説明

固形即席調味料

【課題】溶解させる際に激しく撹拌させたり、高温で溶解させてもダマが生じ難く、また油脂含有量を少なくさせてもダマが生じ難い固形即席調味料を提供することを目的とする。
【解決手段】アラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、及びクラスターデキストリンのうち1以上の高分子多糖類を1〜8重量%、とろみ成分、油脂、及び調味料を含むことを特徴とする固形即席調味料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレーやシチューのルウなど、とろみ成分、調味料及び油脂が所定の形状に固められた固形即席調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
カレーの発祥は、インドであるが、小麦粉などをとろみ成分として用いることによって、とろみがつけられた日本式カレーライスは、広く国民食として食されている。古くは、日本の一般家庭においてカレーは、具材等が煮込まれた鍋にカレー粉を加え、その後小麦粉などによりとろみを付けて作られていたが、近年においては、調味料やとろみ成分などが例えばブロック状に固められた固形即席調味料、いわゆるカレールウの登場により、カレー粉や種々の香辛料を各家庭で用意しなくとも、簡便に質の高いカレーを作ることができるようになっている(例えば、特許文献1)。固形即席調味料としては、カレールウの他に、小麦粉等の澱粉質をとろみ成分として用いてとろみがつけられたシチュー、ハヤシ、デミグラスソースなどのルウなどがある。
【0003】
【特許文献1】特開2002−65224
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固形即席調味料としてのカレールウは、調味料としてのカレー粉、とろみ成分としての小麦粉、油脂、食塩及び砂糖等を原料として炒め、撹拌混合し、容器に充填し冷却することによって固められて作られている。このカレールウは、澱粉を主成分とする小麦粉が含まれているので、固形即席調味料を熱水中に溶かそうとすると、固形即席調味料に含まれる小麦粉が一部溶け出し皮膜を作って、いわゆるダマを生じさせ、固形即席調味料全体の溶解を阻害して、味や見た目を害するという問題を有する。したがって、このようなダマを形成しないように、通常は、小麦粉が固形即席調味料の中の固形脂に分散されており、ゆっくり溶解させれば、固形脂全体が熱により溶かされ、ダマにはならない。しかしながら、固形即席調味料を使用する一般的な使用者は、早く溶解させようとして激しく撹拌するため、固形脂表面だけが先に溶解し、小麦粉に含まれる澱粉粒が多く露出してダマをつくってしまうという問題がある。固形即席調味料は、粉末状の調味料に比べて水が浸透し難いので、ダマの発生を防止するのが容易でない。
【0005】
このようなカレールウにおいてダマの発生は、溶解温度とも関係する。すなわち、カレールウなどの固形即席調味料は、小麦粉がその中の固形脂に分散されているので、80℃程度の温湯に固形即席調味料を投入した場合、油脂は溶解するが、澱粉は充分に糊化せず完全に粘度が出ないためダマになることはないが、カレールウを沸騰に近い温湯に投入すると油脂の他に温湯に接した表面の澱粉もα化(糊化)し粘度がでるため、温湯がルー内部に浸透していかずダマになってしまうのである。そのため、野菜や肉などを煮込んで沸騰に近い状態でカレールウを投入するとダマが生じ易い。沸騰前に投入するとダマは生じにくくなるが、投入後沸騰させると粘度が出て焦げ付きやすくなるため長時間加熱できない。また、沸騰後に冷ました後に投入することにより、ダマが生じ易くなることを防止できるが、業務用などのように大量に作る場合は、野菜や肉を煮込んでその後80℃に冷却することは長時間を要するため現実的に難しい。
【0006】
また、近年においては、メタボリックシンドロームが話題となり、健康志向も高まり、カレーやシチューなどの高カロリー食品を低カロリーにすることが求められているものの、カロリーを抑えるために固形即席調味料中の油脂量を低減すると、よりダマを生じやすくなるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、溶解させる際に激しく撹拌させたり、高温で溶解させてもダマが生じ難く、また油脂含有量を少なくさせてもダマが生じ難い固形即席調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、固形即席調味料にアラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、及びクラスターデキストリンのうち1以上の高分子多糖類を添加することによって、固形即席調味料を溶解させる際に激しく撹拌したり、高温で溶解させてもダマが生じ難く、油脂含有量が少ない場合においてもダマの発生を抑制できることを見出した。すなわち、本発明は、アラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、及びクラスターデキストリンのうち1以上の高分子多糖類、とろみ成分、油脂、及び調味料を含むことを特徴とする固形即席調味料である。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、溶解させる際に激しく撹拌させたり、高温で溶解させてもダマが生じ難く、また油脂含有量を少なくさせてもダマが生じ難い固形即席調味料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る固形即席調味料は、上述の高分子多糖類を含ませることにより、溶解させる際に固形即席調味料に含まれる澱粉の急激な吸水を妨げ、澱粉が糊化する(ダマになる)のを効果的に抑制することができる。高分子多糖類は、固形即席調味料中に1〜8重量%含まれるのが好ましい。高分子多糖類の量が少ないと、ダマを抑制するのに十分な効果を得ることができず、多すぎるととろみ成分が糊化して粘性を発現する(とろみをつける)効果を阻害してしまう。このような観点から、アラビアガム、プルラン、及びアルギン酸分解物については、固形即席調味料中に1〜6重量%含まれるのがさらに好ましく、3〜5重量%含まれるのが特に好ましい。ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、及びクラスターデキストリンについては、固形即席調味料中に2〜8重量%含まれるのがさらに好ましく、4〜6重量%含まれるのが特に好ましい。
【0011】
本発明に係る固形即席調味料に用いられるとろみ成分は、とろみ付けとして機能するものであれば良く、例えば、小麦粉、馬鈴薯澱粉など澱粉質を用いることができる。本発明に係る固形即席調味料において、とろみ成分の添加量は、通常の固形即席調味料に添加される量で良く、例えば、とろみ成分として小麦粉を用いた場合、固形即席調味料中に、10〜70重量%含ませることができる。
【0012】
本発明に係る固形即席調味料に用いられる油脂の融点は好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは30〜80℃、特に好ましくは35〜80℃、最も好ましくは40〜80℃であり、牛や豚等の動物性の油脂や、大豆やなたね等の植物性の油脂やこれらの油脂に水素添加を行い、融点を上げた硬化油を用いることができ、それらの混合物でもよい。本発明に係る固形即席調味料において、油脂の添加量は、通常の固形即席調味料に添加される量で良く、固形即席調味料中に、50重量%まで含ませることができる。本発明に係る固形即席調味料は、油脂量を低減させてもダマが発生し難いので、従来の油脂使用量を30%以上カットでき、油脂の添加量を30重量%以下に抑えることができる。さらに高分子多糖類の量を調整することにより油脂の添加量を20重量%以下に抑えることができる。油脂のもつコク味とのバランス、及び低カロリー化を考慮して、油脂の添加量は、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%、特に好ましくは5〜10重量%であり、これにより従来にない優れた固形即席調味料を提供することができる。
【0013】
本発明に係る固形即席調味料に用いられる調味料は、一般的に固形即席調味料に用いられる調味料を用いることができる。
【0014】
カレールウである場合、調味料は、例えば、塩、胡椒、砂糖、カレー粉、果物や野菜のピューレ、野菜や肉エキスパウダー、及びグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウムなどの化学調味料等が挙げられる。
【0015】
シチュールウである場合、調味料は、例えば、塩、胡椒、砂糖、酵母エキス、生クリーム、バター、脱脂粉乳等が挙げられる。
【0016】
ハヤシルウである場合、調味料は、例えば、塩、胡椒、砂糖、酵母エキス、チキンブイヨン、野菜エキス、トマトピューレ、赤ワイン、脱脂粉乳等が挙げられる。
【0017】
デミグラスソースルウである場合、調味料は、例えば、塩、胡椒、砂糖、野菜エキスビーフブイヨン、赤ワイン等が挙げられる。
【0018】
本発明に係る固形即席調味料は、一般的な固形即席調味料を作製する方法において、前記高分子多糖類を添加することにより得ることができる。例えば、高分子多糖類、とろみ成分、油脂、及び調味料を含む原料材料を炒め、撹拌混合し、それを所定の容器に充填した後冷却して得ることができる。得られた固形即席調味料は、含水率が低い状態であればよい。固形即席調味料の形態は、ブロック状であることが好ましいが、フレーク状であっても良い。
【実施例】
【0019】
次に、本発明に係る固形即席調味料の実施例について説明する。以下、実施例及び比較例において用いられた高分子多糖類は以下の通りである。
アラビアガム: A 伊那食品工業社製
大豆多糖類: SM−900 三栄源FFI社製
プルラン: PI−20 林原商事社製
アルギン酸ナトリウム分解物: ULV−L3 キミカ社製
ペクチン: DDスロー CPケルコ社製
アラビノガラクタン: 伊那食品工業社製
サイクロデキストリン: α シクロケム社製
クラスターデキストリン: 江崎グリコ社製
アルギン酸: SA キミカ社製
アルギン酸ナトリウム: I−5 キミカ社製
キサンタンガム:V−10 伊那食品工業社製
グアーガム: GR−10 伊那食品工業社製
タラガム: タラガムA 伊那食品工業社製
ローカストビーンガム: L−15 伊那食品工業社製
タマリンドシードガム: グリロイド2A 大日本住友製薬社製
サイリウムシードガム: ヘルシーガム 大日本住友製薬社製
トラガントガム: 五協産業社製
カラヤガム: 三栄薬品貿易社製
グルコマンナン: マンナンS 伊那食品工業社製
カラギナン: E−150 伊那食品工業社製
寒天: S−7 伊那食品工業社製
脱アシル型ジェランガム: ケルコゲル 三栄源FFI社製
ネイティブ型ジェランガム: LT−100 三栄源FFI社製
カードラン: 武田キリン食品社製
メチルセルロース: SM−4000 信越化学工業社製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース: 60SH50 信越化学工業社製
カルボキシメチルセルロースナトリウム: BSH 第一工業製薬社製
微結晶セルロース: FD−100 大日本住友製薬社製
ゼラチン: GBL−250 新田ゼラチン社
【0020】
また、以下、表1乃至25において、ダマの状態(*1)は、以下のように評価され、完全溶解させた際の粘度(*2)は、10分経過後、ハンドミキサーによりダマをほぐした後の粘度とした。
*1:ダマの状態は、10分経過後において、目視により次の4段階で評価した。
大:大きなダマが多くある。
中:中くらいのダマが少しある。
小:小さなダマが若干ある。
なし:ダマがみられない。
【0021】
実施例1乃至28
表1乃至8に示す高分子多糖類、小麦粉(薄力粉)25g、牛脂豚脂混合脂20g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)15g、カレー粉5g、塩5g、砂糖10g、蜂蜜5g、濃縮リンゴピューレ5g、及びその他の調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム)10gを原料とし、各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、ブロック状の実施例1乃至28に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0022】
比較例1乃至4
高分子多糖類を用いなかった以外は、実施例1乃至28と同様にして、比較例1に係る固形即席調味料を得た。また、高分子多糖類として表8に示す大豆多糖類を用いた以外は、実施例1乃至28と同様にして、比較例2乃至4に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0023】
実施例1乃至28並びに比較例1乃至4に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加し、スリーワンモーターBL600にて500回転/(分)で撹拌して、1分、3分、5分、7分、及び10分経過ごとに粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表1乃至8に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

【0031】
【表8】

【0032】
以上のように、実施例1乃至28に係る固形即席調味料は、比較例1乃至4に比して、高温で溶解させた場合であってもダマが発生し難いことが分かる。すなわち、ブロック状の固形即席調味料において、高分子多糖類を用いないと、ダマを生じてしまうことが分かる。また、高分子多糖類として大豆多糖類を用いた場合、アラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、又はクラスターデキストリンを用いた場合に比べ、ダマの防止効果が低いことが分かる。さらに、大豆多糖類の添加量を増やすと、粘度が低下し、とろみをつけることができなくなることが分かる。
【0033】
実施例29乃至35
表9及び10に示す高分子多糖類、小麦粉25g、牛脂豚脂混合脂20g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)15g、カレー粉5g、塩5g、砂糖10g、蜂蜜5g、濃縮リンゴピューレ5g、及びその他の調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム)10gを原料とし、各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、フレーク状に裁断してフレーク状の実施例29乃至35に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0034】
比較例5及び6
高分子多糖類を用いなかった以外は、実施例29乃至35と同様にして、比較例5に係る固形即席調味料を得た。また、高分子多糖類として表10に示す大豆多糖類を用いた以外は、実施例29乃至35と同様にして、比較例6に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0035】
実施例29乃至35並びに比較例5及び6に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加しスリーワンモーターBL600にて、500回転/(分)で撹拌して、1分、3分、5分、7分、及び10分経過ごとに粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表9及び10に示す。
【0036】
【表9】

【0037】
【表10】

【0038】
以上のように、実施例29乃至35に係る固形即席調味料は、比較例5及び6に比して、高温で溶解させた場合であってもダマが発生し難いことが分かる。すなわち、フレーク状の固形即席調味料において、高分子多糖類を用いないと、ダマを生じてしまうことが分かる。また、高分子多糖類として大豆多糖類を用いた場合、アラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、又はクラスターデキストリンを用いた場合に比べ、ダマの防止効果が低いことが分かる。
【0039】
次に、低油脂含有量の場合における本発明に係る固形即席調味料の実施例について説明する。
【0040】
実施例36乃至63
表11乃至18に示す高分子多糖類、小麦粉(薄力粉)25g、牛脂豚脂混合脂10g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)7g、カレー粉5g、塩5g、砂糖10g、蜂蜜23g、濃縮リンゴピューレ5g、及びその他の調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム)10gを原料とし、各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、ブロック状の実施例36乃至63に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0041】
比較例7乃至11
高分子多糖類を用いなかった以外は、実施例36乃至63と同様にして、比較例7に係る固形即席調味料を得た。また、高分子多糖類として表18に示す大豆多糖類を用いた以外は、実施例36乃至63と同様にして、比較例8乃至11に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0042】
実施例36乃至63並びに比較例7乃至11に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加しスリーワンモーターBL−600にて、500回転/(分)で撹拌して、1分、3分、5分、7分、及び10分経過ごとに粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表11乃至18に示す。
【0043】
【表11】

【0044】
【表12】

【0045】
【表13】

【0046】
【表14】

【0047】
【表15】

【0048】
【表16】

【0049】
【表17】

【0050】
【表18】

【0051】
以上のように、実施例36乃至63に係る固形即席調味料は、比較例7乃至11に比して、高温で溶解させた場合であってもダマが発生し難いことが分かる。すなわち、ブロック状の固形即席調味料において、高分子多糖類を用いないと、ダマを生じてしまうことが分かる。また、高分子多糖類として大豆多糖類を用いた場合、アラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、又はクラスターデキストリンを用いた場合に比べ、添加量を多くしてもダマの防止効果が低いことが分かる。さらに、大豆多糖類の添加量を増やすと、粘度が低下し、とろみをつけることができなくなることが分かる。実施例36乃至63並びに比較例7乃至11に係る固形即席調味料と、実施例1乃至28並びに比較例1乃至4に係る固形即席調味料とを比較すると、低油脂含有量の場合にも効果が優れていることが分かる。
【0052】
実施例64乃至70
表19及び20に示す高分子多糖類、小麦粉25g、牛脂豚脂混合脂10g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)7g、カレー粉5g、塩5g、砂糖10g、蜂蜜23g、濃縮リンゴピューレ5g、及びその他の調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム)10gを原料とし、各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、フレーク状に裁断してフレーク状の実施例64乃至70に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0053】
比較例12及び13
高分子多糖類を用いなかった以外は、実施例64乃至70と同様にして、比較例12に係る固形即席調味料を得た。また、高分子多糖類として表20に示す大豆多糖類を用いた以外は、実施例64乃至70と同様にして、比較例13に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0054】
実施例64乃至70並びに比較例12及び13に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加しスリーワンモーターBL600にて、500回転/(分)で撹拌して、1分、3分、5分、7分、及び10分経過ごとに粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表19及び20に示す。
【0055】
【表19】

【0056】
【表20】

【0057】
以上のように、実施例64乃至70に係る固形即席調味料は、比較例12及び13に比して、高温で溶解させた場合であってもダマが発生し難いことが分かる。すなわち、フレーク状の固形即席調味料において、高分子多糖類を用いないと、ダマを生じてしまうことが分かる。また、高分子多糖類として大豆多糖類を用いた場合、アラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、又はクラスターデキストリンを用いた場合に比べ、ダマの防止効果が低いことが分かる。実施例64乃至70及び比較例12及び13に係る固形即席調味料と、実施例29乃至35及び比較例5及び6に係る固形即席調味料とを比較すると、低油脂含有量の場合にも効果が優れていることが分かる。
【0058】
表21に示す高分子多糖類を5重量%、小麦粉(薄力粉)25g、牛脂豚脂混合脂20g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)15g、カレー粉5g、塩5g、砂糖10g、蜂蜜5g、濃縮リンゴピューレ5g、及びその他の調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム)10gを原料とし、各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、ブロック状の実施例71及び比較例14乃至34に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0059】
実施例71及び比較例14乃至34に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加し、スリーワンモーターBL600にて500回転/(分)で撹拌して、10分後の粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表21に示す。
【0060】
【表21】

【0061】
以上のように、本発明に係る固形即席調味料は、比較例14乃至34に比して、粘度が高く、ダマの発生もないことが分かる。
【0062】
表22に示す高分子多糖類を5重量%、牛脂豚脂混合油20g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)15g、小麦粉(薄力粉)25g、粉乳10g、砂糖10g、食塩5g、生クリーム5g、調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、香辛料)10gを原料とし各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、ブロック状の実施例72乃至78及び比較例35及び36に係る固形即席調味料(シチュールウ)を得た。
【0063】
実施例72乃至78及び比較例35及び36に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加し、スリーワンモーターBL600にて500回転/(分)で撹拌して、10分後の粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表22に示す。
【0064】
【表22】

【0065】
表23に示す高分子多糖類を5重量%、牛脂豚脂混合油20g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)15g、小麦粉(薄力粉)25g、砂糖10g、食塩5g、濃縮トマトピューレ10g、粉末ソース5g、調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、香辛料)10gを原料とし各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、ブロック状の実施例79乃至85及び比較例37及び38に係る固形即席調味料(ハヤシルウ)を得た。
【0066】
実施例79乃至85及び比較例37及び38に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加し、スリーワンモーターBL600にて500回転/(分)で撹拌して、10分後の粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表23に示す。
【0067】
【表23】

【0068】
表24に示す高分子多糖類を5重量%、牛脂豚脂混合油20g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)15g、小麦粉(薄力粉)25g、砂糖10g、食塩5g、濃縮トマトピューレ8g、粉末赤ワイン7g、粉末チーズ2g、調味料(野菜エキスパウダー、牛肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、香辛料)10gを原料とし各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却し、ブロック状の実施例86乃至92及び比較例39及び40に係る固形即席調味料(デミグラスルウ)を得た。
【0069】
実施例86乃至92及び比較例39及び40に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加し、スリーワンモーターBL600にて500回転/(分)で撹拌して、10分後の粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表24に示す。
【0070】
【表24】

【0071】
以上のように、実施例72乃至92に係る固形即席調味料は、比較例35乃至40に比して、粘度が高く、ダマの発生もないことが分かる。大豆多糖類においては粘度の発現はあるがダマが発生することが分かる。
【0072】
次に、実施例36乃至63よりさらに低油脂含有量の場合における本発明に係る固形即席調味料の実施例について説明する。
【0073】
表25に示す高分子多糖類5重量%、小麦粉(薄力粉)25g、硬化油(融点60℃のなたね硬化油:ミヨシ油脂社製)9g、カレー粉5g、塩5g、砂糖10g、蜂蜜33g、濃縮リンゴピューレ5g、及びその他の調味料(野菜エキスパウダー、肉エキスパウダー、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム)10gを原料とし、各原料を70℃で加熱混合し、型に充填後、20℃に冷却しブロック状の実施例93乃至99及び比較例41及び42に係る固形即席調味料(カレールウ)を得た。
【0074】
実施例93乃至99及び比較例41及び42に係る固形即席調味料70gを450gの湯(沸騰状態)に添加し、スリーワンモーターBL600にて500回転/(分)で撹拌して、10分後の粘度を測定し、ダマの状態も観察した。粘度は、B型粘度計(芝浦システム社製ビストメトロン:回転数60rpm、ローターNo2)を用い、粘度測定時の温度は、約90℃であった。結果を表25に示す。
【0075】
【表25】

【0076】
以上のように、実施例93乃至99に係る固形即席調味料は、油脂の添加量が低くともダマを形成し難いことが分かる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラビアガム、プルラン、アルギン酸分解物、ペクチン、アラビノガラクタン、サイクロデキストリン、及びクラスターデキストリンのうち1以上の高分子多糖類、とろみ成分、油脂、及び調味料を含むことを特徴とする固形即席調味料。
【請求項2】
前記高分子多糖類を1〜8重量%含むことを特徴とする請求項1記載の固形即席調味料。