説明

固形化粧料

【課題】 肌とのなじみがよく、みずみずしくさっぱりした使用感で、化粧落としが容易であるとともに、耐水性及び耐久性に優れた水系の固形化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る固形化粧料は、脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、水溶性高分子、糖類及び水を含有する構成とされ、水溶性高分子としては特にアクリル系樹脂を用いるのが好ましく、スティック状に成形して使用することができ、ラメ剤やパール剤等の粉体を配合した場合には、これら粉体が肌から剥がれ落ちるのを効果的に抑制することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系の固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アイシャドウ、ハイライト等のメークアップ化粧品として、顔料やオイルをワックス等で固めた油系の固形化粧料がよく知られている。しかしながら、油系の化粧料は、油っぽさやべたつきが感じられ、また、化粧をきれいに落とすのに手間がかかっていた。
【0003】
一方、特許文献1に示すように、水を固化剤で固めた固相中に、顔料やオイルを分散させた水系の固形化粧料も知られている。水系の固形化粧料は、主成分が水であるために、肌とのなじみがよく、みずみずしくさっぱりした使用感で、化粧落としが容易であるという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−279319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記水系の固形化粧料は、耐水性、速乾性に劣り、さらに、長時間使用すると水分が蒸発することで硬くなるという問題があった。また、メークアップ化粧料として、ラメ剤やパール剤といった粉状の光沢材料を配合したものが存在するが、水系固形化粧料にこのような粉体を配合すると、粉体が肌から剥がれやすいという問題も生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑み、水系化粧料の利点を有しつつ、耐水性、耐久性に優れた固形化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる固形化粧料は、脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩(以下、脂肪酸塩という)、水溶性高分子、糖類及び水を含有することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、水溶性高分子が肌表面で被膜を形成するため、耐水性に優れ、しかも、肌に塗布した化粧料の剥げ落ちるのを抑制することが可能となる。さらに、糖類を配合したことで、保湿性が向上し、水溶性高分子の作用と相まって、長時間にわたって肌の乾燥を防止しつつ耐久性に優れた化粧料を得ることができる。
【0009】
ここで興味深いのは、水相中に溶解した脂肪酸塩に水溶性高分子を添加しただけでは非常に脆く崩れやすい状態のものしか得られず、そこに糖類を加えることにより、はじめて十分な強度を有する固形化粧料が得られる点である。
【0010】
その理由は明確ではないものの、次のように考えられる。すなわち、水溶性高分子の存在によって水相中の脂肪酸塩の溶解度が変化し、水に対する脂肪酸塩の均一分散性が低下するため、均一な固形物が得られなくなる。ところが、そこに糖類を添加すると、糖類が一種の相溶化剤的な役割を果たすことで三成分で均一な相を形成し、これにより、十分な強度を有する固形化粧料を得ることができるものと推測される。
【0011】
本発明に係る固形化粧料は、化粧料を肌に塗布したときに化粧料自体が長時間にわたって肌に密着するだけでなく、化粧料に粉体を配合した場合には、粉体をも肌に密着させて剥がれ落ちるのを抑制することが可能となる。
【0012】
水溶性高分子としては、被膜形成能を有するものであれば特に制限なく使用することができるが、特にアクリル系樹脂が被膜形成能に優れている点で好ましい。
【0013】
本発明に係る固形化粧料は、強度に優れているため、形状をスティック状にして直接肌に塗布する用途、たとえば、アイシャドウ、ハイライト等に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、脂肪酸塩、水溶性高分子、糖類及び水を含有したことにより、肌とのなじみがよく、みずみずしくさっぱりした使用感で、化粧落としが容易であるとともに、耐水性及び耐久性に優れた水系の固形化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明において、固形化粧料とは、通常化粧料を使用する温度範囲(0℃〜50℃)で流動性がないものを意味する。
【0016】
本発明で固化剤として使用される脂肪酸塩の脂肪酸は、炭素数8個〜24個の脂肪酸であれば限定されないが、特に、炭素数12のラウリン酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリン酸、炭素数22のベヘン酸が好ましく、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が使用できる。
【0017】
脂肪酸塩は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。この場合、炭素数8個〜24個の脂肪酸であれば任意に併用することができる。また、炭素数8〜24の範囲外の脂肪酸であっても、炭素数8個〜24個の脂肪酸を主成分として全脂肪酸塩の50%以上を使用し、脂肪酸塩全体として平均炭素数が8〜24の範囲内であれば、一部混合して使用することも可能である。すなわち、脂肪酸の炭素数は固化物の硬さに大きく影響を与えるものであり、脂肪酸塩全体として平均炭素数8〜24になるように調整することで固形化粧料としての適度な硬さを維持することができる。
【0018】
脂肪酸塩の配合量は、固形化粧料全量に対して、通常3重量%〜20重量%、好ましくは5重量%〜15重量%、より好ましくは5重量%〜10重量%である。上記範囲未満では十分な強度を維持できなくなる場合があり、上記範囲を超えると、強度が大きくなりすぎて使用性が低下する場合がある。
【0019】
本発明に用いられる水溶性高分子は、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられるが、前述のごとく、とりわけアクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリルよりなる群から選択されるいずれか少なくとも1種をモノマー成分として構成される重合体(ホモポリマー又はコポリマー)を挙げることができる。かかるモノマー成分として具体的には、上記範疇に含まれるものであって商業的に入手可能なものであればよく、特に制限されない。好ましくは、(i)アクリル酸、メタアクリル酸:(ii)アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル:たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピルを挙げることができる。
【0020】
これらのアクリル酸系単量体は単独で、又は2種以上を任意に混合して使用することができる。すなわち、本発明で用いられるアクリル系樹脂は、例えば上記に例示する各種のモノマー成分の1種単独から構成されるホモポリマーであっても、2種以上の任意の組み合わせからなるコポリマーであってもよい。好ましくは、(メタ)アクリル酸又はそれらのエステルをモノマー単位とする重合体(ホモポリマー、コポリマー)である。水溶性高分子の配合量は、固形化粧料全量に対して、通常0.1重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜15重量%である。上記範囲未満では耐水性、耐久性及び耐皮脂性の効果が表れにくい場合があり、上記範囲を超えると、速乾性や使用性が低下する場合がある。
【0021】
本発明に用いられる糖類としては、単糖類又はオリゴ糖類が好適で、単糖類ではトリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース等で、オリゴ糖類ではマルトース、ラクトース、スクロース等の2糖類、ラフィノース、ゲンチアノース等の3糖類などが挙げられるが、単糖類又はオリゴ糖類(10糖類まで)であれば上記に限定されるものではない。
【0022】
また、単糖類でCH2OH基を2つ以上もつもの、あるいはオリゴ糖類でCH2OH基を2個以上もつもの、詳しくは単糖類のケトース、単糖類のアルドースでは糖アルコール(D-フルクトース、D-グルシトール、ガラクチトール等)、オリゴ糖類ではショ糖(スクロース)、α-セロビオース、β-マルトース等を挙げることができる。澱粉分解物としては、アミロース、水あめ、デキストリンが上げられる。上記以外でも糖類でCH2OH基を2個以上もつものであればよい。糖類の配合量は、固形化粧料全量に対して、通常0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%である。上記範囲未満では均一な固化物が得られない場合があり、上記範囲を超えると、べたついたり、保形性が低下する場合がある。
【0023】
本発明に用いられる粉体としては、粉状の光沢材料(たとえば、パール剤、ガラスフレーク、雲母、ラメ剤等)を挙げることができる。パール剤としては、例えば、雲母チタン系複合材料、雲母酸化鉄系複合材料、ビスマスオキシクロライド、グアニン、さらに酸化窒化チタン及び/又は低次酸化チタンを含有するチタン化合物で被覆された雲母などを挙げることができる。
【0024】
ラメ剤としては、例えば、(樹脂被覆)アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート・ポリエチレンテレフタレート積層フィルム末、ポリオレフィン・ポリエチレンテレフタレート積層フィルム末等を挙げることができる。光沢材料の大きさは、1μm〜300μmであるのが好ましい。また、光沢材料の配合量は、固形化粧料全量に対して、通常0.1重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜15重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%である。上記範囲未満では光沢感(発色)が弱くなる場合があり、上記範囲を超えると、均一に分散しにくくなる場合がある。
【0025】
本発明に用いられる粉体は、上記光沢材料に限定されず、一般に化粧品に使用可能な顔料であれば使用できる。具体的には、赤色2号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色227号、黄色4号、黄色203号、緑色204号、緑色205号、青色1号、赤色201号、赤色202号、赤色218号、赤色220号、赤色221号、赤色226号、黄色201号、青色204号、紫色201号などの顔料、及び黄酸化鉄、ベンガラ、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カルミン、シコニン、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウムなどの無機顔料が挙げられる。
【0026】
以上の必須成分の他に、必要に応じて、人体に対して安全とされる乾燥防止剤、防腐防黴剤、pH調整剤等を適宜添加することができる。
【実施例】
【0027】
以下、具体的に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[固形化粧料の作製]
本発明に係る固形化粧料として、アイシャドウを作製して評価を行った。なお、実施例としては、シリーズ1〜4において、本発明にかかる固形化粧料の必須成分である脂肪酸塩、水溶性高分子及び糖類のうち、1成分についてその種類及び配合量を変化させ、その他成分の配合量は一定として特性の変化を調べた。
【0028】
具体的には、表1に示すシリーズ1において、脂肪酸塩の種類と配合量を変化させたときのアイシャドウの特性評価を行った。さらに、表2に示すシリーズ2において糖類の種類と配合量を、表3に示すシリーズ3において水溶性高分子の種類と配合量を、表4に示すシリーズ4において粉体の種類と配合量を、それぞれ変化させて、得られたアイシャドウの特性を評価した。なお、表1〜表4において、表中の数値はすべて重量%を意味するものである。また、組成項目の表示内容は以下の通りである。
・脂肪酸塩 :ステアリン酸ナトリウム
・水溶性高分子:ポリアクリル酸アルキルエマルジョン(大同化成工業社製、ビニゾール 1086WP)
・糖類 :マルトース
・粉体 :パール剤(メルク社製、Timiron Super Gold)
なお、比較のため、油系アイシャドウ(クリーム状)を作製して特性を評価した。処方及び評価結果を表5に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
【表5】

【0034】
[評価試験]
シリーズ1及びシリーズ2においては、作成したアイシャドウの形状、使用性、外観及び安定性について評価を行った。各項目の評価基準は以下の通りである。
【0035】
1.形状
目視により評価した。
(評価基準)
◎:優れる(すぐれた固形状態)
○:やや優れる(やや優れた固形状態)
×:劣る(柔らかい〜液状)
【0036】
2.使用性(塗りやすさ)
専門パネリスト(10名)が試料を使用して、3段階官能評価(スコア)を行った。スコアの合計点により、下記評価基準で判定した。
(スコア)
3点: 塗布時ののびが軽い
2点:塗布時ののびがやや軽い〜普通
1点: 塗布時ののびがやや重い〜重い
(評価基準)
◎: 合計点が25点以上
○: 合計点が15点以上25点未満
×: 合計点が15点未満
【0037】
3.外観
目視により評価した。
(評価基準)
◎: つやや輝きに均一性がある
○: つやや輝きに均一性がややある〜普通
×: つやや輝きに均一性がややない〜均一性がない
【0038】
4.試料の安定性
40℃の恒温槽に保管して、1ヶ月の状態を確認する。
◎: 優れる(優れた固形状態)
○: 普通
×: 劣る(液状)
シリーズ3については、シリーズ1及びシリーズ2よりもさらに詳細にアイシャドウの特性について評価を行った。評価項目と評価基準は以下の通りである。
【0039】
5.速乾性
試料を用いて腕に1ラインを描き、5秒ことに綿棒で触れてみて、色がつかない時点を乾いたと判断した。乾いたと判断するまでに綿棒で触れた回数を測定した。
(評価基準)
◎:0〜5回以内
○:5〜15回以内
×:15回以上
【0040】
6.使用性
試料を専門パネリスト10名に使用してもらい、手の甲に塗布した場合の肌へのなじみについて、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価点基準)
3点:非常に優れている
2点:普通
1点:劣る
(評価基準)
◎:合計点が25点以上
○:合計点が15点以上25点未満
×:合計点が15点未満
【0041】
7.耐久性・耐水性・耐皮脂性
試料を用いて表面コートされたプラスティック板に1ライン描き、完全に乾くまで待った後、綿棒で擦り、持続力について評価した。また、同様に完全に乾くまで待った後、水を含ませた綿棒で擦り、耐水性についても評価した。さらに、同様に完全に乾くまで待った後、類皮脂を含ませた綿棒で擦り、耐皮脂性についても評価した。
(評価基準)
◎:非常に優れている
○:普通
×:劣る
【0042】
8.粉体の密着性
試料を用いて腕に1ラインを描き、5分後に綿棒で触れてみて、パールが着かないかどうかを確認した。
◎: 優れる(まったく綿棒に付かない)
○: 普通(若干軽く綿棒に付く)
×: 劣る(綿棒に付く又は綿棒でこすると腕上のパール感がなくなる)
【0043】
9.化粧の落としやすさ
専門パネリスト(10名)が試料を使用して、5段階官能評価(スコア)を行った。スコアの合計点により、下記評価基準で判定した。
(スコア)
3点:お湯で落としやすい
2点:クレンジングを用いて、落ちる
1点:落ちない
(評価基準)
◎: 合計点が25点以上
○: 合計点が15点以上25点未満
×: 合計点が15点未満
【0044】
[評価結果]
まず、表1より、固化剤としてステアリン酸ナトリウムを使用した場合、配合量が3重量%〜20重量%(以下、「重量%」を単に「%」と略する)の範囲内で実用上十分な強度を有する固形化粧料を得ることができた(試料1−1〜1−6)。また、ミリスチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ベヘン酸ナトリウムなど、異なる種類の脂肪酸塩を使用しても実用上の問題はみられなかった(試料1−4,1−5,1−7,1−8)。一方、脂肪酸塩を配合しなかった試料1−9は固化しなかった。
【0045】
なお、ステアリン酸ナトリウムの配合量が2重量%の試料1−10は、実用レベルの強度を維持できず、逆にステアリン酸ナトリウムの配合量が22重量%である試料1−11は、強度が大きくなりすぎて実用的でないという結果となった。また、脂肪酸塩として炭素数6のカプロン酸ナトリウムのみを単体で用いた試料1−12はうまく固化せず、炭素数26のヘキサドコサン酸ナトリウムのみを単体で用いた試料1−13は固くなりすぎて実用的でないという結果となった。従って、これらの脂肪酸塩は炭素数8〜22の脂肪酸塩を主成分とし、これと併用する場合に用いるのが好ましい。
【0046】
次に、表2より、糖類を使用せずに、脂肪酸塩及び水溶性高分子のみ配合した試料2−10〜2−12は、もろもろで非常に崩れやすい状態となり、十分な強度を有する固化物は得られなかった。この結果は、水溶性高分子の種類にかかわらず同じであった。
【0047】
一方、糖類を0.1重量%〜30重量%配合した試料2−1〜2−9では十分な強度を有する固化物が得られた。特筆すべきは、少量の糖類を添加するだけで(試料2−1,2−2)、著しい効果が見られる点である。ただ、糖類の配合量が少なくなりすぎると、試料2−13に示すように、均一な固化物が得られなくなり、逆に等類の配合量が多くなりすぎると試料2−14に示すように、べたついたり、保形性が低下する。
【0048】
なお、糖類としては、単糖類(フルクトース)、2糖類(マルトース)、オリゴ糖(ラフィノース)のいずれにおいても、十分な強度を有する固化物が得られるという効果が認められた(試料2−5〜2−9)。
【0049】
次に、表3より、水溶性高分子を添加した試料3−1〜3−7は、水溶性高分子を添加しなかった試料3−8に比べて、速乾性、耐水性、耐久性、耐皮脂性及び粉体の密着性が大幅に向上していることがわかる。水溶性高分子としては被膜形成能を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール及びヒドロキシエチルセルロースのいずれにおいても上記効果が認められた。
【0050】
ただ、水溶性高分子が有する被膜形成能に応じてその効果に差が認められ、特にアクリル系樹脂が優れた効果を発揮することがわかった。また、水溶性高分子の配合量が少なくなると、試料3−9に示すように、耐水性、耐久性及び耐皮脂性の効果が小さくなり、逆に、水溶性高分子の配合量が多くなると、試料3−10に示すように、使用性や試料の落としやすさが低下する。
【0051】
表4より、粉体として光沢材料であるパール剤、ガラスフレーク、雲母及びラメ剤を化粧料に添加した試料4−1〜4−7は、光沢剤を添加していない試料4−8に比べて、いずれも均一分散性及び外観とも良好であった。なお、光沢材料の配合量が少なくなると、試料4−9のように発色、均一性及び外観ともに効果が小さくなり、逆に光沢材料の配合量が多くなると、試料4−10のように均一性が低下し、その結果、外観も低下することがわかる。
【0052】
なお、本発明に係る水系の固形化粧料は、表5より、比較のために作製した従来の油系アイシャドウ(比較例5)に比べて耐久性及び耐皮脂性に優れ、また、化粧を落としやすいことが分かる。しかも、本願発明に係る固形化粧料はスティック状であり、クリーム状である比較例5に比べて利便性が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、水溶性高分子、糖類及び水を含有することを特徴とする固形化粧料。
【請求項2】
さらに粉体を含有することを特徴とする請求項1記載の固形化粧料。
【請求項3】
前記脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の含有量が3重量%〜20重量%、前記水溶性高分子の含有量が0.1重量%〜20重量%、前記糖類の含有量が0.1重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の固形化粧料。
【請求項4】
前記脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩が、主として炭素数8〜24の脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固形化粧料。
【請求項5】
前記水溶性高分子がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固形化粧料。
【請求項6】
形状が、スティック状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固形化粧料。

【公開番号】特開2010−202582(P2010−202582A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49985(P2009−49985)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(391027929)三粧化研株式会社 (17)
【出願人】(000236584)不易糊工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】