説明

土壌中に含まれる炭化水素成分の含有量を測定するための気化装置

【課題】土壌中に含まれる炭化水素成分の含有量を測定する方法において、装置の小型化や使用材料の薄型化、且つ簡易な測定作業を可能にするとともに、土壌試料中に含まれる軽質留分から中重質留分まで幅広い炭化水素成分の短時間における完全気化を実現できることを課題とする。
【解決手段】加熱炉2と、サンプルホルダー3と、加熱炉2内に装着されるサンプルホルダー装着部4とからなり、サンプルホルダー装着部4には上端にサンプルホルダー3を装着するための開口部5と、下端に酸素と窒素の混合ガスの導入路9を設け、その側部には気化成分を排出する排出路10を設け、サンプルホルダー3には、その上端には土壌サンプルの充填口7を設け、その内部にはサンプル室6を設け、サンプル室6の底部には混合ガスの導入路9に連通する混合ガスの導入口9aを設け、更にサンプル室6の上部に当たるサンプルホルダー3の側部には気化成分の排出路10に連通する排出口10aを設け、充填口7には気密栓8を設けた気化装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、炭化水素成分を含む土壌を気化装置のサンプル室内に充填し加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、上記サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化させた該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法に使用する気化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化水素とは、炭素と水素を含む有機物であるが、土壌汚染の汚染物質としては、例えば液体燃料、固体燃料、バイオマス燃料、潤滑油類、溶剤などの化学製品などである。
この中でも土壌汚染に特に多く見られる汚染物質の1つは石油系炭化水素である。以下、石油系炭化水素を例に説明する。
【0003】
石油系炭化水素とは、石油関連施設で扱っている石油製品に由来するものであり、ガソリン、灯油、軽油、A重油、C重油、潤滑油類(鉱油、合成油)、原油等を構成する炭化水素化合物類である。現在、土壌汚染対策法が施行され、土地の用途変更などの際に土壌汚染調査の結果の報告が義務付けられており、その一環として土壌中の石油系炭化水素成分の含有量を調べることが多い。
【0004】
これまでの石油系炭化水素の分析法としては、土壌中の石油系炭化水素成分をn−ヘキサンで抽出・分離し、n−ヘキサンを加熱により蒸発させ、残渣物の重量を測定する方法(n−ヘキサン抽出−重量法)、土壌中の石油系炭化水素成分を四塩化炭素にて抽出・分離し、四塩化炭素抽出液の赤外吸収分光分析(IR)を行ない成分含有量を測定する方法(四塩化炭素抽出−IR法)、土壌中の石油系炭化水素成分を二硫化炭素にて抽出・分離し、二硫化炭素抽出液をガスクロマトグラフィー(GC、検出装置FID)にて分析し、クロマトグラムの面積比より成分含有量を測定する方法(二硫化炭素抽出−GC法)等が知られている。(石油汚染土壌の浄化に関する技術開発報告書 平成15年3月財団法人石油産業活性化センター発行)。また、土壌中の石油系炭化水素成分をテトラクロロエチレンにて抽出し、その抽出液のIR分析を行ない成分含有量を測定する方法(テトラクロロエチレン抽出−IR法)等も知られている。(特開2003-294617)
【0005】
また、土壌中の炭化水素簡易分析器として、採取した土壌の炭化水素を抽出溶媒で抽出し、抽出液の濁度から炭化水素含有量を測定する器具が市販されている。
【0006】
他に、水中の油分を測定する方法として、水中の油分を抽出溶媒で抽出した後、油分抽出液から抽出溶媒を揮散させ、残留分を燃焼させることにより発生した二酸化炭素から油分を測定する方法が開示されている(特開2003-302316)。
【0007】
しかし、これらの方法は何れも大気汚染或いは土壌汚染の原因となる抽出液を使用するものであり、したがってこれらの抽出液をそのまま排出すると、環境汚染の原因となり、またこれらの抽出液を無害化するには、多くの費用と労力を必要とする。
【0008】
これに対して抽出液を使用しない方法として、土壌中の軽質の炭化水素留分を加熱により蒸発させ、トラップし(パージアンドトラップ、PT)、それをガスクロマトグラフィーにて分析し、チャートの面積比より油分量を測定する方法(PT−GC法)が知られている(石油汚染土壌の浄化に関する技術開発報告書 平成15年3月財団法人石油産業活性化センター発行)。
【0009】
しかし、この方法は土壌中に含まれる石油系炭化水素成分が軽質留分である場合に適用される方法であり、軽質留分以外に中重質留分を含む場合、前記した抽出液を使用する二硫化炭素抽出−GC法を適用する方法(PEC法)が採用され(前記非特許文献1)、したがって軽質留分から中重質留分まで幅広い石油系炭化水素成分を含む土壌に対しては従来法では何れも大気汚染或いは土壌汚染の原因となる有機溶媒による抽出操作が用いられていた。
【0010】
そこで、本願発明者は軽質留分から中重質留分まで幅広い石油系炭化水素成分を含む土壌に対して有機溶媒による抽出操作を必要とせず、且つ簡便に石油系炭化水素成分の含有量を測定する方法として、石油系炭化水素成分を含む土壌を加熱部のサンプル室内に充填して加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化させた該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、土壌中に含まれる該成分の含有量を測定することを特徴とする土壌中の石油系炭化水素成分含有量を測定する方法を提案したが(特開2007-171049)、この方法において、分析時間を短縮するためには、土壌中に含まれる石油系炭化水素成分を瞬時に気化して短時間の中に分析を完了することができる気化装置の開発が不可欠である。
【0011】
なお、特開平5-126699には固体試料を加熱し、揮発性成分を吸着剤に捕集濃縮したものを、熱脱着により、試料を測定装置に導入する方法が開示され、特表2003-510558にはガスクロマトグラフィーの注入口部のライナーを自動的に交換する方法が開示されるが、これらは何れもガスクロマトグラフィーに関するものであり、先に特開2007-171049で提案した土壌中の石油系炭化水素成分含有量を測定する方法に使用することができない。
【0012】
そこで、本願発明者は先に上記方法に使用するための気化装置として図10に示すように、加熱炉2と、サンプルホルダー3と、加熱炉2内に装着されるサンプルホルダー装着部4とからなり、サンプルホルダー装着部4には上端に混合ガス導入路9と下端に開口部5を設け、更に反応管への連通路10を設け、一方サンプルホルダー3の内部には混合ガス導入路9に対応してサンプル室6の下方出口側には気化成分を含む混合ガスの排出路10aを形成した気化装置を提案した(特開2008-281412)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003-294617
【特許文献2】特開2003-302316
【特許文献3】特開2007-171049
【特許文献4】特開平5-126699
【特許文献5】特表2003-510558
【特許文献6】特開2008-281413
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】石油汚染土壌の浄化に関する技術開発報告書 平成15年3月財団法人石油産業活性化センター発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図10の気化装置ではサンプルホルダー装着部4の上端より導入された混合ガスとサンプル室6に充填された土壌試料は加熱炉2により加熱され、これにより土壌試料中の石油系炭化水素は気化し、混合ガスに伴われて排出路10より反応管に送られ、燃焼され発生した二酸化炭素量を測定し、土壌中に含まれる該成分の含有量を測定するものであり、ガス加熱ラインで加熱された混合ガスとサンプル室6内に充填された土壌サンプルを直接接触させることができ、効果的に土壌試料中の油分を気化させることができる。
【0016】
しかし、上記方法に使用するための気化装置には、装置の小型化や熱効率を上げるための工夫が不可欠であるが、図10の気化装置ではサンプルホルダー3はサンプルホルダー装着部4の下端部に形成された開口部5より装着されるため、サンプルホルダー装着部4の下方に大きなスペースを必要とし、このため作業性が悪く、且つ装置が大型化し、構成材料も肉厚のものが使用され、その結果構成各部の熱効率が悪く、土壌試料中の炭化水素の気化に時間を要するという欠点がある。
【0017】
そこで、本願発明は上記の土壌中に含まれる炭化水素成分の含有量を測定する方法において、装置の小型化や使用材料の薄膜化を可能にし、且つ簡易な測定作業を実現できる気化装置を開発することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記実情に鑑み、本願第1発明として炭化水素成分を含む土壌試料を気化装置のサンプル室内に充填し加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、上記サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化させた該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法に使用する気化装置であって、該気化装置は加熱炉と、サンプルホルダーと、上記加熱炉内に装着されるサンプルホルダー装着部とからなり、
該サンプルホルダー装着部には上端に上記サンプルホルダーを装着するための開口部を有し、一方サンプルホルダーの底部にはサンプル室を設け、サンプルホルダーの上端部には土壌試料の充填口を設け、該充填口には気密栓を設け、更にサンプルホルダーとサンプルホルダー装着部の側部には上記サンプル室の上方にそれぞれ混合ガスの導入路と反応管に連通する気化成分を含む混合ガスの排出路を形成した気化装置を提案するものである。
【0019】
本願第2発明として炭化水素成分を含む土壌試料を気化装置のサンプル室内に充填し加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、上記サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化された該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法に使用する気化装置であって、該気化装置は加熱炉と、サンプルホルダーと、上記加熱炉内に装着されるサンプルホルダー装着部とからなり、
該サンプルホルダー装着部には上端に上記サンプルホルダーを装着するための開口部と、下端に酸素と窒素の混合ガスの導入路を設け、その側部には上記気化成分を排出する排出路を設け、
上記サンプルホルダーには、その上端には土壌サンプルの充填口を設け、その内部にはサンプル室を設け、サンプル室の底部にはサンプルホルダー装着部に設けられた混合ガスの導入路に連通する混合ガスの導入路を設け、更にサンプル室の上部にあたるサンプルホルダーの側部にはサンプルホルダー装着部に設けられた気化成分の排出路に連通する排出口を設け、上記サンプルの充填口には気密栓を設けた気化装置を提案するものである。
【0020】
則ち、本願第1発明と本願第2発明においてはサンプルホルダー装着部の上端に開口部を設け、これよりサンプルホルダーの装着を行うため、先の特許出願(特開2008-281412)のようにサンプルホルダー装着のためのスペースを設けることなく、したがって装置の小型化、使用材料の薄型化を図ることができる。
【0021】
また、本願第1発明と第2発明においてはサンプルホルダーはサンプルホルダー装着部の上端部より装着されるために測定作業を簡易に行うことができる。
【0022】
このうち、本願第1発明においてはガス加熱ラインで加熱された混合ガスを土壌試料に直接接触させずに土壌試料中の炭化水素を気化させるため、中質油より低沸点の炭化水素については短時間に完全な気化を行うことができる等の利点ある。
【0023】
また、本願第1発明においてはサンプルホルダー側部における混合ガスの導入口と気化成分を含む混合ガスの排出口の高さを変えたり、或いは導入路の径よりも排出路の径を小さくすることによりサンプルホルダー内で混合ガスが程よく乱気流を起こすようにすれば土壌試料中の油分を効率よく気化させることができる等の利点もある。
【0024】
なお、本願第1発明はサンプルホルダーとサンプルホルダー装着部の側部にそれぞれ形成された導入路と排出路より混合ガスの導入と気化成分を含む混合ガスを排出する構造であるため、サンプルホルダーと気密栓の間に気密リングを設け、気密栓を土壌試料の充填口に設ける際に、サンプルホルダーと気密栓との間を気密に保つことが好ましい。
【0025】
更に、サンプルホルダーとサンプルホルダー装着部との間に気密リングを設け、サンプルホルダーとサンプルホルダーの装着部壁面との気密性を保つことが好ましい。
【0026】
なお、気密リングはサンプルホルダー外周に嵌合溝を形成し、該嵌合溝には嵌合するようにすれば、サンプルホルダーを小型化して気密性を保持できる。
【0027】
一方、本願第1発明においてはガス加熱ラインで加熱された混合ガスを土壌試料に直接接触させずに土壌試料中の炭化水素を気化させるため、中質油より低沸点の炭化水素については短時間に完全な気化を行うことができるが、重質油等の炭化水素については気化効率が低下し、9割程度しか気化しないという実験結果を得ている。
【0028】
そこで、本願第2発明は第1発明の改良として、土壌試料中に含まれる軽質留分から中重質留分まで幅広い炭化水素成分の短時間における完全気化を実現できるような気化装置を提供するものである。
【0029】
則ち、本願第2発明においてはサンプル室に充填された土壌試料には、加熱ラインを通って混合ガス導入路より送り込まれた混合ガスが直接接触して土壌試料中に含まれる軽質留分から中重質留分まで幅広い炭化水素成分を短時間の中に完全に気化させることができるようにしてある。
【0030】
なお、本願第2発明ではサンプル室に充填された土壌試料には、加熱ラインを通って混合ガス導入路より送り込まれた混合ガスが直接接触する構造を採用するため、サンプル室の底部に設けられた混合ガスの導入路とサンプル室の間にフィルターを設け、更にサンプル室上部にもフィルターを設けることにより、混合ガスの吹き上げ流によっても土壌試料が固定されることが好ましい。
【0031】
また、本願第2発明ではサンプルホルダーとサンプルホルダー装着部の排出口より下部の内周壁面との間に気密リングを設け、サンプルホルダーとサンプルホルダー装着部の排出口より下部の内周壁面との気密性を保つ、これによりサンプルホルダー装着部に設けられた導入口から送られる混合ガスをサンプル室のみに導入してサンプル室内に充填された土壌試料とは確実に直接接触させ、土壌試料内の炭化水素を効率的に気化させることが好ましい。
【0032】
更に、本願第2発明ではサンプルの充填口と気密栓との間、サンプルホルダーとサンプルホルダー装着部上部内周壁面との間にそれぞれ気密リングを設け、これにより土壌試料から排出される気化成分は排出路を通ってのみ排出させることが好ましい。
【0033】
なお、サンプルホルダーとサンプルホルダー装着部の上部と下部に設けられる気密リングはサンプルホルダーの上部と下部の外周に嵌合溝を形成し、これに嵌合するようにすれば、サンプルホルダーを小型化して気密性を保持できる。
【0034】
これまで土壌中に含まれる、主に石油系炭化水素成分の測定について説明したが、本願発明は石油系炭化水素の測定に限らず、これと同類の土壌中に含まれる炭化水素成分、例えばバイオエタノール、バイオブタノール、植物油のエステル化油、植物油水素化処理油、BTL(Biomass To Liquids)などのバイオマス燃料、石油系炭化水素とバイオマス燃料の混合物など、土地の使用履歴から汚染物質が推定できる場合、汚染物質の分子式、あるいは代表的な汚染物質の分子式を推測できるため、測定に適用できることは勿論である。
【0035】
例えば、石油系炭化水素が完全燃焼する場合には、下記反応式(1)が適用でき、二酸化炭素の発生量により炭化水素成分の量を算出できる。例えば汚染油種が軽油、A重油などの中質油の場合は、m=1、n=1.8として式1を使えば炭化水素成分の量を算出できる。
【0036】
+ (m+n/4)O →mCO +n/2HO・・・・・(1)
【0037】
例えば、酸素を含んでいるバイオマス燃料の場合は、下記反応式(2)を同時に使用できる。履歴調査などにより主な汚染油種を推測し、これにm、n、kの値を特定し、式(2)を使用すれば炭化水素成分の量を算出できる。
【0038】
+ (m+n/4 − k/2)O →nCO +m/2HO・・・・・・(2)
【発明の効果】
【0039】
以上要するに、本願発明は炭化水素成分を含む土壌試料を気化装置のサンプル室内に充填し加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、上記サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化された該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法に使用する気化装置において、加熱炉と、サンプルホルダーと、上記加熱炉内に装着されるサンプルホルダー装着部とからなり、該サンプルホルダー装着部には上端にサンプルホルダーの装着のための開口部を設けることにより、充填された試料中の炭化水素の気化促進に必要な装置の小型化と使用材料の薄型化を図ることができ、同時に測定作業の簡易化を図ることができる。
【0040】
また、本願第1発明においてはガス加熱ラインで加熱された混合ガスを土壌試料に直接接触させずに土壌試料中の炭化水素を気化させるため、中質油より低沸点の炭化水素については短時間に完全な気化を行うことができる。
【0041】
本願第2発明においてはサンプル室に充填された土壌試料には、加熱ラインを通って混合ガス導入路より送り込まれた混合ガスが直接接触して中質油より低沸点の炭化水素に限らず、土壌試料中に含まる軽質留分から中重質留分まで幅広い炭化水素成分を短時間の中に完全に気化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願第1発明に係る気化装置の分解状態を示す図
【図2】同上の気化装置を組み込んで構成される土壌中の炭化水素成分の含有量測定装置の説明図
【図3】軽油添加量換算TPH(mg/kg)と本願第1発明に係る気化装置を用いた完全燃焼式によるTPH濃度(mg/kg)との関係を示す図
【図4】本願第2発明に係る気化装置の説明図
【図5】本願第2発明に係わる気化装置を用い発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法装置の説明図
【図6】本願第2発明に係わる気化装置に用いるサンプルホルダーの他の実施例を示す図
【図7】清浄土に軽油を添加して調製した模擬汚染土壌を使用して行われた本願第1発明による気化装置(図1)と本願第2発明による気化装置(図4)による気化性能比較実験結果を示す図
【図8】C重油含有実土壌を使用して行われた本願第1発明による気化装置(図1)と本願第2発明による気化装置(図4)による気化性能比較実験結果を示す図
【図9】清浄土に潤滑油を添加して調製された模擬汚染土壌を使用して行われた本願第1発明による気化装置(図1)と本願第2発明による気化装置(図4)による気化性能比較実験結果を示す図
【図10】特開2008-281412に係る気化装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0043】
加熱炉と、サンプルホルダーと、上記加熱炉内に装着されるサンプルホルダー装着部とからなり、該サンプルホルダー装着部には上端に上記サンプルホルダーを装着するための開口部と、下端に酸素と窒素の混合ガスの導入路を設け、その側部には上記気化成分を排出する排出路を設け、上記サンプルホルダーには、その上端には土壌試料の充填口を設け、その内部にはサンプル室を設け、サンプル室の底部にはサンプルホルダー装着部に設けられた混合ガスの導入路に連通する混合ガスの導入路を設け、更にサンプル室の上部に当たるサンプルホルダーの側部にはサンプルホルダー装着部に設けられた気化成分の排出路に連通する排出口を設け、上記サンプルの充填口には気密栓を設けた気化装置
【実施例1】
【0044】
以下、本願第1発明を図示の実施例に基づいて説明すると、図1はこの発明に係る気化装置で、気化装置1は加熱炉2とサンプルホルダー3と、加熱炉2の内部にあるサンプルホルダー3のサンプルホルダー装着部4が設けられ、サンプルホルダー装着部4の上端には開口部5が設けられる。
【0045】
一方、サンプルホルダー3にはその底部にサンプル室6が設けられ、その上端部には土壌試料の充填口7が設けられ、土壌試料の充填口7は気密栓8で気密に保持できるようにしてある。
【0046】
また、サンプルホルダー3とサンプルホルダー装着部4の側部にはサンプル室6の上方にそれぞれ混合ガスの導入路9、導入口9aと反応管に連通する気化成分を含む混合ガスの排出路10、排出口10aが形成される。
【0047】
なお、サンプルホルダー3の側部における混合ガスの導入口9a及びそれに連通するサンプルホルダー装着部4における混合ガス導入路9と気化成分を含む混合ガスの排出口10a及びそれに連通するサンプルホルダー装着部4における気化成分を含む混合ガス排出路10の高さを変え、更にサンプルホルダー装着部4の側部における混合ガス導入口9a及びそれに連通するサンプルホルダー装着部4における混合ガス導入路9の径よりも気化成分を含む混合ガスの排出口10a及びそれに連通するサンプルホルダー装着部4における気化成分を含む混合ガス排出路10の径を小さくすることによりサンプルホルダー内で混合ガスが程よく乱流を起こすようにしてある。
【0048】
また、サンプルホルダー3はサンプルホルダー装着部4の開口部5よりサンプルホルダー装着部4内に装着されるが、サンプルホルダー3の上部外周に気密リング11が設けられ、サンプルホルダー3とサンプルホルダー装着部4壁面との気密性を保つようにしてある。
【0049】
土壌試料は土壌試料の充填口7よりサンプル室6に充填され、充填後サンプルホルダー3の外周に形成された螺子溝12に気密栓8を螺着させて土壌試料の充填口7を施栓するが、上端外周に気密リング13が設けられ、サンプルホルダー3と気密栓8壁面との気密性を保つようにしてある。
【0050】
以上のような、気化装置1は混合ガスの導入路9をガスライン14に接続し、更に気化成分を含む混合ガスの排出路10を、燃焼触媒を充填した反応管15に接続することにより土壌中の炭化水素成分の含有量測定装置に組み込むことができる。(図2)
【0051】
この測定装置を用いて土壌中の炭化水素成分の含有量を測定するに際しては加熱炉2の内部に設けられたサンプルホルダー装着部4とサンプルホルダー3を切り離して加熱炉2は所定温度150℃〜350℃程度、好ましくは、250℃〜350℃程度、より好ましくは、280℃〜320℃程度に加熱し、サンプルホルダー3のサンプル室6には所定量の土壌試料を充填する。
【0052】
次に、加熱炉2の内部に設けられたサンプルホルダー装着部4内にサンプルホルダー3を装着すると、サンプル室6内に装着された土壌試料中に含まれる炭化水素成分は直ちに気化される。
【0053】
これと同時に、ガスライン14より混合ガスを加熱炉2内に設けられたサンプルホルダー装着部4の中へ導入すると、上述の気化成分は混合ガスに伴われてサンプル室6から排出される。
【0054】
サンプル室6から排出された気化成分を含む混合ガスは排出路10を通って例えばPt0.3wt%-アルミナ担持触媒で構成される燃焼触媒を充填した反応管15に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定するものである。
【0055】
次に、この発明に係る気化装置を用いた気化実験例を示す。
気化実験例1
清浄土壌に軽油を添加して模擬汚染土壌を調製した。この土壌を本願第1発明に係る気化装置を用いて完全燃焼式による石油系炭化水素測定を行い、模擬汚染土壌との石油系炭化水素濃度の相関から本願気化装置の性能を評価した。二酸化炭素からの換算には下記反応式(1)を用い、この場合m=1、n=1.8とした。この実施例において二酸化炭素測定は、ガステック社製二酸化炭素用検知管を用いて測定した。
【0056】
+(m+n/4)O→mCO+n/2HO・・・・・(1)
【0057】
結果、軽油の添加量から計算した石油系炭化水素濃度(TPH濃度)と完全燃焼式による石油系炭化水素濃度がほぼ一致して高い相関が得られた(図3参照)。
【0058】
このことから、土壌試料中の炭化水素は本願に係る気化装置を用いることにより完全に気化され、更に完全に燃焼したものと考えられる。したがって、土壌中の炭化水素の完全気化が本願に係る気化装置により可能であることが証明された。
【実施例2】
【0059】
以下、本願第2発明を図4の実施例に基づいて詳細に説明すると、1はこの発明に係る気化装置で、気化装置1は加熱炉2とサンプルホルダー3と、加熱炉2の内部にあるサンプルホルダー3のサンプルホルダー装着部4が設けられる。
【0060】
サンプルホルダー装着部4の上端にはサンプルホルダー3を装着するための開口部5が設けられ、下端には酸素と窒素の混合ガスの導入路9が設けられ、その側部には上記気化成分を排出する排出路10が設けられる。
【0061】
サンプルホルダー3には、その上端には土壌試料の充填口7を設け、その内部にはサンプル室6を設け、サンプル室6の底部にはサンプルホルダー装着部4に設けられた混合ガスの導入路9に連通する混合ガスの導入口9aが設けられ、更にサンプル室6の上部にあたるサンプルホルダー3の側部にはサンプルホルダー装着部4に設けられた気化成分の排出路10に連通する排出口10aが設けられる。
【0062】
一方、土壌試料の充填口7には気密栓8が設けられ、更に土壌サンプルは充填口7より挿入してサンプル室6に充填されるが、サンプル室6の底部に設けられた混合ガスの導入口9aとサンプル室6の間にフィルター16aが設けられ、サンプル室6の上部にはフィルター16bが設けられ、土壌試料が固定されるようにしてある。
【0063】
また、サンプルホルダー3は開口部5よりサンプルホルダー装着部4内に装着されるが、サンプルホルダー3の排出口10aより下部の外周には気密リング17が設けられ、サンプルホルダー3とサンプルホルダー装着部4の排出口より下部の内周壁面との気密性を保つようにしてある。
【0064】
これにより、導入路9から送られる混合ガスは導入口9aからのみサンプル室6に導入されるため、サンプル室6内に充填された土壌試料とは確実に直接接触させられるので、土壌試料内の炭化水素を効率的に気化させることができる。
【0065】
一方、サンプルホルダー3の充填口外周に気密リング13が設けられ、気密栓8を施栓する際の充填口7の気密性を保つ、且つサンプルホルダー3の上部外周には気密リング11が設けられ、サンプルホルダー3を装着部4に装着する際のサンプルホルダー3とサンプルホルダー装着部4上部内周壁面との気密性を保つようにしてあり、このため土壌試料から排出される気化成分は排出路10、10aからのみ反応管に送られる。
【0066】
なお、サンプルホルダー3は図6に示すように、サンプルホルダー3の上部外周と下部外周に嵌合溝18と19を形成し、これに気密リング11と17を嵌め込むようにすれば、サンプルホルダー3を小型化して気密性を保つことができる。
【0067】
以上のような、気化装置1は混合ガスの導入路9をガスライン14に接続し、更に気化成分を含む混合ガスの排出路10を、燃焼触媒を充填した反応管15に接続することにより土壌中の炭化水素成分の含有量測定装置に組み込むことができる。
【0068】
この測定装置を用いて土壌中の炭化水素成分の含有量を測定するに際しては加熱炉2の内部に設けられたサンプルホルダー装着部4とサンプルホルダー3を切り離して加熱炉2は所定温度150℃〜350℃程度、好ましくは250℃〜350℃程度、より好ましくは280℃〜320℃程度に加熱し、サンプルホルダー3のサンプル室6には所定量の土壌試料を充填する。
【0069】
次に、加熱炉2の内部に設けられたサンプルホルダー装着部4内にサンプルホルダー3を装着し、これと同時にガス加熱ライン14と混合ガス導入路9、9aより混合ガスを導入すると、混合ガスは、サンプル室6に充填された土壌試料と直接接触するので、土壌試料中に含まれる重質油等の炭化水素成分が直ちに気化される。
【0070】
サンプル室6から排出された気化成分を含む混合ガスは排出路10、10aを通って例えばPt 0.3wt%-アルミナ担持触媒で構成される燃焼触媒を充填した反応管15に送り込んで燃焼させ、これより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定するものである。
【0071】
気化器性能比較実験例1
清浄土に軽油を添加して模擬汚染土壌を調製した。前記記載の土壌を約1gを、本願第1発明による気化装置(図1)を用いた油分測定装置と、本願第2発明による気化装置(図4)を用いた土壌中油分の完全燃焼式による油分測定装置を使用して、土壌中の炭化水素成分の含有量(TPH測定濃度)測定を行い、それらの値を、平成15年3月財団法人石油産業活性化センター発行 石油汚染土壌の浄化に関する技術開発報告書記載の二硫化炭素抽出−GC法と比較し、それぞれの気化器の性能を評価した結果を図7に示す。
【0072】
図7の結果は、本願第1発明による気化装置(図1)と本願第2発明による気化装置(図4)を用いた土壌中油分の完全燃焼式による油分測定装置を使用してTPH濃度測定で得られた値を前記記載の二硫化炭素抽出−GC法の測定によって得られた値で割ったものであり、前記記載の土壌中の油分を完全燃焼させ、発生した二酸化炭素量から油分測定する方法において、(1)は本願第1発明による気化装置(図1)を使用したもの、(2)は本願第2発明による気化装置(図4)を使用したものを示し、図の値が1.0に近いほど測定精度が高いことになる。
【0073】
この結果、軽油模擬汚染土壌では、本願第1発明による気化装置(図1)を用いた場合、本願第2発明による気化装置(図4)を用いた場合、前記記載の二硫化炭素抽出−GC法の測定を比較し、何れも1.0程度となっている。これは、中質油までは前記記載の土壌中の油分を完全燃焼させ、発生した二酸化炭素量から油分測定する方法において、気化器の性能に差が無く、何れも真値に近い測定が可能であることが分かる。
【0074】
気化器性能比較実験例2
C重油含有実土壌約1g供した土壌試料を、本願第1発明による気化装置(図1)を用いた油分測定装置と、本願第2発明による気化装置(図4)を用いた土壌中油分の完全燃焼式による油分測定装置を使用して、土壌中の炭化水素成分の含有量(TPH測定濃度)測定を行い、それらの値を、平成15年3月財団法人石油産業活性化センター発行 石油汚染土壌の浄化に関する技術開発報告書記載の二硫化炭素抽出−GC法と比較し、それぞれの気化器の性能を評価した結果を図8に示す。
【0075】
図8の結果は、前記気化器性能比較実験例1と同様な値であり、記載の土壌中の油分を完全燃焼させ、発生した二酸化炭素量から油分測定する方法において、本願第1発明による気化装置(図1)と本願第2発明による気化装置(図4)を用いた土壌中油分の完全燃焼式による油分測定装置を使用してTPH濃度測定で得られた値を、前記記載の二硫化炭素抽出−GC法の測定によって得られた値で割ったものであり、(1)は前記記載の土壌中の油分を完全燃焼させ、発生した二酸化炭素量から油分測定する方法において、本願第1発明による気化装置(図1)を使用したもの、(2)は本願第2発明による気化装置(図4)を使用したものを示すものである。
【0076】
なお、前記記載の二硫化炭素抽出−GC法は、n−C44成分までを測定対象とし、n−C44成分以上を含む高沸点の炭化水素は、実際の添加量より少ない値として測定される。
【0077】
図8より明らかなように、本願第1発明による気化装置を用いた場合0.80程度であったが、本願第2発明による気化装置を用いた場合1.4程度なっている。
【0078】
このことからC重油のようにn−C44成分以上を含む高沸点の炭化水素では、本願第1発明による気化装置では、気化が完全に起らず、結果的に得られたTPH濃度は、前記記載の二硫化炭素抽出−GC法よりも低い値となった。それとは逆に本願第2発明による気化装置を用いた場合、n−C44成分以上の高沸点の炭化水素を気化させることが可能であり、結果的に前記記載の二硫化炭素抽出−GC法では得られないn−C44相当留分以上の留分もあわせた値が得られ、前記記載の二硫化炭素抽出−GC法より高い値が得られた。
【0079】
したがって、本願第2発明を用いることにより、高沸点の炭化水素も高い気化効率が得られることが証明され、また土壌中の油分を完全燃焼させ、発生した二酸化炭素量から油分測定する方法は前記硫化炭素抽出−GC法では、測定することの出来ない高沸点の炭化水素まで測定することが可能となることが分かった。
【0080】
気化器性能比較実験例3
清浄土に潤滑油を添加して模擬汚染土壌を調製した土壌を約1gを、本願第1発明による気化装置(図1)を用いた土壌中油分の完全燃焼式による油分測定装置と、本願第2発明による気化装置(図4)を用いた土壌中油分の完全燃焼式による油分測定装置を使用して、土壌中の炭化水素成分の含有量(TPH測定濃度)測定を行い、それらの値を、平成15年3月財団法人石油産業活性化センター発行 石油汚染土壌の浄化に関する技術開発報告書記載の二硫化炭素抽出−GC法と比較し、それぞれの気化器の性能を評価した結果を図9に示す。
【0081】
図9の結果は、前記気化器性能比較実験例1と同様な値であり、(1)は前記記載の土壌中の油分を完全燃焼させ、発生した二酸化炭素量から油分測定する方法において、本願第1発明による気化装置(図1)使用したもの、(2)は本願第2発明による気化装置(図4)したものを示し、図の値が1.0に近いほど測定精度が高いことになる。
【0082】
図9に示したように、この結果、潤滑油模擬汚染土壌では、本願第1発明による気化装置(図1)を用いた場合、本願第2発明による気化装置(図4)を用いた場合、前記記載の二硫化炭素抽出−GC法の測定とを比較し、何れも1.0程度となっていることから、中質油までは前記記載の土壌中の油分を完全燃焼させ、発生した二酸化炭素量から油分測定する方法において、気化器の性能に差が無く、何れも真値に近い測定が可能であることが分かる。則ち、潤滑油については本願第1、第2発明による気化装置何れを用いても高い気化効率が得られることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上要するに、本発明によれば炭化水素成分を含む土壌試料を気化装置のサンプル室内に充填し加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、上記サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化された該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法に使用する気化装置であって、該気化装置は加熱炉と、サンプルホルダーと、上記加熱炉内に装着されるサンプルホルダー装着部とからなり、該サンプルホルダー装着部には上端に上記サンプルホルダーを装着するための開口部と、下端に酸素と窒素の混合ガスの導入路を設け、その側部には上記気化成分を排出する排出路を設け、上記サンプルホルダーには、その上端には土壌試料の充填口を設け、その内部にはサンプル室を設け、サンプル室の底部にはサンプルホルダー装着部に設けられた混合ガスの導入路に連通する混合ガスの導入路を設け、更にサンプル室の上部に当たるサンプルホルダーの側部にはサンプルホルダー装着部に設けられた気化成分の排出路に連通する排出口を設け、上記土壌試料の充填口には気密栓を設けることにより、装置の小型化や使用材料の薄型化、且つ簡易な測定作業を可能にするとともに、土壌試料中に含まれる軽質留分から中重質留分まで幅広い炭化水素成分の短時間における完全気化を実現できる。
【符号の説明】
【0084】
1は気化装置
2は加熱炉
3はサンプルホルダー
4はサンプルホルダー装着部
5は開口部
6はサンプル室
7は充填口
8は気密栓
9は混合ガスの導入路
9aは混合ガスの導入口
10は気化成分を含む混合ガスの排出路
10aは気化成分を含む混合ガスの排出口
11,13,17は気密リング
12は螺子溝
14はガスライン
15は反応管
16a,16bはフィルター
18,19は嵌合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素成分を含む土壌試料を気化装置のサンプル室内に充填し加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、上記サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化させた該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法に使用する気化装置であって、該気化装置は加熱炉と、サンプルホルダーと、上記加熱炉内に装着されるサンプルホルダー装着部とからなり、
該サンプルホルダー装着部には上端に上記サンプルホルダーを装着するための開口部を有し、一方サンプルホルダーの底部にはサンプル室を設け、サンプルホルダーの上端部には土壌試料の充填口を設け、該充填口には気密栓を設け、更にサンプルホルダーとサンプルホルダー装着部の側部には上記サンプル室の上方にそれぞれ混合ガスの導入路と反応管に連通する気化成分を含む混合ガスの排出路を形成したことを特徴とする気化装置。
【請求項2】
サンプルホルダー側部における混合ガスの導入口と気化成分を含む混合ガスの排出口の高さを変えることによりサンプルホルダー内で混合ガスの乱気流を起こすようにした請求項1記載の気化装置。
【請求項3】
導入路の径よりも排出路の径を小さくすることによりサンプルホルダー内で混合ガスの乱気流を起こすようにした請求項1記載の気化装置。
【請求項4】
サンプルホルダーと気密栓の間に気密リングを設けた請求項1記載の気化装置。
【請求項5】
サンプルホルダーとサンプルホルダー装着部との間に気密リングを設けた請求項1記載の気化装置。
【請求項6】
サンプルホルダー外周に嵌合溝を形成し、該嵌合溝には気密リングを嵌合する請求項5記載の気化装置。
【請求項7】
炭化水素成分を含む土壌試料を気化装置のサンプル室内に充填し加熱処理して土壌中に含有される該成分を気化させると共に、上記サンプル室に酸素と窒素の混合ガスを導入し気化させた該成分を反応管に送り込んで燃焼させ、これにより発生した二酸化炭素量を測定し、該二酸化炭素量より土壌中に含まれる該成分の含有量を測定する方法に使用する気化装置であって、該気化装置は加熱炉と、サンプルホルダーと、上記加熱炉内に装着されるサンプルホルダー装着部とからなり、
該サンプルホルダー装着部には上端に上記サンプルホルダーを装着するための開口部と、下端に酸素と窒素の混合ガスの導入路を設け、その側部には上記気化成分を排出する排出路を設け、
上記サンプルホルダーには、その上端には土壌サンプルの充填口を設け、その内部にはサンプル室を設け、サンプル室の底部にはサンプルホルダー装着部に設けられた混合ガスの導入路に連通する混合ガスの導入路を設け、更にサンプル室の上部にあたるサンプルホルダーの側部にはサンプルホルダー装着部に設けられた気化成分の排出路に連通する排出口を設け、
上記サンプルの充填口には気密栓を設けたことを特徴とする気化装置。
【請求項8】
サンプル室の底部に設けられた混合ガスの導入路とサンプル室の間に土壌サンプルを固定するためのフィルターを設けた請求項7記載の気化装置。
【請求項9】
サンプル室の底部に設けられた混合ガスの導入路とサンプル室の間に土壌サンプルを固定するためのフィルターを設けるとともに、サンプル室上部には土壌サンプルを固定するためのフィルターを設けた請求項7記載の気化装置。
【請求項10】
サンプルの充填口と気密栓との間、サンプルホルダーとサンプルホルダー装着部上部の排出口より上部内壁面との間、サンプルホルダーとサンプルホルダー装着部下部の排出口より下部で、混合ガス導入路より上部内周壁面との間にそれぞれ気密リングを設けた請求項7記載の気化装置。
【請求項11】
サンプルホルダー上部外周と下部外周に嵌合溝を形成し、該嵌合溝には気密リングを嵌合する請求項10記載の気化装置。
【請求項12】
土壌試料中に含まれる炭化水素成分が石油系炭化水素である請求項1又は7記載の気化装置。
【請求項13】
土壌試料中に含まれる炭化水素成分がバイオマス燃料である請求項1又は7記載の気化装置。
【請求項14】
土壌試料中に含まれる炭化水素成分が石油系炭化水素とバイオマス燃料の混合である請求項1又は7記載の気化装置。
【請求項15】
バイオマス燃料がバイオエタノール、バイオブタノール、植物油のエステル化油、植物油水素化処理油、BTLである請求項13又は14記載の気化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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