説明

固相マイクロ抽出用の針及び装置

本発明は固相マイクロ抽出(SPME)に適した形状を有する中空針1に関するものである。中空針1は、先端5と、先端5から距離を置いて中空針内に備えられた吸着材2とを含んでいて、中空針の側壁の領域に形成された複数の側方穴4を具備することを特徴とし、前記領域は、吸着材2が備えられた場所と先端5との間に位置している。本発明は、中空針1を製造する方法に関するものでもある。更に本発明は、容器及び吸引手段と共同して上記中空針を用いる装置に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にSPMEと呼ばれる固相マイクロ抽出の分野に関するものである。より詳しくは、本発明はSPMEの分野で用いられ得る針に関するものである。
【背景技術】
【0002】
SPMEは、例えばガスクロマトグラフ(GC)を利用して分析されることが意図された有機化合物を含む水溶液のような試料の予備濃縮を獲得するのに有効なツールである。従って、吸着材が内部に配置された好適な中空針が用いられる。吸着材は、針の内壁の被覆の形、またはコポリマーからなる塊もしくは遊離している固体粒子の堆積からなる塊の形を取ることが可能であり、また前記遊離しているとは、換言すると結合材で固定されていないということである。
【0003】
例として、欧州特許出願公開第1411068A1号明細書は、コポリマーの形をした吸着材を記載しており、また米国特許出願公開第2001/0032521A1号明細書は石英ウールの形をした吸着材を導入している。
【0004】
吸着段階は、試料に吸着材中を通常は数回通過させることにある。脱離は、好適には加熱により、例えばクロマトグラフのような分析機器の注入口内で直接的に行われる。
【0005】
吸着及び脱離処理中に、中空針は、隔膜により閉鎖された入口を備える容器(例えば、バイアル、シリンジ、ガスクロマトグラフの注入器等)の中に挿入されなければならない。針は、隔膜をより簡単に通過するために、鋭利な遠位端を好適に備えている。
【0006】
しかしながら、従来技術による中空針はいくつかの欠点を有している。例えば、それらが隔膜を通過するとき、隔膜の破片が針の中に偶然に入ることがあり、そのため針内への試料の流れに対する部分的または完全な障害を引き起こすことがある。
【0007】
従って、前述の問題を除去できることに対する必要性がある。
【0008】
さらに、従来技術による針には他の問題が観察される。
【0009】
ヘッドスペースを揮発性有機物質いわんや液体で充填可能にして、吸着材中を効率的に通過させるために第二のポンプシステムが必要になるほどまでに、針内の吸着材の存在は顕著な圧力損失を引き起こす。しかしながら、例えばリピンスキ(Lipinski)の論文 (Lipinski, J., Fresenius J. Anal. Chem., vol 369 (2001), p57 、又はHP及びクロムテク(Chrometech)の 特許)に記載されているようなシリンジのピストンの前後運動による“ポンピング”の単純な事実はガスの十分な吸引を生み出さないことが銘記されるべきである。十分な能力を獲得するために、多数のサイクルが実行されねばならず、それは、日常的な分析業務における最適な使用に対しては長すぎる準備時間を発生させる。
【0010】
従って、針を通過する流体の通路を改善する必要性も存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、特に先行する章で説明された問題の発生を防ぐという利益を提供する。従って本発明は、SPMEに適した形状を有する中空針に関するものであり、前記中空針は、先端と、前記先端から特定の距離をおいて中空針内に配置された吸着材とを具備しており、該中空針がその側壁領域に配置された複数の側方穴を具備し、前記領域が前記吸着材が配置された場所と前記先端との間に位置することを特徴としている。
【0012】
針の先端が閉じられていることが有利である。
【0013】
複数の側方穴を有することは、流体の通過する横断面積を顕著に増大させることを強調することが適切であり、そのことはマイクロ抽出の性能を高めるという効果を有する。したがって、SPMEが意図されていない針に見出されるような(例えばEP0275119A2参照)単一の側方穴の使用は本件では推奨されない。複数の側方穴の存在だけが装置の性能を向上させることができる。
【0014】
本発明の一実施形態によると、複数の穴が吸着材と針の先端との間に配置されている。
【0015】
他の実施形態によると、複数の穴の少なくとも一部が吸着材の高さに位置決めされている。複数の穴の全てを吸着材のレベルに配置することも可能である。
【0016】
好適には、吸着材は、共に結合されていない粒子の堆積から構成される。
【0017】
明らかに吸着材は、例えば石英ウール、コポリマー、又は針の内壁上の被覆のような本技術分野に知識を有する者に知られた他の任意の物質または構造から構成されてもよい。
【0018】
吸着材が非結合粒子から構成されているとき、穴は、粒子が針内に保持され得るような穴の直径であるように好適に選択される。従って通常は、穴の直径は最小の粒子の直径よりも小さい。
【0019】
粒子の堆積を定められた位置に保持するために、前記堆積を針の近位端側に保持するのに適した例えば障害物のような第1保持手段が好適に使用される。第2保持手段も針の先端側に配置されてよい。針の先端が閉じられていない場合には、第2保持手段は特に有用であって必要でさえある。
【0020】
針は、その自由端の近くに設けられた一つ以上の溝も有してよい。この構成では、複数の穴の少なくとも一部が一つの溝又は複数の溝に配置される。溝の存在は、針の先端を補強する効果、及び針の通過の際に取り去られることのある隔膜の破片によって前記穴が塞がれることを防ぐという効果を有する。具体的には、このように配置された穴は隔膜に決して直接に接触しない。
【0021】
他の実施形態では、針は、先端と吸着材との間に配置された第1穴と、前記第1穴と吸着材との間に配置された第2穴とを具備している。
【0022】
第2穴の直径が第1穴の直径より小さいことが有利である。
【0023】
変形例によると、針は該針に沿って連続的に配置された2個以上の穴を具備している。
【0024】
非限定的な例として、針の内径は0.5〜0.7mmの間にある一方で側方穴の直径は50〜10ミクロンの間で好適に変化する。本発明の特定の実施形態によると、側方穴の横断面積の合計は、針の内側断面積よりも大である。この構成では、針を通る流体の流れは大いに改善される。全ての場合において、それは、側方穴を備えない針を通る流体の流れより良好である。
【0025】
本発明は、先行する4つの段落のいずれか一つに規定された針と、前記針によって刺し通されるのに適した閉鎖要素を備えた容器と、容器に最初から収容されている流体を針を通して吸引するようにデザインされた吸引手段とを具備する固相マイクロ抽出(SPME)装置に関するものでもある。また前記針は、容器に対して移動可能であるように、及び少なくとも第1位置及び第2位置にあるように取り付けられている。前記第1位置は、二つの穴を容器の内側に連通するように配置することにより規定される位置であり、前記第2位置は、第2穴を大気に連通するように配置すると共に、第1穴を容器の内側に連通するように配置することにより規定される位置である。
【0026】
本発明は、上記装置の使用方法に関するものでもあり、前記使用方法は以下の段階、即ち、
針を第1位置に配置する段階、
吸引する段階、
第2穴が大気に連通して配置されるように針を移動させる段階、及び
吸引を終了する段階、によって特徴付けられている。
【0027】
代わりに、前記使用方法は以下の段階、即ち
針を第2位置に配置する段階、
吸引する段階、及び
吸引を終了する段階、によって特徴付けられる。
【0028】
定量化できることもできないこともあるヘッドスペースの体積は、外部ポンプを使って吸着又は吸収段階を通過させられる。
【0029】
本発明の等しく好適な変形例によると、吸着又は吸収段階は、記憶効果を防止するのに適した溶剤中に投入する前に加熱オーブン内への投入によって、又は記憶効果を防止するのに適した溶剤中に投入することによって浄化される。つまり、先行した分析を起源とする痕跡及び残留物であって、注入の際に完全には脱離されなかった痕跡及び残留物を完全に除去するために浄化される。
【0030】
好適には、先行した試料を起源とする残留物の脱離は、浄化を簡単にするための吸着針に対する真空であって少なくとも部分的な真空の適用によって支援される。この部分的真空は、加熱及び/又は適切な溶剤による浄化と組み合わせられることも組み合わせられないことも可能である。
【0031】
真空を生成するシステムそれ自身が試料の予備濃縮に用いられることが有利である。
【0032】
本発明の一実施形態によると、装置は、予備濃縮モードから浄化(または調整)モードに切り換えることが可能な弁を具備している。
【0033】
最後に、本発明は上記のとおり規定された針を製造する方法に関するものでもある。前記方法は以下の段階、即ち、
複数の側方穴が備えられた中空針を準備する段階、
例えば障害物のような第1保持手段を任意選択的に挿入する段階、
先端を通して吸着材を挿入する段階、
針の先端を通して第2保持手段を任意選択的に挿入する段階、
針の壁を圧搾することによって先端を任意選択的に閉じる段階、及び
鋭利な自由端を製造する段階、によって特徴付けられている。
【0034】
従ってこれは、予備濃縮針が外部真空源に接続され得るならば、ずっと良好な移送を与える。前記外部真空源は、ポンプ又は予め排気された所定の体積(ループ)のいずれかであってよい。密閉されたフラスコであってその閉鎖手段が隔膜を含んでいるフラスコに詰められたサンプルの場合には、吸引は正確に制御されなければならない。強すぎる吸引又は長すぎる継続は、前後運動と同様に試料が吸着材を再び通過できる希望無しにフラスコの内容物を排出するだろう。しかしながら、後者の方法は、特に密閉フラスコ内に広がる圧力に強く依存するという他の欠点、及びシリンジのピストンにおいて起こり得る漏出という他の欠点を有する。したがって、付加された(付属)ポンプを使用したとき、ポンプの真空度、又は吸引流量、又はその作動時間を調節することが適切である。これらのパラメータの全ては本技術分野において知識を有する者には容易に利用可能である。ここで説明された吸着針を保持するシリンジは、付属ポンプが接続される例えば側方ポートのような少なくとも一つのポートを有する必要があることが銘記されるべきである。
【0035】
付加されたポンピングシステムの好適な可能性の一つが、シリンジに接続されたポンプを、既知の一定の体積であるが、吸引されて吸着材により保持されるべきフラスコに含まれる気体の体積より明らかに少ない体積に対して十分な時間使用することにある。弛緩段階と呼ばれる第2の段階では、使用者は、フラスコの内部圧力を高めるために、吸引されたものに実際に等しい気体又は空気の体積でフラスコを満たす。次いで、新しい吸引サイクルを、所望の予備濃縮要因が獲得されるまで以下同様に繰り返すことができる。弛緩サイクルにおける気体の追加は、(例えば第二針の挿入によって)フラスコに準備された漏出によって、又はシリンジがガス源に接続されることが可能であれば真空源へのその接続に加えて、シリンジによって実行され得る。第3の変形例が、特定の実施形態において以下に説明される。
【0036】
本発明は、以下の図面を使って詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による針の一実施形態の概略図である。
【図2】溝を備える針の自由端の概略図である。
【図3】針が第1位置にある、本発明による装置の概略図である。
【図4】針が第2位置にある、本発明による装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1の実施形態によると、中空針1が、シリンジ若しくは吸引ポンプの端部または真空要素(キャニスター)の端部に直接にまたはパイプ若しくは管を介して取り付けられている。これらの要素は図示されない。
【0039】
針1は固定されているか又は着脱可能である。針は好適には鋼又は他の硬質合金から作られている。針1は、内側に吸着材2を含んでおり、前記吸着材2は、遊離した固体粒子、即ち結合剤で固定されていない固体粒子の形をしている。(液体又は気体の)試料吸着段階が、シリンジのピストンを上下に交互に作動させることにより、又はポンプ又は真空システムを使用して所望の体積の流体を引き出すことにより実行される。脱離は、分析機器(クロマトグラフ)の注入口において通常は直接的に、好適には加熱によって実行される。必要に応じて、また吸着材2がそれに耐えるならば、この処理は適切な溶剤中におけるすすぎにより実行されてもよい。
【0040】
最適な熱脱離のための注入器の高温ゾーンに先端が都合よく沈められるように、吸着材2は針の幾分か先端の方の中に配置されている。活性炭、又は特にポリマー(テナックス(Tenax)(登録商標)、ソル・ゲル(sol-gel))のような他の個体吸着材であり得る吸着材2は、流体を自由に通過させるが粒子を保持することができる一つ以上の“障害物(chicane)”3によって針1内の所定の位置に保持されている。針1を満たすために、使用者は以下の手順を進行させる。彼は、先端は無いが複数の側方穴4が備えられた針を最初に使用する。針の一方の端を介して、彼は最初に障害物3を挿入するが、そのデザインは可変であり得る。彼は次に、好適にはふるいにかけられた粒径100〜500ミクロンの吸着材2を吸引によって挿入する。吸着材2の量は秤量によって及び/又は吸着材2の最終位置の決定を可能にする要素(例えば障害物3を挿入して正確に位置決めすることを可能にする工具と同様のタイプの工具)を注意深く挿入することによりベッドの位置をチェックすることによって決定される。吸着材が外へ出てくることを防ぐために、第2の障害物(不図示)が吸着材の後に装着されてよい。針1は、鋭利な端を形成するためにも、当業者に知られた手段を使って最後に挟みつぶされ及び/又は閉じられる。
【0041】
代わりに、ポリマーの混合物から成る吸着材2を挿入すること、又は連続する層内にある様々なポリマーを挿入することが可能である。
【0042】
複数の側方穴4は、針1の先端5の側面の吸着材2の基部の近くに配置される。又はもし第2の障害物のような要素が挿入されているなら、側方穴4は針1の先端5の側面の第2の障害物に配置される。多数の側方穴4を使用することは、予備濃縮されるべき試料の最適な流れを可能にすることによって針1の良好な作動を確かにする。単一の側方穴は、それが吸着材粒子又は外部の粒子(隔膜片)によって簡単に閉塞され得るので、本質的に不十分である。針先端の単一の穴もまた、隔膜の破片による閉塞の危険性のために避けられるべきである。必要に応じて、複数の側方穴と針先端の一つの穴とを設けることが可能である。
【0043】
吸着材が非結合粒子から構成されるとき、使用者は、最小の吸着材粒子より小さな直径を有する多数の小さな穴を有利に用いる。この構成は、針の内側に粒子を確保することを可能にし、それ故第2の障害物の使用を不要にするフィルタを創出する。
【0044】
本発明の特定の実施形態では(図2参照)、好適には針1の自由端の近くで針1に沿って配置されている一つの溝6の内側に複数の穴4が配置されている。数本の溝が配置されてもよく、前記数本の溝の各々は一以上の穴を備えることができる。これらの溝は、針の先端の剛性を高めるという効果と、穴が隔膜の破片によって閉塞されることを防ぐという効果とを有している。具体的には、このように配置された穴は隔膜と決して直接に接触しない。
【0045】
本発明が、前述の針の実施形態に限定されないことは勿論である。任意の数量、形状、又は配置の側方穴が本発明の部分を構成する。
【0046】
同様に、本発明は前述の方法に限定されない。本発明は、吸着材及び側方穴を具備する中空針を実現することを可能にするどんな方法も含んでいる。
【0047】
図3は本発明の変形例を図示しており、そこでは穴は、フラスコ11内の吸引を制限するように針に沿って配置されている。穴7及び8は吸着材2の下側に全て配置されている。一つの下側穴7又は複数の下側穴7(複数の場合同一高さに配置される)が、針1の先端近くの下部にちょうど配置されている。この又はこれらの穴を通して検体が針1内に挿入される。上側穴8は、下側穴7と吸着材との間のより高い位置に配置されている。上側穴8は、漏出を生み出すようにデザインされていて、通常は下側穴7の直径よりも小さな直径を有している。そのような針1の使用中において、穴7及び8が密閉されたフラスコ11の内側に完全に挿入されているなら、働きは前述したとおりであって、真空源及び気体源が交互に始動される。
【0048】
図3は、二つの穴7及び8が、試料10を収容する密閉フラスコ11の内側にある普通の使用状態を図示している。
【0049】
二つの穴7及び8は吸着材2の下側に配置されている。上側穴8は下側穴7よりも小さいことに注目すべきである。
【0050】
しかしながら、針1がフラスコ11に完全に貫入せずに、上側穴8が隔膜9の上方に、すなわち大気中に残っているなら(図4参照)、これは、用意された漏出によってフラスコ11内の真空度を意図的に制限している。ポンピングの中断は、外側に残っている上側穴8を通して空気をフラスコ11に再び浸入させてそこに大気圧を再び確立する。次いで、第1のポンピングサイクルに等しい第2のポンピングサイクルが開始され得る。
【0051】
従って、図4は、下側穴7が試料10を収容した密閉フラスコ11内にある一方で上側穴8が外側にある特定の状況を図示している。
【0052】
例えばポンプを使用して吸引することにより、使用者は、上側穴8を通して入る空気で試料を希釈する。これは、試料10を急速に使い果たすことがない。下側穴7を通る流れは、フラスコ11内の圧力が特定の真空度に達したとき自然に停止する。ポンプを停止することによりフラスコ11は大気圧に戻される、というのも空気は上側穴8を通って再浸入して下側穴7を通ってフラスコ11内に流れ出るからである。このシステムは、弁を省くという利点を提供する。この場合には、ポンプだけが継電器によって切り換えられる。
【0053】
かなりのポンピングの実行が必要な変形例では、吸引段階において針が図3の位置と同じ位置へ達するまで、針を挿入することが適切である。この方法によって規定されたポンピング時間の後に、シリンジが気体の挿入のための第2のポートを有さないなら(第1のポートは既にポンピングに使用されている)、上側穴8が大気中にある図4により規定される位置まで針1を単純に引き上げることにより、フラスコ11内の圧力を再確立することが可能である。ポンピングサイクルを再始動する前に、針1は再び押し込まれなければならない。
【0054】
今説明された実施形態の図示されない特定の変形例では、数個の穴は、針に沿って配置されているが、まだ吸着材の下側に配置されている(フルートのように)。隔膜内への針の貫入を変えることにより、使用者はより多い又はより少ない穴を外側に残し、したがってフラスコの内側の最終真空度を調節することが可能にされる。
【0055】
したがって、本発明で記載された方法によると、シリンジのピストンの単純な前後運動よりも強力でかつ規則正しい吸引サイクルを再現するために、ポンプに接続された唯一つの弁、又は電気的に切り換え可能な唯一つの真空ポンプ、及び試料を収容しているフラスコ内で針を正確に昇降させる可能性が必要とされる。ここで説明されたシステムによると、従来技術のシステムを使って実行される前後運動による場合よりも、試料を準備する時間は顕著に短縮されるとともに、より正確にされ、再現性がより高められる。
【0056】
勿論、本発明は前述の例証された実施形態及び例証されない実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 中空針
2 吸着材
3 障害物
4 側方穴
5 先端
6 溝
7 下側穴
8 上側穴
9 隔膜
10 試料
11 フラスコ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相マイクロ抽出(SPME)に適した形状を有する中空針(1)であって、先端(5)と、前記先端(5)から特定の距離を置いて該中空針内に配置された吸着材(2)とを具備する中空針(1)が、該中空針の側壁の領域に配置された複数の側方穴4を具備し、前記領域が、前記吸着材(2)が配置された場所と前記先端(5)との間に位置していることを特徴とする、中空針(1)。
【請求項2】
前記先端(5)が閉じられていることを特徴とする、請求項1に記載の中空針。
【請求項3】
前記複数の側方穴(4)が前記吸着材(2)と前記先端(5)との間に位置していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の中空針。
【請求項4】
前記複数の側方穴(4)の少なくとも一部が前記吸着材(2)の高さに位置していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の中空針。
【請求項5】
前記吸着材(2)が非結合粒子の堆積からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空針。
【請求項6】
前記側方穴(4)の直径が、前記粒子を該中空針(1)内に保持するようにデザインされていることを特徴とする、請求項5に記載の中空針。
【請求項7】
前記吸着材(2)を該中空針(1)の近位側に保持するのに適した第1保持手段(3)を具備することを特徴とする、請求項5または6に記載の中空針。
【請求項8】
前記吸着材(2)を該中空針(1)の前記先端(5)側に保持するのに適した第2保持手段を具備することを特徴とする、請求項7に記載の中空針。
【請求項9】
該中空針の自由端(5)の近くに配置された溝(6)を具備する請求項1〜8のいずれか一項に記載の中空針であって、前記複数の側方穴(4)が前記溝(6)に配置されている、中空針。
【請求項10】
前記先端(5)と前記吸着材(2)との間に配置された第1穴(7)と、前記第1穴(7)と前記吸着材(2)との間に配置された第2穴(8)とを具備する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の中空針。
【請求項11】
前記第2穴(8)の直径が前記第1穴(7)の直径より小さい、請求項10に記載の中空針。
【請求項12】
該中空針に沿って連続して配置された2個以上の穴を具備する、請求項10または11に記載の中空針。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか一項に記載された中空針と、前記中空針によって刺し通されるのに適した閉鎖要素を備える容器と、前記容器内に最初から収容されている流体を前記中空針を通して吸引するようにデザインされた吸引手段とを具備する固相マイクロ抽出(SPME)装置であって、前記中空針は、前記容器に対して移動可能であるように、及び少なくとも第1位置及び第2位置にあるように取り付けられており、前記第1位置は二つの穴(a、b)を前記容器の内側に連通するように配置することにより規定される位置であり、前記第2位置は前記第2穴(8)を大気に連通するように配置すると共に、前記第1穴(7)を前記容器の内側に連通するように配置することにより規定される位置である、固相マイクロ抽出(SPME)装置。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載された中空針(1)を製造する方法であって、以下の段階即ち、
先端の無い中空針(1)であって複数の側方穴(4)が備えられた中空針(1)を準備する段階と、
第1保持手段(3)を任意選択的に挿入する段階と、
先端(5)を介して吸着材(2)を挿入する段階と、
前記先端(5)を介して第2の保持手段を任意選択的に挿入する段階と、
前記中空針(1)の壁を圧搾することにより前記先端(5)を任意選択的に閉じる段階と、
鋭利な自由端(5)を任意選択的に製造する段階と、により特徴付けられている中空針(1)を製造する方法。
【請求項15】
請求項13に記載された固相マイクロ抽出(SPME)装置の使用方法であって、以下の段階即ち、
前記中空針を前記第1位置に配置する段階と、
吸引する段階と、
前記第2穴(8)が大気に連通して配置されるように前記中空針を移動させる段階と、
吸引を終了する段階と、によって特徴付けられている固相マイクロ抽出(SPME)装置の使用方法。
【請求項16】
請求項13に記載された固相マイクロ抽出(SPME)装置の使用方法であって、以下の段階即ち、
前記中空針を前記第2位置に配置する段階と、
吸引する段階と、
吸引を終了する段階と、によって特徴付けられている固相マイクロ抽出(SPME)装置の使用方法。

【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−513915(P2010−513915A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542374(P2009−542374)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/IB2007/055246
【国際公開番号】WO2008/078292
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(509175827)スマート ノーズ ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】