説明

固形分捕集装置及び当該捕集装置を用いた固形物の捕集方法

【課題】 本発明の課題は、固形物を含有するドライエッチング排ガスの簡便且つ安全な処理をするために適した固形物捕集装置及び当該捕集装置を用いた固形物含有の捕集方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明の課題は、フィルター及び冷却器を備えた固形物含有ドライエッチング排ガスの固形物捕集装置及び当該捕集装置を用いた固形物の捕集方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置や液晶製造装置等から排出される固形物含有ドライエッチング排ガスを処理するために適した固形分捕集装置及び当該処理装置を用いた固形物の捕集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体や液晶の製造プロセスなどにおいて排出される、排ガス中の反応生成物である固形物を含有するドライエッチング排ガス中の固形分捕集装置及び当該捕集装置を用いた固形物の捕集方法としては、例えば、固形物を捕集する各種フィルターユニットを用いて、エッチング排ガスから固形物を除去する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法においては、装置自体が複雑な上に、フィルターの目詰まりや捕集量が完全には改善できていないという問題点があり、好適なドライエッチング排ガスの固形物捕集装置としては満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開2000-140538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、固形物を含有するドライエッチング排ガスの簡便且つ安全な処理をするために適した固形物捕集装置及び当該捕集装置を用いた固形物含有の捕集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、フィルター及び冷却器を備えた固形物含有ドライエッチング排ガスの固形物捕集装置及び当該捕集装置を用いた固形物の捕集方法によって解決される。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、半導体製造装置や液晶製造装置等から排出される固形物含有ドライエッチング排ガス中の固形物を捕集するために適した固形物捕集装置及び当該捕集装置を用いた固形物含有の捕集方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の固形物捕集装置は、フィルター及び冷却器を備えた装置であるが、
(1)好ましくはガス導入口及びガス導出口が、捕集装置の上部に備えられている
(2)更に好ましくはそれに冷却器が捕集装置の側面に備えられている
(3)特に好ましくはそれにフィルターがガス導出口に備えられている
ことを構造上の特徴として有するものである。
【0007】
本発明の容器の形状は、特に限定されないが、例えば、円筒形、三角筒形、四角筒形、六角筒形等が挙げられるが、好ましくは四角筒形のものが使用される。
【0008】
前記容器の容量は、特に制限されないが、実用的なことを考えると、好ましくは50〜500L、更に好ましくは50〜200Lであり、容器の材質は、酸に対して腐食しがたいものが使用されるが、好ましくはインコネル、ハステロイ、ステンレス鋼が使用され、市販されている一般規格としては、例えば、SUS304、SUS316等が通常使用され得る。
【0009】
本発明のフィルターは、好ましくはバグフィルター(円筒状の織布または不織布製の濾布)であり、その素材としては、固形物の目詰まりが少なく、又、酸性ガス、ハロゲンガス等による耐腐食性に優れるものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン又はクロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体等が好適に使用される(例えば、テフロン(登録商標)製が好適に用いられる)。
【0010】
前記フィルターの目開きは、固形物の大きさにも寄るが、好ましくは10〜100μm、更に好ましくは20〜50μmである。又、口径は、導入されるガス量(固形物量にも依存する)にも寄るが、好ましくは直径30〜300mm、更に好ましくは50〜100mmであり、その長さは、容器底部に接触しなければ特に制限されない。
【0011】
フィルターの数は、導入させるガス量と固形物の量にも寄るが、好ましくは4〜30本、更に好ましくは4〜15本、特に好ましくは4〜9本である。
【0012】
本発明のドライエッチング排ガスとは、半導体製造装置又は液晶製造装置等から排出されるドライエッチング排ガスを示すが、例えば、フッ化水素、サルファーテトラフルオライド、テトラフルオロシラン、ジフルオロスルホキサイド等のフッ素化合物ガス;塩素、塩化水素、三塩化ホウ素、テトラクロロシラン等の塩素化合物ガス;臭化水素、三臭化ホウ素等の臭素化合物が挙げられる。なお、これらのドライエッチング排ガスは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスで希釈されていても構わない。
【0013】
又、固形物は当該排ガスと同伴されて排出され、例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン、塩化タングステン等の金属塩化物;フッ化タンタル、フッ化チタン等の金属フッ化物;ホウ酸等のホウ素化合物;二酸化ケイ素等の金属酸化物;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物が挙げられる。
本発明の固形分捕集装置においては、排ガス導入ガスとフィルターを遮断する仕切り板を設けた方が望ましい。なお仕切り板は、側面の冷却器と導入排ガスとの接触を高める(冷却効率を高める)ために設けられる。
【0014】
本発明の固形物捕集装置において冷却器は、捕集装置の側面に備えられているが、冷却手段としては、40℃以下に冷却できるものならば特に限定されないが、工業的な実用性を考えると水(工業用水でも良い)による冷却(水を流通させる)が好適に行われる。
水によって冷却する場合には、その水流速度は装置の大きさにより適宜調節するが、好ましくは1〜10L/min.、更に好ましくは2〜5L/min.である。
【0015】
本発明の固形物捕集装置は、フィルター及び冷却器を備えた装置であるが、
(1)好ましくはガス導入口及びガス導出口が、捕集装置の上部に備えられている
(2)更に好ましくはそれに冷却器が捕集装置の側面に備えられている
(3)特に好ましくはそれにフィルターがガス導出口に備えられている
装置である。
【0016】
本発明の固形物捕集装置における固形物の捕集方法としては、例えば、ガス導入口及びガス導出口が装置の上部に、冷却器が装置の側面に、フィルターがガス導出口に備えられている固形物捕集装置に、固形物を含有するエッチング排ガスを導入する等の方法によって行われる。その際の処理温度は、好ましくは0〜50℃、更に好ましくは0〜30℃、圧力は特に制限されないが、容器の材質等によって適宜調節すべきである。なお、ドライエッチング排ガスの供給流量は、好ましくは毎分1〜500L、更に好ましくは毎分5〜200Lである。
【0017】
なお、排ガス導入口の配管は、ヒーター等により適宜加熱されるが、工業的には60〜120℃に加熱するのが望ましい。
【実施例】
【0018】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0019】
実施例1(ドライエッチング排ガス含有固形物の捕集能力と安全性)
図1に示す冷却器及びバグフィルターを装着した固形物捕集装置を液晶製造用アルミニウム基板エッチング工程の後工程に設置し、排出される三塩化アルミニウムを主成分とする固形物を含むドライエッチング排ガスから固体物の捕集を行った。固形物捕集装置入口配管及びこれ以前の配管は100℃に加熱しており、配管での固形物堆積を防止した。又、冷却器は冷却水循環方式を用い、水は工場内の工業用水を使用した。バグフィルターは、材質はテフロン(登録商標)製で、目開きは20〜50μm、口径は直径80mmのものを9本使用した。この操作を数回繰り返したところ、固形物捕集量は15kg〜20kgで、捕集期間は23日〜30日であった。なお、捕集の間、配管及び捕集装置内の固形物閉塞はなく、圧力損失が少なく安全且つ安定して固形物の捕集ができた。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明により、半導体製造装置や液晶製造装置等から排出される固形物含有ドライエッチング排ガスを処理するために適した固形分捕集装置及び当該処理装置を用いた固形物の捕集方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1のガス処理に用いた処理装置である。
【符号の説明】
【0022】
1 排ガス導入口
2 冷却水導入口(導出口)
3 冷却器
4 仕切り板
5 バグフィルター
6 排ガス導出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルター及び冷却器を備えた固形物捕集装置。
【請求項2】
ガス導入口及びガス導出口が、捕集装置の上部に備えられている請求項1記載の固形物含有ドライエッチング排ガス処理装置。
【請求項3】
冷却器が捕集装置の側面に備えられている請求項1記載の固形物含有ドライエッチング排ガス処理装置。
【請求項4】
フィルターがガス導出口に備えられている請求項1記載の固形物含有ドライエッチング排ガス処理装置。
【請求項5】
フィルターがバグフィルターである請求項1又は4記載の固形物含有ドライエッチング排ガス処理装置。
【請求項6】
バグフィルターが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン又はクロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体を素材としている請求項1、4又は5記載の固形物含有ドライエッチング排ガス処理装置。
【請求項7】
フィルターの数が4〜9本である請求項1、4乃至6記載の固形物含有ドライエッチング排ガス処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の固形物含有排ガス処理装置を用いた固形物の捕集方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−50786(P2009−50786A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219398(P2007−219398)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】