説明

土供給装置

【課題】テンション開放操作の面倒、テンション開放操作後の再調整が必要となって、操作が煩雑である。
【解決手段】土供給装置の土繰出ベルト5を、駆動ローラー15と従動ローラー16との間に掛け回す。従動ローラー16の従動軸18はフレーム側板10の長孔19に前後移動自在であって繰出ベルト5の張り具合を調節するテンション機構Tを介して軸装する。テンション機構Tは、フレーム側板10の支持板部23に対して前後移動する螺子軸22と、該螺子軸22に螺合して前記支持板部23に当接するロックナット25を有して構成する。テンション機構Tには、前記支持板部23とロックナット25の間に位置する作業位置と、前記支持板部23とロックナット25の間から退避する退避位置とに移動するテンション開放部材26を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗容器を移送する移送台に設けた土供給装置を設けた構成は公知である(特許文献1参照)。
この土供給装置の繰出ベルトはテンション機構により張り具合を調節自在としており、テンション機構はフレーム側板の支持板部に対して螺子軸を前後移動自在に設け、螺子軸に二個のナットを螺合させ、この二個の両方のナットを一つずつ回転させて、フレーム側板の支持板部に対して螺子軸を前後移動させ、繰出ベルトの従動ローラーの従動軸を繰出ベルトの張力に抗して前後動させて、張り具合を調節する構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−023622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、張り具合の調節は可能であるが、繰出ベルトを弛めるのが面倒であるという課題がある。
公知例では、ナットが振動等で弛まないように二個のナットを螺子軸に螺合させているため、一旦調節すると、不使用時もそのままであり、作業終了後であっても、繰出ベルトを張った状態で格納していた。
これは、繰出ベルトを弛めるには、二個のナットを逆回転させて、螺子軸を移動させなければ弛めることができないから、作業再開時には、必ず、繰出ベルトの張り具合調節をする必要が生じる。
そのため、繰出ベルトは一旦調節すると、不使用時(格納時)もそのままであり、耐久性が低下するという課題がある。
本願は、テンション機構の構成を工夫し、作業再開時の繰出ベルトの張り具合調節を不要とした繰出ベルトを弛緩させられるようにし、操作性および作業性を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、育苗容器Aを移送する移送台1に、前記育苗容器Aに床土または覆土を供給する土供給装置を設け、該土供給装置は、上部に土供給ホッパー4を設け、土供給ホッパー4の下方に土繰出ベルト5を設け、該繰出ベルト5は、駆動ローラー15と従動ローラー16との間に掛け回し、前記従動ローラー16は、前記育苗容器Aの移送方向後側に位置させて従動軸18によりフレーム側板10に軸装し、前記従動軸18は前記フレーム側板10の長孔19に前後移動自在であって繰出ベルト5の張り具合を調節するテンション機構Tを介して軸装し、該テンション機構Tは、前記フレーム側板10の支持板部23に対して前後移動する螺子軸22と、該螺子軸22に螺合して前記支持板部23に当接するロックナット25を有して構成し、前記テンション機構Tには、前記支持板部23とロックナット25の間に位置する作業位置と、前記支持板部23とロックナット25の間から退避する退避位置とに移動するテンション開放部材26を設けた土供給装置としたものである。
本発明は、前記テンション開放部材26は、所定厚さを有する板部材により形成した係合板部27と該係合板部27と平行状態に設けた操作板部28を有し、係合板部27と操作板部28の間の係合溝32を前記支持板部23に嵌合させる構成とした土供給装置としたものである。
本発明は、前記テンション開放部材26は、前記操作板部28に、前記螺子軸22に挿通する長孔30を設けて、螺子軸22に対して操作板部28を上下移動自在とし、前記係合板部27には、上方から螺子軸22に係合して側面視において螺子軸22と重ねられる係合溝29を形成した土供給装置としたものである。
本発明は、前記ロックナット25は螺子孔33内に樹脂部34を設けて構成した土供給装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、支持板部23とロックナット25の間に位置するテンション開放部材26を退避させるだけで、繰出ベルト5を弛緩させることができ、繰出ベルト5の弛緩操作を頗る容易にでき、しかも、ロックナット25を回転させずに行えるので、作業再開時の繰出ベルト5の張り具合調節も不要となって、操作性および作業性を著しく向上させることができる。
請求項2の発明では、テンション開放部材26を、所定厚さを有する板部材により形成した係合板部27と該係合板部27と平行状態に設けた操作板部28により構成しているので、頗る簡素な構成で、操作性および作業性の向上を実現できる。
請求項3の発明では、テンション開放部材26は、操作板部28に長孔30を、係合板部27に係合溝29を設けているので、簡単に、テンション開放部材26を螺子軸22から退避あるいは装着させる構成を実現できる。
請求項4の発明では、ロックナット25を螺子孔33内に樹脂部34を設けているので、振動等に起因するロックナット25の弛みを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】条播用播種装置の側面図。
【図2】同平面図。
【図3】土供給装置の縦断側面図。
【図4】同斜視図。
【図5】テンション機構部分の斜視図。
【図6】同テンション機構作用状態側面図。
【図7】同テンション機構の開放への移行状態側面図。
【図8】同テンション機構開放状態背面図。
【図9】同ロックナット断面図。
【図10】同ロックナット断面図。
【図11】土均平装置の側面図。
【図12】同高さ調節装置部分の側面図。
【図13】種子供給装置の断面図。
【図14】同側面図。
【図15】同斜視図。
【図16】同平面図。
【図17】同ホッパーを外した状態の斜視図。
【図18】灌水装置の側面図。
【図19】灌水装置の斜視図。
【図20】補助レールを下方回動させた側面図。
【図21】同一部拡大図。
【図22】同取付状態概略斜視図。
【図23】簡易撒播用の前灌水タイプの播種装置の側面図。
【図24】同平面図。
【図25】簡易撒播用の後灌水タイプの播種装置の側面図。
【図26】同平面図。
【図27】簡易条播用の播種装置の側面図。
【図28】同平面図。
【図29】全自動撒播用の前灌水タイプの播種装置の側面図。
【図30】同平面図。
【図31】全自動撒播用の後灌水タイプの播種装置の側面図。
【図32】同平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は育苗容器Aに床土を供給する土供給装置Tの育苗容器Aを移送する移送台、2は移送台1に設けた育苗容器Aを移送する移送ロール2、3は床土供給装置(土供給装置)である。床土供給装置3は、上部に床土供給ホッパー(土供給ホッパー)4を設け、床土供給ホッパー4の下方に床土繰出ベルト(土繰出ベルト)5を設け、移送台1に対して全体を一体状態で着脱自在に取付ける。
前記床土供給ホッパー4と前記繰出ベルト5との間に供給口6を形成し、該供給口6には供給量調節用の供給シャッター7を設ける。供給シャッター7は、枢支軸9により前記移送台1に設けたフレーム側板10に軸装し、枢支軸9と軸芯方向を並行に設けた操作軸11に固定の開閉操作ダイヤル12により供給量を調節するように構成する。
【0009】
前記繰出ベルト5は、駆動ローラー15と従動ローラー16との間に掛け回す。駆動ローラー15は育苗容器Aの移送方向前側に位置させる。駆動ローラー15は駆動軸17によりフレーム側板10に軸装する。従動ローラー16は、育苗容器Aの移送方向後側に位置させ、従動軸18によりフレーム側板10に軸装する。従動軸18は、フレーム側板10の長孔19に前後移動自在に軸装し、テンション機構Tにより常時繰出ベルト5を緊張させる。
テンション機構Tは、左右の長孔19に前後移動のみ自在に嵌合させた一対の移動部材20を有する。各移動部材20には従動軸18を両端を軸装する。各移動部材20には取付板部21を夫々設け、取付板部21には螺子軸22の基部を固定する。前記フレーム側板10の所定位置には側方に突出する支持板部23を設ける。前記螺子軸22は支持板部23の挿通孔24より後側に突出させる。支持板部23より突出した螺子軸22にはロックナット25を螺合させる。ロックナット25を回転させると、螺子軸22は支持板部23に対して前後移動して繰出ベルト5の張り具合を調節する。
【0010】
この螺子軸22には、繰出ベルト5の張り具合を弛めるテンション開放部材26を設ける。テンション開放部材26は、所定厚さを有する板部材により形成した係合板部27と係合板部27と平行状態に設けた操作板部28を有する。テンション開放部材26は、テンション機構Tを作動させる作業位置とテンション機構Tを弛める退避位置の間、螺子軸22の軸心方向に対して交差方向に移動自在に螺子軸22に取付ける。
前記係合板部27には、係合溝29を形成し、係合溝29を上方から螺子軸22に係合させる。係合板部27は、側面視において螺子軸22と重なっていると作業位置となり、上方に引き上げると側面視において螺子軸22に重ならない退避位置となる。
【0011】
前記操作板部28には長孔30を設け、長孔30を螺子軸22に挿通する。操作板部28の上部には操作ツマミ31を形成する。係合板部27の上部は操作板部28に固定し、係合板部27と操作板部28の間に所定の間隔を有する係合溝32を形成し、係合溝32を支持板部23に上方から係合させる。
前記ロックナット25は螺子孔33内に樹脂部34を設けて構成する。
そのため、ロックナット25は回転させると、螺子軸22に対して軸方向(前後方向)に移動するが、回転させないと、樹脂部34と螺子軸22との接触により、ロックナット25自体が回転して弛むのを防止する。
【0012】
したがって、ナットは、一個のロックナット25のみを螺子軸22に螺合させる。
床土供給装置3の移送方向下手側の前記移送台1には、床土均平装置37を一体状態で着脱自在に設ける(図1、図11)。床土均平装置37は回転ブラシ38を有し、回転ブラシ38は前記育苗容器Aに余分に供給した床土を所定量掻取りながら均平
すると共に、育苗容器Aの前後および左右の壁上面の土を除去するものである。
床土均平装置37の構成は任意であるが、一例を示すと、前記移送台1の上方に回転ブラシ38をアーム39により回動自在に取付ける。アーム39の内側の移送台1には左右一対のフレーム側板40を所定間隔をおいて並設する。前記フレーム側板40には回転ブラシ38のブラシ回転軸41を上下させる高さ調節装置42を設ける。
高さ調節装置42は、播種方法の変更および高さの相違する育苗容器Aに対応させるために上下させる。
【0013】
該高さ調節装置42は、前記回転ブラシ38のブラシ回転軸41の両端に一対の牽引支持部材43を夫々取付け、各牽引支持部材43は連結軸44により連結する。前記フレーム側板40の上部には前記連結軸44を上方から係合させて支持する高さの相違する切替用係合段部45を前後方向に複数設けて構成する。この切替用係合段部45は、フレーム側板40の上縁に複数円弧上に配置形成し、複数ある切替用係合段部45のうち何れかに選択係合させる。
回転ブラシ38は移送台1の移送ロール2からの回転を伝達して駆動回転させる。
【0014】
また、床土均平装置37は、後述するが、播種方法によって、設置位置を変更可能としうるように、移送台1に着脱自在に取付ける。
床土均平装置37の移送方向下手側の前記移送台1には、隅取り均平装置46を着脱自在に取付ける。
隅取り均平装置46の移送方向下手側の前記移送台1には、床土の上面に条溝を形成する条付けローラー47を上下自在に設ける。条付けローラー47は育苗容器Aの前壁を乗り越えるときに上動し、前壁を通過すると、床土の上面に接触して駆動回転し、床土の上面に条溝を形成する。条付けローラー47は移送台1に着脱自在に取付ける。条付けローラー47は移送台1の移送ロール2からの回転を伝達して駆動回転させる。
【0015】
条付けローラー47の移送方向下手側の前記移送台1には、育苗容器Aに播種する種子供給装置50を全体を一度に着脱自在に設ける。種子供給装置50は、フレーム51を前記移送台1の上方に設ける。フレーム51の側板52には種子供給ホッパー53を着脱自在に取付ける。
種子供給ホッパー53の下部は漏斗状に前側誘導板55と後側誘導板56を設ける。前側誘導板55の下端は、後側誘導板56に対して所定間隔を置いて設けてホッパー供給口57を形成する。前記前側誘導板55の下面には前記ホッパー供給口57の開口量を調節する供給量調節板58を移動自在に取付ける。59は供給量調節板58を移動調節させる調節ダイヤルである。
【0016】
前記種子供給ホッパー53の左右側板60には側方に突出する係合ピン61を設け、係合ピン61はフレーム51の側板52の係合溝62に着脱自在に係合させる。前記前側誘導板55には下方に突出する取付軸63を設け、取付軸63は前記側板52に設けた前側傾斜板64の挿通孔65に挿通する。前側傾斜板64の下面側には固定ダイヤル66を回転自在に設け、取付軸63に螺合させる。
即ち、種子供給ホッパー53は、側板60の係合ピン61を側板52の係合溝62に上方から係合させ、種子供給ホッパー53の前側誘導板55の取付軸63を側板52に固定の前側傾斜板64の挿通孔65に挿通し、取付軸63に前側傾斜板64の固定ダイヤル66を螺合させて取付ける。
【0017】
反対に、固定ダイヤル66を外して、種子供給ホッパー53を持ち上げると、挿通孔65から取付軸63は抜け、係合溝62から係合ピン61が外れて、種子供給ホッパー53を取り外すことができ、掃除等のメンテナンスを行う。
この場合、種子供給ホッパー53の後側誘導板56の下方には、種子を繰出す軸心が左右方向の大径の横軸繰出ロール69を設け、種子供給ホッパー53を外すと横軸繰出ロール69の上面も開放でき、横軸繰出ロール69の繰出凹部70に残った種子も全て除去でき、播種用種子の品種交換の際の残留種子の除去を容易にする。
【0018】
前記繰出凹部70は、横軸繰出ロール69の外周面の母線方向(左右方向)に平行な横条溝形状に形成する。繰出凹部70は所望の間隔をおいて横軸繰出ロール69の全周に形成する。繰出凹部70は円周方向に種子が横向き1列または2列程度に嵌合する幅に形成される。横軸繰出ロール69の外周面には母線方向(左右方向)に一粒の種子の横向きの幅より短かい間隔をおいてスリット72を全周に設ける。スリット72の深さは繰出凹部70と略同じか若干深く形成し、各スリット72には掻出用ナイフ73を嵌合させる(図13)。
74は前記横軸繰出ロール69の上方位置(正確には横軸繰出ロール69の真上よりも稍後側)に設けた種子戻し回転ブラシ、75は種子誘導体である。
【0019】
横軸繰出ロール69は直径180ミリメートル以上の大径に形成し、種子供給ホッパー53の前側誘導板55の先端は横軸繰出ロール69の真上より下方の側方に位置させ、繰出凹部70への種子の嵌合を良好にさせている。
種子供給装置50は、フレーム51を移送台1に対して上下機構76を介して上下動自在に取付ける。上下機構76は、所謂撒播の播種方法のときには移送台1を移送される床土正面に対してすれすれの低位置に位置させ、所謂条播の播種方法では、後述する条付けローラー47によって形成される床土の条溝に種子を誘導する誘導体(図示省略)を装着するので、その分高位置に位置させる。
また、高さの相違する育苗容器Aに対応させるために上下させるときもある。
【0020】
種子供給装置50の移送方向下手側の前記移送台1には、床土の上面を鎮圧する鎮圧ローラー78を上下自在に設ける。鎮圧ローラー78は、条付けローラー47と同様に、移送台1の移送ロール2からの回転を伝達して駆動回転させ、育苗容器Aの前壁を乗り越えるときに上動し、前壁が通過すると、床土の上面に接触して駆動回転し、床土の上面を鎮圧して、条溝を形成している条の山を崩す。鎮圧ローラー78も移送台1に着脱自在に取付ける。
【0021】
鎮圧ローラー78も条付けローラー47と同様に移送ロール2からの回転を伝達して駆動回転させているので、回転伝達機構および上下機構を鎮圧ローラー78と条付けローラー47とを兼用して、鎮圧ローラー78と条付けローラー47とを交換可能とすると、部品を共用化することにより、コストダウンできる。
鎮圧ローラー78の下手側には、灌水装置80を設ける。灌水装置80の構成は任意であるが、一例を示すと、前後一対の灌水横筒部81に所定間隔を置いてノズル孔82を形成する。灌水装置80には水量計(圧力計)83と調節バルブ84と開閉バルブ85とリリーフ弁86とホース接続部87を設けている。ホース接続部87には水源(図示省略)に接続したホース(図示省略)を接続する。88は開閉バルブ85の開閉レバー、89は薬剤を入れたタンク(図示省略)に接続したホース(図示省略)を接続する薬剤吸引部である。
【0022】
灌水装置80は、前記灌水横筒部81を有する灌水パイプ90を、前記移送台1に設けた灌水フレーム91に着脱自在に取付けて構成する。灌水フレーム91は、移送台1に着脱自在に取付ける。
育苗容器Aに供給した床土に灌水装置80により灌水する場合、床土の性状や種子の品種等により、種子供給の前に灌水する方法を「前灌水」と当業者は呼び、種子供給の後に床土および種子にも灌水する方法を「後灌水」と当業者は呼んでおり、この「前灌水」と「後灌水」とに対応するように、灌水装置80は取付位置切替自在に構成している。
【0023】
なお、「前灌水」と「後灌水」の灌水装置80を設置するためのスペースの関係で、灌水装置80の設置位置に対応させて前記種子供給装置50を前後に取付位置変更自在に構成している。
灌水装置80の種子供給装置50の下手側には、覆土供給装置92を設ける。覆土供給装置92は床土供給装置3の構成と同一であり、上部に覆土供給ホッパー4を設け、覆土供給ホッパー4の下方に覆土繰出ベルト5を設け、供給ホッパー4と前記繰出ベルト5との間の供給口6に床土供給装置3と同様な供給量調節用の供給シャッター7を設け、覆土供給装置92の覆土繰出ベルト5にもテンション機構Tを設け、テンション機構Tには、床土供給装置3と同様な、繰出ベルト5の張り具合を弛めるテンション開放部材26を設けている。
【0024】
覆土供給装置92の下手側には、育苗容器Aの前後壁および左右壁の上面に落下した覆土を除去する覆土落体92Aを設ける。覆土落体92Aは平面視において頂点を後側とするV形状に形成している。
しかして、育苗容器Aを移送する移送台1は、所定間隔を置いて複数の支脚93を設けて、床上に載置するように形成する。
移送台1は、中央のメインフレーム94の移送方向の前後両側に補助レール95を着脱自在に取付けて構成する。
【0025】
メインフレーム94は、左右一対のフレーム部材96を有し、左右のフレーム部材96間に移送ロール2のロール回転軸97を軸装する。図示は省略するが、フレーム部材96の側板より外側に突出する部分の各ロール回転軸97には歯車を固定状態に取付け、各歯車には無端状のチェンを掛け回し、チェンは一本状に形成して複数の移送ロール2の歯車に掛け回し、各移送ロール2を駆動回転させる。
前記補助レール95のうち始端側の補助レール95は、左右一対の補助フレーム部材98に移送ベルト99を掛け回すローラー100を始端側に設ける。移送ベルト99は補助レール95のローラー100とメインフレーム94側に設けたメイン側ローラー101の間に掛け渡すように巻回する。
【0026】
補助レール95は、メインフレーム94に取付部材102を介して着脱自在且つ回動自在に取付ける。取付部材102は、前後一対のメインステー102Aと補助ステー102Bとにより形成し(図21)、メインステー102Aはメインフレーム94の下面側に取付ける。メインステー102Aは下方に突出する縦板103を有し、縦板103に長孔104を形成する。
【0027】
補助レール95の各補助フレーム部材98には補助ステー102Bを固定し、補助ステー102Bには前記長孔104に係合する係合ピン105を夫々設ける。係合ピン105は左右何れか一方側の同方向に向けて突出するように設け、一方側から各係合ピン105を各長孔104に差込み係合させる。106は係合ピン105を設けた縦板である。
前記移送台1のメインフレーム94には上側取付部材107を設け、上側取付部材107には取付孔108を設け、取付孔108を補助レール95の補助フレーム部材98に設けた取付孔109と一致させ、ボルト等の固定具110により固定する。
【0028】
移送ベルト99は予めメインフレーム94側のメイン側ローラー101に巻回しておき、図22のように、移送ベルト99の輪の中に補助レール95をくぐらせて、補助レール95のローラー100に掛け回し、次に、補助レール95の係合ピン105を長孔104に合わせて係合させ、係合ピン105により上方回動自在となり、次に、移送台1のメインフレーム94の上側取付部材107の取付孔108に補助レール95の取付孔109と一致させると、移送ベルト99の張り具合がちょうど良くなり、この状態で固定具110により固定する。110Aは左右の各補助フレーム部材98を連結する連結部材である。
【0029】
なお、補助レール95の始端側(後側)のローラー100の回転軸111は、補助レール95の長孔19内を前後移動自在の移動部材20に両端を軸装し、補助レール95と回転軸111の間に床土供給装置3のテンション機構Tと同一構成のテンション機構Tを設け、移送ベルト99の張り具合を調節できるようにしている。
また、前記補助レール95のうち終端側の補助レール95には、移送ローラー2Aを複数並設する。移送ローラー2Aには駆動を伝達させずに、自由回転とし、先行する育苗容器Aを後続の育苗容器Aにより押して、終端側の補助レール95に移送し、終端側の補助レール95で播種済み育苗容器Aを回収する。
【0030】
しかして、播種方法は、従来、手作業による土や種子の供給から、機械による土および種子の供給に進化し、手作業に比し育苗容器A内に均等に播種できるようになり、播種方法においても、育苗容器Aに均等にばらまく撒播から「すじ(条)」播きの条播と進化しており、これらの播種方法および播種装置は種々存在する。
しかし、これらの自動化した種々の装置の基本構成は、移送台1の上方に各種供給装置を設けたものであるが、移送台1に設ける供給装置の種類により、移送台1自体の長さや、各供給装置との間隔が相違し、しかも、不使用時の格納を考慮して全長を短くするように各装置の間隔を短くしているため、多様な種類の播種装置が存在することになっている。
【0031】
そこで、本願は、この各種供給装置の配置等を予め予測して着脱・交換・変更可能にすることにより、移送台1を共用化し、製造コストの削減や、品質および商品管理の容易化を図り、全体のコストの削減に寄与する。
図23〜図26は、図1の条播用播種装置Hと移送台1を共用し、予め床土を供給した育苗容器Aに、種子および覆土を供給する播種装置Hであり、共用する移送台1のメインフレーム94に対し、始端側の補助レール95および床土供給装置3を取り外して、移送台1の全長を短くしたものである。
そのため、所謂簡易撒播用播種装置Hとなる。
【0032】
また、簡易撒播用播種装置Hでは、床土の供給および床土に条溝を形成する必要がないので、床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46と条付けローラー47を取り外した部分のメインフレーム94を育苗容器Aの供給スペースとし、鎮圧ローラー78も取り外し、種子供給装置50を上下機構76により低位置にセットさせている。
【0033】
この所謂撒播の播種方法では、前記のように、種子供給の前に灌水する「前灌水」の播種装置Hと、種子供給の後に床土および種子にも灌水する「後灌水」の播種装置Hとを、作業者が選択しうるように用意し、図23,図24は「前灌水」の簡易撒播用播種装置Hであり、種子供給装置50を「前位置」に移動させ、種子供給装置50の後側のメインフレーム94に灌水装置80を設置している。
【0034】
図25,図26は、「後灌水」の簡易撒播用播種装置Hであり、種子供給装置50を「後位置」に移動させ、種子供給装置50の前側のメインフレーム94に灌水装置80を設置している。
図27、図28は、予め床土を供給した育苗容器Aに、種子を条播して覆土する簡易条播用播種装置Hであり、「後灌水」の簡易撒播用播種装置Hに、条付けローラー47および鎮圧ローラー78を装着し、更に、種子供給装置50を上下機構76により条播用の高位置に切り替えている。
【0035】
そのため、簡易撒播用播種装置Hに対して条播が可能となり、図1の全自動条播用播種装置Hに対しては、床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46を不要にするので、安価に提供できる。
なお、図23〜図28の播種装置では、育苗容器Aの前後壁および左右壁の上面に落下した覆土を除去するため、床土均平装置37の回転ブラシ38を、覆土供給装置92の下手側に取付け、回転ブラシ38を供給した覆土上面に接触しないように高さを調節して共用しているが、覆土を除去する覆土落体92Aを設けてもよい。
また、覆土を除去するための床土均平装置37の回転ブラシ38を設ける場合、隅取り均平装置46が床土均平装置37のフレームに取り付けられているため、隅取り均平装置46を床土均平装置37の回転ブラシ38と共に装着しているが、隅取り均平装置46は育苗容器Aに接触しない高させにセットしておく。
【0036】
図29〜図32は、育苗容器Aに、床土と種子と覆土を一作業で連続して供給する播種装置Hであり、共用するメインフレーム94に対し、始端側に補助レール95を装着して育苗容器Aの供給スペースとし、メインフレーム94に床土均平装置37と隅取り均平装置46を装着し、更に、種子供給装置50を上下機構76により撒播用の低位置に切り替えている。
そのため、所謂撒播式の全自動撒播用播種装置Hとなる。
【0037】
また、図29〜図32の全自動撒播用播種装置Hのうち、図29,図30では、「前灌水」の全自動撒播用播種装置Hであり、種子供給装置50の後側の移送台1に灌水装置80を設置し、図31,図32では、「後灌水」の全自動撒播用播種装置Hとなり、種子供給装置50の前側に灌水装置80を設置している。
図1は、育苗容器Aに、種子を条播する全自動条播用播種装置Hであり、共用するメインフレーム94に対し、始端側に補助レール95を装着して育苗容器Aの供給スペースとし、始端側の補助レール95と種子供給装置50の間に床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46と条付けローラー47を設け、種子供給装置50の下手側に鎮圧ローラー78を装着し、種子供給装置50を上下機構76により条播用の高位置に切り替えている。
【0038】
即ち、全自動条播用播種装置Hでは、条付けローラー47によって床土に条溝を形成しても、種子供給装置50による種子供給前に灌水装置80によって灌水すると、条溝が崩れてしまうので、種子供給装置50の下手側に灌水装置80を設け、「後灌水」仕様とする。
また、各播種装置Hにおいて、床土供給装置3と種子供給装置50と灌水装置80と覆土供給装置92の下方には、育苗容器Aに入らない土や水等を受け止める受けシート112を設ける。
この場合、受けシート112は着脱自在に移送台1に取付け、更に、種子供給装置50と灌水装置80の下方の受けシート112は、種子受け箱(図示省略)の挿入口と「前灌水」および「後灌水」に伴う種子供給装置50と灌水装置80の位置変更に対応させた形状に形成している。
【0039】
このように、補助レール95の着脱と、床土供給装置3の着脱と、種子供給装置50および灌水装置80の設置(取付)位置の変更と、種子供給装置50の高さ位置切替とにより、予め床土を供給した育苗容器Aに種子および覆土を供給する簡易撒播用播種装置Hの「前灌水」タイプと「後灌水」タイプさらに簡易条播用播種装置Hと、床土と種子と覆土を供給する全自動撒播用播種装置Hの「前灌水」タイプと「後灌水」タイプと、種子を条播する全自動条播用播種装置Hの6種類の播種装置Hの、少なくとも、補助レール95を含めた移送台1と、床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46と条付けローラー47と種子供給装置50と灌水装置80と覆土供給装置92とを、共用した播種装置Hとすることができる。
【0040】
(実施例の作用)
先ず、すじ播きの条播用播種装置Hの播種方法にて以下説明する。
移送台1の補助レール95の始端部に、育苗容器Aを供給すると、育苗容器Aは移送ロール2により床土供給装置3の下方に至る。
床土供給装置3では床土繰出ベルト5が回転しているので、床土供給ホッパー4内の床土が床土供給ホッパー4と前記繰出ベルト5との間に供給口6から床土繰出ベルト5により繰り出され、供給口6から繰り出された床土は下方を通過する育苗容器Aに供給される。
【0041】
床土供給装置3の繰出ベルト5は、駆動ローラー15と従動ローラー16との間に掛け回され、床土供給装置3の従動ローラー16の従動軸18は移動部材20に軸装され、各移動部材20には取付板部21を夫々設け、取付板部21には螺子軸22の基部を固定し、螺子軸22はフレーム側板10の支持板部23の挿通孔24に挿通させて、支持板部23より突出した螺子軸22にロックナット25を螺合させているから、繰出ベルト5の自体の弾力により移動部材20は常時前側に移動するように付勢され、ロックナット25を回転させると、螺子軸22は支持板部23に対して前後移動して繰出ベルト5の張り具合を調節する。
【0042】
この螺子軸22には、繰出ベルト5の張り具合を弛めるテンション開放部材26を設けているから、播種装置Hの不使用時には、テンション開放部材26により繰出ベルト5の緊張を開放すると、繰出ベルト5は弛み、耐久性を向上させられる。
このテンション開放部材26は、ロックナット25と支持板部23の間に出入りする所定厚さの係合板部係合板部27を有して構成しているので、ロックナット25と支持板部23の間に係合板部27を位置させて、作業位置とし、テンション機構Tにより繰出ベルト5を緊張させて、土供給作業を行う。
【0043】
作業が終了し、ロックナット25と支持板部23の間から係合板部27を外すと、係合板部27の厚み分ロックナット25は繰出ベルト5の張力で支持板部23に向かって移動し、ロックナット25および螺子軸22の移動によって、繰出ベルト5は弛み、テンション機構Tによる緊張状態から開放させられ、耐久性を向上させられる。
このテンション開放部材26は、係合板部27と該係合板部27と平行状態に設けた操作板部28を有して構成し、係合板部27には係合溝29を形成し、操作板部28には長孔30を設けているので、操作板部28の長孔30を螺子軸22に挿通して螺子軸22に装着する。
【0044】
そして、係合板部27と操作板部28の間の係合溝32を支持板部23に上方から嵌合させると、作業位置とし、テンション機構Tにより繰出ベルト5を緊張させ、作業可能状態となる。
次に、操作ツマミ31により操作板部28を上方に引き抜くと、ロックナット25と支持板部23の間から係合板部27を外すことができるので、繰出ベルト5は弛み、テンション機構Tによる緊張状態から開放させる。
【0045】
したがって、操作ツマミ31による操作板部28を上方の引き抜くという一つの操作により、テンション機構Tによる緊張状態から開放させることができ、操作性を頗る容易にする。
しかも、係合板部27をロックナット25と支持板部23の間に差し込むだけで、ロックナット25を回転させないで、テンション機構Tを作用させられるので、作業再開時の初期設定の再調整を不要にでき、頗る容易になる。
【0046】
また、テンション開放部材26は、係合板部27と操作板部28により構成し、係合板部27に係合溝29を、操作板部28に長孔30を設ければよいので、構造が頗る簡素で、テンション開放部材26の組立は、操作板部28の長孔30を螺子軸22に挿通させるだけでよく、組立も容易になる。
このロックナット25は、螺子孔33内に樹脂部34を設けて構成しているので、回転させると、螺子軸22に対して螺合して前後方向に移動するが、テンション機構Tによる繰出ベルト5の張り具合調節後は、樹脂部34と螺子軸22との接触により、振動等に起因するロックナット25の弛み発生を防止する。
【0047】
次に、床土供給装置3で床土の供給を受けた育苗容器Aは、床土均平装置37の回転する回転ブラシ38により、育苗容器Aに余分に供給した床土を所定量掻取りながら均平される。
次に、床土均平装置37により床土上面が均平された育苗容器Aは、隅取り均平装置46の下方に至り、隅取り均平装置46により育苗容器Aの後壁の隅の床土を均平される。
【0048】
次に、育苗容器Aが条付けローラー47の下方に至ると、条付けローラー47により床土の上面に条溝が形成される。条溝が形成された育苗容器Aは種子供給装置50の下方にいたり、回転する横軸繰出ロール69の繰出凹部70に嵌合している種子の供給を受け、案内体(図示省略)により案内されて、条溝内に種子が落下する。
【0049】
種子供給装置50の種子供給ホッパー53はフレーム51の側板52に着脱自在に取付け、種子供給ホッパー53の左右側板60には側方に突出する係合ピン61を設け、前側誘導板55には下方に突出する取付軸63を設け、側板52に設けた前側傾斜板64の挿通孔65には固定ダイヤル66を設けているので、固定ダイヤル66を外して、種子供給ホッパー53を持ち上げると、挿通孔65から取付軸63が抜け、係合溝62から係合ピン61が外れて、種子供給ホッパー53を側板52から取り外すことができ、種子供給ホッパー53内および横軸繰出ロール69の繰出凹部70に嵌合している残留種子を除去する。
【0050】
そして、側板60の係合ピン61を側板52の係合溝62に上方から係合させ、種子供給ホッパー53の前側誘導板55の取付軸63を側板52に固定の前側傾斜板64の挿通孔65に挿通し、前側傾斜板64の固定ダイヤル66を螺合させると、装着できるので、別の種子を種子供給ホッパー53に供給し、品種交換して、播種作業を行なえる。
【0051】
したがって、一本の取付軸63と固定ダイヤル66とを螺合させているので、着脱作業を頗る容易にでき、簡単に、品種交換した播種作業およびメンテナンス作業を行え、作業性を向上させられる。
種子供給装置50の移送方向下手側の前記移送台1には、鎮圧ローラー78を設けているので、種子の供給を受けた育苗容器Aは、鎮圧ローラー78により床土の上面が鎮圧され、条溝を形成した山が崩され、床土内に種子が埋められる。
種子の種子の供給を受けた育苗容器Aは、灌水装置80により床土および種子に灌水する。
【0052】
灌水を受けた育苗容器Aは、覆土供給装置92の下方に至り、覆土の供給を受ける。
この覆土供給装置92の繰出ベルト5も、テンション機構Tにより緊張させられているので、作業終了後には、テンション開放部材26により繰出ベルト5を弛め、繰出ベルト5の耐久性を向上させられる。
【0053】
しかして、育苗容器Aを移送する移送台1は所定間隔を置いて設けた複数の支脚93により床上に載置するように形成し、移送台1は、メインフレーム94とメインフレーム94の移送方向の前後両側に設けた補助レール95とにより構成し、補助レール95はメインフレーム94に対して着脱自在に構成しており、補助レール95は、移送台1のメインフレーム94の取付部材102の前後方向の長孔104に係合ピン105を挿通し、移送台1の上側取付部材107に補助レール95を固定具110により固定した通常使用状態では係合ピン105が長孔104の後側に位置しているから、固定具110を外して、係合ピン105中心に補助レール95を下方回動させると、係合ピン105は長孔104内を前側に移動する。
【0054】
そのため、移送ベルト99が弛み、補助レール95の取り外しが容易になる。
次に、補助レール95の係合ピン105は左右何れか一方の同方向に向けて突出するように設けているので、補助レール95をメインフレーム94に対して横方向に移動させると、各係合ピン105は各長孔104から同時に外れ、更に移送ベルト99が弛むので、輪状の弛んだ移送ベルト99から補助レール95を横に抜くことができ、補助レール95の取り外しを容易にする。
【0055】
そのため、メインフレーム94の始端側の補助レール95を取り外せるので、移送台1の格納スペースを小さくする。
反対に、補助レール95の装着は、弛んでいる移送ベルト99の輪の中に横方向から補助レール95を差し込み、次に、係合ピン105を長孔104に挿入係合させ、係合ピン105を中心に補助レール95を上方回動させる。
補助レール95を上方回動させると、係合ピン105が長孔104内を後側に移動し、補助レール95の前端がメインフレーム94の後端に当たり、補助レール95の取付孔109とメインフレーム94の上側取付部材107の取付孔108とを一致させ、固定具110により固定する。
【0056】
したがって、補助レール95は、上側取付部材107と係合ピン105とにより上下二カ所で支持されながら、簡単に着脱できる。
なお、終端側の補助レール95も、長孔104と係合ピン105を有する取付部材102により取付けてもよい。
しかして、以上は、床土供給装置3と条付けローラー47等を全て設けた図1の全自動条播用播種装置Hによる播種作業の概略であるが、播種作業は、従来、土や種子の手作業による供給形態から図1の全自動条播用播種装置Hによる供給形態にまで進化している。
【0057】
これらの、機械化した種々の播種装置は、移送台1に設ける供給装置の種類により、移送台1自体の長さや、各供給装置との間隔が相違し、しかも、不使用時の格納を考慮して全長を短くするように各装置の間隔を短くしているため、例えば、同じ撒播による播種装置であっても多様な種類の播種装置が存在することになっている。
本願では、この各種供給装置の配置等を予め予測して変更可能にすることにより、移送台1を共用化でき、製造コストの削減や、品質および商品管理の容易化が図れ、全体のコストの削減に寄与する。
【0058】
例えば、図23〜図26の播種装置では、図1の条播用播種装置Hと移送台1を共用し、予め床土を供給した育苗容器Aに、種子および覆土を供給する播種装置であり、共用する移送台1のメインフレーム94に対し、始端側の補助レール95および床土供給装置3を取り外し、移送台1の全長を短くしたものであるから、所謂撒播式の簡易撒播用播種装置Hとなる。
【0059】
この図23〜図26の簡易撒播用播種装置Hでは、床土の供給および床土に条溝を形成する必要がないので、床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46と条付けローラー47を装着しない(図1の播種装置から取り外し)。また、これらの床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46と条付けローラー47を装着していない部分のメインフレーム94を育苗容器Aの供給スペースとするので、補助レール95は不要となり、メインフレーム94に装着しない。
【0060】
また、鎮圧ローラー78も取り外して、種子供給と灌水と覆土供給だけで構成しているから、低価格の播種装置として提供できる。
この簡易撒播用播種装置Hでは、育苗容器Aに供給した床土に予め灌水すると、育苗容器Aの運搬が大変になるので、灌水装置80により床土に灌水するが、種子供給前に灌水する方法を「前灌水」と当業者は呼び、種子供給後に床土(種子)に灌水する方法を「後灌水」と当業者は呼んでおり、簡易撒播用播種装置Hのうち図23,図24の播種装置では、図1の条播用播種装置Hと比較して種子供給装置50を「前位置」に移動させ、種子供給装置50の後側のメインフレーム94に灌水装置80を設置しているので、「前灌水」の簡易撒播用播種装置Hとなる。
【0061】
また、撒播用播種装置Hのうち図25,図26では、図1の条播用播種装置Hと比較して、図1と同じ種子供給装置50を「後位置」に設置し、種子供給装置50の前側のメインフレーム94に灌水装置80を設置しているので、「後灌水」の簡易撒播用播種装置Hとなる。
また、図27、図28では、予め床土を供給した育苗容器Aに種子を供給する播種装置であるが、図1と同じく種子供給装置50を「後位置」に設置し、種子供給装置50の後側に条付けローラー47を配置し、種子供給装置50の前側のメインフレーム94に鎮圧ローラー78および灌水装置80を設置しているので、床土供給装置3を省略した簡易条播用播種装置Hを提供でき、全自動条播用播種装置Hに対して安価に提供できる。
【0062】
また、図29〜図32では、他の播種装置と共用するメインフレーム94の始端側に補助レール95を装着して育苗容器Aの供給スペースとし、メインフレーム94の始端側に床土均平装置37と隅取り均平装置46を装着しているので、床土と種子と覆土を一度の作業で供給できる全自動撒播用播種装置Hとなる。
このうち、図29,図30では、種子供給装置50の後側のメインフレーム94に灌水装置80を設置しているので、「前灌水」の全自動撒播用播種装置Hとなり、図31,図32では、種子供給装置50の前側のメインフレーム94に灌水装置80を設置しているので、「後灌水」の全自動撒播用播種装置Hとなる。
【0063】
図1では、他の播種装置Hと共用するメインフレーム94の始端側に補助レール95を装着して育苗容器Aの供給スペースとし、床土供給装置3と種子供給装置50の間に床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46と条付けローラー47を設け、種子供給装置50の下手側に鎮圧ローラー78を装着しているので、床土と種子と覆土を一度の作業により供給でき、かつ、すじ播きとなる全自動条播用播種装置Hとなる。
【0064】
このように、補助レール95の着脱と、床土供給装置3の着脱と、種子供給装置50および灌水装置80の設置(取付)位置の変更と、種子供給装置50の高さ位置切替とにより、予め床土を供給した育苗容器Aに、種子および覆土を供給する簡易撒播用播種装置Hの「前灌水」タイプと「後灌水」タイプさらに簡易条播用播種装置Hと、床土と種子と覆土を一度に供給する全自動撒播播種装置Hの「前灌水」タイプと「後灌水」と、種子を条播する全自動条播用播種装置Hの6種類の播種装置Hの、少なくとも、補助レール95を含めた移送台1と、床土供給装置3と床土均平装置37と隅取り均平装置46と条付けローラー47と種子供給装置50と灌水装置80と覆土供給装置92とを、共用した播種装置Hとすることができる。
なお、前記した各播種装置Hの実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0065】
1…移送台、2…移送ロール、3…床土供給装置、4…床土供給ホッパー、5…繰出ベルト、6…供給口、7…供給シャッター、10…フレーム側板、15…駆動ローラー、16…従動ローラー、17…駆動軸、18…従動軸、19…長孔、20…移動部材、21…取付板部、22…螺子軸、23…支持板部、24…挿通孔、25…ロックナット、26…テンション開放部材、27…係合板部、28…操作板部、29…係合溝、30…長孔、31…操作ツマミ、32…係合溝、33…螺子孔、34…樹脂部、37…床土均平装置、38…回転ブラシ、39…アーム、40…フレーム側板、41…ブラシ回転軸、42…高さ調節装置、43…牽引支持部材、44…連結軸、45…切替用係合段部、46…隅取り均平装置、47…条付けローラー、50…種子供給装置、51…フレーム、52…側板、53…種子供給ホッパー、55…前側誘導板、56…後側誘導板、57…ホッパー供給口、58…供給量調節板、59…調節ダイヤル、60…側板、61…係合ピン、62…係合溝、63…取付軸、64…前側傾斜板、65…挿通孔、66…固定ダイヤル、69…横軸繰出ロール、70…繰出凹部、72…スリット、73…掻出用ナイフ、76…上下機構、78…鎮圧ローラー、80…灌水装置、81…灌水横筒部、82…ノズル孔、83…水量計、84…調節バルブ、85…開閉バルブ、86…リリーフ弁、87…ホース接続部、90…灌水パイプ、91…灌水フレーム、92…覆土供給装置、93…支脚、94…メインフレーム、95…補助レール、96…フレーム部材、97…ロール回転軸、98…補助フレーム部材、99…移送ベルト、100…ローラー、101…メイン側ローラー、102…取付部材、103…縦板、104…長孔、105…係合ピン、107…上側取付部材、108…取付孔、109…取付孔、110…固定具、111…回転軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗容器Aを移送する移送台1に、前記育苗容器Aに床土または覆土を供給する土供給装置を設け、該土供給装置は、上部に土供給ホッパー4を設け、土供給ホッパー4の下方に土繰出ベルト5を設け、該繰出ベルト5は、駆動ローラー15と従動ローラー16との間に掛け回し、前記従動ローラー16は、前記育苗容器Aの移送方向後側に位置させて従動軸18によりフレーム側板10に軸装し、前記従動軸18は前記フレーム側板10の長孔19に前後移動自在であって繰出ベルト5の張り具合を調節するテンション機構Tを介して軸装し、該テンション機構Tは、前記フレーム側板10の支持板部23に対して前後移動する螺子軸22と、該螺子軸22に螺合して前記支持板部23に当接するロックナット25を有して構成し、前記テンション機構Tには、前記支持板部23とロックナット25の間に位置する作業位置と、前記支持板部23とロックナット25の間から退避する退避位置とに移動するテンション開放部材26を設けた土供給装置。
【請求項2】
請求項1において、前記テンション開放部材26は、所定厚さを有する板部材により形成した係合板部27と該係合板部27と平行状態に設けた操作板部28を有し、係合板部27と操作板部28の間の係合溝32を前記支持板部23に嵌合させる構成とした土供給装置。
【請求項3】
請求項2において、前記テンション開放部材26は、前記操作板部28に、前記螺子軸22に挿通する長孔30を設けて、螺子軸22に対して操作板部28を上下移動自在とし、前記係合板部27には、上方から螺子軸22に係合して側面視において螺子軸22と重ねられる係合溝29を形成した土供給装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記ロックナット25は螺子孔33内に樹脂部34を設けて構成した土供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−85559(P2012−85559A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233616(P2010−233616)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000132219)株式会社スズテック (25)
【Fターム(参考)】