説明

土壌改良型肥料およびその製法

【課題】重金属類を除去した土壌改良型の肥料とその製法を提供する。
【解決手段】人工ゼオライトによる重金属類除去処理後の魚介廃棄物と石膏と木炭粉の混合物からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工ゼオライトを用いた土壌改良型の肥料とその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の肥料が利用されているが、本発明にて示すように人工ゼオライトを用いた肥料は現在のところ見当たらない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来より種々の材料が肥料として使われているが、魚介廃棄物すなわち、食した後の残渣もその一つである。しかし近年、魚介類に含まれる重金属類、六価クロム、亜鉛、鉛、カドミウム、水銀、ダイオキシン、PCBなどが問題となっている。
すなわち、海水中に含まれる重金属類が魚介類の体内で濃縮され、これら魚介類廃棄物を肥料の成分として用いると、土壌中にもその重金属が含まれることとなり、この土壌から作った農作物も重金属を含むこととなり、人体への影響が問題である。
また、魚介廃棄物の処理には高温の焼却施設が必要であるが、町村にはその施設がない。
そしてその処理を業者に委託した場合、産業廃棄物であるため高コストであり、そのため不法投棄が後を絶たないのが現状である。
本発明は、以上のような従来からの魚介廃棄物処理と利用に関わる課題を解決するために発明されたもので、人工ゼオライトを用いた新規かつ有用なる土壌改良型の肥料とその製法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は、魚介廃棄物、人工ゼオライト、石膏、木炭粉を用いた肥料およびその製法とした。
すなわち、本発明の一つは、人工ゼオライトによる重金属類除去処理後の魚介廃棄物と石膏と木炭粉の混合物からなることを特徴とする土壌改良型肥料である。
また本発明の他の一つは、
1.魚介廃棄物を粉砕し、人工ゼオライトを加えて攪拌後放置する第1工程。
2.放置後の分離液を捨て、石膏を加えて攪拌する第2工程。
3.乾燥機にて乾燥させる第3工程。
4.木炭粉を加えて攪拌する第4工程。
以上の各工程からなることを特徴とする土壌改良型肥料の製法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、魚介廃棄物、人工ゼオライト、石膏、木炭粉を用いた肥料のため、魚介廃棄物に含まれる重金属類を人工ゼオライトが吸着し、攪拌後放置により人工ゼオライトは分離液に移行し、この分離液を捨てた後に石膏と木炭粉を加えて調整し、製造される肥料のため、この肥料中に含まれる重金属類は極微量となり、人体に対して安全なる肥料として使うことができる。また、木炭粉を含むため、連作を可能とする有用なる土壌改良型の肥料とその製法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について説明する。
ゼオライトはナトリウム、アルミニウムのケイ酸塩水和鉱物であり、天然鉱物として産出し、土壌改良剤として利用されている。人工ゼオライトは、人工的な処理によるゼオライトで、以下の製法による。
1.石炭灰に水酸化ナトリウムを加え、攪拌混合する。
2.圧力槽にて加温加圧し、脱水機により脱水し、乾燥機にて乾燥する。
原料の石炭灰はほぼ球体の粉末であるが、人工ゼオライトは多孔質な結晶体であるため、多孔質の部分に物質が吸着される機能(吸着機能)と、マイナス電荷部位に最初に結合していたナトリウムイオンと重金属などの別のプラスイオンと交換する機能(イオン交換機能)とを有している。従って、脱臭、調湿、水質浄化、土壌改良など種々の用途に利用される。
本発明は、以上の人工ゼオライトを利用した土壌改良型の肥料であり、以下の製法による。
1.魚介廃棄物を粉砕して容器に入れ、人工ゼオライトを加えて攪拌し、1時間程度放置する。(第1工程)
2.放置後、人工ゼオライトを含んだ分離液を捨て、石膏ボード粉砕物を入れ、5〜10分攪拌する(第2工程)
3.乾燥機に入れて10〜20分ほど乾燥させる。(第3工程)
4.木炭粉を入れて2〜3分ほど攪拌する(第4工程)
なお、望ましい各成分比率(容積パーセント)は以下の通りである。
魚介廃棄物 30〜40%
石膏ボード粉砕物 10〜30%
木炭粉 20〜50%
人工ゼオライト 0.25〜10%
【0007】
なお、本例では石膏として石膏ボード粉砕物を用いたが、これは廃物の再利用のためである。また、木炭粉はおがくずの炭化物を用いた。これは、管体内にスクリューコンベアを設けた装置の中におがくずを入れ、スクリューコンベア作動にておがくずは管体内をゆっくり移動し、外部加熱にて中のおがくずを炭化させたものである。この方式の炭化により、炭化物はタール分の少ないものとなり、肥料に適したものとなる。
また、炭は多孔質であるため空気がよく通り、水分も吸収するので土の透水性・保水性を改善する機能を有している。そして土と混合することで有用微生物が増え、土壌病虫害も減少する。また、木炭にはミネラル分が含まれ、作物に好影響を与えることができる。
以上のことから、土壌改良効果が得られ、作物の連作が可能となる。
なお、第1工程により混合物中に含まれる水分は下に移行して分離液となるが、人工ゼオライトは微粒子状のためこの分離液側に移行し、分離液とともに捨てることができる。
また、石膏ボード粉砕物の分量が多すぎると粘土状となって攪拌しにくく、分離液が出にくくなり、少なすぎると第3工程における乾燥に時間がかかることとなるので、既述の配合比としたものである。
本発明について以上記したが、本発明は人工ゼオライトの吸着機能とイオン交換機能を利用して有害な重金属類をこの人工ゼオライトに同化させ、分離液とともに廃棄するところにその特徴を有しており、安全な肥料として利用できるものである。
また、タール分の少ない木炭粉を用いたので土壌改良効果を生み、重金属類の除去と作物の連作を可能とし、環境保全にも有効なる肥料とその製法を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工ゼオライトによる重金属類除去処理後の魚介廃棄物と石膏と木炭粉の混合物からなることを特徴とする土壌改良型肥料。
【請求項2】
以下の各工程からなることを特徴とする土壌改良型肥料の製法。
1.魚介廃棄物を粉砕し、人工ゼオライトを加えて攪拌後放置する第1工程。
2.放置後の分離液を捨て、石膏を加えて攪拌する第2工程。
3.乾燥機にて乾燥させる第3工程。
4.木炭粉を加えて攪拌する第4工程。

【公開番号】特開2006−52118(P2006−52118A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260293(P2004−260293)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(504340372)
【Fターム(参考)】