土壌処理装置
【課題】目的とする土壌処理を容易、確実に行うことができ、また、動作信頼性が保たれ、点検作業が容易である土壌処理装置を提供する。
【解決手段】回転半径方向に拡縮可能の土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを有するとともに土壌処理用添加物の吐出口111a〜111cを有する回転ヘッド1aを備えた土壌処理装置Aであり、回転ヘッド支持駆動装置2を備えており、回転ヘッド1aは、掘削刃ヘッド11を支持する内側軸13と、土壌攪拌翼12aを支持して内側軸13に昇降可能に外嵌された外側軸14と、外側軸14の昇降に連動させて掘削刃ヘッド11を縮小拡大させる第1連動機構(スライダ15、対リンク114等)と、外側軸14の昇降に連動させて土壌攪拌翼12aを縮小拡大させる第2連動機構(リンク駆動フレーム5、第2ストッパ装置7等)とを備えており、回転ヘッド支持駆動装置2は、土壌掘削刃ヘッド支持駆動部21と、外側軸支持昇降駆動部3と、外側軸回転駆動部22とを含んでいる。
【解決手段】回転半径方向に拡縮可能の土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを有するとともに土壌処理用添加物の吐出口111a〜111cを有する回転ヘッド1aを備えた土壌処理装置Aであり、回転ヘッド支持駆動装置2を備えており、回転ヘッド1aは、掘削刃ヘッド11を支持する内側軸13と、土壌攪拌翼12aを支持して内側軸13に昇降可能に外嵌された外側軸14と、外側軸14の昇降に連動させて掘削刃ヘッド11を縮小拡大させる第1連動機構(スライダ15、対リンク114等)と、外側軸14の昇降に連動させて土壌攪拌翼12aを縮小拡大させる第2連動機構(リンク駆動フレーム5、第2ストッパ装置7等)とを備えており、回転ヘッド支持駆動装置2は、土壌掘削刃ヘッド支持駆動部21と、外側軸支持昇降駆動部3と、外側軸回転駆動部22とを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重金属等で汚染されている汚染土壌を無害化処理したり、軟弱地盤を構造物構築に適する地盤に改良する等の土壌処理に用いる土壌処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場跡地やゴミ処理場近辺の土地の土壌は重金属等で汚染されている場合がある。このように汚染された土地を住宅地、学校等の各種施設などに転用する場合、汚染土壌に含まれる汚染物質による人体への悪影響に十分注意を払わなければならない。
【0003】
こうした汚染土壌を有する土地を利用する場合、次のような方法で土壌を無害化する土壌処理が行われてきた。すなわち、汚染土壌を含む土地を1又は2以上に区画化し、各区画においてそれを囲む土留め壁(乃至遮水壁)を土中に構築し、該土留め壁(乃至遮水壁)で囲まれた土壌を掘削して地上へ取り出し、予め準備された地上のコンクリート枠壁等で囲まれた土壌処理用の場所へ運搬移入し、そこで該土壌に土壌処理用の添加物を添加し、撹拌して無害化処理したのち、このように処理された土壌を再びもとの位置へ埋め戻していた。
【0004】
また、かかる汚染土壌の浄化処理ではないが、軟弱地盤等の改良にあたっては、地上から改良処理対象土壌層へ向けて回転掘削ヘッドにて掘削、進行し、処理対象土壌層において該回転掘削ヘッドを介して土壌処理用添加物の添加を行い、該ヘッドを用いて該添加物と土壌との混合攪拌等の処理を行い、その後に回転掘削ヘッドを地上へ戻すことも行われいた。
【0005】
しかし、かかる汚染土壌処理によると、
(1)汚染された土壌を土留め壁(乃至遮水壁)を構築して掘り起こし、地上へ搬出しなければならず、地上には汚染土壌処理用の場所を設けなければならず、これらの作業は大がかりとなり、さらに地上への汚染土壌の搬出、土壌処理場所への汚染土壌の搬入、処理後の土壌の埋め戻し等に種々の土壌運搬、搬送用機器も必要となり、全体として、工数が増え、工期が長くなり、ひいては工費が高くつく。
(2)処理すべき汚染土壌は地表やそれに近い位置よりも深い位置にあることが多いが、処理する必要のない表層土壌までも掘り起こし、再び埋め戻さなければならない。従ってそれだけ作業や使用添加物等の無駄が多くなり、ひいては工費が無駄に、余分にかかってしまう。
(3)処理する必要のない安定地盤状態にある表層土壌までも掘り起こし、埋め戻すことになるので、埋め戻し後の土地表層での十分な地盤強度が得られなくなる。この問題を解消しようとすると、所定の地盤強度を得るために添加物としてセメント系固化材等を多く添加することが必要となり、それだけコスト高となる。
【0006】
また、軟弱地盤の改良処理等の場合においても、処理対象土壌は地表やそれに近い位置よりも深い位置にあることが多いが、その場合、回転掘削ヘッドが本来処理する必要のない安定地盤状態にある表層土壌或いは該表層土壌及びその近傍の土壌を通って処理対象土壌層まで掘削、進行し、処理後再び該表層土壌或いは該表層土壌及びその近傍の土壌を通って地上へ戻され、これにより、処理対象土壌層における回転掘削ヘッドによる土壌処理半径と同半径でもって表層土壌層等まで広範囲に掘削されることになり、その結果土地表層での十分な地盤強度が得られなくなる。この問題を解消しようとすると、所定の地盤強度を得るために添加物としてセメント系固化材等を多く添加することが必要となり、それだけコスト高となる。
【0007】
そこで、特許第3645185号公報や特許第4560459号公報には、土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに、土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置を用いる土壌処理が提案されている。
【0008】
特許第3645185号公報や特許第4560459号公報で提案されている土壌処理では、前記回転ヘッドの掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をともに縮小状態として地上から処理対象土壌層へ向けて、土壌を掘進し、該回転ヘッドが処理対象土壌層に到達すると、該掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をともに拡大状態として処理対象土壌層の土壌を処理し(土壌掘削及び攪拌並びに土壌処理用添加物の土壌中への注入及び土壌との混合)、土壌処理後は、再び掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をともに縮小状態として地上へ向けて退出させるようにしている。
【0009】
この土壌処理によると、土壌処理作業において土壌を地上へ搬出する必要がなく、土壌を殆ど地中にとどめておくことができるとともに処理対象土壌をそれがある原位置で処理することができ、例えば旧来の、土壌を地上へ搬出し、処理後に埋め戻す汚染土壌処理と比べると、少ない工数、短い工期で、簡単安価に汚染土壌を処理できる。また、旧来の汚染土壌処理と比べると、作業の無駄、土壌処理用添加物の無駄等の無駄無く、それだけ安価に汚染土壌を処理できる。
【0010】
また、回転ヘッドは回転半径方向に拡縮可能であり、処理対象土壌層へ向けて掘進するとき、及び処理された土壌層から地上へ退出するときには、縮小状態に設定でき、従って、処理する必要のない地表、或いは地表及びその近傍の土壌について徒に掘削、攪拌することがない一方、処理対象土壌層においては回転ヘッドを拡大状態に設定でき、それにより広い範囲にわたり効率よく土壌を処理でき、これらにより、表層土壌或いは表層土壌及びその近傍の土壌についてはその地盤強度をできるだけ確保しつつより深層の土壌を処理できる。
【0011】
しかし、特許第3645185号公報記載の土壌処理装置では、回転ヘッドにおける掘削刃ヘッドの拡縮は、掘削刃ヘッド開閉装置を用いて行い、土壌攪拌翼の拡縮については、処理対象土壌層において、土壌攪拌翼を掘削刃ヘッドの土壌掘削方向回転とは反対方向に回転駆動することで、土壌抵抗にて開姿勢をとらせて拡大し、処理対象土壌層へ至るまで、及び土壌処理後回転ヘッドを退出させるときには、土壌攪拌翼を掘削刃ヘッドの土壌掘削方向回転と同方向に回転させて土壌抵抗により閉姿勢をとらせて縮小させるようにしている。
【0012】
従って、土壌攪拌翼は、その回転に伴って発生する土壌抵抗により開閉(拡縮)させるものであるため、例えば処理対象土壌層の土壌の性状によっては、土壌攪拌翼を開いたり(拡大させたり)、閉じたり(縮小させたり)するに十分な土壌抵抗を土壌攪拌翼に与えることができず、その結果、土壌攪拌翼が半径方向に拡大しなかったり、拡大しても不十分であったりして、土壌攪拌及び土壌処理用添加物と土壌との混合が不可能或いは不十分となったり、或いは処理対象土壌層から回転ヘッドを退出させるにあたり、土壌攪拌翼を土壌抵抗により閉じさせる方向に回転させても、閉じなかったり、閉じても不十分であったりして、掘削刃ヘッドにより掘削されていなかった土壌に土壌攪拌翼が衝突して損傷する恐れもある。
【0013】
これに対し特許第4560459号公報記載の土壌処理装置は、土壌掘削刃ヘッドの拡縮状態だけでなく、土壌攪拌翼の拡縮状態も土壌抵抗に頼ることなく制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を行い易く、また、土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができるので、土壌攪拌翼の損傷の恐れを低減して安全に土壌処理を行える利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3645185号公報
【特許文献2】特許第4560459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許第4560459号公報記載の土壌処理装置は、内側軸とこれに対して昇降可能に外嵌された外側軸のうち内側軸の下端部に土壌掘削刃ヘッドが、外側軸の外側部位に土壌攪拌翼が設けられ、土壌攪拌翼の拡縮機構が外側軸の外部から内部にわたって構成されているため、外側軸の内側まで土砂が侵入し易く、そのため動作不良を起こすおそれがあり、また、拡縮機構を構成する部品が互いに反対方向の回転を行う外側軸と内側軸の間に摺動可能に嵌められているとともに土壌攪拌翼開閉のために常時バネ付勢されているので、磨耗し易い。
【0016】
本発明は、土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに、土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であって、土壌掘削刃ヘッドだけでなく土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を容易、確実に行うことができ、また、従来の同種の土壌処理装置と比べると、より長期にわたり動作信頼性が保たれ、点検作業が容易である土壌処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は前記課題を解決するため、次の土壌処理装置を提供する。すなわち、
土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び該土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であり、
前記回転ヘッドを支持し、前記土壌掘削刃ヘッドの回転駆動及び拡縮駆動並びに前記土壌攪拌翼の回転駆動及び拡縮駆動を行う回転ヘッド支持駆動装置を備えており、
前記回転ヘッドは、
下端部に前記土壌掘削刃ヘッドを支持する内側軸と、
外周部位に前記土壌攪拌翼を支持し、前記内側軸に昇降可能に外嵌された外側軸と、
前記土壌掘削刃ヘッドを、前記外側軸の前記内側軸に対する上昇動作に連動させて縮小させて縮小姿勢におくことができ、下降動作に連動させて拡大させて拡大姿勢におくことができる第1連動機構と、
前記外側軸の前記内側軸に対する昇降動作に連動させて前記土壌攪拌翼を縮小拡大させる第2連動機構であって、該外側軸が該内側軸に対し上昇することで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って前記土壌攪拌翼を縮小姿勢におくことができ、該外側軸が該内側軸に対し下降することで前記第1連動機構により該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとり始めるに遅れて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢におき始める第2連動機構とを含んでおり、
前記回転ヘッド支持駆動装置は、前記内側軸を支持することで前記土壌掘削刃ヘッドを支持するとともに該内側軸を介して該土壌掘削刃ヘッドを回転駆動する掘削刃ヘッド支持駆動部と、前記外側軸を支持して前記内側軸に対し昇降させることで、前記第1連動機構にて前記土壌掘削刃ヘッドを、前記第2連動機構にて前記土壌攪拌翼を、それぞれ縮小拡大させる外側軸支持昇降駆動部と、前記外側軸を回転駆動することで前記土壌攪拌翼を回転駆動する外側軸回転駆動部とを含んでおり、
前記土壌掘削刃ヘッドは、少なくとも一部が前記内側軸の方へ閉じる閉じ姿勢と該内側軸から開く開き姿勢をとることができる可動部とされており、該可動部の開閉により土壌掘削刃ヘッド全体が回転ヘッド半径方向に拡縮可能であり、
前記第1連動機構は、
前記内側軸とともに回転可能且つ該内側軸に対し昇降可能に該内側軸に設けられ、前記外側軸の下端部に、該下端部に対し昇降不能且つ回転可能に支持されたスライダと、前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を該スライダと前記内側軸とに連結し、前記外側軸の昇降に伴い該スライダが前記内側軸に対し昇降することで前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を閉じ又は開いて該土壌掘削刃ヘッドを縮小又は拡大させるリンク機構とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼は、一端部側の部位で前記外側軸の外周部位に回動可能に連結されて自由他端部が上下方向に回動可能とされていることで、回転ヘッド半径方向に縮小拡大可能であり、
前記第2連動機構は、
前記外側軸に昇降可能に外嵌されたリンク駆動フレームと、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結するリンク機構と、
前記リンク駆動フレームの前記外側軸に対する下降限度を定める第1ストッパ装置と、 前記リンク駆動フレームの前記内側軸に対する下降限度を定める第2ストッパ装置とを含んでおり、
前記第1ストッパ装置は前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに縮小姿勢の縮小状態にあるとき、前記リンク駆動フレームを前記外側軸に対する下降限度に支持し、前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに拡大姿勢の拡大状態にあるとき、前記リンク駆動フレームから離れて該リンク駆動フレームの下方に位置し、
前記第2ストッパ装置は前記縮小状態から前記内側軸に対して前記外側軸が下降し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが開き始めた後に前記リンク駆動フレームを前記内側軸に対する下降限度に配置し、
前記リンク駆動フレームは、前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのちさらに前記外側軸が前記内側軸に対し下降することで、該外側軸の下降とともに下降する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して拡大姿勢におき、
前記リンク駆動フレームは、前記拡大状態から前記内側軸に対して前記外側軸が上昇し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが閉じ始めると、前記外側軸上昇とともに上昇する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して閉じ始めさせ、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って該土壌攪拌翼を縮小姿勢におく土壌処理装置である。
【0018】
この土壌処理装置によると、例えば次のようにして土壌処理を行える。
まず、回転ヘッドを回転ヘッド支持駆動装置で支持した状態で処理対象土壌層上方の地上に配置する。
回転ヘッド支持駆動装置は例えば昇降装置に取り付ければよい。例えば地上の支柱に昇降可能に取り付ければよい。かくして回転ヘッドを該支柱に沿って昇降可能に配置できる。かかる支柱は自走車に搭載されているものでもよいし、地上に立設されたもの等でもよい。
【0019】
次いで、回転ヘッド支持駆動装置における掘削刃ヘッド支持駆動部にて回転ヘッドにおける内側軸を回転駆動することで土壌掘削刃ヘッドを回転させるとともに、外側軸回転駆動部にて回転ヘッドにおける外側軸を回転駆動することで土壌攪拌翼を回転させ、これらを下降させる。それにより回転ヘッドは地上から処理対象土壌層へ向けて、土壌をそれがある位置で掘削し、攪拌し、ほぐしながら進入せしめられる。このとき回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼は、いずれも縮小姿勢としておく。
【0020】
このように回転ヘッドを処理対象土壌層へ向けて進入させるとき、土壌掘削刃ヘッドは土壌掘削方向に回転させればよく、土壌攪拌翼については、土壌掘削刃ヘッドと同方向に回転させても、土壌掘削刃ヘッドとは反対方向に回転させてもよい。土壌掘削刃ヘッドと同方向に回転させる場合は、土壌掘削刃ヘッドと同速で回転させても、土壌掘削刃ヘッドとは異なる回転速度で回転させる等してもよい。
【0021】
土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼の縮小は、外側軸支持昇降駆動部により、回転ヘッドの外側軸を内側軸に対し上昇させておくことで、第1連動機構により土壌掘削刃ヘッドを縮小姿勢におき、第2連動機構により土壌攪拌翼を縮小姿勢におくことで行える。
【0022】
回転ヘッドが処理対象土壌層に到達すると、そこで、土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をいずれも拡大姿勢とし、土壌処理に供する。土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼の拡大は、外側軸支持昇降駆動部により、回転ヘッドの外側軸を内側軸に対し下降させることで、第1連動機構により土壌掘削刃ヘッドを拡大姿勢におき、第2連動機構により、前記土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢におかれ始めるに遅れて土壌攪拌翼を拡大姿勢におき始めることで行える。
【0023】
この土壌処理においても、土壌掘削刃ヘッドは、掘削刃ヘッド支持駆動部にて土壌掘削方向に回転させる。
土壌攪拌翼については、外側軸回転駆動部にて回転駆動する。この土壌処理時には、土壌攪拌翼は、土壌の効率的な攪拌、後述する土壌処理用添加物と土壌との効率的な混合のために、土壌に剪断力が加わるように、土壌掘削刃ヘッドとは反対方向に回転させるか、或いは同方向に、且つ、土壌掘削刃ヘッドとは異なる回転速度で回転させてもよい。
【0024】
かくして、回転ヘッドは前記進入時よりも拡大された、従ってより広い範囲にわたり掘削等できる状態で、処理対象土壌をそれがある位置で掘削し、攪拌する。
また、要すれば土壌処理用の添加物を回転ヘッドの添加物吐出口へ供給し、そこから処理対象土壌中へ注入し、該添加物と該土壌を混合攪拌することができる。
添加物吐出口は、回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッドに設ける場合を代表例として挙げることができる。
【0025】
このようにして処理対象土壌を処理すると、その後、外側軸支持昇降駆動部により、回転ヘッドの外側軸を内側軸に対し上昇させることで、第1連動機構により土壌掘削刃ヘッドを縮小姿勢におくとともに、第2連動機構により、前記土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢におかれるに先立って土壌攪拌翼を縮小姿勢におき、これらを回転駆動しつつ、地上までの途中の土壌を該土壌がある位置で攪拌しながら退出させる。このときの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼の回転方向については、特に制限はないが、例えば、土壌掘削刃ヘッドは土壌掘削方向に、土壌攪拌翼は土壌掘削刃ヘッドと同方向に又は反対方向に回転させる場合を挙げることができる。
【0026】
なお、土壌の掘削、攪拌においては必要に応じ、掘削、攪拌を円滑化するための水等を添加物として添加注入してもよい。
土壌処理における添加物の投入タイミングについては、処理対象土壌層の掘削、攪拌処理の進行中に添加物の添加を開始してもよい。また、処理対象土壌層の一通りの掘削、攪拌が終わったあとでもよい。要するに土壌を処理できる適当なタイミングを選んで添加すればよい。
【0027】
添加物と処理対象土壌の混合攪拌は回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼を回転させることで行える。かかる混合攪拌のタイミングについても、処理対象土壌と添加物との混合攪拌を行うに支障のないタイミングであればよく、代表的には、回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼を回転させつつ添加物を添加して混合攪拌を行う場合を例示できる。
【0028】
いずれにしても、本発明に係る土壌処理装置は、土壌処理用添加物を前記回転ヘッドの添加物吐出口へ供給する添加物供給装置を備えていてもよい。
また、前記回転ヘッドは前記添加物吐出口を一つでもよいが複数有していてもよく(例えば少なくとも三つ有していてもよく)、前記添加物供給装置は、該複数の添加物吐出口のそれぞれに対し該添加物吐出口に連通する、土壌処理用添加物の供給路を有していてもよい。
【0029】
以上説明した土壌処理装置によると、汚染土壌処理作業において土壌を地上へ搬出する必要がなく、土壌を殆ど地中にとどめておくことができるとともに処理対象土壌をそれがある原位置で処理することができ、例えば旧来の、汚染土壌を地上へ搬出し、処理後に埋め戻す汚染土壌処理と比べると、少ない工数、短い工期で、簡単安価に汚染土壌を処理できる。また、旧来の汚染土壌処理と比べると、作業の無駄、土壌処理用添加物の無駄等の無駄無く、それだけ安価に汚染土壌を処理できる。
【0030】
さらに、前記回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼は回転ヘッドの回転半径方向に拡縮可能であり、処理対象土壌層へ向けて進入させるとき、及び処理された土壌層から地上へ退出させるときには、縮小状態に設定でき、従って、処理する必要のない地表、或いは地表及びその近傍の土壌について徒に掘削、攪拌することがない一方、処理対象土壌層においては回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼を拡大状態に設定でき、それにより広い範囲にわたり効率よく土壌を処理でき、これらにより、表層土壌或いは表層土壌及びその近傍の土壌についてはその地盤強度をできるだけ確保しつつより深層の土壌を処理できる。
【0031】
また、本発明に係る土壌処理装置によると、回転ヘッドの外側軸の内側軸に対する昇降駆動を外側軸昇降駆動部により行うことができるので、例えば地上において、回転ヘッドにおける外側軸の内側軸に対する昇降量を制御、管理することができ、それにより、土壌掘削刃ヘッドの拡縮状態は勿論のこと、土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を容易、確実に行える。
【0032】
また、土壌処理装置の処理対象土壌への進入にあたっては、土壌攪拌翼は土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとり始めるのに遅れて拡大姿勢をとり始めるので、それだけ土壌攪拌翼の損傷のおそれは低減しており、土壌処理装置の処理対象土壌からの退出にあたっては、土壌攪拌翼は土壌掘削刃ヘッドに先立って縮小姿勢をとるので、この点でも土壌攪拌翼の損傷のおそれは低減しており、これらにより土壌攪拌翼が損傷するといった事態の発生を抑制して、それだけ安全に土壌処理を行える。
【0033】
また、本発明に係る土壌処理装置では土壌攪拌翼を拡縮させる機構が従来装置のように外側軸の外部から内部にわたって構成されているというものではなく、外側軸の外部に構成されているので、拡縮機構を通じて外側軸内部まで土砂が侵入してくるおそれはなく、それだけ、従来装置より長期にわたり動作信頼性が確保され、また、点検作業も容易である。
【0034】
本発明に係る土壌処理装置における前記第1ストッパ装置としては、それには限定されないが、代表例として、前記外側軸の下端部に設けられたストッパ部材を挙げることができる。
【0035】
前記第2ストッパ装置としては、
前記リンク駆動フレームに前記外側軸に昇降可能の第1係合部材を含めておき、
該第2ストッパ装置として、
前記リンク駆動フレームの第1係合部材に、該リンク駆動フレームに対する昇降動作は不能に、且つ、相対的に回転可能に係合する第2係合部材と、
前記第1連動機構のスライダより下方で前記内側軸に昇降可能に設けられ、該内側軸に対する下降限度が該内側軸に設けられたストッパ部材により規制されている台部材と、 前記台部材上に前記第2係合部材を支持する支持柱とを含んでいるものを採用してもよい。
【0036】
前記内側軸には侵入土砂排除用羽根、例えば内側軸とともに回転する侵入土砂排除用羽根、例えば螺旋羽根が形成されていてもよい。
【0037】
前記リンク駆動フレームについては、次の第1、第2のものを例示できる。
次のいずれのリンク駆動フレームの場合でも、前記土壌攪拌翼は一端部側の部位で外側軸外周部位に回動可能に連結されて自由他端部が上下回動することで拡縮できるものとすればよいが、
(1)縮小姿勢では外側軸への回動可能連結部位(一端部側部位)の下方に自由他端部が位置し、該自由他端部が上昇回動することで拡大する(開く)ものでも、
(2)縮小姿勢では外側軸への回動可能連結部位(一端部側部位)の上方に自由他端部が位置し、該自由他端部が下降回動することで拡大する(開く)ものでも、いずれでもよい。
なお、前記土壌攪拌翼は前記外側軸の回転中心線方向に1段設けられているだけでもよく、複数段に設けられていてもよい。
【0038】
<第1のリンク駆動フレーム>
前記リンク駆動フレームは、前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された1又は複数段のリング部材と、前記リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方から持ち上げ力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方へ引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる。
リンク駆動フレームが前記外側軸に昇降可能の前記第1係合部材を含むものであるときは、該第1係合部材は、ここでの最下段のリング部材を兼ねていてもよい。
【0039】
<第2のリンク駆動フレーム>
前記リンク駆動フレームは、前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された第1リング部材と、前記第1リング部材の上方で前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌され、前記第1リング部材に支持された1又は複数段の第2リング部材と、前記第2リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に上方引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に押し下げ力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる。
リンク駆動フレームが前記外側軸に昇降可能の前記第1係合部材を含むものであるときは、該第1係合部材は、ここでの第1リング部材(換言すれば、基礎リング部材)を兼ねていてもよい。
【0040】
なお、本発明に係る土壌処理装置による土壌処理においては、処理対象土壌層における土壌処理において、必要に応じ、回転ヘッドを地上へ一旦退出させ、処理対象土壌をサンプリングして(試料として採取して)土壌処理状態を検査することができる。このとき、回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼は縮小姿勢として地上へ退出させる。土壌処理のために再び回転ヘッドを処理対象土壌層へ進入させ、さらなる土壌処理を行うときの手順は当初の回転ヘッド進入等の手順と同様である。
【0041】
本発明に係る土壌処理装置が対象とする土壌処理には、汚染土壌の浄化処理等の土壌浄化処理、軟弱地盤の改良処理等の地盤改良処理等が含まれる。
土壌浄化処理に用いる添加物(添加剤)は、土壌汚染物質や浄化した土壌、土地の利用の仕方などによって選ばれるものであって、特に限定されるものではない。
例えば、アルカリ〔 Ca(OH)2、CaO 、NaOH、Mg(OH)2 など〕、酸(H2SO4 、
HCl 、H3PO4 など)、塩〔CaCO3 、Ca(HCO3)2 、Na2CO3、NaHCO3、CaCl2 、
NaHSO4、CaSO4 、Na4SiO4 、Na3PO4、Na2HPO4 、NaH2PO4 など〕、酸化剤〔H2O2、KMnO4 、NaMnO4、O3、NaClO 、Ca(ClO)2、Na2S2O4 など〕、還元剤〔Na2SO3、NaHSO3、Na2S2O3 、アスコルビン酸(Na 塩) 、FeCl2 、FeSO4 、鉄粉など〕、不溶化剤〔 Fe(II)塩、
Fe(III) 塩、Al塩、Mg塩、Na2S、CaS など〕、キレート剤(ジチオカルバミン酸塩系化合物、トリアジン系化合物など)、固化剤(セメント、焼きセッコウ、ポゾラン、珪酸塩など)、微生物、微生物の栄養剤などである。
これらを単独あるいは複数用いることができる。複数用いる場合、これらを同時に添加する場合と順次添加する場合がある。順次添加する場合、その添加順序は特に限定されるものではない。また、これらの添加形態は溶液、懸濁液、粉体、固体、気体のいずれでもよい。添加量も特に限定されるものではない。
また、地盤改良に採用できる添加物として、セメント系固化材、石灰系固化材、石こう系固化材等を例示できる。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように本発明によると、土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに、土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であって、土壌掘削刃ヘッドだけでなく土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を容易、確実に行うことができ、また、従来の同種の土壌処理装置と比べると、より長期にわたり動作信頼性が保たれ、点検作業が容易である土壌処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る土壌処理装置の1例を回転ヘッド縮小状態で概略的に示す図である。
【図2】図1の土壌処理装置を回転ヘッド拡大状態で概略的に示す図である。
【図3】図1の土壌処理装置における縮小状態回転ヘッドの一部の拡大図である。
【図4】図1の土壌処理装置における拡大状態回転ヘッドの一部の拡大図である。
【図5】図1の土壌処理装置の回転ヘッドにおけるリンク駆動フレームの概略平面図である。
【図6】図1の土壌処理装置の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【図7】図6(C)のX1矢視概略図である。
【図8】図6(C)のY1矢視概略図である。
【図9】ボックス継ぎ手及び添加物供給装置の主要部の断面図である。
【図10】図1の土壌処理装置を自走車に搭載した状態の側面図である。
【図11】図11(A)から図11(C)は土壌処理の手順の一部を示す図である。
【図12】本発明に係る土壌処理装置の他の例の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【図13】図12に示す土壌処理装置における主として土壌攪拌翼を拡縮させる機構を示す図である。
【図14】本発明に係る土壌処理装置のさらに他の例の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【図15】図14に示す土壌処理装置における主として土壌攪拌翼を拡縮させる機構を示す図である。
【図16】本発明に係る土壌処理装置のさらに他の例の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1及び図2は本発明に係る土壌処理装置の1例Aを概略的に示している。図1は回転ヘッド1aを縮小状態として示す図であり、図2は回転ヘッド1aを拡大状態として示す図である。図3及び図4はいずれも回転ヘッド1aの一部の拡大図であり、図3は回転ヘッド1aが縮小姿勢をとった状態を、図4は回転ヘッド1aが拡大姿勢をとった状態を示している。図5は回転ヘッド1aにおけるリンク駆動フレーム5の概略平面図である。
【0045】
土壌処理装置Aは、回転ヘッド1a、回転ヘッド1aの支持駆動装置2及び土壌処理用添加物の添加装置4等を備えている。
【0046】
〔1〕回転ヘッド1aについて(図1〜図5参照)
回転ヘッド1aは、土壌掘削刃ヘッド11及びその上方に配置された土壌攪拌翼12aを備えている。
土壌掘削刃ヘッド11は、土壌掘削刃11xを備えた固定部111と、土壌掘削刃11yを備えた可動部112とを含んでいる。固定部111は内側軸13の下端に固定的に取り付けられている。固定部111の直ぐ上で内側軸13にリング部材113が嵌合固定されている。
【0047】
可動部112はその一端部が部材113に回動可能にピン連結されていることで、内側軸13に対して回動可能に連結され、内側軸13の方へ閉じる閉じ姿勢(図1、図3参照)又は内側軸13から開いた開き姿勢(図2、図4参照)を取ることができる。
【0048】
内側軸13には、リング部材113より上方部位に、内側軸13に対し昇降可能にスライダ15が嵌合されており、また、内側軸13には、内側軸との間に間隙をおいて筒状の外側軸14が昇降可能に嵌合されている。
【0049】
スライダ15は掘削刃ヘッド連結部材151、その上に連設された中間部材152及びその上に連設された上部リング部材153の3段構成に一体的に形成されている。これら3段に連設された部材151、152、153はいずれもキーKに沿って昇降可能であるとともに該キーにより内側軸13とともに回転可能である。かくしてスライダ15はキーKに沿って昇降可能であるとともに該キーにより内側軸13とともに回転可能である。
【0050】
外側軸14の下端フランジ141の下面にスライダ支持部材142が固定されており、スライダ支持部材142はスライダ15の上部リング部材153を、内外軸13、14の回転中心まわりに相対的に回動可能に抱いている。かくして、スライダ15は外側軸14の下端部に昇降不能に、しかし、相対的に回動可能に支持されている。外側軸14が内側軸13に対し昇降することでスライダ15も内側軸13に対して昇降する。また内外軸13、14は互いに相手に拘束されることなく回転できる。
【0051】
後述するように図6(A)〜図6(C)は土壌処理装置Aの回転ヘッド1aが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図であり、図7は図6(C)のX1矢視概略図であるが、図7から分かるように、掘削刃ヘッド11の可動部112は3本あり、それらは内側軸13を中心として等中心角度間隔で放射状に配置されている。
【0052】
なお、図示の都合上及び理解を容易にするため、可動部112は、図1、図2では左右に対をなすが如く示してあり、図3、図4及び図6では一本だけ示してあるが、実際には、図7に示すように、120度間隔で放射状に3本設けられている。
【0053】
各可動部112に対リンク114の下端部が回動可能にピン連結されており、該対リンクの上端部がスライダ15の掘削刃ヘッド連結部材151に回動可能にピン連結されている。
【0054】
図1、図3及び図6(A)に示すように回転ヘッド1aが縮小状態におかれ、土壌掘削刃ヘッド11が縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が内側軸13に対して下降すると、スライダ15も下降し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が対リンク114に押され、下方へ回動し、図6(B)の開き途中状態を経て図2、図4及び図6(C)に示すように開き、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に拡大した姿勢をとることができる。
【0055】
この拡大状態から外側軸14が内側軸13に対して上昇すると、スライダ15も上昇し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が対リンク114に引っ張られて上方へ回動して閉じ、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に縮小した姿勢をとることができる。
【0056】
このことから分かるように、土壌処理装置Aでは、スライダ15、対リンク114、対リンク114をスライダ15と可動部112に連結するピン及び可動部112の根元部分を内側軸下端部の固定リング部材113に回動可能に連結するピン等は、外側軸14の昇降に連動して掘削刃ヘッド11を縮小拡大させる第1の連動機構を構成している。
【0057】
図1等に示すように、内側軸13には内側軸13と外側軸14の間へ侵入してくるかも知れない土砂等を外側軸14の下端から外へ排除するための螺旋羽根131を周設してある。
掘削刃ヘッド11の固定部111には、三つの添加物吐出口111a、111b及び111cがそれぞれ設けられている。
【0058】
土壌攪拌翼12aは図1、図2に示すように、上下3段に設けられている。図1、図2において、中段及び上段の土壌攪拌翼12aは鎖線で示してある。
図1、図2では、各段の土壌攪拌翼12aは、いずれも外側軸14から左右に直線状に、且つ、外側軸14のまわりの角度的ずれが無い状態で延びるかのごとく示してあるが、実際には、土壌攪拌翼を上方から見た図8(図6(C)のY1矢視概略図)に示すように、上中下の各段の2本の土壌攪拌翼12aは外側軸14を間にして対をなすように互いに反対方向に延びており、且つ、上段の一対の土壌攪拌翼12aに対し、中段の一対の土壌攪拌翼12aは外側軸14のまわりに60度ずれており、下段の一対の土壌攪拌翼12aは中段の一対の土壌攪拌翼12aに対し、さらに60度ずれている。従って、上方又は下方から見ると、合計6本の土壌攪拌翼12aが外側軸14のまわりに60度の等中心角度間隔で放射状に配置されている。
【0059】
土壌攪拌翼12aの実際の配置は以上のとおりであるが、各部の説明を容易にし、理解を容易にするため、図1、図2においては各段の一対の土壌攪拌翼12aが、いずれも外側軸14から左右に直線状に、且つ、外側軸14のまわりの角度的ずれが無い状態で延びるかのごとく示してある。
【0060】
また、図3、図4では下段の一対の土壌攪拌翼12aだけが示されており、図6(A)〜図6(C)では、土壌処理装置Aの全体構造の把握が可能な範囲で適宜示してある。
【0061】
各土壌攪拌翼12aは、その一端部(根元部分)が、外側軸14の外周面から外側軸半径方向に突設された受け部材120に回動可能にピン12Pで連結されており、これにより、土壌攪拌翼12aの他端部(自由端部)が上下方向に回動して、図1及び図3に示すように、外側軸14に近く閉じたり、図2及び図4に示すように、外側軸14に対し略90度の姿勢で開いたりでき、このように、回転ヘッド1の回転半径方向に縮小、拡大可能である。
【0062】
図3、図4に示すように、外側軸14にはリンク駆動フレーム5が外側軸14に対し相対的に昇降可能に外嵌されている。リンク駆動フレーム5は、該フレーム5の外側軸14に対する自重下降限度を定めるストッパ部材(第1ストッパ装置の1例)として作用する外側軸下端フランジ141の上側で外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0063】
リンク駆動フレーム5は、外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されたリング形状の第1係合部材50とこれに搭載された3段のリング部材51、52、53を含んでいる。これらリング部材51〜53は前記3段の土壌攪拌翼12aにそれぞれ対応して設けられており、それぞれ外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0064】
下段リング部材51は第1係合部材50の上面に固定されており、中段リング部材52は下段リング部材51に立設した支持柱510に支持されており、上段リング部材53は中段リング部材52に立設した支持柱520に支持されており、全体として、第1係合部材50、リング部材51〜53及び支持柱510、520は一体化され、リンク駆動フレーム5として外側軸14に対し昇降可能である。
【0065】
下段リング部材51には一対の下段土壌攪拌翼12aに対応させてリンク連結部材511が、中段リング部材52には一対の中段土壌攪拌翼12aに対応させてリンク連結部材521が、上段リング部材53には一対の上段土壌攪拌翼12aに対応させてリンク連結部材531がそれぞれ立設されている。
【0066】
すなわち、図5に示すように、各段リング部材のリンク連結部材は180度の中心角度間隔で2個(一対)立設されており、下段と中段のリンク連結部材511と521は中心角度にして60度ずれており、中段と上段のリンク連結部材521と531も中心角度にして60度ずれている。また、リング部材間の支持柱510、520は、リンク連結部材位置からずらして、平面から見て隣り合うリンク連結部材の間に配置されており、120度中心角度間隔で配置されている。
【0067】
図3、図4に示すように、一対の下段のリンク連結部材511とこれに対応する一対の下段土壌攪拌翼12aのそれぞれに、リンク機構として本例ではリンク部材61が渡し連結されている。リンク部材61の一端部(図3中の上端部)が土壌攪拌翼12aの前記支持部120での回動支点ピン12Pより若干自由端部寄りの部位にピン連結されており、リンク部材61の他端部(図3中の下端部)がリンク連結部材511にピン連結されている。
【0068】
同様に、一対の中段のリンク連結部材521とこれに対応する一対の中段土壌攪拌翼12aのそれぞれに、リンク部材62が渡し連結されており、リンク部材62の一端部が対応する土壌攪拌翼12aにピン連結されているとともに他端部がリンク連結部材521にピン連結されている。
また、一対の上段のリンク連結部材531とこれに対応する一対の上段土壌攪拌翼12aのそれぞれに、リンク部材63が渡し連結されており、リンク部材63の一端部が対応する土壌攪拌翼12aにピン連結されているとともに他端部がリンク連結部材531にピン連結されている。
図3、図4にはリンク部材62、63を鎖線で示してある。
【0069】
下段リング部材51は外輪郭が円形のものであるが、中段及び上段のリング部材52、53の外輪郭は、リンク部材61、62等との衝突防止のため円形輪郭の一部を切り欠いたものとなっている。
なお、係合部材50が下段リング部材51を兼ねていてもよい。
【0070】
以上説明したリンク駆動フレーム5の内側軸13に対する下降限度を決める第2ストッパ装置7が設けられている。
【0071】
第2ストッパ装置7は、図3、図4に示すように、リンク駆動フレーム5の第1係合部材50に係合する第2係合部材71と、前記第1連動機構のスライダ15より下方で内側軸13に回動不能に、しかし、前記キーKに沿って昇降可能に設けられた本例ではリング状の台部材72と、台部材72上に第2係合部材71を支持する支持柱73と、内側軸13に設けられたストッパ部材74を含んでいる。
【0072】
第2係合部材71は120度の中心角度間隔で3個設けられており、それぞれがリンク駆動フレーム5のリング形状の第1係合部材50の外周溝500に、内外軸13、14の回転中心線まわりに相対的に摺動可能に嵌まっている。従って支持柱73も各第2係合部材71に応じて合計3本、120度中心角度間隔で、しかし、土壌掘削刃ヘッド11の可動部112や可動部拡縮用リンク114を避ける位置に設けられている。
【0073】
各支持柱73は上端に前記第2係合部材71を支持しており、下端部が台部材72にボルトナットで固定されている。
ストッパ部材74は、土壌掘削刃11の固定部111上側のリング部材113上に設けられている。
【0074】
図1、図3及び図6(A)に示すように回転ヘッド1aが縮小状態におかれた状態では、リンク駆動フレーム5は、自重で落下しようとするが、リンク駆動フレーム5の外側軸に対する下降限度を規制するストッパ部材として作用する外側軸14の下端フランジ141に支持される。
【0075】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aが縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12aと共に内側軸13に対して下降すると、それとともに外側軸下端フランジ141に支持されたリンク駆動フレーム5も外側軸14と共に下降し、先ず、土壌掘削刃ヘッド11が開き始める。このように土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12aに先立って開き始める。
【0076】
外側軸14が内側軸13に対してさらに下降すると、それとともにリンク駆動フレーム5もさらに下降するが、この状態では未だリンク駆動フレーム5の第1係合部材50から吊り下げられた状態にある第2ストッパ装置7の昇降可能部分71〜73も共に下降する。そして、図6(B)のように第2ストッパ装置7の台部材72が内側軸上のストッパ部材74に当接することで、リンク駆動フレーム5が内側軸13に対する下降限度に配置される。この状態では土壌掘削刃ヘッド11は既に半開きの状態になっているが、土壌攪拌翼12aは未だ開いていない。
【0077】
さらに外側軸14が内側軸13に対し下降すると、外側軸下端フランジ141はリンク駆動フレーム5から離れてその下方へ下降する。そして、土壌攪拌翼12aも開き始め、最終的には土壌掘削刃ヘッド11が図6(C)に示すように開いて拡大姿勢をとり、土壌攪拌翼12aも拡大姿勢をとる。
【0078】
土壌攪拌翼12aの開き動作についてさらに説明すると、図6(B)のようにリンク駆動フレーム5が第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度に配置されてのち、さらに外側軸14が土壌攪拌翼12aとともに内側軸13に対して下降することで、リンク駆動フレーム5におけるリンク連結部材511〜513と土壌攪拌翼12aとに渡し連結されたリンク61〜63がリンク連結部材511〜513により相対的に下方から持ち上げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12aが上方へ回動して開き、拡大姿勢におかれる。
【0079】
いずれにしても図6(C)に示すように土壌掘削刃ヘッド11の拡大姿勢時の回転半径及び土壌攪拌翼12aの拡大姿勢時の回転半径は同程度であるが、図6(B)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12aの拡大途中半径は掘削刃ヘッド11の拡大途中半径を超えない。
【0080】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aが図6(C)のように拡大姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12aと共に内側軸13に対して上昇開始すると、それとともに土壌掘削刃ヘッド11が閉じ始め、土壌攪拌翼12aも閉じ始める。
【0081】
このとき、リンク駆動フレーム5は未だ第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度におかれたままであるから、そのリンク駆動フレーム5に対して外側軸13が土壌攪拌翼12aととともに上昇することになり、それにより、リンク駆動フレーム5におけるリンク連結部材511〜513と土壌攪拌翼12aとに渡し連結されたリンク61〜63がリンク連結部材511〜513により相対的に下方へ引っ張り力を受け、それにより土壌攪拌翼12aが下方へ回動して閉じ、縮小姿勢におかれる。
【0082】
さらに外側軸14が内側軸13に対して上昇することで外側軸下端フランジ141も上昇してリンク駆動フレーム5に下方から接触し始め、リンク駆動フレーム5及び第2ストッパ装置7の昇降部分71〜73が持ち上げられ始める(図6(B))。
【0083】
さらに外側軸14が上昇することで、図6(A)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11も閉じ、縮小姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12aに遅れて縮小姿勢におかれる。
【0084】
以上の説明から分かるように、リンク駆動フレーム5、リンク部材61〜63及び第2ストッパ装置7等は、外側軸14の内側軸12に対する昇降動作に連動させて土壌攪拌翼12aを縮小拡大させる第2連動機構を構成している。
【0085】
〔2〕回転ヘッド1aの支持駆動装置2について。
回転ヘッド支持駆動装置2は、図1、図2に示すように、
内側軸13を支持することで掘削刃ヘッド11を支持するとともに該掘削刃ヘッド11を土壌掘削方向に回転駆動する掘削刃ヘッド支持駆動部21、
外側軸14を支持して内側軸13に対し昇降させることで掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを縮小拡大させる外側軸支持昇降駆動部3、
外側軸14を回転駆動する外側軸回転駆動部22等を含んでいる。
【0086】
掘削刃ヘッド支持駆動部21は、内側軸13に嵌合され、ピン状キーKa(図6参照)の挿入により該内側軸に接続された内側中間軸130及び該中間軸130をボックス継ぎ手20(図9も参照)等を介して回転駆動するモータM1等からなっている。
【0087】
さらに説明すると、中間軸130は図9に示すように中空管軸からなり(内側軸13も中空管軸である)、その上端がボックス継ぎ手20の下側部材202に接続されている。そしてボックス継ぎ手20の上側部材201の断面形状6角形の上端部201’が、図1、図2に示すように、モータM1の回転軸msとの継ぎ手200の断面形状6角形穴に差し込まれ、キーK1で抜け止めされている。
【0088】
ボックス継ぎ手20の下側部材202は断面形状6角形であり、上側部材201の下端部の断面形状6角形の穴に内嵌され、キーK2で抜け止めされている。かくして、内側軸13は中間軸130、ボックス継ぎ手20等を介してモータM1に支持されており、モータM1を運転することで、ボックス継ぎ手20を介して内側中間軸130及び内側軸13を回転させ、掘削刃ヘッド11を土壌掘削方向に回転駆動することができる。
【0089】
外側軸回転駆動部22は、外側軸14に接続された筒状の外側中間軸140、ギアボックスGB、モータM2等からなっている。
さらに説明すると、ギアボックスGBはモータM1に一対の油圧作動のピストンシリンダ装置PCにて吊り下げ支持されている。ギアボックスGB内には大歯車G1が回転可能に設けられており、これに前記の外側中間軸140の上端が接続固定されている。またギアボックスGB内には大歯車G1に噛み合う小歯車G2が設けられており、これはボックスGBに搭載されたモータM2にて正逆回転駆動可能である。掘削刃ヘッド駆動軸(内側軸)13に接続された内側中間軸130やボックス継ぎ手20はギアボックスGB及びその中の大歯車G1を貫通でき、それらに対し回転可能且つ昇降可能となっている。
【0090】
モータM2を運転することで、小歯車G2を回し、さらには大歯車G1回転させて中間軸140及び外側軸14を回し、それにより土壌攪拌翼12aを掘削刃ヘッド11の土壌掘削方向回転と同方向にも反対方向にも回転駆動することができる。
【0091】
各ピストンシリンダ装置PCは図示省略の油圧回路に接続されており、全体的に伸長又は短縮動作させることができる。各ピストンシリンダ装置PCを伸長させると、図2に示すように、ギアボックスGB及び大歯車G1並びに該歯車に接続された中間軸140及びこれに接続支持された外側軸14を内側軸13に対し下降させることができ、それにより、図4に示すように、掘削刃ヘッド拡縮用のスライダ15を下降させて掘削刃ヘッド11を拡大させることができる。各土壌攪拌翼12aも拡大させることができる。
【0092】
一方、各ピストンシリンダ装置PCを縮めると、図1に示すように、ギアボックスGB及び大歯車G1並びに該歯車に接続された中間軸140及びこれに接続支持された外側軸14を内側軸13に対し上昇させることができ、それにより掘削刃ヘッド拡縮用のスライダ15を上昇させて掘削刃ヘッド11を縮小させることができる。各土壌攪拌翼12aも縮小させることができる。
このことから分かるように、ピストンシリンダ装置PC、ギアボックスGB、外側中間軸140等は、外側軸支持昇降駆動部3を構成している。
【0093】
以上説明したように、回転ヘッド支持駆動装置2は、回転ヘッド1の掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを、回転半径方向に拡大された拡大姿勢として、該掘削刃ヘッド11を土壌掘削方向に、土壌攪拌翼12aを該掘削刃ヘッドと同方向又は反対方向に回転駆動することができる。
【0094】
また、掘削刃ヘッド11は内側軸13、内側中間軸130及びボックス継ぎ手20を介してモータM1に支持されている。土壌攪拌翼12は外側軸14、外側中間軸140、大歯車G1、ギアボックスGB、ピストンシリンダ装置PCを介してモータM1に支持されている。
【0095】
そしてモータM1の背面には、図10に示すようにスライダSLが固定されており、このスライダSLは自走車Vに搭載された支柱CL上のレールRLに沿って昇降できる。また、外側中間軸140が支柱CLから突出する軸受け部SPにて回転可能、昇降可能に支持される。さらに、モータM1の頂部には滑車装置m1が搭載されており、この滑車装置m1と支柱上の滑車装置m2及び図示省略のウインチ等によってモータM1を、従って回転ヘッド1等を昇降させることができる。すなわち支柱CL、スライダSL、軸受け部SP、滑車装置m1、m2等は回転ヘッド支持駆動装置2を昇降させる装置を構成している。支柱CLは自走車V上の油圧作動のピストンシリンダ装置VPCにより姿勢制御できる。
【0096】
〔3〕土壌処理用添加物供給装置4について
添加物供給装置4は、図1、図2及び図9に示すように、モータM1の回転軸ms部分に設けられたそれ自体は既に知られているスイベル装置31及びボックス継ぎ手20の上側部材201の中間部に設けられたそれ自体は既に知られているスイベル装置32を含んでいる。
【0097】
スイベル装置31は、モータ回転軸msに相対的に回転可能に外嵌されてモータM1に固設された筒部材311の内周面に環状凹溝311aを形成し、該凹溝の一か所を筒部材311の外周面へ貫通させ、そこに第1添加物供給ホースH1を接続する一方、モータ回転軸ms中に一端が環状凹溝311aに臨み、他端がボックス継ぎ手20の上側部材201の上端201’に臨む添加物流通孔312を形成したものである。
【0098】
ボックス継ぎ手20の上側部材201及び下側部材202にはモータ回転軸の添加物流通孔312に連通する孔2011、2021が貫通している。下側部材202の孔2021には第1添加物の流通管P1が接続され、これは内側中間軸130及び内側軸13中を通って掘削刃ヘッド11の第1添加物吐出口111aに接続されている(図1及び図2も参照)。
【0099】
スイベル装置32は、ボックス継ぎ手20の上側部材201の中間部分に上下のベアリングBRを介して相対的に回転可能に外嵌する筒状部材321の内周面に上側環状凹溝321a及び下側環状凹溝321bを形成し、上側凹溝321aの一か所を筒状部材321の外周面へ貫通させ、そこに第2添加物供給ホースH2を接続するとともに、下側凹溝321bの一か所を筒状部材321の外周面へ貫通させ、そこに第3添加物供給ホースH3を接続する一方、上側部材201の中間部分に、一端が環状凹溝321a、321bに臨み、他端が下側部材202の上端に臨む添加物流通孔322、323をそれぞれ形成したものである。
【0100】
ボックス継ぎ手20の下側部材202には上側部材201中の添加物流通孔322、323にそれぞれ連通する孔2022、2023が貫通している。下側部材202の孔2022、2023には第2、第3の添加物の流通管P2、P3がそれぞれ接続され、これは中間軸130及び掘削刃ヘッド駆動軸13中を通って掘削刃ヘッド11の第2、第3の添加物吐出口111b、111cにそれぞれ接続されている(図1及び図2も参照)。
なおボックス継ぎ手20におけるSR1、SR2、SR3は添加物の漏れを防止するシールリングである。
【0101】
〔4〕土壌処理装置Aによる土壌処理について。
土壌処理装置Aは自走車Vに搭載されて、例えば、図10及び図11(A)に示すように処理対象土壌層90上方の地表91の上に配置される。
このとき掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aは、図1及び図3にも示すようにピストンシリンダ装置PCを縮めて、回転ヘッド1aにおける外側軸14を内側軸13に対し上昇させておくことで縮小姿勢としておく。すなわち回転ヘッド1の全体を縮小状態にしておく。
【0102】
次いで回転ヘッド1aの掘削刃ヘッド11をモータM1により土壌掘削方向に回転駆動するとともに土壌攪拌翼12aもモータM2によりヘッド11と、本例では同方向に、略同回転速度で回転駆動し、回転ヘッド1a全体を下降させる。なお、このとき、土壌攪拌翼12aは、支障がなければ、掘削刃ヘッド11とは反対方向に回転させてもよいし、同方向に、且つ、ヘッド11とは異なる回転速度で回転させてもよい。
かくして図11(B)に示すように、回転ヘッド1を地表91から処理対象土壌層90へ向けて、途中の土壌9をそれがある位置で掘削し、攪拌し、ほぐしながら進入させる。この掘削、攪拌しながらのヘッド進入は、掘削刃ヘッド11の例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ水等を注入しながら行ってもよい。
【0103】
回転ヘッド1aが処理対象土壌層90に到達すると、そこで、ピストンシリンダ装置PCを伸長させることで、回転ヘッド1aにおける外側軸14を内側軸13に対し下降させ、それにより掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを拡大状態に移行させ、拡大姿勢におき、土壌処理に供する。
【0104】
すなわち、拡大姿勢へ移りつつある掘削刃ヘッド11及び拡大姿勢とされた掘削刃ヘッド11をモータM1で土壌掘削方向に回転させるとともに、拡大姿勢へ移りつつある土壌攪拌翼12a及び拡大姿勢におかれた土壌攪拌翼12aをモータM2で、土壌掘削方向とは反対方向(掘削刃ヘッド11とは反対方向)に回転させ、土壌を十分攪拌等できるようにする。
【0105】
このとき、掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aの拡大は、図6に示す手順で拡大する。すなわち、図6(B)に示すように、先ず、掘削刃ヘッド11が開き始め、その後に土壌攪拌翼12が開き始め、最終的には図6(C)のように掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aが拡大姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12aの拡大途中半径は土壌掘削刃ヘッド11の拡大途中半径より小さく維持される。従って、未だ土壌掘削刃ヘッド11により掘削されていない土壌部分に、土壌掘削刃ヘッド11に先行して土壌攪拌翼12aが接触して損傷するといった事態の発生を抑制することができ、それだけ安全である。
【0106】
かくして図11(C)に示すように回転ヘッド1aは前記進入時よりも拡大された、従ってより広い範囲にわたり掘削等できる状態で、処理対象土壌をそれがある位置で掘削し、攪拌できる。
この作業も、掘削刃ヘッド11の例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ水等を注入しながら行ってもよい。
【0107】
そして、処理対象土壌層90においては、土壌の状態に応じて、すなわち、例えば汚染土壌の浄化処理においては土壌の汚染状態等に応じて、掘削刃ヘッド11の第1、第2及び第3の添加物吐出口111a、111b及び111cのうち少なくとも一つから少なくとも1種類の汚染土壌処理用の添加物(主として土壌浄化用の薬液)を土壌中へ注入し、該添加物と土壌を混合攪拌する。その後必要に応じ例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ土壌処理用添加物の1種としての土壌固化材(例えばセメント系固化材)を注入し、それと土壌を混合攪拌して汚染土壌の処理処理を完了する。
【0108】
また、地盤の改良処理においては、土壌の状態(例えば軟弱の程度)等に応じて、例えば掘削刃ヘッド11の第1、第2及び第3の添加物吐出口111a、111b及び111cのうち少なくとも一つから少なくとも1種類の地盤改良用の土壌処理用添加物(例えばセメント系固化材等)を土壌中へ注入し、該添加物と土壌を混合攪拌して土壌を改良する。
なお、土壌層90の処理においては、必要に応じ、回転ヘッド1aを該層90中で繰り返し昇降させてもよい。
【0109】
このようにして処理対象土壌層90の1箇所の処理が完了すると、その後は、ピストンシリンダ装置PCを縮めることで回転ヘッド1aにおける外側軸14を内側軸13に対して上昇させ、掘削刃ヘッド11を縮小姿勢におくとともに土壌攪拌翼12aも縮小姿勢として該姿勢を維持し、このように回転ヘッド1を縮小姿勢とした状態で、掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを共に回転させつつ、処理された土壌から地表91へ向け途中の土壌9を該土壌がある位置で攪拌しながら、さらに、必要に応じ、例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ土壌処理用添加物の1種としての土壌固化材を注入し、それと土壌とを混合攪拌しながら、退出させる。
【0110】
このようにして一か所の土壌処理が終了すると、次の土壌処理箇所へ移り、そこでの土壌を処理し、最終的には、それには限定されないが例えば隣合う土壌処理箇所が一部重なりあうように処理対象土壌層全体を処理する。
このように処理された土壌の上には例えば家屋等を構築して安全に使用することができる。
【0111】
前記の処理対象土壌層90の各箇所での処理における添加物の投入タイミングについては、その箇所での土壌層90の一通りの掘削、攪拌が終わったあとでもよいが、土壌層90の掘削、攪拌処理の進行中に添加物の添加を開始してもよい。要するに土壌を処理できる適当なタイミングを選んで添加すればよい。
【0112】
添加物と土壌の混合攪拌は回転ヘッド1aを回転させることで行うが、かかる混合攪拌のタイミングについても、土壌と添加物の混合攪拌を行うに支障のないタイミングであればよく、代表的には、回転ヘッド1を回転させつつ添加物を添加して混合攪拌を行えばよい。
また、添加物の態様としては、液体や液状のものに限定されるものではなく、粉体添加物でもよく、場合によってはガス添加物その他でもよい。粉体添加物は例えば空気搬送により供給することができる。
【0113】
以上説明した土壌処理装置Aによる土壌処理においては、土壌を地上へ搬出する必要がなく、地表91から土壌層90にいたるまでの土壌9を殆ど地中にとどめておくことができるとともに処理対象土壌をそれがある原位置で処理することができ、従来の汚染土壌浄化処理のように土壌を地上へ搬出し、処理後に埋め戻す方法と比べると、少ない工数、短い工期で、簡単安価に土壌を処理できる。また、作業の無駄、土壌処理用添加物の無駄等の無駄無く、それだけ安価に土壌を処理できる。
【0114】
さらに、回転ヘッド1は回転半径方向に拡縮可能であり、土壌層90へ向けて進入させるとき、及び処理された土壌91から地上へ退出させるときには、縮小状態に設定でき、従って、処理する必要のない地表、或いは地表及びその近傍の土壌9について徒に掘削、攪拌することがない一方、土壌層90においては回転ヘッド1aを拡大状態に設定でき、それにより広い範囲にわたり効率よく土壌を処理でき、これらにより、表層土壌或いは表層土壌及びその近傍の土壌9についてはその地盤強度をできるだけ確保しつつより深層の土壌を処理できる。
【0115】
また、土壌処理装置Aによると、回転ヘッド1aの外側軸14の内側軸13に対する昇降駆動を外側軸昇降駆動部3により行うことができるので、例えば地上において、回転ヘッド1aにおける外側軸14の内側軸13に対する昇降量を制御、管理することができ、それにより、土壌掘削刃ヘッド11の拡縮状態は勿論のこと、土壌攪拌翼12aの拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を確実に行える。
【0116】
また、土壌処理装置Aでは土壌攪拌翼12aを拡縮させる機構が従来装置のように外側軸14の外部から内部にわたって構成されているというものではなく、外側軸14の外部に構成されているので、拡縮機構を通じて外側軸内部まで土砂が侵入してくるおそれはなく、それだけ、従来装置より長期にわたり動作信頼性が確保され、また、点検作業も容易である。
【0117】
また、内側軸13には侵入土砂排除用羽根131が形成されているので、この点でも動作信頼性が高い。
【0118】
さらに、土壌処理装置Aにおいては、添加物の供給を三つの供給経路を用いて行えるので、各添加物の供給経路を明確化でき、添加物供給におけるトラブルやメインテナンス等への対応が容易である、という利点もある。
【0119】
なお、土壌処理装置Aによる土壌処理においては、必要に応じ、回転ヘッド1aを地上へ一旦退出させ、処理対象土壌をサンプリングして(試料として採取して)土壌処理状態を検査することができる。このとき、回転ヘッド1aを縮小状態として地上へ退出させる。土壌処理のために再び回転ヘッドを処理対象土壌層へ進入させ、さらなる土壌処理を行うときの手順は当初の回転ヘッド進入等の手順と同様である。
【0120】
〔5〕本発明に係る土壌処理装置の他の例
図12、図14及び図16にそれぞれ本発明に係る土壌処理装置の他の例B、C及びDを示す。
【0121】
<図12の土壌処理装置B>
図12の土壌処理装置Bは土壌処理装置Aと同様に回転ヘッド1bを含んでいる。回転ヘッド1bは、装置Aのものと同じ土壌掘削刃ヘッド11及び装置Aのものとは若干異なるが、上下3段の、平面から見て中心角度を順次60度ずらした対土壌攪拌翼12bを含んでいる。また、装置Bは装置Aのものとは異なるリンク駆動フレーム5bを含んでいる。
【0122】
リンク駆動フレーム5bの外側軸14に対する下降限度を規制するストッパ部材として外側軸下端フランジ141を採用し、リンク駆動フレーム5bの内側軸13に対する下降限度を規制するストッパ装置として装置Aにおけるものと同じ第2ストッパ装置7を採用する点等は装置Aと同じであり、装置Bにおいて装置Aと同じ部分、部品には装置Aと同じ符号を付してある。
【0123】
リンク駆動フレーム5bは、図13に示すように、装置Aのリンク駆動フレーム5と同様に外側軸下端フランジ141の上側で外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されており、リンク駆動フレーム5と同様に、外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されたリング形状の第1係合部材50を含んでいる。
【0124】
リンク駆動フレーム5bは第1係合部材50に加え、それに固定された基礎リング部材50’、その上方の3段のリング部材51’、52’、53’を含んでいる。これらリング部材51’〜53’は3段の土壌攪拌翼12bにそれぞれ対応して設けられており、それぞれ外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0125】
下段リング部材51’は基礎リング部材50’に立設した支持柱500’に支持されており、中段リング部材52’は下段リング部材51’に立設した支持柱510’に支持されており、上段リング部材53’は中段リング部材52’に立設した支持柱520’に支持されており、全体として、第1係合部材50、基礎リング部材50’、リング部材51’〜53’及び支持柱500’、510’、520’は一体化され、リンク駆動フレーム5bとして外側軸14に対し昇降可能である。
【0126】
下段リング部材51’には一対の下段土壌攪拌翼12bに対応させてリンク連結部材511’が、中段リング部材52’には一対の中段土壌攪拌翼12bに対応させてリンク連結部材521’が、上段リング部材53’には一対の上段土壌攪拌翼12bに対応させてリンク連結部材531’がそれぞれ設けられている。
【0127】
さらに言えば、各段リング部材のリンク連結部材は180度の中心角度間隔で2個(一対)設けられており、下段と中段のリンク連結部材511’と521’は中心角度にして60度ずれており、中段と上段のリンク連結部材521’と531’も中心角度にして60度ずれている。また、支持柱500’及びリング部材間の支持柱510’、520’は、リンク連結部材位置からずらして、平面から見て隣り合うリンク連結部材の間に配置されており、120度中心角度間隔で配置されている。
【0128】
図13に示すように、一対の下段のリンク連結部材511’とこれに対応する一対の下段土壌攪拌翼12bのそれぞれに、リンク機構として本例ではリンク部材61’が渡し連結されている。リンク部材61’の一端部(図13中の上端部)がリンク連結部材511’にピン連結されており、リンク部材61’の他端部(図13中の下端部)が土壌攪拌翼12bの支持部120’での回動支点ピン12P’より若干自由端部寄りの部位にピン連結されている。
【0129】
同様に、一対の中段のリンク連結部材521’とこれに対応する一対の中段土壌攪拌翼12bのそれぞれに、リンク部材62’が渡し連結されており、リンク部材62’の一端部がリンク連結部材521’にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12bにピン連結されている。
また、一対の上段のリンク連結部材531’とこれに対応する一対の上段土壌攪拌翼12bのそれぞれに、リンク部材63’が渡し連結されており、リンク部材63’の一端部がリンク連結部材531’にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12bにピン連結されている。
図13にはリンク部材62’、63’を鎖線で示してある。また、図13には中段及び上段の土壌攪拌翼の回動支点高さ位置12b’を鎖線で示してある。
【0130】
上段リング部材53’は外輪郭が円形のものであるが、中段及び下段のリング部材52’、51’の外輪郭は、リンク部材63’、62’等との衝突防止のため円形輪郭の一部を切り欠いたものとなっている。
なお、係合部材50が基礎リング部材50’を兼ねていてもよい。
【0131】
図12(A)に示すように回転ヘッド1bが縮小状態におかれた状態では、リンク駆動フレーム5bは外側軸14の下端フランジ141に支持されている。
【0132】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12bが縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12bと共に内側軸13に対して下降すると、リンク駆動フレーム5bも下降し、先ず、土壌掘削刃ヘッド11が開き始める。このように土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12bに先立って開き始める。
【0133】
外側軸14が内側軸13に対してさらに下降すると、図12(B)のように第2ストッパ装置7の台部材72が内側軸上のストッパ部材74に当接することで、リンク駆動フレーム5bが内側軸13に対する下降限度に配置される。この状態では土壌掘削刃ヘッド11は既に半開きの状態になっているが、土壌攪拌翼12bは未だ開いていない。
【0134】
さらに外側軸14が内側軸13に対し下降すると、土壌攪拌翼12bも開き始め、最終的には土壌掘削刃ヘッド11が図12(C)に示すように開いて拡大姿勢をとり、土壌攪拌翼12bも拡大姿勢をとる。
【0135】
土壌攪拌翼12bの開き動作についてさらに説明すると、図12(B)のようにリンク駆動フレーム5bが第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度に配置されてのち、さらに外側軸14が土壌攪拌翼12bとともに内側軸13に対して下降することで、リンク駆動フレーム5bにおけるリンク連結部材511’〜531’と土壌攪拌翼12bとに渡し連結されたリンク61’〜63’がリンク連結部材511’〜531’により相対的に上方へ吊り上げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12bが上方へ回動して開き、拡大姿勢におかれる。
【0136】
いずれにしても図12(C)に示すように土壌掘削刃ヘッド11の拡大姿勢時の回転半径及び土壌攪拌翼12bの拡大姿勢時の回転半径は同程度であるが、図12(B)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12bのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12bの拡大途中半径は掘削刃ヘッド11の拡大途中半径を超えない。
【0137】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12bが図12(C)のように拡大姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12bと共に内側軸13に対して上昇開始すると、それとともに土壌掘削刃ヘッド11が閉じ始め、土壌攪拌翼12bも閉じ始める。
【0138】
このとき、リンク駆動フレーム5bは未だ第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度におかれたままであるから、そのリンク駆動フレーム5bに対して外側軸13が土壌攪拌翼12bとともに上昇することになり、それにより、リンク駆動フレーム5bにおけるリンク連結部材511’〜531’と土壌攪拌翼12bとに渡し連結されたリンク61’〜63’がリンク連結部材511’〜531’により相対的に下方へ押し下げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12bが下方へ回動して閉じ、縮小姿勢におかれる。
【0139】
さらに外側軸14が内側軸13に対して上昇することで外側軸下端フランジ141も上昇してリンク駆動フレーム5bに下方から接触し始め、リンク駆動フレーム5b及び第2ストッパ装置7の昇降部分71〜73が持ち上げられ始める(図12(B))。
【0140】
さらに外側軸14が上昇することで、図12(A)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11も閉じ、縮小姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12bに遅れて縮小姿勢におかれる。
【0141】
<図14の土壌処理装置C>
図14の土壌処理装置Cは土壌処理装置Aと同様に回転ヘッド1cを含んでいる。回転ヘッド1cは、装置Aのものと同じ土壌掘削刃ヘッド11及び装置Aのものとは拡縮の回動方向が異なる上下3段の、平面から見て中心角度を順次60度ずらした対土壌攪拌翼12cを含んでいる。また、装置Cは装置Aのものとは異なるリンク駆動フレーム5cを含んでいる。
【0142】
リンク駆動フレーム5cの外側軸14に対する下降限度を規制するストッパ部材として外側軸下端フランジ141を採用し、リンク駆動フレーム5cの内側軸13に対する下降限度を規制するストッパ装置として装置Aにおけるものと同じ第2ストッパ装置7を採用する点等は装置Aと同じであり、装置Cにおいて装置Aと同じ部分、部品には装置Aと同じ符号を付してある。
【0143】
リンク駆動フレーム5cは、図15に示すように、装置Aのリンク駆動フレーム5と同様に外側軸下端フランジ141の上側で外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されており、リンク駆動フレーム5と同様に、外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されたリング形状の第1係合部材50を含んでいる。
【0144】
リンク駆動フレーム5cは第1係合部材50に加え、それに固定された基礎リング部材50”、その上方の3段のリング部材51”、52”、53”を含んでいる。これらリング部材51”〜53”は3段の土壌攪拌翼12cにそれぞれ対応して設けられており、それぞれ外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0145】
下段リング部材51”は基礎リング部材50”に立設した支持柱500”に支持されており、中段リング部材52”は下段リング部材51”に立設した支持柱510”に支持されており、上段リング部材53”は中段リング部材52”に立設した支持柱520”に支持されており、全体として、第1係合部材50、基礎リング部材50”、リング部材51”〜53”及び支持柱500”、510”、520”は一体化され、リンク駆動フレーム5cとして外側軸14に対し昇降可能である。
【0146】
下段リング部材51”には一対の下段土壌攪拌翼12cに対応させてリンク連結部材511”が、中段リング部材52”には一対の中段土壌攪拌翼12cに対応させてリンク連結部材521”が、上段リング部材53”には一対の上段土壌攪拌翼12cに対応させてリンク連結部材531”がそれぞれ設けられている。
【0147】
さらに言えば、各段リング部材のリンク連結部材は180度の中心角度間隔で2個(一対)設けられており、下段と中段のリンク連結部材511”と521”は中心角度にして60度ずれており、中段と上段のリンク連結部材521”と531”も中心角度にして60度ずれている。また、支持柱500”及びリング部材間の支持柱510”、520”は、リンク連結部材位置からずらして、平面から見て隣り合うリンク連結部材の間に配置されており、120度中心角度間隔で配置されている。
【0148】
図15に示すように、一対の下段のリンク連結部材511”とこれに対応する一対の下段土壌攪拌翼12cのそれぞれに、リンク機構として本例ではリンク部材61”が渡し連結されている。リンク部材61”の一端部(図15中の上端部)がリンク連結部材511”にピン連結されており、リンク部材61”の他端部(図15中の下端部)が土壌攪拌翼12cの支持部120”での回動支点ピン12P”を間にして自由端部とは反対側部位にピン連結されている。
【0149】
同様に、一対の中段のリンク連結部材521”とこれに対応する一対の中段土壌攪拌翼12cのそれぞれに、リンク部材62”が渡し連結されており、リンク部材62”の一端部がリンク連結部材521”にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12cにピン連結されている。
また、一対の上段のリンク連結部材531”とこれに対応する一対の上段土壌攪拌翼12cのそれぞれに、リンク部材63”が渡し連結されており、リンク部材63”の一端部がリンク連結部材531’にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12cにピン連結されている。
図15にはリンク部材62”、63”を鎖線で示してある。また、図15には中段及び上段の土壌攪拌翼の回動支点高さ位置12c’を鎖線で示してある。
【0150】
各段リング部材はリンク部材等との衝突防止のため必要に応じ円形輪郭の一部を切り欠いたものとされる。
なお,係合部材50は基礎リング部材50”を兼ねていてもよい。
【0151】
図14(A)に示すように回転ヘッド1cが縮小状態におかれた状態では、リンク駆動フレーム5cは外側軸14の下端フランジ141に支持されている。
【0152】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12cが縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12cと共に内側軸13に対して下降すると、リンク駆動フレーム5cも下降し、先ず、土壌掘削刃ヘッド11が開き始める。このように土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12cに先立って開き始める。
【0153】
外側軸14が内側軸13に対してさらに下降すると、図14(B)のように第2ストッパ装置7の台部材72が内側軸上のストッパ部材74に当接することで、リンク駆動フレーム5cが内側軸13に対する下降限度に配置される。この状態では土壌掘削刃ヘッド11は既に半開きの状態になっているが、土壌攪拌翼12cは未だ開いていない。
【0154】
さらに外側軸14が内側軸13に対し下降すると、土壌攪拌翼12cも開き始め、最終的には土壌掘削刃ヘッド11が図14(C)に示すように開いて拡大姿勢をとり、土壌攪拌翼12cも拡大姿勢をとる。
【0155】
土壌攪拌翼12cの開き動作についてさらに説明すると、図14(B)のようにリンク駆動フレーム5cが第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度に配置されてのち、さらに外側軸14が土壌攪拌翼12cとともに内側軸13に対して下降することで、リンク駆動フレーム5cにおけるリンク連結部材511”〜531”と土壌攪拌翼12cとに渡し連結されたリンク61”〜63”がリンク連結部材511”〜531”により相対的に上方へ引っ張り力を受け、それにより土壌攪拌翼12cが下方へ回動して開き、拡大姿勢におかれる。
【0156】
いずれにしても図14(C)に示すように土壌掘削刃ヘッド11の拡大姿勢時の回転半径及び土壌攪拌翼12c の拡大姿勢時の回転半径は同程度であるが、図14(B)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12cのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12cの拡大途中半径は掘削刃ヘッド11の拡大途中半径を超えない。
【0157】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12cが図14(C)のように拡大姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12cと共に内側軸13に対して上昇開始すると、それとともに土壌掘削刃ヘッド11が閉じ始め、土壌攪拌翼12cも上昇回動で閉じ始める。
【0158】
このとき、リンク駆動フレーム5cは未だ第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度におかれたままであるから、そのリンク駆動フレーム5cに対して外側軸13が土壌攪拌翼12cとともに上昇することになり、それにより、リンク駆動フレーム5cにおけるリンク連結部材511”〜531”と土壌攪拌翼12cとに渡し連結されたリンク61”〜63”がリンク連結部材511”〜531”により相対的に下方へ押し下げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12cが上方へ回動して閉じ、縮小姿勢におかれる。
【0159】
さらに外側軸14が内側軸13に対して上昇することで外側軸下端フランジ141も上昇してリンク駆動フレーム5cに下方から接触し始め、リンク駆動フレーム5c及び第2ストッパ装置7の昇降部分71〜73が持ち上げられ始める(図14(B))。
【0160】
さらに外側軸14が上昇することで、図14(A)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11も閉じ、縮小姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12cに遅れて縮小姿勢におかれる。
【0161】
<図16の土壌処理装置D>
図16の土壌処理装置Dは土壌処理装置Cにおいて回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッドを若干変更し、内側軸下端部のストッパ部材74をそれより若干厚い(背高い)ストッパ部材74’に変更したものである。それ以外の点は土壌処理装置Cと同じであり、装置Dにおいて装置Cや装置Aと同じ部分、部品には装置Aと同じ符号を付してある。
【0162】
装置Dでは、土壌掘削刃ヘッド11の可動部112の一端部が(根元部分)がスライダ15の掘削刃ヘッド連結部材151に回動可能にピン連結されており、この可動部112と固定部111上側のリング部材113とにリンク114’が渡し連結されている。リンク114’はその一端部が可動部112にピン連結され、他端部がリング部材113にピン連結されている。
【0163】
かくして、16(A)に示すように回転ヘッド1dが縮小状態におかれ、土壌掘削刃ヘッド11が縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が内側軸13に対して下降すると、スライダ15も下降し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が上方へ回動し、図16(B)の開き途中状態を経て図16(C)に示すように開き、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に拡大した姿勢をとることができる。
【0164】
この拡大状態から外側軸14が内側軸13に対して上昇すると、スライダ15も上昇し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が下方へ回動して閉じ、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に縮小した姿勢をとることができる。
土壌攪拌翼12cの拡縮動作は土壌処理装置Cの場合と同じである。
【0165】
以上説明した土壌処理装置B〜Dも土壌処理装置Aと同様に土壌処理に供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、重金属等で汚染されている汚染土壌を無害化処理したり、軟弱地盤を構造物構築に適する地盤に改良する等の土壌処理に利用できる。
【符号の説明】
【0167】
A、B、C、D 土壌処理装置
1a、1b、1c、1d 回転ヘッド
11 土壌掘削刃ヘッド
11x、11y 土壌掘削刃
111 固定部
112 可動部
113 リング部材
114、114’ リンク
12a、12b、12c 土壌攪拌翼
13 内側軸
14 外側軸
141 外側軸下端フランジ(第1トッパ装置の1例)
15 スライダ
2 回転ヘッドの支持駆動装置
4 土壌処理用添加物の添加装置
21 掘削刃ヘッド支持駆動部
22 外側軸回転駆動部
130 内側中間軸
140 外側中間軸
3 外側軸支持昇降駆動部
4 土壌処理用添加物供給装置
5、5b、5c リンク駆動フレーム
50 第1係合部
50’、50” 基礎リング部材
51、51’、51” 下段リング部材
52、52’、52” 中段リング部材
53、53’、53” 上段リング部材
511’、511”、511” 下段リンク連結部材
521’、521”、521” 中段リンク連結部材
531’、531”、531” 上段リンク連結部材
61’、62’、63’ リンク部材
7 第2ストッパ装置 71 第2係合部材
72 台部材
73 支持柱
【技術分野】
【0001】
本発明は重金属等で汚染されている汚染土壌を無害化処理したり、軟弱地盤を構造物構築に適する地盤に改良する等の土壌処理に用いる土壌処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場跡地やゴミ処理場近辺の土地の土壌は重金属等で汚染されている場合がある。このように汚染された土地を住宅地、学校等の各種施設などに転用する場合、汚染土壌に含まれる汚染物質による人体への悪影響に十分注意を払わなければならない。
【0003】
こうした汚染土壌を有する土地を利用する場合、次のような方法で土壌を無害化する土壌処理が行われてきた。すなわち、汚染土壌を含む土地を1又は2以上に区画化し、各区画においてそれを囲む土留め壁(乃至遮水壁)を土中に構築し、該土留め壁(乃至遮水壁)で囲まれた土壌を掘削して地上へ取り出し、予め準備された地上のコンクリート枠壁等で囲まれた土壌処理用の場所へ運搬移入し、そこで該土壌に土壌処理用の添加物を添加し、撹拌して無害化処理したのち、このように処理された土壌を再びもとの位置へ埋め戻していた。
【0004】
また、かかる汚染土壌の浄化処理ではないが、軟弱地盤等の改良にあたっては、地上から改良処理対象土壌層へ向けて回転掘削ヘッドにて掘削、進行し、処理対象土壌層において該回転掘削ヘッドを介して土壌処理用添加物の添加を行い、該ヘッドを用いて該添加物と土壌との混合攪拌等の処理を行い、その後に回転掘削ヘッドを地上へ戻すことも行われいた。
【0005】
しかし、かかる汚染土壌処理によると、
(1)汚染された土壌を土留め壁(乃至遮水壁)を構築して掘り起こし、地上へ搬出しなければならず、地上には汚染土壌処理用の場所を設けなければならず、これらの作業は大がかりとなり、さらに地上への汚染土壌の搬出、土壌処理場所への汚染土壌の搬入、処理後の土壌の埋め戻し等に種々の土壌運搬、搬送用機器も必要となり、全体として、工数が増え、工期が長くなり、ひいては工費が高くつく。
(2)処理すべき汚染土壌は地表やそれに近い位置よりも深い位置にあることが多いが、処理する必要のない表層土壌までも掘り起こし、再び埋め戻さなければならない。従ってそれだけ作業や使用添加物等の無駄が多くなり、ひいては工費が無駄に、余分にかかってしまう。
(3)処理する必要のない安定地盤状態にある表層土壌までも掘り起こし、埋め戻すことになるので、埋め戻し後の土地表層での十分な地盤強度が得られなくなる。この問題を解消しようとすると、所定の地盤強度を得るために添加物としてセメント系固化材等を多く添加することが必要となり、それだけコスト高となる。
【0006】
また、軟弱地盤の改良処理等の場合においても、処理対象土壌は地表やそれに近い位置よりも深い位置にあることが多いが、その場合、回転掘削ヘッドが本来処理する必要のない安定地盤状態にある表層土壌或いは該表層土壌及びその近傍の土壌を通って処理対象土壌層まで掘削、進行し、処理後再び該表層土壌或いは該表層土壌及びその近傍の土壌を通って地上へ戻され、これにより、処理対象土壌層における回転掘削ヘッドによる土壌処理半径と同半径でもって表層土壌層等まで広範囲に掘削されることになり、その結果土地表層での十分な地盤強度が得られなくなる。この問題を解消しようとすると、所定の地盤強度を得るために添加物としてセメント系固化材等を多く添加することが必要となり、それだけコスト高となる。
【0007】
そこで、特許第3645185号公報や特許第4560459号公報には、土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに、土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置を用いる土壌処理が提案されている。
【0008】
特許第3645185号公報や特許第4560459号公報で提案されている土壌処理では、前記回転ヘッドの掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をともに縮小状態として地上から処理対象土壌層へ向けて、土壌を掘進し、該回転ヘッドが処理対象土壌層に到達すると、該掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をともに拡大状態として処理対象土壌層の土壌を処理し(土壌掘削及び攪拌並びに土壌処理用添加物の土壌中への注入及び土壌との混合)、土壌処理後は、再び掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をともに縮小状態として地上へ向けて退出させるようにしている。
【0009】
この土壌処理によると、土壌処理作業において土壌を地上へ搬出する必要がなく、土壌を殆ど地中にとどめておくことができるとともに処理対象土壌をそれがある原位置で処理することができ、例えば旧来の、土壌を地上へ搬出し、処理後に埋め戻す汚染土壌処理と比べると、少ない工数、短い工期で、簡単安価に汚染土壌を処理できる。また、旧来の汚染土壌処理と比べると、作業の無駄、土壌処理用添加物の無駄等の無駄無く、それだけ安価に汚染土壌を処理できる。
【0010】
また、回転ヘッドは回転半径方向に拡縮可能であり、処理対象土壌層へ向けて掘進するとき、及び処理された土壌層から地上へ退出するときには、縮小状態に設定でき、従って、処理する必要のない地表、或いは地表及びその近傍の土壌について徒に掘削、攪拌することがない一方、処理対象土壌層においては回転ヘッドを拡大状態に設定でき、それにより広い範囲にわたり効率よく土壌を処理でき、これらにより、表層土壌或いは表層土壌及びその近傍の土壌についてはその地盤強度をできるだけ確保しつつより深層の土壌を処理できる。
【0011】
しかし、特許第3645185号公報記載の土壌処理装置では、回転ヘッドにおける掘削刃ヘッドの拡縮は、掘削刃ヘッド開閉装置を用いて行い、土壌攪拌翼の拡縮については、処理対象土壌層において、土壌攪拌翼を掘削刃ヘッドの土壌掘削方向回転とは反対方向に回転駆動することで、土壌抵抗にて開姿勢をとらせて拡大し、処理対象土壌層へ至るまで、及び土壌処理後回転ヘッドを退出させるときには、土壌攪拌翼を掘削刃ヘッドの土壌掘削方向回転と同方向に回転させて土壌抵抗により閉姿勢をとらせて縮小させるようにしている。
【0012】
従って、土壌攪拌翼は、その回転に伴って発生する土壌抵抗により開閉(拡縮)させるものであるため、例えば処理対象土壌層の土壌の性状によっては、土壌攪拌翼を開いたり(拡大させたり)、閉じたり(縮小させたり)するに十分な土壌抵抗を土壌攪拌翼に与えることができず、その結果、土壌攪拌翼が半径方向に拡大しなかったり、拡大しても不十分であったりして、土壌攪拌及び土壌処理用添加物と土壌との混合が不可能或いは不十分となったり、或いは処理対象土壌層から回転ヘッドを退出させるにあたり、土壌攪拌翼を土壌抵抗により閉じさせる方向に回転させても、閉じなかったり、閉じても不十分であったりして、掘削刃ヘッドにより掘削されていなかった土壌に土壌攪拌翼が衝突して損傷する恐れもある。
【0013】
これに対し特許第4560459号公報記載の土壌処理装置は、土壌掘削刃ヘッドの拡縮状態だけでなく、土壌攪拌翼の拡縮状態も土壌抵抗に頼ることなく制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を行い易く、また、土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができるので、土壌攪拌翼の損傷の恐れを低減して安全に土壌処理を行える利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3645185号公報
【特許文献2】特許第4560459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許第4560459号公報記載の土壌処理装置は、内側軸とこれに対して昇降可能に外嵌された外側軸のうち内側軸の下端部に土壌掘削刃ヘッドが、外側軸の外側部位に土壌攪拌翼が設けられ、土壌攪拌翼の拡縮機構が外側軸の外部から内部にわたって構成されているため、外側軸の内側まで土砂が侵入し易く、そのため動作不良を起こすおそれがあり、また、拡縮機構を構成する部品が互いに反対方向の回転を行う外側軸と内側軸の間に摺動可能に嵌められているとともに土壌攪拌翼開閉のために常時バネ付勢されているので、磨耗し易い。
【0016】
本発明は、土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに、土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であって、土壌掘削刃ヘッドだけでなく土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を容易、確実に行うことができ、また、従来の同種の土壌処理装置と比べると、より長期にわたり動作信頼性が保たれ、点検作業が容易である土壌処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は前記課題を解決するため、次の土壌処理装置を提供する。すなわち、
土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び該土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であり、
前記回転ヘッドを支持し、前記土壌掘削刃ヘッドの回転駆動及び拡縮駆動並びに前記土壌攪拌翼の回転駆動及び拡縮駆動を行う回転ヘッド支持駆動装置を備えており、
前記回転ヘッドは、
下端部に前記土壌掘削刃ヘッドを支持する内側軸と、
外周部位に前記土壌攪拌翼を支持し、前記内側軸に昇降可能に外嵌された外側軸と、
前記土壌掘削刃ヘッドを、前記外側軸の前記内側軸に対する上昇動作に連動させて縮小させて縮小姿勢におくことができ、下降動作に連動させて拡大させて拡大姿勢におくことができる第1連動機構と、
前記外側軸の前記内側軸に対する昇降動作に連動させて前記土壌攪拌翼を縮小拡大させる第2連動機構であって、該外側軸が該内側軸に対し上昇することで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って前記土壌攪拌翼を縮小姿勢におくことができ、該外側軸が該内側軸に対し下降することで前記第1連動機構により該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとり始めるに遅れて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢におき始める第2連動機構とを含んでおり、
前記回転ヘッド支持駆動装置は、前記内側軸を支持することで前記土壌掘削刃ヘッドを支持するとともに該内側軸を介して該土壌掘削刃ヘッドを回転駆動する掘削刃ヘッド支持駆動部と、前記外側軸を支持して前記内側軸に対し昇降させることで、前記第1連動機構にて前記土壌掘削刃ヘッドを、前記第2連動機構にて前記土壌攪拌翼を、それぞれ縮小拡大させる外側軸支持昇降駆動部と、前記外側軸を回転駆動することで前記土壌攪拌翼を回転駆動する外側軸回転駆動部とを含んでおり、
前記土壌掘削刃ヘッドは、少なくとも一部が前記内側軸の方へ閉じる閉じ姿勢と該内側軸から開く開き姿勢をとることができる可動部とされており、該可動部の開閉により土壌掘削刃ヘッド全体が回転ヘッド半径方向に拡縮可能であり、
前記第1連動機構は、
前記内側軸とともに回転可能且つ該内側軸に対し昇降可能に該内側軸に設けられ、前記外側軸の下端部に、該下端部に対し昇降不能且つ回転可能に支持されたスライダと、前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を該スライダと前記内側軸とに連結し、前記外側軸の昇降に伴い該スライダが前記内側軸に対し昇降することで前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を閉じ又は開いて該土壌掘削刃ヘッドを縮小又は拡大させるリンク機構とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼は、一端部側の部位で前記外側軸の外周部位に回動可能に連結されて自由他端部が上下方向に回動可能とされていることで、回転ヘッド半径方向に縮小拡大可能であり、
前記第2連動機構は、
前記外側軸に昇降可能に外嵌されたリンク駆動フレームと、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結するリンク機構と、
前記リンク駆動フレームの前記外側軸に対する下降限度を定める第1ストッパ装置と、 前記リンク駆動フレームの前記内側軸に対する下降限度を定める第2ストッパ装置とを含んでおり、
前記第1ストッパ装置は前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに縮小姿勢の縮小状態にあるとき、前記リンク駆動フレームを前記外側軸に対する下降限度に支持し、前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに拡大姿勢の拡大状態にあるとき、前記リンク駆動フレームから離れて該リンク駆動フレームの下方に位置し、
前記第2ストッパ装置は前記縮小状態から前記内側軸に対して前記外側軸が下降し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが開き始めた後に前記リンク駆動フレームを前記内側軸に対する下降限度に配置し、
前記リンク駆動フレームは、前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのちさらに前記外側軸が前記内側軸に対し下降することで、該外側軸の下降とともに下降する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して拡大姿勢におき、
前記リンク駆動フレームは、前記拡大状態から前記内側軸に対して前記外側軸が上昇し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが閉じ始めると、前記外側軸上昇とともに上昇する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して閉じ始めさせ、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って該土壌攪拌翼を縮小姿勢におく土壌処理装置である。
【0018】
この土壌処理装置によると、例えば次のようにして土壌処理を行える。
まず、回転ヘッドを回転ヘッド支持駆動装置で支持した状態で処理対象土壌層上方の地上に配置する。
回転ヘッド支持駆動装置は例えば昇降装置に取り付ければよい。例えば地上の支柱に昇降可能に取り付ければよい。かくして回転ヘッドを該支柱に沿って昇降可能に配置できる。かかる支柱は自走車に搭載されているものでもよいし、地上に立設されたもの等でもよい。
【0019】
次いで、回転ヘッド支持駆動装置における掘削刃ヘッド支持駆動部にて回転ヘッドにおける内側軸を回転駆動することで土壌掘削刃ヘッドを回転させるとともに、外側軸回転駆動部にて回転ヘッドにおける外側軸を回転駆動することで土壌攪拌翼を回転させ、これらを下降させる。それにより回転ヘッドは地上から処理対象土壌層へ向けて、土壌をそれがある位置で掘削し、攪拌し、ほぐしながら進入せしめられる。このとき回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼は、いずれも縮小姿勢としておく。
【0020】
このように回転ヘッドを処理対象土壌層へ向けて進入させるとき、土壌掘削刃ヘッドは土壌掘削方向に回転させればよく、土壌攪拌翼については、土壌掘削刃ヘッドと同方向に回転させても、土壌掘削刃ヘッドとは反対方向に回転させてもよい。土壌掘削刃ヘッドと同方向に回転させる場合は、土壌掘削刃ヘッドと同速で回転させても、土壌掘削刃ヘッドとは異なる回転速度で回転させる等してもよい。
【0021】
土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼の縮小は、外側軸支持昇降駆動部により、回転ヘッドの外側軸を内側軸に対し上昇させておくことで、第1連動機構により土壌掘削刃ヘッドを縮小姿勢におき、第2連動機構により土壌攪拌翼を縮小姿勢におくことで行える。
【0022】
回転ヘッドが処理対象土壌層に到達すると、そこで、土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼をいずれも拡大姿勢とし、土壌処理に供する。土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼の拡大は、外側軸支持昇降駆動部により、回転ヘッドの外側軸を内側軸に対し下降させることで、第1連動機構により土壌掘削刃ヘッドを拡大姿勢におき、第2連動機構により、前記土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢におかれ始めるに遅れて土壌攪拌翼を拡大姿勢におき始めることで行える。
【0023】
この土壌処理においても、土壌掘削刃ヘッドは、掘削刃ヘッド支持駆動部にて土壌掘削方向に回転させる。
土壌攪拌翼については、外側軸回転駆動部にて回転駆動する。この土壌処理時には、土壌攪拌翼は、土壌の効率的な攪拌、後述する土壌処理用添加物と土壌との効率的な混合のために、土壌に剪断力が加わるように、土壌掘削刃ヘッドとは反対方向に回転させるか、或いは同方向に、且つ、土壌掘削刃ヘッドとは異なる回転速度で回転させてもよい。
【0024】
かくして、回転ヘッドは前記進入時よりも拡大された、従ってより広い範囲にわたり掘削等できる状態で、処理対象土壌をそれがある位置で掘削し、攪拌する。
また、要すれば土壌処理用の添加物を回転ヘッドの添加物吐出口へ供給し、そこから処理対象土壌中へ注入し、該添加物と該土壌を混合攪拌することができる。
添加物吐出口は、回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッドに設ける場合を代表例として挙げることができる。
【0025】
このようにして処理対象土壌を処理すると、その後、外側軸支持昇降駆動部により、回転ヘッドの外側軸を内側軸に対し上昇させることで、第1連動機構により土壌掘削刃ヘッドを縮小姿勢におくとともに、第2連動機構により、前記土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢におかれるに先立って土壌攪拌翼を縮小姿勢におき、これらを回転駆動しつつ、地上までの途中の土壌を該土壌がある位置で攪拌しながら退出させる。このときの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼の回転方向については、特に制限はないが、例えば、土壌掘削刃ヘッドは土壌掘削方向に、土壌攪拌翼は土壌掘削刃ヘッドと同方向に又は反対方向に回転させる場合を挙げることができる。
【0026】
なお、土壌の掘削、攪拌においては必要に応じ、掘削、攪拌を円滑化するための水等を添加物として添加注入してもよい。
土壌処理における添加物の投入タイミングについては、処理対象土壌層の掘削、攪拌処理の進行中に添加物の添加を開始してもよい。また、処理対象土壌層の一通りの掘削、攪拌が終わったあとでもよい。要するに土壌を処理できる適当なタイミングを選んで添加すればよい。
【0027】
添加物と処理対象土壌の混合攪拌は回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼を回転させることで行える。かかる混合攪拌のタイミングについても、処理対象土壌と添加物との混合攪拌を行うに支障のないタイミングであればよく、代表的には、回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼を回転させつつ添加物を添加して混合攪拌を行う場合を例示できる。
【0028】
いずれにしても、本発明に係る土壌処理装置は、土壌処理用添加物を前記回転ヘッドの添加物吐出口へ供給する添加物供給装置を備えていてもよい。
また、前記回転ヘッドは前記添加物吐出口を一つでもよいが複数有していてもよく(例えば少なくとも三つ有していてもよく)、前記添加物供給装置は、該複数の添加物吐出口のそれぞれに対し該添加物吐出口に連通する、土壌処理用添加物の供給路を有していてもよい。
【0029】
以上説明した土壌処理装置によると、汚染土壌処理作業において土壌を地上へ搬出する必要がなく、土壌を殆ど地中にとどめておくことができるとともに処理対象土壌をそれがある原位置で処理することができ、例えば旧来の、汚染土壌を地上へ搬出し、処理後に埋め戻す汚染土壌処理と比べると、少ない工数、短い工期で、簡単安価に汚染土壌を処理できる。また、旧来の汚染土壌処理と比べると、作業の無駄、土壌処理用添加物の無駄等の無駄無く、それだけ安価に汚染土壌を処理できる。
【0030】
さらに、前記回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼は回転ヘッドの回転半径方向に拡縮可能であり、処理対象土壌層へ向けて進入させるとき、及び処理された土壌層から地上へ退出させるときには、縮小状態に設定でき、従って、処理する必要のない地表、或いは地表及びその近傍の土壌について徒に掘削、攪拌することがない一方、処理対象土壌層においては回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼を拡大状態に設定でき、それにより広い範囲にわたり効率よく土壌を処理でき、これらにより、表層土壌或いは表層土壌及びその近傍の土壌についてはその地盤強度をできるだけ確保しつつより深層の土壌を処理できる。
【0031】
また、本発明に係る土壌処理装置によると、回転ヘッドの外側軸の内側軸に対する昇降駆動を外側軸昇降駆動部により行うことができるので、例えば地上において、回転ヘッドにおける外側軸の内側軸に対する昇降量を制御、管理することができ、それにより、土壌掘削刃ヘッドの拡縮状態は勿論のこと、土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を容易、確実に行える。
【0032】
また、土壌処理装置の処理対象土壌への進入にあたっては、土壌攪拌翼は土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとり始めるのに遅れて拡大姿勢をとり始めるので、それだけ土壌攪拌翼の損傷のおそれは低減しており、土壌処理装置の処理対象土壌からの退出にあたっては、土壌攪拌翼は土壌掘削刃ヘッドに先立って縮小姿勢をとるので、この点でも土壌攪拌翼の損傷のおそれは低減しており、これらにより土壌攪拌翼が損傷するといった事態の発生を抑制して、それだけ安全に土壌処理を行える。
【0033】
また、本発明に係る土壌処理装置では土壌攪拌翼を拡縮させる機構が従来装置のように外側軸の外部から内部にわたって構成されているというものではなく、外側軸の外部に構成されているので、拡縮機構を通じて外側軸内部まで土砂が侵入してくるおそれはなく、それだけ、従来装置より長期にわたり動作信頼性が確保され、また、点検作業も容易である。
【0034】
本発明に係る土壌処理装置における前記第1ストッパ装置としては、それには限定されないが、代表例として、前記外側軸の下端部に設けられたストッパ部材を挙げることができる。
【0035】
前記第2ストッパ装置としては、
前記リンク駆動フレームに前記外側軸に昇降可能の第1係合部材を含めておき、
該第2ストッパ装置として、
前記リンク駆動フレームの第1係合部材に、該リンク駆動フレームに対する昇降動作は不能に、且つ、相対的に回転可能に係合する第2係合部材と、
前記第1連動機構のスライダより下方で前記内側軸に昇降可能に設けられ、該内側軸に対する下降限度が該内側軸に設けられたストッパ部材により規制されている台部材と、 前記台部材上に前記第2係合部材を支持する支持柱とを含んでいるものを採用してもよい。
【0036】
前記内側軸には侵入土砂排除用羽根、例えば内側軸とともに回転する侵入土砂排除用羽根、例えば螺旋羽根が形成されていてもよい。
【0037】
前記リンク駆動フレームについては、次の第1、第2のものを例示できる。
次のいずれのリンク駆動フレームの場合でも、前記土壌攪拌翼は一端部側の部位で外側軸外周部位に回動可能に連結されて自由他端部が上下回動することで拡縮できるものとすればよいが、
(1)縮小姿勢では外側軸への回動可能連結部位(一端部側部位)の下方に自由他端部が位置し、該自由他端部が上昇回動することで拡大する(開く)ものでも、
(2)縮小姿勢では外側軸への回動可能連結部位(一端部側部位)の上方に自由他端部が位置し、該自由他端部が下降回動することで拡大する(開く)ものでも、いずれでもよい。
なお、前記土壌攪拌翼は前記外側軸の回転中心線方向に1段設けられているだけでもよく、複数段に設けられていてもよい。
【0038】
<第1のリンク駆動フレーム>
前記リンク駆動フレームは、前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された1又は複数段のリング部材と、前記リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方から持ち上げ力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方へ引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる。
リンク駆動フレームが前記外側軸に昇降可能の前記第1係合部材を含むものであるときは、該第1係合部材は、ここでの最下段のリング部材を兼ねていてもよい。
【0039】
<第2のリンク駆動フレーム>
前記リンク駆動フレームは、前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された第1リング部材と、前記第1リング部材の上方で前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌され、前記第1リング部材に支持された1又は複数段の第2リング部材と、前記第2リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に上方引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に押し下げ力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる。
リンク駆動フレームが前記外側軸に昇降可能の前記第1係合部材を含むものであるときは、該第1係合部材は、ここでの第1リング部材(換言すれば、基礎リング部材)を兼ねていてもよい。
【0040】
なお、本発明に係る土壌処理装置による土壌処理においては、処理対象土壌層における土壌処理において、必要に応じ、回転ヘッドを地上へ一旦退出させ、処理対象土壌をサンプリングして(試料として採取して)土壌処理状態を検査することができる。このとき、回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼は縮小姿勢として地上へ退出させる。土壌処理のために再び回転ヘッドを処理対象土壌層へ進入させ、さらなる土壌処理を行うときの手順は当初の回転ヘッド進入等の手順と同様である。
【0041】
本発明に係る土壌処理装置が対象とする土壌処理には、汚染土壌の浄化処理等の土壌浄化処理、軟弱地盤の改良処理等の地盤改良処理等が含まれる。
土壌浄化処理に用いる添加物(添加剤)は、土壌汚染物質や浄化した土壌、土地の利用の仕方などによって選ばれるものであって、特に限定されるものではない。
例えば、アルカリ〔 Ca(OH)2、CaO 、NaOH、Mg(OH)2 など〕、酸(H2SO4 、
HCl 、H3PO4 など)、塩〔CaCO3 、Ca(HCO3)2 、Na2CO3、NaHCO3、CaCl2 、
NaHSO4、CaSO4 、Na4SiO4 、Na3PO4、Na2HPO4 、NaH2PO4 など〕、酸化剤〔H2O2、KMnO4 、NaMnO4、O3、NaClO 、Ca(ClO)2、Na2S2O4 など〕、還元剤〔Na2SO3、NaHSO3、Na2S2O3 、アスコルビン酸(Na 塩) 、FeCl2 、FeSO4 、鉄粉など〕、不溶化剤〔 Fe(II)塩、
Fe(III) 塩、Al塩、Mg塩、Na2S、CaS など〕、キレート剤(ジチオカルバミン酸塩系化合物、トリアジン系化合物など)、固化剤(セメント、焼きセッコウ、ポゾラン、珪酸塩など)、微生物、微生物の栄養剤などである。
これらを単独あるいは複数用いることができる。複数用いる場合、これらを同時に添加する場合と順次添加する場合がある。順次添加する場合、その添加順序は特に限定されるものではない。また、これらの添加形態は溶液、懸濁液、粉体、固体、気体のいずれでもよい。添加量も特に限定されるものではない。
また、地盤改良に採用できる添加物として、セメント系固化材、石灰系固化材、石こう系固化材等を例示できる。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように本発明によると、土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに、土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であって、土壌掘削刃ヘッドだけでなく土壌攪拌翼の拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を容易、確実に行うことができ、また、従来の同種の土壌処理装置と比べると、より長期にわたり動作信頼性が保たれ、点検作業が容易である土壌処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る土壌処理装置の1例を回転ヘッド縮小状態で概略的に示す図である。
【図2】図1の土壌処理装置を回転ヘッド拡大状態で概略的に示す図である。
【図3】図1の土壌処理装置における縮小状態回転ヘッドの一部の拡大図である。
【図4】図1の土壌処理装置における拡大状態回転ヘッドの一部の拡大図である。
【図5】図1の土壌処理装置の回転ヘッドにおけるリンク駆動フレームの概略平面図である。
【図6】図1の土壌処理装置の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【図7】図6(C)のX1矢視概略図である。
【図8】図6(C)のY1矢視概略図である。
【図9】ボックス継ぎ手及び添加物供給装置の主要部の断面図である。
【図10】図1の土壌処理装置を自走車に搭載した状態の側面図である。
【図11】図11(A)から図11(C)は土壌処理の手順の一部を示す図である。
【図12】本発明に係る土壌処理装置の他の例の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【図13】図12に示す土壌処理装置における主として土壌攪拌翼を拡縮させる機構を示す図である。
【図14】本発明に係る土壌処理装置のさらに他の例の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【図15】図14に示す土壌処理装置における主として土壌攪拌翼を拡縮させる機構を示す図である。
【図16】本発明に係る土壌処理装置のさらに他の例の回転ヘッドが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1及び図2は本発明に係る土壌処理装置の1例Aを概略的に示している。図1は回転ヘッド1aを縮小状態として示す図であり、図2は回転ヘッド1aを拡大状態として示す図である。図3及び図4はいずれも回転ヘッド1aの一部の拡大図であり、図3は回転ヘッド1aが縮小姿勢をとった状態を、図4は回転ヘッド1aが拡大姿勢をとった状態を示している。図5は回転ヘッド1aにおけるリンク駆動フレーム5の概略平面図である。
【0045】
土壌処理装置Aは、回転ヘッド1a、回転ヘッド1aの支持駆動装置2及び土壌処理用添加物の添加装置4等を備えている。
【0046】
〔1〕回転ヘッド1aについて(図1〜図5参照)
回転ヘッド1aは、土壌掘削刃ヘッド11及びその上方に配置された土壌攪拌翼12aを備えている。
土壌掘削刃ヘッド11は、土壌掘削刃11xを備えた固定部111と、土壌掘削刃11yを備えた可動部112とを含んでいる。固定部111は内側軸13の下端に固定的に取り付けられている。固定部111の直ぐ上で内側軸13にリング部材113が嵌合固定されている。
【0047】
可動部112はその一端部が部材113に回動可能にピン連結されていることで、内側軸13に対して回動可能に連結され、内側軸13の方へ閉じる閉じ姿勢(図1、図3参照)又は内側軸13から開いた開き姿勢(図2、図4参照)を取ることができる。
【0048】
内側軸13には、リング部材113より上方部位に、内側軸13に対し昇降可能にスライダ15が嵌合されており、また、内側軸13には、内側軸との間に間隙をおいて筒状の外側軸14が昇降可能に嵌合されている。
【0049】
スライダ15は掘削刃ヘッド連結部材151、その上に連設された中間部材152及びその上に連設された上部リング部材153の3段構成に一体的に形成されている。これら3段に連設された部材151、152、153はいずれもキーKに沿って昇降可能であるとともに該キーにより内側軸13とともに回転可能である。かくしてスライダ15はキーKに沿って昇降可能であるとともに該キーにより内側軸13とともに回転可能である。
【0050】
外側軸14の下端フランジ141の下面にスライダ支持部材142が固定されており、スライダ支持部材142はスライダ15の上部リング部材153を、内外軸13、14の回転中心まわりに相対的に回動可能に抱いている。かくして、スライダ15は外側軸14の下端部に昇降不能に、しかし、相対的に回動可能に支持されている。外側軸14が内側軸13に対し昇降することでスライダ15も内側軸13に対して昇降する。また内外軸13、14は互いに相手に拘束されることなく回転できる。
【0051】
後述するように図6(A)〜図6(C)は土壌処理装置Aの回転ヘッド1aが縮小状態から拡大状態へ移行する過程を示す図であり、図7は図6(C)のX1矢視概略図であるが、図7から分かるように、掘削刃ヘッド11の可動部112は3本あり、それらは内側軸13を中心として等中心角度間隔で放射状に配置されている。
【0052】
なお、図示の都合上及び理解を容易にするため、可動部112は、図1、図2では左右に対をなすが如く示してあり、図3、図4及び図6では一本だけ示してあるが、実際には、図7に示すように、120度間隔で放射状に3本設けられている。
【0053】
各可動部112に対リンク114の下端部が回動可能にピン連結されており、該対リンクの上端部がスライダ15の掘削刃ヘッド連結部材151に回動可能にピン連結されている。
【0054】
図1、図3及び図6(A)に示すように回転ヘッド1aが縮小状態におかれ、土壌掘削刃ヘッド11が縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が内側軸13に対して下降すると、スライダ15も下降し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が対リンク114に押され、下方へ回動し、図6(B)の開き途中状態を経て図2、図4及び図6(C)に示すように開き、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に拡大した姿勢をとることができる。
【0055】
この拡大状態から外側軸14が内側軸13に対して上昇すると、スライダ15も上昇し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が対リンク114に引っ張られて上方へ回動して閉じ、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に縮小した姿勢をとることができる。
【0056】
このことから分かるように、土壌処理装置Aでは、スライダ15、対リンク114、対リンク114をスライダ15と可動部112に連結するピン及び可動部112の根元部分を内側軸下端部の固定リング部材113に回動可能に連結するピン等は、外側軸14の昇降に連動して掘削刃ヘッド11を縮小拡大させる第1の連動機構を構成している。
【0057】
図1等に示すように、内側軸13には内側軸13と外側軸14の間へ侵入してくるかも知れない土砂等を外側軸14の下端から外へ排除するための螺旋羽根131を周設してある。
掘削刃ヘッド11の固定部111には、三つの添加物吐出口111a、111b及び111cがそれぞれ設けられている。
【0058】
土壌攪拌翼12aは図1、図2に示すように、上下3段に設けられている。図1、図2において、中段及び上段の土壌攪拌翼12aは鎖線で示してある。
図1、図2では、各段の土壌攪拌翼12aは、いずれも外側軸14から左右に直線状に、且つ、外側軸14のまわりの角度的ずれが無い状態で延びるかのごとく示してあるが、実際には、土壌攪拌翼を上方から見た図8(図6(C)のY1矢視概略図)に示すように、上中下の各段の2本の土壌攪拌翼12aは外側軸14を間にして対をなすように互いに反対方向に延びており、且つ、上段の一対の土壌攪拌翼12aに対し、中段の一対の土壌攪拌翼12aは外側軸14のまわりに60度ずれており、下段の一対の土壌攪拌翼12aは中段の一対の土壌攪拌翼12aに対し、さらに60度ずれている。従って、上方又は下方から見ると、合計6本の土壌攪拌翼12aが外側軸14のまわりに60度の等中心角度間隔で放射状に配置されている。
【0059】
土壌攪拌翼12aの実際の配置は以上のとおりであるが、各部の説明を容易にし、理解を容易にするため、図1、図2においては各段の一対の土壌攪拌翼12aが、いずれも外側軸14から左右に直線状に、且つ、外側軸14のまわりの角度的ずれが無い状態で延びるかのごとく示してある。
【0060】
また、図3、図4では下段の一対の土壌攪拌翼12aだけが示されており、図6(A)〜図6(C)では、土壌処理装置Aの全体構造の把握が可能な範囲で適宜示してある。
【0061】
各土壌攪拌翼12aは、その一端部(根元部分)が、外側軸14の外周面から外側軸半径方向に突設された受け部材120に回動可能にピン12Pで連結されており、これにより、土壌攪拌翼12aの他端部(自由端部)が上下方向に回動して、図1及び図3に示すように、外側軸14に近く閉じたり、図2及び図4に示すように、外側軸14に対し略90度の姿勢で開いたりでき、このように、回転ヘッド1の回転半径方向に縮小、拡大可能である。
【0062】
図3、図4に示すように、外側軸14にはリンク駆動フレーム5が外側軸14に対し相対的に昇降可能に外嵌されている。リンク駆動フレーム5は、該フレーム5の外側軸14に対する自重下降限度を定めるストッパ部材(第1ストッパ装置の1例)として作用する外側軸下端フランジ141の上側で外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0063】
リンク駆動フレーム5は、外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されたリング形状の第1係合部材50とこれに搭載された3段のリング部材51、52、53を含んでいる。これらリング部材51〜53は前記3段の土壌攪拌翼12aにそれぞれ対応して設けられており、それぞれ外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0064】
下段リング部材51は第1係合部材50の上面に固定されており、中段リング部材52は下段リング部材51に立設した支持柱510に支持されており、上段リング部材53は中段リング部材52に立設した支持柱520に支持されており、全体として、第1係合部材50、リング部材51〜53及び支持柱510、520は一体化され、リンク駆動フレーム5として外側軸14に対し昇降可能である。
【0065】
下段リング部材51には一対の下段土壌攪拌翼12aに対応させてリンク連結部材511が、中段リング部材52には一対の中段土壌攪拌翼12aに対応させてリンク連結部材521が、上段リング部材53には一対の上段土壌攪拌翼12aに対応させてリンク連結部材531がそれぞれ立設されている。
【0066】
すなわち、図5に示すように、各段リング部材のリンク連結部材は180度の中心角度間隔で2個(一対)立設されており、下段と中段のリンク連結部材511と521は中心角度にして60度ずれており、中段と上段のリンク連結部材521と531も中心角度にして60度ずれている。また、リング部材間の支持柱510、520は、リンク連結部材位置からずらして、平面から見て隣り合うリンク連結部材の間に配置されており、120度中心角度間隔で配置されている。
【0067】
図3、図4に示すように、一対の下段のリンク連結部材511とこれに対応する一対の下段土壌攪拌翼12aのそれぞれに、リンク機構として本例ではリンク部材61が渡し連結されている。リンク部材61の一端部(図3中の上端部)が土壌攪拌翼12aの前記支持部120での回動支点ピン12Pより若干自由端部寄りの部位にピン連結されており、リンク部材61の他端部(図3中の下端部)がリンク連結部材511にピン連結されている。
【0068】
同様に、一対の中段のリンク連結部材521とこれに対応する一対の中段土壌攪拌翼12aのそれぞれに、リンク部材62が渡し連結されており、リンク部材62の一端部が対応する土壌攪拌翼12aにピン連結されているとともに他端部がリンク連結部材521にピン連結されている。
また、一対の上段のリンク連結部材531とこれに対応する一対の上段土壌攪拌翼12aのそれぞれに、リンク部材63が渡し連結されており、リンク部材63の一端部が対応する土壌攪拌翼12aにピン連結されているとともに他端部がリンク連結部材531にピン連結されている。
図3、図4にはリンク部材62、63を鎖線で示してある。
【0069】
下段リング部材51は外輪郭が円形のものであるが、中段及び上段のリング部材52、53の外輪郭は、リンク部材61、62等との衝突防止のため円形輪郭の一部を切り欠いたものとなっている。
なお、係合部材50が下段リング部材51を兼ねていてもよい。
【0070】
以上説明したリンク駆動フレーム5の内側軸13に対する下降限度を決める第2ストッパ装置7が設けられている。
【0071】
第2ストッパ装置7は、図3、図4に示すように、リンク駆動フレーム5の第1係合部材50に係合する第2係合部材71と、前記第1連動機構のスライダ15より下方で内側軸13に回動不能に、しかし、前記キーKに沿って昇降可能に設けられた本例ではリング状の台部材72と、台部材72上に第2係合部材71を支持する支持柱73と、内側軸13に設けられたストッパ部材74を含んでいる。
【0072】
第2係合部材71は120度の中心角度間隔で3個設けられており、それぞれがリンク駆動フレーム5のリング形状の第1係合部材50の外周溝500に、内外軸13、14の回転中心線まわりに相対的に摺動可能に嵌まっている。従って支持柱73も各第2係合部材71に応じて合計3本、120度中心角度間隔で、しかし、土壌掘削刃ヘッド11の可動部112や可動部拡縮用リンク114を避ける位置に設けられている。
【0073】
各支持柱73は上端に前記第2係合部材71を支持しており、下端部が台部材72にボルトナットで固定されている。
ストッパ部材74は、土壌掘削刃11の固定部111上側のリング部材113上に設けられている。
【0074】
図1、図3及び図6(A)に示すように回転ヘッド1aが縮小状態におかれた状態では、リンク駆動フレーム5は、自重で落下しようとするが、リンク駆動フレーム5の外側軸に対する下降限度を規制するストッパ部材として作用する外側軸14の下端フランジ141に支持される。
【0075】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aが縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12aと共に内側軸13に対して下降すると、それとともに外側軸下端フランジ141に支持されたリンク駆動フレーム5も外側軸14と共に下降し、先ず、土壌掘削刃ヘッド11が開き始める。このように土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12aに先立って開き始める。
【0076】
外側軸14が内側軸13に対してさらに下降すると、それとともにリンク駆動フレーム5もさらに下降するが、この状態では未だリンク駆動フレーム5の第1係合部材50から吊り下げられた状態にある第2ストッパ装置7の昇降可能部分71〜73も共に下降する。そして、図6(B)のように第2ストッパ装置7の台部材72が内側軸上のストッパ部材74に当接することで、リンク駆動フレーム5が内側軸13に対する下降限度に配置される。この状態では土壌掘削刃ヘッド11は既に半開きの状態になっているが、土壌攪拌翼12aは未だ開いていない。
【0077】
さらに外側軸14が内側軸13に対し下降すると、外側軸下端フランジ141はリンク駆動フレーム5から離れてその下方へ下降する。そして、土壌攪拌翼12aも開き始め、最終的には土壌掘削刃ヘッド11が図6(C)に示すように開いて拡大姿勢をとり、土壌攪拌翼12aも拡大姿勢をとる。
【0078】
土壌攪拌翼12aの開き動作についてさらに説明すると、図6(B)のようにリンク駆動フレーム5が第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度に配置されてのち、さらに外側軸14が土壌攪拌翼12aとともに内側軸13に対して下降することで、リンク駆動フレーム5におけるリンク連結部材511〜513と土壌攪拌翼12aとに渡し連結されたリンク61〜63がリンク連結部材511〜513により相対的に下方から持ち上げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12aが上方へ回動して開き、拡大姿勢におかれる。
【0079】
いずれにしても図6(C)に示すように土壌掘削刃ヘッド11の拡大姿勢時の回転半径及び土壌攪拌翼12aの拡大姿勢時の回転半径は同程度であるが、図6(B)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12aの拡大途中半径は掘削刃ヘッド11の拡大途中半径を超えない。
【0080】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aが図6(C)のように拡大姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12aと共に内側軸13に対して上昇開始すると、それとともに土壌掘削刃ヘッド11が閉じ始め、土壌攪拌翼12aも閉じ始める。
【0081】
このとき、リンク駆動フレーム5は未だ第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度におかれたままであるから、そのリンク駆動フレーム5に対して外側軸13が土壌攪拌翼12aととともに上昇することになり、それにより、リンク駆動フレーム5におけるリンク連結部材511〜513と土壌攪拌翼12aとに渡し連結されたリンク61〜63がリンク連結部材511〜513により相対的に下方へ引っ張り力を受け、それにより土壌攪拌翼12aが下方へ回動して閉じ、縮小姿勢におかれる。
【0082】
さらに外側軸14が内側軸13に対して上昇することで外側軸下端フランジ141も上昇してリンク駆動フレーム5に下方から接触し始め、リンク駆動フレーム5及び第2ストッパ装置7の昇降部分71〜73が持ち上げられ始める(図6(B))。
【0083】
さらに外側軸14が上昇することで、図6(A)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11も閉じ、縮小姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12aに遅れて縮小姿勢におかれる。
【0084】
以上の説明から分かるように、リンク駆動フレーム5、リンク部材61〜63及び第2ストッパ装置7等は、外側軸14の内側軸12に対する昇降動作に連動させて土壌攪拌翼12aを縮小拡大させる第2連動機構を構成している。
【0085】
〔2〕回転ヘッド1aの支持駆動装置2について。
回転ヘッド支持駆動装置2は、図1、図2に示すように、
内側軸13を支持することで掘削刃ヘッド11を支持するとともに該掘削刃ヘッド11を土壌掘削方向に回転駆動する掘削刃ヘッド支持駆動部21、
外側軸14を支持して内側軸13に対し昇降させることで掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを縮小拡大させる外側軸支持昇降駆動部3、
外側軸14を回転駆動する外側軸回転駆動部22等を含んでいる。
【0086】
掘削刃ヘッド支持駆動部21は、内側軸13に嵌合され、ピン状キーKa(図6参照)の挿入により該内側軸に接続された内側中間軸130及び該中間軸130をボックス継ぎ手20(図9も参照)等を介して回転駆動するモータM1等からなっている。
【0087】
さらに説明すると、中間軸130は図9に示すように中空管軸からなり(内側軸13も中空管軸である)、その上端がボックス継ぎ手20の下側部材202に接続されている。そしてボックス継ぎ手20の上側部材201の断面形状6角形の上端部201’が、図1、図2に示すように、モータM1の回転軸msとの継ぎ手200の断面形状6角形穴に差し込まれ、キーK1で抜け止めされている。
【0088】
ボックス継ぎ手20の下側部材202は断面形状6角形であり、上側部材201の下端部の断面形状6角形の穴に内嵌され、キーK2で抜け止めされている。かくして、内側軸13は中間軸130、ボックス継ぎ手20等を介してモータM1に支持されており、モータM1を運転することで、ボックス継ぎ手20を介して内側中間軸130及び内側軸13を回転させ、掘削刃ヘッド11を土壌掘削方向に回転駆動することができる。
【0089】
外側軸回転駆動部22は、外側軸14に接続された筒状の外側中間軸140、ギアボックスGB、モータM2等からなっている。
さらに説明すると、ギアボックスGBはモータM1に一対の油圧作動のピストンシリンダ装置PCにて吊り下げ支持されている。ギアボックスGB内には大歯車G1が回転可能に設けられており、これに前記の外側中間軸140の上端が接続固定されている。またギアボックスGB内には大歯車G1に噛み合う小歯車G2が設けられており、これはボックスGBに搭載されたモータM2にて正逆回転駆動可能である。掘削刃ヘッド駆動軸(内側軸)13に接続された内側中間軸130やボックス継ぎ手20はギアボックスGB及びその中の大歯車G1を貫通でき、それらに対し回転可能且つ昇降可能となっている。
【0090】
モータM2を運転することで、小歯車G2を回し、さらには大歯車G1回転させて中間軸140及び外側軸14を回し、それにより土壌攪拌翼12aを掘削刃ヘッド11の土壌掘削方向回転と同方向にも反対方向にも回転駆動することができる。
【0091】
各ピストンシリンダ装置PCは図示省略の油圧回路に接続されており、全体的に伸長又は短縮動作させることができる。各ピストンシリンダ装置PCを伸長させると、図2に示すように、ギアボックスGB及び大歯車G1並びに該歯車に接続された中間軸140及びこれに接続支持された外側軸14を内側軸13に対し下降させることができ、それにより、図4に示すように、掘削刃ヘッド拡縮用のスライダ15を下降させて掘削刃ヘッド11を拡大させることができる。各土壌攪拌翼12aも拡大させることができる。
【0092】
一方、各ピストンシリンダ装置PCを縮めると、図1に示すように、ギアボックスGB及び大歯車G1並びに該歯車に接続された中間軸140及びこれに接続支持された外側軸14を内側軸13に対し上昇させることができ、それにより掘削刃ヘッド拡縮用のスライダ15を上昇させて掘削刃ヘッド11を縮小させることができる。各土壌攪拌翼12aも縮小させることができる。
このことから分かるように、ピストンシリンダ装置PC、ギアボックスGB、外側中間軸140等は、外側軸支持昇降駆動部3を構成している。
【0093】
以上説明したように、回転ヘッド支持駆動装置2は、回転ヘッド1の掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを、回転半径方向に拡大された拡大姿勢として、該掘削刃ヘッド11を土壌掘削方向に、土壌攪拌翼12aを該掘削刃ヘッドと同方向又は反対方向に回転駆動することができる。
【0094】
また、掘削刃ヘッド11は内側軸13、内側中間軸130及びボックス継ぎ手20を介してモータM1に支持されている。土壌攪拌翼12は外側軸14、外側中間軸140、大歯車G1、ギアボックスGB、ピストンシリンダ装置PCを介してモータM1に支持されている。
【0095】
そしてモータM1の背面には、図10に示すようにスライダSLが固定されており、このスライダSLは自走車Vに搭載された支柱CL上のレールRLに沿って昇降できる。また、外側中間軸140が支柱CLから突出する軸受け部SPにて回転可能、昇降可能に支持される。さらに、モータM1の頂部には滑車装置m1が搭載されており、この滑車装置m1と支柱上の滑車装置m2及び図示省略のウインチ等によってモータM1を、従って回転ヘッド1等を昇降させることができる。すなわち支柱CL、スライダSL、軸受け部SP、滑車装置m1、m2等は回転ヘッド支持駆動装置2を昇降させる装置を構成している。支柱CLは自走車V上の油圧作動のピストンシリンダ装置VPCにより姿勢制御できる。
【0096】
〔3〕土壌処理用添加物供給装置4について
添加物供給装置4は、図1、図2及び図9に示すように、モータM1の回転軸ms部分に設けられたそれ自体は既に知られているスイベル装置31及びボックス継ぎ手20の上側部材201の中間部に設けられたそれ自体は既に知られているスイベル装置32を含んでいる。
【0097】
スイベル装置31は、モータ回転軸msに相対的に回転可能に外嵌されてモータM1に固設された筒部材311の内周面に環状凹溝311aを形成し、該凹溝の一か所を筒部材311の外周面へ貫通させ、そこに第1添加物供給ホースH1を接続する一方、モータ回転軸ms中に一端が環状凹溝311aに臨み、他端がボックス継ぎ手20の上側部材201の上端201’に臨む添加物流通孔312を形成したものである。
【0098】
ボックス継ぎ手20の上側部材201及び下側部材202にはモータ回転軸の添加物流通孔312に連通する孔2011、2021が貫通している。下側部材202の孔2021には第1添加物の流通管P1が接続され、これは内側中間軸130及び内側軸13中を通って掘削刃ヘッド11の第1添加物吐出口111aに接続されている(図1及び図2も参照)。
【0099】
スイベル装置32は、ボックス継ぎ手20の上側部材201の中間部分に上下のベアリングBRを介して相対的に回転可能に外嵌する筒状部材321の内周面に上側環状凹溝321a及び下側環状凹溝321bを形成し、上側凹溝321aの一か所を筒状部材321の外周面へ貫通させ、そこに第2添加物供給ホースH2を接続するとともに、下側凹溝321bの一か所を筒状部材321の外周面へ貫通させ、そこに第3添加物供給ホースH3を接続する一方、上側部材201の中間部分に、一端が環状凹溝321a、321bに臨み、他端が下側部材202の上端に臨む添加物流通孔322、323をそれぞれ形成したものである。
【0100】
ボックス継ぎ手20の下側部材202には上側部材201中の添加物流通孔322、323にそれぞれ連通する孔2022、2023が貫通している。下側部材202の孔2022、2023には第2、第3の添加物の流通管P2、P3がそれぞれ接続され、これは中間軸130及び掘削刃ヘッド駆動軸13中を通って掘削刃ヘッド11の第2、第3の添加物吐出口111b、111cにそれぞれ接続されている(図1及び図2も参照)。
なおボックス継ぎ手20におけるSR1、SR2、SR3は添加物の漏れを防止するシールリングである。
【0101】
〔4〕土壌処理装置Aによる土壌処理について。
土壌処理装置Aは自走車Vに搭載されて、例えば、図10及び図11(A)に示すように処理対象土壌層90上方の地表91の上に配置される。
このとき掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aは、図1及び図3にも示すようにピストンシリンダ装置PCを縮めて、回転ヘッド1aにおける外側軸14を内側軸13に対し上昇させておくことで縮小姿勢としておく。すなわち回転ヘッド1の全体を縮小状態にしておく。
【0102】
次いで回転ヘッド1aの掘削刃ヘッド11をモータM1により土壌掘削方向に回転駆動するとともに土壌攪拌翼12aもモータM2によりヘッド11と、本例では同方向に、略同回転速度で回転駆動し、回転ヘッド1a全体を下降させる。なお、このとき、土壌攪拌翼12aは、支障がなければ、掘削刃ヘッド11とは反対方向に回転させてもよいし、同方向に、且つ、ヘッド11とは異なる回転速度で回転させてもよい。
かくして図11(B)に示すように、回転ヘッド1を地表91から処理対象土壌層90へ向けて、途中の土壌9をそれがある位置で掘削し、攪拌し、ほぐしながら進入させる。この掘削、攪拌しながらのヘッド進入は、掘削刃ヘッド11の例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ水等を注入しながら行ってもよい。
【0103】
回転ヘッド1aが処理対象土壌層90に到達すると、そこで、ピストンシリンダ装置PCを伸長させることで、回転ヘッド1aにおける外側軸14を内側軸13に対し下降させ、それにより掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを拡大状態に移行させ、拡大姿勢におき、土壌処理に供する。
【0104】
すなわち、拡大姿勢へ移りつつある掘削刃ヘッド11及び拡大姿勢とされた掘削刃ヘッド11をモータM1で土壌掘削方向に回転させるとともに、拡大姿勢へ移りつつある土壌攪拌翼12a及び拡大姿勢におかれた土壌攪拌翼12aをモータM2で、土壌掘削方向とは反対方向(掘削刃ヘッド11とは反対方向)に回転させ、土壌を十分攪拌等できるようにする。
【0105】
このとき、掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aの拡大は、図6に示す手順で拡大する。すなわち、図6(B)に示すように、先ず、掘削刃ヘッド11が開き始め、その後に土壌攪拌翼12が開き始め、最終的には図6(C)のように掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aが拡大姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12aの拡大途中半径は土壌掘削刃ヘッド11の拡大途中半径より小さく維持される。従って、未だ土壌掘削刃ヘッド11により掘削されていない土壌部分に、土壌掘削刃ヘッド11に先行して土壌攪拌翼12aが接触して損傷するといった事態の発生を抑制することができ、それだけ安全である。
【0106】
かくして図11(C)に示すように回転ヘッド1aは前記進入時よりも拡大された、従ってより広い範囲にわたり掘削等できる状態で、処理対象土壌をそれがある位置で掘削し、攪拌できる。
この作業も、掘削刃ヘッド11の例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ水等を注入しながら行ってもよい。
【0107】
そして、処理対象土壌層90においては、土壌の状態に応じて、すなわち、例えば汚染土壌の浄化処理においては土壌の汚染状態等に応じて、掘削刃ヘッド11の第1、第2及び第3の添加物吐出口111a、111b及び111cのうち少なくとも一つから少なくとも1種類の汚染土壌処理用の添加物(主として土壌浄化用の薬液)を土壌中へ注入し、該添加物と土壌を混合攪拌する。その後必要に応じ例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ土壌処理用添加物の1種としての土壌固化材(例えばセメント系固化材)を注入し、それと土壌を混合攪拌して汚染土壌の処理処理を完了する。
【0108】
また、地盤の改良処理においては、土壌の状態(例えば軟弱の程度)等に応じて、例えば掘削刃ヘッド11の第1、第2及び第3の添加物吐出口111a、111b及び111cのうち少なくとも一つから少なくとも1種類の地盤改良用の土壌処理用添加物(例えばセメント系固化材等)を土壌中へ注入し、該添加物と土壌を混合攪拌して土壌を改良する。
なお、土壌層90の処理においては、必要に応じ、回転ヘッド1aを該層90中で繰り返し昇降させてもよい。
【0109】
このようにして処理対象土壌層90の1箇所の処理が完了すると、その後は、ピストンシリンダ装置PCを縮めることで回転ヘッド1aにおける外側軸14を内側軸13に対して上昇させ、掘削刃ヘッド11を縮小姿勢におくとともに土壌攪拌翼12aも縮小姿勢として該姿勢を維持し、このように回転ヘッド1を縮小姿勢とした状態で、掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12aを共に回転させつつ、処理された土壌から地表91へ向け途中の土壌9を該土壌がある位置で攪拌しながら、さらに、必要に応じ、例えば第1添加物吐出口111aから土壌中へ土壌処理用添加物の1種としての土壌固化材を注入し、それと土壌とを混合攪拌しながら、退出させる。
【0110】
このようにして一か所の土壌処理が終了すると、次の土壌処理箇所へ移り、そこでの土壌を処理し、最終的には、それには限定されないが例えば隣合う土壌処理箇所が一部重なりあうように処理対象土壌層全体を処理する。
このように処理された土壌の上には例えば家屋等を構築して安全に使用することができる。
【0111】
前記の処理対象土壌層90の各箇所での処理における添加物の投入タイミングについては、その箇所での土壌層90の一通りの掘削、攪拌が終わったあとでもよいが、土壌層90の掘削、攪拌処理の進行中に添加物の添加を開始してもよい。要するに土壌を処理できる適当なタイミングを選んで添加すればよい。
【0112】
添加物と土壌の混合攪拌は回転ヘッド1aを回転させることで行うが、かかる混合攪拌のタイミングについても、土壌と添加物の混合攪拌を行うに支障のないタイミングであればよく、代表的には、回転ヘッド1を回転させつつ添加物を添加して混合攪拌を行えばよい。
また、添加物の態様としては、液体や液状のものに限定されるものではなく、粉体添加物でもよく、場合によってはガス添加物その他でもよい。粉体添加物は例えば空気搬送により供給することができる。
【0113】
以上説明した土壌処理装置Aによる土壌処理においては、土壌を地上へ搬出する必要がなく、地表91から土壌層90にいたるまでの土壌9を殆ど地中にとどめておくことができるとともに処理対象土壌をそれがある原位置で処理することができ、従来の汚染土壌浄化処理のように土壌を地上へ搬出し、処理後に埋め戻す方法と比べると、少ない工数、短い工期で、簡単安価に土壌を処理できる。また、作業の無駄、土壌処理用添加物の無駄等の無駄無く、それだけ安価に土壌を処理できる。
【0114】
さらに、回転ヘッド1は回転半径方向に拡縮可能であり、土壌層90へ向けて進入させるとき、及び処理された土壌91から地上へ退出させるときには、縮小状態に設定でき、従って、処理する必要のない地表、或いは地表及びその近傍の土壌9について徒に掘削、攪拌することがない一方、土壌層90においては回転ヘッド1aを拡大状態に設定でき、それにより広い範囲にわたり効率よく土壌を処理でき、これらにより、表層土壌或いは表層土壌及びその近傍の土壌9についてはその地盤強度をできるだけ確保しつつより深層の土壌を処理できる。
【0115】
また、土壌処理装置Aによると、回転ヘッド1aの外側軸14の内側軸13に対する昇降駆動を外側軸昇降駆動部3により行うことができるので、例えば地上において、回転ヘッド1aにおける外側軸14の内側軸13に対する昇降量を制御、管理することができ、それにより、土壌掘削刃ヘッド11の拡縮状態は勿論のこと、土壌攪拌翼12aの拡縮状態も制御、管理することができ、それだけ目的とする土壌処理を確実に行える。
【0116】
また、土壌処理装置Aでは土壌攪拌翼12aを拡縮させる機構が従来装置のように外側軸14の外部から内部にわたって構成されているというものではなく、外側軸14の外部に構成されているので、拡縮機構を通じて外側軸内部まで土砂が侵入してくるおそれはなく、それだけ、従来装置より長期にわたり動作信頼性が確保され、また、点検作業も容易である。
【0117】
また、内側軸13には侵入土砂排除用羽根131が形成されているので、この点でも動作信頼性が高い。
【0118】
さらに、土壌処理装置Aにおいては、添加物の供給を三つの供給経路を用いて行えるので、各添加物の供給経路を明確化でき、添加物供給におけるトラブルやメインテナンス等への対応が容易である、という利点もある。
【0119】
なお、土壌処理装置Aによる土壌処理においては、必要に応じ、回転ヘッド1aを地上へ一旦退出させ、処理対象土壌をサンプリングして(試料として採取して)土壌処理状態を検査することができる。このとき、回転ヘッド1aを縮小状態として地上へ退出させる。土壌処理のために再び回転ヘッドを処理対象土壌層へ進入させ、さらなる土壌処理を行うときの手順は当初の回転ヘッド進入等の手順と同様である。
【0120】
〔5〕本発明に係る土壌処理装置の他の例
図12、図14及び図16にそれぞれ本発明に係る土壌処理装置の他の例B、C及びDを示す。
【0121】
<図12の土壌処理装置B>
図12の土壌処理装置Bは土壌処理装置Aと同様に回転ヘッド1bを含んでいる。回転ヘッド1bは、装置Aのものと同じ土壌掘削刃ヘッド11及び装置Aのものとは若干異なるが、上下3段の、平面から見て中心角度を順次60度ずらした対土壌攪拌翼12bを含んでいる。また、装置Bは装置Aのものとは異なるリンク駆動フレーム5bを含んでいる。
【0122】
リンク駆動フレーム5bの外側軸14に対する下降限度を規制するストッパ部材として外側軸下端フランジ141を採用し、リンク駆動フレーム5bの内側軸13に対する下降限度を規制するストッパ装置として装置Aにおけるものと同じ第2ストッパ装置7を採用する点等は装置Aと同じであり、装置Bにおいて装置Aと同じ部分、部品には装置Aと同じ符号を付してある。
【0123】
リンク駆動フレーム5bは、図13に示すように、装置Aのリンク駆動フレーム5と同様に外側軸下端フランジ141の上側で外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されており、リンク駆動フレーム5と同様に、外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されたリング形状の第1係合部材50を含んでいる。
【0124】
リンク駆動フレーム5bは第1係合部材50に加え、それに固定された基礎リング部材50’、その上方の3段のリング部材51’、52’、53’を含んでいる。これらリング部材51’〜53’は3段の土壌攪拌翼12bにそれぞれ対応して設けられており、それぞれ外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0125】
下段リング部材51’は基礎リング部材50’に立設した支持柱500’に支持されており、中段リング部材52’は下段リング部材51’に立設した支持柱510’に支持されており、上段リング部材53’は中段リング部材52’に立設した支持柱520’に支持されており、全体として、第1係合部材50、基礎リング部材50’、リング部材51’〜53’及び支持柱500’、510’、520’は一体化され、リンク駆動フレーム5bとして外側軸14に対し昇降可能である。
【0126】
下段リング部材51’には一対の下段土壌攪拌翼12bに対応させてリンク連結部材511’が、中段リング部材52’には一対の中段土壌攪拌翼12bに対応させてリンク連結部材521’が、上段リング部材53’には一対の上段土壌攪拌翼12bに対応させてリンク連結部材531’がそれぞれ設けられている。
【0127】
さらに言えば、各段リング部材のリンク連結部材は180度の中心角度間隔で2個(一対)設けられており、下段と中段のリンク連結部材511’と521’は中心角度にして60度ずれており、中段と上段のリンク連結部材521’と531’も中心角度にして60度ずれている。また、支持柱500’及びリング部材間の支持柱510’、520’は、リンク連結部材位置からずらして、平面から見て隣り合うリンク連結部材の間に配置されており、120度中心角度間隔で配置されている。
【0128】
図13に示すように、一対の下段のリンク連結部材511’とこれに対応する一対の下段土壌攪拌翼12bのそれぞれに、リンク機構として本例ではリンク部材61’が渡し連結されている。リンク部材61’の一端部(図13中の上端部)がリンク連結部材511’にピン連結されており、リンク部材61’の他端部(図13中の下端部)が土壌攪拌翼12bの支持部120’での回動支点ピン12P’より若干自由端部寄りの部位にピン連結されている。
【0129】
同様に、一対の中段のリンク連結部材521’とこれに対応する一対の中段土壌攪拌翼12bのそれぞれに、リンク部材62’が渡し連結されており、リンク部材62’の一端部がリンク連結部材521’にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12bにピン連結されている。
また、一対の上段のリンク連結部材531’とこれに対応する一対の上段土壌攪拌翼12bのそれぞれに、リンク部材63’が渡し連結されており、リンク部材63’の一端部がリンク連結部材531’にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12bにピン連結されている。
図13にはリンク部材62’、63’を鎖線で示してある。また、図13には中段及び上段の土壌攪拌翼の回動支点高さ位置12b’を鎖線で示してある。
【0130】
上段リング部材53’は外輪郭が円形のものであるが、中段及び下段のリング部材52’、51’の外輪郭は、リンク部材63’、62’等との衝突防止のため円形輪郭の一部を切り欠いたものとなっている。
なお、係合部材50が基礎リング部材50’を兼ねていてもよい。
【0131】
図12(A)に示すように回転ヘッド1bが縮小状態におかれた状態では、リンク駆動フレーム5bは外側軸14の下端フランジ141に支持されている。
【0132】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12bが縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12bと共に内側軸13に対して下降すると、リンク駆動フレーム5bも下降し、先ず、土壌掘削刃ヘッド11が開き始める。このように土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12bに先立って開き始める。
【0133】
外側軸14が内側軸13に対してさらに下降すると、図12(B)のように第2ストッパ装置7の台部材72が内側軸上のストッパ部材74に当接することで、リンク駆動フレーム5bが内側軸13に対する下降限度に配置される。この状態では土壌掘削刃ヘッド11は既に半開きの状態になっているが、土壌攪拌翼12bは未だ開いていない。
【0134】
さらに外側軸14が内側軸13に対し下降すると、土壌攪拌翼12bも開き始め、最終的には土壌掘削刃ヘッド11が図12(C)に示すように開いて拡大姿勢をとり、土壌攪拌翼12bも拡大姿勢をとる。
【0135】
土壌攪拌翼12bの開き動作についてさらに説明すると、図12(B)のようにリンク駆動フレーム5bが第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度に配置されてのち、さらに外側軸14が土壌攪拌翼12bとともに内側軸13に対して下降することで、リンク駆動フレーム5bにおけるリンク連結部材511’〜531’と土壌攪拌翼12bとに渡し連結されたリンク61’〜63’がリンク連結部材511’〜531’により相対的に上方へ吊り上げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12bが上方へ回動して開き、拡大姿勢におかれる。
【0136】
いずれにしても図12(C)に示すように土壌掘削刃ヘッド11の拡大姿勢時の回転半径及び土壌攪拌翼12bの拡大姿勢時の回転半径は同程度であるが、図12(B)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12bのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12bの拡大途中半径は掘削刃ヘッド11の拡大途中半径を超えない。
【0137】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12bが図12(C)のように拡大姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12bと共に内側軸13に対して上昇開始すると、それとともに土壌掘削刃ヘッド11が閉じ始め、土壌攪拌翼12bも閉じ始める。
【0138】
このとき、リンク駆動フレーム5bは未だ第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度におかれたままであるから、そのリンク駆動フレーム5bに対して外側軸13が土壌攪拌翼12bとともに上昇することになり、それにより、リンク駆動フレーム5bにおけるリンク連結部材511’〜531’と土壌攪拌翼12bとに渡し連結されたリンク61’〜63’がリンク連結部材511’〜531’により相対的に下方へ押し下げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12bが下方へ回動して閉じ、縮小姿勢におかれる。
【0139】
さらに外側軸14が内側軸13に対して上昇することで外側軸下端フランジ141も上昇してリンク駆動フレーム5bに下方から接触し始め、リンク駆動フレーム5b及び第2ストッパ装置7の昇降部分71〜73が持ち上げられ始める(図12(B))。
【0140】
さらに外側軸14が上昇することで、図12(A)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11も閉じ、縮小姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12bに遅れて縮小姿勢におかれる。
【0141】
<図14の土壌処理装置C>
図14の土壌処理装置Cは土壌処理装置Aと同様に回転ヘッド1cを含んでいる。回転ヘッド1cは、装置Aのものと同じ土壌掘削刃ヘッド11及び装置Aのものとは拡縮の回動方向が異なる上下3段の、平面から見て中心角度を順次60度ずらした対土壌攪拌翼12cを含んでいる。また、装置Cは装置Aのものとは異なるリンク駆動フレーム5cを含んでいる。
【0142】
リンク駆動フレーム5cの外側軸14に対する下降限度を規制するストッパ部材として外側軸下端フランジ141を採用し、リンク駆動フレーム5cの内側軸13に対する下降限度を規制するストッパ装置として装置Aにおけるものと同じ第2ストッパ装置7を採用する点等は装置Aと同じであり、装置Cにおいて装置Aと同じ部分、部品には装置Aと同じ符号を付してある。
【0143】
リンク駆動フレーム5cは、図15に示すように、装置Aのリンク駆動フレーム5と同様に外側軸下端フランジ141の上側で外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されており、リンク駆動フレーム5と同様に、外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されたリング形状の第1係合部材50を含んでいる。
【0144】
リンク駆動フレーム5cは第1係合部材50に加え、それに固定された基礎リング部材50”、その上方の3段のリング部材51”、52”、53”を含んでいる。これらリング部材51”〜53”は3段の土壌攪拌翼12cにそれぞれ対応して設けられており、それぞれ外側軸14に相対的に昇降可能に外嵌されている。
【0145】
下段リング部材51”は基礎リング部材50”に立設した支持柱500”に支持されており、中段リング部材52”は下段リング部材51”に立設した支持柱510”に支持されており、上段リング部材53”は中段リング部材52”に立設した支持柱520”に支持されており、全体として、第1係合部材50、基礎リング部材50”、リング部材51”〜53”及び支持柱500”、510”、520”は一体化され、リンク駆動フレーム5cとして外側軸14に対し昇降可能である。
【0146】
下段リング部材51”には一対の下段土壌攪拌翼12cに対応させてリンク連結部材511”が、中段リング部材52”には一対の中段土壌攪拌翼12cに対応させてリンク連結部材521”が、上段リング部材53”には一対の上段土壌攪拌翼12cに対応させてリンク連結部材531”がそれぞれ設けられている。
【0147】
さらに言えば、各段リング部材のリンク連結部材は180度の中心角度間隔で2個(一対)設けられており、下段と中段のリンク連結部材511”と521”は中心角度にして60度ずれており、中段と上段のリンク連結部材521”と531”も中心角度にして60度ずれている。また、支持柱500”及びリング部材間の支持柱510”、520”は、リンク連結部材位置からずらして、平面から見て隣り合うリンク連結部材の間に配置されており、120度中心角度間隔で配置されている。
【0148】
図15に示すように、一対の下段のリンク連結部材511”とこれに対応する一対の下段土壌攪拌翼12cのそれぞれに、リンク機構として本例ではリンク部材61”が渡し連結されている。リンク部材61”の一端部(図15中の上端部)がリンク連結部材511”にピン連結されており、リンク部材61”の他端部(図15中の下端部)が土壌攪拌翼12cの支持部120”での回動支点ピン12P”を間にして自由端部とは反対側部位にピン連結されている。
【0149】
同様に、一対の中段のリンク連結部材521”とこれに対応する一対の中段土壌攪拌翼12cのそれぞれに、リンク部材62”が渡し連結されており、リンク部材62”の一端部がリンク連結部材521”にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12cにピン連結されている。
また、一対の上段のリンク連結部材531”とこれに対応する一対の上段土壌攪拌翼12cのそれぞれに、リンク部材63”が渡し連結されており、リンク部材63”の一端部がリンク連結部材531’にピン連結されているとともに他端部が対応する土壌攪拌翼12cにピン連結されている。
図15にはリンク部材62”、63”を鎖線で示してある。また、図15には中段及び上段の土壌攪拌翼の回動支点高さ位置12c’を鎖線で示してある。
【0150】
各段リング部材はリンク部材等との衝突防止のため必要に応じ円形輪郭の一部を切り欠いたものとされる。
なお,係合部材50は基礎リング部材50”を兼ねていてもよい。
【0151】
図14(A)に示すように回転ヘッド1cが縮小状態におかれた状態では、リンク駆動フレーム5cは外側軸14の下端フランジ141に支持されている。
【0152】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12cが縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12cと共に内側軸13に対して下降すると、リンク駆動フレーム5cも下降し、先ず、土壌掘削刃ヘッド11が開き始める。このように土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12cに先立って開き始める。
【0153】
外側軸14が内側軸13に対してさらに下降すると、図14(B)のように第2ストッパ装置7の台部材72が内側軸上のストッパ部材74に当接することで、リンク駆動フレーム5cが内側軸13に対する下降限度に配置される。この状態では土壌掘削刃ヘッド11は既に半開きの状態になっているが、土壌攪拌翼12cは未だ開いていない。
【0154】
さらに外側軸14が内側軸13に対し下降すると、土壌攪拌翼12cも開き始め、最終的には土壌掘削刃ヘッド11が図14(C)に示すように開いて拡大姿勢をとり、土壌攪拌翼12cも拡大姿勢をとる。
【0155】
土壌攪拌翼12cの開き動作についてさらに説明すると、図14(B)のようにリンク駆動フレーム5cが第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度に配置されてのち、さらに外側軸14が土壌攪拌翼12cとともに内側軸13に対して下降することで、リンク駆動フレーム5cにおけるリンク連結部材511”〜531”と土壌攪拌翼12cとに渡し連結されたリンク61”〜63”がリンク連結部材511”〜531”により相対的に上方へ引っ張り力を受け、それにより土壌攪拌翼12cが下方へ回動して開き、拡大姿勢におかれる。
【0156】
いずれにしても図14(C)に示すように土壌掘削刃ヘッド11の拡大姿勢時の回転半径及び土壌攪拌翼12c の拡大姿勢時の回転半径は同程度であるが、図14(B)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12cのそれぞれの拡大途中においては、土壌攪拌翼12cの拡大途中半径は掘削刃ヘッド11の拡大途中半径を超えない。
【0157】
土壌掘削刃ヘッド11及び土壌攪拌翼12cが図14(C)のように拡大姿勢におかれた状態から、外側軸14が土壌攪拌翼12cと共に内側軸13に対して上昇開始すると、それとともに土壌掘削刃ヘッド11が閉じ始め、土壌攪拌翼12cも上昇回動で閉じ始める。
【0158】
このとき、リンク駆動フレーム5cは未だ第2ストッパ装置7により内側軸13に対する下降限度におかれたままであるから、そのリンク駆動フレーム5cに対して外側軸13が土壌攪拌翼12cとともに上昇することになり、それにより、リンク駆動フレーム5cにおけるリンク連結部材511”〜531”と土壌攪拌翼12cとに渡し連結されたリンク61”〜63”がリンク連結部材511”〜531”により相対的に下方へ押し下げ力を受け、それにより土壌攪拌翼12cが上方へ回動して閉じ、縮小姿勢におかれる。
【0159】
さらに外側軸14が内側軸13に対して上昇することで外側軸下端フランジ141も上昇してリンク駆動フレーム5cに下方から接触し始め、リンク駆動フレーム5c及び第2ストッパ装置7の昇降部分71〜73が持ち上げられ始める(図14(B))。
【0160】
さらに外側軸14が上昇することで、図14(A)に示すように、土壌掘削刃ヘッド11も閉じ、縮小姿勢におかれる。土壌掘削刃ヘッド11は土壌攪拌翼12cに遅れて縮小姿勢におかれる。
【0161】
<図16の土壌処理装置D>
図16の土壌処理装置Dは土壌処理装置Cにおいて回転ヘッドの土壌掘削刃ヘッドを若干変更し、内側軸下端部のストッパ部材74をそれより若干厚い(背高い)ストッパ部材74’に変更したものである。それ以外の点は土壌処理装置Cと同じであり、装置Dにおいて装置Cや装置Aと同じ部分、部品には装置Aと同じ符号を付してある。
【0162】
装置Dでは、土壌掘削刃ヘッド11の可動部112の一端部が(根元部分)がスライダ15の掘削刃ヘッド連結部材151に回動可能にピン連結されており、この可動部112と固定部111上側のリング部材113とにリンク114’が渡し連結されている。リンク114’はその一端部が可動部112にピン連結され、他端部がリング部材113にピン連結されている。
【0163】
かくして、16(A)に示すように回転ヘッド1dが縮小状態におかれ、土壌掘削刃ヘッド11が縮小姿勢におかれた状態から、外側軸14が内側軸13に対して下降すると、スライダ15も下降し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が上方へ回動し、図16(B)の開き途中状態を経て図16(C)に示すように開き、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に拡大した姿勢をとることができる。
【0164】
この拡大状態から外側軸14が内側軸13に対して上昇すると、スライダ15も上昇し、それにより掘削刃ヘッド11の各可動部112が下方へ回動して閉じ、掘削刃ヘッド11は、全体として、回転ヘッド半径方向に縮小した姿勢をとることができる。
土壌攪拌翼12cの拡縮動作は土壌処理装置Cの場合と同じである。
【0165】
以上説明した土壌処理装置B〜Dも土壌処理装置Aと同様に土壌処理に供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、重金属等で汚染されている汚染土壌を無害化処理したり、軟弱地盤を構造物構築に適する地盤に改良する等の土壌処理に利用できる。
【符号の説明】
【0167】
A、B、C、D 土壌処理装置
1a、1b、1c、1d 回転ヘッド
11 土壌掘削刃ヘッド
11x、11y 土壌掘削刃
111 固定部
112 可動部
113 リング部材
114、114’ リンク
12a、12b、12c 土壌攪拌翼
13 内側軸
14 外側軸
141 外側軸下端フランジ(第1トッパ装置の1例)
15 スライダ
2 回転ヘッドの支持駆動装置
4 土壌処理用添加物の添加装置
21 掘削刃ヘッド支持駆動部
22 外側軸回転駆動部
130 内側中間軸
140 外側中間軸
3 外側軸支持昇降駆動部
4 土壌処理用添加物供給装置
5、5b、5c リンク駆動フレーム
50 第1係合部
50’、50” 基礎リング部材
51、51’、51” 下段リング部材
52、52’、52” 中段リング部材
53、53’、53” 上段リング部材
511’、511”、511” 下段リンク連結部材
521’、521”、521” 中段リンク連結部材
531’、531”、531” 上段リンク連結部材
61’、62’、63’ リンク部材
7 第2ストッパ装置 71 第2係合部材
72 台部材
73 支持柱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び該土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であり、
前記回転ヘッドを支持し、前記土壌掘削刃ヘッドの回転駆動及び拡縮駆動並びに前記土壌攪拌翼の回転駆動及び拡縮駆動を行う回転ヘッド支持駆動装置を備えており、
前記回転ヘッドは、
下端部に前記土壌掘削刃ヘッドを支持する内側軸と、
外周部位に前記土壌攪拌翼を支持し、前記内側軸に昇降可能に外嵌された外側軸と、
前記土壌掘削刃ヘッドを、前記外側軸の前記内側軸に対する上昇動作に連動させて縮小させて縮小姿勢におくことができ、下降動作に連動させて拡大させて拡大姿勢におくことができる第1連動機構と、
前記外側軸の前記内側軸に対する昇降動作に連動させて前記土壌攪拌翼を縮小拡大させる第2連動機構であって、該外側軸が該内側軸に対し上昇することで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って前記土壌攪拌翼を縮小姿勢におくことができ、該外側軸が該内側軸に対し下降することで前記第1連動機構により該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとり始めるに遅れて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢におき始める第2連動機構とを含んでおり、
前記回転ヘッド支持駆動装置は、前記内側軸を支持することで前記土壌掘削刃ヘッドを支持するとともに該内側軸を介して該土壌掘削刃ヘッドを回転駆動する掘削刃ヘッド支持駆動部と、前記外側軸を支持して前記内側軸に対し昇降させることで、前記第1連動機構にて前記土壌掘削刃ヘッドを、前記第2連動機構にて前記土壌攪拌翼を、それぞれ縮小拡大させる外側軸支持昇降駆動部と、前記外側軸を回転駆動することで前記土壌攪拌翼を回転駆動する外側軸回転駆動部とを含んでおり、
前記土壌掘削刃ヘッドは、少なくとも一部が前記内側軸の方へ閉じる閉じ姿勢と該内側軸から開く開き姿勢をとることができる可動部とされており、該可動部の開閉により土壌掘削刃ヘッド全体が回転ヘッド半径方向に拡縮可能であり、
前記第1連動機構は、
前記内側軸とともに回転可能且つ該内側軸に対し昇降可能に該内側軸に設けられ、前記外側軸の下端部に、該下端部に対し昇降不能且つ回転可能に支持されたスライダと、前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を該スライダと前記内側軸とに連結し、前記外側軸の昇降に伴い該スライダが前記内側軸に対し昇降することで前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を閉じ又は開いて該土壌掘削刃ヘッドを縮小又は拡大させるリンク機構とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼は、一端部側の部位で前記外側軸の外周部位に回動可能に連結されて自由他端部が上下方向に回動可能とされていることで、回転ヘッド半径方向に縮小拡大可能であり、
前記第2連動機構は、
前記外側軸に昇降可能に外嵌されたリンク駆動フレームと、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結するリンク機構と、
前記リンク駆動フレームの前記外側軸に対する下降限度を定める第1ストッパ装置と、 前記リンク駆動フレームの前記内側軸に対する下降限度を定める第2ストッパ装置とを含んでおり、
前記第1ストッパ装置は前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに縮小姿勢の縮小状態にあるとき、前記リンク駆動フレームを前記外側軸に対する下降限度に支持し、前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに拡大姿勢の拡大状態にあるとき、前記リンク駆動フレームから離れて該リンク駆動フレームの下方に位置し、
前記第2ストッパ装置は前記縮小状態から前記内側軸に対して前記外側軸が下降し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが開き始めた後に前記リンク駆動フレームを前記内側軸に対する下降限度に配置し、
前記リンク駆動フレームは、前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのちさらに前記外側軸が前記内側軸に対し下降することで、該外側軸の下降とともに下降する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して拡大姿勢におき、
前記リンク駆動フレームは、前記拡大状態から前記内側軸に対して前記外側軸が上昇し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが閉じ始めると、前記外側軸上昇とともに上昇する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して閉じ始めさせ、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って該土壌攪拌翼を縮小姿勢におく
ことを特徴とする土壌処理装置。
【請求項2】
前記第1ストッパ装置は、前記外側軸の下端部に設けられたストッパ部材である請求項1記載の土壌処理装置。
【請求項3】
前記リンク駆動フレームは前記外側軸に昇降可能の第1係合部材を含んでおり、
前記第2ストッパ装置は、
前記リンク駆動フレームの第1係合部材に、該リンク駆動フレームに対する昇降動作は不能に、且つ、相対的に回転可能に係合する第2係合部材と、
前記第1連動機構のスライダより下方で前記内側軸に昇降可能に設けられ、該内側軸に対する下降限度が該内側軸に設けられたストッパ部材により規制されている台部材と、 前記台部材上に前記第2係合部材を支持する支持柱とを含んでいる
請求項1又は2記載の土壌処理装置。
【請求項4】
前記土壌攪拌翼は前記外側軸の回転中心線方向に1又は複数段に配設されており、
前記リンク駆動フレームは、前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された1又は複数段のリング部材と、前記リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方から持ち上げ力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方へ引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる
請求項1、2又は3記載の土壌処理装置。
【請求項5】
前記土壌攪拌翼は前記外側軸の回転中心線方向に1又は複数段に配設されており、
前記リンク駆動フレームは、前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された第1リング部材と、前記第1リング部材の上方で前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌され、前記第1リング部材に支持された1又は複数段の第2リング部材と、前記第2リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に上方引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に押し下げ力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる
請求項1、2又は3記載の土壌処理装置。
【請求項6】
前記内側軸には侵入土砂排除用羽根が形成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項7】
土壌処理用添加物を前記回転ヘッドの添加物吐出口へ供給する添加物供給装置を備えている請求項1から6のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項1】
土壌掘削刃ヘッド及びその上方に配置された土壌攪拌翼を有するとともに土壌処理用添加物を土壌中へ注入するための添加物吐出口を有し、該土壌掘削刃ヘッド及び該土壌攪拌翼がいずれも回転半径方向に拡縮可能である回転ヘッドを備えた土壌処理装置であり、
前記回転ヘッドを支持し、前記土壌掘削刃ヘッドの回転駆動及び拡縮駆動並びに前記土壌攪拌翼の回転駆動及び拡縮駆動を行う回転ヘッド支持駆動装置を備えており、
前記回転ヘッドは、
下端部に前記土壌掘削刃ヘッドを支持する内側軸と、
外周部位に前記土壌攪拌翼を支持し、前記内側軸に昇降可能に外嵌された外側軸と、
前記土壌掘削刃ヘッドを、前記外側軸の前記内側軸に対する上昇動作に連動させて縮小させて縮小姿勢におくことができ、下降動作に連動させて拡大させて拡大姿勢におくことができる第1連動機構と、
前記外側軸の前記内側軸に対する昇降動作に連動させて前記土壌攪拌翼を縮小拡大させる第2連動機構であって、該外側軸が該内側軸に対し上昇することで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って前記土壌攪拌翼を縮小姿勢におくことができ、該外側軸が該内側軸に対し下降することで前記第1連動機構により該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとるとき、該土壌掘削刃ヘッドが拡大姿勢をとり始めるに遅れて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢におき始める第2連動機構とを含んでおり、
前記回転ヘッド支持駆動装置は、前記内側軸を支持することで前記土壌掘削刃ヘッドを支持するとともに該内側軸を介して該土壌掘削刃ヘッドを回転駆動する掘削刃ヘッド支持駆動部と、前記外側軸を支持して前記内側軸に対し昇降させることで、前記第1連動機構にて前記土壌掘削刃ヘッドを、前記第2連動機構にて前記土壌攪拌翼を、それぞれ縮小拡大させる外側軸支持昇降駆動部と、前記外側軸を回転駆動することで前記土壌攪拌翼を回転駆動する外側軸回転駆動部とを含んでおり、
前記土壌掘削刃ヘッドは、少なくとも一部が前記内側軸の方へ閉じる閉じ姿勢と該内側軸から開く開き姿勢をとることができる可動部とされており、該可動部の開閉により土壌掘削刃ヘッド全体が回転ヘッド半径方向に拡縮可能であり、
前記第1連動機構は、
前記内側軸とともに回転可能且つ該内側軸に対し昇降可能に該内側軸に設けられ、前記外側軸の下端部に、該下端部に対し昇降不能且つ回転可能に支持されたスライダと、前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を該スライダと前記内側軸とに連結し、前記外側軸の昇降に伴い該スライダが前記内側軸に対し昇降することで前記土壌掘削刃ヘッドの可動部を閉じ又は開いて該土壌掘削刃ヘッドを縮小又は拡大させるリンク機構とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼は、一端部側の部位で前記外側軸の外周部位に回動可能に連結されて自由他端部が上下方向に回動可能とされていることで、回転ヘッド半径方向に縮小拡大可能であり、
前記第2連動機構は、
前記外側軸に昇降可能に外嵌されたリンク駆動フレームと、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結するリンク機構と、
前記リンク駆動フレームの前記外側軸に対する下降限度を定める第1ストッパ装置と、 前記リンク駆動フレームの前記内側軸に対する下降限度を定める第2ストッパ装置とを含んでおり、
前記第1ストッパ装置は前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに縮小姿勢の縮小状態にあるとき、前記リンク駆動フレームを前記外側軸に対する下降限度に支持し、前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼がともに拡大姿勢の拡大状態にあるとき、前記リンク駆動フレームから離れて該リンク駆動フレームの下方に位置し、
前記第2ストッパ装置は前記縮小状態から前記内側軸に対して前記外側軸が下降し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが開き始めた後に前記リンク駆動フレームを前記内側軸に対する下降限度に配置し、
前記リンク駆動フレームは、前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのちさらに前記外側軸が前記内側軸に対し下降することで、該外側軸の下降とともに下降する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して拡大姿勢におき、
前記リンク駆動フレームは、前記拡大状態から前記内側軸に対して前記外側軸が上昇し始めることで前記第1連動機構により前記土壌掘削刃ヘッドが閉じ始めると、前記外側軸上昇とともに上昇する前記土壌攪拌翼を、該土壌攪拌翼と自身に連結された前記リンク機構を相対的に駆動して閉じ始めさせ、該土壌掘削刃ヘッドが縮小姿勢をとるに先立って該土壌攪拌翼を縮小姿勢におく
ことを特徴とする土壌処理装置。
【請求項2】
前記第1ストッパ装置は、前記外側軸の下端部に設けられたストッパ部材である請求項1記載の土壌処理装置。
【請求項3】
前記リンク駆動フレームは前記外側軸に昇降可能の第1係合部材を含んでおり、
前記第2ストッパ装置は、
前記リンク駆動フレームの第1係合部材に、該リンク駆動フレームに対する昇降動作は不能に、且つ、相対的に回転可能に係合する第2係合部材と、
前記第1連動機構のスライダより下方で前記内側軸に昇降可能に設けられ、該内側軸に対する下降限度が該内側軸に設けられたストッパ部材により規制されている台部材と、 前記台部材上に前記第2係合部材を支持する支持柱とを含んでいる
請求項1又は2記載の土壌処理装置。
【請求項4】
前記土壌攪拌翼は前記外側軸の回転中心線方向に1又は複数段に配設されており、
前記リンク駆動フレームは、前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された1又は複数段のリング部材と、前記リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方から持ち上げ力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に下方へ引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる
請求項1、2又は3記載の土壌処理装置。
【請求項5】
前記土壌攪拌翼は前記外側軸の回転中心線方向に1又は複数段に配設されており、
前記リンク駆動フレームは、前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌された第1リング部材と、前記第1リング部材の上方で前記土壌攪拌翼に対応させて前記外側軸に相対的に昇降可能に外嵌され、前記第1リング部材に支持された1又は複数段の第2リング部材と、前記第2リング部材に設けられたリンク連結部材とを含んでおり、
前記土壌攪拌翼と前記リンク駆動フレームとを連結する前記リンク機構は該土壌攪拌翼と該土壌攪拌翼に対応する前記リング部材に設けられた前記リンク連結部材とに渡し連結されており、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記縮小状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降して前記リンク駆動フレームが前記第2ストッパ装置により前記内側軸に対する下降限度に配置されてのち、さらに前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して下降することで、前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に上方引っ張り力を受けて前記土壌攪拌翼を拡大姿勢に拡大させ、
前記土壌掘削刃ヘッド及び前記土壌攪拌翼が前記拡大状態から前記外側軸が前記土壌攪拌翼とともに前記内側軸に対して上昇することで前記リンク機構が前記リンク連結部材により相対的に押し下げ力を受けて前記土壌攪拌翼を縮小姿勢に縮小させる
請求項1、2又は3記載の土壌処理装置。
【請求項6】
前記内側軸には侵入土砂排除用羽根が形成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項7】
土壌処理用添加物を前記回転ヘッドの添加物吐出口へ供給する添加物供給装置を備えている請求項1から6のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−13860(P2013−13860A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148786(P2011−148786)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(591214804)株式会社松村組 (14)
【出願人】(594126735)麻生フオームクリート株式会社 (7)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(591214804)株式会社松村組 (14)
【出願人】(594126735)麻生フオームクリート株式会社 (7)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】
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