説明

土壌からの金属の回収

【課題】採掘、製錬および製造などにより土壌中に入ったニッケルやコバルトなどの金属を安価に回収する。
【解決手段】一種の金属超蓄積性植物を栽培して、植物採掘または植物抽出により土壌中の金属を回収する。この方法では、土壌のpHを調節することによって、所望の金属が選択的に超蓄積性植物に蓄積される。これによれば金属は、最終的に金属を含有している場所をさらに汚染することなく、経済的に許容可能なレベルで植物の地上部分の組織から回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦資金による研究開発でなされた発明への権利に関する記述)
本発明の開発中になされた研究の一部は合衆国政府資金を利用した。合衆国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、植物抽出または植物採掘技術を用いてニッケルやコバルトなどの金属を回収する方法に関する。pHを調整するために処理された土壌にニワナズナ(Alyssum)草類などのある種の金属超蓄積植物を栽培することによって、金属を選択的に土壌から抽出することができる。
【背景技術】
【0003】
採掘、精錬および製造廃棄物の処理などの工業的手法は、自然環境における有毒金属の濃度を増加させてきた。例えば、多くのニッケル採掘および精錬場所では、土壌中のニッケルおよびコバルトの含有量が非常に高くて植物が生き残ることができず、その地域の生態系に深刻な崩壊が起こっている。一度、ニッケルおよびコバルトが土壌に入ってしまうと、それらは比較的動かず、また、毒性の少ない物質に分解することもないので、ニッケルやコバルトを除去するのは困難である。精錬所や採掘廃棄物によって影響を受ける領域の大きさは、通常、非常に大きく、土の除去および入れ替え等の土壌改善の工学的方法は高価すぎて実施することができない(Cunningham et al., "Phytoremediation to Contaminated Soils", Trends Biotechnol. 13: 393-397 (1995))。
【0004】
金属含有または金属汚染土壌において育ち、重金属をその組織に積極的に蓄積することのできる、ある種の植物の能力を活用することによって、土壌から金属を抽出するという試みがなされてきた。穀物を含むこのような植物を汚染された土壌で栽培して汚染物質を抽出することは、植物抽出と称される。この方法は、土壌の肥沃性および景観を保持しつつ崩壊または分散を殆ど起こさないので、耕地の汚染された土壌に特に効果的である。
【0005】
ニッケルは最も広く見出され、技術的に重要な金属の1つである。ニッケルは全ての土壌にある天然の成分であり、蛇紋岩土、ラテライト状蛇紋岩土、超苦鉄質土および隕石由来の土などの、ある型の土壌および地質材料においてその濃度が特に高い。もう1つの価値ある金属であるコバルトは、ニッケルに非常によく似た化学的性質および地質学的性質を有しており、通常、同じ土壌で発見される。このような土壌で発見される可能性のある他の金属としては、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、プラチナ、イリジウム、オスミウムおよびルテニウムのようなプラチナ・パラジウム族、並びにセレニウム、亜鉛およびカドミウムのような金属を挙げることができる。
【0006】
蛇紋岩、ラテライト状蛇紋岩、超苦鉄および隕石に由来する土壌や地質材料を有する場所は、従来から、金属蓄積植物で採掘ないし耕作されてきた。鉱化された(鉱物質の(geogenic))土壌から金属を抽出するのにそのような植物を使用することは、植物採掘(phytomining)と称される。
【0007】
ラスキンら(Raskin et al.)に与えられた米国特許第5,364,451号は、低コストで汚染された土壌を改善する方法に関するものである。ラスキンらはアブラナ科の植物を金属に富んだ土壌で育てることによって、金属に富んだ土壌から金属を除去している。ラスキンらは、様々な植物および回収が可能である多数の金属を一般的に記載しているが、例は、主として遺伝子的に改造した植物からクロムと鉛とを回収することを記載している。このように、見込みはあるとしても、植物の栽培または培養によって土壌を植物採掘または植物抽出することを直接行うことに関して、ラスキンらは殆ど記載していない。
【0008】
ラスキンら(Raskin et al.)に与えられた米国特許第5,785,735号は、やはり、汚染された土壌を改善する方法に関するものである。ラスキンらは、穀物およびアブラナ科の植物の内の穀物と近戚関係にあるものを金属に富んだ土壌で栽培することによって、金属に富んだ土壌から金属を除去している。この方法は、金属と土壌に添加されたキレート化剤とで錯体を形成すること、土壌に電場をかけること、および土壌中のpHを小さくすることを必要とする。ラスキンらは様々な植物を一般的に記載しているが、明細書は主に遺伝子的に改造した植物から金属を回収することを記載している。繰り返すが、このように、植物の栽培または培養によって土壌を植物採掘または植物抽出することを直接行うことに関して、ラスキンらは殆ど記載していない。
【0009】
科学者は、土壌のpHを増加させると農場穀物の重金属を吸収する能力が低下することを認めている。チェイニーら(Chaney et al.)に与えられた米国特許第5,711,784号は、土壌のpHを低下させると「ニッケルおよびコバルトの植物処理能力を増加させる」という、この技術分野における考えを反映している。チェイニーらによって開示されているように、「pHが低くなると溶解性が増加して、根による吸収のためのこれら金属の放出、および植物の地上組織への金属の移動を最適化する。」しかしながら、土壌のpHを小さくすることは、金属をより動きやすくし、その場所をさらに汚染してしまうのにつながる可能性がある。したがって、ニッケル、コバルトおよび他の金属を植物抽出または植物採掘によって超蓄積する植物を栽培することが、このような金属を回収する手段として望ましい代替手段である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,364,451号
【特許文献2】米国特許第5,785,735号
【特許文献3】米国特許第5,711,784号
【特許文献4】米国特許第5,407,817号
【特許文献5】米国特許第5,571,703号
【特許文献6】米国特許第5,779,164号
【特許文献7】PCT/US97/15109
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Cunningham et al., "Phytoremediation to Contaminated Soils", Trends Biotechnol. 13: 393-397 (1995)
【発明の概要】
【0012】
したがって、本発明は、金属に富んだ土壌を植物採掘または植物抽出することによって金属の回収を行う改良されたシステムに関する。
【0013】
また、本発明は、土壌のpHを上げることによって植物採掘や植物抽出で使用される植物によるニッケルの取り込みを増加することに関する。ニッケルは、究極的に、ニッケル含有場所をさらに汚染することなく、経済的に受け入れ可能なコストで植物の組織から回収される。
【0014】
さらに、本発明は、例えば、金属含有土壌に存在するコバルトや他の金属を収集するために、ニッケルの回収に先立ってまたはニッケルの回収に続いてpHを低下させることに関する。
【0015】
本発明のある特定の面においては、ニワナズナ植物類を好適なpH条件下で栽培して、他の金属と比べてある特定の金属を選択的に蓄積する。
【0016】
さらに、本発明は、金属含有土壌から回収される少なくとも一種の金属の量を選択的に増加させる方法に関し、該方法は
(a) 土壌のpHを上昇または低下させ、
(b) 少なくとも一種の金属超蓄積植物を、該少なくとも一種の植物が土壌から得られる少なくとも一種の金属を地上組織に蓄積することを可能にするのに十分な条件下で栽培し、
(c) 工程(a)でpHを低下させたのであれば土壌のpHを上昇させ、工程(a)でpHを上昇させたのであれば土壌のpHを低下させ、
(d) 前記少なくとも一種の金属超蓄積植物を、前記少なくとも一種の植物が土壌から得られる少なくとも一種の第二の金属を地上組織に蓄積することを可能にするのに十分な条件下で栽培
することを特徴とする。
【0017】
本発明は、さらに、ニッケルを含有する土壌からニッケルを回収する方法に関し、該方法は、
(a) 土壌のpHを上昇させ、
(b) 少なくとも一種のニッケル超蓄積植物を、該少なくとも一種の植物の地上組織の、乾燥重量基準で、少なくとも0.1%がニッケルであるような条件下で栽培し、
(c) 前記少なくとも一種の植物を収穫し、
(d) 該収穫された植物からニッケルを回収
することを特徴とする。
【0018】
本発明は、また、コバルトを含有する土壌からコバルトを回収する方法に関し、該方法は、
(a) 土壌のpHを低下させ、
(b) 少なくとも一種のコバルト超蓄積植物を、該少なくとも一種の植物の地上組織の、乾燥重量基準で、少なくとも0.1%がコバルトであるような条件下で栽培し、
(c) 前記少なくとも一種の植物を収穫し、
(d) 該収穫された植物からコバルトを回収
することを特徴とする。
【0019】
本発明は、さらに、採集した植物を、該植物によるニッケル摂取を基準ニッケル超蓄積種であるアー.ムラーレ103(A. murale 103)によるニッケル摂取と比較してスクリーニングことによって、ニワナズナの新規な超蓄積種を同定することに関する。これらの新規な金属超蓄積種をニッケル含有土壌で栽培すると、組織の総乾燥重量基準で1.55%以上の濃度で地上組織にニッケルを蓄積することができる。
【0020】
本発明は、さらにまた、ニワナズナ植物種の種に関する。
【0021】
本発明は、さらに、ニワナズナ植物種の花粉に関する。
【0022】
また、本発明は、ニワナズナ植物種の生理学的性質および形態学的性質の全てを有する植物に関する。
【0023】
さらに、本発明は、ニワナズナ植物種の繁殖材に関する。
【0024】
さらにまた、本発明は、少なくとも一種の超蓄積植物を金属含有土壌で栽培して、該少なくとも一種の超蓄積植物の地上組織における金属濃度が土壌における金属濃度を少なくとも因子2で越えることを特徴とする、金属含有土壌の浄化方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明においては、金属の超蓄積種として分類された植物を使用する植物抽出または植物採掘技術を用いることによって、ある種の金属を選択的に回収することができることが発見された。金属を含有している土壌で選択された植物を栽培することによって、根から吸収された植物を茎、葉、花などの地上組織並びに他の葉および茎組織に移動させることができる。この特徴によって、土壌から抽出された金属を回収するのが容易になる。葉も含めると、地上組織における金属濃度を約5.0%もの高濃度にすることができるので、金属回収は非常に経済的なものになる。しかしながら、約4.0%、約3.0%、約2.5%、約1.0%または約0.1%などの約5.0%未満の金属回収濃度であっても、やはり有用である。例えば、約1.0%以上の回収であれば、汚染された土壌を浄化して植物採掘するのに経済的利益が得られる。コバルトの回収が約0.1%〜約1.0%であれば、十分に低価格で汚染された土壌を浄化することができる。ある種の金属にあっては、回収が約0.1%未満であっても、汚染された土壌を浄化するのにはやはり効果的であるといえる。
【0026】
本発明は、さらに、金属含有土壌から回収される少なくとも一種の金属の量を選択的に増加させる方法に関し、該方法は、
(a) 土壌のpHを上昇または低下させ、
(b) 少なくとも一種の金属超蓄積植物を、該少なくとも一種の植物が土壌から得られる少なくとも一種の金属を地上組織に蓄積することを可能にするのに十分な条件下で栽培し、
(c) 工程(a)でpHを低下させたのであれば土壌のpHを上昇させ、工程(a)でpHを上昇させたのであれば土壌のpHを低下させ、
(d) 前記少なくとも一種の金属超蓄積植物を、前記少なくとも一種の植物が土壌から得られる少なくとも一種の第二の金属を地上組織に蓄積することを可能にするのに十分な条件下で栽培
することを特徴とする。
【0027】
本発明は、さらに、ニッケルを含有する土壌からニッケルを回収する方法に関し、該方法は、
(a) 土壌のpHを上昇させ、
(b) 少なくとも一種のニッケル超蓄積植物を、該少なくとも一種の植物の地上組織の、乾燥重量基準で、少なくとも0.1%がニッケルであるような条件下で栽培し、
(c) 前記少なくとも一種の植物を収穫し、
(d) 該収穫された植物からニッケルを回収
することを特徴とする。
【0028】
本発明は、また、コバルトを含有する土壌からコバルトを回収する方法に関し、該方法は、
(a) 土壌のpHを低下させ、
(b) 少なくとも一種のコバルト超蓄積植物を、該少なくとも一種の植物の地上組織の、乾燥重量基準で、少なくとも0.1%がコバルトであるような条件下で栽培し、
(c) 前記少なくとも一種の植物を収穫し、
(d) 該収穫された植物からコバルトを回収
することを特徴とする。
【0029】
本発明は、さらに、採集した植物を、該植物によるニッケル摂取を基準ニッケル超蓄積種であるアー.ムラーレ103(A. murale 103)によるニッケル摂取と比較してスクリーニングすることによって、ニワナズナの新規な超蓄積種を同定することに関する。これらの新規な金属超蓄積種をニッケル含有土壌で栽培すると、組織の総乾燥重量基準で1.55%以上の濃度で地上組織にニッケルを蓄積することができる。
【0030】
本発明は、さらにまた、ニワナズナ植物種の種に関する。
【0031】
本発明は、さらに、ニワナズナ植物種の花粉に関する。
【0032】
また、本発明は、ニワナズナ植物種の生理学的性質および形態学的性質の全てを有する植物に関する。
【0033】
さらに、本発明は、ニワナズナ植物種の繁殖材に関する。
【0034】
さらにまた、本発明は、少なくとも一種の超蓄積植物を金属含有土壌で栽培して、該少なくとも一種の超蓄積植物の地上組織における金属濃度が土壌における金属濃度を少なくとも因子2、好ましくは因子2、3または4で越えることを特徴とする、金属含有土壌の浄化方法に関する。
【0035】
本発明の好ましい一面においては、金属、例えばニッケルに富んだ土壌に一種以上のニッケル超蓄積植物を栽培すると共に土壌のpHを上げることによって、ニッケルが選択的に蓄積される。土壌のpHは植物の栽培前、栽培中、または栽培後に上昇させることができる。pHは植物の栽培前に上昇させるのが好ましい。このように、本発明は、金属に富んだ土壌のpHを上げると、他の金属を上回り、ニッケルを植物組織中に蓄積するのに効果があるという驚くべき発見に関する。植物組織中にコバルトなどの他の金属を選択的に蓄積するために、次いで、土壌のpHを下げることができる。好ましいpHは、特に、特定の金属および土壌に依存して決まる。例えば、土壌が蛇紋岩土であるか、高いレベルの酸化鉄を含有している場合は、ニッケル抽出に好適なpHは約6.3〜約7.0である。最も好ましいpHは、約6.3〜約6.7である。しかしながら、酸化鉄のレベルが低い場合は、よりアルカリ性のpHを使用することもできる。
【0036】
コバルトの抽出も土壌の化学的性質によって影響される。例えば、アルミニウムおよび/またはマンガンが土中に存在する場合、コバルトの抽出に最も好ましいpHは約5.5である。一般に、金属抽出にはpH範囲が約5.5〜約7.0であると好ましい。
【0037】
塩基や酸を用いて土壌のpHを上昇させたり低下させたりすることができる。このような塩基および酸は天然に産するものでも合成されたものであってもよい。pHを上昇させるためには、石灰岩(方解石性の(CaCO)またはドロマイト性の(CaMgCO))、石灰(CaO)、水酸化石灰(Ca(OH))、前記塩基のいずれか、または石灰岩同等物を含有する工業的、都市的または農業的副生物などを使用することができる。「石灰岩同等物」という用語は、石灰岩と同じアルカリ性を有する塩基を含むことを意図している。pHを低下させるためには、有機酸および無機酸などの酸を使用することができる。このような有機酸および無機酸の例としては、酢酸、塩酸、硫酸、硫黄、アンモニウム、尿素含有肥料、硝酸、黄鉄鉱を含む(が、それに限定されない)硫化鉱などを挙げることができる。
【0038】
添加する塩基または酸の量は土壌の添加時点でのpHと土壌の化学的性質に
依存する。添加量を決定する方法としては、CaCOなどの塩基または酸を土壌試料に添加して、添加後のpHを測定し、次いでpH反応曲線を描いて、所望のpHを得るのに必要な量を外挿法によって推定する。
【0039】
栽培の後、超蓄積植物を従来のやり方で、即ち、地面のところで切って収穫する。次いで、収穫材を、干し草を乾燥するように、畑に放置して乾燥させる。あるいは、アルファルファを乾燥するのと大体同じ方法で、植物組織中の水分の大部分を強制加熱した空気で乾燥することによって除去するようにして、収穫材を乾燥する。乾燥の後、農業で通常行われている干し草作りによって植物組織を集め、焼成し、エネルギー回収を伴うか伴うことなく灰にまでする。あるいは、乾燥した植物材を濃酸で加水分解して糖質と金属とにして、米国特許第5,407,817号、第5,571,703号および第5,779,164号に従って回収することもできる。糖質は、次いで、発酵させてエタノールにすることができる。
【0040】
処理の結果得られた乾燥植物は、公知の焙焼、焼結または溶融法でさらに処理して、灰状または鉱石状の金属を、酸溶解および電界採取などの従来の金属精製法で回収することもできる。
【0041】
約260℃〜約1000℃の従来の溶融、焙焼および焼結温度であれば、乾燥植物材を燃焼して存在する有機金属を酸化および気化し、焼成の間にダイオキシンが蓄積するのを防ぐのに十分である。好ましい温度は、灰から有機炭素を除去するのに十分な程度の温度である。最も好ましい温度は約1000℃である。この工程によって、金属精製の障害となるとして知られている汚染物質を殆ど含むことなく、蓄積された金属の残さが得られる。さらに、灰中の他の成分の濃度は、従来法で採掘された鉱石の場合よりもはるかに低いことが期待される。例えば、ラテライト状蛇紋岩の鉱石は、通常、10,000 ppm(1%)を越えるFeを含有しているのに対して、植物採掘技術で得られた生物体は約100〜500 ppm(0.01〜0.05%)のFeを含有しているのみである。
【0042】
定義によると、ニッケル超蓄積植物は、1kgの乾燥植物組織重量(該組織は植物が天然に発生する土壌で育った植物から得られるもの)当たり少なくとも約1000 mgのニッケルを蓄積するとされている。同様に、コバルト超蓄積直物は、1kgの乾燥植物組織重量(該組織は植物が天然に発生する土壌で育った植物から得られるもの)当たり少なくとも約1000 mgのコバルトを蓄積すると定義されている。しかしながら、亜鉛超蓄積植物およびマンガン超蓄積植物は、それぞれ、1kgの乾燥植物組織重量(該組織は植物が天然に発生する土壌で育った植物から得られるもの)当たり少なくとも約10,000 mgの亜鉛およびマンガンを蓄積すると定義されている。最後に、カドミウム超蓄積植物は、1kgの乾燥植物組織重量(該組織は植物が天然に発生する土壌で育った植物から得られるもの)当たり少なくとも約100 mgのカドミウムを蓄積すると定義されている。
【0043】
非常に様々な植物をスクリーニングすることにより、ニワナズナ属(アブラナ科)の植物はニッケルの超蓄積種として同定されてきた。これらの植物は、自然にコバルトも蓄積し、Zn、MnおよびCd等の金属並びにPd、Rh、Ru、Pt、Ir、OsおよびReを有するプラチナおよびパラジウム族の金属を蓄積する場合がある。
【0044】
より具体的には、地上組織に自然にニッケルを濃縮し、通常はコバルトおよび他の金属の高い吸収性を示す植物としては、ニワナズナ属のオドンタルヘーナ(Odontarrhena)節のものを挙げることができる。当該植物を汚染された土壌で栽培すると、前記金属がニッケル超蓄積ニワナズナ植物種中に蓄積する。ニワナズナ属のオドンタルヘーナ節中の約48の分類単位がニッケルの超蓄積を行うものとして知られている。これらは、以下の種を含んでいる。アー.アカマシクム(A. akamasicum)、アー.アルペストレ(A. alpestre)、アー.アナトリクム(A. anatolicum)、アー.カルリクロウム(A. callichroum)、アー.カスシウム(A. cassium)、アー.コンドロギヌム(A. chondrogynum)、アー.キリキクム(A. cilicicum)、アー.コンデンサトゥム(A. condensatum)、アー.コンステルラトゥム(A. constellatum)、アー.クレヌラトゥム(A. crenulatum)、アー.キプリクム(A. cypricum)、アー.ダウィシアヌム(A. davisianum)、アー.ディスコロル(A. discolor)、アー.デュベルトレティイ(A. dubertretii)、アー.エリオプフィルム(A. eriophyllum)、アー.エウボエウム(A. euboeum)、アー.フロリブンドゥム(A. floribundum)、アー.ギオスナヌム(A. giosnanum)、アー.フベルモラティイ(A. hubermorathii)、アー.イャンケニイ(A. janchenii)、アー.マルクグラフィイ(A. markgrafii)、アー.マスメナエウム(A. masmenaeum)、アー.オボウァトゥム(A. obovatum)、アー.オキシカルプム(A. oxycarpum)、アー.ペニュウィネシス(A. penjwinensis)、アー.ピニフォリウム(A. pinifolium)、アー.プテロカルプム(A. pterocarpum)、アー.ロベルティアヌム(A. robertianum)、アー.サマリフェルム(A. samariferum)、アー.シンガレンセ(A. singarense)、アー.スモリカヌム(A. smolikanum)、アー.シリアクム(A. syriacum)、アー.トラペジフォルメ(A. trapeziforme)、アー.トロオディイ(A. troodii)、アー.ヴィルガトゥム(A. virgatum)、アー.ムラーレ(A. murale)、アー.ピントダシルウァエ(A. pintodasilvae)(アー.セルピルリフォリウム ウァル.ルシタニクム(A. serpyllifolium var. lusitanicum)としても知られている)、アー.セルピルリフォリウム(A. serpyllifolium)、アー.マラキタヌム(A. malacitanum)(アー セルピルリフォリウム ウァル.マラキタヌム(A. serpyllifolium var. malacitanum)としても知られている)、アー.レスビアクム(A. lesbiacum)、アー.ファルラキヌム(A. fallacinum)、アー.アルゲンテウム(A. argenteum)、アー.ベルトロニイ(A. bertolonii)、アー.テニウム(A. tenium)、アー.ヘルドレイキイ(A. heldreichii)、アー.コルシクム(A. corsicum)、アー.プテロカルプム(A. pterocarpum)およびアー.カリクム(A. caricum)、並びにアー.コルシクム(A. corsicum)G16、アー.ムラーレ(A. murale)G69およびアー.ムラーレ(A. murale)G82などの新しく発見された種。これらの新種は、ブダペスト条約の規定に基づいて、1998年11月6日に、10801ユニバーシティブールバード、マナサス、バージニア州20110-2209のアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)に預託されATCC番号203436、203437および203438をそれぞれ与えられた。
【0045】
公知のニワナズナ超蓄積種よりも20%より多い量のニッケルを自然に蓄積するニワナズナの種を単離した。ギリシャで単離されたアー.ムラーレG49(A. murale G49)、アー.ムラーレG54(A. murale G54)、アー.ムラーレG69(A. murale G69)およびアー.ムラーレG82(A. murale G82)、並びにトルコで単離されたアー.コルシクムG16(A. corsicum G16)は、全て、公知の種であるアー.ムラーレ103(A. murale 103)よりも多い量のニッケルを蓄積する。アー.ムラーレ103は、蛇紋岩土の試験畑からの一植物苗条の乾燥重量の1.14%をニッケルが占めるように、ニッケルを蓄積する。新規な超蓄積種は、苗条の乾燥重量の1.55〜1.60%がニッケルであるような量で、ニッケルを蓄積する。これら5種の新しい蓄積種の、基準蓄積種アー.ムラーレ103(A. murale 103)と比較した、ニッケル蓄積の結果を例4に示す。
【0046】
熱帯起源のものを含む約250の他の植物分類単位がニッケルおよび他の金属の相当量を蓄積することが示されている。しかしながら、これらの植物の多くは、植物組織の乾燥重量で1kg当たり約10,000 mgを越える金属を蓄積することはできない。他の金属蓄積植物としては、キアノティス ロンギフォリア(Cyanotis longifolia)などの、キアノティス(Cyanotis)属の種;ブルボスティリス ムクロナータ(Bulbostylis mucronata)などの、ブルボスティリス(Bulbostylis)属の種;コムブレトゥム デカンドルム(Combretum decandrum)などの、コムブレトゥム(Combretum)属の種;セー.アルバ(C. alba)、セー.ウァギナタ(C. vaginata)およびセー.アルギロプフィア(C. argyrophylla)などの、クラススーラ(Crassula)属の種;クレトラ バルビネルヴィス(Clethra barbinervis)などの、クレトラ(Clethra)属の種;ゲー.インテルメディア(G. intermedia)、ゲー.マグニフィカ(G. magnifica)、ゲー.モンタナ(G. montana)、ゲー.プルイノサ(G. pruinosa)、ゲー.トリフォリアータ(G. trifoliata)およびゲー.ラセモーサ(G.racemosa)等を含むゲイスソイス(Geissois)属の種のようなクノニアケアエ(Cunoniaceae)科由来の植物;アルゴプフィルム(Argophyllum)属の種;トラスピ カエルレセンス(Thlaspi caerulescens)、トラスピ モンタヌム ウァル.モンタヌム(Thlaspi montanum var. montanum)およびトラスピ モンタヌム ウァル.シスキユーエンセ(Thlaspi montanum var. siskiyouense)などのトラスピ(Thlaspi)属の種のようなアブラナ(Brassicaceae)科の植物;セルペンティーネ ポリガロイデス(Serpentine polygaloides)などの、セルペンティーネ(Serpentine)属の種;セベルティア アクミナータ(Sebertia acuminata)などの、セベルティア(Sebertia)属の種;ヒバントゥス フロリブンダス(Hybanthus floribundas)などの、ヒバントゥス(Hybanthus)属の種;プシコトリア ドゥアルレイ(Psychotria douarrei)などの、プシコトリア(Psychotria)属の種;リノレア ベンガレンシス(Rinorea bengalensis)などの、リノレア(Rinorea)属の種;ペアルソニア メタルリフェラ(Pearsonia metallifera)などの、ペアルソニア(Pearsonia)属の種;セベルティア アクミナータ(Sebertia acuminata)などの、セベルティア(Sebertia)属の種;並びに以下の属の種:ホマリウム(Homalium)、ミリスティーカ(Myristica)、トリコスペルマム(Trichospermum)、プランコネルラ(Planchonella)およびペルトラリア(Peltraria)。更なる植物としては、ストレプタントゥス ポリガロイデス(Streptanthus polygaloides)、ベルケヤ コディイ(Berkheya coddii)、プフィルラントゥス パラワネネシス(Phyllanthus palawanenesis)、ディカペタルム ゲロニオイデス エスエスピー.トゥベルクラトゥム(Dichapetalum gelonioides ssp. Tuberculatum)およびスタックホウシア トリオニイ(Stackhousia tryonii)を含むが、これらに限定されない。
【0047】
さらにまた別の金属超蓄積植物を以下に列挙する。
【0048】
キツネノマゴ科(ACANTHACEAE)
ブレプファリス アクミナータ(Blepharis acuminata)、イュスティシア ランスティアキイ(Justicia lanstyakii)、ロプフォスタキス ウィローサ(Lophostachys villosa)、プフィディアシア リンダウィイ(Phidiasia lindavii)、ルエルリア ゲミニフローラ(Ruellia geminiflora)
ウラボシ科(ADIANTACEAE)
アディアンタム エスピー.(Adiantum sp.)
ウルシ科(ANACARDIACEAE)
ルス ウィルディイ(Rhus wildii)
キク科(ASTERACEAE)
ベルケヤ コディイ(Berkheya coddii)、クロモラエナ エスピー.シーエフ.メイェリ(Chromolaena sp. cf. meyeri)、ドゥコマ ニクコリフェラ(Ducoma niccolifera)、ゴクナティア クラスシフォリア(Gochnatia crassifolia)、ゲー.レクルウァ(G. recurva)、コアノプフィロン グランディケプス(Koanophyllon grandiceps)、ケー.プリノデス(K. prinodes)、レウカンテモプシス アルピーナ(Leucanthemopsis alpina)、ペンタカリア(Pentacalia)、セネキオ セネキオ パウペルクルス(Senecio Senecio pauperculus)、シャフェラ プラティプフィラ(Shafera platyphylla)、ソリダゴ ヒスピダ(Solidago hispida)
ムラサキ科(BORAGINACEAE)
ヘリオトロピウム エスピー.(Heliotropium sp.)
アブラナ科(BRASSICACEAE)
ボルンムエルレラ(Bornmuellera)、カルダミーネ レセディフォリア(Cardamine resedifolia)、コクレアリア アウケリ(Cochlearia aucheri)、セー.セムペリウィウム(C. sempervivum)、ペルタリア エマルギナータ(Peltaria emarginata)、ストレプタントゥス ポリガロイデス(Streptanthus polygaloides)
ツゲ科(BUXACEAE)
ブクス(Buxus)
キキョウ科(CAMPANULACEAE)
カンパヌラ スケウクゼリ(Campanula scheuchzeri)、アレナリア(Arenaria)、ミヌアルティア ラリキフォリア(Minuartia laricifolia)、エム.ウェルナ(M. verna)
オトギリソウ科(CLUSIACEAE)
ガルキニア バケリアーナ(Garcinia bakeriana)、ゲー.ポリネウラ(G. polyneura)、ゲー.レウォルタ(G. revoluta)、ゲー.ルスキフォリア(G. ruscifolia)
ヒルガオ科(CONVOLVULACEAE)
メルレミア キサントプフィルラ(Merremia xanthophylla)
クノニアケアエ(CUNONIACEAE)
パンケリア エングレリアーナ(Pancheria engleriana)
ディカペタラケアエ(DICHAPETALACEAE)
ディカペタルム ゲロニオイデス(Dichapetalum gelonioides)、エスエスピー.トゥベルクラトゥム(ssp. tuberculatum)、エスエスピー.アンダマニクム(ssp. Andamanicum)
フタバガキ科(DIPTEROCARPACEAE)
ショレア テヌイラムローサ(Shorea tenuiramulosa)
エスカルロニアケアエ(ESCALLONIACEAE)
アルゴプフィルム グルノウィイ(Argophyllum grunowii)、アー.ラクスム(A.laxum)
トウダイグサ科(EUPHORBIACEAE)
バロギア エスピー.(Baloghia sp.)、ボナニア(Bonania)、クレイディオン ウィエルラルディイ(Cleidion viellardii)、クニドスコルス エスピー.セーエフ.バヒアヌス(Cnidoscolus sp. cf. Bahianus)、エウプフォルビア(Euphorbia)、ギムナンテス レクルウァ(Gymnanthes recurva)、レウコクロトン(Leucocroton)、プフィルラントゥス(Phyllanthus)、サピウム エリトロスペルムン(Sapium erythrospermum)、サウィア(Savia)
マメ科(FABACEAE)
アンティルリス エスピー.(Anthyllis sp.)、ペアルソニア メタルリフェラ(Pearsonia metallifera)、トリフォリウム パレスケンス(Trifolium pallescens)
イイギリ科(FLACOURTIACEAE)
カセアリア シルウァナ(Casearia silvana)、ホマリウム(Homalium)、キシロスマ(Xylosma)
イグサ科(JUNCACEAE)
ルズラ ルテア(Luzula lutea)
センダン科(MELIACEAE)
ワルスラ モノプフィルラ(Walsura monophylla)
ニクズク科(MYRISTICACEAE)
ミリスティカ ラウリフォリア(Myristica laurifolia)
フトモモ科(MYRTACEAE)
モシエラ アラネオサ(Mosiera araneosa)、エム.エクマニイ(M. ekmanii)、エム.クス ミラフロレンシス(M. x miraflorensis)、エム.オプフィティコラ(M. ophiticola)、プシディウム アラネオスム(Psidium araneosum)、ピー.ハウァネンセ(P. havanense)
オクナケアエ(OCHNACEAE)
ブラッケンリドゲア パルストリス およびエスエスピー.フォックスウォルティイ およびエスエスピー.キィエルベルギイ(Brackenridgea palustris and ssp. foxworthyi and ssp. kjellbergii)、オウラテア ニティダ(Ouratea nitida)、オー.ストリアータ(O. striata)
モクセイ科(OLEACEAE)
キオナントゥス ドミンゲンシス(Chionanthus domingensis)
オンコテカケアエ(ONCOTHECACEAE)
オンコテカ バランサエ(Oncotheca balansae)
イネ科(POACEAE)
トリセトゥム ディスティコプフィルム(Trisetum distichophyllum)
キンポウゲ科(RANUNCULACEAE)
ラヌンクルス グラキアリス(Ranunculus glacialis)
アカネ科(RUBIACEAE)
アリアドネ シャフェリ エスエスピー.シャフェリ およびエスエスピー.モアエンシス(Ariadne shaferi ssp. shaferi and ssp. moaensis)、ミトラカルプス エスピー.(Mitracarpus sp.)、プフィルロメリア コロナータ(Phyllomelia coronata)、プシコトリア クレメンティス(Psychotria clementis)、ピー.コスティウェニア(P. costivenia)、ピー.ドウアルレイ(P. douarrei)、ピー.グロメラータ(P. glomerata)、ピー.オスセアーナ(P. osseana)、ピー.ウァンヘルマニイ(P. vanhermanii)、ロンデレティア(Rondeletia)
アカテツ科(SAPOTACEAE)
プランコネルラ オクイェドラ(Planchonella oxyedra)、セベルティア アクミナータ(Sebertia acuminata)
ユキノシタ科(SAXIFRAGACEAE)
サクシフラーガ(Saxifraga)
ゴマノハグサ科(SCROPHULARIACEAE)
エステルハズィヤ エスピー.およびリナリア アルピーナ(Esterhazya sp. and Linaria alpina)
スタックホウシアケアエ(STACKHOUSIACEAE)
スタックホウシア トリオニイ(Stackhousia tryonii)
シナノキ科(TILIACEAE)
テトラリクス ブラキペタルス(Tetralix brachypetalus)、テー.クリスタレンシス(T. cristalensis)、テー.イャウコエンシス(T. jaucoensis)、テー.モアエンシス(T. moaensis)、テー.ニペンシス(T. nipensis)、トリコスペルムム キィエルベルギイ(Trichospermum kjellbergii)
トゥルネラケアエ(TURNERACEAE)
トゥルネラ スブヌーダ(Turnera subnuda)
ウェロズィアケアエ(VELLOZIACEAE)
ウェロズィア エスピー.(Vellozia sp.)
スミレ科(VIOLACEAE)
アガテア デプランケイ(Agatea deplanchei)、ヒバントゥス(Hybanthus)、リノレア ベンガレンシス(Rinorea bengalensis)、エール.イャウァニカ(R. javanica)、リノレア エスピー.(Rinorea sp.)
カエデ科(ACERACEAE)
アケル プセウドプラタヌス(Acer pseudoplatanus)
アブラナ科(BRASSICACEAE)
カルダミノプシス ハルレリ(Cardaminopsis halleri)、トゥラスピ アワラヌム(Thlaspi avalanum)、テー.ブラキペタルム(T. brachypetalum)、テー.カエルレセンス(T. caerulescens)、テー.オクロレウクム(T. ochroleucum)、テー.ロトゥンディフォリウム スブエスピー.ケパエイフォリウム(T. rotundifolium subsp. Cepaeifolium)、テー.プラエコックス(T. praecox)、テー.ステノプテルム(T. stenopterum)、テー.タトゥレンセ(T. tatrense)
ナデシコ科(CARYOPHYLLACEAE)
ミヌアルティア ウェルナ(Minuartia verna)、ポリカルパエア シナンドラ(Polycarpaea synandra)
ゴジアオイ科(CISTACEAE)
キストゥス インカヌス エスエスピー.クレティクス(Cistus incanus ssp. creticus)
ディカペタラケアエ(DICHAPETALACEAE)
ディカペタルム ゲロニオイデス(Dichapetalum gelonioides)
イソマツ科(PLUMBAGINACEAE)
アルメリア マリティマ ウァル.ハルレリ(Armeria maritima var. halleri)
イネ科(POACEAE)
アグロスティス ストロニフェラ(Agrostis stolonifera)、アー.テニウス(A. tenuis)、アルヘナテルム エラティウス(Arrhenatherum elatius)、フェストゥカ オウィーナ(Festuca ovina)
タデ科(POLYGONACEAE)
ルメックス アケトーサ(Rumex acetosa)
スミレ科(VIOLACEAE)
ウィオラ カラミナリア(Viola calaminaria)
ヒユ科(AMARANTHACEAE)
パンディアーカ メタルロルム(Pandiaka metallorum)、ケロシア トリギーナ(Celosia trigyna)
キク科(ASTERACEAE)
アニソパップス キネンシス(Anisopappus chinensis)、アー.ダウィイ(A. davyi)、グテンベルギア プベスケンス(Gutenbergia pubescens)、ミロティア ミオソティディフォリアプ(Millotia myosotidifoliab)、ウェルノニア ペテルシイ(Vernonia petersii)
ナデシコ科(CARYOPHYLLACEAE)
ミヌアルティア ウェルナ エスエスピー.ヘルキニカ(Minuartia verna ssp. hercynica)およびシレーネ コバルティコラ(Silene cobalticola)
ツユクサ科(COMMELINACEAE)
コムメリナ ジグザグ(Commelina zigzag)およびキアノティス ロンギフォリア(Cyanotis longifolia)
ヒルガオ科(CONVOLVULACEAE)
イポモエア アルピーナ(Ipomoea alpina)
ベンケイソウ科(CRASSULACEAE)
クラススラ アルバ(Crassula alba)およびセー.ウァギナータ(C. vaginata)
カヤツリグサ科(CYPERACEAE)
アスコレピス メタルロルム(Ascolepis metallorum)、ブルボスティリス クプリコラ(Bulbostylis cupricola)、ベー.プセウドペレニス(B. pseudoperennis)
トウダイグサ科(EUPHORBIACEAE)
モナデニウム クプリコラ(Monadenium cupricola)およびプフィラントゥス ウィラミオイデス(Phyllanthus willamioides)
マメ科(FABACAEAE)
クロタラリア コバルティコラ(Crotalaria cobalticola)およびウィグナ ドロミティカ(Vigna dolomitica)
アヤメ科(IRIDACEAE)
グラディオルス グレガリウス(Gladiolus gregarius)
シソ科(LAMIACEAE)
アエオルラントゥス スバカウリス ウァル.リネアリス(Aeollanthus subacaulis var. linearis)、アー.ホムブレイ(A. homblei)、アー.サクサティリス(A. saxatilis)、アー.スバカウリス ウァル.エリコイデスおよびウァル.リネアリス(A. subacaulis var. ericoides and var. linearis)、ベキウム グランディフロルム ウァル.ウァンデリスティイ(Becium grandiflorum var. vanderystii)、ハウマニアストゥルム ホムブレイ(Haumaniastrum homblei)、ハー.カタンゲンセ(H. katangense)、ハー.ロベルティイ(H. robertii)、ハー.ロスラトゥム(H. rosulatum)
アオイ科(MALVACEAE)
ヒビスクス ロダントゥス(Hibiscus rhodanthus)
マツ科(PINACEAE)
アビエス バルサメア(Abies balsamea)
イネ科(POACEAE)
エラグロスティス ラケモーサ(Eragrostis racemosa)、レンドリア アルテーラ(Rendlia altera)、スポロボルス コンゴエンシス(Sporobolus congoensis)
シダ科(PTERIDACEAE)
アクティニオプテリス エスピー.(Actiniopteris sp.)
ゴマノハグサ科(SCROPHULARIACEAE)
アレクトラ セスシリフローラ ウァル.セネガレンシス(Alectra sessiliflora var. Senegalensis)、ブクネラ ヘンリクエシイ(Buchnera henriquesii)、クレピドロパロン テヌイーサ(Crepidorhopalon tenuisa)、セー.ペレンニサ(C. perennisa)、ソプビア マンニイ(Sopubia mannii)、エス.メタルロルム(S. metallorum)、エス.ネプトゥニイ(S. neptunii)、ストリーガ ヘルモンテーカ(Striga hermontheca)
シナノキ科(TILIACEAE)
トリウムフェッタ デキンドティアーナ(Triumfetta dekindtiana)、テー.ディジタータ(T. digitata)、テー.ウェルウィットシイ ウァル.デスカンピイ(T. welwitschii var. descampii)
ウェロズィアケアエ(VELLOZIACEAE)
キセロピータ レティネルウィス ウァル.エクイセトイデス(Xerophyta retinervis var. equisetoides)
キョウチクトウ科(APOCYNACEAE)
アリキシア ルブリカウリス(Alyxia rubricaulis)
ニシキギ科(CELASTRACEAE)
マイテヌス ブレアウィアーナ(Maytenus bureaviana)、エム.パンケリアーナ(M. pancheriana)、エム.セベルティアーナ(M. sebertiana)
オトギリソウ科(CLUSIACEAE)
ガルキニア アムプレキシカウリス(Garcinia amplexicaulis)
フトモモ科(MYRTACEAE)
エウゲニア クルシオイデス(Eugenia clusioides)
ヤマモガシ科(PROTEACEAE)
ベアウプレオプシス パニクラータ(Beaupreopsis paniculata)、マカダミア アングスティフォリア(Macadamia angustifolia)、エム.ネウロプフィルラ(M. neurophylla)
キク科(ASTERACEAE)
ハプロパップス フレモンティイ(Haplopappus fremontii)、マカエランテラ グラブリウスクラ(Machaeranthera glabriuscula)、エム.ラモーサ(M. ramosa)、エム.ウェヌスタ(M. venusta)
アブラナ科(BRASSICACEAE)
スタンレィヤ ピンナタ(Stanleya pinnata)、エス.ビピンナータ(S. bipinnata)
アカザ科(CHENOPODIACEAE)
アトリプレックス コンフェルティフォリア(Atriplex confertifolia)
サガリバナ科(LECYTHIDACEAE)
レキティス オルラリア(Lecythis ollaria)
マメ科(LEGUMINOSAE)
アカキア カーナ(Acacia cana)、アストラガルス ビスルカトゥス(Astragalus bisulcatus)、アー.オステルホウティイ(A. osterhoutii)、アー.パッテルソニイ(A. pattersonii)、アー.ペクティナトゥス(A. pectinatus)、アー.ラケモスス(A. racemosus)、ネプトゥニア アムプレキシカウリス(Neptunia amplexicaulis)
アカネ科(RUBIACEAE)
モリンダ レティクラータ(Morinda reticulata)
ゴマノハグサ科(SCROPHULARIACEAE)
カスティルレイャ クロモーサ(Castilleja chromosa)。
【0049】
蓄積される金属としては、ニッケル、コバルト、バリウム、金、ベリリウム、水銀、モリブデン、銅、砒素、セレニウム、アンチモン、マンガン、銀、タリウム、錫、鉛、ルビジウム、クロム、セリウム、バナジウム、セシウム、ウラン、プルトニウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、プラチナ、オスミウム、レニウム、亜鉛およびカドミウムを挙げることができる。
【0050】
金属イオン封鎖は、他の硝酸塩含有肥料ではなく、アンモニウム含有肥料またはアンモニウム発生肥料を使用して土壌のカルシウム濃度を最適化し、超蓄積植物が栽培されている土壌にキレート化剤を添加することによって改良することができる。
【0051】
ニッケルやコバルトのような金属を超蓄積するニワナズナ種は、土壌中のカルシウム濃度が低く、Ca:Mg比が小さい、ニッケルを豊富に含んだ超苦鉄質の蛇紋岩土で進化した。土中のカルシウム濃度が極端に高かったり低かったりすると、ニワナズナによるニッケルの超蓄積が抑制されることが、今ではわかっている。PCT/US97/15109を参照されたい。土中の許容可能なカルシウム濃度は約0.128 mM〜約5.0 mMの範囲である。パーセンテージで表すと、土中の許容可能なカルシウム濃度は交換可能なカチオンの約2%〜約80%の範囲である。好ましい範囲は、交換可能なカチオンの約10%〜約80%である。最も好ましい範囲は、交換可能なカチオンの約30%〜約70%である。必要であれば、石灰岩のような土壌にカルシウム含有剤を添加することによって、上記範囲を達成することができる。さらに、土中の交換可能なカルシウムを増加させるために石膏を添加してニッケルの蓄積を促進することができる。
【0052】
中間的な濃度のカルシウム、即ち、約0.128 mM〜約5.0 mMの範囲の濃度のカルシウムが存在すると、ニッケルの吸収を増加することができる。一方、カルシウム値が約0.128 mM以下、または約5.0 mM以上であると、ニッケルの吸収を低下させる。推奨されるよりもはるかに小さい値である約0.16と約0.40との間の交換可能なCa:Mg比と組み合わせると、植物組織中におけるニッケル濃度がさらに上昇するのが観察される。「交換可能なCa:Mg比」という用語によって、土中の抽出可能なカルシウムと抽出可能なマグネシウムとの割合を意味している。
【0053】
ニワナズナのような超蓄積植物は地上組織に金属を超蓄積する能力を発達させてきたが、特に汚染された土壌においては成長を支援する肥料を、超蓄積を増加するための添加剤として使用することができる。アンモニウム肥料は酸性化を根の付近に集中させ、Ni、Zn、Cd、Coなどの様々な金属の超蓄積を促進する。アンモニウム肥料の使用それ自体はよく知られていることであり、使用可能な肥料および手順は、当業者によって、ルーチンワーク的な試験以上のことを行うことなく容易に決定することができる。他の添加剤としては、例えば、ニッケルの産出量を最大にするのに役立つ燐酸塩などの栄養剤を挙げることができるが、それに限定されない。
【0054】
汚染されている土壌に使用することのできる他の添加剤は、金属キレート化剤である。金属キレートは農業分野で普通に使用されており、生体細胞中で自然に発生するものである。ニトロロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス-(p-アミノエチレンエーテル-N,N-テトラ酢酸)または当業者にキレート化剤として知られている様々なアミノ酢酸などのキレート化剤を植物採掘または植物抽出する土壌に添加すると、土中の金属を根の表面へと移動させて、地上組織中に摂取・移動させるのを促進する。好ましいキレート化剤はNTAまたはEDTAである。通常、キレート化剤は土1kg当たり約0.5〜10ミリモルの濃度範囲で添加される。肥料の使用と同様に、キレート化剤の最適濃度は、ルーチンワーク的な試験によって容易に決定することができる。Fe、MgおよびCaが高いレベルで存在する土壌において、ニッケルをキレート化するキレート化合物は、超蓄積植物によって摂取させるニッケルの量を選択的に増加させる。
【0055】
(例)
以下の例は本発明の方法を説明するものであるが、本発明を限定しない。当業者に自明である様々な条件を適切に変更したり改めたりすることは、通常、行われることであり、それらは本発明の精神および範囲内である。
【0056】
(例1)
汚染された土壌または蛇紋岩土(窒化マグネシウムは濾過されている)の19
セットの鉢(4L)中で、2セットのアー.ムラーレ103植物(A. murale)を120日間栽培した。各セットの第一鉢では酸性化を行わず、第二鉢では酸性化を行った。脱イオン水を毎日供給することによって、土地の許容量近くまでの水分を維持した。植物は、日中約28℃で、夜は約20℃で栽培した。硝酸を用いて土壌を酸性化し、試薬グレードの粉末CaCOを用いてpHを上昇させた。土壌としては、南西オレゴンから得られたニッケルに富んだ(約100〜約5000 ppmのニッケルを含有している)蛇紋岩土(土壌3〜19)、オンタリオ州ポート・コルボーン(Port Colborne)から得られるニッケル精製で汚染されたウェルランドローム(Welland loam)(土壌1)、およびオンタリオ州ポート・コルボーンから得られたニッケル精製で汚染されたクォリー腐植土(Quarry muck)(土壌2)を使用した。植物の生育を最適化するために、特に、ニッケル、カリウム、イオウおよびリンを含有している肥料が添加された。
【0057】
表1および表2は汚染された土壌での試験の結果を示している。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
表中、「TRT」は処理を意味する。処理2においては土壌のpHは調整されていない。処理6においては、土壌のpHは酸性化された。
【0061】
表1および2に示されているように、酸性の弱いpHの土壌で栽培された植物は、一般に、酸性の強い土壌で栽培された植物よりもはるかに多量のニッケルを蓄積する。さらに、酸性の弱い土壌でより多くのニッケルを吸収した植物は、コバルト、マンガンおよび亜鉛など他の金属を少量蓄積した。コバルト、マンガンおよび亜鉛などは土壌のpHを上げた後の苗条中では、通常、より低い濃度で見出される。
【0062】
(例2)
上記例を確認すると共に最適条件を得るために、ニワナズナ植物をニッケル精製で汚染されたウェルランドローム(土壌1)で栽培した。この時、石灰岩を投入してpHを上昇させた(表3)。また、植物をニッケル精製で汚染されたクォリー腐植土(土壌2)および蛇紋岩土(土壌3〜11)(表4)でも栽培した。例1に記載したのと同じ栽培条件を例2でも使用した。
【0063】
幾何平均苗条産出量への燐酸塩、pHおよびCa:Mg比の変化の影響、並びにニッケル精製で汚染されたウェルランドローム(土壌1)で120日間栽培された二種のニワナズナの微細栄養組成物
【0064】
【表3】

【0065】
*a-gは、同じ文字が付いている数字はダンカン-ウォーカー K-比 t-試験によるP<0.05レベルであまり変わらないことを示している。「TRT」は処理である。
【0066】
土壌のpHへの土壌処理の影響、およびニッケル精製で汚染されたウェルランドローム(土壌1)、ニッケル精製で汚染されたクォリー腐植土(土壌2)および蛇紋岩土(土壌3〜11)で120日間栽培されたアリススム ムラーレ(Alyssum murale)およびアリススム コルシクム(Alyssum corsicum)の微細栄養組成物
【0067】
【表4】

【0068】
"TRT"は処理を意味する。
"Mlo pH"は中低pHを意味する。
土壌の番号は例1における土壌の番号に対応する。
【0069】
この「pH系列」実験によって、石灰岩を使用することによってニワナズナへのニッケル吸収が増加し、植物組織がニッケルを高濃度で蓄積するようになることが実証された。
【0070】
(例3)
実験の結果は、ニッケル精製で汚染されたクォリー腐植土(土壌2)(表5)、並びにニッケル精製で汚染されたウェルランドローム(土壌1)、ニッケル精製で汚染されたクォリー腐植土(土壌2)および例1から選択された蛇紋岩土(土壌3〜11)(表6)で栽培されたニワナズナ植物に石灰水を投与することによる、植物組織中におけるニッケル摂取の幾何平均の増加を示している。栽培条件は例1および例2の条件と同じである。
【0071】
全苗条における元素の平均濃度、並びにニッケル精製で汚染されたクォリー腐植土(土壌2)で60日間栽培されたアリススム ムラーレ(Alyssum murale)およびアリススム コルシクム(Alyssum corsicum)の苗条産出量への土壌処理の影響
【0072】
【表5】

【0073】
*a-eは同じ文字が付いている数字は、ダンカン-ウォーカー K-比 t-試験によるP<0.05レベルであまり変わらないことを示している。"TRT"は処理である。
【0074】
燐酸塩の添加、pHの調整、またはCa:Mg比の調整によって、ニッケル精製で汚染されたウェルランドローム(土壌1)、ニッケル精製で汚染されたクォリー腐植土(土壌2)および蛇紋岩土(土壌3〜11)を変えることの、土壌pH、平均産出量、および120日間栽培したニワナズナ種の苗条の微量養素組成物への影響(GMは幾何平均を意味する。)
【0075】
【表6】

【0076】
"TRT"は処理を意味する。
土壌の番号は例1における土壌の番号に対応する。
【0077】
(例4)
−新規な超蓄積植物
オレゴン州ジョセフィン郡(Josephine County)の蛇紋岩堆積土(serpentinecolluvial soil)の畑で栽培したニワナズナ種の苗条における元素の濃度を下記表7に示す。
【0078】
【表7】

【0079】
元素は mg/kg単位の量で存在している。
【0080】
茎および葉を含む全苗条または側枝試料を各遺伝子型毎に鉢または畑から集め、強制空気乾燥オーブン中で乾燥し、約0.1 mmよりも小さく無汚染粉砕器で粉砕した。粉砕した試料をホウケイ酸塩製のビーカーに入れ、480℃で一晩かけて灰にした。得られた灰を溶解するために硝酸を添加し、次いで、ホットプレート上で乾燥するまで加熱した。塩酸(3.0 M)を添加し、回収したニッケルの濃度を測定するためにビーカーを2時間還流した。ニッケルの濃度は誘導接続アルゴンプラズマ発生スペクトル測定器(inductively coupled argon plasma emission spectrometer)で測定した。低濃度のものについては、原子吸収スペクトル測定によって測定した。
【0081】
特定の植物、および植物採掘または植物抽出によるニッケルなどの金属摂取を増加する特定の方法に関して、本発明を詳細に説明してきた。操作性のために必要である場合を除いて、これら特定の事柄に限定することを意図していないし、また、添付の請求項にこのような限定を与えるべきではない。以上の記載より、当業者であれば容易に本発明の本質的な性質を理解することができ、また、本発明の精神および範囲から外れることなく、本発明に様々な変更や修正を加えて不当な実験を行うことなく様々な用途および条件に本発明を適用することができる。ここで引用されている全ての特許、特許出願および刊行物を、その全体を参照によって本願に取り入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a-1) 少なくとも一種の第一の金属がニッケルである場合に、土壌のpHを初期の該土壌のpHから、少なくとも約6.3である第一のpHに上昇させ、又は
(a-2) 少なくとも一種の第一の金属がコバルトである場合に、土壌のpHを初期の該土壌のpHから、約6.3〜約7.0である第一のpHに上昇させ、
(b) 少なくとも一種の金属超蓄積植物を、前記第一のpHを有する土壌で栽培し、該少なくとも一種の植物に該土壌から得られる前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積させ、
(c) その後前記土壌のpHを4.84〜5.94の第二のpHに低下させ、
(d) 前記少なくとも一種の金属超蓄積植物を、前記第二のpHを有する土壌で栽培し、該少なくとも一種の植物に該土壌から得られる少なくとも一種の第二の金属を地上組織に蓄積させる
ことを特徴とする金属含有土壌から回収される少なくとも一種の金属の量を選択的に増加させる方法。
【請求項2】
前記少なくとも一種の第一の金属がニッケルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一種の第二の金属が、コバルト、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、プラチナ、イリジウム、オスミウム、レニウムおよびこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(a) 土壌のpHを初期の該土壌のpHから4.84〜5.94の第二のpHに低下させ、
(b) 少なくとも一種の金属超蓄積植物を、前記第二のpHを有する土壌で栽培し、該少なくとも一種の金属超蓄積植物に該土壌から得られる少なくとも一種の第二の金属を地上組織に蓄積させ、
(c-1) その後、少なくとも一種の第一の金属がニッケルである場合に、前記土壌のpHを第二のpHから、少なくとも約6.3である第一のpHに上昇させ、又は
(c-2) その後、少なくとも一種の第一の金属がコバルトである場合に、前記土壌のpHを第二のpHから、約6.3〜約7.0である第一のpHに上昇させ、
(d) 前記少なくとも一種の金属超蓄積植物を、前記第一のpHを有する土壌で栽培し、該少なくとも一種の植物に該土壌から得られる前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積させる
ことを特徴とする金属含有土壌から回収される少なくとも一種の金属の量を選択的に増加させる方法。
【請求項5】
前記少なくとも一種の第一の金属がニッケルであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
石灰岩、ドロマイト性石灰岩、石灰、水和石灰、石灰岩同等物およびそれらの混合物よりなる群から選択される、土壌のpHを増加させることに帰着する少なくとも一種の添加剤を土壌に添加することによって、土壌のpHを上昇させることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一種の植物がニワナズナ植物であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ニワナズナ植物が、アー.ムラーレ(A. murale)、アー.ピントダシルウァエ(A. pintodasilvae)、アー.セルピリフォリウム(A. serpyllifolium)、アー.マラキタヌム(A. maracitanum)、アー.レスビアクム(A. lesbiacum)、アー.ファルラキヌム(A. fallacinum)、アー.アルゲンテウム(A. argenteum)、アー.ベルトロニイ(A. bertolonii)、アー.テニウム(A. tenium)、アー.ヘルドレイキイ(A. heldreichii)、アー.コルシクム(A. corsicum)、アー.プテロカルプム(A. pterocarpum)、アー.カリクム(A. caricum)及びこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも一種の第二の金属が、コバルト、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、プラチナ、イリジウム、オスミウム、レニウムおよびこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記土壌で栽培されて、該土壌から得られる前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積させる前記少なくとも一種の金属超蓄積植物が、キアノティス ロンギフォリア(Cyanotis longifolia)、ブルボスティリス ムクロナータ(Bulbostylis mucronata)、コムブレトゥム デカンドルム(Combretum decandrum)、クラススーラ アルバ(Crassula alba)、クラススーラ ウァギナタ(Crassula vaginata)、クラススーラ アルギロプフィア(Crassula argyrophylla)、クレトラ バルビネルヴィス(Clethra barbinervis)、ゲイスソイス インテルメディア(Geissois intermedia)、ゲイスソイス マグニフィカ(Geissois magnifica)、ゲイスソイス モンタナ(Geissois montana)、ゲイスソイス プルイノサ(Geissois pruinosa)、ゲイスソイス トリフォリアータ(Geissois trifoliata)、ゲイスソイス ラセモーサ(Geissois racemosa)、プシコトリア ドゥアルレイ(Psychotria douarrei)、リノレア ベンガレンシス(Rinorea bengalensis)、ペアルソニア メタルリフェラ(Pearsonia metallifera)、ディカペタルム ゲロニオイデス エスエスピー.トゥベルクラトゥム及びアマニクム(Dichapetalum gelonioides ssp. Tuberculatum and amanicum)、ブレプファリス アクミナータ(Blepharis acuminata)、イュスティシア ランスティアキイ(Justicia lanstyakii)、ロプフォスタキス ウィローサ(Lophostachys villosa)、プフィディアシア リンダウィイ(Phidiasia lindavii)、ルエルリア ゲミニフローラ(Ruellia geminiflora)、アディアンタム エスピー.(Adiantum sp.)、ルス ウィルディイ(Rhus wildii)、クロモラエナ エスピー.シーエフ.メイェリ(Chromolaena sp. cf. meyeri)、ドゥコマ ニクコリフェラ(Ducoma niccolifera)、ゴクナティア クラスシフォリア(Gochnatia crassifolia)、ゴクナティア レクルウァ(Gochnatia recurva)、コアノプフィロン グランディケプス(Koanophyllon grandiceps)、コアノプフィロン プリノデス(Koanophyllon prinodes)、レウカンテモプシス アルピーナ(Leucanthemopsis alpina)、ペンタカリア(Pentacalia)、セネキオ パウペルクルス(Senecio pauperculus)、シャフェラ プラティプフィラ(Shafera platyphylla)、ソリダゴ ヒスピダ(Solidago hispida)、ヘリオトロピウム エスピー.(Heliotropium sp.)、ボルンムエルレラ(Bornmuellera)、カルダミーネ レセディフォリア(Cardamine resedifolia)、コクレアリア アウケリ(Cochlearia aucheri)、コクレアリア セムペリウィウム(Cochlearia sempervivum)、ペルタリア エマルギナータ(Peltaria emarginata)、ブクス(Buxus)、カンパヌラ スケウクゼリ(Campanula scheuchzeri)、アレナリア(Arenaria)、ミヌアルティア ラリキフォリア(Minuartia laricifolia)、ミヌアルティア ウェルナ(Minuartia verna)、ガルキニア バケリアーナ(Garcinia bakeriana)、ガルキニア ポリネウラ(Garcinia polyneura)、ガルキニア レウォルタ(Garcinia revoluta)、ガルキニア ルスキフォリア(Garcinia ruscifolia)、メルレミア キサントプフィルラ(Merremia xanthophylla)、パンケリア エングレリアーナ(Pancheria engleriana)、ショレア テヌイラムローサ(Shorea tenuiramulosa)、アルゴプフィルム グルノウィイ(Argophyllum grunowii)、アルゴプフィルム ラクスム(Argophyllum laxum)、バロギア エスピー.(Baloghia sp.)、ボナニア(Bonania)、クレイディオン ウィエルラルディイ(Cleidion viellardii)、クニドスコルス エスピー.セーエフ.バヒアヌス(Cnidoscolus sp. cf. Bahianus)、エウプフォルビア(Euphorbia)、ギムナンテス レクルウァ(Gymnanthes recurva)、レウコクロトン(Leucocroton)、プフィルラントゥス(Phyllanthus)、サピウム エリトロスペルムン(Sapium erythrospermum)、サウィア(Savia)、アンティルリス エスピー.(Anthyllis sp.)、トリフォリウム パレスケンス(Trifolium pallescens)、カセアリア シルウァナ(Casearia silvana)、キシロスマ(Xylosma)、ルズラ ルテア(Luzula lutea)、ワルスラ モノプフィルラ(Walsura monophylla)、ミリスティカ ラウリフォリア(Myristica laurifolia)、モシエラ アラネオサ(Mosiera araneosa)、モシエラ エクマニイ(Mosiera ekmanii)、モシエラ クス ミラフロレンシス(Mosiera x miraflorensis)、モシエラ オプフィティコラ(Mosiera ophiticola)、プシディウム アラネオスム(Psidium araneosum)、プシディウム ハウァネンセ(Psidium havanense)、ブラッケンリドゲア パルストリス およびエスエスピー.フォックスウォルティイ およびエスエスピー.キィエルベルギイ(Brackenridgea palustris and ssp. foxworthyi and ssp. kjellbergii)、オウラテア ニティダ(Ouratea nitida)、オウラテア ストリアータ(Ouratea striata)、キオナントゥス ドミンゲンシス(Chionanthus domingensis)、オンコテカ バランサエ(Oncotheca balansae)、トリセトゥム ディスティコプフィルム(Trisetum distichophyllum)、ラヌンクルス グラキアリス(Ranunculus glacialis)、アリアドネ シャフェリ エスエスピー.シャフェリ およびエスエスピー.モアエンシス(Ariadne shaferi ssp. shaferi and ssp. moaensis)、ミトラカルプス エスピー.(Mitracarpus sp.)、プフィルロメリア コロナータ(Phyllomelia coronata)、プシコトリア クレメンティス(Psychotria clementis)、プシコトリア コスティウェニア(Psychotria costivenia)、プシコトリア ドウアルレイ(Psychotria douarrei)、プシコトリア グロメラータ(Psychotria glomerata)、プシコトリア オスセアーナ(Psychotria osseana)、プシコトリア ウァンヘルマニイ(Psychotria vanhermanii)、ロンデレティア(Rondeletia)、プランコネルラ オクイェドラ(Planchonella oxyedra)、サクシフラーガ(Saxifraga)、エステルハズィヤ エスピー.、リナリア アルピーナ(Esterhazya sp. and Linaria alpina)、テトラリクス ブラキペタルス(Tetralix brachypetalus)、テトラリクス クリスタレンシス(Tetralix cristalensis)、テトラリクス イャウコエンシス(Tetralix jaucoensis)、テトラリクス モアエンシス(Tetralix moaensis)、テトラリクス ニペンシス(Tetralix nipensis)、トリコスペルムム キィエルベルギイ(Trichospermum kjellbergii)、トゥルネラ スブヌーダ(Turnera subnuda)、ウェロズィア エスピー.(Vellozia sp.)、アガテア デプランケイ(Agatea deplanchei)、リノレア イャウァニカ(Rinorea javanica)、アケル プセウドプラタヌス(Acer pseudoplatanus)、ミヌアルティア ウェルナ(Minuartia verna)、ポリカルパエア シナンドラ(Polycarpaea synandra)、キストゥス インカヌス エスエスピー.クレティクス(Cistus incanus ssp. creticus)、アルメリア マリティマ ウァル.ハルレリ(Armeria maritima var. halleri)、アグロスティス ストロニフェラ(Agrostis stolonifera)、アグロスティス テニウス(Agrostis tenuis)、アルヘナテルム エラティウス(Arrhenatherum elatius)、フェストゥカ オウィーナ(Festuca ovina)、ルメックス アケトーサ(Rumex acetosa)、ウィオラ カラミナリア(Viola calaminaria)、パンディアーカ メタルロルム(Pandiaka metallorum)、ケロシア トリギーナ(Celosia trigyna)、アニソパップス キネンシス(Anisopappus chinensis)、アニソパップス ダウィイ(Anisopappus davyi)、グテンベルギア プベスケンス(Gutenbergia pubescens)、ミロティア ミオソティディフォリアプ(Millotia myosotidifoliab)、ウェルノニア ペテルシイ(Vernonia petersii)、ミヌアルティア ウェルナ エスエスピー.ヘルキニカ(Minuartia verna ssp. hercynica)、シレーネ コバルティコラ(Silene cobalticola)、コムメリナ ジグザグ(Commelina zigzag)、キアノティス ロンギフォリア(Cyanotis longifolia)、イポモエア アルピーナ(Ipomoea alpina)、アスコレピス メタルロルム(Ascolepis metallorum)、ブルボスティリス クプリコラ(Bulbostylis cupricola)、ブルボスティリス プセウドペレニス(Bulbostylis pseudoperennis)、モナデニウム クプリコラ(Monadenium cupricola)、プフィラントゥス ウィラミオイデス(Phyllanthus willamioides)、クロタラリア コバルティコラ(Crotalaria cobalticola)、ウィグナ ドロミティカ(Vigna dolomitica)、グラディオルス グレガリウス(Gladiolus gregarius)、アエオルラントゥス スバカウリス ウァル.リネアリス(Aeollanthus subacaulis var. linearis)、アエオルラントゥス ホムブレイ(Aeollanthus homblei)、アエオルラントゥス サクサティリス(Aeollanthus saxatilis)、アエオルラントゥス スバカウリス ウァル.エリコイデスおよびウァル.リネアリス(Aeollanthus subacaulis var. ericoides and var. linearis)、ベキウム グランディフロルム ウァル.ウァンデリスティイ(Becium grandiflorum var. vanderystii)、ハウマニアストゥルム ホムブレイ(Haumaniastrum homblei)、ハウマニアストゥルム カタンゲンセ(Haumaniastrum katangense)、ハウマニアストゥルム ロベルティイ(Haumaniastrum robertii)、ハウマニアストゥルム ロスラトゥム(Haumaniastrum rosulatum)、アビエス バルサメア(Abies balsamea)、エラグロスティス ラケモーサ(Eragrostis racemosa)、レンドリア アルテーラ(Rendlia altera)、スポロボルス コンゴエンシス(Sporobolus congoensis)、アクティニオプテリス エスピー.(Actiniopteris sp.)、アレクトラ セスシリフローラ ウァル.セネガレンシス(Alectra sessiliflora var. Senegalensis)、ブクネラ ヘンリクエシイ(Buchnera henriquesii)、クレピドロパロン テヌイーサ(Crepidorhopalon tenuisa)、クレピドロパロン ペレンニサ(Crepidorhopalon perennisa)、ソプビア マンニイ(Sopubia mannii)、ソプビア メタルロルム(Sopubia metallorum)、ソプビア ネプトゥニイ(Sopubia neptunii)、ストリーガ ヘルモンテーカ(Striga hermontheca)、トリウムフェッタ デキンドティアーナ(Triumfetta dekindtiana)、トリウムフェッタ ディジタータ(Triumfetta digitata)、トリウムフェッタ ウェルウィットシイ ウァル.デスカンピイ(Triumfetta welwitschii var. descampii)、キセロピータ レティネルウィス ウァル.エクイセトイデス(Xerophyta retinervis var. equisetoides)、アリキシア ルブリカウリス(Alyxia rubricaulis)、マイテヌス ブレアウィアーナ(Maytenus bureaviana)、マイテヌス パンケリアーナ(Maytenus pancheriana)、マイテヌス セベルティアーナ(Maytenus sebertiana)、ガルキニア アムプレキシカウリス(Garcinia amplexicaulis)、エウゲニア クルシオイデス(Eugenia clusioides)、ベアウプレオプシス パニクラータ(Beaupreopsis paniculata)、マカダミア アングスティフォリア(Macadamia angustifolia)、マカダミア ネウロプフィルラ(Macadamia neurophylla)、ハプロパップス フレモンティイ(Haplopappus fremontii)、マカエランテラ グラブリウスクラ(Machaeranthera glabriuscula)、マカエランテラ ラモーサ(Machaeranthera ramosa)、マカエランテラ ウェヌスタ(Machaeranthera venusta)、スタンレィヤ ピンナタ(Stanleya pinnata)、スタンレィヤ ビピンナータ(Stanleya bipinnata)、アトリプレックス コンフェルティフォリア(Atriplex confertifolia)、レキティス オルラリア(Lecythis ollaria)、アカキア カーナ(Acacia cana)、アストラガルス ビスルカトゥス(Astragalus bisulcatus)、アストラガルス オステルホウティイ(Astragalus osterhoutii)、アストラガルス パッテルソニイ(Astragalus pattersonii)、アストラガルス ペクティナト
ゥス(Astragalus pectinatus)、アストラガルス ラケモスス(Astragalus racemosus)、ネプトゥニア アムプレキシカウリス(Neptunia amplexicaulis)、モリンダ レティクラータ(Morinda reticulata)並びにカスティルレイャ クロモーサ(Castilleja chromosa)よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1、2、4及び5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
土壌のpHを低下させることに帰着する少なくとも一種の添加剤を土壌に添加することによって、土壌のpHを低下させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記土壌で栽培されて、該土壌から得られる前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積させる前記少なくとも一種の金属超蓄積植物が、レウコクロトン エスピー.(Leucocroton sp.)、プフィルラントゥス(Phyllanthus sp.)及びプシコトリア エスピー.(Psychotria sp.)よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1又は4に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも一種の金属超蓄積植物が、前記土壌における前記少なくとも一種の第一の金属の濃度を少なくとも因子2で超える量で、前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積するように、前記少なくとも一種の金属超蓄積植物を前記土壌で栽培することを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一種の金属超蓄積植物が、前記土壌における前記少なくとも一種の第一の金属の濃度を少なくとも因子3で超える量で、前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも一種の金属超蓄積植物が、前記土壌における前記少なくとも一種の第一の金属の濃度を少なくとも因子4で超える量で、前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
レウコクロトン エスピー.(Leucocroton sp.)、プフィルラントゥス(Phyllanthus sp.)及びプシコトリア エスピー.(Psychotria sp.)よりなる群から選択される前記少なくとも一種の金属超蓄積植物が、前記土壌における前記少なくとも一種の第一の金属の濃度を少なくとも因子2で超える量で、前記少なくとも一種の第一の金属を地上組織に蓄積するように、前記少なくとも一種の金属超蓄積植物を前記土壌で栽培することを特徴とする請求項12に記載の方法。

【公開番号】特開2011−224565(P2011−224565A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107603(P2011−107603)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【分割の表示】特願2000−581259(P2000−581259)の分割
【原出願日】平成11年11月10日(1999.11.10)
【出願人】(506339235)アメリカ合衆国 (1)
【出願人】(506338456)メリーランド大学 (1)
【住所又は居所原語表記】office of Technology Commerialization,0133 Cole Studedent Activies Bldg,College Park,Maryland 20742−1001 U.S.A
【出願人】(506338467)シェッフィールド大学 (1)
【Fターム(参考)】