説明

土壌汚染評価支援装置およびプログラム

【課題】土壌汚染に対するリスクを的確に評価することができる土壌汚染評価支援装置およびプログラムを得る。
【解決手段】CPU10Aは、汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力をキーボード10E、マウス10F等の受付手段により受け付け、受け付けた前記実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測し、予測した前記濃度を用いて前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌汚染評価支援装置およびプログラムに係り、より詳しくは、汚染物質による土壌汚染の評価を支援する土壌汚染評価支援装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
土壌汚染対策法では、土壌汚染の原因である特定有害物質を使用する施設を廃止したときに、土壌汚染の有無を調査する義務が発生する。そのため、特定有害物質を使用する施設を稼働し続ける限りは上記調査の必要がなく、汚染の実態を把握することがない。このため、汚染の規模を認識しないまま稼働を続け、将来、大きな損害を招く可能性がある。
【0003】
企業にとって、予期しないときに第三者等によって土壌汚染を指摘されることは、事業上大きな損失である。このため、特定有害物質を使用する稼働中の施設においては、抱えているリスクの大きさや、万一汚染が発覚した場合の損失、将来の汚染可能性について危惧している。特に、特定有害物質のうち第一種に規定された揮発性有機化合物による汚染は、重金属等の他の特定有害物質による汚染に比較して、拡散しやすい特徴があるため、それらの物質を業務上取り扱う化学工業、金属製品製造業や電子部品・デバイス製造業では、土地取引等を契機に行う自主的な調査で汚染が発覚する場合が多く、汚染の発覚によって事業計画の変更を余儀なくされる場合もある。
【0004】
以上により、事業を継続させる上での土壌汚染のリスクについては、稼働中の工場等を有する土地の土壌汚染のリスクを把握し、移転・売却等の事業計画に合わせて対策することにより、土壌汚染による損失を最小限に抑える必要がある。そして、企業価値の低下や事業の中断を回避するために、人の健康被害を生じるおそれのある量の特定有害物質が、自社の敷地を超えて流出することのないように、対策手法や対策開始時期等を適切に選択しなければならず、このためには、土壌汚染に対する事業上のリスクを的確に評価する必要がある。
【0005】
従来、汚染物質による汚染の評価を支援するために適用できる技術として、特許文献1には、製品が環境に与える影響を示したLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)評価情報を出力する環境影響評価装置であって、製品データと使用者データとリスク係数とを予め関連付けて記憶するリスク係数記憶手段と、前記製品データ毎に、該製品に使用される有害物質データと該有害物質の使用量データとを含む設計情報を記憶する設計情報記憶手段と、前記製品に事故が生じた場合に該製品から前記有害物質が流出する流出確率を、該有害物質データと関連付けて記憶する故障情報記憶手段と、前記有害物質の流出量とLCA評価情報とを関連付けて記憶するLCA評価情報記憶手段と、前記製品データと前記使用者データとを入力するための入力手段と、前記入力手段により入力された製品データと使用者データとに基づいて、前記リスク係数記憶手段から前記リスク係数を読み取るリスク係数読取手段と、前記製品データに基づいて、前記設計情報記憶手段から、前記有害物質データと前記使用量データとを読み取る設計情報読取手段と、前記設計情報読取手段により読み取られた有害物質データに基づいて、前記故障情報記憶手段から前記流出確率を読み取る流出確率読取手段と、前記リスク係数読取手段により読み取られたリスク係数と、前記流出確率読取手段により読み取られた流出確率とから、故障進展率を算出する故障進展率算出手段と、前記設計情報読取手段により読み取られた使用量データと前記故障進展率とに基づいて、前記有害物質の流出量を計算する流出量計算手段と、前記流出量計算手段により計算された流出量に基づいて、前記LCA評価情報記憶手段から前記LCA評価情報を読み取るLCA評価情報読取手段と、前記LCA評価情報読取手段により読み取られたLCA評価情報を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする環境影響評価装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−276392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、土壌汚染に対する事業上のリスクを的確に評価するためには、将来的に自社の敷地の境界線における汚染物質の濃度がどのように推移するかを精度よく予測することが重要である。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、事故により生じる有害物質の流出のリスクについては評価することができるものの、上記境界線における汚染物質の濃度については考慮されておらず、必ずしも的確に土壌汚染に対する事業上のリスクを評価することができるとは限らない、という問題点があった。
【0009】
また、上記特許文献1に開示されている技術では、有害物質が流出する確率に基づいて評価するものとされているため、この点においても、必ずしも的確に土壌汚染に対する事業上のリスクを評価することができるとは限らない、という問題点もあった。
【0010】
なお、これらの問題点は、事業上のリスクを評価する用途のみに生じるものではなく、一般家庭等の他の用途の土地におけるリスクを評価する場合にも生じるものである。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、土壌汚染に対するリスクを的確に評価することができる土壌汚染評価支援装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の土壌汚染評価支援装置は、汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力を受け付ける実測値情報受付手段と、前記実測値情報受付手段によって受け付けられた前記実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された前記濃度を用いて、前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行する実行手段と、を備えている。
【0013】
請求項1記載の土壌汚染評価支援装置によれば、実測値情報受付手段により、汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力が受け付けられる。
【0014】
ここで、本発明では、予測手段により、前記実測値情報受付手段によって受け付けられた前記実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度が予測される。
【0015】
そして、本発明では、実行手段により、前記予測手段によって予測された前記濃度を用いて、前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理が実行される。
【0016】
すなわち、本発明では、実測値を用いて汚染物質の濃度を予測しており、これによって実測値を用いることなく予測する場合に比較して、より高精度な予測ができるようにすることに加え、汚染物質の濃度の予測対象とする位置として敷地の境界線の位置を適用しているため、これによって敷地の境界線以外の位置での汚染物質の濃度を予測する場合に比較して、より的確に土壌汚染に対するリスクを評価することができるようにしている。
【0017】
このように、請求項1記載の土壌汚染評価支援装置によれば、汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力を受け付け、受け付けた前記実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測し、予測した前記濃度を用いて前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行しているので、土壌汚染に対するリスクを的確に評価することができる。
【0018】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記汚染物質の種類、前記汚染物質の前記土壌への漏洩位置、および前記汚染物質の前記土壌への漏洩濃度を含む汚染源に関する汚染源情報の入力を受け付ける汚染源情報受付手段と、前記土壌の土質、前記土壌における前記汚染物質の移動経路上に位置する地下水の流速を含む前記土壌を介して前記汚染物質を前記敷地の外に移動させる要因に関する移動要因情報の入力を受け付ける移動要因情報受付手段と、をさらに備え、前記予測手段が、前記実測値情報受付手段によって受け付けられた前記実測値情報、前記汚染源情報受付手段によって受け付けられた前記汚染源情報、および前記移動要因情報受付手段によって受け付けられた前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測してもよい。これにより、より高精度に汚染物質の濃度を予測することができる結果、より的確に土壌汚染に対するリスクを評価することができる。
【0019】
特に、請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記実測値情報受付手段が、前記漏洩位置から前記境界線までの領域における、前記漏洩位置からの距離が異なる複数の位置の前記実測値情報の入力を受け付け、前記予測手段が、前記実測値情報受付手段によって受け付けられた前記複数の位置の実測値情報、前記汚染源情報受付手段によって受け付けられた前記汚染源情報、および前記移動要因情報受付手段によって受け付けられた前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測してもよい。これにより、より高精度に汚染物質の濃度を予測することができる結果、より的確に土壌汚染に対するリスクを評価することができる。
【0020】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記予測手段が、前記実測値情報、前記汚染源情報、および前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度が予め定められた上限値を超える確率を予測し、前記実行手段が、前記予測手段によって予測された前記確率を用いて、前記予め定められた処理を実行してもよい。これにより、より効果的に土壌汚染に対する対策を講じることができる。
【0021】
特に、請求項4に記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、前記予測手段によって予測された前記確率が予め定められた閾値以上である場合に前記土壌の汚染によって生じる対策費用を算出する算出手段をさらに備え、前記実行手段が、前記算出手段によって算出された前記対策費用を用いて、前記予め定められた処理を実行してもよい。これにより、より効果的に土壌汚染に対する対策を講じることができる。
【0022】
なお、請求項5に記載の発明は、前記算出手段が、前記対策費用として、予想最大損失額を算出してもよい。これにより、より効果的に土壌汚染に対する対策を講じることができる。
【0023】
一方、上記目的を達成するために、請求項6記載のプログラムは、コンピュータを、汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された前記濃度を用いて、前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行する実行手段と、として機能させるためのものである。
【0024】
従って、請求項6に記載のプログラムによれば、コンピュータに対して請求項1記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1記載の発明と同様に、土壌汚染に対するリスクを的確に評価することができる。
【0025】
さらに、上記目的を達成するために、請求項7記載のプログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の土壌汚染評価支援装置における予測手段および実行手段として機能させるためのものである。
【0026】
従って、請求項7に記載のプログラムによれば、コンピュータに対して本発明の土壌汚染評価支援装置と同様に作用させることができるので、当該土壌汚染評価支援装置と同様に、土壌汚染に対するリスクを的確に評価することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力を受け付け、受け付けた前記実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測し、予測した前記濃度を用いて前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行しているので、土壌汚染に対するリスクを的確に評価することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置に備えられた二次記憶部の主な記憶内容を示す模式図である。
【図3】実施の形態に係る敷地情報データベースのデータ構造を示す模式図である。
【図4】実施の形態に係る敷地状態情報の説明に供する図であり、敷地状態情報により示される敷地の状態の一例を示す平面図である。
【図5】実施の形態に係るPML算出情報データベースのデータ構造を示す模式図である。
【図6】実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図7】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係る予測値演算処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る初期入力画面の一例を示す概略図である。
【図10】実施の形態に係る第1調査指示画面の一例を示す概略図である。
【図11】実施の形態に係る警告画面の一例を示す概略図である。
【図12】実施の形態に係るGERASの説明に供する図であり、GERASによる予測結果の一例を示すグラフである。
【図13】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる到達時間分布の予測値の一例を示す模式図である。
【図14】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる濃度分布の予測値の一例を示す模式図である。
【図15】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる累積確率分布の一例を示すグラフである。
【図16】実施の形態に係る第2調査指示画面の一例を示す概略図である。
【図17】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる濃度分布の予測値の一例を示す模式図である。
【図18】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる累積確率分布の一例を示すグラフである。
【図19】実施の形態に係る第3調査指示画面の一例を示す概略図である。
【図20】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる濃度分布の予測値の一例を示す模式図である。
【図21】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる累積確率分布の一例を示すグラフである。
【図22】実施の形態に係る予測結果画面の一例を示す概略図である。
【図23】実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムにより得られる累積確率分布の一例を示すグラフである。
【図24】図23に示した累積確率分布の評価法の説明に供するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10の構成を説明する。
【0031】
同図に示すように、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10は、土壌汚染評価支援装置10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)10Aと、CPU10Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)10Bと、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)10Cと、各種情報を記憶するために用いられる記憶手段として機能する二次記憶部(ここでは、ハードディスク装置)10Dと、各種情報を入力するために用いられるキーボード10Eおよびマウス10Fと、各種情報を表示するために用いられるディスプレイ10Gとが備えられており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。
【0032】
従って、CPU10Aは、RAM10B、ROM10C、および二次記憶部10Dに対するアクセス、キーボード10Eおよびマウス10Fを介した各種入力情報の取得、ディスプレイ10Gに対する各種情報の表示を各々行うことができる。なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10は、汎用のパーソナル・コンピュータにより構成されているが、これに限らず、例えば、専用の装置として構成してもよい。
【0033】
一方、図2には、土壌汚染評価支援装置10に備えられた二次記憶部10Dの主な記憶内容が模式的に示されている。
【0034】
同図に示すように、二次記憶部10Dには、各種データベースを記憶するためのデータベース領域DBと、土壌汚染評価支援装置10の各部を制御するための制御プログラムや各種処理を行うためのアプリケーション・プログラム等を記憶するためのプログラム領域PGと、が設けられている。また、データベース領域DBには、敷地情報データベースDB1およびPML算出情報データベースDB2が含まれる。
【0035】
本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10は、複数の敷地に関して土壌汚染の評価を支援するものとされており、本実施の形態に係る敷地情報データベースDB1は、一例として図3に模式的に示されるように、評価対象としている敷地毎に、ID(Identification)情報および敷地状態情報が記憶されるように構成されている。
【0036】
なお、上記ID情報は、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10で評価支援の対象とする敷地を識別するために当該敷地毎に異なるものとして予め付与された情報である。また、上記敷地状態情報は、一例として図4に模式的に示されるように、対応する敷地の形状,寸法、当該敷地内に存在する建物等の構造物の形状,寸法,位置、当該敷地に隣接する土地の形状,寸法,位置,用途等を示す情報である。
【0037】
ところで、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、一般に地震発生時の被害の程度を示す指標として広く用いられているPML(Probable Maximum Loss、予想最大損失額)を適用して土壌汚染による被害の程度を提示するものとされており、本実施の形態に係るPML算出情報データベースDB2は、一例として図5に模式的に示されるように、評価対象とされている敷地毎に、ID情報およびPML算出基礎情報が記憶されるように構成されている。
【0038】
なお、上記ID情報は、敷地情報データベースDB1のID情報と同一の情報であり、上記PML算出基礎情報は、PMLを算出する際に必要となる情報であり、本実施の形態では、生産損失情報、調査費用情報、対策費用情報、および損害賠償情報の4種類の情報が含まれる。
【0039】
ここで、上記生産損失情報は、土壌汚染に対処するために、対応する敷地内で生産される生産物の生産が中断されることによる損失額を示す情報であり、上記調査費用情報は、対応する敷地内での土壌汚染の状況の調査にかかる費用を示す情報であり、上記対策費用情報は、汚染土壌の除去、封じ込め等といった対策にかかる費用を示す情報であり、さらに、上記損害賠償情報は、不法行為の責任による損害賠償にかかる費用を示す情報である。なお、これらの費用は、汚染物質の種類や、対象とする土壌の土質および量等の各種パラメータによって決定されるため、これらのパラメータの各種組み合わせに対応する情報としてPML算出情報データベースDB2に記憶されている。
【0040】
次に、図6を参照して、土壌汚染評価支援装置10の機能的な構成について説明する。なお、図6は、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【0041】
同図に示すように、本形態に係る土壌汚染評価支援装置10は、実測値情報受付部12、汚染源情報受付部14、および移動要因情報受付部16の3種類の受付部と、予測部18と、実行部20とが備えられている。
【0042】
実測値情報受付部12は、汚染源から土壌への汚染物質(以下、「評価対象汚染物質」という。)の漏洩位置から、汚染源が設けられた敷地の境界線までの領域の予め定められた位置(以下、「実測位置」という。)における評価対象汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力を受け付ける。
【0043】
なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記評価対象汚染物質の濃度の実測値として、実測位置における土壌中の評価対象汚染物質を土壌の10倍の量の水で溶出させたときの検液中の濃度を1L(リットル)当たりの値に換算したものを適用している。
【0044】
本実施の形態では、この際に用いる土壌として、実測位置直下の地下水流の上端部付近の土壌を用いているが、これに限らず、例えば、実測位置の地表面における土壌を用いる形態、当該地表面から予め定められた深さの土壌を用いる形態等、土壌汚染評価支援装置10の用途や要求される評価の精度等に応じて決定すればよい。
【0045】
また、汚染源情報受付部14は、評価対象汚染物質の種類、上記漏洩位置、および評価対象汚染物質の汚染源から土壌への漏洩濃度を含む汚染源に関する汚染源情報の入力を受け付ける。
【0046】
なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記評価対象汚染物質の漏洩濃度としても、上記実測位置における評価対象汚染物質の濃度と同様に、上記漏洩位置における土壌中の評価対象汚染物質を土壌の10倍の量の水で溶出させたときの検液中の濃度を1L当たりの値に換算したものを適用している。
【0047】
さらに、移動要因情報受付部16は、土壌の土質、土壌における評価対象汚染物質の移動経路上に位置する地下水の流速を含む、土壌を介して評価対象汚染物質を敷地の外に移動させる要因に関する移動要因情報の入力を受け付ける。
【0048】
一方、予測部18は、実測値情報受付部12によって受け付けられた実測値情報、汚染源情報受付部14によって受け付けられた汚染源情報、および移動要因情報受付部16によって受け付けられた移動要因情報に基づいて、予測対象とする時点の上記境界線の位置における評価対象汚染物質の濃度を予測する。
【0049】
そして、実行部20は、予測部18によって予測された濃度を用いて、土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行する。
【0050】
なお、土壌汚染評価支援装置10におけるキーボード10Eが実測値情報受付部12、汚染源情報受付部14、および移動要因情報受付部16として機能し、CPU10Aが予測部18および実行部20として機能する。
【0051】
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10の作用を説明する。なお、図7は、土壌汚染評価支援装置10のキーボード10E、マウス10F等の受付手段を介して実行指示が受け付けられた際に、CPU10Aにより実行される土壌汚染評価支援プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは二次記憶部10Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、敷地情報データベースDB1およびPML算出情報データベースDB2が予め図3および図5に示されるように構築されていると共に、評価対象とする敷地(以下、「評価対象敷地」という。)のID情報がユーザによって予め指定されている場合について説明する。また、ここでは、評価対象汚染物質の漏洩濃度がユーザによって予め実測されている場合について説明する。
【0052】
同図のステップ100では、指定されたID情報に対応する敷地状態情報を敷地情報データベースDB1から読み出し、次のステップ102では、読み出した敷地状態情報を用いて予め定められた初期入力画面を表示するようにディスプレイ10Gを制御し、次のステップ104では、予め定められた情報が受け付けられるまで待機する。
【0053】
図9には、上記ステップ102の処理によってディスプレイ10Gにより表示される初期入力画面の一例が示されている。
【0054】
同図に示すように、本実施の形態に係る初期入力画面では、上記ステップ100の処理によって読み出した敷地状態情報により示される評価対象敷地の概略的な平面図が表示されると共に、評価対象汚染物質の名称、漏洩位置、漏洩濃度の範囲、漏洩開始時からの経過期間、および評価対象とする土壌(以下、「評価対象土壌」という。)の土質の5種類の情報の入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域が表示される。
【0055】
同図に示す初期入力画面がディスプレイ10Gに表示されると、ユーザは、評価対象汚染物質の名称、漏洩位置、漏洩濃度の範囲、漏洩開始時からの経過期間、および評価対象土壌の土質を対応する入力領域にキーボード10Eを介して入力した後、当該初期入力画面の下端近傍に表示されている終了ボタンをマウス10Fにより指定(ポインティング指定)する。なお、この際、ユーザは、上記漏洩位置として、当該漏洩位置の敷地状態情報において採用されている座標系における平面位置座標を対応する入力領域に直接入力してもよいし、ディスプレイ10Gに表示されている評価対象敷地の平面図における評価対象汚染物質の漏洩位置をマウス10Fによって指定することにより入力してもよい。
【0056】
ここで、本実施の形態では、上記漏洩濃度に幅を持たせているが、これは、本実施の形態では上記漏洩濃度として評価対象汚染物質の漏洩位置における土壌から実測した値を適用しているため、この際の測定誤差を許容するために行うものである。
【0057】
本実施の形態では、漏洩位置の1箇所から採取した土壌を用いて評価対象汚染物質の濃度を実測し、当該濃度に対して上記測定誤差を含めた最小の範囲を、上記漏洩濃度の範囲として適用しているが、これに限らず、例えば、漏洩位置における複数の箇所から採取した土壌を用いて当該複数の箇所における評価対象汚染物質の濃度を実測し、これによって得られた複数の濃度の最小値から最大値までの範囲を適用する形態や、当該最小値から最大値までの範囲に対して上記測定誤差を含めた範囲を適用する形態等としてもよい。
【0058】
ユーザによって終了ボタンが指定されると、上記ステップ104が肯定判定となってステップ106に移行し、予め定められた第1調査指示画面を表示するようにディスプレイ10Gを制御した後、次のステップ108にて、予め定められた情報が受け付けられるまで待機する。
【0059】
図10には、上記ステップ106の処理によってディスプレイ10Gにより表示される第1調査指示画面の一例が示されている。
【0060】
同図に示すように、本実施の形態に係る第1調査指示画面では、上記ステップ100の処理によって読み出した敷地状態情報により示される評価対象敷地の概略的な平面図および断面図が表示されると共に、評価対象敷地の境界線上における予め定められた複数箇所(以下、「第1実測対象箇所」という。)における地下水流の方向、地下水流の深さ、地下水流の流速、および評価対象汚染物質の濃度の4種類の情報の調査および入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域とが表示される。
【0061】
なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記断面図として、ユーザによって入力された評価対象汚染物質の漏洩位置を中心として予め定められた方向(本実施の形態では、東西方向)に延設された切断線(図10に示す例では、A−A’切断線)による断面図が表示される。また、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記第1実測対象箇所として、評価対象敷地の境界線と上記切断線との交点位置の2箇所、および評価対象敷地の境界線と評価対象汚染物質の漏洩位置を中心として上記切断線に平面方向に直交する方向(本実施の形態では、南北方向)に延設された直線との交点位置の2箇所の、合計4箇所を適用している。
【0062】
同図に示す第1調査指示画面がディスプレイ10Gに表示されると、ユーザは、表示された第1実測対象箇所における上記4種類の情報を、当該第1実測対象箇所に対するボーリング調査により取得する。なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記4種類の情報における評価対象汚染物質の濃度を、地下水流の位置においてサンプリングされた土壌を用いて実測する。そして、ユーザは、取得した各第1実測対象箇所の各情報を上記第1調査指示画面における対応する入力領域にキーボード10Eを介して入力した後、当該第1調査指示画面の下端近傍に表示されている終了ボタンをマウス10Fにより指定する。これに応じて、上記ステップ108が肯定判定となってステップ110に移行する。
【0063】
ステップ110では、上記第1調査指示画面において入力された評価対象汚染物質の濃度に予め定められた閾値を超えるものが存在するか否かを判定することにより、第1実測対象箇所の少なくとも1箇所において発災が生じているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ112に移行する。なお、本実施の形態では、上記発災の定義を、評価対象敷地の境界線において評価対象汚染物質の濃度が環境基準値を超えることとしている。従って、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記予め定められた閾値として、評価対象汚染物質の種類に対応する環境基準値を適用しており、この値は二次記憶部10D等の記憶手段に予め記憶している。
【0064】
ステップ112では、発災が生じている第1実測対象箇所に対応するPML算出基礎情報をPML算出情報データベースDB2から読み出し、読み出したPML算出基礎情報を用いてPMLを算出する。なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記PMLとして、読み出したPML算出基礎情報を用いて、生産損失情報により示される評価対象敷地内で生産される生産物の生産が中断されることによる損失額、調査費用情報により示される評価対象敷地内での土壌汚染の状況の調査にかかる費用、対策費用情報により示される汚染土壌の対策にかかる費用、および損害賠償情報により示される損害賠償にかかる費用の合算値を算出している。
【0065】
次のステップ114では、上記ステップ112の処理によって算出したPMLを用いて予め定められた警告画面を表示するようにディスプレイ10Gを制御し、次のステップ116では、予め定められた情報が受け付けられるまで待機する。
【0066】
図11には、上記ステップ114の処理によってディスプレイ10Gにより表示される警告画面の一例が示されている。
【0067】
同図に示すように、本実施の形態に係る警告画面では、発災している位置を示す情報が表示されると共に、上記ステップ112の処理によって算出したPMLが表示される。なお、同図に示す例では、第1調査指示画面において入力された地下水流の方向および地下水流の深さを示す情報に基づいて、評価対象敷地の地下における地下水流の流れる方向および位置を導出して模式的に表示している。
【0068】
同図に示す警告画面がディスプレイ10Gに表示されると、ユーザは、表示内容を確認した後に、当該警告画面の下端近傍に表示されている終了ボタンをマウス10Fにより指定する。これに応じて、上記ステップ116が肯定判定となって後述するステップ136に移行する。
【0069】
一方、上記ステップ110において否定判定となった場合はステップ118に移行し、第1調査指示画面において入力された地下水流の方向および地下水流の深さを示す情報に基づいて、評価対象敷地の地下における地下水流の流れる方向を導出し、当該方向に延設した評価対象汚染物質の漏洩位置を通る直線と評価対象敷地の境界線との交点のうち、地下水流の下流側の交点を、評価対象汚染物質の濃度の予測対象とする位置(以下、「予測対象位置」という。)として決定する。
【0070】
次のステップ119では、以上の処理によって得られた各種値に基づいて、初期入力画面においてユーザにより入力された評価対象汚染物質の漏洩位置における濃度(漏洩濃度)の範囲内(以下、「予測対象濃度範囲内」という。)で、かつ第1調査指示画面において入力された地下水流の流速に基づいて得られる予測対象位置における地下水流の流速の範囲内(以下、「予測対象流速範囲内」という。)における予測対象位置において評価対象汚染物質により発災に至る経過期間(以下、「到達時間分布」という。)を予測し、二次記憶部10Dの所定領域に記憶する。
【0071】
なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記到達時間分布の予測を、独立行政法人産業技術総合研究所の地圏資源環境研究部門より提供されているGERAS(Geo-environmental Risk Assessment System:地圏環境リスク評価システム)を利用して行う。
【0072】
GERASでは、一例として図12に示されるように、汚染物質の種類、汚染物質の漏洩位置における濃度、当該漏洩位置から予測対象位置に至る領域の地下水流の流速、当該地下水流の深さ、上記漏洩位置から予測対象位置までの距離、評価対象汚染物質の漏洩開始時からの経過期間、評価対象とする土壌の土質等の各種パラメータに基づいて、予測対象位置における汚染物質の土壌への漏洩開始時からの経過期間(暴露年数)毎の汚染物質の濃度の予測値を得ることができる。
【0073】
そこで、本ステップ119では、以上の処理によって得られる評価対象汚染物質の種類、地下水流の深さ、評価対象汚染物質の漏洩位置から予測対象位置までの距離、評価対象汚染物質の漏洩開始時からの経過期間、および評価対象とする土壌の土質を固定して、評価対象汚染物質の漏洩位置における濃度として上記予測対象濃度範囲内を予め定められた刻み幅で刻むと共に、上記地下水流の流速として上記予測対象流速範囲内を予め定められた刻み幅で刻んだときの予測対象位置における評価対象汚染物質の濃度の予測値が発災とされる値に達する期間を上記到達時間分布の予測値として算出し、二次記憶部10Dの所定領域に記憶する。
【0074】
図13には、以上の処理によって得られた到達時間分布の予測値の一例が模式的に示されている。同図に示す例では、例えば、評価対象汚染物質の漏洩位置における濃度(同図では、「汚染源の濃度」と表記。)が3.0mg/Lで、かつ地下水流の流速が60m/年である場合の予測対象位置における発災に至る期間の予測値が1.47年であることを示している。
【0075】
次のステップ120では、予測値演算処理ルーチン・プログラムを実行する。以下、図8を参照して、予測値演算処理ルーチン・プログラムについて説明する。
【0076】
同図のステップ200では、以上の処理によって得られた各種値に基づいて、上記予測対象濃度範囲内で、かつ上記予測対象流速範囲内の、評価対象汚染物質の土壌への漏洩開始時から評価対象時点までの経過期間における実測位置での評価対象汚染物質の濃度(以下、「濃度分布」という。)を予測し、二次記憶部10Dの所定領域に記憶する。
【0077】
なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援装置10では、上記濃度分布の予測もGERASを利用して行う。
【0078】
すなわち、本ステップ200では、以上の処理によって得られる評価対象汚染物質の種類、地下水流の深さ、評価対象汚染物質の漏洩位置から実測位置までの距離、評価対象汚染物質の漏洩開始時からの経過期間、および評価対象とする土壌の土質を固定して、評価対象汚染物質の漏洩位置における濃度として上記予測対象濃度範囲内を予め定められた刻み幅で刻むと共に、上記地下水流の流速として上記予測対象流速範囲内を予め定められた刻み幅で刻んだときの予測対象位置における、上記漏洩開始時から評価対象時点までの経過期間における評価対象汚染物質の濃度の予測値を上記濃度分布として算出し、二次記憶部10Dの所定領域に記憶する。
【0079】
図14には、以上の処理によって得られた、評価対象汚染物質の漏洩位置の濃度毎で、かつ地下水流の流速毎の実測位置における濃度分布の予測値の一例が模式的に示されている。同図に示す例では、例えば、評価対象汚染物質の漏洩位置における濃度(同図では、「汚染源の濃度」と表記。)が3.0mg/Lで、かつ地下水流の流速が60m/年である場合の実測位置における汚染物質の濃度の予測値が0.280mg/Lであることを示している。
【0080】
次のステップ204では、実測位置における評価対象汚染物質の濃度の実測値に基づいて、上記ステップ200の処理によって得られた濃度分布の予測値における比較的精度の高い範囲を、以降の処理において適用する処理対象範囲として特定する。
【0081】
すなわち、上記濃度分布の予測値において、実測位置に対する実測によって得られた評価対象汚染物質の濃度の予め定められた誤差(本実施の形態では、±50%)を含めた範囲内(図14に示す例では、マスク表示されている範囲内)となっている予測値の範囲を上記処理対象範囲として特定する。
【0082】
次のステップ206では、上記ステップ204の処理によって特定された処理対象範囲に対応する、上記ステップ119の処理によって得られた上記到達時間分布の予測値に基づいて、到達時間に対する累積確率の分布(以下、「累積確率分布」という。)を次のように算出し、二次記憶部10Dの所定領域に記憶する。
【0083】
すなわち、上記ステップ119の処理によって得られた上記到達時間分布の予測値のうち、上記処理対象範囲に対応する範囲の予測値を二次記憶部10Dから読み出す一方、上記処理対象範囲の予測値の全体数に対する1予測値当たりの割合(本実施の形態では、上記処理対象範囲の予測値の全体数の逆数)を算出する。
【0084】
そして、読み出した到達時間の短い順に、当該到達時間に対応する累積確率として上記1予測値当たりの割合を加算していき、これによって得られる各到達時間毎の累積確率を上記累積確率分布として、二次記憶部10Dの所定領域に記憶する。
【0085】
例えば、処理対象範囲が図14に示される濃度分布の予測値におけるマスク表示されている領域であり、到達時間分布の予測値が図13に示されるものである場合、処理対象範囲の予測値の全体数が142であるので、上記1予測値当たりの割合は約0.00704(=1/142)となる。また、図13に示される到達時間分布のうち、上記処理対象範囲に対応する範囲の到達時間における最も短い到達時間は2.22年であり、2番目に短い到達時間は2.29年であるので、2.22年に対応する累積確率は約0.00704となり、2.29年に対応する累積確率は約0.01408(=2/142)となり、最も長い到達時間の24.50年に対応する累積確率は1.0(=142/142)になる。
【0086】
なお、図15には、上記ステップ206の処理によって得られた累積確率分布の一例が示されている。なお、同図では、上記到達時間を「到達年」と表記している。
【0087】
次のステップ208では、上記ステップ206において算出した累積確率分布が、今回の土壌汚染評価支援プログラムの実行が開始されてから最初に算出したものか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ210に移行して、前回までに算出した累積確率分布に直前のステップ206の処理によって算出した累積確率分布を統合し、これによって得られた累積確率分布を二次記憶部10Dの所定領域に記憶した後、本予測値演算処理ルーチン・プログラムを終了する。
【0088】
本実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムでは、上記ステップ210の処理による累積確率分布の統合を、今回の土壌汚染評価支援プログラムの実行が開始されてから最初に算出したものから直前のステップ206の処理によって算出したものまでの各々の同一到達時間の累積確率の平均値を算出することにより行う。なお、上記ステップ208において肯定判定となった場合は、上記ステップ210の処理を実行することなく本予測値演算処理ルーチン・プログラムを終了する。
【0089】
予測値演算処理ルーチン・プログラムが終了すると、図7に示す土壌汚染評価支援プログラム(メイン・プログラム)のステップ122に移行する。
【0090】
ステップ122では、予測値演算処理ルーチン・プログラムによる予測が収束したか否かを判定し、肯定判定となった場合は後述するステップ130に移行する一方、否定判定となった場合はステップ124に移行する。なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムでは、上記ステップ122における収束したか否かの判定を、直前の予測値演算処理ルーチン・プログラムのステップ204の処理において特定された処理対象範囲に含まれる濃度の予測値の数が予め定められた数(本実施の形態では、2)以下となったか否かを判定することにより行っているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0091】
ステップ124では、評価対象汚染物質の漏洩位置と予測対象位置との間の予め定められた位置(例えば、評価対象汚染物質が設けられている建物の外壁の位置)を次に実測すべき箇所として決定し、次のステップ126では、予め定められた第i調査指示画面を表示するようにディスプレイ10Gを制御し、次のステップ128では、予め定められた情報が受け付けられるまで待機する。なお、上記第i調査指示画面における「i」は、今回の土壌汚染評価支援プログラムの実行が開始されてからの調査指示画面の表示回数を示す値であり、最初に本ステップ126の処理が実行される際には、上記ステップ106の処理によって調査指示画面の表示が一度行われているため、上記第i調査指示画面は第2調査指示画面となり、次回、本ステップ126の処理が実行される際には第3調査指示画面となる。
【0092】
図16には、上記ステップ126の処理によってディスプレイ10Gにより表示される第2調査指示画面の一例が示されている。
【0093】
同図に示すように、本実施の形態に係る第2調査指示画面では、上記ステップ106の処理によって表示したものと同様の評価対象敷地の概略的な平面図および断面図が表示されると共に、上記ステップ124の処理によって決定した実測すべき箇所(以下、「第2実測対象箇所」という。)における地下水流の深さ、地下水流の流速、および評価対象汚染物質の濃度の3種類の情報の調査および入力を促すメッセージと、これらの情報の入力領域とが表示される。
【0094】
同図に示す第2調査指示画面がディスプレイ10Gに表示されると、ユーザは、表示された第2実測対象箇所における上記3種類の情報を、当該第2実測対象箇所に対するボーリング調査により、上記第1実測対象箇所に対する実測と同様に取得する。そして、ユーザは、取得した第2実測対象箇所の各情報を上記第2調査指示画面における対応する入力領域にキーボード10Eを介して入力した後、当該第2調査指示画面の下端近傍に表示されている終了ボタンをマウス10Fにより指定する。これに応じて、上記ステップ128が肯定判定となってステップ120に戻る。
【0095】
これ以降、上記ステップ120〜ステップ128の処理が上記ステップ122において肯定判定となるまで繰り返し実行される。なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムでは、当該繰り返し実行する際に、上記ステップ124において、評価対象汚染物質の漏洩位置と予測対象位置との間で、かつそれまでに実測していない箇所を次に実測すべき箇所として決定するようにする。また、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムでは、上記繰り返し実行する際に、最初に上記ステップ200の処理を実行する際には上記実測位置として予測対象位置を適用し、2回目以降は直前のステップ124の処理によって決定した実測位置を適用する。
【0096】
図17には、第2調査指示画面において入力された値に基づいて得られた、評価対象汚染物質の漏洩位置の濃度毎で、かつ地下水流の流速毎の第2実測対象箇所における濃度分布の予測値が模式的に示されている。なお、同図におけるマスク表示されている範囲は、第2実測対象箇所における評価対象汚染物質の濃度の実測値に基づいて上記ステップ204の処理によって特定された上記処理対象範囲である。
【0097】
そして、図18には、図17に示した濃度分布の予測値を用いた場合の上記ステップ210の処理によって得られて記憶される累積確率分布の一例が示されている。
【0098】
一方、図19には、上記ステップ124の処理により次に実測すべき位置(第3実測対象箇所)を、第2実測対象箇所と予測対象位置との中間の位置とした場合の、ステップ126の処理によってディスプレイ10Gにより表示される第3調査指示画面の一例が示されている。
【0099】
同図に示す第3調査指示画面がディスプレイ10Gに表示されると、ユーザは、第2調査指示画面が表示された場合と同様に、表示された第3実測対象箇所における上記3種類の情報を、当該第3実測対象箇所に対するボーリング調査により、上記第1実測対象箇所に対する実測と同様に取得する。そして、ユーザは、取得した第3実測対象箇所の各情報を上記第3調査指示画面における対応する入力領域にキーボード10Eを介して入力した後、当該第3調査指示画面の下端近傍に表示されている終了ボタンをマウス10Fにより指定することになる。
【0100】
図20には、第3調査指示画面において入力された値に基づいて得られた、評価対象汚染物質の漏洩位置の濃度毎で、かつ地下水流の流速毎の第3実測対象箇所における濃度分布の予測値が模式的に示されている。なお、同図におけるマスク表示されている範囲が、第3実測対象箇所における評価対象汚染物質の濃度の実測値に基づいて上記ステップ204の処理によって特定された上記処理対象範囲であることは言うまでもない。
【0101】
そして、図21には、図20に示した濃度分布の予測値を用いた場合の上記ステップ210の処理によって得られて記憶される累積確率分布の一例が示されている。
【0102】
なお、図20に示される濃度分布の場合、ステップ204の処理において特定された処理対象範囲に含まれる濃度の予測値(同図のマスク表示されている範囲)の数が予め定められた数(本実施の形態では、2)以下であるため、上記ステップ122が肯定判定となってステップ130に移行することになる。
【0103】
ステップ130では、予測対象位置に対応するPML算出基礎情報をPML算出情報データベースDB2から読み出し、読み出したPML算出基礎情報を用いて、上記ステップ112の処理と同様にPMLを算出する。
【0104】
次のステップ132では、上記ステップ130の処理によって算出したPMLを用いて予め定められた予測結果画面を表示するようにディスプレイ10Gを制御し、次のステップ134では、予め定められた情報が受け付けられるまで待機する。
【0105】
図22には、上記ステップ132の処理によってディスプレイ10Gにより表示される予測結果画面の一例が示されている。
【0106】
同図に示すように、本実施の形態に係る予測結果画面では、最も早く発災すると考えられる位置(予測対象位置)を示す情報、発災すると予想される時期、上記ステップ130の処理によって算出したPML、および上記ステップ120の処理によって最終的に得られた累積確率分布を示すグラフが表示される。
【0107】
同図に示す予測結果画面がディスプレイ10Gに表示されると、ユーザは、表示内容を確認した後に、当該予測結果画面の下端近傍に表示されている終了ボタンをマウス10Fにより指定する。これに応じて、上記ステップ134が肯定判定となってステップ136に移行する。
【0108】
ステップ136では、本土壌汚染評価支援プログラムを終了するタイミングとして予め定められたタイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ102に戻る一方、肯定判定となった時点で本土壌汚染評価支援プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムでは、上記予め定められたタイミングとして、本土壌汚染評価支援プログラムの終了を指示する指示入力が、キーボード10E等の受付手段を介して受け付けられたタイミングを適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0109】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力を受け付け、受け付けた前記実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測し、予測した前記濃度を用いて前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理(本実施の形態では、予測結果画面を表示する処理)を実行しているので、土壌汚染に対するリスクを的確に評価することができる。
【0110】
また、本実施の形態では、前記汚染物質の種類、前記汚染物質の前記土壌への漏洩位置、および前記汚染物質の前記土壌への漏洩濃度を含む汚染源に関する汚染源情報の入力を受け付けると共に、前記土壌の土質、前記土壌における前記汚染物質の移動経路上に位置する地下水の流速を含む前記土壌を介して前記汚染物質を前記敷地の外に移動させる要因に関する移動要因情報の入力を受け付け、前記実測値情報、前記汚染源情報、および前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測しているので、より高精度に汚染物質の濃度を予測することができる結果、より的確に土壌汚染に対するリスクを評価することができる。
【0111】
特に、本実施の形態では、前記漏洩位置から前記境界線までの領域における、前記漏洩位置からの距離が異なる複数の位置の前記実測値情報の入力を受け付け、前記複数の位置の実測値情報、前記汚染源情報、および前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測しているので、より高精度に汚染物質の濃度を予測することができる結果、より的確に土壌汚染に対するリスクを評価することができる。
【0112】
また、本実施の形態では、前記実測値情報、前記汚染源情報、および前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度が予め定められた上限値(本実施の形態では、環境基準値)を超える確率を予測し、予測した前記確率を用いて、前記予め定められた処理を実行しているので、より効果的に土壌汚染に対する対策を講じることができる。
【0113】
特に、本実施の形態では、前記土壌の汚染によって生じる対策費用(本実施の形態では、PML)を算出し、算出した前記対策費用を用いて、前記予め定められた処理を実行しているので、より効果的に土壌汚染に対する対策を講じることができる。
【0114】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0115】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0116】
例えば、上記実施の形態では、評価対象汚染物質の漏洩位置における濃度として実測された濃度を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、評価対象敷地における各種設備や建物の設計仕様や環境条件等に基づいて推定した濃度を適用する形態としてもよい。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0117】
また、上記実施の形態では、GERASを用いて評価対象汚染物質の濃度や、発災に至る到達時間を予測する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の予測ルールを用いて予測する形態としてもよい。
【0118】
例えば、単純な一次元モデルを対象とする予測ルールは、一般に、汚染物質の濃度をD(L,T)として次の(1)式で示される関数で表現できる。
【0119】
【数1】

ここで、Lは汚染源から予測対象位置までの距離であり、Tは漏洩開始時からの経過時間であり、Sは土壌の土質,土壌の間隙率等の土壌関係情報であり、Cは汚染物質の種類,漏洩位置における汚染物質の濃度等の汚染源情報であり、Wは地下水流の流速,帯水層上端深さ等の地下水流関係情報である。なお、上記土壌関係情報および上記地下水流関係情報は、汚染物質を土壌を介して移動させる要因に関する移動要因情報に含まれる。
【0120】
従って、(1)式によって示される予測式や変換テーブル等を用いて、評価対象汚染物質の濃度や、発災に至る到達時間を予測する形態としてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、前記実測値情報、前記汚染源情報、および前記移動要因情報の3種類の情報を用いて評価対象汚染物質の濃度を予測する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら3種類の情報の何れか1つ、または2つの組み合わせに基づいて評価対象汚染物質の濃度を予測する形態としてもよい。この場合、評価対象汚染物質の濃度の予測精度は低下するものの、当該濃度の予測速度は大幅に向上させることができる。
【0122】
例えば、実測値情報のみを用いて予測する場合の形態例としては、実測した予測対象位置における評価対象汚染物質の濃度と、当該実測を行った時点の漏洩開始時からの経過期間とを用いて、当該経過期間に対する、上記実測を行った時点から予測対象とする時点までの経過期間の割合に実測した濃度を乗算して得られる値を上記予測対象とする時点の評価対象汚染物質の濃度の予測値とする形態や、当該値に対して経験的に予め定められた定数を乗算して得られる値を予測値とする形態等を例示することができる。
【0123】
また、上記実施の形態では、本発明の予め定められた処理として、予測結果画面(図22参照。)を表示する処理を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予測した汚染物質の濃度を表示する処理、当該濃度が予め定められた閾値以上となった場合に警告を発する処理等といった、予測した汚染物質の濃度を用いて土壌の汚染に関する評価を支援することのできる他の処理を適用する形態としてもよい。
【0124】
また、この場合、一例として図23および図24に示されるように、予測値演算処理ルーチン・プログラムによって得られた累積確率分布を用いて、現時点より予め定められた期間(同図に示す例では、1年)経過した時点で累積確率が予め定められた閾値(同図に示す例では、0.002)を超える場合に発災しているものとして、その旨を表示する形態としてもよい。この際、上記実施の形態と同様のPMLを算出して表示してもよい。
【0125】
また、上記実施の形態では、予測値演算処理ルーチン・プログラムのステップ210の処理による累積確率分布の統合を今回の土壌汚染評価支援プログラムの実行が開始されてから最初に算出したものから直前のステップ206の処理によって算出したものまでの各々の同一到達時間の累積確率の平均値を算出することにより行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、直前のステップ206の処理によって算出した累積確率のみに予め定められた重み付け値を乗算して同様の平均値を算出することにより上記統合を行う形態等としてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、土壌汚染評価支援プログラムのステップ122の処理による予測が収束したか否かの判定を、直前に特定された処理対象範囲に含まれる濃度の予測値の数が予め定められた数以下となったか否かを判定することにより行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予測値演算処理ルーチン・プログラムの実行回数が予め定められた回数に達したか否かを判定することにより行う形態や、累積確率分布の統合前後の変化量が予め定められた量以下であったか否かを判定することにより行う形態等としてもよい。
【0127】
また、上記実施の形態では、本発明をソフトウェアの処理によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハードウェア構成により実現する形態や、ソフトウェアおよびハードウェア構成の組み合わせで本発明を実現する形態としてもよい。なお、本発明をハードウェア構成により実現する場合の形態例としては、図6に示される各機能ブロックと同様の処理を実行する機能素子を作成して適用する形態を例示することができる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0128】
また、上記実施の形態では、PMLとして、評価対象敷地内で生産される生産物の生産が中断されることによる損失額、評価対象敷地内での土壌汚染の状況の調査にかかる費用、汚染土壌の対策にかかる費用、および損害賠償にかかる費用の合算値を算出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、これらの1つ、または2つおよび3つの組み合わせの合算値をPMLとして適用する形態としてもよい。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0129】
また、上記実施の形態では、本発明を汚染源が一箇所のみ存在する場合に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、汚染源が複数箇所存在する場合に本発明を適用する形態としてもよい。この場合の形態例としては、各汚染源で個別に上記実施の形態に係る土壌汚染評価支援プログラムと同様の処理を実行し、これによって得られた汚染源毎のPMLが最大となるものを表示する形態等を例示することができる。
【0130】
また、上記実施の形態では、評価対象汚染物質の濃度の定義として、土壌中の評価対象汚染物質を土壌の10倍の量の水で溶出させたときの検液中の濃度を1L当たりの値に換算したものとの定義を適用しているが、これに限らず、土壌中に存在する物質の他の濃度の定義を適用してもよいことは言うまでもない。
【0131】
その他、上記実施の形態で説明した土壌汚染評価支援装置10の構成(図1〜図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な構成要素を削除したり、新たな構成要素を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0132】
また、上記実施の形態で示した土壌汚染評価支援プログラムおよび予測値演算処理ルーチン・プログラムの処理の流れ(図7〜図8参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な処理ステップを削除したり、新たな処理ステップを追加したり、処理ステップの順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0133】
また、上記実施の形態で示した各種データベースの構成(図3〜図5参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、一部の情報を削除したり、新たな情報を追加したり、記憶位置を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0134】
さらに、上記実施の形態で示した各種表示画面(図9〜図11,図16,図19,図22)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、表示内容を変更してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0135】
10 土壌汚染評価支援装置
10A CPU(予測手段,実行手段,算出手段)
10D 二次記憶部
10E キーボード(実測値情報受付手段,汚染源情報受付手段,移動要因情報受付手段)
10F マウス
10G ディスプレイ
12 実測値情報受付部(実測値情報受付手段)
14 汚染源情報受付部(汚染源情報受付手段)
16 移動要因情報受付部(移動要因情報受付手段)
18 予測部(予測手段)
20 実行部(実行手段)
DB1 敷地情報データベース
DB2 PML算出情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報の入力を受け付ける実測値情報受付手段と、
前記実測値情報受付手段によって受け付けられた前記実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された前記濃度を用いて、前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行する実行手段と、
を備えた土壌汚染評価支援装置。
【請求項2】
前記汚染物質の種類、前記汚染物質の前記土壌への漏洩位置、および前記汚染物質の前記土壌への漏洩濃度を含む汚染源に関する汚染源情報の入力を受け付ける汚染源情報受付手段と、
前記土壌の土質、前記土壌における前記汚染物質の移動経路上に位置する地下水の流速を含む前記土壌を介して前記汚染物質を前記敷地の外に移動させる要因に関する移動要因情報の入力を受け付ける移動要因情報受付手段と、
をさらに備え、
前記予測手段は、前記実測値情報受付手段によって受け付けられた前記実測値情報、前記汚染源情報受付手段によって受け付けられた前記汚染源情報、および前記移動要因情報受付手段によって受け付けられた前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測する
請求項1記載の土壌汚染評価支援装置。
【請求項3】
前記実測値情報受付手段は、前記漏洩位置から前記境界線までの領域における、前記漏洩位置からの距離が異なる複数の位置の前記実測値情報の入力を受け付け、
前記予測手段は、前記実測値情報受付手段によって受け付けられた前記複数の位置の実測値情報、前記汚染源情報受付手段によって受け付けられた前記汚染源情報、および前記移動要因情報受付手段によって受け付けられた前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測する
請求項2記載の土壌汚染評価支援装置。
【請求項4】
前記予測手段は、前記実測値情報、前記汚染源情報、および前記移動要因情報に基づいて、前記予測対象とする時点の前記境界線の位置における前記汚染物質の濃度が予め定められた上限値を超える確率を予測し、
前記実行手段は、前記予測手段によって予測された前記確率を用いて、前記予め定められた処理を実行する
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の土壌汚染評価支援装置。
【請求項5】
前記予測手段によって予測された前記確率が予め定められた閾値以上である場合に前記土壌の汚染によって生じる対策費用を算出する算出手段をさらに備え、
前記実行手段は、前記算出手段によって算出された前記対策費用を用いて、前記予め定められた処理を実行する
請求項4記載の土壌汚染評価支援装置。
【請求項6】
コンピュータを、
汚染源から汚染物質が漏洩した土壌の予め定められた位置における前記汚染物質の濃度の実測値を示す実測値情報および前記汚染源から前記土壌への前記汚染物質の漏洩開始時からの経過期間に基づいて、予測対象とする時点の前記汚染源が設けられた敷地の境界線の位置における前記汚染物質の濃度を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された前記濃度を用いて、前記土壌の汚染に関する評価を支援するための予め定められた処理を実行する実行手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の土壌汚染評価支援装置における予測手段および実行手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−65257(P2011−65257A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213496(P2009−213496)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)