説明

固形燃料の製造システム

【課題】使用される材料に制限を受けることなく、かつ、低い製造コストで効率よく固形燃料を製造することができる製造システムを提供する。
【解決手段】撹拌手段20と、可燃性液体搬送手段12と、可燃性固体物質貯蔵手段13と、可燃性固体物質搬送手段14と、粉体物を貯蔵する粉体物貯蔵手段15と、粉体物搬送手段16と、計量手段21とを備え、可燃性固体物質搬送手段14は、計量手段21により計量された可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の可燃性固体物質を撹拌手段20へ搬送し、撹拌手段20は可燃性液体搬送手段12により搬送された可燃性液体と可燃性固体物質搬送手段14により搬送された可燃性固体物質とを撹拌して混練物を生成した後、当該混練物と粉体物搬送手段16により搬送された粉体物とを撹拌して固形燃料を生成する固形燃料の製造システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料の製造システムに関し、特に複数種類の材料を正確に計量、混練することができるとともに成形工程を施すことなく固形燃料を成形できる固形燃料の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、可燃性廃棄物を原料として固形燃料を生成する方法として、特許文献1に開示がされているように家庭などから排出される一般廃棄物を熱圧縮・成形する事で固形燃料を生成するRefuse Derived Fuel(以下、RDFという。)や、特許文献2に開示がされているように主に民間企業から排出される産業廃棄物である廃プラスチック、紙、繊維くずを熱圧縮・成形する事で固形燃料を生成するRefuse Paper & Plastic Fuel(以下、RPFという。)が知られている。これらの方法によれば、焼却・埋め立て処分されていた廃棄物を原料にし、固形燃料を生成することができ、リサイクルに対する貢献が可能となる。
【0003】
しかしながら、RDF、RPFでは加圧成形が必須のプロセスとなっており、含水率の高い材料(例えば、液状、ゲル状の材料)を用いた場合には、固形燃料として利用可能な程度まで加圧成形により固形化することができない。したがって、RDF、RPFにより固形燃料を生成する場合には液状やゲル状以外の材料を使用せねばならず使用される材料が限定されてしまう。また、RDF、RPFでは加圧成形を施さねば固形燃料を生成することができないことから製造コストが増大してしまう問題が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−285177号公報
【特許文献2】特開2005−290157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、使用される材料に制限を受けることなく、かつ、低い製造コストで効率よく固形燃料を製造することができる製造システムを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、固形燃料の製造システムであって、撹拌手段と前記撹拌手段へ樹脂成分を有する可燃性液体を搬送する可燃性液体搬送手段と、可燃性固体物質を貯蔵する可燃性固体物質貯蔵手段と、前記可燃性固体物質貯蔵手段から前記撹拌手段へ前記可燃性固体物質を搬送する可燃性固体物質搬送手段と、粉体物を貯蔵する粉体物貯蔵手段と、前記粉体物貯蔵手段から前記撹拌手段へ前記粉体物を搬送する粉体物搬送手段と、前記可燃性液体搬送手段により前記撹拌手段に搬送された前記可燃性液体の重量を計量する計量手段と、を備え、前記可燃性固体物質搬送手段は、前記計量手段により計量された前記可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の前記可燃性固体物質を前記撹拌手段へ搬送し、前記撹拌手段は前記可燃性液体搬送手段により搬送された前記可燃性液体と前記可燃性固体物質搬送手段により搬送された前記可燃性固体物質とを撹拌して混練物を生成した後、当該混練物と前記粉体物搬送手段により搬送された前記粉体物とを撹拌して固形燃料を生成することを特徴とする。
【0007】
また、前記撹拌手段が、撹拌槽に水平且つ二つの平行な回転軸芯を設け、各々の回転軸芯回りに互いに反対方向へ回転する撹拌具を備える二軸混合機であってもよく、前記計量手段が、前記撹拌手段に搬送された前記可燃性液体の荷重に起因して略鉛直方向に歪む素子の歪み量に基づいて、当該可燃性液体の重量を計量することとしてもよい。
【0008】
また、前記撹拌手段により生成された固形燃料を、その粒径に応じて選別する選別手段を備えていてもよく、また、前記可燃性液体搬送手段により搬送される前記可燃性液体の発熱量を調整する調整手段を備えていてもよい。
【0009】
また、前記可燃性固体物質搬送手段又は前記粉体物搬送手段が、供給コンベアーであってもよく、当該供給コンベアーがスクリューコンベアー、バケットコンベアー及びベルトコンベアーからなる群のうち任意に選択された少なくとも1又は2以上の組合せであってもよい。
【0010】
また、前記可燃性固体物質搬送手段又は前記粉体物搬送手段が、貯留タンクを介して供給速度の異なる2以上の供給コンベアーからなっていてもよい。
【0011】
また、前記撹拌手段により生成される固形燃料の表面に被覆を行うためのセメント及び汚泥の混合物を前記撹拌手段へ搬送する被覆物質搬送手段とを備えていてもよい。
【0012】
また、前記撹拌手段へ窒素を供給するための窒素供給手段を備えていてもよく、前記撹拌手段で生ずるガスを脱臭するための脱臭手段を更に備えていてもよい。
【0013】
また、前記可燃性液体が、廃塗料、廃インキ及び廃グリスからなる群のうち任意に選択された1又は2以上であってもよい。また、前記可燃性固体物質が、木屑及び繊維屑の何れか一方又は双方であってもよい。また、前記粉体物が、トナー及び灰の何れか一方又は双方であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、固形燃料の材料の形状に制限を受けることなく、かつ低い製造コストで固形燃料を効率的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の固形燃料の製造システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の固形燃料の製造システムの一例について図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明の固形燃料の製造システムの概略を示す概略図である。
【0017】
図示するように本発明の製造システム11は、撹拌手段20へ樹脂成分を有する可燃性液体を搬送する可燃性液体搬送手段12と、可燃性固体物質を貯蔵する可燃性固体物質貯蔵手段13と、可燃性固体物質貯蔵手段13から撹拌手段20へ可燃性固体物質を搬送する可燃性固体物質搬送手段14と、粉体物を貯蔵する粉体物貯蔵手段15と、粉体物貯蔵手段15から撹拌手段20へ粉体物を搬送する粉体物搬送手段16と、可燃性液体搬送手段12により撹拌手段20に搬送された可燃性液体の重量を計量する計量手段21とを備え、可燃性固体物質搬送手段14は、計量手段21により計量された可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の可燃性固体物質を撹拌手段20へ搬送し、撹拌手段20は可燃性液体搬送手段12により搬送された可燃性液体と可燃性固体物質搬送手段14により搬送された可燃性固体物質とを撹拌して混練物を生成した後、当該混練物と粉体物搬送手段16により搬送された粉体物とを撹拌して固形燃料を生成することが可能な製造システムであることを特徴とする。本発明の固形燃料の製造システムは、この要件を具備するものであれば図示する形態に限定されるものではない。
【0018】
(可燃性液体搬送手段)
可燃性液体搬送手段12は、本発明の固形燃料の製造システムにおける必須の構成であり樹脂成分を有する可燃性液体を後述する撹拌手段20へ搬送するために設けられる。可燃性液体搬送手段12は、可燃性液体を撹拌手段20に搬送することができる機能を有するものであれば特に限定はされず、従来公知の搬送手段を適宜選択して用いることができる。このような可燃性液体搬送手段12として、例えば、図1に例示するような重機等が挙げられる。また、可燃性液体を貯蔵するピット41を設けピット41と撹拌手段20とを連結する可燃性液体搬送手段(例えば、配管、ポンプ等)により可燃性液体を撹拌手段20に搬送することとしてもよい。
【0019】
樹脂成分を有する可燃性液体について特に限定はないが、廃塗料、廃インキ、廃グリス、廃接着材、廃タール・ピッチ等の廃棄物、有機性汚泥等発熱量を有するゲル状の廃棄物等が挙げられる。これらの可燃性液体は約2000〜10000cal/gの発熱量を持ち、更に溶剤に溶解したバインダー用樹脂分を含むことから可燃性液体として好適に用いることができる。
【0020】
(可燃性固体物質貯蔵手段)
可燃性固体物質貯蔵手段13は、本発明の固形燃料の製造システムにおける必須の構成であり可燃性固体物質を貯蔵するために設けられる。可燃性固体物質貯蔵手段13は、可燃性固体物質を貯蔵する機能を有するものであれば特に限定はなく従来公知の貯蔵手段を適宜選択して用いることができる。
【0021】
可燃性固体物質についても特に限定はないが、廃活性炭、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂、ゴム屑、木屑、おが屑、かんな屑、バーク類(樹皮)、竹、ベニヤ、ベニヤボート類の粉砕物及び畳屑、羊毛、綿、絹、麻等の繊維屑等を好適に用いることができる。中でも、木屑、繊維屑を用いた場合には可燃性液体を吸収した木屑、繊維屑を核として表面に粉体もしくは可燃性固体物質が樹脂分をバインダーとして固着した2層構造の固形燃料を生成することができ好適である。
【0022】
また、可燃性固体物質貯蔵手段13の上方に可燃性固体物質の発塵を防止するための発塵防止手段(図示しない)を設けてもよい。発塵防止手段としては例えば、可燃性固体物質貯蔵手段13へ水を噴霧するミストシャワー等が挙げられる。
【0023】
なお、後述する撹拌手段20により可燃性固体物質と可燃性液体とを混練すると、可燃性液体は可燃性固体物質に吸着され流動性を失うとともに、可燃性液体に含まれる樹脂成分がバイダーとなり可燃性固体物質同士が接着され粒状の混練物が生成される。
【0024】
(可燃性固体物質搬送手段)
可燃性固体物質搬送手段14は、本発明の固形燃料の製造システムにおける必須の構成であり後述する計量手段21により計量される可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の可燃性固体物質を撹拌手段20に搬送するために設けられる。可燃性固体物質搬送手段14は、可燃性固体物質を撹拌手段20に搬送することができる機能を有するものであれば、特に限定はなく従来公知の搬送手段を適宜選択して用いることができる。例えば、可燃性固体物質貯蔵手段13と撹拌手段20とを連結する供給コンベアーなどを好適に用いることができる。
【0025】
また、可燃性固体物質搬送手段14(供給コンベアー)として、スクリューコンベアー、バケットコンベアー及びベルトコンベアーからなる群のうち任意に選択された少なくとも1又は2以上を組合せた供給コンベアーを用いることで(図1に示す場合にあっては、バケットコンベアーとベルトコンベアーとの組合せ)、製造システムの設置面積を抑えることが可能となる。また、撹拌手段20が可燃性液体貯蔵手段13に対して上方に設置されている場合にはバケットコンベアーを特に好適に用いることができる。
【0026】
また、可燃性固体物質搬送手段14を、貯留タンク31を介して供給速度の異なる2以上の供給コンベアー(第1供給コンベアー32、第2供給コンベアー33)からなる構成としてもよい。当該構成とすることで、供給速度の遅い第1供給コンベアー32により貯留タンク31に常時可燃性固体物質を供給しつつ、第1供給コンベアー32に対して供給速度の速い第2供給コンベアー33により撹拌手段20に可燃性固体物質を必要に応じて即時に搬送することが可能となり、固形燃料の製造処理速度を向上させることができる。
【0027】
撹拌手段20に搬送される可燃性固体物質の重量は後述する計量手段21により計量され、可燃性固体物質搬送手段14は、撹拌手段20に搬送された可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の可燃性固体物質が撹拌手段20に搬送されたことに従って粉体物の搬送を終了させる。なお、計量手段21により計量される可燃性固体物質の重量が予め定められた重量に達したことに基づいて、計量手段21が予め定められた重量に達したことを示す情報を可燃性固体物質搬送手段14に送信し、可燃性固体物質搬送手段14は当該情報を受信したことに基づいて可燃性固体物質の搬送を終了させる構成としてもよい。
【0028】
(粉体物貯蔵手段)
粉体物貯蔵手段15は、本発明の固形燃料の製造システムにおける必須の構成であり粉体物を貯蔵するために設けられる。粉体物貯蔵手段15は、粉体物を貯蔵する機能を有するものであれば特に限定はなく従来公知の貯蔵手段を適宜選択して用いることができる。
【0029】
粉体物は、撹拌手段20により生成される混練物の粘着性を抑えるために用いられ、混練物の粘着性を抑えることができる機能を有するものであれば特に限定されない。このような粉体物として木炭、煤、廃トナー、おから、ぬか、コーヒーかす、茶かす、パンくず、不良石炭、廃白土、粉炭かす等の発熱量を持つ粉体の廃棄物や、集塵設備から集められたばいじん、廃顔料、廃サンドブラスト等の発熱量を持たない粉体廃棄物等が挙げられる。
【0030】
(粉体物搬送手段)
粉体物搬送手段16は、本発明の固形燃料の製造システムにおける必須の構成であり粉体物を撹拌手段20に搬送するために設けられる。粉体物搬送手段16は、粉体物を撹拌手段20に搬送することができる機能を有するものであれば、特に限定はなく従来公知の搬送手段を適宜選択して用いることができる。例えば、上述した可燃性固体物質貯蔵手段13と同様に、粉体物貯蔵手段15と撹拌手段20とを連結する供給コンベアーなどを好適に用いることができる。
【0031】
可燃性固体物質搬送手段14と同様に、粉体物搬送手段16(供給コンベアー)を、スクリューコンベアー、バケットコンベアー及びベルトコンベアーからなる群のうち任意に選択された少なくとも1又は2以上を組合せた供給コンベアーとすることで(図1に示す場合にあっては、バケットコンベアーとスクリューコンベアーとの組合せ)、製造システムの設置面積を抑えることが可能となる。また、撹拌手段20が粉体物貯蔵手段15に対して上方に設置されている場合にはバケットコンベアーを特に好適に用いることができる。また、粉体物貯蔵手段15からバケットコンベアー下部に粉体物を搬送する際に発塵が生ずる場合には発塵した粉体を集塵機で補修し、捕集した粉体を再度バケットコンベアーの下部に搬送することが好ましい。
【0032】
また、粉体物搬送手段16を、貯留タンク31を介して供給速度の異なる2以上の供給コンベアー(第1供給コンベアー32、第2供給コンベアー)からなる構成としてもよい。当該構成とすることで、供給速度の遅い第1供給コンベアーにより貯留タンク31に常時粉体物を供給しつつ、第1供給コンベアーに対して供給速度の速い第2供給コンベアーから撹拌手段20に粉体物を必要に応じて搬送することが可能となり、固形燃料の製造処理速度を向上させることができる。
【0033】
撹拌手段20に搬送される粉体物の重量は後述する計量手段21により計量され、粉体物搬送手段16は、撹拌手段20に搬送された可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の粉体物が撹拌手段20に搬送されたことに従って粉体物の搬送を終了させる。なお、計量手段21により計量される粉体物の重量が予め定められた重量に達したことに基づいて、計量手段21が予め定められた重量に達したことを示す情報を粉体物搬送手段16に送信し、粉体物搬送手段16は当該情報を受信したことに基づいて粉体物の搬送を終了させる構成としてもよい。
【0034】
(撹拌手段)
撹拌手段20は、本発明の固形燃料の製造システムにおける必須の構成であり、可燃性液体搬送手段12により搬送される可燃性液体と、可燃性固体物質搬送手段14により搬送される可燃性固体物質とを混練して混練物を生成し、次いで粉体物搬送手段16により搬送される粉体物とを撹拌して固形燃料を生成するために設けられる。撹拌手段は、当該機能を有するものであれば特に限定はなく従来公知の撹拌手段を適宜選択して用いることができる。
【0035】
本発明の固形燃料の製造システムにおいて、撹拌手段20として二軸形式のパドルミキサーを好適に用いることができる。より具体的には二軸混合機を好適に用いることができる。二軸混合機は、撹拌槽に水平且つ二つの平行な回転軸芯を設け、各々の回転軸芯回りに互いに反対方向へ回転する撹拌具を備える装置であり、分散障害となるシャフトがないことから混練物の流動が高速化され均一混練が可能となる。また、回転軸芯回りに互いに反対方向へ回転する撹拌具により強力な圧力剪断を発生させて剪断を行うことができ、複数の形状及び性状を有する材料(可燃性液体、可燃性固体、粉体物)を効果的に混合することができる。
【0036】
(計量手段)
計量手段21は、本発明の固形燃料の製造システムにおける必須の構成であり、撹拌手段20に搬送された可燃性液体の重量を計量するために設けられる。撹拌手段20に搬送された可燃性液体の重量を計量することができればその構成について特に限定はなく、撹拌手段20に搬送される前の重量を計量できる計量器を用いてもよく、撹拌手段に搬送された後の重量を計量できる計量器を用いてもよい。
【0037】
ここで、可燃性液体として廃グリスや廃インキ等のゲル状の材料は計量容器に付着して完全に排出することが難しいことから撹拌手段20に搬送後にその重量を計量できる計量手段21であることが好ましい。より具体的には、計量手段21が、撹拌手段20に設置され当該撹拌手段20に搬送された可燃性液体の荷重に起因して略鉛直方向に歪む素子の歪み量に基づいて当該可燃性液体の重量を計量することのできる計量器(所謂ロードセル方式の計量器)であることが好ましい。撹拌手段21に設置されたロードセル方式の計量手段21を用いることで、ゲル状の材料であっても別途移し替えることなく正確に可燃性液体の重量を計量することができる。
【0038】
また、計量手段21は、上述した可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の可燃性固体物質及び粉体物の重量を計量する。このとき、計量手段21は、予め定められた重量の可燃性液体物質及び粉体物が撹拌手段20に搬送されたと判断したことに基づいて、当該情報を可燃性固体物質搬送手段14、粉体物搬送手段16に送信し、可燃性固体物質搬送手段14、粉体物搬送手段16は計量手段21から受信した当該情報に基づいて可燃性固体物質、粉体物の搬送を終了させる。
【0039】
(選別手段)
また、本発明の固形燃料の製造システム11において撹拌手段20により生成された固形燃料を粒径毎に選別するための選別手段22を設けることとしてもよい。なお、選別手段は22、本発明の固形燃料の製造システムにおける任意の構成である。選別手段22は、生成された固形燃料を所望の粒径毎に篩い分けることができる機能を有するものであれば特に限定はなく、撹拌手段20と供給コンベアーを介して接続された従来公知の篩やスクリーン等を好適に用いることができる。
【0040】
また、選別手段22により選別を行う前に、撹拌手段20により生成された固形燃料に含まれる磁生物を除去するための磁生物除去手段(図示しない)を設けてもよい。磁生物除去手段は固形燃料に含まれる磁生物を除去する機能を有していればよく、例えば従来公知の磁選機等を用いることができる。
【0041】
また、篩い分けコンベアー42と製品ヤード43を設け、選別手段22により所定の粒径ごとに選別された固形燃料を篩い分けコンベアー42を介してそれぞれの粒径ごとに製品ヤード43に保管することとしてもよい。
【0042】
(調整手段)
また、可燃性液体搬送手段12により撹拌手段20に搬送される可燃性液体の発熱量を調整するための調整手段24を設けてもよい。なお、調整手段24は、本発明の固形燃料の製造システム11における任意の構成である。
【0043】
調整手段24は、可燃性液体の発熱量を所望の発熱量とすることができればよく、例えば、可燃性液体の搬送後、又は可燃性液体の搬送と共に灯油、揮発油、溶剤、エンジンオイル、機械湯、コンプレッサー油、油圧油、ギアーオイル、モーターオイル、絶縁油、圧延油、焼入れ油、切削油、グリス、重油、原油、動物油、植物油、ヘット、ラード及びこれらの廃油等の調整油を撹拌手段20に搬送し可燃性液体と組合せることで可燃性液体の発熱量を調整することができる。なお、調整後の発熱量は2000cal/g以上であることが好ましく、従って、調整手段として用いられる調整油の発熱量は2000cal/g以上であることが好ましい。なお、本実施形態における調整油は本発明の調整手段を構成する。なお、発熱量の調整は撹拌手段20内で行ってもよく、可燃性液体搬送手段12により可燃性液体を撹拌手段20に搬送する前に予めピット等において可燃性液体に調整油を混合して発熱量を調整することとしてもよい。
【0044】
(被覆物質搬送手段)
また、撹拌手段20により生成される固形燃料の粘着性を低下させるためのセメント及び汚泥の混合物(以下、セメント及び汚泥の混合物を被覆物質という。)を撹拌手段20へ搬送する被覆物質搬送手段23を設けてもよい。なお、被覆物質搬送手段23は、本発明の固形燃料の製造システム11における任意の構成である。
【0045】
被覆物質搬送手段23は、被覆物質を撹拌手段20へ搬送することができる機能を有するものであれば特に限定はなく、上述した供給コンベアーや重機等を好適に用いることができる。被覆物質搬送手段23により撹拌手段20に搬送された被覆物質は、撹拌手段20により固形燃料と混練されることで固形燃料の表面に塗布される。固形燃料の表面に塗布された被覆物質は時間の経過とともに硬化し粘着性を失い取扱い性に優れた固形燃料となる。このように、被覆物質を撹拌手段20へ搬送する被覆物質搬送手段23を設けることで、必要に応じ撹拌手段20において被覆物質を固形燃料の表面に塗布することができ、固形燃料の粘着性を低下させることができる。
【0046】
(窒素供給手段)
また、機械的火花により撹拌手段20内における固形燃料への着火を防止するための窒素供給手段26を設けてもよい。なお、窒素供給手段26は本発明の固形燃料の製造システムにおける任意の構成である。
【0047】
窒素供給手段26は、撹拌手段20へ必要に応じて必要な量の窒素を供給できる機能を有するものであれば特に限定はなく、従来公知の窒素ガス発生装置と窒素ガス発生装置により発生された窒素を撹拌手段20へ供給する供給手段(窒素供給ポンプ)等から構成される。
【0048】
(脱臭手段)
また、撹拌手段で生ずるガスを脱臭し屋外へ排出するための脱臭手段25を設けてもよい。なお、脱臭手段25は本発明の固形燃料の製造システムにおける任意の構成である。脱臭手段25は、撹拌手段20内において発生したガスを吸着し屋外へ排出しない機能を有するものであれば特に限定はなく、例えば、撹拌手段20と連結された配管と脱臭塔とにより構成される。
【0049】
(固形燃料の製造方法)
次に、本発明の固形燃料の製造システムにより生成される固形燃料の製造方法の一例について説明する。
【0050】
まず初めに、上述の可燃性液体搬送手段12が所定量の可燃性液体を撹拌手段20(例えば、二軸混合機)に搬送する。このとき、可燃性液体の発熱量が所定の発熱量以下である場合には、上述の調整手段(例えば、調整油)が撹拌手段20に搬送され所望の発熱量となるように調整を行うこととしてもよい。次いで、計量手段21(例えば、ロードセル方式の計量器)が撹拌手段20に搬送された可燃性液体の重量を計量する。
【0051】
次いで、可燃性固体物質搬送手段14(例えば、供給コンベアー)が計量手段21により計量された可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の可燃性固体物質を撹拌手段20に搬送する。計量手段21は撹拌手段20に搬送された可燃性固体物質の重量を計量し、予め定められた重量の可燃性固体物質が撹拌手段20に搬送されたことに基づいて、当該情報を可燃性固体物質搬送手段14に送信し、可燃性固体物質搬送手段14は当該情報を受信したことに基づいて可燃性固体物質の搬送を終了する。
【0052】
なお、可燃性液体搬送手段12は可燃性液体は5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲となるように可燃性液体を撹拌手段20に搬送することが好ましく、可燃性固体物質搬送手段14は可燃性液体との合計量が100重量%となるように可燃性固体物質を撹拌手段20に搬送することが好ましい。
【0053】
次いで、撹拌手段20が可燃性液体と可燃性固体物質とを混練し混練物を生成する。ここで、可燃性液体と可燃性固体物質との混練物は粘着性を有することから、可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の粉体物が粉体物搬送手段16により撹拌手段20に搬送される。次いで、撹拌手段20が混練物と当該粉体物とを混練することで固形燃料が生成される。
【符号の説明】
【0054】
12…可燃性液体搬送手段
13…可燃性固体物質貯蔵手段
14…可燃性固体物質搬送手段
15…粉体物貯蔵手段
16…粉体物搬送手段
20…撹拌手段
21…計量手段
22…選別手段
23…被覆物質搬送手段
24…調整手段
25…脱臭手段
26…窒素供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形燃料の製造システムであって、
撹拌手段と
前記撹拌手段へ樹脂成分を有する可燃性液体を搬送する可燃性液体搬送手段と、
可燃性固体物質を貯蔵する可燃性固体物質貯蔵手段と、
前記可燃性固体物質貯蔵手段から前記撹拌手段へ前記可燃性固体物質を搬送する可燃性固体物質搬送手段と、
粉体物を貯蔵する粉体物貯蔵手段と、
前記粉体物貯蔵手段から前記撹拌手段へ前記粉体物を搬送する粉体物搬送手段と、
前記可燃性液体搬送手段により前記撹拌手段に搬送された前記可燃性液体の重量を計量する計量手段と、
を備え、
前記可燃性固体物質搬送手段は、前記計量手段により計量された前記可燃性液体の重量に応じて予め定められた重量の前記可燃性固体物質を前記撹拌手段へ搬送し、
前記撹拌手段は前記可燃性液体搬送手段により搬送された前記可燃性液体と前記可燃性固体物質搬送手段により搬送された前記可燃性固体物質とを撹拌して混練物を生成した後、当該混練物と前記粉体物搬送手段により搬送された前記粉体物とを撹拌して固形燃料を生成することを特徴とする固形燃料の製造システム。
【請求項2】
前記撹拌手段が、撹拌槽に水平且つ二つの平行な回転軸芯を設け、各々の回転軸芯回りに互いに反対方向へ回転する撹拌具を備える二軸混合機であることを特徴とする請求項1に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項3】
前記計量手段が、前記撹拌手段に搬送された前記可燃性液体の荷重に起因して略鉛直方向に歪む素子の歪み量に基づいて、当該可燃性液体の重量を計量することを特徴とする請求項1又は2に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項4】
前記撹拌手段により生成された固形燃料を、その粒径に応じて選別する選別手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項5】
前記可燃性液体搬送手段により搬送される前記可燃性液体の発熱量を調整する調整手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項6】
前記可燃性固体物質搬送手段又は前記粉体物搬送手段が、供給コンベアーであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項7】
前記供給コンベアーが、スクリューコンベアー、バケットコンベアー及びベルトコンベアーからなる群のうち任意に選択された少なくとも1又は2以上の組合せであることを特徴とする請求項6に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項8】
前記可燃性固体物質搬送手段又は前記粉体物搬送手段は、貯留タンクを介して供給速度の異なる2以上の供給コンベアーからなることを特徴とする請求項6又は7に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項9】
前記撹拌手段により生成される固形燃料の表面に被覆を行うためのセメント及び汚泥の混合物を前記撹拌手段に搬送する被覆物質搬送手段とを更に備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項10】
前記撹拌手段へ窒素を供給するための窒素供給手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項11】
前記撹拌手段で生ずるガスを脱臭するための脱臭手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項12】
前記可燃性液体が、廃塗料、廃インキ及び廃グリスからなる群のうち任意に選択された1又は2以上であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項13】
前記可燃性固体物質が、木屑及び繊維屑の何れか一方又は双方であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。
【請求項14】
前記粉体物が、トナー及び灰の何れか一方又は双方であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の固形燃料の製造システム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−270244(P2010−270244A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123981(P2009−123981)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(506023286)株式会社 東亜オイル興業所 (3)
【出願人】(000154901)株式会社北川鉄工所 (63)
【Fターム(参考)】