土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法及びそれを用いた測定装置

【課題】土壌に含まれる腐植について、その量及び質を簡易的に測定する方法及びそれを測定するための装置を提供する。
【解決手段】土壌から抽出された腐植の溶液を波長400nm以上600nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光および600nm以上800nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光のそれぞれの透過量と、前記光を照射しつつ更にこの液に励起光を照射しながら得られる前記波長における光の検出量を測定しこれをもとに腐植の量と質を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌中に含まれる養分元素の測定方法に関するものであり、腐植の量及び質を測定し、これを利用した測定方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業人口の減少や野菜の輸入量の増加から、日本における食料自給率は低い状態にある。自給率の増加は緊喫な課題であるため、農業人口が減少しても十分な収穫が見込める効率的な営農が必要である。
【0003】
効率的な営農のためには、野菜が育つために必要な養分元素を含む、土壌の管理が重要であり、一部では土壌中の微量元素の測定を行う専門業者も存在している。
【0004】
土壌中の成分として、鉄、マンガン、マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、窒素など16種類の元素が植物の育成に必要と言われている。また、近年の有機的農業においては、植物や動物の死骸から微生物の働きにより発生する腐植と呼ばれる物質が土壌中に多く存在することが知られている(特許文献1)。
【0005】
この腐植は、フルボ酸やフミン酸からなり、ベンゼンなどの芳香族有機化合物を基本骨格にもつために紫外から可視域の光を吸収することが知られており、また、分子内で電荷の偏りを持つため、水溶液に抽出される。前記土壌中の成分元素を水溶液を用い土壌から抽出し、これを吸光度測定法により測定する際には、腐植も一緒に前記抽出液に抽出される。この際、腐植による光吸収と成分元素による光吸収の吸収される光の波長が重なるため、前記成分元素の測定結果は腐植を含んだものとなり、成分濃度の測定精度が低下するため、適正な施肥が行えないなど問題となっていた。
【0006】
腐植の量や質の推定法として、土壌を抽出液に入れ、撹拌により抽出後、得られた溶液の400nmおよび600nmにおける吸光度を測定することにより腐植の量及び質をそれぞれ推定する方法が知られている(非特許文献2)が、複雑な分析法であることから、分析機関などで測定するにとどまっており、営農者が自分で分析することはほとんどないのが現状である。したがって、腐植が液に抽出される場合には、成分濃度を正確に測定することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−159077
【非特許文献1】実験農芸化学上 第3版 1978年 東京大学農学部編
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、土壌中に含まれる養分元素の測定方法及び測定装置に関するものであり、営農する際に必要とされる土壌中の有効成分の迅速且つ簡易的、さらに精度の高い測定方法及び測定装置を提供し、効率的な営農、過剰施肥の抑制、さらには農業が原因となる環境汚染などを抑制することを課題としている。
【0009】
さらに本発明は、土壌中に含まれる硝酸態窒素、鉄、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム、マンガンなど植物の育成に重要な役割を果たす養分元素の、吸光度を利用した分析結果の精度を下げる原因となる腐植の迅速且つ簡易的な分析方法及び測定装置を提供し、前記植物の育成に重要な役割を果たす養分元素の分析精度を向上させることを課題としている。
【0010】
さらにまた本発明は、室内で野菜生産を行う植物工場などで利用される土壌、水耕栽培用の培養水にも利用でき、これらの野菜生産現場における植物の育成に重要な役割を果たす養分元素の分析精度を向上することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題の少なくとも一つを解決するものとして、以下のことを特徴としている。
【0012】
第1:土壌に含まれる養分元素の測定方法であって、所定量の土壌を抽出液に入れ、土壌に含まれる有機成分である腐植を抽出した液の波長300 nm以上590 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光および波長601 nm以上900 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光の光路長が5 mm以上10 mm以下から選択される少なくとも1つの光路長でのそれぞれの光透過量と、それぞれの領域から選択された波長での光透過量の比から腐植の量を測定し、前記腐植を含んだ抽出液に特定の養分元素に反応する発色液を加え発色させ、発色量から有効成分(養分元素)の抽出された量を測定すると共に、この測定結果から前記腐植による光透過量の変化分を差し引きすることにより前記養分元素量を算出することを特徴とする土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【0013】
第2:前記抽出液がpH3.0以上pH6.9以下もしくは、pH6.9より大きくpH12.0以下であることを特徴とする前記第1項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【0014】
第3:前記抽出液が、水溶液もしくはアルコール溶液であることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【0015】
第4:前記波長300nm以上590nm以下の波長が515nm以上540nm以下であることを特徴とする前記第1項から第3項のいずれか一項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【0016】
第5:前記波長601nm以上900nm以下から選択される波長が615nm以上650nm以下であることを特徴とする前記第1項から第4項のいずれか一項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【0017】
第6:前記土壌中の養分元素が、鉄、マンガン、カリウム、カルシウム、硝酸態窒素、リン、マグネシウムを含むことを特徴とする前記第1項から第4項のいずれか一項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【0018】
第7:水耕栽培に利用される培養液の波長300 nm以上590 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光および波長601 nm以上900 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光の光路長が5 mm以上10 mm以下から選択される少なくとも1つの光路長でのそれぞれの光透過量と、それぞれの領域から選択された波長での光透過量の比から腐植の量を測定し、前記腐植を含んだ抽出液に特定の養分元素に反応する発色液を加え発色させ、発色量から有効成分(養分元素)の抽出された量を測定すると共に、この測定結果から前記腐植による光透過量の変化分を差し引きすることにより前記養分元素量を算出することを特徴とする水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定方法。
【0019】
第8:波長300 nm以上590 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光および601 nm以上900 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光とを発生する光源と、
前記光源から発生する光を液体を導入可能な光学セルに照射する光照射手段と、
前記光学セルを透過した光の量をそれぞれの波長において計測する光計測手段と、
光計測手段により計測された情報を伝達する情報伝達手段と、
前記情報伝達手段から伝達された情報をそれぞれの波長について演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された結果を表示する表示手段とを持つ土壌中および水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定装置。
【0020】
第9:前記光源がLED(light emitting diode)であることを特徴とする前記第8項に記載の土壌中および水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定装置。
【0021】
第10:前記光照射手段が前記光源から発生する光の波長において、少なくとも50%以上の透過率を有する樹脂製の光導波路を備えることを特徴とする前記第8項又は第9項に記載の土壌中および水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定装置。
【0022】
第11:土壌中および水耕栽培に利用される培養液中に含まれる硝酸態窒素、鉄、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム、マンガンなど養分元素の吸光度を利用した定量分析結果に対し腐植の吸光度の測定結果を利用し、前記養分元素の分析精度を向上する、養分元素の測定方法及び測定装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、専門の分析機関などに頼らず、土壌中に存在する過渡的な物質である腐植の量や質を営農者がその場で測定することが可能であり、土壌の養分元素の含有量を精度良く推定できると共に、土壌の状態を客観的に把握でき、施肥の計画を立てる参考にすることが可能である。
【0024】
また本発明によれば、施肥の前後で土壌の状態を客観的に観測することが可能なため、肥料の過剰投入の抑制、効率的な施肥、予定生産物に適した土壌の形成などを営農者が直接行うことが出来る。
【0025】
更に本発明によれば、植物の育成に必要な養分元素の定量分析の分析精度を向上することができるため、より効率的な営農が可能となる。また、屋内で野菜を育成する野菜工場などでの利用も可能であり、さらに水耕栽培などに用いられる培養液に含まれる養分元素の測定も可能である。
【0026】
更に本発明によれば、光回折格子や光学フィルターなどを使用しないで、測定に必要な波長のみをLEDにより照射できるため、分析の軽量、小型化、分析や分析器製造に係わる低コスト化が望める。また、測定される試料に該試料の光による分解を起こしやすくなる波長の光を照射せずにすむため、キセノンランプなどの光源を利用する場合に比べ、高い測定精度を保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の分析装置の概念図である。
【図2】土壌から抽出された腐植の紫外可視吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の詳細を開示するが、本発明の技術内容をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
(抽出液)
土壌からの腐植の抽出には、pH3.0以上pH12.0の水溶液から選ばれる。
【0029】
当該溶液のpHは、フルボ酸を測定する際にはpH4.0以上pH6.9以下が好ましく、pH4.2以上pH6.0以下がより好ましく、pH4.4以上pH5.2以下が最も好ましい。当該溶液のpHが前記範囲を下回ると酸濃度が高くなるので、取り扱いが困難になる。また、当該溶液のpHが前記範囲を上回ると、フミン酸などが抽出されてしまうため、フルボ酸の測定値が大きくばらつく傾向が見られるようになる。
【0030】
当該溶液のpHは、フミン酸を測定する際にはpH6.9より大きくpH12.0以下が好ましく、pH8.0以上pH10.0以下がより好ましく、pH8.0以上pH9.8以下が最も好ましい。当該溶液のpHが前記範囲を下回ると酸濃度が高くなり、フルボ酸が抽出されてしまうため、フミン酸の測定値が大きくばらつく傾向が見られるようになる。当該溶液のpHが前記範囲を上回るとアルカリ濃度が高くなり、溶液の取り扱いが困難になる傾向が見られるようになる。
【0031】
当該溶液に用いられる溶媒としては、水、エタノール、水-エタノールの混合液を挙げることが出来る。中でも水が好ましい。
【0032】
当該溶液に用いられる溶質の具体例としては、フルボ酸を抽出する際には、酢酸ナトリウム水溶液を挙げることが出来る。中でも塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液が好ましい。
【0033】
当該溶液に用いられる溶質の具体例としては、フミン酸を抽出する際には、アルカリ溶液をあげることが出来る。中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
【0034】
土壌から腐植を抽出する前記溶媒の温度は、20℃以上40℃以下が好ましく、20℃以上35℃以下がより好ましい。当該溶媒の温度が前記範囲を下回ると養分元素や腐植の抽出に時間がかかる傾向が見られるようになる。また、当該溶媒の温度が前記範囲を上回ると、溶媒の蒸発が見られるため、測定値がばらつく傾向が見られるようになる。
【0035】
土壌から腐植を抽出するのに要する撹拌時間は、3分以上が望ましく、5分以上が更に好ましく、7分以上が最も好ましい。抽出に要する撹拌時間の上限は特に限定されないが、用途を考えた場合の実質的な上限は、20分程度と考えられる。
【0036】
(透過光波長)
透過光の波長は、短波長側が300nm以上590nm以下から少なくとも1つ以上の波長が選択され、更に長波長側として601nm以上900nm以下から少なくとも1つ以上の波長の光が選択される。
【0037】
前記短波長側の波長としては、300nm以上590nm未満が好ましく、450nm以上550nm未満がより好ましく、515nm以上540nm未満が最も好ましい。当該短波長側の波長が前記範囲を外れると、腐植から観測される発光波長から外れてしまう傾向が見られるようになる。また、後述するように、波長460nm以上540nm未満の光を腐植の質を推測する際に利用することができる。
【0038】
前記長波長側の波長としては、601nm以上900nm以下が好ましく、605nm以上700nm未満がより好ましく、615nm以上650nm以下が最も好ましい。当該長波長側の波長が前記範囲を外れると、腐植から観測される発光波長と重なってしまうことにより、測定波長における吸光度が小さくなる傾向が見られる。また、後述するように、波長620nm以上650nm未満の光を腐植の質を推測する際に利用することができる。
【0039】
(測定波長および光量)
腐植を含んだ溶液の測定波長は前記透過光波長と同一であることが望ましい。さらに、前記測定波長における透過光の光量を測定できることが望ましい。
【0040】
(光導波路)
光導波路の材質は、光導波路の光路長において少なくとも前記波長において50%以上の透過率を持つことが望ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が最も好ましい。前記光路長とは、樹脂製の光導波路の光源側から反対側の端面までであり、任意に形状をかえることができる。
【0041】
前記光導波路の材質としては、樹脂が望ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどから選択される。
【0042】
前記光導波路の形状は、光源として用いられるLEDからの光を測定に用いられるセルまで導くことができればどのような形状でも利用できるが、より効率的に光をセルまで導くために、例えば図1に示すように、集光部として光源側に凸レンズ形状を施すことができる。ここで図1は、本発明の分析装置の概念図である。また、光導波路に入射された光が外部に漏れないために、前記凸レンズ形状の集光部と前記セル側端面以外の部分を被覆することもできる。更にまた、前記光導波路のセル側端面に凸形状や凹形状を施すことができる。前記光導波路のセル側端面に施された形状により、実施者は光導波路端面から照射される光の形状を任意に変えることができる。
【0043】
更にまた、光導波路の光照射側を2本以上に分岐することもできる。これにより、分岐された本数と同じ数の光の分岐を行うことができ、この分岐の数と同じ数の測定を同時に行うことができるため効率的に測定を行うことが可能となる。この2本以上に分岐されたセル側端面をもつ光導波路を利用した分析器では、光導波路の分岐の数と同じ数のセルを利用することになる。この光導波路の光照射側を2本以上に分岐する際、分岐の本数は、2本以上が望ましく、5本以上が更に好ましく、7本以上が最も好ましい。分岐の本数についての上限は特に限定されないが、用途を考えた場合の実質的な上限は、10本程度と考えられる。
【0044】
前記光導波路に被覆を行う方法については限定しないが、例えば、アルミニウムや金をメッキする方法、アルミニウムや金を蒸着する方法などが用いられる。
【0045】
以下に本発明の分析方法による土壌中に含まれる腐植の量及び質と養分元素の分析方法を開示する。
(腐植分析方法)
pH4.0以上pH7.0未満から選ばれる抽出液を、少なくとも相対する2面が励起波長および測定波長の光を透過するセルに移し、短波長側の透過光測定波長の光と長波長側の透過光測定波長の光源からの光を光導波路を介してそれぞれ照射し、短波長側の波長の透過光強度(I0S)及び、長波長側の波長の透過光強度(I0L)を測定する。
【0046】
定量した抽出液に土壌を加え、撹拌することにより、土壌中の腐植を抽出液に抽出する。
【0047】
腐植の抽出に用いられる抽出液の重量は、抽出に用いられる土壌の重量の3倍以上30倍以下が好ましく、5倍以上20倍以下がより好ましく、7倍以上15倍以下が最も好ましい。
【0048】
かくして得られた液から固形物を分離するため、ろ過を行うことが好ましい。
【0049】
ろ過された抽出液を、前記少なくとも相対する2面が励起波長および測定波長の光を透過するセルに移し、短波長側の透過光測定波長の光と長波長側の透過光測定波長の光をそれぞれ照射し、短波長側の波長の透過光強度(IS)及び、長波長側の波長の透過光強度(IL)を測定する。
【0050】
前記透過光強度を測定する時の溶液の温度は、20℃以上40℃以下が好ましく、20℃以上35℃以下がより好ましい。当該溶液の温度が前記範囲を下回ると、湿度が高い場合などはセル表面に結露などが生じ測定に好ましくない。当該溶液の温度が前記範囲を上回ると、溶媒の蒸発が見られるため、測定値がばらつく傾向が見られるようになる。
【0051】
ここまでの工程で得られた、前記条件の透過光強度から、ランベルト-ベールの式(1)を用いて、測定波長での吸光度(OD)を算出する。
ODx = log(I0x / Ix) =ε×c×d ・・・・・・・・・・・・式(1)
ここで添え字のxは短波長の場合Sを、長波長の場合Lをそれぞれ示す。また、εはモル吸光係数、cは溶質の濃度、dはセルの長さすなわち光路長である。I0x と Ixを波長毎に測定したものが図2に示すような吸収スペクトルである。
【0052】
ここで得られた吸光度(OD)は、抽出液に含まれる腐植の量を示す指標となり、所定量の腐植について前記吸光度と同一の波長で測定された吸光度と腐植の量から、ランベルト-ベールの式(1)を利用し作成した検量線を用い、土壌に含まれる腐植量が計算される。なお、検量線は予め記憶手段に格納されていて、これを呼び出して、演算に使われるように制御手段により制御される。
【0053】
前述した励短波長側の吸光度(ODS)と長波長側の吸光度(ODL)の比(ODS / ODL)を算出する。算出された、(ODS / ODL)は、腐植の質を示し、例えば腐植の質が高いロシアなどで算出する黒ぼく土の場合、6程度の値を示す。また、腐植質の低い土壌も存在し、この場合、(ODS / ODL)は、1に近い値を示す。図2には、pH4.8の抽出液を用いて土壌から抽出を行った腐植の吸収スペクトルを示すが、腐植の多く含まれる土壌からは吸収スペクトル201で示されるような吸収が見られるのに対し、腐植の含まれない、もしくは腐植が抽出されない場合は図2中の吸収スペクトル202で示されるように光の吸収がほとんど起こっていないことを示す吸収スペクトルが得られた。
【0054】
前記抽出液をそれぞれ所定量前記セルに取り、これらに硝酸態窒素、鉄、カリウム、マンガン、カルシウムに対応する発色液を所定量加え、撹拌後、それぞれの溶液にLEDから発せられた524nmの光を光導波路を通過させ前記セルに入射し、セルを透過した光の強度を検出することにより、透過光強度をそれぞれの養分元素について測定する。
【0055】
測定された前記養分元素毎の透過光強度から前記腐植の透過光強度を引くことにより、前記養分元素の透過光強度を補正する。
【0056】
前記補正された養分元素の透過光強度と前記I0s、I0L よりそれぞれの養分元素の所定の波長における吸光度を計算する。
【0057】
前記計算された養分元素の所定波長において得られた吸光度と、前記養分元素が所定量入った溶液の吸光度から得られた検量線より、それぞれ所定の養分元素の濃度を計算する。
【0058】
以下に実施例により本発明をより詳細に開示する。しかしながら、実施例等は本発明の本質を説明するためのものであり、これらによって本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。
【実施例1】
【0059】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された光源1である中心波長524nmのLEDから発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3と前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより透過光強度(I0S)255を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより、透過光強度(I0L) 255を得た。なお、測定装置100は図示しない電源(測定装置100を現場などに持ち運ぶ場合は、電池や充電池を設置することが可能であり、屋内で分析する場合には、ACアダプタ等を介して家庭用電源に設置可能である)及び制御手段により駆動される。即ち、図1において、CPU(中央処理装置)を形成する演算手段と制御手段、これに接続される記憶手段等により構成可能である。
【0060】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液20g、約20mlに腐植を含む土壌A、2gを加え、10分間撹拌し、塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液に土壌中の腐植を抽出した。この腐植を抽出した液体と土壌の混合物を、ろ紙を用いてろ過することにより、液1を得た。この液1の色は褐色であり、濁りなどはなく透明であった。
【0061】
前記液1(図1によると被測定液体4に相当する)を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された、光源1である中心波長524nmのLED(図1によると光源1)から発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液1(被測定溶液4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示させることにより、透過光強度(IS)242を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液1(被測定溶液4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより、透過光強度(IL)254を得た。
【0062】
このように測定された、I0SとISを用い、式(1)により524nmの吸光度ODSは0.0227と求められた。同様に、I0LとILを用い、632nmの吸光度ODLは0.0017と求められた。
【0063】
更に、求められたODS = 0.0227、ODL=0.0017より、ODSとODLの比より、ODS/ODL= 13.4を得た。
【0064】
これらの結果と発明者らが鋭意検討した種々の土壌の分析結果に照らし合わせたところ、この土壌サンプルは、ODsとODLの値から腐植量は多く、ODS/ODLの値から腐植の質も比較的高いことが明らかとなった。ここでの腐植の質とは、腐植の不飽和度を示す。
【0065】
前記液1を複数個のセル3に、セル1つ当たりの液の全量が3mlとなるようにとり、セル毎に硝酸態窒素、鉄、カリウム、マンガン、カルシウムに対応する発色液を所定量加え、撹拌後、15分間保持した後、光源1であるLEDから発せられた中心波長524nmの光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および被測定液体4を透過した光61の強度をそれぞれの溶液(被測定液体4)について光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより透過光強度(IS)を測定した。透過光強度(IS)を各成分の濃度と透過光強度の検量線より硝酸態窒素について4mg/100g(土壌)、鉄について4mg/100g(土壌)、カリウムについて200mg/100g(土壌)、カルシウムについて1000mg/100g(土壌)、マンガンについて5mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。
【0066】
発色液の透過光強度に、前記腐植の透過光の減少強度13を加えることにより、それぞれの成分による透過光強度を得た。この成分毎の透過光強度を成分の濃度と吸光度の検量線を用い、それぞれの成分の濃度を硝酸態窒素について3mg/100g(土壌)、鉄について3mg/100g(土壌)、カリウムについて140mg/100g(土壌)、カルシウムについて600mg/100g(土壌)、マンガンについて3mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。これらの演算は図1に示す分析器(測定装置100)により行うことがもちろん可能であり、演算結果を表示手段に表示することも可能である。
【0067】
この実施例1では、腐植による透過光強度の減少分を成分の測定結果に加えることにより、硝酸態窒素、鉄、カリウム、カルシウム、マンガンの土壌中の濃度をより正確に測定することができた。
【実施例2】
【0068】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された光源1である中心波長524nmのLEDから発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3と前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより透過光強度(I0S)255を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより、透過光強度(I0L) 255を得た。なお、測定装置100は図示しない電源(測定装置100を現場などに持ち運ぶ場合は、電池や充電池を設置することが可能であり、屋内で分析する場合には、家庭用電源に設置可能である)及びやはり図示しない制御手段により駆動される。
【0069】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液20g、約20mlに腐植を含む土壌B、2gを加え、10分間撹拌し、塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液に土壌中の腐植を抽出した。この腐植を抽出した液体と土壌の混合物を、ろ紙を用いてろ過することにより、液2を得た。この液2の色は褐色であり、濁りなどはなく透明であった。
【0070】
前記液2(図1によると被測定液体4に相当する)を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された、光源1である中心波長524nmのLED(図1によると光源1)から発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液2(被測定溶液4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示させることにより、透過光強度(IS)248を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液2(被測定溶液4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより、透過光強度(IL)250を得た。
【0071】
このように測定された、I0SとISを用い、式(1)により524nmの吸光度ODSは0.0263と求められた。同様に、I0LとILを用い、632nmの吸光度ODLは0.0086と求められた。
【0072】
更に、求められたODS = 0.0263、ODL=0.0086より、ODSとODLの比より、ODS/ODL= 3.05を得た。
【0073】
これらの結果と発明者らが鋭意検討した種々の土壌の分析結果に照らし合わせたところ、この土壌サンプルは、ODsとODLの値から比較的腐植量は普通であり、ODS/ODLの値から腐植の質は普通であることが明らかとなった。ここでの腐植の質とは、腐植の不飽和度を示す。
【0074】
前記液2を複数個のセル3に、セル1つ当たりの液の全量が3mlとなるようにとり、セル毎に硝酸態窒素、鉄、カリウム、マンガン、カルシウムに対応する発色液を所定量加え、撹拌後、15分間保持した後、光源1であるLEDから発せられた中心波長524nmの光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および被測定液体4を透過した光61の強度をそれぞれの溶液(被測定液体4)について光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより透過光強度(IS)を測定した。透過光強度(IS)を各成分の濃度と透過光強度の検量線より硝酸態窒素について2mg/100g(土壌)、鉄について2mg/100g(土壌)、カリウムについて140mg/100g(土壌)、カルシウムについて1200mg/100g(土壌)、マンガンについて2mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。
【0075】
発色液の透過光強度に、前記腐植の透過光の減少強度7を加えることにより、それぞれの成分による透過光強度を得た。この成分毎の透過光強度を成分の濃度と吸光度の検量線を用い、それぞれの成分の濃度を硝酸態窒素について1mg/100g(土壌)、鉄について1mg/100g(土壌)、カリウムについて120mg/100g(土壌)、カルシウムについて1000mg/100g(土壌)、マンガンについて1mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。これらの演算は図1に示す分析器(測定装置100)により行うことがもちろん可能であり、演算結果を表示手段に表示することも可能である。
【0076】
この実施例2では、腐植による透過光強度の減少分を成分の結果に加えることにより、硝酸態窒素、鉄、カリウム、カルシウム、マンガンの土壌中の濃度をより正確に測定することができた。
【実施例3】
【0077】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された光源1である中心波長524nmのLEDから発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3と前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより透過光強度(I0S)255を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより、透過光強度(I0L) 255を得た。なお、測定装置100は図示しない電源(測定装置100を現場などに持ち運ぶ場合は、電池や充電池を設置することが可能であり、屋内で分析する場合には、家庭用電源に設置可能である)及びやはり図示しない制御手段により駆動される。
【0078】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液20g、約20mlに腐植を含む土壌C、2gを加え、10分間撹拌し、塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液に土壌中の腐植を抽出した。この腐植を抽出した液体と土壌の混合物を、ろ紙を用いてろ過することにより、液3を得た。この液3の色は褐色であり、濁りなどはなく透明であった。
【0079】
前記液3(図1によると被測定液体4に相当する)を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された、光源1である中心波長524nmのLED(図1によると光源1)から発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液3(被測定溶液4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示させることにより、透過光強度(IS)225を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液3(被測定溶液4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより、透過光強度(IL)250を得た。
【0080】
このように測定された、I0SとISを用い、式(1)により524nmの吸光度ODSは0.0544と求められた。同様に、I0LとILを用い、中心波長632nmの吸光度ODLは0.0086と求められた。
【0081】
更に、求められたODS = 0.0544、ODL=0.0086より、ODSとODLの比より、ODS/ODL= 6.3を得た。
【0082】
これらの結果と発明者らが鋭意検討した種々の土壌の分析結果に照らし合わせたところ、この土壌サンプルは、ODsとODLの値から比較的腐植量は多く、ODS/ODLの値から腐植の質は普通であることが明らかとなった。ここでの腐植の質とは、腐植の不飽和度を示す。
【0083】
前記液3を複数個のセル3に、セル1つ当たりの液の全量が3mlとなるようにとり、セル毎に硝酸態窒素、鉄、カリウム、マンガン、カルシウムに対応する発色液を所定量加え、撹拌後、15分間保持した後、光源1であるLEDから発せられた中心波長524nmの光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および被測定液体4を透過した光61の強度をそれぞれの溶液(被測定液体4)について光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより透過光強度(IS)を測定した。透過光強度(IS)を各成分の濃度と透過光強度の検量線より硝酸態窒素について5mg/100g(土壌)、鉄について5mg/100g(土壌)、カリウムについて200mg/100g(土壌)、カルシウムについて1500mg/100g(土壌)、マンガンについて5mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。
【0084】
発色液の透過光強度に、前記腐植の透過光の減少強度30を加えることにより、それぞれの成分による透過光強度を得た。この成分毎の透過光強度を成分の濃度と吸光度の検量線を用い、それぞれの成分の濃度を硝酸態窒素について1mg/100g(土壌)、鉄について1mg/100g(土壌)、カリウムについて75mg/100g(土壌)、カルシウムについて1000mg/100g(土壌)、マンガンについて1mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。これらの演算は図1に示す分析器(測定装置100)により行うことがもちろん可能であり、演算結果を表示手段に表示することも可能である。
【0085】
この実施例3では、腐植による透過光強度の減少分を成分の結果に加えることにより、硝酸態窒素、鉄、カリウム、カルシウム、マンガンの土壌中の濃度をより正確に測定することができた。
【実施例4】
【0086】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された光源1である中心波長524nmのLEDから発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3と前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより透過光強度(I0S)255を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより、透過光強度(I0L) 255を得た。なお、測定装置100は図示しない電源(測定装置100を現場などに持ち運ぶ場合は、電池や充電池を設置することが可能であり、屋内で分析する場合には、家庭用電源に設置可能である)及びやはり図示しない制御手段により駆動される。
【0087】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液20g、約20mlに腐植を含む土壌D、2gを加え、10分間撹拌し、塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液に土壌中の腐植を抽出した。この腐植を抽出した液体と土壌の混合物を、ろ紙を用いてろ過することにより、液4を得た。この液4の色はほぼ無色であり、濁りなどはなく透明であった。
【0088】
前記液4(図1によると被測定液体4に相当する)を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された、光源1である中心波長524nmのLED(図1によると光源1)から発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液4(被測定溶液4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示させることにより、透過光強度(IS)254を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液4(被測定溶液4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより、透過光強度(IL)254を得た。
【0089】
このように測定された、I0SとISを用い、式(1)により524nmの吸光度ODSは0.0017と求められた。同様に、I0LとILを用い、632nmの吸光度ODLは0.0017と求められた。
【0090】
更に、求められたODS = 0.0017、ODL=0.0017より、ODSとODLの比より、ODS/ODL= 1.0を得た。
【0091】
これらの結果と発明者らが鋭意検討した種々の土壌の分析結果に照らし合わせたところ、この土壌サンプルは、ODsとODLの値から腐植量は少なく、ODS/ODLの値から腐植の質も比較的低いことが明らかとなった。ここでの腐植の質とは、腐植の不飽和度を示す。
【0092】
前記液4を複数個のセル3に、セル1つ当たりの液の全量が3mlとなるようにとり、セル毎に硝酸態窒素、鉄、カリウム、マンガン、カルシウムに対応する発色液を所定量加え、撹拌後、15分間保持した後、光源1であるLEDから発せられた中心波長524nmの光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および被測定液体4を透過した光61の強度をそれぞれの溶液(被測定液体4)について光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより透過光強度(IS)を測定した。透過光強度(IS)を各成分の濃度と透過光強度の検量線より硝酸態窒素について5mg/100g(土壌)、鉄について5mg/100g(土壌)、カリウムについて150mg/100g(土壌)、カルシウムについて1000mg/100g(土壌)、マンガンについて5mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。
【0093】
発色液の透過光強度に、前記腐植の透過光の減少強度1を加えることにより、それぞれの成分による透過光強度を得た。この成分毎の透過光強度を成分の濃度と吸光度の検量線を用い、それぞれの成分の濃度を硝酸態窒素について5mg/100g(土壌)、鉄について5mg/100g(土壌)、カリウムについて150mg/100g(土壌)、カルシウムについて1000mg/100g(土壌)、マンガンについて5mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。これらの演算は図1に示す分析器(測定装置100)により行うことがもちろん可能であり、演算結果を表示手段に表示することも可能である。
【0094】
この実施例4において、腐植による透過光強度の減少分を成分の結果に加えることにより、硝酸態窒素、鉄、カリウム、カルシウム、マンガンの土壌中の濃度の測定結果は変化しなかったが、この土壌においては、腐植量が少ないことがわかった。
【実施例5】
【0095】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された光源1である中心波長524nmのLEDから発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3と前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより透過光強度(I0S)255を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および前記pH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液(図1では被測定液体4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示することにより、透過光強度(I0L) 255を得た。なお、測定装置100は図示しない電源(測定装置100を現場などに持ち運ぶ場合は、電池や充電池を設置することが可能であり、屋内で分析する場合には、家庭用電源に設置可能である)及びやはり図示しない制御手段により駆動される。
【0096】
予め27℃に保温しておいたpH4.8の塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液20g、約20mlに土壌E、2gを加え、10分間撹拌し、塩化ナトリウム−酢酸ナトリウム水溶液に土壌中の腐植を抽出した。この腐植を抽出した液体と土壌の混合物を、ろ紙を用いてろ過することにより、液5を得た。この液5の色は無色であり、濁りなどはなく透明であった。
【0097】
前記液5(図1によると被測定液体4に相当する)を7mmの光路長を持つセル3に入れ、図1に概念図を示す分析器(測定装置100)に設置し、短波長側の波長として選択された、光源1である中心波長524nmのLED(図1によると光源1)から発せられた光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液5(被測定溶液4)を透過した光61の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段に表示させることにより、透過光強度(IS)255を得た。同様に、長波長側の波長として選択された光源1である中心波長632nmのLEDから発せられた光70を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および液5(被測定溶液4)を透過した光71の強度を光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより、透過光強度(IL)255を得た。
【0098】
このように測定された、I0SとISを用い、式(1)により524nmの吸光度ODSは0と求められた。同様に、I0LとILを用い、632nmの吸光度ODLは0と求められた。
【0099】
これらの結果と発明者らが鋭意検討した種々の土壌の分析結果に照らし合わせたところ、この土壌サンプルは、ODsとODLの値から腐植量は低く、土壌中に腐植が含まれないもしくは、土壌中から腐植がほとんど抽出されないことが明らかとなった。
【0100】
前記液5を複数個のセル3に、セル1つ当たりの液の全量が3mlとなるようにとり、セル毎に硝酸態窒素、鉄、カリウム、マンガン、カルシウムに対応する発色液を所定量加え、撹拌後、15分間保持した後、光源1であるLEDから発せられた中心波長524nmの光60を光導波路2を通過させ前記セル3に入射し、セル3および被測定液体4を透過した光61の強度をそれぞれの溶液(被測定液体4)について光検出手段5により検出し、検出された結果を演算手段により演算し、演算された結果を表示手段により表示することにより透過光強度(IS)を測定した。透過光強度(IS)を各成分の濃度と透過光強度の検量線より硝酸態窒素について5mg/100g(土壌)、鉄について2mg/100g(土壌)、カリウムについて100mg/100g(土壌)、カルシウムについて1000mg/100g(土壌)、マンガンについて2mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。
【0101】
発色液の透過光強度に、前記腐植の透過光の減少強度0を加えることにより、それぞれの成分による透過光強度を得た。この成分毎の透過光強度を成分の濃度と吸光度の検量線を用い、それぞれの成分の濃度を、硝酸態窒素について5mg/100g(土壌)、鉄について2mg/100g(土壌)、カリウムについて100mg/100g(土壌)、カルシウムについて1000mg/100g(土壌)、マンガンについて2mg/100g(土壌)をそれぞれ得た。これらの演算は図1に示す分析器(測定装置100)により行うことがもちろん可能であり、演算結果を表示手段に表示することも可能である。
【0102】
腐植による透過光強度の減少は見られなかったため、硝酸態窒素、鉄、カリウム、カルシウム、マンガンの土壌中の濃度に変化は無かったが、土壌中Eに腐植がほとんど含まれていない、もしくはこの比較例で用いた溶媒では抽出されないことが明らかとなった。
【0103】
これらの実施例の結果について表1に纏めて示す。
【0104】
【表1】



【産業上の利用可能性】
【0105】
農作物を育成する業界や堆肥を取り扱う業界で実施可能な土壌の測定に係わる技術である。
【符号の説明】
【0106】
1 光照射手段である光源
2 光導波路
3 セル
4 被測定液体
5 光検出手段
60 短波長の光
61 透過した短波長の光
70 長波長の光
71 透過した長波長の光
100 測定装置
201 土壌から抽出された腐植の吸収スペクトル
202 土壌から抽出された腐植の吸収スペクトル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌に含まれる養分元素の測定方法であって、所定量の土壌を抽出液に入れ、土壌に含まれる有機成分である腐植を抽出した液の波長300 nm以上590 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光および波長601 nm以上900 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光の光路長が5 mm以上10 mm以下から選択される少なくとも1つの光路長でのそれぞれの光透過量と、それぞれの領域から選択された波長での光透過量の比から腐植の量を測定し、前記腐植を含んだ抽出液に特定の養分元素に反応する発色液を加え発色させ、発色量から有効成分(養分元素)の抽出された量を測定すると共に、この測定結果から前記腐植による光透過量の変化分を差し引きすることにより前記養分元素量を算出することを特徴とする少なくとも土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【請求項2】
前記抽出液がpH3.0以上pH6.9以下もしくは、pH6.9より大きくpH12.0以下であることを特徴とする前記第1項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【請求項3】
前記抽出液が、水溶液もしくはアルコール溶液であることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【請求項4】
前記波長300nm以上590nm以下の波長が515nm以上540nm以下であることを特徴とする前記第1項から第3項のいずれか一項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【請求項5】
前記波長601nm以上900nm以下から選択される波長が615nm以上650nm以下であることを特徴とする前記第1項から第4項のいずれか一項に記載の土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【請求項6】
前記土壌中の養分元素が、鉄、マンガン、カリウム、カルシウム、硝酸態窒素、リン、マグネシウムを含むことを特徴とする土壌中に含まれる養分元素及び腐植の測定方法。
【請求項7】
水耕栽培に利用される培養液の波長300 nm以上590 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光および波長601 nm以上900 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光の光路長が5 mm以上10 mm以下から選択される少なくとも1つの光路長でのそれぞれの光透過量と、それぞれの領域から選択された波長での光透過量の比から腐植の量を測定し、前記腐植を含んだ抽出液に特定の養分元素に反応する発色液を加え発色させ、発色量から有効成分(養分元素)の抽出された量を測定すると共に、この測定結果から前記腐植による光透過量の変化分を差し引きすることにより前記養分元素量を算出することを特徴とする水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定方法。
【請求項8】
波長300 nm以上590 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光および601 nm以上900 nm以下から選択される少なくとも1つ以上の波長の光とを発生する光源と、
前記光源から発生する光を液体を導入可能な光学セルに照射する光照射手段と、
前記光学セルを透過した光の量をそれぞれの波長において計測する光計測手段と、
光計測手段により計測された情報を伝達する情報伝達手段と、
前記情報伝達手段から伝達された情報をそれぞれの波長について演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された結果を表示する表示手段とを持つ土壌中および水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定装置。
【請求項9】
前記光源がLED(light emitting diode)であることを特徴とする前記第8に記載の土壌中および水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定装置。
【請求項10】
前記光照射手段が前記光源から発生する光の波長において、少なくとも50%以上の透過率を有する樹脂製の光導波路を備えることを特徴とする前記第8項又は第9項に記載の土壌中および水耕栽培に利用される培養液中の腐植および養分元素の測定装置。
【請求項11】
土壌中および水耕栽培に利用される培養液中に含まれる硝酸態窒素、鉄、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム、マンガンなど養分元素の吸光度を利用した定量分析結果に対し腐植の吸光度の測定結果を利用し、前記養分元素の分析精度を向上する、養分元素の測定方法及び測定装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−64562(P2011−64562A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215204(P2009−215204)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(305040802)
【Fターム(参考)】