説明

土壌・河川・汚染水の浸透式浄化法

【課題】有機物を微生物分解して植物吸収させる光・水による地表循環と、高温・高圧での長期間の深層地下による物質の安定化の2つの自然循環法則を利用した汚染土壌・汚泥・汚染水の自然循環機能を活用した浄化法を提供する。
【解決手段】何れも水を媒体とすることから、水の浸透を透水管で行い、高圧深層地下へは高圧注水管を用いて、自然循環法則を利用した汚染土壌・汚泥・汚染水の浄化法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地球環境の保全のための汚染土壌・屁泥・汚濁水の自然循環機能を活用した浄化を
目的とする環境技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の環境汚染物の浄化法は、おおむね積極物理的な浄化法である。 この欠点は、環境改善に多くの資源・エネルギーが必要でその実施コストも巨額である。 これらは地球環境維持に自然循環の法則適用手段が最適であると最近注目され始めたが、実施技術がなく、従来は物理的以外方法がなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
環境汚染物の土壌汚染、河川・湖の汚泥の自然循環浄化は周期を考慮すれば、有機物を微生物分解して植物に吸収させる光・水による地表循環と、高温・高圧での長期間の深層地下による物質の安定化の2つの法則がある。何れも水を媒体とすることから、これらの技術基本となる水の浸透を得るための手段である透水管、高圧深層地下注水管の開発が重要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は自然循環法則を利用した汚染土壌・汚泥・汚染水の浄化法の技術開発に成功した。 この基本技術の構成は、有機物汚染土壌が浸透水による微生物分解・植物吸収、非分解物質が浸透水による洗浄と汚染物の深層地下へ注入、これら手段が当社の熟知する油田の原油生産技術”残留石油の回収技術”に類似であることから、油田技術を応用した技術開発を実施した。
【発明の効果】
【0005】
本発明の成果は、自然循環法則の短期循環法則である有機物の微生物分解と植物吸収の浄化法や、他の長期(1万年から100万年)循環の深層地下での有害化学物質の安定分解(無機化)などを可能にする方法である。その結果、従来の地上による積極分解などの手段に比べて大幅なコスト軽減と二次的汚染処理問題も解消することが判明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
環境保全に関する本発明の汚染土壌・屁泥・汚濁水の浸透式浄化法および使用する透水管・高圧注水管について説明する。環境汚染は気体・液体・固体に分別されるが、それぞれ汚染物質の移動を考慮すれば液体と固体(水・土壌)は共通の浄化手段が取れる。地球上の物質は多くは水を媒体にできることから、水を基本として処理法を考えることにする。河川・湖・土壌の社会的認知度の高い事例を考える。中国の下水処理が未完成なことが原因の主に有機物による河川の汚染例、その排出先が湖などの場合は過剰な有機物の堆積からその扶養分による毒性があるアオコの多量発生、農家の蓄積する農薬による地下汚染、化学工場などの廃棄化学物質による地下汚染などがある。
【0007】
これらの汚染解消には、汚染源を絶つ方法が最も有効であることは周知であるが、既に堆積した汚染物を自然分解するには、歴史的な時間を要する。一方、自然による植物・微生物の堆積もあることも周知。本発明は、自然の浄化機能を用いた地球環境保全が図れる人工的なシステムを考案した。このシステムの基本は、自然循環の浄化(1年サイクル)と非循環・過剰環境物質の深層地下での長期間分解(100万年単位の分解)から成る。
【実施例1】
【0008】
有機物の微生物・植物による自然循環浄化法則の詳細について下記に示す。
【0009】
図1は、有機物汚泥を集積した堆積層に有酸素水を添加して微生物による汚泥の分解による窒素、燐酸、炭酸ガスなどの植物養分を放出し、植物には太陽光と水を与えて、葉緑素による働きで植物成長を図ることで自然循環浄化法則を促進させるモデルを示す。自然浄化効率は、植物とのコラボレーション効果が最も
効率的であることは、多くの研究者によって、実証されており、効率UPができる構造が重要となる。自然界の湖底に集積する汚泥物質は、微生物分解が出来ず湖底が無酸素状態となっている。汚染河川はこの状態を示している。また、湖の汚染は微生物による汚泥の分解が多くて、水中の養分過多が原因で水中直物のアオコの異常発生を生じている。すなわち、効率的な自然循環浄化を得るには、地上植物とのコラボレーションが不可欠といえる。このコラボレーションには、図1の右図に示す透水壁による汚水・汚泥との分離方式が効果的である。
【0010】
短期間に汚泥と汚水をポンプアップして透水壁の隔離部に移動、汚泥の圧縮と浄化水・浄化湖底が生成できる。(浄化が短時間で完工する)堆積汚泥に活性有酸素水を通過させることで、微生物が活性化されて分解養分は上部の植物に吸収される。(自然循環の浄化が始まる)浄化水の水位変化で有酸素水が汚泥に浸入、透水壁に付着する微生物の働きも加わり汚泥の浄化と湖水をより清水とする浄化作用が働く。透水壁を管状構造物にすれば、強固な壁面が得られる。さらに必要な場合には管の内部に活性炭など入れることで、初期の汚水浄化と微生物の活性化をもたらす。汚泥の分解が進行するに従い、追加汚泥の上部堆積ができる。また汚泥には上部から有酸素水である河川の引き込みなどは更なる効果を誘発させる。以上から、人工的な有機物の微生物・植物によるコラボレーション自然循環浄化法は、透水管による汚泥の集積と集積時の浄化、時間を掛けた汚泥の分解できる人工構造が提供できる。
【実施例2】
【0011】
透水法による湖の汚泥浄化法の実施(透水浄化島の建設)について下記に示す。
【0012】
図2は、透水法による湖の浄化島建設概要図である。基本構造は、図1の人工構造を採用した透水管を用いた人工浄化島建設概要図である。特徴は、汚泥・汚水を集積できる。別の場所に移動する必要がない。工期が短く、汚泥処理後には人工島としての不動産価値を生む。大規模な湖にも適用できる。特に浅い湖低には有効で植林による炭酸ガスの吸収効果も大きく、実用性が高い。人工島表面には、ガラス繊維と発泡プラスチックビーズからなる浮き表面層に植物を設けることが効果的である。なぜなら、植物の根が十分な固定を必要とすること、汚泥の分解と沈下にフロート機能がてきすることからである。人工島には、有酸素水でもある河川水をポンプ輸送して汚水の常時散布投入も可能である。すなわち、下水処理効果も期待できる。なお、人工島の大きさは、約10メートルから100メートル径が適当。人工島には風車による空圧ポンプによる汚泥への酸素供給も効果を発揮する。
【実施例3】
【0013】
分解化学物質の透水洗浄と深層地下への注入について下記に示す。
【0014】
微生物・植物による自然循環浄化ができない化学物質は、透水洗浄法を用いて土壌洗浄を行う。 この方法には、有効な汚染化学物質を洗浄する界面活性剤・酸化凝集剤・その他付着剤などを併用する。図3は地中の汚染土壌に洗浄水の注水と透水管による抽出化学物質の排出と汚染物質の深層地下への注入の概略断面図である。土壌浄化は基本的には、潜在する化学物質は水溶性と見なせることから、洗浄は可能である。 洗浄には特定する汚染物質に効果がある物質を注入して、浸透による洗浄を行う。洗浄は縦型の排水と横型の排水があるが、何れも目的に応じて使用する。地中に含まれる有機ガスなどの補足には、地表にシートの付設で必要期間中回収する。 回収された化学物質の固形分を除去して深層地下での安定化に必要な薬剤を混合して高圧注入する。選択される深層地下の深さは、地域によってこと成るが、安定地盤の下とする。一般には700メートル以下(アメリカの例)が適当と思われる。これらの浸透洗浄・深層地下注入による地中汚染の方法は、次の特徴がある。
【0015】
自然循環浄化を地表環境で行わない。地下の高温・高圧条件で超時間を掛けて安定化を行う。従来の物理的な土壌の掘削・移動・処理を伴わないため、二次公害を出さない。工事が大掛かりではなく、廃棄物が出ない。何より工事費が安価となる。工期を短縮することが可能であるが、洗浄中にも別の建設工事を併用できる。また既存の建築物を損なうことなく洗浄・浄化できる。以上から、この透水式の透過洗浄法はきわめてメリットが大きい地中浄化方法といえる。
【0016】
抽出された化学物質は、図4に示すように耐食高圧管により安定化地盤下に注入される。 一般には最大2300メートル以下が予想される。 関東地方では 1500メートルから2000メートルが適当と考えるが、詳細地質調査によって決定される。 抽出化学物質は地表タンクに集められ、安定化の物質を混合、固体物質を取り除いて高圧ポンプ(10メガパスカルから15メガパスカル)で注入する。深層地下に注入された化学物質は、100万年程度保留される。すなわち、化石燃料を抽出した石油の生産と反対の地表環境に余剰な物質の地下への返却を意味する。地下注入は炭酸ガス、核物質、劇物など適用しているので、地質調査によりその深度が定められる。この深層地下への化学物質の注入方式による特徴は次の通りである。
【0017】
約700メートル以下の深層地下で廃棄物処理(安定化)できる。必要技術は油田技術が応用できる。汚染物の拡散防止が地下水圧の利用で簡単にできる。油田の注水技術と注水における環境に影響度がない等、多くの実績を活用できる。洗浄水は海水・工業用水など採用、地下で注入 水を洗浄して復流水の活用の可能性もある。その他の炭酸ガスを併用注入も可能である。透水管の付設、高圧注入管の付設をした後は自動で透水洗浄できるため、安価で簡単な工事である。
【実施例4】
【0018】
土壌汚染の浸透式処理法の効率的実施システムについて下記に示す。
【0019】
土壌汚染の効率的な浄化には、コンピュータによるシミュレーションシステムの開発が必要である。 このシステムは、3次元の画像処理を含めた洗浄に関する解析である。現在稼働している医療画像処理システムなどは血液の血流を加味したシステムであり、応用できる。本発明は医療画像処理システムと油田の採油システムと同様な考えで、このシステムを進める。図5は 土壌汚染現場の最適透水法を設計するためのモデル説明である。破線は汚染土壌域を示し、●印は注水による汚染地域への地下水流入防止の注水透水管平面位置を示す。矢印は汚染物質の浸透方向を示す。
【0020】
(1)透水管による注水による水圧カーテンを示す。 (2)は品種Bの化物質の洗浄注入、(4)は化学物質Aの洗浄抽出をそれぞれ示す。(3)は水圧カーテンによる汚染物質の洗浄ラインの状態、(5)は化学物質Cの抽出を示す。(6)は抽出した化学物質の深層地下への高圧注入を示す。図から、複数の濃度分布を持つ異なる化学物質に対して、それぞれ有効な複数の濃度分布を持つ。この効率的な生産システムはコンピュータ解析によって最適な圧力と位置・深さが計算できる。また、除染時間と濃度の予測も可能である。最適な注水位置と圧力、排水位置と圧力、有効な洗浄添加剤の効果など計算する必要があり、このシステムは効率的な除染には非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の有機物の自然循環法則による浄化概要
【図2】本発明の透水法による湖面人工浄化島の建設
【図3】本発明の地下汚染物の薬剤注入による洗浄と汚染物質の深層地下への注入について
【図4】本発明の汚染物質の深層地下処理の地層断面図
【図5】本発明の汚染土壌の透水浄化法による浄化の透水管・高圧管配置平面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌・河川・湖・汚水の環境汚染物の浄化法において、透水性を有する管を用いて汚染物を含む水溶液を隔離・浸透する効果を利用して、有機汚染物を濃縮し有酸素水の注入による微生物分解による浄化または有害重金属や化学物質を溶解物質の注入・中和によって抽出することを特徴とする透水管による浄化法。
【請求項2】
有機物を主体とする汚泥・汚染水の透水管による浄化において、汚染物質を透水管により隔離して濃縮した有機汚染物質を分解する微生物に活動に必要な有酸素水を上部または側面から注入する構造にして、上部に必要によっては浮体構造の植物層を設けて、分解された有機物を植物に吸収させ、植物に必要な水分と光を十分提供できる構造にした透水管隔離の浄化法。
【請求項3】
透水管による有害物質の濃縮方法において、河川・湖底の汚泥をポンプ輸送して透水管による隔離壁を設けた濃縮室に移設する時、隔離壁を構成する透水管の管内部に濃縮時に浄化機能と有害物質の無害化を得る目的に、例えば活性炭素物、石灰、吸着物質などを封入してなる透水壁の構造。
【請求項4】
透水管により抽出された有害化学物質の処理において、少なくても地表に必要期間抽出しない深層地下の安定地層内に有害化学物質が地中で安定無害物質に化学反応変化に必要な化学物質と併用混合して汚染物質を地中に注入して汚染物を処理する方法。
【請求項5】
透水管による土壌汚染の浄化法において、非汚染地域と汚染地域の境界線に複数の透水を可能にする管を埋設、地中の水位を透水により向上させて、汚染地域との隔離をおこない、汚染地域に必要によっては有害化学物質を吸着抽出するに必要な物質を水溶して注水、最も効率の良い汚染地域に透水管を埋設、汚染物質を透水管により浸透させて、隔離地域内で水位を非汚染地域より低下させる排出法を可能にする透水管による土壌汚染の浄化法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−5516(P2010−5516A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166432(P2008−166432)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000102924)エヌビイエル株式会社 (22)
【Fターム(参考)】