説明

固相抽出法及び固相抽出装置

【課題】 ガスクロマトグラフ等へのサンプル導入方法及び装置、特に液体サンプルから対象成分を固相抽出するための方法と装置を提供する。
【解決手段】 シリンジ5により液体サンプルから対象成分を固相抽出する方法で:液体サンプルはサンプル瓶50に保たれ、シリンジは摺動可能なプランジャ20を有する円筒15と、固定相30で被覆された内表面25を有する中空ニードル10とから成り:ニードルをサンプル瓶に挿入するステップ;対象成分が固定相コーティング30上に吸着される機会を持つようニードルの内部そして外部にサンプルを吸引するステップ;ニードルをクロマトグラフ装置の注入口に挿入するステップ;及び対象成分を注入口に熱脱離するステップ;から成る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、概して、ガスクロマトグラフへ導入するためのサンプルの前処理技術に関する。特に、本発明は、液体サンプルから対象とする成分を固相抽出(SPE)するための改良技術に関する。
【0002】
【技術背景】クロマトグラフィーは、サンプル分析のためには好ましい方法である。とりわけ、ガスクロマトグラフィーは、殆どの環境にある不純物及び汚染物が複合分子でないという理由から、環境関連サンプル(environmental samples)に特に有用である。より多くの複合分子がある場合は、超臨界液体クロマトグラフィー(supercritical fluid chromatography)又は液体クロマトグラフィーを用いる必要がある。サンプルをクロマトグラフ装置に導入するに先立って、サンプルから対象成分が抽出できるようサンプルを前処理しなければならない。
【0003】固相抽出(SPE)は、それぞれが固定相物質で被覆された多数の小さい不活性シリカ粒子を含有している貫流チャンバ(flow−through chamber)を利用する技術の1つである。すなわち、液体サンプルをカートリッジを通してフラッシュ(flush)し、対象成分を固定相コーティング内に拡散させる。次いで、対象成分に対して高い溶解係数を有する溶媒をカートリッジを通してフラッシュし、これにより、分析する対象成分を溶解し、運び出すのである。ヒューレット・パッカード社の7686 PrepStation Systemは、ろ過、加熱及び蒸発を含む、完全自動化SPEを提供するシステムの一例である。サンプルの前処理を終了後、対象成分は、典型的には、溶媒に溶解し、サンプル瓶に一時的に入れておく。対象成分を含有している溶媒を吸引し、これを適当なクロマトグラフ装置に注入するには、典型的にはシリンジ(syringe)を用いる。シリンジは、手作業によって、又は自動注入装置を使って自動的に、動作させてよい。例えば、“ガスクロマトグラフのキャリヤガス流へ溶質を導入するための装置と方法”と題する米国特許第4,615,226号(1986年10月7日 DiNuzzo等に交付)を参照のこと。
【0004】溶媒を使わないで固相微小抽出(Solid Phase Microextraction−SPME)を遂行する技術は、Janusz B. Pawliszynによる“固相微小抽出及び脱離のための方法と装置”と題する国際出願No.PCT/CA91/00108に開示されている。二次相で被覆した固体石英ガラスファイバ(solid fused silica fiber)を、そのファイバを中空のシリンジ・ニードル内部から引き伸ばせるよう、標準シリンジのプランジャ機構に取り付ける。そのニードルは、隔壁を通して瓶内部に挿入される。ファイバがサンプルに届くようプランジャを押し下げ、対象成分が固定相コーティング内に平衡に達するまで拡散するようにし、それからそのファイバをニードルの内部まで引っ込め、ニードルをサンプル瓶から引き出す。拡散操作中にサンプルを連続的に混合することにより、平衡に達するまでに要する時間が短縮される。次いで、ニードルを隔壁を通してガスクロマトグラフの注入口へ挿入し、次いで対象成分がカラム上で熱的に脱離し、低温集束(cryofocused)するようにする。
【0005】吸収される対象成分の量は、固定相の表面積と厚さに直接関連する。容量を増やすためにフィルム厚を増せば、吸収速度を減ずるという有害な影響がでる。このように、SPMEが抱える問題は、フィルム厚に関してその柔軟性が限定されることである。シリンジ・ニードルを通して伸ばされる時の石英ガラス固有の脆性のため、及び石英ガラスの外表面上の固定相コーティングは引き伸ばし時に防御されていないという理由から、SPMEは問題が多い。
【0006】サンプル作成に要する溶媒量を減少もしくは削除する確たるサンプル作成技術の必要性がある。
【0007】
【発明の目的】本発明は、この要請に応えるためになされたもので、ガスクロマトグラフ等の分析装置にサンプルを導入する際に採用される方法及び装置、特に液体サンプルから対象とする成分を固相抽出するための方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【発明の概要】本発明は、そのカニューレ(cannula)即ちニードルの内表面が少なくとも部分的に固定相で被覆されているシリンジを用いて、対象成分を固相抽出するための簡易な手法である。本発明は、手動注入に典型的に用いられるシリンジを使用して手動で、又はシリンジが固定相で被覆されたニードルを有する自動注入器を使用して自動で、実行してよい。
【0009】手動の用途に適する本発明の第1の実施例では、対象成分を含む液体サンプルを含有するサンプル瓶にニードルを挿入する。或る分量のサンプルをニードルを通してシリンジの円筒内に吸引し、次いで計量分配してサンプル瓶に戻す。サンプルを吸引し、計量分配する処理は、対象成分がニードル内表面上の固定相コーティング中に拡散し、好ましくは平衡に到達するまで繰返す。(迅速な吸引と計量分配は、対象成分が固定相コーティングに接触することを任意に保証し、且つサンプル瓶中でサンプルの混合処置を講じて平衡に達するまでに要する時間を最小にするよう実行してよい。)最終の計量分配ストロークで事実上全てのサンプルが計量分配されて、サンプル瓶に戻される。次いで、サンプル瓶からニードルを引き出し、熱脱離方式注入のためクロマトグラフ装置の注入口に直に挿入する。
【0010】直接注入に適する本発明の第2の実施例では、固定相コーティングをカバーするのに十分な量の溶媒を溶媒瓶から吸引する。その時、対象成分は、固定相コーティングから溶媒に脱離する。比較的小量の溶媒が用いられるので、対象成分の濃度は極めて高くなる。その後、ニードルを、注入のためクロマトグラフ装置の注入口に挿入する。
【0011】完全自動化の抽出及び注入に適する本発明の第3の実施例では、固定相で被覆されたニードルと、サンプル瓶を注入ニードルの下の位置にインデックする(indexing)ためのサンプル瓶トレイアセンブリ(以下“トレイ”)とを有する自動注入器が用いられる。自動注入器によってニードルがサンプル瓶に挿入され、サンプルがシリンジの円筒に吸引される。次いで、サンプルは、計量分配されてサンプル瓶に戻される。この工程は、対象成分が固定相コーティングに拡散するまで繰返し、その後、サンプルをシリンジから完全に計量分配する。
【0012】対象成分は、既知の熱脱離及び低温集束技術を使って注入してよい。あるいは、ニードルは、ニードルの固定相コーティングをカバーするのに十分な溶媒を吸引するために溶媒瓶の中まで押し下げてよい。コーティング内の対象成分が溶媒中に十分脱離する時間を待った後、対象成分を含む溶媒をクロマトグラフ装置の注入口から注入する。
【0013】従って、高濃度の対象成分の熱脱離と直接注入の両方に互換性のあるフレキシブルな抽出技術を提供することが、本発明の主眼点であり、利点である。
【0014】本発明の利点は、直接注入に要する溶媒が比較的小量であるということである。
【0015】本発明の別の利点は、ニードルの内表面の少なくとも一部に固定相コーティングを追加するだけで手動で、又は注入シーケンスに少々変更を施した自動注入装置で、実行できるという事実である。ニードルの内径と長さは、固定相コーティングの量の正確な変更ができるよう変更してよい。
【0016】本発明は、固定相を、シリンジ・ニードルの内表面上で、防御し、定着させる頑丈な設計で具体化してよい。
【0017】
【実施例】本発明は、図1に示すように手動モードで具体化してよく、ここでシリンジ5は、中空の注入器ニードル10、円筒15及び円筒15の内部にはめ込まれた摺動可能なプランジャ20から構成される。プランジャ20には、シリンジを手動で操作できるようハンドル22が含まれる。ニードル10は、固定相コーティング30で被覆された内表面25を有する。好ましい具体例では、ニードルの全内表面が被覆される。しかし、固定相コーティングによっては、対象成分の十分な抽出に対して施されている限り、部分的コーティングを採用してよい。
【0018】本発明は、液体サンプル55を入れたサンプル瓶50を備えている。注入器ニードルがサンプル瓶50に挿入され、サンプル55が円筒15に吸引され、サンプル瓶50に再計量分配される。吸引と再計量分配は、対象成分が固定相コーティング30内に拡散する機会を持つまで繰返される。サンプル瓶への繰返し計量分配は、希釈した吸引サンプルをサンプル瓶に残留しているサンプルと攪拌し、混合するのを補助する迅速な計量分配ストロークで行ってよい。迅速な吸引ストロークも、サンプルの内表面との接触を最大にするのに用いてもよい。対象成分が、一旦、コーティングに拡散し、平衡条件に達してしまえば、ニードル先端をサンプル瓶内のサンプル面より上に引き上げ、迅速計量分配ストロークを数回行ってサンプルがニードル中に残らないようにする。
【0019】ニードル10は、固定相コーティング内に前もって吸収した対象成分が既知技術を使って熱的に脱離できるよう、図2に示すような分析装置の注入口40に挿入される。特に、注入口40の温度は、対象成分が固定相コーティングから脱離するよう、最高沸点より高い温度に維持される。実際のクロマトグラフ分離に先立ち、対象成分の全てを、カラム45のヘッドで捕捉するために、注入口40の下流部分を冷却する技術として知られている低温捕捉(cryotrapping)を用いてよい。
【0020】代わりの具体例では、直接注入は、円筒15に入れないでニードル10だけを満たすのに十分な小量の溶媒が吸引されるよう、ニードル10をテイクアップ(takeup)溶媒が入っている溶媒瓶60内に挿入することによって達成してよい。コーティング30内に付着した対象成分は、溶媒内に脱離する。ニードルには極めて小容積の溶媒だけが存在するので、脱離した対象成分の濃度は極めて高い。脱離を補助するためにニードル10に熱を加えてよい。次いで、ニードル10を溶媒瓶60から完全に引っ込め、その後、対象成分を含む溶媒を分析できるよう分析装置の注入口へ注入するためにシリンジ5が用いられる。
【0021】もし溶媒瓶に残留する溶媒の汚染が問題なら、小量のサンプルだけを入れる高回収瓶(high recovery vial)を用いなければならない。溶媒及び/又はサンプルの適当な洗浄には、使用に先立ち、脱イオン水、メタノール又は適切な無極性溶剤を用いたすすぎ洗いが含まれてよい。
【0022】図3は、代替の具体例を説明するもので、ここでは、注入が注入口102に直接実施できるよう、自動的にサンプル作成を行うためにガスクロマトグラフ101の頂部に取付けた自動注入器100が用いられる。自動注入器100は、先に手動注入に関して説明したシリンジ5を包含する。特に、シリンジ5は、中空の注入器ニードル10、円筒15及び円筒15の内部にはめ込まれた摺動可能なプランジャ20を有する。注入器ニードル10は、固定相コーティングで被覆した内表面を有する。
【0023】3−位置トレイ110は、サンプル瓶50を注入器ニードル10下の位置にインデックスする。その後、ニードル10がサンプル瓶に挿入され、サンプル55がニードル内に、そしてニードル外に吸引される。対象成分が固定相コーティング内に拡散する機会を持った後、残留サンプルがニードル10から計量分配される。ここで、ニードル下の位置からサンプル瓶をインデックスし、且つ分析装置の注入口102にニードルを挿入することによって、熱脱離式注入を実行してよい。
【0024】あるいは、テイクアップ溶媒を含んでいる溶媒瓶160をニードル10下にインデックスすることにより、直接注入を達成してよい。円筒15に入れること無しでニードル10を満たすのに十分な小量の溶媒が吸引される。コーティング30内に付着した対象成分は、溶媒内に脱離する。ニードルには極めて小容積の溶媒だけが存在するので、脱離した対象成分の濃度は極めて高い。脱離を補助するためニードル10に熱を加えてよい。次いで、ニードル10を溶媒瓶160から完全に引っ込め、そして溶媒瓶はニードル10下の位置からインデックスする。その後、ニードル10を注入口に挿入し、対象成分を含む溶媒が注入されるようプランジャ20を動作させる。
【0025】本発明の幾つかの具体例は、以上に説明し且つ詳細に記述したが、本発明の有用さを例示し且つその動作を説明することを意図したものであって、本発明を限定するものではない。本明細書を概観すれば、熟練した当業者は、開示された本発明に関する無数の変更、修正及び他の用途が分かるであろう。従って、本発明の範囲を決めるためには、特許請求の範囲を参照すべきである。
【0026】以上のように、本発明は、〔1〕注入器シリンジ(5)を利用して液体サンプルから対象成分を固相抽出する方法であって:前記液体サンプルはサンプル瓶(50)に保持され、前記注入器シリンジは固定相(30)で被覆された内表面(25)を有する中空ニードル(10)から成っており:ニードル(10)を前記サンプル瓶(50)に挿入するステップ;対象成分が前記固定相コーティング(30)上に吸着される機会を持つようにニードル(10)の内部そして外部にサンプル(55)を吸引するステップ;ニードル(10)をクロマトグラフ装置(101)の注入口(40)に挿入するステップ;及び対象成分を注入口(40)に熱脱離するステップ;から成ることを特徴とする固相抽出法に関し、以下のような好ましい実施態様を有する。
【0027】〔2〕さらに、対象成分が固定相コーティング(30)と平衡に達する機会を持った後で且つ熱脱離に先立ち、サンプルの全てをニードル(10)から計量分配するステップを包含する〔1〕記載の固相抽出法。
【0028】〔3〕吸引するステップが、さらに、サンプル瓶(50)中のサンプル(55)を混合する迅速な前後運動を包含する〔1〕記載の固相抽出法。
【0029】〔4〕さらに、クロマトグラフ分離に先立ち、熱脱離した対象成分を注入口(40)で低温集束することを包含する〔1〕記載の固相抽出法。
【0030】また、本発明は、〔5〕注入器シリンジ(5)を利用して液体サンプル(55)から対象成分を固相抽出する方法であって:前記液体サンプルはサンプル瓶(50)に保持され、前記シリンジ(5)はさらに円筒内部に差し込まれた摺動可能なプランジャ(20)を有する円筒(15)と、そのプランジャの反対側に円筒端部へ伸びる内表面(25)を有する中空ニードル(10)とを含み、前記内表面がさらに固定相コーティング(30)から成っており:ニードル(10)を前記サンプル瓶(50)に挿入するステップ;対象成分が前記固定相コーティング(30)上に吸着される機会を持つようにプランジャ(20)に前後運動させて円筒の内部そして外部にサンプル(55)を吸引するステップ;サンプル(55)の全てをシリンジの円筒(15)から計量分配するステップ;対象成分に親和性を有する溶媒(65)を含有する溶媒瓶(60)にニードル(10)を挿入するステップ;プランジャ(20)を僅か引き上げることにより前記固定相コーティング(30)をカバーするのに十分な量の溶媒(65)を吸引するステップ;対象成分が溶媒(65)に溶け込むのに十分な時間を待つステップ;ニードル(10)をクロマトグラフ装置(101)の注入口(40)に挿入するステップ;及びプランジャ(20)を前方に行程いっぱいに押してサンプルを注入するステップ;から成ることを特徴とする固相抽出法に関し、次のような好ましい実施態様を有する。
【0031】〔6〕吸引するステップが、さらに、サンプル瓶(50)中のサンプル(55)を混合する迅速な前後運動を包含する〔5〕記載の固相抽出法。
【0032】さらに、本発明は、〔7〕対象成分を含有するサンプルの固相抽出装置であって:前記サンプル(55)がサンプル瓶(50)に保持され、対象成分を溶解する能力を有する溶媒(65)が溶媒瓶(60)に保持され:円筒(15)と、円筒(15)の1つの端部から伸びるハンドル(22)を有する円筒(15)内部で摺動可能なプランジャ(20)とから成る注入器シリンジ(5);及びプランジャ(20)の反対側の円筒(15)端部へ伸びる内表面(25)を有し、内表面(25)がさらに固定相コーティング(30)から成る中空ニードル(10);から成り、前記ニードル(10)がサンプル瓶(50)に挿入され、ハンドル(22)が引き戻されることにより、対象成分が固定相コーティング(30)上に拡散する機会を持つまでの間、サンプル(55)がニードル(10)を通して円筒(15)の内部にそして外部に吸引され、前記サンプル(55)が円筒(15)から完全に計量分配され、前記ニードル(10)がサンプル瓶(50)から引き出されて溶媒瓶(60)に挿入され、ニードル(10)を満たすのに十分な小量の溶媒(65)が対象成分が前記溶媒(65)内に溶解するようにシリンジ(5)に吸引され、次いで前記溶媒(65)がクロマトグラフ装置(101)に注入される;ことを特徴とする固相抽出装置に関し、次のような好ましい実施態様を有する。
【0033】〔8〕前記ニードル(10)が異なった内外寸法を有する別のニードル(10)と置き換えられてよい〔7〕記載の固相抽出装置。
【0034】〔9〕前記固定相コーティング(30)の量が抽出を行う際に柔軟性を与えるよう修正される〔7〕記載の固相抽出装置。
【0035】〔10〕さらに、瓶群(50)を保持し、前記瓶群(50)を前記注入器シリンジ(5)下の位置へ移動するためのトレイ・アセンブリ(110)から成る〔7〕記載の固相抽出装置。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)高濃度の対象成分の熱脱離と直接注入の両方に互換性のあるフレキシブルな抽出技術を提供することができる。
(2)分析装置への注入に要する溶媒量を少なくすることができる。
(3)ニードルの内表面の少なくとも一部に固定相コーティングを追加するだけで手動で、又は注入シーケンスに少々変更を施した自動注入装置で、実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図であり、そのニードルの内表面が固定相コーティングから成るシリンジを説明するものである。
【図2】本発明の一実施例を示す断面図であり、ガスクロマトグラフのシリンジと注入口を示すものである。
【図3】本発明の一実施例を示す斜視図であり、内表面が固定相コーティングから成るニードルを用いている自動注入器を説明するものである。
【符号の説明】
5 シリンジ
10 中空ニードル
15 円筒
20 摺動可能なプランジャ
22 ハンドル
25 ニードルの内表面
30 固定相コーティング
40,102 分析装置の注入口
45 カラム
50 サンプル瓶
55 液体サンプル
60,160 溶媒瓶
101 ガスクロマトグラフ
100 自動注入器
110 3−位置トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 注入器シリンジ(5)を利用して液体サンプルから対象成分を固相抽出する方法であって:前記液体サンプルはサンプル瓶(50)に保持され、前記注入器シリンジは固定相(30)で被覆された内表面(25)を有する中空ニードル(10)から成っており:ニードル(10)を前記サンプル瓶(50)に挿入するステップ;対象成分が前記固定相コーティング(30)上に吸着される機会を持つようにニードル(10)の内部そして外部にサンプル(55)を吸引するステップ;ニードル(10)をクロマトグラフ装置(101)の注入口(40)に挿入するステップ;及び対象成分を注入口(40)に熱脱離するステップ;から成ることを特徴とする固相抽出法。
【請求項2】 注入器シリンジ(5)を利用して液体サンプル(55)から対象成分を固相抽出する方法であって:前記液体サンプルはサンプル瓶(50)に保持され、前記シリンジ(5)はさらに円筒内部に差し込まれた摺動可能なプランジャ(20)を有する円筒(15)と、そのプランジャの反対側に円筒端部へ伸びる内表面(25)を有する中空ニードル(10)とを含み、前記内表面がさらに固定相コーティング(30)から成っており:ニードル(10)を前記サンプル瓶(50)に挿入するステップ;対象成分が前記固定相コーティング(30)上に吸着される機会を持つようにプランジャ(20)に前後運動させて円筒の内部そして外部にサンプル(55)を吸引するステップ;サンプル(55)の全てをシリンジの円筒(15)から計量分配するステップ;対象成分に親和性を有する溶媒(65)を含有する溶媒瓶(60)にニードル(10)を挿入するステップ;プランジャ(20)を僅か引き上げることにより前記固定相コーティング(30)をカバーするのに十分な量の溶媒(65)を吸引するステップ;対象成分が溶媒(65)に溶け込むのに十分な時間を待つステップ;ニードル(10)をクロマトグラフ装置(101)の注入口(40)に挿入するステップ;及びプランジャ(20)を前方に行程いっぱいに押してサンプルを注入するステップ;から成ることを特徴とする固相抽出法。
【請求項3】 対象成分を含有するサンプルの固相抽出装置であって:前記サンプル(55)がサンプル瓶(50)に保持され、対象成分を溶解する能力を有する溶媒(65)が溶媒瓶(60)に保持され:円筒(15)と、円筒(15)の1つの端部から伸びるハンドル(22)を有する円筒(15)内部で摺動可能なプランジャ(20)とから成る注入器シリンジ(5);及びプランジャ(20)の反対側の円筒(15)端部へ伸びる内表面(25)を有し、内表面(25)がさらに固定相コーティング(30)から成る中空ニードル(10);から成り、前記ニードル(10)がサンプル瓶(50)に挿入され、ハンドル(22)が引き戻されることにより、対象成分が固定相コーティング(30)上に拡散する機会を持つまでの間、サンプル(55)がニードル(10)を通して円筒(15)の内部にそして外部に吸引され、前記サンプル(55)が円筒(15)から完全に計量分配され、前記ニードル(10)がサンプル瓶(50)から引き出されて溶媒瓶(60)に挿入され、ニードル(10)を満たすのに十分な小量の溶媒(65)が対象成分が前記溶媒(65)内に溶解するようにシリンジ(5)に吸引され、次いで前記溶媒(65)がクロマトグラフ装置(101)に注入される;ことを特徴とする固相抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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