説明

固液分離装置

【課題】複数の固定部材と、隣り合う固定部材の間に配置されて運動する可動部材と、該可動部材と前記固定部材に接触しない状態で該可動部材と固定部材を貫通して延びるスクリューとを有し、該スクリューはその中心軸線のまわりに回転駆動され、該スクリューの回転によって、固定部材と可動部材とにより区画された固液分離部に入り込んだ処理対象物を、その固液分離部の出口に向けて移動させながら、処理対象物から分離された濾液を固定部材と可動部材の間の濾液排出間隙を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を出口から固液分離部外に排出させる固液分離装置において、処理対象物に対する脱液効率を格段と高める。
【解決手段】可動部材4が、スクリュー24に接触することなく、そのスクリュー24の羽根26の外周縁32よりも当該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら運動するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の固定部材と、隣り合う固定部材の間に配置されて運動する可動部材と、該可動部材と前記固定部材に接触しない状態で該可動部材と固定部材を貫通して延びる少なくとも1つのスクリューとを有し、該スクリューはその中心軸線のまわりに回転駆動され、該スクリューの回転によって、前記固定部材と可動部材とにより区画された固液分離部に入り込んだ処理対象物を該固液分離部の出口に向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を前記固定部材と可動部材の間の濾液排出間隙を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を前記出口から固液分離部外に排出させる固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を含む処理対象物、例えば、廃豆腐、食品加工排水、下水処理物或いは養豚場から排出された廃水などの有機系汚泥、その有機系汚泥を微生物によって分解処理した汚泥、メッキ廃液、インク廃液、顔料廃液、塗料廃液などの無機系汚泥、或いは野菜屑や果実の皮、食品残渣、おからなどの処理対象物から液体を分離する上記形式の固液分離装置は従来より公知である(特許文献1乃至6参照)。この形式の固液分離装置によれば、可動部材が、固定部材に対して円運動、往復直線運動或いは往復傾動などの運動を行うので、固定部材と可動部材との間の濾液排出間隙に固形物が詰まる不具合を防止でき、しかも可動部材がスクリューに接触していないので、可動部材が早期に摩耗する不具合を阻止できる。ところが、従来のこの種の固液分離装置によると、処理対象物に対する脱液効率が低く、処理対象物を効率よく脱液処理できない点に問題があった。本発明者は、その原因を明らかにすべく、各種の実験を繰り返し行った結果、次の事実を明らかにすることができた。
【0003】
従来のこの種の固液分離装置は、固定部材に対して運動する可動部材が、スクリューの羽根に干渉すると、その可動部材が早期に摩耗し、或いは、その干渉によって可動部材が破損するおそれがあるため、可動部材がスクリューに接触しないように、常に可動部材がスクリューの羽根外周縁よりも外側で運動するように構成されていた。ところが、このように構成すると、回転するスクリューにより搬送される処理対象物に対して、可動部材が加える絞り作用が不足し、これにより処理対象物に対する脱液効率が低下し、処理対象物を効率よく脱液処理できなかったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−218298号公報
【特許文献2】国際公開番号WO00/32292(特再公表WO00/032292)号公報
【特許文献3】特開2000−135595号公報
【特許文献4】特開2005−230852号公報
【特許文献5】特許第4036383号公報
【特許文献6】特許第4374396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した新規な認識に基づきなされたものであって、その目的とするところは、可動部材が早期に摩耗することを阻止できると共に、処理対象物に対する脱液効率を格段と向上させることのできる固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の固液分離装置において、少なくとも一部の可動部材が、前記スクリューに接触することなく、該スクリューの羽根の外周縁よりも、当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動するように形成されていることを特徴とする固液分離装置を提案する(請求項1)。
【0007】
また、上記請求項1に記載の固液分離装置において、前記スクリューは1つ設けられ、かつ該スクリューはらせん状に延びる1条の羽根を有していて、前記複数の固定部材と可動部材には、それぞれ貫通孔が形成され、前記スクリューは、前記固定部材と可動部材の貫通孔を通して延びていて、該可動部材の貫通孔は、その中心軸線が前記スクリューの中心軸線に対して偏心していて、当該可動部材は、該可動部材の貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの中心軸線のまわりに、前記の偏心の偏心量を半径とした円を描きながら円運動を行い、前記可動部材の貫通孔の中心軸線から、前記スクリューの中心軸線に向けて、該スクリューの半径方向に引いた直線が該スクリューの中心軸線を越えて、当該スクリューの外周縁を含む仮想筒と交わる点を外周縁交点とし、該外周縁交点を通り、前記スクリューの中心軸線に対して平行に延びる直線を中心平行線とし、かつ前記スクリューの中心軸線の方向に隣り合う当該スクリューの2つの羽根部分と前記中心平行線との交点をそれぞれ羽根交点としたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら前記円運動を行う前記可動部材は、前記2つの羽根交点の中点を含み、かつ前記2つの羽根部分の間の距離よりも狭いスクリューの中心軸線方向における所定の幅である食い込み可能領域内に位置し、前記可動部材の貫通孔の中心軸線から当該貫通孔を区画する可動部材の周縁までの最短距離をK、前記スクリューの半径をS、前記偏心量をδとしたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行う可動部材の貫通孔は、S−δ<K<S+δを満たすように形成されていると有利である(請求項2)。
【0008】
さらに、上記請求項1に記載の固液分離装置において、前記スクリューは1つ設けられ、かつ該スクリューはらせん状に延びる1条の羽根を有していて、前記複数の固定部材と可動部材には、それぞれ貫通孔が形成され、前記スクリューは、前記固定部材と可動部材の貫通孔を通して延びていて、前記スクリューは前記羽根と一体に形成された軸を有し、該軸はスクリューの中心部を構成していて、当該スクリューの軸には、該スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、外周面が円形に形成された偏心カムが固定され、前記可動部材が前記偏心カムの偏心量を半径とした円運動を行うように、該可動部材が前記偏心カムに連結されていて、該偏心カムの中心軸線から、前記スクリューの中心軸線に向けて、該スクリューの半径方向に引いた直線が該スクリューの中心軸線を越えて、当該スクリューの外周縁を含む仮想筒と交わる点を外周縁交点とし、該外周縁交点を通り、前記スクリューの中心軸線に対して平行に延びる直線を中心平行線とし、かつ前記スクリューの中心軸線の方向に隣り合う当該スクリューの2つの羽根部分と前記中心平行線との交点をそれぞれ羽根交点としたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら前記円運動を行う前記可動部材は、前記2つの羽根交点の中点を含み、かつ前記2つの羽根部分の間の距離よりも狭いスクリューの中心軸線方向における所定の幅である食い込み可能領域内に位置し、前記偏心カムの中心軸線から前記可動部材の貫通孔を区画する可動部材の周縁までの最短距離をK、前記スクリューの半径をS、前記偏心量をδとしたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行う可動部材の貫通孔は、S−δ<K<S+δを満たすように形成されていると有利である(請求項3)。
【0009】
また、上記請求項2又は3に記載の固液分離装置において、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込むことなく、前記円運動を行う可動部材の貫通孔は、K>S+δを満たすように形成されていると有利である(請求項4)。
【0010】
さらに、上記請求項2乃至4のいずれかに記載の固液分離装置において、全ての可動部材の貫通孔の中心軸線が一致していて、該可動部材は、その中心軸線が、前記スクリューの中心軸線のまわりに、該可動部材の貫通孔の中心軸線の偏心量を半径とした円を描きながら円運動するように構成することができる(請求項5)。
【0011】
また、上記請求項2乃至4のいずれかに記載の固液分離装置において、一部の可動部材の貫通孔の中心軸線は全て一致し、他の可動部材の貫通孔の中心軸線も全て一致し、かつ前記一部の可動部材の貫通孔の中心軸線と、他の可動部材の貫通孔の中心軸線は互いに一致しておらず、一部の可動部材と他の可動部材は、その各貫通孔の中心軸線が、スクリューの中心軸線のまわりに、その各可動部材の貫通孔の中心軸線の偏心量を半径とした円を描きながら円運動するように構成すると有利である(請求項6)。
【0012】
さらに、上記請求項3に記載の固液分離装置において、中心軸線が互いに一致していない複数の偏心カムを有し、該複数の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの中心軸線のまわりに、各偏心カムの偏心量を半径とした円を描きながら回転するように構成することもできる(請求項7)。
【0013】
また、上記請求項2又は5に記載の固液分離装置において、前記スクリューは前記羽根と一体に形成された軸を有し、該軸は当該スクリューの中心部を構成していて、前記可動部材の貫通孔の中心軸線は、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、前記複数の可動部材が共に円運動できるように、該複数の可動部材を連結する連結手段と、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、該軸と一体に回転する偏心カムと、前記連結手段に連結されていて、前記偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた軸受とを具備し、前記偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記偏心カムの中心軸線と前記連結手段により連結された複数の可動部材の貫通孔の中心軸線は一致していて、前記スクリューの回転に伴って、前記偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記連結手段によって連結された複数の可動部材は、その貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、前記偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら円運動を行うように構成することができる(請求項8)。
【0014】
さらに、上記請求項2又は6に記載の固液分離装置において、前記スクリューは前記羽根と一体に形成された軸を有し、該軸は当該スクリューの中心部を構成していて、前記可動部材の貫通孔の中心軸線は、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心し、一部の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線は全て一致し、かつ他の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線も全て一致し、前記一部の複数の可動部材が共に円運動できるように、該一部の複数の可動部材を連結する第1の連結手段と、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、該軸と一体に回転する第1の偏心カムと、前記第1の連結手段に連結されていて、前記第1の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第1の軸受と、前記他の複数の可動部材が共に円運動できるように、該他の複数の可動部材を連結する第2の連結手段と、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、該軸と一体に回転する第2の偏心カムと、前記第2の連結手段に連結されていて、前記第2の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第2の軸受とを具備し、前記第1の偏心カムの中心軸線と前記第2の偏心カムの中心軸線は互いに一致しておらず、前記第1の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第1の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記第2の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第2の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接していて、前記第1の偏心カムの中心軸線と前記第1の連結手段により連結された一部の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線は一致し、前記第2の偏心カムの中心軸線と前記第2の連結手段により連結された他の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線も一致していて、前記スクリューの回転に伴って、前記第1の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第1の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第1の連結手段によって連結された一部の複数の可動部材は、その貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、前記第1の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら円運動を行い、前記第2の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第2の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第2の連結手段によって連結された他の複数の可動部材は、その貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、前記第2の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら円運動を行うように構成することもできる(請求項9)。
【0015】
また、上記請求項3に記載の固液分離装置において、前記複数の可動部材が共に円運動できるように、該複数の可動部材を連結する連結手段と、該連結手段に連結されていて、前記偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた軸受とを具備し、前記偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記スクリューの回転に伴って、前記偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記連結手段によって連結された複数の可動部材は、前記偏心カムの偏心量を半径とする円運動を行うように構成すると有利である(請求項10)。
【0016】
さらに、上記請求項8又は10に記載の固液分離装置において、前記連結手段が該連結手段により連結された複数の可動部材と共に前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに回転して、該可動部材が他の部材に当接することを防止するガイドを具備すると有利である(請求項11)。
【0017】
また、上記請求項8、10又は11に記載の固液分離装置において、前記偏心カム及び該偏心カムに嵌合した軸受は、前記スクリューの羽根よりも該スクリューの長手方向外側の軸の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、前記連結手段は、前記各軸受にそれぞれ連結された一対の連結板と、前記複数の可動部材に連結された複数の連結棒とを有し、各連結棒がそれぞれ前記各連結板に連結されていると有利である(請求項12)。
【0018】
さらに、上記請求項3又は7に記載の固液分離装置において、前記スクリューの軸には、該スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、外周面が円形に形成された第1の偏心カムと、同じくスクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、外周面が円形に形成された第2の偏心カムとがそれぞれ固定され、該第1の偏心カムの中心軸線と第2の偏心カムの中心軸線は一致しておらず、一部の複数の可動部材が前記第1の偏心カムの偏心量を半径とした円運動を行うように、該一部の複数の可動部材が前記第1の偏心カムに連結され、前記他の複数の可動部材が前記第2の偏心カムの偏心量を半径とした円運動を行うように、該他の複数の可動部材が前記第2の偏心カムに連結されていると有利である(請求項13)。
【0019】
また、上記請求項13に記載の固液分離装置において、前記一部の複数の可動部材が共に円運動できるように、該一部の複数の可動部材を連結する第1の連結手段と、該第1の連結手段に連結されていて、前記第1の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第1の軸受と、前記他の複数の可動部材が共に円運動できるように、該他の複数の可動部材を連結する第2の連結手段と、該第2の連結手段に連結されていて、前記第2の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第2の軸受とを具備し、前記第1の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第1の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記第2の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第2の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接していて、前記スクリューの回転に伴って、前記第1の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第1の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第1の連結手段によって連結された一部の複数の可動部材は、前記第1の偏心カムの偏心量を半径とする円運動を行い、前記第2の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第2の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第2の連結手段によって連結された他の複数の可動部材は、前記第2の偏心カムの偏心量を半径とする円運動を行うように構成されていると有利である(請求項14)。
【0020】
さらに、上記請求項9又は14に記載の固液分離装置において、前記第1の連結手段が該第1の連結手段により連結された一部の複数の可動部材と共に前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに回転して、該可動部材が他の部材に当接することを防止する第1のガイドと、前記第2の連結手段が該第2の連結手段により連結された他の複数の可動部材と共に前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに回転して、該可動部材が他の部材に当接することを防止する第2のガイドとを具備すると有利である(請求項15)。
【0021】
また、上記請求項9、14又は15に記載の固液分離装置において、前記第1の偏心カム及び該第1の偏心カムに嵌合した第1の軸受は、前記スクリューの羽根よりも該スクリューの長手方向外側の軸の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、前記第1の連結手段は、前記各第1の軸受にそれぞれ連結された一対の第1の連結板と、前記一部の複数の可動部材に連結された複数の第1の連結棒とを有し、各第1の連結棒がそれぞれ前記各第1の連結板に連結され、前記第2の偏心カム及び該第2の偏心カムに嵌合した第2の軸受は、前記スクリューの羽根よりも該スクリューの長手方向外側の軸の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、前記第2の連結手段は、前記各第2の軸受にそれぞれ連結された一対の第2の連結板と、前記他の複数の可動部材に連結された複数の第2の連結棒とを有し、各第2の連結棒がそれぞれ各第2の連結板に連結されていると有利である(請求項16)。
【0022】
さらに、上記請求項6、7、9、13乃至16のいずれかに記載の固液分離装置において、全ての可動部材が、スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行うように構成されていると有利である(請求項17)。
【0023】
また、上記請求項9、13乃至17のいずれかに記載の固液分離装置において、前記一部の複数の可動部材が前記スクリューの羽根の外周縁よりも当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動できる食い込み可能領域の隣りに、他の複数の可動部材が前記スクリューの羽根の外周縁よりも当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動できる食い込み可能領域が位置していると有利である(請求項18)。
【0024】
さらに、上記請求項2乃至18のいずれかに記載の固液分離装置において、前記可動部材の貫通孔は、円形又は長円形に形成されていると有利である(請求項19)。
【0025】
また、上記請求項2乃至18のいずれかに記載の固液分離装置において、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行う可動部材は、該可動部材の貫通孔を区画する当該可動部材の周縁の一部が、他の周縁部分よりも当該貫通孔の中心軸線の側に突出していて、その突出部が、スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込むように構成されていると有利である(請求項20)。
【0026】
さらに、上記請求項1乃至20のいずれかに記載の固液分離装置において、前記スクリューの羽根の外周縁よりも、当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動する可動部材は、前記固液分離部の処理対象物移動方向長さの1/2の位置よりも、当該処理対象物移動方向下流側に位置していると有利である(請求項21)。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、可動部材がスクリューに接触することがないので、可動部材が早期に摩耗する不具合を阻止でき、しかも少なくとも一部の可動部材が、スクリューの羽根の外周縁よりも、そのスクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動するので、そのスクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動する可動部材が、回転するスクリューにより搬送される処理対象物に対して、切り込んだ状態に侵入しながら大きなせん断力を加える。このため、処理対象物に対する脱液効率を高め、処理対象物を効率よく脱液処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】固液分離装置の部分断面正面図であって、図を判りやすくするため、一部の部材の図示を省略し、かつ連結棒については、その長手方向の各端部のみを示した図である。
【図2】固液分離装置の平面図であって、固定部材と可動部材と濾液を受ける濾液受け部材と、ステーボルト及びそのステーボルトに螺着されたナットの図示を省略した図である。
【図3】固液分離装置の一部を示す斜視図である。
【図4】隣り合う2つの固定部材と、その2つの固定部材の間に配置された可動部材と、これらに関連する一部の部材を示す斜視図である。
【図5】固定部材及び可動部材と、これらを貫通して延びるスクリューの一部を示す拡大縦断面図である。
【図6】図3のI−I線拡大断面図である。
【図7】図6のII−II線断面図である。
【図8】可動部材の円運動を明らかにした断面図である。
【図9】可動部材の円運動を明らかにした断面図である。
【図10】スクリューと可動部材の位置関係を説明するための断面図であって、図8の(a)のIII−III線に沿って切断した図に相当する図である。
【図11】図8の(a)に示したスクリューと可動部材を取り出して示した拡大断面図である。
【図12】食い込み不可領域に位置する可動部材の動作を明らかにした、図8と同様な断面図である。
【図13】食い込み不可領域に位置する可動部材の動作を明らかにした、図9と同様な断面図である。
【図14】可動部材の貫通孔の半径と食い込み可能領域との関係を例示するグラフである。
【図15】図10の場合よりも、食い込み可能領域が狭い場合の例を示す、図10と同様な説明断面図である。
【図16】食い込み不可領域における可動部材が、スクリューの羽根の外周縁よりもスクリューの中心軸線の側に入り込むことができないことを説明する、図10と同様な断面図である。
【図17】可動部材に形成された貫通孔の中心軸線と偏心カムの中心軸線とが一致していない場合に、可動部材がスクリューの羽根の外周縁よりも、スクリューの中心軸線の側に入り込むことを示す説明図である。
【図18】可動部材に形成された貫通孔の中心軸線と偏心カムの中心軸線とが一致していない場合に、可動部材がスクリューの羽根の外周縁よりも、スクリューの中心軸線の側に入り込むことを示す説明図である。
【図19】可動部材に形成された貫通孔の中心軸線と偏心カムの中心軸線とが一致していない場合に、可動部材がスクリューの羽根の外周縁よりも、スクリューの中心軸線の側に入り込むことがないことを示す説明図である。
【図20】可動部材に形成された貫通孔の中心軸線と偏心カムの中心軸線とが一致していない場合に、可動部材がスクリューの羽根の外周縁よりも、スクリューの中心軸線の側に入り込むことがないことを示す説明図である。
【図21】可動部材の貫通孔が長円形であるときの当該可動部材の円運動を示す説明図である。
【図22】四角形と三角形の可動部材の貫通孔を示す説明図である。
【図23】貫通孔を区画する可動部材の周縁の一部に突出部が形成された可動部材が円運動する様子を示した断面図である。
【図24】貫通孔を区画する可動部材の周縁の一部に突出部が形成された可動部材が円運動する様子を示した断面図である。
【図25】一部の可動部材の貫通孔の中心軸線と、他の可動部材の貫通孔の中心軸線とが一致しない固液分離装置を説明する図である。
【図26】図21の(a)に示した構成を具体化した固液分離装置の斜視図である。
【図27】図31のVI−VI線断面に相当する断面図である。
【図28】図31のVII−VII線断面に相当する断面図である。
【図29】図26のVIII−VIII線拡大断面図である。
【図30】図26のIX−IX線拡大断面図である。
【図31】可動部材とスクリューの位置関係を示す、図10と同様な断面図である。
【図32】可動部材の円運動の様子を説明する断面図である。
【図33】可動部材とスクリューの位置関係を示す、図10と同様な断面図である。
【図34】他の固液分離装置を示す斜視図である。
【図35】図34に示した固液分離装置の縦断面図である。
【図36】図34及び図35に示した固液分離装置のスクリューと可動部材の動きを説明する断面図である。
【図37】図34及び図35に示した固液分離装置のスクリューと可動部材の動きを説明する断面図である。
【図38】さらに別の固液分離装置を示す斜視図である。
【図39】図38に示した固液分離装置を、その軸線方向反対側から見た斜視図である。
【図40】図38に示した固液分離装置の縦断面図である。
【図41】図40に示した固液分離装置の横断面図であって、スクリューの回転と可動部材の動きを説明する図である。
【図42】スクリューが図41に示した位置からさらに回転した状態を示す、図41と同様な断面図である。
【図43】スクリューを2つ有する固液分離装置を示す、図41と同様な断面図である。
【図44】スクリューが図43に示した位置からさらに回転した状態を示す、図43と同様な断面図である。
【図45】スクリューを3つ有する固液分離装置を示す、図41と同様な断面図である。
【図46】スクリューが図45に示した位置からさらに回転した状態を示す、図45と同様な断面図である。
【図47】可動部材が水平方向に往復動する固液分離装置の断面図である。
【図48】可動部材が図47に示した位置からさらに移動した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0030】
図1は固液分離装置の部分断面正面図であり、図2は固液分離装置の平面図であって、後述する固定部材と可動部材等の図示を省略した図である。また、図3は固液分離装置の一部を示す斜視図である。これらの図に示した固液分離装置によって液体を含む各種の処理対象物を固液分離することができるが、ここでは、多量の水分を含んだ汚泥を脱水処理する場合について説明する。
【0031】
図1乃至図3に示した固液分離装置は、上部に汚泥の流入口5が形成され、かつ内部が中空に形成された入口部材1と、脱水処理されたケーキ状の汚泥が排出される排出口11が下部に形成されている出口部材2と、その出口部材2と入口部材1との間に配置された複数の固定部材3と、隣り合う固定部材3の間に配置された可動部材4とを有している。各可動部材4は、後述するように円運動する。
【0032】
図4は隣り合う2つの固定部材3と、その2つの固定部材3の間に配置された1つの可動部材4を示す分解斜視図であり、図5は多数の固定部材3と可動部材4の一部を示す拡大縦断面図である。図1、図4及び図5から判るように、固定部材3と可動部材4は、互いに平行な姿勢で軸線方向に配列され、隣り合う固定部材3の間に配置された小リング状のスペーサ14によって、複数の固定部材3は、軸線方向に互いに間隔をあけて同心状に配置され、その隣り合う固定部材3の間に1つの可動部材4が配置されている。図示した例では、隣り合う固定部材3の間に4個のスペーサ14が配置されている。
【0033】
本例の固定部材3と可動部材4は、共に円形の貫通孔15,16が形成されたリング状の板材により構成されていて、図1に示すように、固定部材3と可動部材4を向いた側の入口部材1の側板7には開口8が形成され、固定部材3と可動部材4を向いた側の出口部材2の側板9にも開口10が形成されている。図5に示すように、固定部材3と可動部材4の内部には、その貫通孔15,16によって区画された中空な固液分離部21が形成され、図1に示すように、入口部材1と出口部材2に形成された開口8,10は、固定部材3と可動部材4の貫通孔15,16に対向して位置している。このようにして、固定部材3と可動部材4とにより、その内部に固液分離部21が区画され、図1に示すように、固液分離部21の入口部材1の側の端部が、固液分離部21の入口22となっていて、出口部材2の側の端部が、当該固液分離部21の出口23となっている。また、図1に示すように、入口部材1の側板7の下部は、支持フレームのステー12に固定され、出口部材2の側板9の下部も支持フレームのステー13に固定されている。
【0034】
図4及び図5に示すように、各固定部材3には4つの取付孔17が形成され、その各取付孔17と、隣り合う固定部材3の間に配置されたスペーサ14の中心孔には、ステーボルト18がそれぞれ貫通して延びている。その各ステーボルト18は、図1に示したように、入口部材1の側板7と出口部材2の側板9を貫通し、各ステーボルト18の各長手方向端部に形成された雄ねじに、ナット19,20がそれぞれ螺着されて締め付けられている(図3も参照)。これにより、複数の固定部材3が、互いに一体的に固定連結されると共に、その固定部材3が入口部材1と出口部材2に対して固定されている。なお、図2においては、ステーボルト18と、そのステーボルト18に螺着されたナット19,20の図示を省略してある。図8の(a),(b)及び図9の(a),(b)は、可動部材4が後述するように円運動を行うときの様子を明らかにした説明横断面図であるが、これらの図から固液分離部21を軸線方向に見たときの固定部材3、可動部材4、ステーボルト18及びスペーサ14の状態をよく理解することができる。
【0035】
上述した固液分離部21には、その固液分離部21を区画する固定部材3と可動部材4の貫通孔15,16を貫通して延びる1つのスクリュー24が配置されている。このスクリュー24は、らせん状に延びる1条の羽根26と、その羽根26と一体に形成された軸25とを有している。軸25は、スクリュー24の中心部を構成し、該軸25の中心軸線X(図2、図5、図8及び図9)が、スクリュー24自体の中心軸線となっている。特に、図8及び図9から明らかなように、スクリュー24をその中心軸線Xの方向から見ると、当該スクリュー24の羽根26の外周縁32は円形をなしている。
【0036】
上述のように、本例の固液分離装置の複数の固定部材3と可動部材4には、それぞれ貫通孔15,16が形成され、スクリュー24は、その固定部材3と可動部材4の貫通孔15,16を通して延びている。
【0037】
スペーサ14によって互いに間隔をあけて配置された各固定部材3を、これらがわずかに遊動できるように組み付けることもできる。また、隣り合う2つの固定部材のうちの一方の固定部材にスペーサを一体に形成し、そのスペーサによって、隣り合う2つの固定部材の間に間隙を形成し、ここに可動部材4を配置することもできる。さらに、図1乃至図5に示した固液分離装置においては、隣り合う2つの固定部材3の間に1つの可動部材4が配置されているが、隣り合う固定部材3の間に複数の可動部材4を配置することもできる。軸線方向に隣り合う固定部材3の間に少なくとも1つの可動部材4が配置されるのである。
【0038】
図5に示すように、各固定部材3の間にそれぞれ配置された各可動部材4の厚さTは、各固定部材間の間隙幅Gより小さく設定され、各固定部材3の端面と、これに対向する可動部材4の端面の間には、例えば0.1mm乃至1mm程の微小な濾液排出間隙gが形成される。かかる微小濾液排出間隙gは、後述するように汚泥から分離された水分、すなわち濾液を通過させるための隙間である。可動部材4の厚さTは、例えば、1.0mm乃至3mm程に設定され、間隙幅Gは、例えば1.2mm乃至5mm程に設定される。また、固定部材3の厚さtは、例えば1.5mm乃至3mm程に設定される。濾液排出間隙g、厚さT,t及び間隙幅Gの大きさは、処理対象物の種類などを考慮して適宜設定されるものである。
【0039】
図1及び図2に示すように、スクリュー24の軸25の出口部材2の側の端部は、出口部材2のもう一方の側板27に固定支持された減速機付きの電動モータ28より成る駆動装置に駆動連結され、軸25の入口部材1の側の部分は、軸受55を介して、入口部材1のもう一方の側板29に回転自在に支持されている。電動モータ28より成る駆動装置は、スクリュー24をその中心軸線Xのまわりに回転駆動する用をなす。
【0040】
図5、図8及び図9に示すように、スクリュー24の羽根26の外径は、固定部材3に形成された円形の貫通孔15の直径よりも小さく設定されている。しかも、各可動部材4が後述するように円運動したときも、スクリュー24は可動部材4に形成された貫通孔16と、側板7,9に形成された開口8,10の内周面に接触することはない。このように、本例の固液分離装置は、可動部材4と固定部材3に接触しない状態で、その可動部材4と固定部材3を貫通して延びているスクリュー24と、該スクリュー24をその中心軸線Xのまわりに回転駆動する駆動装置とを具備しているのである。
【0041】
図1に矢印Aで示したように、多量の水分を含んだ汚泥は、流入口5から入口部材1内に送り込まれる。その際、処理前の汚泥の含水率は、例えば99重量%程度であり、この汚泥には予め凝集剤が混入されていて、汚泥がフロック化されている。かかる汚泥が入口部材1に流入するとき、電動モータ28の作動によって、スクリュー24が、その中心軸線Xのまわりに回転駆動されているので、その汚泥は、図1に矢印Bで示すように、入口部材1の側板7に形成された開口8を通って、固定部材3と可動部材4により構成された固液分離部21に流入する。このように、汚泥は、固液分離部21に、その軸線方向一端側の入口22から流入するのである。なお、各図には汚泥の図示を省略してある。
【0042】
上述のようにして固液分離部21に流入した汚泥は、電動モータ28により回転駆動されたスクリュー24によって、図1及び図5に矢印Cで示したように、固液分離部21の軸線方向他端側の出口23へ向けて搬送される。このとき、汚泥から分離された水分、すなわち濾液が、各固定部材3と可動部材4との間の濾液排出間隙g(図5)を通して固液分離部外に排出される。排出された濾液は、図1に示したようにステー12,13に固定された濾液受け部材30(図2には示さず)に受け止められ、次いで濾液排出管31を通って流下する。
【0043】
上述のようにして固液分離部21内の汚泥の含水率が下げられ、含水量の減少したケーキ状の汚泥が、図1に矢印Dで示したように、固液分離部21の軸線方向他端側の出口23から排出される。固液分離部21から排出された汚泥は、出口部材2の下部の排出口11を通して下方に落下する。脱水処理されたケーキ状の汚泥の含水率は、例えば75乃至80重量%程度である。
【0044】
上述のように汚泥を脱水処理するとき、固定部材3と可動部材4の間の濾液排出間隙gに固形分が詰まることを防止するために、本例の固液分離装置は次の構成を具備している。
【0045】
図1乃至図3、図6及び図7に示すように、スクリュー24の一方の端部の軸25の部分には、キー溝に嵌合したキー56(図7)によって、外周面58が円形に形成された偏心カム57がスクリュー24の軸25と一体に回転できるように、着脱可能に固定されている。特に図6及び図7に示すように、この偏心カム57の中心軸線Yは、スクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して、δで示す距離だけ偏心していて、その偏心カム57の円形の外周面58は、すべり軸受より成る軸受59の円形カム孔60に嵌合している。その際、偏心カム57の円形外周面58は、その全周に亘って、軸受59の円形カム孔60の内周面に、直接又は潤滑剤を介して摺動可能に当接している。
【0046】
また、上述した軸受59は、連結板61の取付孔62に嵌合していると共に、当該軸受59は、図3及び図6に示したように、図示していないボルトと、そのボルトに螺着されて締め付けられた同じく図示していないナットとによって連結板61に着脱可能に固定されている。このように、本例の軸受59は、連結板61に固定されているが、軸受59を、連結板61に形成された取付孔62に回転可能に嵌合することもできる。いずれの場合も、連結板61が後述する円運動を行えるように、当該連結板61が軸受59に連結されているのである。
【0047】
図1及び図2に示したように、上述した偏心カム57と、その偏心カム57に嵌合した軸受59は、入口部材1の側のスクリュー24の軸25に設けられているが、本例の固液分離装置においては、出口部材2の側の軸25の部分にも、上述した偏心カム57、軸受59及び連結板61と全く同じく構成された偏心カム157、軸受159、及び連結板161が設けられている。両偏心カム57,157の中心軸線Yは一致していると共に、スクリュー24の中心軸線Xに対する両偏心カム57,157の偏心量δも同一である。
【0048】
偏心カム57,157と、その偏心カム57,157に嵌合した軸受59,159と、連結板61,161は、スクリュー24の羽根26よりも当該スクリュー24の長手方向外側の軸25の部分にそれぞれ1つずつ設けられているのである。
【0049】
図2に示すように、各軸受59,159がそれぞれ固定されている一対の連結板61,161には、それぞれ2つずつの取付孔64,164が形成され、また図4に示すように、複数の可動部材4にも、それぞれ2つずつの取付孔65が形成されている。これらの取付孔64,164,65には、図2乃至図4に示すように、スクリュー24の中心軸線Xに関して対称に配置された一対の連結棒66(図8及び図9も参照)がそれぞれ貫通し、その各連結棒66の長手方向端部にそれぞれ形成された雄ねじ部にナット67,167が螺着されて締め付けられている。2本の連結棒66は、それぞれ入口部材1の側板7と、出口部材2の側板9も貫通して延びている。なお、図1においては、連結棒66については、その長手方向各端部のみを示してある。
【0050】
本例の連結棒66は、各連結板61,161に固定連結されているが、各連結棒66を、各連結板61,161に遊びをもって連結することもできる。
【0051】
上述のようにして、一対の連結板61,161が2本の連結棒66によって連結され、その2本の連結棒66に多数の可動部材4が組み付けられている。各連結棒66は、各可動部材4の取付孔65に隙間なく強固に嵌合して、連結棒66が各可動部材4に固定連結されていてもよいし、連結棒66が取付孔65に多少の隙間をもって遊嵌していてもよい。また、連結棒を3本以上設けることもできる。
【0052】
一対の連結板61,161と、複数の連結棒66は、複数の可動部材4を連結する連結手段を構成していて、その連結手段の各連結板61,161に各軸受59,159がそれぞれ連結されているのである。
【0053】
図8及び図9は、偏心カム57,157を仮想線で追加して、スクリュー24と可動部材4と固定部材3の関係を明らかにした横断面図であるが、これらの図に示したように、本例の可動部材4の貫通孔16の中心軸線は、偏心カム57,157の中心軸線Yに一致しており、従って、図には、貫通孔16の中心軸線にも符号Yを付してある。これから判るように、本例の可動部材4は、その貫通孔16の中心軸線Yが、スクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して、偏心量δだけ偏心している。なお、本例の可動部材4に形成された貫通孔16は円形であるため、その中心軸線Yは、当該貫通孔16を形成する円の中心となる。また、偏心カム57,157の中心軸線Yも、その外周面58,158を形成する円形の中心であり、後述する偏心カムの中心軸線も、同じくその円形外周面の中心である。
【0054】
上述したところから理解されるように、本例の固液分離装置は、複数の可動部材4が共に後述する如く円運動できるように、その複数の可動部材4を連結する連結手段と、スクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して偏心していて、該軸25と一体に回転する偏心カム57,157と、上記連結手段に連結されていて、偏心カム57,157の円形外周面58,158が嵌合する円形カム孔60,160を備えた軸受59,159とを具備し、偏心カム57,157の円形外周面58,158は、その全周に亘って、軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面に直接又は潤滑剤を介して摺動可能に当接している。
【0055】
しかも、本例の固液分離装置においては、偏心カム57,157及びその偏心カム57,157に嵌合した軸受59,159は、スクリュー24の羽根26よりもそのスクリュー24の長手方向外側の軸25の部分にそれぞれ1つずつ設けられており、さらに連結手段は、各軸受59,159にそれぞれ連結された一対の連結板61,161と、複数の可動部材4に連結された複数の連結棒66とを有し、各連結棒66がそれぞれ各連結板61,161に連結されている。
【0056】
上述のように、本例の固液分離装置においては、可動部材4の貫通孔16の中心軸線と、偏心カム57,157の中心軸線とが互いに一致し、しかも全ての可動部材4の中心軸線Yが一致しているが、各可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yが一致しておらず、或いは可動部材4の貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線とが一致せずに、これらが互いにずれているように構成することもできる。また、後述するように、貫通孔16を円形以外の形態に形成することもでき、貫通孔16の中心軸線が明らかではない形態に貫通孔16を形成することも可能である。
【0057】
ここで、図1及び図2に示した電動モータ28が作動を開始して、スクリュー24がその中心軸線Xのまわりに回転(自転)すると、そのスクリュー24の回転に伴って、偏心カム57,157は、図7に矢印Eで示すように、その偏心カム57,157の中心軸線Yがスクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、偏心カム57,157の偏心量δを半径とした円を描きながら回転する。このとき、各偏心カム57,157は各連結板61,161に連結され、複数の可動部材4は、複数の連結棒66を介して両連結板61,161に連結されており、しかも偏心カム57,157の中心軸線と連結手段により連結された複数の可動部材4の貫通孔16の中心軸線は、これらを共に符号Yで示したように一致しているので、偏心カム57,157が上述のように回転するのと同時に、連結板61,161と連結棒66により構成された連結手段と、その連結手段によって連結された複数の可動部材4が、偏心カム57,157の偏心量δを半径とする円運動を行う。図8の(a),(b)及び図9の(a),(b)から判るように、偏心カム57,157の中心軸線Yがスクリュー24の中心軸線Xのまわりに偏心量δを半径として矢印E方向に回転することにより、連結手段によって連結された可動部材4も、その貫通孔16の中心軸線Yが、図8の(a),(b)、図9の(a),(b)に示した順にスクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、偏心カムの偏心量δを半径として円を描きながら円運動を行う。偏心カム57,157の中心軸線Yと連結手段により連結された複数の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yは一致していて、スクリュー24の回転に伴って、偏心カム57,157は、その中心軸線Yが、スクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、該偏心カム57,157の偏心量δを半径とする円を描きながら回転し、これにより、連結手段によって連結された複数の可動部材4は、その貫通孔16の中心軸線Yが、スクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、偏心カム57,157の偏心量δを半径とする円を描きながら円運動を行うのである。
【0058】
前述のように、本例の可動部材4の貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線とは一致し、しかも全ての可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yが一致しているが、これと異なり、可動部材4の貫通孔16の中心軸線と、偏心カム57,157の中心軸線とが一致せず、或いは各可動部材4の貫通孔16の中心軸線が互いに一致していない場合も、また可動部材の貫通孔16の中心軸線が明らかではない場合も、可動部材4は、偏心カム57,157の偏心量δを半径とした円運動を行う。このように、いずれの場合も、可動部材4が偏心カム57,157の偏心量δを半径とした円運動を行うように、可動部材4が偏心カム57,157に連結されているのである。
【0059】
前述のように、汚泥が固液分離部21内を移動しながら脱水処理されているとき、各可動部材4は上述のように円運動を行い、これに対し固定部材3は不動に固定されているので、互いに隣り合う可動部材4と固定部材3との間の濾液排出間隙g(図5)に入り込んだ固形分は、その間隙gから効率よく排出され、固形分がここに詰まったままとなることが阻止される。しかも、回転するスクリュー24の羽根26が、固定部材3はもとより可動部材4にも接触することはないので、可動部材4が早期に摩耗することが阻止される。
【0060】
但し、偏心カム57,157は、その円形外周面58,158が軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面に摺接しながら回転するので、偏心カム57,157又は軸受59,159、或いはその両者が共に経時的に摩耗することは避けられないが、その摩耗量は次に示すように小さく留められる。
【0061】
前述のように、偏心カム57,157の円形外周面58,158は、その全周に亘って、軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面に直接又は潤滑剤を介して当接している。これにより、偏心カム57,157の円形外周面58,158と軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面に作用する外力は分散され、両周面の単位面積当たりの当接圧は小さなものとなる。このため、偏心カム57,157又は軸受59,159、或いはその両者の摩耗量を少なくすることができ、その寿命を伸ばすことができ、これらの部品の交換回数を減らすことができる。しかも、各連結板61,161を左右一対の偏心カムで駆動するのではなく、スクリュー24の軸25に固定された偏心カム57,157によって駆動するので、偏心カム57,157の円形外周面58,158と軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面が全周に亘って当接していても、偏心カム57,157と軸受59,159の形状精度ないしは組付精度をさほど高めなくとも、各連結板61,161を正しく円運動させることができる。
【0062】
なお、可動部材4と連結手段が前述のように円運動するとき、偏心カム57,157から連結手段の連結板61,161に加えられる外力によって、連結板61,161と連結棒66と可動部材4とが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、図8の(a)に矢印Fで示した方向に回転(自転)して、その可動部材4が、固定部材3ないしはその固定部材間のスペーサ14に当接して、これらに傷が付けられるおそれがある。そこで、本例の固液分離装置においては、図2及び図3に示すように、各連結棒66が貫通する側板7,9の孔に、リング状のガイド69(図1には示さず)が、図示していないボルトとナットとによって着脱可能に固定されている。連結棒66が前述の円運動を行うとき、その連結棒66はリング状の各ガイド69の内周面に摺接しながら案内され、その連結棒66が図8の(a)に示した矢印F方向に回転することが阻止される。このように、ガイド69は、連結手段が、該連結手段により連結された複数の可動部材4と共に、スクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに矢印F方向に回転して、可動部材4が他の部材に当接することを防止する用をなす。
【0063】
上述した固液分離装置においては、偏心カム57,157がスクリュー24とは別部材として構成されているが、偏心カム57,157をスクリュー24と一体に形成することもできる。但し、本例のように、偏心カム57,157をスクリュー24の軸25に着脱可能に固定すると、その偏心カム57,157が摩耗したとき、これらを軸25から外して、容易に新たな偏心カムを軸25に取り付けることができる。
【0064】
以上説明した固液分離装置においては、1条の羽根26を有する1つのスクリュー24が用いられているが、2条以上の羽根を有するスクリューを用いたり、特許第4374396号公報にも記載されているように固定部材と可動部材を貫通して延びる2以上のスクリューを用いることもできる。さらに、同特許公報に記載されているように、上部に凹部が形成された板材より成る固定部材と可動部材を用いることもできる。この場合も、スクリューは、固定部材と可動部材に接触することなく、その固定部材と可動部材を貫通して延びる少なくとも1つのスクリューが用いられる。また、図示した固液分離装置の場合、隣り合う固定部材の間に配置された可動部材4は、固定部材3に対して平行な姿勢を保ちながら、その貫通孔16の中心軸線Yが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりを円を描きながら円運動するように構成されているが、当該可動部材が、それ自体公知のように、固定部材に対してほぼ平行な姿勢を保ちながら、往復直線運動や往復傾動などの運動を行うように構成することもできる(前述の特許文献1乃至6を参照)。また、可動部材を駆動するための構成も、例えば、これらの特許文献1乃至6に記載された構成、或いはそれ自体公知の他の構成を適宜採用することもできる。これらの具体的構成については、後により詳しく説明する。
【0065】
以上のように、本発明の対象としている固液分離装置は、複数の固定部材と、隣り合う固定部材の間に配置されて運動する可動部材と、該可動部材と前記固定部材に接触しない状態で該可動部材と固定部材を貫通して延びる少なくとも1つのスクリューとを有し、該スクリューはその中心軸線のまわりに回転駆動され、該スクリューの回転によって、固定部材と可動部材とにより区画された固液分離部に入り込んだ処理対象物を該固液分離部の出口に向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を固定部材と可動部材の間の濾液排出間隙を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を前記出口から固液分離部外に排出させるように構成されている。この基本構成は、後述する各種形態の固液分離装置に共通するものである。
【0066】
ところで、先にも説明したように、従来のこの形式の固液分離装置においては、固定部材に対して運動する可動部材が、スクリューに干渉することを阻止すべく、可動部材が常にスクリューの外周縁よりも外側で運動するように構成されており、これによって処理対象物に対する脱液効率が低下する欠点を免れなかった。
【0067】
そこで、本発明に係る固液分離装置は、少なくとも一部の可動部材が、スクリューに接触することなく、該スクリューの羽根の外周縁よりも、当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動するように形成されている。かかる構成によれば、スクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動する可動部材が、回転するスクリューによって搬送される処理対象物に切り込んだ状態に侵入しながら、その処理対象物に対して大きなせん断力を加えることができるので、処理対象物に対する脱液効率を格段と高めることができる。
【0068】
次に、上述した本発明の特徴とする構成を図1乃至図9を参照して先に説明した固液分離装置に適用した具体例を明らかにする。
【0069】
前述のように、図8の(a),(b)及び図9の(a),(b)は、可動部材4の円運動を説明する断面図である。これらの図において、符号26Aを付した部分は、らせん状に延びる羽根26の断面を示している。また、図10は、図8の(a)のIII−III線に沿って切断した断面図に相当する図であって、固定部材の図示を省略して、スクリュー24と可動部材4の位置関係を明らかにした説明図である。逆に、図8の(a)は、図10のIV−IV線断面に相当する図である。なお、図10は、可動部材4とスクリュー24の関係を説明する図であって、その可動部材4とスクリュー24の相対位置及びスクリューの形状などは、図5に示したところと完全に一致するものではない(図15、図16、図31及び図33においても同様)。
【0070】
図8及び図9に付した二重斜線は、可動部材4が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込んだ部分を示している。図8乃至図10においては、このように羽根26の外周縁32よりもスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込んだ可動部材4の部分に対して符号51を付してある。図10から判るように、羽根26の外周縁32よりもスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込んだ可動部材4の部分51は、スクリュー24の羽根26に干渉することがないように、隣り合う2つの羽根部分33,33の間に位置している。また、図8の(a)及び図10に示すように、スクリュー24の中心軸線Xに対して、可動部材4の部分51とは反対の側に位置する可動部材4の部分52について注目すると、その可動部材部分52に近接して、羽根26の他の部分34が位置している。ところが、この可動部材部分52は、スクリュー24の羽根部分34から、その半径方向に離間しているので、当該羽根部分34がスクリュー24の羽根26に干渉することはない。
【0071】
ここで、上述のように、可動部材4が、スクリュー24の羽根26に干渉することなく、当該スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことのできる条件を明らかにする。
【0072】
先ず、図11は、図を判りやすくするため、図8の(a)中のスクリュー24と可動部材4を取り出して拡大した説明断面図である。この図11に示すように、可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yからその貫通孔16を区画する可動部材4の周縁35までの最短距離をK、スクリュー24の半径をSとし、スクリュー24の中心軸線Xに対して貫通孔16の中心軸線Yが偏心している距離、すなわちその偏心量を前述のようにδとする。本例の固液分離装置においては、貫通孔16は円形をなしているので、最短距離Kは、その円形貫通孔16の半径となる。
【0073】
図11に二重斜線を付した可動部材4の部分51が、スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込めるためには、図11から明らかなように、K<S+δでなければならない。逆に、可動部材4の部分52が、羽根部分34に干渉しないようにするには、S−δ<Kを満たす必要がある。このことは、図8の(b)及び図9の(a),(b)に示したように、可動部材4がスクリュー24に対して他の位置を占めているときも全く同じである。このように、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりもそのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行う可動部材4の貫通孔16は、S−δ<K<S+δを満たすように形成されている。この条件を、可動部材の食い込みのための第1の条件とする。
【0074】
図10から判るように、スクリュー24の隣り合う2つの羽根部分33,33の間で、羽根26の外周縁32よりもスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込んだ可動部材部分51は、スクリュー24の中心軸線方向における領域Zの範囲内に位置している。本例の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yは、その全てがスクリュー24の中心軸線Xに対して同じ向きに同じ距離δだけ偏心しており、しかもスクリュー24の羽根26はらせん状に延びているので、上述した領域Z以外の領域Wに位置する可動部材4は、その貫通孔16が、前述の食い込みのための第1の条件を満たすように形成されていても、当該可動部材4は、スクリュー24の羽根26に干渉する。従って、領域Wに位置する可動部材4は、その羽根26の外周縁32よりも該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことはできない。仮に、図16に示すように、領域Wに位置する可動部材4の貫通孔16を、前述の食い込みのための第1の条件を満たすように形成したとすると、その可動部材4の部分53は、スクリュー24の羽根26に干渉してしまう。従って、実際には、領域Wに位置する可動部材4の貫通孔16を第1の条件を満たすように形成することはできないのである。
【0075】
以下の説明では、図10に示した領域Zを食い込み可能領域と称し、同じく領域Wを食い込み不可領域と称することにする。
【0076】
図12の(a),(b)及び図13の(a),(b)は、図10に示した食い込み不可領域Wに位置する可動部材4と、スクリュー24との相対位置関係を示す図であって、図11と同じく、固定部材の図示を省き、スクリュー24の羽根26の断面を符号26Aで示してある。また、図13の(a)は、図10のV−V線断面に相当する図である。これらの図も、可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yが、図12の(a),(b)及び図13の(a),(b)に示した順にスクリュー24の中心軸線Xのまわりに偏心量δを半径とした円を描きながら当該可動部材4が円運動する様子を示している。
【0077】
ここでも、可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yからその貫通孔16を区画する可動部材4の周縁35までの最短距離(この例でも貫通孔16の半径)をKとし、スクリュー24の半径をSとすると、K,Sと偏心量δとの関係は、K>S+δを満たしている。この条件を、可動部材の干渉回避条件と称することにする。この干渉回避条件を満たすことによって、図12の(a),(b)及び図13の(a),(b)から判るように、食い込み不可領域Wに存する可動部材4が、スクリュー24に対していかなる位置を占めたときも、当該可動部材4がスクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことはなく、従って、当該可動部材4が羽根26に干渉することはない。このように、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことなく、円運動を行う可動部材4の貫通孔16は、K>S+δを満たすように形成されているのである。
【0078】
ここで、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりもその中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行うことのできる可動部材4は、図10に示した食い込み可能領域Zの範囲内に位置している必要があるが、この食い込み可能領域Zは次のように規定される。
【0079】
前述のように、可動部材4の中心軸線Yが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、その中心軸線Yの偏心量δを半径とした円を描くように、該可動部材4が円運動する場合には、図10及び図11に示したように、可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yから、スクリュー24の中心軸線Xに向けて、該スクリュー24の半径方向に引いた直線Hがスクリュー24の中心軸線Xを越えて、当該スクリュー24の外周縁32を含む仮想筒Iと交わる点を外周縁交点Jとする。また、その外周縁交点Jを通り、スクリュー24の中心軸線Xに対して平行に延びる直線を中心平行線Lとし、かつスクリュー24の中心軸線Xの方向に隣り合う当該スクリュー24の2つの羽根部分33,33と上記中心平行線Lとの交点をそれぞれ羽根交点M,Mとしたとき、その2つの羽根交点M,Mの中点Nを含み、かつ上記2つの羽根部分33,33の間の距離よりも狭いスクリュー24の中心軸線X方向における所定の幅が、上述した食い込み可能領域Zである。上述のように、食い込み可能領域Zは、隣り合う2つの羽根部分33,33の間の距離、すなわちピッチPよりも狭い領域となる。スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら前述の円運動を行う可動部材4は、当該幅内、すなわち食い込み可能領域Z内に位置しているのである。この条件を可動部材の食い込みのための第2の条件とする。前述の第1の条件と第2の条件を満たすことによって、可動部材4が、羽根26の外周縁32よりも、スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動することができる。
【0080】
上述した食い込み可能領域Zは、図10に示したスクリュー24の羽根26のピッチP、羽根26の板厚d、可動部材の貫通孔16の中心軸線Yからの前述の最短距離K、前述の偏心量δ及びスクリュー24の半径Sとによって決まる値である。図14は、P=100mm、δ=8mmであるときに、最短距離(この例では貫通孔16の半径)Kの大きさに応じて、食い込み可能領域Zがいかに変化するかを実際の固液分離装置を用いて解析した結果を示すグラフであり、L1はd=2mmのときの結果を示し、L2はd=4mmのときの結果を示し、L3はd=6mmのときの結果を示している。このグラフから判るように、可動部材4の貫通孔16の半径が大きくなればなるほど、食い込み可能領域Zの幅も大きくなる。図15は、図10の場合よりも食い込み可能領域Zの幅が狭くなったときの例を示している。
【0081】
図8乃至図13に示した例では、可動部材4の貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線とが一致していて、可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yがスクリュー24の中心軸線Xのまわりに円を描きながら、可動部材4が円運動する。このような場合には、最短距離Kは、前述の如く、可動部材4の貫通孔16の中心軸線から、その貫通孔16を区画する可動部材4の周縁35までの最短距離となる。これに対し、貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線とが一致していない場合を含めて、上述した最短距離Kを考慮すると、その最短距離Kは、偏心カム57,157の中心軸線から可動部材4の貫通孔16を区画する可動部材4の周縁35までの最短距離と定義される。
【0082】
図17の(a),(b)及び図18の(a),(b)は、上述した点を明らかにする説明図であって、可動部材の貫通孔16の中心軸線と、外周面が円形に形成された偏心カム57,157の中心軸線Yとが一致しない場合の食い込み可能領域の状態を示す図である。ここでは、図を単純化するために可動部材の貫通孔16を二点鎖線で示し、偏心カム57,157を一点鎖線で示し、スクリュー24を実線で示してあり、スクリュー24の羽根26の断面を符号26Aで示してある。この場合も、スクリュー24がその中心軸線Xのまわりに回転(自転)することにより、スクリュー24の軸25に固定された偏心カム57,157は、その中心軸線Yが、矢印Eで示すように、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、該偏心カム57,157の偏心量δを半径とした円を描きながら、図17の(a),(b)及び図18の(a),(b)に示した順に回転する。図17及び図18に二重斜線を付した可動部材の部分が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込んでいる。但し、ここに示した例では、上述のように、貫通孔16の中心軸線が、偏心カム57,157の中心軸線Yと一致しておらず、この点が、図8、図9及び図11に示した例と相違している。
【0083】
ここで、図17の(a)及び図18の(a)に示すように、偏心カム57,157の中心軸線Yから、可動部材の貫通孔16を区画する可動部材の周縁35までの最短距離をK、スクリュー24の半径をS、偏心カム57,157の中心軸線Yのスクリュー24の中心軸線Xからの偏心量をδとすると、図17の(a)から明らかなように、可動部材の部分51がスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込めるようにするには、K<S+δでなければならない。逆に、図18の(a)から判るように、可動部材の部分52が羽根部分34に干渉しないようにするには、S−δ<Kを満たす必要がある。このように、この場合も、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行う可動部材の貫通孔16は、可動部材の食い込みのための第1の条件であるS−δ<K<S+δを満たすように形成されているのである。図8、図9及び図11に示した例では、貫通孔16の中心軸線が偏心カム57,157の中心軸線に一致しているので、偏心カム57,157の中心軸線Yから、貫通孔16を区画する可動部材の周縁35までの最短距離Kが、貫通孔16の中心軸線から貫通孔16の周縁35までの最短距離Kとなる。図8、図9及び図11は、図17及び図18に示した例の特殊な場合を示しているのである。
【0084】
一方、図19の(a),(b)及び図20の(a),(b)は、可動部材の貫通孔16の中心軸線と、偏心カム57,157の中心軸線Yとが一致していない場合の食い込み不可領域の状態を示す、図17及び図18と同様な説明図である。スクリュー24は、図19の(a),(b)、及び図20の(a),(b)に示した順に回転して、偏心カム57,157は、その中心軸線Yが、矢印Eで示すように、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、該中心軸線Yの偏心量δを半径とした円を描きながら回転する。これにより、貫通孔16を有する可動部材が円運動する。
【0085】
ここでも、図17及び図18と同様に、図19の(a)に示す如く、偏心カム57,157の中心軸線Yから可動部材の貫通孔16を区画する可動部材の周縁35までの最短距離をK、スクリュー24の半径をS、スクリュー24の中心軸線Xに対する偏心カム57,157の偏心量をδとすると、図19の(a)から判るように、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことなく、円運動を行う可動部材は、可動部材の干渉回避条件であるK>S+δを満たしている。この条件を満たすことによって、図19の(a),(b)及び図20(a),(b)から判るように、食い込み不可領域Wに存する可動部材がスクリュー24に対していかなる位置を占めたときも、その可動部材がスクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことはなく、従って可動部材が羽根26に干渉することはない。
【0086】
図12及び図13は、図19及び図20に示した例の特殊な場合、すなわち貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線とが一致している場合を示すものである。
【0087】
貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線が一致していない場合を含めて、食い込み可能領域Zも、図10に関連して先に説明したところと同様に規定することができる。すなわち、貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線が一致しているか否かにかかわらず、図10に示したように、偏心カム57,157の中心軸線Yから、スクリュー24の中心軸線Xに向けて、該スクリュー24の半径方向に引いた直線Hが該スクリュー24の中心軸線Xを越えて、当該スクリュー24の外周縁32を含む仮想筒Iと交わる点を外周縁交点Jとし、該外周縁交点Jを通り、スクリュー24の中心軸線Xに対して平行に延びる直線を中心平行線Lとし、かつスクリュー24の中心軸線Xの方向に隣り合う当該スクリューの2つの羽根33,33部分と中心平行線Lとの交点をそれぞれ羽根交点M,Mとしたとき、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行う可動部材4は、2つの羽根交点M,Mの中点Nを含み、かつ2つの羽根33,33部分の間の距離よりも狭いスクリューの中心軸線X方向における所定の幅である食い込み可能領域Z内に位置している。貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線が一致する場合には、上述したところの特殊な場合として、直線Hが貫通孔16の中心軸線からスクリュー24の中心軸線Xに向けて引かれるのである。
【0088】
以上説明した固液分離装置においては、その可動部材4の貫通孔16が円形に形成されているが、この貫通孔16の形態は、前述のように、円形以外の適宜な形態、例えば長円形や多角形に形成することもできる。ここに言う長円形とは、楕円形のほかに、円形を細長く潰した状態の形状も含むものである。
【0089】
可動部材の貫通孔の形状が円形以外であるときも、可動部材がスクリューに接触することなく、スクリューの羽根の外周縁よりもスクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動できるようにするには、前述の可動部材の食い込みのための第1及び第2の条件を満たせばよい。念のために、貫通孔の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線とが一致していて、その貫通孔が長円形である場合の条件について説明する。但し、可動部材の食い込みのための第2の条件は、前述したところと全く同様にして得られるので、ここではその重複した説明は省略し、可動部材の食い込みのための第1の条件を明らかにする。
【0090】
図21(a)乃至(d)は、図8及び図9と同様に、食い込み可能領域に位置する可動部材の貫通孔16とスクリュー24の相対位置関係を示す説明図である。ここでは、図を判りやすくするため、貫通孔16を二点鎖線で示し、スクリュー24を実線で示してある。これらの図における符号26Aも、スクリュー24の羽根26の断面を示している。ここに示した可動部材の貫通孔16は、長円形をなしているので、その中心軸線Yは、当該長円形の長軸LAと短軸SAの交点である。可動部材は、その貫通孔16の中心軸線Yが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、スクリュー24の中心軸線Xに対する貫通孔16の中心軸線Yの偏心量δを半径とした円形を描きながら、矢印Eで示すように、図21の(a)乃至(d)の順に円運動することは先に示した例と変わりはない。この場合も、図21に二重斜線を付した可動部材の部分が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込んだことを示している。
【0091】
ここでも、可動部材の貫通孔16の中心軸線Yからその貫通孔16を区画する可動部材の周縁35までの最短距離をK、スクリュー24の半径をS、スクリュー24の中心軸線Xに対する貫通孔16の中心軸線Yの偏心量をδとする。ここに示した貫通孔16は長円形であるので、その中心軸線Yから周縁35までの最短距離Kは、貫通孔16の短軸SAの1/2の長さとなる。
【0092】
図21の(a)から判るように、二重斜線を付した可動部材の部分51が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことができるためには、K<S+δでなければならず、また可動部材の部分52がスクリュー24の羽根26に接触しないためには、K>S−δを満たす必要がある。結局、可動部材がスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むことができるための条件は、S−δ<K<S+δとなり、これは前述の第1の条件に一致する。この第1の条件を満たせば、図21の(a)乃至(d)に示したように、可動部材の貫通孔16がスクリュー24に対していかなる位置を占めたときも、可動部材はスクリュー24に干渉することなく、その羽根26の外周縁32よりも中心軸線Xの側に入り込むことができる。
【0093】
食い込み不可領域に位置する可動部材がスクリュー24に干渉しないためには、図21の(a)から判るように、最短距離Kが、スクリューの半径Sと偏心量δの和よりも大きいこと、すなわちK>S+δであることが必要である。これは、前述の干渉回避条件に一致する。この条件を満たせば、食い込み不可領域に存する可動部材が、スクリュー24に対していかなる位置を占めたときも、その可動部材は、スクリュー24に干渉することなく円運動することができる。図21に示した固液分離装置の他の構成と作用は、図1乃至図15を参照して先に説明した固液分離装置と変わりはない。
【0094】
可動部材の貫通孔の形状が、円形と長円形以外のときも、上述したところと全く同様にして、食い込み可能領域Zと、食い込み不可領域Wと、食い込みのための第1及び第2の条件と、干渉回避条件を定めることができ、かかる形状の貫通孔を有する可動部材を支障なく用いることが可能である。なお、図22の(a)に示すように、可動部材の貫通孔16が四角形であり、その一辺の長さがa、他の辺の長さがbであるときは、その各辺の1/2の線の交点がその中心軸線Yとなり、図22の(b)に示すように、可動部材の貫通孔16が三角形であるときは、その中心軸線Yは、当該三角形の重心の位置となる。
【0095】
なお、固液分離部内での処理対象物の搬送性と、その脱液効率を高めるには、可動部材の貫通孔が多角形であるよりも、円形又は長円形であることが好ましい。また、可動部材4の円形、長円形又は多角形の貫通孔16を区画する周縁35に多数のギザギザ状の凹凸を形成することもできる。
【0096】
図23の(a),(b)及び図24の(a),(b)も、図8及び図9の(a),(b)と同様に、食い込み可能領域に位置する可動部材4の円運動を明らかにした他の例を示す断面図であり、図23及び図24においても、図11と同様に固定部材の図示を省略してある。ここに示した可動部材4の貫通孔16は、その基本となる形状が、中心軸線Yを中心とした円形をなし、その貫通孔16を区画する可動部材4の周縁35に突出部36が形成され、その突出部36がスクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むように構成されている。より具体的に示すと、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行う可動部材4は、該可動部材4の貫通孔16を区画する当該可動部材4の周縁35の一部が、他の周縁部分よりも当該貫通孔16の中心軸線Yの側に突出していて、その突出部36が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込むように構成されているのである。図23及び図24においても、符号26Aは、スクリュー24の軸25に一体の羽根26の断面を示している。
【0097】
図23及び図24の(a),(b)に示した固液分離装置の場合も、貫通孔16の中心軸線Yがスクリュー24の中心軸線Xに対してδだけ偏心していて、可動部材4は、その貫通孔16の中心軸線Yが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、矢印Eで示したように、偏心量δを半径とした円を描きながら、図23の(a),(b)及び図24の(a),(b)の順に円運動する。その際、可動部材4がスクリュー24に接触することなく、その可動部材4の突出部36がスクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、その中心軸線Xの側に入り込みながら円運動できるようにするには、この場合も、先に示した可動部材の食い込みのための第1及び第2の条件を満たせばよい。第2の条件は先に説明したところと全く同様にして得られるので、ここでも可動部材4の食い込みのための第1の条件だけを明らかにする。
【0098】
図23及び図24においても、可動部材4の突出部36が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込んだ部分に対して二重斜線を付してある。ここでも、図23の(a)及び図24の(a)に示すように貫通孔16の中心軸線Yからその貫通孔16を区画する可動部材4の外周縁35までの最短距離をKとすると、その最短距離Kは、貫通孔16の中心軸線Yから突出部36までの距離となる。また、スクリュー24の半径をSとし、スクリュー24の中心軸線Xに対する貫通孔16の中心軸線Yの偏心量を前述のようにδとすると、突出部36がスクリュー24の外周縁32よりもその中心軸線Xの側に入り込むことができるためには、図24の(a)から判るように、K<S+δでなければならない。また、図23の(a)から判るように、突出部36が羽根26に干渉しないようにするためには、K>S−δが必要である。結局、この例の場合も、S−δ<K<S+δなる第1の条件を満たすことによって、可動部材4は、スクリュー24に干渉することなく、その羽根26の外周縁32よりも該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動することができる。
【0099】
また、図23及び図24に示した実施形態の場合にも、食い込み不可領域に位置する可動部材がスクリュー24に干渉しないためには、図24の(a)から判るように、K>S+δであることが必要である。この条件を満たせば、食い込み不可領域に存する可動部材は、スクリュー24に接触することなく円運動することができる。図23及び図24に示した固液分離装置の他の構成は、図1乃至図20に示した前述の固液分離装置と同じく構成することができる。
【0100】
図21、図23及び図24を参照して上に説明した固液分離装置は、その可動部材の貫通孔16の中心軸線と、偏心カム57,157(図8及び図9参照)の中心軸線とが一致していて、可動部材は、その中心軸線Yがスクリュー24の中心軸線Xのまわりに偏心カム57,157の偏心量δを半径として円を描くように円運動するように構成されているが、各可動部材の中心軸線が一致していない場合や、貫通孔16の中心軸線と偏心カム57,157の中心軸線とが一致していない場合、或いは貫通孔16の中心軸線が定まらないような場合には、先に説明したところから明らかなように、偏心カム57,157の中心軸線から可動部材の貫通孔16を区画する可動部材の周縁35までの最短距離をKとして、S−δ<K<S+δを満たし、かつK>S+δを満たすように構成することによって、可動部材がスクリュー24に干渉することなく、そのスクリュー24の外周縁32よりも中心軸線Xの側に入り込むことができる。
【0101】
以上、全ての可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yが一致していて、該可動部材4は、その中心軸線Yが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、該可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yの偏心量δを半径とした円を描きながら円運動する固液分離装置を説明したが、前述のように、各可動部材4の中心軸線が一致しないように構成することもできる。さらに、図25の(a)に破線と二点鎖線で模式的に示したように、一部の可動部材の貫通孔16の中心軸線Yを全て一致させ、他の可動部材の貫通孔16Aの中心軸線YAも全て一致させると共に、一部の可動部材の貫通孔16の中心軸線Yと、他の可動部材の貫通孔16Aの中心軸線YAを互いに一致させず、しかもその一部の可動部材と他の可動部材は、その各貫通孔16,16Aの中心軸線Y,YAが、図25の(a)に実線で示したスクリュー24の中心軸線Xのまわりに、その各可動部材の貫通孔16,16Aの中心軸線Y,YAのスクリューの中心軸線Xに対する偏心量を半径とした円を描きながら円運動するように構成することもできる。
【0102】
図25の(a)は、中心軸線Yを有する貫通孔16を備えた可動部材と、その中心軸線Yとは一致していない中心軸線YAを有する貫通孔16Aを備えた可動部材の2種類の可動部材を示したが、中心軸線が互いに一致していない3種類以上の可動部材を設けることもできる。図25の(b)は、中心軸線Yを有する貫通孔16を備えた第1の複数の可動部材と、同じく中心軸線YAを有する貫通孔16Aを備えた第2の複数の可動部材と、さらに中心軸線YBを有する貫通孔16Bを備えた第3の複数の可動部材を具備する固液分離装置を示している。その各中心軸線Y,YA,YBは、スクリュー24の中心軸線Xに対してそれぞれ偏心し、かつその中心軸線Y,YA,YBは互いに一致していない。3種の可動部材は、その各中心軸線Y,YA,YBが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、その各可動部材の貫通孔16,16A,16Bの中心軸線Y,YA,YBの偏心量を半径とした円を描きながら円運動する。
【0103】
また、図25の(a),(b)から判るように、中心軸線Y,YA,YBが互いに一致していない複数の偏心カムを有するように構成することもでき、その複数の偏心カムの中心軸線Y,YA,YBはスクリュー24の中心軸線Xに対してそれぞれ偏心し、かつ当該複数の偏心カムは、その中心軸線Y,YA,YBが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、各偏心カムの偏心量を半径とした円を描きながら回転する。この構成は、可動部材の中心軸線と偏心カムの中心軸線が一致しているか否かにかかわらず採用できるものである。
【0104】
図26は、図25の(a)に示した構成を具体化した固液分離装置の斜視図であり、図1に示した出口部材2を簡略化して示すと共に、図1に示した電動モータ28などの一部の要素を省略した図である。図31はこの固液分離装置の可動部材とスクリュー24との相対位置関係を示した、図10と同様な説明断面図であって、固定部材の図示を省略した図である。また、図27は、図31のVI−VI線断面に相当する図であり、図28は、図31のVII−VII線断面に相当する図であって、これらの図は、図8及び図9と同様な断面図である。さらに、図29は図26のVIII−VIII線拡大断面図であり、図30は図26のIX−IX線拡大断面図である。
【0105】
図26乃至図31に示した固液分離装置の基本構成は、先に説明した固液分離装置と変わりはない。すなわち、本例の固液分離装置も、図26乃至図28に示すように、複数の固定部材3を有し、隣り合う固定部材3は、その間に配置されたスペーサ14によって互いに間隔をあけて配置されている。しかも複数の固定部材3は、その固定部材3とスペーサ14とを貫通して延びる4本のステーボルト18によって互いに固定され、隣り合う固定部材3の間に可動部材4,4Aが配置されている。固定部材3には円形の貫通孔15が形成され、可動部材4,4Aにも円形の貫通孔16,16Aが形成され、その貫通孔15,16,16Aによって固液分離部21が区画されている。固定部材3と可動部材4,4Aの貫通孔15,16,16Aには、一条の羽根26を有する1本のスクリュー24が、その固定部材3と可動部材4,4Aに接触することなく貫通して延びている。
【0106】
汚泥は、図26に示した入口部材1の流入口5から送り込まれ、図27及び図28に示した固液分離部21に流入する。このとき、図26には示していない電動モータによって、スクリュー24が、その中心軸線Xのまわりに回転駆動され、これによって汚泥は、固液分離部21の出口23に向けて搬送され、濾液が固定部材3と可動部材4,4Aの間の濾液排出間隙を通して固液分離部21の外部に排出され、含水率の低下した汚泥が出口23から固液分離部外に排出される。本例の固液分離装置のスクリュー24も、先に説明したスクリューと同じく、羽根26と、その羽根26と一体に形成されていて、スクリューの中心部を構成している軸25を有している。このように本例の固液分離装置の基本構成と作用は、先に説明した固液分離装置と変わりはない。
【0107】
上述のように、本例の固液分離装置は、図26乃至図31に示した複数の可動部材4と、複数の可動部材4Aとを有しているが、必要に応じて、前者の可動部材4を一部の複数の可動部材と称し、後者の可動部材4Aを他の複数の可動部材と称することにする。図27、図28及び図31から判るように、かかる可動部材4,4Aの円形の貫通孔16,16Aの中心軸線Y,YAは、スクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して共にδだけ偏心しているが、一部の複数の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yは全て一致し、かつ他の複数の可動部材4Aの貫通孔16Aの中心軸線YAも全て一致している。但し、一部の複数の可動部材4の中心軸線Yと、他の複数の可動部材4Aの中心軸線YAは一致していない。
【0108】
本例の固液分離装置も、図26、図29及び図30に示すように、図1乃至図15に示した固液分離装置と同じく、スクリュー24の軸25の各長手方向端部に、外周面58,158が円形に形成された偏心カム57,157がそれぞれ着脱可能に固定され、その各偏心カム57,157の円形の外周面58,158は、すべり軸受より成る軸受59,159の円形カム孔60,160に嵌合している。偏心カム57,157の中心軸線Yは、スクリュー24の軸25の中心軸線Xに対してδだけ偏心し、偏心カム57,157の円形外周面58,158は、その全周に亘って、軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面に、直接又は潤滑剤を介して摺動可能に当接している。両偏心カム57,157の中心軸線Yは一致している。また、軸受59,159は連結板61,161の取付孔62,162に嵌合していると共に、その各連結板61,161に着脱可能に固定連結されている。
【0109】
図26に示すように、各連結板61,161には、ナット67,167によって、2本の連結棒66が着脱可能に固定され、両連結板61,161が2本の連結棒66によって固定連結されている。その両連結棒66は、一部の複数の可動部材4に形成された取付孔65(図27及び図28も参照)を貫通して延びている。このように、本例の固液分離装置の場合も、一対の連結板61,161と連結棒66は、一部の複数の可動部材4を連結する連結手段を構成している。また、一部の複数の可動部材4の円形の貫通孔16の中心軸線Yは、偏心カム57,157の中心軸線Yに一致している。このように、本例の固液分離装置に設けられた偏心カム57,157及びこれらに関連する上述した各要素は、図1乃至図15に示した固液分離装置の偏心カム57,157とこれに関連する各要素と実質的に異なるところはない。
【0110】
本例の固液分離装置には、次に説明するように、上述した偏心カム57,157のほかに、第2の偏心カムとこれに関連する要素が設けられているので、上述した偏心カム57,157と、軸受59,159と、連結手段と、その連結手段を構成する連結板61,161及び連結棒66を、それぞれ第1の偏心カム57,157、第1の軸受59,159、第1の連結手段、第1の連結板61,161及び第1の連結棒66と称することにする。
【0111】
上述のように、本例の固液分離装置には、図26、図29及び図30に示したように、スクリュー24の軸25の長手方向各端部に、それぞれ第2の偏心カム57A,157Aが着脱可能に固定され、これらの第2の偏心カム57A,157Aも、その外周面58A,158Aが円形に形成されている。しかも、第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線YAは互いに一致し、かつその中心軸線YAは、スクリュー24の中心軸線Xに対してδだけ偏心している。また、他の複数の可動部材4Aの円形の貫通孔16Aの中心軸線YAは、第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線YAに一致している。但し、図27乃至図30に示すように、第1の偏心カム57,157の中心軸線Yと、第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線YAは互いに一致していない。
【0112】
図29及び図30に示すように、第2の偏心カム57A,157Aの円形の外周面58A,158Aも、すべり軸受より成る第2の軸受59A,159Aの円形カム孔60A,160Aに嵌合し、第2の偏心カム57A,157Aの円形外周面58A,158Aは、その全周に亘って、第2の軸受59A,159Aの円形カム孔60A,160Aの内周面に、直接又は潤滑剤を介して摺動可能に当接している。また、第2の軸受59A,159Aは第2の連結板61A,161Aの取付孔62A,162Aに嵌合していると共に、その各第2の連結板61A,161Aに着脱可能に固定連結されている。各第2の連結板61A,161Aには、図26に示したナット67A,167Aによって、2本の連結棒66Aが固定され、第2の連結板61A,161Aは2本の第2の連結棒66Aによって固定連結されている。図27及び図28にも示すように、その両第2の連結棒66Aは、他の複数の可動部材4Aに形成された取付孔65Aを貫通して延びている。このように、一対の第2の連結板61A,161Aと第2の連結棒66Aは、他の複数の可動部材4Aを連結する第2の連結手段を構成している。なお、図27及び図28には、上述した第1の偏心カム57,157と、第2の偏心カム57A,157Aを二点鎖線で付加してある。
【0113】
前述のように、第1の偏心カム57,157の中心軸線Yと、第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線YAは一致しておらず、しかも一部の複数の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yと第1の偏心カム57,157の中心軸線Yとが一致し、かつ他の複数の可動部材4Aの貫通孔16Aの中心軸線YAと第2の偏心カム57A、157Aの中心軸線YAが一致しているので、一部の複数の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yと、他の複数の可動部材4Aの貫通孔16Aの中心軸線YAは一致していない。
【0114】
図26乃至図30に示した固液分離装置において、スクリュー24が図示していない電動モータによって回転駆動されて、該スクリュー24がその中心軸線Xのまわりに自転すると、図27に示すように、第1の偏心カム57,157は、矢印Eで示したように、その中心軸線Yがスクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに偏心量δを半径とした円を描きながら回転し、これに伴って、一部の複数の可動部材4は、その中心軸線Yが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに円を描きながら円運動する。同時に、図28に示すように、第2の偏心カム57A、157Aも、矢印EAで示すように、その中心軸線YAがスクリュー24の中心軸線Xのまわりに偏心量δを半径とした円を描きながら回転し、これに伴って、他の複数の可動部材4Aは、その中心軸線YAが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに円を描きながら円運動する。その際、中心軸線YとYAは一致していないので、一部の複数の可動部材4と他の複数の可動部材4Aは、異なった位相で円運動を行い、図示した例では180°の位相差をもって円運動する。可動部材4,4Aのかかる円運動によって、可動部材と固定部材3との間に固形分が詰まることが阻止される。
【0115】
上述のように、図26乃至図30に示した固液分離装置は、一部の複数の可動部材4が共に円運動できるように、該一部の複数の可動部材4を連結する第1の連結手段と、スクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して偏心していて、該軸25と一体に回転する第1の偏心カム57,157と、第1の連結手段に連結されていて、第1の偏心カム57,157の円形外周面58,158が嵌合する円形カム孔60,160を備えた第1の軸受59,159と、他の複数の可動部材4Aが共に円運動できるように、該他の複数の可動部材4Aを連結する第2の連結手段と、スクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して偏心していて、該軸25と一体に回転する第2の偏心カム57A,157Aと、第2の連結手段に連結されていて、第2の偏心カム57A,157Aの円形外周面58A,158Aが嵌合する円形カム孔60A,160Aを備えた第2の軸受59A,159Aとを具備し、第1の偏心カム57,157の中心軸線Yと第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線YAは互いに一致しておらず、第1の偏心カム57,157の円形外周面58,158は、その全周に亘って、第1の軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面に摺動可能に当接し、第2の偏心カム57A,157Aの円形外周面58A,158Aは、その全周に亘って、第2の軸受59A,159Aの円形カム孔60A,160Aの内周面に摺動可能に当接していて、第1の偏心カム57,157の中心軸線Yと第1の連結手段により連結された一部の複数の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yは一致し、第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線YAと第2の連結手段により連結された他の複数の可動部材4Aの貫通孔16Aの中心軸線YAも一致していて、スクリュー24の回転に伴って、第1の偏心カム57,157は、その中心軸線Yが、スクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、該第1の偏心カム57,157の偏心量δを半径とする円を描きながら回転し、これにより、第1の連結手段によって連結された一部の複数の可動部材4は、その貫通孔16の中心軸線Yが、該スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、第1の偏心カム57,157の偏心量δを半径とする円を描きながら円運動を行い、第2の偏心カム57A,157Aは、その中心軸線YAが、スクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、該第2の偏心カム57A,157Aの偏心量δを半径とする円を描きながら回転し、これにより、第2の連結手段によって連結された他の複数の可動部材4Aは、その貫通孔16Aの中心軸線YAが、スクリュー24の中心軸線Xのまわりに、第2の偏心カム57A,157Aの偏心量δを半径とする円を描きながら円運動を行うように構成されている。
【0116】
しかも、図26乃至図30に示した固液分離装置は、第1の偏心カム57,157及び該第1の偏心カム57,157に嵌合した第1の軸受59,159は、スクリュー24の羽根26よりも該スクリュー24の長手方向外側の軸25の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、第1の連結手段は、各第1の軸受59,159にそれぞれ連結された一対の第1の連結板61,161と、一部の複数の可動部材4に連結された複数の第1の連結棒66とを有し、各第1の連結棒66がそれぞれ各第1の連結板61,161に連結され、第2の偏心カム57A,157A及び該第2の偏心カム57A,157Aに嵌合した第2の軸受59A,159Aは、スクリュー24の羽根26よりも該スクリュー24の長手方向外側の軸25の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、第2の連結手段は、各第2の軸受59A,159Aにそれぞれ連結された一対の第2の連結板61A,161Aと、他の複数の可動部材4Aに連結された複数の第2の連結棒66Aとを有し、各第2の連結棒66Aがそれぞれ各第2の連結板61A,161Aに連結されている。
【0117】
さらに、図26に示した固液分離装置においても、図1乃至図15に示した固液分離装置と同様に、各第1及び第2の連結棒66,66Aが貫通する入口部材1と出口部材2の側板7,9の孔に、リング状のガイド69,69Aが、図示していないボルトとナットとによって着脱可能に固定されている。第1及び第2の連結棒66,66Aが円運動を行うとき、その第1及び第2の連結棒66,66Aはリング状の各第1及び第2のガイド69,69Aの内周面に摺接しながら案内され、その第1及び第2の連結棒66,66Aがスクリュー24の中心軸線Xのまわりに回転することが阻止される(図8の(a)の矢印Fを参照)。このように、本例の固液分離装置は、第1の連結手段が該第1の連結手段により連結された一部の複数の可動部材4と共にスクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに回転して、該可動部材4が他の部材に当接することを防止する第1のガイド69と、第2の連結手段が該第2の連結手段により連結された他の複数の可動部材4Aと共にスクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに回転して、該可動部材4Aが他の部材に当接することを防止する第2のガイド69Aとを有しているのである。
【0118】
以上、図25乃至図30を参照して、第1の偏心カム57,157及び第2の偏心カム57A,157Aを有する構成を、その第1の偏心カム57,157の中心軸線と一部の複数の可動部材4に形成された貫通孔16の中心軸線とが一致し、かつ第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線と他の複数の可動部材4Aに形成された貫通孔16Aの中心軸線とが一致している固液分離装置に適用した例を示したが、複数の偏心カムを有する構成は、第1の偏心カム57,157の中心軸線と一部の複数の可動部材4に形成された貫通孔16の中心軸線とが一致せず、しかも第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線と他の複数の可動部材4Aに形成された貫通孔16Aの中心軸線とが一致していない固液分離装置にも適用でき、また、一部の複数の可動部材4の中心軸線がそれぞれ一致しておらず、或いは他の複数の可動部材4Aの中心軸線がそれぞれ一致していない固液分離装置にも適用できる。この場合も、その基本構成は図25乃至図30に示した構成と変わりはない。すなわち、スクリュー24の軸25には、そのスクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して偏心していて、外周面が円形に形成された第1の偏心カム57,157と、同じくスクリュー24の軸25の中心軸線Xに対して偏心していて、外周面が円形に形成された第2の偏心カム57A,157Aとがそれぞれ固定され、その第1の偏心カム57,157の中心軸線と第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線は一致しておらず、一部の複数の可動部材4が第1の偏心カム57,157の偏心量δを半径とした円運動を行うように、該一部の複数の可動部材4が第1の偏心カム57,157に連結され、他の複数の可動部材4Aが第2の偏心カム57A,157Aの偏心量δを半径とした円運動を行うように、該他の複数の可動部材4Aが第2の偏心カム57A,157Aに連結されている。しかも、一部の複数の可動部材4が共に円運動できるように、該一部の複数の可動部材4を連結する第1の連結手段と、該第1の連結手段に連結されていて、第1の偏心カム57,157の円形外周面58,158が嵌合する円形カム孔60,160を備えた第1の軸受59,159と、他の複数の可動部材4Aが共に円運動できるように、該他の複数の可動部材4Aを連結する第2の連結手段と、該第2の連結手段に連結されていて、第2の偏心カム57A,157Aの円形外周面58A,158Aが嵌合する円形カム孔60A,160Aを備えた第2の軸受59A,159Aとを具備し、第1の偏心カム57,157の円形外周面58,158は、その全周に亘って、第1の軸受59,159の円形カム孔60,160の内周面に摺動可能に当接し、第2の偏心カム57A,157Aの円形外周面58A,158Aは、その全周に亘って、第2の軸受59A,159Aの円形カム孔60A,160Aの内周面に摺動可能に当接していて、スクリュー24の回転に伴って、第1の偏心カム57,157は、その中心軸線が、スクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、該第1の偏心カム57,157の偏心量δを半径とする円を描きながら回転し、これにより、第1の連結手段によって連結された一部の複数の可動部材4は、第1の偏心カム57,157の偏心量δを半径とする円運動を行い、第2の偏心カム57A,157Aは、その中心軸線が、スクリュー24の軸25の中心軸線Xのまわりに、該第2の偏心カム57A,157Aの偏心量δを半径とする円を描きながら回転し、これにより、第2の連結手段によって連結された他の複数の可動部材4Aは、第2の偏心カム57A,157Aの偏心量δを半径とする円運動を行うように構成されている。
【0119】
上述した各例の一部の複数の可動部材4と他の複数の可動部材4Aも、その少なくとも一部の可動部材が、スクリュー24に接触することなく、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動をするように構成されている。この場合も、可動部材4,4Aが、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込めるようにするには、前述の可動部材の食い込みのための第1の条件と第2の条件を満たしている必要がある。念のために、第1の偏心カム57,157の中心軸線と一部の複数の可動部材4に形成された貫通孔16の中心軸線が一致し、或いはこれらの中心軸線が一致しない場合と、第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線と他の複数の可動部材4Aの中心軸線が一致し、或いはこれらの中心軸線が一致しない場合の全ての例について第1及び第2の条件について明らかにする。
【0120】
図31は、上述した各例の固液分離装置の可動部材4,4Aとスクリュー24の関係の一例を示す、図10と同様な断面説明図であって、固定部材の図示を省略した図であり、可動部材4,4Aとスクリュー24との配置状態は、図26と一致していない。図31においては、5枚の一部の可動部材4と、同じく5枚の他の可動部材4Aがスクリュー24の中心軸線Xの方向に交互に配置されている。
【0121】
図31において、第1の偏心カム57,157(図29及び図30参照)の中心軸線Y、又は一部の複数の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yからスクリュー24の中心軸線Xに向けて、そのスクリュー24の半径方向に引いた直線Hがスクリュー24の中心軸線Xを越えて、該スクリュー24の外周縁32を含む仮想筒Iと交わる点を外周縁交点Jとする。またその外周縁交点Jを通り、スクリュー24の中心軸線Xに対して平行に延びる直線を中心平行線Lとし、スクリュー24の中心軸線X方向に隣り合う該スクリュー24の2つの羽根部分33,33と、上記中心平行線Lとの交点を羽根交点M,Mとすると、その2つの羽根交点M,Mの中点Nを含み、かつ上記2つの羽根部分33,33の間の距離よりも狭いスクリュー24の中心軸線X方向における所定の幅が、可動部材4の食い込み可能領域Zである。スクリュー24の外周縁32よりもそのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行う可動部材4は、この食い込み可能領域Z内に位置し、図31に示した例では、3枚の可動部材4の部分51が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、その中心軸線Xの側に入り込んでいる。これが可動部材4の食い込み可能の第2の条件であり、これは先に説明したところと変わりはない。
【0122】
さらに、食い込み可能領域Zに存する可動部材4がスクリュー24に接触することなく、その羽根26の外周縁32よりも中心軸線Xの側に入り込むためには、第1の偏心カム57,157の中心軸線Y、又は一部の可動部材4の貫通孔16の中心軸線Yから、その貫通孔16を区画する可動部材4の周縁35までの最短距離(ここでは円形貫通孔16の半径)Kと、スクリュー24の半径Sと、貫通孔16の偏心量δは、S−δ<K<S+δの関係を満たしている必要がある。これも、先に説明した可動部材4の食い込み可能のための第1の条件である。
【0123】
上述した食い込み可能領域Z以外の食い込み不可領域Wに位置する可動部材4に対して、図31においては、特に符号54を付してあるが、この可動部材54の貫通孔16は、K>S+δ(干渉回避条件)を満たすように形成されている。これにより、可動部材54は、スクリュー24に接触せず、かつ外周縁32よりも中心軸線Xの側に入り込むことなく円運動を行うことができる。
【0124】
図32の(a)乃至(d)は、食い込み可能領域Zに位置する可動部材4の貫通孔16と、スクリュー24の相対位置関係と、その可動部材4が円運動する様子を示した説明図であり、ここでも符号26Aはスクリュー24の羽根26の断面を示している。また二重斜線を付した可動部材4の部分が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりもその中心軸線Xの側に入り込んだことを示している。これらの図から、可動部材4が羽根26の外周縁32よりもスクリューの中心軸線Xの側に入り込みながら円運動することをよく理解できる。
【0125】
一方、上述したところと同様に、図31において、第2の偏心カム57A,157A(図29及び図30参照)の中心軸線YA、又は他の複数の可動部材4Aの貫通孔16Aの中心軸線YAからスクリュー24の中心軸線Xに向けて、そのスクリュー24の半径方向に引いた直線HAがスクリュー24の中心軸線Xを越えて、該スクリュー24の外周縁32を含む仮想筒Iと交わる点を外周縁交点JAとし、その外周縁交点JAを通り、スクリュー24の中心軸線Xに対して平行に延びる直線を中心平行線LAとする。さらに、スクリュー24の中心軸線X方向に隣り合う該スクリュー24の2つの羽根部分33A,33Aと、上記中心平行線LAとの交点を羽根交点MA,MAとすると、その2つの羽根交点MA,MAの中点NAを含み、かつ上記2つの羽根部分33A,33Aの間の距離よりも狭いスクリュー24の中心軸線X方向における所定の幅が、可動部材4Aの食い込み可能領域ZAである。スクリュー24の外周縁32よりもそのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行う他の複数の可動部材4Aは、この食い込み可能領域ZA内に位置し、図31に示した例では、3枚の可動部材4Aの部分51Aが外周縁32よりも中心軸線の側に入り込んでいる。これが可動部材4Aの食い込み可能の第2の条件である。
【0126】
さらに、食い込み可能領域ZAに存する可動部材4Aがスクリュー24に接触することなく、その羽根26の外周縁32よりも中心軸線Xの側に入り込むためには、第2の偏心カム57A,157Aの中心軸線YA、又は他の複数の可動部材4Aの貫通孔16Aの中心軸線YAから、その貫通孔16Aを区画する可動部材4Aの周縁35までの最短距離(ここでも円形貫通孔16Aの半径)Kと、スクリュー24の半径Sと、貫通孔16Aの偏心量δは、S−δ<K<S+δの関係を満たしている必要がある。これが可動部材4Aの食い込み可能のための第1の条件である。
【0127】
上述した食い込み可能領域ZA以外の食い込み不可領域WAに位置する可動部材4Aに対して、図31においては、特に符号54Aを付してあるが、この可動部材54Aの貫通孔16Aは、K>S+δ(干渉回避条件)を満たすように形成されている。これにより、可動部材54Aは、スクリュー24に接触せず、かつ外周縁32よりも中心軸線Xの側に入り込むことなく円運動を行うことができる。
【0128】
図32の(e)乃至(h)は、食い込み可能領域ZAに位置する可動部材4Aの貫通孔16Aとスクリュー24の相対位置関係と、その可動部材4Aが円運動する様子を示した説明図であり、ここでも符号26Aはスクリュー24の羽根26の断面を示している。また二重斜線を付した可動部材4Aの部分が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりもその中心軸線Xの側に入り込んだことを示している。これらの図から、可動部材4Aが羽根26の外周縁32よりもスクリューの中心軸線Xの側に入り込みながら円運動することをよく理解できる。その際、図32の(a)乃至(h)に示した例では、可動部材4と可動部材4Aは、180°の位相差のある対向した部分が、スクリュー24の外周縁32よりもその中心軸線Xの側に入り込んでいる。
【0129】
以上、図26乃至図32を参照して、中心軸線Y,YAが一致していない2種の可動部材4,4Aを有し、ないしは中心軸線Y,YAの一致していない第1及び第2の偏心カムを有する固液分離装置、すなわち図25の(a)に示した構成の具体例を説明したが、図25の(b)に示したように、中心軸線Y,YA,YBが一致しない3種以上の可動部材、ないしは3種以上の偏心カムを有する固液分離装置も、上述したところと同様にして構成することができる。すなわち、図25の(b)に示した構成の場合には、中心軸線の一致しない3種の偏心カムが用いられる。同様にして、中心軸線の一致しない4種以上の偏心カムを用いて固液分離装置を構成することもできる。
【0130】
上述したところから判るように、貫通孔の中心軸線が、スクリュー24の中心軸線Xに対して偏心した方向が異なる2種以上の可動部材4,4Aを用いると、スクリュー24の外周縁32よりも、その中心軸線Xの側に入り込む可動部材の数を増やすことができ、汚泥に対する水分の絞り効果をより一層高めることができる。
【0131】
図33は、図26乃至図30に示した固液分離装置において、一部の複数の可動部材4と、他の複数の可動部材4Aの食い込み可能領域Z,ZAを拡大させ、一部の複数の可動部材4がスクリュー24の羽根26の外周縁32よりも当該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動できる食い込み可能領域Zの隣りに、他の複数の可動部材4Aがスクリュー24の羽根26の外周縁32よりも当該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動できる食い込み可能領域ZAが位置するように構成し、その各食い込み可能領域Z,ZAに存する可動部材4,4Aの全てが、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりもその中心軸線Xの側に入り込みながら円運動するように構成した固液分離装置を示している。この例の場合には、全ての可動部材4,4Aが、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも該スクリューの中心軸線Xの側に入り込みながら円運動を行うので、汚泥に対する水分絞り効果を最大限に高めることが可能である。
【0132】
図26乃至図33に示した固液分離装置の他の構成及び作用は、図1乃至図15に示した固液分離装置の構成及び作用と変わりはなく、また、図26乃至図33に示した固液分離装置においても、可動部材4,4Aの貫通孔16,16Aを長円形又は多角形に形成することもできるほか、図23及び図24に示した突出部36と同様な突出部を有する可動部材4,4Aを用いることもできる。また、貫通孔16,16Aを区画する周縁35にギザギザ状の多数の凹凸を形成することもできる。これらの構成は、後述する実施形態の固液分離装置にも適用できる。
【0133】
以上説明した固液分離装置の食い込み可能領域Z,ZA内に存する可動部材4,4Aも、必要に応じて、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりもその中心軸線Xの側に入り込まないように構成することもでき、所望する可動部材が羽根26の外周縁32よりも中心軸線Xの側に入り込むように構成することができる。その際、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、当該スクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら運動する可動部材は、固液分離部21の処理対象物移動方向長さR(図1)の1/2の位置よりも、処理対象物移動方向下流側の領域R2に位置していることが好ましい。1/2よりも上流側の領域R1の固液分離部を通る汚泥中には、通常、特に多量の水分が含まれていて、かかる汚泥に対して、可動部材4,4Aが切り込むように侵入しながらせん断力を与えても、水分の絞り効果をさほど高めることができない。下流側の領域R2に存する汚泥は、既に含水率がかなり低下しているので、かかる汚泥に対して可動部材4,4Aが切り込むように侵入して、その汚泥に大きなせん断力を加えると、水分の絞り効果を特に高めることができる。この構成も、後述する各実施形態の固液分離装置にも適用できるものである。
【0134】
以上、スクリュー24の軸25に固定された偏心カムを可動部材に連結し、スクリュー24を回転駆動することによって可動部材を円運動させる固液分離装置に本発明を適用した例を示したが、前述のように、本発明は、他の適宜な手段によって隣り合う固定部材の間に配置された可動部材を運動させる固液分離装置にも広く適用できるものである。
【0135】
例えば、特開昭59−218298号公報に記載されているように、複数の固定部材と、隣り合う固定部材の間に配置された可動部材と、その可動部材及び固定部材に形成された貫通孔を、その貫通孔に接することなく延びるスクリューとを有し、複数の可動部材を連結棒によって固定すると共に、軸線方向各端部に位置する可動部材に、スクリューを挟んで左右に形成された一対の円形カム孔に偏心カムを緩挿し、その一対の偏心カムを回転駆動することによって、可動部材を円運動させる固液分離装置が公知であるが、かかる固液分離装置に本発明を適用して、その可動部材がスクリューに接触することなく、スクリューの羽根の外周縁よりも、当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動するように構成することができる。
【0136】
また、図34及び図35に示す固液分離装置にも本発明を適用できる。ここに示した固液分離装置も、スペーサ14を介して、互いに小さな間隔をあけて配置された複数の固定部材3と、隣り合う固定部材3の間に配置された可動部材4と、固定部材3と可動部材4に形成された貫通孔15,16を通して延びるスクリュー24とを有し、貫通孔15,16は、スクリュー24に接触することがないように形成されている。また、多数の固定部材3は、複数のステーボルト18とナットとによって入口部材1と出口部材2に固定され、スクリュー24の入口部材1の側の端部は、軸受を介して入口部材1に回転可能に支持され、スクリュー24の出口部材2の側の端部は電動モータ28(図34)に駆動連結され、その電動モータ28は、出口部材2に固定されたギアボックス74に固定支持されている。なお、図35においては、図を判りやすくするために、固定部材37の断面を示すハッチングを省略し、かつ可動部材4の断面を黒く塗り潰して示してある。
【0137】
図36及び図37の(a),(b)は、図34及び図35に示したスクリュー24の回転に伴って、可動部材4が円運動する様子を示した説明断面図であって、固定部材等の図示を省略した図である。これらの図に示すように、可動部材4はその外周が円形に形成され、その円形外周面には、支軸70に固定された3つの偏心カム71が当接している。図34及び図35に示すように、各支軸70の長手方向各端部は、軸受を介して入口部材1とギアボックス74にそれぞれ回転可能に支持されている。図36及び図37に示すように、各偏心カム71の周方向における角度位置は互いに相違していて、各偏心カム71の位相が互いに相違している。
【0138】
また、図35に示すように、スクリュー24の軸25には駆動ギア72が固定され、この駆動ギア72は、各偏心カム71の支軸70に固定された従動ギア73にそれぞれ噛み合っている。
【0139】
電動モータ28の作動により、スクリュー24がその中心軸線Xのまわりに回転駆動され、その回転は、駆動ギア72と従動ギア73を介して各偏心カム71の支軸70に伝えられ、各偏心カム71が図36及び図37に矢印で示した方向に回転する。このとき、上述のように各偏心カム71の位相は互いに相違しているので、各偏心カム71が矢印方向に回転することにより、可動部材4は円運動すると共に、自らの中心軸線のまわりに回転(自転)する。
【0140】
図示していない汚泥は、図35に矢印Aで示すように、入口部材1の流入口5から供給されて、可動部材3と固定部材4の貫通孔15,16によって区画された固液分離部21に送り込まれ、回転するスクリュー24によって矢印C方向に搬送される。このとき濾液は固定部材3と可動部材4の間の濾液排出間隙を通して流下し、含水率の低下した汚泥が固液分離部21から出口部材2に排出され、その出口部材2の排出口11から下方に落下する。
【0141】
上述のように汚泥が固液分離されるとき、偏心カム71の回転によって、各可動部材4が円運動するので、可動部材4と固定部材3との間に汚泥の固形分が詰まる不具合が阻止される。
【0142】
ここで、図35、図36及び図37の(a),(b)から明らかなように、先の実施形態で説明した食い込み可能領域Z(図35)に存する可動部材4が、スクリュー24の外周縁32よりもそのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら円運動する。図36及び図37には、このようにスクリュー24の羽根26の間に入り込んだ可動部材の部分51を、二重斜線を付して示してある。図35に符号Wで示した食い込み不可領域に存する可動部材4は、スクリュー24の外周縁32よりも、その中心軸線Xの側に入り込むことはない。このようにして、効率よく汚泥を固液分離することができる。
【0143】
図34乃至図37に示した固液分離装置の基本構成は、国際公開番号WO 00/32292号公報に記載されているように従来より公知のものである。
【0144】
図38は、さらに別の固液分離装置を示す斜視図であり、図39は図38に示した固液分離装置を軸線方向反対側から見た斜視図である。また、図40は、図38の縦断面図であって、図が煩雑化するのを避けるため、断面を表わすハッチングを省略した図である。これらの図に示した固液分離装置も、スペーサ14を介して、互いに小さな間隔をあけて配置された複数の固定部材3と、隣り合う固定部材3の間に配置された可動部材4と、固定部材3と可動部材4に形成された貫通孔15,16を通して延びるスクリュー24とを有し、貫通孔15,16は、固定部材3と可動部材4がスクリュー24に接触することがないように形成されている。また、多数の固定部材3は、複数のステーボルト18とナットとによって、入口部材1と出口部材2に固定され、スクリュー24の軸25の入口部材1の側の端部は、軸受を介して入口部材1に回転可能に支持され、スクリュー24の軸25の出口部材2の側の端部は、電動モータ28に駆動連結され、その電動モータ28は、出口部材2に固定されたギアボックス74に固定支持されている。
【0145】
図41は図40に示した固液分離装置の拡大横断面図であり、図42はスクリュー24が図41に示した状態からさらに回転した時の様子を示す、図41と同様な断面図である。これらの図においては、スクリュー24の羽根26の外周縁32を二点鎖線で示してある(図43乃至図48においても同じ)。図41及び図42における符号26Aは、スクリュー24の羽根26の断面を示している。
【0146】
図38乃至図40においては、多数の可動部材4のうちの一部の可動部材、図の例では3枚の可動部材に対して、特に符号4Bを付してあり、これらの可動部材4Bには、図示していないボルトとナットとによって、アーム75が固定されている。各アーム75には、孔76が形成され、これらの孔76には軸77が貫通しており、各孔76には、軸77に着脱可能に固定された偏心カム78が位置している。図40に示すように、軸77の長手方向各端部は、軸受を介して、入口部材1とギアボックス74に回転自在に支持されている。また、同じく図40に示すように、スクリュー24の軸25には駆動ギア80が固定され、この駆動ギア80は、軸77に固定された従動ギア81に噛み合っている。
【0147】
また、各アーム75には、軸77を挟んで、ローラより成るカムフォロワ79がそれぞれ回転自在に支持されている。さらに、図38及び図39に示すように、入口部材1と出口部材2には、一対の支持棒82の各端部が固定され、その各支持棒82には、ガイドローラ83がそれぞれ回転自在に支持され、これらのガイドローラ83は、アーム75の対向した面にそれぞれ当接している。図41及び図42においては、支持棒82とガイドローラ83の図示を省略してある。また、図40乃至図42に示すように、全ての可動部材4,4Bには連結棒84が貫通して延び、その連結棒84によって、全ての可動部材4,4Bが連結されている。
【0148】
図示していない汚泥は、図40に矢印Aで示すように、入口部材1の流入口5から供給されて、可動部材3と固定部材4の貫通孔15,16によって区画された固液分離部21に送り込まれ、回転するスクリュー24によって矢印C方向に搬送される。このとき、濾液は固定部材3と可動部材4の間の濾液排出間隙を通して流下し、含水率の低下した汚泥が固液分離部21から出口部材2に排出され、その出口部材2の排出口11から下方に落下する。
【0149】
上述のように汚泥が固液分離されるとき、スクリュー24の軸25の回転が、駆動ギア80と、これに噛み合った従動ギア81とを介して軸77に伝えられ、これによって、図41及び図42に矢印を付して示したように、偏心カム78が軸77の中心軸線のまわりに回転する。このため、カムフォロワ79は、偏心カム78によって加圧されて、回転しながらアーム75及びこれに固定された可動部材4Bと共に、図41及び図42に矢印E1,F1で示した方向に往復動する。これに伴って、連結棒84により連結された全ての可動部材4が矢印E1,F1方向に往復動する。このように、汚泥が固液分離されるとき、各可動部材4が、固定配置された固定部材3に対して往復動するので、可動部材4と固定部材3との間に汚泥の固形分が詰まることはない。
【0150】
ここで、図40乃至図42から明らかなように、先の実施形態で示した食い込み可能領域Z(図40)に存する可動部材4が、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、そのスクリュー24の中心軸線Xの側に入り込みながら往復動する。図41及び図42には、このようにスクリュー24の羽根26の間に入り込んだ可動部材の部分51を二重斜線を付して示してある。この場合も、食い込み不可領域に存する可動部材4は、スクリュー24の羽根26の外周縁32よりも、その中心軸線Xの側に入り込むことはない。このようにして、効率よく汚泥を固液分離することができる。
【0151】
図38乃至図42に示した固液分離装置は、1本のスクリュー24を有しているが、2本以上のスクリューを設けることもできる。図43は、2本のスクリュー24,124が、固定部材3に形成された貫通孔15と、可動部材4,4Bに形成された貫通孔16を通して延びていて、そのスクリュー24,124の回転によって、汚泥を搬送する固液分離装置を示す断面図である。これらのスクリュー24,124も、固定部材3と可動部材4に接触することはない。図44は、スクリュー24,124が、図43に示した状態よりもさらに回転した状態を示す断面図である。なお、図43及び図44においては、各部材の断面を表わすハッチングは省略してある(図45乃至図48においても同じ)。
【0152】
図45は、3本のスクリュー24,124,224を有する固液分離装置を示す。ここに示したスクリュー24,124,224も、固定部材3と可動部材4,4Bに接触することなく、これらの部材3,4,4Bに形成された貫通孔を通して延び、それぞれ矢印で示した方向に回転駆動される。図46は、スクリュー24,124,224が、図45に示した状態よりもさらに回転したときの様子を示す断面図である。
【0153】
図43乃至図46に示した固液分離装置の他の構成は、図38乃至図42に示した固液分離装置と実質的に相違せず、スクリュー24,124,224の回転に伴って偏心カム78が回転し、これによって可動部材4,4Bが、図38乃至図42に示した固液分離装置の場合と同様に、矢印E1,F1方向に往復動する。
【0154】
その際、図43及び図44に示したスクリュー24,124を、その中心軸線方向に見たとき、これらのスクリュー24,124の羽根26,126の一部は重なった状態で位置している。このように、両スクリュー24,124を配置した場合、これらのスクリュー24,124の羽根26,126が干渉しないようにするには、互いに隣り合うスクリュー24,124を、図43及び図44に矢印で示したように、互いに反対方向に回転させる必要がある。
【0155】
図45及び図46に示した固液分離装置の場合も、互いに隣り合うスクリュー24,124,224の羽根26,126,226の一部が重なっているので、隣り合ったスクリュー24,124,224を矢印で示したように互いに逆方向に回転させる。
【0156】
図43乃至図46に斜線を付して示したように、食い込み可能領域に存する可動部材4,4Bは、スクリュー24,224の外周縁よりもその中心軸線の側に入り込みながら往復動する。このとき、図示した例では、可動部材4,4Bは、スクリュー24と224の隣りに位置するスクリュー124の羽根間に入り込むことはない。
【0157】
図43及び図44から判るように、一方のスクリュー24の羽根26の断面部分26Aと他方のスクリュー124の羽根126の断面部分126Aは互いに逆方向を向いている。従って、可動部材4,4Bが、図43に示したように下降して、羽根26の断面部分26Aが下を向き、可動部材4,4Bの上部が一方のスクリュー24の羽根間に入り込んでいるとき、他方のスクリュー124の羽根126の断面部分126Aは上を向いているので、可動部材4,4Bの上部が、他方のスクリュー124の羽根間に入り込むことはできない。このように、隣り合ったスクリュー24,124の内の一方のスクリューの羽根間に可動部材4,4Bが入り込むように構成した場合には、その可動部材4,4Bが他方のスクリューの羽根間に入り込むことがないように構成する必要がある。
【0158】
これは、図45及び図46に示した固液分離装置の場合も同じであって、可動部材4,4Bが、両側のスクリュー24,224の羽根間に入り込むように構成した場合には、可動部材4,4Bが中央のスクリュー124の羽根間に入り込むことがないように構成する。これとは逆に、可動部材4,4Bが中央のスクリュー124の羽根間に入り込むように構成したときは、可動部材4,4Bが両側のスクリュー24,224の羽根間に入り込むことがないように構成する必要がある。
【0159】
図47及び図48に示した固液分離装置においては、上部に凹部85が形成された多数の固定部材103がスペーサ114によって軸線方向に間隔をあけて配置され、隣り合う固定部材103の間に可動部材104が配置され、その可動部材104の上部にも凹部86が形成されている。複数の固定部材103は、ステーボルト118によって固定連結され、固定部材103と可動部材104の凹部85,86には、2本のスクリュー24,124が、固定部材103と可動部材104に接触しない状態で貫通して延びている。これらのスクリュー24,124も、これらをその軸線方向に見たときに、その一部が重なった状態で位置している。従って、この場合も、スクリュー同士の干渉を阻止するために、これらのスクリュー24,124は、矢印で示すように互いに反対方向に回転駆動される。スクリュー24,124の上部はカバー87で覆われている。
【0160】
スクリュー24,124の回転によって、汚泥は、固定部材103と可動部材104の凹部85,86とカバー87により区画された固液分離部21を搬送され、このとき固定部材103と可動部材104の間の濾液排出間隙を通して濾液が流下し、含水率の低下したケーキ状の汚泥が固液分離部21の出口から排出される。この固液分離装置の基本構成は、特許第3638597号公報及び特許第4036383号公報に詳しく記載されている。
【0161】
図47に示した複数の可動部材104は、連結棒84によって連結され、その複数の可動部材104のうちの一部の可動部材104Bにはアーム175が一体に付設され、そのアーム175にカムフォロワ179が回転可能に支持されている。また、回転駆動される軸177に偏心カム178が固定され、その偏心カム178が回転駆動されることにより、カムフォロワ179と可動部材104Bが、図47及び図48に矢印E1,F1で示した方向に往復動し、これによって全ての可動部材104が往復動する。これにより、固定部材103と可動部材104の間に汚泥の固形分が詰まる不具合が阻止される。
【0162】
図47及び図48に斜線を付して示したように、この固液分離装置においても、食い込み可能領域に存する可動部材104,104Bがスクリュー24,124の外周縁よりもその中心軸線の側に入り込みながら往復動する。従って、この場合も、効率よく汚泥を脱水処理することができる。
【0163】
図38乃至図48に示した固液分離装置の基本構成は、特許第4374396号公報に記載されているように、それ自体公知のものである。
【0164】
以上、各種形態の固液分離装置に本発明を適用した具体例を示したが、さらに他の形式の固液分離装置、例えば特開2000−135595号公報、特開2005−230852号公報、特許第4036383号公報などに記載されている固液分離装置にも本発明を適用することができる。また、本発明は、前述した実施形態に記載した構成に限定されず、各種改変して構成できるものである。
【0165】
3,103 固定部材
4,4A,4B,54,54A,104,104B 可動部材
15,16,16A,16B 貫通孔
21 固液分離部
23 出口
24,124,224 スクリュー
25 軸
26,126,226 羽根
32 外周縁
33,33A 羽根部分
35 周縁
36 突出部
57,157,57A,157A 偏心カム
58,158,58A,158A 外周面
59,159,59A,159A 軸受
60,160,60A,160A カム孔
61,161,61A,161A 連結板
66,66A 連結棒
69,69A ガイド
g 濾液排出間隙
H,HA 直線
I 仮想筒
J,JA 外周縁交点
K 最短距離
L,LA 中心平行線
M,MA 羽根交点
N,NA 中点
R 長さ
S半径
X,Y,YA,YB 中心軸線
Z,ZA 食い込み可能領域
δ 偏心量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定部材と、隣り合う固定部材の間に配置されて運動する可動部材と、該可動部材と前記固定部材に接触しない状態で該可動部材と固定部材を貫通して延びる少なくとも1つのスクリューとを有し、該スクリューはその中心軸線のまわりに回転駆動され、該スクリューの回転によって、前記固定部材と可動部材とにより区画された固液分離部に入り込んだ処理対象物を該固液分離部の出口に向けて移動させながら、その処理対象物から分離された濾液を前記固定部材と可動部材の間の濾液排出間隙を通して固液分離部外へ排出させ、含液率の低下した処理対象物を前記出口から固液分離部外に排出させる固液分離装置において、
少なくとも一部の可動部材が、前記スクリューに接触することなく、該スクリューの羽根の外周縁よりも、当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動するように形成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
前記スクリューは1つ設けられ、かつ該スクリューはらせん状に延びる1条の羽根を有していて、前記複数の固定部材と可動部材には、それぞれ貫通孔が形成され、前記スクリューは、前記固定部材と可動部材の貫通孔を通して延びていて、該可動部材の貫通孔は、その中心軸線が前記スクリューの中心軸線に対して偏心していて、当該可動部材は、該可動部材の貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの中心軸線のまわりに、前記の偏心の偏心量を半径とした円を描きながら円運動を行い、前記可動部材の貫通孔の中心軸線から、前記スクリューの中心軸線に向けて、該スクリューの半径方向に引いた直線が該スクリューの中心軸線を越えて、当該スクリューの外周縁を含む仮想筒と交わる点を外周縁交点とし、該外周縁交点を通り、前記スクリューの中心軸線に対して平行に延びる直線を中心平行線とし、かつ前記スクリューの中心軸線の方向に隣り合う当該スクリューの2つの羽根部分と前記中心平行線との交点をそれぞれ羽根交点としたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら前記円運動を行う前記可動部材は、前記2つの羽根交点の中点を含み、かつ前記2つの羽根部分の間の距離よりも狭いスクリューの中心軸線方向における所定の幅である食い込み可能領域内に位置し、前記可動部材の貫通孔の中心軸線から当該貫通孔を区画する可動部材の周縁までの最短距離をK、前記スクリューの半径をS、前記偏心量をδとしたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行う可動部材の貫通孔は、S−δ<K<S+δを満たすように形成されている請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記スクリューは1つ設けられ、かつ該スクリューはらせん状に延びる1条の羽根を有していて、前記複数の固定部材と可動部材には、それぞれ貫通孔が形成され、前記スクリューは、前記固定部材と可動部材の貫通孔を通して延びていて、前記スクリューは前記羽根と一体に形成された軸を有し、該軸はスクリューの中心部を構成していて、当該スクリューの軸には、該スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、外周面が円形に形成された偏心カムが固定され、前記可動部材が前記偏心カムの偏心量を半径とした円運動を行うように、該可動部材が前記偏心カムに連結されていて、該偏心カムの中心軸線から、前記スクリューの中心軸線に向けて、該スクリューの半径方向に引いた直線が該スクリューの中心軸線を越えて、当該スクリューの外周縁を含む仮想筒と交わる点を外周縁交点とし、該外周縁交点を通り、前記スクリューの中心軸線に対して平行に延びる直線を中心平行線とし、かつ前記スクリューの中心軸線の方向に隣り合う当該スクリューの2つの羽根部分と前記中心平行線との交点をそれぞれ羽根交点としたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら前記円運動を行う前記可動部材は、前記2つの羽根交点の中点を含み、かつ前記2つの羽根部分の間の距離よりも狭いスクリューの中心軸線方向における所定の幅である食い込み可能領域内に位置し、前記偏心カムの中心軸線から前記可動部材の貫通孔を区画する可動部材の周縁までの最短距離をK、前記スクリューの半径をS、前記偏心量をδとしたとき、前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行う可動部材の貫通孔は、S−δ<K<S+δを満たすように形成されている請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込むことなく、前記円運動を行う可動部材の貫通孔は、K>S+δを満たすように形成されている請求項2又は3に記載の固液分離装置。
【請求項5】
全ての可動部材の貫通孔の中心軸線が一致していて、該可動部材は、その中心軸線が、前記スクリューの中心軸線のまわりに、該可動部材の貫通孔の中心軸線の偏心量を半径とした円を描きながら円運動する請求項2乃至4のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項6】
一部の可動部材の貫通孔の中心軸線は全て一致し、他の可動部材の貫通孔の中心軸線も全て一致し、かつ前記一部の可動部材の貫通孔の中心軸線と、他の可動部材の貫通孔の中心軸線は互いに一致しておらず、一部の可動部材と他の可動部材は、その各貫通孔の中心軸線が、スクリューの中心軸線のまわりに、その各可動部材の貫通孔の中心軸線の偏心量を半径とした円を描きながら円運動する請求項2乃至4のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項7】
中心軸線が互いに一致していない複数の偏心カムを有し、該複数の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの中心軸線のまわりに、各偏心カムの偏心量を半径とした円を描きながら回転する請求項3に記載の固液分離装置。
【請求項8】
前記スクリューは前記羽根と一体に形成された軸を有し、該軸は当該スクリューの中心部を構成していて、前記可動部材の貫通孔の中心軸線は、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、前記複数の可動部材が共に円運動できるように、該複数の可動部材を連結する連結手段と、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、該軸と一体に回転する偏心カムと、前記連結手段に連結されていて、前記偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた軸受とを具備し、前記偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記偏心カムの中心軸線と前記連結手段により連結された複数の可動部材の貫通孔の中心軸線は一致していて、前記スクリューの回転に伴って、前記偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記連結手段によって連結された複数の可動部材は、その貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、前記偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら円運動を行う請求項2又は5に記載の固液分離装置。
【請求項9】
前記スクリューは前記羽根と一体に形成された軸を有し、該軸は当該スクリューの中心部を構成していて、前記可動部材の貫通孔の中心軸線は、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心し、一部の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線は全て一致し、かつ他の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線も全て一致し、前記一部の複数の可動部材が共に円運動できるように、該一部の複数の可動部材を連結する第1の連結手段と、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、該軸と一体に回転する第1の偏心カムと、前記第1の連結手段に連結されていて、前記第1の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第1の軸受と、前記他の複数の可動部材が共に円運動できるように、該他の複数の可動部材を連結する第2の連結手段と、前記スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、該軸と一体に回転する第2の偏心カムと、前記第2の連結手段に連結されていて、前記第2の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第2の軸受とを具備し、前記第1の偏心カムの中心軸線と前記第2の偏心カムの中心軸線は互いに一致しておらず、前記第1の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第1の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記第2の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第2の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接していて、前記第1の偏心カムの中心軸線と前記第1の連結手段により連結された一部の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線は一致し、前記第2の偏心カムの中心軸線と前記第2の連結手段により連結された他の複数の可動部材の貫通孔の中心軸線も一致していて、前記スクリューの回転に伴って、前記第1の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第1の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第1の連結手段によって連結された一部の複数の可動部材は、その貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、前記第1の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら円運動を行い、前記第2の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第2の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第2の連結手段によって連結された他の複数の可動部材は、その貫通孔の中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、前記第2の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら円運動を行う請求項2又は6に記載の固液分離装置。
【請求項10】
前記複数の可動部材が共に円運動できるように、該複数の可動部材を連結する連結手段と、該連結手段に連結されていて、前記偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた軸受とを具備し、前記偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記スクリューの回転に伴って、前記偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記連結手段によって連結された複数の可動部材は、前記偏心カムの偏心量を半径とする円運動を行う請求項3に記載の固液分離装置。
【請求項11】
前記連結手段が該連結手段により連結された複数の可動部材と共に前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに回転して、該可動部材が他の部材に当接することを防止するガイドを具備する請求項8又は10に記載の固液分離装置。
【請求項12】
前記偏心カム及び該偏心カムに嵌合した軸受は、前記スクリューの羽根よりも該スクリューの長手方向外側の軸の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、前記連結手段は、前記各軸受にそれぞれ連結された一対の連結板と、前記複数の可動部材に連結された複数の連結棒とを有し、各連結棒がそれぞれ前記各連結板に連結されている請求項8、10又は11に記載の固液分離装置。
【請求項13】
前記スクリューの軸には、該スクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、外周面が円形に形成された第1の偏心カムと、同じくスクリューの軸の中心軸線に対して偏心していて、外周面が円形に形成された第2の偏心カムとがそれぞれ固定され、該第1の偏心カムの中心軸線と第2の偏心カムの中心軸線は一致しておらず、一部の複数の可動部材が前記第1の偏心カムの偏心量を半径とした円運動を行うように、該一部の複数の可動部材が前記第1の偏心カムに連結され、前記他の複数の可動部材が前記第2の偏心カムの偏心量を半径とした円運動を行うように、該他の複数の可動部材が前記第2の偏心カムに連結されている請求項3又は7に記載の固液分離装置。
【請求項14】
前記一部の複数の可動部材が共に円運動できるように、該一部の複数の可動部材を連結する第1の連結手段と、該第1の連結手段に連結されていて、前記第1の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第1の軸受と、前記他の複数の可動部材が共に円運動できるように、該他の複数の可動部材を連結する第2の連結手段と、該第2の連結手段に連結されていて、前記第2の偏心カムの円形外周面が嵌合する円形カム孔を備えた第2の軸受とを具備し、前記第1の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第1の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接し、前記第2の偏心カムの円形外周面は、その全周に亘って、前記第2の軸受の円形カム孔の内周面に摺動可能に当接していて、前記スクリューの回転に伴って、前記第1の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第1の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第1の連結手段によって連結された一部の複数の可動部材は、前記第1の偏心カムの偏心量を半径とする円運動を行い、前記第2の偏心カムは、その中心軸線が、前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに、該第2の偏心カムの偏心量を半径とする円を描きながら回転し、これにより、前記第2の連結手段によって連結された他の複数の可動部材は、前記第2の偏心カムの偏心量を半径とする円運動を行う請求項13に記載の固液分離装置。
【請求項15】
前記第1の連結手段が該第1の連結手段により連結された一部の複数の可動部材と共に前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに回転して、該可動部材が他の部材に当接することを防止する第1のガイドと、前記第2の連結手段が該第2の連結手段により連結された他の複数の可動部材と共に前記スクリューの軸の中心軸線のまわりに回転して、該可動部材が他の部材に当接することを防止する第2のガイドとを具備する請求項9又は14に記載の固液分離装置。
【請求項16】
前記第1の偏心カム及び該第1の偏心カムに嵌合した第1の軸受は、前記スクリューの羽根よりも該スクリューの長手方向外側の軸の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、前記第1の連結手段は、前記各第1の軸受にそれぞれ連結された一対の第1の連結板と、前記一部の複数の可動部材に連結された複数の第1の連結棒とを有し、各第1の連結棒がそれぞれ前記各第1の連結板に連結され、前記第2の偏心カム及び該第2の偏心カムに嵌合した第2の軸受は、前記スクリューの羽根よりも該スクリューの長手方向外側の軸の部分にそれぞれ1つずつ設けられ、前記第2の連結手段は、前記各第2の軸受にそれぞれ連結された一対の第2の連結板と、前記他の複数の可動部材に連結された複数の第2の連結棒とを有し、各第2の連結棒がそれぞれ各第2の連結板に連結されている請求項9、14又は15に記載の固液分離装置。
【請求項17】
全ての可動部材が、スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行う請求項6、7、9、13乃至16のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項18】
前記一部の複数の可動部材が前記スクリューの羽根の外周縁よりも当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動できる食い込み可能領域の隣りに、他の複数の可動部材が前記スクリューの羽根の外周縁よりも当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動できる食い込み可能領域が位置している請求項9、13乃至17のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項19】
前記可動部材の貫通孔は、円形又は長円形に形成されている請求項2乃至18のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項20】
前記スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら円運動を行う可動部材は、該可動部材の貫通孔を区画する当該可動部材の周縁の一部が、他の周縁部分よりも当該貫通孔の中心軸線の側に突出していて、その突出部が、スクリューの羽根の外周縁よりも該スクリューの中心軸線の側に入り込むように構成されている請求項2乃至18のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項21】
前記スクリューの羽根の外周縁よりも、当該スクリューの中心軸線の側に入り込みながら運動する可動部材は、前記固液分離部の処理対象物移動方向長さの1/2の位置よりも、当該処理対象物移動方向下流側に位置している請求項1乃至20のいずれかに記載の固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2012−166187(P2012−166187A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102514(P2011−102514)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【特許番号】特許第4871437号(P4871437)
【特許公報発行日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(591007022)アムコン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】