説明

土壌水分計及び土壌水分測定方法

【課題】土壌水分計及び土壌水分測定方法において、土中の水分量を高精度に測定すること。
【解決手段】鉛直方向に配設された1本の第1の電極と、前記第1の電極と複数の電極対を形成すると共に、高さ方向に一部重複するように配設された前記第1の電極よりも短い複数の第2の電極と、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、水分量に変換する静電容量−水分量変換部40と、を有することを特徴とする土壌水分計。また前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて水位を測定する処理部60と、前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量を前記処理部に送信する通信部50と、を更に有することを特徴とする土壌水分計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌水分計及び土壌水分測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防災等のためには、河川やダム等の堤防決壊や土砂災害を迅速に検知し、予測する必要がある。そのためには、堤防内等の土壌の水分量や間隙水圧を測定し、土壌内にどの程度水が浸透しているか、地下水が危険水位に近づいているか、危険領域内での水位、水分量の変動の様子について判定することが有効である。特に、正確に災害を予測し、分析するためには、高精度に土中の水位、水分量を測定する必要がある。
【0003】
土中の水位、水分量を測定するものとしては、間隙水圧計、水位計、土壌水分計等がある。
【0004】
水位計として、絶縁材料の円筒状の構造体である管状構造体に、複数組の電極対を形成したものがある。この管状構造体を水槽内に設置すると、管状構造体の空洞部に液体が侵入することになる。どの電極対の電極間容量が変化するかに基づいて、液体の水位を検出することを可能としている。
【0005】
土壌水分計のセンサ用プローブとして、プローブ本体の表面に設ける2つの電極を、プローブ本体の長手方向に亘って連続的に、かつ交互に配設したものがある。このようにすることによって、電極間に位置する土壌の面積を大きくし、土壌を媒質とするプローブの電気定数(導電率、静電容量)を大きくして、測定のバラツキを抑えると共に、測定精度の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−311562号公報
【特許文献2】実開平7−29480号公報
【特許文献3】特開平7−103805号公報
【特許文献4】特開2003−90753号公報
【特許文献5】特開平6−307911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
土壌水分計及び土壌水分測定方法において、土中の水分量を高精度に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の開示の一観点によれば、高さ方向に一部重複する鉛直方向に配設された複数の電
極対と、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、水分量に変換する静電容量−
水分量変換部と、を有する土壌水分計が提供される。
【0009】
また、その開示の別の観点によれば、鉛直方向に配設された1本の第1の電極と、前記
第1の電極と複数の電極対を形成すると共に、高さ方向に一部重複するように配設された
前記第1の電極よりも短い複数の第2の電極と、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量
を測定し、水分量に変換する静電容量−水分量変換部と、を有する土壌水分計が提供され
る。
【0010】
更に、その開示の他の観点によれば、鉛直方向に高さが一部重複するように配設された
複数の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、前記静電容量を測定した後に、前記複数の
電極対のそれぞれの静電容量から前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量を測定する
土壌水分測定方法が提供される。
【0011】
更に、その開示の他の観点によれば、鉛直方向に配設された1本の第1の電極と、高さ
が一部重複する前記第1の電極よりも短い複数の第2の電極とで形成された複数の電極対
の静電容量を測定し、前記静電容量を測定した後に、前記複数の電極対のそれぞれの静電
容量から前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量を測定する土壌水分測定方法が提供
される。
【発明の効果】
【0012】
以下の開示によれば、複数の電極対が鉛直方向に一部重複するように配設されているので、土中の水分量を高精度かつ連続に測定することができる。
【0013】
更に、以下の開示によれば、個々の電極の大きさを大きくする必要がないので、測定の精度を向上させることができる。また、間隙水圧計に比較して小型化が容易であると共に、比較的浅い位置に設置することができるので、設置費用を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1実施形態に係る土壌水分計の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る土壌水分計の、電極対の構造の一例を説明する断面図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る土壌水分計の、電極対の構造の別の例について示す正面図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る土壌水分計の、第1の静電容量−水分量変換回路の構成例を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る土壌水分計において、各電極対における水分量と水位との関係を示す曲線である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る土壌水分計において、重複領域において2つの電極対のデータを補間して得た水分量と水位との関係を示す曲線である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る土壌水分計の動作手順について説明するフローチャートである。
【図8】図8は、第2実施形態に係る土壌水分計の構成を示す模式図である。
【図9】図9は、第2実施形態に係る土壌水分計の、電極の構造の一例について示す正面図である。
【図10】図10は、第2実施形態に係る土壌水分計において、各電極対における水分量と水位との関係を示す曲線である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る土壌水分計において、各電極対のデータを重複領域において補間して得た水分量と水位との関係を示す曲線である。
【図12】図12は、第2実施形態に係る土壌水分計の動作手順について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
土中の水位、水分量を測定するものとしては、間隙水圧計、水位計、土壌水分計等がある。
【0016】
しかし、間隙水圧計については、水位が危険水位に接近していることを判断するためには一定以上の水圧が必要であり、地中深くに設置しなければならないため、設置費用が高くなるという問題がある。また、間隙水圧計は、浸水の進行方向を把握することはできないという問題がある。
【0017】
水位計については、複数の電極対を用いて、水位や、浸水の方向を把握することができるが、各電極対の測定量に連続性がないため、水位の測定精度が低下するという問題がある。
【0018】
土壌水分計については、鉛直方向に長い電極を使用することにより、深さ方向に広い範囲で水分量を測定できる。そのため、危険水位を含む範囲に土壌水分計を設置することにより、危険水位前後で水位を測定することができる。しかし、土壌水分計は、1つの電極で広い範囲を測定しなければならないため、測定の精度が低下するという問題がある。また、土壌水分計は、浸水の進行方向を把握することができないという問題がある。
【0019】
本願発明者は上記の問題を解決するため、以下に説明するような本実施形態に想到した。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る土壌水分計の構成を示す模式図である。
【0021】
図1に示されるように、第1実施形態に係る土壌水分計は、鉛直方向に配設された第1の電極対10と、第2の電極対20と、第1の電極対10と第2の電極対20の相対的な位置を一定に保持するための電極保持具30とを有している。第1の電極対10は2個の電極11と電極12とを有し、同様に第2の電極対20は2個の電極21と電極22とを有している。
【0022】
第1の電極対10は電極保持具30の下部に、第2の電極対20は電極保持具30の上部に配設され、第1の電極対10の上部と第2の電極対20の下部とは、重複領域31において高さが重複している。この高さの重複は、第1の電極対10の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分と、第2の電極対20の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分とを、互いに補うようにしたものである。
【0023】
また、第1実施形態に係る土壌水分計は、第1の電極対10と第2の電極対20のそれぞれの静電容量を測定し、水分量に変換する静電容量−水分量変換部40を有している。
【0024】
静電容量−水分量変換部40は、第1の電極対10の電極11に交流電圧を印加して、電極12を流れる電流より第1の電極対10の静電容量を測定し、その静電容量を水分量に変換する第1の静電容量−水分量変換回路41を有している。また、静電容量−水分量変換部40は、第2の電極対20の電極21に交流電圧を印加して、電極22を流れる電流より第2の電極対20の静電容量を測定し、その静電容量を水分量に変換する第2の静電容量−水分量変換回路42を有している。
【0025】
更に、第1実施形態に係る土壌水分計は、静電容量−水分量変換部40が測定した、第1の電極対10における水分量と第2の電極対20における水分量とを、処理部60に送信するための通信部50を有している。
【0026】
また、第1実施形態に係る土壌水分計は、受信した第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて、水位を測定するための処理部60とを有している。
【0027】
図2は、第1の電極対10の構造の一例を説明する断面図である。
【0028】
図2に示されるように、第1の電極対10は、金や銅等の導電率の高い材料からできた電極11及び電極12を有し、電極11及び電極12は絶縁体の基材13で支持され、更に電極11、電極12及び基材13は絶縁体のコーティング材14で覆われている。
【0029】
なお、基材13の材料としては、例えばガラスエポキシ、アクリルが挙げられ、コーティング材14の材料としては、例えばポリウレタン、アクリル、セルロースが挙げられる。
【0030】
第2の電極対20も、図2に示される第1の電極対10の構造と同じ構造であってよい。
【0031】
図3は、電極対の構造の別の例を示す図である。
【0032】
図3の例では、電極保持具30を絶縁シートとし、絶縁シート上に第1の電極対10と、第2の電極対20とを蒸着している。また、絶縁シート上には、第1の電極対10と、第2の電極対20と、静電容量−水分量変換部40とを電気的に接続するための配線パターンを蒸着している。
【0033】
電極保持具30の形状は、土中に貫入することを考慮して、直径30mm以下の円柱であることが望ましいが、電極保持具30をボーリング等により穴に入れる場合には、それ以上の直径の円柱であってもよい。
【0034】
電極保持具30が図3に示される絶縁シートである場合には、電極保持具30を土中に設置する際に、絶縁シートを上記のような円柱形状にするのが望ましい。
【0035】
図4は、第1の静電容量−水分量変換回路41の構成例を示す図である。
【0036】
図4に示されるように、第1の静電容量−水分量変換回路41は、オシレータ411により第1の電極対10の一方の電極11に、矩形波又は正弦波の交流電圧を印加する。電極11に交流電圧を印加することによって、第1の電極対10の他方の電極12を流れる電流は、ダイオード412により順方向の成分のみの電流となり、CR並列回路413で直流電流に変換される。この直流電圧はA/Dコンバータ414に取り込まれ、電圧−水分量変換部415により第1の電極対10における水分量が測定される。
【0037】
第1の電極対10のコンデンサに流れる電流Iは、下記の式(1)で表現される。
【0038】
【数1】

式(1)において、Cはコンデンサの静電容量、Vはコンデンサに印加されている電圧、fはコンデンサに印加される交流電圧Vの周波数である。
【0039】
式(1)より、下記の式(2)の関係が成り立つ。
【0040】
【数2】

式(2)より、ダイオード412及びCR並列回路413の半整流回路により整流された直流電流は、第1の電極対10の静電容量Cに比例することが分かる。電圧−水分量変換部415では、整流された直流電流の値に対応する直流電圧を、電圧と水分量との間の関係を示す曲線により水分量に変換し、第1の電極対10における水分量を測定する。
【0041】
電圧−水分量変換部415において、電圧を水分量に変換する際に用いる電圧と水分量との間の関係を示す曲線は、土質、電極の形状によって変化するため、実験により求められる。
【0042】
なお、第1の静電容量−水分量変換回路41は、第1の電極対10の静電容量を測定し、その静電容量を水分量に変換し、第1の電極対10における水分量を測定するものであれば、図4の構成に限定されることはなく、任意の構成を取り得る。
【0043】
第2の静電容量−水分量変換回路42も、第1の静電容量−水分量変換回路41と同じ構成を有していてよい。
【0044】
通信部50は、静電容量−水分量変換部40と処理部60とをUSB接続するものであってよい。これにより通信部50は、静電容量−水分量変換部40で測定した第1の電極対10における水分量と第2の電極対20における水分量とを処理部60に送信する。また、静電容量−水分量変換部40と処理部60とはUSB接続されているので、静電容量−水分量変換部40に処理部60から電力が供給される。
【0045】
或いは、通信部50は、静電容量−水分量変換部40で測定した、第1の電極対10における水分量と第2の電極対20における水分量とを、処理部60に無線により送信するようにしてもよい。この場合、静電容量−水分量変換部40には電池等により電力を供給するようにしてもよい。
【0046】
処理部60は、通信部50によって送信された、第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量とを受信する。そして、処理部60は、第1の電極対10における水分量と第2の電極対20における水分量とに基づいて、浸水の進行方向が上方向であるか下方向であるかを判定する。
【0047】
下部に配設された第1の電極対10における水分量が先に増加し、その後に上部に配設された第2の電極対20における水分量が増加している場合、処理部60は浸水が上方向に進行していると判定する。逆に、上部に配設された第2の電極対20における水分量が先に増加し、その後に下部に配設された第1の電極対10における水分量が増加している場合、処理部60は浸水が下方向に進行していると判定する。
【0048】
更に、処理部60は、第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて、水位を測定する。
【0049】
図5は、第1の電極対10における水分量と水位との関係を示す曲線(I)と、第2の電極対20における水分量と水位との関係を示す曲線(II)を示している。
【0050】
曲線(I)が示すように、第1の電極対10における水分量が0のとき水位はa1であり、第1の電極対10における水分量が増加すると水位は増加し、第1の電極対10における水分量がb2のとき水位はa2となる。第1の電極対10における水分量がb2以上になると、水分量の増加に対する水位の増加の割合が大きくなる。そして、第1の電極対10における水分量がb3になると水位はa3となって、第1の電極対10において測定される水分量は飽和する。
【0051】
また、曲線(II)が示すように、第2の電極対20における水分量が0のとき水位はa2である。第2の電極対20における水分量が0以上b1以下のとき、第2の電極対20における水分量の増加に対する水位の増加の割合は大きくなっており、第2の電極対20における水分量がb1のとき水位はa3になる。第2の電極対20における水分量がb1以上になると曲線(II)の傾きは小さくなり、第2の電極対20における水分量がb3になると水位はa4となって、第2の電極対20において測定される水分量は飽和する。
【0052】
図5に示されるように、水位がa2以上a3以下のとき、第1の電極対10及び第2の電極対20における水分量の増加に対する水位の増加の割合が大きくなり、第1の電極対10及び第2の電極対20の水位の変化に対する水分量の感度が低下している。
【0053】
第1実施形態における土壌水分計では、水位がa2以上a3以下であるときを重複領域としている。そして、第1の電極対10と第2の電極対20は、この重複領域において互いに補うように、第1の電極対10の上部と第2の電極対20の下部における高さを重複させている。
【0054】
また、図5で示されている曲線は、各電極対における水分量が増加するにつれて水位が上昇しているので、浸水が上方向に進行している場合の各電極対における水分量と水位との関係を示す曲線である。浸水が下方向に進行している場合、第1の電極対10における水分量と水位との関係を示す曲線(I)と、第2の電極対20における水分量と水位との関係を示す曲線(II)は、水分量の増加に伴い水位が下がる曲線となる。
【0055】
なお、第1の電極対10における水分量と水位との関係を示す曲線(I)、第2の電極対20における水分量と水位との関係を示す曲線(II)は、間隙水圧計等の各種センサにより実験的に求められる。
【0056】
図6は、図5に示される第1の電極対10、第2の電極対20における水分量と水位との関係を示す曲線(I)、曲線(II)のデータを、重複領域において平均化して補間して得た、水分量と水位との関係を示す曲線(III)を示している。
【0057】
図6に示されるように、水分量と水位との関係を示す曲線(III)は、線形関係を表す破線に対し、重複領域以外では小さく出っ張っており、重複領域では小さく窪んでいるが、全体として略線形関係を保っている。
【0058】
水分量と水位との関係を示す曲線(III)を得る際には、重複領域において、第1の電極対10の曲線(I)から求められる水位と、第2の電極対20の曲線(II)から求められる水位とを平均化して補間している。これにより第1の電極対10により測定可能な範囲と第2の電極対20により測定可能な範囲とを合わせた広範囲において、連続した水分量と水位との関係を示す曲線が得られる。このようにすることによって、広範囲で水分量と水位との間の関係を略線形にすることができると共に、高精度の水分量の値を得ることができる。
【0059】
重複領域における曲線(I)と曲線(II)のデータの補間は、上述のように曲線(I)と曲線(II)から得られる水位を重複領域において平均化することより行う。或いは、曲線(I)と曲線(II)のデータの補間は、重複領域において、第1の電極対10の感度の良い領域では曲線(I)の水位を使用し、第2の電極対20の感度の良い領域では曲線(II)の水位を使用することにより行ってもよい。
【0060】
なお、図6に示される水分量と水位との関係を示す曲線(III)は、水分量の増加に伴い水位が上昇しており、浸水が上方向に進行している場合の曲線である。浸水が下方向に進行している場合、水分量と水位との関係を示す曲線(III)は、水分量の増加に伴い水位が下がる曲線となる。
【0061】
処理部60は、重複領域において補間された水分量と水位との関係を示す曲線(III)を記憶している。或いは処理部60は、重複領域において補間された水分量と水位との関係を示す曲線(III)を、第1の電極対10、第2の電極対20における水分量と水位との関係を示す曲線(I)と曲線(II)とに基づいて算出する。
【0062】
そして、処理部60は、第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線(III)とに基づいて、水位を測定する。
【0063】
第1実施形態に係る土壌水分計では、各電極対における水分量は一定の値に達すると飽和する。従って、2つの電極対の内、1つの電極対における水分量が飽和した場合、その後はもう一方の電極対の測定値に基づいて測定を行い、水分量が飽和した電極対に印加する交流電圧を停止してもよい。このようにすることによって、測定精度を低下させることなく省電力化が可能となる。
【0064】
図7は、第1実施形態に係る土壌水分計の動作手順について説明するフローチャートである。
【0065】
図7を参照しながら、第1実施形態に係る土壌水分計において、水分量及び水位を測定する手順について説明する。
【0066】
先ず、第1の電極対10及び第2の電極対20を保持している電極保持具30を、水分量及び水位を測定しようとする土中に設置する(ステップS1)。
【0067】
土壌水分計による測定を開始すると、静電容量−水分変換部40は、第1の電極対10の静電容量と第2の電極対20の静電容量とを測定する(ステップS2)。そして、静電容量−水分量変換部40は、その静電容量を水分量に変換し、第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量とを測定する(ステップS3)。
【0068】
なお、静電容量−水分量変換部40が図4に示される第1、第2の静電容量−水分量変換回路41、42を有している場合、静電容量−水分量変換部40は、第1の電極対10の電極11、第2の電極対20の電極21のそれぞれに交流電圧を印加する。そして、静電容量−水分量変換部40は、第1の電極対10の電極12、第2の電極対20の電極22のそれぞれを流れる電流により、第1の電極対10、第2の電極対20のそれぞれの静電容量に比例する電圧の値を測定する。静電容量−水分量変換部40は、その電圧の値を水分量に変換することにより、第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量とを測定する。
【0069】
次に、通信部50が、第1の電極対10における水分量と第2の電極対20における水分量を、処理部60に送信する(ステップS4)。
【0070】
処理部60は、受信した第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量とに基づいて、浸水の進行方向が上方向であるか下方向であるかを判定する(ステップS5)
そして、処理部60は、第1の電極対10における水分量と、第2の電極対20における水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線(III)とに基づいて、水位を測定する(ステップS6)。
【0071】
以上で、第1実施形態における土壌水分計は、水分量及び水位を測定する手順を終了する。
【0072】
図1では第1実施形態における土壌水分計は、2個の電極対を有している。しかし、第1実施形態における土壌水分計は、2個以上のn個(nは2以上の整数)の電極対を下から順番に鉛直方向に配設するようしても良い。
【0073】
この土壌水分計において、i番目(iは2からnまでの整数)の電極対の下部とi−1番目の電極対の上部とは、高さが重複している。この高さの重複は、i番目の電極対の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分と、i−1番目の電極対の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分とを、互いに補うようにする。
【0074】
そして、静電容量−水分量変換部40は、n個の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、静電容量を水分量に変換し、n個の電極対のそれぞれにおける水分量を測定する。
【0075】
通信部50は、n個の電極対のそれぞれにおける水分量を処理部60に送信すると共に、静電容量−水分量変換部40に電力を供給する。
【0076】
処理部60は、受信したn個の電極対のそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線(III)とに基づいて、水位を測定する。
【0077】
また、図1に示される静電容量−水分量変換部40は、電極対毎に図4に示される構成を有する第1の静電容量−水分量変換回路41と、第2の静電容量−水分量変換回路42とを有している。しかし、静電容量−水分量変換部40は、各電極対の静電容量を測定し、各電極対の静電容量を水分量に変換し、各電極対における水分量を測定するものであれば、任意の構成を取り得る。
【0078】
第1実施形態における土壌水分計は、図1に示される構成において、通信部50と処理部60、又は処理部60が無い構成としてもよい。
【0079】
通信部50と処理部60が無い構成の場合、静電容量−水分量変換部40は各電極対における水分量を測定すると共に、各電極対における水分量を表示し、又は記憶するようにしてもよい。
【0080】
処理部60が無い構成の場合、静電容量−水分量変換部40が測定した各電極対における水分量を、通信部50によって表示装置又は記憶装置等に送信するようにしてもよい。表示装置又は記憶装置は、受信した各電極対における水分量を表示又は記憶する。
【0081】
第1実施形態に係る土壌水分計によると、複数の電極対を鉛直方向に高さが一部重複するように配設し、水位が重複している部分を補間して、広範囲において水分量と水位とを連続データとして扱っている。そのため、広い範囲で水位と測定される水分量との間に線形関係が保たれ、土中の水分量を高精度かつ連続に測定することができる。また、第1実施形態に係る土壌水分計は、土中の水位の移動や、浸水が上方向に進行しているか、下方向に進行しているかを判定することができる。
【0082】
更に第1実施形態に係る土壌水分計は、広い範囲を測定する場合でも、複数の電極対を設けることにより、個々の電極の大きさを大きくする必要がなく、測定の精度を向上させることができる。また、第1実施形態に係る土壌水分計は、間隙水圧計に比較して小型化が容易であると共に、比較的浅い位置に設置することができるので、設置費用を削減することができる。
【0083】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係る土壌水分計の構成を示す模式図である。
【0084】
図8に示されるように、第2実施形態に係る土壌水分計では、鉛直方向に配設された、1本の長い電極101と、3個の短い電極111、電極112、電極113とを有している。3個の短い電極111、電極112、電極113は、この順番で下から上に配設されており、電極101とそれぞれ第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aを形成している。
【0085】
また、第2実施形態に係る土壌水分計は、4個の電極101、電極111、電極112、電極113の相対的な位置を一定に保持するための電極保持具120を有している。
【0086】
電極111と電極112は重複領域121において高さが重複している。この高さの重複は、第1の電極対111Aの水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分と、第2の電極対112Aの水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分とを、互いに補うためのものである。
【0087】
同様に、電極112と電極113は、第2の電極対112Aの水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分と、第3の電極対113Aの水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分とを互いに補うために、重複領域122において高さが重複している。
【0088】
なお、電極101、電極111、電極112、電極113の構造は、図6に示される構造であってよい。或いは、図9に示されるように、電極保持具120を絶縁シートとし、絶縁シート上に電極101、電極111、電極112、電極113、及び配線パターンを蒸着してもよい。なお、電極保持具120を絶縁シートとする場合、電極保持具120を土中に設置する際に、絶縁シートを円柱形状にするのが望ましい。
【0089】
また、第2実施形態に係る土壌水分計は、静電容量−水分量変換部130を有している。静電容量−水分量変換部130は、第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aのそれぞれの静電容量を測定する。そして、静電容量−水分量変換部130は、測定した静電容量を水分量に変換し、第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aのそれぞれにおける水分量を測定する。
【0090】
静電容量−水分量変換部130は、第1の静電容量−水分量変換回路131と、第2の静電容量−水分量変換回路132と、第3の静電容量−水分量変換回路133とを有している。第1、第2、第3の静電容量−水分量変換回路131、132、133は、図4に示される静電容量−水分量変換回路41と同様の構成であってよい。
【0091】
この場合、オシレータにより電極101に交流電圧が印加される。そして、第1の静電容量−水分量変換回路131は、電極111を流れる電流より第1の電極対111Aの静電容量に比例する電圧を測定し、その電圧を水分量に変換して、第1の電極対111Aにおける水分量を測定する。同様に、第2の静電容量−水分量変換回路132は第2の電極対112Aにおける水分量を測定し、第3の静電容量−水分量変換回路133は第3の電極対113Aにおける水分量を測定する。
【0092】
第1、第2、第3の静電容量−水分量変換回路131、132、133において、電圧を水分量に変換する際に用いる電圧と水分量との間の関係を示す曲線は、第1実施形態と同様に、土質、電極の形状によって変化するため、実験により求められる。
【0093】
なお、第1の静電容量−水分量変換回路131、第2の静電容量−水分量変換回路132、第3の静電容量−水分量変換回路133は、図4に示される構成に限定されることない。第1の静電容量−水分量変換回路131は、第1の電極対111Aの静電容量を測定し、その静電容量を水分量に変換し、第1の電極対111Aにおける水分量を測定するものであれば任意の構成を取り得る。第2の静電容量−水分量変換回路132、第3の静電容量−水分量変換回路133についても同様である。
【0094】
更に、第2実施形態に係る土壌水分計は、第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aのそれぞれにおける水分量を処理部150に送信するための通信部140を有している。
【0095】
また、第2実施形態に係る土壌水分計は、受信した第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aのそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて、水位を測定するための処理部150を有している。
【0096】
通信部140は、第1実施形態と同様に、静電容量−水分量変換部130と処理部150とをUSB接続するものであってよい。或いは、通信部140は、静電容量−水分量変換部130で測定した各電極対における水分量を、無線により処理部150に送信するようにしてもよい。
【0097】
処理部150は、第1の電極対111Aにおける水分量と、第2の電極対112Aにおける水分量と、第3の電極対113Aにおける水分量とに基づいて、浸水の進行方向が上方向であるか下方向であるかを判定する。
【0098】
また、処理部150は、水分量と水位との関係を示す曲線(VII)を記憶している。第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aのそれぞれにおける水分量と水位との関係を示す曲線を、曲線(IV)、曲線(V)、曲線(VI)と表すとする。水分量と水位との関係を示す曲線(VII)は、曲線(IV)と、曲線(V)と、曲線(VI)とを補間することにより得られた曲線である。
【0099】
処理部150は、曲線(IV)と、曲線(V)と、曲線(VI)とを記憶し、曲線(IV)と、曲線(V)と、曲線(VI)とに基づいて、補間された水分量と水位との関係を示す曲線(VII)を算出するようにしてもよい。
【0100】
図10は、各電極対における水分量と水位との関係を示す曲線(IV)、曲線(V)、曲線(IV)を示している。
【0101】
図10に示されるように、曲線(IV)と曲線(V)は、水位がc1以上c2以下の重複領域では、水分量の増加に対する水位の増加の割合が大きくなっている。よって、水位がc1以上c2以下の重複領域では、第1の電極対111Aと第2の電極対112Aの水位の変化に対する水分量の感度が低下している。
【0102】
また、曲線(V)と曲線(VI)は、水位がc3以上c4以下の重複領域では、水分量の増加に対する水位の増加の割合が大きくなっている。よって、水位がc3以上c4以下の重複領域では、第2の電極対112Aと第3の電極対113Aの水位の変化に対する水分量感度が低下している。
【0103】
図11は、曲線(IV)と曲線(V)と曲線(VI)を、重複領域において補間して得た水分量と水位との関係を示す曲線(VII)を示している。
【0104】
曲線(VII)を得る際には、曲線(IV)と曲線(V)とを、第1の電極対111Aと第2の電極対112Aの水位の変化に対する水分量の感度が低下する重複領域において補間する。更に、曲線(VII)は、曲線(V)と曲線(VI)とを、第2の電極対112Aと第3の電極対113Aの水位の変化に対する水分量の感度が低下する重複領域において補間することによって得られる。
【0105】
これにより第1の電極対111Aと、第2の電極対112Aと、第3の電極対113Aとにより測定可能な範囲を合わせた広範囲において、連続した水分量と水位との関係を示す曲線が得られる。このようにすることによって、広範囲で水分量と水位との間の関係を略線形にすることができると共に、高精度の水分量の値を得ることができる。
【0106】
補間の方法は第1実施形態の場合と同じであり、重複領域において各電極対において測定される水位を平均化するか、或いは、重複領域において感度の良い方の電極対において測定される水位を使用することにより行う。
【0107】
なお、第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aにおける水分量と水位との関係を示す曲線(IV)、曲線(V)、曲線(VI)は、間隙水圧計等の各種センサにより実験的に求められる。
【0108】
そして、処理部150は、第1の電極対111Aにおける水分量と、第2の電極対112Aにおける水分量と、第3の電極対113Aにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線(VII)とに基づいて、水位を測定する。
【0109】
図12は、第2実施形態に係る土壌水分計の動作手順について説明するフローチャートである。
【0110】
図12を参照しながら、第2実施形態に係る土壌水分計において、水分量及び水位を測定する手順について説明する。
【0111】
先ず、土壌水分計の電極保持具120を、水分量及び水位を測定しようとする土中に設置する(ステップS11)。
【0112】
土壌水分計による測定を開始すると、静電容量−水分量変換部130は、第1の電極対111Aの静電容量、第2の電極対112Aの静電容量、第3の電極対113Aの静電容量を測定する(ステップS12)。そして、静電容量−水分量変換部130は、その静電容量を水分量に変換し、第1の電極対111Aにおける水分量、第2の電極対112Aにおける水分量、第3の電極対113Aにおける水分量を測定する(ステップS13)。
【0113】
なお、第1、第2、第3の静電容量−水分量変換回路131、132、133が図4に示される静電容量−水分量変換回路41と同様の構成を有している場合、静電容量−水分量変換部130は、電極101に交流電圧を印加する。そして、静電容量−水分量変換部130は、電極111、電極112、電極113のそれぞれを流れる電流により、第1の電極対111A、第2の電極対112A、第3の電極対113Aのそれぞれの静電容量に比例する電圧の値を測定する。静電容量−水分量変換部130は、その電圧の値を水分量に変換することにより、第1の電極対111Aにおける水分量、第2の電極対112Aにおける水分量、第3の電極対113Aにおける水分量を測定する。
【0114】
次に、通信部140が、第1の電極対111Aにおける水分量と、第2の電極対112Aにおける水分量と、第3の電極対113Aにおける水分量とを処理部150に送信する(ステップS14)。
【0115】
処理部150は、受信した第1の電極対111Aにおける水分量と、第2の電極対112Aにおける水分量と、第3の電極対113Aにおける水分量とに基づいて、浸水の進行方向が上方向であるか下方向であるかを判定する(ステップS15)。
【0116】
そして、処理部150は、第1の電極対111Aにおける水分量と、第2の電極対112Aにおける水分量と、第3の電極対113Aにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線(VII)とに基づいて、水位を測定する(ステップS16)。
【0117】
以上で、第2実施形態における土壌水分計は、水分量及び水位を測定する手順を終了する。
【0118】
図8では第2実施形態における土壌水分計は、3個の電極対を有している。しかし、第2実施形態における土壌水分計は、鉛直方向に、一本の長い電極と、1〜n(nは2以上の整数)の順番で下から上に配設されたn個の短い電極とを有するようにしてもよい。長い電極とn個の短い電極とは、n個の電極対を形成している。
【0119】
この土壌水分計において、i番目(iは2からnまでの整数)の電極の下部とi−1番目の電極の上部とは、高さが重複している。この高さの重複は、i番目の電極対の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分と、i−1番目の電極対の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分とを、互いに補うようにする。
【0120】
そして、静電容量−水分量変換部130は、n個の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、静電容量を水分量に変換し、n個の電極対のそれぞれにおける水分量を測定する。
【0121】
通信部140は、n個の電極対のそれぞれにおける水分量を処理部150に送信すると共に、静電容量−水分量変換部130に電力を供給する。
【0122】
処理部150は、受信したn個の電極対のそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線(VII)とに基づいて、水位を測定する。
【0123】
図8では第2実施形態における土壌水分計において、静電容量−水分量変換部130は、第1、第2、第3の静電容量−水分量変換回路131、132、133を有している。しかし、静電容量−水分量変換部130は、各電極対の静電容量を測定し、各電極対の静電容量を水分量に変換し、各電極対における水分量を測定するものであれば、任意の構成を取り得る。
【0124】
また、第2実施形態における土壌水分計は、図8に示される構成において、通信部140と処理部150、又は処理部150が無い構成としてもよい。
【0125】
通信部140と処理部150が無い構成の場合、静電容量−水分量変換部130は各電極対における水分量を測定すると共に、各電極対における水分量を表示し、又は記憶するようにしてもよい。
【0126】
処理部150が無い構成の場合、静電容量−水分量変換部130が測定した各電極対における水分量は、通信部140によって表示装置又は記憶装置等に送信されるようにしてもよい。表示装置又は記憶装置は、受信した各電極対における水分量を表示又は記憶する。
【0127】
第2実施形態に係る土壌水分計によると、複数の電極対を鉛直方向に高さが一部重複するように配設し、水位が重複している部分を補間して、広範囲において水分量と水位とを連続データとして扱っている。そのため、広い範囲で水位と測定される水分量との間に線形関係が保たれ、土中の水分量を高精度かつ連続に測定することができる。また、第2実施形態に係る土壌水分計は、土中の水位の移動や、浸水が上方向に進行しているか、下方向に進行しているかを判定することができる。
【0128】
更に第2実施形態に係る土壌水分計は、広い範囲を測定する場合でも、複数の電極対を設けることにより、個々の電極の大きさを大きくする必要がなく、測定の精度を向上させることができる。また、第2実施形態に係る土壌水分計は、間隙水圧計に比較して小型化が容易であると共に、比較的浅い位置に設置することができるので、設置費用を削減することができる。
【0129】
上記で説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0130】
(付記1) 高さ方向に一部重複する鉛直方向に配設された複数の電極対と、前記複数の電
極対のそれぞれの静電容量を測定し、水分量に変換する静電容量−水分量変換部と、を有
することを特徴とする土壌水分計。
【0131】
(付記2) 前記複数の電極対の相対位置は、電極保持具によって一定に保持されていることを特徴とする付記1に記載の土壌水分計。
【0132】
(付記3) 鉛直方向に配設された1本の第1の電極と、前記第1の電極と複数の電極対を形成すると共に、高さ方向に一部重複するように配設された前記第1の電極よりも短い複数の第2の電極と、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、水分量に変換する静電容量−水分量変換部とを有することを特徴とする土壌水分計。
【0133】
(付記4) 前記第1の電極と前記複数の第2の電極の相対位置は、電極保持具によって一定に保持されていることを特徴とする付記3に記載の土壌水分計。
【0134】
(付記5) 高さ方向に重複する2つの前記電極対は、前記2つの電極対の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分を補うように、高さが重複していることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の土壌水分計。
【0135】
(付記6) 前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて水位を測定する処理部と、前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量を前記処理部に送信する通信部と、を更に有することを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の土壌水分計。
【0136】
(付記7) 鉛直方向に高さが一部重複するように配設された複数の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、前記静電容量を測定した後に、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量から前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量を測定することを特徴とする土壌水分測定方法。
【0137】
(付記8) 鉛直方向に配設された1本の第1の電極と、高さが一部重複する前記第1の電極よりも短い複数の第2の電極とで形成された複数の電極対の静電容量を測定し、前記静電容量を測定した後に、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量から前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量を測定することを特徴とする土壌水分測定方法。
【0138】
(付記9) 高さ方向に重複する2つの前記電極対は、前記2つの電極対の水位の変化に対する水分量の感度が低下する部分を補うように、高さが重複していることを特徴とする付記7又は付記8に記載の土壌水分測定方法。
【0139】
(付記10) 前記水分量を測定した後に、前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて水位を測定することを特徴とする付記7乃至9のいずれかに記載の土壌水分測定方法。
【符号の説明】
【0140】
10、111A…第1の電極対、20、112A…第2の電極対、113A…第3の電極対、11、12、21、22、101、111、112、113…電極、13…基材、14…コーティング材、30、120…電極保持具、31、121、122…重複領域、40、130…静電容量−水分量変換部、41、131…第1の静電容量−水分量変換回路、42、132…第2の静電容量−水分量変換回路、133…第3の静電容量−水分量変換回路、50、140…通信部、60、150…処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に一部重複する鉛直方向に配設された複数の電極対と、
前記複数の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、水分量に変換する静電容量−水分量
変換部と、
を有することを特徴とする土壌水分計。
【請求項2】
鉛直方向に配設された1本の第1の電極と、
前記第1の電極と複数の電極対を形成すると共に、高さ方向に一部重複するように配設
された前記第1の電極よりも短い複数の第2の電極と、
前記複数の電極対のそれぞれの静電容量を測定し、水分量に変換する静電容量−水分量変換部と、
を有することを特徴とする土壌水分計。
【請求項3】
高さ方向に重複する2つの前記電極対は、前記2つの電極対の水位の変化に対する水分
量の感度が低下する部分を補うように、高さが重複していることを特徴とする請求項1又
は請求項2に記載の土壌水分計。
【請求項4】
前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて水位を測定する処理部と、
前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量を前記処理部に送信する通信部と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の土壌水分計。
【請求項5】
鉛直方向に高さが一部重複するように配設された複数の電極対のそれぞれの静電容量を
測定し、
前記静電容量を測定した後に、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量から前記複数の
電極対のそれぞれにおける水分量を測定することを特徴とする土壌水分測定方法。
【請求項6】
鉛直方向に配設された1本の第1の電極と、高さが一部重複する前記第1の電極よりも
短い複数の第2の電極とで形成された複数の電極対の静電容量を測定し、
前記静電容量を測定した後に、前記複数の電極対のそれぞれの静電容量から前記複数の
電極対のそれぞれにおける水分量を測定することを特徴とする土壌水分測定方法。
【請求項7】
高さが重複する2つの前記電極対は、前記2つの電極対の水位の変化に対する水分量の
感度が低下する部分を補うように、高さが重複していることを特徴とする請求項5又は請
求項6に記載の土壌水分測定方法。
【請求項8】
前記水分量を測定した後に、前記複数の電極対のそれぞれにおける水分量と、水分量と水位との関係を示す曲線とに基づいて水位を測定することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の土壌水分測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−132794(P2012−132794A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285422(P2010−285422)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】