説明

固形製剤

本願は、インスリン抵抗性改善薬と活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)とを含有し、「有効成分としてインスリン抵抗性改善薬のみを含有する固形製剤」からのインスリン抵抗性改善薬の溶出挙動に近似するインスリン抵抗性改善薬の溶出挙動を示す固形製剤を提供する。本願発明の固形製剤は、「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒を含む部分」および「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病治療薬などとして有用な、インスリン抵抗性改善薬および活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
チアゾリジンジオンなどのインスリン抵抗性改善薬(insulin sensitizer)と活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)とを含有する製剤としては、下記の製剤が報告されている。
1)インスリン抵抗性改善薬、インスリン分泌促進薬および界面活性剤を含有してなる固形製剤(特許文献1参照)。
2)グリメピリドとチアゾリジンジオンインスリン抵抗性改善薬(insulin sensitizer)との組み合わせを含み、各薬物がグリメピリドおよびチアゾリジンジオン速放錠の別投与時と同様の放出速度を示す、非インスリン依存型糖尿病治療用ユニットドーズ(unit-dose)医薬組成物(特許文献2参照)。
3)インスリン抵抗性改善薬、他の抗糖尿病薬およびその医薬上許容される担体を含んでなり、インスリン抵抗性改善薬および他の抗糖尿病薬のうち少なくとも一つの放出が修飾されるように調整されている医薬組成物(特許文献3参照)。
4)インスリン抵抗性改善薬を含む粒とHMG-CoA還元酵素阻害薬を含む粒とを含有する固形製剤(特許文献4参照)。
5)(1)インスリン抵抗性改善薬を含む層と、(2)(a)活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)、(b)平均粒子径5〜25μmの結晶セルロース、(c)平均粒子径30〜100μmの結晶セルロースおよび(d)ポリビニルピロリドンK-90を含む層からなる固形製剤(特許文献5参照)。
6)インスリン感受性増強剤と該インスリン感受性増強剤とは作用メカニズムの異なる1種以上の糖尿病治療薬とを組み合わせてなる医薬組成物(特許文献6参照)。
7)インスリン抵抗性改善薬、インスリン分泌促進剤および薬剤的に許容し得る担体を含む医薬組成物(特許文献7参照)。
8)インスリン抵抗性改善薬、最大量以下(sub-maximal amount)のインスリン分泌促進剤および薬剤的に許容し得る担体を含む医薬組成物(特許文献8参照)。
9)相乗効果を示す量のスルホニルウレア抗糖尿病薬とグリタゾン抗糖尿病薬を含有する組成物(特許文献9参照)。
10)有機溶媒溶解性のコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの有機溶媒分散液でコーティングすることを特徴とする、被覆製剤の製造方法(特許文献10参照)。
11)粘度の低いコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの水分散液でコーティングすることを特徴とする、被覆製剤の製造方法(特許文献11参照)。
12)インスリン抵抗性改善薬と活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)とが均一に分散された相を有する、硬度が100ないし400Nである固形製剤(特許文献12参照)。
【特許文献1】国際公開第2005/041962号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0147564号明細書
【特許文献3】国際公開第00/28989号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/108161号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2005/099760号パンフレット
【特許文献6】欧州特許出願公開第749751号明細書
【特許文献7】国際公開第WO98/57649号パンフレット
【特許文献8】国際公開第WO99/03476号パンフレット
【特許文献9】国際公開第WO98/36755号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2004/006921号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2004/067001号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2004/030700号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
インスリン抵抗性改善薬および活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含有する固形製剤において、これらの有効成分は、これらの有効成分を独立して含有する2種類の固形製剤と近似する溶出挙動を示すことが好ましい。
本発明者らは、インスリン抵抗性改善薬と活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)とを含有する固形製剤からの両成分の溶出性について検討したところ、該固形製剤からのインスリン抵抗性改善薬の溶出が、前記活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分に影響され、「有効成分としてインスリン抵抗性改善薬のみを含有する固形製剤」からのインスリン抵抗性改善薬の溶出と比較して、遅いという問題点を初めて見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく、鋭意研究した結果、「(1)インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒を含む部分(part)」および「(2)活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分(part)」を含む固形製剤においては、インスリン抵抗性改善薬の溶出挙動が「有効成分としてインスリン抵抗性改善薬のみを含有する固形製剤」からのインスリン抵抗性改善薬の溶出挙動に近似していることを見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、次の通りである。
1)以下の部分(1)および部分(2)を含む固形製剤。
(1)インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒を含む部分。
(2)活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分。
2)インスリン抵抗性改善薬がピオグリタゾンまたはその塩である前記1)記載の固形製剤。
3)活性成分がインスリン分泌促進薬である前記1)記載の固形製剤。
4)インスリン分泌促進薬がスルホニルウレア剤である前記3)記載の固形製剤。
5)スルホニルウレア剤がグリメピリドである前記4)記載の固形製剤。
6)錠剤である前記1)記載の固形製剤。
7)積層錠である前記6)記載の固形製剤。
8)部分(1)がインスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖で被覆した被覆粒を含む部分である前記1)記載の固形製剤。
9)部分(2)がインスリン分泌促進薬および界面活性剤を含む部分である前記1)記載の固形製剤。
10)界面活性剤がポリソルベート80である前記9)記載の固形製剤。
11)インスリン抵抗性改善薬を含有する粒に対する乳糖または糖アルコールの被覆量が、当該粒100重量部に対して、5〜50重量部である前記1)記載の固形製剤。
12)部分(1)と部分(2)とを積層状に打錠して得られる積層錠である前記1)記載の固形製剤。
13)最初に打錠する部分(1)あるいは部分(2)の打錠圧が、次いで打錠する部分(2)あるいは部分(1)の打錠圧の60%以下である前記12)記載の固形製剤。
14)「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒」が、インスリン抵抗性改善薬、賦形剤および崩壊剤を、結合剤および乳糖または糖アルコールの溶媒分散液で造粒して得られる造粒物である前記1)記載の固形製剤。
15)「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒」が、インスリン抵抗性改善薬、賦形剤および崩壊剤を、結合剤の溶媒分散液、および、結合剤および乳糖または糖アルコールの溶媒分散液で順次造粒して得られる造粒物である前記1)記載の固形製剤。
16)インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒。
【発明の効果】
【0006】
本発明の固形製剤は、糖尿病治療薬などとして有用であり、インスリン抵抗性改善薬と活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)とを独立して含有する2種類の固形製剤と近似する溶出挙動(好ましくは生体内での溶出挙動)を示す。
とりわけ、本発明の固形製剤は、「有効成分としてインスリン抵抗性改善薬のみを含有する固形製剤」からのインスリン抵抗性改善薬の溶出挙動に近似するインスリン抵抗性改善薬の溶出挙動(好ましくは生体内での溶出挙動)を示す。具体的には、本発明の固形製剤は、後述の試験例に示されるように、「有効成分としてインスリン抵抗性改善薬のみを含有する固形製剤」と同様に、インスリン抵抗性改善薬の溶出が速いという優れた性質を有する。さらに具体的には、本発明の固形製剤は、後述の試験例に示されるように、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(37℃、pH2.0)900mLを用いたパドル法(75rpm)により、インスリン抵抗性改善薬(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)の溶出性を評価した場合に、溶出試験開始15分後のインスリン抵抗性改善薬(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)の溶出率が80%以上であるという優れた性質を有する。
また、本発明の固形製剤は、保存安定性に優れ、製剤品質の経時的劣化(例、変色、溶出挙動の変化)が見られない。
さらに、本発明の固形製剤は、例えば打錠時の杵・臼へ付着が見られない等の優れた製造性を有するため、工業的規模での生産に適する。
さらに、本発明の固形製剤は、各製剤間(例えば複数の錠剤間)で、インスリン抵抗性改善薬および/または活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)の溶出挙動のばらつきが小さいという優れた特性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において用いられるインスリン抵抗性改善薬は、障害を受けているインスリン受容体機能を元に戻し、インスリンの抵抗性を改善する薬剤であればよい。インスリン抵抗性改善薬の具体例としては、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、レグリキサン(Reglixane)、ネトグリタゾン(Netoglitazone)、バラグリタゾン(Balaglitazone)、エダグリタゾン(Edaglitazone)、5-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]ベンズアミド(KRP-297)、リボグリタゾン(Rivoglitazone)、FK-614、WO99/58510に記載の化合物(例えば(E)-4-[4-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイミノ]-4-フェニル酪酸)、テサグリタザール(Tesaglitazar)、ラガグリタザール(Ragaglitazar)、ムラグリタザール(Muraglitazar)、メタグリダセン(Metaglidasen)、ナベグリタザール(Naveglitazar)、MX-6054、LY-510929、T-131、THR-0921などが挙げられる。
【0008】
ここで、インスリン抵抗性改善薬は、塩を形成していてもよく、このような塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属;カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ土類金属;アルミニウム、アンモニウムなどとの塩が挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
また、インスリン抵抗性改善薬は、無水物あるいは水和物のいずれであってもよい。
インスリン抵抗性改善薬は、好ましくはピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩)であり、さらに好ましくはピオグリタゾンまたはその塩であり、特に好ましくは塩酸ピオグリタゾンである。
本発明において、インスリン抵抗性改善薬は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
本発明の固形製剤におけるインスリン抵抗性改善薬の含量は、本発明の固形製剤100重量部に対して、例えば0.01〜98重量部、好ましくは1〜90重量部である。
とりわけ、インスリン抵抗性改善薬が塩酸ピオグリタゾンである場合、本発明の固形製剤における塩酸ピオグリタゾンの含量は、本発明の固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは2〜60重量部である。
【0009】
本発明において用いられる活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)としては、例えば糖尿病治療薬、糖尿病性合併症治療薬、高脂血症治療薬、降圧剤、抗肥満薬、利尿薬、抗血栓薬などが挙げられる。これらの活性成分は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、抗体であるか、あるいはワクチン等であってもよい。また、活性成分は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0010】
ここで、糖尿病治療薬としては、例えばインスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1))、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤[例、メトフォルミン、ブフォルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩)]、インスリン分泌促進薬[例、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール)、非スルホニルウレア系インスリン分泌促進薬(例、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物)]、GLP-1受容体アゴニスト[例、GLP-1、GLP-1MR剤、NN-2211、exendin-4、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2、CJC-1131]、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、ヴィルダグリプチン(Vildagliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin) 、NVP-DPP-278、PT-100、NVP-DPP-728、P32/98、P93/01、TS-021、シタグリプチン(Sitagliptin,MK-431)、T-6666)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤)、SGLUT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095)、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498)、アディポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬(例、WO01/25228、WO03/42204、WO98/44921、WO98/45285、WO99/22735に記載の化合物)、グルコキナーゼ活性化薬(例、Ro-28-1675)、GPR40アゴニスト、GIP(Glucose-dependent insulinotropic peptide)等が挙げられる。
【0011】
糖尿病性合併症治療薬としては、例えばアルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT-112、ラニレスタット(AS-3201))、神経栄養因子(例、NGF、NT−3、BDNF)、神経栄養因子産生・分泌促進剤[例、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例えば4-(4-クロロフェニル)-2-(2-メチル-1-イミダゾリル)-5-(3-(2-メチルフェノキシ)プロピル)オキサゾール)]、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate))、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO-226、ALT-711、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ-1(ASK-1)阻害薬が挙げられる。
【0012】
高脂血症治療薬としては、例えばHMG−CoA還元酵素阻害薬(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、リパンチル、セリバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩))、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シムフィブラート、テオフィブラートなど)、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224に記載の化合物、例えば1−[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ(Avasimibe)、エフルシマイブ(Eflucimibe))、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ−oryzanol))などが挙げられる。
【0013】
降圧剤としては、例えばアンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、ロサルタン、エプロサルタン、バルサンタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、オルメサルタン メドキソミル、1-[[2'-(2,5-ジヒドロ-5-オキソ-4H-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]-2-エトキシ-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、エホニジピン)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L-27152、AL0671、NIP-121)、クロニジン等が挙げられる。
【0014】
抗肥満薬としては、例えば中枢性抗肥満薬[例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849;SNAP-7941;WO01/82925およびWO01/87834に記載の化合物);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP-422935);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778);グレリン拮抗薬;11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498)]、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ATL-962)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL-15849)、摂食抑制薬(例、P-57)等が挙げられる。
【0015】
利尿薬としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0016】
抗血栓薬としては、例えばヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium))、ワルファリン(例、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban))、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase))、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidine hydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride)など)などが挙げられる。
【0017】
本発明において用いられる活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)は、好ましくはインスリン分泌促進薬(好ましくはスルホニルウレア剤、さらに好ましくはグリメピリド)およびHMG−CoA還元酵素阻害薬(好ましくはシンバスタチン)であり、さらに好ましくはインスリン分泌促進薬(好ましくはスルホニルウレア剤、さらに好ましくはグリメピリド)である。
本発明の固形製剤における活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)の含量は、該固形製剤100重量部に対して、例えば0.01〜100重量部、好ましくは0.03〜90重量部である。
とりわけ、活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)がインスリン分泌促進薬(好ましくはスルホニルウレア剤、さらに好ましくはグリメピリド)である場合、本発明の固形製剤におけるインスリン分泌促進薬の含量は、本発明の固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜60重量部である。
また、活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)がHMG−CoA還元酵素阻害薬(好ましくはシンバスタチン)である場合、本発明の固形製剤におけるHMG−CoA還元酵素阻害薬の含量は、本発明の固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.05〜60重量部である。
【0018】
本発明の固形製剤におけるインスリン抵抗性改善薬と活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)との最も好ましい組合せは、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)とインスリン分泌促進薬(好ましくはスルホニルウレア剤、さらに好ましくはグリメピリド)との組合せである。
【0019】
本発明において用いられる「乳糖または糖アルコール」(本明細書中、単に糖類と略記することがある)のうち、「糖アルコール」としては、例えばマンニトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールなどが挙げられる。なかでも、マンニトールが好ましい。
糖類は好ましくは乳糖である。
本発明の固形製剤における糖類の含量は、該固形製剤100重量部に対して、例えば5〜90重量部、好ましくは10〜85重量部である。
【0020】
本発明の固形製剤は、以下の部分(1)および部分(2)を含む。
(1)インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒を含む部分。
(2)活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分。
上記した部分(1)および部分(2)における部分(part)とは、独立した個体として存在し得る組成物を意味する。すなわち、部分(1)および部分(2)は、本発明の固形製剤の構成要素であるが、互いに独立した個体として存在し得る2種の組成物を意味する。
【0021】
本発明の固形製剤(本発明の固形製剤を構成する「粒」、「被覆粒」および「部分」を含む)は、製剤技術分野において慣用の添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、矯味剤、甘味剤、香料、流動化剤などが挙げられる。これら添加剤は、製剤技術分野において慣用の量が用いられる。また、これら添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;乳糖、果糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等の糖または糖アルコール類:無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が用いられる。該崩壊剤の使用量は、本発明の固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、アラビアゴム末などが挙げられる。該結合剤の使用量は、本発明の固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜40重量部である。結合剤は、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースである。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば食用黄色5号(サンセットイエロー、米国の食用黄色6号と同一)、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などが挙げられる。
安定化剤としては、例えばアスコルビン酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類;アルカリ土類金属塩(例、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム)、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
矯味剤としては、例えばアスコルビン酸、(無水)クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
甘味剤としては、例えばアスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウムなどが挙げられる。
香料としては、例えばメントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。ここで、軽質無水ケイ酸は、含水二酸化ケイ素(SiO2・nH2O)(nは整数を示す)を主成分とするものであればよく、その具体例として、例えばサイリシア320(商品名、富士シリシア化学(株))、アエロジル200(商品名、日本アエロジル(株))等が挙げられる。
【0022】
本発明の固形製剤(本発明の固形製剤を構成する「粒」、「被覆粒」および「部分」を含む)は、製剤技術分野において慣用の方法を用いて製造することができる。
このような方法としては、例えば混合、造粒、カプセル充填、圧縮成形、コーティングなどの操作、あるいはこれら操作の適宜の組み合わせが挙げられる。
ここで、混合は、例えばV型混合機、タンブラー混合機などの混合機を用いて行われる。
造粒は、湿式造粒法、乾式造粒法あるいは加熱造粒法のいずれの方法によっても行うことができ、具体的には、高速攪拌造粒機、流動造粒乾燥機、押し出し造粒機、ローラーコンパクターなどを用いて行われる。また、造粒の後、必要により乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。
圧縮成形は、例えば単発錠剤機、ロータリー式打錠機などを用いて、通常1〜35kN/cm2(好ましくは5〜35kN/cm2)の圧力で打錠することにより行われる。
コーティングは、例えばフィルムコーティング装置を用いて行われる。
【0023】
本発明の固形製剤の剤形としては、例えば錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、トローチ剤等の経口剤;外用剤(例、経皮製剤,軟膏剤)、坐剤(例、直腸坐剤,膣坐剤)、ペレット等の非経口剤が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセル)であってもよい。本発明の固形製剤は、好ましくは錠剤(好ましくは積層錠)である。
また、本発明の固形製剤の形状は、丸形、キャプレット形、オブロング形等のいずれであってもよい。
【0024】
本明細書中、「粒」とは、粉状、塊状、溶液あるいは溶融液状などの原料を、湿式造粒法、乾式造粒法あるいは加熱造粒法により造粒することによって得られるほぼ均一な形状と大きさを持つ粒を意味する。該「粒」としては、例えば散剤、細粒および顆粒が挙げられ、これらは、好ましくは日本薬局方第十四改正に規定された粒度を有する。
すなわち、製剤の粒度試験において、散剤の粒度は、好ましくは「18号(850μm)ふるいを全量通過し、30号(500μm)ふるいに残留するものが全量の5%以下」であり、細粒の粒度は、好ましくは前記散剤の粒度のうち、「200号(75μm)ふるいを通過するものが全量の10%以下」であり、顆粒の粒度は、好ましくは「10号(1700μm)ふるいを全量通過し、12号(1400μm)ふるいに残留するものが全量の5%以下であり、また、42号(355μm)ふるいを通過するものが全量の15%以下」である。
本明細書中、「粒」の平均粒子径は、通常、44〜2000μm、好ましくは75〜1000μmである。ここで、平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置(例、SYNPATEC HELOS−RODOS粒度分布測定装置)によって測定される値を示す。
本明細書中の「粒」は、本発明の固形製剤を得るための製剤化の過程(例、圧縮成形の工程)で、その形状や大きさが変化していてもよい。
【0025】
本発明の固形製剤に含まれる「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒」(本明細書中、「本発明の粒」と略記することがある)は、インスリン抵抗性改善薬を、必要に応じて添加剤と共に、造粒することによって製造することができる。また、造粒の後、必要により乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。
上記添加剤は、好ましくは賦形剤(例、乳糖)、崩壊剤(例、クロスカルメロースナトリウム)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース)などである。
本発明の粒におけるインスリン抵抗性改善薬の含量は、本発明の粒100重量部に対して、例えば0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜90重量部である。
とりわけ、インスリン抵抗性改善薬が塩酸ピオグリタゾンである場合、本発明の粒における塩酸ピオグリタゾンの含量は、本発明の粒100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、さらに好ましくは1〜90重量部である。
本発明の粒は、好ましくはインスリン抵抗性改善薬(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)、賦形剤(好ましくは乳糖)および崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)を、結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液で造粒して得られる造粒物である。該造粒物において、崩壊剤を省略してもよい。
なお、上記した分散液は、溶液あるいは懸濁液のいずれであってもよく、本明細書中の「分散液」は、溶液および懸濁液のいずれをも含む。
【0026】
本発明の固形製剤に含まれる「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒」(本明細書中、「本発明の被覆粒」と略記することがある)は、本発明の粒を製剤技術分野において慣用の方法にしたがって、糖類で被覆することによって製造することができる。
本発明の被覆粒は、本発明の粒が糖類で完全に(本発明の粒の全表面積の100%)被覆された被覆粒だけでなく、本発明の粒が糖類で部分的に(例えば、本発明の粒の全表面積の30%以上、好ましくは50%以上)被覆された被覆粒をも含む。
「本発明の被覆粒」には、「インスリン抵抗性改善薬を、必要に応じて添加剤と共に、糖類および結合剤の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液で造粒して得られる造粒物」は含まれるが、「インスリン抵抗性改善薬および糖類を、必要に応じて添加剤と共に、結合剤の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液)分散液で造粒して得られる造粒物」は含まれない。
本発明の被覆粒において、本発明の粒に対する糖類の被覆量は、本発明の粒100重量部に対して、例えば5〜70重量部、好ましくは5〜50重量部である。
【0027】
本発明の被覆粒は、好ましくは
1)インスリン抵抗性改善薬(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)、賦形剤(好ましくは乳糖)および崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)を、糖類と結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)との溶媒(好ましくは水)分散液で造粒して得られる造粒物;
2)インスリン抵抗性改善薬(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)、賦形剤(好ましくは乳糖)および崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)を、結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(好ましくは水)分散液、および結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)と糖類との溶媒(好ましくは水)分散液で順次造粒して得られる造粒物;
3)インスリン抵抗性改善薬(好ましくは塩酸ピオグリタゾン)、賦形剤(好ましくは乳糖)および崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)を、結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(好ましくは水)分散液で造粒後、得られる造粒物を糖類で被覆して得られる被覆粒;などである。
本発明の固形製剤に含まれる「本発明の被覆粒」が上記2)の造粒物または上記3)の被覆粒である場合、本発明の固形製剤はインスリン抵抗性改善薬の優れた溶出安定性を有し、インスリン抵抗性改善薬の溶出性の経時変化(経時低下)が小さいという優れた効果を奏する。ここで、溶出性の経時変化とは、例えば本発明の固形製剤を、密栓された無色ガラス瓶中で、40℃で1ヶ月保存した後の溶出性の変化を意味する。
上記1)および上記2)の造粒物、および上記3)の被覆粒において、崩壊剤を省略してもよい。
【0028】
本発明の固形製剤に含まれる「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒を含む部分」としては、例えば本発明の被覆粒を、必要により添加剤とともに混合し、ついで必要により圧縮成形することによって得られる組成物が挙げられる。
該添加剤は、好ましくは崩壊剤(例、クロスカルメロースナトリウム)、滑沢剤(例、ステアリン酸マグネシウム)などである。
「本発明の被覆粒を含む部分」における本発明の被覆粒の含量は、該部分100重量部に対して、例えば1〜100重量部、好ましくは5〜90重量部である。
「本発明の被覆粒を含む部分」は、好ましくは「本発明の被覆粒」、崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)および滑沢剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)を含む組成物である。
【0029】
本発明の固形製剤に含まれる「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」としては、例えば活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を、必要により添加剤とともに混合し、ついで必要により圧縮成形することによって得られる組成物が挙げられる。
該添加剤は、好ましくは賦形剤(例、乳糖、結晶セルロース)、崩壊剤(例、クロスカルメロースナトリウム)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース)、滑沢剤(例、ステアリン酸マグネシウム)、界面活性剤(例、ポリソルベート80)、安定化剤(例、ブチルヒドロキシアニソール)、矯味剤(例、無水クエン酸)、着色剤(例、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄)などである。
「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」における活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)の含量は、該部分100重量部に対して、例えば0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜90重量部である。
とりわけ、活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)がインスリン分泌促進薬(好ましくはスルホニルウレア剤、さらに好ましくはグリメピリド)である場合、「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」におけるインスリン分泌促進薬の含量は、該部分100重量部に対して、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜60重量部である。
また、活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)がHMG−CoA還元酵素阻害薬(好ましくはシンバスタチン)である場合、「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」におけるHMG−CoA還元酵素阻害薬の含量は、該部分100重量部に対して、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜60重量部である。
【0030】
「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」は、好ましくは活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)および添加剤を含む組成物である。該添加剤は、好ましくは賦形剤(例、乳糖、結晶セルロース)、崩壊剤(例、クロスカルメロースナトリウム)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース)、滑沢剤(例、ステアリン酸マグネシウム)、界面活性剤(例、ポリソルベート80)、安定化剤(例、ブチルヒドロキシアニソール)、矯味剤(例、無水クエン酸)、着色剤(例、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄)などである。
「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」の好適な具体例は、「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含有する粒」、すなわち「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)および添加剤(好ましくは賦形剤、崩壊剤、結合剤、界面活性剤、安定化剤、矯味剤、着色剤)を造粒して得られる造粒物」と添加剤(好ましくは賦形剤、崩壊剤、滑沢剤)とを含む組成物である。
「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」の別の好適な具体例は、「インスリン分泌促進薬および界面活性剤を含む部分」である。
ここで、界面活性剤は、好ましくはポリソルベート80である。該「インスリン分泌促進薬および界面活性剤を含む部分」における界面活性剤(好ましくはポリソルベート80)の含量は、例えば「インスリン分泌促進薬および界面活性剤を含む部分」100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。
該「インスリン分泌促進薬および界面活性剤を含む部分」は、さらに、賦形剤(例、乳糖、結晶セルロース)、崩壊剤(例、クロスカルメロースナトリウム)、結合剤(例、ヒドロキシプロピルセルロース)、滑沢剤(例、ステアリン酸マグネシウム)、着色剤(例、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄)などを含んでいてもよい。
「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」は、特に好ましくは、「賦形剤(好ましくは乳糖、結晶セルロース)を、インスリン分泌促進薬(好ましくはスルホニルウレア剤、さらに好ましくはグリメピリド)、界面活性剤(好ましくはポリソルベート80)、着色剤(好ましくは三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄)および結合剤(好ましくはヒドロキシプロピルセルロース)の溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコール、およびこれらの適宜の割合での混合液;好ましくは水)分散液で造粒して得られる造粒物」、賦形剤(好ましくは結晶セルロース)、崩壊剤(好ましくはクロスカルメロースナトリウム)および滑沢剤(好ましくはステアリン酸マグネシウム)を含む組成物である。
前記「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含有する粒」における活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)の含量は、該粒100重量部に対して、例えば0.01〜100重量部、好ましくは0.03〜90重量部である。
とりわけ、活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)がインスリン分泌促進薬(好ましくはスルホニルウレア剤、さらに好ましくはグリメピリド)である場合、「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含有する粒」におけるインスリン分泌促進薬の含量は、該粒100重量部に対して、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜60重量部である。
また、活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)がHMG−CoA還元酵素阻害薬(好ましくはシンバスタチン)である場合、「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含有する粒」におけるHMG−CoA還元酵素阻害薬の含量は、該粒100重量部に対して、好ましくは0.01〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜60重量部である。
【0031】
本発明の固形製剤は、上記のようにして得た「本発明の被覆粒を含む部分」と「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」とを、必要により添加剤と共に、製剤技術分野において慣用の方法にしたがって、製剤化することによって製造することができる。
【0032】
本発明の固形製剤は、好ましくは、「本発明の被覆粒を含む部分」と「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」とを層状に積み重ねて圧縮成形(好ましくは打錠)することによって得られる成形品(例、有核錠、積層錠。好ましくは積層錠)である。該成形品の製造の際に、各部分(part)の直接接触を回避することを目的として、不活性な添加剤(例、賦形剤)を用いて中間層を設けてもよい。
本発明の固形製剤は、さらに好ましくは、「本発明の被覆粒を含む部分」と「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」とを積層状に打錠して得られる積層錠である。該積層錠の製造の際に、目的とする積層錠のキャッピングやラミネーションを防止するために、最初に打錠する部分の打錠圧を、次いで打錠する部分の打錠圧よりも小さくすることが好ましい。具体的には、最初に打錠する部分(好ましくは「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」)の打錠圧を、次いで打錠する部分(好ましくは「本発明の被覆粒を含む部分」)の打錠圧の60%以下(好ましくは30%以下)とすることが好ましい。
また、前記成形品をカプセル(例、ゼラチンカプセル)に充填することによって得られるカプセル剤、前記成形品をコーティング基剤でコーティングした製剤等も本発明の固形製剤に含まれる。
ここで、コーティング基剤としては、例えば糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE〔オイドラギットE(商品名)〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品名)〕、メタアクリル酸コポリマーS〔オイドラギットS(商品名)〕などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えばエチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS〔オイドラギットRS(商品名)〕、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、コーティング添加剤を用いてもよい。
該コーティング添加剤としては、例えば酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などの遮光剤および/または着色剤;ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸などが挙げられる。
上記したコーティング基剤の使用量は、コーティング製剤100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜10重量部である。
本発明の固形製剤には、識別性のための刻印あるいは文字を印刷してあってもよく、分割用の割線を付してあってもよい。また、本発明の固形製剤が積層錠である場合、識別性のために、積層錠を構成する各層を互いに異なる色で着色するか、または積層錠を構成する一部の層のみを着色してもよい。
【0033】
さらに、「本発明の被覆粒を含む部分」と「活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分」とをカプセル(例、ゼラチンカプセル)に充填することによって得られるカプセル剤も本発明の固形製剤に含まれる。
【0034】
本発明の固形製剤は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト)に対して、経口的あるいは非経口的に安全に投与することができる。
【0035】
本発明の固形製剤は、例えば糖尿病(例、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病)、高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症)、耐糖能不全[IGT(Impaired Glucose Tolerance)]、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害等]、肥満症、骨粗鬆症、悪液質(例、癌性悪液質、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液疾患性悪液質、内分泌疾患性悪液質、感染症性悪液質または後天性免疫不全症候群による悪液質)、脂肪肝、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、腎臓疾患(例、糖尿病性ネフロパシー、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、末期腎臓疾患)、筋ジストロフィー、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害(例、脳梗塞、脳卒中)、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、代謝不全症候群(Dysmetabolic syndrome)、高インスリン血症、高インスリン血症における知覚障害、腫瘍(例、白血病、乳癌、前立腺癌、皮膚癌)、過敏性腸症候群、急性または慢性下痢、炎症性疾患[例、アルツハイマー病、慢性関節リウマチ、変形性脊椎炎、変形性関節炎、腰痛、痛風、手術外傷後の炎症、腫脹の緩解、神経痛、咽喉頭炎、膀胱炎、肝炎(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、肺炎、膵炎、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎]、内臓肥満症候群、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症)などの予防・治療剤として有用である。
本発明の固形製剤は、上記した各種疾患の2次予防(例、心筋梗塞などの心血管イベントの2次予防)および進展抑制(例、耐糖能不全から糖尿病への進展抑制、糖尿病患者における動脈硬化進展抑制)にも有用である。
【0036】
本発明の固形製剤の投与量は、該固形製剤に含まれるインスリン抵抗性改善薬および活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)としての有効量であればよい。
ここで、インスリン抵抗性改善薬の有効量は、例えば成人(体重60kg)1人あたり、通常0.01〜500mg/日、好ましくは0.1〜100mg/日である。
とりわけ、インスリン抵抗性改善薬が塩酸ピオグリタゾンである場合、塩酸ピオグリタゾンの有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、ピオグリタゾンとして、通常7.5〜60mg/日、好ましくは15〜60mg/日である。
また、インスリン抵抗性改善薬がマレイン酸ロシグリタゾンである場合、マレイン酸ロシグリタゾンの有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、通常1〜12mg/日、好ましくは2〜8mg/日である。
【0037】
活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)の有効量は、例えば成人(体重60kg)1人あたり、通常0.01〜10000mg/日、好ましくは0.1〜5000mg/日である。
活性成分がインスリン分泌促進薬である場合、インスリン分泌促進薬の有効量は、例えば成人(体重60kg)1人あたり、通常0.01〜10000mg/日、好ましくは0.1〜5000mg/日である。
とりわけ、インスリン分泌促進薬がスルホニルウレア剤(好ましくはグリメピリド)である場合、スルホニルウレア剤(好ましくはグリメピリド)の有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、通常0.1〜100mg/日、好ましくは1〜10mg/日である。
活性成分がHMG−CoA還元酵素阻害薬である場合、HMG−CoA還元酵素阻害薬の有効量は、例えば成人(体重60kg)1人あたり、通常0.01〜500mg/日、好ましくは0.1〜100mg/日である。
とりわけ、HMG−CoA還元酵素阻害薬がアトルバスタチンカルシウムである場合、アトルバスタチンカルシウムの有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、通常1〜100mg/日、好ましくは5〜80mg/日である。
HMG−CoA還元酵素阻害薬がプラバスタチンナトリウムである場合、プラバスタチンナトリウムの有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、通常1〜100mg/日、好ましくは5〜50mg/日である。
HMG−CoA還元酵素阻害薬がシンバスタチンである場合、シンバスタチンの有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、通常1〜160mg/日、好ましくは5〜80mg/日である。
【0038】
本発明の固形製剤の前記哺乳動物への1日あたりの投与回数は、好ましくは1日1ないし2回、さらに好ましくは1日1回である。とりわけ、本発明の固形製剤は、哺乳動物に対し、朝食前に1回投与されることが好ましい。
【0039】
本発明の固形製剤の特に好ましい具体例としては、
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン16.53mg(ピオグリタゾンとして15mg)およびグリメピリド1mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン16.53mg(ピオグリタゾンとして15mg)およびグリメピリド3mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン16.53mg(ピオグリタゾンとして15mg)およびグリメピリド4mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン33.06mg(ピオグリタゾンとして30mg)およびグリメピリド1mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン33.06mg(ピオグリタゾンとして30mg)およびグリメピリド2mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン33.06mg(ピオグリタゾンとして30mg)およびグリメピリド3mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン33.06mg(ピオグリタゾンとして30mg)およびグリメピリド4mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」;
「1錠あたり塩酸ピオグリタゾン49.59mg(ピオグリタゾンとして45mg)およびグリメピリド4mgを含有する錠剤(好ましくは積層錠)」が挙げられる。
【0040】
本発明の固形製剤は、糖尿病治療薬、糖尿病性合併症治療薬、高脂血症治療薬、降圧剤、抗肥満薬、利尿薬、抗血栓薬などから選ばれる1種以上の薬剤(以下、併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いてもよい。これら併用薬剤としては、前記活性成分として例示したものが用いられる。
本発明の固形製剤および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明の固形製剤および併用薬剤を、これらを含む単一の製剤として投与対象に投与してもよい。
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の固形製剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の固形製剤1重量部に対し、併用薬剤を0.01ないし100重量部用いればよい。
このように、併用薬剤を用いることにより、1)本発明の固形製剤または併用薬剤の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)本発明の固形製剤または併用薬剤の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)本発明の固形製剤または併用薬剤の二次的な作用の低減効果などの優れた効果が得られる。
【0041】
本発明は、さらに「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒」を提供する。該被覆粒は、例えば本発明の固形製剤の原料として有用である。
【0042】
以下に実施例、比較例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、製剤添加剤(例、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、ポリソルベート80)としては、日本薬局方第14改正あるいは医薬品添加物規格2003適合品を用いた。
【実施例】
【0043】
実施例1
塩酸ピオグリタゾン(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(13.2g)および乳糖(184.9g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(6.81g)の水溶液136.2gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(7.59g)の水溶液148.6gに乳糖(36g)を分散した懸濁液をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)することにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末の一部(23.18g)に、クロスカルメロースナトリウム(0.728g)およびステアリン酸マグネシウム(0.096g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
一方、ヒドロキシプロピルセルロース(2250g)の水溶液45000gにグリメピリド(2004g)を分散、懸濁後、20(w/w)%ポリソルベート80水溶液6750gを加えて混合した。得られた混合液の一部(48380g)を乳糖(46530g)と結晶セルロース(20250g)の混合物にスプレーすることによって流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)した。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られる整粒末の一部(63840g)に、クロスカルメロースナトリウム(4320g)、結晶セルロース(3600g)およびステアリン酸マグネシウム(240g)を加えて混合し、グリメピリド含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、およびグリメピリド含有混合末(180mg)を、オートグラフ(島津製作所、機種:AG-50kN)を用いて、10kN/cm2(9.5mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン45mg/グリメピリド4mgを含有する積層錠を得た。
【0044】
実施例2
塩酸ピオグリタゾン(20430g)、クロスカルメロースナトリウム(2706g)および乳糖(30420g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(1396g)の水溶液27920gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(1973g)の水溶液75293gに乳糖(18720g)を分散した懸濁液の一部(74120g)をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)することにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)およびステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、および実施例1で得たグリメピリド含有混合末(180mg)を、ロータリー式打錠機(菊水製作所、機種:AQUA 08242L2JI)を用いて、第1層目を1.1kN/punch、第2層目を9.1kN/punch(9.5mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン45mg/グリメピリド4mgを含有する積層錠を得た。
実施例3
塩酸ピオグリタゾン(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(13.2g)および乳糖(112.9g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(6.81g)の水溶液136.2gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(7.59g)の水溶液430.6gに乳糖(108g)を分散した懸濁液をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)することにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末の一部(23.18g)に、クロスカルメロースナトリウム(0.728g)およびステアリン酸マグネシウム(0.096g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、および実施例1で得たグリメピリド含有混合末(180mg)を、オートグラフ(島津製作所、機種:AG-50kN)を用いて、10kN/cm2(9.5mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン45mg/グリメピリド4mgを含有する積層錠を得た。
【0045】
実施例4
塩酸ピオグリタゾン(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(13.2g)および乳糖(148.9g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(14.4g)の水溶液425.8gに乳糖(72.4g)を分散した懸濁液をスプレーすることにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末の一部(326.8g)に、クロスカルメロースナトリウム(10.3g)およびステアリン酸マグネシウム(1.35g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、および実施例1で得たグリメピリド含有混合末(180mg)を、オートグラフ(島津製作所、機種:AG-50kN)を用いて、10kN/cm2(9.5mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン45mg/グリメピリド4mgを含有する積層錠を得た。
実施例5
塩酸ピオグリタゾン(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(13.2g)および乳糖(148.9g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(6.81g)の水溶液136.2gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(7.59g)の水溶液289.6gにマンニトール(72g)を分散した懸濁液をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)することにより、マンニトールで被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末の一部(23.18g)に、クロスカルメロースナトリウム(0.728g)およびステアリン酸マグネシウム(0.096g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、および実施例1で得たグリメピリド含有混合末(180mg)を、オートグラフ(島津製作所、商品名:AG-50kN)を用いて、10kN/cm2(9.5mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン45mg/グリメピリド4mgを含有する積層錠を得た。
【0046】
実施例6
実施例2で得た塩酸ピオグリタゾン含有混合末(120mg)、および実施例1で得たグリメピリド含有混合末(90mg)を、ロータリー式打錠機(菊水製作所、機種:AQUA 08242L2JI)を用いて、第1層目を0.6kN/punch、第2層目を6.9kN/punch(8.0mmφR面)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン30mg/グリメピリド2mgを含有する積層錠を得た。
実施例7
塩酸ピオグリタゾン(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(18g)および乳糖(231.3g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)の水溶液180gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(10.2g)の水溶液388.2gに乳糖(96g)を分散した懸濁液をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)することにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末2バッチ分を整粒した後、得られた整粒末の一部(896.4g)に、クロスカルメロースナトリウム(27.8g)およびステアリン酸マグネシウム(3.71g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
一方、ヒドロキシプロピルセルロース(13.5g)の水溶液270gにグリメピリド(6g)および黄色三二酸化鉄(0.192g)を分散、懸濁後、20(w/w)%ポリソルベート80水溶液36gを加えて混合した。得られた混合液を乳糖(278.6g)と結晶セルロース(120g)の混合物にスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)した。得られる造粒末の一部(404.9g)に、クロスカルメロースナトリウム(27.41g)、結晶セルロース(22.84g)およびステアリン酸マグネシウム(1.6g)を加えて混合し、グリメピリド含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(80mg)、およびグリメピリド含有混合末(80mg)を、ロータリー式打錠機(菊水製作所、商品名:AQUARIUS 0512LD2AX)を用いて、第1層目を1.1kN/punch、第2層目を5.4kN/punch(7.0mmφ平面)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン15mg/グリメピリド1mgを含有する積層錠を得た。
【0047】
実施例8
塩酸ピオグリタゾン(1342g)、クロスカルメロースナトリウム(178.2g)および乳糖(2006g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(91.8g)の水溶液1836gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:FD-5S)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(102.6g)の水溶液3909.6gに乳糖(977.4g)を分散した懸濁液をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:FD-5S)することにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られる造粒末の一部を整粒した後、得られた整粒末の一部(3480g)に、クロスカルメロースナトリウム(109.2g)およびステアリン酸マグネシウム(10.8g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
一方、ヒドロキシプロピルセルロース(156g)、ブチルヒドロキシアニソール(1.04g)およびエチルアルコール(208g)を水(2600g)に溶解した水溶液を、シンバスタチン(522.1g)、乳糖(3078g)、結晶セルロース(1040g)および無水クエン酸(65g)の混合物にスプレーすることによって流動層造粒(パウレック社、機種:FD-5S)した。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られた整粒末の一部(4226g)に、クロスカルメロースナトリウム(226g)およびステアリン酸マグネシウム(67.8g)を加えて混合し、シンバスタチン含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、およびシンバスタチン含有混合末(400mg)を、ロータリー式打錠機(菊水製作所、機種:AQUA 08242L2JI)を用いて、17.7kN/punch(13.5×8.5mm、オブロング形状)の打錠圧で積層状に成型することにより積層錠を得た。
実施例9
塩酸ピオグリタゾン(20390g)、クロスカルメロースナトリウム(2706g)および乳糖(30460g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(1396g)の水溶液27920gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(1973g)の水溶液75293gに乳糖(18720g)を分散した懸濁液の一部(74120g)をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)することにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られた整粒末の一部(66050g)に、クロスカルメロースナトリウム(2075g)およびステアリン酸マグネシウム(273.6g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
一方、ヒドロキシプロピルセルロース(2250g)の水溶液45000gにグリメピリド(1982g)を分散、懸濁後、20(w/w)%ポリソルベート80水溶液6750gを加えて混合した。得られた混合液の一部(48380g)を乳糖(46550g)と結晶セルロース(20250g)の混合物にスプレーすることによって流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)した。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られる整粒末の一部(63840g)に、クロスカルメロースナトリウム(4320g)、結晶セルロース(3600g)およびステアリン酸マグネシウム(240g)を加えて混合し、グリメピリド含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(120mg)、およびグリメピリド含有混合末(180mg)を、ロータリー式打錠機(菊水製作所、機種:AQUA 08242L2JI)を用いて、第1層目を 0.8kN/punch、第2層目を10.4kN/punch(9.0mmφR面)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン30mg/グリメピリド4mgを含有する積層錠を得た。
【0048】
実施例10
塩酸ピオグリタゾン(20330g)、クロスカルメロースナトリウム(2706g)および乳糖(30520g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(1396g)の水溶液27920gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(1973g)の水溶液75293gに乳糖(18720g)を分散した懸濁液の一部(74120g)をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:WSG-60)することにより、乳糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られた整粒末の一部(11588g)に、クロスカルメロースナトリウム(364g)およびステアリン酸マグネシウム(48g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
一方、ヒドロキシプロピルセルロース(13.5g)の水溶液270gにグリメピリド(18g)、三二酸化鉄(0.024g)および黄色三二酸化鉄(0.072g)を分散、懸濁後、20(w/w)%ポリソルベート80水溶液36gを加えて混合した。得られた混合液を乳糖(266.7g)と結晶セルロース(120g)の混合物にスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)した。得られる造粒末の一部(383.64g)に、クロスカルメロースナトリウム(25.97g)、結晶セルロース(21.64g)およびステアリン酸マグネシウム(1.51g)を加えて混合し、グリメピリド含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(120mg)、およびグリメピリド含有混合末(80mg)を、ロータリー式打錠機(菊水製作所、商品名:AQUARIUS 0512LD2AX)を用いて、第1層目を 1.4kN/punch、第2層目を6.4kN/punch(8.0mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン30mg/グリメピリド3mgを含有する積層錠を得た。
実施例11
実施例7で得た塩酸ピオグリタゾン含有混合末(80mg)、および実施例10で得たグリメピリド含有混合末(133mg)を、オートグラフ(島津製作所、機種:AG-50kN)を用いて、10kN/cm2(8.0mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン15mg/グリメピリド4mgを含有する積層錠を得た。
【0049】
比較例1
塩酸ピオグリタゾン(29.75kg)、カルメロースカルシウム(3.24kg)および乳糖(68.71kg)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(2.7kg)の水溶液45kgをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:STRE-M)した後、得られる造粒末の3バッチ分(313.2kg)に、カルメロースカルシウム(9.72kg)およびステアリン酸マグネシウム(1.08kg)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、および実施例1で得たグリメピリド含有混合末(180mg)を、オートグラフ(島津製作所、機種:AG-50kN)を用いて、10kN/cm2(9.5mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより積層錠を得た。
比較例2
塩酸ピオグリタゾン(99.2g)、クロスカルメロースナトリウム(13.2g)および乳糖(148.9g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(6.81g)の水溶液136.2gをスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)した後、ヒドロキシプロピルセルロース(7.59g)の水溶液151.8gにショ糖(72g)を溶解した水溶液をスプレーして流動層造粒(パウレック社、機種:LAB-1)することにより、ショ糖で被覆された、塩酸ピオグリタゾン含有造粒末を得た。得られる造粒末の一部(23.18g)に、クロスカルメロースナトリウム(0.728g)およびステアリン酸マグネシウム(0.096g)を加えて混合し、塩酸ピオグリタゾン含有混合末を得た。
上記した塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)、実施例1で得たグリメピリド含有混合末(180mg)を、オートグラフ(島津製作所、機種:AG-50kN)を用いて、10kN/cm2(9.5mmφ平面隅角)の打錠圧で積層状に成型することにより積層錠を得た。
比較例3
比較例1で得た塩酸ピオグリタゾン含有混合末(180mg)を、ロータリー式打錠機を用いて、成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン45mgを含有する錠剤を得た。
比較例4
比較例1で得た塩酸ピオグリタゾン含有混合末(120mg)を、ロータリー式打錠機を用いて、成型することにより、1錠あたりピオグリタゾン30mgを含有する錠剤を得た。
【0050】
試験例1
実施例1〜7、9及び10、及び比較例1、3及び4で得られた各錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(37℃、pH2.0)900mLを用いたパドル法(75rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表1に示す。表中の値は、錠剤6個の溶出率の平均値を示す。
【表1】

表1に示したように、本発明の固形製剤は、インスリン抵抗性改善薬(塩酸ピオグリタゾン)の溶出性に優れる。また、本発明の固形製剤は、「有効成分としてインスリン抵抗性改善薬のみを含有する固形製剤」(例、比較例3及び4で得られた錠剤)からのインスリン抵抗性改善薬の溶出挙動に近似するインスリン抵抗性改善薬の溶出挙動を示す。
【0051】
試験例2
実施例2で得られた錠剤について、密栓された無色ガラス瓶中で、40℃で1ヶ月保存後、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(37℃、pH2.0)900mLを用いたパドル法(75rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表2に示す。表中の値は、錠剤6個の溶出率の平均値を示す。
【表2】

表2に示したように、本発明の固形製剤は、インスリン抵抗性改善薬(塩酸ピオグリタゾン)の溶出安定性に優れる。すなわち、本発明の固形製剤では、インスリン抵抗性改善薬(塩酸ピオグリタゾン)の溶出性の経時変化が見られない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の固形製剤は、糖尿病治療薬などとして有用であり、インスリン抵抗性改善薬の溶出性において優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の部分(1)および部分(2)を含む固形製剤。
(1)インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒を含む部分。
(2)活性成分(インスリン抵抗性改善薬を除く)を含む部分。
【請求項2】
インスリン抵抗性改善薬がピオグリタゾンまたはその塩である請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
活性成分がインスリン分泌促進薬である請求項1記載の固形製剤。
【請求項4】
インスリン分泌促進薬がスルホニルウレア剤である請求項3記載の固形製剤。
【請求項5】
スルホニルウレア剤がグリメピリドである請求項4記載の固形製剤。
【請求項6】
錠剤である請求項1記載の固形製剤。
【請求項7】
積層錠である請求項6記載の固形製剤。
【請求項8】
部分(1)がインスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖で被覆した被覆粒を含む部分である請求項1記載の固形製剤。
【請求項9】
部分(2)がインスリン分泌促進薬および界面活性剤を含む部分である請求項1記載の固形製剤。
【請求項10】
界面活性剤がポリソルベート80である請求項9記載の固形製剤。
【請求項11】
インスリン抵抗性改善薬を含有する粒に対する乳糖または糖アルコールの被覆量が、当該粒100重量部に対して、5〜50重量部である請求項1記載の固形製剤。
【請求項12】
部分(1)と部分(2)とを積層状に打錠して得られる積層錠である請求項1記載の固形製剤。
【請求項13】
最初に打錠する部分(1)あるいは部分(2)の打錠圧が、次いで打錠する部分(2)あるいは部分(1)の打錠圧の60%以下である請求項12記載の固形製剤。
【請求項14】
「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒」が、インスリン抵抗性改善薬、賦形剤および崩壊剤を、結合剤および乳糖または糖アルコールの溶媒分散液で造粒して得られる造粒物である請求項1記載の固形製剤。
【請求項15】
「インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒」が、インスリン抵抗性改善薬、賦形剤および崩壊剤を、結合剤の溶媒分散液、および、結合剤および乳糖または糖アルコールの溶媒分散液で順次造粒して得られる造粒物である請求項1記載の固形製剤。
【請求項16】
インスリン抵抗性改善薬を含有する粒を乳糖または糖アルコールで被覆した被覆粒。

【公表番号】特表2009−520681(P2009−520681A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528691(P2008−528691)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/JP2006/326169
【国際公開番号】WO2007/072992
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】