説明

固形剤用保護キャップおよびこれを用いた固形剤用容器

【課題】従来の緩衝材にように、緩衝材によって固形剤を押さえつけて固形剤を破損損傷することがなく、サイズの異なる固形剤に使用でき、汎用性を有し、コストを低減することができる固形剤用保護キャップを提供する。
【解決手段】固形剤用保護キャップの長さが、固形剤を収容した容器の口部に、固形剤用保護キャップを装着した際に、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接する寸法を有するとともに、固形剤用保護キャップが拡径しない状態を保持するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形剤を収容した容器において、固形剤が容器内で移動するのを防止して、固形剤の破損損傷を防止するための固形剤用保護キャップおよびこれを用いた固形剤用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、錠剤、カプセル剤などの薬品類、チョコレート、キャンディー、ガムなどの粒状の菓子類などの固形剤を収容した容器において、運搬時、保管時などにおいて、固形剤が容器内で移動するのを抑制して、固形剤の破損損傷を防止する方法としては、発泡樹脂からなる緩衝材、ポリエチレンなどのプラスチックシートを丸めた緩衝材、空気を封入したビニール製の緩衝材、ネット形状の緩衝材などを容器内に挿入する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(実公平5−7151号公報)では、図27に示したように、錠剤容器の緩衝材100として、可撓性合成樹脂によって形成され周壁102と底部104から構成され、上面が開口し、周壁102と底部104が網状に形成されるとともに、周壁102と底部104が一体に連続している緩衝材100が提案されている。
【0004】
この特許文献1の緩衝材100によれば、緩衝材100が、可撓性合成樹脂から、周壁102と底部104が網状に形成されているので、拡縮自在である。
従って、図28に示したように、容器106の口径に対して、緩衝材100の外径寸法が大きくても、小さくても、挿入が可能であり、1種類の緩衝材100で、大きさの異なる複数種の容器に使用できるように構成されている。
【0005】
また、特許文献2(特許第2875524号公報)には、図29、図30に示したように、固形剤の容器内での移動を防止するための緩衝材200が提案されている。
すなわち、特許文献2の緩衝材200は、図29に示したように、可撓性合成樹脂からなり、略碗状に形成されている。そして、底部202の中央を除く部分が、略網状を形成しており、底部202の中央に外向きに突起204が形成されている。
【0006】
また、この網状部分は、底部202から開口縁へ、放射状に延びる縦軸206と、隣合う縦軸206の間を連結する複数の連結片208とから構成されており、周方向に隣合う連結片208が、千鳥状に配列されている。
【0007】
そして、容器210に装着する際には、図30に示したように、内外を裏返した状態で容器210内に収容されるように構成されている。
さらに、特許文献3(特開2008−24326号公報)には、図31、図32に示したように、容器内の固形剤の動きを効果的に封じる緩衝材300が提案されている。
【0008】
この特許文献3の緩衝材300は、図31、図32に示したように、合成樹脂によって一体に形成された緩衝材であって、容器口部302に嵌合する有底の筒部304と、この筒部304の開口縁に突設され、容器口部302の端面306に当接可能なフランジ308を備えている。
【0009】
そして、筒部304の底板310が、外側に丸く膨らんで弾性変形しやすいように形成されているとともに、筒部304には、フランジ308側から底板310)側に延びる複数のスリット312が、筒部304の周方向に一定間隔離間して形成されている。
【0010】
そして、容器316内に、緩衝材300を装着した状態で、底板310と筒部304が弾性変形することにより、固形剤318を柔らかく押さえて固形剤318を傷つけることなく動きを封じるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実公平5−7151号公報
【特許文献2】特許第2875524号公報
【特許文献3】特開2008−24326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の緩衝材100では、緩衝材100を容器106内に緩衝材として充填するには、容器106内に収容した固形剤108の上部の空隙の大きさに応じて、緩衝材100の大きさを調整しなければならず、手間や時間がかかることになる。
【0013】
また、使用の際に、容器106内から緩衝材100を取り出す作業は煩雑であり、しかも緩衝材100を容器106から取り出す際に、緩衝材100とともに、同時に固形剤108も容器106内から外部にこぼれ落ちてしまうことがある。
【0014】
また、特許文献2の緩衝材200では、容器210に装着する際には、図30に示したように、内外を裏返した状態で容器210内に収容しなければならず、射出成形の状態が悪いと、反転した際や緩衝材200を取り出す際に、緩衝材200の縦軸206と、連結片208、およびこれらの接合部などの強度が弱い部分で破断してしまい、緩衝材200としての機能をなさなくなったり、繰り返しの使用が不可能となる。
【0015】
また、このように破損損傷した場合には、破損部分が容器210内に落下して、固形剤212に混入するおそれもあり、例えば、固形剤212が薬剤などである場合には、異物混入と認識されるため、特に問題があった。
【0016】
また、この緩衝材200では、容器210に装着する際に反転させなければならず、装着作業に手間、時間がかかるとともに、容器210から緩衝材200を取り出す際にも、容器210の側壁に圧着した状態の緩衝材200を指などを使って取り出さなければならず、指に余計な力かかかるとともに、取り出し作業に手間がかかることになっていた。
【0017】
さらに、特許文献3の緩衝材300では、容器316の容器口部302に、緩衝材300を装着した状態では、底板310が外側に丸く膨らんで弾性変形するとともに、筒部304のスリット312の作用によって、筒部304が外側に丸く膨らんだ状態になる。
【0018】
従って、スリット312が広がってしまい、この広がったスリット312から固形剤318が侵入してしまい、この固形剤318が運搬の際に破損損傷することがあり、また、取り出す際に、緩衝材300とともに、同時にこの侵入した固形剤318も容器316内から外部にこぼれ落ちてしまうことになる。また、スリット312に固形剤318が挟まったままの場合は、緩衝材300の取出しが不可能となる。
【0019】
また、特許文献1〜特許文献3の緩衝材は、いずれも、容器内に収容した固形剤を押さえつけて、しかも、この緩衝材による固形剤の押さえつけによって、容器内の上部に残存する空隙を小さくすることを、その技術思想とするものである。
【0020】
従って、緩衝材による押え力によっては、固形剤の機械的強度によっては、固形剤が破損損傷するおそれが残存するものである。
すなわち、本発明は、このような現状に鑑み、容器内に収容した固形剤の上部の空隙の大きさに応じて、緩衝材の大きさを調整する必要がなく、容器内への緩衝材の装着作業および取り出し作業が容易で、繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない固形剤用保護キャップおよびこれを用いた固形剤用容器を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、緩衝材を容器から取り出す際に、緩衝材とともに、同時に固形剤も容器内から外部にこぼれ落ちてしまうことがなく、従来の緩衝材にように、緩衝材によって固形剤を押さえつけて固形剤を破損損傷することがなく、サイズの異なる固形剤に使用でき、汎用性を有し、コストを低減することができる固形剤用保護キャップおよびこれを用いた固形剤用容器を提供することを目的とする。
【0022】
さらに、本発明は、射出成形金型を用いて、射出成形(インジェクション成形)を行うことができ、コストを低減できるとともに、成形精度に優れた固形剤用保護キャップおよびこれを用いた固形剤用容器を提供することを目的とする。
【0023】
このため、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、従来のように緩衝材による固形剤を押さえつけながら、容器内に残存する空隙を埋める役割ではなく、緩衝材による固形剤を押さえつけるのではなく、押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、緩衝材を容器に装着するだけで、容器内に残存する空隙を極力小さくすることによって、運搬時、保管時などにおいて、固形剤が容器内で移動するのを抑制して、固形剤の破損損傷を防止することができる緩衝材を見出したものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の固形剤用保護キャップは、
固形剤を収容した容器の口部に装着され、容器内に収容した固形剤を保護するための固形剤用保護キャップであって、
前記容器の口部に脱着自在に装着される筒状の保護キャップ本体と、
前記保護キャップ本体の底部を構成する底部保護緩衝部とを備え、
前記固形剤用保護キャップの長さが、固形剤を収容した容器の口部に、固形剤用保護キャップを装着した際に、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接する寸法を有するとともに、
前記底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接した状態で、固形剤用保護キャップが拡径しない状態を保持するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
なお、本発明において、固形剤用保護キャップを容器の口部に「装着する」とは、容器の口部内に落とし込む(若干動いても良いようにする)場合と、容器の口部に嵌合(動かないように固定)させる場合があるが、その両者の場合を含み意味である。
【0026】
すなわち、上記の「容器の口部内に落とし込む場合」とは、容器の頚部内に固形剤用保護キャップを、いわゆるスポッと落とし込んで固形剤の上面に乗せる感じを意味するものである(後述の図6参照)。
【0027】
このように構成することによって、固形剤用保護キャップの長さが、固形剤を収容した容器の口部に、固形剤用保護キャップを装着した際に、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接する寸法を有するので、固形剤用保護キャップを容器に装着するだけで、固形剤用保護キャップによって、固形剤を押さえつけるのではなく、押え力が発生しないかほとんど発生しない状態となり、容器内に残存する空隙を極力小さくすることができ、運搬時、保管時などにおいて、固形剤が容器内で移動するのを抑制して、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0028】
また、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接した状態で、固形剤用保護キャップが拡径しない状態を保持するように構成されているので、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0029】
さらに、容器内に収容した固形剤の上部の空隙の大きさに応じて、固形剤用保護キャップの大きさを調整する必要がなく、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、しかも、固形剤用保護キャップを容器から取り出す際に、固形剤用保護キャップとともに、同時に固形剤も容器内から外部にこぼれ落ちてしまうことがなく、サイズの異なる固形剤に使用でき、汎用性を有し、コストを低減することができる。
【0030】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記保護キャップ本体と底部保護緩衝部のうち、少なくとも一方に、上下方向に伸縮する伸縮部を形成したことを特徴とする。
このように構成することによって、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違しても、これらの保護キャップ本体と底部保護緩衝部のうち、少なくとも一方に形成した伸縮部が上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0031】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、
前記底部保護緩衝部が、保護キャップ本体より下方に突設した底部突設部を備え、
前記底部突設部に、前記伸縮部である底部伸縮部を形成したことを特徴とする。
【0032】
このように構成することによって、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違しても、保護キャップ本体より下方に突設した底部突設部に形成した底部伸縮部が上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0033】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記保護キャップ本体の側壁に、前記伸縮部である本体伸縮部を形成したことを特徴とする。
このように構成することによって、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置がより大きく相違しても、保護キャップ本体の側壁に形成した本体伸縮部が上下方向により適度に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0034】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、
前記底部保護緩衝部が、保護キャップ本体より下方に突設した底部突設部を備え、
前記底部突設部に、前記伸縮部である底部伸縮部を形成するとともに、
前記保護キャップ本体の側壁に、前記伸縮部である本体伸縮部を形成したことを特徴とする。
【0035】
このように構成することによって、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違しても、保護キャップ本体より下方に突設した底部突設部に形成した底部伸縮部が上下方向に収縮し、さらに、容器内に収容した固形剤の最上部の位置がより大きく相違した場合には、保護キャップ本体の側壁に形成した本体伸縮部が上下方向により適度に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0036】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記本体伸縮部と底部伸縮部とのバネ力を相違するように形成したことを特徴とする。
このように構成することによって、例えば、本体伸縮部よりも底部伸縮部のバネ力を小さく設定することによって、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合には、先に、保護キャップ本体より下方に突設した底部突設部に形成した底部伸縮部が上下方向に収縮する。
【0037】
また、容器内に収容した固形剤の最上部の位置がより大きく相違した場合には、この底部伸縮部が上下方向に収縮とともに、さらに保護キャップ本体の側壁に形成した本体伸縮部が上下方向により適度に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0038】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記本体伸縮部が、保護キャップ本体の側壁の長さ方向に、複数個分離して形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、保護キャップ本体の側壁の長さ方向に、複数個分離して形成されている本体伸縮部によって、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合に、固形剤の最上部の位置の相違の大きさに対応して、これらの複数個の本体伸縮部が選択的に上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0039】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記複数に分離された本体伸縮部のバネ力が相違するように形成したことを特徴とする。
このように構成することによって、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合には、先に、バネ力を小さく設定した本体収縮部が上下方向に収縮する。
【0040】
また、容器内に収容した固形剤の最上部の位置がより大きく相違した場合には、このバネ力を小さく設定した本体収縮部が上下方向に収縮とともに、さらにバネ力を小さく設定した本体収縮部が上下方向により適度に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0041】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記底部伸縮部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された底部網状部から形成されていることを特徴とする。
このように底部伸縮部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された底部網状部から形成されているので、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、この底部網状部がクッション性を有しながら、上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0042】
また、底部伸縮部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された底部網状部から形成されているので、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接した状態で、底部伸縮部が拡径しない状態を保持するように構成されている。
【0043】
従って、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、底部伸縮部が拡径しない状態であるので、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0044】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記底部伸縮部が、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブから形成された底部網状部から形成されていることを特徴とする。
このように底部伸縮部が、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブから形成された底部網状部から形成されているので、底部伸縮部が、略垂直に交差して形成された底部網状部よりもさらに上下方向に伸縮し易くなり、しかも、拡径方向に変形しないようになっている。
【0045】
従って、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、この底部網状部がクッション性を有しながら、上下方向に容易に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0046】
しかも、このように底部伸縮部が拡径しない状態を保持するように構成されているので、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0047】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記縦方向傾斜リブと交差する横方向リブを備えることを特徴とする。
このように縦方向傾斜リブと交差する横方向リブを備えるので、この横方向リブによって、拡径方向に変形しないようになっている。
【0048】
従って、このように底部伸縮部が拡径しない状態を保持するように構成されているので、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0049】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記底部網状部が、底部突設部の側壁部分に形成されていることを特徴とする。
このように底部網状部が、底部突設部の側壁部分に形成されているので、底部伸縮部が、上下方向に伸縮する伸縮する量が大きくなり、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0050】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記底部網状部が、底部突設部の側壁部分と底部に形成されていることを特徴とする。
このように底部網状部が、底部突設部の側壁部分と底部に形成されているので、底部伸縮部が、上下方向に伸縮する伸縮する量が大きくなるとともに、底部網状部がクッション性が増加し、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷をさらに防止することができる。
【0051】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記本体伸縮部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された本体網状部から形成されていることを特徴とする。
このように本体伸縮部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された本体網状部から形成されているので、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、この本体網状部がクッション性を有しながら、上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0052】
また、本体網状部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された本体網状部から形成されているので、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接した状態で、保護キャップ本体が拡径しない状態を保持するように構成されている。
【0053】
従って、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、保護キャップ本体が拡径しない状態であるので、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0054】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記本体伸縮部が、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブから形成された本体網状部から形成されていることを特徴とする。
このように本体伸縮部が、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブから形成された本体網状部から形成されているので、本体伸縮部が、上下方向に伸縮し易くなり、しかも、拡径方向に変形しないようになっている。
【0055】
従って、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、この本体網状部がクッション性を有しながら、上下方向に容易に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0056】
しかも、このように本体伸縮部が拡径しない状態を保持するように構成されているので、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0057】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記縦方向傾斜リブと交差する横方向リブを備えることを特徴とする。
このように縦方向傾斜リブと交差する横方向リブを備えるので、この横方向リブによって、拡径方向に変形しないようになっている。
【0058】
従って、このように本体伸縮部が拡径しない状態を保持するように構成されているので、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0059】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記底部保護緩衝部が、前記保護キャップ本体の底部の底面より下方に突設するように形成した突設リブを備えることを特徴とする。
このように突設リブを設けることによって、保護キャップ本体を容器の口部内に装着する際に、容器内に収容した固形剤を、突設リブに沿って押し退けて、装着が容易となる。
【0060】
さらに、固形剤用保護キャップを上下逆さまにひっくり返して、容器の口部内に再挿入してしまった際に、突設リブが、取り出しやすいように摘める部位として機能することになり、固形剤用保護キャップの取り出しが容易となる。
【0061】
また、固形剤用保護キャップを容器の口部内に保持しない構造である場合、すなわち、固形剤用保護キャップが公差内で小さめの形状である場合、または、容器が公差内で大きめの容器では、固形剤用保護キャップが容器内で回転してしまうおそれがある。
【0062】
このため、固形剤用保護キャップが取り出しにくく、固形剤用保護キャップの取り出し時に固形剤に手が触れる可能性がある。
しかしながら、本願発明のように、突設リブを備えるようにすることによって、この突設リブを固形剤の間に食い込ませることによって、固形剤用保護キャップが容器内で回転し難くなる。このため、固形剤用保護キャップが取り出し易く、固形剤用保護キャップの取り出し時に固形剤に手が触れるおそれもない。
【0063】
また、本発明の固形剤用保護キャップは、前記固形剤用保護キャップの内径が、底部から上部にかけて大きくなるように形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、固形剤用保護キャップの内径が、底部から上部にかけて大きくなるように形成されているので、上下一対の金型からなる射出成形金型を用いて、射出成形(インジェクション成形)を行い、上下一対の金型から、固形剤用保護キャップを破損損傷することなく、容易に分離することができ、連続的に射出成型が可能となり、コストを低減できるとともに、成形精度に優れた固形剤用保護キャップを提供することができる。
【0064】
また、本発明の固形剤用容器は、上記のいずれかに記載の固形剤用保護キャップを、容器の口部に装着したことを特徴とする固形剤用容器である。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、固形剤用保護キャップの長さが、固形剤を収容した容器の口部に、固形剤用保護キャップを装着した際に、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接する寸法を有するので、固形剤用保護キャップを容器に装着するだけで、固形剤用保護キャップによって、固形剤を押さえつけるのではなく、押え力が発生しないかほとんど発生しない状態となり、容器内に残存する空隙を極力小さくすることができ、運搬時、保管時などにおいて、固形剤が容器内で移動するのを抑制して、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【0066】
また、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接した状態で、固形剤用保護キャップが拡径しない状態を保持するように構成されているので、固形剤に余分な力がかかることがなく、固形剤の破損損傷を防止することができ、しかも、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0067】
さらに、容器内に収容した固形剤の上部の空隙の大きさに応じて、固形剤用保護キャップの大きさを調整する必要がなく、容器内への固形剤用保護キャップの装着作業および取り出し作業が容易で、しかも、固形剤用保護キャップを容器から取り出す際に、固形剤用保護キャップとともに、同時に固形剤も容器内から外部にこぼれ落ちてしまうことがなく、サイズの異なる固形剤に使用でき、汎用性を有し、コストを低減することができる。
【0068】
また、本発明によれば、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違、容器内への固形剤の充填収容状態(錠剤の向きや並び方)によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違しても、これらの保護キャップ本体と底部保護緩衝部のうち、少なくとも一方に形成した伸縮部が上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップによる固形剤の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤の破損損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、本発明の固形剤用保護キャップの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の固形剤用保護キャップの正面図である。
【図3】図3は、図1の固形剤用保護キャップの上面図である。
【図4】図4は、図1の固形剤用保護キャップの縦断面図である。
【図5】図5は、図4の固形剤用保護キャップの底部の部分を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は、図1の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図である。
【図7】図7は、図1の固形剤用保護キャップの使用前の状態の正面図である。
【図8】図8は、図1の固形剤用保護キャップの使用中の状態の正面図である。
【図9】図9は、本発明別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図である。
【図10】図10は、図9の固形剤用保護キャップの正面図である。
【図11】図11は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図である。
【図12】図12は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図である。
【図13】図13は、図11の固形剤用保護キャップの上面図である。
【図14】図14は、図11の固形剤用保護キャップの縦断面図である。
【図15】図15は、図1の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図である。
【図16】図16は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図である。
【図17】図17は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図である。
【図18】図18は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図である。
【図19】図19は、図17の固形剤用保護キャップの上面図である。
【図20】図20は、図17の固形剤用保護キャップの縦断面図である。
【図21】図21は、図17の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図である。
【図22】図22は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図である。
【図23】図23は、図22の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図である。
【図24】図24は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図である。
【図25】図25は、図24の固形剤用保護キャップの斜視図である。
【図26】図26は、図24の固形剤用保護キャップの底面図である。
【図27】図27は、従来の緩衝材の斜視図である。
【図28】図28は、図27の従来の緩衝材の使用状態の断面図である。
【図29】図29は、従来の緩衝材の正面図である。
【図30】図30は、従来の緩衝材の使用状態の断面図である。
【図31】図31は、従来の緩衝材の正面図である。
【図32】図32は、従来の緩衝材の使用状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0071】
図1は、本発明の固形剤用保護キャップの斜視図、図2は、本発明の固形剤用保護キャップの正面図、図3は、図1の固形剤用保護キャップの上面図、図4は、図1の固形剤用保護キャップの縦断面図、図5は、図4の固形剤用保護キャップの底部の部分を拡大して示す断面図、図6は、図1の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図、図7は、図1の固形剤用保護キャップの使用前の状態の正面図、図8は、図1の固形剤用保護キャップの使用中の状態の正面図である。
【0072】
図1〜図8において、符号10は、全体で本発明の固形剤用保護キャップを示している。
図6に示したように、固形剤用保護キャップ10は、固形剤12を収容した容器14の口部16に脱着自在に装着されるものである。
【0073】
なお、このような固形剤12としては、例えば、錠剤、カプセル剤などの薬品類、チョコレート、キャンディー、ガムなどの粒状の菓子類などの固形剤などがあるが、何らこれに限定されるものではない。
【0074】
すなわち、固形剤用保護キャップ10は、保護キャップ本体18を備えており、容器14の口部16の内壁に脱着自在に装着されるもので、上端部22の外径が、容器14の口部16の内径とほぼ同じか、僅かに小さくなるように設定されている(図6参照)。
【0075】
なお、本発明において、固形剤用保護キャップ10を容器14の口部16に「装着する」とは、容器14の口部16内に落とし込む(若干動いても良いようにする)場合と、容器14の口部16に嵌合(動かないように固定)させる場合があるが、その両者の場合を含み意味である。
【0076】
すなわち、上記の「容器14の口部16内に落とし込む場合」とは、容器14の頚部内に固形剤用保護キャップ10を、いわゆるスポッと落とし込んで固形剤12の上面に乗せる感じを意味するものである(後述の図6参照)。
【0077】
また、この実施例では、保護キャップ本体18の外径が、保護キャップ本体18の下端部20よりも、上端部22の径が僅かに大きくなるように構成されている。
これにより、保護キャップ本体18を、容器14の口部16内に装着する際に、口部16の内壁と上端部22の外壁との間の摩擦力を低減して、円滑に装着することができるようになっている。
【0078】
なお、上記のように、「容器14の口部16に嵌合させる場合」には、上端部22の外周に複数の縦リブ(図示せず)を設けても良い。これにより、摩擦力が更に低減され、着脱が容易になる。
【0079】
この保護キャップ本体18の下端部20には、保護キャップ本体18の底部を構成する底部保護緩衝部40が備えられている。
この底部保護緩衝部40は、保護キャップ本体18の下端部20に、丸く形成されたアール部24aを備えている。そして、このアール部24aから内周側に延設された延設部24bが形成され、この延設部24bの先端部分にも、丸く形成されたアール部24cが形成されている。
【0080】
このアール部24cから、内周側に下方に傾斜するように延設されたテーパー面を形成するテーパー部24dが形成され、このテーパー部24dにより、下方に突設する底部突設部26が形成されている。
【0081】
なお、これらのアール部24a、延設部24b、アール部24c、テーパー部24dは、保護キャップ本体18を容器14の口部16内に装着する際に、容器14内に収容した固形剤12をこれらの部分に沿って押し退けて、装着が容易となるように構成されている。
【0082】
また、底部突設部26は、図3、図5に示したように、この延設部24bの内周の円周に沿って、所定の中心角度で離間して、斜め下方に縦方向に延設された複数の縦方向リブ28と、これらの縦方向リブ28に対して、略垂直に交差して連結するように形成した横方向リブ30とを備えている、そして、これらの縦方向リブ28、横方向リブ30によって、底部網状部34が形成されている。
【0083】
そして、縦方向リブ28の先端は、図3に示したように、中心部に位置する円形形状の底板部32に連結されている。
これらの縦方向リブ28と、横方向リブ30と、底板部32によって、略かご形状の底部網状部34が形成され、これにより伸縮部である底部伸縮部42を形成している。
【0084】
この場合、この実施例では、図3に示したように、中心角αを22.5°として、合計16個の縦方向リブ28を形成したが、この数は、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、リブの太さ、容器14の寸法などに応じて、後述するバネ力を考慮して適宜変更すればよく、特に限定されるものではないが、8〜30個、好ましくは、10〜20個の縦方向リブ28となるように、中心角αを設定すればよい。
【0085】
また、図5に示したように、底板部32とテーパー部24dとの傾斜角度としては、前述した容器14内に収容した固形剤12を押し退ける効果と、後述するバネ力を考慮して適宜変更すればよく、特に限定されるものではないが、傾斜角度βは、10〜75°、好ましくは、30〜65°とするのが望ましい。
【0086】
また、この実施例では、1本の横方向リブ30を形成したが、この数は、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、容器14の寸法などによって、後述するバネ力を考慮して適宜変更すればよく、特に限定されるものではない。
【0087】
さらに、この場合、図4、図6に示したように、固形剤用保護キャップ10の長さLが、固形剤12を収容した容器14の口部16に、固形剤用保護キャップ10を装着した際に、底部保護緩衝部40が、容器14内に収容した固形剤12の最上部に当接する寸法を有するように予め設定されている。
【0088】
なお、この寸法としては、固形剤12を収容した容器14の口部16に、固形剤用保護キャップ10を装着した際に、底部保護緩衝部40の底板部32が、図5に示したように僅かに容器14内に収容した固形剤12の最上部に沈みこんで、容器14内に収容した固形剤12を、アール部24a、延設部24b、アール部24c、テーパー部24dに沿って押し退けて、装着が容易となる程度に設定するのが望ましく、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、容器14の寸法などに応じて適宜変更すれば良く、特に限定されるものではない。
【0089】
一方、保護キャップ本体18の側壁36に、伸縮部である本体伸縮部46が形成されている。この本体伸縮部46は、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブ48から形成されている。
【0090】
この縦方向傾斜リブ48は、図4に示されているように、螺旋形状に形成されており、これにより、縦方向傾斜リブ48が上下方向に伸縮しやすくなり、本体伸縮部46の有するバネ力が向上して本体伸縮部46が上下方向に伸縮しやすくなっている。
【0091】
また、図4に示したように、これらの縦方向傾斜リブ48と交差する複数の(この実施例では2本の)横方向リブ50を備えている。
そして、これらの縦方向傾斜リブ48と横方向リブ50によって、略平行四辺形の形状の網目を有する本体網状部52が形成されていることになる。
【0092】
このように縦方向傾斜リブ48と交差する横方向リブ50を備えるので、図8に示したように、本体網状部52が上下方向に収縮した際に、この横方向リブ50によって、拡径方向に変形しないようになっている。
【0093】
なお、この実施例では、2本の横方向リブ50を形成して、下方の本体網状部52a、中間の本体網状部52b、上方の本体網状部52cとから構成したが、この横方向リブ50の数は、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、容器14の寸法などに応じて、後述するバネ力を考慮して適宜変更すればよく、特に限定されるものではない。
【0094】
また、縦方向傾斜リブ48の数についても、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、容器14の寸法などに応じて、後述するバネ力を考慮して適宜変更すればよく、特に限定されるものではない。
【0095】
なお、この実施例では、図5に示したように、底部保護緩衝部40の内径が、底部保護緩衝部40の下端部から上端部に向って、漸次その径が大きくなるように形成されている。これにより、上下一対の金型からなる射出成形金型を用いて、射出成形(インジェクション成形)を行い、上下一対の金型から、固形剤用保護キャップ10を破損損傷することなく、容易に分離することができ、連続的に射出成型が可能となり、コストを低減できるとともに、成形精度に優れた固形剤用保護キャップ10を提供することができるようになっている。
【0096】
また、この実施例では、図4に示したように、保護キャップ本体18の内径が、保護キャップ本体18の下端部20から上端部22に向って、漸次その径が大きくなるように形成されている。
【0097】
すなわち、図4に示したように、保護キャップ本体18の内径が、保護キャップ本体18の下端部20から上端部22に向って、下方の本体網状部52a、中間の本体網状部52a、上方の本体網状部52cと段階的に、漸次その径が大きくなるように形成されている。
【0098】
これにより、上下一対の金型からなる射出成形金型を用いて、射出成形(インジェクション成形)を行い、上下一対の金型から、固形剤用保護キャップ10を破損損傷することなく、容易に分離することができ、連続的に射出成型が可能となり、コストを低減できるとともに、成形精度に優れた固形剤用保護キャップを提供することができるようになっている。
【0099】
また、この場合、本体伸縮部46と底部伸縮部42とのバネ力を同一とすることもできるが、本体伸縮部46と底部伸縮部42とのバネ力を相違するように形成することも可能である。
【0100】
例えば、本体伸縮部46よりも底部伸縮部42のバネ力を小さく設定することによって、容器14内に収容した固形剤12の大きさ、容器14の寸法の大きさなどの相違によって、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置が相違した場合には、先に、保護キャップ本体18より下方に突設した底部突設部26に形成した底部伸縮部42が上下方向に収縮する。
【0101】
また、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置がより大きく相違した場合には、この底部伸縮部42が上下方向に収縮とともに、さらに保護キャップ本体18の側壁36に形成した本体伸縮部46が上下方向により適度に収縮するので、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【0102】
なお、逆に、底部伸縮部42よりも本体伸縮部46のバネ力を小さく設定することももちろん可能である。
この場合、本体伸縮部46と底部伸縮部42とのバネ力を相違する方法としては、底部伸縮部42の縦方向リブ28と横方向リブ30の太さ、厚さ、本数と、本体伸縮部46の縦方向傾斜リブ48と横方向リブ50の太さ、厚さ、本数を変えるようにして、バネ力を相違するように設定すればよい。
【0103】
なお、固形剤用保護キャップ10としては、本体伸縮部46と底部伸縮部42の弾性、および容器14の口部16の内壁に脱着自在に上端部22が嵌合するための弾性の観点から、合成樹脂成形により形成すればよく、例えば、PE−LD(低密度ポリエチレン)、PE−LLD(リニア低密度ポリエチレン)、PE−MD(中密度ポリエチレン)等のオレフィン系の素材を単独で使用したり、あるいは、これらのいずれかの素材に対しPE−HD(高密度ポリエチレン)、EVAC(エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂)もしくはエラストマー等をブレンドしたものを使用することができるが、容器14内に収容した固形剤12の種類などに応じて、これ以外にも使用でき、特に限定されるものではい。
【0104】
このように構成される本発明の固形剤用保護キャップ10の使用方法について、以下に説明する。
先ず、予め、図6に示したように、容器14に所定の量の固形剤12を充填しておく。そして、別途図示しない、例えば、吸着装置などの保持装置によって、固形剤用保護キャップ10を保持して、容器14の口部16から、底部保護緩衝部40が下方に位置する状態で、固形剤用保護キャップ10を挿入して、容器14の口部16に装着する。
【0105】
なお、図6では、容器14の口部16に装着する外蓋を図示していないが、このような外蓋は、その形状、構造など、従来公知のものを採用することができ、何ら限定されるものではない。
【0106】
また、図6においては、説明の便宜上、上記の「容器14の口部16内に落とし込む場合」として、固形剤用保護キャップ10を、容器14の口部16に装着した状態で、容器14の口部16と保護キャップ本体18の上端部22とが、離間した状態で図示しているが、上記の「容器14の口部16に嵌合させる場合」には、容器14の口部16の内壁に脱着自在に嵌合されるものである。
【0107】
このように固形剤用保護キャップ10を、容器14の口部16に装着した状態では、底部保護緩衝部40の底板部32が、図6に示したように僅かに容器14内に収容した固形剤12の最上部に沈みこんで、容器14内に収容した固形剤12を、アール部24a、延設部24b、アール部24c、テーパー部24dに沿って押し退けた状態となっている。
【0108】
また、この状態では、縦方向リブ28と、横方向リブ30と、底板部32によって形成された略かご形状の底部網状部34が、その底板部32が、容器14内に収容した固形剤12の最上部に当接して、底部網状部34の有するバネ力により、底部網状部34がクッション性を有しながら、上下方向に伸縮するようになっている。
【0109】
従って、固形剤用保護キャップ10によって、固形剤12を押さえつけるのではなく、押え力が発生しないかほとんど発生しない状態となり、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくすることができ、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくすることによって、運搬時、保管時などにおいて、固形剤12が容器14内で移動するのを抑制して、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【0110】
また、底部保護緩衝部40が、容器14内に収容した固形剤12の最上部に当接した状態で、固形剤用保護キャップ10が拡径しない状態を保持するように構成されているので、固形剤12に余分な力がかかることがなく、固形剤12の破損損傷を防止することができ、しかも、容器14内への固形剤用保護キャップ10の装着作業および取り出し作業が容易で、特に高速連続的な自動装着作業が可能であり、必要であれば繰り返しの使用に際しても破損損傷することがない。
【0111】
さらに、容器14内に収容した固形剤12の上部の空隙Sの大きさに応じて、固形剤用保護キャップ10の大きさを調整する必要がなく、容器14内への固形剤用保護キャップ10の装着作業および取り出し作業が容易で、しかも、固形剤用保護キャップ10を容器14から取り出す際に、固形剤用保護キャップ10とともに、同時に固形剤12も容器14内から外部にこぼれ落ちてしまうことがなく、サイズの異なる固形剤12に使用でき、汎用性を有し、コストを低減することができる。
【0112】
また、底部伸縮部42が、縦方向リブ28と横方向リブ30とが略垂直に交差して形成された底部網状部34から形成されているので、容器14内に収容した固形剤12の大きさ、容器14の寸法の大きさなどの相違によって、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置が相違しても、底部保護緩衝部40に形成した伸縮部である底部網状部34が、クッション性を有しながら、上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【0113】
そして、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置がより大きく相違した場合には、この底部伸縮部42が上下方向に収縮とともに、図7の使用前の状態と比較して、図8に示したように、略平行四辺形の形状の網目を有する本体網状部52が上下方向に縮むように変形することによって、さらに保護キャップ本体18の側壁36に形成した本体伸縮部46が上下方向により適度に収縮するので、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【0114】
また、この状態では、縦方向傾斜リブ48と交差する横方向リブ50を備えるので、図8に示したように、本体網状部52が上下方向に収縮した際に、この横方向リブ50によって、拡径方向に変形しないようになっている。
【0115】
従って、本体網状部52の網目が、従来のように拡がり、固形剤用保護キャップ10の内部に固形剤12が侵入することがないので、固形剤用保護キャップ10を容器14から取り出す際に、固形剤用保護キャップ10とともに、同時に固形剤12も容器14内から外部にこぼれ落ちてしまうことがない。
【実施例2】
【0116】
図9は、本発明別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図、図10は、図9の固形剤用保護キャップの正面図である。
この実施例の固形剤用保護キャップ10は、図1〜図8に示した実施例の固形剤用保護キャップ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0117】
この実施例の固形剤用保護キャップ10では、本体伸縮部46を、保護キャップ本体18の側壁36の長さ方向に、複数個、この実施例では、2つの分離して形成され本体伸縮部46a、46bから形成されている。
【0118】
なお、この本体伸縮部46の分離する数は、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、容器14の寸法などに応じて、後述するバネ力を考慮して適宜変更すればよく、特に限定されるものではない。
【0119】
このように構成することによって、保護キャップ本体18の側壁36の長さ方向に、複数個分離して形成されている本体伸縮部46a、46bによって、容器14内に収容した固形剤12の大きさ、容器14の寸法の大きさなどの相違によって、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置が相違した場合に、固形剤12の最上部の位置の相違の大きさに対応して、これらの複数個の本体伸縮部46a、46bが選択的に上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【0120】
また、この場合、この複数に分離された本体伸縮部46a、46bのバネ力を同一とすることもできるが、複数に分離された本体伸縮部46a、46bのバネ力を相違するように形成することもできる。
【0121】
このように構成することによって、容器14内に収容した固形剤12の大きさ、容器14の寸法の大きさなどの相違によって、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置が相違した場合には、先に、バネ力を小さく設定した本体収縮部が上下方向に収縮する。
【0122】
また、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置がより大きく相違した場合には、このバネ力を小さく設定した本体収縮部が上下方向に収縮とともに、さらにバネ力を小さく設定した本体収縮部が上下方向により適度に収縮するので、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【実施例3】
【0123】
図11は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図、図12は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図、図13は、図11の固形剤用保護キャップの上面図、図14は、図11の固形剤用保護キャップの縦断面図、図15は、図1の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図である。
【0124】
この実施例の固形剤用保護キャップ10は、図1〜図8に示した実施例の固形剤用保護キャップ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0125】
この実施例の固形剤用保護キャップ10では、保護キャップ本体18の側壁36に形成した、伸縮部である本体伸縮部46を省略するとともに、底部突設部26に形成した底部伸縮部42のみ形成している。
【0126】
このように構成することによって、容器14内に収容した固形剤12の大きさ、容器14の寸法の大きさなどの相違によって、容器14内に収容した固形剤12の最上部の位置が相違しても、保護キャップ本体18より下方に突設した底部突設部26に形成した底部伸縮部42が上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【実施例4】
【0127】
図16は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図である。
この実施例の固形剤用保護キャップ10は、図11〜図15に示した実施例の固形剤用保護キャップ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0128】
この実施例の固形剤用保護キャップ10では、底部保護緩衝部40の縦方向リブ28と横方向リブ30を、底板部32側まで延設するとともに、底板部32の寸法を比較的小さく形成している。
【0129】
このように構成することによって、底部網状部34の有するバネ力がさらに向上して、底部網状部34が上下方向にさらに伸縮しやすくなっている。
従って、底部保護緩衝部40に形成した伸縮部である底部網状部34が、クッション性を有しながら、上下方向に収縮しやすいので、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【実施例5】
【0130】
図17は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの斜視図、図18は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図、図19は、図17の固形剤用保護キャップの上面図、図20は、図17の固形剤用保護キャップの縦断面図、図21は、図17の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図である。
【0131】
この実施例の固形剤用保護キャップ10は、図1〜図8に示した実施例の固形剤用保護キャップ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0132】
この実施例の固形剤用保護キャップ10では、保護キャップ本体18の側壁36に形成した、伸縮部である本体伸縮部46を省略するとともに、底部突設部26に形成した底部伸縮部42のみ形成している。
【0133】
また、底部保護緩衝部40が、縦方向リブ28と、縦方向リブ28に対して、略垂直に交差して連結するように形成した横方向リブ30とから構成する代わりに、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブ44から形成されている。
【0134】
また、この場合、縦方向傾斜リブ44は、螺旋形状に形成されており、これにより、縦方向傾斜リブ44が上下方向に伸縮しやすくなり、底部網状部34の有するバネ力がさらに向上して、底部網状部34が上下方向にさらに伸縮しやすくなっている。
【0135】
従って、底部保護緩衝部40に形成した伸縮部である底部網状部34が、上下方向に縮むように変形することによって、クッション性を有しながら、上下方向に収縮しやすいので、容器内に収容した固形剤の大きさ、容器の寸法の大きさなどの相違によって、容器内に収容した固形剤の最上部の位置が相違した場合にも、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくした状態を維持することができ、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【実施例6】
【0136】
図22は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図、図23は、図22の固形剤用保護キャップの使用状態の断面図である。
この実施例の固形剤用保護キャップ10は、図1〜図8に示した実施例の固形剤用保護キャップ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0137】
この実施例の固形剤用保護キャップ10では、保護キャップ本体18の側壁36に形成した、伸縮部である本体伸縮部46を省略するとともに、底部突設部26に形成した底部伸縮部42も省略している。
【0138】
このような固形剤用保護キャップ10においても、固形剤用保護キャップ10の長さLが、固形剤12を収容した容器14の口部16に、固形剤用保護キャップ10を装着した際に、底部保護緩衝部40が、容器14内に収容した固形剤12の最上部に当接する寸法を有するように予め設定されていれば、固形剤用保護キャップ10を容器14に装着するだけで、固形剤用保護キャップ10によって、固形剤12を押さえつけるのではなく、押え力が発生しないかほとんど発生しない状態となり、容器14内に残存する空隙Sを極力小さくすることができ、運搬時、保管時などにおいて、固形剤12が容器14内で移動するのを抑制して、固形剤12の破損損傷を防止することができる。
【実施例7】
【0139】
図24は、本発明の別の実施例の固形剤用保護キャップの正面図、図25は、図24の固形剤用保護キャップの斜視図、図26は、図24の固形剤用保護キャップの底面図である。
【0140】
この実施例の固形剤用保護キャップ10は、図1〜図8に示した実施例の固形剤用保護キャップ10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0141】
この実施例の固形剤用保護キャップ10では、底部突設部26に形成した底部伸縮部42を省略している。
その代わりに、図24〜図25に示したように、保護キャップ本体18の底部に、保護キャップ本体18の底面より下方に突設する、複数の突設リブ54、54からなる底部保護緩衝部40が形成されている。
【0142】
なお、本明細書において、「底部保護緩衝部」とは、上記の実施例1〜実施例6のように、底部突設部26に形成した底部網状部34のように、クッション性を有しながら、上下方向に収縮するので、固形剤用保護キャップ10による固形剤12の押え力が発生しないかほとんど発生しない状態で、しかも、容器12内に残存する空隙を極力小さくした状態を維持する場合の他、この実施例7のように、保護キャップ本体18を容器14の口部16内に装着する際に、容器14内に収容した固形剤12を、複数の突設リブ54、54に沿って、これらの部分に沿って押し退けて、装着が容易となる場合も包含する意味である。
【0143】
この実施例の場合には、この複数の突設リブ54、54(この実施例では、2個の突設リブ54)が、図26に示したように、十字形状に直角(交差角度γが90°)に交差する突設リブ54、54から形成されている。
【0144】
しかしながら、この突設リブ54の数、交差角度γとしては、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、容器14の寸法などに応じて、適宜変更すればよく、特に限定されるものではないが、1〜5個、好ましくは、2〜4個の突設リブ54となるように、交差角度γを設定すればよい。
【0145】
また、図25に示したように、この突設リブ54の保護キャップ本体18の底面より突設する突設距離Pとしては、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、容器14の寸法などに応じて、適宜変更すればよく、特に限定されるものではないが、0.5mm〜50mm、好ましくは、3〜15mm程度とするのが望ましい。
【0146】
また、突設リブ54の保護キャップ本体18の底面より突設する突設幅Tとしても、固形剤12の大きさ、種類、硬さ、固形剤用保護キャップの下端部20の径、口部16の寸法などに応じて、適宜変更すればよく、特に限定されるものではないが、10mm〜50mm、好ましくは、15〜40mm程度とするのが望ましい。
【0147】
また、このように複数の突設リブ54、54を設けることによって、保護キャップ本体18を容器14の口部16内に装着する際に、容器14内に収容した固形剤12を、複数の突設リブ54、54に沿って、これらの部分に沿って押し退けて、装着が容易となる。
【0148】
さらに、突設リブ54には、外周側の端部には、内周側に向かって下方に漸次径が小さくなるように形成したアール部54aを形成するのが望ましい。このようにアール部54aを形成することによって、保護キャップ本体18を容器14の口部16内に装着する際に、容器14内に収容した固形剤12を、アール部54aに沿って、これらの部分に沿って押し退けて、装着が容易となる効果がさらに向上する。
【0149】
さらに、固形剤用保護キャップ10を上下逆さまにひっくり返して、容器14の口部16内に再挿入してしまった際に、突設リブ54が、取り出しやすいように摘める部位として機能することになり、固形剤用保護キャップ10の取り出しが容易となる。
【0150】
また、固形剤用保護キャップ10を容器14の口部16内に保持しない構造である場合、すなわち、固形剤用保護キャップ10が公差内で小さめの形状である場合、または、容器14が公差内で大きめの容器では、固形剤用保護キャップ10が容器14内で回転してしまうおそれがある。
【0151】
このため、固形剤用保護キャップ10が取り出しにくく、固形剤用保護キャップ10の取り出し時に固形剤12に手が触れる可能性がある。
しかしながら、この実施例のように、突設リブ54を備えるようにすることによって、この突設リブ54を固形剤12の間に食い込ませることによって、固形剤用保護キャップ10が容器12内で回転し難くなる。このため、固形剤用保護キャップ10が取り出し易く、固形剤用保護キャップ10の取り出し時に固形剤に手が触れるおそれもない。
【0152】
なお、この実施例では、突設リブ54、54を、十字形状に交差する突設リブ54、54から形成したが、容器14の口部16内への装着が容易であって、取り出しやすいように摘める部位として機能し、しかも、固形剤12などの内容物を挟み込まない形状であれば、特に限定されるものではない。
【0153】
従って、図示しないが、突設リブ54の形状としては、例えば、三角錐であったり、四角錐など、様々な形状あってもよい。
また、この実施例では、突設リブ54、54を、十字形状に交差する突設リブ54、54から形成したが、板状の平板形状であっても、上記の機能を果たすことができる。
【0154】
なお、特許文献2の緩衝材200の突起204は、使用時には、内外を裏返した状態で容器210内に収容されるものであり、取り出し時に円錐台形状の突起であるので、手で摘むことは困難である。また、容器への装着時には、図30で示したように、特許文献2の緩衝材200の突起204が凹部を有する形状となり、固形剤がこの凹部内に嵌合して、外部にこぼれ落ちてしまうことにもなる。これに対して、この実施例7のような突設リブ54の形状であれば、上記のような、回転防止、摘み効果などの作用効果を奏するので優れている。
【0155】
なお、この実施例では、底部突設部26に形成した底部伸縮部42を省略して、その代わりに、図24〜図25に示したように、保護キャップ本体18の底部に、保護キャップ本体18の底面より下方に突設する、複数の突設リブ54、54を形成したが、図示しないが、底部突設部26に形成した底部伸縮部42とともに、底部伸縮部42の下方にこのような複数の突設リブ54、54を形成することも可能である。
【0156】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、保護キャップ本体18の側壁36に形成した、伸縮部である本体伸縮部46と、底部突設部26に形成した底部伸縮部42の両方を備えた実施例(実施例1、実施例2)、底部突設部26に形成した底部伸縮部42のみを形成した実施例(実施例3〜実施例5)について説明したが、図示しないが、保護キャップ本体18と底部保護緩衝部40のうち、少なくとも一方に、上下方向に伸縮する伸縮部を形成すればよく、本体伸縮部46のみ形成することも可能である。
【0157】
また、実施例1では、複数の斜め方向に傾斜した螺旋状の縦方向傾斜リブ48と、縦方向傾斜リブ48と交差する横方向リブ50から本体伸縮部46を形成し、縦方向リブ28と、縦方向リブ28と略垂直に交差する横方向リブ30とから底部伸縮部42を形成したが、その逆に、本体伸縮部46を、縦方向リブと、縦方向リブと略垂直に交差する横方向リブとから形成し、底部伸縮部42を、複数の斜め方向に傾斜した螺旋状の縦方向傾斜リブと、縦方向傾斜リブと交差する横方向リブから形成することも可能である。
【0158】
また、本体伸縮部46と底部伸縮部42を、同じ種類の網状部から形成することも可能である。
また、上記実施例では、本体伸縮部46、本体伸縮部46a、46bを、縦方向傾斜リブ48、横方向リブ50などで、略平行四辺形の形状の網目を有する本体網状部52を形成していたが、固形剤12のサイズや形状によって、これらのリブの角度や形状(例えば、丸、横平状など)は適宜選択できることはもちろんである。
【0159】
さらには、例えば、固形剤用保護キャップ10の内部の内部空間に、例えば、品質劣化防止剤、脱酸素剤、乾燥剤など収容することも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明は、固形剤を収容した容器において、固形剤が容器内で移動するのを防止して、固形剤の破損損傷を防止するための固形剤用保護キャップおよびこれを用いた固形剤用容器に適用することができる。
【符号の説明】
【0161】
10 固形剤用保護キャップ
12 固形剤
14 容器
16 口部
18 保護キャップ本体
20 下端部
22 上端部
24a アール部
24b 延設部
24c アール部
24d テーパー部
26 底部突設部
28 縦方向リブ
30 横方向リブ
32 底板部
34 底部網状部
36 側壁
40 底部保護緩衝部
42 底部伸縮部
44 縦方向傾斜リブ
46 本体伸縮部
46a、46b 本体伸縮部
48 縦方向傾斜リブ
50 横方向リブ
52 本体網状部
52a〜52c 本体網状部
54 突設リブ
54a アール部
100 緩衝材
102 周壁
104 底部
106 容器
108 固形剤
200 緩衝材
202 底部
204 突起
206 縦軸
208 連結片
210 容器
212 固形剤
300 緩衝材
302 容器口部
304 筒部
306 端面
308 フランジ
310 底板
312 スリット
316 容器
318 固形剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形剤を収容した容器の口部に装着され、容器内に収容した固形剤を保護するための固形剤用保護キャップであって、
前記容器の口部に脱着自在に装着される筒状の保護キャップ本体と、
前記保護キャップ本体の底部を構成する底部保護緩衝部とを備え、
前記固形剤用保護キャップの長さが、固形剤を収容した容器の口部に、固形剤用保護キャップを装着した際に、底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接する寸法を有するとともに、
前記底部保護緩衝部が、容器内に収容した固形剤の最上部に当接した状態で、固形剤用保護キャップが拡径しない状態を保持するように構成されていることを特徴とする固形剤用保護キャップ。
【請求項2】
前記保護キャップ本体と底部保護緩衝部のうち、少なくとも一方に、上下方向に伸縮する伸縮部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項3】
前記底部保護緩衝部が、保護キャップ本体より下方に突設した底部突設部を備え、
前記底部突設部に、前記伸縮部である底部伸縮部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項4】
前記保護キャップ本体の側壁に、前記伸縮部である本体伸縮部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項5】
前記底部保護緩衝部が、保護キャップ本体より下方に突設した底部突設部を備え、
前記底部突設部に、前記伸縮部である底部伸縮部を形成するとともに、
前記保護キャップ本体の側壁に、前記伸縮部である本体伸縮部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項6】
前記本体伸縮部と底部伸縮部とのバネ力を相違するように形成したことを特徴とする請求項5に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項7】
前記本体伸縮部が、保護キャップ本体の側壁の長さ方向に、複数個分離して形成されていることを特徴とする請求項4、5、6のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項8】
前記複数に分離された本体伸縮部のバネ力が相違するように形成したことを特徴とする請求項7に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項9】
前記底部伸縮部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された底部網状部から形成されていることを特徴とする請求項3、5、6のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項10】
前記底部伸縮部が、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブから形成された底部網状部から形成されていることを特徴とする請求項3、5、6のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項11】
前記縦方向傾斜リブと交差する横方向リブを備えることを特徴とする請求項10に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項12】
前記底部網状部が、底部突設部の側壁部分に形成されていることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項13】
前記底部網状部が、底部突設部の側壁部分と底部に形成されていることを特徴とする請求項求項9から11のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項14】
前記本体伸縮部が、縦方向リブと横方向リブとが略垂直に交差して形成された本体網状部から形成されていることを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項15】
前記本体伸縮部が、複数の斜め方向に傾斜した縦方向傾斜リブから形成された本体網状部から形成されていることを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項16】
前記縦方向傾斜リブと交差する横方向リブを備えることを特徴とする請求項15に記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項17】
前記底部保護緩衝部が、前記保護キャップ本体の底部の底面より下方に突設するように形成した突設リブを備えることを特徴とする請求項求項1から16のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項18】
前記固形剤用保護キャップの内径が、底部から上部にかけて大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項求項1から17のいずれかに記載の固形剤用保護キャップ。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の固形剤用保護キャップを、容器の口部に装着したことを特徴とする固形剤用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−213371(P2011−213371A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82096(P2010−82096)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【出願人】(505192567)エーザイマシナリー株式会社 (18)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】