説明

土嚢集合体

【課題】 本発明は、容易に視認可能なより大きな表示模様が得られる土嚢集合体を提供すること。
【解決手段】複数の単独土嚢よりなる案内表示用の土嚢集合体Aであって、土嚢集合体全体に統一した表示模様1が付与され単独土嚢Bが表示模様の一部を担っており、また、その表示模様1が、モチーフとなっている土嚢集合体。
単独土嚢Bが円筒状である土嚢集合体Aであり、単独土嚢Bに表示模様1の位置合わせのための目印2が付与されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
土木用の土嚢集合体に関し、さらに詳しくは、従来の土嚢よりも視認性が高い土嚢集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
野外等において人に注意を喚起するための表示板が種々の場所で使用されている。
例えば、土木工事現場では、関係者以外の立ち入りを禁止するための警告表示板、道路沿いには、危険を注意するための警告表示板が見受けられる。
そして、これらの表示板には看板形式のものが多いが、特殊なものとして土嚢のような安定した重量物が使われる場合もある。
【0003】
この土嚢形式のものとしては、特許文献1に示すような安全表示機能を有する土嚢が提供されている。
この土嚢は土砂等が収納され、表面には袋本体とは異なる色で着色された彩色層(いわゆる表示模様)が設けられている。
また、安全表示柵の倒れ防止の用の錘りとして使用することもできるとされている。
【特許文献1】実開平5−73022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この土嚢に付与された表示模様は、1個単位で表現されたものであり、人がそれを見て認識するのも、あくまでも1個単位の表示効果に過ぎない。
したがって、それらを幾つか並べて群として配置しても、配置完了後にその土嚢群を遠くから見た場合、個々の表示模様がランダムに並んでいるだけで、土嚢群全体として統一された表示模様ではない。
例えば、現場で注意を喚起するために、1個単位よりも大きな表示模様を表示することはできない。
すなわち、視認の容易な大きな表示模様を得るには限界がある。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解決すべく開発されたものである。
すなわち、容易に視認可能なより大きな表示模様が得られる土嚢集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、以上のような背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、複数個の土嚢群により統一した表示模様を付与することにより、上記の問題点を解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち本発明は、(1)、複数の単独土嚢よりなる案内表示用の土嚢集合体であって、土嚢集合体全体に統一した表示模様が付与され単独土嚢が表示模様の一部を担っている土嚢集合体に存する。
【0008】
また本発明は、(2)、表示模様が、モチーフとなっている上記(1)に記載の土嚢集合体に存する。
【0009】
また本発明は、(3)、単独土嚢が円筒状である上記(1)に記載の土嚢集合体に存する。
【0010】
また本発明は、(4)、単独土嚢に表示模様の位置合わせのための目印が付与されている上記(1)に記載の土嚢集合体に存する。
【0011】
また本発明は、(5)、単独土嚢に付与されている表示模様の位置合わせのための目印が連結部でもある上記(4)に記載の土嚢集合体に存する。
【0012】
また本発明は、(6)、正面から見た場合に模様が歪まないように、周囲側面にそれを見越し修正した模様が付与されている上記(1)に記載の土嚢集合体に存する。
【0013】
また本発明は、(7)、表示模様が蛍光材を含む塗料によって形成されている上記(1)に記載の土嚢集合体に存する。
【0014】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記の発明を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の土嚢集合体の表面には表示模様が付与されており、その表示模様は土嚢集合体全体として統一した一つの表示模様となっている。
すなわち、表示模様が土嚢集合体全体として連続している。
このような表示模様を付与することにより、本発明の土嚢集合体は遠くからの視認性が従来の土嚢よりも格段と高いものとなる。
換言すれば、本発明の土嚢集合体と、複数個、配置された従来の土嚢とを比較した場合、本発明の土嚢集合体の方がより目立って視認性が高い。
その結果、見る人の喚起を引き易いものとなり、警告表示としても、より効果的に機能する。
【0016】
単独土嚢に表示模様の位置合わせのための目印を設けると、単独土嚢を配置する際に、その目印を基準に表示模様を相互に合わせるだけで十分であり、個々の単独土嚢の向き等を考慮して調整する必要が無い。
【0017】
そのため、目印を参考に機械的に群としての配置が可能となり、従って、施工効率が向上する。
表示模様の位置合わせのための目印が連結部でもある場合、連結すると、必然的に土嚢集合体に表示模様が統一されたものとなる。
また、群として単独土嚢同士が強固に連結されるので形状安定性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、模式的な図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、表面にが付与された土嚢集合体Aを示す斜視図であり、図2は正面図、図3は、単独土嚢Bに切り離した図を示す。
図4は、土嚢集合体Aを構成する円筒状の単独土嚢Bを示す図であり、(A)は斜視図、(B)は、正面図、(C)は周囲側面の展開図である。
本実施形態の土嚢集合体Aは、袋地(織布、編布)によって形成された単独土嚢Bが複数集合してなり、単独土嚢Bの内部には土砂,小石等の充填物が詰め込まれているものである。
【0019】
この土嚢集合体Aとしては、工事現場や道路脇等に置かれて表示手段として使用されるが、いわゆる土嚢として使用することも可能である。
【0020】
ところで、図1から分かるように、この土嚢集合体Aの表面には全体として統一した表示模様1が付与されており、この表示模様1は、連続した一つの図柄となっている。
いわゆるモチーフを現出しているといえる。
すなわち、単独土嚢Bが土嚢集合体A(単独土嚢B1,B2,B3,B4よりなる)を構成した際に、各単独土嚢B1,B2,B3,B4に付与された各模様11,12,13,14が左右に隣接する別の模様と関連しあい、全体で一つの統一した連続的な表示模様1を形成する。
【0021】
このように単独の模様が複数集まることで、土嚢集合体Aとして、より大きな表示模様1が形成される。
そのため土嚢集合体Aの表示模様1は、従来の土嚢に比べて、より大きな表示模様とすることができ、視認性も高くなる。
なお土嚢集合体Aを構成している各単独土嚢B1,B2,B3,B4の各模様11,12,13,14は、統一された表示模様1の一部を担っているに過ぎなく、それ1つではモチーフを構成していない。
【0022】
この実施形態の土嚢集合体Aを構成する単独土嚢の表面に付与される模様は、袋地(織布、編布)の地色と区別できる色に付与されている。
模様の付与方法は特に定められておらず、例えば、染色された布片を袋材に貼り付けたり、直接、袋地に塗料を塗布したりすることにより行う。
また、袋地が織布や編布である場合、織成や編成に色糸を使用することにより模様を付与することも可能である。
【0023】
なお、このとき、土嚢集合体Aの夜間における視認性を高めたい場合、模様には蛍光材が含まれていることが好ましい。
ここで土嚢集合体Aの表面に付与される表示模様1としては、前述したように、土嚢集合体全体に統一した表示模様であるので、必ずしも純粋模様に限らず、上述した道路標識のような矢印の太線の他、例えば、警告文字、イラスト、幾何学的な模様、等が採用可能である。
上述の実施の形態は、道路標識のような矢印の太線模様の例であるが、警告文字の例としては、例えば土嚢集合体Aに付与された「東名高速」がそれに相当し、この4つの文字で1つの意味(モチーフ相当)を表す。
【0024】
本発明の土嚢集合体Aを構成する個々の単独土嚢Bは円筒形が好ましい。
円筒形の単独土嚢Bの底面はほぼ平坦となっているため、配置時における単独土嚢Bの安定性が高い。
また、単独土嚢Bの上面も同じくほぼ平坦であるので、土嚢集合体Aの上に別の土嚢集合体Bを安定して積み重ねることができる。
また多少の凸凹があっても内部の充填物が移動し土嚢として形状が変化し潰れて相互に馴染む。
【0025】
土嚢集合体Aに使われている袋地は、耐久性及び耐候性の観点から紫外線吸収剤を含んでいることが好ましい。
【0026】
(第2の実施形態)
目印付与
この実施形態の土嚢集合体Aは単独土嚢に表示模様の位置合わせのための目印2が付与されているものである。
図5は、正面中央に目印を設けた単独土嚢B(B1,B2,B3,B4)よりなる土嚢集合体Aを示し、(A)は斜視図、(B)はそれを単独土嚢B1,B2,B3,B4に切り離した図を示す。
各単独土嚢B1,B2,B3,B4の表面に各模様11,12,13,14が付与されそれぞれが土嚢集合体Aとしての表示模様1の一部を担っている。
土嚢集合体Aとして、統一した表示模様1にするためには、個々の単独土嚢Bを統一した模様となるように向き等を調整して模様合わせを行わなければならない。
【0027】
そのため、模様合わせ用の目印2を各単独土嚢B1,B2,B3,B4に設けてあるのである。
従って、現場で単独土嚢B、を複数並べて土嚢集合体Aとするには、その目印2を目途に並べていくだけでよい。
目印2としては、例えば、袋地に、○印や、線等が採用される。
【0028】
(第3の実施形態)
印付与+連結部付与
この実施形態の土嚢集合体Aは、各単独土嚢に表示模様の模様合わせのための目印が付与されていることは、前述の実施形態と同じであるが、模様合わせのための目印が単独土嚢同士を連結するための連結部3でもあることが特徴である。
【0029】
すなわち、連結部3が目印の機能を兼用しているのである。
各単独土嚢B1,B2,B3,B4を連結することにより土嚢集合体Aに付与された表示模様1は、必然的に統一された表示模様となる。
いわゆるモチーフが示現される。
なお、土嚢集合体Aを構成している各単独土嚢B1,B2,B3,B4の各模様11,12,13,14は、統一された表示模様1の一部を担っているに過ぎない。
このように連結部3を介して連結することにより、隣接する単独土嚢B同士が容易に且つ確実に連結され、しかも全体として統一した表示模様となり、土嚢集合体Aの形状安定性も向上する。
このように、連結部3を上述したような目印の位置に設けることにより連結効果と模様合わせ効果が発揮され相乗的な効果が生まれるのである。
【0030】
図6は、模様合わせのための目印となり且つ連結のために使用される連結部3を設けた単独土嚢B(B1,B2,B3,B4)よりなる土嚢集合体Aを示し、(A)は斜視図、(B)はそれを単独土嚢B1,B2,B3,B4に切り離した図を示す。
各単独土嚢B1,B2,B3,B4において、それぞれに模様合わせのための目印となり且つ連結のために使用される連結部3を各1カ所に設けられている。
ここでは、連結部3は隣接する単独土嚢Bとの対向位置に設けられている。
この位置で連結すると単独土嚢B同士が連結されると共に、連結により、必然的に土嚢集合体Aの周囲に統一した模様1が形成される。
ここで、連結部3としては円環状のリング部材、フック部材、紐輪等が採用される。
ここでは、連結部3自体が他の連結部3に連結される場合と、連結部3同士を紐等を介して縛る場合がある。
【0031】
(第4実施形態)
歪み防止
この実施形態の土嚢集合体Aは、正面から見た場合に横断歩道集合模様Mが歪まないように、単独土嚢Bの周囲側面にそれを見越した模様が付与されているものである。
単独土嚢Bは、円筒状で立体形であるため、表面に付与された単独横断歩道模様M1は、周囲側面に付与した模様とは異なって歪んで見える。
例えば、図7(A)のように周囲側面に付与された単独横断歩道模様M1は、立体化した場合、正面から見ると図7(B)のように幅や傾斜角度が歪んで見えるのである。
正面から見た場合、奥行きの深いところと、手前のところとでは、このように線の傾斜度が異なって周囲側面に付与した当初の平面状の模様とは見え方が異なってくるのである。
【0032】
土嚢集合体Aとしては図8に示すように不連続な統一性のない横断歩道集合模様Mとなってしまう。
【0033】
そのたため、それを見越して、図9(A)のような前もって修正した単独横断歩道模様N1を周囲側面に付与しておく。
すなわち正面から見て歪みのないようになる単独横断歩道模様N1を単独土嚢Bの周囲側面に付与しておく。
すると、図9(B)のように、歪みのない横断歩道集合模様Nが見える。
土嚢集合体Aとしては、図10に示すように歪みのない連続性のある統一された横断歩道集合模様Nとなるのである。
【0034】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施の形態に限定されることなく種々の変形例が可能である。
土嚢集合体を構成する横断歩道模様を周囲側面に付与しておく。
単独土嚢は、立体であり、円筒状が好ましいが必ずしもそれに限定されない。
また本発明の土嚢集合体は、土木現場に、限らず、市街地における表示手段としても当然有効に適用可能である。当然、本来の土嚢の機能としての使用も可能である。
土嚢集合体Aは、通しロープにより全体を束ねて使用することも当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、表面に表示模様が付与された土嚢集合体を示す斜視図である。
【図2】図2は、表面に表示模様が付与された土嚢集合体を示す正面図である。
【図3】図3は、表面に表示模様が付与された土嚢集合体を単独土嚢に切り離した図を示す。
【図4】図4は、土嚢集合体Aを構成する円筒状の単独土嚢Bを示す図であり、(A)は、斜視図、(B)は正面図、(C)は周囲側面の展開図である。
【図5】図5は、正面中央に目印を設けた単独土嚢よりなる土嚢集合体Aを示し、(A)は斜視図、(B)はそれを単独土嚢に切り離した図を示す。
【図6】図6は、模様合わせのための目印となり且つ連結のために使用される連結部3を設けた単独土嚢B(B1,B2,B3,B4)よりなる土嚢集合体Aを示し、(A)は斜視図、(B)はそれを単独土嚢に切り離した図を示す。
【図7】図7は、単独横断歩道模様が付与された単独土嚢を示す図であり、(A)は周囲側面の展開図、(B)はその正面図である。
【図8】図8は、統一された横断歩道集合模様が付与された土嚢集合体Aを示す。
【図9】図9は、歪みのない単独横断歩道模様が付与された単独土嚢を示す図であり、(A)は周囲側面の展開図、(B)はその正面図である。
【図10】図10は、統一された歪みのない横断歩道集合模様が付与された土嚢集合体Aを示す。
【符号の説明】
【0036】
1(11,12,13,14)・・・表示模様
2・・・目印
3・・・連結部
A・・・土嚢集合体
B(B1,B2,B3,B4)・・・単独土嚢
M・・・横断歩道集合模様
N・・・横断歩道集合模様
M1・・・単独横断歩道模様
N1・・・単独横断歩道模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単独土嚢よりなる案内表示用の土嚢集合体であって、土嚢集合体全体に統一した表示模様が付与され単独土嚢が表示模様の一部を担っていることを特徴とする土嚢集合体。
【請求項2】
表示模様が、モチーフとなっていることを特徴とする請求項1記載の土嚢集合体。
【請求項3】
単独土嚢が円筒状であることを特徴とする請求項1記載の土嚢集合体。
【請求項4】
単独土嚢に表示模様の位置合わせのための目印が付与されていることを特徴とする請求項1記載の土嚢集合体。
【請求項5】
単独土嚢に付与されている表示模様の位置合わせのための目印が連結部でもあることを特徴とする請求項4記載の土嚢集合体。
【請求項6】
正面から見た場合に模様が歪まないように、周囲側面にそれを見越し修正した模様が付与されていることを特徴とする請求項1記載の土嚢集合体。
【請求項7】
表示模様が蛍光材を含む塗料によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の土嚢集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−108652(P2009−108652A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284565(P2007−284565)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【Fターム(参考)】