説明

固形化粧料

【課題】塗布時の伸び広がりの良さ、べたつきのなさ、といった使用感が良好で、且つ、透明性といった外観の審美性にも優れた新たな固形化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(C)を含有することを特徴とする固形化粧料。
(A)下記式(1)で表されるN−アシルアミノ酸アミド誘導体
(B)架橋型オルガノポリシロキサン重合物、球状ポリアクリル系高分子、球状ポリエチレン、球状ナイロン末、球状シリカ、及びポリメチルシルセスキオキサンから選択される1種又は2種以上の粉体
(C)揮発性炭化水素油20〜90質量%


(式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜26の炭化水素基を示し、R3は、炭素数7〜18の炭化水素基を示し、nは、1又は2の数を示す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油性の透明化粧料は、主に、外観の美しさ、塗布したときに透明感のある仕上りや鮮やかな発色等の利点を有するため、これに用いる様々な透明基剤が検討されている。中でも、12−ヒドロキシステアリン酸を配合した基剤については特に多くの検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、12−ヒドロキシステアリン酸とロジンの多価アルコールエステルと多価アルコール側鎖脂肪酸部分エステルもしくは多価アルコール不飽和脂肪酸部分エステルを含有する透明化粧料が開示されている。
また、特許文献2には、12−ヒドロキシステアリン酸と油分からなる屈折率1.45〜1.54の透明性基剤を用いた化粧料が開示されている。
さらに、特許文献3には、12−ヒドロキシステアリン酸と重質流動パラフィンと液状油性成分からなる透明固形化粧料が開示され、特許文献4には、12−ヒドロキシステアリン酸と水酸基価120以下の透明液状油性成分とメチルフェニルポリシロキサンを含有する透明固形化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−119405号公報
【特許文献2】特開平1−163111号公報
【特許文献3】特開平2−264707号公報
【特許文献4】特開平4−91010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の如く、12−ヒドロキシステアリン酸を配合した透明化粧料は広く知られているが、これらの透明化粧料は、塗布時にのびが重い、油のべたつき感が残りさっぱりしない、などの問題点を有している。これらの問題点は、透明成分の12−ヒドロキシステアリン酸を配合する処方系に本質的に由来する解決困難な問題点と考えられており、全く新たな透明化粧料が望まれている。
【0006】
本発明の課題は、塗布時の伸び広がりの良さ、べたつきのなさ、といった使用感が良好で、且つ、透明性といった外観の審美性にも優れた新たな固形化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述の観点に鑑み、上記問題点を解決しさらに優れた固形化粧料を開発すべく鋭意研究を続けた結果、(A)下記式(1)で表されるN−アシルアミノ酸アミド誘導体と、(B)架橋型オルガノポリシロキサン重合物、球状ポリアクリル系高分子、球状ポリエチレン、球状ナイロン末、球状シリカ、及びポリメチルシルセスキオキサンから選択される1種又は2種以上の粉体と、(C)揮発性炭化水素油とを組み合わせた固形化粧料が、透明感に優れ、かつ優れた使用感触を与えることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C)を含有することを特徴とする固形化粧料を提供するものである。
(A)下記式(1)で表されるN−アシルアミノ酸アミド誘導体
(B)架橋型オルガノポリシロキサン重合物、球状ポリアクリル系高分子、球状ポリエチレン、球状ナイロン末、球状シリカ、及びポリメチルシルセスキオキサンから選択される1種又は2種以上の粉体
(C)揮発性炭化水素油20〜90質量%
【0009】
【化1】

【0010】
(式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜26の炭化水素基を示し、R3は、炭素数7〜18の炭化水素基を示し、nは、1又は2の数を示す)
【発明の効果】
【0011】
本発明の固形化粧料は優れた透明性を有し、肌に塗布することにより、透明感のある仕上りや鮮やかな発色が得られる。また、その使用感触も極めて優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳述する。
【0013】
[(A)N−アシルアミノ酸アミド誘導体]
(A)成分は、下記式(1)で表されるN−アシルアミノ酸アミド誘導体である。
【0014】
【化2】

【0015】
1及びR2の炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのうちのいずれであってもよい。R1及びR2の炭化水素基は、炭素数1〜26であり不飽和結合を含む炭化水素基を用いてもよいが、アルキル基を用いることが好ましい。R1及びR2の炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数3〜5の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基がさらに好ましく、n−ブチル基が特に好ましい。
【0016】
3の炭化水素基は、炭素数7〜18であり不飽和結合を含む炭化水素基を用いてもよいが、飽和炭化水素基を用いることが好ましく、特に直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を用いることがより好ましい。製造のしやすさの観点から、R3の炭化水素基としては、炭素数7〜15の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数7〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0017】
nは1又は2の数を示すが、2が好ましい。したがって、(A)成分としては、N−アシルグルタミン酸アミド誘導体が好ましい。
【0018】
(A)成分としては、例えば、N−オクタノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−デカノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−パルミトイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドなどから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド(ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)、N−ラウロイル−L―グルタミン酸ジブチルアミド(ジブチルラウロイルグルタミド)を用いるのが好ましく、十分な透明性を確保する観点から、特にこの両者を併用するのが好ましい。
【0019】
(A)成分の含有量は、固形化粧料の総量を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。当該範囲内で含有することにより、特に優れた透明性を得ることができる。
【0020】
[(B)粉体]
本発明における、架橋型オルガノポリシロキサン重合物、球状ポリアクリル系高分子、球状ポリエチレン、球状ナイロン末、球状シリカ、及びポリメチルシルセスキオキサンから選択される1種又は2種以上の粉体は、塗布時の伸び広がりの良さを付与するためのものである。化粧品に使用できるものであれば、その種類は特に限定されない。
市販品として例えば、球状ポリアクリル系高分子(球状ポリメタクリル酸メチル)であるマイクロスフェアーM、マイクロスフェアーM−100、マイクロスフェアーM−306(以上、松本油脂製薬社製)、球状ナイロン末であるナイロンパウダーSP−500(東レ社製)、球状シリカであるシリカマイクロビードP−1500、同P−1505、同P−1000、同P−700、同P−400、同L−1500、同PL−700、同LB−1500(以上、触媒化成工業社製、シリカビーズSB−700(三好化成社製)、ポリメチルシルセスキオキサンであるトスパール120A、トスパール145A、トスパール2000B(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等の球状粉体が挙げられる。
また架橋型オルガノポリシロキサン重合物としては、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。その重合度や架橋度に関して特に制限されることはないが、シリコーンパウダーとして市販されているような高架橋度且つ球状のものや、低架橋度で不定形状のものを用いることができ、塗布時の伸び広がりの良さの点より、低架橋度で不定形状のものを用いることが好ましい。市販品としては、例えば、長鎖アルキル基を含有する架橋型オルガノポリシロキサン重合物に炭化水素油又はエステル油を配合したシリコーンゲルを挙げることができる。例えば、KSG−310、KSG−41(ミネラルオイルを65〜75%含有)、KSG−320、KSG−42(イソドデカンを70〜80%含有)、KSG−330、KSG−43(トリオクタノイン(トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル)を65〜75%含有)、KSG−340、KSG−44(スクワランを65〜75%含有)(以上、信越化学工業社製)等がある。また高架橋度で球状のものとしてはシリコーンパウダーであるトレフィルE−506S(東レ・ダウコーニング社製)、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−105、KSP−300(以上、信越化学工業社製)等を挙げることができる。
【0021】
(B)球状粉体を用いる場合の平均粒子径は、塗布時の伸び広がり、透明性の点から、0.1〜30μmであるのが好ましく、1〜20μmであるのがさらに好ましい。
【0022】
(B)成分の含有量は、固形化粧料の総量を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜5質量%である。当該範囲内で含有することにより、特に優れた使用性(塗布時の伸び広がり、べたつき感のなさ)を得ることができる。
【0023】
[(C)揮発性炭化水素油]
本発明における、揮発性炭化水素油は、透明性、べたつきのないさっぱりとした感触、化粧もちのよさを付与するためのものである。揮発性炭化水素油は、常圧における沸点が60〜260℃の範囲にあり、化粧品に一般的に用いられているものであれば、直鎖状でも分岐状でもよく、特に限定されず使用できる。例えば軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソヘキサデカン、イソドデカン等を挙げることができ、市販品としては、IPソルベント1620、IPソルベント2028(出光石油化学社製)、マルカゾールR(丸善石油化学社製)等が挙げられる。これらの揮発性炭化水素油は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
(C)成分の含有量は、固形化粧料の総量を基準として、20〜90質量%であり、より好ましくは50〜90質量%である。当該範囲内で含有することにより、特に優れた透明性、使用性(べたつき感のなさ)及び化粧もち効果を得ることができる。
【0025】
本発明の固形化粧料は、上記必須成分に加えて、さらに、(D)皮膜形成性高分子を配合すると、耐水性、耐油性にすぐれ、化粧もちがよくなる。(D)皮膜形成性高分子を含有する固形化粧料は、アイライナー、アイシャドウをはじめとする各種固形化粧料に好ましく利用される。
皮膜形成性高分子は、化粧品に使用することができるものであれば、その種類は特に限定されず、有機シリコーン樹脂の中から適宜選択することができる。有機シリコーン樹脂は変性したものであってもよい。例えば、アルキル変性シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂などを使用することが可能である。好ましい有機シリコーン樹脂は、トリメチルシロキシケイ酸であり、市販品としては、予め溶剤に溶解させたKF−7312F、KF−7312J、KF−7312K、X−21−5595(以上、信越化学工業社製)、SR−1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等が挙げられる。これらの皮膜形成性高分子は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
(D)成分の含有量は、固形化粧料の総量を基準として、1〜15質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜10質量%である。当該範囲内で含有することにより、特に優れた化粧もち効果を得ることができる。
【0027】
本発明の固形化粧料には、本発明の効果を損なわない限り、任意の成分を配合することが出来る。通常、化粧料に配合される成分を添加して常法により任意の固形化粧料を製造することができる。好ましく配合されるその他の成分としては、透明性を損なわない配合範囲にて、粉末、油溶性薬剤、植物オイル、紫外線吸収剤等がある。
【0028】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0029】
さらに、特に外観の審美性を付与するためには、マイカ、合成マイカ、シリカフレーク、ガラスフレーク等を母剤とするパール顔料が好適に利用され得る。マイカを母剤とするパール顔料の市販品の例としては、Timiron Super Gold、Timiron Splendid Red(以上、メルク社製)、Flamenco Sparkle Blue、Flamenco Green(以上、BASF社製)等を挙げることができる。合成マイカを母剤とするパール顔料としてはプロミネンスSF(日本光研工業社製)、Helios R100S(トピー工業社製)、シリカフレークを母剤にしたパール顔料としては、Xirona Magic Mauve(メルク社製)、ガラスフレークを母剤とするパール顔料の市販品の例としては、マイクログラスメタシャインMC1080RS、マイクログラスメタシャインMC1020TY、マイクログラスメタシャインMC5150PS(以上、日本板硝子社製)、Ronastar Noble Sparks(メルク社製)等を挙げることができ、これらの1種のみ、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0031】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0032】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0033】
炭化水素油(不揮発性)としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、スクワレン、ワセリン等が挙げられる。
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0034】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0035】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
【0036】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、トレハロース、エリスリトール、POE・POPランダム共重合体メチルエーテル等が挙げられる。
【0037】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
【0038】
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられる。
【0039】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、チオタウリン、ヒポタウリン、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン、トラネキサム酸、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸グルコシド、4−メトキシサリチル酸カリウム等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤等が挙げられる。
【0040】
本発明の固形化粧料は、常温(25℃)で流動性を有さず一定の形状を保持する化粧料であり、固形組成物及びゲル組成物が含まれる。その製品形態としては、特に限定されない。例えば、口紅、リップクリーム、リップグロス、チーク、アイライナー、アイカラー、アイブロウ等のメイクアップ化粧料、ヘアスティック、ヘアワックス、ヘアカラー等の頭髪化粧料、日焼け止め、アイスティック、クレンジング、コロン等の基礎化粧料等が挙げられ、その形状としては容器充填、棒状(スティック状)、ケーキ状、皿流し込み型等が挙げられる。
【0041】
また本発明の固形化粧料は、透明性に優れており、外観の美しさ、塗布したときに透明感のある仕上りや鮮やかな発色が得られる。本発明において「透明」とは、金皿の底面に白地に所定の大きさの黒文字(フォント:Times New Roman、フォントサイズ:26ポイント)を記した紙を置き、その上に固化前のサンプルを3mm厚になるように流し込み、25℃にて真上から見たときに底面の文字を目視認識できるものを指す。また分光光度計にて測定した400〜700nmの光の平均透過率が70%以上であるものが好ましい。なお、本発明の透明性には、文字が鮮明に見える限り、色がついている場合も含まれる。
【実施例】
【0042】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、表中の数値は含有量(質量%)を示す。実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
【0043】
[透明性]
金皿の底面に白地に所定の大きさの黒文字(フォント:Times New Roman)を記した紙を置き、その上に固化前のサンプルを3mm厚になるように流し込み、25℃にて真上から見たときに底面の文字を目視認識できるか、下記評価基準により評価した。
◎:金皿の底面の文字(16ポイント)が認識できた
○:金皿の底面の文字(16ポイント)は認識でなかったが、
金皿の底面の文字(26ポイント)が認識できた
△:金皿の底面の文字(26ポイント)は認識でなかったが、
金皿の底面の文字(36ポイント)が認識できた
×:金皿の底面の文字(36ポイント)が認識できなかった
【0044】
[使用性]
官能評価:塗布時の伸び広がり、べたつき感の項目について、専門パネル25名により下記評価基準により評価した。
伸び広がり
◎:20名以上が、伸び広がりが良いと評価した
○:15名以上20名未満が、伸び広がりが良いと評価した
△:11名以上15名未満が、伸び広がりが良いと評価した
×:11名未満が、伸び広がりが良いと評価した
べたつき感
◎:20名以上が、さっぱりとした感触であると評価した
○:15名以上20名未満が、さっぱりとした感触であると評価した
△:11名以上15名未満が、さっぱりとした感触であると評価した
×:11名未満が、さっぱりとした感触であると評価した
【0045】
[化粧もち]
官能評価:経時での化粧もちについて、塗布してから5時間経った後に、専門パネル25名により下記評価基準により評価した。
◎:20名以上が、化粧もちがよいと評価した
○:15名以上20名未満が、化粧もちがよいと評価した
△:11名以上15名未満が、化粧もちがよいと評価した
×:11名未満が、化粧もちがよいと評価した
【0046】
(1)(A)成分の効果について
室温にて表1の全成分を計量し110℃まで加温後、均一になるまで分散させ、脱気して室温にて固化させた。
【0047】
【表1】

【0048】
表1から明らかなように、(A)成分を含む実施例1〜3では、透明性、使用性(伸び広がり、べたつき感)、化粧もちのいずれも良好であった。一方、比較例1では、使用性(伸び広がり、べたつき感に問題があり、比較例2〜4では、使用性(伸び広がり、べたつき感)、化粧もちは良好であったが、透明性に問題があった。
【0049】
(2)(B)成分の効果について
室温にて表2の全成分を計量し110℃まで加温後、均一になるまで分散させ、脱気して室温にて固化させた。
【0050】
【表2】

【0051】
表2から明らかなように、特定の粉体を含む実施例1、及び4〜8では、透明性、使用性(伸び広がり、べたつき感)、化粧もちのいずれも良好であった。一方、比較例5〜7では、透明性、べたつき感、化粧もちは良好であったが、塗布時の伸び広がりに問題があった。
【0052】
(3)(C)成分の効果について
室温にて表3の全成分を計量し110℃まで加温後、均一になるまで分散させ、脱気して室温にて固化させた。
【0053】
【表3】

【0054】
表3から明らかなように、揮発性炭化水素油を20〜90質量%含む実施例1、9及び10では、透明性、使用性(伸び広がり、べたつき感)、化粧もちのいずれも良好であった。一方、比較例8及び9では、透明性、塗布時の伸び広がりは良好であったが、べたつき感と化粧もちに問題があった。揮発性炭化水素油の含有量が増加すれば残存油分量が減り、べとつき感が減るとともに、さっぱり感、さらさら感に優れ、化粧もちも優れる。また揮発性のシリコーン油を用いた比較例10では、透明性や使用性(伸び広がり)において問題があった。
【0055】
(4)(D)成分の効果について
室温にて表4の全成分を計量し110℃まで加温後、均一になるまで分散させ、脱気して室温にて固化させた。
【0056】
【表4】

【0057】
表4から明らかなように、実施例1、11及び12では、透明性、使用性(伸び広がり、べたつき感)、化粧もちのいずれも良好であった。さらに皮膜形成性高分子を配合することにより、皮膜効果が発揮され、化粧もちに優れる。
【0058】
下記の固形化粧料を常法により製造した。
【0059】
実施例13:アイシャドウ
【0060】
【表5】

【0061】
実施例14:アイライナー
【0062】
【表6】

【0063】
実施例15:チークカラー
【0064】
【表7】

【0065】
上記実施例の固形化粧料は基剤外観の透明感に優れ(上記の透明性試験による評価はすべて◎である)、伸び広がりがよく、べとつきのないさっぱりとした感触をもつ固形化粧料である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、優れた透明感を発揮しつつ、使用感触もきわめて優れている固形化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C)を含有することを特徴とする固形化粧料。
(A)下記式(1)で表されるN−アシルアミノ酸アミド誘導体
(B)架橋型オルガノポリシロキサン重合物、球状ポリアクリル系高分子、球状ポリエチレン、球状ナイロン末、球状シリカ、及びポリメチルシルセスキオキサンから選択される1種又は2種以上の粉体
(C)揮発性炭化水素油20〜90質量%
【化1】

(式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜26の炭化水素基を示し、R3は、炭素数7〜18の炭化水素基を示し、nは、1又は2の数を示す)
【請求項2】
さらに、(D)皮膜形成性高分子を含有する請求項1記載の固形化粧料。
【請求項3】
透明である請求項1又は2記載の固形化粧料。

【公開番号】特開2012−240994(P2012−240994A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115377(P2011−115377)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】