説明

固形製剤用組成物および固形製剤

【課題】 本発明の目的は、利便性の高い流動層造粒法を用いて製造することができるプランルカスト水和物を含有する固形製剤用組成物、および該固形製剤用組成物を含有してなる固形製剤を提供することにある。
【解決手段】 プランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤、さらに所望により崩壊剤を含有する固形製剤用組成物は、流動層造粒法によって製造することができる。プランルカスト水和物の至適な平均粒子径と流動化剤の至適な量を組み合わせることで、付着凝集性の高いプランルカスト水和物を流動層造粒法に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランルカスト水和物および流動化剤を含有し、流動層造粒法によって製造される固形製剤用組成物、および該固形製剤用組成物を用いて製造された固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プランルカスト水和物はロイコトリエン拮抗薬として知られており(特許文献1参照)、プランルカスト水和物を有効成分として含有するカプセル剤(商品名:オノン(登録商標)カプセル)またはドライシロップ剤(商品名:オノン(登録商標)ドライシロップ)が上市されている。プランルカスト水和物含有固形製剤は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療剤として大変有用な製剤である。しかしながら、プランルカスト水和物は非常に強い付着凝集性を有するため、通常の方法では服用に適した固形製剤を製造することは困難であり、特別な製剤化の方法が必要となる。例えば、付着凝集性を低減する方法として、プランルカスト水和物を糖類と共に噴霧乾燥する方法が知られている(特許文献2参照)。
【0003】
一方、流動層造粒法は、粉体の混合、造粒および乾燥、さらにはコーティングまでも一台の装置にて行うことができる利便性の高い方法である。さらに、流動層造粒法によって造粒された組成物は、流動性及び圧縮成形性がよいという利点がある。しかし、造粒機内に送風し、製剤原料を流動化させる必要があるため、製剤原料に付着凝集性の高い化合物を含む場合には不向きな方法である。
【0004】
流動層造粒法以外にも、撹拌造粒等の造粒方法が知られており、例えば、プランルカスト水和物にヒドロゲル形成物質を配合し、撹拌造粒によって製造される製剤が報告されている。しかし、プランルカスト水和物にヒドロゲル形成物質を配合し、流動層造粒法を用いて造粒した場合は付着凝集性および流動性を改善できず、流動層造粒法はプランルカスト水和物含有製剤を製造する方法としては適当でないことが記載されている(特許文献3参照)。
【0005】
また、難水溶性薬物と流動化剤の混合物を、水溶性高分子の水又は含水アルコール溶液を用いて造粒することで、難溶解性薬物の溶解性と流動性が改善されることが報告されているが、プランルカスト水和物に関しては、何ら記載されていない(特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−050977号公報
【特許文献2】特許第2958863号公報
【特許文献3】特開2005−187406号公報
【特許文献4】特開2005−82503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、利便性の高い流動層造粒法を用いて製造することができるプランルカスト水和物を含有する固形製剤用組成物、および該固形製剤用組成物を含有してなる固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は鋭意検討を行った結果、プランルカスト水和物を流動化剤と混合し流動層造粒を行うことによって、造粒時の付着凝集性を改善し、プランルカスト水和物含有固形製剤用組成物を製造できることを見出した。プランルカスト水和物の粒子径は、小さすぎると付着凝集性を生じ、大きすぎると薬物の溶出遅延が起こる。また、流動化剤は、少なすぎると付着抑制効果がなく、多すぎると造粒時の付着凝集性は改善するものの、内容物が軽質になり過ぎて装置内での流動の制御が困難になる。さらに、得られた造粒物の流動性が悪くなり、造粒後の打錠およびカプセル充填の際に取り扱いにくい。本発明者等は、流動層造粒法によってプランルカスト水和物含有固形製剤用組成物を製造するためのプランルカスト水和物の至適な粒子径と流動化剤の至適な量を見出した。さらに驚くべきことに、本発明の固形製剤用組成物および固形製剤は、溶出性が安定しており、特に含水率が約1〜3%以下の固形製剤用組成物を用いて製造した固形製剤は、保存安定性も優れていることを見出した。以上のことから、流動層造粒法を行う際の付着凝集性を改善し、安定した溶出性を有する固形製剤用組成物および固形製剤を見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、
1.プランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤を含有し、さらに崩壊剤を含有していてもよい固形製剤用組成物、
2.流動化剤が軽質無水ケイ酸および含水二酸化ケイ素から選択される一種以上であり、結合剤がヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される一種以上であり、賦形剤が乳糖、白糖およびD−マンニトールから選択される一種以上である前記1記載の固形製剤用組成物、
3.プランルカスト水和物100重量部に対して、流動化剤約2〜30重量部、結合剤約1〜50重量部、および賦形剤約20〜150重量部を含む前記1記載の固形製剤用組成物、
4.プランルカスト水和物の平均粒子径が、約1〜40μmである前記1記載の固形製剤用組成物、
5.平均粒子径が約50〜500μmである前記1記載の固形製剤用組成物、
6.含水率が約1〜3%である前記1記載の固形製剤用組成物、
7.プランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を流動層造粒法で造粒することを特徴とする前記1記載の固形製剤用組成物、
8.前記1記載の固形製剤用組成物を含有してなる固形製剤、
9.カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤である前記8記載の固形製剤、
10.プランルカスト水和物を1製剤あたり約112.5mgまたは約225mg含有するカプセル剤または錠剤である前記9記載の固形製剤、
11.1日当たりのプランルカスト水和物の投与量が約50mg、約70mg、約100mg、約112.5mg、約140mg、約200mg、約225mg、約280mgまたは約450mgである散剤または顆粒剤である前記9記載の固形製剤、
12.平均粒子径が約1〜40μmであるプランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を流動層造粒法で造粒した、平均粒子径が約50〜500μmであり、含水率が約1〜3%である固形製剤用組成物を含有してなるカプセル剤、
13.平均粒子径が約1〜40μmであるプランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を流動層造粒法で造粒した、平均粒子径が約50〜500μmであり、含水率が約1〜3%である固形製剤用組成物を含有してなる錠剤、
14.プランルカスト水和物、流動化剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を加えて混合し、結合剤を溶媒に溶解した液を噴霧して流動層造粒機にて給気温度約70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度約70℃で乾燥することを特徴とする請求項1記載の固形製剤用組成物の製造方法に関する。
【0010】
本発明において、固形製剤用組成物とは、固形製剤を製造するための造粒物、例えば、粉末、顆粒等を表わす。固形製剤としては、例えば、カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤等が挙げられる。さらに、錠剤、散剤または顆粒剤はドライシロップ剤として用いてもよい。
【0011】
本発明の固形製剤用組成物または固形製剤は、プランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤を含有するが、さらに崩壊剤および/またはその他の添加剤を含んでいてもよい。
【0012】
本発明に用いられるプランルカスト水和物は式(A)
【0013】
【化1】

【0014】
で示される4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン 1/2水和物である。プランルカスト水和物の製造は、例えば、特開昭61−050977号明細書記載の方法に準じて行なうことができる。
【0015】
本発明で用いられる流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられ、これらを一種以上適宜配合して用いることができる。好ましくは、軽質無水ケイ酸または含水二酸化ケイ素である。
【0016】
本発明で用いられる賦形剤としては、例えば、糖類、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられ、これらを一種以上適宜配合して用いることができる。好ましくは糖類が挙げられる。糖類としては、例えば、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、白糖、異性化乳糖、還元乳糖、ショ糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン等が挙げられる。好ましくは乳糖、白糖またはD−マンニトールである。
【0017】
本発明で用いられる結合剤としては、例えば、水溶性セルロース類、ポビドン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン等が挙げられる。水溶性セルロース類とは、セルロースの水酸基の水素原子の一部をメチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシプロピル基またはヒドロキシエチル基等で置換することにより、水素結合を消失させた水溶性高分子である。例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)等が挙げられ、これらを一種以上適宜配合して用いることができる。結合剤として好ましくは、水溶性セルロース類またはポリエチレングリコールが挙げられ、さらに好ましくはヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0018】
本発明で用いられる崩壊剤としては、例えば、アジピン酸、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、カンゾウ末、カンテン末、グァーガム、クエン酸カルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、合成ケイ酸アルミニウム、コムギデンプン、コメデンプン、酢酸フタル酸セルロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル40、精製白糖、セスキオレイン酸ソルビタンゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、タルク、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、デヒドロ酢酸ナトリウム、トウモロコシデンプン、トラガント末、ハチミツ、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、部分アルファー化デンプン、フマル酸一ナトリウム、ポビドン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリソルソルベート40、ポリソルベート80、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、D−マンニトール、無水クエン酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、リン酸二水素カルシウム等が挙げられ、これらを一種以上適宜配合して用いることができる。好ましくは、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドンまたは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。さらに好ましくは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースである。
【0019】
本発明の固形製剤用組成物を製造する方法は公知であり、例えば、プランルカスト水和物、流動化剤、結合剤、賦形剤、所望によって崩壊剤、さらに必要に応じて他の添加剤を、流動層造粒法にて造粒し、必要に応じて乾燥、整粒、分級等を行うことにより製造することができる。結合剤は、あらかじめ他の原料と混合しておいてもよいし、結合剤を溶媒(例えば、水またはエタノール、またはこれらの混合溶媒)に溶解した液(以下、結合液と略す。)として、造粒時に噴霧添加してもよい。例えば、プランルカスト水和物、流動化剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を加えて混合し、結合液を噴霧して流動層造粒機にて給気温度約70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度約70℃で乾燥して、本発明の固形製剤用組成物を得ることができる。付着凝集性の高いプランルカスト水和物を用いて流動層造粒法を行うには、至適な平均粒子径のプランルカスト水和物を用いることと、至適量の流動化剤を添加することが重要である。
【0020】
流動層造粒法を行うためには、例えば、平均粒子径約1〜40μmのプランルカスト水和物を用いることが好ましい。さらに好ましくは、約1〜15μmであり、特に好ましくは、約2〜15μmである。平均粒子径が至適範囲未満のプランルカスト水和物を用いた場合、付着凝集性を生じるため流動層造粒には不向きである。また至適範囲より大きい平均粒子径のプランルカスト水和物を用いると、製造した固形製剤において溶出遅延が起こる。
【0021】
平均粒子径約1〜40μmのプランルカスト水和物は、公知の方法、例えば特開昭61−050977号公報に記載された方法等を組み合わせることにより、当業者においては容易に製造することができる。例えば、平均粒子径約39.2μmのプランルカスト水和物は以下の方法によって得ることができる;
プランルカスト水和物(1500g)にエタノール(6.67L)および水(12L)を加え、内温20〜30℃で約5分間撹拌した。その後、炭酸水素ナトリウム(314.4g)を加え、内温約65℃まで昇温して、プランルカスト水和物を溶解した。得られた溶液を撹拌しながら、酢酸(402.6g)を加え、内温約65℃で約1時間撹拌した。得られた晶析液を遠心分離機にてろ過し、エタノール(10L)で2回洗浄した。得られた結晶にエタノール(18L)を加え、内温20〜30℃で約1時間撹拌した。晶析液を遠心分離機にてろ過し、得られた結晶を減圧式乾燥機にて乾燥温度40℃で12時間以上乾燥した。乾燥後、乾燥機内に水の入ったガラスシャーレを入れ、減圧下、密閉状態にして、結晶の水分含量が1.5〜2.0%になるまで室温で吸湿操作を行った。
【0022】
特開昭61−050977号公報記載の方法や上記方法等によって製造されたプランルカスト水和物をそのまま用いてもよいし、公知の方法、例えばハンマーミル、ボールミルまたはジェットミル等で粉砕し、所望の平均粒子径に調整することもできる。
【0023】
本発明において、プランルカスト水和物の平均粒子径とは、その一次粒子の平均粒子径(重量基準平均径)を意味し、例えば一般に用いられているレーザー回折式の粒度分布測定装置(例えば、SALD-2100(島津製作所(株)))により求めることができる。
【0024】
また、本発明において、顆粒や粉末等の粒子径の測定法としては、例えば、ふるい分け法があり、適切なサイズのふるいを用いて顆粒の粒度分布を測定する方法により求めることができる。
【0025】
また、流動層造粒法を行うためには、プランルカスト水和物100重量部に対し、約2〜30重量部、さらに好ましくは約4〜30重量部、特に好ましくは約4〜20重量部の流動化剤を添加することが好ましい。流動化剤の量が至適範囲以下の場合、付着凝集性は改善されず、また、至適範囲以上の流動化剤を用いれば、造粒時の付着凝集性は改善するものの、内容物が軽質になり過ぎて装置内での流動の制御が困難になる。さらに、得られた造粒物の流動性が悪くなり、造粒後の打錠およびカプセル充填の際に取り扱いにくい。
【0026】
流動層造粒を適切に行うためには、上記範囲のプランルカスト水和物の平均粒子径と、上記範囲の流動化剤の量を組み合わせて用いることが好ましい。
【0027】
本発明の固形製剤用組成物1重量部におけるプランルカスト水和物は約0.50〜0.98重量部が好ましく、さらに好ましくは約0.55〜0.90重量部であり、特に好ましくは約0.60〜0.80重量部である。
【0028】
本発明の固形製剤用組成物または固形製剤において、プランルカスト水和物100重量部に対する賦形剤の重量比として好ましくは、約20〜150重量部であり、さらに好ましくは約20〜100重量部、特に好ましくは約20〜60重量部である。
【0029】
本発明の固形製剤用組成物または固形製剤において、プランルカスト水和物100重量部に対する結合剤の重量比として好ましくは約1〜50重量部であり、さらに好ましくは約1〜30重量部である。
【0030】
本発明の固形製剤用組成物または固形製剤において、プランルカスト水和物100重量部に対する崩壊剤の重量比として好ましくは、約1〜50重量部であり、さらに好ましくは約2〜30重量部である。
【0031】
本発明の固形製剤用組成物は、流動化剤、賦形剤、結合剤または崩壊剤の他に、固形製剤を製造する際に一般的に使用される添加剤(製剤基剤)をさらに含んでいてもよく、例えば、滑沢剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤、香料、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、湿潤剤、溶出補助剤等を一種以上適宜配合して用いることができる。
【0032】
矯味剤としては、例えば、白糖、D−ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。香料としては、例えば、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール等が挙げられる。着色剤としては、例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。隠蔽剤としては、例えば、酸化チタン等が挙げられる。静電気防止剤としては、例えば、タルク、酸化チタン等が挙げられる。湿潤剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。溶出補助剤としては、例えば、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等が挙げられる。
【0033】
上記方法により得られる本発明の固形製剤用組成物の平均粒子径は、製剤成型に最適な約50〜500μmであり、好ましくは、約100〜300μmである。
【0034】
上記方法により得た固形製剤用組成物を用いて、本発明の固形製剤、例えば、カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤等を製造することができる。さらに、錠剤、散剤または顆粒剤を服用時に溶液または懸濁液として服用する用時溶解/懸濁型製剤(例えば、ドライシロップ剤等)として用いることができる。例えば、上記方法により得た固形製剤用組成物を、そのまま用いるか、必要であれば崩壊剤や滑沢剤等のその他の添加剤を混合して、散剤、もしくは顆粒剤としてもよい。また、固形製剤用組成物を必要に応じて崩壊剤や滑沢剤等の他の添加剤と混合し、公知の方法によって打錠もしくはカプセル充填することによって、錠剤もしくはカプセル剤としてもよい。本発明の固形製剤用組成物を充填するカプセルの材皮としては、通常用いられる材皮であればどんなものでもよいが、例えば、ゼラチン、ポリエチレングリコール配合ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等が挙げられる。カプセルの大きさは特に限定されないが、1号、2号、3号はまたは4号カプセル等が好ましい。特に、服用患者のコンプライアンスの観点から、3号カプセルまたは4号カプセルが好ましい。また、錠剤は、必要に応じ薬学的に許容され、本発明の効果を妨げない、フィルムコーティング基剤を用いて被覆されても構わない。さらに、上記方法により得た散剤、顆粒剤または錠剤を、そのままドライシロップ剤として供することもできるし、さらに所望により、通常用いられる苦味改善剤(矯味剤)を加えて、用時水に懸濁して服用可能なドライシロップ剤として供することもできる。
【0035】
固形製剤用組成物から固形製剤を製造する過程で添加してもよい他の添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、矯味剤、界面活性剤、香料、滑沢剤、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、湿潤剤、矯臭剤、溶出補助剤等が挙げられ、これらから選択される一種以上を適宜配合して用いてもよい。賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、矯味剤、界面活性剤、香料、滑沢剤、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、湿潤剤、矯臭剤、溶出補助剤としては、前記したものが挙げられる。
【0036】
本発明の固形製剤中のプランルカスト水和物含量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間、剤型等により異なるが、本発明の所望の効果が得られるように製することが好ましい。成人1日当たりのプランルカスト水和物の投与量として好ましくは約25〜2500mg、より好ましくは約112.5〜450mgである。具体的には、約50mg、約70mg、約100mg、約112.5mg、約140mg、約200mg、約225mg、約280mgまたは約450mgが好ましい。例えば、固形製剤がカプセル剤または錠剤である場合、プランルカスト水和物含有量として好ましくは1製剤あたり約112.5mgまたは約225mg、さらに好ましくは約112.5mgである。
【0037】
また、本発明の固形製剤を小児に対して投与するには、散剤、顆粒剤またはドライシロップ剤として用いるのが好ましい。小児患者の体重1kg当たりの1日当たりのプランルカスト水和物の投与量としては、約2mg〜約10mgが好ましく、より好ましくは約5mg〜約8mgであり、さらに好ましくは約7mgである。また、体重12kg以上18kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約50mg〜約100mg投与するのが好ましく、より好ましくは約50mgまたは約100mgである。体重18kg以上25kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約70mg〜約140mg投与するのが好ましく、より好ましくは約70mgまたは約140mgである。体重25kg以上35kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約100mg〜約200mg投与するのが好ましく、より好ましくは約100mgまたは約200mgである。体重35kg以上45kg未満の小児患者に対しては、プランルカスト水和物を1日当たり約140mg〜約280mg投与するのが好ましく、より好ましくは約140mgまたは約280mgである。
【0038】
本発明の固形製剤は、上記のように製造された後、所望によって任意の包装が施される。かかる包装は、例えば、個別に包装されていない非単位包装(例えば、バルク包装)等であってもよいが、例えば、熱接着性フィルムで医薬品をシールする、いわゆるヒートシール包装のような密封包装が好ましい。密封包装としては、密封性を有するものであれば特に限定されないが、さらに水蒸気等の気体の流出入を防ぐことのできる性質を有するものが好ましい。そのような密封包装の材質としては、アルミフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、高密度ポリエチレンラミネート紙、ポリ塩化ビニリデンラミネート紙、ポリエチレン、セロハン等が挙げられる。また、該密封包装の形態としては、缶、瓶、袋(例えば、カートナー包装、シュリンク包装、ピロー包装等)、ヒートシール包装等が挙げられる。さらに、密封包装の形態が袋であるとき、チャック(例えば、シングルチャック、ダブルチャック等)を有する袋であってもよい。尚、本発明における密封包装には、例えば、薬局方規定の「気密容器」や「密封容器」を用いての包装も含まれる。
【0039】
ヒートシール包装には、PTP(Press Through Pack)包装やSP(Strip Package)包装等が含まれる。固形製剤の中でも錠剤またはカプセル剤等の包装においてはPTP包装が、散剤または顆粒剤等の包装においてはSP包装がそれぞれ好ましい。
【0040】
PTP包装の材質として用いられるプラスチックシートとしては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPPまたはIPP)、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、無延伸ナイロン(CNy)、二軸延伸ナイロン(ONy)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、硬質塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、ポリアクリロニトリル共重合体(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル(PET)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー(IO)、ポリアミド(PAまたはNy)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。これらのプラスチックシートは2種以上を適宜組合せた複合体を用いてもよい。
【0041】
該プラスチックシートとしては、約0.5〜5.0g/m・24hrの透湿度(水蒸気透過度)を有するものであれば特に限定されないが、そのようなプラスチックシートとして好ましくは、硬質塩化ビニル、硬質塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンを組み合わせた複合体、無延伸ポリプロピレン等が挙げられ、硬質塩化ビニルが好ましい。ここで、透湿度は、定められた温度及び湿度の条件下に、一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の量を意味し、その測定は、公知の方法で行うことができる。例えば、一般的にプラスチックシートやシート等の包装材料の透湿度測定法として知られた方法、なかでも感湿センサー法(Lyssy法)(JIS K7129)、カップ法(JIS Z0208)等に従って行うことが好ましい。
【0042】
本発明において、プラスチックシートを包装体として用いる場合には、該プラスチックシートにアルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物を蒸着した蒸着フィルム、紙、アルミ箔、セロファンフィルム等の通常の包装材料として用いられるものの中から2種以上を、内容物を保護する等の目的で適宜組み合わせ、貼り合わせて用いてもよい。プラスチックシートと上記したフィルム等を貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、押出コーティング・ラミネーション、ウェットラミネーション、ホットメルトラミネーション、共押出成形ラミネーション、ノンソルベントラミネーション、サーマルラミネーション等が挙げられる。
【0043】
PTP包装は、アルミ包装と併用することが好ましい。さらに本発明の錠剤またはカプセル剤は、PTP包装やSP包装を施した後、その一定数量をポリエチレンやアルミ箔で二次包装(いわゆるピロー包装)してもよい。
【0044】
本発明の錠剤またはカプセル剤が二次包装された内部の湿度は、乾燥剤または保湿剤により制御することができる。
【0045】
乾燥剤としては、一般的に医薬品の保存時に用いられるものであれば特に限定されないが、そのような乾燥剤としては、酸化アルミニウム、カルシウム、塩化カルシウム、水素化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、水素化リチウムアルミニウム、マグネシウム、酸化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、合成ゼオライト(例えば、モレキュラーシーブ等)、天然ゼオライト、五酸化二リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シリカゲル、シリカアルミナゲル、ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、活性炭等が挙げられる。これらは、必要に応じて、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。これら以外に本発明における乾燥剤としては、高分子ポリマーを構成成分とする吸水剤も含まれる。そのような吸水剤としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド等が挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる乾燥剤の形態としては、粒状、もしくはフィルム状、プレート状およびシート状に成形したもの、または粒状のものを通気性のある袋に充填したもの等が挙げられ、その形態は特に限定されない。好ましくは、シート状に成形したもの等である。シート状に成形する場合には、乾燥剤を適当な支持体、例えば、成形用プラスチック等に配合して、乾燥剤をプラスチック内に練り込みシート状に成形すること等が挙げられる。シート状に成形した乾燥剤としては、IDシート(株式会社アイディ;塩化カルシウム)、ハイシートドライ(丸谷化工機株式会社;シリカゲル)、ハイドライパック(丸谷化工機株式会社;シリカゲル)等が挙げられる。
【0047】
本発明に用いられる乾燥剤としては、温度25℃、相対湿度が50%におけるその吸湿率が、約20〜35%である乾燥剤が好ましく、例えば、シリカゲル、シリカアルミナゲル、塩化カルシウム、五酸化二リン、合成ゼオライト、天然ゼオライト等が好ましい。より好ましくは、塩化カルシウム等が挙げられ、さらに好ましくは、シート状に成形した塩化カルシウム、例えば、IDシート等が挙げられる。
【0048】
本発明において、保湿剤とは、吸水、吸湿機能を有し、かつ一定の湿度に保つことのできる機能、すなわち平衡湿度を有する物質を意味する。そのような保湿剤としては、含水エチレングリコール含有シート類、ドライキープ(登録商標;佐々木化学薬品株式会社)等が挙げられる。
【0049】
本発明の固形製剤用組成物の含水率は約1〜3%、さらに約1〜2.5%が好ましい。含水率が約1〜3%の固形製剤用組成物を用いて製造した固形製剤は、保存時における崩壊遅延、溶出遅延、異常(例えば、カプセル剤または錠剤の割れ、欠け等)、風解、潮解等を抑えることができる。
【0050】
本発明において、含水率とは、固形製剤用組成物に含まれる水の量、すなわち水分含有量を意味する。固形製剤用組成物の含水率は、公知の方法で測定することができる。例えば、医薬品の水分測定法で知られた方法、とりわけ日本薬局方収載の水分測定法、なかでも第十四改正日本薬局方に収載の水分測定法(カールフィッシャー法)等に従って行うことができる。
【0051】
本発明において、崩壊遅延とは、当業者にとっては明らかなように、薬物(特に、内用固形製剤)が消化管壁から速やかに吸収されるためには、製剤が崩壊し小粒子状に細分化され表面積が増大することで、主薬の溶出が確実になると考えられていることから、薬物の崩壊時間が延長することによって、薬物の溶出速度が遅延することを意味する。
【0052】
本発明において、崩壊遅延の程度は、本発明の固形製剤用組成物を含有してなる固形製剤を薬物包装体の内外で任意の期間保存した後に、崩壊試験に付し、初期値と比較することで確認することができる。崩壊試験は公知の方法で行うことができる。例えば、一般的に錠剤やカプセル剤等の内用固形製剤の崩壊試験法として知られた方法、とりわけ日本薬局方収載の崩壊試験法、なかでも第十四改正日本薬局方に収載の崩壊試験法等に従って行うことができる。
【0053】
本発明において、溶出遅延とは、当業者にとっては明らかなように、薬物(特に、内用固形製剤)の溶出速度がその薬物の生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)を規定することから、薬物の有効成分の溶出速度が遅延することによって、生体内投与後におけるバイオアベイラビリティが変化することを意味し、薬効発現が不十分になったり、副作用を伴う虞があると考えられている。
【0054】
本発明において、溶出遅延の程度は、本発明の固形製剤用組成物を含有してなる固形製剤を薬物包装体の内外で任意の期間保存した後に、溶出試験に付し、初期値と比較することで確認することができる。溶出試験は公知の方法で行うことができる。例えば、一般的に錠剤やカプセル剤等の内用固形製剤の溶出試験法として知られた方法、とりわけ日本薬局方収載の溶出試験法、なかでも第十四改正日本薬局方に収載の溶出試験法、例えば第1法(回転バスケット法)、第2法(パドル法)、第3法(フロースルーセル法)等に従って行うことができる。
【0055】
溶出遅延の程度を確認するための保存の条件は特に限定されないが、例えば、通常当業者によって行われるように室温であってもよいし、一般的に加速試験または苛酷試験と称されるように、高温および/または高湿の条件であってもよい。高温および/または高湿の条件にすることで、室温における長期間の保存の結果を、より短期間で得ることができる。
[医薬品への適用]
本発明の製剤はプランルカスト水和物を有効成分として含有するため、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)等の呼吸器疾患、メニエール病、偏頭痛、咳嗽、滲出性中耳炎、月経困難症等の種々の疾患等の予防および/または治療薬として有用である。
[毒性]
本発明が提供するプランルカスト水和物を含有する製剤は低毒性であり、医薬として使用するために十分に安全である。
【発明の効果】
【0056】
本発明の固形製剤用組成物は、付着凝集性の高いプランルカスト水和物を含有しているにもかかわらず、利便性の高い流動層造粒法にて製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明をよく理解するためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
比較例1
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(225g)および乳糖(80g、NZMP Ltd.社)をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入したが、装置内で流動しなかった。
比較例2
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(225g)、乳糖(80g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(1g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入したが、装置内で流動しなかった。
比較例3
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(225g)、乳糖(80g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(4g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入したが、装置内で流動しなかった。
実施例1
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(225g)、乳糖(80g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(10g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入し、装置内で流動することを確認した。7%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(180g、TC−5:信越化学工業(株))水溶液を噴霧して給気温度70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度70℃で乾燥する。この乾燥品を1mmの篩を用いて篩過し、固形製剤用組成物を得る。
実施例2
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(202.5g)、乳糖(72g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(36g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入し、装置内で流動することを確認した。7%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(177.4g、TC−5:信越化学工業(株))水溶液を噴霧して給気温度70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度70℃で乾燥する。この乾燥品を1mmの篩を用いて篩過し、固形製剤用組成物を得る。
比較例4
平均粒子径2.9μmのプランルカスト水和物(180g)、乳糖(64g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(64g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入し、装置内で流動することを確認した。7%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(176g、TC−5:信越化学工業(株))水溶液を噴霧して給気温度70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度70℃で乾燥する。この乾燥品を1mmの篩を用いて篩過し、固形製剤用組成物を得る。
比較例5
平均粒子径0.9μmのプランルカスト水和物(225g)、乳糖(80g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(10g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入したが、装置内で流動しなかった。
実施例3
平均粒子径9.2μmのプランルカスト水和物(225g)、乳糖(80g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(10g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入し、装置内で流動することを確認した。7%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(180g、TC−5:信越化学工業(株))水溶液を噴霧して給気温度70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度70℃で乾燥する。この乾燥品を1mmの篩を用いて篩過し、固形製剤用組成物を得る。
実施例4
平均粒子径39.2μmのプランルカスト水和物(225g)、乳糖(80g、NZMP Ltd.社)および軽質無水ケイ酸(10g、アドソリダー:フロイント産業(株))をポリエチレン袋内で混合し、流動層造粒機(STREA:パウレック(株))に投入し、装置内で流動することを確認した。7%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(180g、TC−5:信越化学工業(株))水溶液を噴霧して給気温度70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度70℃で乾燥する。この乾燥品を1mmの篩を用いて篩過し、固形製剤用組成物を得る。
実験1 造粒時の流動性における流動化剤の影響
比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、実施例1および実施例2の処方にしたがって、原料、すなわちプランルカスト水和物、賦形剤および、処方によっては流動化剤を混合し、造粒時における流動性を評価した。さらに、流動した処方に関しては、結合剤を加えて造粒し、流動層装置内の付着性および得られた固形製剤用組成物の物性評価を行う。流動性、付着性および物性評価の評価方法を以下に示す。
<評価方法>
1.流動性
造粒する前に流動層造粒機内の内容物の流動性について目視観察を行った。問題なく浮遊懸濁状態が続いたものを『◎』、流動状態が悪いが浮遊懸濁状態が続いたものを『○』、一部浮遊懸濁状態になるものを『△』、流動しないものを『×』とした。
2.流動層装置内の付着性
流動中または流動・造粒終了後に、装置内への内容物の付着性について目視観察を行う。付着がなかったものを『○』、少量付着したものを『△』、層状に多量付着していたものを『×』とする。
3.固形製剤用組成物の物性評価
造粒した処方について、打錠に適した流動性を有していると考えられるものを『適』、流動性が不十分と考えられるものを『不適』とする。また、1カプセルに112.5mgのプランルカスト水和物を充填する際、3号カプセルに充填可能なものを『○』、不可能なものを『×』とする。
【0058】
上記の評価結果を、表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
流動化剤が全く入っていない比較例1、および流動化剤が少量であるもの、具体的にはプランルカスト水和物100重量部に対して、流動化剤が2重量部未満である比較例2および比較例3の処方においては、流動層装置内において、原料が流動しなかった。また、多量の流動化剤を含む比較例4の処方においては、造粒は可能であったものの、固形製剤用組成物が嵩高く、流動性が不十分であったため、3号カプセルに充填できなかった。
【0061】
流動性が良好であった実施例1および実施例2の処方にしたがって固形製剤用組成物を製造し、物性評価を行った結果、実施例1または実施例2で製造される固形製剤用組成物は、流動性が良好であり、3号カプセルに充填可能であった。
【0062】
以上の結果から、プランルカスト水和物100重量部に対し、流動化剤を約2重量部〜30重量部含有する固形製剤用組成物は、流動層造粒法で製造可能であり、固形製剤を製造するために適切に使用できることが示された。
実験2 造粒時の流動性におけるプランルカスト水和物の粒子径の影響
平均粒子径の異なるプランルカスト水和物を用いた比較例5、実施例1、実施例3および実施例4の処方にしたがって、原料、すなわちプランルカスト水和物、賦形剤および、処方によっては流動化剤を混合し、造粒時における流動性を評価した。さらに、流動した処方に関しては、結合剤を加えて造粒し、実験1と同様の方法で流動層装置内の付着性および得られた固形製剤用組成物の物性評価を行う。
【0063】
上記の評価結果を、表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
平均粒子径0.9μmのプランルカスト水和物を用いた比較例5においては、流動性が不十分であり、流動層造粒を行うことが不可能であった。一方、平均粒子径1μm以上のプランルカスト水和物を用いて製造した固形製剤用組成物は流動性も良好であり、3号カプセルに充填することが可能である。したがって、平均粒子径が1μm以上のプランルカスト水和物を用いれば、流動層造粒法を行うことが可能であることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の固形製剤用組成物は、付着凝集性の高いプランルカスト水和物を含有しているにもかかわらず、利便性の高い流動層造粒法にて製造することが可能である。また、この固形製剤用組成物を用いて製造した固形製剤は、有効成分の溶出性もよく安定であり、医薬品として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤を含有し、さらに崩壊剤を含有していてもよい固形製剤用組成物。
【請求項2】
流動化剤が軽質無水ケイ酸および含水二酸化ケイ素から選択される一種以上であり、結合剤がヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される一種以上であり、賦形剤が乳糖、白糖およびD−マンニトールから選択される一種以上である請求項1記載の固形製剤用組成物。
【請求項3】
プランルカスト水和物100重量部に対して、流動化剤約2〜30重量部、結合剤約1〜50重量部、および賦形剤約20〜150重量部を含む請求項1記載の固形製剤用組成物。
【請求項4】
プランルカスト水和物の平均粒子径が、約1〜40μmである請求項1記載の固形製剤用組成物。
【請求項5】
平均粒子径が約50〜500μmである請求項1記載の固形製剤用組成物。
【請求項6】
含水率が約1〜3%である請求項1記載の固形製剤用組成物。
【請求項7】
プランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を流動層造粒法で造粒することを特徴とする請求項1記載の固形製剤用組成物。
【請求項8】
請求項1記載の固形製剤用組成物を含有してなる固形製剤。
【請求項9】
カプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤である請求項8記載の固形製剤。
【請求項10】
プランルカスト水和物を1製剤あたり約112.5mgまたは約225mg含有するカプセル剤または錠剤である請求項9記載の固形製剤。
【請求項11】
1日当たりのプランルカスト水和物の投与量が約50mg、約70mg、約100mg、約112.5mg、約140mg、約200mg、約225mg、約280mgまたは約450mgである散剤または顆粒剤である請求項9記載の固形製剤。
【請求項12】
平均粒子径が約1〜40μmであるプランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を流動層造粒法で造粒した、平均粒子径が約50〜500μmであり、含水率が約1〜3%である固形製剤用組成物を含有してなるカプセル剤。
【請求項13】
平均粒子径が約1〜40μmであるプランルカスト水和物、流動化剤、結合剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を流動層造粒法で造粒した、平均粒子径が約50〜500μmであり、含水率が約1〜3%である固形製剤用組成物を含有してなる錠剤。
【請求項14】
プランルカスト水和物、流動化剤および賦形剤と、さらに所望により崩壊剤を加えて混合し、結合剤を溶媒に溶解した液を噴霧して流動層造粒機にて給気温度約70℃、排気温度約30℃の条件で造粒し、造粒後、給気温度約70℃で乾燥することを特徴とする請求項1記載の固形製剤用組成物の製造方法。

【公開番号】特開2007−211005(P2007−211005A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4055(P2007−4055)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】