説明

固定金具

【課題】 交差した状態で配置される二つの部材の交差部分に差し込んで両部材を固定するための固定金具であって、固定金具の全体構造が簡単であり、製造コストが安く固定手段が容易である他、様々な部材の固定にも適用される汎用性の高い固定金具を提供することにある。
【解決手段】 第1の部材と、この第1の部材の上で交差するように配置された第2の部材とを固定する固定金具1であって、前記第1の部材と第2の部材との交差部分に平面視で斜めに差し込まれ、第1の部材に当接する下側平板部2と、第2の部材と離間した位置で下側平板部2と対向する上側平板部3と、下側及び上側の平板部2,3を連結する連結部材4とを備え、前記上側平板部3からねじ込んで第2の部材を締め付けるボルト19と、前記第1の部材に当接する下側平板部2とで第1の部材と第2の部材を挟み込んで固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交差した状態で配置される二つの部材を固定する場合に、その交差部分に差し込んで両部材を簡易に固定するための固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の固定金具としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この固定金具は、交差した状態で配置される被固定側部材と固定側部材との交差部分に配置されるもので、被固定側部材に形成されたあり溝に嵌め入れる裏板部と、固定側部材に形成されたフランジ部に係合する係止プレートを備えている。係止プレートはレバーの回動によって操作され、固定金具を両部材の交差部分に配置し、裏板部を被固定側部材のあり溝に嵌め入れた状態でレバーを回動させ、係止プレートを固定側部材のフランジ部に押し付けることで、両部材を固定することができる。
【0003】
しかしながら、上記従来の固定金具にあっては、被固定側部材のあり溝に嵌め入れる裏板部や固定側部材のフランジ部に係合する係止プレート、この係止プレートを操作するためのレバーの回動機構などを備えるために構造が複雑となる。また、被固定側部材や固定側部材にもあり溝やフランジを設ける必要があるため製造コストが高くなってしまう。また、両部材の交差部分に固定金具を配置したのち、被固定側部材のあり溝に裏板部を嵌め入れる作業が必要となるため固定手段が面倒である。さらに、上記の固定金具では、裏板部や係止プレートを被固定側部材のあり溝や固定側部材のフランジ部に対応して形成する必要があるので、汎用性が低いなどの問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−35016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、固定金具の全体構造が簡単であり、製造コストが安く固定手段が容易である他、様々な部材の固定にも適用される汎用性の高い固定金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る固定金具は、第1の部材と、この第1の部材の上に交差するように配置された第2の部材とを固定する固定金具であって、前記第1の部材と第2の部材との交差部分に平面視で斜めに差し込まれ、第1の部材に当接する第1の平板部と、第2の部材と離間した位置で第1の平板部と対向する第2の平板部と、第1及び第2の平板部を連結する連結部とを備え、前記第2の平板部を介して第2の部材を締め付ける締結具と、前記第1の部材に当接する第1の平板部とで第1の部材と第2の部材を挟み込んで固定することを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施例に係る固定金具は、第1の平板部、第2の平板部及び連結部の少なくとも一つに、差込角度を規制する規制面が設けられている。そして、この規制面が第1及び第2の平板部に設けられる場合には、第1及び第2の平板部の略三角形状に形成された先端部分の両斜面が規制面となり、一方、前記規制面が連結部に設けられる場合には、断面略L形をなす連結部の両外側面が規制面となる。
【0008】
本発明の一実施例に係る固定金具は、前記規制面が90度で交わる第1及び第2の平板部の両斜面によって形成され、また、90度で交わる連結部の両外側面によって形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る固定金具は、回動機構などを有しないため構造が簡単であり、製造コストを低く抑えることができる。また、部材同士の交差部に差し込み、締結具で締め付けるだけで固定することができるので、固定手段がきわめて単純である他、部材同士の位置関係を調整する場合にも締結具を緩めるだけで部材の移動調整が可能である。また、交差するように配置される二部材の交差部に差し込んで締結具で締め付けるだけなので、様々なタイプの部材同士の固定に適用され汎用性の高い固定金具である。
【0010】
また、本発明の一実施例に係る固定金具には規制面が設けられているので、部材同士の交差部分に差し込むだけで、固定金具の差込角度や差込位置が自ずと決まり、適正な位置で部材同士を固定することができる。
【0011】
また、本発明の一実施例に係る固定金具は、規制面が90度で交わる一対の斜面又は外側面によって形成されているので、固定金具が左右対称形状となり、一種類の固定金具を
用意するだけで足りる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固定金具の平面側からの斜視図である。
【図2】前記第1の実施形態に係る固定金具の底面側からの斜視図である。
【図3】前記第1の実施形態に係る固定金具の正面図である。
【図4】前記第1の実施形態に係る固定金具の左側面図である。
【図5】前記第1の実施形態に係る固定金具の図3におけるA−A断面図である。
【図6】前記第1の実施形態に係る固定金具を用いて交差する2つの部材を固定した状態を示す斜視図である。
【図7】図6におけるB方向の立面図である。
【図8】鉄板と補助梁とを固定する際の固定金具の取付状態を示す平面図である。
【図9】補助梁と基礎梁とを固定する際の固定金具の取付状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る固定金具の平面側からの斜視図である。
【図11】前記第2の実施形態に係る固定金具の底面側からの斜視図である。
【図12】前記第2の実施形態に係る固定金具の正面図である。
【図13】前記第2の実施形態に係る固定金具の左側面図である。
【図14】前記第2の実施形態に係る固定金具を用いて交差する2つの部材を固定した状態を示す斜視図である。
【図15】図14におけるE方向の立面図である。
【図16】鉄板と補助梁とを固定する際の固定金具の取付状態を示す平面図である。
【図17】補助梁と基礎梁とを固定する際の固定金具の取付状態を示す平面図である。
【図18】前記第1の実施形態に係る固定金具を用いて交差する2つの部材を固定する場合の他の固定手段を示す平面図である。
【図19】図18に示された固定手段の一部の斜視図である。
【図20】図19に示された固定手段のF方向からの立面図である。
【図21】図19に示された固定手段のG方向からの側面図である。
【図22】図20におけるH−H断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面に基づいて本発明に係る固定金具の実施形態を詳細に説明する。
図1乃至図5には本発明の第1の実施形態に係る固定金具が示される。この固定金具1は、第1の平板部を構成する下側平板部2と、第2の平板部を構成する上側平板部3と、両方の平板部2,3を連結する連結部材4とを備えている。この連結部材4が両平板部2,3の後端側を連結することで、全体が略コ字形状をしている。
【0014】
この実施形態において、一対の平板部2,3は平面形状が同じ五角形の鋼板からなり、前記連結部材4を挟んで離間した位置で対向して配置される。また、平板部2,3は前記連結部材4の位置とは反対側の先端部分が三角形状をしており、この先端部分の外側の両斜面が各規制面5a,5b,6a,6bを構成している。この実施形態において、規制面5a,5bが交わる頂点7の角度及び規制面6a,6bが交わる頂点8の角度は何れも90度であり、これら規制面5a,5b,6a,6bはそれぞれ頂点7,8で直交している。なお、上側平板部3の先端側には締結具がねじ込まれるネジ孔9が設けられている。
【0015】
一方、下側平板部2と上側平板部3を連結する連結部材4は断面L字形の鋼材からなり、その上下端部が前記一対の平板部2,3にそれぞれ接合されている。この連結部材4のL字形の角部10は90度に折れ曲がり、角部10から延びる連結部材4の両外側面には規制面11a,11bが形成されている。この連結部材4は、図5に示すように、上側平板部3に対して、頂点8と角部10とを結ぶ直線lが上側平板部3の側縁3a,3bと平行となるように、また規制面11a,11bが前記上側平板部3の規制面6a,6bと平行となるようにして配置される。この条件は下側平板部2に対しても同様である。それ故、この実施形態に係る固定金具1は、前記直線lを挟んで左右が対称形状となっている。なお、下側平板部2と上側平板部3と連結部材4を成形型で一体に形成することもできる。
【0016】
上記一対の平板部2,3及び連結部材4に形成されたそれぞれの規制面5a、5b,6a,6b,11a,11bは、交差するようにして配置される二部材の交差部分に、本発明の固定金具1を差し込む際の差込角度や差込位置を決めるためのものであり、これらの規制面を設けたことで、固定金具1を常に所定の角度及び所定の位置に配置することができる。その結果、二つの部材を常に強度のばらつきなく固定することができる。
【0017】
次に、上記構成からなる固定金具1の使用方法を説明する。図6乃至図9には、第1の部材と、この第1の部材の上に交差するように配置された第2の部材とを、上記固定金具1によって固定する例が示されている。この例は、コンクリートなどを使わない簡易型の建造物の基礎構造を、薄板状の鉄板15と、その上に補助梁16を介して配置される基礎梁17とで構築するものであり、この基礎梁17の上に建造物が建てられる。
【0018】
図には前記補助梁16及び基礎梁17にH型鋼を使用している例が示されているが、特H型鋼に限定されるものではない。鉄板15と補助梁16との固定、及び補助梁16と基礎梁17との固定に、上記固定金具1を利用することができる。即ち、上記固定金具1は、第1の部材としての鉄板15と第2の部材としての補助梁16との交差部分に配置されて両者を固定し、また、第1の部材としての補助梁16と第2の部材としての基礎梁17との交差部分に配置されて両者を固定するのに用いられる。
【0019】
例えば、鉄板15と補助梁16とを固定するには、図6乃至図8に示されるように、矩形状の鉄板15の上に補助梁16を交差するように配置し、補助梁16の両端部(図面では一方の端部16aのみを表示)を鉄板15の側縁15aから突出させる。このとき、鉄板15の縦方向の側縁15aと鉄板15から突出する補助梁16の端部16aとは略直交し、両者間には略90度で交わる一対の交差部18a,18bができる。なお、鉄板15の上面に補助梁16の下部フランジ16bが接している。
【0020】
前記交差部18a,18bは補助梁16のウエブ16cの両側にできるので、これら両側の交差部18a,18bにそれぞれ固定金具1を差し込む。差し込む方向は、図8に示したように、交差部18a,18bに対してそれぞれC1,C2方向である。このC1,C2方向は平面視で斜め45度の方向である。即ち、交差部18a,18bでは鉄板15の縦方向の側縁15aと補助梁16の下部フランジ16bの両側縁16d、16eとが略直交しているので、その半分の斜め45度の方向から差し込む。鉄板15に沿って略水平方向に差し込み、固定金具1の下側平板部2を鉄板15の下面に当接させる。
【0021】
固定金具1の上側平板部3に形成された規制面6a,6bの一方が補助梁16のウエブ16cに当接するまで差し込むと、ほぼ同時に連結部材4の両側の規制面11a,11bも鉄板15の側縁15aと補助梁16の下部フランジ16bの両側の側縁16d,16eにそれぞれ当接する。このように、固定金具1の各規制面6a,6b,11a,11bが鉄板15や補助梁16に当接することで、固定金具1の差込角度や差込位置が自ずと決まることになる。特に、この実施形態では規制面6a,6bの頂点8及び規制面11a,11bの角部10の角度が共に90度なので、上述したように交差部18a,18bに斜め45度で差し込むことで、その角度を保ったまま位置規制されることになる。なお、この実施形態では上側平板部3の規制面6a,6bと連結部材4の規制面11a,11bの両方を当接させているが、少なくとも一方の部材の規制面が当接することで、固定金具1の差込角度や差込位置が決まることになる。
【0022】
上記交差部18a,18bに固定金具1を差し込んだのち、上側平板部3のネジ孔9に締結具としてのボルト19をねじ込み、ボルト19の先端を補助梁16の下部フランジ16bに突き当てて締め付ける。締め付けた後、緩み止めナット20を上側平板部3の下面に締め付ける。このようにして、固定金具1の下側平板部2とボルト19との間で鉄板15と補助梁16を締め付け、両部材を挟み込むことで固定することができる。また、この実施形態では補助梁16のウエブ16cの両側を固定しているので、補助梁16を均等に締め付けることができ固定がより確実なものとなる。
【0023】
図6、図7及び図9には、前記補助梁16を第1の部材とし、この補助梁16とその上に交差して配置される第2の部材としての基礎梁17との交差部分を本発明の固定金具1で固定する場合が示されている。
【0024】
この場合には補助梁16の上部フランジ16fと基礎梁17の下部フランジ17aとが略直角に交差する4箇所の交差部21a,21b,21c,21dに固定金具1をそれぞれ配置し、前述した鉄板15と補助梁16とを固定した際の交差部での差し込みと同様、交差部21a,21b、21c、21dに対して、平面視で斜め45度のD1,D2,D3,D4方向に固定金具1をそれぞれ差し込む。即ち、交差部では補助梁16の上部フランジ16fの両側縁16g、16hと基礎梁17の下部フランジ17aの両側縁17b、17cとが略直交しているので、その半分の斜め45度の方向から略水平方向に差し込む。
【0025】
固定金具1の下側平板部2に形成された規制面5a,5bの一方が補助梁16のウエブ16cに当接するまで差し込むと、ほぼ同時に連結部材4の両側の規制面11a,11bも補助梁16の上部フランジ16fの側縁16g、16hと基礎梁17の下部フランジ17の両側縁17b、17cにそれぞれ当接する。このように、固定金具1の各規制面5a,5b,11a,11bが補助梁16や基礎梁17に当接することで、固定金具1の差込角度や差込位置が自ずと決まることになる。なお、この実施形態では下側平板部2の規制面5a,5bと連結部材4の規制面11a,11bの両方を当接させているが、少なくとも一方の部材の規制面が当接することで、固定金具1の差込位置や差込位置が決まるのは前述と同様である。
【0026】
固定金具1の差し込み位置が決まったのちは、先に説明した場合と同様、上側平板部3のネジ孔9に締結具としてのボルト19をねじ込み、ボルト19の先端を補助梁16の下部フランジ16bに突き当てて締め付ける。締め付けた後、緩み止めナット20を上側平板部3の下面に押し当てて締め付ける。このようにして、4箇所の交差部21a,21b,21c,21dで固定金具1をボルト19で締め付け、固定金具1の下側平板部2とボルト19との間に鉄板15と補助梁16とを挟み込むことで、両部材を固定することができる。なお、図7において、符号22は、補助梁16の上部フランジ16fと基礎梁17の下部フランジ17aとの間に配置されたスペーサである。この実施形態では補助梁16のウエブ16cの両側及び基礎梁17のウエブ17dの両側を4個の固定金具1でバランスよく締め付けているので、より確実な固定が得られる。
【0027】
上記の実施形態に係る固定金具1は、左右対称形状であり且つ各部材に設けられたそれぞれ一対の規制面が90度で交わっているので、交差部の差し込み方向にかかわらず対応することができ、一種類の固定金具を用意するだけで足りる。なお、鉄板15に対する補助梁16の位置や角度を調整する場合や、補助梁16に対する基礎梁17の位置や角度を調整する場合には、前記ボルト19を緩めるだけで容易に補助梁16や基礎梁17を動かすことができる。調整後再びボルト19を締めることで調整が完了する。
【0028】
図10乃至図13には本発明の第2の実施形態に係る固定金具31が示される。この固定金具31は、一枚の鋼材を略コ字形状にプレス成形したもので、第1の平板部を構成する下側平板部32と、第2の平板部を構成する上側平板部33と、両方の平板部32,33を連結する連結部材34とからなる。
【0029】
先の実施形態と同様、一対の平板部32,33は同じ平面形状の五角形をしており、前記連結材34を挟んで離間した位置で対向して配置される。また、平板部32,33は、前記連結材34とは反対側の先端部分が三角形状をしており、この先端部分の両側の斜面が規制面35a,35b,36a,36bを形成している。この実施形態において、規制面35a,35bの交わる頂点37の角度及び規制面36a,36bの交わる頂点38の角度は何れも90度であり、これら規制面35a,35b及び規制面36a,36bはそれぞれ頂点37,38で直交している。それ故、この実施形態に係る固定金具31も、左右が対称形状となっている。なお、上側平板部33の先端側には締結具がねじ込まれるネジ孔39が設けられている。
【0030】
図14乃至図17には、上記構成からなる固定金具31の固定手段が示されている。先の実施形態と同様、薄板状の鉄板15とその上に交差するように配置される補助梁16とを固定する場合と、及び補助梁16とその上に交差するように配置される基礎梁17とを固定する場合が示されている。
【0031】
図14乃至図16には、鉄板15とその上に交差するように配置された補助梁16とを固定金具31で固定する場合が示されているが、先の実施形態と説明が重複する部分については、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。鉄板15の縦方向の側縁15aと鉄板15から突出する補助梁16の端部16aとは略直交し、両者間には略90度で交わる一対の交差部18a,18bができる。これら交差部18a,18bのそれぞれに、先の実施形態と同様、平面視で斜め45度の方向から固定金具31を差し込む。固定金具31の上側平板部33に形成された規制面36a,36bの一方が補助梁16のウエブ16cに当接するまで差し込む。固定金具1の各規制面36a,36bが補助梁16のウエブ16cに当接することで、固定金具31の差込角度や差込位置が自ずと決まることになる。特に、この実施形態では規制面36a,36bの頂点38の角度が90度なので、上述したように交差部18a,18bに斜め45度の方向から差し込むことで、その角度を保ったままで位置規制されることになる。
【0032】
固定金具31を差し込んだのち、上側平板部31のネジ孔39に締結具としてのボルト19をねじ込み、ボルト19の先端を補助梁16の下部フランジ16bに突き当てて締め付ける。締め付けた後、緩み止めナット20を上側平板部3の下面に締め付ける。このようにして、固定金具31の下側平板部32とボルト19との間で鉄板15と補助梁16を締め付け、両部材を挟み込むことで固定することができる。
【0033】
図14、図15及び図17には、前記補助梁16と、その上に交差するようにして配置される基礎梁17との交差部分を本発明の固定金具31で固定する場合が示されている。
【0034】
この場合にも先の実施形態と同様、補助梁16の上部フランジ16fと基礎梁17の下部フランジ17aとが略直角に交差する4箇所の交差部21a,21b,21c,21dに固定金具31をそれぞれ配置し、前記の交差部18a,18bでの差し込みと同様、交差部に対して、平面視で斜め45度の方向から固定金具31をそれぞれ差し込む。
【0035】
固定金具31の下側平板部32に形成された規制面35a,35bの一方が補助梁16のウエブ16cに当接するまで差し込む。このように、固定金具31の各規制面35a,35bを補助梁16に当接させることで、固定金具31の差込角度や差込位置が自ずと決まることになる。
【0036】
固定金具31の差込位置が決まったのちは、先の固定手段と同様、上側平板部33のネジ孔39に締結具としてのボルト19をねじ込み、ボルト19の先端を補助梁16の下部フランジ16bに突き当てて締め付ける。ボルト19で固定した後、緩み止めナット20を上側平板3の下面に締め付けて完了する。なお、図15において、符号22は、補助梁16の上部フランジ16fと基礎梁17の下部フランジ17aとの間に配置されたスペーサである。
【0037】
図18乃至図22には前述の固定金具1を用いた他の固定手段が示されている。ここに示される固定手段も先の実施例と同様、薄板状の鉄板40の上にその長手方向と直交するように配設された複数の補助梁41と、この補助梁41の中央部で互いに交差するように配設した基礎梁42を固定するものであるが、補助梁41が予め鉄板40に溶接してある点で異なっている。
【0038】
この実施例における補助梁41は、図19に示されるようにアングル材(L形鋼)からなり、このアングル材41を鉄板40上に逆立ちするように立てた状態で鉄板40に溶接したものである。図19に示される実施例では鉄板40に接するアングル材41の下端全体が溶接されているが、鉄板40が薄いのでスポット溶接による接合も可能である。なお、図18に示したように、鉄板40上に等間隔に配置された複数のアングル材41の向きを互い違いにすることで、建造物の基礎構造体としての安定性が増す。
【0039】
この実施例では、鉄板40に溶接された複数のアングル材41と、このアングル材41の上に直交するように載置された基礎梁42とを固定するのに、本発明の固定金具1が利用される。図19乃至図22にも示されるように、一本のアングル材41の上面43と基礎梁42の下部フランジ44との間には2箇所の略直交する交差部45a,45bができる。そこで、この交差部45a,45bにそれぞれ固定金具1を差し込み、前述した実施例と同様にして取り付ける。
【0040】
詳細に説明すると、2箇所の交差部45a,45bはアングル材41の前面側、即ちアングル材41の上面43が突出する側で基礎梁42との間に形成される。そして、この交差部45a,45bではアングル材41の上面43の前側縁43aと基礎梁42の下部フランジ44の両側縁44a,44bとが略直交しているので、この交差部45a,45bに対して平面視で斜め45度の方向から略水平方向に固定金具1をそれぞれ差し込む。
【0041】
このとき、アングル材41の上面43の下側に固定金具1の下側平板部2が入り込むように固定金具1を差し込む。そして、連結部材4の両側の規制面11a,11bがアングル材41の上面43の前側縁43aと基礎梁42の下部フランジ44の両側縁44a,44bにそれぞれ当接するまで差し込むことで、固定金具1の差込角度や差込位置が自ずと決まることになる。
【0042】
固定金具1の差し込み位置が決まったら、先に説明した場合と同様、固定金具1の上側平板部3のネジ孔9に締結具としてのボルト19をねじ込み、ボルト19の先端を基礎梁42の下部フランジ44の上面に突き当てて締め付ける。締め付けた後、緩み止めナット20を上側平板部3の下面に押し当てて締め付ける。図20及び図21において、符号46は、アングル材41の上面43と基礎梁42の下部フランジ44との間に配置されたスペーサである。
【0043】
このように、本実施例ではアングル材41と基礎梁42との間の交差部45a,45bを2つの固定金具1で固定するものであるが、アングル材41が予め鉄板40に溶接してある他、図18に示したように、隣接するアングル材41が互いに逆向きに配置され、それに伴って各交差部45a,45bに差し込む固定金具1の差込方向も隣接するアングル材41の間で互いに逆向きになっている。そのため、これを建造物の基礎構造体として使用した場合、基礎梁42に建造物からの荷重が掛かったときにも固定金具1が緩み難いものとなり、仮に一箇所の固定金具1に緩みが生じたとしても、それが原因で基礎梁42がアングル材41からズレ動くといったおそれも回避することができる。
【0044】
上記実施例に係る固定構造は、固定金具1を配置する箇所が先の実施例に比べて1/4で済むので、建造物の基礎構造を構築する際の作業が極めて簡易となり、作業時間の短縮化及び作業の効率化を図ることができる。この実施例の係る基礎構造は主に平屋の建物や簡易な建造物の基礎構造として利用価値が高いものである。
【0045】
本発明は上記の実施形態に限られることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。例えば、締結具はボルトに限定されない。また、一対の規制面が交わる角度も90度に限定されないのは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 固定金具
2 下側平板部
3 上側平板部
3a,3b 側縁
4 連結部材
5a,5b 規制面
6a,6b 規制面
7,8 頂点
9 ネジ孔
10 角部
11a,11b 規制面
15 鉄板
15a 側縁
16 補助梁
16a 端部
16b 下部フランジ
16c ウエブ
16d,16e 側縁
16f 上部フランジ
16g,16h 側縁
17 基礎梁
17a 下部フランジ
17b,17c 側縁
17d ウエブ
18a,18b 交差部
19 ボルト
20 緩み止めナット
21a,21b,21c,21d 交差部
31 固定金具
32 下側平板部
33 上側平板部
34 連結部材
35a,35b 規制面
36a,36b 規制面
37,38 頂点
39 ネジ孔
40 鉄板
41 補助梁(アングル材)
42 基礎梁
43 上面
43a 前側縁
44 下部フランジ
44a,44b 両側縁
45a,45b 交差部
46 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、この第1の部材の上で交差するように配置された第2の部材とを固定する固定金具であって、
前記第1の部材と第2の部材との交差部分に平面視で斜めに差し込まれ、第1の部材に当接する第1の平板部と、第2の部材と離間した位置で第1の平板部と対向する第2の平板部と、第1及び第2の平板部を連結する連結部とを備え、
前記第2の平板部を介して第2の部材を締め付ける締結具と、前記第1の部材に当接する第1の平板部とで第1の部材と第2の部材を挟み込んで固定することを特徴とする固定金具。
【請求項2】
前記第1の平板部、第2の平板部及び連結部の少なくとも一つに、差込角度を規制する規制面が設けられている請求項1に記載の固定金具。
【請求項3】
前記規制面は、第1及び第2の平板部の略三角形状に形成された先端部分の両斜面からなり、両斜面の交わる頂角が90度である請求項2に記載の固定金具。
【請求項4】
前記規制面は、断面略L形をなす連結部の両外側面からなり、両外側面の交わる頂角が90度である請求項2に記載の固定金具。
【請求項5】
前記第2の平板部には締結具がねじ込まれるネジ孔が設けられている請求項1に記載の固定金具。
【請求項6】
前記第1及び第2の部材は、薄板状の鉄板および梁材からなる請求項1に記載の固定金具。
【請求項7】
前記第1の部材が薄板状の鉄板に溶接されたアングル材からなる請求項1に記載の固定金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−17638(P2012−17638A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161148(P2010−161148)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(591260029)株式会社内藤ハウス (4)
【Fターム(参考)】