説明

固相重合を使用せずに製造されたコ−ポリエステル包装樹脂、粘度変動を少なくしたコ−ポリエステル樹脂の加工方法、およびその方法により製造された容器および他の製品

固相重合を使用せずに製造されたコ−ポリエステル包装樹脂、粘度変動を少なくしたコ−ポリエステル樹脂の処理方法、およびその方法により製造された容器および他の製品を提供する。ポリエステル重合体の固有粘度を0.025 dL/gより大きく下げずに、ポリエステル組成物を加工する方法、例えばPET樹脂を射出成形してビンプリフォームを形成し、そのビンプリフォームから容器を吹込成形する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリエステル樹脂を溶融させ、続いて固化させ、ポリエステル樹脂の固有粘度を0.025 dL/gより大きく下げずに、形状製品を形成することを包含する、ポリエステル樹脂の加工方法に関する。本発明は、さらに、この方法により製造された成形製品、および固有粘度を0.025 dL/gより大きく下げずに加工することができるポリエステル樹脂に関する。
【0002】
関連技術
ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、およびポリ(トリメチレンナフタレート)(PTN)のような樹脂を包含するポリエステル樹脂は、従来、容器、例えば飲料ビン、の製造における樹脂として使用されている。たわみ性、良好な衝撃耐性、および透明性のような特性と共に良好な溶融相加工性により、ポリエステル樹脂は、この用途に広く使用されている。ここで使用する用語樹脂は、上記の材料全てを包含する。
【0003】
ポリエステル樹脂用の出発原料は、石油誘導体、例えば石油または天然ガスから得られるエチレン、および典型的には石油から得られるパラ−キシレンである。
【0004】
ポリエステル樹脂は、一般的にジオール(例えばエチレングリコール(EG))およびジカルボン酸(例えばテレフタル酸(TPA))のモノマー単位間のエステル化/重縮合反応により製造される。ここで使用する用語カルボン酸および/またはジカルボン酸は、カルボン酸およびジカルボン酸のエステル誘導体を包含する。カルボン酸およびジカルボン酸のエステルは、エステル単位中に一種以上のC1〜C6アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびそれらの混合物)を含むことができ、例えばジメチルテレフタレート(DMT)がある。
【0005】
従来のエステル化/重縮合製法では、例えば先ず低分子量および低固有粘度(IV)のプレポリマー(例えばオリゴマーの混合物)を、例えばジオールとジカルボン酸を溶融相反応で反応させることにより、製造し、ポリエステルを形成することができる。オリゴマーは、ジオールとジカルボン酸モノマー単位のスラリーをエステル化反応器中で反応させることにより、形成することができる。EGは、高温で行うことができるエステル化反応の際に蒸発して失われることがある。従って、ジオールとジカルボン酸のスラリーは、過剰のEGを含むことができ、例えばジオールおよびジカルボン酸は、総グリコール対総ジ酸に対して、約1.2〜約2.5のモル比で存在することができる。さらに、オリゴマーの予備重縮合および重縮合を行い、IVが0.50〜0.62である樹脂混合物を形成することができる。そのような樹脂混合物は、様々な用途、例えば繊維/フィラメント、繊維チップ、またはビン−樹脂前駆物質、に好適である。IVが0.50〜0.60である無定形透明ベースチップを、固相重合(SSP)を実施し、分子量を(例えば、水ビン用途には0.74〜0.76、CSD/ビールビン等には0.84〜0.85のIVに)増加することができる。固相重合(SSP)処理装置により製造される樹脂は、結晶化を受け、不透明なペレットを形成することがある。
【0006】
連続式ポリエステル溶融相重縮合製法は、通常、3反応工程、すなわち(i)低分子量オリゴマーを形成するためのエステル化工程、(ii)オリゴマーを予備重合させ、プレポリマーを形成する工程、および(iii)中間分子量または固有粘度(例えば目標固有粘度0.50〜0.65)を有する重合体を形成するための後重合工程、からなる。
【0007】
上記の3反応工程(i)、(ii)および(iii)は、既存の溶融相処理技術を使用する2〜6基の反応器で行い、目標固有粘度を達成することができる。一般的に、エステル化は、1または2個の容器で行い、重合度が低い(例えば約7モノマー単位対までが反応した)低分子量オリゴマーの混合物を形成する。次いで、オリゴマーを、1または2個の予備重合容器にポンプ輸送し、そこで高温および低圧により水およびEGを除去する。これによって、重合度は15〜20繰り返し単位のレベルに増加する。最後の1または2個の容器で、温度をさらに増加し、圧力をさらに低下させ、例えば即ペレットに切断するか、または繊維もしくはフィラメントに直接紡糸できる重合体を形成する。
【0008】
エステル化および予備重合容器は、攪拌することができる。重縮合容器(例えば仕上げ装置、ワイプド−フィルム(wiped-film)反応器等)は、非常に薄いフィルムを生じるように設計された攪拌機を有することができる。温度および保持時間は、各組の容器毎に最適化し、分解および他の副反応を最少に抑える。ポリエステル溶融相反応により生じることがある副生成物としては、ジエチレングリコール(DEG)、アセトアルデヒド、水、環状オリゴマー、カルボキシル末端基、ビニル末端基、および酸無水物末端基がある。
【0009】
時間および温度の両方が、エステル化/重縮合反応の際に制御するのが好ましい変数である。反応温度が高い程、総反応時間が大幅に短縮され、必要な滞留時間および/または反応器が少なくて済む。
【0010】
そのような連続式製造方法に代えて、ポリエステルは、バッチ方法でも製造できる。
バッチ方法では、ジオールおよびジカルボン酸単位を単一反応器中で一緒に混合する。場合により、必要であれば、2基以上の反応器(例えば反応容器)を使用することができる。ジオール/ジカルボン酸混合物を加熱し、モノマー単位を縮合反応にかける。縮合反応の副生成物としては、水およびアルコールが挙げられる。減圧下で反応を行うか、または反応の最後の段階で反応混合物を減圧することにより、反応の揮発性副生成物を除去し、反応完了を促進することができる。
【0011】
高温に長時間露出することにより、特にその露出が酸素含有雰囲気または例えば250℃を超える温度で行われる場合、重合体状材料の特定の物理的および化学的特性が悪影響を受ける。ポリエステル樹脂、例えばPET、を製造するための従来の方法は、樹脂を長い熱履歴に付す、および/または高額の経費を必要とする固相重合(SSP)を行う必要があるのが難点である。
【0012】
ポリエステル樹脂、例えばPET、の製造は、最終的な固相重合を全く行わずに、モノマー単位の溶融相から直接行うことができる。例えば、バッチ製法を、重縮合反応を完了させるのに十分な温度で、十分な時間、および十分な圧力で行い、それによって、その後の仕上げ(例えば最終的な反応)の必要性を回避することができる。
【0013】
固相重縮合は、ビン、食品トレー、およびタイヤ−コード用途向けの高分子量ポリエステル樹脂の製造に使用される、ある種の従来方法における重要な工程である。従来型溶融物重縮合反応方法により製造される透明な無定形ペレット(0.50〜0.65 IV)を、重合体のガラス転移温度よりかなり高いが、樹脂の結晶融点よりは低い温度で、固相でさらに重合させることができる。固相重合は、不活性ガス流(通常は連続操作下での窒素)中または真空下(通常はバッチ式回転真空乾燥機中)で行う。適切なSSP温度では、重合体(例えばPET)鎖の官能性末端基は十分に移動でき、互いに反応して分子量をさらに増加する。
【0014】
容器用途向けポリエステル樹脂を製造するための、溶融相重縮合および固相重合を包含する従来方法を図1に図式的に示すが、そこではポリエステル樹脂、例えばPET、のモノマー成分を溶融相エステル化/重縮合反応器中で混合する。この反応により、固有粘度(IV)が0.5〜0.65である溶融樹脂が形成される。次いで、溶融相エステル化/重縮合により得られた溶融生成物を、重合体濾過にかける。所望により、共−バリヤー樹脂を押し出し、その押出物を、溶融相エステル化/重縮合から得られた、濾過された溶融樹脂に加えることにより、濾過された溶融重合体に共−バリヤー樹脂を加えることができる。次いで、混合された流れ、つまり重合体濾過から得られたポリエステル流をミキサー中にポンプ輸送することができる。ポリエステル樹脂および全ての共−バリヤー樹脂が十分に、確実に混合されるように、スタティックミキサーを使用することができる。
【0015】
溶融相エステル化/重縮合は、典型的には複数の反応器中で行う。従って、モノマーを第一エステル化反応器に加え、低IV材料を形成することができる。続いて、オリゴマーが残りの一連の反応器を通り、重縮合反応が進行するにつれて、IVが上昇する。静的ミキサーからポンプ輸送される、溶融形態にある材料は、固化およびペレット化が実施される。溶融材料は、例えば一連のオリフィスを備えたダイを通して材料をポンプ輸送することにより形成された材料のストランドまたはフィラメントを通して、固化させることができる。溶融ポリエステル樹脂がオリフィスを通過する際、連続的なストランドが形成される。これらのストランドを水に通すことにより、ストランドは直ちに冷却され、固体を形成する。続いてストランドを切断することにより、ペレットまたはチップが形成され、次いで、これらのペレットまたはチップは、従来の製法では、固相重合工程(即ちSSP)に送られる。
【0016】
従来のポリエステル樹脂製法では、重合が完了した後の固相重合の使用を回避する製法においても、重合した溶融樹脂をダイを通してポンプ輸送し、複数のストランドを形成する。ダイから出る溶融樹脂は水中で急冷され、樹脂を硬化させる。急速冷却(例えば水急冷)の結果、溶融ポリエステルは、結晶化の時間が無く、無定形状態で固化する。固化したポリエステルストランド、またはストランドを切断したペレットは、無色透明で、無定形状態にある。
【0017】
SSPは、幾つかの個別反応器および/または処理区域を包含することができる。例えば、SSPは、予備結晶化工程を包含することができ、そこでチップおよび/またはペレットが無定形相から結晶相に変換される。無定形状態ポリエステル樹脂には、ペレットおよび/またはチップ間の密着に対する十分な耐性がなく、無定形ポリエステルチップの使用により、ペレットの固まりを生じることがあるので、結晶相ポリエステル樹脂の使用は、SSPの後の工程で重要である。SSP製法は、結晶化装置(例えば結晶化工程)、予備加熱装置、冷却装置、およびSSP反応器をさらに包含する。
【0018】
SSPを含まない製造方法もある。溶融相縮合からポリエステル樹脂を直接処理し、吹込み成形用途向けのプリフォームを形成する方法が米国特許第5,968,429号に記載されている(この文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる)。重合は、溶融相の中間固化無しに行われ、出発モノマーの連続的溶融相反応から、成形されたポリエステル製品(例えばプリフォーム)を連続的に製造することができる。
【0019】
予備結晶化の後、チップおよび/またはペレットを最終的な結晶化することができる。最終的な結晶化は、例えば、チップ(ペレット、パステル、顆粒、丸い粒子等)の、適切な温度における適切な加熱を包含することができる。ポリエステル樹脂が結晶化状態になった後、ペレットおよび/またはチップを予備加熱し、空気圧機構(例えばBuchler技術)を経由して、向流SSP反応器(予備加熱装置と平行)の最上部に送ることができる。傾斜した結晶化装置をSSP反応器の上に積み重ねる場合、高温/結晶化されたチップは、結晶化装置の回転スクリュー(例えばSinco技術)により、SSP反応器に入る。SSP反応器は、重力の影響下で移動するチップの移動床と考えることができる。チップは30〜60 mm/分の遅い順流速度を有し、窒素は約18 m/分の高い逆流速度を有する。窒素とPETの典型的な物質流動比は0.4〜0.6である。重力流動反応器では、ペレットおよび/またはチップは、15時間までの期間、高温にさらされる。重力流動反応器を通した加熱および窒素掃気により、重縮合反応が加速され、鎖長が長くなり、同時に、樹脂のIVが高くなる。
【0020】
重力流動反応器を通過した後、IVが約0.84 dL/gである、例えばCSD/ビール用のペレットおよび/またはチップが形成される。ペレットおよび/またはチップは、それらの結晶化度のために不透明な特徴を有する。結晶性材料は、製品サイロに送られ、貯蔵および/または包装される。結晶状態にあり、IVが約0.84 dL/gである、例えばCSD/ビール用の完成製品は、例えばビンおよび/または容器を製造するためにポリエステル樹脂を購入する成形業者または加工業者により、他の共−バリヤー樹脂(粉末、顆粒、ペレット、パステル等)とさらに混合される。
【0021】
このように、従来の製法では、溶融相重縮合製法を使用し、ビン樹脂の前駆物質として透明な無定形ペレット(典型的にはIV 0.5〜0.65)を製造することができる。無定形ペレットは、先ず予備結晶化され、結晶化され、および/または予備加熱され、次いで重力流動反応器(例えば攪拌しない反応器)中でSSPにかけられる。結晶化後、樹脂ペレットは不透明になり、SSPの温度が、樹脂ペレットの溶融温度の開始より少なくとも10℃低い場合、ペレット同士が粘着しない。直接高IV溶融物製法では、メルト製法だけ(SSP無し)を使用し、所望により様々なビン用樹脂(例えば水用ビンには0.72〜0.78 IV、CSD/ビールビンには0.83〜0.87 IV)を製造する。直接高IV溶融物製法では、仕上げ装置(例えばワイプド−フィルムまたは薄膜蒸発装置)を使用し、反応副生成物、例えばEG(主成分)、水、アセトアルデヒド等を効果的に、迅速に除去することができる。高温でEG/水を直ちに除去することにより、重縮合反応平衡が重合体側に移動する。
【0022】
PETまたは他のポリエステル樹脂は、吸湿性(例えば大気中から水を吸収)を有することが分かっており、水急冷したストランドを切断して得たペレットは大量の水を含む。従来、ペレットの上に乾燥空気を通すか、または加熱により、ペレットを乾燥させることができる。高温で長時間加熱すると、無定形ポリエステル(例えばPET)は互いに融着する傾向があるため問題が生じる。
【0023】
プリフォーム成形方法では、ペレットおよび/またはチップを、典型的には成形の前に乾燥させる。適切な乾燥の後、ペレットおよび/またはチップは、含水量が50 ppm以下になる。次いで、チップおよび/またはペレットを、例えばプリフォームの形態で、射出成形により加工する。高温(例えば200℃を超える温度)で行う射出成形工程の際、樹脂中に残留水が存在するために、例えば加水分解により、樹脂のIVが低下することがある。出発チップのIVは約0.84である。その後の、出発樹脂から形成された射出成形されたプリフォームのIVは約0.80になる。従って、チップおよび/またはペレットが適切に乾燥され、最高約50 ppmの水を含む場合、チップおよび/またはペレットからプリフォームに射出成形される際に、約0.04 dL/gの、約5%のIV低下が起こり得る。大量の水を含むポリエステル材料は、熱的および加水分解による劣化を受けることがある。樹脂中の過剰水は、30%以上のかなりのIV低下につながることがある。
【0024】
加工の際に起こるIV損失(例えば低下)を補償するために、最終製品に望ましいIVよりも高いIVを有する樹脂を製造しなければならない。典型的には、プリフォームを形成する前の樹脂のIVと、プリフォームを形成した後の樹脂のIVの差は、約0.03〜0.05 dL/gである。従って、0.8の目標とするIVを有する成形製品を製造するには、先ず、ベース樹脂を0.83〜0.85のIVに製造しなければならない。より高いIVが必要であるため、ベース樹脂を製造する際、より長い重合時間が必要である。長い重合時間は、生産能力の低下を引き起こす。
【0025】
加工の際に樹脂のIVが低下する特別なメカニズムは分かっていないが、一般的に、熱的、加水分解、酸化、せん断により誘発される、またはフリーラジカルを包含する一種以上の分解過程に帰せられると理解されている。樹脂の分解は、副生成物、例えばアセトアルデヒドの形成を伴うことがある。
【0026】
ある種のポリエステル樹脂に観察されるIV低下は、ベース樹脂を加工する時に起こる。加工は、通常、樹脂を溶融させる、および/または高せん断にかける工程を包含する。そのような加工は、射出成形または他の、ベース樹脂を溶融させ、固体状態から液体状態に変換し、次いで冷却して固体を形成する処理を包含することができる。
【0027】
ポリエステル樹脂の、ポリエステル樹脂のIVを低下させない加工方法が、ポリエステル樹脂の製造業者がより多くの吐出量、従って、より高い生産性を達成できるので、望ましい。同時に、樹脂加工業者(例えば射出成形業者)は、加工サイクル時間、例えば射出成形サイクルの改善からより高い生産性を実現できるが、これは、IVが低い出発樹脂は、溶融に要するエネルギーが低く、金型をより迅速に充填できる、および/またはIVが高い樹脂に加工の際に加わるせん断応力よりも低いせん断応力で液体状態に変換できるためである。加工は、他の種類の、溶融を伴うか、または伴わない、ポリエステル樹脂を様々な形状に成形する加工、例えば圧縮成形、延伸吹込成形、熱成形、および反応射出成形も包含することができる。
【0028】
従来、樹脂プリフォームは、吹込み成形により、ビンまたは容器に変形される。吹込み成形は、例えば90〜110℃のガラス転移温度より高い温度で行われるが、この温度は、プリフォームを形成するための射出成形の際にペレットおよび/またはチップが露出される射出成形温度よりかなり低い。プリフォームの予備加熱は、赤外線加熱により行われることが多い。吹込み成形工程中、樹脂のIVは大きく変化せず、好ましくは全く変化しない。
【0029】
【特許文献1】米国特許第5,968,429号明細書
【発明の概要】
【0030】
従って、本発明の目的は、樹脂のIVを0.025 dL/gより大きく低下させずに、ポリエステル樹脂を加工する方法を提供することである。
【0031】
本発明の別の目的は、従来の加工より分解が少ないポリエステル樹脂の加工方法を提供することである。
【0032】
本発明の別の目的は、固体のポリエステル樹脂からプリフォームを形成し、次いで該プリフォームから、ポリエステル樹脂のIVを0.025 dL/gより大きく低下させずに、炭酸入り清涼飲料ビンを形成することを包含する、炭酸入り清涼飲料ビンの製造方法を提供することである。
【0033】
本発明の別の目的は、ポリエステル樹脂から固体製品を形成するための、使用するエネルギーが少なく、サイクル時間が速い方法提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、未使用ポリエステル樹脂から製造された成形製品と比較して、製造される成形製品の特性に大きな影響を及ぼさずに、ポリエステル樹脂中に存在するポリエステルリグラインドを増加させることができる、ポリエステル樹脂の加工方法を提供することである。
【0035】
本発明の別の目的は、0.025 dL/gより大きく低下させずにポリエステル樹脂を加工する方法により製造された成形製品を提供することである。
【0036】
本発明の別の目的は、固相重合を行わずに製造され、大量のガスバリヤー添加剤を使用した時にIVを大きく下げずに加工することができる、ガスバリヤー耐性が改良されたポリエステル樹脂を提供することである。
【0037】
本発明のさらに別の目的は、固有粘度を大きく変化させずに、溶融および固化を含む加工にかけることができるポリエステル樹脂を提供することである。
【0038】
添付の図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことにより、本発明および付随する多くの利点を、より深く理解することができる。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0039】
本発明の一態様は、ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)を0.025 dL/gより大きく変化させずに、例えば樹脂を溶融させ、溶融樹脂から形状製品を形成し、形状製品を冷却して固体形状製品を形成することにより、樹脂を加工することを包含する方法である。加工は、ポリエステル樹脂を固体形態から流動性および/または可塑性形態に変換する全ての方法を包含する。変換は、ポリエステル樹脂をガラス転移温度を超えて加熱し、次いで加熱されたポリエステル樹脂から固体形状製品を形成することを包含する。加工は、固体ポリエステル樹脂をそのガラス転移温度および/または溶融温度より上に加熱し、続いて、および/または同時に、形状製品を形成する、射出成形、反応射出成形(RIM)、延伸吹込成形、射出吹込成形、リサイクリング、押出成形、圧縮成形、熱成形、およびポリエステル樹脂および/またはPET樹脂の加工方法を記載する部分をここに参考として含める、David W. BrooksおよびGeoff Gilesによる「PET包装技術」(PET Packaging Technology)(2002)に記載されているようなポリエステル樹脂の加工方法をさらに包含する。好ましい加工としては、射出(吹込)成形、シートおよびフィルム押出、および圧縮成形が挙げられる。
【0040】
ポリエステル(例えばPET)樹脂の溶液固有粘度(IV)を測定する方法は、従来から公知である。溶液IVは、60/40(重量%/重量%)フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン溶液中樹脂濃度0.50%で、ガラス毛管粘度計を使用して測定することができる。溶液IVを測定するための条件は、ASTM D 4603(2003年3月10日に承認、2003年4月に出版。この文献は引用されることにより本明細書の一部とされる。)に記載されている。本明細書に記載する共−バリヤー樹脂の溶液IVも、ポリエステル樹脂の溶液IV測定に使用する方法と同じ方法で測定できる。
【0041】
本発明で加工するポリエステル樹脂のガラス転移温度は、制限はなく、ポリエステル樹脂の重合度および/またはコモノマー含有量(例えば重合体鎖を構成する重合したモノマー単位の数)および/または異なった重合度の異なった重合体混合物の分子量分布および/またはポリエステル樹脂のモノマーまたはコモノマーの同一性および量により限定または影響される。狭い分子量分布を有するポリエステル樹脂を使用するのが好ましいが、これは、分子量分布が広いポリエステル樹脂よりも、加工の際に分解が少なく、IVがより安定しているためである。
【0042】
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは75〜90℃、より好ましくは80〜85℃、最も好ましくは約82℃である。添加剤を含む樹脂組成物のTgは、上記のガラス転移温度より5℃まで高いか、または低いことがある。
【0043】
好ましい実施態様においては、樹脂は固体粒子の形態にあり、粒子全ての寸法を横切って一様なIV分布を有する。固相重合で製造された固体粒子の形態にある従来の樹脂は、チップまたはペレットの形態にある時、固有粘度勾配を有することがある。IV勾配を有するチップまたはペレットは、ペレットおよび/またはチップの内寸法を横切って変化するIVを有する場合がある。例えば、ポリエステル樹脂の特定のペレットが、そのペレットまたはチップの外側で測定した時はIVが0.9であり、そのペレットおよび/またはチップの内側で測定した時は異なったIVを有する場合がある(例えばチップおよび/またはペレットの寸法を横切って0.2〜0.3 IV dL/gものIV勾配がある場合がある)。そのようなIV勾配は、通常、バルクで測定した時は、ポリエステル樹脂の全体的または平均IVに影響しない。しかし、試料中に十分な量のポリエステル樹脂が存在せず、従って、その試料が、ポリエステルペレットおよび/またはチップの中に存在する材料の代表的な断面を与えない場合、ポリエステル樹脂の小試料のIV測定中に変動をもたらすことがある。
【0044】
従来の固体形態樹脂中にIV勾配が存在することは、固相重合によるものであり、その際、樹脂粒子が固体形態で加熱され、エチレングリコールが形成され、放出される(例えば、樹脂がさらなる縮合および連鎖延長を受ける場合)ためである。エチレングリコールが樹脂から外にゆっくり拡散する場合、その存在により、連鎖延長反応が遅くなることがある。
【0045】
固相重合の際、樹脂粒子の外側は、固体形態樹脂の、固相重合工程で加熱される最初の部分であるので、より長い熱履歴にさらされると考えられる。重合により形成されるエチレングリコールは、樹脂粒子(例えばペレットまたはチップ)の周囲から逃げ易いが、これは、樹脂粒子の中央にあるエチレングリコールと比較して、粒子の外により容易に拡散する傾向があるためである。
【0046】
従来の樹脂と対照的に、本発明の方法で使用する樹脂は、固相重合に付されず、樹脂粒子中にIV勾配が無いか、または実質的に無い、もしくは樹脂粒子を横切る固有粘度の変動(例えば勾配)が非常に少ない。本発明の樹脂のIVの変化は、本発明の一態様では、0.05以下、好ましくは0.03以下、好ましくは0.025以下、より好ましくは0.02以下、さらに好ましくは0.015以下、さらに好ましくは0.01以下であり、最も好ましくは、IVは、樹脂粒子のすべての寸法を横切って等しい。図4は、固体形態にある従来のCSD/ビール等級樹脂におけるIV変化を、本発明の対応する樹脂(即ち固相重合にかけていない樹脂)と比較する。図3は、樹脂粒子の外側のIVを、樹脂粒子の内側(例えばペレットコア)にある樹脂で測定したIVと比較して示す。このIV測定は、樹脂粒子を連続して長時間粉砕することにより得た試料から測定したIVを示す。粉砕は、1 mmスリットボウルで凍結粉砕することにより行い、5秒間毎に試料を採取する。固体形態の樹脂を最初に粉砕にかけるので、ペレットの外側から小さなチップおよび/または粉末だけが除去される。従って、短時間の粉砕により得た粉末および/または小さなチップに対して測定したIVは、固体形態樹脂の外側を代表する。IVは、この粉末および/またはチップに対して測定し、図3の作成に使用するデータを得た。同様の結果は、水ビン製造に使用する樹脂にも見られる(図4を参照)。
【0047】
図3および4は、本発明の方法に使用できる樹脂は、従来の樹脂と比較してIV勾配が少ないことを立証している。
【0048】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の加工が、ポリエステル樹脂をその溶融温度より上に加熱することを包含する。さらに好ましくは、ポリエステル樹脂を、自由流動性液体になる点まで加熱する。本発明の別の好ましい実施態様では、ポリエステル樹脂を、加熱しながら高せん断応力に付す。高せん断応力条件は、加工の際にポリエステル樹脂の溶融および混合を行う従来の射出成形および/または押出のような加工で観察または創出される条件である。
【0049】
加工は、乾燥した、または未乾燥ポリエステル樹脂に対して行うことができる。乾燥ポリエステル樹脂は、その固体状態で、除湿した環境中で、ガラス転移温度より高い温度に加熱した、結晶化した樹脂である。乾燥ポリエステル樹脂は、樹脂の総重量に対する水の重量で、1,000 ppm未満、好ましくは500 ppm未満、より好ましくは50 ppm未満、特に好ましくは25 ppm未満の水を含む。乾燥は、ポリエステル樹脂を、除湿した雰囲気に露出し、ポリエステル樹脂により吸着または吸収された水を除去することにより、行うこともできる。
【0050】
未乾燥ポリエステル樹脂は、水を含むポリエステル樹脂か、または水を含まない樹脂でよい。水を含まない樹脂は、実質的に水を含まない雰囲気(例えば、実質的に水を含まないは、99体積%、好ましくは99.5体積%、より好ましくは99.9体積%水蒸気を含まない雰囲気を包含する)中でポリエステル重合工程から直接得られたポリエステル樹脂液体を固化させることにより得られた樹脂でよい。従って、未乾燥ポリエステル樹脂は、固体状態で加熱を受けていない樹脂でよい。
【0051】
未乾燥ポリエステル樹脂は、固体形態でポリエステル重合工程から得られ、次いで、不活性ではない、および/または乾燥(例えば除湿)されていない雰囲気中で貯蔵された樹脂でよい。雰囲気中に存在する水蒸気は、ポリエステル樹脂の表面に吸収、および/またはポリエステル樹脂のマトリックス中に吸収されることがある。樹脂の総重量に対する水の重量で、5重量%までの量の水が存在し得る。好ましくは、本発明の方法に使用するポリエステル樹脂は、未乾燥の水を含まない樹脂または乾燥樹脂である。
【0052】
本発明の別の実施態様においては、本発明の溶融および加工を受ける樹脂は、乾燥させていないか、または従来の樹脂より少ない程度に乾燥させた樹脂(例えば固相重合で製造された樹脂)でよい。本明細書に記載する樹脂は、例えば樹脂を溶融および加工することにより引き起こされる固有粘度の変化を少なくして加工できるので、この樹脂は、比較的大量の水を含むことができ、それでも、IV低下が、従来の樹脂を加工した時に観察されるIV低下以下である樹脂を与えることができる。従って、本発明の樹脂は、(従来の樹脂に必要な乾燥と比較して)完全に乾燥させる必要がないが、それでも、IV変化が、同じ溶融および加工を受ける従来の樹脂における粘度変化(例えば固有粘度低下)以下である形状製品を与えることができる。
【0053】
好ましい実施態様においては、固体形態ポリエステル樹脂を乾燥させてから加工する。乾燥は、従来の乾燥機中で、固体形態ポリエステル樹脂のチップおよび/またはペレットの上に除湿した空気を通すことにより、行うことができる。好ましくは、ポリエステル樹脂を、除湿した環境中で、2〜10時間、より好ましくは4〜8時間、最も好ましくは約6時間乾燥させる。ポリエステルのペレットおよび/またはチップの上を通過する除湿したガスは、露点が−10℃未満、好ましくは−20℃未満、より好ましくは−40℃未満、さらに好ましくは−50℃未満、最も好ましくは−60℃未満である。ポリエステルペレットの上を通過する除湿したガスは、温度が220〜400°F、好ましくは260〜360°F、より好ましくは300〜320°Fである。
【0054】
樹脂をあまり乾燥させないか、または従来の樹脂で十分な乾燥を達成するのに要する温度および/または露点を必要としない条件下で樹脂を乾燥されることにより、エネルギーおよび装置コストを大幅に節約することができる。従って、本発明の一実施態様においては、固体形態樹脂を、乾燥させずにまたは部分的な乾燥で、溶融および加工に付すことができ、それでもなお、溶融および加工の後、対応する従来の樹脂(例えば固相重合を包含する製法で製造されたポリエステル樹脂)で、同じ条件下で観察されるIV変化を超えないか、それより低いIV変化を示す形状製品を形成することができる。乾燥の必要が低減されるので、製造設備(新しい工場建設を包含する)の設計を、乾燥設備および補助施設に向けられる資本投資を少なくして行うことができる。
【0055】
本発明の方法のポリエステル樹脂は、従来のポリエステル樹脂を包含する、いずれのポリエステル樹脂であってよい。従来のポリエステル樹脂は、ジオールおよびカルボン酸(またはカルボン酸のエステル)のモノマー単位を反応させることにより製造することができる。十分なIVを得るために、従来のポリエステル樹脂は、固相重合にかけることができる。しかし、ある種のポリエステル樹脂は、固相重合を行わずに製造することができる。固相重合を行わずに製造されたポリエステル樹脂では、一種以上のジオール単位と一種以上のカルボン酸/エステル単位の重合反応により製造された樹脂を使用し、中間の固化を全く受けずに、溶融ポリエステル樹脂から直接プリフォームを形成することができるか、また樹脂を固化させてチップを形成し、再溶融させてプリフォームまたは他の物体を成形することができる。
【0056】
固相重合を行わずに製造されたポリエステル樹脂の例としては、米国特許出願第11/294,370号(この文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる)に記載されている樹脂がある。
【0057】
好ましい実施態様においては、本発明の方法で使用する樹脂は、固相重合を行わずに製造された樹脂である。固相重合を行わずに製造された樹脂は、固相重合(例えば、固体状態にある樹脂を、IVを0.05 dL/gを超えて増加させるのに十分な温度で、および十分な時間、加熱すること)を全く行わずに、最終固有粘度(例えばペレットまたは商業的に輸送される形態に対して測定した粘度)に製造された樹脂を包含することができる。例えば、本発明の樹脂は、固相重合を行わずに製造され、モノマー単位を溶融相で重合させることにより実質的に達成されるIVを有する。所望により、こうして得られた固体形態樹脂を、続いて、さらなる、または仕上げの重合を達成できる温度に加熱しない。
【0058】
別の実施態様では、本発明の方法に使用する樹脂は、溶融重合により製造され、固相で単離された後の、固体形態にある樹脂を加熱することにより少なくとも部分的に達成される、僅かな重合度を有することができる。例えば、一実施態様においては、本発明の方法に使用する樹脂は、IVが0.7でよく、従来の固相重合を行わずに重合させて達成された0.68のIVを有する樹脂から誘導することができる。しかし、続いて、従来の固相重合または他の手段、例えば高温における乾燥、により、樹脂を固体形態で取り扱うか、または加熱することにより、固有粘度を、例えば0.02 dL/gの量だけ、増加させることができる。従って、最終的なIV 0.07を有する樹脂は、先ずIV 0.68を有する樹脂を、固相重合を行わずに製造し、次いで樹脂のIVを少量(例えば0.02 dL/g)だけ増加して最終的なIV 0.07を有する樹脂を調製することにより製造する。好ましくは、本発明の方法で使用する樹脂のIVは、樹脂を最初に溶融重合から単離した後に、0.05 dL/g以下、好ましくは0.04 dL/g以下、より好ましくは0.03 dL/g以下、さらに好ましくは0.02 dL/g以下、特に好ましくは0.01 dL/g以下だけ増加させ、増加させないのが最も好ましい。
【0059】
ここで使用する、「固相重合を行わずに」の用語は、溶融重合により第一IVに製造し、次いで固体状態で、第一IVより0.05 dL/gより大きくない第二IVにさらに重合させた樹脂を包含する。
【0060】
本発明の方法で使用できるポリエステル樹脂のIVは、広範囲にあってよい。例えば、炭酸入り清涼飲料容器には、ポリエステル樹脂のIVは0.6〜1.0 dL/g、好ましくは0.7〜0.9、より好ましくは0.75〜0.85、さらに好ましくは0.77〜0.83、特に好ましくは約0.8でよい。本発明の方法の一実施態様においては、ポリエステル樹脂のIVは、(例えば、先ず溶融させ、次いで固化させることにより)固体製品を形成するための加工を受けた後、0.025 dL/gより大きく変化しない。好ましくは、IVの変化は、0.025以下、より好ましくは0.02以下、さらに好ましくは0.015以下、最も好ましくはIVの変化は0.01以下であり、測定できるIV変化が無いのが特に好ましい。
【0061】
本発明の一実施態様においては、ポリエステル樹脂は、固体の形態にあり(即ち固体形態ポリエステル樹脂)、これを溶融させ、形状製品に形成し、次いで固化させて形状製品を製造する。最初の固体形態ポリエステル樹脂は、チップまたはペレットの形態でよい。固体形態ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の総重量に対して0〜20重量%の量のリグラインドまたは循環使用ポリエステルを含むことができ、好ましくは循環使用またはリグラインド材料は、15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下であり、最も好ましい実施態様では、固体形態ポリエステル樹脂は、リグラインドまたは循環使用材料を含まない未使用樹脂であり、個別の固体粒子(例えばペレットおよび/またはチップ)の形態にある。
【0062】
製品、例えばビン、容器等を製造する際、第一級品質ではないか、または市場には出せない、多くの個別製品および部品が製造される。そのような「不合格」製品における樹脂を再使用(例えばリサイクル)することが望ましい。不合格材料が製造された樹脂を未使用PET樹脂と混合し、他の製品を製造することができる。
【0063】
一実施態様においては、これらの製品を粉砕、チップ化、またはより小さな部分(例えば粒子)に縮小し、再使用するための樹脂を製造する。そうして得られた粒子状形態の材料は、一般的に「リグラインド」と呼ばれる。リグラインドは、未使用樹脂の流れに導入することができる。ビンおよび/または容器を吹込成形するためのプリフォームのような製品の製造に使用する樹脂中に存在することができるリグラインドの量は、樹脂の入手可能性、形成された製品の最終目的、および他の様々なファクターに応じて、広範囲に変えることができる。リグラインドは、加工された(例えば射出成形された)製品、例えば容器の吹込成形に使用できるプリフォームの形成に使用する樹脂の0〜100%を構成することができる。例えば、熱成形は、樹脂の総重量に対してリグラインドを約40〜100%の量で含み、注文容器はリグラインドを約0〜30%含み、CSD/ビール容器はリグラインドを約0〜15%含むことができるが、ここで%は、リグラインドの量および樹脂の総重量に対する重量%である。上記の量から変動するリグラインドの量は、1、2、3、5および10%の増加を包含する、いずれの範囲であってもまたは上記範囲の準範囲で存在することができる。
【0064】
本発明の好ましい実施態様においては、ポリエステル樹脂から形成される固体形状製品はビンのプリフォームである。ビンプリフォームの一例を図5に示す。
【0065】
典型的には、ビンプリフォームはポリエステル樹脂からなるが、他の実施態様においては、ビンプリフォームは添加剤を包含するか、またはポリエステルと一種以上の他の樹脂の混合物でよい。好ましくは、ビンプリフォームは、ポリエステル樹脂から射出成形により製造する。ビンプリフォームは、各プリフォーム毎に12グラム以下〜300グラム以上の、どのようなサイズでもよい。例えば、使い捨て(single serve)の水ビンを吹込成形するプリフォームは、重量が12グラム以下〜40グラム以上でよい。ある種の、CSD/ビール用途に設計されたプリフォームは、20グラム以下〜65グラム以上でよい。注文容器市場で使用するように設計された他のプリフォーム設計は12グラム以下〜100グラム以上でよく、ビン入り水市場で使用するように設計されたプリフォームは50グラム以下〜300グラム以上でよい。好ましくは、ビンプリフォームはポリエステル樹脂から射出成形により製造するが、プリフォームを加工する他の手段、例えば圧縮成形、もある。ビンプリフォームは、射出成形の後冷却され、貯蔵条件に応じて、6箇月以下〜12箇月以上貯蔵される。
【0066】
好ましくは、ビンプリフォームを形成するために行われる射出成形、マルチ−キャビティ金型を使用する。例えば、複数のキャビティを有する射出成形装置を使用するのが好ましい。マルチ−キャビティ金型の各キャビティは、単一のビンプリフォームを形成することができる。
【0067】
ポリエステル樹脂のIV変化を無くすこと、および/または低減させることは、多数のキャビティを有する金型を使用する射出成形方法では特に重要である。そのような射出成形方法では、大量のポリエステル樹脂を使用して多数のビンプリフォームを形成する必要があるので、キャビティ数の少ない金型と比較して、大量の溶融ポリエステル樹脂をマルチ-キャビティ金型中に押し込まなければならない。そこで、本発明の一実施態様においては、従来のポリエステル樹脂および/または従来のポリエステル樹脂を使用する成形方法と比較して、ある量の溶融ポリエステル樹脂を、ポリエステル樹脂の溶融温度より高い温度に長時間保持することができる。本発明の方法では、従来のポリエステル樹脂および/または成形操作と比較して、溶融および長時間熱履歴の後、樹脂中で観察されるIV低下の度合いが低い。
【0068】
ビンプリフォームを形成するためのポリエステル樹脂の射出成形は、様々な条件下で行うことができる。射出成形は、ポリエステル樹脂を完全に溶融させることができ、マルチ−キャビティ金型を充填するのに十分な射出圧力を有する射出成形装置で行うのが好ましい。そのような射出成形装置の押出部分は、複数の加熱区域を含むことができる。各加熱区域の温度は、独立して制御される。加熱区域の数に制限は無いが、好ましくは、加熱区域の数は、4以上、より好ましくは5以上、より好ましくは6以上、より好ましくは7以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは9以上、最も好ましくは10以上である。各加熱区域は、ポリエステル樹脂をポリエステル樹脂の溶融温度より高い温度に加熱することができる。どの区域の温度も、例えば450〜650°F、好ましくは475〜525°F、より好ましくは500〜575°Fで変化することができ、最も好ましくは約550°Fである。上記の温度のいずれも、例えば2、4、6、8または10°F、もしくはそれらの全ての倍数で増加することができる。
【0069】
射出成形を行うために使用する射出成形装置のスクリュー速度は、射出成形工程のサイクル時間および他のファクターを調節する必要に応じて、変えることができる。例えば、スクリュー速度は、20〜200 rpm、好ましくは30〜160 rpm、より好ましくは40〜120 rpm、より好ましくは50〜80 rpm、より好ましくは約60 rpmである。スクリュー速度は、上記の範囲内で、1、2、4、6、8および10 rpm毎に、もしくはそれらの全ての倍数で増加させることができる。
【0070】
射出成形装置の背圧は、0〜700 psig、好ましくは300〜350 psig、より好ましくは250〜400 psig、特に好ましくは200〜600 psigで変えることができる。サイクル時間は、好ましくは1分間未満、より好ましくは45秒間未満、最も好ましくは30秒間未満である。サイクル時間は、クランプを閉じてから、クランプを開くまでの合計時間である。サイクル時間は、通常、下記の機能、即ち金型充填、部品冷却、金型開き、部品取り出し、部品除去、金型閉め、により決定される。同時に、および同じ量の時間内で、樹脂は溶融して液化状態になり、樹脂は状態調節(例えば押出し)を受け、溶融樹脂(例えば重合体溶融物)が、金型中への移動準備をしている。一方法では、樹脂が押出機中に供給され、加熱された押出機中で溶融し、回転スクリューにより混合され、スクリューが重合体を圧縮し、状態調節し、重合体は固相から液相に変化し、次いで液化した樹脂の体積が調整され、金型に送られる。これらの動作は相互に同時に起こり、サイクルの時間と、重合体が液相にある時間との間に相関関係を導くことができる。この相関関係は、ビンプリフォーム部品毎に、金型毎に、および機械毎に異なっていてよい。
【0071】
射出成形してビンプリフォームを形成する際に、またはビンプリフォームを吹込成形して形状製品、例えば炭酸入り清涼飲料容器、を形成する際に、ある程度の成形収縮が起こる場合がある。成形収縮は、完全冷却し、金型から取り出した後の形状製品に関連する収縮量である。成形収縮は、冷却し、完成した形状製品の寸法を、その形状製品を与えた金型の寸法値と比較する値である。成形収縮値は、形状製品、即ちビンプリフォームおよび吹込成形された形状製品の両方の、特にビンプリフォームを射出成形し、続いて密封容器を吹込成形することにより製造された密封容器の密封、キャップおよび漏れ特徴に関連するので、重要な特徴である。かなりの成形収縮がある場合、キャップと、容器に収容された液体との間の密封が、漏れを阻止する、および/または容器密封部の破損を阻止するのに十分ではなくなる場合がある。
【0072】
本発明の方法では、本発明の樹脂を射出成形することにより得られたプリフォームの成形収縮値が、好ましくは、従来のポリエステル樹脂に関連する成形収縮値より大きく変化しない。その上、ビンプリフォームから得た吹込成形した製品の成形収縮特性は、従来のポリエステル樹脂から製造されたビンプリフォームに由来する吹込成形製品に対する成形収縮値と実質的に等しいか、または正確に同じである。好ましくは、成形収縮は、対応する従来樹脂に対する成形収縮と等しい。
【0073】
射出成形されたビンプリフォームは、吹込成形工程で使用し、膨脹したビン(例えば吹込成形されたビンまたは容器)を形成することができる。本発明の一実施態様の方法により得たプリフォームから形成された膨脹したビンを図6に示す。
【0074】
吹込成形の際、ビンプリフォームを、例えば赤外光により加熱し、続いてガスにより加圧下で膨脹させるか、または機械的手段により開始する(initiated)。ポリエステル樹脂は、吹込成形の際に大きな延伸を受ける。例えば、プリフォームから吹込成形されるビンプリフォームにおける軸方向延伸比は、1.5〜3.5倍、好ましくは1.75〜3.25倍、より好ましくは2〜3倍、さらに好ましくは2.25〜2.7倍、最も好ましくは約2.5倍でよい。吹込成形されるビンの周方向延伸比は、例えば3〜7倍、好ましくは3.5〜6.5倍、より好ましくは4〜6倍、最も好ましくは約4.5〜5.5倍、さらに好ましくは約5倍である。
【0075】
典型的には、ビンプリフォームは、直線壁金型中に吹込成形される。しかし、他の金型、例えばある形状を有する、および/または構造化された、あらゆるサイズの金型も、制限なく使用できる。一つのビン形態は、2リットルの炭酸入り清涼飲料ビンである。
【0076】
吹込成形による膨脹プリフォームの形成では、ビンプリフォームを複数のランプで加熱し、ビンプリフォームに赤外熱を加える。プリフォームは、例えば80〜150℃、好ましくは85〜140℃、より好ましくは90〜130℃、さらに好ましくは95〜120℃、最も好ましくは約100℃の温度に加熱することができる。加熱されたビンプリフォームの中にガスを注入し、ポリエステル樹脂を、延伸速度0.2〜2.0メートル/秒、好ましくは0.4〜1.5、より好ましくは0.6〜1.2、最も好ましくは約0.8 m/sで延伸することができる。加熱されたビンプリフォームは、ビン金型の中で、初期圧力約20 bar、例えば5〜30 bar、より好ましくは8〜22 barで膨脹させる。最終吹込は、40 bar以上のガス圧力で行うことができる。最終吹込により、容器の形状および/または構造がより鮮明に限定される。一実施態様においては、金型の温度は、ポリエステルビンプリフォームの温度より低く、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜60℃、最も好ましくは20〜50℃である。熱硬化実施態様では、金型の温度は200℃まで高く、好ましくは100〜200℃、より好ましくは125〜175℃、最も好ましくは140〜160℃である。
【0077】
ポリエステルビンプリフォームから形成されたビン、例えば炭酸入り清涼飲料またはビールのビンは、ヘーズおよび真珠様光沢(pearlescence)の無いのが好ましい。吹込成形中のビンプリフォームの温度は、ビンプリフォームから得られた吹込成形製品中に真珠様光沢が観察されないように、調節することができる。吹込成形の際のビンプリフォーム温度が低過ぎる場合、許容できない真珠様光沢が生じるのに対し、温度が高すぎると、ヘーズが生じる。
【0078】
ポリエステルを基材とするビンの、例えば吹込成形による製造に使用するポリエステル樹脂のガスバリヤー耐性は、ポリエステル樹脂が配向している場合、100%以上改良することができる。二酸化炭素ガスおよび酸素ガスに対しては、配向したPETビンは、配向していないポリエステルビンよりも、少なくとも2倍(2X)以上高いガスバリヤー耐性を有する。二軸延伸工程により、応力により誘発された薄層状結晶が発生する。配向したクリスタライトにより、ガス透過性が低下し、機械的特性が強化される。二軸延伸されたポリエステルビンは、典型的には、密度勾配カラムで測定した密度に基づき、結晶化度が20〜30%(肩部で21%、中央パネル部で25%、脚部で25%)である。あるいは、ポリエステル樹脂は、PETよりも大きなガスバリヤー耐性を有することが分かっている共−バリヤー樹脂で変性することができる。例えば、メタ−キシレンジアミン(MXDA)系重合体、例えばMXD6、MXD6-IPA、MXD6-無水フタル酸、等、は、PETよりも優れたガスバリヤー特性を有することがある。そのようなMXDA含有重合体も、特定のナイロン、例えばナイロン6、ナイロン6/6等よりも優れたガスバリヤー耐性を有することができる。MXD6は、MXDAとアジピン酸の重縮合により製造できる半結晶性ポリアミド樹脂である。そのようなMXDA含有重合体を製造する方法は、例えば米国特許第4,433,136号および第4,438,257号(これら文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる)に記載されている。
【0079】
本発明の別の態様においては、固相重合を行わずに得られるポリエステル樹脂を、仕上げ装置(例えばワイプド−フィルム蒸発装置)からダイを通して直接処理することにより製造し、続いて、水で冷却して、またはせずに、ペレット化する。
【0080】
一実施態様においては、得られた樹脂をストランドの形態で押し出し、樹脂のガラス転移温度より高い温度で切断することができる。好ましくは、ストランドが水浴を通過するのと同時に、またはその後に、ストランドを、樹脂のガラス転移温度より10、15、20、30、40、50または100℃高い温度で切断する。好ましくはチップを水からできるだけ速く分離する。ペレットの外側温度は、ペレットの内側温度より低い場合がある。チップおよび/またはペレットは、それらの内側残留熱により結晶化し続けることがある(例えば潜熱結晶化)。本発明で使用する重合体(例えば樹脂)は、潜熱結晶化させるかまたは従来通りに結晶化させることができる。所望により、チップ振動装置または流動床を使用し、加熱および/または結晶化の際にチップ同士が粘着するのを防止することができる。
【0081】
チップ同士が粘着する傾向を下げる一つの方法は、冷却および/または切断の際に形成されるチップおよび/またはペレットに、より急速な、またはより粗い結晶性を付与することである。これは、樹脂が2種類以上の重合体を含む場合に特に当てはまる。
【0082】
ある種のポリエステル含有樹脂、例えばMXDA共樹脂を含む樹脂、は、加熱した場合(例えば、ガラス転移温度より上に、またはガラス転移温度近くに加熱した場合)に、より融着または凝集し易い。好ましくは、そのような樹脂および/または樹脂混合物は、押出し(例えばストランドを形成する時)に続いて、潜熱結晶化が起こるようにTgより下に冷却しない。このようにして形成されたペレット/チップは、固相重合を実施しても融着し難い。本発明の好ましい実施態様においては、本発明の方法で加工した樹脂は、潜熱結晶化を受けたポリエステル樹脂である。
【0083】
樹脂組成物は、無定形チップおよび/またはペレットを形成する様式で冷却/結晶化させることもできる。切断して、または切断せずに、低温冷却することにより、無定形のチップおよび/またはペレットが得られる。
【0084】
溶融相重合が目標とするIVに達した時、溶融ポリエステル(例えばPET、PEN等)を、溶融状態でダイを通してポンプ輸送する。樹脂は、下記の方法のいずれかを包含する、いずれかの従来方法を使用してペレット化することができる。ポリエステル組成物、例えばPET組成物またはPET含有組成物、を製造するための従来の溶融相重縮合では、溶融ポリエステルを透明/無定形粒子として完全に急冷する。本発明の一実施態様においては、得られる樹脂(例えば溶融樹脂をダイに通した後に)を、いずれかの従来方法により処理することができる。例えば、乾燥/低温ペレット化を行うことができ、その際、透明/無定形溶融樹脂を水浴中で急冷する。急冷された樹脂の水を先ず吹き飛ばし、次いで樹脂をペレット化する。
【0085】
本発明の別の実施態様においては、湿式/低温ペレット化を使用することができる。湿式/低温ペレット化製法は、部分的に水中にあるペレット化装置を使用することができる。急冷工程は、下降する溶融樹脂のストランドに冷水を連続的にスプレーすることにより、行うことができる。次いで、濡れた/低温ストランドを、部分的に水中にあってよい回転カッターによりペレット化する。水中ペレット化を使用し、樹脂のペレットおよび/またはチップを形成することもできる。例えば、樹脂ストランドの従来の水中ペレット化を使用し、樹脂のペレットおよび/またはチップを形成することができる。水中ペレット化は、ダイに面したペレット化装置で行うことができる。好ましくは、水中のダイに面したペレット化装置を使用し、潜熱結晶化された樹脂の固体形態を得る。
【0086】
本発明の別の実施態様においては、湿式/高温ペレット化を使用することができる。溶融樹脂がダイの穴から出る時に、高温のまま、直ちに切断することができる。高温切断は、好ましくは樹脂のガラス転移温度または溶融温度より上で行い、典型的には長球形および/または長円形の粒子を形成する。
【0087】
本発明の好ましい実施態様においては、溶融ポリエステル組成物を部分的に冷却し、組成物を固化させる。ポリエステル組成物を部分的に冷却する温度は、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)と融点の間である。次いで、高温のチップを水からできるだけ迅速に分離することにより、重合体組成物を温度170±50℃、好ましくは±40℃、より好ましくは±30℃、特に好ましくは±20℃に維持してPETを結晶化させる。固化したポリエステル組成物は、遠心分離乾燥機、振動板および/または振動スクリーナー、例えばRieter, BKGおよびGala Industriesから市販の装置により、例えば水浴から分離することができる。チップの残留熱は、従来の結晶化装置を使用せずに、その場における結晶化に利用できる。好ましくは、本発明のこの態様は、ポリエステル樹脂に対して行う。
【0088】
ポリエステル樹脂は、直列、並列、または直列および並列の両方で接続された複数の反応器で行う溶融相反応により製造することができる。ジカルボン酸とジオールモノマーの反応は、あらゆる溶剤(例えば樹脂組成物中で反応した重合体単位の実質的な部分を形成しない希釈成分)の非存在下で行われる。モノマー単位を反応させ、固有粘度が、本発明の一実施態様においては、好ましくは0.2〜0.5 IVである材料を形成し、最終的な仕上げ装置に送る。こうして溶融相反応器中で形成された溶融材料は、次いで、仕上げ反応器にポンプ輸送または移送される。仕上げ反応器は、反応器の表面積間で実質的な接触を行い、溶融した、反応した溶融相生成物を高度に混合するワイプド−フィルム反応器のような反応器でよい。仕上げは、直列、並列、または直列および並列の両方で接続された一基以上の反応器で行うことができる。ワイプド−フィルム反応器に加えて、一基以上のパイプ反応器を含むことができる。最後の仕上げ反応器から得られた樹脂製品は、例えばCSD/ビール樹脂では、固有粘度が0.7〜0.9、好ましくは約0.75〜0.85、より好ましくは0.80でよい。
【0089】
仕上げ反応器から得られた溶融した樹脂製品は、次いで、好ましくは溶融した形態で重合体濾過にかける。重合体濾過は、一工程以上で行うことができる。
【0090】
例えば、最後の仕上げ反応器から得られる樹脂材料を濾過した後、一種以上の共−バリヤー樹脂を、この溶融した、濾過したポリエステル樹脂組成物と混合することができる。本発明の一実施態様では、共−バリヤー樹脂を溶融押出し、次いで、濾過され、溶融した形態にある溶融ポリエステル樹脂組成物と混合する。溶融した共−バリヤー樹脂および濾過されたポリエステル樹脂組成物から得られる混合された流れは、静的ミキサーに送られ、混合される。混合、好ましくは連続的混合の後、溶融した、混合された材料は、ペレット化装置に送られ、混合されたポリエステル樹脂組成物を固化させる。例えば、混合されたポリエステル樹脂組成物は、一連のオリフィスを含むダイを通してポンプ輸送される。オリフィスから出る溶融した材料は、ペレット化される。水中ペレット化装置の水中に樹脂が入ると、樹脂は徐々に固化する。水中ペレット化装置の水は、高温に維持することができる。好ましくは、水中ペレット化装置の水は、50℃より高い、好ましくは80℃より高い、さらに好ましくは90℃より高い温度に維持する。好ましくは、水中ペレット化装置の高温水は、ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度より高く、ポリエステル樹脂組成物の融点より低い温度に維持する。本発明の別の実施態様においては、潜熱結晶化を回避するために、水温は、好ましくは80℃未満、好ましくは60℃未満、より好ましくは50℃未満である。
【0091】
溶融した、混合されたポリエステル樹脂組成物を高温水で固化させて切断することにより、本発明の一実施態様による方法は、結晶相にある固体ポリエステル樹脂組成物のペレットおよび/またはチップを提供する。ペレットおよび/またはチップが結晶相にあるので、これらの材料の外観は不透明である場合がある。
【0092】
次いで、得られた、固体の、不透明な結晶性ポリエステル樹脂組成物を、中間貯蔵または包装用の製品サイロに送ることができる。こうして得られた製品は、固体形態、例えばペレットまたは粉末の形態、にある共−バリヤー樹脂と混合し、本発明によるポリエステル樹脂組成物のペレットおよび/またはチップと固体形態共−バリヤー樹脂の混合物を形成することができる。次いで、得られた組成物を、容器およびビンのような製品を吹込み成形するためのプリフォームの形成を包含する、射出成形操作に使用することができる。
【0093】
本発明の一実施態様は、ジオールおよびジカルボン酸のモノマー単位を反応させ、反応したモノマー単位が等モルまたはほぼ等モル量で存在するポリエステルを形成することを包含する。好ましい実施態様においては、ジオールおよびジカルボン酸材料を反応させ、モノマー単位がほぼ等モル量で存在する重合体を形成する。ジオールおよびジカルボン酸は、正確に等モルではない量で反応させてもよい。例えば、ジオールが、ジカルボン酸より多い量で存在することができる。その場合、重縮合反応の際に過剰のジオールを、典型的には減圧下で加熱して除去する。本発明の組成物で有用な、好適なポリエステルは、この分野で公知であり、一般的に、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(NDC)、加水分解された2,6−ナフタレンジカルボン酸(HNDA)から選択された一種以上のカルボン酸成分、およびエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)から選択された一種以上のジオール成分およびそれらの混合物を含んでなる反復単位から形成される。本発明の好ましいポリエステルとしては、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(エチレンイソフタレート)(PEI)、およびポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ポリ(トリメチレンナフタレート)(PTN)があり、最も好ましくはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)である。
【0094】
本発明の一態様によるポリエステルは、当業者には良く知られている製法により製造することができる。好適なポリエステルは、通常の様式で、2〜40個の炭素原子を有するジカルボン酸と、一種以上の、2〜約20個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する、多価アルコール、例えばグリコール、ジオールまたはポリオールの反応により製造することができる。処理条件、触媒、および添加剤を包含する、ポリエステルを製造するための一般的な条件は、当業者には公知である。ポリエステル材料の製造方法およびポリエステルと他の重合体状材料の組合せは、W.R. SorensonおよびT.W. Campbell、「重合体化学の製造方法(Preparative Methods of Polymer Chemistry)」(Interscience Publishers, New York 1968、およびそれに続く版)および「Encyclopedia of Polymer Science; and Engineering, 2nd Ed., 」H.F. Mark et al., (John Wiley & Sons, New York, 1985)、特に12巻、1〜290頁(ポリエステル全般)および特に樹脂製造方法に関する259〜274頁に記載されている(これら文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる)。
【0095】
本発明のポリエステル含有組成物の製造に使用できるジカルボン酸としては、2〜20個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を有するアルキルジカルボン酸、および8〜24個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子を含むアリール−またはアルキル−置換されたアリールジカルボン酸がある。さらに、4〜20個の炭素原子を有するアルキルジカルボン酸ジエステルまたは10〜20個の炭素原子を有するアルキル−置換されたアリールジカルボン酸ジエステルを使用できる。
【0096】
本発明のポリエステルのジカルボン酸成分は、所望により、約30モル%まで、好ましくは約25モル%まで、より好ましくは約20モル%の、一種以上の異なったジカルボン酸で変性することができる。本発明の別の実施態様では、ポリエステルは、10モル%未満、好ましくは8モル%未満、最も好ましくは3〜6モル%の一種以上の異なったジカルボン酸で変性する。そのような追加のジカルボン酸としては、好ましくは8〜14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、または好ましくは8〜12個の炭素原子を有する環状脂肪族ジカルボン酸がある。本発明の樹脂組成物にテレフタル酸と共に、大きな、または小さな比率で包含するジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、5−(ナトリウムスルホ)−イソフタル酸(5−NaSO3――IPA)、5−(リチウムスルホ)−イソフタル酸(5−LiSO3−―IPA)、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸(および1,4−、1,5−、2,7−、および1,2−、1,3−、1,6−、1,7−、1,8−、2,3−、2,4−、2,5−、2,8−異性体も)、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ビ安息香酸、ヘキサヒドロフタル酸、ビス−p−カルボキシ−フェノキシエタン、およびそれらの混合物等がある。好ましいジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸がある。
【0097】
本発明の好ましい実施態様においては、ポリエステルマトリックス樹脂が、5〜30モル%のイソフタル酸および1〜15モル%のナフタレンジカルボン酸、より好ましくは2〜10モル%のナフタレンジカルボン酸、さらに好ましくは3〜6モル%のナフタレンジカルボン酸を、反応したモノマー単位の形態で含んでなる。
【0098】
透明容器用途向けのテレフタレートポリエステルは、典型的には、テレフタル酸とエチレングリコールから、またはテレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジオールから製造される。好適なジカルボン酸としては、全てよく知られているジカルボン酸であるテレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、マレイン酸およびフマル酸、またはコ−ポリエステルが製造されるような、これらの混合物がある。
【0099】
2〜8個の炭素原子を含む多価グリコールまたはジオールが好ましく、エチレングリコールが最も好ましい。4〜12個の炭素原子を有するグリコールエーテルまたはジオールエーテルをグリコールまたはジオールの代わりに使用することができる。エチレングリコールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)に加えて、好適なグリコールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタエリトリトール、類似のグリコールおよびジオール、およびそれらの混合物がある。これらの化合物およびこれらの化合物を使用してポリエステルおよびコポリエステルを製造する方法は、この分野で良く知られている。
【0100】
さらに、グリコール成分は、所望により、約15モル%まで、好ましくは約10モル%まで、より好ましくは約5モル%までの、エチレングリコール以外の一種以上の異なったジオールで変性することができる。そのような追加のジオールとしては、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する環状脂肪族ジオールまたは好ましくは3〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジオールがある。そのようなジオールの例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチルペンタンジオール−(2,4)、2−メチルペンタンジオール−(1,4)、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−(1,3)、2−エチルヘキサンジオール−(1,3)、2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,3)、1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラ−メチル−シクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキエトキシフェニル)−プロパン、ネオペンチルグリコール、2,2−ビス−(4−ヒドロキプロポキシフェニル)−プロパン、それらの混合物等がある。ポリエステルは、上記ジオールの2種類以上から製造することができる。
【0101】
ポリエステルは、少量の三官能性または四官能性コモノマー、例えば無水トリメリト酸、トリメチロールプロパン、ピロメリト酸ジアンヒドリド、ペンタエリトリトールおよび他の、この分野で一般的に公知のポリエステル形成ポリ酸またはポリオールも含むことができる。
【0102】
本明細書で説明するポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の製造に従来から使用されている一種以上の他の元素または成分を含むことができる。例えば、典型的な樹脂は、Co、Ti、Sbおよび/またはPのような元素を含むことができるが、これらの元素は、ポリエステル樹脂の重合および/または処理の際に使用される触媒、熱安定剤、および色材中に使用する、および/または存在するために、樹脂組成物中に存在することがある。例えば、Sb、Ge、Ti、またはSnは、溶融重合に、例えば有機チタン酸塩、ジブチルスズジラウレート、スズ有機化合物、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン(Sb)、三酢酸アンチモン、および/またはグリコール酸アンチモン(Sb(gly))またはそれぞれの金属の酸化物(例えばTiO、GeO等)の形態で使用することができる。リンは、重合および/または得られた樹脂の処理の際に存在するリン酸または亜リン酸トリアルキルに由来する残留物として存在することがある。例えば黄色度指数を変える、および/または制御するために使用する着色剤、例えばCo(OAc)に由来する残留物として存在する元素も存在できる。典型的には、重合触媒または処理添加剤に由来する残留物として存在する物質は、1〜1,000 ppm、好ましくは5〜500 ppmの量で存在する。
【0103】
また、必要という訳ではないが、ポリエステルおよび/または他の熱可塑性組成物に通常使用される他の添加剤も、本発明の樹脂組成物中に存在することができる。そのような添加剤としては、着色剤、トナー、顔料、カーボンブラック、ガラス繊維、充填材、衝撃変性剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、再加熱(reheat)助剤、アセトアルデヒド低減化合物、酸素補集剤、バリヤー強化助剤、およびそれらの混合物があるが、これらに限定するものではない。ブロッキング防止剤も、他の潤滑剤と共に存在できる。
【0104】
本発明の、固相重合を排除する様式で重合体状組成物を形成する方法としては、公開米国特許出願第2,005/29,712号および第2,005/161,863号、および米国特許第5,980,797号、第5,968,429号、第5,945,460号、および第5,656,719号(これら文献は引用されることにより本明細書の開示の一部とされる)に記載されている方法がある。本明細書に記載する、物理的および化学的特性、例えば固有粘度、結晶化度、透明度等により規定されるポリエステル組成物を包含する幾つかの実施態様においては、従来の製法、例えば図1に示す製法、を使用してポリエステルまたはコ−ポリアミドを形成することができる。
【0105】
溶融した重合体状材料は、同じモノマー単位または異なったモノマー単位から製造された重合体状ポリエステル材料を含む、一種以上の他の溶融した重合体状流れと混合し、溶融した重合体状材料の混合物(例えばポリエステル材料のブレンド)を形成することができる。好ましい実施態様においては、得られた重合体組成物を、溶融した状態で、一種以上の添加剤と混合し、次いでプリフォーム製品の形成に使用することができる。
【0106】
マトリックス樹脂(例えばポリエステルマトリックス樹脂)の固有粘度は、プリフォームでは、プリフォームを成形する元の樹脂の固有粘度より低くてもよい。これは、多くの理由から起こり得る。例えば、異なった固有粘度を有する共−バリヤー樹脂を添加すると、マトリックス樹脂と共−バリヤー樹脂の混合物でよい最終組成物の固有粘度に影響を及ぼす、例えば上昇または低下させる、ことがある。さらに、プリフォームを調製するための処理工程の後、それによって招いた熱履歴がマトリックス樹脂の僅かな分解または解重合を引き起こし、それによって、固有粘度が低下することがある。
【0107】
PETマトリックス樹脂に関して、モノマー単位の重合は、好ましくは目標とする固有粘度0.7〜0.95、好ましくは0.75〜0.85を与えるように、最も好ましくは固有粘度が、例えばCSD/ビールでは0.80 dL/g、水ビンでは0.72 dL/gになるように行う。
【0108】
ポリエステル樹脂中のアセトアルデヒド濃度は、樹脂の重要な特性であり、特定の樹脂が、例えば食品または水と接触する用途に適しているか、否かを決定する。従来のポリエステル樹脂を加工する際、加工中に樹脂が分解することにより(変化、例えばIV低下、を伴うように)、アセトアルデヒドの形成につながることがある。本発明の一実施態様では、ポリエステル樹脂の加工、例えばポリエステル樹脂を、ポリエステル樹脂の溶融および固化を含む熱履歴にかけること、を含む工程を、加工前のポリエステル樹脂におけるアセトアルデヒド濃度に対して、アセトアルデヒド濃度の増加速度を比較的低くして行う。
【0109】
本発明の一実施態様では、固相重合を行わずに製造された樹脂を加工する際に形成されるアセトアルデヒドの量が、固相重合を包含する製法で製造された従来の樹脂を加工する際に形成されるアセトアルデヒドの量よりも少なくすることができる。好ましくは、固相重合を行わずに製造された樹脂を加工する際、加工の際に形成されるアセトアルデヒドの量は、固相重合を包含する製法で製造された従来の樹脂を加工する際に形成されるアセトアルデヒドの量以下である。より好ましくは、本発明の加工の際に形成されるアセトアルデヒドの量は、従来の樹脂を加工する際に形成されるアセトアルデヒドの量より、少なくとも5%少なく、より好ましくは少なくとも10%少なく、さらに好ましくは少なくとも15%少なく、さらに好ましくは少なくとも20%少なく、さらに好ましくは少なくとも25%少なく、特に好ましくは、従来のポリエステル樹脂を加工する際に形成されるアセトアルデヒドの量より、少なくとも50%少ない。アセトアルデヒドが低下する量は、本発明の溶融および加工を行う前と後にアセトアルデヒドを測定し、形成されたアセトアルデヒドの、従来樹脂で形成されるアセトアルデヒドの量に対する変化を決定することにより、計算する。
【0110】
通常のポリエステル樹脂加工の際(例えば従来樹脂の溶融および加工の際)には、重合体(例えば成形製品)中のアセトアルデヒド濃度が、加工前(例えば溶融およびプリフォームを形成するための射出成形前)の樹脂中、例えばペレットおよび/またはチップ中に存在するアセトアルデヒド量より300%〜1,000%大きいことも珍しくない。本発明では、アセトアルデヒドの量は、アセトアルデヒド補集剤または低減剤の非存在下で加工した後の樹脂中で増加しているようである。しかし、本発明で観察されるアセトアルデヒド濃度の増加は、固相重合により製造された従来ポリエステル樹脂を溶融および/または加工した時に観察されるアセトアルデヒド濃度の増加より少ない。一実施態様においては、本発明の成形製品におけるアセトアルデヒド濃度の増加は、溶融および加工(例えばビンプリフォームを形成するための樹脂の従来射出成形)の後で500%以下、好ましくは300%以下、好ましくは250%以下、さらに好ましくは225%以下、さらに好ましくは200%以下、特に好ましくは175%以下、さらに好ましくは150%以下、特に好ましくは100%以下である。別の実施態様においては、未使用樹脂に対して観察されるアセトアルデヒド増加量は、加工(例えば射出成形)後の未使用樹脂と比較して、アセトアルデヒド増加が100%以下である。
【0111】
本発明の別の実施態様においては、本発明の重合体状組成物が一種以上の添加剤、例えば充填材、を含む。充填材としては、クレー、ナノ材料および/または他の重合体状材料、例えばナイロンがある。
【0112】
本発明のポリエステル組成物は、好ましくは共重合したIPAモノマー単位を含むPET樹脂を含む。本発明は、少なくとも低IPAおよび高IPAのPET樹脂を包含する。例えば、低IPA組成物(i)は、IPAモノマー単位の量が6モル%までであるPET樹脂を含む。好ましい実施態様では、低IPAのPET樹脂は、5モル%までのIPAモノマー単位を含む。最も好ましくは、低IPAのPET樹脂は、ジカルボン酸モノマー単位の総モル数に対して2〜4モル%の重合したIPAモノマー単位を含む。以下、低量のIPAモノマー単位を含むPET樹脂は、低IPA PET樹脂と呼ぶ。
【0113】
もう一つのPET樹脂は、高IPA PET樹脂、例えばIPAモノマー単位が、PET重合体中のジカルボン酸の総モル数に対して6〜30モル%、好ましくは8〜25%、より好ましくは9〜20%、最も好ましくは約10〜15モル%の量で存在する(ii)高IPA PET樹脂、である。他の範囲としては、10〜28%、12〜30%、および14%、16%、18%、20%、22%、24%、および26%の間に現れる全ての範囲および準範囲および/または上記の範囲がある。
【0114】
従って、好ましい実施態様では、本発明のPET組成物は、PETマトリックス樹脂、例えば上記の低IPA樹脂または高IPA樹脂、を一種以上の添加剤、例えば無機充填材または共−バリヤー樹脂、と共に包含することができる。好ましくは、低IPA樹脂を含んでなる組成物は、組成物の総重量に対して2〜8重量%の共−バリヤー樹脂を含む。より好ましくは共−バリヤー樹脂は、低IPA PETマトリックス樹脂中に3〜6重量%の量で存在し、さらに好ましくは、共−バリヤー樹脂は、4〜5重量%の量で存在する。
【0115】
別の好ましい実施態様では、本発明のPET組成物が、マトリックスとして高IPA樹脂および共−バリヤー樹脂を含む。共−バリヤー樹脂は、好ましくは高IPA PET樹脂のマトリックス中に、組成物の総重量に対して、2.5重量%まで、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは0.5重量%までの量で存在する。
【0116】
好ましい実施態様においては、重合体状ポリエステル組成物が、固体のクレー充填材および/またはナノ材料を含む。クレー充填材は、好ましくは膨脹クレーまたは膨脹マイカの形態にある。膨脹クレーおよび/またはマイカの例としては、有機クレーがある。好ましい幾つかの有機クレー材料がある。有機クレー、例えばSouthern Clay Products, Gonzalez, TX製のCLOISITE 93A、CLOISITE 30B、および他のCLOISITE、は、MXD6(6001または6007)樹脂マトリックス中で優れた剥離性を示す。30Bまたは93A有機クレーの使用量は、約5重量%でよい。充填材が存在し得る他の範囲としては、1〜10重量%、2〜8重量%、および3〜6重量%がある。好ましくは、有機クレーは、MXD6含有樹脂を含むマトリックス中に存在し、有機クレーは、総MXD6樹脂に対して5%の量で存在する。充填材は、他の量で、例えば1〜20重量%、2〜15重量%、3〜10重量%、および6〜8重量%でも存在することができる。有機クレーとアミン含有樹脂の混合物をPET樹脂組成物と溶融ブレンドし、マトリックス樹脂、有機クレー充填材および共−バリヤー樹脂を含んでなる組成物を得ることができる。これは、ナノ小板をPET樹脂マトリックス中に間接的に分散させるための有望な手法の一つである。
【0117】
好ましくは、有機クレー材料および/またはナノ材料は、有機的に変性した、ナノメートル尺度の層状ケイ酸マグネシウムアルミニウム小板である。典型的には、有機的に変性した有機クレーは、厚さ約1ナノメートル、幅70〜150ナノメートルの小板から得られる。小板を有機的に変性する方法としては、小板と有機薬品、例えば第4級アンモニウム塩、の接触がある。例えば、第4級アンモニウム塩、例えばジメチルベンジル水素化タロウ第4級アンモニウム塩(2MBHT)、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウ第4級アンモニウム塩(MT2EtOH)、およびメチル二水素化タロウアンモニウム(M2HT)と接触させたナノ粒子クレーが好ましい。粒子径は約6ミクロンでよいが、粒子をマトリックスおよび/または共−バリヤー樹脂中に均質に包含できる、全ての粒子径を使用できる。
【0118】
好ましい実施態様においては、有機クレーおよび/またはナノ材料を先ず共−バリヤー樹脂、例えばMXDA−コ−ポリアミド、例えばIPAおよびテレフタル酸を、ある量のエチレングリコールまたは他のジオールおよびMXDA(メタ−キシレンジアミン)と共に含む材料、の中に分散させる。無機充填材、例えば有機クレー充填材、を共−バリヤー樹脂(例えばMXDA−コ−ポリアミド樹脂)中に先ず分散させることにより、無機充填材を、ポリエステルマトリックス樹脂(例えばPETマトリックス樹脂)中に、より効果的に分散させることができる。
【0119】
無機充填材および共−バリヤー樹脂の粉末を混合することにより、無機充填材を共−バリヤー樹脂中に固体状態で分散させることができる。次いで、この粉末混合物を溶融したマトリックス樹脂と直接混合するか、または共−バリヤー樹脂と無機充填材の混合物を先ず溶融させた後に、溶融した樹脂と混合することができる。
【0120】
一実施態様においては、共−バリヤー/無機充填材マスターバッチを調製する。無機充填材を溶融した共−バリヤー樹脂と混合し、マトリックス樹脂として共−バリヤー樹脂およびその中に分散させた無機充填材を含むマスターバッチのペレットおよび/またはストランドを形成する。無機充填材は、共−バリヤー/無機充填材マスターバッチの総重量に対して25重量%までの量で存在することができる。好ましくは、無機充填材は、20重量%までの量で、より好ましくは15重量%までの量で存在し、さらに好ましい実施態様においては、無機充填材は、共−バリヤー/無機充填材マスターバッチ混合物中に10重量%まで、より好ましくは1〜5重量%の量で存在する。
【0121】
無機充填材は、組成物の総重量に対して0.05〜2.5重量%の量で存在することができる。より好ましくは、無機充填材は、0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%の量で存在し、最も好ましくは、無機充填材は約1重量%の量で存在する。
【0122】
別の好ましい実施態様においては、重合体状ポリエステル組成物(例えばPET組成物)を、重合体充填材、例えば粉末化されたアミド系重合体(例えばナイロン)または他の熱可塑性材料、と混合する。本発明の樹脂(例えばポリエステル樹脂組成物)は、一種以上のポリアミドまたは熱可塑性樹脂を含むことができる。本発明の組成物には、例えばポリ(m−キシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリカプロラクタム、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド)、およびポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド−コ−テレフタラミド)を包含する、あらゆるポリアミドが存在することができる。例えばポリエステルの共重合体であるポリアミドも存在できる。本発明の組成物には、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メタ−キシレンジアミン、パラ−キシレンジアミン、1,3−または1,4−シクロヘキサン(ビス)メチレン、6〜12個の炭素原子を含む一種以上の脂肪族酸、6〜12個の炭素原子を含む脂肪族アミノ酸、6〜12個の炭素原子を含むラクタム、4〜12個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンの重合した単位を含むポリアミドを包含する全てのポリアミド/ポリエステル共重合体が存在できる。重合したジカルボン酸を含むポリアミドデンドリマーを包含する、ポリアミドデンドリマーも存在できる。好ましいポリアミドは、ポリ(m−キシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリカプロラクタム、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−イソフタラミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−テレフタラミド)である。メタ−キシレンジアミンとアジピン酸の重合体であるMXD6が特に好ましい。MXD6とフタル酸の共重合体も好ましい。MXD6と一種以上のポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートおよび/またはメタ−キシレンジアミンで変性されたポリエチレンテレフタレート樹脂のブレンドである。重合体充填材は、樹脂の総重量に対して1〜20%、2〜18%、4〜16%、5〜15%、6〜12%、8〜11%、およびそれらの値の間の全ての範囲または準範囲の量で存在することができる。
【0123】
本発明の好ましい樹脂組成物は、PETと少なくとも一種のポリアミド、例えばMXD6、または25%までのアジピン酸モノマー単位がジカルボン酸、例えばイソフタル酸で置き換えられているMXD6重合体のブレンドまたは混合物を含む。共重合体の代わりに、PETと、異なったポリエステル、例えばポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、のブレンドも使用できる。
【0124】
有機充填材は、好ましくは10重量%までの量で存在することができる。より好ましくは、有機充填材は、1〜8重量%の量で存在する。さらに好ましくは、有機充填材は、組成物の総重量に対して3〜6重量%の量で存在する。最も好ましくは、有機充填材は、約5重量%の量で存在する。
【0125】
延伸吹込み成形では、PET鎖が二軸延伸の際に整列することがある。ナイロンの存在により、水素結合の分子間力のために、PETと比較して、さらに近い整列が得られる。標準PET樹脂から成形されたビンでは、PET鎖の温度を周囲温度から12℃下げると、約40%のバリヤー改良を観察できる。PET鎖の温度を下げると、有効自由体積も低下する。分子配向は、ブレンドの界面区域を増加する傾向がある。PETとMXD6(またはMXIPA)の間の二次結合(相互作用)が、より強くなり、ブレンドの有効自由体積を下げるように鎖の移動度を低下させることができる。
【0126】
TEMは、連続相中の小さな相分散の二次元的(2-D)顕微鏡写真を撮影するのに良い技術である。TEMは、有機重合体マトリックスにおける有機変性ナノクレーの効果的な分散(剥離またはインターカレーション)を理解する上でも有用である。非相容性PET/MXD6ブレンドでは、小さな相におけるMXD6を、通常、アミン基および末端に標識を付ける1%水性ホスホタングステン酸(12WO・HPO・xHO)で染色する。PETを染色する必要がある場合、酸末端と反応するRuO蒸気を使用することができよう。試料が染色されない場合、TEM画像中の暗色線が、高倍率における、分散した有機クレー小板の縁部である。小板または薄層状形態は、非混和性ブレンドにおけるガス透過速度の大きな低下によるものである。
【0127】
単層樹脂バリヤービンの性能は、例えば、ベース樹脂、結晶化度、延伸によるプリフォームの分子配向、および得られるビンの材料配分によって異なる。PETプリフォームは、一般的に、良好な材料配分を達成するために、強いひずみ硬化の利点が得られるように設計される。固有粘度(IV)は、PETのひずみ硬化挙動に、かなり強い影響を及ぼす。CSD用途には、射出成形したプリフォームは、通常の延伸で良好なひずみ硬化を得るには、IVが0.70〜0.90であるのが好ましい。
【実施例】
【0128】
ポリエステル樹脂組成物試料の固有粘度を試験した。比較試料は、固相重合を包含する製法で製造された従来の市販ポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂組成物を包含していた。ポリエステル樹脂組成物の固有粘度は、初期ペレット化工程以外の溶融にかける前の、未使用材料に対して測定した。
【0129】
固相重合を含まない方法により製造されたポリエステル樹脂だけを含むポリエステル樹脂組成物を、従来のポリエステル樹脂と比較した。IVを除いて、非固相重合により製造された樹脂(例えば本発明により製造された樹脂)は、従来の市販ポリエステル樹脂と、製法の違いを除いて、組成が同じであった。
【0130】
加工の前および後(即ちビンプリフォームを製造するための射出成形の前および後)における固有粘度を表1〜4に示す。
【0131】
溶融および加工条件
樹脂は、射出成形の前に乾燥させた。乾燥機の設定点は300°F、露点−25〜−47°Fであった。乾燥は、射出成形の前に少なくとも6時間行った。ビンプリフォーム金型は、コア供給で50°Fに水冷した。溶融樹脂の静止温度は537〜563°Fであり、ピーク溶融温度は572〜609°Fであった。水力射出圧は、1,175〜1,750 psiであった。マニホルド設定温度(合計5)は540°Fであった。シューティングポットヘッドおよびゾーンの温度は535°F〜555°Fであった。押出機ゾーンは535〜580°Fであった。類似の樹脂は類似の条件下で加工した。押出機プロファイルの例を以下に示す。
BHE-535°F;BH-535°F;E6-535°F;E5-540°F;E4-540°F;E3-545°F;E2-548°F;E1-550°F
BHE-540°F;BH-540°F;E6-542°F;E5-547°F;E4-547°F;E3-552°F;E2-555°F;E1-557°F
BHE-545°F;BH-545°F;E6-549°F;E5-554°F;E4-554°F;E3-559°F;E2-562°F;E1-564°F
BHE-541°F;BH-546°F;E6-546°F;E5-546°F;E4-554°F;E3-556°F;E2-558°F;E1-560°F
BHE-548°F;BH-553°F;E6-556°F;E5-556°F;E4-561°F;E3-566°F;E2-568°F;E1-570°F
BHE-555°F;BH-560°F;E6-566°F;E5-566°F;E4-571°F;E3-576°F;E2-578°F;E1-580°F
【0132】
【表1】

【0133】
固相重合を行わずに製造された樹脂を、従来の固相重合ポリエステル樹脂と同じ乾燥および射出成形条件で実施した。固有粘度測定を下記の表2に示す。
【0134】
【表2】

【0135】
上記の表1および2から分かるように、固相重合を含む製法により製造された樹脂の固有粘度は、約0.04 dL/g変化する。対照的に、固相重合を行わずに製造された樹脂(例えば本発明の樹脂)は、両方の樹脂を同じ条件下で加工した時に、約0.015 dL/gの固有粘度低下しか示さない。
【0136】
類似の試験を水ビン形成に使用するポリエステル樹脂に行った。固相重合で製造した樹脂に対する固有粘度測定を、固相重合を行わずに製造された樹脂に対するデータと、下記の表3および4にそれぞれ比較する。
【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【0139】
表1および2のCSD/ビールビン樹脂に対して観察されるように、水ビン製造に使用するポリエステル樹脂の固有粘度の低下は、その樹脂を固相重合を行わずに製造した時、固相重合を行わずに製造された従来の樹脂と比較して、かなり低い。例えば、本発明の方法で使用する樹脂における固有粘度変化は、約0.01 dL/gであるのに対し、従来の樹脂における固有粘度変化は、約0.03 dL/gである。
【0140】
2種類のCSD/ビール樹脂を、2リットルビンに対する適性に関して試験した。プリフォームを48−キャビティ金型で成形し、それらのビンを延伸吹込成形した。
【0141】
試験の概要
両方の樹脂は、今日の適性試験に同等の結果で合格した。
【0142】
方法、規格および定量データを以下に示す。側壁剛性試験には、規格がない。
【0143】
【表5】

【0144】
試験手順、規格および結果
A)落下衝撃−試験1
24個のビンに4.2±0.1ガス体積に炭酸を入れた。12個のビンを70°Fに、12個のビンを40°Fに調整し、熱間圧延した鋼製板の上に2 mの高さで落下させた。規格−破損無し。
【0145】
【表6】

【0146】
B)落下衝撃−試験2
24個のビンに4.00±0.05ガス体積に炭酸を入れた。全てのビンを70°Fに調整し、山形鋼の上に6 ftの高さで落下させた。12個のビンを垂直に、12個のビンを水平に落下させた。規格−破損無し。
【0147】
【表7】

【0148】
C)破裂圧−落下衝撃−試験3
12個のビンを先ず100 psigに加圧し、13s保持し、次いで圧力を、毎秒10 psiで300 psigまたは破損まで上昇させた。た。規格−ビンは最低100 psigに耐えなければならない。合格。
【0149】
【表8】

【0150】
D)破裂圧−落下衝撃−試験4
6個のビンを試験した。圧力上昇および初期圧力は規定されていない。規格−135 psig未満で破損無し、平均−3標準偏差>135 psigで基底部破損および>120 psigで側方パネル破損。合格。
【0151】
【表9】

【0152】
E)側壁剛性−試験5
空のビン12個、8 mmの丸いプローブでラベルパネルを12 mm偏位させる。12 mm偏位で負荷を記録する。そのビンの4箇所の等しい点を反復する。規格無し。
【0153】
【表10】

【0154】
F)熱的安定性−試験6
12個の空のビンに対して必要なビンの寸法を測定する。この12個のビンに、炭酸を4.2±0.1ガス体積に入れる。ビンを100°Fで24時間保存する。必要なビン寸法を測定する。規格<3%直径変化、<28 mm(1.1インチ)充填線変化、および<9 mm(0.35インチ)最終的な直角性。全て合格
【0155】
【表11】

【0156】
G)垂直負荷−試験7
空ビン12個。プラテンを終点より上25 mmに、ヘッド速度20インチ/分で下降させる。破損まで試験し、最大値負荷を記録する。規格平均66 lbs、44 lbs未満無し。
【0157】
【表12】

【0158】
H)垂直負荷−試験8
72時間エージングした空ビン24個。ヘッド速度20インチ/分。0.15偏位で試験。規格35 lbsおよび平均−3標準偏差>35 lbs。
【0159】
【表13】

【0160】
I)体積−試験9
12個のビンをオーバーフローおよび充填点に充填。規格−>体積に対して1%のビン無し、平均<体積に対して±0.5%。合格
【0161】
J)体積−試験10
6個のビンをオーバーフローおよび充填点に充填。規格−>17 mlまたは<9 mlのビン無し、平均>10 mlまたは<0 ml無し。合格
【0162】
【表14】

【0163】
K)応力亀裂−試験11
各ビンを充填レベルに22±2°Fの水で充填し、77±0.5 psigに加圧し、5分間保持する。各ビンを0.2%NaOH溶液中に入れ、破損までの時間を記録する。合格
【0164】
【表15】

【0165】
L)側壁引張−試験12
ビンからビン側壁の部分を切り取り、ドッグボーン引張バーに切断する。各試料から6個の試料を調製する。3個の試料はビンの軸方向で切断し、3個の試料はビンの半径方向で切断する。
【0166】
【表16】

【0167】
M)ビンの頭部空間AA−試験13
6個のビン24時間後に窒素で掃気。規格<5μg/l合格。
【0168】
【表17】

【0169】
N)ビンの頭部空間AA−試験14
6個のビン70°Fで24時間保存、次いで窒素で掃気。規格<3μg/l合格。
【0170】
【表18】

【0171】
O)CO透過性−試験15
ドライアイスで4.0±0.1ガス体積に炭酸処理。49日後、損失17.5%以下。規格>14週間。合格
【0172】
【表19】

【0173】
非-SSP樹脂(例えば本発明)とSSP樹脂の成形収縮の比較を表20〜22に示す。
【0174】
【表20】

【0175】
【表21】

【0176】
【表22】

【0177】
成形収縮データは、本発明の樹脂が、固相重合により製造された従来の樹脂と同じ成形収縮を与える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のものを示している。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】溶融相重縮合および固相重合を包含するポリエステル樹脂の製造方法を示す。
【図2】固相重合を含まないポリエステル樹脂の製造方法を示す。
【図3】固相重合により、および固相重合無しに製造されたCSD/ビール樹脂の固有粘度勾配の比較を示す。
【図4】固相重合により、および固相重合無しに製造された水ビン樹脂のIV勾配の比較を示す。
【図5】本発明の方法の一実施態様で形成される形状製品でよい、ビンのプリフォームである。
【図6】本発明の方法の一実施態様により得られる形状製品から製造される吹込成形された製品を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル重合体の固有粘度を0.025 dL/gより大きく変化させずに、前記ポリエステル重合体を溶融させ、加工することにより、形状製品を形成することを含んでなる、ポリエステル重合体を含む固体ポリエステル樹脂から形状製品を製造する方法であって、
前記ポリエステル重合体が、前記溶融の前に、0.70〜0.95の固有粘度を有し、
前記ポリエステル樹脂が、(i)固相重合を行わないこと、(ii)高IV溶融重縮合を行うこと、および(iii)直接潜熱結晶化を行うことからなる群から選択された一つ以上の条件に適合する製法により製造される、方法。
【請求項2】
一種以上のジオール単位および一種以上のカルボン酸単位、またはカルボン酸のエステルを含んでなる混合物を重合させ、重合したモノマー単位を含む溶融樹脂を形成すること、および
前記溶融重合体を固化させ、前記ポリエステル樹脂を形成すること
をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加工が、射出成形、押出成形、シート成形、反応射出成形、射出吹込成形、熱成形、および1工程および2工程延伸吹込成形からなる群から選択された少なくとも一種である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリエステル重合体の固有粘度が、前記成形前に0.75〜0.85 dL/gである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記成形前の前記ポリエステル重合体および前記形状製品の前記ポリエステル樹脂の両方が約0.80 dL/gの固有粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.02 dL/gより大きく低下しない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.015 dL/gより大きく低下しない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.01 dL/gより大きく低下しない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.005 dL/gより大きく低下しない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記加工が射出成形であり、前記形状製品がプリフォームまたはパリソンであり、前記加工が、前記プリフォームまたは前記パリソンの延伸吹込成形をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を、前記ポリエステル樹脂中の全てのジカルボン酸モノマー単位の総数に対して0〜30モル%の量で含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を、前記ポリエステル樹脂中の全てのジカルボン酸モノマー単位の総数に対して0〜5モル%の量で含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を、前記ポリエステル樹脂中の全てのジカルボン酸モノマー単位の総数に対して5〜25モル%の量で含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記固体ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を5〜15モル%の量で含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記固体ポリエステル樹脂が、テレフタル酸とエチレングリコールの反応した基を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリエステル樹脂が、チップ、ペレット、パステル、長球形粒子または長円形粒子の少なくとも一種の形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ポリエステル重合体の固有粘度を0.025 dL/gより大きく変化させずに、前記ポリエステル重合体を含むポリエステル樹脂を溶融させ、加工することにより、成形製品を形成することを含んでなる方法により製造された成形製品であって、
前記ポリエステル重合体が、前記溶融の前に、0.70〜0.95の固有粘度を有し、
前記ポリエステル樹脂が、(i)固相重合を行わないこと、(ii)高IV溶融重縮合を行うこと、および(iii)直接潜熱結晶化を行うことからなる群から選択された一つ以上の条件に適合する製法により製造される、成形製品。
【請求項19】
前記加工が、射出成形、押出成形、シート成形、反応射出成形、射出吹込成形、熱成形、および1および2工程延伸吹込成形からなる群から選択された少なくとも一種である、請求項18に記載の成形製品。
【請求項20】
前記ポリエステル重合体の固有粘度が、前記成形前に0.75〜0.85 dL/gである、請求項18に記載の成形製品。
【請求項21】
前記成形前の前記ポリエステル重合体および前記形状製品の前記ポリエステル重合体の両方が約0.80 dL/gの固有粘度を有する、請求項18に記載の成形製品。
【請求項22】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.02 dL/gより大きく低下しない、請求項18に記載の成形製品。
【請求項23】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.015 dL/gより大きく低下しない、請求項18に記載の成形製品。
【請求項24】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.01 dL/gより大きく低下しない、請求項18に記載の成形製品。
【請求項25】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と比較して、0.005 dL/gより大きく低下しない、請求項18に記載の成形製品。
【請求項26】
前記形状製品の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融前の前記ポリエステル重合体の前記固有粘度と等しい、請求項18に記載の成形製品。
【請求項27】
前記加工が射出成形であり、前記形状製品がプリフォームまたはパリソンであり、前記加工が、前記プリフォームまたは前記パリソンの延伸吹込成形をさらに含んでなる、請求項18に記載の成形製品。
【請求項28】
前記ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を、前記ポリエステル樹脂中の全てのジカルボン酸モノマー単位の総数に対して0〜30モル%の量で含んでなる、請求項18に記載の成形製品。
【請求項29】
前記ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を、前記ポリエステル樹脂中の全てのジカルボン酸モノマー単位の総数に対して0〜5モル%の量で含んでなる、請求項18に記載の成形製品。
【請求項30】
前記ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を、前記ポリエステル樹脂中の全てのジカルボン酸モノマー単位の総数に対して5〜25モル%の量で含んでなる、請求項18に記載の成形製品。
【請求項31】
前記固体ポリエステル樹脂が、イソフタル酸の重合単位を5〜15モル%の量で含んでなる、請求項18に記載の成形製品。
【請求項32】
前記固体ポリエステル樹脂が、テレフタル酸とエチレングリコールの反応した基を含んでなる、請求項18に記載の成形製品。
【請求項33】
前記ポリエステル樹脂が、チップ、ペレット、パステル、長球形粒子または長円形粒子の少なくとも一種の形態にある、請求項18に記載の成形製品。
【請求項34】
溶融および加工の前にポリエステル樹脂を乾燥または部分的乾燥させずに前記ポリエステル樹脂を前記溶融および前記加工することにより、成形製品を形成することを含んでなる、ポリエステル重合体を含む前記ポリエステル樹脂から前記成形製品を形成する方法であって、
前記ポリエステル重合体が、前記溶融の前に、0.7〜0.95 dL/gの固有粘度を有し、前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記溶融および前記加工の後に、0.05 dL/gより大きく低下しておらず、
前記ポリエステル樹脂が、(i)固相重合を行わないこと、(ii)高IV溶融重縮合を行うこと、および(iii)直接潜熱結晶化を行うことからなる群から選択された一つ以上の条件に適合する製法により製造される、方法。
【請求項35】
ポリエステル樹脂および一種以上の添加剤を含んでなる組成物を溶融および加工することにより、成形製品を形成することを含んでなる、ポリエステル重合体を含む固体ポリエステル樹脂から前記成形製品を形成する方法であって、
前記ポリエステル重合体が、前記溶融および前記加工の前に、0.7〜0.95 dL/gの固有粘度を有し、前記ポリエステル重合体の前記固有粘度が、前記成形および前記加工の後に、0.05 dL/gより大きく低下しておらず、
前記ポリエステル樹脂が、(i)固相重合を行わないこと、(ii)高IV溶融重縮合を行うこと、および(iii)直接潜熱結晶化を行うことからなる群から選択された一つ以上の条件に適合する製法により製造される、方法。
【請求項36】
前記組成物が、アセトアルデヒド補集剤およびアセトアルデヒド低減剤からなる群から選択された一種以上の添加剤を含んでなる、請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−534227(P2009−534227A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506798(P2009−506798)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/067098
【国際公開番号】WO2007/124428
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(506429581)ディーエイケイ、アメリカズ、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー (4)
【氏名又は名称原語表記】DAK AMERICAS, LLC
【Fターム(参考)】