第4671263号明細書、国際公開第99/67015号、国際公開第94/26403号。
【0006】
改良は、骨セメント粉末とモノマ液とが混合システムの別個の区画に封入されており、セメンティングシステムにおけるセメントの適用の直前に互いに混合されるようなセメンティングシステムである(独国特許出願公告第102009031178号明細書、米国特許第5997544号明細書、欧州特許出願公開第0692229号明細書、米国特許第6709149号明細書)。
【0007】
今日知られているほとんどのセメンティングシステムにおいて、混合中、特にセメントの真空混合中には、セメント容器において軸方向に移動させることができるフィードプランジャを所定の位置に固定する必要があり、その一方で、フィードプランジャは、アプリケータガンによってフィードプランジャに圧力を加えることによって生じるフィードプランジャの軸方向運動によりセメントドウが絞り出されるために混合後には軸方向に可動である必要があるという問題が存在する。この問題に対する様々な技術的解決策が提案されてきた。
【0008】
欧州特許出願公開第0861117号明細書は、プランジャが軸方向で可動になるように、セメントが混合された後に引き出すことができる可動ピンを介してフィードプランジャが固定されているセメンティング装置を開示している。
【0009】
独国特許出願公開第4302230号明細書は、カートリッジフロアの切欠に係合するフィンによってフィードプランジャが所定の位置に固定されるようなセメンティングシステムを開示している。セメントカートリッジに対してフィードプランジャをねじることにより、フィンが切欠からねじり出され、フィードプランジャの固定が解除される。
【0010】
フィードプランジャの全く異なる固定が、国際公開第02/102287号に提案されている。この場合、フィードプランジャは破壊可能な結合を介してセメント容器に結合されており、フィードプランジャとセメント容器との間の結合を破壊することによって初めてフィードプランジャは可動になる。
【0011】
欧州特許出願公開第2008707号明細書は、一般的なカートリッジのためのクロージャを開示しており、フィードプランジャは外側に切欠を有しており、カートリッジ壁部は内側に切欠を有しており、これらの切欠は、スナップ係止リングの内側及び外側のスナップ係止手段によって係合される。フィードプランジャは、アプリケータガンの適用によってスナップ係止抵抗を克服することによって固定が解除される。
【0012】
これは、フィードプランジャを解放するためにアプリケータガンを使用する必要があるという点において不利である。さらに、切欠はカートリッジ壁部における弱い部分であり、この部分に、カートリッジ内容物が絞り出されるときに圧力が作用し、これによりカートリッジがこの部分において破損する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開3640279号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1020167号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1016452号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1005901号明細書
【特許文献5】米国特許第6033105号明細書
【特許文献6】米国特許第5624184号明細書
【特許文献7】米国特許第5588745号明細書
【特許文献8】米国特許第5586821号明細書
【特許文献9】米国特許第5344232号明細書
【特許文献10】米国特許第5100241号明細書
【特許文献11】米国特許第4973168号明細書
【特許文献12】米国特許第4671263号明細書
【特許文献13】国際公開第99/67015号
【特許文献14】国際公開第94/26403号
【特許文献15】独国特許出願公告第102009031178号明細書
【特許文献16】米国特許第5997544号明細書
【特許文献17】欧州特許出願公開第0692229号明細書
【特許文献18】米国特許第6709149号明細書
【特許文献19】欧州特許出願公開第0861117号明細書
【特許文献20】独国特許出願公開第4302230号明細書
【特許文献21】国際公開第02/102287号
【特許文献22】欧州特許出願公開第2008707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の課題は、従来技術の欠点を克服することである。特に、容易な手作業による固定解除が実現可能となる。さらに、構造がより単純となり、ひいてはより安価となる。同時に、カートリッジの高い安定性も達成されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、骨セメントを排出し、必要であれば骨セメントを混合するための装置であって、フィードプランジャの固定を、ピン等の緩い部品が解放されることなく手作業の手段によって容易に解除することができる装置が開発される。さらに、固定解除は、ブリスタのフィンに対してセメントカートリッジを回転させたり、アプリケータガンを適用したりすることによって固定解除するような、外部パッケージングのエレメントを必要としない。さらに、固定機構、フィードプランジャ、及びカートリッジは、最小限の労力で製造可能となる。
【0016】
少なくとも1つの固定装置が、フィードプランジャに配置されており、かつフィードプランジャが固定されているときに外部からアクセス可能なスナップ係止手段の少なくとも1つを有することによって、発明の課題が達成される。
【0017】
これは、フィードプランジャを容易に固定解除することができることを保証し、これにより、固定装置の構造を極めて単純に、ひいては費用対効果高く実現することができる。
【0018】
円筒状の中空空間を備える円筒体又はカートリッジとは、円形の底面を有するものだけでなく、極めて一般的には他の円筒状のジオメトリ、例えばだ円形の底面又は角張った底面を有するものをも意味すると解される。本発明によれば、カートリッジの内部空間は、さらに、円筒状の中空空間以外の非円筒状の中空空間を含むことができる。
【0019】
本発明によれば、フィードプランジャが全周に沿ってカートリッジ壁部に当接、好適には密に当接、特に好適には気密形式で当接することが特に有利である。
【0020】
さらに、フィードプランジャは、固定機構に固定されるように提供することができる。
【0021】
さらに、1つ又は複数の固定装置は、全てのスナップ係止手段を有するように提供することができる。
【0022】
本発明による排出装置によれば、各固定装置が、好適には延長部の形式の掴持部分を有しており、1つ又は複数の掴持部分は、それぞれ、固定装置を手作業で固定解除することができるように少なくともその領域において、中空空間から突出しており、かつ/又はそれぞれの固定装置を1つ又は複数の掴持部分を介して外部から手作業で固定解除することができるように外部からアクセス可能な中空空間の一部の内部に配置されている。
【0023】
発明の改良は、フィードプランジャに固定して結合されるか又は好適にはフィードプランジャと同じ部分であるように構成される1つ又は複数の固定装置を提供する。
【0024】
本発明が、好適には互いに向き合って配置された2つの固定装置をフィードプランジャに提供するならば、本発明によれば、手作業で特に容易に操作される実施の形態が生じる。
【0025】
発明の特に好適な、有利な改良は、カートリッジ壁部を超えて延びる及び/又はカートリッジ壁部の溝内へ延びる1つ又は複数のスナップ係止手段を提供する。
【0026】
溝がカートリッジ壁部に提供されている場合、本発明によれば、溝は、カートリッジ内容物が絞り出されるときにカートリッジ壁部に当接しているフィードプランジャの部分が通過しないカートリッジ壁部の領域に配置されている。
【0027】
さらに、フィードプランジャを、円筒状のブシュを有するように提供することができる。
【0028】
これに関して、本発明は、中空空間においてカートリッジ内容物を混合するために使用することができる、ブシュに配置されかつ中空空間から突出するための混合ロッドを提供することができ、この混合ロッドは、好適には、所定の破壊箇所を有している。
【0029】
カートリッジの内部において混合ロッドに混合羽根を配置することができる。
【0030】
フィードプランジャが真空接続部を有しており、この真空接続部を介してガスをカートリッジの内部から排気することができるならば、医療用途に特に適した発明の改良が生じる。
【0031】
これに関して、本発明は、真空接続部のガスブシュに配置される、ガスに対して透過性でありかつ粉末に対して不透過性である少なくとも1つの半透過性壁部、特に多孔質ディスクを提供することができる。
【0032】
固定装置の操作を容易にするために、本発明によれば、少なくとも1つの固定装置、好適には全ての固定装置を、中空空間の円筒軸線の方向に移動、傾斜及び/又は湾曲させることができるか又は好適には手動手段を介してフィードプランジャから取り去ることができる。
【0033】
フィードプランジャが固定されている時にスナップ係止エレメント、少なくともスナップ係止エレメントの部分領域が中空空間の円筒軸線に対して半径方向でカートリッジ壁部の縁部を超えて突出している場合、発明のさらに一層容易に操作される改良が生じる。
【0034】
さらに、本発明によれば、中空空間が一方の側においてフィードプランジャによって閉鎖されているか又はカートリッジの内部における領域と外部からアクセス可能な領域とに分離されている。
【0035】
カートリッジの内部の封止を改良するために、本発明によれば、フィードプランジャは、周方向でカートリッジ壁部に当接する少なくとも1つの封止リングを有している。
【0036】
本発明によれば、フィードプランジャは、1つ又は2つ以上のスナップ係止手段の下方において、フィードプランジャジャケットにおける少なくとも1つの切欠を、それぞれ1つ又は2つ以上のスナップ係止手段の外側の延長部に有している。
【0037】
さらに、本発明によれば、カートリッジは、固定された位置におけるフィードプランジャとは反対の側において、出口開口、特にカートリッジ内容物を排出するための排出チューブを有している。
【0038】
これに関連して、本発明によれば、締結手段、特にねじ山、好適には雄ねじ山が、カートリッジの出口開口の領域に配置されている。
【0039】
前記形式の締結手段又はねじ山は、排出チューブをカートリッジに締結するために使用することができる。同時に、カートリッジシステムを形成するためにカートリッジをキャリヤに締結することもできる。これに関連して、カートリッジをアンプルに接続することができる。
【0040】
さらに、本発明によれば、カートリッジは、1つの中空空間又は特に互いに対して平行に配置することができる異なる中空空間に2つ、3つ又はそれ以上のフィードプランジャを有することができる。
【0041】
本発明の課題は、この形式の少なくとも1つのカートリッジを有する、混合物、好適にはセメント、特に好適には医療用セメントの製造のためのカートリッジシステムによっても達成される。
【0042】
これに関連して、本発明によれば、カートリッジシステムは、液体内容物を含んだアンプル、特にモノマアンプルと、粉末、好適にはセメント粉末を収容するためのカートリッジとを有している。
【0043】
これに関連して、本発明によれば、カートリッジシステムは、アンプルを開放させ、アンプルの内容物をチューブを通ってカートリッジへ案内することができる開放機構を有しており、チューブは好適にはカートリッジの出口開口に接続されている。
【0044】
最後に、本発明の課題は、この形式のカートリッジを使用することによってカートリッジ内容物、好適にはセメント、特に好適には医療用セメントを排出するための方法であって、フィードプランジャによってカートリッジ内容物が絞り出される前にフィードプランジャが手作業で固定解除される方法によっても達成される。
【0045】
これに関連して、本発明によれば、カートリッジ内容物は、フィードプランジャを固定解除する前に、フィードプランジャを貫通して案内された混合ロッドを用いて混合される。
【0046】
本発明によれば、カートリッジは、フィードプランジャを固定解除する前、特にカートリッジ内容物を混合する前に、粉末、好適にはセメント粉末と、カートリッジ内に案内される液体、好適にはモノマ液とを含んでいる。
【0047】
これに関連して、液体を提供するためにアンプル、好適にはモノマアンプルを開放させると有利である。
【0048】
本発明による方法の改良によれば、ガスが、フィードプランジャを通ってカートリッジの内部から吸い込まれ、この場合、液体が、カートリッジの内部における負圧の作用によってアンプルからカートリッジ内へ吸い込まれる。
【0049】
特に医療目的のためには、本発明によれば、カートリッジの内部及びカートリッジ内容物を、ガス、好適にはエチレンオキシドによって殺菌することができる。
【0050】
フィードプランジャの手作業による固定解除は、単純な手動操作式工具の使用を伴うと理解されてもよい。さらに、掴持部分の他に、手で加えられた力をフィードプランジャの固定解除に変換する、別のアクセス可能な機械的な装置が提供されてよい。
【0051】
本発明は、少なくとも1つのセメント容器と、1つの混合機構と、1つの真空接続部とから構成された、骨セメントを混合及び排出するための装置も提案する。装置は、セメント容器において移動させることができるフィードプランジャと、フィードプランジャの外側の平面を超えて軸方向に突出した少なくとも1つのスナップ係止エレメントとを有している。これに関連して、セメント容器は、セメント粉末が充填された円筒状のカートリッジである。
【0052】
本発明は、少なくとも1つのセメント容器(カートリッジ)と、1つの混合機構と、少なくとも1つの封止エレメントを備えた1つのフィードプランジャと、1つの真空接続部とを有する、骨セメントを混合及び排出するための装置において、少なくとも1つのフィードプランジャが、前記セメント容器において移動させられることができるように配置されており、かつ粉末容器の端部に向けられた開口において、フィードプランジャの軸線の方向に又はフィードプランジャの軸線とは反対方向に湾曲又は移動することができる少なくとも1つのスナップ係止エレメント(スナップ係止手段)を有しており、スナップ係止エレメントが、フィードプランジャの外側の平面を超えて軸方向に突出しており、スナップ係止エレメントが、セメント容器の溝に係合するか又はセメント容器の縁部を超えて延びた少なくとも1つのスナップ係止装置を有しており、フィードプランジャの軸線とは反対に向けられたスナップ係止エレメントの外面が、フィードプランジャの軸線の方向又はフィードプランジャの軸線とは反対の方向に手作業で湾曲又は摺動させることができるように十分な寸法を有している。
【0053】
これに関連して、本発明によれば、2つのスナップ係止エレメントは好適には互いに向き合って配置されている。これにより、人差し指と親指で軽く押すだけで、スナップ係止エレメントはフィードプランジャの軸線の方向に向かって押され又は摺動させられ、これにより、フィードプランジャが固定解除され、セメント容器(カートリッジ)において軸方向に移動させられる。
【0054】
さらに、本発明によれば、フィードプランジャは、スナップ係止エレメントの外側における延長部においてそれぞれ、スナップ係止エレメントの下方にフィードプランジャジャケットにおける切欠を有している。この手段によって、スナップ係止エレメントを、親指と人差し指を用いてフィードプランジャの軸線の方向に向かってより簡単に手作業で押す若しくは摺動させることができる。これに関連して唯一述べるべきことは、切欠がフィードプランジャの封止エレメントの上方において終わっていなければならないということである。
【0055】
前記課題は、ペースト状一成分ポリメチルメタクリレート骨セメント、ペースト状二成分ポリメチルメタクリレート骨セメント、ペースト状三成分ポリメチルメタクリレート骨セメント、歯科用インプレッション材料、無機骨セメント及び/又はポリメチル目宅リレー多骨セメントを、好適には粉末成分と液体モノマ成分とを混合することによって絞り出すための、この形式のカートリッジの使用、特にこの形式の方法の使用によっても達成される。
【0056】
本発明は、フィードプランジャに直接に配置された1つ又は2つ以上の単純な固定装置によってフィードプランジャがカートリッジ壁部に解離可能に締結されるという驚くべき発見に基づく。これに関連して、構造は特に容易にかつ安価に実現される。開始状態においてフィードプランジャが固定して位置決めされるカートリッジ壁部の端部に引っ掛けられるための、フィードプランジャに設けられた単純なフックが、固定装置として十分である。スナップ係止手段、すなわちフックのフィードは、次いでカートリッジ壁部の外側に位置決めされ、これにより容易にアクセス可能である。
【0057】
付加的に、固定装置に、スナップ係止手段を簡便に解離させるために使用することができる掴持部材が配置されていると、カートリッジは特に操作しやすい。その際、反対側のスナップ係止装置はもはやカートリッジ壁部の端部に引っ掛かる必要はなく、フィードプランジャの領域における溝又はあらゆるその他の反対側のスナップ係止手段に掛合することができる。なぜならば、カートリッジ壁部を超えて突出した掴持部材によって、手による操作性が提供されるからである。手による操作又は親指と人差し指を使う操作を容易にするために、1つ又は複数の掴持部材は、好適には人間工学に従って形状を定められる。しかしながら、固定装置の操作のために工具又は特別な工具が使用されたもよい。
【0058】
カートリッジ壁部が最も高い荷重に曝される部分において切欠によって弱められていないことが本発明の本質的な利点であると考えられなければならない。従って、カートリッジの内側に配置されていない溝は、構造を弱めない。なぜならば、カートリッジの内部に排出時にその部分には負圧が生じず、カートリッジが絞りされるときにはフィードプランジャに圧力が加えられないからである。この形式の切欠は、カートリッジのための所定の破断部位であるので、大きな努力を払って強化する必要があるか、又はカートリッジ壁部を、より厚く、すなわちより多くの材料を用いて形成しなければならない。
【0059】
本発明によれば、スナップ係止装置は、プランジャの外側の平面の上方又は下方に配置されている。つまり、フィードプランジャの外側の平面の下方におけるスナップインノーズの形態のスナップ係止装置は、カートリッジの内部空間に配置された周囲溝に掛合することができる。フィードプランジャの平面よりも上方にスナップ係止装置を配置することにより、スナップインノーズはカートリッジのエッジを超えて突出することができ、これにより、中空空間におけるフィードプランジャの軸方向運動を妨げることができる。
【0060】
発明の典型的な実施の形態は、発明の範囲を限定することなく複数の概略的な図面に基づいて以下に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明によるカートリッジのための本発明によるフィードプランジャの概略的な断面図である。
【図2】本発明によるカートリッジのためのブシュを有する本発明による第2のフィードプランジャの概略的な断面図である。
【図3】スナップ係止エレメントが圧縮されている状態のブシュを有する本発明によるフィードプランジャの概略的な側面図である。
【図4】フィードプランジャがロックされている状態における本発明によるカートリッジの領域の概略的な断面図である。
【図5】フィードプランジャが固定解除されて摺動させられた状態における本発明によるカートリッジの概略的な断面図である。
【図6】フィードプランジャがロックされている状態の本発明による第2のカートリッジの領域の概略的な断面図である。
【図7】本発明によるカートリッジを備えた本発明によるカートリッジシステムの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1は、本発明によるカートリッジのためのフィードプランジャ1の概略的な断面図を示している。円筒状のフィードプランジャ1は、内部が中空であり、例えば射出成形法によって単純なプラスチック材料から形成されている。例えばゴムから形成された弾性のシール2がフィードプランジャ1の円形の周面の周囲に配置されている。フィードプランジャ1の底側は多孔質ディスク3によって閉鎖されている。ワイピングリップ4が、フィードプランジャ1の側壁の下端部に配置されており、フィードプランジャ1が本発明によるカートリッジに挿入されている場合に、カートリッジの内部において搬送される材料が、カートリッジの内部におけるフィードプランジャ1の運動時(図1における下方へ)にフィードプランジャ1の壁部とカートリッジの内壁との間に側方へシール2まで押し込まれることを妨げる。この目的で、ワイピングリップ4は、柔軟な弾性の材料から形成されており、ワイピングリップ4の弾性は、ワイピングリップ4の厚さを、残りのフィードプランジャ1が形成された同じプラスチック材料を使用しても所望の弾性が生じる程度にまで減じることによって達成することもできる。
【0063】
2つの固定装置5が、フィードプランジャ1の側壁の上端部に配置されており、それぞれ、スナップ係止手段6と、掴持部分7とを有している。2つのスナップ係止装置5が円筒軸線の方向へ、例えば人差し指と親指で掴持部分7によってスナップ係止装置5を互いに押し付けることによって円筒軸線の方向に向かって押圧されると、固定装置は、円筒軸線の方向へ傾けられ、この円筒軸線へスナップ係止手段6も傾けられる。スナップ係止手段6は予め、カートリッジ壁部における向き合ったスナップ係止装置(図示せず)に係合しているか又はカートリッジ壁部を超えて延びているので、前記押圧により、カートリッジ壁部へのフィードプランジャ1の固定が解除される。
【0064】
真空接続部8を通じてフィードプランジャ1の内部を排気することができるようになっており、この真空接続部8は、フィードプランジャ1の上部に設けられている。この構成により、フィードプランジャ1が組み付けられた状態においては、多孔質ディスク3の下方に配置されたカートリッジの内部も排気されるが、カートリッジの内部に収容された粉末又はセメントは多孔質ディスク3を透過することができない。
【0065】
真空接続部8と、多孔質ディスク3とは、フィードプランジャ1の固定機能のためには余分である。従って、本発明によるカートリッジは、多孔質ディスク3の代わりに、単に一体の大きなフィードプランジャ1が、真空接続部8等の開口を提供することなく射出成形法によって製造されることによっても得られる。真空接続部8と多孔質ディスク3との固有の目的は、カートリッジに貯蔵された粉末を排出させることなくカートリッジの内部においてガスが交換されることを可能にすることである。これは、特に医療用途の場合に有利である。なぜならば、カートリッジ内容物を、エチレンオキシド等の殺菌ガスを供給することによって殺菌できるからである。これは、以下の典型的な実施の形態の全てにも当てはまる。
【0066】
図2は、本発明によるカートリッジのための択一的なフィードプランジャ21の概略的な断面図を示している。前記フィードプランジャ21も、円筒状に構成されている。ゴムシール22がフィードプランジャ21の周面の周囲に配置されている。底面側において、フィードプランジャ21は、半透過性の多孔質ディスク23によって閉鎖されている。全周に沿ってフィードプランジャ21を包囲するワイピングリップ24が、フィードプランジャ21の下側領域に配置されている。2つの固定装置25は、フィードプランジャ21の上側領域に配置されている。固定装置25はそれぞれ、スナップ係止手段26と、掴持部分27とを有しており、スナップ係止手段26と掴持部分27とは固定装置25を操作するために使用することができる。
【0067】
真空接続部28を通じて、フィードプランジャ21を、また組み付けられた状態においてはカートリッジ(図示せず)も、排気することができ、この真空接続部28はフィードプランジャ21の上部に配置されている。円筒状の混合ロッド29がフィードプランジャ21を貫通して配置されており、ブシュを介した支持等によって、フィードプランジャ21に支持されている。第2のシール(図示せず)がブシュに配置されていてよい。混合ロッド29を案内し、半透過性の多孔質ディスク23を保持し、かつ混合ロッド29に対してフィードプランジャ21を封止する案内スリーブ30は、ブシュの下側領域に配置されている。
【0068】
図3は、本発明によるカートリッジのためのフィードプランジャ41の概略的な側面図を示している。ゴムシール42は、フィードプランジャ41の全周に亘ってフィードプランジャ41を包囲している。柔軟なワイピングリップ4もフィードプランジャ41の全周に亘ってフィードプランジャ41を包囲しており、このワイピングリップ4はフィードプランジャ41の下縁部に配置されている。固定装置45は、フィードプランジャ41の上縁部に設けられており、フィードプランジャ41をカートリッジのカートリッジ壁部(図示せず)に固定するために使用することができる。固定装置45は、スナップ係止手段46と、掴持部分47とを有している。固定装置45は、掴持部分47に作用する力によってフィードプランジャ41の中心の方向へ傾斜させられている。これは、スナップ係止手段46をもフィードプランジャ41の中心の方向へ移動させており、これにより、カートリッジ壁部へのスナップ係止手段46の固定が解除される。フィードプランジャ41はこれによりカートリッジ内で自由に可動となる。
【0069】
真空接続部48はフィードプランジャ41の上部に配置されている。混合ロッド49のロッドは、フィードプランジャ41において可動に(回転並びに摺動可能である)フィードプランジャ41の中心を通って配置されている。カートリッジ内容物を混合するために使用することができる混合羽根51が混合ロッド49の底側に設けられており、この混合羽根51は、フィードプランジャ41が組み付けられた状態にある場合にカートリッジの内部に配置される。
【0070】
図4は、固定されたフィードプランジャ61を備えた本発明によるカートリッジの一部の概略的な断面図を示している。(図4における底部における)カートリッジの内部を封止するためのシール62がフィードプランジャ61に設けられている。カートリッジの内部に面したフィードプランジャ61の底側は、ガス透過性の多孔質ディスク63によって形成されている。フィードプランジャ61の外縁は、その底側においては、周方向のワイピングリップ64によって形成されており、このワイピングリップ64は、カートリッジの内部の材料がフィードプランジャ61を超えて外部に向かって押し出されるのを防ぐように設計されている。2つの固定装置65は、フィードプランジャ61の上部において外側に配置されており、それぞれ、スナップ係止手段66と、掴持部分67とを有している。さらに、真空接続部68にはホースをはめ込むことができ、この真空接続部68はフィードプランジャ61の上部に配置されている。混合ロッド69は、フィードプランジャ61の中心を通って案内されており、案内スリーブ70を介して封止及び位置決めされている。混合ロッド69は、回転することができるように軸受等によってフィードプランジャ61に支持されている。
【0071】
フィードプランジャ61は、カートリッジの上側部分に配置されており、この上側部分は、カートリッジ壁部72によって画成された円筒状の中空空間を有している。スナップ係止手段66の下側の面は、カートリッジ壁部72の上側の縁部に当接しており、これにより、フィードプランジャ61がカートリッジの内部へ(図4における下方へ)移動できないようにしている。従って、図4は、カートリッジにおけるフィードプランジャ61のロックされた位置を示している。
【0072】
カートリッジの内部が真空接続部68を通じて排気されている場合でさえも、固定されたフィードプランジャ61をカートリッジの内部へ引き込むことはできない。この固定は、混合ロッド69の使用時にフィードプランジャ61が移動することも妨げる。
【0073】
フィードプランジャ61を解放するためには、単に固定装置65の掴持部分67を手で又は単純な工具を用いて混合ロッド69に向かって押し付けるだけでよい。カートリッジが一回しか使用されないものである場合には、フィードプランジャ61を固定解除するために、固定装置65を、元に戻せるように又は元に戻せないように変形させるか、又は取り去ることもできる。
【0074】
図5は、フィードプランジャが固定解除された状態における、図4に示したものと同じ構造の概略的な断面図を示している。固定装置65は、スナップ係止手段66がもはやカートリッジ壁部72の上側の縁部に係合しないように内方へ曲げられている。フィードプランジャ61の上部に作用する、カートリッジの内部の排気によってもたらされる圧力、及び/又はフィードプランジャ61に上方から作用する機械的な力により、フィードプランジャ61はカートリッジの内部へ(図5における下方へ)移動させられる。これに関連して、ワイピングリップ64は、移動するフィードプランジャ61によって下方へ押し付けられる材料が、フィードプランジャ61の外側の壁部とカートリッジ壁部72との間に入り込むのを防いでいる。
【0075】
図6は、図4及び図5に示したものと同じフィードプランジャ61を備えた、本発明によるカートリッジの択一的な概略的な構造を断面図で示している。図4及び図5とは異なり、図6に示したカートリッジ壁部73には溝74が設けられており、この溝74は、固定装置65のスナップ係止手段66のための向き合ったスナップ係止手段として働く。固定装置65の掴持部分67は、カートリッジ壁部73の上側の縁部を超えて突出し、これにより、カートリッジ壁部73によって画成された円筒状の中空空間を形成するように、十分に長くなっている。従って、掴持部分67、ひいては固定装置65は、手でアクセス可能なままである。
【0076】
掴持部分67を押し付けると、スナップ係止手段66は溝74から滑り出て、フィードプランジャ61を解放する。その後、フィードプランジャ61は円筒状の中空空間内へ移動することができる。ゴムシール62は、フィードプランジャ61の全周に沿って、気密及び圧密の形式でカートリッジ壁部73に当接している。これにより、ガスが、フィードプランジャとカートリッジ壁部の間からカートリッジの内部へ進入することなく、カートリッジの内部に(図6における底部において)負圧が生ぜしめられる。
【0077】
フィードプランジャ61とは反対側のカートリッジの側(図6を参照すると、これは底部であり、図面の外側にある)には、出口開口(図示せず)が配置されており、この出口開口によって、フィードプランジャ61が固定解除された後にフィードプランジャ61によってカートリッジからカートリッジ内容物を絞り出すことができる。
【0078】
図7は、本発明によるカートリッジ80を有する本発明によるカートリッジシステム79の構造の概略的な断面図を示している。ロックされたフィードプランジャ81は、カートリッジ80に配置されており、固定解除された状態においてカートリッジ80の長手方向にカートリッジの内部において可動であるように配置されている。フィードプランジャ81は、全周に沿ってフィードプランジャ81を包囲した、シール82及びワイピングリップ84を有している。フィードプランジャ81の上部において、フィードプランジャ81には2つの固定装置85が配置されている。フィードプランジャ81の上部に真空接続部88が設けられており、この真空接続部88を介してカートリッジ80の内部を排気することができる。
【0079】
混合ロッド89は、案内スリーブ90を通って、フィードプランジャ81を貫通している。混合羽根91が、カートリッジ80の内部において混合ロッド89に配置されている。混合ロッド89は、混合羽根91をカートリッジ80において回転させることができるように、回転することができるような形式で軸受等によってフィードプランジャ81に支持されている。カートリッジ80の内部は、カートリッジ80の内部に円筒状の中空空間が形成されるように円筒状のカートリッジ壁部92によって画成されており、前記円筒状の中空空間は、(図7における内部カートリッジ空間の下側の領域における)内部空間の下側の漏斗状の部分を除いて、カートリッジ80の内部を形成している。
【0080】
掴み部95が、混合ロッド89の上側の端部に配置されており、手で又はモータによって混合ロッド89を操作するために使用することができる。ロックされたフィードプランジャ81とは反対側のカートリッジ80の側において、内部カートリッジ空間は出口開口96において終わっており、この出口開口を通って、カートリッジ80に収容された材料を、固定解除されたフィードプランジャ81から絞り出すことができる。出口開口96の領域において、カートリッジ80は、カートリッジ80をキャリヤ99のチューブ98に接続するための雄ねじ山97を有している。この目的のために、カートリッジ80はキャリヤ99の雌ねじ山に螺合させられる。
【0081】
容器102にモノマ液を含んだアンプル100は、キャリヤ99の他方の側に配置されている。アンプル100を開放機構104によって開放させることができ、この開放機構104は、アンプル100の頭部をせん断する。
【0082】
カートリッジ80の約3分の2の高さまで骨セメント粉末が充填される。セメントの殺菌のために、カートリッジ80の内部はまず真空接続部88を通じて排気される。その後、例えばエチレンオキシド等の殺菌ガスがカートリッジ80内へ導入される。カートリッジ80の内容物の殺菌のための十分な時間が経過した後、エチレンオキシドはポンプを用いて再び除去される。
【0083】
開放機構104は、次いで、アンプル100を解放させるために使用され、モノマ液がチューブ98へ流入する。カートリッジ80の内部の負圧により、モノマ液はカートリッジ80に吸い込まれ、カートリッジ80においてセメント粉末と混合される。モノマ液及びセメント粉末を混合するために混合ロッド89及び混合羽根91を使用することができる。真空により、生ぜしめられたセメント混合物において望ましくない空気の取り込みが生じない。混合の後、フィードプランジャ81は固定装置85において手作業で固定解除される。カートリッジ80内の圧力は周囲よりも低いので、フィードプランジャ81はカートリッジ80の内部へ引き込まれる。カートリッジ80は、例えば弁(図示せず)を操作することによって前側において開放させられるか、又はカートリッジ80はキャリヤ99からねじ外される。次いで、フィードプランジャ81を押し込むことにより、セメント混合物はフィードプランジャ81の内部から出口開口96を通って絞り出される。
【0084】
骨セメントを容易に所望の部位に提供することができるように、配給チューブをねじ山97に螺合することができる。
【0085】
前記説明及び請求の範囲に開示された発明の特徴、図面、及び典型的な実施の形態は、それ自体及びあらゆる組み合わせにおいて、発明の様々な実施の形態の実施のために必須であることができる。
【符号の説明】
【0086】
1,21,41,61,81 フィードプランジャ
2,22,42,62,82 シール
3,23,63,83 多孔質ディスク
4,24,44,64,84 ワイピングリップ
5,25,45,65,85 固定装置
6,26,46,66 スナップ係止手段
7,27,47,67 掴持部分
8,28,48,68,88 真空接続部
29,49,69,89 混合ロッド
30,70,90 案内スリーブ
51,91 混合羽根
72,73,92 カートリッジ壁部
74 溝
79 カートリッジシステム
80 カートリッジ
95 掴み部
96 出口開口
97 ねじ山
98 チューブ
99 キャリヤ
100 アンプル
102 容器
104 開放機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ内容物、特にセメント、特に好適には医療用セメントを絞り出すためのカートリッジ(80)であって、カートリッジ壁部(72,73,92)によって画成された少なくとも1つの円筒状の中空空間と、該中空空間の円筒軸線に沿って可動に前記中空空間に配置され、かつ前記カートリッジ壁部(72,73,92)に当接した少なくとも1つのフィードプランジャと、フィードプランジャ(1,21,41,61,81)をカートリッジ壁部(72,73,92)における所定の位置に固定するために使用することができる少なくとも1つのスナップ係止手段(6,26,46,66)とを有する、カートリッジ(80)において、
少なくとも1つの固定装置(5,25,45,65,85)が、フィードプランジャ(1,21,41,61,81)に配置されており、かつ前記スナップ係止手段(6,26,46,66)のうちの1つを有しており、前記固定装置は、フィードプランジャ(1,21,41,61,81)が固定されている時に外部からアクセス可能であることを特徴とする、カートリッジ内容物、特にセメント、特に好適には医療用セメントを絞り出すためのカートリッジ(80)。
【請求項2】
各固定装置(5,25,45,65,85)が、好適には延長部の形態の掴持部分(7,27,47,67)を有しており、1つ又は複数の掴持部分(7,27,47,67)が、それぞれ、少なくともその領域において、中空空間から突出しており、固定装置(5,25,45,65,85)は手作業で固定解除されることができかつ/又は外部からアクセス可能な中空空間の部分の内部に配置されており、各固定装置(5,25,45,65,85)を、1つ又は複数の掴持部分(7,27,47,67)を介して外部から手作業で固定解除することができる、請求項1記載のカートリッジ(80)。
【請求項3】
1つ又は複数の固定装置(5,25,45,65,85)が、固定された形式でフィードプランジャ(1,21,41,61,81)に結合されているか、又は、好適には、フィードプランジャ(1,21,41,61,81)と同じ部分であるように構成されている、請求項1又は2記載のカートリッジ(80)。
【請求項4】
2つの固定装置(5,25,45,65,85)が、フィードプランジャ(1,21,41,61,81)に設けられており、好適には、互いに向き合うように配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項5】
1つ又は複数のスナップ係止手段(6,26,46,66)が、カートリッジ壁部(72,73,92)の縁部を超えて及び/又はカートリッジ壁部(72,73,92)に設けられた溝(74)内へ延びており、該溝(74)は、カートリッジ(80)内容物が絞り出される時にカートリッジ壁部(72,73,92)に当接したフィードプランジャ(1,21,41,61,81)の部分が走行しないカートリッジ壁部(72,73,92)の1つの領域に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項6】
前記フィードプランジャ(1,21,41,61,81)が、円筒状のブシュを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項7】
混合ロッド(29,49,69,89)が前記ブシュに配置されておりかつ中空空間から突出しており、かつ中空空間におけるカートリッジ内容物を混合するために使用することができ、かつ好適には所定の破断箇所を有している、請求項6記載のカートリッジ(80)。
【請求項8】
カートリッジ(80)の内部において前記混合ロッド(29,49,69,89)に混合羽根(51,91)が配置されている、請求項7記載のカートリッジ(80)。
【請求項9】
フィードプランジャ(1,21,41,61,81)が、真空接続部(8,28,48,68,88)を有しており、該真空接続部を通ってガスをカートリッジ(80)の内部から排気することができ、好適には、ガスに対して透過性でかつ粉末に対して不透過性である少なくとも1つの半透過性の壁部(3,23,63,83)、特に多孔質ディスク(3,23,63,83)が、真空接続部(8,28,48,68,88)のガスブシュに配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項10】
少なくとも1つの固定装置(5,25,45,65,85)、好適には全ての固定装置(5,25,45,65,85)を、中空空間の円筒軸線の方向へ移動、傾斜及び/又は湾曲させることができるか又は好適には手作業の手段を介してフィードプランジャ(1,21,41,61,81)から取り去ることができる、請求項1から9までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項11】
フィードプランジャ(1,21,41,61,81)が固定されている時には、スナップ係止エレメントは、少なくともその領域に亘って、中空空間の円筒軸線に対して半径方向にカートリッジ壁部(72,73,92)の縁部を超えて突出している、請求項1から10までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項12】
中空空間が、一方の側においてフィードプランジャ(1,21,41,61,81)によって閉鎖されているか、又はカートリッジ(80)の内部の領域と、外部からアクセス可能な領域とに分離させられている、請求項1から11までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項13】
フィードプランジャ(1,21,41,61,81)が、周方向でカートリッジ壁部(72,73,92)に当接する少なくとも2つのシールリング(2,22,42,62,82)を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項14】
フィードプランジャ(1,21,41,61,81)が、1つ又は複数のスナップ係止手段(6,26,46,66)の下方において、それぞれ1つ又は複数のスナップ係止手段(6,26,46,66)の外側の延長部においてフィードプランジャジャケットにおいて少なくとも1つの切欠を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項15】
カートリッジ(80)が、ロックされた位置におけるフィードプランジャ(1,21,41,61,81)と反対側において、出口開口(96)、特にカートリッジ内容物を排出するための排出チューブを有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のカートリッジ(80)。
【請求項16】
カートリッジ(80)の出口開口(96)の領域において、締結手段(97)、特にねじ山(97)、好適には雄ねじ山(97)が配置されている、請求項15記載のカートリッジ(80)。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の少なくとも1つのカートリッジ(80)を有する、混合物、好適にはセメント、特に好適には医療用セメントの製造のためのカートリッジシステム(79)。
【請求項18】
カートリッジシステム(79)が、液体内容物を含んだアンプル(100)、特にモノマアンプル(100)を有しており、カートリッジ(80)が、粉末、好適にはセメント粉末を有している、請求項17記載のカートリッジシステム(79)。
【請求項19】
カートリッジシステム(79)が、アンプル(100)を開放させる開放機構(104)を有しており、アンプル(100)の内容物をチューブ(98)を通じてカートリッジ(80)内へ導入することができ、前記チューブ(98)は好適にはカートリッジ(0)の出口開口(96)に接続されている、請求項18記載のカートリッジシステム(79)。
【請求項20】
フィードプランジャによってカートリッジ内容物が絞り出される前にフィードプランジャが手作業で固定解除されることを特徴とする、
請求項1から16までのいずれか1項記載のカートリッジの使用によって、好適には請求項17から19までのいずれか1項記載のカートリッジシステムの使用によって、カートリッジ内容物、好適にはセメント、特に好適には医療用セメントを排出する方法。
【請求項21】
フィードプランジャを固定解除する前に、フィードプランジャを貫通して案内された混合ロッドを用いてカートリッジ内容物が混合される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
カートリッジが、粉末、好適にはセメント粉末を有しており、フィードプランジャを固定解除する前に、特にカートリッジ内容物を混合する前に、液体、好適にはモノマ液がカートリッジに導入される、請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
液体を提供するためにアンプル、好適にはモノマアンプルが開放される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
フィードプランジャを通じてカートリッジの内部からガスが吸い出され、好適には、カートリッジの内部の負圧の作用によってアンプルからカートリッジ内へ液体が吸い込まれる、請求項20から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
カートリッジの内部及びカートリッジ内容物がガス、好適にはエチレンオキシドによって殺菌される、請求項20から23までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−110722(P2012−110722A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−257432(P2011−257432)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(508316210)ヘレーウス メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Medical GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp−Reis−Str. 8/13, D−61273 Wehrheim, Germany
【Fターム(参考)】