説明

固液分離装置、濾過装置、および固液分離方法

【課題】濾過装置の2次脱水機構として用いて、被処理物(ケーキ)の含液率を均一かつ十分に低減することができるとともに連続的な固液分離を可能とする。
【解決手段】周方向に回転させられる分離ロール7の外周に、無端状の一対の分離濾布1、8が重ね合わされて巻回されつつ分離ロール7の回転方向Tに沿って走行可能とされ、これらの分離濾布1、8間に供給された被処理物Pが、分離ロール7の外周面で分離濾布1、8間に挟み込まれて圧搾されて、分離ロール7の外周面に形成された通気孔9から通気される通気ガスAによって脱水させられる固液分離装置にあって、分離ロール7の外周面と分離ロール7側の分離濾布1との間に、通気ガスAをこれら分離ロール7の外周面と分離濾布1との間で分散させる分散手段25を介装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に複数のロールに巻回されて走行する濾布上に供給された被処理物を濾過する水平式真空濾過装置、ドラム式真空濾過装置、および機械圧搾脱水機構のみのベルトプレス脱水機のような濾過装置の2次脱水機構として用いて好適な固液分離装置、該固液分離装置を用いたこのような濾過装置、および固液分離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような濾過装置のうち、例えば水平式真空濾過装置は一般に、真空トレイ上を連続的あるいは間欠的に走行する濾布の上に被処理物を供給し、この濾布を介して真空トレイにより真空吸引することによって濾過するものであり、またドラム式真空濾過装置は一般的に液槽内の被処理物スラリー中に浸漬された濾布を介する真空室により真空吸引することにより濾過するものであるが、通常は大気圧よりも大きな差圧を作用させることができない。このため、濾過されたケーキの到達含液率が目標値を達成することが難しく、当該濾過装置の後段にこれとは別に遠心分離機やフィルタープレス等の2次脱水装置を用意しなければならないことが多い。
【0003】
そこで、本発明の発明者等は、例えば特許文献1、2において、このような水平式真空濾過装置の真空トレイのみによる濾過の後段に、濾過されたケーキに向けて進退可能な枠状または環状のシール材を有するシール手段と、このシール材の開口面内側で加圧板や圧力流体(エアー等)によってケーキを加圧する加圧手段とを備えた固液分離装置を設け、この後段に濾布の走行によって移動してきたケーキにシール材を密着させ、その内側で加圧手段によりケーキを加圧して脱水するものを提案している。
【特許文献1】特開2006−297366号公報
【特許文献2】特開2007−83117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような固液分離装置を設けた水平式真空濾過装置等においても、被処理物の組成や性状によっては、加圧板や加圧ロールによる濾布に垂直な方向への面圧あるいは線圧だけでは、ケーキの含液率を十分に目標値を達成することが困難となる場合がある。また、上述のように濾布の走行によって後段に移動したケーキにシール材を前進させて密着させた上で加圧する固液分離装置では、濾布が連続的に走行する場合にそのまま適用することはできない。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、濾過装置の2次脱水機構として用いて、被処理物(ケーキ)の含液率を均一かつ十分に低減することができるとともに連続的な固液分離が可能な固液分離装置、該固液分離装置を2次脱水機構として備えた濾過装置、および固液分離方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の固液分離装置は、周方向に回転させられる分離ロールの外周に、無端状の一対の分離濾布が重ね合わされて巻回されつつ上記分離ロールの回転方向に沿って走行可能とされ、これらの分離濾布の間に供給された被処理物が、上記分離ロールの外周面で該分離濾布の間に挟み込まれて圧搾されて、上記分離ロールの外周面に形成された通気孔から通気される通気ガスによって脱水させられる固液分離装置であって、上記分離ロールの外周面と上記一対の分離濾布のうち該分離ロール側の分離濾布との間には、上記通気ガスをこれら分離ロールの外周面と該分離ロール側の分離濾布との間で分散させる分散手段が介装されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の固液分離方法は、周方向に回転させられる分離ロールの外周に、無端状の一対の分離濾布を重ね合わせて巻回しつつ上記分離ロールの回転方向に沿って走行させ、これらの分離濾布の間に供給した被処理物を、上記分離ロールの外周面で該分離濾布の間に挟み込んで圧搾するとともに、上記分離ロールの外周面に形成された通気孔から通気ガスを通気して脱水する固液分離方法であって、上記分離ロールの外周面と上記一対の分離濾布のうち該分離ロール側の分離濾布との間に介装した分散手段により、これら分離ロールの外周面と該分離ロール側の分離濾布との間で上記通気ガスを分散させて上記被処理物に均等に通気させることを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明の発明者等は、特許文献1、2の後、さらに特願2008−266484号において、周方向に回転させられる分離ロールの外周に、無端状の一対の分離濾布が重ね合わされて巻回されつつ上記分離ロールの回転方向に沿って走行可能とされ、これらの分離濾布の間に供給された被処理物が、上記分離ロールの外周で該分離濾布の間に挟み込まれて圧搾されるとともに、上記分離ロールの径方向に通気されることによって脱水させられる固液分離装置、および周方向に回転させられる分離ロールの外周に、無端状の一対の分離濾布を重ね合わせて巻回しつつ上記分離ロールの回転方向に沿って走行させ、これらの分離濾布の間に供給した被処理物を、上記分離ロールの外周で該分離濾布の間に挟み込んで圧搾するとともに、上記分離ロールの径方向に通気することによって脱水する固液分離方法を提案している。
【0009】
従って、このように構成された固液分離装置および固液分離方法においては、一対の分離濾布の間に被処理物が供給されて挟み込まれ、周方向に回転する分離ロールの外周に、その回転方向に沿って走行しつつ巻き掛けられて押圧されることにより圧搾される。このため、分離ロールの回転や、その回転方向に沿った分離濾布の走行が間欠的な場合は勿論、連続的な場合でも、供給された被処理物を確実に処理することができる。
【0010】
さらに、こうして回転する分離ロールの外周に押し付けられる際に、被処理物は、該分離ロールの径方向に押圧力を受けるだけでなく、被処理物を挟んで内周の分離ロール側の分離濾布と反対の外周側の分離濾布との走行速度の差、すなわち周速の差によって周方向にも剪断力を受けるため、効率的に圧搾される。また、こうして圧搾された被処理物は、さらに分離ロールの径方向に通気されることによって液分が外周側の分離濾布を介して分離されるため、濾布に垂直な方向への面圧や線圧および加圧だけでは十分な含液率の低下が困難であった被処理物に対しても、効果的な液分の除去を促すことが可能となる。
【0011】
そして、さらに本発明の固液分離装置では、上記被処理物を通気する通気ガスの通気孔が形成された分離ロールの外周面と、一対の分離濾布のうちこの分離ロール側の分離濾布との間に通気ガスの分散手段が介装されており、本発明の固液分離方法では、こうして介装した分散手段により、これら分離ロール外周面と分離ロール側の分離濾布との間で通気ガスを分散させて被処理物に通気するので、一対の分離濾布間に挟まれた被処理物に対して均等に通気ガスを供給することができ、従って被処理物のケーキの含液率も均一にすることができるとともに、含液率の一層の低減を図ることが可能となる。
【0012】
すなわち、通気孔が形成された分離ロールの外周面に、被処理物を挟み込んだ一対の分離濾布がそのまま密着して圧搾、通気するだけであると、分離ロール外周面の通気孔に位置して分離ロールに巻回された部分に対して通気孔同士の間に位置した部分では、通気ガスの被処理物への通気量が少なくなるために含液率の低減が不十分となるとともに、被処理物のケーキ全体としても含液率に部分的なばらつきが生じてしまう。しかるに、このように含液率の低減が不十分となったり含液率にやばらつきが生じたりするのを防ぐのに、分離ロールの外周面に通気孔を切り孔等によってより細かく多数形成することも考えられるが、その場合には分離ロールの製造コストが増大するのは勿論、分離ロールの強度の低下を招くおそれもある。
【0013】
そこで、本発明では、分離ロールの外周面と分離ロール側の分離濾布との間に通気ガスの分散手段を介装して、分離ロール外周面の通気孔から噴出した通気ガスを分離ロール側の分離濾布との間で分散させることにより、一対の分離濾布に挟み込まれた被処理物に対して通気ガスを均等に通気させて、ケーキ全体としての含液率の均一化を図るとともに含液率自体の低減を促している。しかも、通気孔自体は適当な大きさのものを間隔をあけて形成すればよいので、切り孔等によって細かい通気孔を多数形成するのに比べて分離ロールの強度を維持することができ、また製造コストの削減を図ることもできる。
【0014】
ここで、このように分離ロールの外周面に形成された通気孔から通気ガスを通気するには、例えば分離ロールの内周部に通気ガスが供給される通気ガスチャンバーを上記通気孔に連通するように形成すればよいが、このとき、分離ロールの内周部に、このように分離ロールの上記通気孔に連通して通気ガスが供給される複数の通気ガスチャンバーを、互いに隔絶して周方向に略等間隔に形成することにより、被処理物を挟んだ一対の分離濾布が分離ロールに巻回された範囲で通気を行うことができて、この範囲以外の脱水に関与しない部分でも通気が行われるのを防ぐことができる。
【0015】
そして、さらにこのような場合には、上記分散手段も、これら複数の通気ガスチャンバーごとに互いに隔絶されて上記分離ロールの外周面に配設することにより、分散手段を介して通気ガスが脱水に関与しない部分にも分散してしまうのを防ぐことができ、通気ガスの供給量が必要以上に多くなるのを防いで、効率的な脱水を促すことが可能となる。なお、このような場合には、上記分離ロールにおいて、上記一対の分離濾布が巻回された範囲のうちでも、さらに周方向に所定の範囲においてのみ通気ガスが通気されるように制御することによっても、通気ガスの供給量の増大を防いで一層効率的な脱水を促すことが可能となる。
【0016】
さらにまた、上記分散手段を、上記分離ロールの中心軸線方向において、上記一対の分離濾布に挟み込まれて圧搾される上記被処理物の上記分離ロールの外周面における幅と等しい範囲、またはこの幅よりも狭い範囲に配設することにより、通気ガスがこの分離ロールの中心軸線方向においても脱水に関与しない部分に分散してしまうのを防ぐことができるので、必要以上に通気ガスの供給量が増えるのをより確実に防いでさらに効率的な被処理物の脱水を図ることができる。
【0017】
なお、このような分散手段としては、通気孔から供給された通気ガスを速やかに分散させることができるとともに、分離ロールの外周面に巻回された分離濾布により押圧されても分散性が損なわれることがないように、金網、樹脂網、上記分離濾布よりも目の粗い濾布、および焼結金網のうち少なくとも1つであることが望ましい。
【0018】
また、本発明の濾過装置は、複数のロールに巻回されて走行させられる濾布上に、供給手段から被処理物が供給されて、この供給手段よりも上記濾布の走行方向側に備えられた濾過手段により上記被処理物が濾過される濾過装置であって、上記濾過手段よりも上記走行方向側には、上述した本発明の固液分離装置が配設されていて、上記複数のロールのうち上記濾過手段よりも上記走行方向側に位置するロールが上記分離ロールとされるとともに、上記濾布が上記一対の分離濾布のうちの一方とされていることを特徴とする。
【0019】
従って、このように構成される、例えば上述した水平式真空濾過装置のような濾過装置では、その上記濾過手段よりも走行方向側の当該濾過装置のロールが、上記固液分離装置の分離ロールとされ、また濾過装置の上記濾布が固液分離装置の上記一対の分離濾布のうちの一方とされているので、濾過手段によって濾過された濾布上の被処理物は、そのままこの濾過手段よりも濾布の走行方向側すなわち濾過手段の後段に移動させられ、他方の分離濾布との間に挟まれて分離ロールに巻き掛けられることにより圧搾されるとともに、通気ガスが分散されつつ通気させられて上述のように効果的に脱水させられる。
【0020】
このため、この濾過装置の後段に、該濾過装置とは別に遠心分離機やフィルタープレス等の2次脱水装置を用意しなくとも、含液率の少ない被処理物のケーキを得ることができて効率的であり、こうして脱水された被処理物を乾燥させる場合などに乾燥装置の負担を軽減するとともに、ベルトコンベアなど乾燥装置までのケーキ搬送装置へのケーキの付着等、搬送トラブルを軽減することが可能となる。しかも、濾過装置の濾布およびロールを固液分離装置の上記分離濾布および分離ロールとして利用することができるので、経済的でもある。そして、上記固液分離装置が被処理物の連続的な供給にも対応可能であることから、濾布が連続的に走行する水平式真空濾過装置、ドラム式真空濾過装置、およびベルトプレス脱水機のような濾過装置でも確実な被処理物の含液率低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の固液分離装置および固液分離方法によれば、回転する分離ロールに巻き掛けられる一対の分離濾布の間に被処理物が挟み込まれ、分離ロールの回転とともにその回転方向に走行させられることにより、この分離ロールの径方向による押圧力に加えて、周方向への剪断力を作用させて被処理物を効果的に圧搾することができる。そして、さらに分離ロールから通気させられる通気ガスによって液分が除去され、その際に、分離ロール外周面と分離ロール側の分離濾布との間に介装された分散手段によって通気ガスを分散させて被処理物に通気することにより、効率的で均一な被処理物のケーキの脱水を図ることができる。また、本発明の濾過装置によれば、このような固液分離装置を用いて、2次脱水装置を要することなく効率的かつ経済的に、より低い含液率の被処理物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1ないし図6は、本発明の固液分離装置および該固液分離装置を備えた濾過装置の一実施形態を示すものである。本実施形態における濾過装置は、図1に示すように、無端状の濾布1が、中心軸線を水平にして互いに平行に配置された複数のロール2に巻き掛けられて周回するように張り渡され、このうちの1つが駆動ロール2Aとされて上記中心軸線回りに回転駆動させられることにより、濾布1のうち装置上部に水平に渡された水平部1Aが矢線Fで示す走行方向に移動するように走行可能とされて、この水平部1Aの走行方向F後方側に配設された供給手段3から供給された被処理物Pが、その直ぐ走行方向F側の駆動ロール2Aとの間に配設された濾過手段4によって濾布1を介して濾過される、水平式真空濾過装置の構成とされている。
【0023】
ここで、上記駆動ロール2Aは、上記水平部1Aの走行方向F側の端部に位置し、図2に示すようにモータ等の駆動手段5により可変減速機6を介して回転させられることによって、連続的、あるいは所定のピッチで間欠的に濾布1を走行させる。また、濾過手段4において被処理物Pは、水平部1Aにおいて濾布1を支持する図示されない真空トレイにより液分が濾布1を介して吸引されて濾過される。そして、さらにこの濾過手段4よりも上記走行方向F側に、図1に破線で示すように本発明の一実施形態の固液分離装置が配設されている。
【0024】
この実施形態の固液分離装置は、図2および図3に示すように、回転方向Tに向けて周方向に回転させられる分離ロール7の外周面に、無端状の一対の分離濾布1、8が、濾過手段4によって濾過された被処理物Pを間に挟み込むように重ね合わされて巻き掛けられつつ上記回転方向Tに沿って走行可能とされたものとされている。なお、分離濾布1、8は例えばポリエチレン繊維やポリエステル繊維などからなる。ここで、本実施形態では、上記濾過装置におけるロール2のうちの上記駆動ロール2Aが分離ロール7とされ、また一対の分離濾布1、8のうちの一方は、濾過装置の濾布1がそのままこの分離ロール7に巻き掛けられたものとされている。
【0025】
この分離ロール7(駆動ロール2A)は概略中空の円筒状とされるとともに、その円筒部分の外周面には図3に示すように該分離ロール7の中心軸線方向において上記濾布1の幅の範囲よりも内側に、また周方向には分離ロール7の全周に亙って、多数の貫通孔が開口させられて通気孔9とされている。一方、分離ロール7の内周部には、これらの通気孔9にそれぞれ連通する複数の通気ガスチャンバー10が、上記中心軸線方向には通気孔9が形成された範囲と略等しい範囲で、また周方向には分離ロール7の全周に亙って該分離ロール7の内周部をほぼ等間隔に弧状に仕切るようにして、互いに隔絶されて形成されている。
【0026】
また、分離ロール7のさらに内周部には、中心軸線方向一端側(図3における右側)から通気ガスチャンバー10と同数の通気配管11が挿通されていて、それぞれ各通気ガスチャンバー10と接続されており、各通気配管11に供給されたエアー(圧縮空気)やスチーム等の通気ガスAが、この通気ガスチャンバー10を介して上記通気孔9から分離ロール7の外周に噴出して通気させられる。なお、通気ガスAは、図示されない供給源からロータリージョイント(あるいは多段回転継手)12を介して、回転する分離ロール7に固定された通気配管11に供給される。
【0027】
さらに、このロータリージョイント12に接続された分離ロール7側の通気ガス分岐チャンバー12Aと各通気配管11との間には、各通気配管11ごとに自動弁13が備えられている。ここで、この自動弁13の開閉操作は、分離ロール7に取り付けられて各通気ガスチャンバー10の回転位置に応じて動作するリミットスイッチ13Aによって、上記通気ガス分岐チャンバー12Aからの通気ガスAが信号ガスとして供給配管13Bを介して該自動弁13に供給または非供給の状態となることにより、制御される。
【0028】
そして、こうして制御される自動弁13により、本実施形態では、分離ロール7の周方向に分離濾布1、8が巻き掛けられた範囲にある通気ガスチャンバー10のうち、さらに所定の回転位置にある通気ガスチャンバー10のみに、通気ガスAが、分離ロール7の回転に伴い順次切り替えられながら連続して供給されるようになされている。すなわち、通気ガスチャンバー10がこの所定の回転位置にあるときには、自動弁13が開いて常に通気ガスAが通気ガスチャンバー10に供給されて通気孔9から噴出させられる一方、この所定の回転位置以外の位置では、自動弁13が閉じられて通気が行われないように制御される。
【0029】
一方、一対の分離濾布1、8のうち他方の分離濾布8は、濾布(一方の分離濾布)1とほぼ等しい幅とされており、分離ロール7の外周においては該濾布1の外側に巻き掛けられてこの分離ロール7(駆動ロール2A)の回転方向Tに向けて濾布1と一体的に走行方向Fと同じ走行方向Gに走行可能とされている。また、この走行方向Gにおいて分離ロール7の次に他方の分離濾布8が巻き掛けられるロール2Bは、図2に示すように濾布1が巻き掛けられたロール2と共通とされ、このロール2Bから他方の分離濾布8は下方に向けて濾布1と反対側に引き出されて離間し、複数のロール14に巻き掛けられて再び分離ロール7の外周に至るように無端状に巻回されている。
【0030】
さらに、本実施形態では、このように一対の分離濾布1、8が重ね合わされて巻き掛けられた分離ロール7の外周に、さらに圧搾ベルト15が、このうち上記他方の分離濾布8の外周に巻き掛けられており、この圧搾ベルト15も上記一対の分離濾布1、8とともに分離ロール7の外周ではその回転方向Tに沿って走行方向F、Gと同じ走行方向Hに走行可能とされている。ここで、この圧搾ベルト15は、分離濾布1、8と同様の濾布、または金網やチェーン等からなる金属ベルト、あるいはアラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、カーボン繊維等の高強度繊維からなる樹脂ベルト、もしくはゴムベルトによって構成され、ただしその通気度は分離濾布1、8よりも高くされている。
【0031】
また、この圧搾ベルト15は、本実施形態では分離濾布1、8よりは幅広とされて、その幅方向の両端が図3に示すように該分離濾布1、8の幅方向の両端をそれぞれ越えて分離濾布1、8に覆い被さるように分離ロール7に巻き掛けられている。ただし、圧搾ベルト15の横幅は、一対の分離濾布1、8間に挟み込まれて圧搾される被処理物Pのケーキ幅よりも広ければ、必ずしも分離濾布1、8よりも幅広である必要はなく、すなわち分離濾布1、8とほぼ等しい幅であったり、これより幅狭であったりしてもよい。
【0032】
さらに、走行方向Hにおいて分離ロール7の次に圧搾ベルト15は、上記一対の分離濾布1、8が巻き掛けられた共通の上記ロール2Bに巻き掛けられ、次いで図2に示すように分離ロール7と上記ロール14に巻回された他方の分離濾布8との間に配設された複数のロール16に順次巻き掛けられた後、分離ロール7に至る直前で他方の分離濾布8が巻き掛けられるロール14Aに該他方の分離濾布8とともに巻き掛けられて、再び分離ロール7の外周に至るように無端状に巻回されている。
【0033】
なお、この圧搾ベルト15が巻き掛けられる上記ロール2A、14A、16は、他の分離濾布1、8だけが巻き掛けられるロール2、14よりも大径とされるとともに、分離ロール7よりは小径とされ、さらに複数のロール16のうちの1つは、支持軸17Aを中心にシリンダ装置17Bによって回動可能とされた圧搾ベルト緊張装置17のアーム17Cに取り付けられていて、シリンダ装置17Bに所定の圧力を供給しアーム17Cを回動させることにより、圧搾ベルト15に所定の張力が与えられるようにされている。
【0034】
また、複数のロール16のうちの他の1つは、その少なくとも一端が、やはりシリンダ装置18Aにより圧搾ベルト15の走行方向Hに向けて進退する圧搾ベルト蛇行修正装置18のブラケット18Bに取り付けられていて、こうしてブラケット18Bを走行方向Hに進退させて該走行方向Hに対する当該ロール16の傾きを微調整することにより、圧搾ベルト15の走行に蛇行が生じたときには、これを修正するようにされている。ただし、これらのロール16も含めて、本実施形態の濾過装置および固液分離装置において、上記駆動ロール2A(分離ロール7)以外のロール2、14、16は、いずれも駆動手段に連結されない従動ロールとされている。
【0035】
さらに、圧搾ベルト15の走行経路には圧搾ベルト洗浄装置19が、他方の分離濾布8の走行経路には分離濾布洗浄装置20がそれぞれ設けられるとともに、一方の分離濾布1の走行経路にも図示されない洗浄装置が設けられ、また固液分離装置の底部には受け皿21が配設されている。さらにまた、上記ロール2Bの下方には、当該固液分離装置によって固液分離された被処理物Pのケーキを排出する排出口22が設けられるとともに、このロール2Bからそれぞれその走行方向Fに向けて互いに反対向きに離れてゆく一対の分離濾布1、8に対しては、被処理物Pと接していた面に接するようにスクレーパ23やワイヤー等が配設される。また、分離ロール7に分離濾布1、8および圧搾ベルト15が巻き掛けられた部分のさらに外周側には、断面円弧状の回収板24が圧搾ベルト15と間隔をあけて配設されていて、通気によって分離された液分を回収して上記受け皿21に導くようにされている。
【0036】
そして、さらに上記分離ロール7の外周面と、これに巻回された一対の分離濾布1、8のうち分離ロール7側の分離濾布1との間には、上記通気ガスチャンバー10に供給されて通気孔9から噴出させられる上記通気ガスAを、これら分離ロール7の外周面と分離ロール7側の分離濾布1との間で分散させる分散手段25が介装されている。この分散手段25は、本実施形態では金網、樹脂網、上記分離濾布よりも目の粗い濾布、および焼結金網のうち少なくとも1つにより構成されて、分離ロール7の外周面に配設されている。
【0037】
ここで、本実施形態では、図4および図5に示すように分離ロール7の外周面には、該分離ロール7の内周部に上記複数の通気ガスチャンバー10がそれぞれ形成された範囲同士を互いに隔絶するように、分離ロール7の中心軸線方向に延びる複数の仕切板7Aが周方向に等間隔に形成されるとともに、これらの通気ガスチャンバー10が形成された範囲の上記中心軸線方向両端にも周方向に延びる仕切板7Bが形成されている。すなわち、各通気ガスチャンバー10が形成された範囲における分離ロール7の外周面には、これら仕切板7A、7Bによって隔絶された円弧板状に凹む凹所26がそれぞれ形成されて、この凹所26が形成された部分ではその底面が分離ロール7の外周面となり、上記通気孔9はこの凹所26の底面に開口させられることになる。
【0038】
そして、これらの凹所26内に、上述のような素材よりなる分散手段25が仕切板7A、7Bと略同じ高さなるように板状に敷き詰められて充填され、やはり複数の通気ガスチャンバー10ごとに互いに隔絶されるように収容されて固定され、分離ロール7に巻回される被処理物Pを挟み込んだ分離濾布1、8や上記圧搾ベルト15による押圧力に抗しつつ、通気孔9から噴出した通気ガスAが分散する空間を凹所26内に確保するようになされている。また、これらの凹所26以外の分離ロール7の外周面は、仕切板7A、7Bと同じ高さの円筒面をなすようにされている。
【0039】
なお、上記分散手段25が分離ロール7の中心軸線方向において配設される範囲は、本実施形態では凹所26および通気ガスチャンバー10が設けられて範囲と等しくされるが、図3に示したように一対の分離濾布1、8に挟み込まれて圧搾される被処理物Pの分離ロール7の外周面における幅と等しい範囲か、またはこの幅よりも狭い範囲に配設されていてもよい。ただし、分散手段25は、凹所26内には、この分離ロール7の中心軸線方向および周方向において隙間なく充填されるのが望ましい。
【0040】
このような固液分離装置、この固液分離装置を備えた濾過装置、および該固液分離装置を用いた本発明の固液分離方法の一実施形態では、濾過装置の濾過手段4によって濾過された被処理物Pは、当該固液分離装置の分離ロール7の外周で一対の分離濾布1、8の間に挟み込まれるとともに、さらにその外周に圧搾ベルト15が高張力で巻き掛けられることによって、分離ロール7の径方向内周側に押圧力を受けて圧搾される。従って、この固液分離装置による被処理物Pの固液分離工程の後段に乾燥工程があるような場合でも、この乾燥工程における負荷を低減することができる。
【0041】
また、被処理物Pを挟み込んで分離ロール7に巻き掛けられた一対の分離濾布1、8は、被処理物Pの厚さ分だけ分離ロール7の中心軸線からの距離が異なり、しかも一方の分離濾布1が分離ロール7(駆動ロール2A)に直接巻き掛けられて走行させられるのに対し、他方の分離濾布5と圧搾ベルト15はこの一方の分離濾布1と被処理物Pを介して従動的に走行させられるために、分離ロール7の外周ではこれら一対の分離濾布1、5に周速差が生じ、この周速差により被処理物Pには、これを周方向に剪断しようとする剪断力が作用して、この剪断力と上記押圧力とによって被処理物Pは効率的に圧搾される。
【0042】
さらに、分離ロール7においては、上述のように一対の分離濾布1、8が巻き掛けられた範囲のうちの所定の回転位置において、通気配管11から通気ガスチャンバー10を介して通気ガスAが通気孔9から噴出させられて分離濾布1、被処理物P、分離濾布8、および圧搾ベルト15を通して分離ロール7の径方向外周側に通気させられる。従って、被処理物Pから圧搾された液分は、この通気ガスAとともに分離濾布8および圧搾ベルト15を介して該被処理物Pから分離させられ、回収板24に滴下して回収されるため、従来は十分な固液分離が困難とされていた被処理物Pに対しても十分な含液率の低減を図ることが可能となる。
【0043】
そして、さらに上記通気孔9が形成された分離ロール7の外周面である凹所26の底面と、この分離ロール7に巻き掛けられた上記分離濾布1との間には、上述のような金網、樹脂網、上記分離濾布よりも目の粗い濾布、および焼結金網のうち少なくとも1つよりなる分散手段25が該凹所26に収容されて介装されており、通気孔9から噴出させられた通気ガスAは凹所26内でこの分散手段25によって分散させられて、分離濾布1の所定の範囲の全面から被処理物Pに均一に通気させられる。このため、被処理物Pを満遍なく均一に脱水することが可能となるとともに、こうして脱水された被処理物Pのケーキの含液率を低減させることができる。
【0044】
その一方で、分離ロール7の外周面に形成する通気孔9は、適当な大きさの径のものを所定の間隔をあけて形成するだけでよい。このため、例えば径の小さな切り孔等よりなる通気孔を極小さな間隔で満遍なく外周面に穿設したりするのに比べ、通気孔形成のための時間や労力を削減することができて分離ロール7の製造コストの低減を図ることができるとともに、この分離ロール7の強度が損なわれたりするのを防止することができる。
【0045】
特に、本実施形態では、分離ロール7の外周に凹所26が形成されている一方で、この凹所26内に上述のような金網、樹脂網、上記分離濾布よりも目の粗い濾布、および焼結金網のうち少なくとも1つよりなる分散手段25が充填されて配設されているので、分離濾布1、8が被処理物Pを挟み込んで分離ロール7に押圧され、さらにその上から上記圧搾ベルト15が高張力で巻き掛けられていても、これら分離濾布1、8や圧搾ベルト15による押圧力や張力に抗して通気ガスAが速やかに分散する空間を確保することができる。このため、かかる押圧力や張力によって被処理物Pが分離濾布1ごと凹所26内に落ち込んで通気ガスAの分散が妨げられたりするのを防いで、より確実に被処理物Pの均一かつ効率的な脱水を促すことが可能となる。
【0046】
また、本実施形態の固液濾過装置では、分離ロール7の内周部に複数の通気ガスチャンバー10が周方向に互いに隔絶されてほぼ等間隔に形成されるとともに、これらの通気ガスチャンバー10に接続されて通気ガスAを供給する通気配管11には自動弁13が備えられていて、分離濾布1、8が巻き掛けられた範囲にある通気ガスチャンバー10のうち、さらに所定の回転位置にある通気ガスチャンバー10のみに、通気ガスAが連続して供給されるようになされている。
【0047】
このため、被処理物Pの脱液に関与しない部分で通気が行われて通気ガスAの供給量や供給のための動力、ランニングコストが増大するのを防ぐことができるとともに、分離濾布1、8の走行方向F、Gの前後での分離濾布1、8の浮き上がりやケーキの吹き出しを防ぐこともでき、その一方で脱水に関与する部分では、分離ロール7の回転に伴い自動弁13の開閉が順次切り替えられながら、通気ガスチャンバー10の回転位置に関わらずに常に通気ガスAが噴き出した状態を維持することができるので、一層効率的な液分の除去を促すことが可能となる。
【0048】
そして、さらにこれに合わせて、本実施形態では、上記分散手段25も、凹所26が仕切板7A、7Bによって仕切られていることにより、これら複数の通気ガスチャンバー10ごとに互いに隔絶されて配設されており、従って例えば分散手段が分離ロール7の全周に亙って連続して配設された場合のように通気ガスAが脱水に関与しない部分にも分散してしまうのを防ぐことができる。このため、通気ガスの供給量が増大するのを一層確実に防ぐことができるとともに、脱水に関与しない部分に通気ガスAが分散することによって上述のような分離濾布1、8の浮き上がりやケーキの吹き出しが生じるのも防止することが可能となる。
【0049】
しかも、上述のように分離ロール7の中心軸線方向においても、分散手段25が配設される範囲を、分離濾布1、8に挟み込まれて圧搾される被処理物Pの分離ロール7の外周面における幅と等しい範囲か、またはこの幅よりも狭い範囲とすることにより、本実施形態によれば、この中心軸線方向ついてもその両側で脱水に関与しない部分に通気ガスAが分散したりするのを防ぐことができる。従って、通気ガスチャンバー10に供給した通気ガスAを余すことなく被処理物Pへの通気に供することができ、さらに効率的かつ均一な被処理物Pの脱水を促すことが可能となる。
【0050】
加えて、本実施形態では、分離ロール7に巻き掛けられた外周側の分離濾布8のさらに外周に、圧搾ベルト15が巻き掛けられてこの分離濾布8ごと被処理物Pを押さえ付けているので、たとえ脱液能力を高めるために通気ガスAの圧力を大きくしても、上述のような分離濾布1、8の浮き上がりケーキの吹き出しが生じたりすることがなく、さらなる含液率の低減を図ることができる。また、本実施形態では、この圧搾ベルト15の通気度が分離濾布1、8の通気度より高くされており、通気によって被処理物Pから分離させられた液分を速やかに排出して上記回収板24から受け皿21に回収することができる。
【0051】
なお、このように通気ガスAによる分離濾布1、8の浮き上がりやケーキの吹き出しを一層確実に防ぐには、分離ロール7に巻き掛けられる圧搾ベルト15の面圧を、この分離ロール7の径方向に通気する通気ガスAの圧力(通気ガス圧)よりも大きくすることが望ましい。例えば、通気ガス圧が0.4MPaの場合は、圧搾ベルト15の面圧は0.5MPa程度とされるのが望ましい。そして、上記構成の固液分離装置では、上述した圧搾ベルト緊張装置17によって圧搾ベルト15の張力を調整することにより、この面圧も所定の大きさに制御することができる。
【0052】
一方、このような固液分離装置を濾過手段4に対して濾布1の走行方向F側に備えた本実施形態の濾過装置では、この濾布1が固液分離装置における一対の分離濾布1、8の一方とされるとともに、分離ロール7が濾過装置の複数のロール2の1つとされている。このため、濾過手段4によって濾過された濾布1上の被処理物Pを、そのまま濾布1の走行によって固液分離装置に供給し、上述のように効率的に脱水することができる。
【0053】
従って、この濾過装置の濾過手段4によって濾過した被処理物Pを該濾過装置から一旦回収して、これとは別の遠心分離機やフィルタープレス等の2次脱水装置により脱水したりする必要がなく、また例えば既設の水平式真空濾過装置等の濾過装置にも、多少の改造を加える程度で適用することも可能であって、経済的である。また、液分が分離された被処理物Pを後段の乾燥装置において乾燥させたりする場合でも、やはり該乾燥装置における負担を軽減することができるとともに、このような後段の乾燥装置に製品を搬送する際にも、ベルトコンベアやスクリューコンベア等の搬送機器に液分の多い被処理物Pが付着することによるトラブル等も解決することが可能となる。
【0054】
また、上記固液分離装置および固液分離方法においては、上述のように濾布1の走行とともに回転する分離ロール7の外周において被処理物Pの脱水が行われるため、濾過装置におけるこの濾布1の走行が連続的なものであっても、間欠的なものであっても、上記押圧力と剪断力とさらに通気とによって効率的な脱水を図ることができる。従って、分離ロール7が連続的または間欠的に回転させられて濾布1が走行する場合は勿論、例えば濾布1をクランプして所定のストロークで走行方向Fに間欠移動させることにより走行させるような水平式真空濾過装置にも対応して適用することが可能である。
【0055】
さらに、本実施形態の固液分離装置では、その分離ロール7に巻き掛けられた一対の分離濾布1、8の外周にさらに圧搾ベルト15が巻き掛けられて押し付けられることにより、濾布1を分離ロール7外周に強く密着させて大きな摩擦力を発生させることができる。このため、たとえ通気によってこの摩擦力が低下しても、分離ロール7と分離濾布1との間に滑りを生じさせたりすることなく、一体的に分離ロール7を回転方向Tに回転させるとともに濾布1を安定して走行方向Fに走行させることができる。
【0056】
従って、このような固液分離装置を備えた濾過装置においては、本実施形態のようにこの分離ロール7を当該濾過装置における濾布1の駆動ロール2Aとすることができ、一対の分離濾布1、8の一方が濾過装置の濾布1と共用であることとも相俟って、設備コストやランニングコストの低減を図ることができる。特に、このような駆動ロール2Aは、濾布1を確実に走行させるためにある程度の直径が必要となるのに対し、分離ロール7も、その内周部に通気ガスチャンバー10が形成されるためにある程度の直径を要することになるので、これらを共用することによって他のロール2、14、16は、該駆動ロール2Aや分離ロール7よりも小径とすることができて、一層経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の濾過装置の一実施形態の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示す濾過装置に用いられる、本発明の固液分離装置の一実施形態を示す側面図である。
【図3】図2に示す固液分離装置を図2の右側から見た一部破断背面図である。
【図4】図2に示す固液分離装置における分離ロール7の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示す分離ロール7の外周壁部を示す、該分離ロール7の中心軸線に垂直な部分断面図である。
【図6】図4に示す分離ロール7の外周壁部を示す、該分離ロール7の中心軸線に沿った部分断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 濾布(分離濾布)
2、14、16 ロール
2A 駆動ロール
3 供給手段
4 濾過手段
7 分離ロール
8 分離濾布
9 通気孔
10 通気チャンバー
11 通気配管
13 自動弁
25 分散手段
26 凹所
A 通気ガス
P 被処理物
F 濾布1の走行方向
G 分離濾布8の走行方向
T 分離ロール7の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に回転させられる分離ロールの外周に、無端状の一対の分離濾布が重ね合わされて巻回されつつ上記分離ロールの回転方向に沿って走行可能とされ、これらの分離濾布の間に供給された被処理物が、上記分離ロールの外周面で該分離濾布の間に挟み込まれて圧搾されて、上記分離ロールの外周面に形成された通気孔から通気される通気ガスによって脱水させられる固液分離装置であって、上記分離ロールの外周面と上記一対の分離濾布のうち該分離ロール側の分離濾布との間には、上記通気ガスをこれら分離ロールの外周面と該分離ロール側の分離濾布との間で分散させる分散手段が介装されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
上記分離ロールの内周部には、該分離ロールの上記通気孔から上記通気ガスを通気する複数の通気ガスチャンバーが、互いに隔絶されて周方向に略等間隔に形成されているとともに、上記分散手段はこれら複数の通気ガスチャンバーごとに互いに隔絶されて上記分離ロールの外周面に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
上記分散手段は、上記分離ロールの中心軸線方向において、上記一対の分離濾布に挟み込まれて圧搾される上記被処理物の上記分離ロールの外周面における幅と等しい範囲、またはこの幅よりも狭い範囲に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
上記分散手段は、金網、樹脂網、上記分離濾布よりも目の粗い濾布、および焼結金網のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の固液分離装置。
【請求項5】
複数のロールに巻回されて走行させられる濾布上に、供給手段から被処理物が供給されて、この供給手段よりも上記濾布の走行方向側に備えられた濾過手段により上記被処理物が濾過される濾過装置であって、上記濾過手段よりも上記走行方向側には、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の固液分離装置が配設されていて、上記複数のロールのうち上記濾過手段よりも上記走行方向側に位置するロールが上記分離ロールとされるとともに、上記濾布が上記一対の分離濾布のうちの一方とされていることを特徴とする濾過装置。
【請求項6】
周方向に回転させられる分離ロールの外周に、無端状の一対の分離濾布を重ね合わせて巻回しつつ上記分離ロールの回転方向に沿って走行させ、これらの分離濾布の間に供給した被処理物を、上記分離ロールの外周面で該分離濾布の間に挟み込んで圧搾するとともに、上記分離ロールの外周面に形成された通気孔から通気ガスを通気して脱水する固液分離方法であって、上記分離ロールの外周面と上記一対の分離濾布のうち該分離ロール側の分離濾布との間に介装した分散手段により、これら分離ロールの外周面と該分離ロール側の分離濾布との間で上記通気ガスを分散させて上記被処理物に通気することを特徴とする固液分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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