説明

固液分離洗浄システム

【課題】浄水場等の濾過池に敷設されている濾過材を、洗浄しながら短時間で簡単に且つ確実に分離し、しかも濾過材を洗浄・再生し、リサイクル可能にする。
【解決手段】本発明は、汚水とともに濾過材Pが第1固液分離洗浄装置C供給されると、濾過材Pは旋廻筒2で旋廻しながら洗浄され、洗浄された濾過材Pは汚い水と分離される。洗浄された濾過材は、第2固液分離洗浄装置においてさらに、旋回流タンク40で旋廻しながら洗浄され且つ汚い水と分離され、旋回流タンクから落下した濾過材は、逆洗浄タンク30内で逆洗浄される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浄水場等の濾過池に敷設されている砂利、砂等の濾過材を含んだ汚水を旋回させ、この汚水中に含まれる砂塵と水とを分離すると共に、前記濾過材を洗浄・再生し、リサイクル可能にした固液分離洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、浄水場に設けた濾過池は、支持層の上面に濾過材を敷き詰めて濾過層を形成し、該濾過層に原水を透過させて濁質(懸濁物質や汚泥等)を取り除く構造物であり、前記濾過池では、濾過層の表層に濁質が溜まるため、この表層を中心に空気洗浄や逆洗といった定期的な洗浄を行っている。
【0003】
しかしながら、ある程度の期間が経つと、濁質が濾過層の内部まで潜り込み、また、濾過層自体に濁質が付着して目詰まりを誘発し、処理効率を低下させるため、濾過材を引き抜いて洗浄・再生し、再利用する必要がある。
【0004】
このような濾過材等の粒状物の洗浄と、固液分離を行うための固液分離洗浄装置として、従来、移送ラインの終端に接続された流入口から螺旋終端に向けて螺旋流路を形成し、該螺旋流路の天井を遮蔽、底に床部を形成し、床部に分離穴を形成した固液分離洗浄部と、該螺旋流路の終端に連通し鉛直上方向に延びて螺旋流路の天井よりも高い位置で液体をオーバーフローさせるオーバーフロー部と、固液分離洗浄部を蓋にしてその下方に備え付けられ、前記分離穴を介して螺旋流路に連通する貯留槽と、貯留槽内に沈降堆積した粒状物を排出する排出部と、螺旋流路の少なくとも一部領域に設けられ、液体及び粒状物の流れに障害を与えることで当該流れを乱流化して粒状物の表面付着物の剥離を促進させる流れ障害部と、を備えてなる固液分離洗浄装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【0005】
すなわち、この固液分離洗浄装置を概略すれば、螺旋状に形成した管路内に砂利、砂等の濾過材を含んだ汚水を流水させることにより、濾過材が洗浄されると共に、前記管路の底部に形成した分離穴を通じて、前記濾過材だけを落下させて固液分離する構造にしたものである。
【特許文献1】特開2005−305304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の固液分離洗浄装置では、多量に流れる前記濾過材が、前記分離穴に目詰まりし易く、前記管路の底部に形成した分離穴を通じて全ての濾過材を効率よく分離できないうえ、作業時間も長期化し、しかも、該固液分離洗浄装置の保守管理を頻繁に行う必要が有るので、極めて不経済であるなどの問題があった。
【0007】
しかも、環境問題が重要視される最近においては、再利用される濾過材の洗浄基準(洗浄精度)が厳しく要求される場合もある。しかしながら、従来の固液分離洗浄装置では、液体及び粒状物の流れに障害を与えることで当該流れを乱流化して粒状物の表面付着物の剥離を促進させる構成であるため、濾過材の洗浄精度が要求される場合に、その洗浄精度に限界があり、その結果、確実な分離洗浄作業を行うことができない問題があった。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするもので、浄水場等の濾過池に敷設されている砂利、砂等の濾過材を、確実に洗浄しながら短時間で簡単に且つ確実に分離し、しかも濾過材を洗浄・再生し、リサイクル可能にした固液分離洗浄システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、汚水中に含まれる砂利、砂等の濾過材と水とを分離すると共に、前記濾過材を洗浄する固液分離洗浄システムであって、汚水とともに濾過材が供給される第1固液分離洗浄装置と、該第1固液分離洗浄装置で洗浄された濾過材をさらに洗浄する第2固液分離洗浄装置とを備え、前記第1固液分離洗浄装置は、筒状体の底部を漏斗状に形成し、該漏斗状の下端を排出口にしてなるホッパー本体と、前記ホッパー本体の排出口に連結され、該排出口を通じて排出される砂等を第2固液分離洗浄装置に輸送する送り手段と、前記ホッパー本体内に固定された上下に開放した円筒の側壁内に、砂塵等の濾過材を含んだ汚水を前記側壁内周方向に噴出させる噴出口を開設してなる旋回筒と、前記ホッパー本体の上端外周に該ホッパー本体上端からオーバーフローした水を受け止めて一方向に集水可能な樋受部とを備え、前記第2固液分離洗浄装置は、筒状体の底部に排出口を有する洗浄タンクと、前記洗浄タンクの上部に固定され且つ前記濾過材が供給される旋回流タンクと、前記洗浄タンクの下部に設けられ且つ前記旋回流タンクから落下して洗浄タンクの下部に溜まった濾過材を洗浄すべく、洗浄タンク内に水を散水する散水手段とを備えていることにある。
【0010】
すなわち、第1固液分離洗浄装置においては、ホッパー本体内に、上下に開放した円筒状の旋回筒を配置しており、この旋回筒内に砂塵等の濾過材を含んだ汚水を旋回させることにより、前記濾過材を洗浄しながら、該濾過材のうち所定以上の粒径を有するものが、その自重によって旋回筒内を旋回する水の流れ(以下、「旋回流」と呼ぶ。)に乗れずに、前記円筒の下方に自然落下して分離される構造にしている。
【0011】
このように、第1固液分離洗浄装置によれば、旋回流に乗れない所定以上の粒径を有する全ての濾過材は、洗浄されながら自重によって自然落下して、水と簡単に且つ確実に分離される。
【0012】
また、旋回筒は、上下に開放した円筒であるため、分離された所定以上の粒径を有する濾過材が前記旋回筒に目詰まりを生じることがなく、作業時間も短時間で行うことができるのであり、しかも、保守管理を頻繁に行う必要がないため、極めて経済的である。
【0013】
また、本発明の第2固液分離洗浄装置は、前記第1固液分離洗浄装置において洗浄された濾過材を、旋回流タンクにより水と分離しながら洗浄し、旋回流タンクの下方に落下させる。落下した濾過材は洗浄タンクの下部に貯留し、この貯留した濾過材は、散水手段から散水される水によりさらに洗浄される。
【0014】
また、本発明の第2固液分離洗浄装置においては、旋回流タンクから旋廻しながら濾過材は落下するため、濾過材が前記旋回筒に目詰まりを生じることがなく、作業時間も短時間で行うことができるのであり、しかも、保守管理を頻繁に行う必要がないため、極めて経済的である。
【0015】
このように、第1固液分離洗浄装置および第2固液分離洗浄装置を通して当該濾過材を確実に洗浄し、再生してリサイクルすることができるのである。
【0016】
前記固液分離洗浄システムにおいて、前記洗浄タンク内に散水手段から散水される水を、洗浄タンクからオーバーフローさせ、オーバーフローする水が設定濁度になるまで濾過材を逆洗浄することにある。
【0017】
このように、洗浄タンクでオーバーフローする水が設定濁度になるまで濾過材を逆洗浄するので、濾過材の洗浄精度を向上し、リサイクル品として安定した良品質の濾過材とすることができる。
【0018】
前記第1固液分離洗浄装置の上流側には、所定の大きさに形成した網目を設けて砂利、砂等の濾過材を通過させることにより、所定以上の大きさの砂利、砂等を分級するためのふるい手段を設け、且つ、前記樋受部で集水された水および前記旋回流タンクから排出された水は、濾過フィルターを通じて、前記水に含まれている微細な粉塵を濾過する濾過手段に給水されると共に、濾過後の濾過水を、本システム内の所定の装置に給水して再利用可能に構成したことにある。
【0019】
すなわち、濾過池等から汲み上げた汚水に含まれる濾過材には、小石や砂利などの粗目の濾過材が含まれていることも多く、具体的には、2mm以上の大きさの砂利、砂等が含まれている。
【0020】
このような粗目の濾過材は、本発明の第1固液分離洗浄装置の旋回筒で分離洗浄することも可能ではあるが、これら粗目の濾過材は、前記第1固液分離洗浄装置を用いなくても既存のふるい手段によって容易に排除することが可能ある。
【0021】
また、これら粗目の濾過材を、細かな濾過材と一緒に本装置の旋回筒にて旋回させると、いきおい旋回流の流れがスムーズに行われない可能性もある。
【0022】
そのため、本発明の固液分離洗浄システムは、濾過池等から汲み上げた汚水のうち、所定の大きさの砂利、砂等だけを予めふるい手段で分級して取り除くことで、2mm以下の濾過材だけを含んだ汚水を旋回筒でスムーズ旋回させることができ、確実な分離洗浄作業を行うものである。
【0023】
更に、前記のように、旋回筒内の旋回流に乗れずに自然落下した濾過材は、自重によって落下して分離されるが、非常に自重の軽い微細な粉塵(肉眼で識別し難い程度の粉塵)は、前記旋回流に乗りながら、水と一緒に排水処理される。
【0024】
そのため、本発明の固液分離洗浄システムは、旋回流と共に浮遊されている細かな粉塵を更に濾過手段で濾過すると共に、濾過後の綺麗な水である濾過水を、本システム内の所定の装置にポンプ等で循環させて給水し、再利用するものである。
【0025】
このように、本発明の固液分離洗浄システムでは、旋回流をスムーズに旋回させて、確実な分離洗浄作業を行って濾過材を再利用できるうえ、濾過水をも本システム内で使用される多量の水として再利用することで、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0026】
また、記載の固液分離洗浄システムにおいて、前記前記第2固液分離洗浄装置の洗浄タンク内で気泡を発生させる構成としたことにある。かかる場合には、逆洗浄時の洗浄効果を高めることができ、その結果、洗浄能能力の向上と洗浄作業の時間短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、第1固液分離洗浄装置および第2固液分離洗浄装置で濾過材を洗浄する構成であるため、濾過材を水と簡単且つ確実に分離させて濾過材をより確実に洗浄し、再生してリサイクルすることができる。
【0028】
また、第1固液分離洗浄装置の旋回筒および第2固液分離洗浄装置の旋回流タンクは、円筒であり、濾過材は旋回筒および旋回流タンクを旋廻しながら落下するため、分離された所定以上の粒径を有する濾過材が前記旋回筒および旋回流タンクに目詰まりを生じることがなく、作業時間も短時間で行うことができ、しかも、保守管理を頻繁に行う必要がないため、極めて経済的である。
【0029】
また、本発明は、濾過池等から汲み上げた汚水のうち、所定の大きさの砂利、砂等だけを予めふるい手段によって分級することで、旋回流をスムーズに旋回させて、確実な分離洗浄作業を行うことができる。しかも、旋回流と共に浮遊されている細かな粉塵を更に濾過手段で濾過することで、濾過後の綺麗な水である濾過水を再利用して、大幅なコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る固液分離洗浄システムを、図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る固液分離洗浄システムの一実施例を概略したシステム全体図である。かかる固液分離洗浄システムは、1次ふるい機A、2次ふるい機B、第1固液分離洗浄装置C、第2固液分離洗浄装置D、固液分離処理装置Eおよび3次ふるい機Fとを備えている。
【0032】
前記1次ふるい機Aは、所定の大きさに形成された網目(不図示)を備え、この網目通過させて、前記所定以上の大きさの砂利、砂等を分級可能に構成されている。すなわち、1次ふるい機Aは、浄水場等の濾過池等からバックホウ又は人力等によって搬出された濾過材Pを、30mmの大きさに形成した網目を通過させることにより、30mm以上の濾過材P(小石、砂利等)を分級して除去することができるものである。
【0033】
1次ふるい機Aの下方には、1次ふるい機Aの網目を通過した濾過材Pが投入されるホッパー7が配置されている。このホッパー7の下部には、1次ふるい機の網目を通過したホッパー内の濾過材Pを、前記2次ふるい機Bに輸送管8を介して流送する送り手段としてのジェットポンプ9が設けられている。
【0034】
前記2次ふるい機Bは、前記第1固液分離洗浄装置Cの上方に配置され、例えば2mmの大きさに形成した網目を備え、2mm以下の濾過材Pを含んだ汚水Wだけを通過させ、2mm〜30mmの濾過材P(小石、砂利等)を分級して除去することができる。
【0035】
前記第1固液分離洗浄装置Cは、図6および図7に示すように、筒状体の底部11を漏斗状に形成し、該漏斗状の下端を排出口12にしてなるホッパー本体1と、このホッパー本体1の排出口12に連結され、該排出口12を通じて排出される砂等を前方に輸送可能な送り手段としてのジェットポンプ13と、前記ホッパー本体1内に連結アーム21を介して固定された上下に開放した円筒の側壁22に、砂塵等の濾過材Pを含んだ汚水Wをポンプを介して前記側壁22内周方向に噴出させる噴出口23を開設してなる旋回筒2と、前記ホッパー本体1の上端外周に該ホッパー本体1上端からオーバーフローした水W1を受け止めて一方向に集水可能な樋受部3と、より構成してなる。
【0036】
本実施の形態では、ホッパー本体1の底部11上位に、壁面から中央に向けて下方に傾斜されたドーナツ状の仕切り板14が設けられており、仮に、濾過材Pがホッパー本体1内の水流に影響されて飛散しても、仕切り板14の上面に落下された濾過材Pは、仕切り板14の傾斜に沿って中央に誘導され、排出口12に向けてスムーズに落下するようにしている。
【0037】
また、仕切り板14は、下方に落下されて沈殿した濾過材Pを、ホッパー本体1内の水流に影響されて上方に舞い上がることも防止している。
【0038】
旋回筒2は、ホッパー本体1の略中央に固定して設置され、具体的には、ホッパー本体1の側壁内面の上端付近に連結アーム21の一端を固定すると共に、該連結アーム21の他端を旋回筒2の側壁外面に固定して設置されている。
【0039】
また、旋回筒2は、上下に開放した単なる円筒でも構わないが、本図で示すように円筒の下端を漏斗状に形成すれば、旋回流に乗れずに自然落下される濾過材Pを、旋回筒2の略中央に集約して、濾過材Pを簡単に回収できるため好ましい。
【0040】
本実施の形態では、旋回筒2と、ホッパー本体1の排出口12との間に、上方に尖った円錐状のジャマ板4を設置しており、このジャマ板4によって、旋回筒2から濾過材Pがスムーズに落下できるようにしている。
【0041】
なお、旋回筒2の上端面の位置は、ホッパー本体1の上端面の位置よりも下位に位置付けている。このように設置された旋回筒2の側壁22には、砂塵等の濾過材Pを含んだ汚水Wを既存のポンプ(不図示)を介して側壁22内周方向に噴出させる噴出口23を開設している。
【0042】
樋受部3は、ホッパー本体1の上端からオーバーフローする水W1を受け止め可能な溝状に形成すると共に、一方向に向けて傾斜させている。そのため、ホッパー本体1の上端からオーバーフローした水W1は、樋受部3を通じて一方向に集水される。このように集水された水W1は、図1に示す樋受部3に接続された排出管25を通して排出される。
【0043】
前記第2固液分離洗浄装置Dは、前記第1固液分離洗浄装置Cの下流側に配置されている。この第2固液分離洗浄装置Dは、図2に示すように、筒状体の底部31を漏斗状に形成し、該漏斗状の下端を排出口32にしてなる洗浄タンクとしての逆洗浄タンク30と、該逆洗浄タンク30の上部にサポート33を介して固定された旋回流タンク40と、前記逆洗浄タンク30の下部内に設けられた散水手段50とを備えている。
【0044】
旋回流タンク40は、その下部40aが先細りテーパー状に形成された筒状体(サンドセパレーター)からなり、下端は前記逆洗浄タンク30上部の内で且つ中央に臨んでいる。旋回流タンク40の円筒状周壁41には、旋回流タンク40内外を連通するスラリー入り口部43が設けられている。このスラリー入り口部43と前記ジェットポンプ13とは、輸送管44を介して接続されている。
【0045】
従って、前記ホッパー本体1の底部11の濾過材Pは、ホッパー本体1の底部11中央の排出口12に集められ、該排出口12を通じて、ジェットポンプ13によって輸送管44を介して旋回流タンク40に送流される。
【0046】
また、旋回流タンク40の上壁40bには、旋回流タンク40内外を連通する排出口部45が設けられている。この排出口部45には排出管46が接続されており、旋回流タンク40内で遠心分離により分離された水W2は、排出管46を通して排出される。
【0047】
逆洗浄タンク上部30aの内周には、この逆洗浄タンク30内からオーバーフローする水を受け止めて一方向に集水可能な樋受部35が設けられている。この樋受部35は、逆洗浄タンク上部30aに設けられ且つ中央部が開口する水平な環状板36と、この環状板36の上面に逆洗浄タンク上部30aの内周面と間隔Lを有して固定された筒状部37と、この筒状部37の上端から逆洗浄タンク中心側に延設された環状の案内部38とから構成されている。
【0048】
案内部38の内周径は、環状板36の内周径と同等に設定されており、環状板36および案内部38の中心に開口39が形成されている。そして、この開口30に旋回流タンク40の下端が挿入されているとともに、逆洗浄タンク30の上端からオーバーフローした水は、開口39を介して案内部38を流れ、樋受部35に集水される。
【0049】
また、逆洗浄タンク上部30aには、樋受部35に連通する排出口部34が設けられている。樋受部35に集水された水は、この排出口部34に接続された排出管49を通しては排出される。
【0050】
前記散水手段50は、洗浄水を逆洗浄タンク30内に散水して、旋回流タンク40から落下した濾過材Pの洗浄を行うことが可能なもので、逆洗浄タンク下部30bに設置されている。散水手段50は、逆洗浄タンク30の直径方向に配置された主散水管51と、この主散水管51から直角方向に接続された複数本の分岐散水管52とからなる。
【0051】
分岐散水管52は、互いに所定の間隔を有して平行になっており、それぞれの長さは、各先端が逆洗浄タンク内周面に接近する程度に設定されている。また、各分岐散水管52には、その基部から先端にわたって複数のノズル口(不図示)が下向きに形成されている。このように、ノズル口を下向きに形成することにより、洗浄水を下向きに噴出し、逆洗浄タンク30の下部に蓄積した濾過材Pを攪拌して浮遊させることができる。
【0052】
主散水管51の一端部は逆洗浄タンク30から外部に突出された散水管入り口部54が設けられ、この散水管入り口部54は、洗浄水供給管55を介してポンプP1に接続されている。ポンプP1は散水手段50に供給する洗浄水の量が調整できるように、制御可能となっている。従って、大量の洗浄水を散水手段50に供給することにより、濾過材Pを浮遊させて逆洗浄作業が可能となる。
【0053】
また、逆洗浄作業の際よりも少量の洗浄水を散水手段50から散水し、水を逆洗浄タンク30からオーバーフローさせながら洗浄作業を行うことも可能である。この作業は、逆洗浄作業までは必要ないが、濾過材Pを適宜洗浄する場合に行われる。なお、逆洗浄作業を行った後に、かかる逆洗浄作業以外の洗浄作業を行うことも可能である。
【0054】
逆洗浄タンク30の下部に設けられた排出口32には、送り手段としてのジェットポンプ57を介して輸送管58が接続されている。従って、逆洗浄タンク30で洗浄された濾過材Pは、ジェットポンプ57により輸送管58を通して前記固液分離処理装置Eに供給される。
【0055】
前記固液分離処理装置Eは、前記第2固液分離洗浄装置Dで洗浄された濾過材Pを、さらに細砂に分け、脱水させるドラムスクリーン60と、第1固液分離洗浄装置Cの樋受部3で集水された水W1、および第2固液分離洗浄装置Dの旋回流タンク40から排出された水W2を濾過する濾過手段61とを備えている。なお、樋受部3で集水された水W1は、前記排出管25を通して濾過手段61に供給される。また、旋回流タンク40から排出された水W2は、排出管46を通して濾過手段61に供給される。
【0056】
本実施の形態に係る固液分離洗浄システムは以上の構成からなり、次にかかる固液分離洗浄システムを使用して浄水場等の濾過池等から搬出された濾過材Pを処理する場合について説明する。
【0057】
先ず、浄水場等の濾過池等からバックホウ又は人力等の適宜手段によって搬出された濾過材Pを、ベルトコンベア等で1次ふるい機Aに投入する。30mmの大きさに形成した網目を通過させることにより、この1次ふるい機Aにて30mm以上の濾過材P(小石、砂利等)を分級して除去する。
【0058】
この1次ふるい機Aを通過した濾過材Pは、輸送管8を通じて第1固液分離洗浄装置Cの上方に設置された2次ふるい機Bに送給される。2次ふるい機Bの2mmの大きさに形成した網目を通過させることにより、この2次ふるい機Bで2mm〜30mmの濾過材P(小石、砂利等)を分級して除去する。
【0059】
ここで、2mm以下の濾過材Pを含んだ汚水Wだけを第1固液分離洗浄装置Cの対象にしたのは、2mm以下の細かな濾過材P含んだ汚水Wを確実に固液分離することが従来の固液分離装置では困難なためであるが、その大きさは特に限定されるものではない。
【0060】
本実施例では、この2次ふるい機Bで除去された2mm以上の濾過材P(小石、砂利等)は、従来の固液分離洗浄装置(3次ふるい機F)によって洗浄した後、所定の大きさに形成した網目を通過させて、例えば2〜5mm、5〜10mm、10〜20mm、20mm〜30mmに分別して、これら濾過材P(小石、砂利等)を洗浄・再生してリサイクルすれば良い。
【0061】
そして、2次ふるい機Bによって除去されない2mm以下の濾過材Pを含んだ汚水Wだけを第1固液分離洗浄装置Cに供給する。かかる第1固液分離洗浄装置Cは以下のように作用する。
【0062】
先ず、ホッパー本体1に水W1を充満し、旋回筒2を水中に浸水させたうえで、ポンプ(不図示)を駆動すると、2次ふるい機Bによって除去されない2mm以下の砂塵等の濾過材Pを含んだ汚水Wは、旋回筒2の噴出口23より噴出され、図6中の実線矢印で示すように、旋回筒2の側壁22に沿って内周方向に旋回することで、旋回流を発生して、濾過材Pを洗浄する。
【0063】
前記旋回流は、噴出口23近傍では流速が速いが、旋回筒2内を旋回するうち次第に流速が遅くなってくるため、汚水Wに含まれていた濾過材Pは、旋回流に乗れずに、次第に自重によって旋回筒2の下方に自然落下されて、水W1と分離される。
【0064】
そして、落下した濾過材Pは、ホッパー本体1の底部11中央の排出口12に集められ、該排出口12を通じて、ジェットポンプ13によって下流の第2固液分離洗浄装置Dに流送される。
【0065】
一方、濾過材Pが落下して分離された水W1は、図6中の白抜き矢印で示すように、旋回筒2の上面からオーバーフローしてホッパー本体1に充填され、更に、ホッパー本体1が満水になれば、ホッパー本体1の上端からオーバーフローして、樋受部3に受け止められる。
【0066】
そして、樋受け部3は、一方向に集水され、集水された水W1は、排出管25を通して濾過手段61に供給される。該濾過手段61を通じて、水W1に含まれている微細な粉塵を除去して該粉塵を濾過材として再利用できる。
【0067】
かかる第1固液分離洗浄装置Cによれば、旋回流に乗れない全ての濾過材Pは、洗浄されながら自重によって水Wと簡単且つ確実に分離されるため、濾過材Pを洗浄・再生してリサイクルすることができる。
【0068】
また、濾過材Pが旋回筒2に目詰まりすることがないうえ、作業時間を短時間で行うことができるので、保守管理を頻繁に行う必要がなく、極めて経済的である。
【0069】
次に、第2固液分離洗浄装置Dの作用について説明する。
【0070】
第2固液分離洗浄装置Dの旋回流タンク40に、第1固液分離洗浄装置Cから濾過材Pを含んだ汚水Wが流送されると、スラリー入り口部43から濾過材Pを含んだ汚水Wが噴出される。汚水Wは、図4に実線矢印で示すように、旋回流タンク40の側壁に沿って内周方向に旋回することで、旋回流を発生して、濾過材Pを洗浄する。前記と同様に、汚水Wに含まれていた濾過材Pは、遠心分離作用により、次第に自重によって旋回筒2の下方に自然落下されて、水W2と分離される。
【0071】
旋回流タンク40から順次落下した濾過材Pは、逆洗浄タンク30の底部に蓄積される。濾過材Pが所定量に達した後に、蓄積された濾過材Pの逆洗浄を行う。具体的には、第1固液分離洗浄装置Cからの濾過材Pの流送を一旦停止し、散水手段50に洗浄水がポンプP1により供給されると、分岐散水管52のノズル口53から洗浄水が下方に向けて噴出する。かかる洗浄水は、逆洗浄タンク30の底部に蓄積されている濾過材Pを攪拌および上方に浮遊させながら次第に増水する。
【0072】
洗浄水は、逆洗浄タンク30の上部に設けられた開口39からオーバーフローし、案内部38上面を流れ、樋受部35に集水される(図5参照)。樋受部35に集水された水W3は、排出口部34に接続された排出管49を通しては排出される。
【0073】
かかる逆洗浄時に、濾過材Pは上方に向けて浮遊し、逆洗浄タンク30の上部に達する場合があっても、環状板36が邪魔板の機能を有し、その結果、濾過材Pが水W3とともに不用意にオーバーフローするのを防止できる。
【0074】
このように、洗浄水を散水しながら逆洗浄を所定時間継続し、オーバーフローする水W3が所定の濁度(例えば、洗浄排水濁度が2度未満)になれば、逆洗浄の運転を停止する。
【0075】
さらに、第2固液分離洗浄装置Dで洗浄された濾過材Pは、排出口32および輸送管58を通じて、ジェットポンプ57によって下流の固液分離処理装置Eに流送される。そして、流送された濾過材Pを、ドラムスクリーン60で除去した砂を脱水して適宜排出する。
【0076】
また、逆洗浄作業を行わない場合には、洗浄水(水W3)がオーバーフローする程度に洗浄水の散水量を調整する。かかる場合には、洗浄作業を連続して行え第1固液分離洗浄装置Cからの濾過材Pの流送を一旦停止する必要がないので、洗浄水の排出による洗浄を行いながら、1次ふるい機Aから固液分離処理装置Eに到るまでの一連の処理作業を連続して行なうことが可能となる。
【0077】
また、前記逆洗浄に際して、洗浄水に空気を混入させて、洗浄水とともに気泡を発生せてもよい。かかる場合には、洗浄時に浮遊する細かい藻類やゴミ等を気泡に吸着させて水と一緒に効率よく排水することができ、洗浄能力の向上と洗浄作業の時間短縮を図ることができる。
【0078】
なお、空気は、図1に示すように、前記散水手段50とは別に気泡発生器62を逆洗浄タンク30の下部に設け、この気泡発生器62にブロワー等の空気供給手段63から空気を圧送することにより、気泡を発生させてもよい。
【0079】
旋回流タンク40から排出された水W2は、排出管46を通して排出され固液分離処理装置Eの濾過手段61に供給され、該濾過手段61を通じて、水W2に含まれている微細な粉塵を除去して該粉塵を濾過材として再利用できる。
【0080】
また、濾過手段61を通じた水は、微細な粉塵が除去された綺麗な水(以下、「濾過水」と呼ぶ。)であるため、この濾過水を適宜ポンプで汲み上げて水道管を通じて1次ふるい機A、2次ふるい機B、第1固液分離洗浄装置C、第2固液分離洗浄装置D、固液分離処理装置Eおよび3次ふるい機Fのいずれかに送給して再利用することができる。
【0081】
本実施の形態の固液分離洗浄システムによれば、濾過池等から汲み上げた汚水のうち、所定の大きさの砂利、砂等だけを予め1次ふるい機A、2次ふるい機B、3次ふるい機Fによって分級するため、第1固液分離洗浄装置Cおよび第2固液分離洗浄装置Dでの旋回流をスムーズに旋回させることができ、より確実な分離洗浄作業を行うことができる。
【0082】
しかも、旋回流と共に浮遊されている細かな粉塵を更に濾過手段61で濾過することで、濾過後の綺麗な水である濾過水も再利用でき、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0083】
また、第1固液分離洗浄装置Cは、旋回筒2の下端を漏斗状に形成しており、旋回流に乗れずに自然落下した濾過材Pが、前記旋回筒の略中央に集約されるため、濾過材Pを簡単に回収できるのである。
【0084】
また、第1固液分離洗浄装置Cは、旋回筒2と、ホッパー本体1の排出口との間に、上方に尖った円錐状のジャマ板14を設けてなるので、旋回流に乗れずに自然落下される濾過材が、前記ジャマ板14に当って落下されるため、濾過材Pをスムーズに落下させることができ、作業時間を更に短縮できる。
【0085】
なお、本実施の形態に係る固液分離洗浄システムは、一般には浄水場等の濾過池付近に設置されるが、例えば、車両の荷台に設置して移動させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る固液分離洗浄システムの一実施例を概略したシステム全体図である。
【図2】同固液分離洗浄システムに使用される第2固液分離洗浄装置の縦断面図である。
【図3】(a)は第2固液分離洗浄装置の平面図、(b)は第2固液分離洗浄装置の断面平面図である。
【図4】第2固液分離洗浄装置で濾過材と汚水とを分離する状態を示す断面図である。
【図5】第2固液分離洗浄装置で逆洗浄をする状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る固液分離洗浄システムに使用される第1固液分離洗浄装置の一実施例を示す一部破断された状態の概略斜視図である。
【図7】図6で示した第1固液分離洗浄装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0087】
A 1次ふるい機(ふるい手段)
B 2次ふるい機(ふるい手段)
C 第1固液分離洗浄装置
D 第2固液分離洗浄装置
E 固液分離処理装置
F 3次ふるい機(ふるい手段)
W 汚水
W1 水
W2 水
W3 水
1 ホッパー本体
11 底部
12 排出口
13 ジェットポンプ(送り手段)
2 旋回筒
22 側壁
23 噴出口
3 樋受部
4 ジャマ板
30 逆洗浄タンク(洗浄タンク)
31 底部
32 排出口
35 樋受部
40 旋回流タンク
47 ジェットポンプ(送り手段)
50 散水手段
51 主散水管
52 分岐散水管
57 ジェットポンプ(送り手段)
60 ドラムスクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水中に含まれる砂利、砂等の濾過材と水とを分離すると共に、前記濾過材を洗浄する固液分離洗浄システムであって、
汚水とともに濾過材が供給される第1固液分離洗浄装置と、該第1固液分離洗浄装置で洗浄された濾過材をさらに洗浄する第2固液分離洗浄装置とを備え、
前記第1固液分離洗浄装置は、筒状体の底部を漏斗状に形成し、該漏斗状の下端を排出口にしてなるホッパー本体と、前記ホッパー本体の排出口に連結され、該排出口を通じて排出される砂等を第2固液分離洗浄装置に輸送する送り手段と、前記ホッパー本体内に固定された上下に開放した円筒の側壁内に、砂塵等の濾過材を含んだ汚水を前記側壁内周方向に噴出させる噴出口を開設してなる旋回筒と、前記ホッパー本体の上端外周に該ホッパー本体上端からオーバーフローした水を受け止めて一方向に集水可能な樋受部とを備え、
前記第2固液分離洗浄装置は、筒状体の底部に排出口を有する洗浄タンクと、前記洗浄タンクの上部に固定され且つ前記濾過材が供給される旋回流タンクと、前記洗浄タンクの下部に設けられ且つ前記旋回流タンクから落下して洗浄タンクの下部に溜まった濾過材を洗浄すべく、洗浄タンク内に水を散水する散水手段とを備えていることを特徴とする固液分離洗浄システム。
【請求項2】
前記請求項1に記載の固液分離洗浄システムにおいて、前記洗浄タンク内に散水手段から散水される水を、洗浄タンクからオーバーフローさせ、オーバーフローする水が設定濁度になるまで濾過材を逆洗浄することを特徴とする固液分離洗浄システム。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の固液分離洗浄システムにおいて、前記第1固液分離洗浄装置の上流側には、所定の大きさに形成した網目を設けて砂利、砂等の濾過材を通過させることにより、所定以上の大きさの砂利、砂等を分級するためのふるい手段を設け、且つ、前記樋受部で集水された水および前記旋回流タンクから排出された水は、前記水に含まれている微細な粉塵を濾過する濾過手段に給水されると共に、濾過後の濾過水を、本システム内の所定の装置に給水して再利用可能に構成したことを特徴とする固液分離洗浄システム。
【請求項4】
前記請求項2に記載の固液分離洗浄システムにおいて、前記前記第2固液分離洗浄装置の洗浄タンク内で気泡を発生させる構成としたことを特徴とする固液分離洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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