説明

圏外告知機能を有する携帯電話

【課題】通話中に携帯電話が通信圏外になる場合に、予め通話の相手方にも通信圏外になることを告知し、また、携帯電話が通信圏内に戻ったら自動的にリダイヤルできるようにする。
【解決手段】 携帯電話10は、経路探索のための道路ネットワークデータ44と、通信エリアの情報を蓄積した通信エリアデータ46と、圏外予測手段44と、を備えた経路探索サーバ40と連携し、経路探索サーバ40の圏外予測手段44により所定時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、少なくとも通信の相手方にその旨を告知する圏外告知手段27を備える。そして再度圏内に戻るとリダイヤルする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前に通信圏外になることを利用者に予め告知する圏外告知機能を有する携帯電話に関するものであり、特に、通話中に携帯電話が通信圏外になる場合に、予め通話の相手方にも通信圏外になることを告知し、携帯電話が通信圏内に入った際に通話中であった電話番号に自動的にリダイヤルするようにした圏外告知機能を有する携帯電話に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展に伴い種々の携帯型の情報通信端末装置(以下、携帯端末装置という)が広く普及している。このような携帯端末装置は、利用者が外出先からインターネットなどのネットワークを介して種々サービスを提供する情報配信サーバや所望のウェブサイトに接続して当該サービスを受け、あるいは情報を取得したり、自社のネットワークに接続したりして業務上必要な情報を取得することができる。
【0003】
最近では、携帯電話のハード、ソフト機能が充実し、従来の携帯端末装置の機能を兼ねるようになってきており、携帯電話の普及率の拡大にはめざましいものがある。携帯電話を利用したデータ通信サービスを提供する事業者も増加しており、携帯電話を利用してバンキング、インターネット販売、ナビゲーション、自動販売機、交通機関やコンビニエンスストアなどの代金決済など、様々なサービスを受けることができるようになってきている。特に携帯電話においては種々のオプションやアプリケーションが搭載可能であり、利用できるサービスの種類も豊富になってきている。
【0004】
また、第3世代と称される携帯電話にはGPS受信機が搭載され、携帯電話自体が位置する現在位置(緯度・経度)を測定することができ、携帯電話を端末装置としたナビゲーションシステムも実用化されている。このような測位システムを利用して、高齢者や児童などの位置確認や、犯罪や火災などの事件、事故における通報時の位置確認などに利用システムも種々検討されている。
【0005】
更に、利用者は、サービス事業者が提供するブラウザやアプリケーション、ゲームソフトのように携帯電話用として開発された様々なアプリケーションなどを自身が所有する携帯電話にインストールして所望のサービスや機能追加のためカスタマイズすることができる。
【0006】
携帯電話のような移動体通信システムは、基地局との間を無線通信により通信するシステムでてあり、携帯電話が基地局の電波到達範囲内(以下通信エリアという)に位置していない場合には通信することができない。また、当然に山間部など基地局が設置されていないエリアに携帯電話がある場合にも通信することができない。
【0007】
携帯電話は歩行中あるいは各種交通機関を利用した移動中に使用される場合も多い。このように移動しながら携帯電話を使用して通信する場合、基地局の通信エリア内(以下通信圏内という)から通信エリア外(以下通信圏外という)に離脱してしまう場合がある。この場合、ある基地局の通信圏内を離脱しても、隣接する基地局の通信圏内に入る場合には通信が隣接する基地局に引き継がれる。このような処理はハンドオーバと呼ばれる。
【0008】
しかしながら、通信圏外に離脱した時、隣接するエリアに基地局が設置されておらず、通信圏外の状態が続くと、通信は切断されてしまう。一般的には、携帯電話が通話中に通信圏外にでてしまうと、一定の期間無通信状態になりその後通信が完全に切断される。通話者双方は無通信状態になった場合に、通信圏外に出たためにて無通信状態になったのか、故障やその他の原因で無通信状態になったのかを判別することができず、通信が切断されたことに対して不快な感情を与えてしまう場合がある。
【0009】
このような問題に対応するため、携帯電話が通信圏外になった場合や、通信圏外になることが予測される場合に利用者に告知する手段が種々提案されている。例えば、下記の特許文献1(特開2004−364223号公報)には、一定時間後の携帯端末の位置を予測し、予測位置が通信圏外になる場合に当該携帯端末にその旨のメッセージを送信する通信圏外予告サーバを備えた移動通信システムが開示されている。
【0010】
すなわち、この特許文献1に開示された移動通信システム以下のように構成される。すなわち、携帯端末は、定期的に位置算出部によって現在の位置情報を算出し、その位置情報を通信圏外予告サーバに送信する。通信圏外予告サーバは、受信した位置情報を位置情報履歴データベースに記憶させ、位置情報履歴データベースに記憶させた位置情報の履歴と、マップデータベースが記憶する地図情報とに基づいて、一定時間後における携帯端末の位置を予測する。通信圏外予告サーバは予測位置が通信圏外であれば、通信圏外に出ることを予告する通知を携帯端末に送信する。
【0011】
また、下記の特許文献2(特開2002−218540号公報)には、無線端末が通話中に通信圏外になったことを通話相手に知らせることができる移動通信システム用交換機が開示されている。すなわち、特許文献2に開示された移動通信システム用交換機は、通話中に、移動端末がサービスエリア圏外になった場合、通話相手に所定の音声を送信するように構成したものである。
【0012】
更に、下記の特許文献3(特開平6−224840号公報)には、通信圏外で入力した電話番号を予約登録しておき、移動体電話が通信圏内になった時に予約した通信先に自動的にダイヤル発信するようにした移動体電話装置が開示されている。
【0013】
この特許文献3に開示された移動体電話装置は、基地局との間で電波の送受を行うアンテナを設けた無線機と、この無線機に接続された受話機とを備え、基地局の通話圏内外かを判断する判断手段と、この判断手段からの圏外判断信号を受け、かつ、コントロールキーの操作信号を受けたことを条件に入力された通話相手先のダイヤル番号を予約する予約手段と、判断手段から圏内判断信号を受けたとき予約されたダイヤル番号を、無線機を介して自動発信する発信手段を受話機制御部に設けて構成したものである。
【0014】
この、特許文献3に開示された移動体電話装置によれば、通信圏外において通話相手の電話番号を入力して自動発信を予約しておけば、移動体電話装置が通信圏内に入った時に自動的に相手方の電話に発信されるので、移動体電話装置の移動速度がそれ程早くなく、簡単な要件で長時間の通話でなければ、通信中に移動体電話装置が再び通信圏外になり通話が切断されることはなくなる。
【特許文献1】特開2004−364223号公報(図1、要約[解決手段])
【特許文献2】特開2002−218540号公報(図1、段落[0014])
【特許文献3】特開平6−224840号公報(図1、段落[0021]、[0022]、[0030]、[0031])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献1に開示された移動通信システムにおいては、通信圏外予告サーバが必要であり、通信圏外予告サーバは各移動端末から送られる位置を履歴として記憶しておき、その位置履歴から所定時間後の位置を予測してマップデータベースの地図情報を参照して通信圏外か通信圏内かを判別しなければならない。すなわち、この移動通信システムは所定の機能を有するサーバが新たに必要となるという問題点があった。
【0016】
また、移動端末の予測位置はその位置の履歴から推定するものであって、所定時間後の推定位置を正確に予測することは困難であるという問題点がある。例えば、移動端末を使用する利用者が自動者で移動しているような場合には、その移動速度がかなり高速であり進行方向が頻繁に変わることも多く、所定時間後の推定位置と実際の位置に大きなずれが生じた場合には、実際には通信圏外に位置していても通信圏内に位置すると誤認されてしまうことになる。
【0017】
自動車を運転中に携帯電話で通話することは事故につながり、法的に禁止されているが、最近では携帯電話を車載台に保持し、無線によりマイク、イヤホン接続したハンズフリー方式の携帯電話もあり、また、助手席に同乗したユーザが携帯電話を使用することもあり、上記特許文献1に開示された移動通信システムを適用しても正確性に欠けるという問題点があった。また、この移動通信システムでは通信圏外になる場合の予告通知は移動端末に対して行われるものであり、通話の相手先に予告されるものではないという問題点も存在する。
【0018】
一方、上記特許文献2に開示された移動通信システム用交換機によれば、無線端末が通信中に通信圏外になった場合、通話の相手先にもその旨、交換機からメッセージが送信され、通話相手先も通信切断の原因が通信圏内から通信圏外に出たことによるということを知ることができる。しかしながら、このシステムは無線端末の位置を予測するものではなく、無線端末が通信圏外へ移動したと判別された時点でしか機能しないため、予め通話者が通信圏外に出ることを知ることができないという問題点があった。また、このシステムは無線通信用交換機を用いたものであるから、通常の交換機に新たに通知手段をもうけなければならないという問題点も存在する。
【0019】
携帯電話を利用して通話中に、通信圏外に移動して通信が切断された場合、更に移動を続けて再び通信圏内になった時に再度通話中できあった相手先に自動的に発信され通話の続きを行えると好都合である。上記特許文献3に開示された移動体電話によれば、通信圏外において、相手先の電話番号を入力して予約しておくことにより移動体電話が通信圏内に移動した場合に、前記予約しておいた電話番号に自動発信することができるが、前述のように通話中に切断された通信を再度接続するは目的には利用できない。
【0020】
一般の電話機にはリダイヤル機能が備えられており、リダイヤルボタンを操作することで直前に着信があった相手方の電話に自動発呼することができる。しかしながら、このリダイヤル機能は利用者によるリダイヤルボタン操作が必要になるため、ハンズフリーで車載した携帯電話では利用することができない。
【0021】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、車載用のナビゲーションシステムやナビゲーションシステムサービスを受けることのできるアプケーションを搭載した携帯電話が実用化されていることに着目し、通信エリアデータを蓄積したデータベースを備えることによりナビゲーション機能をすれば、通話中に携帯電話が通信圏外になる場合に、予め通話の相手方にも通信圏外になることを告知し、携帯電話が通信圏内に入った際に通話中であった電話番号に自動的にリダイヤルするようになし得ることを想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0022】
すなわち、本発明は、前記の問題点を解消することを課題とし、通話中に携帯電話が通信圏外になる場合に、予め通話の相手方にも通信圏外になることを告知し、携帯電話が通信圏内に入った際に通話中であった電話番号に自動的にリダイヤルするようにした圏外告知機能を有する携帯電話を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
経路探索のための道路ネットワークデータと、通信エリアの情報を蓄積した通信エリアデータと、圏外予測手段と、を備えた経路探索サーバとネットワークを介して接続され、所望の地点から所望の地点までの経路を経路探索サーバから受信する携帯電話であって、
前記携帯電話は、前記経路探索サーバの圏外予測手段により所定時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、少なくとも通信の相手方にその旨を告知する圏外告知手段を備えることを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる圏外告知機能を有する携帯電話において、
前記携帯電話は、更に通話履歴記憶手段と、リダイヤル処理手段と、を備え、前記通話履歴記憶手段に通信の相手先の電話番号を記憶し、当該携帯電話が通信エリアの圏外になり、移動により再び通信エリアの圏内になったことが検出された場合、前記リダイヤル処理手段は前記通話履歴記憶手段に記憶された前記相手方の電話番号にリダイヤルすることを特徴とする。
【0025】
本願の請求項3にかかる発明においては、
経路探索のための道路ネットワークデータと、各通信キャリアの通信エリアの情報を蓄積した通信エリアデータと、圏外予測手段と、を備えたナビゲーション装置と接続される携帯電話であって、
前記携帯電話は、通信キャリアを選択するキャリア選択手段と、前記ナビゲーション装置の圏外予測手段により所定時間後に前記通信エリアの圏外になることが予測された場合に、少なくとも通信の相手方にその旨を告知する圏外告知手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる圏外告知機能を有する携帯電話において、
前記携帯電話は、更に通話履歴記憶手段と、リダイヤル処理手段と、を備え、前記通話履歴記憶手段に通信の相手先の電話番号を記憶し、当該携帯電話が前記通信エリアの圏外になり、移動により再び前記通信エリアの圏内になったことが検出された場合、前記リダイヤル処理手段は前記通話履歴記憶手段に記憶された前記相手方の電話番号にリダイヤルすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1にかかる発明においては、携帯電話は、経路探索のための道路ネットワークデータと、通信エリアの情報を蓄積した通信エリアデータと、圏外予測手段と、を備えた経路探索サーバとネットワークを介して接続され、所望の地点から所望の地点までの経路を経路探索サーバから受信する。この携帯電話は、前記経路探索サーバの圏外予測手段により所定時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、少なくとも通信の相手方にその旨を告知する圏外告知手段を備える。
【0028】
このような構成により、携帯電話を自動車に固定してハンズフリーで通話している場合に、ナビゲーションのための経路探索サーバと連携し、ある時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、通話の相手方に予め一定時間後に通信圏外になることを告知することができるようになる。
【0029】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる圏外告知機能を有する携帯電話において、携帯電話は、更に通話履歴記憶手段と、リダイヤル処理手段と、を備え、前記通話履歴記憶手段に通信の相手先の電話番号を記憶し、当該携帯電話が通信エリアの圏外になり、移動により再び通信エリアの圏内になったことが検出された場合、前記リダイヤル処理手段は前記通話履歴記憶手段に記憶された前記相手方の電話番号にリダイヤルする。
【0030】
このような構成により、携帯電話を自動車に固定してハンズフリーで通話している場合に、ナビゲーションのための経路探索サーバと連携し、ある時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、通話の相手方に予め一定時間後に通信圏外になることを告知することができるようになる。また、隣接する通信圏内に入った場合に圏外により切断された相手方に自動的にリダイヤルすることができるようになる。
【0031】
請求項3にかかる発明においては、携帯電話は、経路探索のための道路ネットワークデータと、各通信キャリアの通信エリアの情報を蓄積した通信エリアデータと、圏外予測手段と、を備えたナビゲーション装置と接続され、前記携帯電話は、通信キャリアを選択するキャリア選択手段と、前記ナビゲーション装置の圏外予測手段により所定時間後に前記通信エリアの圏外になることが予測された場合に、少なくとも通信の相手方にその旨を告知する圏外告知手段と、を備える。
【0032】
このような構成により、携帯電話を自動車に固定してハンズフリーで通話している場合に、ナビゲーション装置と連携し、ある時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、通話の相手方に予め一定時間後に通信圏外になることを告知することができるようになる。

また、請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる圏外告知機能を有する携帯電話において、携帯電話は、更に通話履歴記憶手段と、リダイヤル処理手段と、を備え、前記通話履歴記憶手段に通信の相手先の電話番号を記憶し、当該携帯電話が前記通信エリアの圏外になり、移動により再び前記通信エリアの圏内になったことが検出された場合、前記リダイヤル処理手段は前記通話履歴記憶手段に記憶された前記相手方の電話番号にリダイヤルする。
【0033】
このような構成により、携帯電話を自動車に固定してハンズフリーで通話している場合に、ナビゲーション装置と連携し、ある時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、通話の相手方に予め一定時間後に通信圏外になることを告知することができるようになる。また、隣接する通信圏内に入った場合に圏外により切断された相手方に自動的にリダイヤルすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための圏外告知機能を有する携帯電話、携帯電話のリダイヤル方法を例示するものであって、本発明をこの携帯電話、携帯電話のリダイヤル方法に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の携帯電話、携帯電話のリダイヤル方法にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0035】
図1は本発明の実施例1にかかる圏外告知機能を有する携帯電話を含むシステムの構成を示すブロック図、図2は図1の携帯電話の外観を示す外観図である。図1のブロック図に示すように本発明の実施例1にかかるシステムは、圏外告知機能を有する携帯電話10と経路探索サーバ40から構成されている。
【0036】
携帯電話10は、通話部11と本発明にかかる機能制御部21から構成されている。通話部11は、マイク12とスピーカ13と無線部14とから構成されており、無線部14は、アンテナ、送受信回路、変復調回路、圧縮伸長回路、音声コーデック等を含んでおり、無線部14を介してマイク12から入力された音声を音声信号として送信し、通話の相手方の音声信号を受信してスピーカ13に出力する。
【0037】
機能制御部21は、主制御部22、表示部23、操作部24、通話履歴記憶部25、リダイヤル処理部26、圏外告知部27、メッセージ記憶部28、圏外告知モード設定部29、ナビゲーションアプリ31、GPS部32を備えて構成されている。主制御部22は、マイクロコンピュータ、RAM、ROM等からなりコンピュータ装置として機能し、無線部14および機能制御部21の上記各部を制御する。
【0038】
表示部23、操作部24は、携帯電話10における通話のための表示および操作の他に、インターネット網を介したデータ通信のための操作および表示にも使用される。操作部24は、通話時に電話番号入力をするため、また、電子メールをはじめとするインターネット網を介した各種のデータ通信サービスを利用するために所望の文字列を入力するために使用される。例えば、ナビゲーションアプリ31を起動している場合には、操作部24は経路探索サーバ40に経路探索要求を行うための操作に、また、表示部23は経路探索サーバから受信した地図や案内経路を表示のために使用される。
【0039】
操作部24には、通話キー241、機能選択キー243、テンキー245が設けられ、通話時にはテンキー245を操作して電話番号を入力し、通話キー241を操作すると発信できる。また、テンキー245には英文字、カタカナ、ひらがなの文字が割り当てられ、図示していない英数カナ変換制御部により文字コード変換が行われる。文字コード変換は、入力モードが英数カナあるいはかな漢字変換モードであるかによりそれぞれ操作されたキーに応じた入力文字コードに変換される。機能選択キー243は携帯電話10の所定の機能を有効にするキーであり、メーカー、機種によりこのキーに割当てられる機能は異なる。
【0040】
図2は、図1に示す携帯電話10の外観を示す図である。携帯電話10は液晶表示ユニットなどで構成された表示部23と操作部24とを備えており、操作部24には通話キー241と機能選択キー243と複数のテンキー245が設けられ、また、参照番号を付していないモードキーや表示部23に表示された画面の特定表示画像を操作するためのカーソルキーなどを備えている。
【0041】
図1において、圏外告知モード設定手段29は、通話中に携帯電話10が通信エリアの圏外に出ることが予測される場合に相手方に圏外になり通話が切断される旨を告知する設定(圏外告知モード)を設定するためのものである。圏外告知部27は圏外告知モードに設定されている時、携帯電話10が通信エリア圏外に出る予測がなされた場合に通話の相手方にメッセージ記憶部28に記録されている圏外告知のメッセージを送信する。圏外予測は後述するようにナビゲーションアプリ31を起動中に経路探索サーバ40において行われる。
【0042】
また、通話履歴記憶部25は、着信、発信の通話履歴を記録するものであり、圏外告知モードに設定されている時には通話中の相手方電話番号等も通話履歴として記録する。リダイヤル処理部26は、一般のリダイヤル処理機能と同様に、利用者が通話履歴記憶部25に記録されている電話番号等を指定してリダイヤル操作された場合に当該電話番号に発呼する。本発明においては、圏外告知モードにおいて圏外告知を行った後、携帯電話10が通信エリアの圏内に戻った場合には、通話履歴記憶部25に記憶しておいた通話中の相手方電話番号に自動的にリダイヤルを行う。
【0043】
ナビゲーションアプリ31は携帯電話10からネットワーク50を介して経路探索サーバ40に接続してナビゲーションサービスを受けるためのアプリケーションである。携帯電話10の利用者がナビゲーションサービスを受けようとする場合には、このナビゲーションアプリ31を起動し、出発地、目的地、移動手段(徒歩や自動車などの区別)などの経路探索条件を設定して経路探索サーバ40に経路探索を要求する。
【0044】
経路探索サーバ40は、主制御部41、通信手段42、経路探索手段43、圏外予測手段44、道路ネットワークデータ45、通信エリアデータ46を備えて構成されている。主制御部41は、図示していないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段42は、ネットワーク50を介して携帯電話10と通信するためのインターフェースである。経路探索手段43は携帯電話10から送信された経路探索条件に従って道路ネットワークデータ45の探索用ネットワークデータを参照して最適経路を探索する。
【0045】
道路ネットワークデータ45は、地図データを含み、地図上の道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、経路探索サーバ40は、この道路ネットワークデータ45を参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯電話10に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。このような構成は一般のナビゲーションシステムと同様のものである。
【0046】
携帯電話10は経路探索サーバ40から案内経路データを受信するとこれを一時記憶し、表示図23に地図、案内経路などを表示する。GPS部32は一定の時間間隔でGPS衛星の信号を受信して携帯電話10の現在位置を算出する。GPS部32で算出した現在位置は表示部23に表示した地図、案内経路に重ねあわせて現在位置マークとして表示される。また、この現在位置は経路探索サーバ40に送信され、経路探索サーバ40は現在位置が案内経路から外れた場合には目的地までの経路を再探索する。
【0047】
本実施例1においては、経路探索サーバ40は各基地局がカバーする通信エリアの地理的範囲を蓄積したデータベースである通信エリアデータ46と圏外予測手段44を備えている点が一般的なナビゲーションシステムと異なる。圏外予測手段44は、携帯電話10に案内した案内経路(探索した最適経路)と、携帯電話10から送信される現在位置情報に基づいて携帯電話10が案内経路に沿って進行し、一定の時間後に通信エリアの圏外に出るか否かを予測する。圏外予測手段44は一定の時間後に携帯電話10が圏外になると判別すると携帯電話10にその旨を送信する。なお、この圏外予測手段44の動作は携帯電話10が前述した圏外告知モードに設定されている場合にアクティブとなるものである。
【0048】
次に、本発明の実施例1にかかる携帯電話10における圏外告知、リダイヤルの手順を図3に示すフローチャートを参照して説明する。携帯電話10において、圏外告知モード設定部29に圏外告知モードが設定され、また、ナビゲーションアプリ31が起動され経路探索サーバ40から案内経路を受信しているものとして以下の説明を行う。
【0049】
図3のフローチャートにおいて、ステップS11の処理において携帯電話10は着信、または発信状態であると呼の接続がなされる。ステップS12の処理において通話が終了したか否かが判定される。通話が終了していたならばステップS21の処理に進み、呼の切断が行われ処理を終了する。
【0050】
ステップS12の処理において通話が終了していなければ、ステップS13の処理においてナビゲーションアプリ31が起動中であるか判定する。ナビゲーションアプリ31が起動中でなければステップS12の通話終了の判定処理に戻る。携帯電話10においてナビゲーションアプリ31が起動中であるので、ステップS14の処理において携帯電話10が圏外告知モードに設定されているか否かを判定する。圏外告知モードに設定されていなければステップS12の通話終了の判定処理に戻る。携帯電話10において圏外告知モードに設定されているので、ステップS15の処理に進み、通話履歴記憶部25に通話中の相手方電話番号を記憶する。
【0051】
次いで、携帯電話10はステップS16の処理において、経路探索サーバ40から圏外予測を受信したか否かを判定する。圏外予測を受信していなければステップS16の処理を繰り返す。圏外予測を受信したてならばステップS17の処理に進み、圏外告知部27は、通話中の相手方に一定時間後に携帯電話10が通信エリアの圏外に出る旨のメッセージをメッセージ記憶手段25から読み出して送信する。告知メッセージには、再度通信圏内に入った場合リダイヤルする旨をつけ加えてもよい。
【0052】
また、この時同時に自携帯電話10のスピーカ(図示していない)から同じメッセージを出力し、携帯電話10の利用者にも圏外告知するように構成してもよい。この処理により、通話の相手方にも携帯電話10がまもなく通信エリアの圏外になり、通話が切断されることを前もって告知することができるようになる。
【0053】
ステップS17の処理において圏外告知を行った後、携帯電話10が案内経路上を進行して実際に圏外に出ると、ステップS18において携帯電話10と通話の相手方との通信は回線断となり、携帯電話10は待ち受けモードになる。
【0054】
携帯電話10は更に案内経路上を進行するとステップS19の処理において圏内になったか否かを判定する。ステップS19の処理において携帯電話10が隣接する基地局の通信エリアの圏内に入ったことが検出されると、ステップS20の処理においてリダイヤル処理部26は通話履歴記憶部25参照し、圏外告知時に通話中であった相手方の電話番号を取得して自動的にリダイヤル処理を行う。
【0055】
このように構成することにより、携帯電話10を自動車に固定してハンズフリーで通話している場合に、通話の相手方に予め一定時間後に通信圏外になることを告知することができ、また、隣接する通信圏内に入った場合に圏外により切断された相手方に自動的にリダイヤルすることができるようになる。
【0056】
以上の実施例は携帯電話10がGPS部32とナビゲーションアプリ31を搭載し、通信キャリアが提供する経路探索サーバ40によるナビゲーションサービスに登録、加入している場合に圏外告知、リダイヤルを行う例であったが、自動車に設置されたナビゲーション装置と連携する構成であってもよい。この場合のナビゲーション装置は地図、道路ネットワークデータなどをサーバからダウンロードしてスタンドアロンで動作する通信型のナビゲーション装置であってもよい。
【実施例2】
【0057】
図4は本発明の実施例2にかかる圏外告知機能を有する携帯電話を含むシステムの構成を示すブロック図である。図4のブロック図に示すように本発明の実施例2にかかるシステムは、圏外告知機能を有する携帯電話10とナビゲーション装置60とから構成され、携帯電話10とナビゲーション装置60とは無線LAN52などの近距離無線ネットワークで接続されデータ通信が可能な構成になっている。
【0058】
実施例2における携帯電話10は、実施例1の携帯電話10におけるGPS部32とナビゲーションアプリ31を備える必要がなく、代わりに通信キャリアを選択するキャリア選択部30を備えて構成されている。その他の構成は実施例1の携帯電話10と同様である。図4の携帯電話10において実施例1と同一の機能要素は同一の参照番号を付している。
【0059】
一方、ナビゲーション装置60は、通信エリアデータ66として、通信エリアデータ66に通信キャリアA、通信キャリアBで示すように通信キャリア毎の通信エリアの情報を蓄積している。また、探索した経路や地図を表示その他の構成は実施例1における経路探索サーバ40と同様の構成であり、主制御部61は図1の主制御部41に相当し、以下同様である。
【0060】
通信キャリア毎の通信エリアデータ66に通信キャリア毎の通信エリアの情報を蓄積(通信キャリアA、通信キャリアBなど)する理由は、基地局の設置場所、すなわち、通信エリアが通信キャリア毎に異なり、連携する携帯電話10が加入している通信キャリアにより通信可能なエリアが異なるためである。
【0061】
本実施例2において、携帯電話10の利用者が圏外告知の機能を有効にしたい場合には、圏外告知モード設定部29において圏外告知モードを設定するとともに、キャリア選択部30において携帯電話10が加入、登録している通信キャリアを選択する。そして、自動車に設置されたナビゲーション装置60と無線LAN52を介して圏外告知モードの設定、選択した通信キャリアの情報を送信する。
【0062】
ナビゲーション装置60は携帯電話10から通信キャリアの情報を受信すると、圏外予測手段64は通信エリアデータ66に蓄積された通信キャリア毎のデータのうち、該当する通信キャリアの通信エリアデータを選択して圏外予測を行う。
【0063】
ナビゲーション装置60のその他の構成要素の機能、動作は経路探索サーバ40の動作と同様であるが、一般的な車載用ナビゲーション装置と同様にナビゲーション装置60の現在位置はGPS部68で算出される。また、トンネル内などGPS衛星信号を受信できない場所においては自律航法部69において算出される。自律航法部69は加速度センサ、車速センサ、舵角センサ、などから構成されている。
【0064】
経路探索手段63は利用者によって指定された出発地から目的地までの最適経路を、道路ネットワークデータ65を参照して探索する。経路探索手段63によって探索された案内経路は地図、GPS部68または自律航法部69が算出した現在位置とともに表示手段67に表示される。
【0065】
一方、携帯電話10は圏外告知モード設定部29において圏外告知モードを設定すると、着信、または、発信状態になると通話履歴記憶部25に相手方の電話番号を記憶する。そしてナビゲーション装置60から圏外予測結果の通知を受信すると、圏外告知部27はメッセージ記憶部28に記憶してあるメッセージを読み出し、通話履歴記憶部25に記憶した通話の相手方に通話が切断される旨のメッセージを送信する。
【0066】
利用者が乗車した自動車が案内経路を進行し、携帯電話10が再び隣接した通信エリアの圏内に入ると、リダイヤル処理部26は通話履歴記憶部25に記憶された通話の相手先にリダイヤルする処理を行う。これにより、通信圏外で切断された通話相手方と自動的に再度通話を行うことができるようになる。
【0067】
次に、本発明の実施例2にかかる携帯電話10における圏外告知、リダイヤルの手順を図5に示すフローチャートを参照して説明する。ナビゲーション装置60が起動され経路探索、経路案内を実行しているものとして以下の説明を行う。
【0068】
図5は、携帯電話10がナビゲーション装置60と連携して圏外告知を行うための前処理の手順を示すフローチャートであり、ステップS31〜ステップS33は携帯電話10における処理、ステップS34〜ステップS36はナビゲーション装置60における処理を示している。
【0069】
先ず、ステップS31の処理において携帯電話10は、圏外告知モード設定部29に圏外告知モードを設定する。次に、ステップS32の処理においてキャリア選択部30により携帯電話10が加入している通信キャリアを選択する。そして、ステップS33の処理において携帯電話10はナビゲーション装置60に圏外告知モードと選択した通信キャリアの情報を送信する。
【0070】
ナビゲーション装置60はステップS34の処理において、携帯電話10から送信された圏外告知モードと選択した通信キャリアの情報を受信する。次いでナビゲーション装置60は、通信エリアデータ66に蓄積されたデータから該当する通信キャリアの通信エリアのデータを選択し、ステップS36の処理において圏外予測手段64をアクティブにして圏外予測処理を行う。
【0071】
この前処理が終了すると、携帯電話10とナビゲーション装置60が連携して携帯電話10が圏外告知を行う処理手順に入る。この処理手順は図3の実施例1に示すフローチャートの処理手順と同じであるが、実施例1においては圏外予測を経路探索サーバ40が行い、実施例2においては圏外予測をナビゲーション装置60が行う点、および、実施例1においては携帯電話10が備えるナビゲーションアプリ31と連携し、実施例2においては自動車に設置されたナビゲーション装置60と連携する点が相違する。
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、通話中に携帯電話が通信圏外になる場合に、予め通話の相手方にも通信圏外になることを告知し、また、携帯電話が通信圏内に戻ったら自動的にリダイヤルできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施例1にかかる圏外告知機能を有する携帯電話を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の携帯電話の外観を示す外観図である。
【図3】本発明の実施例1にかかる携帯電話の圏外告知、リダイヤルの手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2にかかる圏外告知機能を有する携帯電話を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2にかかる圏外告知機能を有する携帯電話がナビゲーション装置と連携して圏外告知を行うための前処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
10・・・携帯電話
11・・・通話部
12・・・マイク
13・・・スピーカ
14・・・無線部
21・・・機能制御部
22・・・主制御部
23・・・表示部
24・・・操作部
25・・・通話履歴記憶部
26・・・リダイヤル処理部
27・・・圏外告知部
28・・・メッセージ記憶部
29・・・圏外告知モード設定部
31・・・ナビゲーションアプリ
32・・・GPS部
40・・・経路探索サーバ
41・・・主制御部
42・・・通信手段
43・・・経路探索手段
44・・・圏外予測手段
45・・・道路ネットワークデータ
46・・・通信エリアデータ
50・・・ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索のための道路ネットワークデータと、通信エリアの情報を蓄積した通信エリアデータと、圏外予測手段と、を備えた経路探索サーバとネットワークを介して接続され、所望の地点から所望の地点までの経路を経路探索サーバから受信する携帯電話であって、
前記携帯電話は、前記経路探索サーバの圏外予測手段により所定時間後に通信エリアの圏外になることが予測された場合に、少なくとも通信の相手方にその旨を告知する圏外告知手段を備えることを特徴とする圏外告知機能を有する携帯電話。
【請求項2】
前記携帯電話は、更に通話履歴記憶手段と、リダイヤル処理手段と、を備え、前記通話履歴記憶手段に通信の相手先の電話番号を記憶し、当該携帯電話が通信エリアの圏外になり、移動により再び通信エリアの圏内になったことが検出された場合、前記リダイヤル処理手段は前記通話履歴記憶手段に記憶された前記相手方の電話番号にリダイヤルすることを特徴とする請求項1に記載の圏外告知機能を有する携帯電話。
【請求項3】
経路探索のための道路ネットワークデータと、各通信キャリアの通信エリアの情報を蓄積した通信エリアデータと、圏外予測手段と、を備えたナビゲーション装置と接続される携帯電話であって、
前記携帯電話は、通信キャリアを選択するキャリア選択手段と、前記ナビゲーション装置の圏外予測手段により所定時間後に前記通信エリアの圏外になることが予測された場合に、少なくとも通信の相手方にその旨を告知する圏外告知手段と、を備えることを特徴とする圏外告知機能を有する携帯電話。
【請求項4】
前記携帯電話は、更に通話履歴記憶手段と、リダイヤル処理手段と、を備え、前記通話履歴記憶手段に通信の相手先の電話番号を記憶し、当該携帯電話が前記通信エリアの圏外になり、移動により再び前記通信エリアの圏内になったことが検出された場合、前記リダイヤル処理手段は前記通話履歴記憶手段に記憶された前記相手方の電話番号にリダイヤルすることを特徴とする請求項3に記載の圏外告知機能を有する携帯電話。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−151049(P2007−151049A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346264(P2005−346264)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】