説明

固形製剤

【課題】口腔内における薬物の放出を十分に抑制し、および胃内移行後の速やかな薬物溶出を可能にした粒子状医薬組成物。
【解決手段】粒子状医薬組成物の中心部に水膨潤性物質を含む核粒子と、その周囲に薬物を含有する薬物層を形成し、さらにその周囲に胃溶性のポリマーを含有する層を有する粒子状医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内における薬物の放出を十分に抑制し、かつ胃内移行後に速やかに薬物を溶出する経口投与用粒子状医薬組成物、および該医薬組成物を含有する口腔内崩壊錠に関する。さらに詳しくは、粒子状医薬組成物の中心部に水膨潤性物質を含む核粒子と、その周囲に薬物を含有する薬物層を形成し、さらにその周囲に胃溶性のポリマーを含有する層を形成することにより、口腔内における薬物の放出を十分に抑制し、および胃内移行後の速やかな薬物溶出を可能にした粒子状医薬組成物および該組成物を含有する口腔内崩壊錠に関する。
さらに、本発明は口腔内における薬物の放出を十分に抑制し、かつ胃内移行後に速やかに薬物を溶出する経口投与用粒子状医薬組成物に好適な、非活性成分からなる薬物レイヤリング用核粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内崩壊錠は、高齢者や小児、あるいは嚥下の困難な患者にとっても服用しやすく、水なしでも容易に服用でき、且つ手軽に随時服用することが出来る等の利便性を有することから、近年開発の要望が高まってきている。口腔内崩壊錠は、口腔内で唾液により速やかに崩壊し薬物を含む微粒子となるが、薬物が不快な味を有する場合には、その不快な味をマスキングするために、甘味料の添加や、一定時間薬物の溶出を抑制するための、ポリマーを用いたコーティング処理が通常用いられている。
【0003】
一方、コーティング処理された薬物が十分な薬効を発現するためには、コーティングされた薬物含有組成物から薬物が放出され、十分な量の薬物が消化管内に吸収される必要がある。一般的には薬物は、消化管上部で吸収されることが多い。
【0004】
さらに、口腔内崩壊錠においては、先行して販売されている通常の錠剤の服用性を改善した剤形変更との位置付けで開発される場合が多く、この場合生物学的同等性の確保が医薬品承認申請上非常に重要であり、このためには口腔内から消化管に製剤が移行した際の速やかな薬物溶出も服用感の改善と同等に担保する必要がある。
【0005】
マスキングを目的として、薬物を含む微粒子をコーティングするために用いるポリマーとしては、胃溶性ポリマー(pH5以下で溶解する)、腸溶性ポリマー(pH5以上で溶解する)、水不溶性ポリマー(あらゆるpHで不溶)、水溶性ポリマー(あらゆるpHで溶解)が考えられる。
この中で、胃溶性ポリマーを用いた場合には、無酸または低酸者では不溶化する等、胃内のpHの変動により溶出が大きく変動することが知られており、また、他のポリマーを用いた場合にもマスキング効果と薬物の溶出性を両立させることは困難であり、この両者のバランスをはかりながら種々の検討が行われてきた。
特許文献1には、水不溶性高分子と胃溶性高分子、または腸溶性高分子の組み合わせにより薬物の苦味低減と溶出コントロールを達成した技術が開示されているが、pHにより溶出が大きく変動する現象が認められている。また、特許文献2には、薬物を含む中核に水溶性ポリマーで被覆した後、胃溶性ポリマーで被覆する方法が開示されているが、少なくとも2種類のポリマーで2層のコーティングが必要で煩雑であり、苦味のマスクと薬物の溶出性を制御することが困難である。
一方、膜を破裂させて薬物の速放化を図る目的で、核に不快な味の薬物および水膨潤性物質を少なくとも含有させ、核を、エチルセルロースおよび水溶性物質が少なくとも含まれる被覆膜層で被覆してなる速放性製剤が特許文献3に開示されているが、口腔内崩壊錠で要求されるような十分な苦味の抑制までには至っていない。
【0006】
口腔内崩壊錠に適する粒子としては、メチルセルロースとアクリル系ポリマーを含むフィルムコーティング(特許文献4)、pH非依存性の水不溶性高分子およびpH非依存性の水溶性物質からなる被膜で被覆した薬物含有微粒子(特許文献5)、コア部が活性物質および酸性化合物を含み、pH5以下では可溶性かつpH5超では浸透性であるポリマーを主材とする味マスキング用コーティングで被覆されている被覆粒子(特許文献6)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭57−58631号公報
【特許文献2】特表2000−514830号公報
【特許文献3】特開平3−130214号公報
【特許文献4】特開2001−192344号公報
【特許文献5】国際公開WO2005/039542公報
【特許文献6】特表2007−524575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、不快な味を有する薬物の口腔内での不快感を十分に抑制し、胃に到達後速やかに薬物を溶出する口腔内崩壊錠用の粒子状医薬組成物を提供することにある。不快感の中でも特に後に残るような苦味を有する薬物でも十分な苦味抑制効果が発揮され、また、低胃酸者においても良好な吸収が得られるような薬物放出プロファイルを示す粒子状医薬組成物を提供することにある。
後に残るような苦味を有する薬物を口腔内崩壊錠に適用するような場合、口腔内崩壊錠に適用する粒子状医薬組成物は、20秒以上60秒未満程度のマスキング時間では不十分で、120秒以上のマスキング時間が必要とされる。従って、唾液のpHに近いpH6.8の溶液における1分後の溶出率が1%を超えない程度に抑制されており、患者の胃内pHの変動の影響を受けない安定した薬物溶出を達成するために、pH6.8の溶液における15分後の溶出率が50%を超えるような薬物プロファイルを示す粒子状医薬組成物が望まれるが、このような特性を合わせもつ医薬組成物はこれまでなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水膨潤性物質を造粒あるいは整粒することにより得られる核粒子の周囲に、医薬化合物を含有する薬物層を形成し、さらに該薬物層の外側に胃溶性ポリマーを含有する被膜層を形成することで、薬物の不快な味を遮蔽し、且つ消化管内における速やかな薬物の放出可能な医薬組成物を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
【0011】
本発明は、水膨潤性物質を主として含む成分を造粒あるいは整粒することにより得られる核粒子の周囲に、医薬化合物を含有する薬物層を形成し、さらに該薬物層の外側に胃溶性ポリマーを含有する被膜層を形成してなる経口投与用粒子状医薬組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびアルファ化デンプンからなる群から選択される1または2以上の成分であることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
また、本発明は、前記水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスポビドンおよび/またはアルファ化デンプンであることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
また、本発明は、前記水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウムであることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明は、前記核粒子と薬物層の間に被覆層が形成されたことを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
また、本発明は、前記被覆層が糖アルコールを主成分とすることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。ここで前記糖アルコールとしては、マンニトール、特にD−マンニトールが好ましい。
【0014】
本発明は、前記胃溶性ポリマーが、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEであることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
また、本発明は、前記胃溶性ポリマーを含有する被膜層が、さらに軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、重質無水ケイ酸、無水ケイ酸水加物、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、酸化チタン、またはタルクである添加剤を1または2以上含有することを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
さらに本発明は、前記添加剤が軽質無水ケイ酸であることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
さらに本発明は、前記胃溶性ポリマーを含有する被膜層に、さらにステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を含有することを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
さらに本発明は、前記胃溶性ポリマーを含有する被膜層に、さらにポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを含有することを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
また、本発明は、被膜層を形成する前に、ヒプロメロースなどでスムージングを目的とした被膜を形成してもよい。
【0015】
本発明は、前記医薬化合物が不快な味を有する薬物であることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
また、本発明は、前記医薬化合物が不快な味を有する酸性薬物であることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
さらに本発明は、前記医薬化合物がレバミピドおよびその塩であることを特徴とする上記の粒子状医薬組成物を提供する。
【0016】
本発明は、前記粒子状医薬組成物を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠を提供する。
【0017】
本発明は、表面に活性成分が被覆されるためのレイヤリング用核粒子であって、水膨潤性物質を主として含む成分を造粒することにより得られる核粒子の表面に、被覆層が形成されたことを特徴とするレイヤリング用核粒子を提供する。
【0018】
また、本発明は、前記水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびアルファ化デンプンからなる群から選択される1または2以上の成分であることを特徴とする上記のレイヤリング用核粒子を提供する。
また、本発明は、前記水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウムであることを特徴とする上記のレイヤリング用核粒子を提供する。
【0019】
本発明は、前記被覆層が糖アルコールを主成分とすることを特徴とする上記のレイヤリング用核粒子を提供する。ここで前記糖アルコールとしては、マンニトール、特にD−マンニトールが好ましい。
【0020】
本発明は、表面に活性成分が被覆されるためのレイヤリング用核粒子の製造方法であって、
水膨潤性物質を主として含む成分を造粒することにより得られる核粒子を製造する核粒子製造工程と、
前記核粒子の表面に、被覆層を形成する被覆層形成工程とを有することを特徴とするレイヤリング用核粒子の製造方法を提供する。
【0021】
本発明で用いる「水膨潤性物質」とは水と接触したとき膨潤する物質である。具体例としては、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アルファ化デンプンなどが挙げられ、本発明においてはこれらの1または2以上の成分を用いてもよい。好ましくは、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスポビドンおよび/またはアルファ化デンプンであり、より好ましくは、カルボキシメチルスターチナトリウムである。
【0022】
本発明で用いる「核粒子」には、上記水膨潤性物質以外にも、非活性成分を含んでいてもよく、その非活性成分としては、結合剤として、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロース類、ポリビニルピロリドン、賦形剤として、乳糖、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロースなどが挙げられる。核粒子内における水膨潤性物質の質量割合は50重量部〜100重量部であり、好ましくは80重量部〜100重量部、さらに好ましくは95重量部〜100重量部である。
核粒子の大きさは、平均粒子径で30μm〜200μmであり、造粒することで得られる核粒子では、好ましくは75μm〜200μm、さらに好ましくは100μm〜200μm、整粒することで得られる核粒子では、好ましくは30μm〜150μm、さらに好ましくは50μm〜100μmである。
粒子径は、ふるい分け法やレーザー回折法など従来の手法によって測定する。
【0023】
本発明で用いる「造粒」とは、水膨潤性物質を主として含む成分を、水平に設置した回転皿を回転させ、更にエアーを吹き込むことにより転動流動させ、該成分にバインダー液を噴霧することにより顆粒を形成する工程である。造粒装置としては、本発明においては、前記成分を転動流動させることができるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複合型造粒コーティング装置(例えばフロイント産業(株)製「スパイラフロー」など)、遠心転動造粒コーティング装置(例えば、フロイント産業(株)製「グラニュレックス」など)、遠心流動型コーティング造粒装置(例えばフロイント産業(株)製「CFグラニュレーター」など)などが好適に挙げられる。
また「整粒」とは、比較的球形な形状を有する上記水膨潤性物質を分級処理方法によって粒度の揃った「核粒子」を調製する方法である。装置としては、前記成分を分級することができるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ふるい分け分級機(例えば(株)セイシン企業製、「連続スピンエアシーブ」など)、気流式分級機(例えば日清エンジニアリング(株)製、「ターボクラシファイア」など)などが好適に挙げられる。
【0024】
本発明で用いる「被覆層」とは、適宜前記核粒子の表面を球形に整えるために被覆された膜の層であり、非活性成分であれば特にその原料は制限されない。ここで用いられる被覆層の原料としては、マンニトールなどの糖アルコール類、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが挙げられるが、好ましくは糖アルコールを主成分とした原料で、さらに好ましくはマンニトール、特にD−マンニトールを主成分とした原料が最も好ましい。
被覆層は、転動流動コーティング造粒機などの装置を用いて上記「核粒子」にエタノールあるいはエタノール/水混合液に溶解させた「被覆層」成分をスプレーコーティングして形成される。
コーティング装置としては、本発明においては、前記核顆粒を転動流動させることができるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複合型造粒コーティング装置(例えばフロイント産業(株)製「スパイラフロー」など)、遠心転動造粒コーティング装置(例えば、フロイント産業(株)製「グラニュレックス」など)、遠心流動型コーティング造粒装置(例えばフロイント産業(株)製「CFグラニュレーター」など)などが好適に挙げられる。
【0025】
本発明で用いる「医薬化合物」とは、通常経口投与剤として用いる医薬化合物であればよく、不快な味を有する薬物において、その効果が発揮される。ここで、「不快な味」とは、服用時に不快感をもたらす味を意味し、具体的には苦味、渋味、えぐ味等の味、さらには収斂性等を意味する。具体的に適用される医薬化合物としては、レパミピド、アセトアミノフェン、テオフィリン、無水カフェイン、フマル酸クレマスチン、塩酸プロメタジン、メキタジン、塩酸ジフェンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸エフェドリン、デキストロメトルファン、塩酸ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸ブロムヘキシン、サリチルアミド、イブプロフェン、フェナセチン、ジクロフェナクナトリウム、クエン酸モサプリド、キニーネ、ジギタリス、塩化ベルベリン、塩酸メクロフェノキサート、塩酸エチレフリン、塩酸トリヘキシフェニジルなどが挙げられる。本発明の薬物層においては、医薬化合物以外にも、非活性成分を含んでいてもよく、その非活性成分としては、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロース類、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
医薬化合物を含有する薬物層は、転動流動コーティング造粒機などの装置を用いて上記「核粒子」、「被覆層で被覆された核粒子」あるいは後述の「レイヤリング用核粒子」にエタノールあるいはエタノール/水混合液に薬物と上記非活性成分とを溶解あるいは懸濁させた「薬物層」成分をスプレーコーティングして形成される。得られた「コーティング用核粒子」は必要に応じて篩処理してもよく、平均粒子径として75〜250μmの粒度の揃った核粒子を得ることが好ましい。
コーティング装置としては、本発明においては、前記核粒子を転動流動させることができるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複合型造粒コーティング装置(例えばフロイント産業(株)製「スパイラフロー」など)、遠心転動造粒コーティング装置(例えば、フロイント産業(株)製「グラニュレックス」など)、遠心流動型コーティング造粒装置(例えばフロイント産業(株)製「CFグラニュレーター」など)などが好適に挙げられる。
医薬化合物の配合量は、医薬化合物の種類、用途等により適宜選択されるが、治療上の有効量であれば特に制限されない。好ましくは被膜後の粒子状医薬組成物全体の10〜80重量%、さらに好ましくは10〜60重量%である。
【0026】
本発明で用いる「被膜層」とは、経口投与後口腔内ではほとんど破損せず、下層の医薬化合物の不快な味をマスキングし、消化管内において速やかに破損して下層の医薬化合物を放出することができる膜であり、通常胃溶性ポリマーであるアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを主成分とする原料が用いられる。
被膜層にはさらに軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、重質無水ケイ酸、無水ケイ酸水加物、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、酸化チタン、またはタルクである添加剤を1または2以上を含んでいてもよい。好ましくは軽質無水ケイ酸である。
被膜層には、さらにステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。
被膜層には、さらにポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを含んでいてもよく、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートは、通常胃溶性ポリマーを含有する被膜層の被膜と同時にまたは別にオーバーコーティングなどして被膜してもよい。
被膜層は、上記被膜層に含有される成分をエタノール、水、またはエタノール/水混合液に溶解あるいは懸濁させた被膜液を、転動流動コーティング造粒機などの装置を用いて上記「コーティング用核粒子」にスプレーコーティングして形成される。被膜液の溶媒としては、エタノール/水混合液が好ましい。
また、本発明の被膜層においては、上記で挙げた成分以外にも、界面活性剤、粘着防止剤、消泡剤、甘味料、着色料、香料など一般にコーティングに用いられている添加剤を配合してもよく、その添加剤としては特に限定されるものではない。
コーティング装置としては、本発明においては、前記「コーティング用核粒子」を転動流動させることができるものであれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複合型造粒コーティング装置(例えばフロイント産業(株)製「スパイラフロー」など)、遠心転動造粒コーティング装置(例えば、フロイント産業(株)製「グラニュレックス」など)、遠心流動型コーティング造粒装置(例えばフロイント産業(株)製「CFグラニュレーター」など)などが好適に挙げられる。
本発明における被膜層をコーティングする前に、薬物層表面のスムージングを目的として、水溶性被膜を形成してもよく、その水溶性被膜の成分としては、ヒプロメロースなどの水溶性セルロース類、マンニトールなどの糖アルコール類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、転動流動コーティング造粒機などの装置を用いて上記「コーティング用核粒子」に水あるいはエタノール/水混合液に上記水溶性被膜成分を溶解させた液をスプレーコーティングして形成される。
被膜後の粒子状医薬組成物の粒子径は、口腔内崩壊錠に含有して服用する場合も含め、服用後口腔内で砂のようなザラツキ感を与えない大きさであれば特に制限されないが、好ましくは、平均粒子径が250μm以下、さらに好ましくは75μm〜250μmである。
【0027】
本発明において、粒子状医薬組成物を含有する口腔内崩壊錠とは、本発明の粒子状医薬組成物を用い、さらに賦形剤あるいは他の成分とともに、通常の錠剤製造に用いられる回転式錠剤機などを用い、通常の打錠方法によって得られる。
【0028】
本発明で用いる「レイヤリング用核粒子」とは、本発明の水膨潤性物質を主として含む成分を造粒することにより得られる核粒子、特に被覆層で核粒子表面がコーティングされた上記核粒子を意図する。好ましい大きさは、平均粒子径が30〜250μm、好ましくは50μm〜200μm、さらに好ましくは100μm〜200μmである。
【発明の効果】
【0029】
本発明の経口投与用粒子状医薬組成物は、口腔内における薬物の放出を十分に抑制し、かつ胃内移行後に速やかに薬物を溶出することができるので、服用時の口腔内での不快な味を十分にマスキングし、且つ十分な量の薬物が消化管内で放出され、吸収される効果を有する。そして、該医薬組成物を含有する口腔内崩壊錠に適用することが可能であり、口腔内崩壊錠においても、上記の効果が十分に期待できる。
さらに、本発明の薬物レイヤリング用核粒子においては、上記経口投与用粒子状医薬組成物を形成するための原料基質としての特徴を有し、その産業上利用価値が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
実施例1
カルボキシメチルスターチナトリウム(商品名:プリモジェル、DMV社製)800gを複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、吸気温度を60℃、ローター回転数300rpm、アジテーター回転数600rpmの条件で転動流動させた。ついで、5質量%ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)エタノール溶液580gを噴霧して造粒した。得られた造粒物を、75〜150μm に篩別したものを、造粒核粒子(1)とした。
【0032】
実施例2
上記実施例1で得られた造粒核粒子(1)400を複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、吸気温度65℃、ローター回転数300rpm、アジテーター回転数500rpmの条件で転動流動させた。ついで、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)80gをエタノール溶液1120gへ溶解させ、D−マンニトール400gを懸濁させた液を噴霧してコーティングした。得られた顆粒を75〜150μmに篩別したものを造粒核粒子(2)とした。
【0033】
実施例3
カルボキシメチルスターチナトリウム(商品名:グリコリス、ロケット社製)4693gを空気式分級器ターボクラシファイアに投入し、分級円盤回転数1650rpm、風量を2.8m3/分、原料供給速度を5.0kg/時に調節して分級処理した。分級したカルボキシメチルスターチナトリウムのうち、粗粉側(平均粒子径:約60μm)を回収し、これを整粒核粒子(3)とした。
【0034】
実施例4
実施例1で得られた造粒核粒子(1)400gを複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、吸気温度60℃、ローター回転数300rpm、アジテーター回転数500rpmの条件で転動流動させた。ついで、レバミピド500gおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)100gをエタノール900gに懸濁および溶解させた液1201gを噴霧してコーティングした。
得られた顆粒400gを再度、複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、同条件にて液量1274gまでコーティングし、得られた顆粒を106〜212μmで篩別した。
別にヒプロメロース(商品名:TC−5R、信越化学社製)8.0gを水78.4gに溶解させた後、エタノール313.6gを加えて均一に混合した溶液を被膜液とした。上記顆粒400gを複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、吸気温度50℃、ローター回転数300rpm、アジテーター回転数500rpmの条件で転動流動させた。ついで前記被膜液400gを噴霧して顆粒表面をコーティングし、球形レバミピド顆粒(1)を得た。
【0035】
実施例5
実施例2で得られた造粒核粒子(2)400gを複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、吸気温度60℃、ローター回転数300rpm、アジテーター回転数500rpmの条件で転動流動させた。ついで、レバミピド500gおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)100gをエタノール1400gに懸濁および溶解させた液1600gを噴霧してコーティングした。
得られた顆粒400gを再度、複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、同条件にて液量1697gまでコーティングし、得られた顆粒を125〜250μmで篩別した。
別に、ヒプロメロース(商品名:TC−5R、信越化学社製)8.0gを水78.4gに溶解させた後、エタノール313.6gを加えて均一に混合した溶液を被膜液とした。上記顆粒400gを複合型造粒コーティング装置「スパイラフロー」(SFC−MINI、フロイント産業(株)製)に投入し、吸気温度50℃、ローター回転数300rpm、アジテーター回転数500rpmの条件で転動流動させた。ついで前記被膜液400gを噴霧して顆粒表面をコーティングし、球形レバミピド顆粒(2)を得た。
【0036】
実施例6
実施例3で得られた整粒核粒子(3)400gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、レバミピド500gおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)100gをエタノール1400gに懸濁させた混液を用いて、送風温度を55℃、排気温度を約33℃に調節して、レバミピド懸濁液1733.3gまでスプレーコーティングした。得られた顆粒をさらに360gずつ分割し、転動流動型コーティング造粒機に投入し、レバミピド500gおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)100gをエタノール1400gに懸濁させた混液を用いて、送風温度を55℃、排気温度を約32℃に調節して、追加で1644gまでコーティングした。得られた顆粒は、60号の丸篩(250μm)と140号の丸篩(106μm)で篩過処理し、間の顆粒を回収して、球形レバミピド顆粒(3)を得た。
【0037】
実施例7
実施例3で得られた整粒核粒子(3)400gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、レバミピド500gおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)100gを精製水280gおよびエタノール1120gに懸濁させた混液を用いて、送風温度を60℃、排気温度を約33℃に調節して、レバミピド懸濁液1733.3gまでスプレーコーティングした。得られた顆粒をさらに400gずつ分割し、転動流動型コーティング造粒機に投入し、レバミピド500gおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL)100gを精製水280gおよびエタノール1120gに懸濁させた混液を用いて、送風温度を60℃、排気温度を約33℃に調節して、追加で1826.7gまでコーティングした。得られた顆粒は、60号の丸篩(250μm)と140号の丸篩(106μm)で篩過処理し、間の顆粒を回収して、球形レバミピド顆粒(4)を得た。
【0038】
実施例8
実施例4で得られた球形レバミピド顆粒(1)500gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約40℃、排気温度を約28℃に調節して、下記組成の被膜液1538.5gをタンジェンシャルスプレー方式にてスプレーコーティングし、得られた顆粒をコーティング顆粒(1)とした。

【0039】
実施例9
実施例5で得られた球形レバミピド顆粒(2)800gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約40℃、排気温度を約28℃に調節して、下記組成の被膜液1230.8gをタンジェンシャルスプレー方式にてスプレーコーティングし、得られた顆粒をコーティング顆粒(2)とした。

【0040】
実施例10
実施例6で得られた球形レバミピド顆粒(3)500gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約38℃、排気温度を約28℃に調節して、下記組成の被膜液1538.5gをタンジェンシャルスプレー方式にてスプレーコーティングした。得られた顆粒を42号の丸篩(355μm)で篩過処理して、篩通過品をコーティング顆粒(3)とした。

【0041】
実施例11
実施例7で得られた球形レバミピド顆粒(4)500gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約38℃、排気温度を約28℃に調節して、下記組成の被膜液2307.7gをタンジェンシャルスプレー方式にてスプレーコーティングした。得られた顆粒を42号の丸篩(355μm)で篩過処理した。この篩通過品を60℃で12時間棚式乾燥し、得られた顆粒をコーティング顆粒(4)とした。

【0042】
比較例1
レバミピド400g、軽質無水ケイ酸8g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)200gをポリ袋に入れて混合し、転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度50〜60℃、排気温度を約25℃に調節して、下記組成の結合液1520gをスプレーして造粒した。10〜15分間乾燥した後に造粒顆粒を回収した。回収した顆粒は、70号の丸篩(212μm)と200号の丸篩(75μm)で篩過処理し、間の顆粒を回収して造粒核粒子比較製造例1とした。


上記で得られた顆粒150gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約40℃、排気温度を約29℃に調節して、下記組成の被膜液900gをトップスプレー方式にてスプレーコーティングし、得られた顆粒をコーティング顆粒(5)とした。

【0043】
比較例2
レバミピド400g、軽質無水ケイ酸8g、カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル、DMV製)200gをポリ袋に入れて混合し、転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度50〜60℃、排気温度を約25℃に調節して、下記組成の結合液1118.7gをスプレーして造粒した。10〜15分間乾燥した後に造粒顆粒を回収した。回収した顆粒は、70号の丸篩(212μm)と200号の丸篩(75μm)で篩過処理し、間の顆粒を回収して造粒核粒子比較製造例2とした。


上記で得られた顆粒150gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約40℃、排気温度を約29℃に調節して、下記組成の被膜液900gをトップスプレー方式にてスプレーコーティングし、得られた顆粒をコーティング顆粒(6)とした。

【0044】
比較例3
レバミピド400g、軽質無水ケイ酸8g、クロスポビドン(ポリプラスドン(XL−10)ISP製)200gをポリ袋に入れて混合し、転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度50〜60℃、排気温度を約25℃に調節して、下記組成の結合液1118.7gをスプレーして造粒した。10〜15分間乾燥した後に造粒顆粒を回収した。回収した顆粒は、70号の丸篩(212μm)と200号の丸篩(75μm)で篩過処理し、間の顆粒を回収して造粒核粒子比較製造例3とした。


上記で得られた顆粒170gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約40℃、排気温度を約29℃に調節して、下記組成の被膜液1020gをトップスプレー方式にてスプレーコーティングし、得られた顆粒をコーティング顆粒(7)とした。

【0045】
試験例1
比較例1から3で得られたコーティング顆粒(5)から(7)を下記に記載した溶出試験法にて評価し、得られた結果を表1に記載した。
各顆粒において、レバミピド100mgに相当する重量を秤量することで試料とし、試験液として日本薬局方崩壊試験法第2液(pH6.8)900mLを用い、日本薬局方溶出試験法に従い、パドル法により、毎分50回転、60分間の条件にて試験した。


上記、薬物と水膨潤性物質を流動層造粒した核粒子にアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含有する被膜コーティングを施したコーティング顆粒(5)から(7)では、1分後の溶出率はいずれも1%を超えるものであり、これらの顆粒を口腔内に含んだ場合レバミピド特有の苦味が感じられた。また、15分後の溶出率はいずれも50%に届いておらず、速やかな薬物溶出性は得られなかった。
【0046】
試験例2
実施例8から11で得られたコーティング顆粒(1)から(4)を下記に記載した溶出試験法にて評価し、得られた結果を表2に記載した。
各顆粒において、レバミピド100mgに相当する重量を秤量することで試料とし、試験液として日本薬局方崩壊試験法第2液(pH6.8)900mLを用い、日本薬局方溶出試験法に従い、パドル法により、毎分50回転、60分間の条件にて試験した。


上記、カルボキシメチルスターチナトリウムを主として含む成分を造粒または整粒することによって得た核粒子を用いたコーティング顆粒(1)から(4)では、1分後の溶出率はいずれも0.3%以下と試験例1の比較例に対してかなり抑制されたものであった。また、15分後の溶出率はいずれも55%を超えるものであり、胃内移行後の速やかな溶出を示唆するものであった。
実施例11では、5分後の溶出率が1.9%と、初期溶出がかなり抑えられている結果となった。
実施例11の顆粒を用いて、成人男子2名に対し官能試験を実施した。レバミピド100mgに相当する重量(顆粒として235.2mg)の顆粒を、舌に乗せて30秒間口中で維持させた。その後、吐き出した後に水で濯ぎ、苦味のマスキング時間と苦味の強度を評価して、2名の平均を算出した。苦味のマスキング時間は吐き出した後90秒(合計120秒間)まで評価し、苦味の強度は5段階で評価した。なお、苦味の点数評価は、薬物の苦味の評価を「5」として、下記の基準に従った。
5点:強烈な苦味を感じる。
4点:強い苦味を感じる。
3点:苦味を感じる。
2点:少し苦味を感じる。
1点:何も感じない。
その結果、苦味の評価は1.0点であり、マスキング時間は120秒以上であった。
【0047】
実施例12
実施例8のコーティング顆粒(1)400gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約40℃、排気温度を約28℃に調節して、下記組成の被膜液219.8gをタンジェンシャルスプレー方式にてスプレーコーティングし、得られた顆粒をオーバーコーティング顆粒(1)とした。

【0048】
実施例13
実施例9のコーティング顆粒(2)710gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約50℃、排気温度を約30℃に調節して、下記組成の被膜液379.3gをタンジェンシャルスプレー方式にてスプレーコーティングし、得られた顆粒をオーバーコーティング顆粒(2)とした。

【0049】
実施例14
実施例10のコーティング顆粒(3)350gを転動流動型コーティング造粒機に投入し、送風温度を約38℃、排気温度を約28℃に調節して、下記組成の被膜液160.3gをタンジェンシャルスプレー方式にてスプレーコーティングした。得られた顆粒を42号の丸篩(355μm)で篩過処理して、篩通過品を60℃で12時間棚式乾燥し、得られた顆粒をオーバーコーティング顆粒(3)とした。

【0050】
試験例3
実施例12から14で得られたオーバーコーティング顆粒(1)から(3)を下記に記載した溶出試験法にて評価し、また、試験例2において実施例11で行ったのと同様の方法で官能試験を行い、得られた結果を表3に記載した。
各顆粒において、レバミピド100mgに相当する重量を秤量することで試料とし、試験液として日本薬局方崩壊試験法第2液(pH6.8)900mLを用い、日本薬局方溶出試験法に従い、パドル法により、毎分50回転、60分間の条件にて試験した。

【0051】
実施例15.口腔内崩壊錠
実施例12、13、14で得られたオーバーコーティング顆粒(1)〜(3)および実施例11で得られたコーティング顆粒(4)を用いて、口腔内崩壊錠を作製し、OD錠(1)、OD錠(2)、OD錠(3)、OD錠(4)とした。
打錠および評価
上記混合末をロータリー式打錠機を用いて、1錠400mg、10.5mmφスミ角平面の杵で下記表4の条件で打錠した。得られた錠剤の物性も表4に記載した。
口腔内崩壊錠の口腔内崩壊時間の評価法
各OD錠において、被験者2名を対象に実施した。各OD錠を口腔内に投与し、製剤を舌と上顎の間に挟み込み、舌を前後に動かすことで、完全に崩壊するまでの時間を測定した。測定結果は2名の平均を算出した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水膨潤性物質を主として含む成分を造粒あるいは整粒することにより得られる核粒子の周囲に、医薬化合物を含有する薬物層を形成し、さらに該薬物層の外側に胃溶性ポリマーを含有する被膜層を形成してなる経口投与用時限放出型粒子状医薬組成物。
【請求項2】
水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびアルファ化デンプンからなる群から選択される1または2以上の成分であることを特徴とする請求項1の粒子状医薬組成物。
【請求項3】
水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスポビドンおよび/またはアルファ化デンプンであることを特徴とする請求項2の粒子状医薬組成物。
【請求項4】
水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウムであることを特徴とする請求項3の粒子状医薬組成物。
【請求項5】
核粒子と薬物層の間に、糖アルコールを主成分とする被覆層が形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの粒子状医薬組成物。
【請求項6】
胃溶性ポリマーが、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの粒子状医薬組成物。
【請求項7】
胃溶性ポリマーとしてアミノアルキルメタクリレートコポリマーEを含有する被膜層が、さらに軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、重質無水ケイ酸、無水ケイ酸水加物、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、酸化チタン、またはタルクである添加剤を1または2以上含有することを特徴とする請求項6の粒子状医薬組成物。
【請求項8】
添加剤が軽質無水ケイ酸であることを特徴とする請求項7の粒子状医薬組成物。
【請求項9】
胃溶性ポリマーを含有する被膜層が、さらにポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかの粒子状医薬組成物。
【請求項10】
医薬化合物が酸性薬物およびその塩であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの粒子状医薬組成物。
【請求項11】
医薬化合物がレバミピドおよびその塩であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかの粒子状医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかの粒子状医薬組成物を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠。
【請求項13】
表面に活性成分が被覆されるためのレイヤリング用核粒子であって、水膨潤性物質を主として含む成分を造粒することにより得られる核粒子の表面に、被覆層が形成されたことを特徴とするレイヤリング用核粒子。
【請求項14】
水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、クロスカルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびアルファ化デンプンからなる群から選択される1または2以上の成分であることを特徴とする請求項13のレイヤリング用核粒子。
【請求項15】
水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスポビドンおよび/またはアルファ化デンプンであることを特徴とする請求項14のレイヤリング用核粒子。
【請求項16】
水膨潤性物質が、カルボキシメチルスターチナトリウムであることを特徴とする請求項14のレイヤリング用核粒子。
【請求項17】
被覆層が糖アルコールを主成分とすることを特徴とする請求項13〜16のいずれかのレイヤリング用核粒子。
【請求項18】
糖アルコールがマンニトールである請求項17のレイヤリング用核粒子。
【請求項19】
表面に活性成分が被覆されるためのレイヤリング用核粒子の製造方法であって、
水膨潤性物質を主として含む成分を造粒することにより得られる核粒子を製造する核粒子製造工程と、
前記核粒子の表面に、被覆層を形成する被覆層形成工程とを有することを特徴とするレイヤリング用核粒子の製造方法。

【公開番号】特開2011−225468(P2011−225468A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95185(P2010−95185)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【出願人】(000112912)フロイント産業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】