説明

固形物の排出機構及び排出方法

本発明は、容器内に貯留された固形物を容器から排出する固形物の排出方法である。この固形物の排出方法は、前記容器2内に排出用液体を供給して液体及び固形物の旋回流を発生させ、旋回状態になった液体及び固形物を前記容器2の底に形成された排出口20から排出するようにしている。液体及び固形物の旋回流を、前記容器2の底部近傍の位置で容器2内に接線方向に排出用液体を流入させて発生させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、固形物の排出方法及び排出機構、並びにその排出機構を備えた固形物の貯留装置に関する。
【背景技術】
例えば、飲料製造工程においては、抽出器内にコーヒー粕、茶葉等の固形物を貯留させ、飲料の抽出を行うが、かかる抽出後の固形物を定期的に外部に排出するようにしている。かかる固形物の貯留及び排出を行う従来の装置としては、例えば、図8に示されるような貯留タンク30を使用したものがある。この貯留タンク30は、開放可能な上蓋31及び下蓋32が設けられている。貯留タンク30内には、上蓋に近傍する位置にスクリーン状の仕切り板33が設けられ、また、下蓋に近傍する位置にもスクリーン状の仕切り板34が設けられている。貯留タンク30内には、その側壁の上部(仕切り板33の下側)に形成された投入口36を介して、固形物が送り込まれ、貯留タンク30内の上仕切板33と下仕切板34との間に貯留される。そして、飲料の抽出等の反応終了後、貯留タンク30内に貯留された固形物35は、下蓋32及び下仕切板34を開放することにより貯留タンク30の下方へ排出される。図8には、下蓋32及び下仕切板34が開放されて貯留タンク30内に貯留された固形物35が貯留タンク30の下方へ排出されている状態を示している。貯留タンク30から排出された固形物35は、排出下流側に設置された図示しない搬送手段、例えば、ベルトコンベアによって処理場所に搬送されて処理される。一方、固形物を貯留、排出する従来の他の装置としては、特開2001−335154号公報(第3頁、第1図)(特許文献1)及び特開平10−72124号公報(第3−4頁、第1図)(特許文献2)に記載されたものがある。
しかしながら、上述のような貯留タンク30では、固形物の排出時に上蓋31と上仕切板33又は下蓋32と下仕切板34を開放させなければならないと共に、上蓋31及び下蓋32を開放させるためのスペースが必要であるという問題がある。また、貯留タンク30は上蓋31又は下蓋32で開放されるため、固形物35の性質によっては、貯留タンク30の周囲の環境を汚染してしまうと共に、作業の安全性を維持する点で問題がある。また、貯留タンク30内に異物等が進入してしまうという問題もある。
さらに、貯留タンク30は、下蓋32及び下仕切板34を開放して、貯留タンク30内に貯留された固形物35を、単に固形物35の重力でもって貯留タンク30の下方へ排出するようになっているため、貯留タンク30の内壁、上蓋31、下蓋32、上仕切板33、及び下仕切板34に固形物35が付着してしまい、固形物35を完全に排出することが非常に困難であると共に、固定物35の排出後に貯留タンク30内を洗浄して貯留タンク30内に付着した固形物35を除去する必要がある。この問題は、特に、固形物35の粘性が高い場合に顕著である。
また、上記貯留タンク30は、ホッパーやコンベアなどの大きな搬送部で構成された搬送手段によって貯留タンク30から排出された固形物35を搬送しているため、別途、搬送手段を設ける必要があり、また、搬送手段の設置のための大きなスペースが必要となる。
一方、上記特許文献1に示された装置は上記の従来の装置と同じ構成をとったものであり、また、特許文献2に示された装置は、単軸の切出装置でタンク内の汚泥を連続的、定量的に排出するスクリュー式切出装置に関するものであり、固形物を完全に排出することは困難であることに加えて、別途排送手段を要する点については上記の従来の装置と同様である。
発明の概要
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、固形物の貯留、排出をクローズ式にすることによって環境汚染の防止、作業の安全性の確保を図れ、しかも自動化可能な固形物の排出機構及び排出方法、並びにそのような排出機構を備えた固形物の貯留装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、貯留された固形物に液体を注入して旋回流を発生させ、それによって大部分の固形物の排出を確実かつ容易に行えると共に、固形物が貯留される容器の洗浄も容易に行えるようにした固形物の排出機構及び排出方法、並びにそのような排出機構を備えた固形物の貯留装置を提供することである。
本発明の別の目的は、処理スペースの小型、簡素化を可能にした固形物の排出機構及び排出方法、並びにそのような排出機構を備えた固形物の貯留装置を提供することである。
請求の範囲1に記載の発明では、容器内に貯留された固形物を前記容器から排出する排出方法において、前記容器内に排出用液体を供給して液体及び固形物の旋回流を発生させ、前記旋回状態になった液体及び固形物を前記容器の底に形成された排出口から排出することを特徴とする固形物の排出方法が提供される。
この固形物の排出方法によれば、環境汚染の防止、作業の安全性の確保を図ることができると共に固形物の排出の自動化を可能とすることができる。また、貯留された固形物に液体を注入して旋回流を発生させることにより固形物が貯留タンクの内壁等に付着するのを防止し、大部分の固形物の排出を確実かつ容易に行えると共に、固形物が貯留される容器の洗浄も容易に行うことができる。さらには、処理スペースの小型、簡素化を可能とすることができる。
上記固形物の排出方法において、前記液体及び固形物の旋回流を、前記容器の底部近傍の位置で容器内に接線方向に排出用液体を流入させて発生させるようにしてもよい。これにより、確実かつ効率的に前記液体及び固形物の旋回流を発生させることが可能となる。
請求の範囲3に記載の発明では、容器内に貯留された固形物を前記容器から排出する排出機構において、前記容器内に排出用液体を供給して液体及び固形物の旋回流を発生させる手段と、前記容器の底部に設けられ、前記旋回状態になった液体及び固形物を前記容器外に排出する排出手段とを備える固形物の排出機構が提供される。
この固形物の排出機構によれば、環境汚染の防止、作業の安全性の確保を図ることができると共に固形物の排出の自動化を可能とすることができる。また、貯留された固形物に液体を注入して旋回流を発生させることにより固形物が貯留タンクの内壁等に付着するのを防止し、大部分の固形物の排出を確実かつ容易に行えると共に、固形物が貯留される容器の洗浄も容易に行うことができる。さらには、処理スペースの小型、簡素化を可能とすることができる。
上記固形物の排出機構において、前記液体及び固形物の旋回流を発生させる手段が、前記容器の側壁下部に設けられていてもよい。これにより、固形物が排出手段に集まり、排出手段を塞ぐのを防止でき、固形物の排出をスムーズに行うことが可能となる。また、前記容器内に排出用液体を接線方向に供給できる液体供給部を備えるようにしてもよい。これにより、確実かつ効率的に前記液体及び固形物の旋回流を発生させることが可能となる。さらに、前記排出手段が前記容器の底部中央に設けられた排出口と、前記排出口を開閉する弁体とを備える排出バルブとしてもよい。これにより、簡便な構造で確実な排出を可能とする。
請求の範囲7に記載の発明では、固定物を貯留する容器と、前記容器に設けられ、前記固形物を前記容器内に投入する投入部と、前記容器に少なくとも一つ設けられ、液体を前記容器内に供給して前記固形物と液体との旋回流を発生させる液体供給部と、前記容器の底部に設けられ、前記容器内に貯留された前記固形物を前記液体と共に排出する排出バルブとを備え、前記旋回流によって前記容器内に貯留された前記固形物を前記容器内の中心部に集中させることを特徴とする固形物の貯留装置が提供される。
この固形物の貯留装置によれば、環境汚染の防止、作業の安全性の確保を図ることができると共に固形物の排出の自動化を可能とすることができる。また、貯留された固形物に液体を注入して旋回流を発生させることにより固形物が貯留タンクの内壁等に付着するのを防止し、大部分の固形物の排出を確実かつ容易に行えると共に、固形物が貯留される容器の洗浄も容易に行うことができる。さらには、処理スペースの小型、簡素化を可能にできる。
上記固形物の貯留装置において、前記液体及び固形物の旋回流を発生させる手段が、前記容器の側壁下部に設けられていてもよい。これにより、固形物が排出手段に集まり、排出手段を塞ぐのを防止でき、固形物の排出をスムーズに行うことが可能となる。また、前記容器内に排出用液体を接線方向に供給できる液体供給部を備えるようにしてもよい。これにより、確実かつ効率的に前記液体及び固形物の旋回流を発生させることが可能となる。さらに、前記排出手段が前記容器の底部中央に設けられた排出口と、前記排出口を開閉する弁体とを備える排出バルブとしてもよい。これにより、簡便な構造で確実な排出を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明にかかる貯留装置の実施の形態を示す縦断面図である。
図2は、上記実施の形態を示す横断面図である。
図3は、上記実施の形態に適用可能な液体供給部の一例を示す簡略図である。
図4は、上記実施の形態に適用可能な液体供給部の別の一例を示す簡略図である。
図5は、上記実施の形態に適用可能な気体供給部の一例を示す簡略図である。
図6は、上記実施の形態に適用可能な気体供給部の別の一例を示す簡略図である。
図7は、上記実施の形態に適用可能な気体供給部のさらに別の一例を示す簡略図である。
図8は、従来における貯留装置の一例を示す概略図である。
図9は、貯留容器内に液体と気体とを供給する例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明にかかる固形物の排出機構を有する貯留装置及びこれを用いた排出方法の実施の形態を、飲料製造ラインに設けられる場合を例として図面を参照しながら述べる。図1には本発明にかかる固形物排出機構を有する貯留装置1の縦断面図を示し、図2には貯留装置1の横断面図を示している。排出機構を有する貯留装置1は、濾過器、反応器、抽出器、イオン交換器、及びストレーナなどに適用可能なものである。図1に示すように、貯留装置1は、貯留容器2と投入部3と液体供給部4と液体排出部5と排出バルブ6とから主に構成されている。
貯留容器2は、粒状、ペレット状、チップ状、砂状、粉状、葉状等の固形物、例えば、コーヒー粕、茶の葉、砂、活性炭、樹脂粒、果肉、穀類、木片を貯留するためのものであり、横断面が円形に形成されている。貯留容器2は、この実施形態では円筒状の三つの部分、下部分2a、中央部分2b及び上部分2cから構成され、それらは公知の方法、例えば、溶接、フランジ止め、ヘルール止め、嵌合、ねじ込み、ねじ止めにより互いに接合されている。上部分2cの側壁には固形物を貯留容器2内に投入する投入部3が設けられている。この投入部3は上部分2cの側壁に固定された投入管3aで構成されている。貯留容器2の上部には開閉可能な上蓋7が設けられており、この上蓋7を開けることによって固形物を貯留容器2内に投入することもできる。上蓋7の上壁には、固形物と反応させるための液体(反応用液体)を貯留容器2内に供給するための供給口8と、貯留容器2内の空気を抜くための空気口9とが設けられている。また、貯留容器2内には、上蓋7の下方に網状部材12が設けられている。この網状部材12は、貯留容器2内の固形物を押さえると共に固形物の逆流を防止するためのものである。ここで、固形物が網状部材12の位置より近い位置までしか貯留されない場合などには、網状部材12は設けなくてもよい。
貯留容器2の下部分2aの側壁には、液体供給部4が一つ設けられている。この液体供給部4は、水等の液体(排出用液体)を貯留容器2の円断面の接線方向に貯留容器2の側壁内面に沿って貯留容器2内に供給できるように、側壁に配置固定された供給管4aで構成されている。この液体供給部は、例えば、図3に符号4′で示すように、貯留容器2内にノズル4aを伸ばし、該ノズル4a′の先端側を折り曲げて、この折り曲げ部分4b′を貯留容器2の円断面の接線方向に平行になるように設けることもできる。また、これの代替として、図4に符号4″で示すような液体供給部とすることもできる。図4(a)は、貯留容器2の底壁10を上(容器内側)から見た平面を示し、図4(b)には、図4(a)において一点鎖線A−Aで切った断面を示している。図4(a)、(b)に示すように、液体供給部4″は、貯留容器2の底壁10に設けられる一対の傾斜穴4d、4eで構成されている。傾斜穴4dと傾斜穴4eは、貯留容器2の底部の中心部を中心にして点対象に、かつ互いの傾斜方向が逆方向(中心部の回りには同じ方向)になるように設けられている。なお、図4(b)において矢印42は、傾斜穴41における液体供給方向を示している。また、図4に示す液体供給部4″は、一対の傾斜穴4d、4eで構成されているが、液体供給部を一つの傾斜穴のみ、すなわち傾斜穴4d或いは傾斜穴4eの一つだけで構成することも可能である。しかしながら、図4に示すように液体供給部4″を一対の傾斜穴4d,4eで構成した方が、迅速かつ確実に旋回流を発生させることができるので好ましい。また、液体供給部4の供給管4aにより構成される供給ノズルの容器内側の開口部にアダプター(図示せず)を設けるなどして供給ノズルの開口を細くすることにより、排出用液体の供給の流入速度を調整することができ、固形物の種類や量の変化に対応することが可能である。
液体供給部4から上記接線方向に貯留容器2の内側面に沿って貯留容器2内に供給された液体は、図1及び図2において矢印18で示すように貯留容器2内において旋回流を発生させる。この液体の旋回流は貯留容器2内の液体の量の増加に伴って貯留容器2の上部まで達し、貯留容器2内に貯留された固形物を旋回方向に徐々に回転させ、図2において矢印19で示すように貯留容器2内の中心部に集中するように移動させる。液体供給部4は、上記位置とは別に或いはそれと併せて貯留容器2の底部や中央に設けることができ、このようにすることにより、上記旋回流を確実に発生させることができる。
貯留容器2の仕切壁16の中央には排出口20が形成されていると共に、複数の扇形の開口17が排出口20を中心とした環状に配置して形成されている。貯留容器2の仕切壁16の開口17上には網状部材15が設けられている。ここで、網状部材に代えて、スリット状、小穴のあいた板状、焼結金属状の各部材を設けても構わない。貯留容器2の底部には、環状に配置された複数の開口17と連通した液体排出部5が設けられている。この液体排出部5は、貯留容器2の半径方向外側に開口するように貯留容器の底壁10と一体的に形成された排出管5aで構成されていて、投入部3から固形物と共に貯留容器2内に送り込まれた液体及び/又は供給口8から貯留容器2内に送り込ませた液体を排出するためのものである。開口17上には網状部材15が設けられているため、貯留容器2内の固形物が液体排出部5から排出することが防止される。
排出バルブ6は、貯留容器2の仕切壁16の中央に取り付けられていて、上端が貯留容器2内に開口しかつ上下方向(図1において)伸びる排出口20を画定するバルブ本体21と、排出口20内に配置されたステム部23を有する弁体22とを備えている。この弁体22のステム部23にはバルブ本体に形成された雌ねじ27と螺合する雄ねじ24が形成され、ステム部の下端に取り付けられたハンドル25を回転することによりステム部を回転して弁体を上下方向に移動できるようになっている。バルブ本体21の中央部には配管接続部26が設けられ、その配管接続部に排出管(図示せず)が接続されるようになっている。弁体22は下位置にあるとき排出口20の上開口端部を閉鎖して貯留容器内の固形物が排出口を介して流出するのを阻止するが、弁体が上昇すると開口端部を開いて固形物の流出が可能になる。なお、ステム部の移動を上記のように手動によらず、電動モーターやエア式等で行ってもよい。
次に、上記実施の形態の動作について説明する。飲料製造ラインが運転されると、そのラインから固形物(図示せず)が液体と共に投入部3を介して貯留容器2内に投入され、液体は液体排出部5から外部に排出される(投入工程)。ここで、固形物は、上蓋7と網状部材12を開状態として直接投入してもよいし、網状部材を開状態として供給口8から投入してもよい。固定物は貯留容器2の満量まで投入することができるが、固定物は満量(貯留容器2内の下側の網状部材15と上側の網状部材12との間の容積)の90%〜95%まで投入する方が固定物の排出を円滑にすることがきるので好ましい。固形物が所定量貯留容器2内に貯留されたか否かは、例えば貯留容器の側壁に設けた公知の構造のセンサ(図示せず)または固形物の投入時に流量計などによって検出する。次に、固形物と反応させるための液体を供給口8から貯留容器2内に適時供給する。反応後得られた液体は液体排出部5から外部に取り出される。
液体供給部4から水等の液体(排出用液体)を貯留容器2の円断面の接線方向に貯留容器2の側壁内面に沿って供給して貯留容器2内において旋回流(図1及び図2において矢印18で示す)を発生させる。この液体の旋回流によって貯留容器2内に貯留された固形物は旋回方向に徐々に回転し、排出用液体の液面が貯留された固形物の上面以上になると、図2において矢印19で示すように貯留容器2内の中心部に集中するように移動する(排出用液体供給工程)。
排出用液体供給工程において貯留容器2内に供給される液体の供給量が所定量に達すると、該液体の供給を停止する。液体は、予め設定された所定量まで供給されるが、この所定量は、例えば、液体が貯留容器2内に貯留された固形物の上面まで満たす量にすることができる。貯留容器内への排出用液体の供給量の制御は、その容器内に送られる液体の流量を予め計測して制御しても、或いは貯留容器内の液面のレベルをセンサで検知して制御してもよい。液体を供給した際、貯留容器2内の空気は、空気口9から抜くことができる。また、液体を供給した際、空気口9を閉状態にしておくことで、貯留容器内を加圧状態にしてもよい。これにより、後述する固形物の排出工程において圧により固形物の排出を促進することが可能となる。
上記排出用液体供給工程において、液体供給部4から排出用液体を容器内に接線方向に流入させる前に、例えば液体排出部5を介して或いは別途設けた排出用液体の補助供給部(図示せず)を介して、貯留容器2の底部の網状部材15より下側の部分内に排出用流体を供給することにより、貯留容器内に排出用液体を供給し、その排出用液体が網状部材15より上側の所定のレベルまで達したときにその液体の供給を停止した後又は供給しながら液体供給部4から、排出用液体を容器内に流入させて容器内に旋回流を起こさせてもよい。このようにすることにより、固形物が排出用液体を接線方向に供給する前にほぐれ、その後の接線方向の排出用液体の流入により旋回流の発生を容易にすることができる。
また、排出用液体供給工程において、排出用液体の供給と同時に、気体を貯留容器2の下の方からその内部に流入させてもよい。これにより、気体が貯留容器2の上の方に移動することで固形物がほぐれ、迅速に液体及び固形物の旋回流を発生させることが可能となる。気体の供給方法としては、図5及び図9に示すように、液体と気体を混合しながら供給する方法や、図6及び図7に示すように、液体と気体を別々の供給口から供給する方法が挙げられる。図5に示す気体供給手段としての気体供給ノズル4cは、図3に示すノズル4aに、該、ノズル4aの液体供給方向に対して垂直に延びて設けられており、気体供給ノズル4cから供給された気体はノズル4a内において液体と混合しながら該液体と共に貯留容器2内へ流入される。図9では液体と気体の供給口を貯留容器2の底部の網状部材15より下側の部分に設けている。また、図4に示す液体供給部4″の場合は、傾斜穴4d、4eに気体供給手段を連通させた構成にすることにより、気体と液体を混合させた状態で貯留容器2内へ気体及び液体を供給することができる。
また、図6に示す気体供給ノズル4c′は、図3に示すノズル4aに対して貯留容器2の底部の中心部を中心にして点対象に、かつ互いの供給方向が逆方向(旋回流の中心の回りには同じ円周方向)になるように設けられており、気体と液体が別々に供給される。また、図7に示す気体供給手段は、気体供給口が貯留容器2の底部に設けられた複数の供給口4c″で構成されており、図6に示すものと同様に気体と液体が別々に供給される。
次に、排出バルブ6によって貯留容器2内に貯留された固形物を排出する(排出工程)。具体的には、排出バルブ6のハンドル25を手動で操作して弁体22を上昇させて排出口20の上開口端を開け、前記旋回流によって貯留容器2内の中心部に集中された固形物、すなわち、排出口20の上方に集中された固形物を排出口20から排出させ、配管接続部26を通じて所定の場所に送る。この固形物の排出の際、液体供給部4から貯留容器2内に供給された液体(排出用液体)も固形物と共に排出される。固形物の排出の終了後、液体排出部5を開状態として貯留容器2内で網状部材15より下側に残存する液体を開口17を介して該液体排出部5から排出する。
上述では、排出工程は液体供給停止工程後に行われているが、液体供給工程中においても行うことが可能である。すなわち、排出用液体供給工程において貯留容器2内に供給される液体の供給量が所定量に達した時や、貯留容器2内に貯留された固形物が上記旋回流によって徐々に回転し始めた時に排出工程における排出バルブ6を開ける作動を行うことも可能である。この場合、排出工程において固形物の排出が終了するまで排出用液体を供給し続けることも可能である。すなわち、液体供給停止工程がなく、排出工程が終了するまで液体供給工程が行われる。このようにすることにより、固形物の排出をより円滑に行うことができる。
上記実施の形態によれば、固形物の貯留排出をクローズ式(貯留容器のカバー等を開くことのない方式)としているため、環境汚染の防止、作業の安全性の確保、異物進入の防止を図ることができる。また、排出用液体の旋回流によって貯留容器2内の中心部、すなわち排出口20の上方に固形物を集中させて、該固定物を排出口20から排出させるようにしているため、固形物を貯留装置内から完全に排出させることができ、貯留装置内の洗浄を容易にすることができる。また、固形物を排出口20から排出させ、配管接続部26を通じて所定の処理施設に搬送するようにしているため、従来のようにホッパーやコンベアなどの大きな搬送部で構成された搬送手段を不要とすることができ、処理スペースを小型化し処理工程を簡素化して処理コストを削減することができる。
本発明は、飲料分野におけるコーヒー粕や茶の葉の固形物を貯留する装置に限定されることはなく、食品、飼料、肥料、ダスト、スラッジ、生ゴミ、活性炭、樹脂粒、砂、竹炭、果肉、穀類、木片、医薬品等の固形物を貯留する装置にも適用可能なものである。
本発明によれば次のような効果を奏することが可能である。
(イ)固形物の貯留、排出をクローズ式にすることによって環境汚染の防止、作業の安全性の確保を図ることができる共に、自動化を可能にすることができる。
(ロ)貯留された固形物に液体を注入して旋回流を発生させ、それによって固形物の排出を容易に行うことができると共に、固形物が貯留される容器の洗浄も容易に行うことができる。
(ハ)処理スペースの小型、簡素化を可能にすることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に貯留された固形物を前記容器から排出する排出方法において、
前記容器内に排出用液体を供給して液体及び固形物の旋回流を発生させ、
前記旋回状態になった液体及び固形物を前記容器の底に形成された排出口から排出する、
ことを特徴とする固形物の排出方法。
【請求項2】
請求の範囲1に記載の固形物の排出方法において、前記液体及び固形物の旋回流を、前記容器の底部近傍の位置で容器内に接線方向に排出用液体を流入させて発生させる固形物の排出方法。
【請求項3】
容器内に貯留された固形物を前記容器から排出する排出機構において、
前記容器内に排出用液体を供給して液体及び固形物の旋回流を発生させる手段と、
前記容器の底部に設けられ、前記旋回状態になった液体及び固形物を前記容器外に排出する排出手段と、
を備える固形物の排出機構。
【請求項4】
請求の範囲3に記載の固形物の排出機構において、前記液体及び固形物の旋回流を発生させる手段が、前記容器の側壁下部に設けられている固形物の排出機構。
【請求項5】
請求の範囲3又は4に記載の固形物の排出機構において、前記液体及び固形物の旋回流を発生させる手段が、前記容器内に排出用液体を接線方向に供給できる液体供給部を備える固形物の排出機構。
【請求項6】
請求の範囲3ないし5のいずれか一つに記載の固形物の排出機構において、前記排出手段が前記容器の底部中央に設けられた排出口と、前記排出口を開閉する弁体とを備える排出バルブである固形物の排出機構。
【請求項7】
固定物を貯留する容器と、
前記容器に設けられ、前記固形物を前記容器内に投入する投入部と、
前記容器に少なくとも一つ設けられ、液体を前記容器内に供給して前記固形物と液体との旋回流を発生させる液体供給部と、
前記容器の底部に設けられ、前記容器内に貯留された前記固形物を前記液体と共に排出する排出バルブとを備え、
前記旋回流によって前記容器内に貯留された前記固形物を前記容器内の中心部に集中させることを特徴とする固形物の貯留装置。
【請求項8】
請求の範囲7に記載の固形物の貯留装置において、前記液体供給部は、前記容器の側壁の下部に設けられていることを特徴とする固形物の貯留装置。
【請求項9】
請求の範囲7又は8に記載の固形物の貯留装置において、前記液体供給部は、前記容器内に排出用液体を接線方向に供給できることを特徴とする固形物の貯留装置。
【請求項10】
請求の範囲7ないし9のいずれか一つに記載の固形物の貯留装置において、
前記排出バルブは、前記容器の底部中央に設けられた排出口と前記排出口を開閉する弁体とを備え、前記旋回流によって前記容器内の中心部に集中された前記固形物を前記排出口から排出させることを特徴とする固形物の貯留装置。

【国際公開番号】WO2004/087306
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504203(P2005−504203)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004279
【国際出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】