説明

固形製剤

【課題】高血圧症に有用なアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する溶出性の改善された錠剤の提供。
【解決手段】錠剤が有核錠であって、有効成分としてオルメサルタンメドキソミルを含む顆粒と、有効成分としてベシル酸アムロジピン又はアゼルニジピンを含む顆粒が別々の層に配合され、さらにヒドロキシプロピルセルロースを含有する錠剤。該錠剤は、内核部にオルメサルタンメドキソミルを含有し、外層部にベシル酸アムロジピン又はアゼルニジピンを含有か、内核部にベシル酸アムロジピン又はアゼルニジピンを含有し、外層部にオルメサルタンメドキソミルを含有するものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する固形製剤
に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カルシウム拮抗剤及びアンジオテンシンII受容体拮抗剤は、臨床に於いて高血圧
症の治療や予防のための医薬として広く用いられている。カルシウム拮抗剤は、血管拡張
作用に加え、ナトリウム利尿作用も有することから、体液貯留性(レニン非依存性)の高
血圧にも有効である。一方、アンジオテンシンII受容体拮抗剤は、レニン依存性の高血圧
に特に有効であり、また、優れた臓器保護効果を有している。従って、カルシウム拮抗剤
とアンジオテンシンII受容体拮抗剤の併用により、高血圧の病因によらず安定かつ十分な
降圧治療が期待できる。
【0003】
以下の特許文献1〜4のような従来技術では、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とカル
シウム拮抗剤を組み合わせた医薬が種々提案されているが、本発明のアンジオテンシンII
受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する固形製剤であって、それぞれの有効成分が
製剤中に分離して配合されていることを特徴とする固形製剤については知られていない。
【特許文献1】国際公開第92/10097号パンフレット
【特許文献2】国際公開第92/20342号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/02543号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2004/067003号パンフレット
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する、
溶出性の改善された固形製剤を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、それぞれの有効成分を
製剤中に分離して配合することにより、溶出性が改善されることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0006】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する固形製剤
であって、それぞれの有効成分が製剤中に分離して配合されていることを特徴とする固形
製剤(特に、高血圧症の予防又は治療のための製剤)、前記固形製剤(特に、高血圧症の
予防又は治療のための製剤)を製造するためのアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカル
シウム拮抗剤の使用、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の薬理学的
な有効量を含有する前記固形製剤を温血動物(特に、ヒト)に投与する疾病(特に、高血
圧症)の予防又は治療方法を提供する。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する固形製剤であっ
て、それぞれの有効成分が製剤中に分離して配合されていることを特徴とする固形製剤、
(2)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン
、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンもしくはイルベサルタン又は薬理学
的に許容しうるそれらの塩もしくはエステルである(1)の固形製剤、
(3)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、
バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイル
ベサルタンである(1)の固形製剤、
(4)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルである(1)の
固形製剤、
(5)カルシウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バ
ルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピ
ン、ニソルジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラ
ニジピンもしくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である(1)−(4
)の固形製剤、
(6)カルシウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レ
ルカニジピン、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容
しうるそれらの塩である(1)−(4)の固形製剤、
(7)カルシウム拮抗剤が、アムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である(1)
−(4)の固形製剤、
(8)カルシウム拮抗剤が、ベシル酸アムロジピンである(1)−(4)の固形製剤、
(9)製剤が、錠剤である(1)−(8)の固形製剤、
(10)錠剤中にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含む粒子とカルシウム拮抗剤を含む
粒子を含有する(9)の固形製剤、
(11)アンジオテンシンII受容体拮抗剤を含む粒子とカルシウム拮抗剤を含む粒子との
間に中間層を有する(10)の固形製剤、
(12)錠剤が多層錠であって、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗剤が
別々の層に配合された(9)の固形製剤、
(13)錠剤が二層錠であって、第1層にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有し、第
2層にカルシウム拮抗剤を含有する(9)の固形製剤、
(14)第1層と第2層の間に中間層を有する(13)の固形製剤、
(15)錠剤が有核錠であって、内核部にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有し、外
層部にカルシウム拮抗剤を含有する(9)の固形製剤、
(16)錠剤が有核錠であって、内核部にカルシウム拮抗剤を含有し、外層部にアンジオ
テンシンII受容体拮抗剤を含有する(9)の固形製剤、
(17)内核部と外層部との間に中間層を有する(15)−(16)の固形製剤、
(18)製剤中に、さらに水溶性高分子を含有する(1)−(17)の固形製剤、
(19)アンジオテンシンII受容体拮抗剤を含む粒子に、さらに水溶性高分子を含有する
(10)乃至(11)の固形製剤、
(20)カルシウム拮抗剤を含む粒子に、さらに水溶性高分子を含有する(10)乃至(
11)の固形製剤、
(21)中間層に、さらに水溶性高分子を含有する(11)の固形製剤、
(22)アンジオテンシンII受容体拮抗剤を含む層に、さらに水溶性高分子を含有する(
12)−(14)の固形製剤、
(23)カルシウム拮抗剤を含む層に、さらに水溶性高分子を含有する(12)−(14
)の固形製剤、
(24)内核部に、さらに水溶性高分子を含有する(15)−(17)の固形製剤、
(25)外層部に、さらに水溶性高分子を含有する(15)−(17)の固形製剤、
(26)水溶性高分子が、セルロース誘導体及び/又は合成高分子から選択される化合物
の1種又は2種以上である(18)−(25)の固形製剤、
(27)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、マクロゴール、
HA「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択される化合物の1
種又は2種以上である(18)−(25)の固形製剤、
(28)水溶性高分子が、セルロース誘導体から選択される化合物の1種又は2種以上で
ある(18)−(25)の固形製剤、
(29)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選択される化合物の1種又は2種以上である(18)−(25)の固形製剤、
(30)水溶性高分子が、メチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースである(18)−(25)の固形製剤、
(31)水溶性高分子がマクロゴールである(18)−(25)の固形製剤
を提供する。
【0008】
又、上記(1)−(31)を任意に組み合わせて得られる医薬組成物も好適であり、例
えば、以下のものを挙げることができる。
(32)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル
、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイ
ルベサルタンであり、カルシウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩
である(1)の固形製剤。
(33)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、カル
シウム拮抗剤が、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン、バルニジピン
、ニトレンジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソル
ジピン、エホニジピン、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、アラニジピンも
しくはプラニジピン又は薬理学的に許容しうるそれらの塩である(1)の固形製剤、
(34)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤が、マニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ニカルジピン、レルカニジピン
、アムロジピン、エホニジピンもしくはアゼルニジピン又は薬理学的に許容しうるそれら
の塩である(1)の固形製剤、
(35)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、カル
シウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩である(1)の固形製剤、
(36)アンジオテンシンII受容体拮抗剤が、オルメサルタンメドキソミルであり、カル
シウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、固形製剤が、アン
ジオテンシンII受容体拮抗剤を含む粒子とカルシウム拮抗剤を含む粒子を有する錠剤であ
る(1)の固形製剤、
(37)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、錠剤が二層錠であっ
て、第1層にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有し、第2層にカルシウム拮抗剤を含
有する(1)の固形製剤、
(38)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、錠剤が有核錠であっ
て、内核部にカルシウム拮抗剤を含有し、外層部にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含
有する(1)の固形製剤、
(39)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、固形製剤が、アンジ
オテンシンII受容体拮抗剤を含む粒子とカルシウム拮抗剤を含む粒子を有する錠剤であり
、カルシウム拮抗剤を含む粒子に、さらに含有される水溶性高分子が、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、マクロゴール、HA「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリ
ビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である(1)の固形製剤、
(40)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、錠剤が二層錠であっ
て、第1層にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有し、第2層にカルシウム拮抗剤を含
有し、カルシウム拮抗剤を含有する層に、さらに含有される水溶性高分子が、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、マクロゴール、HA「三共」、ポリビニルピロリドン及
びポリビニルアルコールから選択される化合物の1種又は2種以上である(1)の固形製
剤、
(41)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、錠剤が有核錠であっ
て、内核部にカルシウム拮抗剤を含有し、外層部にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含
有し、内核部に、さらに含有される水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、マクロゴール、HA「三共」、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコール
から選択される化合物の1種又は2種以上である(1)の固形製剤、
(42)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、固形製剤が、アンジ
オテンシンII受容体拮抗剤を含む粒子とカルシウム拮抗剤を含む粒子を有する錠剤であり
、カルシウム拮抗剤を含む粒子に、さらに含有される水溶性高分子が、メチルセルロース
及びヒドロキシプロピルセルロースから選択される化合物である(1)の固形製剤、
(43)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、固形製剤が二層錠剤
であり、アンジオテンシンII受容体拮抗剤が第一の層に含まれ、カルシウム拮抗剤が第二
の層に含まれ、カルシウム拮抗剤を含有する第二の層が、メチルセルロース及びヒドロキ
シプロピルセルロースから選択される水溶性高分子をさらに含有する、(1)の固形製剤

(44)アンジオテンシンII受容体拮抗剤がオルメサルタンメドキソミルであり、カルシ
ウム拮抗剤がアムロジピン又は薬理学的に許容しうるその塩であり、錠剤が有核錠であっ
て、内核部にカルシウム拮抗剤を含有し、外層部にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含
有し、内核部に、さらに含有される水溶性高分子が、メチルセルロース及びヒドロキシプ
ロピルセルロースから選択される化合物である(1)の固形製剤、ならびに
(45)カルシウム拮抗剤が、ベシル酸アムロジピンである(32)−(44)の固形製
剤である。
【0009】
本発明によれば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する、
溶出性の改善された固形製剤を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の固形製剤の有効成分は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤と、カルシウム拮
抗剤である。
【0011】
本発明の固形製剤における有効成分の一つである「アンジオテンシンII受容体拮抗剤
」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は
本発明の効果を奏する適宜の薬剤を選択することが可能である。そのようなアンジオテン
シンII受容体拮抗剤としては、例えば、ロサルタン(好適にはロサルタンカリウム)、
カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメ
サルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、好適には、オルメサルタンメドキソミ
ルである。なお、特にオルメサルタンメドキソミルは特許第2082519号公報(米国
特許第5,616,599号公報)等に記載の方法に従い、容易に製造することができる

【0012】
本発明の固形製剤における有効成分の一つである「カルシウム拮抗剤」としては、種々
の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は本発明の効果を奏
する適宜の薬剤を選択することが可能である。そのようなカルシウム拮抗剤として、例え
ば、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、マニジピン(好適には塩酸マニジピン)
、バルニジピン(好適には塩酸バルニジピン)、ニトレンジピン、ベニジピン(好適には
塩酸ベニジピン)、ニカルジピン(好適には塩酸ニカルジピン)、レルカニジピン(好適
には塩酸レルカニジピン)、アムロジピン(好適にはベシル酸アムロジピン)、ニソルジ
ピン、エホニジピン(好適には塩酸エホニジピン)、シルニジピン、アゼルニジピン、フ
ェロジピン、アラニジピン又はプラニジピンであり、好適にはアムロジピン(特に好適に
はベシル酸アムロジピン)である。なお、特にアムロジピンは特許第1401088号公
報(米国特許第4,572,909号公報)等に記載の方法に従い、容易に製造すること
ができる。
【0013】
上記のアンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤の薬理学的に許容しうる
塩は特に限定されず、そのような塩は当業者が選択することができる。適当な薬理学的に
許容しうる塩としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはリチウム塩のよう
なアルカリ金属塩;カルシウム塩もしくはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;
アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩もしくはコバルト塩のような金属塩;
アンモニウム塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサ
ミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカ
ミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミ
ン塩、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、
ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチ
ルアンモニウム塩もしくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のようなアミン塩
;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩もしくはヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水
素酸塩;硝酸塩;過塩素酸塩;硫酸塩;リン酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメ
タンスルホン酸塩もしくはエタンスルホン酸塩のような場合によってはハロゲン原子で置
換されていてもよいC1〜C4アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩もしくはp−
トルエンスルホン酸塩のような場合によってはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよ
いC6〜C10アリールスルホン酸塩;酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、ク
エン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩もしくはマレイン酸塩のようなC1〜C6脂肪族酸塩;ま
たはグリシン塩、リシン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩もしくはアス
パラギン酸塩のようなアミノ酸塩がある。
【0014】
上記のアンジオテンシンII受容体拮抗剤の薬理学的に許容しうるエステルは特に限定さ
れず、当業者が選択することができる。前記エステルの場合、そのようなエステルは、イ
ンビボでの加水分解のような生物学的プロセスによって開裂させることができることが好
ましい。エステルを構成する基(そのエステルが−COORと表される場合にRとして示
される基)は、たとえば、メトキシエチル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メト
キシエチル、1−(イソプロポキシ)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル
、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプ
ロポキシメチル、ブトキシメチルもしくはt−ブトキシメチルのようなC1〜C4アルコキ
シC1〜C4アルキル基;2−メトキシエトキシメチルのようなC1〜C4アルコキシル化C
1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;フェノキシメチルのようなC6〜C10アリールオ
キシC1〜C4アルキル基;2,2,2−トリクロロエトキシメチルもしくはビス(2−ク
ロロエトキシ)メチルのようなハロゲン化C1〜C4アルコキシC1〜C4アルキル基;メト
キシカルボニルメチルのようなC1〜C4アルコキシカルボニルC1〜C4アルキル基;シア
ノメチルもしくは2−シアノエチルのようなシアノC1〜C4アルキル基;メチルチオメチ
ルもしくはエチルチオメチルのようなC1〜C4アルキルチオメチル基;フェニルチオメチ
ルもしくはナフチルチオメチルのようなC6〜C10アリールチオメチル基;2−メタンス
ルホニルエチルもしくは2−トリフルオロメタンスルホニルエチルのような、場合によっ
てはハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C4アルキルスルホニルC1〜C4低級アル
キル基;2−ベンゼンスルホニルエチルもしくは2−トルエンスルホニルエチルのような
6〜C10アリールスルホニルC1〜C4アルキル基;ホルミルオキシメチル、アセトキシ
メチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、
バレリルオキシメチル、イソバレリルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、1−ホ
ルミルオキシエチル、1−アセトキシエチル、1−プロピオニルオキシエチル、1−ブチ
リルオキシエチル、1−ピバロイルオキシエチル、1−バレリルオキシエチル、1−イソ
バレリルオキシエチル、1−ヘキサノイルオキシエチル、2−ホルミルオキシエチル、2
−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−
ピバロイルオキシエチル、2−バレリルオキシエチル、2−イソバレリルオキシエチル、
2−ヘキサノイルオキシエチル、1−ホルミルオキシプロピル、1−アセトキシプロピル
、1−プロピオニルオキシプロピル、1−ブチリルオキシプロピル、1−ピバロイルオキ
シプロピル、1−バレリルオキシプロピル、1−イソバレリルオキシプロピル、1−ヘキ
サノイルオキシプロピル、1−アセトキシブチル、1−プロピオニルオキシブチル、1−
ブチリルオキシブチル、1−ピバロイルオキシブチル、1−アセトキシペンチル、1−プ
ロピオニルオキシペンチル、1−ブチリルオキシペンチル、1−ピバロイルオキシペンチ
ルもしくは1−ピバロイルオキシヘキシルのようなC1〜C7脂肪族アシルオキシC1〜C4
アルキル基;シクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシ
メチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシエチル、1−シクロヘキシルカルボニルオ
キシエチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシプロピル、1−シクロヘキシルカルボ
ニルオキシプロピル、1−シクロペンチルカルボニルオキシブチルもしくは1−シクロヘ
キシルカルボニルオキシブチルのようなC5〜C6シクロアルキルカルボニルオキシC1
4アルキル基;ベンゾイルオキシメチルのようなC6〜C10アリールカルボニルオキシC
1〜C4アルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル、1−(メトキシカルボニルオキシ
)エチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(メトキシカルボニルオキ
シ)ブチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(メトキシカルボニルオ
キシ)ヘキシル、エトキシカルボニルオキシメチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)
エチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(エトキシカルボニルオキシ
)ブチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(エトキシカルボニルオキ
シ)ヘキシル、プロポキシカルボニルオキシメチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ
)エチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(プロポキシカルボニル
オキシ)ブチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−(イソプロポキシカルボ
ニルオキシ)エチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)ブチル、ブトキシカルボ
ニルオキシメチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ブトキシカルボニ
ルオキシ)プロピル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)ブチル、イソブトキシカルボニ
ルオキシメチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソブトキシカ
ルボニルオキシ)プロピル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)ブチル、t−ブトキ
シカルボニルオキシメチル、1−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル、ペンチルオ
キシカルボニルオキシメチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(
ペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、
1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルもしくは1−(ヘキシルオキシカルボニ
ルオキシ)プロピルのようなC1〜C6アルコキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;
シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニル
オキシ)エチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(シク
ロペンチルオキシカルボニルオキシ)ブチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメ
チル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオ
キシカルボニルオキシ)プロピルもしくは1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ
)ブチルのようなC5〜C6シクロアルキルオキシカルボニルオキシC1〜C4アルキル基;
(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−エチル−
2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−プロピル−2−オキソ−
1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−イソプロピル−2−オキソ−1,3−
ジオキソレン−4−イル)メチルもしくは(5−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソ
レン−4−イル)メチルのような[5−(C1〜C4アルキル)−2−オキソ−1,3−ジ
オキソレン−4−イル]メチル基;(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン
−4−イル)メチル、[5−(4−メチルフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレ
ン−4−イル]メチル、[5−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキ
ソレン−4−イル]メチル、[5−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジ
オキソレン−4−イル]メチルもしくは[5−(4−クロロフェニル)−2−オキソ−1
,3−ジオキソレン−4−イル]メチルのような[5−(場合によってはC1〜C4アルキ
ル、C1〜C4アルコキシ又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル)−2−オキ
ソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基;又はフタリジル、ジメチルフタリジル
もしくはジメトキシフタリジルのような、場合によってはC1〜C4アルキルもしくはC1
〜C4アルコキシ基で置換されていてもよいフタリジル基でもよい。
【0015】
本発明の一つの好ましい態様では、本発明の方法によって得ることができる固形製剤は
、さらに1種又は2種以上の「水溶性高分子」、すなわち水に対して親和性を有する高分子
を含有していてもよい。本発明における使用に好ましい「水溶性高分子」は、水溶性であ
る高分子である。水溶性高分子の配合により、溶出性がより改善された固形製剤が得られ
る。使用される水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナト
リウムのようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタアクリレ
ートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、マクロゴール(す
なわちポリエチレングリコール)等のような合成高分子;HA「三共」(ポリビニルアセタ
ールジエチルアミノアセテート16〜26重量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
2910 50〜75重量%、ステアリン酸12〜17重量%及びフマル酸1.5〜2.3重
量%の混合物を含むプレミックスコーティング剤)、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、ア
ルギン酸ナトリウム等を挙げることができ、好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、マクロゴール、HA「三共」、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールで
あり、さらに好適にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、マクロゴール、カルボキシメチルセルロースナトリウムであり
、特に好適にはメチルセルロースである。本発明においては、これらを単独で用いること
もできるし、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の処方中に1種又
は2種以上の水溶性高分子が存在する場合、その水溶性高分子は、好ましくは処方重量の
1〜90重量%、さらに好ましくは5〜85重量%の範囲内で含有してもよい。1種又は2
種以上の水溶性高分子は、医薬組成物全体に均一に分散させてもよいし、その医薬組成物
の一部分だけに適用してもよい。医薬組成物に1種又は2種以上のフィルムコーティング層
があれば、1種又は2種以上の水溶性高分子をそのフィルムコーティング層に含んでもよい

【0016】
本発明の固形製剤は、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される賦形剤、滑沢
剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を含むことができ
る。
【0017】
使用される「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール若しくは
ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉
若しくはデキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;
アラビアゴム;デキストラン;又はプルランのような有機系賦形剤;或いは、軽質無水珪
酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムの
ような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸
塩;又は、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。
【0018】
使用される「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム若し
くはステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;
ビーズワックス若しくはゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウム
のような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウ
リル硫酸ナトリウム若しくはラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪
酸若しくは珪酸水和物のような珪酸類;又は、上記澱粉誘導体を挙げることができる。
【0019】
使用される「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
【0020】
使用される「崩壊剤」としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カ
ルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリ
ドン;又は、カルボキシメチルスターチ若しくはカルボキシメチルスターチナトリウムの
ような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
【0021】
使用される「乳化剤」としては、例えば、ベントナイト若しくはビーガムのようなコロ
イド性粘土;水酸化マグネシウム若しくは水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラ
ウリル硫酸ナトリウム若しくはステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩
化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステルの
ような非イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0022】
使用される「安定剤」としては、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンの
ようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若し
くはフェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノー
ル若しくはクレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又は、ソル
ビン酸を挙げることができる。
【0023】
使用される「矯味矯臭剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム若しくはアスパル
テームのような甘味料;クエン酸、リンゴ酸若しくは酒石酸のような酸味料;又は、メン
トール、レモン若しくはオレンジのような香料を挙げることができる。
【0024】
使用される「希釈剤」としては、例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、ス
クロース、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶
性セルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セロール、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はこ
れらの混合物を挙げることができる。
【0025】
本発明の「固形製剤」は、1種又は2種以上の薬理学的有効成分を固形剤として患者に送
達するために当業者によって使用される任意の剤形を含むが、カルシウム拮抗剤及びアン
ジオテンシンII受容体拮抗剤が密に混合されないような方法、すなわち、他方の有効成分
を含有しない粒子のように各有効成分が別個の物理的形態に形成され、その粒子が、固形
製剤を製造する際にのみ混合される、又は、固形製剤が、有効成分が何らかの方法で(た
とえば個々の有効成分を層に配合することにより)分離した状態に維持されるような方法
で調合されるように製造されなければならない。使用される固形製剤は当業者には周知で
あり、本発明における「固形製剤」としては、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含
む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤
、丸剤、トローチ剤等を挙げることができ、好適には錠剤である。
【0026】
本発明における「粒子」とは、粉状、塊状、溶液あるいは溶融液状などの原料を、湿式
造粒法、乾式造粒法あるいは加熱造粒法により造粒することによって得られるほぼ均一な
形状と大きさを持つ粒子を意味する。本発明の粒子としては、例えば散剤、細粒および顆
粒が挙げられ、これらは、好ましくは日本薬局方第十四改正に規定された粒度を有する。
顆粒は、そのすべてが10号(1700μm)ふるいに通り、その5%以下が12号(1
400μm)ふるいに残り、その15%以下が42号(355μm)ふるいに通るような粒
度分布を有する。粉末及び細粒(第十四改正日本薬局方の粉末の定義に含まれる)は、そ
のすべてが18号(850μm)ふるいに通り、その5%以下が30号(500μm)ふる
いに残るような粒度分布を有する。
【0027】
なお、本発明の粒子は、本発明の固形製剤を得るための製剤化の過程で、その形状や大
きさが変化する場合があるが、このような形状や大きさが変化して原形を留めない粒子で
あっても、本発明の粒子に含まれる。
【0028】
本発明における「多層錠」とは、数種類の処方成分が段階的に層状に積み重ねて圧縮成
形され、同一の剤形内に収められた錠剤をいう。
【0029】
本発明における「二層錠」とは、一方の成分を含有する錠剤と他方の成分を含有する錠
剤を層状に積み重ねた錠剤をいい、二つの層は接していてもよく、さらに薬物間の直接接
触を回避することを目的として、不活性な添加剤を用いて中間層を設けてもよい。
【0030】
本発明における「有核錠」とは、一方の薬物を含有する内核部を、他の薬物を含有する
外層部で包み込むように被覆した錠剤をいい、該内核部と外層部は接していてもよく、さ
らに薬物間の直接接触を回避することを目的として、不活性な添加剤を用いて中間層を設
けてもよい。
【0031】
本発明における製剤の製造方法としては、Powder Technology and Pharmaceutical Pro
cesses (D. Chulia他, Elsevier Science Pub Co (December 1, 1993))のような刊行物に
記載されている一般的な方法を用いて製造すればよく、特別な制限は設けない。
【0032】
本発明の粒子は、製剤技術分野において慣用の方法に従って造粒することにより、製造
することができる。ここで、造粒は、湿式造粒法、乾式造粒法あるいは加熱造粒法のいず
れの方法によっても行うことができ、具体的には、高速攪拌造粒機、流動造粒乾燥機、押
し出し造粒機、ローラーコンパクターなどを用いて行われる。また、造粒の後、必要によ
り乾燥、整粒などの操作を行ってもよい。
【0033】
本発明の多層錠は、例えば、それ自体公知の方法で、有効成分を含む各層を直接圧縮成
形するか、あるいは、有効成分を各層をそれぞれ通常の湿式顆粒化又は乾式顆粒化(圧縮
)技法によって製造し、次いで、各層を圧縮成形することにより、製造することができる

【0034】
本発明の二層錠は、例えば、それ自体公知の方法で第1層、第2層をそれぞれ通常の湿
式顆粒化又は乾式顆粒化(圧縮)技法によって製造し、次いで、第1層と第2層を圧縮し
、通常の二層錠成形装置を用いて両層を結合させることにより、製造することができる。
また、本発明の二層錠には少なくとも1層のフィルムコーティングを設けてもよい。
【0035】
本発明の有核錠は、例えば、それ自体公知の方法で内核部となる内核錠を作成し、次い
で、有核打錠機を用いて該内核錠を外層部で被覆することにより製造することができる。
また、上記内核錠(内核部)は外層部で被覆するに先立ち、薄いフィルムコーティングを
施してもよい。また、上記内核錠は、1製剤中に1個であってもよいし、複数個であっても
よい。更に、本発明の有核錠には少なくとも1層のフィルムコーティングを設けてもよい

【0036】
コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われ、フィルムコーテ
ィング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィ
ルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
【0037】
糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、プルラン
、などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0038】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ
エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;ポ
リビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマ
ー、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなどの合成高分子;プルランなどの多糖類など
が挙げられる。
【0039】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボ
キシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース誘導体;メタア
クリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーSなどの
アクリル酸誘導体;セラックなどの天然物などが挙げられる。
【0040】
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロー
ス誘導体;アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル
酸メチル・共重合体乳濁液などのアクリル酸誘導体などが挙げられる。
【0041】
上記コーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、
さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される可塑剤、賦形剤、滑沢剤、隠蔽剤、着
色剤、防腐剤等の添加剤を含むことができる。
【0042】
本発明の固形製剤の有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウム拮抗
剤の投与量と投与比率は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件に
より変化し得る。その投与量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、各々
、一日あたり0.001mg/kg(好適には 0.01mg/kg)、上限 10mg/kg(好適には 1mg/kg)で
あり、これを一日1乃至6回症状に応じて投与することができる。
【0043】
また、本発明の固形製剤の有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とカルシウ
ム拮抗剤の投与量の比率も、また、大幅に変わりうるが、例えばアンジオテンシンII受容
体拮抗剤とカルシウム拮抗剤の投与量比率は、重量比で、1 : 1000 乃至 1000 : 1 の範
囲内であり得、好適には、1 : 100 乃至 100 : 1 であり、更に好適には、1 : 10 乃至 1
0 : 1 である。
【0044】
本発明の固形製剤は、例えば、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患(より具体的には
、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全若しくは心肥大]、腎臓疾患
[糖尿病性腎症、糸球体腎炎若しくは腎硬化症]又は脳血管性疾患[脳梗塞若しくは脳出
血])等の予防又は治療に有効である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるも
のではない。
【0046】
実施例1 2種顆粒1層錠
(1)オルメサルタンメドキソミル、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロースを、それぞれ下記表1の処方で秤量し、高速撹拌造粒機(VG-
10、パウレック)で混合後、精製水(混合末に対する水添加量 43%)を添加して造粒し、
流動層乾燥機(パウレック)にて乾燥した。造粒物を整粒機(コーミル、パウレック)に
て整粒し、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムとともに混合機(V型混合機、徳
寿製作所)で混合し、A顆粒を得た。
(2)ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロースを、それぞれ下記表1の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した
後、精製水(混合末に対する水添加量 34%)で練合した。得られた練合物を真空乾燥機に
より乾燥させた後、30メッシュ篩(500μm)で篩過し、結晶セルロース、ステアリン酸
マグネシウムを添加してメノウ乳鉢で2分間混合し、B顆粒を得た。
(3)次に、A顆粒及びB顆粒をメノウ乳鉢により2分間混合し、混合顆粒を得た。得られ
た混合顆粒240mgをφ8.5mm臼に投入した後、油圧式単発打錠機にて、φ8.5mm平面の杵、
錠剤重量240mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤(2種顆粒1層錠)について試験
した結果を下記表2に示す。
【0047】
実施例2 2層錠
(1)ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ
下記表3の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合し、C顆粒を得た。
(2)次に、実施例1で得られたA顆粒120mgをφ8.5mm臼に投入し、続けてC顆粒100mgを
投入した後、油圧式単発打錠機にて、φ8.5mm平面の杵、錠剤重量220mg、打錠圧力10kNで
打錠した。得られた錠剤(2層錠)について試験した結果を下記表4に示す。
【0048】
実施例3 2層錠
(1)ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセ
ルロースをそれぞれ下記表3の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合し、D顆粒を得た。
(2)次に、実施例1で得られたA顆粒120mgをφ8.5mm臼に投入し、続けてD顆粒100mgを
投入した後、油圧式単発打錠機にて、φ8.5mm平面の杵、錠剤重量220mg、打錠圧力10kNで
打錠した。得られた錠剤(2層錠)について試験した結果を下記表4に示す。
【0049】
実施例4 アムロジピン有核錠
(1)ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを、それぞ
れ下記表5の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、油圧式単発打錠機を用いて、
φ5.5mm平面の杵で、錠剤重量50mg、打錠圧力10kNで打錠し、E錠剤を得た。
(2)次に、φ7.5mm平面の臼に実施例1で得られたA顆粒を60mg投入した後、続けて臼内
にE錠剤を投入する。そして再度臼内にA顆粒を60mg投入した後、油圧式単発打錠機にて、
錠剤重量170mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤(有核錠)について試験した結
果を下記表6に示す。
【0050】
実施例5 アムロジピン有核錠
(1)ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセ
ルロースを、それぞれ下記表5の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、油圧式単
発打錠機を用いて、φ5.5mm平面の杵で、錠剤重量50mg、打錠圧力10kNで打錠し、F錠剤を
得た。
(2)次に、φ7.5mm平面の臼に実施例1で得られたA顆粒を60mg投入した後、続けて臼内
にF錠剤を投入する。そして再度臼内にA顆粒を60mg投入した後、油圧式単発打錠機にて、
錠剤重量170mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤(有核錠)について試験した結
果を下記表6に示す。
【0051】
実施例6 オルメサルタン有核錠
(1)オルメサルタンメドキソミル、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを、
それぞれ下記表5の処方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、油圧式単発打錠機を用
いて、φ5.5mm平面の杵で、錠剤重量50mg、打錠圧力10kNで打錠し、G錠剤を得た。
(2)次に、φ7.5mm平面の臼に実施例1で得られたB顆粒を60mg投入した後、続けて臼内
にG錠剤を投入する。そして再度臼内にB顆粒を60mg投入した後、油圧式単発打錠機にて、
錠剤重量170mg、打錠圧力10kNで打錠した。得られた錠剤(有核錠)について試験した結
果を下記表6に示す。
【0052】
比較例1
オルメサルタンメドキソミル、ベシル酸アムロジピン、乳糖、低置換度ヒドロキシプロ
ピルセルロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウムを、それぞれ下記表1の処
方で秤量し、メノウ乳鉢で2分間混合した後、油圧式単発打錠機を用いて、φ7mm平面の杵
で、錠剤重量140mg、打錠圧力10kNで打錠した。
【0053】
試験例
日本薬局方第14改正の項に記載されている溶出試験法第2法(パドル法)に従い、毎分5
0回転、試験液として日局第2液(JP-2)900mLを用い、試験を行った。試験開始から30分
(60分)後の試験液を採取し、吸光度測定法によりオルメサルタンメドキソミルの溶出率
及び溶解量を測定した。〔富山産業(株):溶出試験器、(株)島津製作所:分光光度計
〕。試験は2錠について行い、その平均値を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
【表5】

【0059】
【表6】

【0060】
表2、表4、表6に示したように、本発明の固形製剤は、アンジオテンシンII受容体拮抗
剤(オルメサルタンメドキソミル)の溶出性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤及びカルシウム拮抗剤を含有する、
溶出性の改善された固形製剤が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤が有核錠であって、有効成分としてオルメサルタンメドキソミルを含む顆粒有効成分としてベシル酸アムロジピン又はアゼルニジピンを含む顆粒が別々の層に配合され、さらにヒドロキシプロピルセルロースを含有する錠剤
【請求項2】
錠剤が有核錠であって、内核部にオルメサルタンメドキソミルを含有し、外層部にベシル酸アムロジピン又はアゼルニジピンを含有する請求項に記載の錠剤
【請求項3】
錠剤が有核錠であって、内核部にベシル酸アムロジピン又はアゼルニジピンを含有し、外層部にオルメサルタンメドキソミルを含有する請求項に記載の錠剤
【請求項4】
内核部と外層部との間に中間層を有する請求項又は記載の錠剤
【請求項5】
高血圧症の予防又は治療のための、請求項1乃至のいずれかに記載の錠剤

【公開番号】特開2012−236853(P2012−236853A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−177601(P2012−177601)
【出願日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【分割の表示】特願2007−558257(P2007−558257)の分割
【原出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】