説明

土壌採取管装置

【課題】土壌の取込効率を良くでき、また、外管周囲の複数箇所で土壌を採取できる土壌採取管装置を提供する。
【解決手段】周面に開口部16を有し中心軸線aを回転中心として回転可能な外管11と、外管の中心軸線と同軸に外管内に設置されて周面に土壌取込孔18を有した内部材12A(内管12)と、内部材の土壌取込孔の孔縁より外管の開口部を経由して外管の外周面より外側に突出する土壌取込孔塞体13と、外管の両端開口を塞ぐ蓋体(26;36)とを備え、地上からの操作により地中で外管を一方方向に回転させた場合には、土壌取込孔が開口部を介して地中と連通し、地上からの操作により地中で外管を他方方向に回転させた場合には、土壌取込孔が塞がれるように構成された土壌採取管装置において、外管の開口部16と当該開口部に対応する内部材の土壌取込孔18及び土壌取込孔塞体13とからなる土壌取込構成部100を2つ以上備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中の土壌採取目標位置の土壌を採取するための土壌採取管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外管に形成された開口部(特許文献1の外採取口)と内管に形成された土壌取込孔(内採取口)と内管に取付けられた土壌取込孔塞体(採取刃)とからなる土壌取込構成部を備えた土壌採取管装置(土壌採取装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−332392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の土壌採取管装置は、土壌取込構成部を1つしか備えていないので、土壌取込効率が悪い。また、土壌採取管装置の周囲の1箇所でしか土壌を採取できないという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、土壌の取込効率を良くでき、また、外管周囲の複数箇所で土壌を採取できる土壌採取管装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る土壌採取管装置は、周面に開口部を有しロッド部を介した回転駆動力を受けて中心軸線を回転中心として回転可能な外管と、外管の中心軸線と同軸に外管内に設置されて周面に土壌取込孔を有した内部材と、内部材の土壌取込孔における外管の中心軸線に沿った方向に延長する孔縁より外管の開口部を経由して外管の外周面より外側に突出するように設けられた土壌取込孔塞体と、外管の両端開口を塞ぐ蓋体とを備え、地上からの操作により地中で外管を一方方向に回転させた場合には、土壌取込孔が開口部を介して地中と連通し、地上からの操作により地中で外管を他方方向に回転させた場合には、外管の開口部における外管の中心軸線に沿った方向に延長する開口縁と土壌取込孔塞体とが接触して土壌取込孔が塞がれるように構成された土壌採取管装置において、外管の開口部と当該開口部に対応する内部材の土壌取込孔及び土壌取込孔塞体とからなる土壌取込構成部を2つ以上備えたので、土壌の取込効率を良くでき、また、外管周囲の複数箇所で土壌を採取できる。
内部材が、土壌取込構成部毎の土壌収容空間を備えたので、土壌採取目標位置における外管の周囲の異なる複数箇所での土壌を各土壌収容空間内に分けて採取できるようになり、土壌採取目標位置における外管の周囲の異なる複数箇所での土壌成分の違いも分析できるようになるため、土壌調査を詳細に行えるようになる。
内部材は、円管により形成された外管内に設置された場合に外管の円管内部空間を外管の中心軸線を中心とした4つの空間に分ける仕切部材を備え、土壌取込構成部毎の土壌収容空間が、外管の中心軸線を中心として向かい合う一対の空間の各々により形成されたので、土壌収容空間の容積を外管の円管内部空間の容積よりも小さくでき、かつ、土壌収容空間内に取り込まれた土壌が仕切部材で押し固められるので、水分の少ない土壌を採取できるようになり、土壌成分の検査をより正確に行うことが可能となる。
仕切部材を形成する仕切板のうち土壌取込孔塞体が設けられる仕切板は、土壌収容空間を外管の円管内部空間の4等分よりも大きくする凹部を有したので、土壌取込孔を経由して凹部内に土壌が取り込まれ、土壌収容空間内に土壌を効率的に取り込めるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】土壌採取管装置を示す分解斜視図(実施形態1)。
【図2】土壌採取管装置を示す斜視図(実施形態1)。
【図3】土壌採取管装置の中心軸線と直交する横断面図(実施形態1)。
【図4】土壌採取管装置の中心軸線に沿った縦断面図(実施形態1)。
【図5】第1の土壌採取方法を示す図(実施形態1)。
【図6】第2の土壌採取方法を示す図(実施形態1)。
【図7】第2の土壌採取方法に使用する土壌採取管装置の中心軸線に沿った縦断面図(実施形態1)。
【図8】土壌採取管装置を示す分解斜視図(実施形態2)。
【図9】土壌採取管装置の内部材及び土壌取込孔塞体を示す斜視図(実施形態3)。
【図10】土壌採取管装置の土壌取込孔全開状態及び土壌取込孔全閉状態を示す横断面図(実施形態3)。
【図11】土壌採取管装置の内部材及び土壌取込孔塞体を示す斜視図(実施形態4)。
【図12】土壌採取管装置の土壌取込孔全開状態及び土壌取込孔全閉状態を示す横断面図(実施形態4)。
【図13】土壌採取管装置を示す分解斜視図(実施形態7)。
【図14】土壌採取管装置のロック動作を示す縦断面図(実施形態7)。
【図15】土壌採取管装置の要部斜視図(実施形態8)。
【図16】土壌採取管装置の要部斜視図(実施形態8)。
【図17】土壌採取管装置の土壌取込孔全開状態及び土壌取込孔全閉状態を示す横断面図(実施形態8)。
【図18】土壌採取管装置の内管及び土壌取込孔塞体を示す斜視図(実施形態9)。
【図19】土壌採取管装置の内管の分離構造を示す横断面図(実施形態9)。
【図20】土壌採取管装置の内管及び土壌取込孔塞体を示す斜視図(実施形態10)。
【図21】土壌採取管装置の内管及び土壌取込孔塞体を示す斜視図(実施形態11)。
【図22】土壌採取管装置の内管及び土壌取込孔塞体を示す斜視図(実施形態12)。
【図23】土壌採取管装置を示す分解斜視図(実施形態1;2;4;7;8;12)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1乃至図4を参照し、実施形態1の土壌採取管装置1を説明する。土壌採取管装置1は、地中を移動させるロッド部の先端に取付けられて土壌採取目標位置の土壌を採取するための装置であり、例えば、図5に示すように、自由曲線掘削機2のロッド部5の先端5tに取付けられる。
【0008】
土壌採取管装置1は、外管11と、内管12と、土壌取込孔塞体13と、連結部材14と、引出部材15とを備える。
【0009】
外管11及び内管12は、外管11の中心軸線aと直交する断面が円環状の例えば鋼管のような金属製の円管により形成される。外管11は、円管の周面の一部に内周面と外周面とに貫通する2つ以上の開口部16を備えるとともに、円管の両方の端部開口25;25aの内周面には雌ねじ部17;17を備える。内管12は、円管の周面の一部に内周面と外周面とに貫通する2つ以上の土壌取込孔18を備える。内管12は外管11の内側に設置され、内管12及び外管11は、内管12と外管11とで共通の中心軸線aを回転中心として回転可能に構成される。即ち、外管11は、ロッド部5を介した回転駆動力を受けて中心軸線aを回転中心として回転可能であり、内管12は、外管11の中心軸線aと同軸に外管内に設置され、中心軸線aを回転中心として回転可能である。この内管12は、外管11の中心軸線aと同軸に外管11内に設置されて周面に土壌取込孔18を有した内部材12Aとして機能する。このように内管12と外管11とが中心軸線aを回転中心として回転可能に設けられ、かつ、内管12が中心軸線aに対して傾かないように、外管11の内径寸法と内管12の外径寸法とが互いに近似した適性値に設定される(例えば、内管12の外径寸法が外管11の内径寸法よりも数mm小さい程度に設定される)。開口部16は、周面において周方向に沿って湾曲する矩形形状の孔に形成される。即ち、当該矩形形状の孔は、例えば、外管11の中心軸線aに沿って延長して互いに平行に対向する直線状の2つの長辺縁16a;16bと外管11の周方向に沿って延長して互いに平行に対向する湾曲状の2つの短辺縁16c;16dとによる湾曲長方形状の開口縁を備えた孔である。土壌取込孔18は、例えば、開口部16の孔寸法よりも一回り小さい孔寸法で、かつ、開口部16と同じ形状に形成される。
【0010】
土壌取込孔18の一方の長辺縁19側には、ブレードと呼ばれる土壌取込孔塞体13が設けられる。土壌取込孔塞体13は、内管12の中心軸線aに沿って延長するとともに当該中心軸線aと直交する方向(内管12の径に沿った方向)に延長する例えば四角形板により形成される。当該四角形板は、土壌取込孔18における中心軸線aに沿った方向に延長する孔縁である一方の長辺縁19の長さと同じ長さに形成された互いに平行に対向する一対の辺縁21;22とこの一対の辺縁21;22の端部同士を連結する他方の一対の辺縁21a;22aとを有した形状に形成される。この土壌取込孔塞体13の一対の辺縁21;22のうちの一方の辺縁21側と土壌取込孔18の一方の長辺縁19側とが溶接または連結手段(例えば、土壌取込孔塞体13の一方の辺縁21に設けた図外のブラケットをボルトなどで内管12の周面に固定する連結手段)により連結されることにより、土壌取込孔塞体13が土壌取込孔18の一方の長辺縁19より外管11の開口部16を経由して外管11の外周面より外側に突出するように設けられる。
【0011】
つまり、土壌採取管装置1は、外管11の開口部16と当該開口部16に対応する内管12の土壌取込孔18及び土壌取込孔塞体13とからなる土壌取込構成部100を2つ以上備える。
【0012】
開口部16;土壌取込孔18;土壌取込孔塞体13の具体例を説明する。
外管11の開口部16は2つ設けられ、各開口部16;16の開口中心が、外管11の円周に沿った方向において互いに180°隔てた位置に設けられる。
内管12の土壌取込孔18は2つ設けられ、各土壌取込孔18;18の開口中心が、内管12の円周に沿った方向において互いに180°隔てた位置に設けられる。
各土壌取込孔18;18に連結された各土壌取込孔塞体13;13は、内管12の中心軸線aを含む平面と同一平面上に位置される。
以上の構成によれば、外管11の開口部16と当該開口部16に対応する内管12の土壌取込孔18及び土壌取込孔塞体13とからなる土壌取込構成部100を、外管11の円周に沿った方向において互いに180°隔てた位置に備えた構成の土壌採取管装置1となる。
【0013】
中実な棒状に形成された連結部材14は、一端部には、外管11の一方の端部開口25を塞ぐように当該一方の端部開口25に取付けられる連結部材側蓋体26を備え、他端部には、ロッド部5の先端に連結されるロッド連結部27を備える。連結部材側蓋体26は、連結部材14の一端から他端に向けて、内管回転支持部31、内管規制面32、外管連結部33を備える。ロッド連結部27は、連結部材14を形成する棒の他端部の端面から一端部側に延長するように棒の内側に形成されて、ロッド部5の先端5tの周面に形成された雄ねじ部34(図4参照)と螺合する雌ねじ部35により構成される。連結部材14は周面にスパナのような工具で掴むための平面部14aを備える。
【0014】
引出部材15は、一端部には、外管11の他方の端部開口25aを塞ぐように当該他方の端部開口25aに取付けられる引出部材側蓋体36を備え、他端部には、引出部37を備える。引出部材側蓋体36は、引出部材15の一端から他端に向けて、内管回転支持部41、内管規制面42、外管連結部43を備える。引出部37は、図外の牽引ワイヤのような引き上げ材を繋ぐ孔38を備える。
【0015】
連結部材側蓋体26と引出部材側蓋体36とは同じ構成である。これら蓋体26;36の内管回転支持部31;41は、内管12の内径寸法より小さい径寸法の円柱体により形成される。内管12と外管11が互いに回転可能となり、かつ、内管12が中心軸線aに対して傾かないように、内管回転支持部31;41を形成する円柱体の径寸法と内管12の内径寸法とが互いに近似した適性値に設定される(例えば、内管回転支持部31;41の径寸法が内管12の内径寸法よりも数mm小さい程度に設定される)。これら蓋体26;36の内管規制面32;42は、内管回転支持部31;41を形成する円柱体における連結部材14や引出部材15の端部の周回りに設けられて当該円柱体の中心軸線aと直交する円環面により形成される。当該円環面の環幅寸法は、内管12の内径寸法と外径寸法と差寸法(内管12の厚さ寸法)よりも大きく、かつ、該円環面の環幅寸法と内管12の内径寸法とが近似した適性値に設定される。上記差寸法(内管12の厚さ寸法)に形成されるこれら蓋体26;36の外管連結部33;43は、内管規制面32;42を形成する円環面の外周縁より連結部材14や引出部材15の他端方向に延長して中心軸線aが内管回転支持部31;41と同じ(同軸)に形成された円柱部と、当該円柱部の外周面に形成されて外管11の端部開口25;25aの内周面に形成された雌ねじ部17;17に螺合される雄ねじ部40;40とにより形成される。
【0016】
土壌採取管装置1の組付構造を説明する。蓋体26;36のうちの一方の蓋体26と外管11の一方の端部開口25とがねじ連結される。外管11の他方の端部開口25aから挿入された内管12の挿入側先端の管内側に一方の蓋体26の内管回転支持部31の円柱を入れる(はめ込む)。内管12の後端の管内側に他方の蓋体36の内管回転支持部41の円柱を入れた(はめ込んだ)状態で当該他方の蓋体36と外管11の他方の端部開口25aとがねじ連結される。土壌取込孔塞体13が内管12の土壌取込孔18の一方の長辺縁19に取付けられる。以上により、地中に設置された場合に、土壌取込孔塞体13が地中に設置されることで内管12の回転が規制されるとともに外管11に回転力を加えることで外管11が土壌取込孔18を開閉可能に回転する。
【0017】
図2(a);図3(a)に示すように、土壌採取管装置1は、地中において、ロッド部5を回転させることで外管11を一方方向Aに回転させた場合に、各開口部16;16の一方の長辺縁16aと各土壌取込孔塞体13;13の一方の板面13aとが接触し、各土壌取込孔18の開口縁が開口部16の開口縁の内側に位置して土壌取込孔全開状態となる。その後、さらに、外管11を一方方向Aに回転させることで、外管11と内管12とが中心軸線aを回転中心として供回りする。これにより、地中の土壌が土壌取込孔塞体13の他方の板面13bに押圧されて内管12内に取り込まれる。
そして、内管12内に土壌を取り込んだ後、図2(b);図3(b)に示すように、外管11を他方方向Bに回転させた場合に、各開口部16;16の他方の長辺縁16bと各土壌取込孔塞体13;13の他方の板面13bとが接触することで、土壌取込孔18が外管11の内周面と対向し、内管12の内部空間と外部空間との連通が土壌取込孔塞体13により遮断された土壌取込孔全閉状態となり、内管12内に取り込まれた土壌が外管11及び土壌取込孔塞体13;13によって外管11の内側に封じ込められた状態となって外管11の周りの地中に流出しないようになる。
【0018】
自由曲線掘削機2は、図5(a);(b);図7に示すように、ロッド部5と、ロッド部5の先端5tに設けられた掘削ビット6と、ロッド部5の先端部あるいは掘削ビット6に設けられた磁気センサやジャイロセンサなどの位置検出センサ7と、ロッド部5を前後動させたり回転させたりするための駆動装置8とを備える。掘削ビット6は、先端に、中実の円柱の一端開口部が斜めに切り落とされたような楕円傾斜面9を備え、楕円傾斜面9に図外の削岩ビットを有した構成である。また、掘削ビット6は、先端に掘削液噴射孔6dを備え、内部には、掘削液噴射孔6dとロッド部5の内部空間5uとを連通させる掘削液供給路6eを備える。ロッド部5は、掘削が進むに伴って例えば金属円管により形成されるロッド5aを複数個順次継ぎ足して構成される。ロッド5a同士の連結は、例えば、ネジ継手のような図外の連結部材が用いられる。位置検出センサ7は、掘削ビット6の後端側に形成された中空部に埋設される。
【0019】
自由曲線掘削機2を用いて、例えば、機械工場のような建屋下の地中や廃棄物処分場跡のような更地下の地中における土壌採取目標位置50での汚染された土壌を採取する第1の土壌採取方法を説明する。
まず、図5に示すように、自由曲線掘削機2を用いて土壌採取目標位置50を通過する掘削孔51を形成する。例えば、掘削ビット6を土壌採取目標位置の深さ位置まで斜め下方向に推進させるようにして斜め下方向に地盤を掘削した後、掘削ビット6を水平方向に推進させるようにして水平方向に地盤を掘削して土壌採取目標位置50を通過する掘削孔51を形成し、その後、掘削ビット6を斜め上方向に推進させるようにして斜め上方向に地盤を掘削して掘削ビット6を地上に出す。
地盤を斜めに掘削する場合には、ロッド部5をロッド部5の中心軸線を回転中心として駆動装置8に設けられた図外のモータのような回転駆動源で回転させることで掘削ビット6を回転させながら掘削ビット6を推進させる。
掘削ビット6の推進方向を変える場合は、ロッド部5を回転させないで、駆動装置8に設けられた図外の油圧シリンダのような押圧装置でロッド部5に推進力を与えて掘削ビット6の楕円傾斜面9に土圧が作用するようにすることで、掘削ビット6の推進方向を変える。これにより、掘削ビット6及びロッド部5を水平方向に移動させることができる。
掘削の際には、ロッド部5の筒内中空部を掘削液の供給管路として利用するので、ロッド部5の後端を図外の掘削液供給装置に繋ぎ、ロッド部5を回転させるとともに、掘削液供給装置からロッド部5の筒内中空部を介して掘削ビット6に掘削液を圧送して供給する。掘削液としては、水、ベントナイト溶液、ポリマー等の安定液等を用いる。これにより、掘削ビット6の掘削液噴射孔6dから地盤に掘削液が噴射されながら掘削ビット6が地盤を掘削する。
そして、掘削が進むのに応じてロッド5aを順次継ぎ足していく動作を繰り返すことにより、土壌採取目標位置50を通過する掘削孔51を形成する。尚、掘削ビット6の位置は、位置検出センサ7からの位置情報により操作者が知ることができ、当該位置情報に基づいて土壌採取目標位置50を通過する掘削孔51を形成できる。
【0020】
図5(a)に示すように、自由曲線掘削機2を用いて土壌採取目標位置50を目標にして掘削を行う。そして、土壌採取目標位置50を通過した地中を掘り抜いた掘削孔51を形成し(図5(b)参照)、その後、掘削孔51の掘削終点から地上に引き出したロッド部5の先端に取付けられていた掘削ビット6を取り外し、代わりに、ロッド部5の先端に土壌採取管装置1を取付ける(図5(c)参照)。そして、土壌採取管装置1の各土壌取込孔18を閉じた状態で、土壌採取管装置1を掘削孔51内経由で掘削始点側に戻して土壌採取目標位置50まで移動させる(図5(d)参照)。土壌採取管装置1が土壌採取目標位置50に到達したならば、各土壌取込孔18を開く方向(一方方向A)に外管11を回転させることにより、土壌採取目標位置50の土壌を内管12内に取り込む(図5(d)参照)。その後、各土壌取込孔18を閉じる方向(他方方向B)に外管11を回転させて各土壌取込孔18を閉じて、土壌採取管装置1を掘削孔51経由で掘削始点まで戻して地上に出し、ロッド部5の先端に取付けられていた土壌採取管装置1を取り外す。そして、土壌取込孔塞体13を掴んで、各土壌取込孔18が外部に開放される方向に内管12を回転させ、内管12内の土壌を各土壌取込孔18及び各開口部16を介して取り出す。尚、作業者は図外のモニターに表示される位置検出センサ7からの情報(方位情報、距離情報等)を確認しながら、土壌採取目標位置50への掘削作業、及び、土壌採取目標位置50の土壌を内管12内に取り込む土壌採取作業を行う。
【0021】
図6;7を参照し、第2の土壌採取方法を説明する。
図6に示すように、自由曲線掘削機2のロッド部5の先端5tに設けられた掘削ビット6により、掘削始点から土壌採取目標位置50まで掘削する(図6(a);(b)参照)、その後、掘削ビット6を掘削始点に戻して地上に出した後、ロッド部5の先端5tより掘削ビット6を取り外して、ロッド部5の先端5tに土壌採取管装置1を取付けるとともに、土壌採取管装置1の先端に掘削ビット6を取付ける(図6(c)参照)。そして、掘削ビット6及び土壌採取管装置1を掘削孔51内経由で土壌採取目標位置50まで戻して土壌採取管装置1の内管12の内部に土壌採取目標位置50の土壌を取り込む((図6(d)参照)。その後、土壌採取管装置1を掘削始点まで戻して土壌採取管装置1の内部の土壌を取り出す。この第2の土壌採取方法の場合も、作業者は図外のモニターに表示される位置検出センサ7からの情報(方位情報、距離情報等)を確認しながら、土壌採取目標位置50への掘削作業、及び、土壌採取目標位置50の土壌を内管12内に取り込む土壌採取作業を行う。
尚、第2の土壌採取方法で用いる土壌採取管装置1は、上述した引出部材15の代わりに、図7に示すようなビット側連結部15Aを備えたものを用いる。ビット側連結部15Aは、一端部には、外管11の他方の端部開口25aを塞ぐように当該他方の端部開口25aに取付けられる上記引出部材側蓋体36と同様の蓋体15Xを備え、他端部には、ビット連結部55を備える。ビット連結部55は、掘削ビット6の後端部の管の内周面に形成された雌ねじ部56とねじ結合される雄ねじ部57により形成される。
また、第2の土壌採取方法の場合、ロッド部5の先端5tに土壌採取管装置1及び掘削ビット6を取付けた構成において掘削ビット6の前方地中に掘削液を供給するために、掘削ビット6の掘削液供給路6eと掘削液供給路として利用されるロッド部5の内部空間5uとを連通させるための掘削液供給路を備えた連結部材14及びビット側連結部15Aを使用する。即ち、連結部材14としては、ロッド部5の内部空間5uと内管12の内部空間とに連通する掘削液供給路14eを備えたものを用い、ビット側連結部15Aとしては、内管12の内部空間と掘削ビット6の掘削液供給路6eとに連通する掘削液供給路15eを備えたものを用いる。掘削液供給路15eの途中には、地下水が掘削ビット6の掘削液供給路6eを経由して内管12の内部空間に流入(逆流)するのを防止するための逆止弁15fが設けられる。逆止弁15fの取付容易性からすると、逆止弁15fを、ビット側連結部15Aの掘削液供給路15eの両方の端部のうちのいずれか一方に設けることが好ましいが、ビット側連結部15Aの掘削液供給路15eにおける内管12側に逆止弁15fを設けた場合、内管12の内側に取り込まれた土壌が逆止弁15f内に入り込んで逆止弁15fの故障を誘発する可能性がある。そこで、第2の土壌採取方法で用いるビット側連結部15Aは、ビット側連結部15Aの掘削液供給路15eにおける掘削ビット6側の端部に逆止弁取付部が設けられ、逆止弁15fが当該逆止弁取付部に取付けられた構成とした。
以上の構成により、掘削の際には、掘削液が、ロッド部5の内部空間5u、掘削液供給路14e、内管12の内部空間、掘削液供給路15e、掘削液供給路6e、掘削液噴射孔6dを経由して掘削ビット6の前方地中に供給される。そして、掘削液が供給されていない場合には、逆止弁15fが、内管12の内部空間内への地下水の流入を防止する。
第2の土壌採取方法によれば、地中を掘り抜くことができない現場においても土壌を採取することができる。
【0022】
第1の土壌採取方法では、土壌採取目標位置50の土壌を土壌採取管装置1で採取した後に土壌採取管装置1を掘削孔51の掘削始点側に引き戻して掘削始点の開口より地上に引き出したが、第3の土壌採取方法として、土壌採取目標位置50の土壌を土壌採取管装置1で採取した後に土壌採取管装置1を掘り抜いた掘削孔51の掘削終点側に押し進めて掘削終点の開口より地上に押し出してもよい。当該第3の土壌採取方法は、土壌採取目標位置50から掘削終点までの距離が、土壌採取目標位置50から掘削始点までの距離よりも短い場合に効果的である。
【0023】
図7に示すように、掘削ビット6とロッド部5との間に土壌採取管装置1を備えた自由曲線掘削機2を用いて、掘削始点から土壌採取目標位置50まで掘削して土壌採取目標位置50の土壌を土壌採取管装置1で採取した後に、自由曲線掘削機2を掘削始点の開口まで引き戻して掘削始点の開口より土壌採取管装置1を地上に出すか、あるいは、自由曲線掘削機2で地中を掘り抜いて土壌採取管装置1を地上に出すようにしてもよい。この際、土壌採取管装置1の土壌取込孔18を閉じた状態で、土壌取込孔18を閉じる方向(他方方向B)に、ロッド部5と土壌採取管装置1と掘削ビット6との結合体を回転させながら、掘削すればよい。これにより、土壌採取管装置1の移動中に土壌取込孔18が開いてしまうようなことを防止できる。尚、この場合も、作業者は図外のモニターに表示される位置検出センサ7からの情報(方位情報、距離情報等)を確認しながら、土壌採取目標位置50への掘削作業、及び、土壌採取目標位置50の土壌を内管12内に取り込む土壌採取作業を行う。
【0024】
実施形態1の土壌採取管装置1によれば、土壌取込構成部100を2つ備え、土壌採取目標位置50において外管11の周囲における異なる2箇所で2つの土壌取込孔18を介して内管12内に土壌を取り込めるので、土壌を効率的に取り込める。
実施形態1の土壌採取管装置1によれば、土壌採取目標位置50において外管11の周囲における異なる2箇所で土壌を採取できるので、土壌採取目標位置50の土壌調査を詳細に行える。
実施形態1によれば、土壌採取管装置1で採取した土壌を、土壌取込孔塞体13を操作して内管12を回転させることにより、容易に取り出せる。
実施形態1によれば、内管回転支持部31;41を備えるので、中心軸線aに対して傾かないように内管12を回転可能に支持できるため、内管12及び外管11の回転動作を円滑にでき、土壌取込孔18の開閉動作を確実にできる。
実施形態1によれば、自由曲線掘削機2による水平掘削経路だけでなく、曲線掘削経路でも土壌を採取できる。従って、土壌採取目標位置50がどこであっても土壌採取目標位置50の土壌を採取可能となる。
実施形態1によれば、自由曲線掘削機2による掘削を終えた後の掘削経路中における土壌採取目標位置50の土壌を採取するので、掘削による水分が少なくなった土壌を採取できることから、土壌成分の調査を正確に行える。
【0025】
尚、実施形態1において、土壌取込孔塞体13の一方の辺縁21側と土壌取込孔18の一方の長辺縁19側とを、土壌取込孔塞体13の一方の辺縁21に設けたブラケットをボルトなどで内管12の周面に固定する連結手段により連結する構成とすれば、内管12内に取り込んだ土壌を取り出す場合に、土壌取込孔塞体13を取り外した後に、連結部材側蓋体26及び引出部材側蓋体36のうちの一方の蓋体を外管11より取り外すことで、外管11の端部開口を介して内管12を外管11の外部に引き出せる。よって、内管12内の土壌を内管12の両端の端部開口を介して取り出せるようになるため、土壌採取管装置1で採取した土壌を、より容易に取り出せるようになる。
【0026】
実施形態2
実施形態2の土壌採取管装置1は、図8に示すように、外管11の周面に、外管11の端部開口25;25aのうちの一方と開口部16とを連通させる連通溝60を形成した土壌採取管装置1とした。
実施形態2の土壌採取管装置1によれば、土壌取込孔塞体13を取付けた状態の内管12を外管11の端部開口25;25aのうちの一方を介して外管11の内外に出し入れできるので、土壌採取管装置1で採取した土壌をより容易に取り出せるようになり、また、土壌採取管装置1の組立てが容易となる。
【0027】
実施形態3
実施形態3の土壌採取管装置1は、図9乃至図10に示すように、外管11の中心軸線aを回転中心として外管11内に回転可能に設置されて土壌取込孔18を有した内部材12Aが、上述した土壌取込構成部100毎の土壌収容空間101を備えた土壌採取管装置1とした。
内部材12Aは、仕切部材61と袖板65とにより構成される。
仕切部材61は、外管11の中心軸線aに沿って延長し中心軸線aと直交する断面が十字状となるように中心軸線aを中心として4つの平板の仕切板63が互いに直角をなすように構成され、外管11内に設置された場合、4つの仕切板63が外管11の円管内部空間を外管11の中心軸線aを中心とした4つの空間に等分する。
4つの仕切板63により外管11の円管内部空間が4等分される4つの空間は、中心軸線aと直交する断面がそれぞれ中心軸線aを扇の要として二つの半径のなす角90°の扇形である断面扇形空間である。
4つの仕切板63は、同一面上に位置する一方の一対の仕切板63a;63aと、同一面上に位置する他方の一対の仕切板63b;63bとを備える。
袖板65は、断面扇形空間を区画する2つの仕切板63a;63bの短辺側における長辺縁と長辺縁とを連接する弧状板により形成される。
従って、断面扇形空間を区画する2つの仕切板63a;63bの長辺縁と袖板65;65とで土壌取込孔18の孔縁が形成され、かつ、この土壌取込孔18を経由して断面扇形空間を区画する2つの仕切板63a;63bと袖板65;65とで囲まれた断面扇形空間により土壌収容空間101が形成される。つまり、中心軸線aを中心として向かい合う一対の断面扇形空間の各々が、それぞれ土壌収容空間101を形成する。
即ち、土壌取込構成部100毎の1つの土壌収容空間101が、4つの仕切板63により外管11の円管内部空間が4等分される4つの空間のうちの1つの空間により形成される。従って、土壌取込構成部100毎の土壌収容空間101の容積は、外管11の円管内部空間の容積の1/4以下である。
【0028】
そして、土壌取込孔塞体13が、土壌収容空間101を区画する2つの仕切板63;63のうちの一方の仕切板63a;63aの長辺縁より延長するように設けられる。
【0029】
上述した仕切部材61は、例えば、一枚の平板の両方の板面に対して直交するように各平板を溶接したり、4枚の平板をそれぞれ直交関係となるように互いに溶接したり、中心軸線aとなる図外の中心棒材に4枚の平板をそれぞれ直交関係となるように溶接したりすることで製作できる。このように製作した仕切部材61に、袖板65、及び、土壌取込孔塞体13を、溶接または連結手段(例えばボルトなど)を連結することで、実施形態3による土壌取込孔塞体13を備えた内部材12Aを製作できる。尚、2つの土壌取込孔塞体13;13と仕切板63a;63aとを一枚の平板により形成してもよい。このように一枚の平板によって2つの土壌取込孔塞体13;13と一方の仕切板63a;63aとが形成された構成の内部材12Aを用いる場合は、当該内部材12Aの外管11内への出し入れのために、実施形態2の連通溝60を備えた外管11を用いる。
【0030】
実施形態3の土壌採取管装置1によれば、土壌取込構成部100毎の土壌収容空間101を備えたので、土壌採取目標位置50における外管11の周囲の異なる2箇所での土壌を各土壌収容空間101内に分けて採取でき、土壌採取目標位置50における外管11の周囲の異なる2箇所での土壌成分の違いも分析できるようになるため、土壌調査を詳細に行えるようになる。
実施形態3の土壌採取管装置1によれば、仕切部材61を備え、土壌取込構成部100毎の土壌収容空間101が、4つの仕切板63により外管11の円管内部空間が4等分される4つの空間のうちの1つの空間により形成されたので、土壌収容空間101の容積が外管11の円管内部空間の容積の1/4以下の小容積となり、かつ、土壌収容空間101を区画する仕切板63a;63bで囲まれた土壌収容空間101内に取り込まれた土壌が仕切板63a;63bで押し固められて水分の少ない状態となる。即ち、実施形態3の土壌採取管装置1によれば、土壌収容空間101の容積を外管11の円管内部空間の容積よりも小さくでき、かつ、土壌収容空間101内に取り込まれた土壌が仕切板63a;63bで押し固められるので、実施形態1の効果に加え、水分の少ない土壌を採取できるようになり、土壌成分の検査をより正確に行うことが可能となる。
【0031】
実施形態4
実施形態4の土壌採取管装置1は、実施形態3の仕切部材61を構成する各仕切板63のうち土壌取込孔塞体13が設けられる一方の仕切板63a;63aの代わりに、図11乃至図12に示すように、土壌収容空間101を外管11の円管内部空間の4等分よりも大きくする凹部67を有した一方の仕切板66;66を用いた構成の土壌採取管装置1とした。例えば、外管11の中心軸線aに沿って延長し中心軸線aと直交する断面が半円弧状の仕切板66;66を用いた。土壌取込孔塞体13が設けられる仕切板として断面半円弧状の仕切板66;66を用いたこと以外の構成は実施形態3の土壌採取管装置1と同じである。
【0032】
実施形態4の土壌採取管装置1によれば、土壌取込孔塞体13が設けられる仕切板として断面半円弧状の仕切板66;66を用いたので、実施形態1;3の効果に加え、土壌取込孔18を経由して半円弧状の凹部67内に土壌が取り込まれるので、土壌収容空間101内に土壌を効率的に取り込める。また、凹部67内に土壌が入るので、実施形態3の土壌採取管装置1に比べて土壌採取量を多くできる。
【0033】
実施形態5
実施形態3;4においては、袖板65、及び、土壌取込孔塞体13が設けられない他方の仕切板63b;63bは、設けなくてもよい。即ち、外管11内に設置されて円管内部空間を断面半円弧状の空間に2等分する仕切部材と当該仕切部材に設けられて外管11の開口部16を経由して外管11外に突出する2つの土壌取込孔塞体13;13とからなる内部材を備えた土壌採取管装置1としてもよい。
【0034】
実施形態6
実施形態1の内管12内に、実施形態3や実施形態4や実施形態5で説明した仕切部材を備えた土壌採取管装置1としてもよい。
【0035】
実施形態5;6の土壌採取管装置1であっても、実施形態3や実施形態4と同様の効果が得られる。即ち、実施形態5;6の土壌採取管装置1であっても、実施形態1のように内管12の円管内部空間により土壌収容空間101が形成される場合と比べて、土壌採取目標位置50における外管11の周囲の異なる2箇所での土壌を各土壌収容空間101内に分けて採取でき、土壌採取目標位置50における外管11の周囲の異なる2箇所での土壌成分の違いも分析できるようになるため、土壌調査を詳細に行えるようになり、また、実施形態1の土壌採取管装置1と比べて、土壌収容空間101の容積を小さくすることが可能となるので、水分の少ない土壌を採取可能となり、土壌成分の検査をより正確に行うことが可能となる。
【0036】
実施形態7
実施形態7の土壌採取管装置1は、土壌取込構成部100を2つ以上備えた構成に加えて、図13;図14に示すような、ロック部70を備えた土壌採取管装置1とした。
ロック部70は、土壌取込孔塞体13と外管11の開口部16の開口縁とが接触して土壌取込孔18が塞がれた状態を維持するために、土壌取込孔塞体13の他方の辺縁22a側の辺縁部71が入り込む溝72により形成される。溝72は、開口部16の長辺縁16bと外管11の他方の端部開口25a側に位置する開口部16の短辺縁16d(引出部材15に近い側の短辺縁)との境界部に形成されるものであって、長辺縁16bより長辺縁16bに対して一直線状に延長する延長縁75と、当該延長縁75と平行に対向する対向縁76と、延長縁75の先端と対向縁76の先端とを繋いで溝底を形成する底縁77とにより形成される。溝72の幅寸法は、溝72に入り込んだ土壌取込孔塞体13が外管11の周方向に動いてがたつかないように、土壌取込孔塞体13の厚さ寸法に近似した適性値に設定される(例えば、溝72の幅寸法が土壌取込孔塞体13の厚さ寸法よりも数mm大きい程度に設定される)。
実施形態7によれば、外管11を他方方向Bに回転させた場合に、開口部16の他方の長辺縁16bと土壌取込孔塞体13の他方の板面13bとが接触することで、土壌取込孔全閉状態となり、この土壌取込孔全閉状態においてロッド部5を掘削始端側に引っ張って外管11を掘削始端側に引っ張ることにより、土壌取込孔塞体13の辺縁部71が溝72内に入り(図14(b)参照)、土壌取込孔塞体13が外管11の周方向に回転しないようになるので、土壌採取管装置1は土壌取込孔全閉状態にロックされることになる。
実施形態7によれば、外管11がロック部70を備えるので、地中において土壌採取管装置1を移動させる際に土壌取込孔全閉状態を維持でき、土壌採取管装置1の移動中に土壌取込孔18が開いてしまうようなことを防止できる。よって、土壌採取目標位置50以外の地中の土壌を内管12内に取り込んでしまったり、土壌採取目標位置50において内管12内に取り込んだ汚染土壌を土壌採取目標位置50以外の地中に撒き散らして汚染を拡大させてしまうことを防止できる。
【0037】
尚、上述した第2の土壌採取方法で用いる土壌採取管装置1としては、土壌採取管装置1を掘削始点から土壌採取目標位置50に移動する際に土壌採取管装置1を土壌取込孔全閉状態にロックするための溝72aにより構成されたロック部70を設けることが好ましい。この場合の溝72aは、図13に示すように、例えば、開口部16の長辺縁16bと外管11の一方の端部開口25側に位置する開口部16の短辺縁16c(連結部材14に近い側の短辺縁)との境界部に形成されるものであって、長辺縁16bより長辺縁16bに対して一直線状に延長する延長縁75aと、当該延長縁75aと平行に対向する対向縁76aと、延長縁75aの先端と対向縁76aの先端とを繋いで溝底を形成する底縁77aとにより形成される。この場合、土壌取込孔全閉状態においてロッド部5を押して外管11を押すことにより、土壌取込孔塞体13の他方の辺縁21a側の辺縁部71aが溝72a内に入り、土壌取込孔塞体13が外管11の周方向に回転しないようになるので、土壌採取管装置1は土壌取込孔全閉状態にロックされることになる。よって、土壌採取管装置1の移動中に土壌取込孔18が開いてしまうようなことを防止できる。
【0038】
尚、図13に想像線で示したように、対向縁76;76aを、延長縁75;75aに対して傾斜する傾斜縁(底縁77;77aから開口部16の中心側に向かうような傾斜縁)に形成すれば、溝72;72aに対する土壌取込孔塞体13の出入が容易となり、溝72;72aと土壌取込孔塞体13とによるロック動作及びロック解除動作の確実性が高まる。
【0039】
実施形態8
実施形態8の土壌採取管装置1は、土壌取込構成部100を2つ以上備えた構成に加えて、図15乃至図17に示すように、土壌取込孔全閉状態(図2(b)参照)における内管12内(土壌収容空間101)と外部との水密性能を維持する水密性能維持部80を備えた土壌採取管装置1とした。水密性能維持部80は、土壌取込孔全閉状態において、内管12内と外部との水密性能を維持して、土壌採取目標位置50以外の地中の土壌や地下水を内管12内に取り込んでしまったり、土壌採取目標位置50において内管12内に取り込んだ汚染土壌や汚染地下水を土壌採取目標位置50以外の地中に撒き散らして汚染を拡大させてしまうようなことを防止するためのものであり、密着性に優れた材料により形成された例えばパッキンと呼ばれるような水密性能維持部材により構成される。
水密性能維持部80の第1例としては、図15;17に示すように、開口部16の他方の長辺縁16bと土壌取込孔塞体13の他方の板面13bとの接触部に設けられた凹凸係合形態の第1の水密性能維持部材81と、内管12(内部材12A)の外周を一周するように内管12の外周面又は外管11の内周面に設けられた一対のリング状の第2の水密性能維持部材82;82と、第3の水密性能維持部材83;83とにより構成される。第2の水密性能維持部材82;82は、それぞれ土壌取込孔18の短辺19a;19b(内管12の周面に沿って延長する辺)と接するように設けられる。第3の水密性能維持部材83;83のそれぞれは、内管12の外周において一方の第2の水密性能維持部材82と他方の第2の水密性能維持部材82との間を繋ぐように内管12の外周面又は外管11の内周面に設けられる。第3の水密性能維持部材83は、図17(b)に示すように、土壌取込孔全閉状態において開口部16と土壌取込孔18とを連通可能に繋ぐ経路となる内管12の外周面と外管11の内周面との間により形成された経路を遮断して土壌取込孔全閉状態における開口部16と土壌取込孔18との連通を遮断する位置に配置されるものである。尚、図17(b)では、第3の水密性能維持部材83を内管12の外周面に設けた例を示している。
上記第1の水密性能維持部材81を備えたことにより、土壌取込孔全閉状態において、開口部16の他方の長辺縁16bと土壌取込孔塞体13の他方の板面13bとの間の水密性能を維持できるので、内管12内に対する開口部16の他方の長辺縁16bと土壌取込孔塞体13の他方の板面13bとの間を介した土壌や地下水の出入を防止できる。
また、第2の水密性能維持部材82;82を備えたことにより、土壌取込孔全閉状態において、土壌取込孔18の短辺19a;19bと接する内管12の外周面と外管11の内周面との間の水密性能を維持できるので、内管12内に対する、開口部16の短辺縁16cと土壌取込孔塞体13の辺縁21aとの間、開口部16の短辺縁16dと土壌取込孔塞体13の辺縁22aとの間、蓋体26と外管11の端部開口25との間、蓋体36と外管11の端部開口25aとの間等を介した土壌や地下水の出入を防止できる。
また、第3の水密性能維持部材83を備えたことにより、土壌取込孔全閉状態において、開口部16の長辺縁16aと内管12の外周面との間の隙間を介して連続する内管12の外周面と外管11の内周面との間の水密性能を維持できるので、土壌取込孔全閉状態における開口部16の長辺縁16aと内管12の外周面との間の隙間を介した土壌や地下水の出入を防止できる。
従って、土壌取込孔全閉状態において、土壌採取目標位置50以外の地中で内管12内から外部に汚染土壌や汚染地下水が漏れてしまうことを防止でき、土壌採取目標位置50以外の場所を汚染してしまうようなことを防止できる。また、土壌取込孔全閉状態において、土壌採取目標位置50以外の地中で外部から内管12内に土壌や地下水が入り込んでしまうことを防止でき、土壌採取目標位置50の土壌の成分の検査を正確に行うことができるようになる。
尚、図示しないが、第2の水密性能維持部材82;82が対面する外管11の内周面又は内管12の外周面に当該第2の水密性能維持部材82;82が嵌り込む溝を設ければ、水密性能をより向上できる。この場合、内管12の外周面又は外管11の内周面から突出する第3の水密性能維持部材83及び第2の水密性能維持部材82の突出長さの関係を、第3の水密性能維持部材83の突出長さ<第2の水密性能維持部材82の突出長さとすることで、第2の水密性能維持部材82;82が上述した溝に嵌まり込み、かつ、内管12と外管11とが相対的に回転可能となる好ましい構成を実現できる。
【0040】
水密性能維持部80の第2例としては、図16に示すように、上述した第1の水密性能維持部材81と、内管12(内部材12A)と外管11とが対向する位置における内管12の外面又は外管11の内面であって土壌取込孔18の周囲を取り囲むように内管12の外面又は外管11の内面に設けられた第2の水密性能維持部材82とを備えた構成の土壌採取管装置1とした。
【0041】
水密性能維持部80の第3例としては、第1例や第2例で示した水密性能維持部80の構成に加え、蓋体26と外管11の端部開口25との接触部、及び、蓋体36と外管11の端部開口25aとの接触部に図外の第3の水密性能維持部材を備えた構成としてもよい。この水密性能維持部80の第3例によれば、地下水が蓋体26と外管11の端部開口25との間や蓋体36と外管11の端部開口25aとの間を介して内管12(内部材12A)の外面と外管11の内面との間に侵入して内管12の外面と外管11の内面との間に充満してしまうようなことを防止でき、内管12(内部材12A)の動きが不安定になってしまうようなことを防止できる。
【0042】
実施形態9
実施形態9の土壌採取管装置1は、土壌取込構成部100を2つ以上備えた構成に加えて、図18;図19に示すように、内部材12Aとして、例えば、中心軸線aに沿った分割面85で2分割以上に分割可能に構成された2つ以上の割部材からなる内管12を用いた土壌採取管装置1とした。図18;図19に示すように、分割面85を段差面で形成し、割部材として2分割の半割部材86;86を用いる場合、各半割部材86;86は中心軸線aを中心として回転対象な形状の分割面85を備えたものとすれば、同一形状の半割部材86;86で内管12を形成できるので、製作コスト面で有利となる。
実施形態9の土壌採取管装置1によれば、内管12を分割することで内管12内に採取された土壌を取り出しやすくなり、作業の効率化が図れる。
【0043】
実施形態10
実施形態10の土壌採取管装置1は、土壌取込構成部100を2つ以上備えた構成に加えて、図20に示すように、土壌取込孔塞体13の突出方向の先端縁13tから内管12(内部材12A)の方向に向けて延長する切欠部により形成された複数のスリット(溝)23;23…を備え、この複数のスリット23;23…が土壌取込孔塞体13の突出長さの半分以上の長さに形成された土壌取込孔塞体13を備えた土壌採取管装置1とした。
このスリット23は、図2(a)のように土壌取込孔塞体13の一方の板面13aが開口部16の長辺縁16aに接触して土壌取込孔18が全開放された土壌取込孔全開状態から当該土壌取込孔全開放状態を維持する方向(一方方向A)に外管を回転させる場合や、図2(b)のように土壌取込孔塞体13の他方の板面13bが開口部16の長辺縁16bに接触して土壌取込孔18が閉塞された土壌取込孔全閉状態から当該土壌取込孔全閉状態を維持する方向(他方方向B)に外管11を回転させる場合に、土壌取込孔塞体13が受ける土抵抗を低減させる構成となるので、外管11を回転させて土壌取込孔18を開閉する際において、土壌取込孔塞体13の受ける土抵抗が低減するため、外管11の回転負荷を軽減できるようになる。
【0044】
実施形態11
実施形態11の土壌採取管装置1は、土壌取込構成部100を2つ以上備えた構成に加えて、図21に示すように、土壌取込孔塞体13の突出方向の先端縁13t側における開口部16の長辺縁16aに接触する一方の板面13a側が、他方の板面13bから一方の板面13aの中央に向けて傾斜する傾斜面20aに形成された構成の土壌採取管装置1とした。
この傾斜面20aは、図2(b)のように土壌取込孔塞体13の他方の板面13bが開口部16の長辺縁16bに接触した土壌取込孔全閉状態から当該土壌取込孔全閉状態を維持する方向(他方方向B)に外管11を回転させる場合に、土壌取込孔塞体13が受ける土抵抗を増加させる構成であり、これにより土壌取込孔塞体13の他方の板面13bと開口部16の長辺縁16bとの接触力が大きくなるので、土壌取込孔塞体13の他方の板面13bと開口部16の長辺縁16bとの間を介して、土壌採取目標位置50以外の地中の土壌を内管12内に取り込んでしまったり、土壌採取目標位置50において内管12内に取り込んだ汚染土壌を土壌採取目標位置50以外の地中に撒き散らして汚染を拡大させてしまうようなことを防止できる。
実施形態11によれば、土壌取込孔塞体13が傾斜面20aを備えるので、土壌採取管装置1が土壌取込孔18を閉じた状態で地中を移動する際、土壌取込孔塞体13の傾斜面20aが土圧を受けて楔のように作用する。これにより、土壌取込孔塞体13には土壌取込孔18を閉塞する方向の回転力が加わるため、土壌採取管装置1が地中を移動する際に土壌取込孔全閉状態を維持できるので、土壌採取管装置1の移動中に土壌取込孔18が開いてしまうようなことを防止できる。よって、土壌採取目標位置50以外の地中の土壌を内管12内に取り込んでしまったり、土壌採取目標位置50において内管12内に取り込んだ汚染土壌を土壌採取目標位置50以外の地中に撒き散らして汚染を拡大させてしまうようなことを防止できる。
【0045】
実施形態12
実施形態12の土壌採取管装置1は、土壌取込構成部100を2つ以上備えた構成に加えて、図22に示すように、実施形態10の構成と実施形態11の構成の両方を有した土壌取込孔塞体13を備えた土壌採取管装置1とした。
実施形態12によれば実施形態10と実施形態11の両方の効果を得ることができる。
【0046】
尚、本発明の土壌採取管装置1は、実施形態1の構成、即ち、土壌取込構成部100を2つ以上備えた構成に、実施形態2乃至実施形態12のいずれか1つ以上の実施形態の構成を加味した構成の土壌採取管装置1であればよい。
例えば、図23に、実施形態1;2;4;7;8;12を組み合わせた構成の土壌採取管装置1を示す。尚、図23では、第2の水密性能維持部材82の図示を省略しているが、当該第2の水密性能維持部材82は、上述した第1例乃至第3例で示した第2の水密性能維持部材82のいずれか1つ以上を採用すればよい。当該土壌採取管装置1によれば、これら各実施形態の各効果を奏する好適な土壌採取管装置1を得ることができる。
【0047】
外管11がロック部70を備えない場合において、土壌採取管装置1を地中で移動させる際には、土壌採取管装置1の土壌取込孔18を閉じた状態で、土壌取込孔18を閉じる方向(他方方向B)に外管11を回転させながら、土壌採取管装置1を移動させればよい。これにより、土壌採取管装置1の移動中に土壌取込孔18が開いてしまうようなことを防止できる。
【0048】
蓋体26;36の両方、又は、一方を溶接によって外管11の開口端面に取付けてもよい。
上述した開口部16、土壌取込孔18、土壌取込孔塞体13の形状は上記実施形態で説明した形状以外に形成してもよく、要は、土壌取込孔塞体13が塞がれる状態(全閉状態)にできる構成であればよい。
上述した雄ねじ部を雌ねじ部とし、上述した雌ねじ部と雄ねじ部としてもよい。
【0049】
本発明の土壌採取管装置は、自由曲線掘削ではなく地上から直下に掘削するロッド部に接続して使用することも可能である。また、本発明の土壌採取管装置は、土壌汚染された土壌を調査するための採取だけでなく、セメント等の改良材で地盤改良された場所に所定量の改良材が入っているかを確認するための調査等、土壌中の調査したい物質の量を測定するための土壌を採取する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 土壌採取管装置、11 外管、12 内管(内部材)、12A 内部材、
13 土壌取込孔塞体、16 開口部、18 土壌取込孔、
26 連結部材側蓋体(蓋体)、36 引出部材側蓋体(蓋体)、61 仕切部材、
66 仕切板、67 凹部、100 土壌取込構成部、101 土壌収容空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に開口部を有しロッド部を介した回転駆動力を受けて中心軸線を回転中心として回転可能な外管と、外管の中心軸線と同軸に外管内に設置されて周面に土壌取込孔を有した内部材と、内部材の土壌取込孔における外管の中心軸線に沿った方向に延長する孔縁より外管の開口部を経由して外管の外周面より外側に突出するように設けられた土壌取込孔塞体と、外管の両端開口を塞ぐ蓋体とを備え、地上からの操作により地中で外管を一方方向に回転させた場合には、土壌取込孔が開口部を介して地中と連通し、地上からの操作により地中で外管を他方方向に回転させた場合には、外管の開口部における外管の中心軸線に沿った方向に延長する開口縁と土壌取込孔塞体とが接触して土壌取込孔が塞がれるように構成された土壌採取管装置において、
外管の開口部と当該開口部に対応する内部材の土壌取込孔及び土壌取込孔塞体とからなる土壌取込構成部を2つ以上備えたことを特徴とする土壌採取管装置。
【請求項2】
内部材が、土壌取込構成部毎の土壌収容空間を備えたことを特徴とする請求項1に記載の土壌採取管装置。
【請求項3】
内部材は、円管により形成された外管内に設置された場合に外管の円管内部空間を外管の中心軸線を中心とした4つの空間に分ける仕切部材を備え、土壌取込構成部毎の土壌収容空間が、外管の中心軸線を中心として向かい合う一対の空間の各々により形成されたことを特徴とする請求項2に記載の土壌採取管装置。
【請求項4】
仕切部材を形成する仕切板のうち土壌取込孔塞体が設けられる仕切板は、土壌収容空間を外管の円管内部空間の4等分よりも大きくする凹部を有したことを特徴とする請求項3に記載の土壌採取管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−169021(P2011−169021A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33629(P2010−33629)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(390025759)株式会社ワイビーエム (26)
【Fターム(参考)】