説明

固定部材

【課題】外力が加わっても変形し難く、従来に比べ固定対象物を円弧面に対して強固に取り付けできる固定部材を提供する。
【解決手段】固定部材11は、円弧面19に対して周方向に沿った複数の第1接触部20で接触する第1部材12と、第1部材12に連結され、円弧面19の接線21に対して平行な線22に沿った支持部23で固定対象物を支持し、かつ、第1接触部に対して円弧面19の母線24に沿ってずれた位置に設けられて円弧面19に接触する第2接触部25を有する第2部材13と、第1接触部20および支持部23の間に介装された第3部材14と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱に固定対象物を固定する固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に支持された架空の電源幹線や光ファイバケーブルを、引込線やドロップケーブルとして住宅に引き込むために、敷地内に柱の立てられることがある。柱には、電力量計、ブレーカ、CATV保安器、光ファイバ成端箱等の機器を収容した固定対象物の箱体が固定される(例えば特許文献1参照)。図13に示すように、柱101であるポール本体102には電線引込口103から主電線104が引き込まれ、主電線104は機器105を介し送電線106として住宅屋内へと導出される。箱体107は、ポール本体102の中程に上下の固定部材108を介して取り付けられる。
【0003】
従来、固定部材108は、図14(A)に示すバンド式固定金具109が一般的であった。バンド式固定金具109は、ポール本体102に取り付けられる環状バンド部110と、この環状バンド部110に設けられ箱体107を貫通した取付ビス111をねじ固定する支持部112と、を有していた。近年、この固定部材108として、構造を簡素化した図14(B)に示す現行の固定部材113が提案されている。現行の固定部材113は、柱101の側面(周面)に当接する弓形状の第1部材114と、この第1部材114に設けられ箱体107を貫通した取付ビス111をねじ固定する支持部112の形成された第2部材115と、を有する。第2部材115は、固定ビス116によってポール本体102に固定される。この現行の固定部材113によれば、バンド式固定金具109よりも簡素化が図れ、意匠も向上した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−34119号公報(請求項1、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現行の固定部材113は、図15(A)に示すように、柱101の側面に接する第1部材114と、箱体107を支持する第2部材115の端部117との間に空間118がある。このため、柱101に対して箱体107を取り付けるにあたって、作業者が箱体107を抉るように動かすと、図15(B)に示すように、第2部材115に対して第1部材114の端部119が近付くように第1部材114が変形する。即ち、柱101の周面に沿った円弧状の第1部材114が外力によって開く方向(矢印C方向)に変形する。その結果、箱体107を正規の状態に支持できなくなる。また、柱101に対して箱体107を固定した後であっても、何らかの原因により箱体107に外力が加わると、同様に固定部材113が変形する可能性がある。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、柱に対して固定対象物を固定するにあたって、変形等が生じ難い固定部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の固定部材は、円弧面に対して周方向に沿った第1接触部で接触する第1部材と、前記第1部材に連結され、前記円弧面の接線に対して平行な線に沿った複数の支持部で固定対象物を支持し、かつ、前記第1接触部対して前記円弧面の母線に沿ってずれた位置に設けられて前記円弧面に接触する第2接触部を有する第2部材と、前記第1接触部および前記支持部の間に介装された第3部材と、を具備するものである。
【0008】
そして、本発明の固定部材は、前記円弧面に対応した切込部が設けられた第1の板部材により前記第1部材が形成され、前記第1部材に対して交差するように連結された第2の板部材により第2部材が形成され、前記第1の板部材の長手方向側部と前記第2の板部材の長手方向側部とを連結することにより前記第3部材が設けられているものである。
【0009】
また、本発明の固定部材は、前記切込部が前記円弧面に対して該円弧面の周方向に沿った2点で接触するものである。
【0010】
さらに、本発明の固定部材は、前記切込部がC字形状であり、かつ、前記切込部の曲率半径が前記円弧面の曲率半径よりも小さいものである。
【0011】
また、本発明の固定部材は、それぞれの前記支持部が、前記第2部材の長手方向両端部に設けられた雌ねじ部であり、前記第2接触部が、前記第2部材の長手方向中央部に設けられて前記円弧面に接触可能な突出部と、該突出部に設けられて前記円弧面に螺合される固定ビスを挿通可能な挿通孔と、を有するものである。
【0012】
また、本発明の固定部材は、前記第2部材の長手方向両端部に凸部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る固定部材によれば、柱に対して固定対象物を固定するにあたって、変形等が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は本発明に係る第1実施形態の固定部材の柱側から見た場合の斜視図であり、(B)は第1実施形態の固定部材の固定対象物側から見た場合の斜視図
【図2】凸部の形状を変えた変形例に係る固定部材の斜視図
【図3】(A)は本発明に係る固定部材が取り付けられた柱の斜視図であり、(B)は固定部材の取付部分の拡大図
【図4】仮固定金具によって固定部材に仮固定された固定対象物の斜視図
【図5】固定対象物の固定部材へのビス固定状況を表す斜視図
【図6】固定部材によって柱に固定された固定対象物の斜視図
【図7】図1に示した固定部材に外力が加わったときの作用を説明する平面図
【図8】切込部がコ字形状となった第2実施形態に係る固定部材の平面図
【図9】切込部がV字形状となった第3実施形態に係る固定部材の平面図
【図10】(A)はブロックで形成された第4実施形態の固定部材を柱側から見た場合の斜視図であり、(B)は第4実施形態の固定部材を固定対象物側から見た場合の斜視図
【図11】第3部材が補強部材として設けられた第5実施形態の斜視図
【図12】第5実施形態の作用を説明する平面図
【図13】従来例の電線引込ポールを示す断面図
【図14】(A)は従来例の固定部材の斜視図であり、(B)は直近従来例の現行の固定部材の斜視図
【図15】(A)は直近従来例の現行の固定部材に作用する外力を説明する平面図であり、(B)は外力によって第1部材が変形した直近従来例の現行の固定部材の平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の照明器具の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1(A)は本発明に係る第1実施形態の固定部材の柱側から見た場合の斜視図であり、(B)は第1実施形態の固定部材の固定対象物側から見た場合の斜視図、図2は凸部の形状を変えた変形例に係る固定部材の斜視図である。
第1実施形態に係る固定部材11は、第1部材12と、第2部材13と、第3部材14と、に大別して構成される。固定部材11は、板金により、これら第1部材12、第2部材13、第3部材14を一つの素板から一体に形成してもよく、また、いずれかを別部材で製作した後、溶接等によって一体に固定してもよい。固定部材11は、柱15(図3参照)の側面16に固定された状態で、固定対象物17(図4参照)である箱体18が固定されるものである。つまり、柱15に箱体18を固定するための固定金具である。
【0017】
第1部材12は、柱15の円弧面19に対して周方向に沿った複数の第1接触部20で接触する。すなわち、第1接触部20とは、後述する凹状の円弧面である切込部27における任意の複数箇所であり、第1実施形態で、第1接触部20は二つの点あるいは線である。以下、第1実施形態では、第1接触部20は二つの点として説明する。
第2部材13は、第1部材12に連結され、円弧面19の接線21に対して平行な線22に沿った複数の支持部23で箱体18を支持する。第1実施形態で支持部23は二つである。また、第2部材13は、第1接触部同士の間において円弧面19の母線24に沿ってずれた位置に設けられて円弧面19に接触する第2接触部25を有する。
【0018】
第3部材14は、第1接触部20および支持部23の間に介装される。介装とは、部材の間に位置させ、目的の形にすることである。第3部材14は、第1実施形態において、第1部材12の一部分である補強部26として形成されている。
具体的には、第3部材14とは、切込部27における第1接触部20となる箇所と、第2部材13との間の領域である。
【0019】
第1部材12は、円弧面19に対応した切込部27が設けられた第1の板部材28により形成されている。すなわち、第1部材12とは、切込部27による凹状の円弧面である。
また、第2部材13は、第1部材12に対して交差するように連結された第2の板部材29により形成されている。すなわち、第1の板部材28の長手方向側部30aと第2の板部材29の長手方向側部30bとを連結することにより第3部材14である補強部26が設けられている。
【0020】
固定部材11は、第1の板部材28と第2の板部材29とが交差するように連結されることで、板金によるL字状金具として形成できる。その結果、第1の板部材28の長手方向側部30aと第2の板部材29の長手方向側部30bとが第3部材14によって連結される。また、固定部材11が、L字状となることで容易に製造可能となっている。
【0021】
第1の板部材28には切込部27が形成される。この切込部27は、円弧面19に対して円弧面19の周方向に沿った2点で接触する。第1実施形態では、切込部27は、C字形状に形成される。この切込部27の曲率半径は、円弧面19の曲率半径よりも小さく設定されている。
【0022】
これらの構成により固定部材11は、第1部材12が切込部27によって円弧面19の周方向に沿った二つの第1接触部20で接触し、第2部材13が第1接触部20に対し円弧面19の母線24に沿ってずれた位置の第2接触部25で円弧面19に接触する。これにより、円弧面19に対する固定部材11の支持が、円弧面19の凹凸や固定部材自身の製造公差を吸収し易い安定的な3点支持となる。
なお、2点で接触する切込部27の形状としては、後述のC字形状、V字形状、コ字形状が挙げられる。
【0023】
固定部材11は、第1部材12に円弧面19に対応したC字形状の切込部27が設けられ、この切込部27の曲率半径が円弧面19の曲率半径よりも小さいことで、第1部材12が切込部27の二つの第1接触部20で円弧面19に接する。ここで、曲率半径とは、曲線(本例ではC字形状の輪郭線)の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したもので、曲率の逆数である。
【0024】
固定部材11は、それぞれの支持部23が、第2部材13の長手方向両端部31に設けられた雌ねじ部32として形成されている。雌ねじ部32は、第2部材13にバーリング加工を施した後にねじ加工を行うことで、ねじ強度を高めることができる。この雌ねじ部32には、箱体18に挿通された箱体貫通ビス33(図5参照)が螺合される(ねじ作用ではめられる)。
【0025】
第2接触部25は、第2部材13の長手方向中央部34に設けられて円弧面19に接触可能な突出部35を有する。突出部35には挿通孔36が設けられ、挿通孔36は円弧面19に螺合される固定ビス37(図3参照)を挿通可能としている。
【0026】
箱体18は、第2部材13の長手方向両端部31側に設けられた二つの雌ねじ部32に、箱体18を貫通した箱体貫通ビス33にて取り付けられ、固定部材11に一体に固定される。
なお、後述するように、固定部材11は、箱体18が固定される前に、柱15に固定される。箱体18は、一体となる固定部材11が円弧面19に接していることで、第1部材12の円弧面19の周方向に沿った二つの第1接触部20と、突出部35に設けられた一つの固定ビス37との3点で円弧面19に支持されることになる。
【0027】
固定部材11は、第2部材13の長手方向両端部31に凸部38が設けられている。凸部38は、図例のように第2部材13の上縁部39から突出されることで、凸部同士の間に仮固定金具40(図4参照)を係止する。仮固定金具40は、当接した凸部38がストッパとして働く。
【0028】
このように、固定部材11では、第2部材13の長手方向両端部31に設けられた凸部38の間に、仮固定金具40が係合し、第2部材13の長手方向への箱体18の移動が規制される。この結果、位置決めが容易となり、施工性が向上する。
なお、凸部38は、第2部材13の面方向に第2部材13から突出するもの(図例のもの)、図2に示すように、第2部材13の厚み方向で第2部材13から突出するもののいずれであってもよい。
【0029】
次に、上記構成を有する第1実施形態に係る固定部材11の作用を説明する。
図3(A)は本発明に係る固定部材11が取り付けられた柱15の斜視図であり、(B)は固定部材11の取付部分の拡大図、図4は仮固定金具40によって固定部材11に仮固定された固定対象物17の斜視図である。
上記した固定部材11を用いて柱15に箱体18を固定するには、図3(A)に示すように、柱15の中程に二つの固定部材11を上下に取り付ける。柱15の所定位置には予め固定部材11の取付位置に、固定ビス37の螺合する図示しない雌ねじが形成されている。
【0030】
固定部材11は、第1部材12の切込部27が柱15の円弧面19に当てられる。この状態で、第2部材13の突出部35に形成された挿通孔36に固定ビス37を挿通し、図3(B)に示すように、固定ビス37を柱15に設けられた雌ねじに固定する。
これにより、固定部材11は、柱15の円弧面19に対して二つの第1接触部20と、固定ビス37との合計3点で接触し、かつ、これらの3点が2等辺三角形の頂点位置に配置されるため、安定的に固定される。
【0031】
上下に二つの固定部材11が柱15に取り付けられたなら、図4に示すように、上側の固定部材11に、箱体18の背面43に予め固定した仮固定金具40を係止する。仮固定金具40の係止は、仮固定金具40から柱15へ向かって下向きに垂設される一対の舌片44が、凸部同士の間に係止するようにして行う。一対の舌片44が凸部同士の間の第2部材13の上縁部39に係止されることで、箱体18は仮固定金具40を介して固定部材11に仮支持される。また、上縁部39に舌片44を係止した仮固定金具40は、凸部38によって横方向への移動が規制される。これにより、箱体18が位置決めされる。
【0032】
図5は固定対象物17の固定部材11へのビス固定状況を表す斜視図、図6は固定部材11によって柱15に固定された箱体18の斜視図である。
仮固定金具40は、固定部材11への係止状態で、一対の雌ねじ部32と、図5に示した箱体18に形成される一対の箱体貫通孔45とが一致するよう配置されている。箱体貫通孔45には箱体18の内部から箱体貫通ビス33が挿通され、挿通された箱体貫通ビス33が固定部材11の第2部材13に設けられた雌ねじ部32に螺合されることで、箱体18が固定部材11に固定される。これにより、図6に示すように、箱体18は、上下が固定部材11を介して柱15に固定されることとなる。
【0033】
図7は図1に示した固定部材11に外力が加わったときの作用を説明する平面図である。
このように、固定部材11では、円弧面19に接する第1部材12と、この第1部材12に連結された第2部材13における箱体18を支持するための支持部23との間が、第3部材14によって接続される。これにより、第1部材12と支持部23とが空間で分断されない連続した一体の構造となっている。
【0034】
この一体の構造により、例えば、円弧面19に二つの第1接触部20が接触している平断面では、一方の第1接触部20に円弧面19から離反する外力が加わると、他方の第1接触部20が円弧面19に押しつけられることになる。このとき、他方の第1接触部20は、円弧面19から反力を受け、この反力が第3部材14に支持される。第3部材14が受けた反力は固定対象物17に固定された第2部材13に支持され、その結果、第1部材12に変形(開き)が生じ難くなる。
なお、図例では、突出部35と円弧面19との間に形成される隙間41を大きく誇張して描いているが、実際には円弧面19と突出部35の間には僅かな隙間しか形成されない。従って、突出部35の挿通孔36に挿通された固定ビス37が柱15に螺合して固定されれば、突出部35は円弧面19に接触した状態で固定される。
【0035】
(第2実施形態)
図8は切込部48がコ字形状となった第2実施形態に係る固定部材46の平面図である。
なお、以下の各実施形態において、図1〜図7に示した部材および部位と同一の部材および部位には同一の符号を付し重複する説明は省略するものとする。
【0036】
この第2実施形態に係る固定部材46は、第1部材47の切込部48がコ字形状に形成されている。すなわち、第1部材47とは、切込部48によるコ字形状の内面であり、切込部48は、内側先端部分の二つの対向角部49が二つの第1接触部20となる。固定部材46は、切込部48がコ字形状であるので、円形状に比べて金型が安価となる。
この固定部材46によれば、切込部48を安価に板金加工できるコ字形状とし、第1部材47の円弧面19の周方向に沿った二つの対向角部49と、突出部35との3点で円弧面19に支持できる。
第3部材14は、第1接触部20となる対向角部49と、第2部材13との間の領域である。
【0037】
(第3実施形態)
図9は切込部52がV字形状となった第3実施形態に係る固定部材50の平面図である。
この実施形態に係る固定部材50は、第1部材51の切込部52がV字形状に形成されている。すなわち、第1部材51とは、切込部52によるV字形状の内面であり、切込部52は、V字形の二つの対向辺部53の2点が二つの第1接触部20となる。固定部材50は、切込部52がV字形状であるので、円形状に比べて金型が安価となる。
この固定部材50によれば、切込部52を安価に板金加工できるV字形状とし、第1部材51の二つの対向辺部53の第1接触部20と、突出部35との3点で円弧面19に支持できる。
第3部材14は、第1接触部20となる対向角部49と、第2部材13との間の領域である。
【0038】
(第4実施形態)
図10(A)はブロック54で形成された第4実施形態の固定部材55を柱側から見た場合の斜視図であり、(B)は第4実施形態の固定部材55を固定対象物側から見た場合の斜視図である。
この実施形態に係る固定部材55は、直方体状のブロック54の長手方向の一側面が円弧状の切込部56に形成される。すなわち、第1接触部20とは、切込部56における任意の複数箇所である。ブロック54は、金属や合成樹脂材からなる。この切込部56の曲率半径は円弧面19の曲率半径よりも小さく設定される。切込部56の中央部分には切込部56のブロック背面部58に貫通する挿通孔36が設けられる。ブロック背面部58には、挿通孔36を挟む両側に雌ねじ部32が設けられている。
【0039】
なお、本構成では、第1部材12と第2部材13とがブロック54によって一体に形成されている。そして、第4実施形態における第3部材14とは、切込部56における第1接触部20となる箇所と、第2部材13との間の領域である。
この固定部材55によれば、切込部56の二つの第1接触部20と、挿通孔36に挿通された固定ビス37との3点で円弧面19に支持できることに加え、中実のブロック54によって形成されることで、変形を極めて生じ難くできる。また、腐食や経年劣化による強度低下が生じ難く、耐久性を向上できる。
【0040】
(第5実施形態)
図11は第3部材64が補強部材59として設けられた第5実施形態の斜視図、図12は第5実施形態の作用を説明する平面図である。
この実施形態に係る固定部材60は、第1部材61が短冊板62を円弧状に曲げることで形成されており、第1部材61の曲率半径は円弧面19の曲率半径よりも小さく設定される。第1部材61の中央部分には挿通孔36が設けられる。第1部材61には挿通孔36の両側を、背面側へ切り起こし加工した一対の第2部材63が設けられている。それぞれの第2部材63には支持部23である雌ねじ部32が設けられている。第1部材61の両端側は背面側に補強部材59として折り曲げられ、第3部材64となる。この第3部材64は、第2部材63の切り起こし先端側と係合構造、溶着、接着等によって固定されている。
【0041】
図12に示すように、固定部材60は、第1部材61と第2部材63との距離Dが変わると箱体18の取付精度が低下したり、取付強度が低下したりする。第5実施形態では、第3部材64が剛体としてこの部分を連結することによって、第1部材61と第2部材63との距離Dを一定に保持できる。
この固定部材60によれば、第1部材61の二つの第1接触部20と、挿通孔36に挿通された固定ビス37との3点で円弧面19に支持できることに加え、一枚の素板から第1部材61、第2部材63、第3部材64を形成でき、製造コストを安価にできる。
【0042】
従って、第5実施形態に係る固定部材11、固定部材46、固定部材50、固定部材55、固定部材60によれば、外力が加わっても変形し難く、従来に比べ固定対象物17である箱体18を、柱15の円弧面19に対して強固に取り付けできる。
【0043】
なお、上記の各実施形態では、固定対象物17が箱体18である場合を例に説明したが、本発明は箱体18と異なる他の固定対象物17を円弧面19に固定する場合に用いても、上記同様の効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0044】
11 固定部材
12 第1部材
13 第2部材
14 第3部材
17 固定対象物
19 円弧面
20 第1接触部
21 接線
23 支持部
24 母線
25 第2接触部
27 切込部
28 第1の板部材
29 第2の板部材
30a 第1の板部材の長手方向側部
30b 第2の板部材の長手方向側部
31 第2部材の長手方向両端部
32 雌ねじ部
34 第2部材の長手方向中央部
35 突出部
36 挿通孔
37 固定ビス
38 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧面に対して周方向に沿った第1接触部で接触する第1部材と、
前記第1部材に連結され、前記円弧面の接線に対して平行な線に沿った複数の支持部で固定対象物を支持し、かつ、前記第1接触部に対して前記円弧面の母線に沿ってずれた位置に設けられて前記円弧面に接触する第2接触部を有する第2部材と、
前記第1接触部および前記支持部の間に介装された第3部材と、を具備する固定部材。
【請求項2】
請求項1に記載の固定部材であって、
前記円弧面に対応した切込部が設けられた第1の板部材により前記第1部材が形成され、
前記第1部材に対して交差するように連結された第2の板部材により第2部材が形成され、
前記第1の板部材の長手方向側部と前記第2の板部材の長手方向側部とを連結することにより前記第3部材が設けられている固定部材。
【請求項3】
請求項2に記載の固定部材であって、
前記切込部が前記円弧面に対して該円弧面の周方向に沿った2点で接触する固定部材。
【請求項4】
請求項3に記載の固定部材であって、
前記切込部がC字形状であり、かつ、前記切込部の曲率半径が前記円弧面の曲率半径よりも小さい固定部材。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の固定部材であって、
それぞれの前記支持部が、前記第2部材の長手方向両端部に設けられた雌ねじ部であり、
前記第2接触部が、前記第2部材の長手方向中央部に設けられて前記円弧面に接触可能な突出部と、該突出部に設けられて前記円弧面に螺合される固定ビスを挿通可能な挿通孔と、を有する固定部材。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の固定部材であって、
前記第2部材の長手方向両端部に凸部が設けられた固定部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−175790(P2012−175790A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34838(P2011−34838)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】