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土壌汚染の調査方法
説明

土壌汚染の調査方法

【課題】VOCや油分による土壌汚染を充分に簡易にかつ充分に高精度で調査する。
【解決手段】有機性化合物による土壌汚染を調査するに際し、調査対象領域から土壌ガスを採取して、土壌ガス中の揮発性有機化合物および芳香族化合物をPIDモニターにより検出してその炭素量をイソブチレン換算での濃度で計算するとともに、土壌ガス中の直鎖炭化水素をIRガスモニターにより検出してその炭素量をメタン換算による濃度で計算し、さらに土壌ガス中の炭酸ガスおよびメタンを検出してその炭素量を計算し、上記各炭素量を合算して求めた炭素総和量に基づいて汚染状況を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VOC(揮発性有機化合物)や油分等の有機性化合物による土壌汚染を調査するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VOC等による土壌汚染の調査方法として、たとえばトリクロロエチレン等の有機性塩素化合物についてはモビラボ法やフィンガープリント法等が知られている。
また油分による土壌汚染の調査方法として、たとえば特許文献1に示されるように地中の炭酸ガス(CO)濃度を測定するという手法が提案されている。
【特許文献1】特開2005−300260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のモビラボ法やフィンガープリント法等による在来の調査手法は、いずれも現場で採取した土壌ガスをガスクロマトグラフ等の分析装置で測定するものであるので、大型の分析装置を現場に持ち込む必要があるし、1試料当たりの分析に長時間を要するものであるので、効率的な調査は望めるものではない。
【0004】
また、特許文献1に示されている炭酸ガス濃度の測定による調査手法は、上記のような在来の手法に比べれば遙かに簡易に実施できるものではあるが、必ずしも充分な精度が得られない場合もある。
【0005】
たとえば、図3はその手法による調査結果の検証例を示すものであるが、土壌中の油分濃度(横軸=x軸)と炭酸ガス濃度(縦軸=y軸)とは図中の回帰式(y=0.1447x+3371.3)で示されるようなリニアな相関関係を有するものの、この場合の決定係数はR=0.1682に過ぎないので相関程度は必ずしも高くはない。
【0006】
以上のことから、VOCや油分による土壌汚染を充分に簡易にかつ高精度で調査し得る有効適切な手法の開発が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、有機性化合物による土壌汚染を調査するに際し、調査対象領域から土壌ガスを採取して、土壌ガス中の揮発性有機化合物および芳香族化合物をPIDモニターにより検出してその炭素量をイソブチレン換算での濃度で計算するとともに、土壌ガス中の直鎖炭化水素をIRガスモニターにより検出してその炭素量をメタン換算による濃度で計算し、かつ、土壌ガス中の炭酸ガスおよびメタンを検出してその炭素量を計算し、上記各炭素量を合算して求めた炭素総和量に基づいて汚染状況を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、土壌中に存在するVOCや炭化水素、油分等の汚染物質の濃度を直接測定するのみならず、それらの汚染物質が分解することで発生する炭酸ガスやメタンの濃度も併せて測定するものであって、特にそれら各成分の濃度をそれぞれ炭素量に換算して炭素総和量を求め、その炭素総和量を指標として汚染状況を推定することにより、汚染状況を高精度でしかも充分に簡易に調査することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
土壌中の汚染物質の存在形態は、汚染物質そのものがそのまま存在しているばかりでなく、汚染物質が生物学的な分解を受けて炭酸ガス(CO)あるいはメタン(CH)に変化した状態でも存在していると考えられる。
そこで本発明では、調査対象領域の各地点から土壌ガスを採取し、その土壌ガス中の汚染物質ガスのみならず炭酸ガスおよびメタンの炭素総和量を測定し、その炭素総和量を指標として汚染状況を推定することを主眼とする。
【0010】
各地点における土壌ガスの採取は周知の手法で適宜行うことができるが、たとえば地表部に直径1cm程度、長さ10〜100cm程度の小径の管材を打ち込み、その内部に土壌ガスを吸引するための吸引管を挿入し、吸引管を通して土壌ガスを吸引してサンプリングすれば良い。測定地点は調査対象領域全体にわたってたとえば5〜30mピッチで設定すれば良い。
【0011】
サンプリングした土壌ガスの分析は、周知のPIDモニター、IRガスモニター、CO測定器、CH測定器を用いて行う。
PIDモニターは、イオン化装置(UVランプ)とイオン検出器(Photo-Ionization
Detector)を備え、VOCガスをイオン化して陽極と陰極との間でのイオン化ガス総量を計測する構成のものであり、本実施形態ではVOCおよび芳香族化合物に感度を示す汎用のPIDモニターを用いて土壌ガス中のVOCおよび芳香族化合物の濃度をイソブチレン換算での濃度として測定し、それから炭素量を計算する。
また、IRガスモニターは測定対象ガスが特定の波長域の赤外線を吸収して濃度に対応した吸収を示す原理を利用したもので、本実施形態では直鎖炭化水素に感度を示す汎用のIRガスモニターを用いて土壌ガス中の直鎖炭化水素の濃度をメタン換算での濃度として測定し、それから炭素量を計算する。
さらに、土壌ガス中の炭酸ガスおよびメタンの濃度を、それぞれ検知管や、あるいはポータブルなハンディタイプの測定器を用いて直接計測し、それらの計測値から炭素量に換算する。
そして、上記で求めた各成分の炭素量を合算して各地点における炭素総和量を求め、それを汚染状況の指標とする。
【0012】
図1は、上記のようにして求めた土壌ガス中の炭素総和量(縦軸=y軸)と、実際の汚染土壌中の油分濃度(横軸=x軸)との関係を検証した結果を示す図である。この図から、両者には図中に示すような回帰式(y=1.6898x−8150)で表されるリニアな相関関係があり、その決定係数はR=0.6811と充分に高いものであって、図3に示した炭酸ガスのみを指標とする場合に比べて遙かに強い相関関係を有していることが確認できた。
【0013】
つまり、本発明のように土壌ガス中の炭素総和量を指標とすれば、図3に示した従来法のように炭酸ガスのみを指標とする場合に比べて、遙かに的確かつ高精度で土壌汚染状況を評価できるものである。勿論、本発明においても土壌ガスの採取とその分析は、在来の土壌ガスサンプリング手法と、いずれも汎用品として市販されているガス計測手段であるPIDモニター、IRガスセンサー、各種のCO検出器と各種のCH検出器とを用いることのみで簡易に実施できるし、そのための手間と費用は炭酸ガスのみを指標とする従来の手法と実質的に同等であり、したがって充分に簡易にかつ効率的な調査を実施できるものである。
【0014】
なお、油により汚染された領域における各汚染成分の分布状況の一例を図2に示す。
(a)はCO濃度、(b)はIRガスモニターによる検出成分(TP)、(c)はPIDモニターによる検出成分のコンター図である。
この図では、(a)のCO濃度と(b)のTPとがほぼ同様のコンターを示しており、このことからCOの存在は有機物の存在を直接示しており、COを発生させた汚染原因物質が油であることを推定することができる。
また、(c)に示されるPID成分の分布状況はCOおよびTPの分布状況とは異なっており、PID成分の検出地点にはVOCあるいは芳香族炭化水素が存在しているものと推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示すもので、土壌中の油分濃度と炭素総和量との関係を示す図である。
【図2】同、各検出成分の分布状況の一例を示す図である。
【図3】土壌中の油分濃度とCO濃度との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性化合物による土壌汚染を調査するための方法であって、
調査対象領域から土壌ガスを採取し、
土壌ガス中の揮発性有機化合物および芳香族化合物をPIDモニターにより検出してその炭素量をイソブチレン換算での濃度で計算するとともに、
土壌ガス中の直鎖炭化水素をIRガスモニターにより検出してその炭素量をメタン換算による濃度で計算し、
かつ、土壌ガス中の炭酸ガスおよびメタンを検出してその炭素量を計算し、
上記各炭素量を合算して求めた炭素総和量に基づいて汚染状況を推定することを特徴とする土壌汚染の調査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−327830(P2007−327830A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158676(P2006−158676)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】