説明

固液分離方法及び固液分離装置

【課題】従来粒径よりも細かい粒径の化成スラッジを含む処理液から簡素な構造で固形物を分離できる固液分離方法及び固液分離装置を提供する。
【解決手段】固液分離槽13の処理液15に面状の不織布17を浸漬し、表裏面に処理液15をぶつける方向に前記不織布17を移動させることで処理液15に含まれる固形物を不織布17に付着させ、付着により固形物が減量されたろ液を固液分離槽13から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液中から微細な固形物を除去する固液分離方法及び固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体等の塗装前処理として、金属表面にリン酸亜鉛皮膜を形成する化成処理(リン酸亜鉛処理)が行われる(例えば特許文献1参照)。リン酸亜鉛処理は亜鉛系めっき材やアルミニウム合金材のみならず、鉄鋼材料にも有効であり、各種塗装、特にカチオン電着塗装を施す場合の下地処理として好適である。リン酸亜鉛処理では、化成処理槽の底部にはリン酸亜鉛化合物を主体とする多量の化成スラッジが堆積する。リン酸亜鉛化合物は富栄養化元素のリンを成分として含むことから、環境上の観点より敬遠されつつある。
【0003】
これに対してジルコニウム系化成処理は、各種材料に必要量の皮膜を形成することができ、耐食性および塗膜密着性等を向上させることができ、さらに環境に対する負荷も少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−52399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リン酸亜鉛処理で堆積する粒子径20μm程度の化成スラッジの除去には従来の加圧ろ過処理装置が好適に用いられていたが、ジルコニウム系化成処理で発生する化成スラッジには粒径3μm以下の非常に細かい水酸化鉄等が含まれる。この化成スラッジを含んだ処理液は沈降が遅く、ろ過性が悪く、従来の加圧ろ過処理装置では多量に処理ができない問題があった。また、ろ材(フィルターペーパー)に珪藻土等のプレコートを行い、化成スラッジと共に珪藻土も廃棄することでより細かい粒子の化成スラッジを除去する物理的加圧濾過方法もあるが、設備が複雑となり、珪藻土も化成スラッジと共に廃棄することから廃棄物が多量となる不利があった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、従来粒径よりも細かい粒径の化成スラッジを含む処理液から簡素な構造で固形物を分離できる固液分離方法及び固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の固液分離方法は、固液分離槽13の処理液15に面状の不織布17を浸漬し、
表裏面に前記処理液15をぶつける方向に前記不織布17を移動させることで前記処理液15に含まれる固形物を該不織布17に付着させ、
前記付着により前記固形物が減量されたろ液を前記固液分離槽13から排出することを特徴とする。
【0008】
この固液分離方法では、処理液中に浸漬した不織布17が移動されると、処理液15が不織布17に当たり、処理液15の一部分が不織布17を透過するとともに処理液15に含まれる固形物が不織布17に付着する。この透過と付着が繰り返され、不織布17に固形物が堆積して、処理液15から固形物が分離される。
【0009】
請求項2記載の固液分離方法は、請求項1記載の固液分離方法であって、
前記ろ液の排出を停止し、
前記固液分離槽13の底部47より供給した気泡を前記不織布17に当てて付着した固形物を離脱させることを特徴とする。
【0010】
この固液分離方法では、処理液15の供給を停止し、処理液15を貯留した状態で底部47にて気泡を発生させ、浮力により上昇する気泡を不織布17に衝突させることで、付着した固形物を不織布17から離脱させることができる。固形物が離脱された不織布17は、再び固形物が付着可能となる。
【0011】
請求項3記載の固液分離方法は、請求項2記載の固液分離方法であって、
前記気泡の供給とともに前記不織布17を処理液15から引き上げ降下させることを特徴とする。
【0012】
この固液分離方法では、気泡の衝突に加え、不織布17が液面に対して昇降されることによる衝撃で不織布17からの固形物の離脱性がより高められる。
【0013】
請求項4記載の固液分離装置11は、固液分離槽13と、
前記固液分離槽13の処理液15に浸漬される面状の不織布17と、
前記不織布17の表裏面に前記処理液15をぶつける方向に該不織布17を移動させる不織布移動手段19と、
前記不織布17への付着により前記固形物が減量されたろ液を前記固液分離槽13から排出するオーバーフロー排出口21と、
を具備することを特徴とする。
【0014】
固液分離槽13の処理液15に面状の不織布17を浸漬し、表裏面に処理液15をぶつける方向に前記不織布17を移動させることで、処理液15の一部分が不織布17を透過するとともに処理液15に含まれる固形物を不織布17に付着させ、付着により固形物が減量されたろ液を固液分離槽13から排出する。この透過と付着が繰り返され、不織布17に固形物が堆積して、処理液15から固形物が分離される。
【0015】
請求項5記載の固液分離装置11は、請求項4記載の固液分離装置11であって、
前記不織布17は、上辺部41のみが支持桟37に固定されることを特徴とする。
【0016】
この固液分離装置11では、不織布17の上辺部41のみが支持桟37によって支持され、浸漬された不織布17は処理液中に吊り下げ状態となる。この状態で支持桟37が不織布17の表裏方向に移動されると、不織布17の上辺部41に伝わった移動が、不織布17を可撓させながら波状に下辺部43へ伝播し、不織布17の上辺部41から下辺部43までの表裏全面を処理液15に均一に当てることが可能となる。
【0017】
請求項6記載の固液分離装置11は、請求項4又は5記載の固液分離装置11であって、
処理液供給口51と残渣ドレン口53が前記固液分離槽13の底部47に設けられることを特徴とする。
【0018】
この固液分離装置11では、不織布17から離脱させた固形物を排除する際、所定時間をかけて固形物を沈降させ、残渣ドレン口53を開くことで底部47に堆積した固形物を不織布17に再付着させずに効率良く排出できる。底部47に排出残りが生じた場合には、処理液供給口51からの処理液15の供給によって洗浄が可能となる。
【0019】
請求項7記載の固液分離装置11は、請求項4,5,6のいずれか1つに記載の固液分離装置11であって、
前記不織布17を挟み表裏側には略同形状で且つ該不織布17よりも高剛性のネット材45が平行に一体固定されることを特徴とする。
【0020】
この固液分離装置11では、処理液中に吊り下げられた不織布17が表裏に配置されたネット材同士の間でガイドされ、浮力や水流によって不織布17が捲れなくなる。また、上辺部41に伝達された移動力が下辺部43まで効率良く伝播されるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る請求項1記載の固液分離方法によれば、従来粒径よりも細かい粒径の化成スラッジを含む処理液から簡素な構造で固形物を分離できる。
【0022】
請求項2記載の固液分離方法によれば、不織布に付着した固形物を気泡により簡単な構造で離脱させることができ、不織布の交換サイクルを長くすることができる。
【0023】
請求項3記載の固液分離方法によれば、気泡に加え、液面を通過する際の衝撃により、固形物の離脱性をさらに高めることができる。
【0024】
請求項4記載の固液分離装置によれば、従来粒径よりも細かい粒径の化成スラッジを含む処理液から簡素な構造で固形物を分離できる。
【0025】
請求項5記載の固液分離装置によれば、処理液中に面状に浸漬した不織布を、上辺部に伝達した移動力によって波状に下辺部へ伝搬させて揺らすことができ、少ない駆動力で不織布の全面に処理液を当て、不織布に固形物を均一に付着させることができる。
【0026】
請求項6記載の固液分離装置によれば、固液分離槽の底部に溜まった化成スラッジを、処理液供給口から供給した処理液によって残渣ドレン口から排出除去することができる。
【0027】
請求項7記載の固液分離装置によれば、不織布の移動時、剛性の高いネット材に不織布が挟まれることで、ろ過面積に寄与しなくなる捲れの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る固液分離装置を概念的に表した構成図である。
【図2】不織布とネット材を交互に設けたろ材ユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る固液分離装置を概念的に表した構成図、図2は不織布とネット材を交互に設けたろ材ユニットの側面図である。
本実施の形態に係る固液分離装置11は、固液分離槽13と、固液分離槽13の処理液15に浸漬され処理液15に含まれる固形物を付着させる面状の不織布17と、不織布17の表裏面に処理液15をぶつける方向に不織布17を移動させる不織布移動手段19と、を主要な構成として有している。固液分離槽13には、不織布17への付着により固形物が減量されたろ液を固液分離槽13から排出するオーバーフロー排出口21が設けられる。
【0030】
この他、固液分離装置11には、固液分離槽13へ供給する処理液15を貯留する汚水槽23と、オーバーフロー排出口21から排出された処理液15を一旦貯留して不図示の化成処理槽へ戻す環流槽25と、を備えている。汚水槽23内の処理液15は、汚水槽23と固液分離槽13とを接続する供給管27に設けられた移送ポンプ29によって固液分離槽13に供給される。固液分離装置11では、固形物を分離した後の処理液15は再利用する。したがって、珪藻土などを使わず、ろ材のみでの固形物の除去を可能とする。
【0031】
不織布17はろ材ユニット31として固液分離槽13の上方で吊り持ちされている。本実施の形態では、図中の矢印aで示す流れ方向に沿う方向の駆動軸33が回動自在に支持され、この駆動軸33が駆動モータ35によって回動される。駆動軸33には流下方向に所定間隔を開けて、複数、例えば図示のような3つのろ材ユニット31が設けられている。ろ材ユニット31は支持桟37を有し、この支持桟37がカム機構部39を介して駆動軸33に接続される。カム機構部39は、駆動軸33が回動されることにより、支持桟37を駆動軸33に沿う方向に往復移動させる。
【0032】
なお、ろ材ユニット31を同方向に移動させる機構はこれに限定されるものではなく、同方向への移動を可能とするものであれば、この他、シリンダ機構、リンク機構、ピニオンラック機構等であってもよい。また、ろ材ユニット31の移動は、揺動軸を中心としたスイング(揺動)、スライド(表裏面に垂直方向への平行移動)などであってもよい。
【0033】
不織布17は、上辺部41のみが支持桟37に固定される。不織布17の上辺部41のみが支持桟37によって支持され、浸漬された不織布17は処理液中に吊り下げ状態となる。この状態で支持桟37が不織布17の表裏方向に移動されると、不織布17の上辺部41に伝わった移動が、不織布17を可撓させながら波状に下辺部43へ伝播し、不織布17の上辺部41から下辺部43までの表裏全面を処理液15に均一に当てることが可能となる。不織布17を、波状に揺らす(揺らぐ)ことにより、少ない駆動力で不織布17の全面に処理液15を当て、不織布17に固形物を均一に付着させることができる。
【0034】
図2に示すように、ろ材ユニット31では、不織布17を挟み表裏側には略同形状で且つ不織布17よりも高剛性のネット材45が平行に一体固定される。本実施の形態では、三枚のネット材45と、二枚の不織布17とが交互に配置されている。処理液中に吊り下げられた不織布17が表裏に配置されたネット材同士の間でガイドされ、浮力や水流によって不織布17が捲れなくなる。また、上辺部41に伝達された移動力が下辺部43まで効率良く伝播されるようになっている。これにより、不織布17の移動時、剛性の高いネット材45に不織布17が挟まれることで、ろ過面積に寄与しなくなる捲れの発生を防止することができる。
【0035】
なお、ろ材ユニット31は、カム機構部39に対して着脱自在となっている。つまり、交換可能となっている。また、不織布17及びネット材45のそれぞれも支持桟37に対して着脱自在としてもよく、個々に交換可能となっている。
【0036】
より具体的には、後述するように、不織布17は、素材としてレーヨンを単独で用いる他、レーヨンとポリエステルの多重重ねとすることが好ましい。また、レーヨン製不織布の厚さは0.7mm、目付は150g/m2 程度が好適となる。バブルポイントは、30〜33μm程度が好適となる。
【0037】
なお、不織布17などのろ材は、処理液15がある程度通過するような材質であることが必要となる。また、ネット材45と不織布17は、密着した状態ではなく、不織布17に対して処理液15が通過可能な空間があるほうが良い。
【0038】
固液分離槽13の底部47は、中央部が低いV字状のドレンパン49となる。この底部47には、処理液供給口51と、残渣ドレン口53とが設けられている。不織布17から離脱させた固形物を排除する際、所定時間をかけて固形物を沈降させ、残渣ドレン口53を開くことで、底部47に堆積した固形物を不織布17に再付着させずに効率良く排出できるように構成されている。底部47に排出残りが生じた場合には、処理液供給口51からの処理液15の供給によって洗浄が可能となる。これにより、固液分離槽13の底部47に溜まった化成スラッジを、処理液供給口51から供給した処理液15によって容易且つ迅速に残渣ドレン口53から排出除去することができる。
【0039】
また、固液分離槽13の底部47には、駆動軸33に沿う方向に気泡供給管55が設けられている。気泡供給管55には複数の気泡生成孔57が設けられている。気泡供給管55には図示しないエアージェネレーターが接続され、エアージェネレーターは送気した圧縮を気泡生成孔57から放出することで処理液中に気泡を発生させる。この気泡を不織布17に当てることで、不織布17に付着した固形物を底部47に落下させる。
【0040】
なお、図示は省略するが、固液分離装置11は、ろ材ユニット31を処理液15から引き上げ、下降を繰り返すユニット昇降機構を備えることが好ましい。これにより、エアーバブリングと共に、素早い昇降動作で、より効率的に固形物の離脱が行えるようになる。また、このろ材ユニット31の交換時に、ユニット昇降機構を用いることができる。
【0041】
固液分離装置11には図示しない制御手段が設けられる。制御手段には入出力インターフェースを備えたコンピュータや、プログラマブルシーケンサー等を用いることができる。制御手段は移送ポンプ29の駆動、駆動モータ35の駆動、エアージェネレーターの駆動を制御する。また、制御手段には、固液分離槽13に設けられた濁度計を接続することができる。さらに、制御手段は、内蔵タイマーにより、移送ポンプ29、駆動モータ35、エアージェネレーターの駆動を制御する。これにより、付着と落下を繰り返して連続運転を可能としている。また、タイマーにより不織布17の交換時期を知らせるようにしても良い。このような繰り返し処理を行うことで、除去効率を上げることができる。
【0042】
さらに、制御手段には濁度計が接続されても良い。固形物を落とすタイミングを濁度計で検出するようにする。濁度計で、固液分離槽13の状態を監視し、不織布17の付着状況を把握して、エアーバブリングのタイミングや、ろ材ユニット31の昇降のタイミング、交換のタイミングを得るようにしてもよい。
【0043】
次に、上記の固液分離装置11を用いた固液分離方法を説明する。
本実施の形態による固液分離方法では、金属に対して塗装を行う前の化成処理(ジルコニウム化成処理やリン酸塩被膜処理)にて生ずる処理液15から固形物を分離する例を説明する。その基本動作は、微粒子の固形物を含む処理液15を固液分離槽13に入れ、面状の不織布17を重ね合わせたろ材ユニット31を固液分離槽13に浸し、常にろ材ユニット31を処理液15にぶつける動作を行い、処理液15を不織布17の表面に接触させ、固形物を付着させて分離処理する。
【0044】
付着により固形物が減量されたろ液は、固液分離槽13から排出する。処理液中に浸漬した不織布17が移動されると、処理液15が不織布17に当たり、処理液15の一部分が不織布17を透過するとともに処理液15に含まれる固形物が不織布17に付着する。この透過と付着が繰り返され、不織布17に固形物が堆積して分離される。
【0045】
所定の運転時間の経過後、移送ポンプ29を止め、ろ液の排出を停止し、固液分離槽13の底部47より供給した気泡を不織布17に当て、付着した固形物を離脱させる。処理液15の供給を停止し、処理液15を貯留した状態で底部47にて気泡を発生させ、浮力により上昇する気泡を不織布17に衝突させることで、付着した固形物を不織布17から離脱させることができる。固形物が離脱された不織布17は、再び固形物が付着可能となる。このように、固液分離装置11では、不織布17に付着した固形物を気泡により簡単な構造で離脱させることができ、不織布17の交換サイクルを長くすることができる。
【0046】
また、気泡を供給する際、不織布17は、処理液15から引き上げ降下させることが好ましい。気泡の衝突に加え、不織布17が液面に対して昇降されることによる衝撃で、不織布17からの固形物の離脱性がより高められる。これにより、固形物の離脱性をさらに向上させることができる。
【0047】
したがって、本実施の形態に係る固液分離方法及び固液分離装置11によれば、従来粒径よりも細かい5μm以下の粒径の化成スラッジを含む処理液15から簡素な構造で固形物を分離できる。
【0048】
なお、固液分離装置11は、濁度計の結果によって、固液分離槽13への処理液15の供給を止め、固液分離槽13内に残っている処理液を残渣ドレン口53より全て排出して槽内の洗浄を行い、新たに処理液15の供給を始めて、繰り返し処理を行う。また、残渣ドレン口53から排出された処理液15は、再び汚水槽23に戻され繰り返し処理を行うこととしても良く、或いは別体構成の固液分離装置へ供給とし、処理を行うこととしてもよい。このような濁度に応じた排出処理を行うことで、処理サイクルの速度向上を図ることが可能となる。さらに、上述した気泡の供給等で固形物を固液分離槽13の底部に溜めた後、すなわち濁度計の結果によって、固液分離槽13への処理液15の供給を止め、分離された固形物が沈降するの待った後に、残渣ドレン口53から固形物を排出することとしてもよい。このような繰り返し処理(濾過)を行うことで、より多くの固形物を分離できる。
【0049】
また、固液分離装置11は、既存の固液分離(濾過)装置の前処理装置として用いるものであってもよい。これにより、本固液分離装置が有する固有の粒径固形物の除去能力を有効にして、後段の既存固液分離装置の負荷を軽減できる。
【0050】
さらに、本固液分離装置は、多段に構成することもできる。段階的に固形物の含有量を減らすことで高い浄化を実現できる。
【0051】
また、上記実施の形態では、金属に塗装を行う前の化成処理にて生ずる処理液15から固形物を分離する例を説明したが、本発明に係る固液分離装置11は、ジルコニウムやリン酸亜鉛化合物のスラッジを含む、この他の処理液15から固形物を分離する場合にも好適に用いることができるものである。
【実施例】
【0052】
各種類の不織布をジルコニウム被膜液に入れ、固形物がそれぞれの不織布に付着するかを調べた結果を表1に示す。試験片は、SP1〜SP9の9種類のものを用いた。試験片の大きさは幅4cm、長さ14cmの短冊状とした。各試験片の厚み等、その他の条件は下表1に示す通りとした。
【0053】
【表1】

【0054】
表1から分かるように、目付が高く、バブルポイントが小さいものが固形物の付着が悪いことが知見できた。試験片SP7と試験片SP9の場合は繊維の「こし」が弱いために固形物が付着しにくかった。材質がレーヨン、厚さが0.7mm、目付が150g/m2 の試験片SP1,SP2が不織布の素材として最適であることが知見できた。
【符号の説明】
【0055】
11…固液分離装置
13…固液分離槽
15…処理液
17…不織布
19…不織布移動手段
21…オーバーフロー排出口 37…支持桟
41…上辺部
45…ネット材
47…底部
51…処理液供給口
53…残渣ドレン口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液分離槽の処理液に面状の不織布を浸漬し、
表裏面に前記処理液をぶつける方向に前記不織布を移動させることで前記処理液に含まれる固形物を該不織布に付着させ、
前記付着により前記固形物が減量されたろ液を前記固液分離槽から排出することを特徴とする固液分離方法。
【請求項2】
請求項1記載の固液分離方法であって、
前記ろ液の排出を停止し、
前記固液分離槽の底部より供給した気泡を前記不織布に当てて付着した固形物を離脱させることを特徴とする固液分離方法。
【請求項3】
請求項2記載の固液分離方法であって、
前記気泡の供給とともに前記不織布を処理液から引き上げ降下させることを特徴とする固液分離方法。
【請求項4】
固液分離槽と、
前記固液分離槽の処理液に浸漬される面状の不織布と、
前記不織布の表裏面に前記処理液をぶつける方向に該不織布を移動させる不織布移動手段と、
前記不織布への付着により前記固形物が減量されたろ液を前記固液分離槽から排出するオーバーフロー排出口と、
を具備することを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項4記載の固液分離装置であって、
前記不織布は、上辺部のみが支持桟に固定されることを特徴とする固液分離装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の固液分離装置であって、
処理液供給口と残渣ドレン口が前記固液分離槽の底部に設けられることを特徴とする固液分離装置。
【請求項7】
請求項4,5,6のいずれか1つに記載の固液分離装置であって、
前記不織布を挟み表裏側には略同形状で且つ該不織布よりも高剛性のネット材が平行に一体固定されることを特徴とする固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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