説明

土地データ管理システムおよびネットワークデータ照査システム

【課題】 複数種類の土地界線を含む土地データを扱う場合でも、簡単な処理でデータを管理することのできる土地データ管理システムを提供する。
【解決手段】 土地界線の各交点間を結ぶ各土地界線に対応し、両側に接する各土地の土地属性データを含むリンクデータを有するネットワークデータb,dを記憶する記憶手段Sd,Cdと、特定の土地属性データを片側に接する土地の土地属性データとして有するとともに端点において互いに連続するリンクを表すリンクデータを抽出し、該抽出したリンクデータが表すリンクにより囲まれた範囲を、該特定の土地属性をもつ土地の範囲として認識する土地認識手段20とを具備し、各リンクデータは、同一位置に重なる複数種類の土地界線に対応する複数種類の土地属性データを含むことができ、前記土地認識手段20は、土地属性データの種類ごとに、特定の土地属性をもつ土地の範囲を認識可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定地域内の所定の土地界線により区分された各土地の土地属性を記憶して管理する土地データ管理システム、および、仮想空間内のノードを表すノードデータとノード間を結ぶリンクを表すリンクデータとを含むネットワークデータを記憶する記憶手段と、前記ネットワークデータを、前記図郭単位で編集可能なネットワークデータ編集手段と、ネットワークデータ編集手段により編集された編集図郭の境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査する境界整合性検査手段とを備えたネットワークデータ照査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体において、固定資産税や相続税を徴収するために、固定資産としての土地を評価する業務が行われている。特にこのような徴税目的で土地を評価する業務を行う上では、筆等の土地の、形状や面積等を精確に認定する必要がある。この認定作業は、基本的には登記所に備えられている公図に基づいて行われている。
【0003】
しかしながら、登記所に備えられている公図は、各筆の形状(公図に描かれた筆界線の位置、長さ等)がその筆の実際の状態(現況)とは異なっている場合がある。また、公図のなかには、紛失または汚損した際に複製物と差し替えられたものが数多く存在する。この場合、差し替えられた複製物には、過去に作成された公図(以下、「旧公図」ともいう)をトレースしたものや、旧公図を複写機によって複写したものなどがあり、トレースしたものにはトレース時に生じたズレが存在し、複写したものには、イメージスキャン時や印刷時等の紙送り速度差等に起因する図面の歪みが存在する。さらに、公図のなかには、合筆や分筆に際して実測を伴わずに筆界線が加筆・抹消されたものも存在する。
したがって、公図に基づいて筆等の土地の形状や面積を認定することによっては、必ずしも各土地の現況を精確に認定することができないという問題点がある。
【0004】
また、筆の形状や面積等を精確に認定するにあたっては、公図よりも筆界線の位置等が現況に近い状態で描かれている、法17条地図(不動産登記法第17条において登記所に備えることとされている地図)を使用する場合もある。
しかし、法17条地図には、法定公共物または法定外公共物としての水路(いわゆる青線区画)や里道(いわゆる赤線区画)等が描かれていなかったりするものが数多く存在する。したがって、法17条地図に基づく土地の認定にあっては、実際には存在する水路や里道が反映されない場合があるといった問題点がある。
また、法17条地図には、例えば国土調査法第2条第6項に規定された地図のように高精度で測量(調査)された実測値に基づいて生成された地図のみならず、測量が完了していない地域について登記所に備えることとされている図面(所在図や法務局指定地図等)などの筆界線が曖昧な地図も含まれている。したがって、公図に代えて法17条地図を使用したとしても、現況に合致した土地の認定を行うことは困難である。
【0005】
ここで、特許文献1には、前述の公図や法17条地図を含む複数の地図を使用して、それぞれの地図において不足したり不精確であったりする情報を互いに補完して、より現況に近い精確な地図を作成する技術が記載されている。
特許文献1記載の地図データ出力システムは、所定の図郭単位で、公図、旧公図、または法17条地図に基づく基準地図データと、土地台帳付属図や、国土調査法に基づく地図や、土地区画整理登記令に基づく地図等から作成された参照図データとの、それぞれの筆界線等の情報を、重ねて表示部に表示させ、互いに大きくずれるなどして相違した筆界線等の情報をオペレータに修正させることができる(特許文献1 段落0033−0036)。
こうして複数の地図の相違点を補完しあって、より現況に近い「編集済み地図データ」を得ることができるものとしている。
【0006】
特許文献1記載の地図データ出力システムにおいて、「編集済み地図データ」は、筆界線を特定可能なベクトルデータと、各ベクトルデータに対応する線分によって区画された領域(筆)に対して付与されている地番を特定可能な地番情報とを含んで、ポリゴン画像形式で記録されている(特許文献1 段落0021)。
【0007】
さらに、特許文献1記載の地図データ出力システムは、現況に近い「編集済み地図データ」の生成に際して使用した基となる地図の作成時期を特定可能とすることで、過去から現在までの各筆の状態を、時系列で表示(または印刷)することができるものとしている。これにより、各筆が時代毎にどのように扱われたかを特定することができるものとしている(特許文献1 段落0042)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−191466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特に固定資産税等の徴税を目的とした土地の評価にあっては、筆の位置および形状を特定する筆界線を精確に認定することが必要であることは前述の通りであるが、土地の評価は、筆の位置および形状のみでなく、筆の地目や用途や接する路線等によっても大きく左右される。
そして、筆の地目や用途や接する路線は、一つの筆に対して必ずしも一つが対応するとは限らず、例えば、一つの筆の中に複数の地目が混在していたり、筆の中を用途の境界線(用途界線)が横切ったりする場合もある。
【0010】
前述の特許文献1には、その地図データ出力システムを、筆界線以外の境界線を扱う上でも適用できることは記載されている(特許文献1 段落0008後段)ものの、筆界線だけでなく、地目界線や用途界線や路線等といった多種の土地界線を「同時に」管理する技術については開示されていない。
【0011】
そして、もし特許文献1記載の地図データ出力システムで多種の土地界線を同時に扱うよう運用すると、前述の通り土地界線に対応するベクトルデータによって区画された領域を前記ポリゴン画像形式で記録することから、同一の領域に対して、土地界線の種類別に複数のポリゴン画像データを生成する必要が生じるという課題がある。
【0012】
例えば、図22に表すとおり、101番地の土地Wと102番地の土地Xの中に、宅地の地目Y(白抜き部)と農地の地目Z(黒塗り部)とが存在した場合、それぞれの土地属性である101番地、102番地、宅地、農地を表現する4つのポリゴン画像データがそれぞれ必要となってしまう。そして、このように同一の領域に対して複数のポリゴン画像データがあると、例えば土地Wの境界線が編集されて変更された場合には、併せて、地目Yに対応する、別のポリゴン画像データの形状も変更する必要が生じるなど、データの扱いが非常に煩雑となる。
さらに、前述の通り、「編集済み地図データ」の各編集箇所の基となる地図データの作成時期を記録するには、変更が行われるたびに、変更により形状の異なった新たなポリゴン画像データを生成して、過去の全てのポリゴン画像データとともに記録として蓄積していく必要があり、蓄積すべきポリゴン画像データの数および容量が嵩むとともに、さらにデータの扱いが煩雑となってしまう。
【0013】
また、特許文献1に記載の地図データ出力システムにおいては、ベクトルデータ等を含むネットワークデータの編集を、所定の図郭単位で行う。ここで、オペレータがある図郭のベクトルデータ等を編集した場合に、例えばその図郭の境界において分断されたベクトルデータが、オペレータの編集時の操作ミス等により、境界部分でずれてしまい、図郭内のベクトルデータと図郭外のベクトルデータとの接合がされなくなってしまうなど、図郭の境界におけるベクトルデータの整合性がとれない場合が生じる可能性があるという課題がある。
【0014】
本願発明者は、上記課題を解決すべく、筆界線だけでなく、地目の境界線である地目界線や、土地の用途の境界線である用途界線、市町村界等の行政界線、および路線等といった多種の土地界線も同時に管理できるシステムについて鋭意研究を重ね、本願発明を完成した。すなわち、本発明の目的とするところは、複数種類の土地界線を含む土地データを扱う場合でも、簡単な処理でデータを管理することのできる土地データ管理システムを提供することにある。さらに、ネットワークデータを所定の編集図郭単位で編集した際に、編集図郭の境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査できるネットワークデータ照査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る土地データ管理システムは、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、所定地域内の所定の土地界線により区分された各土地の土地属性を記憶して管理する土地データ管理システムであって、土地界線の各交点の位置に対応したノードを表すノードデータと、該交点間を結ぶ各土地界線に対応したリンクを表し、両端点のノードを特定する端点データ、および土地界線の両側に接する各土地の土地属性をそれぞれ表す土地属性データを含むリンクデータとを有するネットワークデータを記憶する記憶手段と、特定の土地属性をもつ土地の範囲を認識する場合に、該特定の土地属性を表す土地属性データを片側に接する土地の土地属性データとして有するとともに各端点データが表す端点において互いに連続するリンクを表すリンクデータを抽出し、該抽出したリンクデータが表すリンクにより囲まれた範囲を、該特定の土地属性をもつ土地の範囲として認識する土地認識手段とを具備し、各リンクデータは、同一位置に重なる複数種類の土地界線に対応する複数種類の土地属性データを含むことができ、前記土地認識手段は、土地属性データの種類ごとに、特定の土地属性をもつ土地の範囲を認識可能に設けられていることを特徴とする。
さらに、前記土地認識手段は、前記特定の土地属性を表す土地属性データを片側に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータの一つを抽出し、該抽出したリンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定し、該終点を探索点に設定する初期リンク設定手段と、前記探索点を、該探索点に接続された他の各リンクデータの始点とし、該他の各リンクデータの各他端を、各該他のリンクデータの終点とし、該他の各リンクデータの中から、前記特定の土地属性を、該始点から該終点に向かって、前記初期リンク設定手段で抽出したリンクデータと同じ側に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータを抽出する属性界探索手段とを備え、該属性界探索手段により抽出されたリンクデータの終点を新たな探索点として、属性界探索手段を、該新たな探索点と前記初期リンク設定手段で設定された始点とが一致するまで繰り返すことで、前記互いに連続するリンクデータを抽出して前記特定の土地属性をもつ土地の範囲を認識することを特徴とする。
これによれば、土地界線により区分された土地の範囲を、土地の位置および形状を直接的に表現するポリゴン画像データによらず、土地認識手段により、リンクデータに含まれる土地属性データに基づいて認識する。そして、同一位置に重なる複数種類の土地界線は、一つのリンクデータで表現する。したがって、従来と異なり、同一の領域に対して、土地界線の種類別に、複数のデータ(ポリゴン画像データ)を管理する必要がない。
例えば、前述の図22のように、位置が重なる複数種類の土地界線の位置を移動させる際には、単に対応するリンクデータの位置(端点データ)を変更すればよい。また、一つのリンクデータに含まれる、特定の土地界線のみを移動させたい場合には、そのリンクデータからその土地界線に対応する土地属性データを抹消して、その移動させる土地界線に対応する新たなリンクデータを生成すればよい。すなわち、従来のように同一の領域に対して複数のデータ(ポリゴン画像データ)を生成して管理する必要がない。
【0016】
また、前記土地界線は、筆界線、字界線、地目界線、土地の用途界線、行政界線、および路線のうちの複数種類の線であることを特徴とする。
これによれば、土地の地目や用途や接する路線等も併せて管理が可能となり、例えば土地の評価等を行う上で利便性が高い。
【0017】
また、ノードデータ、リンクデータ、および土地属性データは、不動産登記法第17条に規定の地図、不動産登記法第24条3項に規定の図面、旧土地台帳法施行細則第2条第1項に規定の土地台帳付属地図、国土調査法第2条第6項に規定の地図、および土地区画整理登記令第6条第2項の2に規定の所在図のうちの一種または複数種の地図上に記載された土地界線、および土地属性に基づいて設けられていることを特徴とする。
これによれば、これら複数の地図のそれぞれにおいて不足したり不精確であったりする情報を互いに補完して、より現況に近い精確な地図を作成することができる。
【0018】
また、複数のネットワークデータの内容の少なくとも一部を合成して新たなネットワークデータを生成し前記記憶手段に記憶するネットワークデータ合成手段を具備し、該ネットワークデータ合成手段は、前記合成する複数のネットワークデータ間で重複する位置のリンクに対応するリンクデータを一つのリンクデータとするとともに、該一つのリンクデータに、基である複数のリンクデータに含まれている各土地属性データを含ませて、前記新たなネットワークデータを合成することを特徴とする。
これによれば、複数のネットワークデータを統合する際に、同じ位置に重複して存在するリンクに対応する各リンクデータを、その属性を維持しながら一つのリンクデータにまとめることができる。
【0019】
また、地図データから土地界線を抽出して、該土地界線の各交点に対応するノードデータ、および、該交点間を結ぶ土地界線に対応するリンクデータを生成するネットワークデータ生成手段を具備することを特徴とする。
これによれば、地図データからネットワークデータを自動生成することができ、ネットワークデータの作成に掛かる作業を軽減することができる。
【0020】
また、各リンクデータは、対応する土地界線が発生した時点を示す発生時点データおよび/または消滅した時点を示す消滅時点データを含むことを特徴とする。
これによれば、リンクデータの対応する土地界線の発生および/または消滅時期を管理することができる。
【0021】
さらに、前記土地認識手段は、前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データに基づいて、特定の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータのみの中から、前記連続するリンクを表すリンクデータを抽出可能に設けられていることを特徴とする。
これによれば、特定の時点または期間の各種類の土地界線を認識することができる。
【0022】
また、前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データに基づいて、第一の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータと、第二の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータとの相違点を検出するネットワークデータ比較手段を具備することを特徴とする。
これによれば、複数の時点または期間の各種類の土地界線を比較することができる。
【0023】
また、前記記憶手段には、少なくとも一部が共通する地域に対応する、複数のネットワークデータが記憶され、前記複数のネットワークデータ同士の、共通する地域に対応する少なくとも一部を比較して、相違点を検出するネットワークデータ比較手段を具備することを特徴とする。
これによれば、複数の地図のそれぞれに基づいて作成されたネットワークデータ同士を比較して相違点を検出することが可能となる。
【0024】
さらに、前記複数のネットワークデータのうち少なくとも一つの各リンクデータは、対応する土地界線が発生した時点を示す発生時点データおよび/または消滅した時点を示す消滅時点データを含み、前記ネットワークデータ比較手段は、前記ネットワークデータの前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データに基づいて、該ネットワークデータにおいて特定の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータと、他のネットワークデータのリンクデータとの相違点を検出することを特徴とする。
これによれば、特定の時点または期間の各種類の土地界線を、他のネットワークデータが表す土地界線と比較することができる。
【0025】
また、前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データを含むリンクデータは、互いに異なる時点で作成された複数の地図に表された土地界線に対応して設けられ、前記発生時点データは、対応する土地界線が現れた地図の作成時点を表すデータであり、前記消滅時期データは、対応する土地界線が消滅した地図の作成時点を表すデータであることを特徴とする。
これによれば、使用する地図に基づいて、各土地界線の発生および/または消滅時期を特定可能となる。
【0026】
また、前記ネットワークデータは、前記所定地域を分割した複数の図郭に分けられて成り、前記ネットワークデータ比較手段は、前記図郭単位で、前記ネットワークデータの比較を行うことを特徴とする。
これによれば、膨大なネットワークデータの比較であっても、より小さな図郭単位に分散させて処理を行うことができる。
【0027】
また、前記ネットワークデータは、前記所定地域を分割した複数の図郭に分けられて成り、前記ネットワークデータを、前記図郭単位で編集可能なネットワークデータ編集手段と、該ネットワークデータ編集手段により編集された編集図郭内の、該編集図郭の境界で分断される各リンクデータの分断点に、仮ノードを生成する仮ノード生成手段と、前記境界上に隣接して位置するノードおよび仮ノード同士を接続する仮リンクを表すリンクデータを、前記編集図郭に属するリンクデータとして追加する仮リンク生成手段と、前記所定地域から、前記編集図郭を取り囲む検査用図郭を抽出する検査用図郭抽出手段と、前記検査用図郭内のネットワークデータの、前記編集図郭との境界で分断される各リンクの分断点に、検査用仮ノードを生成する検査用仮ノード生成手段と、前記境界上に隣接して位置するノードおよび検査用仮ノード同士を接続する検査用仮リンクを表すリンクデータを、前記検査用図郭に属するリンクデータとして追加する検査用仮リンク生成手段と、前記編集図郭に属する各仮リンクの位置情報と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの位置情報とを比較することで、前記境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査する境界整合性検査手段とを具備することを特徴とする。
これによれば、編集図郭単位でネットワークデータを編集可能であるとともに、編集後のネットワークデータの、編集図郭の境界でのリンクデータの分断位置が、編集図郭外のネットワークデータと整合が取れているかを検査することができる。
【0028】
さらに、前記編集図郭および前記検査用図郭内の、同一の土地属性を有する土地に接する土地界線に対応する各リンクデータを、各該リンクデータが始点から終点に向かって該土地に同じ側で接するように、各該リンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定するリンク方向設定手段と、該リンク方向設定手段を、前記編集図郭および前記検査用図郭内の各リンクデータに対して実行して、該各リンクデータに対して前記始点および前記終点を設定させるリンク方向設定網羅手段とを具備し、前記境界整合性検査手段は、前記編集図郭に属する各仮リンクの始点および終点と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの始点および終点とを比較することで、前記編集図郭の境界における前記ネットワークデータの整合性を検査することを特徴とする。
さらに、前記リンク方向設定手段は、前記編集図郭および前記検査用図郭内の、当該リンク方向設定処理に係る始点および終点の設定が未設定のリンクデータの一つを抽出し、該抽出したリンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定し、該終点を探索点に設定する初期方向設定手段と、前記探索点を、該探索点に接続された他の各リンクデータの始点とし、該他の各リンクデータの各他端を、各該他のリンクデータの終点とし、該他の各リンクデータの中から、前記初期方向設定手段が抽出したリンクデータの有する片側の土地属性データと同一の土地属性データを、該始点から該終点に向かって前記抽出したリンクデータと同じ側に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータを抽出する連続方向設定手段とを備え、該連続方向設定手段により抽出されたリンクデータの終点を新たな探索点として、連続方向設定手段を、該新たな探索点と、前記初期方向設定手段で設定された始点とが一致するまで繰り返すことで、前記同一の土地属性データを有するリンクデータの前記始点データおよび前記終点データを、始点から終点に向かって該土地が同じ側に接するように設定することを特徴とする。
これによれば、編集図郭の境界に沿った各仮リンクは、始点から終点に向かって、互いに同じ側が編集図郭内となるよう方向が設定される。一方の検査用図郭においても、編集図郭との境界に沿った検査用仮リンクは、始点から終点に向かって、互いに同じ側が検査用図郭内となるよう方向が設定される。したがって、全ての仮リンクと全ての検査用仮リンクとは、互いに同方向または逆方向に向かう。境界整合性検査手段は、各仮リンクの始点と各検査用仮リンクの始点(または終点)、および、各仮リンクの終点と各検査用仮リンクの終点(または始点)を比較することで、編集図郭の境界における整合性を検査することができる。
また、探索点が初期方向設定手段で設定された始点と一致するまでに、連続方向設定手段による抽出の対象となるリンクデータが存在しないことを検出したときには、リンクデータが、該当する土地属性を囲むよう構成されていないことを検出することができる。
【0029】
また、前記ネットワークデータ編集手段により編集された前記編集図郭内のネットワークデータの中から、位置が重複する複数のリンクデータを検出する重複データ検出手段と、該重複データ検出手段により検出された重複する複数のリンクデータを一つのリンクデータとするとともに、該一つのリンクデータに、基となる複数のリンクデータに含まれている各土地属性データを含ませるリンクデータ統一化手段とを具備することを特徴とする。
これによれば、編集者の操作ミス等によって重複して生成されたリンクを統一することができる。
【0030】
また、前記ネットワークデータは、サーバコンピュータの記憶手段に記憶され、複数のクライアントコンピュータが、前記編集図郭単位で、前記ネットワークデータを前記サーバコンピュータから読み出して、該編集図郭内のネットワークデータに対し、前記ネットワークデータ編集手段、前記仮ノード生成手段、前記仮リンク生成手段、前記検査用仮ノード生成手段、前記検査用仮リンク生成手段、および前記境界整合性検査手段を実現することで、該各手段を複数のクライアントコンピュータで分散処理することを特徴とする。
これによれば、ネットワークデータの編集および検査を、図郭単位で並列処理することができる。
【0031】
さらに、前記複数の図郭を、それぞれ前記編集図郭として、前記ネットワークデータ編集手段によりネットワークデータの編集を行うとともに前記境界整合性検査手段により検査する場合に、並んだ図郭を一つ飛ばしで編集および検査した後で、該編集および検査が終了した図郭の間の未編集の図郭を編集および検査するよう、各図郭を編集および検査する順序を制御する図郭処理順序制御手段を備えることを特徴とする。
これによれば、ネットワークデータ上の複数の図郭を並列処理で同時に編集する場合に、一つの編集図郭と、それに隣接する図郭が、並列して編集されるのを防ぐことができる。これにより、編集後でかつ未検査の図郭同士を比較することを防ぐことができる。
【0032】
また、本発明に係るネットワークデータ照査システムは、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。すなわち、仮想空間内のノードを表すノードデータと、ノード間を結ぶリンクを表すリンクデータとを含むとともに、複数の図郭単位に分割されたネットワークデータを記憶する記憶手段と、前記ネットワークデータを、前記図郭単位で編集可能なネットワークデータ編集手段と、該ネットワークデータ編集手段により編集された編集図郭の境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査する境界整合性検査手段とを備えたネットワークデータ照査システムであって、前記編集図郭内のネットワークデータの、前記境界で分断される各リンクの分断点に、仮ノードを生成する仮ノード生成手段と、前記境界上に隣接して位置するノードおよび仮ノード同士を接続する仮リンクを表すリンクデータを、前記編集図郭に属するリンクデータとして追加する仮リンク生成手段と、前記仮想空間から、前記編集図郭を取り囲む検査用図郭を抽出する検査用図郭抽出手段と、前記検査用図郭内のネットワークデータの、前記編集図郭との境界で分断される各リンクの分断点に、検査用仮ノードを生成する検査用仮ノード生成手段と、前記境界上に隣接して位置するノードおよび検査用仮ノード同士を接続する検査用仮リンクを表すリンクデータを、前記検査用図郭に属するリンクデータとして追加する検査用仮リンク生成手段とを備え、前記境界整合性検査手段は、前記編集図郭に属する各仮リンクの位置情報と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの位置情報とを比較することで、前記接合状態の整合性を検査することを特徴とする。
これによれば、編集図郭単位でネットワークデータを編集可能であるとともに、編集後のネットワークデータの、編集図郭の境界でのリンクデータの分断位置が、編集図郭外のネットワークデータと整合が取れているかを検査することができる。
【0033】
さらに、前記ネットワークデータは、複数のリンクに囲まれたエリアのエリア属性を表すエリア属性データを含み、各リンクデータは、両端点のノードを特定する端点データを含み、前記編集図郭および前記検査用図郭内の、同一のエリア属性を有するエリアに接するリンクを表すリンクデータを、各該リンクデータが始点から終点に向かって該エリアに同じ側で接するように、各該リンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定するリンク方向設定手段と、該リンク方向設定手段を、前記編集図郭および前記検査用図郭内の各リンクデータに対して実行して、該各リンクデータに対して前記始点および前記終点を設定させるリンク方向設定網羅手段とを具備し、前記境界整合性検査手段は、前記編集図郭に属する各仮リンクの始点および終点と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの始点および終点とを比較することで、前記編集図郭の境界における前記ネットワークデータの整合性を検査することを特徴とする。
さらに、各リンクデータは、当該リンクデータが表すリンクの両側に接する各エリアのエリア属性をそれぞれ表す前記エリア属性データを含み、前記リンク方向設定手段は、前記編集図郭および前記検査用図郭内の、当該リンク方向設定処理に係る始点および終点の設定が未設定のリンクデータの一つを抽出し、該抽出したリンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定し、該終点を探索点に設定する初期方向設定手段と、前記探索点を、該探索点に接続された他の各リンクデータの始点とし、該他の各リンクデータの各他端を、各該他のリンクデータの終点とし、該他の各リンクデータの中から、前記初期方向設定手段が抽出したリンクデータの有する片側のエリア属性データと同一のエリア属性データを、該始点から該終点に向かって前記抽出したリンクデータと同じ側に接するエリアのエリア属性データとして有するリンクデータを抽出する連続方向設定手段とを備え、該連続方向設定手段により抽出されたリンクデータの終点を新たな探索点として、連続方向設定手段を、該新たな探索点と、前記初期方向設定手段で設定された始点とが一致するまで繰り返すことで、前記同一のエリア属性データを有するリンクデータの前記始点データおよび前記終点データを、始点から終点に向かって該エリアが同じ側に接するように設定することを特徴とする。
これによれば、編集図郭の境界に沿った各仮リンクは、始点から終点に向かって、互いに同じ側が編集図郭内となるよう方向が設定される。一方の検査用図郭においても、編集図郭との境界に沿った検査用仮リンクは、始点から終点に向かって、互いに同じ側が検査用図郭内となるよう方向が設定される。したがって、編集図郭の全ての仮リンクと、検査用図郭の全ての検査用仮リンクとは、互いに同方向または逆方向に向かう。境界整合性検査手段は、各仮リンクの始点と各検査用仮リンクの始点(または終点)、および、各仮リンクの終点と各検査用仮リンクの終点(または始点)を比較することで、編集図郭の境界における整合性を検査することができる。
【0034】
また、前記ネットワークデータ編集手段により編集された前記編集図郭内のネットワークデータの中から、位置が重複する複数のリンクデータを検出する重複データ検出手段と、該重複データ検出手段により検出された重複する複数のリンクデータを一つのリンクデータとするとともに、該一つのリンクデータに、基となる複数のリンクデータに含まれている各エリア属性データを含ませるリンクデータ統一化手段とを具備することを特徴とする。
これによれば、編集者の操作ミス等によって重複して生成されたリンクを統一することができる。
【0035】
また、前記ネットワークデータは、サーバコンピュータの記憶手段に記憶され、複数のクライアントコンピュータが、前記編集図郭単位で、前記ネットワークデータを前記サーバコンピュータから読み出して、該編集図郭内のネットワークデータに対し、前記ネットワークデータ編集手段、前記仮ノード生成手段、前記仮リンク生成手段、前記検査用仮ノード生成手段、前記検査用仮リンク生成手段、および前記境界整合性検査手段を実現することで、該各手段を複数のクライアントコンピュータで分散処理することを特徴とする。
これによれば、ネットワークデータの編集および検査を、分割された図郭単位で並列処理することができる。
【0036】
さらに、前記複数の図郭を、それぞれ前記編集図郭として、前記ネットワークデータ編集手段によりネットワークデータの編集を行うとともに前記境界整合性検査手段により検査する場合に、並んだ図郭を一つ飛ばしで編集および検査した後で、該編集および検査が終了した図郭の間の未編集の図郭を編集および検査するよう、各図郭を編集および検査する順序を制御する図郭処理順序制御手段を備えることを特徴とする。
これによれば、ネットワークデータ上の複数の図郭を並列処理で同時に編集する場合に、一つの編集図郭と、それに隣接する図郭が、並列して編集されるのを防ぐことができる。これにより、編集後でかつ未検査の図郭同士を比較することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る土地データ管理システムによれば、複数種類の土地界線を含む土地データを扱う場合でも、簡単な処理でデータを管理することができる。また、本発明に係るネットワークデータ照査システムによれば、ネットワークデータを所定の編集図郭単位で編集した際に、編集図郭の境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係る土地データ管理システムおよびネットワークデータ照査システムを実施するための最良の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態においては、土地データ管理システムおよびネットワークデータ照査システムを、固定資産税や相続税を徴収するための土地の現況の認定作業において使用する場合を例にとって説明する。
なお、本実施の形態において、ネットワークデータ照査システムは、土地データ管理システム内に含まれるシステムであるので、以下、土地データ管理システムおよびネットワークデータ照査システムを、単に土地データ管理システムと呼ぶ。
【0039】
図1は、本実施の形態に係る土地データ管理システムAの構成を示すブロック図である。土地データ管理システムAは、サーバコンピュータSと、サーバコンピュータSにネットワークを介して通信可能に接続された複数のクライアントコンピュータCとから成る。
サーバコンピュータSおよび各クライアントコンピュータCの制御部Sa,Caは、CPUやメモリ等を含む電子回路から成り、ソフトウェアプログラムを実行して様々な機能(手段)を実現可能に設けられる。また、サーバコンピュータSおよび各クライアントコンピュータCは、制御部Sa,Caに対してユーザーが情報を入力可能なキーボードやマウスやデジタイザやタブレット等の入力装置Sb,Cbと、制御部Sa,Caにより作成された画像データを表示するディスプレイ等の表示装置Sc,Ccとを備える。
なお、各クライアントコンピュータC,C・・の構成は、それぞれ同様に設けられるため、図1においては、それらのうちの一つのクライアントコンピュータCの構成のみを図示している。
【0040】
サーバコンピュータSおよび各クライアントコンピュータCの各ハードディスクには、土地データ管理システムAを実現するための土地データ管理プログラムがコンピュータ読み取り可能に記憶(インストール)されている。土地データ管理プログラムは、サーバコンピュータS用とクライアントコンピュータC用のものがそれぞれ用意され、それぞれ機能が異なっている。
サーバコンピュータS用の土地データ管理プログラムは、サーバコンピュータSの制御部Saにより実行されることで、地図読み込み・編集手段23、ネットワークデータ生成手段24,およびネットワークデータ通信手段26等を、サーバコンピュータSに実現させる。
クライアントコンピュータC用の土地データ管理プログラムは、クライアントコンピュータCの制御部Caにより実行されることで、ネットワークデータ通信手段10,ネットワークデータ比較手段12,ネットワークデータ合成手段14,ネットワークデータ編集手段16,ネットワークデータ照査手段18,および土地認識手段20等を、クライアントコンピュータCに実現させる。
【0041】
サーバコンピュータSおよびクライアントコンピュータCの記憶手段Sd,Cdは、メモリやハードディスク等の記憶手段を示している。図1において記憶手段Sd,Cdの内部に記載した各データ(地図データa、ネットワークデータb、統合ネットワークデータd)は、土地データ管理システムAの各機能が記憶手段Sd,Cdに対して読み書きするデータを示している。
なお、記憶手段Sd,Cdは、サーバコンピュータSやクライアントコンピュータCのメモリやハードディスクに限定されるものではなく、情報を読み書き可能なあらゆる記憶手段を採用することができる。例えば、光ディスク等の補助記憶装置をサーバコンピュータSやクライアントコンピュータCの光ディスク装置等で読み書きすることによって実現してもよいし、サーバコンピュータSやクライアントコンピュータCとネットワークを介して接続された他のコンピュータの記憶装置にアクセスすることで実現することもできる。また、記憶手段Sd,Cdは必ずしも一つの記憶装置に限定されず、複数の記憶装置の組み合わせによって実現してもよい。
【0042】
また、サーバコンピュータSは、紙に印刷された地図をスキャンして地図画像データを取り込むことが可能なスキャナ50や、光ディスクに記録された地図データを読み出し可能な光ディスク装置52を有し、記憶手段Sdに地図データaを読み込み可能に設けられる。
【0043】
以下、土地データ管理プログラムが制御部Sa,Caにより実行されることで実現される前記各手段2〜20、および前記各データ(地図データa、ネットワークデータb、統合ネットワークデータd)について説明する。
【0044】
(地図読み込み・編集手段23、地図データa)
本願発明において、地図データとは、単数種類または複数種類の土地界線(後述)および土地界線により区切られた各土地の土地属性(後述)の情報を含むデジタルデータ化された地図のことを指す。
具体例としては、紙上に印刷された、単数種類または複数種類の土地界線が記載された地図をスキャナ50で取り込むことでデジタル画像データ化した地図データaや、各筆の地番や筆界線の情報を含むいわゆる数値地番図等のデジタルデータが挙げられる。
本土地データ管理システムAを固定資産税や相続税を徴収するための土地の認定作業において使用する場合、地図データaまたは地図データaの元となる印刷された地図としては、数値地番図や地目認定図や、前述の公図、旧公図、および法17条地図等を用いる。
【0045】
数値地番図は、自治体等で固定資産税の徴税等に用いられる、固定資産の評価対象地域の筆を表現したデジタルデータである。数値地番図は、各筆や道路の形状を表す、各筆および道路に対応したポリゴンデータと、各ポリゴンデータに関連付けられ、各ポリゴンデータに対応する筆および道路の属性(地番など)が記録された土地台帳データとから成る。
なお、数値地番図は、一般的には前述の公図、旧公図、および法17条地図等に基づいて作成されたものであるが、公図等から複写する際にズレが生じていたり、複写後に自治体が現況を反映させて変更していたりする場合があるなど、必ずしも公図の記載と一致するものではない。
また、地目認定図は、各筆内の地目が表現された地図である。
【0046】
地図読み込み・編集手段23は、紙に記載された地図をスキャナ50で取り込むことでデジタル画像データ化した地図データaを記憶手段Sdに記憶させたり、予め路線や筆の位置や形状が特定されてデジタルデータ化された地図データa(例えば数値地番図)を、光ディスク装置52を介して光ディスクから読み出して記憶手段Sdに記録したりする処理を行う。
【0047】
さらに、旧土地台帳法施行細則第2条第1項に規定の土地台帳付属地図、国土調査法第2条第6項に規定の地図、および土地区画整理登記令第6条第2項の2に規定の所在図等の、公的に認知された他の地図も、地図読み込み・編集手段23によりさらに読み込ませればより好適である。これにより、互いの地図に記載された情報の不足点等を補完しあって、より精確な現況図を生成できる可能性を高められる。
また、最新の地図だけでなく、最新のものより古い、過去の地図をも読み込ませることが望ましい。これにより、土地界の変遷の追跡等を行いやすくなり、より精確な現況図を生成できる可能性を高められる。
さらに、土地の現況の確認に用いるデジタルオルソ画像データもさらに用意して読み込ませておくことが望ましい。
【0048】
さらに、地図読み込み・編集手段23は、読み込んだ地図の作成時点を表すデータを、オペレータに入力させたり、地図に記載された作成年月日をOCRの技術等を用いて読み込むなどして、該当する地図データaと関連付けて記憶手段Sdに記憶させる。
【0049】
上記読み込む各種類の地図は、種類毎に、または同一種類の地図であっても一枚ごとに、図郭や縮尺がバラバラであることがある。そこで、地図読み込み・編集手段23は、読み込んだ各地図データaの縮尺を拡大したり縮小したりして各地図データa間の縮尺を統一するとともに、地図データa上の所定の地物や地点を認識し、それを基準にして各地図データaを連結し、各地図データa間で同一の図郭単位に分割することで、各地図データaの単位図郭が表す領域を統一する。なお、前記地図データaを前記図郭単位で構成する方法は、前記方法に限定されず、各単位図郭の領域を予め定めておいて、その各単位図郭の領域内に、地図データa上の情報を寄せ集めることで行っても良い。また、単位図郭は、例えば、固定資産の認定の対象となる所定地域の全域を10km四方の領域ずつに格子状に区切り、その1区画として定義する。
地図読み込み・編集手段23による前記拡大・縮小や図郭単位に区切る編集は、自動的に行うよう構成してもよいし、オペレータが出力装置Scと入力装置Sbとを用いて手作業で行えるよう構成してもよい。また、地図データを編集する手段は、クライアントコンピュータCの土地データ管理プログラムにより、複数のクライアントコンピュータC上で分散処理させて実現するように構成してもよい。
【0050】
なお、地図読み込み・編集手段23により読み込む前記公図や法17条地図等の各種の地図には、例えば更新時の作業者による転記ミス等により、地番の重複や筆界線のズレなど、誤った情報が含まれている場合がある。したがって、地図を地図読み込み・編集手段23により読み込む前には、予め、地図に瑕疵等が存在しないかどうかを確認する予察作業を行い、誤った点を修正するなどして、地図の品質を一定に確保しておくことが望ましい。
また、本発明に係る土地データ管理システムに、地図読み込み・編集手段23により地図を読み込む際に、地図に含まれる土地界線や土地属性の情報を調べ、重複する地番の有無や、更新された同種の地図間の矛盾等、読み込む地図に記載された土地界線や土地属性の情報に誤りがないかを自動的にチェックする手段を設けてもよい。
【0051】
(ネットワークデータ生成手段24、ネットワークデータb)
ネットワークデータ生成手段24は、各地図データaから土地界線を抽出して、固定資産の認定の対象となる所定地域に対応する仮想空間内に、土地界線の各交点に対応するノードデータ、および、交点間を結ぶ土地界線に対応するリンクデータを生成して、ノードデータおよびリンクデータから成るネットワークデータbを生成する。
【0052】
本願における土地界線とは、土地属性(エリア属性)を区切る各種の境界線の総称である。土地属性とは、地番、字(あざ)、地目、用途、属する自治体、街区(路線に囲まれた区画)等である(なお、これらのみに限定されない)。土地界線は、前述の通りこれら土地属性を区切る境界線であり、具体的には、地番を区切る境界線である筆界線、字または大字を区切る境界線である字界線、地目を区切る境界線である地目界線、土地の用途を区切る境界線である用途界線、自治体の管轄地域を区切る行政界線、街区を区切る路線等が挙げられる。
また、本願における土地属性データとは、前記土地属性を表すデータのことである。
【0053】
ネットワークデータ生成手段24は、まず、地図データa上に記録された各種の土地界線を抽出する。例えば、公図を読み込んで作成された地図データaから、筆界線を画像処理により抽出したり、地目認定図に対応する地図データaから同様に地目界線を抽出したりする。
また、前記数値地番図に対応する地図データaからは、前記土地台帳データに基づいて、筆を表すポリゴンデータの形状から筆界線を認識して抽出したり、街区を区切る路線を表すポリゴンデータの形状から路線を認識して抽出したりする。
【0054】
図2(a)は、昭和62年1月1日時点に作成された地番図に基づく地図データaa上の、ある一部の地域を表す図である。地図データaaの線22は筆界線を表し、数字101〜106は筆界線で区切られた各筆の地番を表す。
ネットワークデータ生成手段24は、地図データaaから、筆界線22を抽出し、図2(b)に示すように、その各交点の位置を表す座標データを含むノードデータAN1,AN2・・と、その交点間を結ぶ筆界線22に対応するリンクデータAL1−2,AL1−3・・とを生成する。ネットワークデータ生成手段24は、各リンクデータの両端点のノードデータANa,ノードデータANb(端点データ)の一方を始点、他方を終点に定義する。本例では、ALa−bとしたときのa,bがそれぞれ始点のノードの番号と終点のノードの番号とを示す。
【0055】
ネットワークデータ生成手段24は、さらに、地番図に対応する地図データaaから、土地属性としての地番を表す数値(図2(a)の101〜106の数値)をOCR等の技術により認識し、各筆の各筆界線に対応するリンクデータにその筆の地番を土地属性データ(エリア属性データ)として関連付けて記憶させる。
図2(c)は、各リンクデータの内容を示す説明図である。図2(c)に示すように、各リンクデータALa−bは、始点および終点のノードデータANa,ANbを特定する属性を含む。また、その始点から終点に向かって右側に接する土地(エリア)の土地属性データとしての地番(リンクデータAL1−2の場合は103)と、左側に接する土地の土地属性としての地番(リンクデータAL1−2の場合は102)とを含む。
ネットワークデータ生成手段24は、地図データaaに基づいて生成したノードデータおよびネットワークデータから成るネットワークデータbaを、記憶手段Sdに記憶させる。
【0056】
また、図3(a)は、平成7年1月1日時点の地目認定図に基づく地図データab上の、図2(a)と同じある地域を表す図である。ネットワークデータ生成手段24は、図3(a)示す地図データabに対しても、図2(a)の地図データaaに対して行った処理と同様の処理を行い、図3(b),(c)に示す各ノードデータBNa、および各リンクデータBLa−bを生成する。
【0057】
ただし、地目認定図に基づく地図データabには、土地属性として、地番の情報だけでなく、地目の情報も含まれている。ネットワークデータ生成手段24は、地図データabから全ての土地界線(筆界線と地目界線)を抽出する。そして、地図データabから土地属性としての地番と地目とを読み出し、それらを、各土地界線に対応するリンクデータに土地属性データとして関連付けて記憶させる。
【0058】
図3(c)は、各リンクデータの内容を示す説明図である。各リンクデータBLa−bには、その始点から終点に向かって両側に接する各土地の土地属性(地番と地目)を表す土地属性データが関連付けられる。
例えばリンクデータBL1−2は、右側に接する地番の土地属性データが103番地、左側が102番地であり、地目に関しては両側が宅地であって地目界線をなしていないので、地目を表す属性データには、地目界線ではないことを表す所定のデータが収められる。また、リンクデータBL3−4は、右側に接する土地の地目が農地で、左側が宅地であって、筆界線であると同時に地目界線でもある。ネットワークデータ生成手段24は、図3(c)に示すように、右側に接する地目の土地属性データとして農地を表すデータを、左側の土地属性データに宅地を表すデータを、それぞれ設定する。
ネットワークデータ生成手段24は、地図データabに基づいて生成したノードデータおよびネットワークデータから成るネットワークデータbbを、記憶手段Sdに記憶させる。
【0059】
また、図4(a)は、平成16年1月1日時点の地目認定図に基づく地図データac上の、図2(a),図3(a)と同じある地域を表す図である。ネットワークデータ生成手段24は、図4(a)示す地図データacに対しても、図3(a)の地図データabに対して行った処理と同様の処理を行い、図4(b),(c)に示す各ノードデータCNa、および各リンクデータCLa−bを生成する。
【0060】
ただし、地図データacには、筆界線と一致しない地目界線が含まれている。ネットワークデータ生成手段24は、図4(b)に示すように、この地目界線に対しても、他の筆界線との交点にノードデータCN4,CN8を生成し、他の筆界線と同様にリンクデータCL4−8を生成する。
図4(c)に示すように、リンクデータCL4−8は、右側に接する地目の土地属性データが農地、左側が宅地であり、地番に関しては両側が104−1番地であって筆界線をなしていないので、地番を表す属性データには筆界線ではないことを表す所定のデータが収められる。
ネットワークデータ生成手段24は、地図データacに基づいて生成したノードデータおよびネットワークデータから成るネットワークデータbcを、記憶手段Sdに記憶させる。
【0061】
また、図5(a)は、平成16年6月15日時点の公図に基づく地図データad上の、図2(a),図3(a),図4(a)と同じある地域を表す図である。ネットワークデータ生成手段24は、図5(a)示す地図データadに対しても、前記地図データaa〜acに対して行った処理と同様の処理を行い、図5(b),(c)に示す各ノードデータDNa、および各リンクデータDLa−bを生成する。
なお、地図データadには、地目を表す情報は含まれていないものとする。
ネットワークデータ生成手段24は、地図データadに基づいて生成したノードデータおよびネットワークデータから成るネットワークデータbdを、記憶手段Sdに記憶させる。
【0062】
また、ネットワークデータ生成手段24は、それぞれの基となる地図データaに関連付けて記憶された、前記地図の作成時点を表すデータ(作成時点データ)を、それぞれ生成したネットワークデータba〜bdに関連付けて記憶させる。
【0063】
なお、ネットワークデータ生成手段24は、地図データaを前記図郭単位で各クライアントコンピュータCに分配して、クライアントコンピュータCの土地データ管理プログラムにより、複数のクライアントコンピュータC上で分散処理させて実現するように構成してもよい。
【0064】
なお、本実施の形態においては、説明の簡単のために、土地界線として筆界線と地目界線とに絞って説明を行っているが、実際の運用上は、多種類の土地界線(筆界線、字界線、地目界線、土地の用途界線、行政界線、路線等)を含む地図データを使用し、ネットワークデータ生成手段24は、それら各土地界線に対応するネットワークデータを生成する。
【0065】
(ネットワークデータ通信手段26,10)
ネットワークデータ通信手段26,10は、サーバコンピュータSおよび各クライアントコンピュータCに設けられ、サーバコンピュータSの記憶手段Sdに記憶されたネットワークデータbを前記図郭単位で各クライアントコンピュータCの記憶手段Cdに転送したり、クライアントコンピュータCがそのネットワークデータ(図郭ネットワークデータ)を編集等した後、その図郭ネットワークデータをサーバコンピュータSに返信したりする。サーバコンピュータSのネットワークデータ通信手段26は、返信された編集済みの図郭ネットワークデータを、元のネットワークデータbの該当図郭と置き換える。
【0066】
(図郭処理順序制御手段25)
図郭処理順序制御手段25は、後述するネットワークデータ比較手段12、ネットワークデータ合成手段14、ネットワークデータ編集手段16、ネットワークデータ照査手段18等を実行する際、ネットワークデータbの各単位図郭を、それぞれ複数のクライアントコンピュータC,C・・に割り振ってネットワークデータ通信手段26を介して送信し、各クライアントコンピュータに各手段の処理を分散処理させる制御を行う。
【0067】
(ネットワークデータ比較手段12)
次に、各クライアントコンピュータCで実現されるネットワークデータ比較手段12について説明する。
ネットワークデータ比較手段12は、サーバコンピュータS上の各ネットワークデータba,bb・・同士の比較を行う。
ネットワークデータ比較手段12は、オペレータがクライアントコンピュータCに対して、比較する二つ(複数)のネットワークデータbと、比較する地域の範囲(または比較する図郭)を指定することで起動される。または、ネットワークデータbの全ての図郭同士を比較する場合には、オペレータが、サーバコンピュータS、または、クライアントコンピュータCのいずれか一台に対して、二つ(複数)のネットワークデータbの全体の比較を行うことを指示する操作を行うと、図郭処理順序制御手段25が各ネットワークデータbの同一地域に対応する図郭を、図郭単位で各クライアントコンピュータCに割り振って送信し、各クライアントコンピュータCのネットワークデータ比較手段12が起動され、図郭単位の図郭ネットワークデータ同士の比較を行う。
【0068】
ネットワークデータ比較手段12が図2(b),(c)と図3(b),(c)に示したネットワークデータba,bb同士を比較する場合を例にとる。
ネットワークデータ比較手段12は、ネットワークデータ通信手段26,10を介してネットワークデータba,bbの比較対照となる図郭を読み出す。ネットワークデータ比較手段12は、ネットワークデータbaの全てのリンクデータALa−bと、ネットワークデータbbの全てのリンクデータBLa−b同士を比較し、一方に存在して他方に存在しないリンクを検出する。この比較は、始点および終点のノードデータの前記座標データ同士を比較し、始点と終点の座標データが一致するリンクデータが両方に存在するかどうかを検索することで行う。図2(b),(c)と図3(b),(c)のネットワークデータbaとbbの比較の場合、ネットワークデータbaのリンクデータAL3−4,AL5−6と、ネットワークデータbbのリンクデータBL3−4,BL4−5,BL4−7,BL6−7,BL7−8が、一致しないリンクデータとして検出される。
【0069】
なお、ここでいう「座標データが一致する」とは、座標の値が完全に一致することに限定されず、所定の許容誤差範囲を定めておき、その範囲内の座標のずれは、同一のものとして扱うよう構成してもよい。また、始点と終点とが入れ替わっているだけで、始点と終点同士が一致しているリンクデータは、同一のものとして扱う。
【0070】
また、ネットワークデータ比較手段12は、位置が一致した各リンクデータに対し、それぞれの有する、両側の土地属性データ同士を比較し、相違点を検出する。
ネットワークデータbaとbbの比較の場合、例えばリンクデータAL3−5とBL3−6とは、位置は一致するが、左側に隣接する筆の地番が104と104−1とで相違している。
また、ネットワークデータbbとbcとの比較を例にとると、リンクデータBL4−7とCL5−9とは、位置および地番の土地属性データは一致するが、右側に接する地目の土地属性データが、農地と宅地とで相違している。
【0071】
ネットワークデータ比較手段12は、検出した相違するリンクデータを、サーバコンピュータSの出力装置ScまたはクライアントコンピュータCの出力装置Ccに、他のリンクデータと色を変えるなどして出力し、オペレータに相違点を通知する。
これにより、各ネットワークデータba,bbの基となっている地図の間で、それらの作成時点の間で変更された土地界線や、位置や土地属性が誤って記録されている土地界線を検出することができる。
また、オペレータは、出力された相違箇所から、各地図間で異なる土地界線を把握できる。また、それら相違点を検討して、その相違が、正常な変更による相違なのか、基となる地図の誤りやずれなどに起因するものなのかを検討することができる。そして、オペレータは、修正の必要のあるリンクデータは、後述するネットワークデータ編集手段16により書き換えて修正することができる。
【0072】
(ネットワークデータ編集手段16)
ネットワークデータ編集手段16は、ネットワークデータを図郭単位で編集可能とする手段である。ネットワークデータ編集手段16は、出力装置Ccに、図2(b)や図3(b)等に示すようなネットワークデータbを表示させる。オペレータは、前記入力装置Cbを操作して、各ノードデータやリンクデータに対し、位置を移動させたり、削除したりする操作を行うことができるよう設けられる。また、新たなノードデータやリンクデータを追加することもできるよう設けられる。
また、ネットワークデータ編集手段16は、さらに、図2(c)や図3(c)等に示すような、各ノードデータやリンクデータの属性を表示させ、その属性をオペレータに編集可能に設けられる。
オペレータは、ネットワークデータ比較手段12により表示された前記相違箇所等を検討し、必要に応じて任意のネットワークデータbを編集することができる。
【0073】
(ネットワークデータ合成手段14、統合ネットワークデータd)
ネットワークデータ合成手段14は、複数のネットワークデータの内容を合成して新たなネットワークデータを生成する。
オペレータが、サーバコンピュータS、または、クライアントコンピュータCのいずれか一台に対して、二つ(複数)のネットワークデータbの合成を行うことを指示する操作を行うと、図郭処理順序制御手段25が各ネットワークデータbの同一地域に対応する図郭を、図郭単位で各クライアントコンピュータCに割り振って送信し、各クライアントコンピュータCのネットワークデータ合成手段14が起動され、図郭単位でネットワークデータbの合成を行う。
【0074】
ネットワークデータ合成手段14により合成された図郭ネットワークデータは、ネットワークデータ通信手段10,26を介してサーバコンピュータSに転送される。サーバコンピュータSが各クライアントコンピュータCから受信した、合成された図郭ネットワークデータは、一つのネットワークデータbとしてまとめられ、統合ネットワークデータdとしてサーバコンピュータSの記憶手段Sdに記憶される。
【0075】
以下、ネットワークデータ合成手段14の構成を、図2〜図5に示したネットワークデータba〜bdを合成する場合を例にとって説明する。
図6は、ネットワークデータba〜bdを合成した合成ネットワークデータの構成を示す説明図である。
【0076】
ネットワークデータ合成手段14は、ネットワークデータba〜bdに含まれる全てのノードデータおよびリンクデータを合成することで、それら全てに対応するノードデータおよびリンクデータを有する合成ネットワークデータを作成する。
ただし、ネットワークデータ合成手段14は、合成する複数のネットワークデータ間で重複する位置のリンクに対応するリンクデータは一つのリンクデータとするとともに、該一つのリンクデータに、基である複数のリンクデータに含まれている各土地属性データを含ませる。
【0077】
例えば、ネットワークデータba〜bdのリンクデータAL3−5,BL3−6,CL3−7,DL3−4は、全て位置が一致するリンクデータであるから、ネットワークデータ合成手段14は、これらを合成して、これらに対応するリンクデータUL3−7(図6(b))を一つ生成する。
また、リンクデータAL3−4,BL3−4,BL4−5,CL3−4,CL4−5,CL5−6,DL3−5は、互いにその全部または一部が一致するリンクデータとなっている。ネットワークデータ合成手段14は、これらのリンクデータの端点を構成するノードデータ(端点データ)の全てに対応するノードデータを合成ネットワークデータに取り込み、これらの各ノードデータ間を結ぶリンクデータをそれぞれ生成する。すなわち、図6(b)に示すように、ノードデータUN3,UN4,UN5,UN6と、リンクデータUL3−4,UL4−5,UL5−6とを生成する。
なお、ここでいう位置の一致とは、座標の値が完全に一致することに限定されず、所定の許容誤差範囲を定めておき、その範囲内の座標のずれは、同一のものとして扱うよう構成してもよい。
【0078】
また、ネットワークデータ合成手段14は、図6(c)に示すように、ネットワークデータba〜bdの各リンクデータの土地属性データを継承させて、合成ネットワークデータの各リンクデータを生成する。
この際、各リンクデータに、各土地属性データを、各リンクデータの基となるネットワークデータの前記作成時点データ毎に分類して記憶させる。すなわち、図6(c)に示す作成時点データが、各土地界線がどの時点の地図から現れおよび消滅したかを表す発生時点データおよび消滅時点データとなる。
【0079】
図6(a)は、このようにして生成された合成ネットワークデータが表す筆界線および地目界線を概念的に示す説明図である。図6(a),(b)において、リンクデータUL5−9は平成7年1月1日に発生した、地番104−1と104−2とを区切る筆界線であるとともに農地と宅地とを区切る地目界線である。リンクデータUL4−8は、平成16年1月1日に発生した、農地と宅地とを区切る地目界線である。リンクデータUL5−6は、昭和62年1月1日時点では地番103と104とを区切る筆界線であり、平成7年1月1日から平成16年1月1日までは地番103と104−2とを区切る筆界線であり、平成16年6月15日時点では消滅した土地界線である。
このように、合成ネットワークデータは、ネットワークデータba〜bdに含まれる全てのノードデータおよびリンクデータに対応するノードデータおよびリンクデータを有する。
【0080】
各クライアントコンピュータCのネットワークデータ合成手段14は、各ネットワークデータba〜bdを図郭単位で合成して生成した、図郭単位の合成ネットワークデータを、サーバコンピュータSに送信する。サーバコンピュータは、これら図郭単位の合成ネットワークデータをまとめて、固定資産の認定の対象となる所定地域の土地界線および土地属性を表す統合ネットワークデータdとして、記憶手段Sdに記憶させる。
【0081】
この統合ネットワークデータdに基づけば、固定資産の認定の対象となる所定地域における、各土地界線の発生および消滅時点を特定できるとともに、各土地界線の接する土地の、各種類の土地属性(地番や地目)の年代別の変化を特定できる。
例えば、図6(c)に示す統合ネットワークデータdの一部から、リンクデータUL5−9は、平成7年1月1日作成の地図から、104−1番地と104−2番地とを区切る筆界線であるとともに、農地と宅地との地目界線として発生したことが分かる。また、同リンクデータUL5−9は、平成16年1月1日の時点からは、地目界線ではなくなったことが分かる。
もう一つ例示すれば、リンクデータUL5−6は、昭和62年1月1日時点では、103番地と104番地とを区切る筆界線であり、少なくとも平成7年1月1日から平成16年1月1日時点までは103番地と104−2番地とを区切る筆界線であり、平成16年6月15日時点では、消滅していることが分かる。
【0082】
また、例えば図5(a)の公図のように、土地の地目が記載されていなかったり、または地図読み込み・編集手段23により情報が読み取れなかったりした場合等、土地属性データが特定できない場合がある。この例では、図5の公図においては地目に関する情報が記載されていない(または地図読み込み・編集手段23により地目の情報が読み込めなかった)ため、平成16年6月15日時点での地目界線は特定できない。
このようなケースでは、ネットワークデータ合成手段14は、直前の地図データの情報(この場合では図4の平成16年1月1日時点の地目界線の情報)を継承させて平成16年6月15日時点の情報として登録するよう構成してもよいし、または、地目界線を表す土地属性データに、不明であることを示す所定のデータ(図6(c)中に「?」で示す)を代入しておくよう構成してもよい。
【0083】
(ネットワークデータ比較手段12)
前述したネットワークデータ比較手段12は、複数のネットワークデータ間の比較のみでなく、この統合ネットワークデータdに対して、第一の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータと、第二の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータとの相違点を検出することができる。
【0084】
例えば、昭和62年1月1日時点で存在した土地界線と平成16年1月1日時点で存在した土地界線とを比較する場合には、図6(c)のリンクデータの中から、昭和62年1月1日時点で存在した土地界線に対応するリンクデータと、平成16年1月1日時点で存在した土地界線に対応するリンクデータとを、それぞれ抽出し、双方を比較して、それらの相違点を検出することができる。
【0085】
また、特定の時点に限らず、一定の時間幅をもつ期間内に存在したリンクデータ同士を比較することもできる。
例えば、昭和62年1月1日から平成7年1月1日までの期間に存在した土地界線と、平成16年1月1日時点から平成16年6月15日までの期間に存在した土地界線とを比較することができる。この場合には、昭和62年1月1日から平成7年1月1日の間に作成された全ての地図に対応するリンクデータと、平成16年1月1日から平成16年6月15日の間に作成された全ての地図に対応するリンクデータとを比較する。
【0086】
ネットワークデータ比較手段12は、検出した相違するリンクデータを、サーバコンピュータSの出力装置ScまたはクライアントコンピュータCの出力装置Ccに、他のリンクデータと色を変えるなどして出力し、オペレータに相違点を通知する。なお、このとき、前述の、土地属性データとして不明であることを表すデータ(図6(c)中に「?」で示す)に対応するリンクデータも、他のデータと色を変えるなどして同時に表示させるよう構成するとなお良い。
オペレータは、出力された相違箇所から、ある時点や期間の間で異なる(または不明な)土地界線を把握できる。また、それら相違点(不明点)を検討して、その相違が、正常な変更による相違なのか、基となる地図の誤りやずれなどに起因するものなのかを検討することができる。
そして、オペレータ(ユーザー)は、現況を表すデジタルオルソ画像データを参照したり、現地調査を行うなどして現況を確認し、修正の必要のあるリンクデータは、ネットワークデータ編集手段16により書き換えて修正することができる。
【0087】
(土地認識手段20)
本実施の形態に係る土地データ管理システムAでは、固定資産税の徴税等のための土地の認定を、前記統合ネットワークデータdを用いて行う。統合ネットワークデータdは、各種の地図の比較を行ってそれらの整合を取って作成されたものであるから、基となったどの地図よりも精確で情報の落ちのないネットワークデータである(なお、本実施の形態においては、説明の簡単のために図2〜図5の4つの地図のみを例に取っているが、実際の運用においては、より多種の、かつ新旧にわたって、公的に認知された地図を用いることが望ましい。採用して好適な地図としては、例えば、不動産登記法第17条に規定の地図、不動産登記法第24条3項に規定の図面、旧土地台帳法施行細則第2条第1項に規定の土地台帳付属地図、国土調査法第2条第6項に規定の地図、および土地区画整理登記令第6条第2項の2に規定の所在図等が挙げられる)。
【0088】
さて、土地データ管理システムAには、統合ネットワークデータdから、固定資産税の徴税のための土地の認定をすべく特定の筆を抽出したり、固定資産の評価要素となる用途地域等を抽出したりして、オペレータに参照可能に出力装置Sc,Cc等に出力させる機能が求められる。
一方で、実際の運用上、統合ネットワークデータdは、多種類の土地界線(筆界線、字界線、地目界線、土地の用途界線、行政界線、路線等)に対応するリンクデータを含んでいる(なお、本実施の形態においては、説明の簡単のために、土地界線として筆界線と地目界線とに絞って説明を行っている)。
そこで、土地データ管理システムAは、多種類の土地界線の中から、特定の土地属性を有する土地の範囲を抽出する土地認識手段20を具備する。
【0089】
以下、図6で示した、統合ネットワークデータdの一部である合成ネットワークデータで、平成7年1月1日時点での104−1番地の範囲を認識する場合を例にとって、図7を用いて説明する。
【0090】
土地認識手段20は、初期リンク設定手段と、属性界探索手段とを備える。
【0091】
(初期リンク設定手段)
土地認識手段20の初期リンク設定手段は、まず、平成7年1月1日時点で特定の土地属性104−1番地を表す土地属性データを片側に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータの一つを、統合ネットワークデータd(合成ネットワークデータ)の中から抽出する。本例では、UL3−4(図7中の1)が抽出されたものとする。
続いて、初期リンク設定手段は、抽出したリンクデータUL3−4の端点データ(ノードデータUN3,UN4)が表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定する。なお、この始点と終点とは、リンクデータの属性としての始点と終点とは無関係に、任意に定めるよう構成する。本例においては、UN3が始点(図7(b)では「始」の記号で示す)に、UN4が終点にそれぞれ定められたものとする。そして、初期リンク設定手段は、終点UN4を、次のリンクデータを探索するための「探索点」(図7(b)では「探」の記号で示す)に設定する。
【0092】
(属性界探索手段)
土地認識手段20の属性界探索手段は、探索点UN4を、探索点UN4に接続された他の各リンクデータUL4−5,UL4−8の始点とし、この各リンクデータUL4−5,UL4−8の各他端UN5,UN8を、この各リンクデータUL4−5,UL4−8の終点する。
そして、この各リンクデータUL4−5,UL4−8の中から、104−1番地の土地属性を、始点UN4から終点UN5,UN8に向かって、初期リンク設定手段で抽出したリンクデータUL3−4と同じ側(右側)に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータを抽出する。この例では、リンクデータUL4−5がその条件に合致するため、リンクデータUL4−5(図7中の2)が抽出される。
【0093】
土地認識手段20は、属性界探索手段により抽出されたリンクデータUL4−5の終点UN5を新たな探索点として、属性界探索手段を繰り返す。すなわち、次にはリンクデータUL5−8とUL5−9の中からUL5−9(図7中の3)が抽出され、その次にはUL8−9が抽出される。
土地認識手段20は、この処理を、新たな探索点と、前記初期リンク設定手段で設定された始点UN3とが一致するまで繰り返すことで、104−1番地の土地属性をもつ土地の境界を形成する、互いに連続するリンクデータを抽出して、104−1番地の土地の範囲を認識する。
なお、図7において、矢印状に記載されたリンクデータは、初期リンク設定手段または属性界探索手段によって設定された終点を矢印の先端とし、始点を矢印の基点として示している。
【0094】
土地認識手段20は、認識した土地の範囲を、その内部を所定の色で塗りつぶすなどして明示して、出力装置Sc,Cc等に出力する。または、その範囲を、図示しない所定の地価算出手段等に通知して、その土地の地価の算出等を行わせる。
【0095】
また、土地認識手段は、発生時点データおよび消滅時点データとしての地図の作成時点データに基づいて、特定の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータのみの中から、前記連続するリンクを表すリンクデータを抽出可能に設けられている。
例えば、図2〜図4に示したネットワークデータba〜bcにおける103番地の範囲と、図5に示したネットワークデータbdにおける103番地の範囲とは異なっているが、土地認識手段は、オペレータの操作による指定等に従って、特定の時点または期間内に存在したリンクデータのみを検索して特定の土地属性をもつ範囲を特定できるから、各時点および期間における正しい範囲を認識できる。
【0096】
(ネットワークデータ照査手段18)
ネットワークデータ編集手段16により編集された図郭ネットワークデータには、オペレータの操作ミス等により、誤った変更がなされてしまう場合がある。ネットワークデータ照査手段18は、誤った情報を有するノードデータやリンクデータを検出する手段である。
オペレータは、ネットワークデータ編集手段16の実行により編集したネットワークデータの図郭に対し、ネットワークデータ照査手段18による検査を行うことができる。
【0097】
図8に、ネットワークデータ照査手段18の構成を示す。
ネットワークデータ照査手段18は、重複データ検出手段30と、境界整合性検査手段32とを備える。
【0098】
(重複データ検出手段30)
オペレータが、ネットワークデータ編集手段16によりネットワークデータを編集する際に、例えば、既存のリンクデータに新たな土地属性データを付加するときに誤って既存のリンクデータに重ねて新たなリンクデータを作成してしまった場合等、操作ミスによって位置が重複する複数のリンクデータやノードデータを生成してしまうことがあり得る。これでは、位置が一致する複数種類の土地属性を一つのリンクデータで管理できなくなってしまうため、修正の必要がある。
しかし、ネットワークデータのイメージを前述のように出力装置Cc等に出力した際、重複した複数のデータは、重なって一本のリンクデータに見えるため、オペレータが重複したデータを目視により検出するのは困難である。
【0099】
そこで、重複データ検出手段30は、ネットワークデータ編集手段16により編集された編集図郭内のネットワークデータの中から、位置が重複する複数のリンクデータおよびノードデータを検出する。
なお、本願発明において、ネットワークデータ編集手段16により編集され、ネットワークデータ照査手段18により照査(検査)される図郭のことを、編集図郭と呼ぶ。
【0100】
重複データ検出手段30は、編集図郭のネットワークデータに含まれる全てのノードデータの座標データを互いに比較して、重複するノードデータを検索する。また、重複データ検出手段30は、編集図郭のネットワークデータに含まれる全てのリンクデータの端点データであるノードデータを互いに比較して、両端点が一致する、すなわち重複するリンクデータを検索する。
重複データ検出手段30は、検出した重複するノードデータおよびリンクデータを、他の正常なノードデータおよびリンクデータとは色を変えて、出力装置Ccに出力するなどして、オペレータに対して重複するデータを示す。
【0101】
(リンクデータ統一化手段31)
リンクデータ統一化手段31は、重複データ検出手段30により検出された重複する複数のリンクデータを一つのリンクデータにまとめるとともに、その一つのリンクデータに、基となる複数のリンクデータに含まれている各土地属性データを継承させて記憶させる。
このリンクデータ統一化手段31による処理は、自動的に実行するよう構成してもよいし、オペレータが重複するデータを確認した後、オペレータがそれらのデータを統一化させる旨を指示するコマンド操作等を行った際に実行するよう構成しても良い。
【0102】
(境界整合性検査手段32)
境界整合性検査手段32は、ネットワークデータ編集手段16により編集された編集図郭の境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査する手段である。
境界整合性検査手段32は、図8に示すように、検査用図郭抽出手段38、仮ノード生成手段34、仮リンク生成手段36、検査用仮ノード生成手段40、検査用仮リンク生成手段42、リンク方向設定手段44、およびリンク方向設定網羅手段46とを備える。
【0103】
(検査用図郭抽出手段38)
境界整合性検査手段32は、まず検査用図郭抽出手段38を実行させる。
図9において、中央部に描かれた四角形に囲まれた範囲が、ネットワークデータ編集手段16により編集された編集図郭52であるとする。
検査用図郭抽出手段38は、前記所定地域に対応する統合ネットワークデータd全体から、編集図郭52を取り囲む検査用図郭54を抽出する。図9において、編集図郭52を取り囲んで描かれた部分が、抽出された検査用図郭54である。図10に、検査用図郭54のみを表した図を示す。
なお、図9中の100〜212の値は、各リンクデータに囲まれた土地の土地属性を表す土地属性データとしての地番を示す。
【0104】
(仮ノード生成手段34)
続いて、境界整合性検査手段32は、仮ノード生成手段34を実行させる。
仮ノード生成手段34は、図9に示した編集図郭52内の、編集図郭52の境界で分断される各リンクデータの分断点に、図11に示すように、仮ノードTN1〜TN9を生成する。さらに、仮ノード生成手段34は、四角形の図郭の4隅の位置にも、それぞれ仮ノードTN10〜TN13を生成する。
なお、図11中のノードUN1〜UN4は、もともと土地界線の交点に対応して存在するノードを表す。仮ノード生成手段34は、境界上に沿ってもともとノードデータUNxが存在する箇所には、仮ノードは生成しない。
【0105】
(仮リンク生成手段36)
続いて、境界整合性検査手段32は、仮リンク生成手段36を実行させる。
仮リンク生成手段36は、図12に示すように、編集図郭52の境界上に隣接して位置するノードUN1〜UN4および仮ノードTN1〜TN13同士を接続する仮リンクを表すリンクデータTL1〜TL16を、この編集図郭52に属するリンクデータとして追加する。ここで、各仮リンクのリンクデータTL1〜TL16は、片側が編集図郭52内の土地に接し、反対側は編集図郭52外に接することになる。そこで、各仮リンクのリンクデータTL1〜TL16に対応するリンクデータの、片側に接する土地の土地属性データは、編集図郭52内で接する土地の土地属性の値とし、反対側に接する土地の土地属性データは、編集図郭52外であることを示す所定のデータ、例えばヌルデータ(0)としておく。
なお、図12中のリンクデータUL1は、もともと土地界線に対応して存在するリンクを表す。仮リンク生成手段36は、境界上に沿ってもともとリンクデータULxが存在する箇所には、仮リンクは生成しない。また、もともと存在するリンクデータULxの、編集図郭52外に接する側の土地属性データは、前述の編集図郭52外であることを示す所定のデータ(例えばヌルデータ)に書き換える。
【0106】
(検査用仮ノード生成手段40)
続いて、境界整合性検査手段32は、検査用仮ノード生成手段40を実行させる。
検査用仮ノード生成手段40は、図10に示した検査用図郭54内の、編集図郭52との境界で分断される各リンクデータの分断点に、図13に示すように、検査用仮ノードIN1〜IN9を生成する。さらに、検査用仮ノード生成手段40は、検査用図郭54の内周側の4隅の位置にも、それぞれ検査用仮ノードIN10〜IN13を生成する。
【0107】
図13中のノードUN1〜UN4は、もともと土地界線の交点に対応して存在するノードを表す。検査用仮ノード生成手段40は、境界上に沿ってもともとノードデータUNxが存在する箇所には、検査用仮ノードは生成しない。
なお、前記検査用図郭抽出手段38は、検査用図郭54の内周側縁部と編集図郭52の外周縁部とが、1座標幅分だけ重なるように、検査用図郭54を抽出する。これにより、検査用図郭54の内周側縁部と、編集図郭52の外周縁部とは、同一のデータを有するため、編集図郭52の境界(外周縁部)に位置するノードUNは、検査用図郭54の内周縁部にも位置することとなる。
【0108】
(検査用仮リンク生成手段42)
続いて、境界整合性検査手段32は、検査用仮リンク生成手段42を実行させる。
検査用仮リンク生成手段42は、図14に示すように、検査用図郭54の内周縁、すなわち編集図郭52との境界上に隣接して位置するノードUN1〜UN4および検査用仮ノードIN1〜IN13同士を接続する検査用仮リンクを表すリンクデータIL1〜IL16を、検査用図郭54に属するリンクデータとして追加する。ここで、各検査用仮リンクのリンクデータIL1〜IL16は、片側が検査用図郭54内の土地に接し、反対側は検査用図郭54外に接することになる。そこで、各検査用仮リンクに対応するリンクデータIL1〜IL16の、片側に接する土地の土地属性データは、検査用図郭54で接する土地の土地属性の値とし、反対側に接する土地の土地属性データは、検査用図郭54外であることを示す所定のデータ、例えばヌルデータや9999やFFFFh等といった、検査用図郭54内には有りえない、特殊データとしておく。
なお、図14中のリンクデータUL1は、もともと土地界線に対応して存在するリンクを表す。検査用仮リンク生成手段42は、境界上に沿ってもともとリンクデータULxが存在する箇所には、検査用仮リンクは生成しない。また、もともと存在するリンクデータULxの、検査用図郭54外に接する側の土地属性データは、前述の編集図郭52外であることを示す所定のデータ(例えばヌルデータ)に書き換える。
【0109】
(リンク方向設定手段44、リンク方向設定網羅手段46)
続いて、境界整合性検査手段32は、編集図郭52のリンクデータに対して、リンク方向設定手段44を実行する。
リンク方向設定手段44は、編集図郭52の、同一の土地属性を有する土地に接する土地界線に対応する各リンクデータを、各リンクデータが始点から終点に向かってその土地に同じ側で接するように、各リンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定する。
また、リンク方向設定網羅手段46は、リンク方向設定手段44を、編集図郭52内の各リンクデータに対して実行して、各リンクデータに対して始点および終点を設定する。
【0110】
リンク方向設定手段44について説明する。
リンク方向設定手段44は、初期方向設定手段44aと連続方向設定手段44bとを備える。
【0111】
リンク方向設定手段44は、まず初期方向設定手段44aを実行する。
初期方向設定手段44aは、編集図郭52内の、当該リンク方向設定手段44に係る処理が未処理のリンクデータの一つを抽出し、抽出したリンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定し、この終点を探索点に設定する。
【0112】
図15を用いて説明する。初期方向設定手段44aは、まず、編集図郭52内の、当該リンク方向設定手段44に係る処理が未処理のリンクデータの一つを抽出する。図15の例では、編集図郭52内のリンクデータUL,TLを左上から右下に検索して、当該リンク方向設定手段44に係る処理が未処理のリンクデータを抽出する。初期方向設定手段44aは、まず図15中の1で示したリンクデータを抽出する。
初期方向設定手段44aは、抽出したリンクデータ1の端点データが表す端点の一方1aを始点、他方1bを終点にそれぞれ設定し、終点1bを「探索点」に設定する。
【0113】
リンク方向設定手段44は、続いて、連続方向設定手段44bを実行する。
連続方向設定手段44bは、探索点1bを、探索点1bに接続された他の各リンクデータ2,2’の始点とし、その各他端2b,2'bを終点に設定する。なお、この始点・終点の設定は、実際に各リンクデータ2,2’の属性データを書き換えても良いが、属性データの書き換えは行わず、自由変数等に値を設定することにより仮に設定するだけでもよい。
連続方向設定手段44bは、その他の各リンクデータ2,2’の中から、初期方向設定手段44aが抽出したリンクデータ1の有する片側(右側)の土地属性データ「205番地」(図9参照)と同一の土地属性データを、始点1bから終点2b,2'bに向かって前記抽出したリンクデータ1と同じ側(右側)に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータ2を抽出する。
なお、ここで、リンクデータ2および2’の始点および終点データが、前述のように仮に設定されたものである場合には、少なくとも抽出したリンクデータ2の始点および終点データを、1bを始点、2bを終点となるよう、実際に書き替えを行う。
【0114】
リンク方向設定手段44は、リンクデータ2の終点2bを新たな探索点として、連続方向設定手段44bを繰り返し、リンクデータ3,4,5を抽出する。リンク方向設定手段44は、連続方向設定手段44bにより検出された新たな探索点と、初期方向設定手段44aで設定された始点1aとが一致するまで繰り返す。これにより、ある土地属性データ「205番地」を有する土地「A」を囲むリンクデータ1,2,3,4,5を抽出する。また、これにより、各リンクの始点データおよび終点データは、始点から終点に向かってその土地が同じ側(右側)に接するように設定される。
【0115】
次に、リンク方向設定網羅手段46について説明する。
リンク方向設定網羅手段46は、リンク方向設定手段44を繰り返し実行し、リンク方向設定手段44による始点および終点の設定を、編集図郭52内の各リンクデータに対するて実行する。
【0116】
図16および図17を用いて説明する。
リンク方向設定網羅手段46により再度起動されたリンク方向設定手段44は、図16に示すように、まず、初期方向設定手段44aにより、編集図郭52内の、当該リンク方向設定手段44に係る処理が未処理のリンクデータの一つ2−1を抽出する。そして、同様に連続方向設定手段44bにより、土地属性データ「210番地」(図9参照)を右側に接する土地の属性データとして有するリンクデータを抽出することで、土地「B」を囲むリンクデータ2−1〜2−4を抽出する。なお、このとき、リンクデータ2−2の方向(始点および終点)は、土地属性データ「205番地」(土地「A」)に対して設定された方向(始点および終点)とは逆方向に再設定される。
【0117】
リンク方向設定網羅手段46は、同様に、リンク方向設定手段44を、未処理のリンクデータがなくなるまで繰り返し実行して、図17に示すように、編集図郭52内の全てのリンクデータに対して始点および終点を設定するとともに、リンクデータに囲まれた全ての土地A〜Qを順(この例の結果においてはアルファベット順)に認識する。
【0118】
リンク方向設定手段44によれば、土地属性がリンクデータにより囲まれていないといったネットワークデータの不備を検出できる。すなわち、探索点と、初期方向設定手段44aで設定された始点1aとが一致する前に、連続方向設定手段44bが、探索点から延びる、同一の土地属性データを有するリンクデータを検出できなくなった場合には、その土地属性データを囲むリンクデータが閉じていないことになる。リンク方向設定手段44は、この不備を検出した場合には、出力装置Cc等に、その土地属性に接する、閉じていないリンクデータを、他のリンクデータとは色を変えるなどして明示し、オペレータにこの不備を知らせる。
【0119】
境界整合性検査手段32は、さらに、検査用図郭54の、検査用仮リンクを含む全てのリンクデータに対しても、リンク方向設定手段44およびリンク方向設定網羅手段46を、同様に実行して、図18に示すように、検査用図郭54内の各リンクデータに対して始点および終点を設定する。
【0120】
ここで、図19と図20に示すように、編集図郭52の外周縁および検査用図郭54の内周縁のリンクデータに着目すると、それらは始点から終点に向かって、互いに同じ側が編集図郭または検査図郭内となるよう方向が設定される。言い換えると、編集図郭52の外周縁および検査用図郭54の内周縁のリンクデータの方向は、それぞれの周方向に沿った同一方向に設定される。そして、図19と図20に示すように、編集図郭52の外周縁のリンクデータと、検査用図郭54の内周縁のリンクデータとは、互いに逆方向となる。したがって、編集図郭52の外周縁および検査用図郭54の内周縁のリンクデータは、互いに始点と終点と一致しているはずである。すなわち、もし編集図郭52の外周縁のリンクデータTL1〜TL16,UL1と、検査用図郭54の内周縁のリンクデータIL1〜IL16,UL1とが一対一に対応し、なおかつ対応するリンクデータ同士の始点および終点の位置が完全に一致していないなら、編集図郭52と検査用図郭54との境界において、編集図郭52のリンクデータと検査用図郭のリンクデータとの整合が取れていないことになる。
【0121】
境界整合性検査手段32は、図19に示す編集図郭52の外周縁のリンクデータTL1〜TL16,UL1と、図20に示す検査用図郭54の内周縁のリンクデータIL1〜IL16,UL1とが、完全に一対一に対応し、なおかつ始点データと終点データとで表される位置情報が一致するかどうかを判定する。そして、一対一に対応しなかったり、始点データと終点データとで表される位置情報が一致しなかった場合は、該当するリンクデータを出力装置Cc上で明示して、オペレータに不一致を知らせる。
【0122】
(図郭処理順序制御手段25)
図郭処理順序制御手段25は、前述の通り、ネットワークデータ照査手段18等を実行する際、ネットワークデータbの各単位図郭を、それぞれ複数のクライアントコンピュータC,C・・に割り振ってネットワークデータ通信手段26を介して送信し、各クライアントコンピュータにネットワークデータ照査手段18の処理を分散処理させる制御を行う。
ここで、各クライアントコンピュータC,C・・が、ネットワークデータ照査手段18を実行する際には、対象となる編集図郭52の周りを囲む各図郭の少なくとも一部を検査用図郭54として取り込み、その検査用図郭54を編集図郭52の照査(検査)の基準とする。したがって、ある編集図郭52のネットワークデータの編集や照査や照査後の修正を行っている最中に、別のクライアントコンピュータが、その編集図郭に隣接する図郭を編集してしまい、その隣接する図郭に編集ミスがあったとすると、境界整合性検査手段32による編集図郭52の正しい照査を行うことができない。
【0123】
そこで、図郭処理順序制御手段25は、複数のクライアントコンピュータCで境界整合性検査手段32を分散処理する際には、並んだ図郭を一つ飛ばしで編集および検査した後で、編集および検査が終了した図郭の間の未編集の図郭を編集および検査するよう、各図郭を編集および検査する順序を制御する。
図21に一例を示す。図21中、格子状に分割された各四角形が、各図郭を表している。図郭処理順序制御手段25は、まず図21中の一つ飛ばしの図郭イ,イ・・を優先的に照査させるよう各クライアントコンピュータC,C・・に分配して照査を行い、その終了後に図郭ロ,ロ・・を、次にハ,ハ・・、さらにニ,ニ・・と、照査の対象となる隣接する図郭が同時に編集または照査されることがないように制御を行う。
【0124】
本実施の形態に係る土地データ管理システムによれば、土地界線により区分された土地の範囲を、土地の位置および形状を直接的に表現するポリゴン画像データによらず、土地認識手段により、リンクデータに含まれる土地属性データに基づいて認識する。そして、同一位置に重なる複数種類の土地界線は、一つのリンクデータで表現する。したがって、従来と異なり、同一の領域に対して、土地界線の種類別に、複数のデータ(ポリゴン画像データ)を管理する必要がない。
また、土地の地目や用途や接する路線等も併せて管理が可能となり、例えば土地の評価等を行う上で利便性が高い。
【0125】
また、本実施の形態に係る土地データ管理システムに含まれる、ネットワークデータ照査手段18等から成るネットワークデータ照査システムによれば、図郭単位で編集されるネットワークデータの、編集図郭の境界でのリンクデータの分断位置が、編集図郭外のネットワークデータと整合が取れているかを検査することができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明に係るネットワークデータ照査システムの用途は、土地データ管理システムに限定されるものではなく、仮想空間内のノードとリンクとを表すノードデータとリンクデータとを含むネットワークデータを、所定の図郭単位で編集するシステムであれば、あらゆる用途に応用することができる。
例えば、電子部品を搭載するプリント基板の配線をリンクで、配線の交点をノードでそれぞれ表したネットワークデータを所定の図郭単位で編集可能なシステム等に応用することもできる。あるいは、上下水道の管路や原子力発電所の一次および二次冷却水を循環させるためのパイプラインをリンクで、管路(パイプライン)の分岐部をノードでそれぞれ表した、配管のネットワークを表すネットワークデータや、道路の路線をリンクで、交差点をノードでそれぞれ表した道路網を示すネットワークデータを扱うシステムに応用することもできる。
なお、ネットワークデータ照査システムを他の用途に用いる場合、上記実施の形態における土地に該当する複数のリンクに囲まれた部分の上位概念をエリア、そのエリアの属性をエリア属性(上記実施の形態における土地属性に該当)、エリア属性を表すデータをエリア属性データ(上記実施の形態における土地属性データに該当)と呼ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本実施の形態に係る土地データ管理システムの構成を示す説明図である。
【図2】(a)は、昭和62年1月1日時点に作成された地番図に基づく地図データ上の、ある一部の地域を表す図であり、(b)および(c)は、その地図データに基づいて生成されたネットワークデータの構成を示す説明図である。
【図3】(a)は、平成7年1月1日時点に作成された地目認定図に基づく地図データ上の、ある一部の地域を表す図であり、(b)および(c)は、その地図データに基づいて生成されたネットワークデータの構成を示す説明図である。
【図4】(a)は、平成16年1月1日時点に作成された地目認定図に基づく地図データ上の、ある一部の地域を表す図であり、(b)および(c)は、その地図データに基づいて生成されたネットワークデータの構成を示す説明図である。
【図5】(a)は、平成16年6月15日時点に作成された公図に基づく地図データ上の、ある一部の地域を表す図であり、(b)および(c)は、その地図データに基づいて生成されたネットワークデータの構成を示す説明図である。
【図6】複数のネットワークデータを合成した合成ネットワークデータの構成を示す説明図である。
【図7】合成ネットワークデータに対する土地認識手段の処理を示す説明図である。
【図8】ネットワークデータ照査手段の構成を示す説明図である。
【図9】編集図郭および検査用図郭の例を示す説明図である。
【図10】検査用図郭の例を示す説明図である。
【図11】編集図郭のネットワークデータに対する仮ノード生成手段の処理を示す説明図である。
【図12】編集図郭のネットワークデータに対する仮リンク生成手段の処理を示す説明図である。
【図13】検査用図郭のネットワークデータに対する検査用仮ノード生成手段の処理を示す説明図である。
【図14】検査用図郭のネットワークデータに対する検査用仮リンク生成手段の処理を示す説明図である。
【図15】編集図郭のネットワークデータに対するリンク方向設定手段の処理を示す説明図である。
【図16】編集図郭のネットワークデータに対するリンク方向設定手段およびリンク方向設定網羅手段の処理を示す説明図である。
【図17】編集図郭のネットワークデータに対するリンク方向設定手段およびリンク方向設定網羅手段の処理を示す説明図である。
【図18】検査用図郭のネットワークデータに対するリンク方向設定手段およびリンク方向設定網羅手段の処理を示す説明図である。
【図19】編集図郭内に生成された仮リンクを示す説明図である。
【図20】検査用図郭内に生成された検査用仮リンクを示す説明図である。
【図21】図郭処理順序制御手段による、各図郭を編集および検査する順序の制御の説明図である。
【図22】筆界線と地目界線が一致しない土地を表した説明図である。
【符号の説明】
【0128】
A 土地データ管理システム
C クライアントコンピュータ
S サーバコンピュータ
10 ネットワークデータ通信手段
12 ネットワークデータ比較手段
14 ネットワークデータ合成手段
16 ネットワークデータ編集手段
18 ネットワークデータ照査手段
20 土地認識手段
23 地図読み込み・編集手段
24 ネットワークデータ生成手段
25 図郭処理順序制御手段
26 ネットワークデータ通信手段
30 重複データ検出手段
31 リンクデータ統一化手段
32 境界整合性検査手段
34 仮ノード生成手段
36 仮リンク生成手段
38 検査用図郭抽出手段
40 検査用仮ノード生成手段
42 検査用仮リンク生成手段
44 リンク方向設定手段
44a 初期方向設定手段
44b 連続方向設定手段
46 リンク方向設定網羅手段
52 編集図郭
54 検査用図郭
a 地図データ
b ネットワークデータ
d 統合ネットワークデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定地域内の所定の土地界線により区分された各土地の土地属性を記憶して管理する土地データ管理システムであって、
土地界線の各交点の位置に対応したノードを表すノードデータと、該交点間を結ぶ各土地界線に対応したリンクを表し、両端点のノードを特定する端点データ、および土地界線の両側に接する各土地の土地属性をそれぞれ表す土地属性データを含むリンクデータとを有するネットワークデータを記憶する記憶手段と、
特定の土地属性をもつ土地の範囲を認識する場合に、該特定の土地属性を表す土地属性データを片側に接する土地の土地属性データとして有するとともに各端点データが表す端点において互いに連続するリンクを表すリンクデータを抽出し、該抽出したリンクデータが表すリンクにより囲まれた範囲を、該特定の土地属性をもつ土地の範囲として認識する土地認識手段とを具備し、
各リンクデータは、同一位置に重なる複数種類の土地界線に対応する複数種類の土地属性データを含むことができ、
前記土地認識手段は、土地属性データの種類ごとに、特定の土地属性をもつ土地の範囲を認識可能に設けられていることを特徴とする土地データ管理システム。
【請求項2】
前記土地認識手段は、
前記特定の土地属性を表す土地属性データを片側に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータの一つを抽出し、該抽出したリンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定し、該終点を探索点に設定する初期リンク設定手段と、
前記探索点を、該探索点に接続された他の各リンクデータの始点とし、該他の各リンクデータの各他端を、各該他のリンクデータの終点とし、該他の各リンクデータの中から、前記特定の土地属性を、該始点から該終点に向かって、前記初期リンク設定手段で抽出したリンクデータと同じ側に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータを抽出する属性界探索手段とを備え、
該属性界探索手段により抽出されたリンクデータの終点を新たな探索点として、属性界探索手段を、該新たな探索点と前記初期リンク設定手段で設定された始点とが一致するまで繰り返すことで、前記互いに連続するリンクデータを抽出して前記特定の土地属性をもつ土地の範囲を認識することを特徴とする請求項1記載の土地データ管理システム。
【請求項3】
前記土地界線は、筆界線、字界線、地目界線、土地の用途界線、行政界線、および路線のうちの複数種類の線であることを特徴とする請求項1または2記載の土地データ管理システム。
【請求項4】
ノードデータ、リンクデータ、および土地属性データは、不動産登記法第17条に規定の地図、不動産登記法第24条3項に規定の図面、旧土地台帳法施行細則第2条第1項に規定の土地台帳付属地図、国土調査法第2条第6項に規定の地図、および土地区画整理登記令第6条第2項の2に規定の所在図のうちの一種または複数種の地図上に記載された土地界線、および土地属性に基づいて設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項5】
複数のネットワークデータの内容の少なくとも一部を合成して新たなネットワークデータを生成し前記記憶手段に記憶するネットワークデータ合成手段を具備し、
該ネットワークデータ合成手段は、前記合成する複数のネットワークデータ間で重複する位置のリンクに対応するリンクデータを一つのリンクデータとするとともに、該一つのリンクデータに、基である複数のリンクデータに含まれている各土地属性データを含ませて、前記新たなネットワークデータを合成することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項6】
地図データから土地界線を抽出して、該土地界線の各交点に対応するノードデータ、および、該交点間を結ぶ土地界線に対応するリンクデータを生成するネットワークデータ生成手段を具備することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項7】
各リンクデータは、対応する土地界線が発生した時点を示す発生時点データおよび/または消滅した時点を示す消滅時点データを含むことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項8】
前記土地認識手段は、前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データに基づいて、特定の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータのみの中から、前記連続するリンクを表すリンクデータを抽出可能に設けられていることを特徴とする請求項7記載の土地データ管理システム。
【請求項9】
前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データに基づいて、第一の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータと、第二の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータとの相違点を検出するネットワークデータ比較手段を具備することを特徴とする請求項7または8記載の土地データ管理システム。
【請求項10】
前記記憶手段には、少なくとも一部が共通する地域に対応する、複数のネットワークデータが記憶され、
前記複数のネットワークデータ同士の、共通する地域に対応する少なくとも一部を比較して、相違点を検出するネットワークデータ比較手段を具備することを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項11】
前記複数のネットワークデータのうち少なくとも一つの各リンクデータは、対応する土地界線が発生した時点を示す発生時点データおよび/または消滅した時点を示す消滅時点データを含み、
前記ネットワークデータ比較手段は、前記ネットワークデータの前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データに基づいて、該ネットワークデータにおいて特定の時点または期間に存在した土地界線に対応するリンクデータと、他のネットワークデータのリンクデータとの相違点を検出することを特徴とする請求項10記載の土地データ管理システム。
【請求項12】
前記発生時点データおよび/または前記消滅時点データを含むリンクデータは、互いに異なる時点で作成された複数の地図に表された土地界線に対応して設けられ、
前記発生時点データは、対応する土地界線が現れた地図の作成時点を表すデータであり、前記消滅時期データは、対応する土地界線が消滅した地図の作成時点を表すデータであることを特徴とする請求項9または11記載の土地データ管理システム。
【請求項13】
前記ネットワークデータは、前記所定地域を分割した複数の図郭に分けられて成り、
前記ネットワークデータ比較手段は、前記図郭単位で、前記ネットワークデータの比較を行うことを特徴とする請求項9〜12のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項14】
前記ネットワークデータは、前記所定地域を分割した複数の図郭に分けられて成り、
前記ネットワークデータを、前記図郭単位で編集可能なネットワークデータ編集手段と、
該ネットワークデータ編集手段により編集された編集図郭内の、該編集図郭の境界で分断される各リンクデータの分断点に、仮ノードを生成する仮ノード生成手段と、
前記境界上に隣接して位置するノードおよび仮ノード同士を接続する仮リンクを表すリンクデータを、前記編集図郭に属するリンクデータとして追加する仮リンク生成手段と、
前記所定地域から、前記編集図郭を取り囲む検査用図郭を抽出する検査用図郭抽出手段と、
前記検査用図郭内のネットワークデータの、前記編集図郭との境界で分断される各リンクの分断点に、検査用仮ノードを生成する検査用仮ノード生成手段と、
前記境界上に隣接して位置するノードおよび検査用仮ノード同士を接続する検査用仮リンクを表すリンクデータを、前記検査用図郭に属するリンクデータとして追加する検査用仮リンク生成手段と、
前記編集図郭に属する各仮リンクの位置情報と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの位置情報とを比較することで、前記境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査する境界整合性検査手段とを具備することを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項15】
前記編集図郭および前記検査用図郭内の、同一の土地属性を有する土地に接する土地界線に対応する各リンクデータを、各該リンクデータが始点から終点に向かって該土地に同じ側で接するように、各該リンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定するリンク方向設定手段と、
該リンク方向設定手段を、前記編集図郭および前記検査用図郭内の各リンクデータに対して実行して、該各リンクデータに対して前記始点および前記終点を設定させるリンク方向設定網羅手段とを具備し、
前記境界整合性検査手段は、前記編集図郭に属する各仮リンクの始点および終点と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの始点および終点とを比較することで、前記編集図郭の境界における前記ネットワークデータの整合性を検査することを特徴とする請求項14記載の土地データ管理システム。
【請求項16】
前記リンク方向設定手段は、
前記編集図郭および前記検査用図郭内の、当該リンク方向設定処理に係る始点および終点の設定が未設定のリンクデータの一つを抽出し、該抽出したリンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定し、該終点を探索点に設定する初期方向設定手段と、
前記探索点を、該探索点に接続された他の各リンクデータの始点とし、該他の各リンクデータの各他端を、各該他のリンクデータの終点とし、該他の各リンクデータの中から、前記初期方向設定手段が抽出したリンクデータの有する片側の土地属性データと同一の土地属性データを、該始点から該終点に向かって前記抽出したリンクデータと同じ側に接する土地の土地属性データとして有するリンクデータを抽出する連続方向設定手段とを備え、
該連続方向設定手段により抽出されたリンクデータの終点を新たな探索点として、連続方向設定手段を、該新たな探索点と、前記初期方向設定手段で設定された始点とが一致するまで繰り返すことで、前記同一の土地属性データを有するリンクデータの前記始点データおよび前記終点データを、始点から終点に向かって該土地が同じ側に接するように設定することを特徴とする請求項15記載の土地データ管理システム。
【請求項17】
前記ネットワークデータ編集手段により編集された前記編集図郭内のネットワークデータの中から、位置が重複する複数のリンクデータを検出する重複データ検出手段と、
該重複データ検出手段により検出された重複する複数のリンクデータを一つのリンクデータとするとともに、該一つのリンクデータに、基となる複数のリンクデータに含まれている各土地属性データを含ませるリンクデータ統一化手段とを具備することを特徴とする請求項14〜16のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項18】
前記ネットワークデータは、サーバコンピュータの記憶手段に記憶され、
複数のクライアントコンピュータが、前記編集図郭単位で、前記ネットワークデータを前記サーバコンピュータから読み出して、該編集図郭内のネットワークデータに対し、前記ネットワークデータ編集手段、前記仮ノード生成手段、前記仮リンク生成手段、前記検査用仮ノード生成手段、前記検査用仮リンク生成手段、および前記境界整合性検査手段を実現することで、該各手段を複数のクライアントコンピュータで分散処理することを特徴とする請求項14〜17のうちのいずれか一項記載の土地データ管理システム。
【請求項19】
前記複数の図郭を、それぞれ前記編集図郭として、前記ネットワークデータ編集手段によりネットワークデータの編集を行うとともに前記境界整合性検査手段により検査する場合に、並んだ図郭を一つ飛ばしで編集および検査した後で、該編集および検査が終了した図郭の間の未編集の図郭を編集および検査するよう、各図郭を編集および検査する順序を制御する図郭処理順序制御手段を備えることを特徴とする請求項18記載の土地データ管理システム。
【請求項20】
仮想空間内のノードを表すノードデータと、ノード間を結ぶリンクを表すリンクデータとを含むとともに、複数の図郭単位に分割されたネットワークデータを記憶する記憶手段と、
前記ネットワークデータを、前記図郭単位で編集可能なネットワークデータ編集手段と、
該ネットワークデータ編集手段により編集された編集図郭の境界における、編集図郭内のネットワークデータと編集図郭外のネットワークデータとの接合状態の整合性を検査する境界整合性検査手段とを備えたネットワークデータ照査システムであって、
前記編集図郭内のネットワークデータの、前記境界で分断される各リンクの分断点に、仮ノードを生成する仮ノード生成手段と、
前記境界上に隣接して位置するノードおよび仮ノード同士を接続する仮リンクを表すリンクデータを、前記編集図郭に属するリンクデータとして追加する仮リンク生成手段と、
前記仮想空間から、前記編集図郭を取り囲む検査用図郭を抽出する検査用図郭抽出手段と、
前記検査用図郭内のネットワークデータの、前記編集図郭との境界で分断される各リンクの分断点に、検査用仮ノードを生成する検査用仮ノード生成手段と、
前記境界上に隣接して位置するノードおよび検査用仮ノード同士を接続する検査用仮リンクを表すリンクデータを、前記検査用図郭に属するリンクデータとして追加する検査用仮リンク生成手段とを備え、
前記境界整合性検査手段は、前記編集図郭に属する各仮リンクの位置情報と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの位置情報とを比較することで、前記接合状態の整合性を検査することを特徴とするネットワークデータ照査システム。
【請求項21】
前記ネットワークデータは、複数のリンクに囲まれたエリアのエリア属性を表すエリア属性データを含み、
各リンクデータは、両端点のノードを特定する端点データを含み、
前記編集図郭および前記検査用図郭内の、同一のエリア属性を有するエリアに接するリンクを表すリンクデータを、各該リンクデータが始点から終点に向かって該エリアに同じ側で接するように、各該リンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定するリンク方向設定手段と、
該リンク方向設定手段を、前記編集図郭および前記検査用図郭内の各リンクデータに対して実行して、該各リンクデータに対して前記始点および前記終点を設定させるリンク方向設定網羅手段とを具備し、
前記境界整合性検査手段は、前記編集図郭に属する各仮リンクの始点および終点と、前記検査用図郭に属する各検査用仮リンクの始点および終点とを比較することで、前記編集図郭の境界における前記ネットワークデータの整合性を検査することを特徴とする請求項20記載のネットワークデータ照査システム。
【請求項22】
各リンクデータは、当該リンクデータが表すリンクの両側に接する各エリアのエリア属性をそれぞれ表す前記エリア属性データを含み、
前記リンク方向設定手段は、
前記編集図郭および前記検査用図郭内の、当該リンク方向設定処理に係る始点および終点の設定が未設定のリンクデータの一つを抽出し、該抽出したリンクデータの端点データが表す端点の一方を始点、他方を終点にそれぞれ設定し、該終点を探索点に設定する初期方向設定手段と、
前記探索点を、該探索点に接続された他の各リンクデータの始点とし、該他の各リンクデータの各他端を、各該他のリンクデータの終点とし、該他の各リンクデータの中から、前記初期方向設定手段が抽出したリンクデータの有する片側のエリア属性データと同一のエリア属性データを、該始点から該終点に向かって前記抽出したリンクデータと同じ側に接するエリアのエリア属性データとして有するリンクデータを抽出する連続方向設定手段とを備え、
該連続方向設定手段により抽出されたリンクデータの終点を新たな探索点として、連続方向設定手段を、該新たな探索点と、前記初期方向設定手段で設定された始点とが一致するまで繰り返すことで、前記同一のエリア属性データを有するリンクデータの前記始点データおよび前記終点データを、始点から終点に向かって該エリアが同じ側に接するように設定することを特徴とする請求項21記載のネットワークデータ照査システム。
【請求項23】
前記ネットワークデータ編集手段により編集された前記編集図郭内のネットワークデータの中から、位置が重複する複数のリンクデータを検出する重複データ検出手段と、
該重複データ検出手段により検出された重複する複数のリンクデータを一つのリンクデータとするとともに、該一つのリンクデータに、基となる複数のリンクデータに含まれている各エリア属性データを含ませるリンクデータ統一化手段とを具備することを特徴とする請求項20〜22のうちのいずれか一項記載のネットワークデータ照査システム。
【請求項24】
前記ネットワークデータは、サーバコンピュータの記憶手段に記憶され、
複数のクライアントコンピュータが、前記編集図郭単位で、前記ネットワークデータを前記サーバコンピュータから読み出して、該編集図郭内のネットワークデータに対し、前記ネットワークデータ編集手段、前記仮ノード生成手段、前記仮リンク生成手段、前記検査用仮ノード生成手段、前記検査用仮リンク生成手段、および前記境界整合性検査手段を実現することで、該各手段を複数のクライアントコンピュータで分散処理することを特徴とする請求項20〜23のうちのいずれか一項記載のネットワークデータ照査システム。
【請求項25】
前記複数の図郭を、それぞれ前記編集図郭として、前記ネットワークデータ編集手段によりネットワークデータの編集を行うとともに前記境界整合性検査手段により検査する場合に、並んだ図郭を一つ飛ばしで編集および検査した後で、該編集および検査が終了した図郭の間の未編集の図郭を編集および検査するよう、各図郭を編集および検査する順序を制御する図郭処理順序制御手段を備えることを特徴とする請求項24記載のネットワークデータ照査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−154046(P2006−154046A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341959(P2004−341959)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(304037821)
【Fターム(参考)】